JP2024053761A - チョコレート類 - Google Patents

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琴美 小泉
麻衣 坂本
暁 森田
一磨 塩崎
安寿子 佐藤
由里菜 鳥羽
朋美 仲
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Abstract

【課題】チョコレート類用油脂組成物に係る発明の配合を主たる解決手段として、トランス脂肪酸含量の低減を実現しながら、チョコレート類に必要とされる、風味、くちどけ、固化速度、ブルーム耐性といった要素を十分に加味した品質上優れたチョコレート類を、幅広いチョコレート類の軟化点で提供すること。【解決手段】本発明により、特定のチョコレート類用油脂を複数組み合わせて使用することで、トランス脂肪酸含有量の低減を実現しながら、テンパリング操作が不要で、風味、くちどけ、固化速度、ブルーム耐性に優れるチョコレート類を提供することができる。また、特定のチョコレート類用油脂を適切に組み合わせることにより、幅広いチョコレート類の軟化点を有する、該チョコレート類を得ることができる。【選択図】なし

Description

本発明は、チョコレート類に関する。より詳しくは、テンパリング操作を必要としないチョコレート類用油脂を使用する、チョコレート類に関する。
ココアバター代用脂として広く利用されているハードバターは、固化・成型時に温調操作を実施するテンパリング型ハードバターと、温調操作を実施しない非テンパリング型ハードバターに大別される。テンパリング型ハードバターは、ココアバター中に多く含有されるSUS型トリグリセリド(S:炭素数16~18の飽和脂肪酸、U:炭素数18の一価不飽和脂肪酸)を多く含み、ココアバターと類似の性質物性を持つ。そのためココアバターとの相溶性が高く、またココアバターと類似の食感が得られるが、テンパリング操作には厳密な温度制御が必要となるため、省略することが望まれている。
一方、非テンパリング型ハードバターは、煩雑なテンパリング操作を必要としないことから、パンや洋菓子などとチョコレート類を組み合わせた様々な組み合わせ食品に好適に使用することができ、トランス脂肪酸型ハードバターや、エステル交換・分別型ハードバター、さらにラウリン酸型ハードバターに大別することができる。
非テンパリング型ハードバターのうち、大豆油や菜種油などの液状油を水素添加して得られるトランス酸型ハードバターは、良好な口溶けやココアバターとの高い相溶性から広く利用されてきた。しかし近年、トランス脂肪酸の健康に及ぼすリスクを低減すべきという意見も一部にあり、トランス脂肪酸を含まない低トランス脂肪酸型ハードバターが市場から望まれることもある。
前述のように低トランス酸型ハードバターが望まれる中で近年、エステル交換・分別型ハードバターの開発が進められている(特許文献1~4)。このエステル交換・分別型ハードバターは、トランス脂肪酸含量が極めて低い原料油脂、例えば大豆油や菜種油の極度硬化油や、パーム油などの固形脂を原料として化学的に、もしくは酵素的にエステル交換を実施した後に、分別を実施することで良好な口溶けを有するものである。しかし、その製造法の複雑さからコストが高く、より安価なハードバターが望まれている。
ラウリン酸型ハードバターは、ラウリン酸を多く含むトリグリセリドを豊富に含む油脂を原料として古くから製造されており、パーム核油分別硬質油やヤシ油が例示できる。これらはココアバターと極めて類似した食感や物性が得られ、艶も良好であるなど様々な利点があるが、保存中にはブルームやグレーニングが激しく発現するため、カカオ分やココアバターを多く配合できない。
トランス酸含有量が低く、ラウリン系油脂を含有するチョコレート類用油脂組成物に関して、特許文献5~9が開示されている。
特表2005-507028号公報 特表2010-532802号公報 特開2007-319043号公報 国際公開第2011/138918号 特開2008-182961号公報 特開2010-142152号公報 特開2010-142153号公報 特開2011-115075号公報 特開2016-116486号公報
既往の研究において、トランス脂肪酸含有量を低減したチョコレート類用油脂組成物に係る発明は幅広い物性において既に開示がなされている。しかしながら、トランス脂肪酸含有量を低減したチョコレート類については十分な発明が開示されているとは言えない。一方で、市場は多種多様な用途における使用を想定していることから、幅広い軟化点をもつチョコレート類が求められている。
従い、チョコレート類用油脂組成物に係る発明の配合を主たる解決手段として、トランス脂肪酸含量の低減を実現しながら、テンパリング操作が不要で、チョコレート類に必要とされる、風味、くちどけ、固化速度、ブルーム耐性といった要素を十分に加味した品質上優れたチョコレート類を、チョコレート類の軟化点について幅広いバリエーションを伴い提供できる技術は、市場から大いに期待されるものであった。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、特定の脂肪酸組成とランダム化されたトリグリセリド組成を有する、特定のチョコレート類用油脂を必須として含み、その使用態様に応じて、特定のチョコレート類用油脂又は液状油脂を組み合わせてチョコレート類用に使用することにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の発明を含有するものである。
(1) 軟化点が32~37℃であるチョコレート類であって、該チョコレート類中に、以下(a-1)~(a-6)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であるチョコレート類用油脂Aを5~50質量%含み、かつココアバターを2~30質量%含み、かつ乳脂肪を20質量%以下含み、かつソルビタントリステアレートを0.1~2質量%含む、チョコレート類。
(a-1)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が80~99質量%
(a-2)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が30~40質量%
(a-3)構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5~5質量%
(a-4)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が0.5~15質量%
(a-5)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸の含有量が5質量%以下
(a-6)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸/ステアリン酸比が1~2
(2) 軟化点が30~37℃であるチョコレート類であって、該チョコレート類中に、以下(a-1)~(a-6)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であるチョコレート類用油脂Aと、以下(b-1)~(b-2)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であるチョコレート類用油脂Bを含有し、チョコレート類用油脂Aとチョコレート類用油脂Bの質量比が99:1~25:75である、チョコレート類。
(a-1)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が80~99質量%
(a-2)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が30~40質量%
(a-3)構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5~5質量%
(a-4)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が0.5~15質量%
(a-5)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸の含有量が5質量%以下
(a-6)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸/ステアリン酸比が1~2
(b-1)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸の含有量が20質量%以上
(b-2)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が25質量%以上
(3) ココアバターをチョコレート類中に2~30質量%含む、(2)のチョコレート類。
(4) ソルビタントリステアレートをチョコレート類中に0.1~2質量%含む、(2)又は(3)のチョコレート類。
(5) 軟化点が30~37℃であるチョコレート類であって、該チョコレート類中に、以下(a-1)~(a-6)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であるチョコレート類用油脂Aと、以下(c-1)~(c-2)の構成を満たす液状油脂Cを含有し、チョコレート類用油脂Aと液状油脂Cの質量比が99:1~70:30である、チョコレート類。
(a-1)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が80~99質量%
(a-2)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が30~40質量%
(a-3)構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5~5質量%
(a-4)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が0.5~15質量%
(a-5)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸の含有量が5質量%以下
(a-6)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸/ステアリン酸比が1~2
(c-1)ヨウ素価60以上である
(c-2)20℃SFC%が10%以下である
(6) ココアバターをチョコレート類中に2~30質量%含む、(5)のチョコレート類。
(7) ソルビタントリステアレートをチョコレート類中に0.1~2質量%含む、(5)又は(6)のチョコレート類。
(8) 軟化点が33~40℃であるチョコレート類であって、該チョコレート類中に、以下(a-1)~(a-6)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であるチョコレート類用油脂Aと、以下(d-1)~(d-6)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であるチョコレート類用油脂Dを含有し、チョコレート類用油脂Aとチョコレート類用油脂Dの質量比が99:1~60:40である、チョコレート類。
(a-1)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が80~99質量%
(a-2)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が30~40質量%
(a-3)構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5~5質量%
(a-4)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が0.5~15質量%
(a-5)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸の含有量が5質量%以下
(a-6)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸/ステアリン酸比が1~2
(d-1)構成脂肪酸組成中の不飽和脂肪酸の含有量が、0.5~15質量%
(d-2)構成脂肪酸組成中のパルミチン酸/ステアリン酸比が、2以下
(d-3)構成脂肪酸組成中のラウリン酸/ステアリン酸比が、1.9以下
(d-4)構成脂肪酸組成中のステアリン酸の含有量が、20~45質量%
(d-5)35℃のSFC%が30%以上
(d-6)45℃のSFC%が20%以下
(9) ココアバターをチョコレート類中に2~30質量%含む、(8)のチョコレート類。
(10) ソルビタントリステアレートをチョコレート類中に0.1~2質量%含む、(8)又は(9)のチョコレート類。
(11) (1)~(3)のチョコレート類の製造方法。
(12) (4)のチョコレート類の製造方法。
(13) (5)~(6)のチョコレート類の製造方法。
(14) (7)のチョコレート類の製造方法。
(15) (8)~(9)のチョコレート類の製造方法。
(16) (10)のチョコレート類の製造方法。
(17) 以下の要件を満たすチョコレート類用油脂Aを用いてチョコレート類を調製することにより、チョコレート類の軟化点を32~37℃の範囲で制御することを特徴とする、チョコレート類の製造方法。
・チョコレート類用油脂Aは、以下の(a-1)~(a-6)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であることを要件とする。
(a-1)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が80~99質量%以上
(a-2)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が30~40質量%
(a-3)構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5~5質量%
(a-4)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が0.5~15質量%
(a-5)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸の含有量が5質量%以下
(a-6)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸/ステアリン酸比が1~2
(18) 以下の要件を満たすチョコレート類用油脂Aに加えて、以下の要件を満たすチョコレート類用油脂Bを用いてチョコレート類を調製することにより、チョコレート類の軟化点を30~37℃の範囲で制御することを特徴とする、チョコレート類の製造方法。
・チョコレート類用油脂Aは、以下の(a-1)~(a-6)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であることを要件とする。
(a-1)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が80~99質量%
(a-2)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が30~40質量%
(a-3)構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5~5質量%
(a-4)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が0.5~15質量%
(a-5)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸の含有量が5質量%以下
(a-6)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸/ステアリン酸比が1~2
・チョコレート類用油脂Bは、以下の(b-1)~(b-2)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であることを要件とする。
(b-1)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸の含有量が20質量%以上
(b-2)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が25質量%以上
(19) 以下の要件を満たすチョコレート類用油脂Aに加えて、以下の要件を満たす液状油脂Cを用いてチョコレート類を調製することにより、チョコレート類の軟化点を30~37℃の範囲で制御することを特徴とする、チョコレート類の製造方法。
・チョコレート類用油脂Aは、以下の(a-1)~(a-6)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であることを要件とする。
(a-1)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が80~99質量%
(a-2)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が30~40質量%
(a-3)構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5~5質量%
(a-4)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が0.5~15質量%
(a-5)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸の含有量が5質量%以下
(a-6)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸/ステアリン酸比が1~2
・液状油脂Cは、以下(c-1)~(c-2)の構成を満たすことを要件とする。
(c-1)ヨウ素価60以上である
(c-2)20℃SFC%が10%以下である
(20) 以下の要件を満たすチョコレート類用油脂Aに加えて、以下の要件を満たすチョコレート類用油脂Dを用いてチョコレート類を調製することにより、チョコレート類の軟化点を33~40℃の範囲で制御することを特徴とする、チョコレート類の製造方法。
・チョコレート類用油脂Aは、以下の(a-1)~(a-6)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であることを要件とする。
(a-1)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が80~99質量%
(a-2)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が30~40質量%
(a-3)構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5~5質量%
(a-4)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が0.5~15質量%
(a-5)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸の含有量が5質量%以下
(a-6)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸/ステアリン酸比が1~2
・チョコレート類用油脂Dは、以下の(d-1)~(d-6)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であることを要件とする。
(d-1)構成脂肪酸組成中の不飽和脂肪酸の含有量が、0.5~15質量%
(d-2)構成脂肪酸組成中のパルミチン酸/ステアリン酸比が、2以下
(d-3)構成脂肪酸組成中のラウリン酸/ステアリン酸比が、1.9以下
(d-4)構成脂肪酸組成中のステアリン酸の含有量が、20~45質量%
(d-5)35℃のSFC%が30%以上
(d-6)45℃のSFC%が20%以下
(21) 以下の要件を満たすチョコレート類用油脂Aに加えて、以下の要件を満たすチョコレート類用油脂B、液状油脂C、チョコレート類用油脂Dのいずれか一つ以上を用いてチョコレート類を調製することにより、チョコレート類の軟化点を30~40℃の範囲で制御することを特徴とする、チョコレート類の製造方法。
・チョコレート類用油脂Aは、以下の(a-1)~(a-6)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であることを要件とする。
(a-1)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が80~99質量%
(a-2)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が30~40質量%
(a-3)構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5~5質量%
(a-4)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が0.5~15質量%
(a-5)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸の含有量が5質量%以下
(a-6)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸/ステアリン酸比が1~2
・チョコレート類用油脂Bは、以下の(b-1)~(b-2)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であることを要件とする。
(b-1)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸の含有量が20質量%以上
(b-2)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が25質量%以上
・液状油脂Cは、以下(c-1)~(c-2)の構成を満たすことを要件とする。
(c-1)ヨウ素価60以上である
(c-2)20℃SFC%が10%以下である
・チョコレート類用油脂Dは、以下の(d-1)~(d-6)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であることを要件とする。
(d-1)構成脂肪酸組成中の不飽和脂肪酸の含有量が、0.5~15質量%
(d-2)構成脂肪酸組成中のパルミチン酸/ステアリン酸比が、2以下
(d-3)構成脂肪酸組成中のラウリン酸/ステアリン酸比が、1.9以下
(d-4)構成脂肪酸組成中のステアリン酸の含有量が、20~45質量%
(d-5)35℃のSFC%が30%以上
(d-6)45℃のSFC%が20%以下
(22) 以下の要件を満たすチョコレート類用油脂Aに加えて、以下の要件を満たすチョコレート類用油脂B、液状油脂C、チョコレート類用油脂Dのいずれか一つ以上を用いてチョコレート類を調製することにより、チョコレート類の軟化点を30~40℃の範囲で制御する方法。
・チョコレート類用油脂Aは、以下の(a-1)~(a-6)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であることを要件とする。
(a-1)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が80~99質量%
(a-2)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が30~40質量%
(a-3)構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5~5質量%
(a-4)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が0.5~15質量%
(a-5)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸の含有量が5質量%以下
(a-6)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸/ステアリン酸比が1~2
・チョコレート類用油脂Bは、以下の(b-1)~(b-2)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であることを要件とする。
(b-1)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸の含有量が20質量%以上
(b-2)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が25質量%以上
・液状油脂Cは、以下(c-1)~(c-2)の構成を満たすことを要件とする。
(c-1)ヨウ素価60以上である
(c-2)20℃SFC%が10%以下である
・チョコレート類用油脂Dは、以下の(d-1)~(d-6)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であることを要件とする。
(d-1)構成脂肪酸組成中の不飽和脂肪酸の含有量が、0.5~15質量%
(d-2)構成脂肪酸組成中のパルミチン酸/ステアリン酸比が、2以下
(d-3)構成脂肪酸組成中のラウリン酸/ステアリン酸比が、1.9以下
(d-4)構成脂肪酸組成中のステアリン酸の含有量が、20~45質量%
(d-5)35℃のSFC%が30%以上
(d-6)45℃のSFC%が20%以下
本発明により、特定のチョコレート類用油脂を一つ以上組み合わせて使用することで、トランス脂肪酸含有量の低減を実現しながら、テンパリング操作が不要で、風味、くちどけ、固化速度、ブルーム耐性に優れるチョコレート類を提供することができる。また、一つ以上の特定のチョコレート類用油脂を適切に組み合わせることにより、幅広い軟化点を有するチョコレート類を得ることができる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本明細書における、油脂の脂肪酸組成、油脂のSFC%、油脂の融点、油脂のヨウ素価、チョコレート類の軟化点については、下記の測定方法に従い得ることができる。
(油脂の脂肪酸組成の測定方法)
基準油脂分析試験法2.4.2.1-2013により測定することができる。
(油脂のSFC%の測定方法)
分析装置としてBruker社製“minispecmq20”を使用し、測定は、IUPAC2.150a (Solid Content Determination in Fats by NMR)に準じて行うことができる。
(油脂の融点の測定方法)
基準油脂分析試験法2.2.4.2-1996により測定することができる。
(油脂のヨウ素価の測定方法)
基準油脂分析試験法2.3.4.1-2013により測定することができる。
(チョコレート類の軟化点の測定方法)
基準油脂分析試験法2.3.4.3-86に準じて測定することができる。
本発明のチョコレート類には、以下(a-1)~(a-6)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であるチョコレート類用油脂Aを含む。
(a-1)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が80~99質量%である必要があり、好ましくは81~98質量%であり、より好ましくは82~97質量%であり、さらに好ましくは85~96質量%である。構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が80質量%を下回る場合、低融点のトリグリセリドが多くなり、固化速度が遅くなる場合がある。99質量%を上回る場合、低融点のトリグリセリドが少なすぎて、くちどけが悪化する場合がある。
(a-2)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が30~40質量%である必要があり、好ましくは31~39質量%であり、より好ましくは32~38質量%であり、さらに好ましくは33~37質量%である。構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が30質量%を下回る場合、相対的に飽和脂肪酸中のパルミチン酸やステアリン酸含量が多くなってしまい、くちどけが悪化して良好な風味が得られない場合がある。40質量%を上回る場合、相対的に常温で固形である飽和脂肪酸中のパルミチン酸やステアリン酸含量が低くなってしまい、風味が弱くなる場合がある。
(a-3)構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5~5質量%である必要があり、好ましくは1~5質量%であり、より好ましくは2~5質量%であり、さらに好ましくは3~5質量%であり、最も好ましくは4~5質量%である。構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5質量%を下回る場合、ココアバターの相溶性が下がりブルーム耐性が弱くなる場合がある。5質量%を上回る場合、高融点のトリグリセリドが多くなりくちどけが悪化する場合がある。
(a-4)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が0.5~15質量%である必要があり、好ましくは1~14質量%であり、より好ましくは1~12質量%であり、さらに好ましくは1~10質量%であり、最も好ましくは1~8質量%である。構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が0.5質量%を下回る場合、低融点のトリグリセリドが少なすぎて、くちどけが悪化する場合がある。15質量%を上回る場合、低融点のトリグリセリドが多くなることで、当該油脂をチョコレート類に配合した際にべたつきが悪化する場合がある。
(a-5)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸の含有量が5質量%以下である必要があり、好ましくは4質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以下である。
(a-6)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸/ステアリン酸比が1~2である必要があり、好ましくは1~1.8であり、より好ましくは1~1.6であり、さらに好ましくは1~1.5である。構成脂肪酸組成中、パルミチン酸/ステアリン酸比が1を下回る場合、パルミチン酸に対するステアリン酸の相対量が多くなり、口どけが悪化して良好な風味が得られない場合がある。2を上回る場合、パルミチン酸に対するステアリン酸の相対量が少なくなり、固化速度が遅くなる場合がある。
本発明のチョコレート類に含まれるチョコレート類用油脂Aは、前記(a-1)~(a-6)の構成に加え、以下(a-7)を満たすことが好ましい。
(a-7)構成脂肪酸組成中、炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量が3~18質量%であることがより好ましく、さらに好ましくは4~18質量%であり、さらに好ましくは6~15質量%であり、最も好ましくは8~15質量%である。構成脂肪酸組成中、炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量が3質量%を下回る場合、チョコレート類に用いた場合に良好なくちどけや風味発現が得られない場合がある。18質量%を上回る場合、得られるチョコレート類用油脂中の低融点のトリグリセリドが増加してしまうため望ましくない。
本発明のチョコレート類に含まれる油脂に使用可能な油脂類は、ハイエルシン菜種油、菜種油(キャノーラ油)、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、胡麻油、月見草油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、中鎖脂肪酸結合トリグリセリド(MCT)、シア脂、サル脂等の植物性油脂、乳脂、牛脂、ラード、魚油、鯨油等の動物性油脂、ならびに、それらの硬化油、分別油、硬化分別油、分別硬化油、エステル交換等を施した加工油脂、さらにこれらの混合油脂等が例示できる。
好ましい態様は、本発明では、低トランスを志向するため、トランス型脂肪酸を比較的大量に含む部分硬化油を使用することなくチョコレート類を作製することができる。
なお、ハイエルシン菜種油を使用する場合、含まれるエルシン酸含量は、構成脂肪酸組成中、30質量%以上であることが好ましい。
本発明のチョコレート類に用いられるチョコレート類用油脂Aは、前記構成を満たせば、使用する油脂類に特に制限はないが、下記油脂成分X、油脂成分Y、及び油脂成分Zを混合して原料油脂として使用することが好ましい。
油脂成分Xは、ヤシ油、パーム核油、MCT及びこれらを加工した油脂より選ばれた1種以上の油脂。より具体的には、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム核油、及びパーム核極度硬化油、MCTを例示することができる。
油脂成分Yは、パーム油及びこれを加工した油脂より選ばれた1種以上の油脂。より具体的には、パーム油、パーム分別高融点部、パーム極度硬化油を例示することができる。
油脂成分Zは、ハイエルシン菜種油及びこれを加工した油脂より選ばれた1種以上の油脂。より具体的には、ハイエルシン菜種油及びハイエルシン菜種極度硬化油を例示することができる。
本発明のチョコレート類に用いられるチョコレート類用油脂Aは、前記した油脂組成に調製した、ランダム化されたトリグリセリド組成を有する。製造方法としては、ランダムエステル交換、ランダムエステル交換を行なった後に極度硬化する方法が例示できる。
本明細書において、ランダム化されたトリグリセリド組成とは、化学触媒或いは酵素触媒によりトリグリセリドから脂肪酸を一度切り離したのち再結合する、ランダムエステル交換により得られるので、脂肪酸の種類による1位~3位への分布の仕方は完全にランダムであり、確率論的に一意に決定される。これはより多くのトリグリセリド種が得られることにより、テンパリングをしないチョコレート類において長期にわたる品質の安定化に優れるため好ましい。
本発明のチョコレート類に用いられるチョコレート類用油脂Aは、ランダムエステル交換を行なった後に極度硬化することでも得ることができる。極度硬化を行う油脂は、ニッケルを主成分とする化学触媒を伴う水素添加により、植物油脂中に含まれる二重結合を単結合へと変換することで得られる。本明細書では、不飽和度を示す指標であるヨウ素価4以下まで水素添加された油脂を極度硬化油と定義する。
ある態様における本発明のチョコレート類には、前記チョコレート類用油脂Aをチョコレート類中に5~50質量%含む必要があり、好ましくは7~45質量%であり、より好ましくは10~40質量%であり、さらに好ましくは20~40質量%であり、最も好ましくは30~40質量%である。本発明のチョコレート類に、前記チョコレート類用油脂Aをチョコレート類中に5質量%未満で含む場合、チョコレート類の風味、くちどけ、固化速度、ブルーム耐性の点で課題を抱える場合がある。50質量%を超えて含む場合、相対的にココアバター含量が低減することにより、チョコレート類らしい風味が不足する場合がある。
また、ある態様における本発明のチョコレート類には、ココアバターをチョコレート類中に2~30質量%含む必要があり、好ましくは4~27質量%であり、より好ましくは5~25質量%であり、さらに好ましくは10~22質量%であり、最も好ましくは15~22質量%である。本発明のチョコレート類に、前記ココアバターをチョコレート類中に2質量%未満で含む場合、チョコレート類らしい風味が不足する場合がある。30質量%を超えて含む場合、ココアバター相溶性が不足してブルーム発現に至る場合がある。
尚ここでいうココアバターは、原材料として配合するココアバターのみではなく、カカオマスやココアなどのカカオ原料由来の脂肪分を含むものとする。以下においても同様である。
また、ある態様における本発明のチョコレート類には、乳脂肪をチョコレート類中に20質量%以下含む必要があり、好ましくは18質量%以下であり、より好ましくは16質量%以下であり、さらに好ましくは13質量%以下であり、最も好ましくは10質量%以下である。
また、ある態様における本発明のチョコレート類中の油脂分としては、10~70質量%が好ましく、より好ましくは20~60質量%である。油脂分が10%未満で含む場合、チョコレート類の粘性が高すぎてコーティング用途で用いた場合に、固化速度が遅くなり作業が困難となる場合がある。また油脂分が70質量%を超えて含む場合、チョコレート類風味が薄くなり、油っぽくなる場合がある。
また、ある態様における本発明のチョコレート類には、乳化剤であるソルビタントリステアレートをチョコレート類中に0.1~2質量%含む必要があり、好ましくは0.2~1.5質量%であり、さらに好ましくは0.2~1質量%である。本発明のチョコレート類に、前記ソルビタントリステアレートをチョコレート類中に0.1質量%未満で含む場合、市場でシビアに求められる良好な外観が得られない場合がある。2質量%を超えて含む場合、ソルビタントリステアレート由来の風味がチョコレート類らしい風味を阻害する場合がある。
また、ある態様における本発明のチョコレート類は、軟化点が32~37℃である必要があり、好ましくは33~36℃である。本発明のチョコレート類の軟化点が32℃を下回る場合、コーティング時の固化速度が遅くなる場合がある。37℃を上回る場合、くちどけが悪化する場合がある。
ある態様において、本発明のチョコレート類には、前記チョコレート類用油脂Aの配合を必須として、以下(b-1)~(b-2)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であるチョコレート類用油脂Bをチョコレート類中に含む。
(b-1)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸の含有量が20質量%以上であることが好ましく、より好ましくは20~50質量%であり、さらに好ましくは25~45質量%であり、最も好ましくは28~40質量%である。構成脂肪酸組成中、パルミチン酸の含有量が20質量%未満で含む場合、相対的にステアリン酸が増加することにより、くちどけが悪化し、加えてチョコレート類の軟化点を下げる効果が十分に得られない場合がある。
(b-2)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が25質量%以上であることが好ましく、より好ましくは25~60質量%であり、さらに好ましくは30~55質量%であり、最も好ましくは35~50質量%である。構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が35質量%未満で含む場合、融点の高い飽和脂肪酸が相対的に増加することにより、くちどけが悪化し、加えてチョコレート類の軟化点を下げる効果が十分に得られない場合がある。
ある態様において、本発明のチョコレート類に含まれるチョコレート類用油脂Bに使用可能な油脂類は、前記構成を満たせば、使用する油脂類に特に制限はないが、その中でも、下記油脂成分X、及び油脂成分Yを混合して原料油脂として使用することが好ましい。
油脂成分Xは、ヤシ油、パーム核油、MCT及びこれらを加工した油脂より選ばれた1種以上の油脂。より具体的には、パーム核油、及びパーム核分別低融点部を例示することができる。
油脂成分Yは、パーム油及びこれを加工した油脂より選ばれた1種以上の油脂。より具体的には、パーム油、パーム分別高融点部を例示することができる。
ある態様において、本発明のチョコレート類に用いられるチョコレート類用油脂Bは、前記した油脂組成に調製した、ランダム化されたトリグリセリド組成を有する。製造方法としては、ランダムエステル交換、ランダムエステル交換を行なった後に極度硬化する方法が例示できる。
ある態様において、本発明のチョコレート類は、チョコレート類用油脂Aに加えて、チョコレート類用油脂Bを含有し、チョコレート類用油脂Aとチョコレート類用油脂Bの質量比が99:1~25:75である。チョコレート類用油脂Aとチョコレート類用油脂Bの質量比は、好ましくは90:10~25:75であり、さらに好ましくは70:30~30:70であり、より好ましくは60:40~35:65である。チョコレート類用油脂Aとチョコレート類用油脂Bの質量比が99:1~25:75であることにより、コーティング用途で使用する場合に適切な固化速度が得られる。
本発明のある態様において、本発明のチョコレート類は、軟化点が30~37℃である必要があり、好ましくは31~36℃であり、より好ましくは32~35℃であり、さらに好ましくは32.5~35℃である。本発明のチョコレート類の軟化点が30℃未満である場合、コーティング用途で使用する場合に固化速度が遅くなる場合がある。37℃を超える場合、くちどけが悪化する場合がある。
ある態様における本発明のチョコレート類には、ココアバターをチョコレート類中に2~30質量%含むことが好ましく、より好ましくは4~20質量%であり、さらに好ましくは5~15質量%であり、最も好ましくは5~10質量%である。本発明のチョコレート類に、前記ココアバターをチョコレート類中に2質量%未満で含む場合、チョコレート類らしい風味が不足する場合がある。30質量%を超えて含む場合、ココアバター相溶性が不足してブルーム発現に至る場合がある。
また、ある態様における本発明のチョコレート類には、乳化剤であるソルビタントリステアレートをチョコレート類中に0.1~2質量%含む必要があり、好ましくは0.2~1.5質量%であり、さらに好ましくは0.2~1質量%である。本発明のチョコレート類に、前記ソルビタントリステアレートをチョコレート類中に0.1質量%未満で含む場合、市場でシビアに求められる良好な外観が得られない場合がある。2質量%を超えて含む場合、ソルビタントリステアレート由来の風味がチョコレート類らしい風味を阻害する場合がある。
ある態様において、本発明のチョコレート類には、前記チョコレート類用油脂Aの配合を必須として、以下(c-1)~(c-2)の構成を満たす液状油脂Cをチョコレート類中に含む。尚このことは、前記チョコレート類用油脂Bを同時に含むことを妨げるものではない。
(c-1)ヨウ素価が60以上であることが好ましく、より好ましくは60~150であり、さらに好ましくは65~140である。ヨウ素価が60を下回る場合、くちどけが悪化し、加えてチョコレート類の軟化点を下げる効果が十分に得られない場合がある。
(c-2)20℃SFC%が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下であり、さらに好ましくは2%以下であり、最も好ましくは1%以下である。20℃SFC%が10%を上回る場合、くちどけが悪化し、加えてチョコレート類の軟化点を下げる効果が十分に得られない場合がある。
ある態様において、本発明のチョコレート類に含まれるチョコレート類用油脂Cに使用可能な油脂類は、前記構成を満たせば、使用する油脂類に特に制限はないが、その中でも、菜種油(キャノーラ油)、大豆油、パーム分別低融点部、中鎖脂肪酸結合トリグリセリド(MCT)、シア脂分別低融点部であることが好ましい。より好ましくは、パーム分別低融点部である。
ある態様において、本発明のチョコレート類は、前記チョコレート類用油脂Aの配合を必須として、前記液状油脂Cを含有し、チョコレート類用油脂Aと液状油脂Cの質量比が99:1~70:30である。チョコレート類用油脂Aと液状油脂Cの質量比は、好ましくは98:2~75:25であり、さらに好ましくは95:5~75:25である。チョコレート類用油脂Aと液状油脂Cの質量比が99:1~70:30であることにより、コーティング用途で使用する場合に適切な固化速度が得られる。
ある態様において、本発明のチョコレート類は、軟化点が30~37℃であることが好ましく、より好ましくは31~36℃であり、さらに好ましくは32~35℃である。本発明のチョコレート類の軟化点が30℃未満である場合、コーティング用途で使用する場合に固化速度が遅くなる場合がある。37℃を超える場合、くちどけが悪化する場合がある。
ある態様における本発明のチョコレート類には、ココアバターをチョコレート類中に2~30質量%含むことが好ましく、より好ましくは5~20質量%であり、さらに好ましくは10~20質量%であり、最も好ましくは12~18質量%である。本発明のチョコレート類に、前記ココアバターをチョコレート類中に2質量%未満で含む場合、チョコレート類らしい風味が不足する場合がある。30質量%を超えて含む場合、ココアバター相溶性が不足してブルーム発現に至る場合がある。
また、ある態様における本発明のチョコレート類には、乳化剤であるソルビタントリステアレートをチョコレート類中に0.1~2質量%含む必要があり、好ましくは0.2~1.5質量%であり、さらに好ましくは0.2~1質量%である。本発明のチョコレート類に、前記ソルビタントリステアレートをチョコレート類中に0.1質量%未満で含む場合、市場でシビアに求められる良好な外観が得られない場合がある。2質量%を超えて含む場合、ソルビタントリステアレート由来の風味がチョコレート類らしい風味を阻害する場合がある。
ある態様において、本発明のチョコレート類は、前記チョコレート類用油脂Aの配合を必須として、以下(d-1)~(d-6)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であるチョコレート類用油脂Dをチョコレート類中に含む。
(d-1)構成脂肪酸組成中の不飽和脂肪酸の含有量が、0.5~15質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5~13質量%であり、さらに好ましくは0.5~12質量%であり、最も好ましくは0.5~10質量%である。構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が0.5質量%未満で含む場合、くちどけが悪化する場合がある。構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が15質量%を超えて含む場合、チョコレート類の軟化点を上げる効果が十分に得られない場合がある。
(d-2)構成脂肪酸組成中のパルミチン酸/ステアリン酸比が、2以下であることが好ましく、より好ましくは0.15~1.9であり、さらに好ましくは0.15~1.8であり、最も好ましくは0.2~1.5である。構成脂肪酸組成中、パルミチン酸/ステアリン酸比が2を上回る場合、チョコレート類の軟化点を上げる効果が十分に得られない場合がある。
(d-3)構成脂肪酸組成中のラウリン酸/ステアリン酸比が、1.9以下であることが好ましく、より好ましくは0.1~1.7であり、さらに好ましくは0.2~1.5であり、最も好ましくは0.4~1である。構成脂肪酸組成中、ラウリン酸/ステアリン酸比が1.9を上回る場合、チョコレート類の軟化点を上げる効果が十分に得られない場合がある。
(d-4)構成脂肪酸組成中のステアリン酸の含有量が、20~45質量%であることが好ましく、より好ましくは20~43質量%であり、さらに好ましくは20~40質量%であり、最も好ましくは22~40質量%である。構成脂肪酸組成中、ステアリン酸の含有量が20質量%を下回る場合、チョコレート類の軟化点を上げる効果が十分に得られない場合がある。45質量%を上回る場合、くちどけが悪化する場合がある。
(d-5)35℃のSFC%が、30%以上であることが好ましく、より好ましくは30~50%であり、さらに好ましくは35~50%である。35℃のSFC%が30%を下回る場合、チョコレート類の軟化点を上げる効果が十分に得られない場合がある。
(d-6)45℃のSFC%が、20%以下であることが好ましく、より好ましくは2.5~20%であり、さらに好ましくは3~20%であり、最も好ましくは3.5~17%である。45℃のSFC%が20%を超える場合、くちどけが悪化する場合がある。
ある態様において、本発明のチョコレート類に含まれるチョコレート類用油脂Dに使用可能な油脂類は、前記構成を満たせば、使用する油脂類に特に制限はないが、その中でも、下記、油脂成分X、油脂成分Y及び油脂成分Zを必須成分として含む原料油脂を使用したエステル交換油脂であることが好ましい。前記構成を満たす範囲内でその他油脂類を配合しても良い。下記の融点の記載は上昇融点を意味する。
油脂成分X:非ラウリンかつ非パーム高融点油脂(融点50℃以上70℃以下)
油脂成分Y:パーム高融点油脂(融点40℃以上70℃以下)
油脂成分Z:ラウリン高融点油脂(融点35℃以上50℃以下)
上記、非ラウリンかつ非パーム高融点油脂とは、ラウリン脂およびパーム油を実質的に含まない高融点油脂である。ラウリン脂およびパーム油を実質的に含まない油脂類を原材料として、加工して得られる高融点油脂が例示できる。
上記、パーム高融点油脂とは、パーム油の高融点油脂であって、パーム油を分別した高融点部、硬化等加工して得られる高融点油脂が例示できる。
上記、ラウリン高融点油脂とは、ラウリン油脂の高融点油脂であって、ラウリン油脂を分別した高融点部、硬化等加工して得られる高融点油脂が例示できる。なお、ラウリン油脂を90質量%以上含む原料油脂を加工して得られる高融点油脂であれば良く非ラウリン油脂を含んでも良い、加工方法としては、ヨウ素価1以下を目標として行う極度硬化であることが好ましい。
ある態様において、本発明のチョコレート類は、前記チョコレート類用油脂Aの配合を必須として、前記チョコレート類用油脂Dを含有し、チョコレート類用油脂Aとチョコレート類用油脂Dの質量比が99:1~60:40である。チョコレート類用油脂Aとチョコレート類用油脂Dの質量比は、好ましくは98:2~65:35であり、さらに好ましくは95:5~65:35である。チョコレート類用油脂Aとチョコレート類用油脂Dの質量比が99:1~60:40であることにより好ましいくちどけが得られる。
ある態様において、本発明のチョコレート類は、軟化点が33~40℃であることが好ましく、より好ましくは34~40℃であり、さらに好ましくは36~40℃であり、最も好ましくは38~40℃である。本発明のチョコレート類の軟化点が33℃未満である場合、コーティング用途で使用する場合に固化速度が遅くなる場合がある。40℃を超える場合、くちどけが悪化する場合がある。
本発明のチョコレート類とは、全国チョコレート業公正取引協議会、チョコレート利用食品公正取引協議会で規定されるチョコレート、準チョコレート、およびチョコレート利用食品に限定されるものではなく、油脂類を必須成分とし、カカオマス、ココア、ココアバター、ココアバター代用脂、ハードバター等を利用した油脂加工食品をも包含するものである。
本発明のチョコレート類に用いられる油脂類としては、所定量の前記チョコレート類用油脂Aを含む点、及び各発明で明記した以外の点においては、本発明のチョコレート類に含まれる油脂に使用可能な油脂類を、特に制限なく選択することができる。
さらに、本発明のチョコレート類に用いられる原材料として油脂類に加え、乳成分、その他可食物を適宜組み合わせる事が出来る。
その他添加物としては、乳化剤・酸化防止剤・香料・色素等が挙げられるが、種類・量ともに限定はされず、添加しなくてもかまわない。
尚、乳化剤として、通常チョコレート類の製造に使用される乳化剤を使用することができる。グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリソルベート、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルが例示できる。これらは2種以上を組み合わせて使用しても良い。
本発明のチョコレート類は、一般的なチョコレート類を製造する要領で行うことができる。一例を挙げれば、油脂類、糖類、カカオマス、ココアバター、ココアパウダー、粉乳等の各種粉末食品、乳化剤、酸化防止剤、香料、色素等を原料とし、混合工程、微粒化工程(ロール掛け)、精練工程(コンチング処理)、冷却工程等を有する。また、他の例を挙げれば、前記と同様の原料を混合工程、微粒化工程(ボールミル、ビーズミルによる粉砕)、攪拌工程、冷却工程等を有する。
また本発明は、前記チョコレート類用油脂Aに加えて、前記チョコレート類用油脂B、前記液状油脂C、前記チョコレート類用油脂Dのいずれか一つ以上を用いてチョコレート類を調製することにより、チョコレート類の軟化点を30~40℃の範囲で制御する方法と捉えることができる。
以下に本発明の実施例を示し、本発明をより詳細に説明する。なお、例中、%及び部はいずれも質量基準を意味する。
(脂肪酸組成の測定方法)
油脂の構成脂肪酸組成は、基準油脂分析試験法2.4.2.1-2013により測定した。
(SFCの測定方法)
分析装置はBruker社製“minispecmq20”を使用した。SFC測定は、IUPAC2.150a (Solid Content Determination in Fats by NMR)に準じて行った。
(油脂1の製造)
硬化ヤシ油(ヨウ素価1以下)75質量%、パーム分別高融点部(ヨウ素価31)15質量%、ハイエルシン菜種極度硬化油10質量%を配合した原料油脂に対し、ナトリウムメチラートを触媒として0.2質量%添加し、80℃にて30分ランダムエステル交換を行った後、常法に従い水洗、脱色、脱臭を行った。これを油脂1とした。
(油脂2の製造)
パーム核油35質量%、パーム核極度硬化油38質量%、パーム分別高融点部(ヨウ素価31)15質量%、パーム極度硬化油2質量%、ハイエルシン菜種極度硬化油10質量%を配合した原料油脂に対し、ナトリウムメチラートを触媒として0.2質量%添加し、80℃にて30分間ランダムエステル交換を行った後、常法に従い水洗、脱色、脱臭を行った。これを油脂2とした。
(油脂3の製造)
パーム油43重量%、パーム分別高融点部(ヨウ素価12)34重量%、ハイオレイックヒマワリ極度硬化油(ヨウ素価2)12重量%、ハイオレイックヒマワリ油11重量%からなる配合油を、ナトリウムメチラートによりランダムエステル交換を行い、得られたエステル交換油脂をヘキサン及びアセトン分別により、高融点部と低融点部を除去し、得られた分別中融点部を常法に従い脱色脱臭を行った。これを油脂3とした。
その他、不二製油株式会社製「パルケナH」及び「メラノSTS」を用いた。それぞれ以下では油脂4及び油脂5と呼称する。
以上の油脂1~油脂5の分析値を表1に示す。
(表1)
Figure 2024053761000001
表1記載の油脂1~油脂5の構成脂肪酸組成の分析値が、以下に示す、チョコレート類用油脂Aの構成要件を満たすか評価した。
(チョコレート類用油脂Aの構成要件)
(a-1)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が80質量%以上
(a-2)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が30~40質量%
(a-3)構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5~5質量%
(a-4)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が0.5~15質量%
(a-5)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸の含有量が5質量%以下
(a-6)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸/ステアリン酸比が1~2
油脂1及び油脂2は、チョコレート類用油脂Aの構成要件である、(a-1)~(a-6)の全てを満たすものであった。
油脂3は、チョコレート類用油脂Aの構成要件である、(a-1)~(a-4)、及び(a-6)を満たさないものであった。
油脂4は、チョコレート類用油脂Aの構成要件である、(a-2)~(a-4)、及び(a-6)を満たさないものであった。
油脂5は、チョコレート類用油脂Aの構成要件である、(a-1)~(a-6)全てを満たさないものであった。
(検討1)
表2の配合に従い、油脂1~油脂5を含む、実施例1~実施例2、比較例1~比較例4、参考例1のチョコレート類を作製した。
尚、作製したチョコレート類は、基準油脂分析試験法2.3.4.3-86に従い、軟化点を測定した。その結果も併せて示す。
(表2)
Figure 2024053761000002
得られたチョコレート類を溶解し、45℃まで冷却したのち、アルミカップに5gずつ充填したチョコレート類を冷蔵庫で10分冷却した後、20℃でエージングした。その後、風味(トップ)、風味(アフター)、及びくちどけについての官能評価を行った。官能評価の基準は以下の通りである。
尚、本実施例における風味(アフター)とは、いわゆる喫食時の後半に感じる風味を示すことから、「後味」とも表現され得るものである。また換言すれば「ラストの風味」と表現され得るものである。
(官能評価の基準)
評価は日々、チョコレートの開発に従事し、チョコレートの試作を行っているパネラー5名により下記の評価基準に基づき、パネラー5名による合議を経て、いずれの評価項目においても、3点以上を合格とした。
◆風味(トップ)
5点:非常に強い
4点:強い
3点:一般的な強度
2点:弱い
1点:非常に弱い
◆風味(アフター)
5点:非常に強い
4点:強い
3点:一般的な強度
2点:弱い
1点:非常に弱い
◆くちどけ
5点:非常に良好
4点:良好
3点:一般的なくちどけ
2点:悪い
1点:非常に悪い
(コーティング試験)
チョコレート類を溶解し50℃に調温、室温(20℃)でビスケット(森永製菓製「MOON LIGHT」)にコーティングした。ビスケットへのチョコレート類の目付量はそれぞれ3g前後となるよう調整した。その際にチョコレートの表面が固化するまでの時間(乾き時間)を計測した。併せて、表面のべたつきの評価、観察を行った。乾き時間とべたつきの評価方法/基準は以下の通りである。
(コーティング試験の評価基準)
◆乾き時間
ココアパウダーを含むチョコレートにあっては、コーティング後室温にて300秒以内にチョコレートの表面が乾いた場合は合格とした。
ココアパウダーを含まないチョコレートにあっては、コーティング後室温にて500秒以内にチョコレートの表面が乾いた場合は合格とした。
尚、ビスケットにコーティングされたチョコレート類を指で触り、その指にチョコレート類が付着しなかった(チョコレート類に指紋がつく程度であった)場合は乾いていると評価した。
◆べたつき
なし:チョコレート類をコーティングしたビスケットを25℃に2時間保存後、指で触っても指にチョコレート類が付着しないか、指紋がつく程度である。
あり:チョコレート類をコーティングしたビスケットを25℃に2時間保存後、指で触ると柔らかくチョコレート類が指に付着する。
「なし」を合格とした。
(表3)
Figure 2024053761000003
(保存テスト)
アルミカップに5gずつ充填した前記チョコレート類と、ビスケットにコーティングした前記チョコレート類について、20℃1週間エージングした。以下の条件および基準に基づき、経時的なチョコレート類表面のブルーム発生状況を観察した。尚、表面はアルミカップに充填したチョコレート類の表面を観察することにより、断面はアルミカップに充填したチョコレート類をエージングしたのちにナイフで切断したのちに切断面を観察することにより、クッキー表面はビスケットにコーティングしたチョコレート類の表面を観察することにより評価した。
(保存テストの条件)
・15℃一定
・17℃一定
・20℃一定
・17℃/28℃サイクル:1日で17℃と28℃を反復するサイクル条件(17℃8時間、4時間昇温、28℃8時間、降温4時間)
・17℃/30.5℃サイクル:1日で17℃と30.5℃を反復するサイクル条件(17℃8時間、4時間昇温、30.5℃8時間、降温4時間)
・20℃/32℃サイクル:1日で20℃と32℃を反復するサイクル条件(20℃8時間、4時間昇温、32℃8時間、降温4時間)
(ブルーム評価の基準)
以下の基準にて評価を行い、試験を行った全ての試験区/温度帯で4週間経過後にブルーム発現が見られないもの(-または±)を合格とした。
-:ブルームなし
±:表面にわずかな曇りあり
+:表面が明らかに白くブルームあり
++:顕著なブルームあり
(表4)ブルーム耐性に関する保存テスト/表面
Figure 2024053761000004
(表5)ブルーム評価/断面
Figure 2024053761000005
(表6)ブルーム評価/クッキー表面
Figure 2024053761000006
(検討1の考察)
・実施例1及び実施例2は、官能評価(風味(トップ)、風味(アフター)、及びくちどけ)、コーティング試験の評価(乾き時間(秒)、及びべたつき)、及びブルーム評価いずれの項目においても、設定した基準を満たし、良好であった。
・比較例1及び比較例2は、ブルーム評価が、いずれか一つ以上の試験区におけるいずれか一つ以上の温度帯において、設定した基準を満たさず、不良であった。乳化剤であるソルビタントリステアレートが配合されていない為と考えられる。
・比較例3は、官能評価(風味(トップ)及びくちどけ)、及びコーティング試験の評価(乾き時間(秒))の結果が、設定した基準を満たさず、不良であった。チョコレート類用油脂Aの構成要件を満たすチョコレート類用油脂が使用されていない為と考えられる。
・比較例4は、官能評価(くちどけ)、及び、いずれか一つ以上の試験区におけるいずれか一つ以上の温度帯におけるブルーム評価が、設定した基準を満たさず、不良であった。チョコレート類用油脂Aの構成要件を満たすチョコレート類用油脂が使用されていない為と考えられる。
・参考例1は、トランス脂肪酸を多く含むチョコレート類用油脂であり、チョコレート類の評価について設定した基準を全て満たすことが確認された。
(検討2)
続いて、検討1で得られたチョコレート類より、軟化点を下げつつ、所定の品質を得ることを目的に、チョコレート類用油脂として、エステル交換油α又はエステル交換油βを併用する検討を行った。これらは、酵素触媒又は化学触媒により得られるランダムエステル交換油である。それぞれ油脂6及び油脂7と呼称する。
以上の油脂6~油脂7の構成脂肪酸組成の分析値を表7に示す。
(表7)

Figure 2024053761000007
表7記載の油脂6~油脂7の構成脂肪酸組成の分析値が、先述のチョコレート類用油脂A及び以下に示すチョコレート類用油脂Bの構成要件を満たすか評価した。
(チョコレート類用油脂Bの構成要件)
(b-1)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸の含有量が20質量%以上
(b-2)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が25質量%以上
油脂6及び油脂7はいずれも、チョコレート類用油脂Aの構成要件である、(a-1)~(a-4)、及び(a-6)を満たさないものであったが、チョコレート類用油脂Bの構成要件である、(b-1)及び(b-2)の全てを満たすものであった。
(検討2)
表8の配合に従い、油脂1、油脂2、油脂6、油脂7を含む、実施例3~実施例4、比較例5~比較例6のチョコレート類を作製した。尚、作製したチョコレート類は、基準油脂分析試験法2.3.4.3-86に従い、軟化点を測定した。その結果も併せて示す。
さらに、得られたチョコレート類を溶解し、先に述べた方法、基準で試験、評価を行った。その結果を表7に示す。尚、ブルーム耐性に関する保存テストについては、(検討1)と同様、4週間にわたり行ったが、いずれの試験区、温度帯でもブルームの発現は観察されなかった為、結果の表は省略する。
(表8)

Figure 2024053761000008
(表9)

Figure 2024053761000009
(検討2の考察)
・実施例3及び実施例4は、官能評価(風味(トップ)、風味(アフター)、及びくちどけ)、コーティング試験の評価(乾き時間(秒)、及びべたつき)、及びブルーム評価いずれの項目においても、設定した基準を満たし、良好であった。
・比較例5及び比較例6は、コーティング試験の評価(べたつき)の結果が、設定した基準を満たさず、不良であった。チョコレート類用油脂Aの構成要件を満たすチョコレート類用油脂と併用する、チョコレート類用油脂Bの構成要件を満たす油脂が、それぞれ適切な質量比で配合されていない為と考えられる。
(検討3)
続いて、検討2で得られたチョコレート類より、更に軟化点を下げる目的で、液状油脂である、ヨウ素価68のパーム軟質油の使用を検討した。該パーム軟質油は構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量は36.6質量%、ラウリン酸の含有量は0.3質量%、ベヘン酸の含有量は0.0質量%、不飽和脂肪酸の含有量は63.2質量%、トランス脂肪酸の含有量は0.7質量%、パルミチン酸/ステアリン酸比は9.4であり、ヨウ素価は68であり、20℃SFC%は0.0%であった。
該パーム軟質油の分析値が、先述のチョコレート類用油脂A及び以下に示す液状油脂Cの構成要件を満たすか評価した。
(液状油脂Cの構成要件)
ヨウ素価60以上であり、かつ20℃SFC%が10%以下である。
該パーム軟質油は、チョコレート類用油脂Aの構成要件である、(a-1)~(a-4)、及び(a-6)を満たさないものであったが、チョコレート類用油脂Cの構成要件を満たすものであった。以下では油脂8と呼称する。
表10の配合に従い、油脂1、油脂2、油脂8を含む、実施例5~実施例8、比較例7~比較例8のチョコレート類を作製した。
さらに、得られたチョコレート類を溶解し、先に述べた方法、基準で試験、評価を行った。その結果を表11に示す。尚、ブルーム耐性に関する保存テストについては、(検討1)と同様、4週間にわたり行ったが、いずれの試験区、温度帯でもブルームの発現は観察されなかった為、結果の表は省略する。
(表10)

Figure 2024053761000010
(表11)
Figure 2024053761000011
(検討3の考察)
・実施例5~実施例8は、官能評価(風味(トップ)、風味(アフター)、及びくちどけ)、コーティング試験の評価(乾き時間(秒)、及びべたつき)、及びブルーム評価いずれの項目においても、設定した基準を満たし、良好であった。検討2で試作した比較例5と同様の軟化点(32.2℃)をもつ実施例8であっても、所定の品質を保つことができた。
・比較例7~比較例8は、コーティング試験の評価(べたつき)の結果が、設定した基準を満たさず、不良であった。チョコレート類用油脂Aの構成要件を満たすチョコレート類用油脂と併用する、液状油脂Cの構成要件を満たす油脂が、それぞれ適切な質量比で配合されていない為と考えられる。
(検討4)
続いて、検討1で得られたチョコレート類より、軟化点を上げる目的の検討を行った。当該目的のため、以下に挙げる油脂9を製造した。
即ち、パーム核極度硬化油45.6質量%、パーム分別高融点部(ヨウ素価31)10質量%、パーム極度硬化油23.4質量%、ハイオレイックヒマワリ油2.3質量%、ハイオレイックヒマワリ極度硬化油8.7質量%、ハイエルシン菜種極度硬化油10質量%を配合した原料油脂に対し、ナトリウムメチラートを触媒として0.2質量%添加し、80℃にて30分間ランダムエステル交換を行った後、常法に従い水洗、脱色、脱臭を行った。
得られた構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量は88.2質量%、ラウリン酸の含有量は20.8質量%、ステアリン酸の含有量は34.2質量%、ベヘン酸の含有量は4.8質量%、不飽和脂肪酸の含有量は5.7質量%、トランス脂肪酸の含有量は0.0質量%、パルミチン酸/ステアリン酸比は0.7、ラウリン酸/ステアリン酸比は0.6、35℃のSFCが47.7%、45℃のSFCが8.8%であった。
油脂9の構成脂肪酸組成の分析値が、先述のチョコレート類用油脂A及び以下に示すチョコレート類用油脂Dの構成要件を満たすか評価した。
(チョコレート類用油脂Dの構成要件)
(d-1)構成脂肪酸組成中の不飽和脂肪酸の含有量が、0.5~15質量%
(d-2)構成脂肪酸組成中のパルミチン酸/ステアリン酸比が、2以下
(d-3)構成脂肪酸組成中のラウリン酸/ステアリン酸比が、1.9以下
(d-4)構成脂肪酸組成中のステアリン酸の含有量が、20~45質量%
(d-5)35℃のSFC%が30%以上
(d-6)45℃のSFC%が20%以下
油脂9は、チョコレート類用油脂Aの構成要件である、(a-2)、及び(a-6)を満たさないものであったが、チョコレート類用油脂Dの構成要件である、(d-1)~(d-6)の全てを満たすものであった。
表12の配合に従い、油脂1、油脂2、油脂9を含む、実施例9~実施例10、比較例9~比較例10のチョコレート類を作製した。
さらに、得られたチョコレート類を溶解し、先に述べた方法、基準で試験、評価を行った。その結果を表13に示す。尚、ブルーム耐性に関する保存テストについては、(検討1)と同様、4週間にわたり行ったが、いずれの試験区、温度帯でもブルームの発現は観察されなかった為、結果の表は省略する。
(表12)
Figure 2024053761000012
(表13)
Figure 2024053761000013
(検討4の考察)
・実施例9~実施例10は、官能評価(風味(トップ)、風味(アフター)、及びくちどけ)、コーティング試験の評価(乾き時間(秒)、べたつき)、及びブルーム評価いずれの項目においても、設定した基準を満たし、良好であった。また軟化点についても検討1における実施例よりも高めることができた。
・比較例9~比較例10は、官能評価(風味(トップ)、及び風味(アフター))、及びコーティング試験の評価(べたつき)の結果が、設定した基準を満たさず、不良であった。チョコレート類用油脂Aの構成要件を満たすチョコレート類用油脂と併用する、チョコレート類用油脂Dの構成要件を満たすチョコレート類用油脂が、それぞれ適切な質量比で配合されていない為と考えられる。
本発明により、特定のチョコレート類用油脂を複数組み合わせて使用することで、トランス脂肪酸含有量の低減を実現しながら、テンパリング操作が不要で、風味、くちどけ、固化速度、ブルーム耐性に優れるチョコレート類を提供することができる。また、特定のチョコレート類用油脂を適切に組み合わせることにより、幅広いチョコレート類の軟化点を有する、該チョコレート類を得ることができる。

Claims (22)

  1. 軟化点が32~37℃であるチョコレート類であって、該チョコレート類中に、以下(a-1)~(a-6)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であるチョコレート類用油脂Aを5~50質量%含み、かつココアバターを2~30質量%含み、かつ乳脂肪を20質量%以下含み、かつソルビタントリステアレートを0.1~2質量%含む、チョコレート類。
    (a-1)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が80~99質量%
    (a-2)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が30~40質量%
    (a-3)構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5~5質量%
    (a-4)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が0.5~15質量%
    (a-5)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸の含有量が5質量%以下
    (a-6)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸/ステアリン酸比が1~2
  2. 軟化点が30~37℃であるチョコレート類であって、該チョコレート類中に、以下(a-1)~(a-6)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であるチョコレート類用油脂Aと、以下(b-1)~(b-2)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であるチョコレート類用油脂Bを含有し、チョコレート類用油脂Aとチョコレート類用油脂Bの質量比が99:1~25:75である、チョコレート類。
    (a-1)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が80~99質量%
    (a-2)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が30~40質量%
    (a-3)構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5~5質量%
    (a-4)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が0.5~15質量%
    (a-5)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸の含有量が5質量%以下
    (a-6)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸/ステアリン酸比が1~2
    (b-1)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸の含有量が20質量%以上
    (b-2)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が25質量%以上
  3. ココアバターをチョコレート類中に2~30質量%含む、請求項2記載のチョコレート類。
  4. ソルビタントリステアレートをチョコレート類中に0.1~2質量%含む、請求項2又は請求項3記載のチョコレート類。
  5. 軟化点が30~37℃であるチョコレート類であって、該チョコレート類中に、以下(a-1)~(a-6)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であるチョコレート類用油脂Aと、以下(c-1)~(c-2)の構成を満たす液状油脂Cを含有し、チョコレート類用油脂Aと液状油脂Cの質量比が99:1~70:30である、チョコレート類。
    (a-1)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が80~99質量%
    (a-2)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が30~40質量%
    (a-3)構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5~5質量%
    (a-4)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が0.5~15質量%
    (a-5)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸の含有量が5質量%以下
    (a-6)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸/ステアリン酸比が1~2
    (c-1)ヨウ素価60以上である
    (c-2)20℃SFC%が10%以下である
  6. ココアバターをチョコレート類中に2~30質量%含む、請求項5記載のチョコレート類。
  7. ソルビタントリステアレートをチョコレート類中に0.1~2質量%含む、請求項5又は請求項6記載のチョコレート類。
  8. 軟化点が33~40℃であるチョコレート類であって、該チョコレート類中に、以下(a-1)~(a-6)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であるチョコレート類用油脂Aと、以下(d-1)~(d-6)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であるチョコレート類用油脂Dを含有し、チョコレート類用油脂Aとチョコレート類用油脂Dの質量比が99:1~60:40である、チョコレート類。
    (a-1)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が80~99質量%
    (a-2)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が30~40質量%
    (a-3)構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5~5質量%
    (a-4)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が0.5~15質量%
    (a-5)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸の含有量が5質量%以下
    (a-6)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸/ステアリン酸比が1~2
    (d-1)構成脂肪酸組成中の不飽和脂肪酸の含有量が、0.5~15質量%
    (d-2)構成脂肪酸組成中のパルミチン酸/ステアリン酸比が、2以下
    (d-3)構成脂肪酸組成中のラウリン酸/ステアリン酸比が、1.9以下
    (d-4)構成脂肪酸組成中のステアリン酸の含有量が、20~45質量%
    (d-5)35℃のSFC%が30%以上
    (d-6)45℃のSFC%が20%以下
  9. ココアバターをチョコレート類中に2~30質量%含む、請求項8記載のチョコレート類。
  10. ソルビタントリステアレートをチョコレート類中に0.1~2質量%含む、請求項8又は請求項9記載のチョコレート類。
  11. 請求項1~請求項3記載のチョコレート類の製造方法。
  12. 請求項4記載のチョコレート類の製造方法。
  13. 請求項5~請求項6記載のチョコレート類の製造方法。
  14. 請求項7記載のチョコレート類の製造方法。
  15. 請求項8~請求項9記載のチョコレート類の製造方法。
  16. 請求項10記載のチョコレート類の製造方法。
  17. 以下の要件を満たすチョコレート類用油脂Aを用いてチョコレート類を調製することにより、チョコレート類の軟化点を32~37℃の範囲で制御することを特徴とする、チョコレート類の製造方法。
    ・チョコレート類用油脂Aは、以下の(a-1)~(a-6)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であることを要件とする。
    (a-1)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が80~99質量%以上
    (a-2)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が30~40質量%
    (a-3)構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5~5質量%
    (a-4)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が0.5~15質量%
    (a-5)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸の含有量が5質量%以下
    (a-6)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸/ステアリン酸比が1~2
  18. 以下の要件を満たすチョコレート類用油脂Aに加えて、以下の要件を満たすチョコレート類用油脂Bを用いてチョコレート類を調製することにより、チョコレート類の軟化点を30~37℃の範囲で制御することを特徴とする、チョコレート類の製造方法。
    ・チョコレート類用油脂Aは、以下の(a-1)~(a-6)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であることを要件とする。
    (a-1)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が80~99質量%
    (a-2)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が30~40質量%
    (a-3)構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5~5質量%
    (a-4)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が0.5~15質量%
    (a-5)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸の含有量が5質量%以下
    (a-6)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸/ステアリン酸比が1~2
    ・チョコレート類用油脂Bは、以下の(b-1)~(b-2)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であることを要件とする。
    (b-1)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸の含有量が20質量%以上
    (b-2)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が25質量%以上
  19. 以下の要件を満たすチョコレート類用油脂Aに加えて、以下の要件を満たす液状油脂Cを用いてチョコレート類を調製することにより、チョコレート類の軟化点を30~37℃の範囲で制御することを特徴とする、チョコレート類の製造方法。
    ・チョコレート類用油脂Aは、以下の(a-1)~(a-6)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であることを要件とする。
    (a-1)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が80~99質量%
    (a-2)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が30~40質量%
    (a-3)構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5~5質量%
    (a-4)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が0.5~15質量%
    (a-5)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸の含有量が5質量%以下
    (a-6)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸/ステアリン酸比が1~2
    ・液状油脂Cは、以下(c-1)~(c-2)の構成を満たすことを要件とする。
    (c-1)ヨウ素価60以上である
    (c-2)20℃SFC%が10%以下である
  20. 以下の要件を満たすチョコレート類用油脂Aに加えて、以下の要件を満たすチョコレート類用油脂Dを用いてチョコレート類を調製することにより、チョコレート類の軟化点を33~40℃の範囲で制御することを特徴とする、チョコレート類の製造方法。
    ・チョコレート類用油脂Aは、以下の(a-1)~(a-6)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であることを要件とする。
    (a-1)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が80~99質量%
    (a-2)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が30~40質量%
    (a-3)構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5~5質量%
    (a-4)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が0.5~15質量%
    (a-5)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸の含有量が5質量%以下
    (a-6)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸/ステアリン酸比が1~2
    ・チョコレート類用油脂Dは、以下の(d-1)~(d-6)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であることを要件とする。
    (d-1)構成脂肪酸組成中の不飽和脂肪酸の含有量が、0.5~15質量%
    (d-2)構成脂肪酸組成中のパルミチン酸/ステアリン酸比が、2以下
    (d-3)構成脂肪酸組成中のラウリン酸/ステアリン酸比が、1.9以下
    (d-4)構成脂肪酸組成中のステアリン酸の含有量が、20~45質量%
    (d-5)35℃のSFC%が30%以上
    (d-6)45℃のSFC%が20%以下
  21. 以下の要件を満たすチョコレート類用油脂Aに加えて、以下の要件を満たすチョコレート類用油脂B、液状油脂C、チョコレート類用油脂Dのいずれか一つ以上を用いてチョコレート類を調製することにより、チョコレート類の軟化点を30~40℃の範囲で制御することを特徴とする、チョコレート類の製造方法。
    ・チョコレート類用油脂Aは、以下の(a-1)~(a-6)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であることを要件とする。
    (a-1)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が80~99質量%
    (a-2)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が30~40質量%
    (a-3)構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5~5質量%
    (a-4)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が0.5~15質量%
    (a-5)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸の含有量が5質量%以下
    (a-6)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸/ステアリン酸比が1~2
    ・チョコレート類用油脂Bは、以下の(b-1)~(b-2)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であることを要件とする。
    (b-1)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸の含有量が20質量%以上
    (b-2)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が25質量%以上
    ・液状油脂Cは、以下(c-1)~(c-2)の構成を満たすことを要件とする。
    (c-1)ヨウ素価60以上である
    (c-2)20℃SFC%が10%以下である
    ・チョコレート類用油脂Dは、以下の(d-1)~(d-6)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であることを要件とする。
    (d-1)構成脂肪酸組成中の不飽和脂肪酸の含有量が、0.5~15質量%
    (d-2)構成脂肪酸組成中のパルミチン酸/ステアリン酸比が、2以下
    (d-3)構成脂肪酸組成中のラウリン酸/ステアリン酸比が、1.9以下
    (d-4)構成脂肪酸組成中のステアリン酸の含有量が、20~45質量%
    (d-5)35℃のSFC%が30%以上
    (d-6)45℃のSFC%が20%以下
  22. 以下の要件を満たすチョコレート類用油脂Aに加えて、以下の要件を満たすチョコレート類用油脂B、液状油脂C、チョコレート類用油脂Dのいずれか一つ以上を用いてチョコレート類を調製することにより、チョコレート類の軟化点を30~40℃の範囲で制御する方法。
    ・チョコレート類用油脂Aは、以下の(a-1)~(a-6)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であることを要件とする。
    (a-1)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が80~99質量%
    (a-2)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が30~40質量%
    (a-3)構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5~5質量%
    (a-4)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が0.5~15質量%
    (a-5)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸の含有量が5質量%以下
    (a-6)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸/ステアリン酸比が1~2
    ・チョコレート類用油脂Bは、以下の(b-1)~(b-2)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であることを要件とする。
    (b-1)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸の含有量が20質量%以上
    (b-2)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸の含有量が25質量%以上
    ・液状油脂Cは、以下(c-1)~(c-2)の構成を満たすことを要件とする。
    (c-1)ヨウ素価60以上である
    (c-2)20℃SFC%が10%以下である
    ・チョコレート類用油脂Dは、以下の(d-1)~(d-6)の構成を満たすランダム化されたトリグリセリド組成であることを要件とする。
    (d-1)構成脂肪酸組成中の不飽和脂肪酸の含有量が、0.5~15質量%
    (d-2)構成脂肪酸組成中のパルミチン酸/ステアリン酸比が、2以下
    (d-3)構成脂肪酸組成中のラウリン酸/ステアリン酸比が、1.9以下
    (d-4)構成脂肪酸組成中のステアリン酸の含有量が、20~45質量%
    (d-5)35℃のSFC%が30%以上
    (d-6)45℃のSFC%が20%以下
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