JP2024059560A - 転炉型の精錬炉の排滓方法及び転炉の操業方法 - Google Patents

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瑛 吉泉
太 小笠原
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Abstract

【課題】精錬炉の形状を精度良く推定し、精錬炉の傾動角度を精度良く制御する。【解決手段】転炉型の精錬炉1の中間排滓工程における転炉型の精錬炉の排滓方法は、精錬炉1の操業条件及び精錬炉1の使用回数に基づいて、損耗データベースを参照して、精錬炉1の内部に内張りされた耐火物10の形状を推定するステップと、推定した耐火物10の形状に基づいて精錬炉1の傾動角度を制御し、スラグ2の少なくとも一部を精錬炉1から排出するステップと、を含み、損耗データベースは、実測された耐火物10の形状に基づいて構築されたデータベースである。【選択図】図1

Description

本開示は、転炉型の精錬炉の排滓方法及び転炉の操業方法に関する。
近年、鋼材に対する要求品質は益々厳格化しており、珪素及び燐のような不純物元素の低減が求められている。このような要求に対応するため、製鉄所の製鋼工程においては、溶銑の段階で予備処理を実施し、溶銑中の珪素及び燐などをある程度除去することが一般的となっている。
製鋼工程の一環として、転炉型の精錬炉においては、精錬炉内の溶銑に脱珪処理を行った後、脱珪処理によって生成されたスラグの少なくとも一部を、精錬炉を傾転させることによって排出する。この工程は、中間排滓工程とも称される。なお、脱珪処理によって生成されたスラグは、「脱珪スラグ」とも称される。
中間排滓工程の後には、脱燐処理が行われる。脱燐処理は、精錬炉内にCaO(酸化カルシウム)系の媒溶剤を投入し、精錬炉内に残留している溶銑を脱燐させる処理である。
転炉の操業においては、中間排滓工程などのような排滓工程において、如何に速やかに多くのスラグを精錬炉から排出できるかが重要なポイントである。
中間排滓工程において脱珪スラグの排出量を多くするためには、脱珪スラグを排出する際の精錬炉の傾動角度を大きくすることが考えられる。しかしながら、傾動角度を大きくし過ぎると、脱珪スラグと共に溶銑も精錬炉の炉口から排出されてしまう。そうなると鉄の歩留まりが低下してしまうため、傾動角度を大きくし過ぎないように傾動角度を精度良く制御する必要がある。
また、脱珪処理を行った後の脱珪スラグの量が同じであっても、精錬炉の形状によって脱珪スラグの湯面レベルは異なる高さとなる。例えば、精錬炉の内部に内張りされている耐火物の損耗が進んでいる場合は脱珪スラグの湯面レベルは低くなり、耐火物の損耗が進んでいない場合は脱珪スラグの湯面レベルは高くなる。このように脱珪スラグの湯面レベルが精錬炉の形状に依存するため、精錬炉を傾転させたときにどの程度の量の脱珪スラグが排出されるかは、精錬炉の形状に依存する。そのため、精錬炉から脱珪スラグを排出する際は、精錬炉の形状に応じて傾動角度を精度良く制御することが望ましい。
例えば特許文献1及び特許文献2は、転炉の使用回数に応じて精錬炉の傾動角度を補正する技術を開示している。
特開2007-308773号公報 特開2017-106110号公報
精錬炉の内部に内張りされている耐火物は、精錬炉の使用回数が増えるにしたがって損耗していく。
しかしながら、精錬炉の耐火物がどのように損耗するかは、精錬炉の使用回数のみに依存するわけではない。例えば、炉代によって耐火物がどのように損耗するかは異なる。また、耐火物は全ての部位において一様に損耗するわけではなく、部位によって異なる進み方で損耗する。
特許文献1及び特許文献2は、単に転炉の使用回数のみを考慮しているため、炉代による影響及び部位による影響を考慮できていない。
本開示の目的は、精錬炉の形状を精度良く推定し、精錬炉の傾動角度を精度良く制御することが可能な転炉型の精錬炉の排滓方法及び転炉の操業方法を提供することである。
[1]転炉型の精錬炉の排滓方法であって、
前記精錬炉の操業条件及び前記精錬炉の使用回数に基づいて、損耗データベースを参照して、前記精錬炉の内部に内張りされた耐火物の形状を推定するステップと、
推定した前記耐火物の形状に基づいて前記精錬炉の傾動角度を制御し、スラグの少なくとも一部を前記精錬炉から排出するステップと、
を含み、
前記損耗データベースは、実測された前記耐火物の形状に基づいて構築されたデータベースである、転炉型の精錬炉の排滓方法。
[2]前記損耗データベースは、前記精錬炉の炉内形状及び/又は炉口形状に基づいて構築されたデータベースである、上記[1]に記載の転炉型の精錬炉の排滓方法。
[3]前記損耗データベースは、使用回数が異なる状況において2回以上測定された前記耐火物の形状と、その間の操業条件とに基づいて構築されたデータベースである、上記[1]又は上記[2]に記載の転炉型の精錬炉の排滓方法。
[4]前記損耗データベースを構築するために、前記耐火物の形状を測定する頻度は、前記炉内形状を測定する回数に比べて、前記炉口形状を測定する回数の方が多い、上記[1]から[3]のいずれか一項に記載の転炉型の精錬炉の排滓方法。
[5]前記操業条件は、吹錬形態、前記精錬炉内の温度履歴、前記精錬炉内の溶銑量、前記精錬炉内に投入された酸素量及び上吹きランスの形状の少なくとも1つを含む、上記[1]から[4]のいずれか一項に記載の転炉型の精錬炉の排滓方法。
[6]前記損耗データベースを構築する際に実測された前記耐火物の炉内形状は、前記精錬炉の炉口の前方に設置された距離計によってプロファイル測定をすることによって測定されている、上記[1]から[5]のいずれか一項に記載の転炉型の精錬炉の排滓方法。
[7]前記損耗データベースを構築する際に実測された前記耐火物の炉口形状は、前記精錬炉の炉口の前方に設置された撮像装置による画像によりプロファイル測定を行うことによって測定されている、上記[1]から[6]のいずれか一項に記載の転炉型の精錬炉の排滓方法。
[8]高炉から出銑された溶銑を脱珪処理する脱珪処理工程と、
脱珪処理された前記溶銑を前記精錬炉内に残留させた状態で、前記脱珪処理工程で生成されたスラグの少なくとも一部を前記精錬炉から排出する中間排滓工程と、
前記中間排滓工程で前記精錬炉内に残留させた溶銑を脱燐処理する脱燐処理工程と、
脱燐処理された前記溶銑を前記精錬炉から出湯する出湯工程と、
を含む転炉の操業方法であって、
前記中間排滓工程は、上記[1]から[7]のいずれか一項に記載の転炉型の精錬炉の排滓方法を実行する、転炉の操業方法。
本開示に係る転炉型の精錬炉の排滓方法及び転炉の操業方法によれば、精錬炉の形状を精度良く推定し、精錬炉の傾動角度を精度良く制御することが可能である。
転炉型の精錬炉の中間排滓工程を模式的に示す図である。 精錬炉の傾動角度を説明する図である。 精錬炉の耐火物の形状変化を模式的に示す図である。 精錬炉の耐火物の形状変化を模式的に示す図である。 精錬炉の耐火物の形状変化を模式的に示す図である。 耐火物の形状を距離計によって測定する様子を模式的に示す図である。 送酸速度と損耗速度との関係の一例を示す図である。 比較例と実施例とでスラグ体積を比較した図である。 比較例と実施例とで中間排滓率を比較した図である。 比較例と実施例とで中間排滓率を比較した図である。
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る転炉型の精錬炉の排滓方法(以下、単に「本実施形態に係る排滓方法」と称する場合がある)は、転炉型の精錬炉において、スラグを精錬炉から排出する方法である。
図1は、転炉型の精錬炉の中間排滓工程を模式的に示す図である。
精錬炉1は、転炉型の精錬炉である。精錬炉1内の溶銑3に対して脱珪処理工程が行われると、スラグ2が生成される。スラグ2は、「脱珪スラグ」とも称される。
脱珪処理工程において、精錬炉1内の溶銑3には、上吹きランスから酸素含有ガスが供給される。上吹きランスから供給された酸素含有ガスと溶銑3の中の炭素とが反応すると、COガスが発生する。
脱珪処理工程後のスラグ2は、このようにして発生したCOガス気泡を内包する。スラグ2の見かけ上の体積は、COガス気泡を内包することにより数倍以上に増大する。このような状態を「フォーミング状態」とも称する。
本実施形態に係る排滓方法は、精錬炉1の傾動角度を制御しながら精錬炉1を傾動させることによって、スラグ2の少なくとも一部を精錬炉1から排出することができる。
図2を参照して、精錬炉1の傾動角度について説明する。精錬炉1の傾動角度は、水平線101に対して、精錬炉1の水平線102が何度回転しているかで表される。図2においては、角度θが精錬炉1の傾動角度を示している。
再び図1に戻って説明を続ける。
脱珪処理工程後に、図1に示すように精錬炉1が傾動されると、精錬炉1の炉口から転滓鍋4にスラグ2が排出される。転滓鍋4に排出されたスラグ2は、転滓台車5によって運搬される。
図3Aに示すように、精錬炉1の内部には耐火物10が内張されている。耐火物10は、精錬炉1において吹錬が繰り返されることによって損耗する。すなわち、耐火物10は、精錬炉1の使用回数が増えると共に損耗が増大していく。
図3A~図3Cを参照して、耐火物10の損耗によって精錬炉1の形状が変化してく様子について説明する。
図3Aは、精錬炉1の使用回数が0回のとき、すなわち精錬炉1が未使用のときの耐火物10の形状を模式的に示す図である。
図3Bは、精錬炉1の使用回数が307回のときの耐火物10の形状を模式的に示す図である。なお、破線で示す符号11は、精錬炉1が未使用のときの耐火物10の形状を示している。図3Bに示すように、耐火物10の形状は、損耗が進んだことによって図3Aに示した耐火物10の形状から変化している。
図3Cは、精錬炉1の使用回数が4023回のときの耐火物10の形状を模式的に示す図である。なお、破線で示す符号11は、精錬炉1が未使用のときの耐火物10の形状を示している。図3Cに示すように、耐火物10の形状は、損耗が更に進んだことによって図3Bに示した耐火物10の形状から更に変化している。
なお、図3B及び図3Cに示すように、耐火物10の損耗は全ての部位で一様に進むのではなく、部位によって異なる速度で進む。そのため、図3B及び図3Cに示すように、耐火物10の形状は、部位によって不均一に損耗が進んだ形状となる。
精錬炉1の耐火物10の損耗がどのように進むかは、炉代によって異なる。また、精錬炉1の耐火物10の損耗がどのように進むかは、精錬炉1の操業条件によって異なる。
本実施形態に係る排滓方法は、精錬炉1の操業条件及び精錬炉1の使用回数に基づいて、損耗データベースを参照して、精錬炉1の内部に内張りされた耐火物10の形状を推定する。
損耗データベースについて説明する。損耗データベースは、精錬炉1の操業条件及び精錬炉1の使用回数に基づいて、精錬炉1の耐火物10の形状を推定するためのデータベースである。損耗データベースは、精錬炉1の操業条件と、精錬炉1の耐火物10の部位毎の損耗速度とを関係づけている。
損耗データベースは、実測された耐火物10の形状に基づいて構築される。図4に、精錬炉1の耐火物10の形状を測定する様子を模式的に示す。
精錬炉1の耐火物10の形状は、図4に示すように、距離計6によって測定することができる。距離計6は、非接触型の距離計であってよい。距離計6は、三脚7に設置されていてよい。
精錬炉1の耐火物10の形状は、精錬炉1における処理が終了した後に測定することができる。精錬炉1の耐火物10の形状を測定する際は、測定の前に溶銑3の出鋼及びスラグ2の排出が行われる。また、精錬炉1は、炉口が距離計6の方を向くように傾動される。これにより、精錬炉1の炉口の前方に設置されている距離計6は、炉口から精錬炉1の炉内を測定することができる。
距離計6は、精錬炉1の炉口が距離計6の方を向くように傾動されている状態で、精錬炉1の耐火物10のプロファイル測定を行う。プロファイル測定とは、精錬炉1の耐火物10の各部位までの距離測定を行うことである。プロファイル測定を行うことによって、距離計6は、それぞれの部位における耐火物10の損耗状態を測定することができる。
このようなプロファイル測定をチャージ毎に実施すれば、チャージ毎に精錬炉1の耐火物の形状を把握することができる。しかしながら、上述のような手順によって耐火物10のプロファイル測定を行うことは時間がかかる。精錬炉1の操業に影響を与えるため、チャージ毎にプロファイル測定を行うことは現実的でない。
したがって、本実施形態に係る排滓方法においては、精錬炉1に対し何回か行ったプロファイル測定に基づいて損耗データベースを構築し、構築した損耗データベースに基づいて、耐火物10の形状を推定する。
また、精錬炉1の耐火物10の形状は、距離計6を撮像装置8に置き換えて測定することもできる。撮像装置8は、精錬炉1の炉口が撮像装置8の方を向くように傾動された状態で、画像処理により炉口形状のプロファイル測定を行い、撮像装置8と炉口との位置関係から、炉口の耐火物形状を把握することができる。撮像装置8による精錬炉1の炉口形状の測定は、距離計6による炉内形状の測定に比較して測定時間がかからない。したがって、損耗データベースを構築するために耐火物の形状を測定する頻度は、炉内形状を測定する回数に比べて、炉口形状を測定する回数をより多くすることができる。
損耗データベースは、炉内形状については距離計6の測定結果、炉口形状については撮像装置8の測定結果に基づいて構築してよい。このように、損耗データベースは、精錬炉1の炉内形状及び/又は精錬炉1の炉口形状に基づいて構築されていてよい。
損耗データベースは、精錬炉1の使用回数が異なる状況において2回以上測定された耐火物10の形状と、その間の操業条件とに基づいて構築される。
例えば、精錬炉1の使用回数が異なる状況において、同一の精錬炉1を対象として2回のプロファイル測定を行うと、耐火物10の形状は、それぞれのプロファイル測定において異なる形状となる。この2回の測定の耐火物10の形状の差から、それぞれの部位における耐火物10の損耗速度[mm/チャージ]を算出することができる。
また、耐火物10がどのように損耗するかは、精錬炉1の操業条件にも依存する。
例えば、吹錬形態が脱珪吹錬及び脱炭吹錬のいずれであるかによって、精錬炉1内の温度履歴及び精錬炉1内に投入される酸素量は異なるものとなる。そうすると、精錬炉1の耐火物10の形状は、吹錬形態が脱珪吹錬及び脱炭吹錬のいずれであるかに応じて異なる態様で進行する。
このように、耐火物10がどのように損耗するかは精錬炉1の操業条件に依存するため、損耗データベースは、使用回数が異なる状況において2回以上測定された耐火物10の形状と、その間の操業条件とに基づいて構築されている。
操業条件は、吹錬形態、精錬炉1内の温度履歴、精錬炉1内の溶銑量、精錬炉1内に投入された酸素量及び上吹きランスの形状の少なくとも1つを含む。
損耗速度が操業条件に依存することの一例として、図5に、送酸速度と損耗速度との関係を示す。なお、図5は、耐火物A及び耐火物Bという2つの異なる耐火物10についてのデータを示している。
図5の横軸は、精錬炉1内に酸素を投入する際の平均送酸速度であり、精錬炉1内に投入される酸素量を吹錬時間で割った値である。図5の縦軸は、精錬炉1のある部位における損耗速度である。
図5に示すように、耐火物A及び耐火物Bの損耗速度は、操業条件である送酸速度に依存する。
また、図5に示すように、耐火物Aと耐火物Bという異なる耐火物10では、異なる損耗速度となる。これは、損耗速度が炉代に依存することを示している。
本実施形態に係る排滓方法は、精錬炉1の操業条件及び精錬炉1の使用回数に基づいて、損耗データベースを参照して、精錬炉1の内部に内張りされた耐火物10の形状を推定するステップを含む。
耐火物10の形状を推定するステップは、損耗データベースを参照して、精錬炉1の現在の操業条件に対応する損耗速度を精錬炉1の部位毎に読み取る。その後、耐火物10の形状を推定するステップは、損耗速度と精錬炉1の使用回数とに基づいて、精錬炉1の部位毎、すなわち耐火物10の位置毎の形状を推定する。
このように、本実施形態に係る排滓方法は、精錬炉1の操業条件及び精錬炉1の使用回数に基づいて、損耗データベースを参照して、精錬炉1の内部に内張りされた耐火物10の形状を推定する。
また、本実施形態に係る排滓方法は、耐火物10の形状を推定すると、推定した耐火物10の形状に基づいて精錬炉1の傾動角度を制御し、スラグ2の少なくとも一部を精錬炉1から排出する。
ここで、損耗データベースは、実測された耐火物10の形状に基づいて構築されたデータベースである。
このように、本実施形態に係る排滓方法は、実測された耐火物10の形状に基づいて構築された損耗データベースを参照して、精錬炉1の操業条件及び精錬炉1の使用回数に基づいて、精錬炉1の内部に内張りされた耐火物10の形状を推定する。そのため、本実施形態に係る排滓方法は、耐火物10の形状、すなわち精錬炉1の形状を精度良く推定することができる。また、本実施形態に係る排滓方法は、このように精度良く推定した耐火物10の形状に基づいて精錬炉1の傾動角度を制御するため、精錬炉1の傾動角度を精度良く制御することができる。そのため、本実施形態に係る排滓方法は、鉄の歩留まりを低下させることなく、速やかに多くのスラグ2を精錬炉1から排出することができる。
本実施形態に係る排滓方法は、耐火物10の形状を部位毎に推定しているため、どこの部位が損耗しているかに応じて精度良く精錬炉1の傾動角度を制御することができる。例えば、精錬炉1の炉口近傍の耐火物10の形状は、スラグ2の排出に大きな影響を与えるが、本実施形態に係る排滓方法は、炉口近傍の耐火物10の形状を考慮して、精錬炉1の傾動角度を制御することができる。
また、本実施形態に係る排滓方法は、実測された耐火物10の形状に基づいて構築されたデータベースを用いて耐火物10の形状を推定するため、比較的使用回数が近いときに実測された耐火物10の形状に基づいて現在の耐火物10の形状を推定することができる。したがって、本実施形態に係る排滓方法は、精錬炉1の使用回数が多くなっても、耐火物10の形状を精度良く推定することができる。
精錬炉1を用いた転炉の操業方法について説明する。ここで、転炉の操業とは、中間排滓工程などのような排滓工程を含む、転炉によって行われる工程全体のことである。
本実施形態に係る転炉の操業方法は、高炉から出銑された溶銑3を脱珪処理する脱珪処理工程と、脱珪処理された溶銑3を精錬炉1内に残留させた状態で、脱珪処理工程で生成されたスラグ2の少なくとも一部を精錬炉1から排出する中間排滓工程と、中間排滓工程で精錬炉1内に残留させた溶銑3を脱燐処理する脱燐処理工程と、脱燐処理された溶銑3を精錬炉1から出湯する出湯工程と、を含む。
本実施形態に係る転炉の操業方法において、中間排滓工程は、本実施形態に係る転炉型の精錬炉の排滓方法を実行するものであってよい。
(実施例1)
図6に、本実施形態に係る排滓方法によって耐火物10の形状を推定したときの実施例を示す。
図6は、精錬炉1を2749回使用したときの耐火物10の形状を推定したときのグラフである。なお、図6においては縦軸をスラグ体積で示している。スラグ体積は、精錬炉1内においてスラグの高さが5mであったときのスラグ体積である。スラグ体積は、耐火物10の形状と相関がある。耐火物10の損耗が大きいと推定した場合はスラグ体積が大きくなり、耐火物10の損耗が小さいと推定した場合はスラグ体積が小さくなる。
比較例1は、精錬炉1の使用回数が0回のときから使用回数が2749回のときまで耐火物10が一様に損耗するとして耐火物10の形状を推定したものである。比較例2は、精錬炉1の使用回数が1844回の段階で耐火物10の形状を測定し、1844回の段階の形状から2749回のときまで耐火物10が一様に損耗するとして耐火物10の形状を推定したものである。
実施例は、精錬炉1の使用回数が1844回の段階で耐火物10の形状を測定し、1844回の段階の形状から2749回のときまでの耐火物10の形状の変化を、本実施形態に係る耐火物10の形状を推定するステップによって推定したものである。
また、図6は、実測値として、精錬炉1の使用回数が2749回であるときに精錬炉1内の耐火物10の形状をプロファイル測定して、スラグ体積を算出した結果も示している。
図6を参照すると、比較例1及び比較例2は、実測値に比べてかなりスラグ体積が大きくなっている。これは、耐火物10の損耗を過大に推定したことを意味している。
これに対し、実施例は、スラグ体積の値が実測値とほぼ等しくなっている。これは、本実施形態によれば、耐火物10の損耗を精度良く推定できていることを示している。
なお、図6は、精錬炉1の使用回数が2749回のときを比較したものであるが、他の使用回数での比較及び他の炉代での比較も行った。その場合、比較例1及び比較例2のような推定方法で、耐火物10の損耗を過小に推定する場合もあった。したがって、比較例のように耐火物10が一様に損耗するとして推定した場合、耐火物10の損耗を過大に推定する場合と過小に推定する場合があり、比較例1及び比較例2のような推定方法では、耐火物10の損耗を精度良く推定することは困難であった。
図7に、本実施形態に係る排滓方法によって中間排滓工程を行ったときの実施例を示す。
図7は、300トンの精錬炉1を100チャネル用いて、比較例に係る方法で中間排滓工程を行った場合と、本実施形態に係る排滓方法で中間排滓工程を行った場合とを比較したものである。
図7の縦軸は中間排滓率の平均値である。中間排滓率は、中間排滓工程前のスラグ2の重量に対し、中間排滓工程によって精錬炉1から排出されたスラグ2の重量の割合を示す。
中間排滓工程前のスラグ2の重量は、吹錬モデルを用いて計算した。また、中間排滓工程によって精錬炉1から排出されたスラグ2の重量は、排出されたスラグ2を運搬する転滓台車5に設置したロードセル方式の秤量器によって測定した。この際、転滓台車5上の転滓鍋4について風袋引きなどの前処理を行い、スラグ2の排出完了後の重量から、排出されたスラグ2の重量を求めた。
図7に示す比較例は、精錬炉1の使用回数が0回のときから耐火物10が一様に損耗するとして耐火物10の形状を推定して、中間排滓工程を実施したときの結果である。
図7に示すように、比較例では中間排滓率が45%程度であるのに対し、本実施形態に係る実施例では、中間排滓率は64%程度であった。このように、本実施形態に係る実施例は、比較例に比べて中間排滓率を向上させることができる。
(実施例2)
図8に、炉口形状の測定頻度を増した場合での中間排滓率を示す。比較例では一様損耗と推定するのに対し、本実施例では、炉体形状の測定は1500回に1度の頻度、炉口形状の測定は10回に1度の頻度で実施した。これにより炉口の形状変化を迅速に捉えることが可能となり、本実施形態に係る実施例では、中間排滓率は76%程度であった。このように、炉口形状の測定頻度を増すことで耐火物の形状を精緻に予測することが可能となり、中間排滓率を大幅に向上させることが可能となる。
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ブロック図に記載の複数のブロックを統合してもよいし、又は1つのブロックを分割してもよい。フローチャートに記載の複数のステップを記述に従って時系列に実行する代わりに、各ステップを実行する装置の処理能力に応じて、又は必要に応じて、並列的に又は異なる順序で実行してもよい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
例えば、上述した実施形態において、本実施形態に係る排滓方法を、転炉型の精錬炉1の中間排滓工程において実施する場合を例に挙げて説明したが、本実施形態に係る排滓方法は、中間排滓工程以外の排滓工程においても実施可能である。例えば、本実施形態に係る排滓方法は、脱炭吹錬後にスラグを排滓する工程においても実施可能である。また、本実施形態に係る排滓方法は、転炉型の精錬炉1以外においても実施可能である。例えば、本実施形態に係る排滓方法は、電気炉における製鋼工程においても実施可能である。また、例えば、本実施形態に係る排滓方法は、銅精錬のような非鉄金蔵における精錬工程においても実施可能である。
1 精錬炉
2 スラグ
3 溶銑
4 転滓鍋
5 転滓台車
6 距離計
7 三脚
8 撮像装置
10 耐火物
11 未使用のときの耐火物の形状
101 水平線
102 精錬炉の水平線

Claims (8)

  1. 転炉型の精錬炉の排滓方法であって、
    前記精錬炉の操業条件及び前記精錬炉の使用回数に基づいて、損耗データベースを参照して、前記精錬炉の内部に内張りされた耐火物の形状を推定するステップと、
    推定した前記耐火物の形状に基づいて前記精錬炉の傾動角度を制御し、スラグの少なくとも一部を前記精錬炉から排出するステップと、
    を含み、
    前記損耗データベースは、実測された前記耐火物の形状に基づいて構築されたデータベースである、転炉型の精錬炉の排滓方法。
  2. 前記損耗データベースは、前記精錬炉の炉内形状及び/又は炉口形状に基づいて構築されたデータベースである、請求項1に記載の転炉型の精錬炉の排滓方法。
  3. 前記損耗データベースは、使用回数が異なる状況において2回以上測定された前記耐火物の形状と、その間の操業条件とに基づいて構築されたデータベースである、請求項1に記載の転炉型の精錬炉の排滓方法。
  4. 前記損耗データベースを構築するために、前記耐火物の形状を測定する頻度は、前記炉内形状を測定する回数に比べて、前記炉口形状を測定する回数の方が多い、請求項2に記載の転炉型の精錬炉の排滓方法。
  5. 前記操業条件は、吹錬形態、前記精錬炉内の温度履歴、前記精錬炉内の溶銑量、前記精錬炉内に投入された酸素量及び上吹きランスの形状の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の転炉型の精錬炉の排滓方法。
  6. 前記損耗データベースを構築する際に実測された前記耐火物の炉内形状は、前記精錬炉の炉口の前方に設置された距離計によってプロファイル測定をすることによって測定されている、請求項5に記載の転炉型の精錬炉の排滓方法。
  7. 前記損耗データベースを構築する際に実測された前記耐火物の炉口形状は、前記精錬炉の炉口の前方に設置された撮像装置による画像によりプロファイル測定を行うことによって測定されている、請求項5に記載の転炉型の精錬炉の排滓方法。
  8. 高炉から出銑された溶銑を脱珪処理する脱珪処理工程と、
    脱珪処理された前記溶銑を前記精錬炉内に残留させた状態で、前記脱珪処理工程で生成されたスラグの少なくとも一部を前記精錬炉から排出する中間排滓工程と、
    前記中間排滓工程で前記精錬炉内に残留させた溶銑を脱燐処理する脱燐処理工程と、
    脱燐処理された前記溶銑を前記精錬炉から出湯する出湯工程と、
    を含む転炉の操業方法であって、
    前記中間排滓工程は、請求項1から7のいずれか一項に記載の転炉型の精錬炉の排滓方法を実行する、転炉の操業方法。
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