JP2024068775A - 紫外線照射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】バリア放電ランプの管軸方向における均斉度が低下するのを抑制することができる紫外線照射装置を提供することである。【解決手段】実施形態に係る紫外線照射装置は、箱状を呈し、一方の端部が開口した筐体と;前記筐体の内部に設けられ、紫外線を照射可能なバリア放電ランプと;前記筐体の内部において、前記バリア放電ランプに向けてパージガスを流す気流形成部と;を具備している。前記バリア放電ランプは、一方向に延び、環状を呈し、内部にガスが封入された発光管と;前記発光管の内部に設けられた内部電極と;前記発光管の外部に設けられた外部電極と;を有する。前記気流形成部は、前記発光管の、前記筐体の開口に対向する側の端部の近傍を流れる前記パージガスの流れを形成する。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、紫外線照射装置に関する。
紫外線を照射するバリア放電ランプを備えた紫外線照射装置がある。バリア放電ランプを備えた紫外線照射装置は、例えば、対象物の表面に付着した有機物の除去(光洗浄処理)、表面改質、酸化膜の形成などの表面処理に用いられている。バリア放電ランプは、例えば、発光管の内部に設けられた内部電極と、発光管の外部に設けられた外部電極とを有している。内部電極と、外部電極とに交流電圧を印加すると、誘電体バリア放電が生じて、発光管の内部に封入されたガスの種類に応じて特定の波長を有する紫外線が照射される。
ここで、紫外線による処理を行う際に、対象物からガスが放出される場合がある。例えば、対象物の表面に有機物が含まれているような場合には、紫外線が照射されることで有機物が分解されて、有機物の成分を含むガスが放出される場合がある。また、対象物の表面に揮発性の材料が塗布されている場合には、揮発性の材料の成分を含むガスが放出される。放出されたガスがバリア放電ランプに到達すると、ガスに含まれていた成分がバリア放電ランプの表面に付着して、バリア放電ランプの管軸方向における均斉度が低下する場合がある。均斉度が低下すると処理ムラが生じやすくなるので、処理が施された対象物の品質が低下するおそれがある。
そのため、一方の端部が開口した箱状の筐体の内部にバリア放電ランプを設け、箱状の筐体の内部を窒素ガスでパージする技術が提案されている。バリア放電ランプが、窒素ガスで満たされた空間に設けられていれば、対象物からガスが放出されたとしても、放出されたガスがバリア放電ランプに到達するのを抑制することができる。
ところが、処理時間が長かったり、処理数が多かったりした場合には、放出されたガスが経時的にバリア放電ランプに到達する場合がある。また、ガスの放出量が多い場合にも、放出されたガスがバリア放電ランプに到達する場合がある。そのため、単に、バリア放電ランプの周辺を窒素ガスで満たしてもバリア放電ランプの管軸方向における均斉度が低下する場合がある。
そこで、バリア放電ランプの管軸方向における均斉度が低下するのを抑制することができる紫外線照射装置の開発が望まれていた。
本発明が解決しようとする課題は、バリア放電ランプの管軸方向における均斉度が低下するのを抑制することができる紫外線照射装置を提供することである。
実施形態に係る紫外線照射装置は、箱状を呈し、一方の端部が開口した筐体と;前記筐体の内部に設けられ、紫外線を照射可能なバリア放電ランプと;前記筐体の内部において、前記バリア放電ランプに向けてパージガスを流す気流形成部と;を具備している。前記バリア放電ランプは、一方向に延び、環状を呈し、内部にガスが封入された発光管と;前記発光管の内部に設けられた内部電極と;前記発光管の外部に設けられた外部電極と;を有する。前記気流形成部は、前記発光管の、前記筐体の開口に対向する側の端部の近傍を流れる前記パージガスの流れを形成する。
本発明の実施形態によれば、バリア放電ランプの管軸方向における均斉度が低下するのを抑制することができる紫外線照射装置を提供することができる。
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。また、各図面中の矢印X、Y、Zは互いに直交する三方向を表している。例えば、バリア放電ランプ1(発光管11)の管軸方向に直交する方向をX方向とし、バリア放電ランプ1(発光管11)の管軸方向をY方向とし、紫外線の照射方向をZ方向としている。
図1は、本実施の形態に係る紫外線照射装置100を例示するための模式断面図である。 なお、図1においては、バリア放電ランプ1が1つ設けられる場合を例示したが、バリア放電ランプ1の数は、バリア放電ランプ1の用途や、処理の対象物200の大きさなどに応じて適宜変更することができる。すなわち、バリア放電ランプ1は、少なくとも1つ設けられていればよい。
また、図1に示すように、紫外線照射装置100(バリア放電ランプ1)は、対象物200の、重力方向上側に設けられている。この場合、対象物200は、紫外線照射装置100(バリア放電ランプ1)に対して移動させてもよい。例えば、対象物200は、コンベアなどの搬送装置201を用いて所定の方向に移動させることができる。なお、紫外線照射装置100(バリア放電ランプ1)は、対象物200に対して移動させてもよい。例えば、対象物200を載置台などの上に載置し、一軸ロボットなどを用いて紫外線照射装置100(バリア放電ランプ1)を所定の方向に移動させることができる。
すなわち、紫外線照射装置100(バリア放電ランプ1)と、対象物200との間の相対的な位置が変化可能であればよい。なお、紫外線照射装置100(バリア放電ランプ1)と、対象物200との間の位置が一定であってもよい。ただし、紫外線照射装置100(バリア放電ランプ1)と、対象物200との間の相対的な位置を変化させれば、紫外線照射装置100(バリア放電ランプ1)の照射領域を小さくすることができるので、紫外線照射装置100(バリア放電ランプ1)の小型化や省エネルギー化などを図ることができる。
図1に示すように、紫外線照射装置100は、例えば、バリア放電ランプ1、冷却部2、ソケット3、カバー4、筐体5、およびパージガス供給部6を有する。
図2は、バリア放電ランプ1、冷却部2、ソケット3、およびカバー4の模式分解図である。
図3は、バリア放電ランプ1を例示するための模式図である。
図4は、図3におけるバリア放電ランプ1のA-A線方向の模式断面図である。
なお、図4においては、冷却部2も併せて描いている。
図3、および図4に示すように、バリア放電ランプ1は、例えば、発光管11、内部電極12、反射膜13,ホルダ14、リード線15、および外部電極16を有する。
図2は、バリア放電ランプ1、冷却部2、ソケット3、およびカバー4の模式分解図である。
図3は、バリア放電ランプ1を例示するための模式図である。
図4は、図3におけるバリア放電ランプ1のA-A線方向の模式断面図である。
なお、図4においては、冷却部2も併せて描いている。
図3、および図4に示すように、バリア放電ランプ1は、例えば、発光管11、内部電極12、反射膜13,ホルダ14、リード線15、および外部電極16を有する。
発光管11は、管状を呈し、管径に比べて全長(管軸方向の長さ)が長い形態を有する。発光管11は、一方向(Y方向)に延びている。発光管11は、例えば、円筒管とすることができる。発光管11の、管軸方向における両側の端部のそれぞれには、封止部11aが設けられている。封止部11aを設けることで、発光管11の内部空間を気密に封止することができる。封止部11aは、例えば、ピンチシール法やシュリンクシール法を用いて形成することができる。
また、封止部11aの内部には、導電部11bとアウターリード11cを設けることができる。導電部11bは、1つの封止部11aに対して1つ設けることができる。導電部11bの平面形状は、例えば、四角形である。導電部11bは、薄膜状を呈している。導電部11bは、例えば、モリブデン箔から形成することができる。
アウターリード11cは、線状を呈し、少なくともリード線15が設けられる側の封止部11aに設けることができる。アウターリード11cの一方の端部は、導電部11bと電気的に接続されている。アウターリード11cの端部の近傍は、導電部11bと、レーザ溶接または抵抗溶接することができる。アウターリード11cの他方の端部は、封止部11aから露出させることができる。アウターリード11cは、例えば、モリブデンなどを含んでいる。
発光管11の内部空間には、ガスが封入されている。バリア放電ランプ1においては、内部電極12と外部電極16との間でバリア放電を行って、封入されているガスに高いエネルギー電子を与えてエキシマ励起分子を生成する。エキシマ励起分子が元に戻る際に、ガスの種類に応じて特定のピーク波長を有する光が発生する。そのため、発光管11の内部空間に封入するガスは、バリア放電ランプ1の用途に応じて適宜変更することができる。発光管11の内部空間に封入するガスは、例えば、クリプトン、キセノン、アルゴン、ネオンなどの希ガス、あるいは、複数種類の希ガスを混合させた混合ガスとすることができる。ガスには、必要に応じて、ハロゲンガスなどをさらに含めることもできる。
発光管11の内部空間の25℃におけるガスの圧力(封入圧力)は、例えば、80kPa~200kPa程度とすることができる。発光管11の内部空間の25℃におけるガスの圧力(封入圧力)は、気体の標準状態(SATP(Standard Ambient Temperature and Pressure):温度25℃、1bar)により求めることができる。
例えば、フラットパネルディスプレイ用のガラス板の表面を光洗浄する場合には、封入するガスをキセノンとすることが好ましい。この場合、キセノンの封入圧力は、例えば、93kPa程度とすることができる。封入するガスをキセノンとすれば、ピーク波長が172nmの紫外線を発生させることができるので洗浄効果を高めることができる。
発光管11は、例えば、ピーク波長が200nm以下の紫外線の透過率が高い材料から形成される。例えば、発光管11は、合成石英ガラスから形成することができる。
内部電極12は、発光管11の内部に設けられている。内部電極12は、例えば、コイル12a、およびレグ12bを有する。コイル12a、およびレグ12bは、一体に形成することができる。コイル12a、およびレグ12bは、例えば、線材を塑性加工することで形成される。線材の線径(直径)は、例えば、0.2mm~1.0mm程度である。線材の材料は、例えば、タングステン、あるいはタングステンにカリウムなどを添加したドープタングステンなどである。
コイル12aは螺旋状を呈し、発光管11の内部空間に設けられている。コイル12aは、発光管11の内部空間の中央領域を発光管11の管軸に沿って延びている。コイル12aのピッチ寸法Pは、例えば、10mm~120mm程度とすることができる。
レグ12bは、コイル12aの両側の端部のそれぞれに設けられている。レグ12bは、線状を呈し、コイル12aの端部から発光管11の管軸に沿って延びている。レグ12bの端部は、封止部11aの内部において導電部11bと電気的に接続されている。レグ12bの端部の近傍は、導電部11bと、レーザ溶接または抵抗溶接することができる。
反射膜13は,外部電極16と内部電極12(コイル12a)との間に設けることができる。例えば、反射膜13は,膜状を呈し、発光管11の内壁に設けることができる。反射膜13は,発光管11の内部空間で発生し、照射方向に向かわない紫外線を照射方向に向けて反射させる。反射膜13が設けられていれば、紫外線の取り出し効率を向上させることができる。また、反射膜13が設けられていれば、発光管11の、紫外線が直接入射する領域を小さくすることができるので、紫外線による発光管11の化学的な構造変化を抑制することができる。
反射膜13の厚みは、例えば、100μm~300μm程度とすることができる。反射膜13は、例えば、SiO2を含む。また、反射膜13は、紫外線を散乱させる粒子を含むこともできる。紫外線を散乱させる粒子は、例えば、酸化アルミニウムなどを含んでいる。
なお、反射膜13は、必ずしも必要ではなく省くこともできる。ただし、反射膜13が設けられていれば、紫外線の取り出し効率を向上させることができ、且つ、紫外線による発光管11の化学的な構造変化を抑制することができる。
ホルダ14は、発光管11の、管軸方向における両側の端部のそれぞれに設けられている。ホルダ14は、発光管11の端部を覆っている。ホルダ14は、例えば、絶縁材料から形成することができる。ホルダ14は、例えば、ステアタイト(steatite)、酸化アルミニウムなどから形成することができる。ホルダ14は、外部電極16と接触させてもよいし、外部電極16と離間させてもよい。
リード線15は、封止部11aから露出するアウターリード11cの端部に電気的に接続されている。リード線15は、アウターリード11cおよび導電部11bを介して、内部電極12と電気的に接続されている。リード線15は、例えば、紫外線照射装置100の外部に設けられた点灯回路と電気的に接続される。なお、リード線15は、図3に示すように、発光管11の一方の端部側のみに設けることもできるし、発光管11の両側の端部のそれぞれに設けることもできる。
図2~図4に示すように、外部電極16は、発光管11の外部に設けられている。外部電極16は、例えば、電極体16a、および複数の取り付け部16bを有する。電極体16a、および複数の取り付け部16bは、一体に形成することができる。
電極体16aは、発光管11の外面に沿って、発光管11の管軸方向に延びている。電極体16aは、発光管11の外面と、冷却部2の凹部2aの内壁と、の間に設けられている。電極体16aは、内部電極12(コイル12a)と対向している。反射膜13が設けられる場合には、電極体16aは、反射膜13と対向する位置に設けることができる。
電極体16aの厚みは、例えば、0.1mm以上、1.0mm以下とすることができる。電極体16aは、金属などの導電性材料から形成することができる。電極体16aは、例えば、ステンレス、アルミニウムなどから形成される。また、バリア放電ランプ1を点灯させると、紫外線とともに熱が発生する。そのため、電極体16aが金属などの熱伝導率の高い材料を含んでいれば、電極体16aを放熱部として用いることもできる。
複数の取り付け部16bは、発光管11の管軸方向に直交する方向において、電極体16aの両側の端部のそれぞれに設けられている。複数の取り付け部16bの一方の端部は、電極体16aの端部に設けられている。発光管11の管軸方向に直交する方向において、複数の取り付け部16bは、発光管11から離れる方向に延びている。
複数の取り付け部16bは、発光管11の管軸方向に並べて設けられている。複数の取り付け部16bは、冷却部2の、凹部2aが開口する面に取り付けられる。複数の取り付け部16bは、例えば、ネジなどの締結部材を用いて、冷却部2に取り付けられる。複数の取り付け部16bの厚み、および材料は、電極体16aと同じとすることができる。
複数の取り付け部16bを冷却部2に取り付ければ、バリア放電ランプ1を点灯させた際に発生した熱により、電極体16aが変形するのを抑制することができる。電極体16aが変形するのを抑制することができれば、内部電極12(コイル12a)と外部電極16(電極体16a)との間の距離が変化して放電状態が変化するのを抑制することができる。放電状態が変化するのを抑制することができれば、均斉度を高くすることができる。そのため、処理ムラの発生を抑制することができる。
また、複数の位置決め部材16cをさらに設けることができる。位置決め部材16cは、板状を呈し、取り付け部16bと、冷却部2の、凹部2aが開口する面との間に設けることができる。例えば、位置決め部材16cの数は、取り付け部16bの数と同じとすることができる。
位置決め部材16cは、例えば、ネジなどの締結部材を用いて、取り付け部16bとともに冷却部2に取り付けられる。そのため、位置決め部材16cには、厚み方向を貫通する孔を設けることができる。位置決め部材16cの厚みは、例えば、0.3mm程度とすることができる。位置決め部材16cの材料は、例えば、ステンレスなどの金属とすることができる。
位置決め部材16cを冷却部2に取り付けた際には、位置決め部材16cの一方の端部と電極体16aとの間、および電極体16aと発光管11の外面との間の少なくともいずれかに僅かな隙間が設けられるようにしてもよいし、隙間が設けられないようにしてもよい。この様にすれば、バリア放電ランプ1を点灯させた際に発生した熱により、電極体16aおよび発光管11が変形するのを抑制することができる。そのため、内部電極12(コイル12a)と外部電極16(電極体16a)との間の距離が変化して放電状態が変化したり、発光管11と、冷却部2との間に隙間が生じて、冷却状態が変化したりするのを抑制することができる。放電状態、および冷却状態が変化するのを抑制することができれば、均斉度をさらに高くすることができる。そのため、処理ムラの発生をさらに抑制することができる。
図2、および図4に示すように、冷却部2は、外部電極16を挟んで、発光管11と対向している。冷却部2は、バリア放電ランプ1の管軸方向に延びている。冷却部2の管軸方向の長さは、例えば、外部電極16(電極体16a)の管軸方向の長さと同じとすることができる。冷却部2は、少なくとも1つ設けることができる。複数の冷却部2を設ける場合には、図2に示すように、複数の冷却部2を、バリア放電ランプ1の管軸方向に並べて設けることができる。
図4に示すように、冷却部2の一方の面には、凹部2aを設けることができる。凹部2aは、発光管11の管軸方向に延びている。凹部2aの内部には、外部電極16の電極体16aと、バリア放電ランプ1の発光管11を設けることができる。凹部2aの内面の少なくとも一部は、電極体16aと接触することができる。
冷却部2は、熱伝導率の高い材料から形成されている。冷却部2は、例えば、アルミニウムやステンレスなどの金属から形成することができる。また、図4に示すように、冷却部2の内部に流路2bを設けることができる。流路2bには、例えば、開閉弁2cを介して、冷媒が供給される。冷媒は、例えば、水などである。流路2bの内部を流れた冷媒は、冷却部2の外部に排出される。流路2bの内部に冷媒を流せば、バリア放電ランプ1において発生した熱を効率良く放熱することができる。
ソケット3は、例えば、点灯回路などに電気的に接続されている。リード線15、および外部電極16は、着脱可能にソケット3と電気的に接続される。リード線15、および外部電極16をソケット3に電気的に接続することで、内部電極12、および外部電極16を点灯回路などに電気的に接続することができる。
点灯回路は、例えば、交流電源からの電力を、高電圧かつ高周波(例えば、周波数が37kHzの正弦波)の電力に変換するインバータを有する。例えば、点灯回路は、2.4kW程度のランプ電力で、バリア放電ランプ1を点灯させる。
カバー4は、箱状を呈し、内部に、バリア放電ランプ1、冷却部2、およびソケット3を収納する。カバー4の一方の端部は開口している。カバー4が設けられていれば、カバー4の内部空間に後述するパージガスGを滞留させることができる。カバー4の内部空間にパージガスGが滞留していれば、バリア放電ランプ1の保護を図ることができる。
筐体5は、箱状を呈し、内部に、バリア放電ランプ1、冷却部2、ソケット3、およびカバー4を収納する。筐体5の一方の端部は開口している。筐体5の開口部が設けられる方向は、カバー4の開口が設けられる方向と同じとすることができる。図1に示すように、バリア放電ランプ1から照射された紫外線は、カバー4の開口、および筐体5の開口を介して、対象物200に照射される。
筐体5の内部空間には、パージガス供給部6から供給されたパージガスGが滞留する。筐体5の内部空間にパージガスGが満たされていれば、対象物200から放出された対象物200の成分を含むガス200aがバリア放電ランプ1(発光管11)に到達するのを抑制することができる。
図5は、比較例に係る紫外線照射装置300を例示するための模式断面図である。
図5に示すように、紫外線照射装置300には、バリア放電ランプ1、冷却部2、ソケット3、カバー4、筐体5、およびパージガス供給部306を有する。
パージガス供給部306は、例えば、流量調整弁306aを介して、筐体5の内部空間にパージガスGを供給する。筐体5の内部空間に供給されたパージガスGは、筐体5の内部空間に滞留するとともに、一部が筐体5の開口から外部に排出される。
図5に示すように、紫外線照射装置300には、バリア放電ランプ1、冷却部2、ソケット3、カバー4、筐体5、およびパージガス供給部306を有する。
パージガス供給部306は、例えば、流量調整弁306aを介して、筐体5の内部空間にパージガスGを供給する。筐体5の内部空間に供給されたパージガスGは、筐体5の内部空間に滞留するとともに、一部が筐体5の開口から外部に排出される。
パージガスGが、筐体5の内部空間に滞留していれば、図5に示すように、バリア放電ランプ1(発光管11)と対象物200との間にパージガスGの層306bが形成される。パージガスGの層306bが形成されていれば、対象物200から放出されたガス200aがバリア放電ランプ1(発光管11)に到達するのを抑制することができる。そのため、対象物200の成分がバリア放電ランプ1(発光管11)の表面に付着して、バリア放電ランプ1の管軸方向における均斉度が低下するのを抑制することができる。
ところが、処理時間が長かったり、処理数が多かったりした場合には、ガス200aが経時的にバリア放電ランプ1(発光管11)に到達する場合がある。また、ガス200aの放出量が多い場合にも、ガス200aがバリア放電ランプ1(発光管11)に到達する場合がある。ガス200aがバリア放電ランプ1(発光管11)に到達すると、対象物200の成分がバリア放電ランプ1(発光管11)の表面に付着して、バリア放電ランプ1の管軸方向における均斉度が低下する場合がある。均斉度が低下すると処理ムラが生じやすくなるので、処理が施された対象物200の品質が低下するおそれがある。
そこで、本実施の形態に係る紫外線照射装置100には、パージガス供給部6が設けられている。図1に示すように、パージガス供給部6は、例えば、ガス供給源6a、開閉弁6b、流量調整部6c、および気流形成部6dを有する。ガス供給源6a、開閉弁6b、および流量調整部6cは、筐体5の外部に設けることができる。気流形成部6dは、筐体5の内部空間に設けることができる。
ガス供給源6aは、パージガスGを気流形成部6dに供給する。ガス供給源6aは、例えば、パージガスGを収納した高圧ボンベや工場配管などとすることができる。
パージガスGは、対象物200、およびバリア放電ランプ1の要素と反応し難いものであれば特に限定はない。パージガスGは、例えば、窒素ガス、アルゴンやヘリウムなどの希ガスとすることができる。この場合、パージガスGを空気よりも比重が小さいガス(例えば、ヘリウム)とすれば、筐体5の内部空間にパージガスGを滞留させるのが容易となる。また、パージガスGを希ガスよりも価格の安い窒素ガスとすれば、ランニングコストの低減を図ることができる。
パージガスGは、対象物200、およびバリア放電ランプ1の要素と反応し難いものであれば特に限定はない。パージガスGは、例えば、窒素ガス、アルゴンやヘリウムなどの希ガスとすることができる。この場合、パージガスGを空気よりも比重が小さいガス(例えば、ヘリウム)とすれば、筐体5の内部空間にパージガスGを滞留させるのが容易となる。また、パージガスGを希ガスよりも価格の安い窒素ガスとすれば、ランニングコストの低減を図ることができる。
開閉弁6bは、配管などを介して、ガス供給源6aと気流形成部6dとの間に接続することができる。開閉弁6bは、パージガスGの供給と、供給の停止を制御する。開閉弁6bは、例えば、二方弁とすることができる。
流量調整部6cは、配管などを介して、開閉弁6bと気流形成部6dとの間に接続することができる。流量調整部6cは、パージガスGの流量を調整する。流量調整部6cは、例えば、流量調整弁または圧力調整弁とすることができる。また、流量調整部6cは、開閉弁6bの機能をさらに有することもできる。
気流形成部6dは、例えば、配管などを介して、流量調整部6cと接続することができる。
図6は、気流形成部6dを例示するための模式斜視図である。
図1、および図6に示すように、バリア放電ランプ1(発光管11)の管軸方向に直交する方向(X方向)において、気流形成部6dは、バリア放電ランプ1と並べて設けることができる。気流形成部6dは、バリア放電ランプ1(発光管11)と平行となるように設けることができる。バリア放電ランプ1(発光管11)の管軸方向(Y方向)において、気流形成部6dの長さは、バリア放電ランプ1の長さと同程度とすることができる。
図6は、気流形成部6dを例示するための模式斜視図である。
図1、および図6に示すように、バリア放電ランプ1(発光管11)の管軸方向に直交する方向(X方向)において、気流形成部6dは、バリア放電ランプ1と並べて設けることができる。気流形成部6dは、バリア放電ランプ1(発光管11)と平行となるように設けることができる。バリア放電ランプ1(発光管11)の管軸方向(Y方向)において、気流形成部6dの長さは、バリア放電ランプ1の長さと同程度とすることができる。
図6に示すように、気流形成部6dには、パージガスGの吹き出し口6d1を設けることができる。吹き出し口6d1は、例えば、バリア放電ランプ1(発光管11)の管軸方向(Y方向)に延びるスリットとすることができる。なお、バリア放電ランプ1(発光管11)の管軸方向(Y方向)に並ぶ複数の孔を吹き出し口6d1としてもよい。
図1、および図6に示すように、気流形成部6dに供給されたパージガスGは、吹き出し口6d1から吹き出す。吹き出し口6d1から吹き出したパージガスGは、発光管11の対象物200側の端部の近傍に供給される。すなわち、気流形成部6dは、筐体5の内部において、バリア放電ランプ1(発光管11)に向けてパージガスGを流す。この場合、図1に示すように、気流形成部6dは、発光管11の、筐体5の開口に対向する側(対象物200に対向する側)の端部の近傍を流れるパージガスGの流れを形成する。パージガスGは、発光管11が延びる方向と直交する方向(X方向)の、発光管11の一方の側から他方の側に、筐体5の開口に沿って流れる。この様なパージガスGの流れを形成することができれば、対象物200からバリア放電ランプ1(発光管11)に向かうガス200aをパージガスGの流れに載せて、バリア放電ランプ1(発光管11)から遠ざけることができる。
吹き出し口6d1から吹き出したパージガスGの流速や流量は、ガス200aがバリア放電ランプ1(発光管11)から遠ざけられるのであれば特に限定はない。この場合、パージガスGの流速を速くしたり、パージガスGの流量を多くしたりすれば、ガス200aがバリア放電ランプ1(発光管11)に到達し難くなる。一方、パージガスGの流速を速くしたり、パージガスGの流量を多くしたりすれば、ランニングコストが高くなる。そのため、パージガスGの流速や流量は、ガス200aの放出量、バリア放電ランプ1(発光管11)と対象物200との間の距離などに応じて適宜変更することができる。パージガスGの流速や流量は、実験やシミュレーションなどを行うことで適宜決定することができる。
気流形成部6dが設けられていれば、対象物200の成分がバリア放電ランプ1(発光管11)の表面に付着するのを効果的に抑制することができる。そのため、バリア放電ランプ1の管軸方向における均斉度が低下するのを抑制することができ、ひいては、処理ムラが生じるのを抑制することができる。
図7は、他の実施形態に係る気流形成部6daを例示するための模式斜視図である。
気流形成部6daは、例えば、送風ファンとすることができる。この場合、図7に示すように、複数の気流形成部6daをバリア放電ランプ1(発光管11)の管軸方向(Y方向)に並べて設けることができる。複数の気流形成部6daの列は、バリア放電ランプ1(発光管11)と平行となるようにすることができる。なお、気流形成部6daの数は例示をしたものに限定されるわけではなく、例えば、バリア放電ランプ1(発光管11)の管軸方向の長さに応じて適宜変更することができる。また、気流形成部6daは、クロスフローファン(ラインフローファン(登録商標))とすることもできる。気流形成部6daをクロスフローファンとする場合には、例えば、バリア放電ランプ1(発光管11)の管軸方向(Y方向)に延びる気流形成部6daを1つ設けることができる。
気流形成部6daは、例えば、送風ファンとすることができる。この場合、図7に示すように、複数の気流形成部6daをバリア放電ランプ1(発光管11)の管軸方向(Y方向)に並べて設けることができる。複数の気流形成部6daの列は、バリア放電ランプ1(発光管11)と平行となるようにすることができる。なお、気流形成部6daの数は例示をしたものに限定されるわけではなく、例えば、バリア放電ランプ1(発光管11)の管軸方向の長さに応じて適宜変更することができる。また、気流形成部6daは、クロスフローファン(ラインフローファン(登録商標))とすることもできる。気流形成部6daをクロスフローファンとする場合には、例えば、バリア放電ランプ1(発光管11)の管軸方向(Y方向)に延びる気流形成部6daを1つ設けることができる。
また、気流形成部6daは、筐体5の内部空間に滞留しているパージガスGを発光管11の対象物200側の端部の近傍に供給する。そのため、前述した流量調整部6cは、筐体5の内部空間に接続される。流量調整部6cは、筐体5の内部空間にパージガスGを供給して、少なくとも気流形成部6daの周辺にパージガスGが存在するようにする。
気流形成部6daを設ける場合にも、発光管11の対象物200側の端部の近傍に、パージガスGの流れを形成することができる。パージガスGの流れが形成されれば、対象物200からバリア放電ランプ1(発光管11)に向かうガス200aをパージガスGの流れに載せて、バリア放電ランプ1(発光管11)から遠ざけることができる。すなわち、気流形成部6daを設ければ、前述した気流形成部6dと同様の効果を享受することができる。
図8は、図5に示す比較例に係る紫外線照射装置300の効果を例示するための表である。なお、図8は、気流形成部6d(6da)が設けられていない場合の効果を例示するための表である。
図9は、気流形成部6d(6da)が設けられた場合の効果を例示するための表である。 また、図8、および図9における「0mm」は、バリア放電ランプ1(発光管11)の、管軸方向(Y方向)における中心位置を表している。また、「300mm」、「600mm」、「700mm」、「-300mm」、「-600mm」、「-700mm」は、中心位置からの距離を表している。
図10は、均斉度の経時的な変化を例示するためのグラフである。
図9は、気流形成部6d(6da)が設けられた場合の効果を例示するための表である。 また、図8、および図9における「0mm」は、バリア放電ランプ1(発光管11)の、管軸方向(Y方向)における中心位置を表している。また、「300mm」、「600mm」、「700mm」、「-300mm」、「-600mm」、「-700mm」は、中心位置からの距離を表している。
図10は、均斉度の経時的な変化を例示するためのグラフである。
図8、および図9から分かるように、気流形成部6d(6da)が設けられていれば、バリア放電ランプ1(発光管11)の管軸方向(Y方向)における照度のバラツキを小さくすることができる。すなわち、均斉度の向上を図ることができる。
また、図10から分かるように、気流形成部6d(6da)が設けられていれば、均斉度が経時的に低下するのを抑制することができる。
また、図10から分かるように、気流形成部6d(6da)が設けられていれば、均斉度が経時的に低下するのを抑制することができる。
また、パージガスGが、バリア放電ランプ1(発光管11)の近傍に直接供給されるので、バリア放電ランプ1(発光管11)に外気(空気)が接触するのを効果的に抑制することができる。例えば、内部電極12と電極体16aとの間でバリア放電が生じた際に、電極体16aと冷却部2との間の隙間や、電極体16aと発光管11との間の隙間に環境中の空気があると、硝化水素ガスが発生する場合がある。また、電極体16aの表面において、環境中の水分が結露する場合がある。結露した水分に硝化水素ガスが溶け込むと、硝酸が生成される。硝酸が発光管11の外面に接触すると、紫外線の透過性が低下する。バリア放電ランプ1を点灯させる度に、このような化学反応が繰り返し生じると、紫外線の取り出し効率が経時的に低下するおそれがある。
気流形成部6d(6da)が設けられていれば、パージガスGが、バリア放電ランプ1(発光管11)の近傍に直接供給されるので、硝化水素ガスの生成や、水分の結露を効果的に抑制することができる。そのため、紫外線の取り出し効率が経時的に低下するのを効果的に抑制することができる。
また、カバー4が設けられていれば、バリア放電ランプ1(発光管11)の近傍に供給されたパージガスGを滞留させることができるので、硝化水素ガスの生成や、水分の結露をさらに抑制することができる。そのため、紫外線の取り出し効率が経時的に低下するのをさらに抑制することができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
1 バリア放電ランプ、2 冷却部、5 筐体、6 パージガス供給部、6a ガス供給源、6b 開閉弁、6c 流量調整部、6d 気流形成部、11 発光管、12 内部電極、16 外部電極、16a 電極体、100 紫外線照射装置、200 対象物、200a ガス、G パージガス
Claims (3)
- 箱状を呈し、一方の端部が開口した筐体と;
前記筐体の内部に設けられ、紫外線を照射するバリア放電ランプと;
前記筐体の内部において、前記バリア放電ランプに向けてパージガスを流す気流形成部と;
を具備し、
前記バリア放電ランプは、
一方向に延び、管状を呈し、内部にガスが封入された発光管と;
前記発光管の内部に設けられた内部電極と;
前記発光管の外部に設けられた外部電極と;
を有し、
前記気流形成部は、前記発光管の、前記筐体の開口に対向する側の端部の近傍を流れる前記パージガスの流れを形成する紫外線照射装置。 - 前記筐体の内部空間には、前記パージガスが滞留する請求項1記載の紫外線照射装置。
- 前記パージガスは、前記発光管が延びる方向と直交する方向の、前記発光管の一方の側から他方の側に、前記筐体の開口に沿って流れる請求項1または2に記載の紫外線照射装置。
Priority Applications (2)
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- 2023-08-16 CN CN202322199065.0U patent/CN220526865U/zh active Active
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