JP2024062227A - 水性インク用着色樹脂微粒子の分散液、これを用いた筆記具用水性インク組成物 - Google Patents

水性インク用着色樹脂微粒子の分散液、これを用いた筆記具用水性インク組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】経時分散安定性に優れた水性インク用着色樹脂微粒子の分散液、これを用いた筆記具用水性インク組成物、これを搭載した筆記具を提供する。【解決手段】 少なくとも、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーと、塩基性染料又は油溶性染料とで構成される着色樹脂微粒子であって、該着色樹脂微粒子表面のゼータ電位測定値が-20~+20mVの範囲であることを特徴とする水性インク用着色樹脂微粒子の分散液。【選択図】なし

Description

本発明は、水性インク用着色樹脂微粒子の分散液、これを用いたサインペンやマーキングペン、ボールペンなどの筆記具に好適な筆記具用水性インク組成物に関する。
従来より、特定のポリマー構成を有する樹脂エマルションを染料で染色して、疑似顔料とも呼ばれる色材として利用することが知られている。
例えば、1)重合性界面活性剤の存在下で水溶性塩基性染料が溶解された酸性官能基を有するビニルモノマーを乳化重合して調製された水性 インク用着色樹脂微粒子水性分散液(例えば、特許文献1参照)、2)少なくとも、酸性官能基として水への溶解度が10質量%以下のカルボキシル基含有ビニルモノマー(A)と、アクリル酸又はメタクリル酸と炭素数2~18の直鎖若しくは環状アルコールとのエステルモノマー(B)と、塩基性染料又は油溶性染料とで構成される着色樹脂微粒子が水に分散されている水性インク用着色樹脂微粒子の分散液を用いた筆記具用水性インク組成物(例えば、特許文献2参照)が知られている。
しかしながら、上記特許文献1及び2記載の水性インク用着色樹脂微粒子の分散液を色材として用いた筆記具用水性インクは、内包可能な染料の量が限られていた。そのため描線の濃度が若干不足がちであった。一方、着色樹脂微粒子の合成時に添加する染料の量を多くすると、重合が阻害されて安定な着色樹脂微粒子が得られないことがあった。
そこで、本願出願人は、少なくとも、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーと、塩基性染料又は油溶性染料とで構成される着色樹脂微粒子であって、前記(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーの含有量、前記塩基性染料又は油溶性染料の含有量をそれぞれ特定の範囲としてなる着色樹脂微粒子が水に分散されている水性インク用着色樹脂微粒子の分散液を調製することにより、安定性に優れ、十分な描線濃度を有する着色樹脂微粒子を開示している(例えば、特許文献3参照)。
この水性インク用着色樹脂微粒子の分散液は、内包可能な染料の量を多くしても、安定性に優れ、十分な描線濃度を有する着色樹脂微粒子が得られるものであるが、高い分散力を得るために重合性界面活性剤としてアニオン系界面活性剤を用いて電荷反発で着色微粒子を構成していた。
この場合、電荷に繊細な水性インクの配合系、例えば、近年、速書きや左利きの筆記など、従来ではきれいな描線を書くことが困難であった筆記状況においても、かすれやインク溜まりが生じにくく、安定した筆記描線を実現することができるセルロースナノファイバー(CNFの水素結合ネットワークによるゲルなど)の水性インクの配合系では、上記特許文献3記載の着色樹脂微粒子を用いた場合には、粒子の電荷により、上記配合系の分散が安定な初期状態を維持できないなどの若干の課題があるのが現状であった。
特開平10-259337号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2016-196623号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2019-112561号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来技術の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、耐光性に優れ、電荷に繊細な水性インクの配合系であっても、着色樹脂微粒子の分散が安定な初期状態を維持でき、不安定な系(イオン系)でも刺激性が少ないため、十分な描線濃度を損なうことなく、分散安定性に優れる水性インク用着色樹脂微粒子の分散液の提供、並びに、これを色材として用いたサインペンやマーキングペン、ボールペンなどの筆記具に好適な筆記具用水性インク組成物、これを搭載した筆記具を提供することを目的とする。
本発明者は、上記従来の課題等に鑑み、鋭意研究を行った結果、少なくとも、特定のモノマーと、塩基性染料又は油溶性染料とで構成される着色樹脂微粒子であって、該着色樹脂微粒子表面のゼータ電位測定値を特定の範囲等とすることにより、上記目的の水性インク用着色樹脂微粒子の分散液、これを用いた筆記具用水性インク組成物、筆記具が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明の水性インク用着色樹脂微粒子の分散液は、少なくとも、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーと、塩基性染料又は油溶性染料とで構成される着色樹脂微粒子であって、該着色樹脂微粒子表面のゼータ電位測定値が-20~+20mVの範囲であることを特徴とする。
前記着色樹脂微粒子の平均粒子径が20~300nmであることが好ましい。
本発明の筆記具用水性インク組成物は、上記構成の水性インク用着色樹脂微粒子の分散液と、水溶性有機溶剤と、水とを含有することを特徴とする。
本発明の筆記具は、上記筆記具用水性インク組成物を搭載したことを特徴とする。
本発明によれば、耐光性に優れ、電荷に繊細な水性インクの配合系であっても、着色樹脂微粒子の分散が安定な初期状態を維持でき、不安定な系(イオン系)でも刺激性が少ないため、十分な描線濃度を損なうことなく、分散安定性に優れる水性インク用着色樹脂微粒子の分散液の提供、並びに、これを色材として用いたサインペンやマーキングペン、ボールペンなどの筆記具に好適な筆記具用水性インク組成物、これを搭載した筆記具が提供される。
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるものである。上述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
以下に、本発明の実施形態を発明ごとに詳しく説明する。但し、本発明の技術的範囲は下記で詳述する実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。また、本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識(設計事項、自明事項を含む)に基づいて実施することができる。
本発明の水性インク用着色樹脂微粒子の分散液は、少なくとも、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーと、塩基性染料又は油溶性染料とで構成される着色樹脂微粒子であって、該着色樹脂微粒子表面のゼータ電位測定値が-20~+20mVの範囲であることを特徴とするものである。
本発明に用いる(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーは、内包可能な染料の量を多くしても、色の濃い発色性に優れる安定な着色樹脂微粒子が得られる点、並びに、得られる着色樹脂微粒子が筆記具用などの色材として十分な描線の濃度となる点などから用いるものである。これ以外の(メタ)アクリル酸n-ブチルなどの(メタ)アクリル酸化合物などの使用では、本発明の効果を発揮できないこととなる。
なお、上記「(メタ)アクリル酸」の表記は、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を表す。また、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーの製造法は、既知であり、従来の製法、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルは、(メタ)アクリル酸と、シクロヘキサノールとを無機酸、有機スルホン酸、強酸性イオン交換樹脂等の触媒を用いてエステル化するエステル化法や、チタンや錫等を含む有機金属化合物を触媒に用いるエステル交換法により、製造することができる。
本発明においては、上記(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーの他に、更に、発色性に優れる着色樹脂微粒子を得る点等から、好ましくは、上記(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマー以外の疎水性ビニルモノマー、水性モノマーを用いることができる。
疎水性ビニルモノマーとしては、例えば、上記(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマー以外のアクリル酸又はメタクリル酸のエステル類、スチレン、メチルスチレンなどのスチレン類などの少なくとも1種のモノマーを用いることができる。
用いることができる疎水性ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、スチレン、メチルスチレン等の少なくとも1種(各単独又は2種以上の混合物)が挙げられる。
用いることができる水性モノマーとしては、例えば、グリセリンモノメタクリレート、メタクリル酸2-スルホエチルナトリウム、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコール-プロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコール-テトラメチレングリコール-モノメタクリレート、プロピレングリコール-ポリブチレングリコール-モノメタクリレート等の少なくとも1種(各単独又は2種以上の混合物)が挙げられる。
本発明に用いる塩基性染料としては、例えば、ジ及びトリアリールメタン系染料;アジン系(ニグロシンを含む)、オキサジン系、チアジン系等のキノンイミン系染料;キサンテン系染料;トリアゾールアゾ系染料;チアゾールアゾ系染料;ベンゾチアゾールアゾ系染料;アゾ系染料;ポリメチン系、アゾメチン系、アザメチン系等のメチン系染料;アントラキノン系染料;フタロシアニン系染料等の塩基性染料などの少なくとも1種が挙げられ、好ましくは、水溶性の塩基性染料が望ましい。
用いることができる具体的な塩基性染料としては、C.I.ベーシックイエロー(-1,-2,-9,-80等)、C.I.ベーシックオレンジ(-1,-2,-7,-34等)、C.I.ベーシックレッド(-1,-2,-3,-53等)、C.I.ベーシックバイオレット(-1,-2,-3,-39等)、C.I.ベーシックブルー(-1,-2,-5,-88等)、C.I.ベーシックグリーン(-1,-4,-6,-10等)、C.I.ベーシックブラウン(-1,-2,-4,-15等)、C.I.ベーシックブラック(-1,-2,-7,-8等)などのCOLOR INDEXに記載されている各No.の各色の染料が挙げられる。
また、これらの市販品も使用することができ、黄色塩基性染料では、AIZEN CATHILON YELLOW GLH(保土谷化学工業社製の商品名)等、赤色塩基性染料では、AIZEN CATHILON RED BLH、AIZEN CATHILON RED RHなど(以上、保土谷化学工業社製の商品名)、Diacryl Supra Brilliant Red 2Gなど(三菱化学社製の商品名)、Sumiacryl Red B(住友化学社製の商品名)等、青色塩基性染料では、AIZEN CATHILON TURQUOISE BLUE LH(保土谷化学工業社製の商品名)等、緑色塩基性染料では、Diacryl Supra Brilliant Green 2GL(三菱化学社製の商品名)等、茶色塩基性染料では、Janus Brown R(日本化学社製の商品名)、AIZEN CATHILON BROWN GH(保土谷化学工業社製の商品名)等が挙げられる。
また、本発明に用いる油溶性染料としては、一般に市販されているモノアゾ、ジスアゾ、金属錯塩型モノアゾ、アントラキノン、フタロシアニン、トリアリールメタン等が挙げられる。また、酸・塩基性染料等の官能基を疎水基で置換した造塩タイプ油溶性染料も使用することができる。
黄色系としては、C.I.ソルベントイエロー114、116;オレンジ系としては、C.I.ソルベントオレンジ67;赤色系としては、C.I.ソルベントレッド122、146;青色系としては、C.I.ソルベントブルー5、36、44、63、70、83、105、111;黒色系としては、C.I.ソルベントブラック3、7、27、29;等がそれぞれ挙げられる。
具体的な市販油溶性染料としては、青染料SBNブルー701(保土谷化学工業社製)、青染料オイルブルー650(オリエント化学工業社製)、青染料サビニールブルーGLS(クラリアント社製)、赤染料SOC-1-0100(オリエント化学工業社製)、オイルブラック860、オイルピンク314、オイルイエロー3G、バリファストピンク2310N、同レッド3312、同イエローCGHNnew、同イエロー1108、同ブラック3830(オリエント化学工業社製)等を挙げることができる。
本発明の水性インク用着色樹脂微粒子の分散液は、少なくとも、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーと、塩基性染料又は油溶性染料とで構成される着色樹脂微粒子が水に分散されているものであり、該着色樹脂微粒子表面のゼータ電位測定値が-20~+20mVの範囲、好ましくは、-15~+15mVの範囲、更に好ましくは、-13~+13、特に好ましくは、-10~+10mVの範囲にあることが望ましい。
本発明(後述する実施例等を含む)において、「着色樹脂微粒子表面のゼータ電位の測定」は、下記測定方法により得られる値をいう。
ゼータ電位Vは、ゼータ電位測定機DT-300(Disoersion Technology, Inc.製)
より測定した値をいう。例えば、ゼータ電位Vの測定は、得られる水性インク用着色樹脂微粒子の分散液の固形分濃度が40g/Lとなるように水で希釈して測定用サンプルを調製した。得られた測定用サンプルを用いて、上記ゼータ電位測定装置(Zetasizer Nano ZS)により、電気泳動光散乱法にて測定することができる。測定は三回行い、その平均値をゼータ電位Vとする。
上記着色樹脂微粒子表面のゼータ電位測定値を-20~+20mVの範囲とすることにより、増粘剤として多糖類繊維等の増粘剤を用いた電荷に繊細な水性インクの配合系であっても、着色樹脂微粒子の分散が安定な初期状態を維持でき、また、イオン系などの不安定な水性インクの配合系でも刺激性が少ないため、十分な描線濃度を損なうことなく、分散安定性に優れる水性インク用着色樹脂微粒子の分散液が得られることとなる。
さらに色材が染料であれば、インク中に存在するイオン性物質との結びつきが強く、長期間保存時には析出物を発生させる場合があるが、本発明では、分散安定性と耐光性に優れた水性インク用着色樹脂微粒子の分散液を得ることができる。
上記ゼータ電位測定値が-20~+20mVの範囲外であると、本発明の効果を発揮することができず、ゼータ電位測定値が-20mV未満であると、インクの減粘、分散不良となり、一方、ゼータ電位測定値が+20mV超過であっても、インクの減粘、分散不良となり、好ましくない。
上記ゼータ電位測定値が-20~+20mVの範囲とするためには、例えば、上記水性インク用着色樹脂微粒子は、乳化重合等により得られるものであるが、乳化重合の際に用いる重合性界面活性剤として、ノニオン系の重合性界面活性剤(種類・量等)を用いることにより、所定のゼータ電位を有する水性インク用着色樹脂微粒子の分散液が得られることとなる。
本発明の水性インク用着色樹脂微粒子の分散液の製造は、例えば、上記(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーに、または、上記(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーとこれ以外の疎水性ビニルモノマーなどを含む混合モノマーに、上記塩基性染料又は油溶性染料を溶解し、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素などを重合開始剤として、また還元剤を更に併用した重合開始剤とし、重合性界面活性剤としては、ノニオン系の重合性界面活性剤(種類・好適な量)を用いることにより、目的の上記ゼータ電位測定値が-20~+20mVの範囲内となる水性インク用着色樹脂微粒子の分散液が得られることとなる。
用いることができるノニオン系の重合性界面活性剤としては、例えば、第一工業製薬社製のアクアロンAN-10、AN-20、AN-30、AN-5065(以上、ポリオキシエチレンスチレン化プロペニルフェニルエーテル:EO付加モル数10、20、30、40、50)、アクアロンRN-10、RN-20、RN-30、RN-50(以上、ポリオキシエチレンプロペニルフェニルエーテル(ノニルフェニル系):EO付加モル数10、20、30、50)、花王社製のラテムルPD-420、PD-430、PD-450(以上、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル)、日油社製のブレンマーPE-90、PE-200、PE-350(以上、PEGモノメタクリレート:EO付加モル数2,4.5、8)、ブレンマーAE-200、AE-400(以上、PEGモノアクリレート:EO付加モル数4.5、10)、ブレンマーPP-1000、PP-500、PP-800(以上、PPGモノメタクリレート:PO付加モル数4~6、9、13)、ブレンマーAP-200、AP-400、AP-550、AP-800(以上、PPGモノアクリレート:PO付加モル数:3.5、6、9、13)、日油社製のユニオックスPKA-5001、PKA-5002、PKA-5003、PKA-5004、ユニセーフPKA-5014F、アデカ社製アデカリアソープER-10、ER―20、ER-30、ER―40(以上、アルキル型:EO付加モル数:10、20、30、40)、アデカリアソープNE-10、NE―20、NE-30(以上、アルキルフェノール型:(ノニルフェニル系)EO付加モル数:10、20、30)などが挙げられる。
これらのノニオン系の重合性界面活性剤の使用量は、上記ゼータ電位測定値が-20~+20mVの範囲内となる量であればよく、用いる塩基性染料種、油溶性染料種などにより変動するものであるが、上記モノマー全量に対して、0.01~50質量%、好ましくは、0.1~50質量%が望ましい。
更に、本発明では、本発明の効果を損なわない範囲で、トリアリルイソシアヌレート、イソシアヌル酸トリアリル、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールアクリレート、ジトリメチロールプロパンアクリレート、ジペンタエリスリトールアクリレート、メトキシ化ビスフェノールAメタクリレート、ペンタエリスリトールメタクリレート、ジトリメチロールプロパンメタクリレート、ジペンタエリスリトールメタクリレート、エトキシ化ポリグリセリンメタクリレートなどの架橋剤や、必要に応じて、ポリオキシエチレン-1-(アリルオキシメチル)-アルキルエーテル硫酸アンモニウム、エーテルサルフェート、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル、ポリアクリル酸アンモニウム、スチレン-マレイン酸コポリマーアンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシアルキレンデシルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジオクチルスルホコハク酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩などの重合性界面活性剤(乳化剤)を用いて乳化重合することなどにより製造することができる。
上記トリアリルイソシアヌレートなどの架橋剤の含有量は、上記モノマー全量に対して、0~50質量%、好ましくは、0.1~25質量%が望ましい。
また、上記染色は重合と同時に行ったが、重合後に塩基性染料又は油溶性染料を溶解して染色を行っても良い。
上記トリアリルイソシアヌレートなどの架橋剤を更に用いると、着色樹脂微粒子の耐熱性、機械的特性、耐加水分解性、耐候性が向上できるので好ましい。
本発明において、上記乳化重合の際には、上記(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーなどに、更に、ジシクロペンタ(テ)ニル(メタ)アクリレートモノマーなどを適宜量混合して乳化重合を行ってもよい。このジシクロペンタ(テ)ニル(メタ)アクリレートモノマーを更に、混合して乳化重合したものでは、分散液中の水分が揮発したとしても安定性が損なわれにくく、更に安定性に優れた水性インク用着色樹脂微粒子の分散液などが得られるものとなる。
用いることができるジシクロペンタ(テ)ニル(メタ)アクリレートモノマーには、ジシクロペンタニルアクリレートモノマー、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレートモノマー、ジシクロペンテニルメタクリレートを含むものである。
また、本発明において、上記乳化重合の際には、上記(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマー、これ以外の上記疎水性ビニルモノマーなど、上記ジシクロペンタ(テ)ニル(メタ)アクリレートモノマーの他に、エポキシ基、ヒドロキシメチルアミド基、イソシアネート基などの反応性架橋基を有するモノマーや2つ以上のビニル基を有する多官能性モノマーを適宜量配合して架橋してもよい。
本発明において、前記水性インク用着色樹脂微粒子を構成するポリマー成分のうち、上記(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーの含有量は、着色樹脂微粒子を構成する全ポリマー成分に対して、30質量%以上であることが必要であり、好ましくは、30~95質量%、更に好ましくは、30~70質量%であることが望ましい。
なお、本発明において、「全ポリマー成分」とは、着色樹脂微粒子を構成する重合性成分をいい、具体的には、用いる(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーと、用いる他のモノマー成分と、後述する架橋剤の合計量をいう。
上記(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーの含有量を全ポリマー成分に対して、30質量%以上とすることにより、本発明の効果を発揮せしめることができ、一方、この含有量が30質量%未満であると、経時安定性が劣ることとなり、好ましくない。
また、前記水性インク用着色樹脂微粒子を構成するポリマー成分のうち、上記(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマー以外の他のモノマー成分の含有量は、用いる(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーと後述する架橋剤との合計量の残部となるものである。
好ましくは、他のモノマー成分の含有量は、本発明の効果を更に発揮せしめる点、分散性の点、反応性の点から、全ポリマー成分に対して、5~85質量%とすることが望ましい。
本発明において、上記塩基性染料又は油溶性染料の含有量は、発色性、十分な描線濃度を得る点、安定性などの点から、全ポリマー成分に対して、好ましくは、15質量%以上とすることが必要であり、好ましくは、15~50質量%、更に好ましくは、15~40質量%とすることが望ましい。
この染料の含有量を15%以上とすることにより、十分な発色性、十分な描線濃度を発揮せしめることができ、一方、染料の含有量が15質量%未満であると、発色性が十分でなく、本発明の効果を発揮できないものとなる。
本発明において、上記好ましい態様、具体的には、少なくとも、上記(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーに、上述の塩基性染料又は油溶性染料を溶解し、乳化重合することにより、または、少なくとも、上記(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーと他のモノマー成分を含む混合モノマーの重合後に塩基性染料又は油溶性染料を溶解して染色することにより、上記ゼータ電位測定値が-20~+20mVの範囲内となり、樹脂固形分として20~50質量%の着色樹脂微粒子が水に分散されている水性インク用着色樹脂微粒子の分散液が得られることとなる。
この着色樹脂微粒子の分散液は、電荷に繊細な水性インクの配合系であっても、着色樹脂微粒子の分散が安定な初期状態を維持でき、不安定な系(イオン系)でも刺激性が少ないため、十分な描線濃度を損なうことなく、分散安定性に優れた機能を有する色材となるものであり、サインペンやマーキングペン、ボールペンなどの筆記具に好適な筆記具用水性インク組成物の色材として有用となるものである。
また、本発明において、得られる水性インク用着色樹脂微粒子の分散液における着色樹脂微粒子の平均粒子径は、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマー、用いる他のモノマー種、含有量、重合の際の重合条件等により変動するものであるが、好ましくは、20~300nm、更に好ましくは、40~150nm、更に好ましくは、60~110nm
であることが望ましい。
上記好ましい平均粒子径の範囲とすることにより、サインペンやマーキングペン、ボールペンなどの筆記具のペン芯において目詰まりすることなく、更に、保存安定性などに優れたものとなる。
なお、本発明で規定する「平均粒子径」は、散乱光強度分布によるヒストグラム平均粒子径であり、本発明(後述する実施例を含む)では、粒度分布測定装置〔FPAR1000(大塚電子社製)〕にて、測定した値D50の値である。
本発明の筆記具用水性インク組成物は、少なくとも、上記特性の着色樹脂微粒子の分散液と、水溶性有機溶剤と、水とを含有することを特徴とするものである。
用いることができる水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジ オール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、3-メチル1,3-ブタンジオール、2メチルペンタン -2,4-ジオール、3-メチルペンタン-1,3,5トリオール、1,2,3-ヘキサントリオールなどのアルキレングリコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類、グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロールなどのグリセロール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルなどのグリコールの低級アルキルエーテル、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダリジノンなどの少なくとも1種が挙げられる。
その他にも、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ベンジルアルコールなどのアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジエチルアセトアミドなどのアミド類、アセトンなどのケトン類などの水溶性溶剤を混合することもできる。
これらの水溶性有機溶剤の含有量は、サインペンやマーキングペン、ボールペンなどの筆記具種により変動するものであり、インク組成物全量に対して、1~40質量%、描線乾燥性を更に向上させる点から、10質量%以下としたインク組成に対して特に有効であり、より好ましくは、3~8質量%とすることが望ましい。
水(水道水、精製水、イオン交換水、蒸留水、純水など)の含有量は、インク組成物全量に対して30~90質量%が好ましく、より好ましくは40~60質量%である。
また、着色樹脂微粒子の含有量は、筆記具種、流出機構(ペン芯、ボールペン)等により変動するものであるが、固形分量で、筆記具用水性インク組成物全量に対して、1~30質量%が好ましい。
本発明の上記特性の着色樹脂微粒子の分散液を含有した筆記具用水性インク組成物では、増粘剤として、多糖類繊維を用いることができ、例えば、セルロースまたはセルロース誘導体、キチン、キトサンなどの多糖類を含む多糖類原料を挙げることができる。前記多糖類繊維が有する水酸基による水素結合力は微弱ではあるが、微弱な水素結合により凝集構造を形成しやすいため、電荷に繊細な水性インクの配合系に影響を与えやすく、着色樹脂微粒子の分散が安定な初期状態を維持することが難しい。本発明の着色樹脂微粒子を用いることで増粘剤に多糖類繊維を用いた場合であっても、高い分散安定効果を得ることが可能となる。
さらに、上記の多糖類繊維以外の増粘剤として、キサンタンガム、ウェランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万~15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する増粘多糖類、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、アルカリ膨潤会合型増粘剤、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アミド等のHLB値が8~12のノニオン系界面活性剤、ジアルキル又はジアルケニルスルホコハク酸の塩類。N-アルキル-2-ピロリドンとアニオン系界面活性剤の混合物、ポリビニルアルコールとアクリル系樹脂の混合物を例示できる。これらの増粘剤は、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。上記の増粘剤であっても、水性インクの配合系に影響を与える場合がないため、本発明の着色樹脂微粒子の分散液を好適に用いることができる。
これらの増粘剤の量は、筆記具種(ボールペン、マーキングペン、サインペンなど)より、変動するものであるが、インク組成物全量に対して、好ましくは、固形分量で0.01~15質量%、更に好ましくは、0.05~10質量%とすることが望ましい。
本発明の筆記具用水性インク組成物では、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、更に防腐剤もしくは防黴剤、pH調整剤、消泡剤、濡れ剤などを適宜選択して使用することができる。
例えば、pH調整剤として、アンモニア、尿素、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、トリポリン酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなど炭酸やリン酸のアルカリ金属塩、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物などの少なくとも1種が挙げられる。
防腐剤もしくは防黴剤として、フェノール、ナトリウムオマジン、ペンタクロロフェノールナトリウム、1,2-ベンズイソチアゾリン3-オン、2,3,5,6-テトラクロロ-4(メチルフォニル)ピリジン、安息香酸やソルビン酸やデヒドロ酢酸のアルカリ金属塩、ベンズイミダゾール系化合物などの少なくとも1種が挙げられる。
濡れ剤としてリン酸エステル類、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリアルキレングリコール誘導体、脂肪酸アルカリ塩、ノニオン系界面活性剤、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどのフッ素系界面活性剤、ジメチルポリシロキサンのポリエチレングリコール付加物などのポリエーテル変性シリコーン、アセチレングリコール類及びそれらのエチレンオキサイド付加物から選ばれるアセチレン誘導体などの少なくとも1種が挙げられる。
本発明では、更に、耐光性効果、紫外線劣化防止効果、光安定性効果を高めるために、前記着色樹脂微粒子には、上記塩基性染料又は油溶性染料と共に、紫外線吸収剤、及び/又は光安定剤を含むことができる。
用いることができる紫外線吸収剤は、従来より公知のものを用いることができ、例えば、ベンゾトリアゾール系吸収剤、トリアジン系吸収剤、サリチル酸誘導体系吸収剤、ベンゾフェノン系吸収剤等を使用でき、上記の紫外線吸収剤は、重合性不飽和基を有するものが好ましい。
ベンゾトリアゾール系吸収剤の具体例としては、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-4’-オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-{2’-ヒドロキシ-3’-(3’’,4’’,5’’,6’’-テトラヒドロフタルイミドメチル)-5’-メチルフェニル}ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
トリアジン系吸収剤の具体例としては、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-イソオクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジンン、2-[4((2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)-オキシ)-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンン、2-[4-((2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)-オキシ)-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンン、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
サリチル酸誘導体系吸収剤の具体例としては、フェニルサリシレート、p-オクチルフェニルサリシレート、4-tert-ブチルフェニルサリシレート等が挙げられる。
ベンゾフェノン系吸収剤の具体例としては、4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-カルボキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルホベンゾフェノントリヒドレート、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクタデシロキシベンゾフェノン、ナトリウム2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシ-5-スルホベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、4-ドデシロキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、5-クロロ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4-ジベンゾイルレゾルシノール、4,6-ジベンゾイルレゾルシノール、ヒドロキシドデシルベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4(3-メタクリルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、「Tinuvin900」、「Tinuvin928」、「Tinuvin348-2」、「Tinuvin479」、「Tinuvin405」、「Tinuvin400」(以上、BASF社製、商品名、Tinuvin\チヌビンは登録商標)、「RUVA-93」(以上、大塚化学社製、商品名)等が挙げられる。
この着色樹脂微粒子における紫外線吸収剤の含有率としては、溶媒を除いた粒子の全量に対して、発色性の点、耐光性の点、安定性の点から、1~50質量%とすることができ、10~40質量%であることが好ましい。
用いることができる光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤、ヒンダードフェノール酸化防止剤、フェノール系ラジカル補足剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、トリアジン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、フェノール系紫外線吸収剤、マロン酸エステル系紫外線吸収剤、オキサニリド系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系化合物等を好適に使用できる。
光安定剤のより好ましい態様は、上記メタクリル基を有する重合性(反応型)の光安定剤が望ましく、上記(メタ)メタクリル酸エステル等と容易に重合し、光安定性官能基を高分子鎖に組み込むことができる、重合性(反応型)光安定剤を好適に用いることでき、光安定剤の揮散や溶出がなく、高い安全性と長期間安定した光安定性を有する着色樹脂微粒子を得ることができる。なお、非重合性の光安定剤であっても着色樹脂微粒子に含むことにより、目的の光安定性を付与することができる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、ヒンダードピペリジン化合物等の従来から公知のものが使用できる。また、上記ヒンダードアミン系光安定剤は、特に重合性不飽和基を有するものであってもよい。
具体的なヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)セバケート、ビス(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)セバケート、4-ベンゾイルオキシ-2,2’,6,6’-テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル){[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル}ブチルマロネート等のモノマータイプのもの;ポリ{[6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノール]}等のオリゴマータイプのもの;4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールとコハク酸とのポリエステル化物等のポリエステル結合タイプのもの;1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート等の重合性不飽和基を有するもの、等の公知のものが挙げられる。
また、ヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、例えば、「Tinuvin765」、「Tinuvin770DF」、「Tinuvin144」、「Tinuvin622SF」、「Tinuvin152」(以上、BASF社製、商品名、Tinuvin\チヌビンは登録商標)、「アデカスタブLA-52」、「アデカスタブLA-57」、「アデカスタブLA-63P、「アデカスタブLA-72」、「アデカスタブLA-77Y」、アデカスタブLA-81」、「アデカスタブLA-82」、「アデカスタブLA-87」(以上、株式会社ADEKA製、商品名、アデカスタブ\ADKSTAB及びアデカスタブは登録商標)等が挙げられる。
この着色樹脂微粒子における光安定剤の含有率としては、溶媒を除いた粒子の全量に対して、発色性の点、耐光性の点、安定性の点から、1~50質量%とすることができ、10~40質量%であることが好ましい。
本発明では、更に、経時安定性、防腐性、発色性、香気性を高めるために、前記着色樹脂微粒子には、上記着色剤と共に、防腐剤、還元剤、塩基性染料又は油溶性染料を除く染料または顔料を含む着色剤、サーモクロミックを含む色材、香料等を含むことができる。
本発明の筆記具用水性インク組成物は、少なくとも、上記構成の水性インク用着色樹脂微粒子の分散液と、水溶性溶剤、増粘剤、その他の各成分を筆記具用(ボールペン用、マーキングペン用等)インクの用途に応じて適宜組み合わせて、ホモミキサー、ホモジナイザーもしくはディスパー等の撹拌機により撹拌混合することにより、更に必要に応じて、ろ過や遠心分離によってインク組成物中の粗大粒子を除去すること等によって筆記具用水性インク組成物を調製することができる。
本発明の筆記具は、上記組成の筆記具用水性インク組成物を搭載したものであり、例えば、ボールペンチップ、繊維チップ、フェルトチップ、ブラシ型を含むプラスチックチップ、繊維芯、焼結芯を含む多孔質芯、大流量での塗布が可能なスポンジ芯や刷毛または筆などのペン先部を備えたボールペン、マーキングペン等に搭載される。
ボールペンとしては、上記組成の筆記具用水性インク組成物をボールペン用インク収容体(リフィール)に収容すると共に、該インク収容体内に収容された上記組成の筆記具用水性インク組成物とは相溶性がなく、かつ、該水性インク組成物に対して比重が小さい物質、例えば、ポリブテン、シリコーンオイル、鉱油等がインク追従体として収容されるものが挙げられる。
なお、ボールペン、マーキングペンの構造は、特に限定されず公知のものを用いてよく、例えば、軸筒自体をインク収容体として該軸筒内に上記構成の筆記具用水性インク組成物を充填したコレクター構造(インク保持機構)やバルブ構造を備えた直液式や、インク収容体を備えた中綿式であってもよいものである。さらに上記を構成する筆記具の構造はノック式、キャップ式のいずれの構造を用いることができる。
このように構成される本発明の筆記具用水性インク組成物では、少なくとも、上記構成の水性インク用着色樹脂微粒子の分散液と、水溶性溶剤と、水とを含有することにより、増粘剤を含有した場合にも、十分な描線濃度と、経時分散安定性に優れたサインペンやマーキングペン、ボールペンなどの筆記具に好適な筆記具用水性インク組成物が得られることとなる。
さらに本発明の着色樹脂微粒子を用いることで、インク設計の自由度を高めることが可能になる。具体的には、インク製造時の初期状態の表面張力値に制限を与えず、インク設計をすることが可能になる。用いた着色樹脂微粒子によっては、粒子表面に露出した活性剤の作用によって、インク製造時に表面張力を低下させてしまうことがあるが、
この場合、コレクター構造(インク保持機構)を有する直液式の筆記具などにおいては、インクの直流防止や吹き出し防止のため、表面張力値を初期状態から高めにする設計が求められる。初期状態の表面張力値が低くなる場合、インクを搭載する際の機構設計の面でも制限を受けることになる。
本発明の着色樹脂微粒子は、高い沈降耐性・分散安定性を維持したまま、界面活性剤の共重合性を高く維持できるため、フリーの界面活性剤が少ない状態での水分散体を得ることができる。そのため、本発明の着色樹脂微粒子を用いることで、フリーの活性剤の影響を受けることなく、初期状態の表面張力値を低下させずに、インク設計および機構設計の自由度を高めることが可能となる。
次に、製造例、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。
〔製造例1~12:着色樹脂微粒子の分散液(粒子1~12)の製造〕
下記製造例1~12により、各着色樹脂微粒子の分散液を製造した。なお、以下の「部」は質量部を表す。また、製造例1~12における各成分の全量(合計量)は500部である。
(製造例1)
2リットルのフラスコに、撹拌機、還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管、モノマー投入用1000ml分液漏斗を取り付け、温水槽にセットし、蒸留水329.5部、グリセリンモノメタクリレート〔ブレンマーGLM、日油社製〕5部、メタクリル酸2-スルホエチルナトリウム〔アクリルエステルSEM-Na、三菱ケミカル社製〕5部、ノニオン重合性界面活性剤〔ADEKA社製、アデカリアソープER-30〕20部及び過硫酸アンモニウム0.5部を仕込んで、窒素ガスを導入しながら、内温を50℃まで昇温した。
一方、メタクリル酸シクロヘキシルモノマー55部と、他のモノマーとして、メタクリル酸n-ブチル35部とからなる混合モノマーに、油溶性染料〔サビニールブルーGLS、クラリアント社製〕40部、架橋剤〔トリアリルイソシアヌレート、日本化成社製、「タイク(TAIC)」〕10部を混合した液を調製した。
この調製液を上記分液漏斗から温度50℃付近に保った上記フラスコ内に撹拌下で3時間にわたって添加し、乳化重合を行った。さらに5時間熟成して重合を終了し、水性インク用着色樹脂微粒子の分散液(粒子1)を得た。
前記メタクリル酸シクロヘキシルモノマーの含有量は、着色樹脂微粒子を構成する全ポリマー成分に対して、50.0質量%、前記油溶性染料の含有量は全ポリマー成分に対して、30.8質量%であった。また、着色樹脂微粒子の平均粒子径は、40nmであった。この着色樹脂微粒子(粒子1)表面のゼータ電位は、-1.7mVであった。
(製造例2)
上記製造例1において、蒸溜水を340.5部とし、メタクリル酸シクロヘキシルモノマーの量を30部とし、メタクリル酸n-ブチルの量を45部とし、また、染料として、油溶性染料〔オイルピンンク 314、オリエント化学工業社製〕20部、油溶性染料〔バリファースト レッド 3312、オリエント化学工業社製〕12部、油溶性染料〔バリファーストピンク2310N、オリエント化学工業社製〕12部を用いた以外は、上記製造例1と同様にして、水性インク用着色微粒子水性分散液(粒子2)を得た。
前記メタクリル酸シクロヘキシルモノマーの含有量は着色樹脂微粒子を構成する全ポリマー成分に対して、31.6質量%、前記油溶性染料の含有量は全ポリマー成分に対して、38.3質量%であった。また、着色樹脂微粒子の平均粒子径は、82nmであった。この着色樹脂微粒子(粒子2)表面のゼータ電位は、+13.4mVであった。
(製造例3)
上記製造例1において、蒸溜水を333.5部とし、メタクリル酸シクロヘキシルモノマーの量を60部とし、メタクリル酸n-ブチルの量を30部とし、また、染料として、油溶性染料〔オイルイエロー 129、オリエント化学工業社製〕25部、油溶性染料〔バリファーストイエロー1108、オリエント化学工業社製〕11部を用いた以外は、上記製造例1と同様にして、水性インク用着色微粒子水性分散液(粒子3)を得た。
前記メタクリル酸シクロヘキシルモノマーの含有量は着色樹脂微粒子を構成する全ポリマー成分に対して、54.5質量%、前記油溶性染料の含有量は全ポリマー成分に対して、27.7質量%であった。また、着色樹脂微粒子の平均粒子径は、65nmであった。この着色樹脂微粒子(粒子3)表面のゼータ電位は、-8.1mVであった。
(製造例4)
上記製造例1において、蒸溜水を309.5部とし、メタクリル酸シクロヘキシルモノマーの量を60部とし、メタクリル酸n-ブチルの量を35部とし、ノニオン重合性界面活性剤〔ADEKA社製、アデカリアソープER-30〕を30部とし、また、染料として、油溶性染料〔バリファーストレッド3312、オリエント化学工業社製〕10部、油溶性染料〔バリファーストブラック1821、オリエント化学工業社製〕25部、油溶性染料〔オイルイエロー 105M、オリエント化学工業社製〕10部を用いた以外は、上記製造例1と同様にして、水性インク用着色微粒子水性分散液(粒子4)を得た。
前記メタクリル酸シクロヘキシルモノマーの含有量は着色樹脂微粒子を構成する全ポリマー成分に対して、52.2質量%、前記油溶性染料の含有量は全ポリマー成分に対して、31.0質量%であった。また、着色樹脂微粒子の平均粒子径は、132nmであった。この着色樹脂微粒子(粒子4)表面のゼータ電位は、+2.1mVであった。
(製造例5)
上記製造例1において、メタクリル酸シクロヘキシルモノマー55部を、アクリル酸シクロヘキシルモノマー55部とした以外は、上記製造例1と同様にして、水性インク用着色微粒子水性分散液(粒子5)を得た。
前記アクリル酸シクロヘキシルモノマーの含有量は着色樹脂微粒子を構成する全ポリマー成分に対して、50.0質量%、前記油溶性染料の含有量は全ポリマー成分に対して、30.8質量%であった。また、着色樹脂微粒子の平均粒子径は、51nmであった。
この着色樹脂微粒子(粒子5)表面のゼータ電位は、+1.1mVであった。
(製造例6)
上記製造例2において、蒸溜水を332.5部とし、また、染料として、油溶性染料〔オイルピンンク 314、オリエント化学工業社製〕12部、油溶性染料〔バリファース レッド 3312、オリエント化学工業社製〕15部、油溶性染料〔バリファーストピンク2310N、オリエント化学工業社製〕5部、メタクリル酸nーブチル45部をメタクリル酸メチル45部、紫外線吸収剤としてRUVA-93を20部とした以外は、上記製造例2と同様にして、水性インク用着色微粒子水性分散液(粒子6)を得た。
前記メタクリル酸シクロヘキシルモノマーの含有量は着色樹脂微粒子を構成する全ポリマー成分に対して、29.8質量%、前記油溶性染料の含有量は全ポリマー成分に対して、26.2質量%であった。また、着色樹脂微粒子の平均粒子径は、91nmであった。この着色樹脂微粒子(粒子6)表面のゼータ電位は、-3.1mVであった。
(製造例7)
上記製造例3において、蒸溜水を336.5部とし、また、染料として、油溶性染料〔オイルイエロー 129、オリエント化学工業社製〕30部、油溶性染料〔バリファーストイエロー1108、オリエント化学工業社製〕3部、メタクリル酸nーブチル30部をスチレン30部とした以外は、上記製造例3と同様にして、水性インク用着色微粒子水性分散液(粒子7)を得た。
前記メタクリル酸シクロヘキシルモノマーの含有量は着色樹脂微粒子を構成する全ポリマー成分に対して、54.5質量%、前記油溶性染料の含有量は全ポリマー成分に対して、25.4質量%であった。また、着色樹脂微粒子の平均粒子径は、70nmであった。この着色樹脂微粒子(粒子7)表面のゼータ電位は、-1.9mVであった。
(製造例8)
上記製造例4において、蒸溜水を270.5部とし、メタクリル酸シクロヘキシルモノマーの量を90部とし、メタクリル酸nーブチルの量を25部とし、また、染料として、油溶性染料〔バリファーストレッド3312、オリエント化学工業社製〕15部、油溶性染料〔バリファーストブラック1821、オリエント化学工業社製〕10部、油溶性染料〔オイルイエロー 105M、オリエント化学工業社製〕15部、光安定剤アデカスタブLA-82を 24部を用いた以外は、上記製造例4と同様にして、水性インク用着色微粒子水性分散液(粒子8)を得た。
前記メタクリル酸シクロヘキシルモノマーの含有量は着色樹脂微粒子を構成する全ポリマー成分に対して、61.3質量%、前記油溶性染料の含有量は全ポリマー成分に対して、22.2質量%であった。また、着色樹脂微粒子の平均粒子径は、110nmであった。この着色樹脂微粒子(粒子8)表面のゼータ電位は、-1.6mVであった。
(製造例9)
上記製造例1において、蒸溜水を324.5部とし、架橋剤を0(ゼロ)部(不使用)、紫外線吸収剤Tinuvin900を 15部とした以外は、上記製造例1と同様にして、水性インク用着色微粒子水性分散液(粒子9)を得た。
前記メタクリル酸シクロヘキシルモノマーの含有量は着色樹脂微粒子を構成する全ポリマー成分に対して、55.0質量%、前記油溶性染料の含有量は全ポリマー成分に対して、33.3質量%であった。また、着色樹脂微粒子の平均粒子径は、55nmであった。この着色樹脂微粒子(粒子9)表面のゼータ電位は、-1.2mVであった。
(製造例10)
上記製造例6において、メタクリル酸シクロヘキシルモノマーの量を30部とし、メタクリル酸nーブチルを45部、光安定剤Tinuvin765を_20部とした以外は、上記製造例6と同様にして、水性インク用着色微粒子水性分散液(粒子10)を得た。
前記メタクリル酸シクロヘキシルモノマーの含有量は着色樹脂微粒子を構成する全ポリマー成分に対して、0質量%、前記油溶性染料の含有量は全ポリマー成分に対して、27.8質量%であった。また、着色樹脂微粒子の平均粒子径は、175nmであった。この着色樹脂微粒子(粒子10)表面のゼータ電位は、-14.2mVであった。
(製造例11)
上記製造例5において、メタクリル酸シクロヘキシルモノマーを用いずに(含有量、ゼロ)、アクリル酸シクロヘキシルモノマー100部、ノニオン重合性界面活性剤〔ADEKA社製、アデカリアソープER-30〕20部を、ノニオン重合性界面活性剤〔花王社製、ラテムルPD-420〕20部とした以外は、上記製造例5と同様にして、水性インク用着色微粒子水性分散液(粒子11)を得た。
前記アクリル酸シクロヘキシルモノマーの含有量は着色樹脂微粒子を構成する全ポリマー成分に対して、50.0質量%、前記油溶性染料の含有量は全ポリマー成分に対して、36.4質量%であった。また、着色樹脂微粒子の平均粒子径は、343nmであった。この着色樹脂微粒子(粒子12)表面のゼータ電位は、-20.8mVであった。
(製造例12)
上記製造例6において、メタクリル酸シクロヘキシルモノマーを用いずに(含有量、ゼロ)メタクリル酸n-ブチルの量を75部、ノニオン重合性界面活性剤〔ADEKA社製、アデカリアソープER-30〕20部を、ノニオン重合性界面活性剤〔花王社製、ラテムルPD-420〕20部とした以外は、上記製造例6と同様にして、水性インク用着色微粒子水性分散液(粒子12)を得た。
前記アクリル酸シクロヘキシルモノマーの含有量は着色樹脂微粒子を構成する全ポリマー成分に対して、31.6質量%、前記油溶性染料の含有量は全ポリマー成分に対して、33.7質量%であった。また、着色樹脂微粒子の平均粒子径は、298nmであった。この着色樹脂微粒子(粒子12)表面のゼータ電位は、+3.9mVであった。
上記製造例1~12で得た各水性インク用着色樹脂微粒子の分散液は、樹脂固形分は20~40質量%であった。
〔実施例1~10及び比較例1~2:筆記具用水性インク組成物の調製〕
上記製造例1~12により製造した各着色樹脂微粒子の分散液(粒子1~12)を用いて、下記表1に示す配合組成(全量100質量%)により常法により各筆記具用水性インク組成物を調製した。
得られた各筆記具用水性インク組成物(全量100質量%)について、下記評価方法により、経時分散安定性について評価し、また、表面張力値について測定した。
下記表1に実施例1~10及び比較例1~2の各評価結果を示す。
(経時分散安定性の評価方法)
上記で得た実施例1~10及び比較例1~2で調製した各インク組成物をガラス製バイアル瓶に充填し蓋を閉め、50℃の環境下に保存し、一定期間後に、バイアル瓶内のインクに凝集や沈降が見られない期間を「安定性が維持されている期間」とし、下記評価基準で評価した。
評価基準:
A:6ヶ月以上
B:3ヶ月以上6ヶ月未満
C:3ヶ月未満
D:1か月未満
(表面張力値の測定)
上記で得た実施例1~10及び比較例1~2で調製した各インク組成物(温度25℃)を協和界面科学社製、表面張力測定装置:CBVP-Zにより、測定した。
(耐光性の評価)
(機械評価):25℃65%条件下にてペンを60°にセットし、200gの荷重をかけ、接触するPPC用紙を4.5m/minの速度で螺旋的に動かし、その筆記描線を所定の大きさに切り取った。その紙試験片を、スガ試験機製・キセノンウェザーメーターX25を用いて、JIS L 0843のキセノンアーク灯光にて、50W/m(300~400nm)の照射を5時間行った後、退色度合いを下記基準で判定した。
評価基準:
A+:色相に変化がなく、螺旋も判読できる
A :色相に若干変化あるが、螺旋が判読できる
B :色相に顕著な変化があり、かなり薄いが螺旋が判読できる
C :螺旋が判読できない
Figure 2024062227000001
上記表1を考察すると、本発明範囲となる実施例1~10は、本発明の範囲外となる比較例1、2に較べ、経時安定性に優れていることが判る。
本発明となる実施例1~10の着色樹脂微粒子を用いることで、従来において、インク製造時に表面張力を低下させてしまうことがあったがインク製造時の初期状態の表面張力値に制限を与えることなく、インク設計をすることが可能となり、インク設計および機構設計の自由度を更に高めることが確認できた。
更に、上記で得られた実施例1~10の経時安定性評価後(実施例1~10では7ヶ月後)の各筆記具用水性インク組成物を用いて、下記構成のボールペン、マーキングペンを作製し、筆記用紙に筆記して各筆記具の筆記性能を評価した。
(筆記具:ボールペンの作製)
ボールペン〔三菱鉛筆株式会社社製、コレクター仕様、直液式、ボール径:0.5mm、商品名:ユニボールアイ、UB-150〕に充填し水性ボールペンを作製した。
(筆記具:マーキングペンの作製)
マーキングペン〔三菱鉛筆株式会社製、商品名:プロパス・ウインド PUS-102T、ペン先、太:PE樹脂製燒結芯、細:PET繊維芯〕に上記各水性インク組成物を装填してマーキングペンを作製した。
上記で作製した各CNF含有のボールペン、マーキングペンは、共に、カスレもなく、滲まず、十分な描線濃度を有し、鮮明な描線となることを確認した。
サインペンやマーキングペン、ボールペンなどの筆記具などに好適な水性インク用着色樹脂微粒子の分散液、これを用いた筆記具用水性インク組成物、筆記具が得られる。

Claims (4)

  1. 少なくとも、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーと、塩基性染料又は油溶性染料とで構成される着色樹脂微粒子であって、該着色樹脂微粒子表面のゼータ電位測定値が-20~+20mVの範囲であることを特徴とする水性インク用着色樹脂微粒子の分散液。
  2. 前記着色樹脂微粒子の平均粒子径が20~300nmであることを特徴とする請求項1記載の水性インク用着色樹脂微粒子の分散液。
  3. 請求項1又は2に記載の水性インク用着色樹脂微粒子の分散液と、水溶性有機溶剤と、水とを含有することを特徴とする筆記具用水性インク組成物。
  4. 請求項3記載の筆記具用水性インク組成物を搭載したことを特徴とする筆記具。
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