JP2024053184A - シリンダ装置 - Google Patents

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大和 久保
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Abstract

【課題】本発明は、モータとシリンダ装置が互いの振動を励起して発振することを防止し、安定した推力を発生可能なシリンダ装置の提供を目的とする。【解決手段】シリンダ装置Aは、シリンダ2と、シリンダ2内を二つの作動室R1,R2に区画するピストン3と、並列して作動室同士R1,R2を連通する第1流路4と第2流路5と、第1流路4の途中に設けられた第1可変絞り弁6と、第2流路5の途中に直列に設けられる第2可変絞り弁7およびモータ8によって駆動される双方向吐出型のポンプ9とを有する液圧シリンダ1と、第1可変絞り弁6、第2可変絞り弁7およびモータ8を制御するコントローラ11とを備え、コントローラ11は、モータ8が制動状態であって電圧指令が飽和していると、第1可変絞り弁6の絞り係数と第2可変絞り弁7の絞り係数の一方または両方を制御する。【選択図】図5

Description

本発明は、シリンダ装置に関する。
従来のシリンダ装置としては、たとえば、車両の車体と車軸との間に介装されるアクティブサスペンション等に適用され、具体的には、シリンダと、シリンダ内に移動自在に挿入されてシリンダ内を二つの作動室に区画するピストンと、ピストンに連結されるロッドと、並列して二つの作動室を連通する第1流路および第2流路と、第1流路に設けられた第1可変絞り弁と、第2流路に直列に設けられた第2可変絞り弁および双方向吐出型のポンプと、ポンプを駆動するモータとを有する油圧シリンダと、第1可変絞り弁、第2可変絞り弁およびモータを制御する制御装置とを備えて構成されている(たとえば、特許文献1参照)。
そして、従来のシリンダ装置は、アクティブサスペンションとして使用される場合、シリンダが車体と車軸の一方に連結されるとともに、ロッドが車体と車軸の他方に連結され、ポンプをモータによって駆動することによって推力を発生して、車体の振動を抑制できる。
さらに、従来のシリンダ装置では、油圧シリンダが外力によって強制的に伸縮させられる場合、第2流路を流れる作動油によってポンプが回転させられるため、モータが制動領域で使用され、モータが発生するトルクによってポンプが作動油の流れに抵抗を与える。そのため、油圧シリンダは、外力による油圧シリンダの伸縮を妨げる推力が発生する。前述のように、従来のシリンダ装置では、モータを力行領域で使用して油圧シリンダを積極的に伸縮させる場合の他に、モータが制動領域で使用される場合もモータが発生するトルクを制御することによりシリンダ装置が発生する推力を調整できる。
特開2009-196597号公報
ここで、シリンダ装置の機械的な共振周波数fmは、第1可変絞り弁の絞り係数をfv1、第2可変絞り弁の絞り係数をfv2、流体の体積弾性係数をKo、ポンプの押しのけ容積をVp、モータのロータの慣性モーメントをIm、上下室の初期体積をVとすると、以下の式1で表すことができる。
Figure 2024053184000002
他方、モータの電気的な共振周波数をfeとし、巻線の抵抗をRとし、巻線のインダクタンスをLとし、ロータの電気角速度をφとすると、共振周波数は以下の式2で表すことができる。式2からモータの電気的な共振周波数feは、ロータの電気角速度φに応じて変化し、モータの回転速度が高くなればなるほど共振周波数feの値も高くなることが解る。
Figure 2024053184000003
モータの回転速度が高速になって、電気的な共振周波数feの値が機械的な共振周波数fmの値に近づくと、互いの振動を励起して発振を引き起こすような振動モードが現れ、シリンダ装置が発生する推力が安定せずに振動的に変化する現象が生じる。なお、この現象は、特開2008-67581に開示されているように、モータが制動状態であること、モータの電圧指令が飽和状態であること、およびシリンダ装置の機械的な共振周波数とモータの電気的な共振周波数が近づくことという3つの条件がすべてそろった場合に発生することが知られている。
ところが、従来のシリンダ装置では、前述したように、外力によって伸縮してモータが制動領域で使用される場面が多くある。よって、従来のシリンダ装置では、外力の作用で非常に高速で伸縮する場合にモータが制動状態で動作し、かつ、モータの回転速度が高くなって、電気的な共振周波数feの値が機械的な共振周波数fmの値に接近してモータが発振する振動モードが発生して発生推力が振動的に変動する可能性がある。
そこで、本発明は、モータとシリンダ装置が互いの振動を励起して発振することを防止し、安定した推力を発生可能なシリンダ装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の課題解決手段におけるシリンダ装置は、シリンダと、シリンダ内に移動自在に挿入されてシリンダ内を二つの作動室に区画するピストンと、互いに並列して作動室同士を連通する第1流路と第2流路と、第1流路に設けられた第1可変絞り弁と、第2流路に直列に設けられる第2可変絞り弁およびモータによって駆動される双方向吐出型のポンプとを有する液圧シリンダと、第1可変絞り弁、第2可変絞り弁およびモータを制御するコントローラとを備え、コントローラは、モータが制動状態であって、モータの電圧指令が飽和していると判定すると、モータの回転速度を低下させて電気的な共振周波数を低下させると同時にシリンダ装置の機械的な共振周波数を変更するか、或いは、モータの回転速度或いはトルクの一方または両方を低下させるように第1可変絞り弁の絞り係数と第2可変絞り弁の絞り係数の一方または両方を制御する。
このように構成されたシリンダ装置によれば、モータが制動状態であり、かつ、モータの電圧指令が飽和していると判定することで、モータが発振する可能性があることを把握でき、モータの回転速度を低下させて電気的な共振周波数を低下させると同時にシリンダ装置の機械的な共振周波数を変更するか、或いはモータの回転速度とトルクの一方または両方を低下させてモータを制御可能な状態に復帰させることで、モータとシリンダ装置が互いの振動を励起して発振することを防止し、安定した推力を発生させることができる。
また、シリンダ装置におけるコントローラは、モータの回転速度とトルクとに基づいてモータが制動状態であるか否かを判定する制動状態判定部と、モータのq軸の電圧指令とd軸の電圧指令の合成ベクトル長さに基づいてモータの電圧指令の飽和を判定する飽和判定部とを備えてもよい。このように構成されたシリンダ装置によれば、モータの回転速度とトルクとに基づいて回転速度トルク座標系においてモータの動作点が制動状態となる第2象限と第4象限に存在していることを精度よく判定でき、また、q軸の電圧指令とd軸の電圧指令の合成ベクトル長さに基づいてモータの電圧指令の飽和を判定しているのでモータの電圧指令が飽和しているか否かを容易に判定でき、発振防止制御を実行する条件の見極めを正確かつ容易に行える。
以上より、本発明のシリンダ装置によれば、モータとシリンダ装置が互いの振動を励起して発振することを防止し、安定した推力を発生できる。
図1は、一実施の形態におけるシリンダ装置の概念図である。 図2は、一実施の形態におけるシリンダ装置の流量と差圧の関係を示したモデル図である。 図3は、モータの回転速度をポンプの通過流量に対応させるとともに、モータのトルクを液体がポンプを通過する際の差圧(圧力損失)に対応させたグラフである。 図4は、モータの回転速度と出力可能なトルクの範囲を示す図である。 図5は、コントローラの構成を示した図である。 図6は、発振防止制御部の構成を示した図である。
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。一実施の形態におけるシリンダ装置Aは、図1に示すように、液圧シリンダ1と、コントローラ11とを備えて構成されている。
以下、シリンダ装置Aの各部について詳細に説明する。液圧シリンダ1は、図1に示すように、シリンダ2と、シリンダ2内に移動自在に挿入されてシリンダ2内を二つの作動室R1,R2に区画するピストン3と、互いに並列して作動室R1,R2同士を連通する第1流路4と第2流路5と、第1流路4に設けられた第1可変絞り弁6と、第2流路5に直列に設けられる第2可変絞り弁7およびモータ8によって駆動される双方向吐出型のポンプ9とを備えて構成され、シリンダ2内には液体が充填され密閉されている。また、ピストン3はシリンダ2内に移動自在に挿通されるロッド10に連結されており、この液圧シリンダ1の場合、シリンダ2の両端からロッド10が突出する、いわゆる、両ロッド型のシリンダ装置とされている。
そして、液圧シリンダ1を車両に適用する場合、シリンダ2を車両のばね上部材およびばね下部材のうち一方に連結し、ロッド10をばね上部材およびばね下部材のうち他方に連結して、ばね上部材とばね下部材との間に介装すればよい。液圧シリンダ1は、車両に適用されて使用される場合、発揮する推力によってばね上部材である車両の車体とばね下部材である車両の車輪の振動を抑制する。
なお、本書では、ロッド10がピストン3とともにシリンダ2に対して図1中上方へ移動する場合に液圧シリンダ1が伸長作動すると言い、反対に、ロッド10がピストン3とともにシリンダ2に対して図1中下方へ移動する場合に液圧シリンダ1が収縮作動すると言う。なお、液圧シリンダ1は、図示したところでは、両ロッド型に設定されているが、片ロッド型に設定されてもよい。
シリンダ2内は、前述したようにピストン3によって図1中上方の伸側の作動室R1と図1中下方の圧側の作動室R2とに区画されており、各作動室R1,R2内には作動油等の液体が充填されている。液体は、作動油の他にも水や水溶液といった他の液体であってもよい。なお、液圧シリンダ1は、前述したように両ロッド型の液圧シリンダとされており、シリンダ2に対してロッド10がピストン3とともに図1中上下方向に移動してもシリンダ2内でロッド10が押し退ける容積が変化しないため、ロッド10がシリンダ2内に出入りする体積の補償をするリザーバを備えていないが、液体の温度変化による体積変化を補償するためにシリンダ2内に連通されるアキュムレータを備えていてもよい。
ポンプ9は、双方向吐出型に設定され、たとえば、ベーンポンプ、ギアポンプやアキシャルポンプ等、図示しない回転軸を備えて当該回転軸の回転によって流体を吸込んで吐出することができるとともに、逆に流体の流れによって回転軸を強制的に駆動することができるものであればよい。さらに、ポンプ9の回転軸は、モータ8に接続されており、モータ8は、本実施の形態では3相ブラシレスDCモータとされており、通電によって駆動することができるとともに、ポンプ9側からの入力によって強制的に回転駆動させられると発電してポンプ9の回転を抑制するトルクを発生できる。
液圧シリンダ1は、モータ8によってポンプ9を回転駆動して液体を伸側の作動室R1から圧側の作動室R2へ、あるいは、圧側の作動室R2から伸側の作動室R1へ第2流路5を介して送り込むことで、自発的に伸縮できるとともに、望む方向へ推力を発生することができる。また、液圧シリンダ1は、液圧シリンダ1が外部入力によって強制的に伸縮させられる場合、伸側の作動室R1から圧側の作動室R2へ、あるいは、圧側の作動室R2から伸側の作動室R1へ、第2流路5を介して移動する液体の流れにモータ8のトルクが伝達されるポンプ9で抵抗を与えて伸縮を妨げる方向に推力を発生することができる。
さらに、液圧シリンダ1が強制的に伸縮させられる場合、第2流路5を行き来する液体の流れによってポンプ9を介してモータ8が強制的に駆動されるため、モータ8によって液体の運動エネルギが電気エネルギに変換されて電力回生できる。なお、モータ8によって回生した電力は、外部機器へ送電してもよいし、蓄電器に蓄電するようにしてもよい。
転じて、第1可変絞り弁6は、ポンプ9を迂回して作動室R1,R2同士を連通する第1流路4に設けられており、第2可変絞り弁7は、ポンプ9とともに第2流路5に設けられている。よって、第1可変絞り弁6は、第2可変絞り弁7およびポンプ9に対して並列に配置されている。これら第1可変絞り弁6および第2可変絞り弁7は、開度や弁通路長を変更することで、圧力損失に対する通過流量の比である絞り係数を変更することができるようになっており、具体的にはたとえば、可変チョークや可変オリフィスといった種々の弁を使用することができ、また、図示しない弁体をソレノイドやモータ等の駆動源で駆動することによって絞り係数を変更できるようになっている。これら第1可変絞り弁6および第2可変絞り弁7における絞り係数を変更する駆動源はコントローラ11によって制御される。
なお、ポンプ9と第2可変絞り弁7の配置関係であるが、ポンプ9は作動室R1と作動室R2のいずれに側に配置してもよい。また、シリンダ2内に充填される流体は、たとえば、油、水、水溶液、気体等、どのような流体を使用しても良い。
さて、このように構成された液圧シリンダ1は、モータ8にコントローラ11側から電力供給してポンプ9を駆動させる場合には、自ら伸縮するアクチュエータとして機能することができるが、反対に、外力を受けて液圧シリンダ1が伸縮させられる場合、モータ8のトルクでポンプ9の回転を抑制する、すなわち、モータ8を制動領域で使用してモータ8にポンプ9の回転方向とは逆のトルクを発生させるようにし、モータ8、第1可変絞り弁6および第2可変絞り弁7とで協働して減衰力を発生できる。そして、モータ8を制動領域で使用する際、これら第1可変絞り弁6および第2可変絞り弁7の絞り係数を調節することによってモータ8の回転速度とトルクをコントロールすることが可能である。
なお、モータ8に電流を与えてポンプ9を駆動する、つまり、モータ8を力行領域で使用して、液圧シリンダ1をアクチュエータとして機能させる場合、第1可変絞り弁6を全閉として第1流路4を介しての作動室R1,R2同士が連通されないようにしつつ、第2可変絞り弁7を全開として第2可変絞り弁7によって液体の流れに無用な抵抗を与えてエネルギ損失を生じないようにする。
ここで、液圧シリンダ1が外力で伸縮させられる場合におけるモータ8の負荷(回転速度とトルク)のコントロールについて、図2に示すモデル図を使用して説明する。なお、ポンプ9は、モータ8から伝達されるトルクによって液体の流れに抵抗を与え、液体通過時に圧力損失を生じさせることから、可変絞り弁と同等に取り扱うことができるため、図2中では、モータ8およびポンプ9を一つの可変絞り弁Mとして記載している。
そして、液圧シリンダ1の伸縮時における一方の作動室R1と他方の作動室R2との差圧をΔPとし、一方の作動室R1から流出する流体の単位時間当たりの流量(以下、単に流量という)をQとし、第1可変絞り弁6を通過する流体の流量q1を第1可変絞り弁6で生じる差圧(圧力損失)ΔPで除した比である絞り係数をC1とし、第2可変絞り弁7を通過する流体の流量q2を第2可変絞り弁7で生じる差圧(圧力損失)Δp2で除した比である絞り係数をC2とし、モータ8とポンプ9でなる可変絞り弁Mを通過する流体の流量q2を可変絞り弁Mで生じる差圧(圧力損失)Δpmで除した比である絞り係数をC3とすると、下記式3が得られる。
Figure 2024053184000004
ここで、C=C2×C3/(C2+C3)とおくと、式3は下記式4と書くことができる。
Figure 2024053184000005
さらに、全体の流量Q=q1+q2が成り立ち、第1可変絞り弁6で生じる差圧ΔPは、第2可変絞り弁7とモータ8とポンプ9でなる可変絞り弁Mの全体で生じる差圧に等しいので、以下の式5が成立する。
Figure 2024053184000006
式5を式4に代入してまとめると、以下の式6を得る。
Figure 2024053184000007
そして、上記式6から理解できるように、流量Qおよび差圧ΔPを変化させない場合、絞り係数C1を変更することで、流量q2を変更することができる。
つまり、絞り係数C1を変更することによってポンプ9を迂回する第1可変絞り弁6における流量q1を調整することで、可変絞り弁Mを通過する流量q2を変更することができ、たとえば、第1可変絞り弁6を全閉状態から全開状態に移行する場合、流量q2を増減させて、モータ8の回転速度を増減させることができる。
また、第2可変絞り弁7と可変絞り弁Mにおける流量はq2であり、全体の差圧はΔPであり、可変絞り弁Mにおける差圧(圧力損失)はΔpmであり、第2可変絞り弁7と可変絞り弁Mの合成絞り係数Cは、上述のようにC=C2×C3/(C2+C3)となるため、第2可変絞り弁7と可変絞り弁Mにのみ着目して整理すると、下記式7を得る。
Figure 2024053184000008
そして、上記式7から理解できるように、流量q2および差圧ΔPを変化させない場合、絞り係数C2を変更することで、可変絞り弁Mにおける差圧Δpmを変更することができる。
つまり、絞り係数C2を変更することによってポンプ9を流体が通過する際に生じる差圧Δpmを変更することができ、たとえば、第2可変絞り弁7を全閉状態から全開状態に移行する場合、差圧Δpmを増減させて、モータ8で負担すべきトルクを増減させることができる。
以上のことを、流量Qおよび差圧ΔPを一定にした状態において、モータ8の回転速度をポンプ9の通過流量に対応させるとともに、モータ8のトルクを流体がポンプ9を通過する際の差圧(圧力損失)に対応させた図3に示すグラフを参照して説明すると、第2可変絞り弁7の絞り係数C2を変更することでモータ8の負担すべきトルク(負担トルク)を縦軸に沿って調節でき、第1可変絞り弁6の絞り係数C1を変更することでモータ8の回転速度を横軸に沿って調節することができるということになる。モータ8の負担トルクは、モータ8とポンプ9との間で作用するトルクであり、シリンダ装置Aが所望の推力を出力するためにモータ8からポンプ9に加える必要があるトルクと看做すことができる。なお、本書では、液圧シリンダ1が自発的に伸縮している場合であっても負担トルクという名称を用いる。
詳しくは、図3中の点aは、第2可変絞り弁7を全開にして絞り係数C2を最大にし、第1可変絞り弁6を全閉にして絞り係数C1を最小にした状態におけるモータ8の回転速度と負担トルクとの関係を示し、点bは、第2可変絞り弁7を全開にして絞り係数C2を最大にし、第1可変絞り弁6を全開にして絞り係数C1を最大にした状態におけるモータ8の回転速度と負担トルクとの関係を示し、点cは、第2可変絞り弁7を全閉にして絞り係数C2を最小にし、第1可変絞り弁6を全閉にして絞り係数C1を最小にした状態におけるモータ8の回転速度と負担トルクとの関係を示し、点dは、第2可変絞り弁7を全閉にして絞り係数C2を最小にし、第1可変絞り弁6を全開にして絞り係数C1を最大にした状態におけるモータ8の回転速度と負担トルクとの関係を示している。すなわち、第1可変絞り弁6および第2可変絞り弁7における絞り係数C1,C2を変更することで点a,b,c,dで囲まれる範囲でモータ8の回転速度と負担トルクを調節することができる。
具体的には、モータ8の回転速度と負担トルクの交点(モータの動作点)が点aにあるときに、第1可変絞り弁6における絞り係数C1を大きくしていくと、点b側へシフトさせることができ、第2可変絞り弁7における絞り係数C2を小さくしていくと、点c側へシフトさせることができ、第1可変絞り弁6における絞り係数C1を大きくし第2可変絞り弁7における絞り係数C2を小さくしていくと点d側へシフトさせることができるのである。つまり、第1可変絞り弁6および第2可変絞り弁7の絞り係数を制御することで、モータ8の回転速度と負担トルクをコントロールすることができるのである。
なお、図3の説明において流量Qおよび差圧ΔPを一定にした状態を仮定しているため、モータ8の負担トルクが0であるのに回転している状態や回転速度が0であるのに負担トルクがある状態は生じないので、点bと点dを結ぶ線および点dと点cを結ぶ線は、モータ8の動作点が採りえる範囲の境界を示しており、モータ8の動作点は、上記線上の値を採ることは無い。
ところで、モータ8の任意の回転速度に対して出力することが可能な負担トルク範囲は、図4に示すように、負担トルクを縦軸に採り回転速度を横軸に採った回転速度トルク座標系において、第1象限および第2象限における横軸に平行な直線j1と、直線j1に連なる曲線k1,k2と、第3象限および第4象限における横軸に平行な直線j2と、直線j2に連なる曲線k3,k4と、で囲まれた領域となる。なお、直線j1,j2は、モータ8の負担トルクの上限を示しており、コントローラ11内に設けられる図示しない電流リミッタによって電流が制限されることに起因して生じる境界である。曲線k1,k2,k3,k4もまた、その時の回転速度においてモータ8が出力可能な負担トルクの領域と出力不可能な負担トルクの領域とを仕切る線であり、図外の電源の電圧、モータ8の誘起電力等の特性によって決せられる境界線である。なお、図4では、モータ8が正転方向のトルクの符号を正とするとともに逆転方向のトルクの符号を負とし、モータ8が正転方向に回転する場合の回転速度の符号を正とするとともに逆転方向のトルクの符号を負としている。
この図4から理解できるように、モータ8は、各象限にて回転速度が高くなればなるほど出力可能な負担トルクの上限が小さくなる。すなわち、第1可変絞り弁6を閉弁して第1流路4を遮断して作動室R1,R2を行き交う液体の全流量をポンプ9に流す場合、液圧シリンダ1の伸縮速度が高くなればなるほど、モータ8の回転速度も高くなり出力可能な負担トルクが小さくなることになる。
また、第2象限の回転速度が負で負担トルクが正である領域および第4象限の回転速度が正で負担トルクが負である領域では、モータ8は制動領域で動作しており、第1象限の回転速度が正で負担トルクが正である領域および第3象限の回転速度が負で負担トルクが負である領域では、モータ8は、電力を消費して力行する力行領域で動作していることを示している。よって、モータ8は、制動領域で動作している場合に制動状態にあり、力行領域で動作している場合に力行状態にある。
そして、直線j1と直線j1に連なる曲線k1,k2とでなる線と、直線j2と直線j2に連なる曲線k3,k4とでなる線とは、回転速度トルク座標系においてモータ8の出力限界を示しており、第2象限および第4象限の制動領域においてモータ8の回転速度とトルクの交点である動作点が出力限界を超える領域Xにあると、モータ8が制御不能な状態となっていることを示している。また、モータ8の動作点が制動領域であって出力限界内の領域Yにある場合には、モータ8がその時の回転速度において所望のトルクを発生可能であるので、モータ8は制御可能な状態となっていることを示している。
ここで、図3に示すように、第1可変絞り弁6の絞り係数を大きくすることによりモータ8の回転速度を低下させることができ、第2可変絞り弁7の絞り係数を小さくすることによりモータ8が負担するトルクを低下させることができる。よって、モータ8が第2象限および第4象限にあってモータ8が制動状態であって、モータ8の動作点が出力限界を超えて領域Xにあってモータ8を正常に制御できない場合、第1可変絞り弁6の絞り係数と第2可変絞り弁7の絞り係数の一方または両方を調整することで、モータ8の回転速度を低下させて電気的な共振周波数を低下させると同時にシリンダ装置Aの機械的な共振周波数を変更するか、或いはモータ8の回転速度とトルクの一方または両方を低下させてモータ8を制御可能な状態に復帰させることで、モータ8とシリンダ装置Aが互いの振動を励起して発振することを防止し、シリンダ装置Aに安定した推力を発生させ得る。このことは、式1中でシリンダ装置Aの機械的な共振周波数fmが第1可変絞り弁6の絞り係数と第2可変絞り弁7の絞り係数をパラメータして変更できるので、前述したように、第1可変絞り弁6の絞り係数と第2可変絞り弁7の絞り係数の一方または両方を調整することで、モータ8の回転速度を低下させて電気的な共振周波数を低下させると同時にシリンダ装置Aの機械的な共振周波数を変更することによってモータ8とシリンダ装置Aが互いの振動を励起して発振することを防止できることが理解できよう。また、詳細には説明しないが、モータ8の電流入力からシリンダ装置Aの推力までの伝達関数から、第1可変絞り弁6の絞り係数と第2可変絞り弁7の絞り係数の組み合わせよってシリンダ装置Aの減衰比を変更可能である。
そこで、コントローラ11は、図5に示すように、上位の制御装置からの液圧シリンダ1の目標推力を指示する推力指令を受けてモータ8を制御する推力制御部20の他に、第1可変絞り弁6の絞り係数および第2可変絞り弁7の絞り係数を制御してモータ8の発振を防止する発振防止制御部30を備えている。
推力制御部20は、上位の制御装置から液圧シリンダ1の目標推力を指示する推力指令を受けるとモータ8に供給すべき目標電流を求めて当該目標電流を指示する電流指令を出力する電流指令生成部21と、電流指令生成部21が生成した電流指令を受け取るとモータ8に流れる電流をフィードバックしてモータ8に流れる電流を目標電流通りに制御すべく電圧指令を生成する電流ループ22と、電流ループ22からの電圧指令の入力によってモータ8に電力供給する駆動回路23とを備えている。本実施の形態では、液圧シリンダ1を車両に適用して、上位の制御装置は、主としてばね上部材としての車体の振動の抑制と目的して液圧シリンダ1に発生するべき推力を求める。なお、推力指令は、車体の振動の低減のみならずばね下部材としての車輪の振動の抑制の低減も可能となるように求められてもよい。また、推力制御部20は、上位の制御装置から推力指令を入手するのではなく、車両における車体、或いは車体および車輪の振動情報を検知するか、或いはこれらの振動情報を車両から受け取って、自ら推力指令を求めてもよい。
電流指令生成部21は、たとえば、液圧シリンダ1が発生している実推力をフィードバックして、推力指令が指示する目標推力と実推力との制御偏差をPID(比例積分微分)補償して、モータ8に出力させるべきトルクに応じた目標電流を求める演算処理を行う。また、電流指令生成部21は、3相を2相に変換して固定座標を回転座標に変換することでロータの電気角に無関係にトルクを発生するためのq軸電流と磁束を発生するためのd軸電流に分解してモータ8を制御するベクトル制御を行って、モータ8のq軸電流指令iqとd軸電流指令idとを求める。
なお、液圧シリンダ1の実推力は、作動室R1の圧力を検知する圧力センサ25aと、作動室R2の圧力を検知する圧力センサ25bと、作動室R1の圧力と作動室R2の圧力との差にピストン3の受圧面積を乗じて液圧シリンダ1が発生している推力を求める演算部25cとを備えた実推力検知部25から電流指令生成部20aに入力される。電流指令生成部21は、推力指令から目標電流を求めてq軸電流指令iqとd軸電流指令idとを生成できる限りにおいて、どのように構成されてもよい。また、液圧シリンダ1が発生する推力は、ロッド10に設けられる荷重の検知によって把握できるので、実推力検知部25はロッド10に作用する荷重を検知するセンサとされてもよい。
また、推力制御部20は、図示はしないが、実推力検知部25に代えて、実際に液圧シリンダ1が出力している推力を検知するのではなく液圧シリンダ1の実推力を推定する実推力推定部を備えていてもよい。実推力推定部は、前述の圧力や荷重の検知に代えて、たとえば、第1可変絞り弁6、第2可変絞り弁7における絞り係数、モータ8の回転速度、トルクといった液圧シリンダ1の状態量を検知して、当該状態量から液圧シリンダ1の実推力を推定するオブザーバ、或いは、車体の変位と速度といったシリンダ装置Aが搭載されたシステムの状態量を検知して当該状態量から液圧シリンダ1の実推力を推定するオブザーバとされてもよい。また、実推力推定部は、車体と車軸とに取り付けられた加速度センサの情報から液圧シリンダ1の実推力を推定してもよく、このように実推力推定部は、シリンダ装置Aの制御以外の用途に使用されているセンサ情報から実推力を推定してもよい。そして、電流指令生成部21は実推力推定部が推定した実推力をフィードバックして目標電流を求めてもよい。
電流ループ22は、モータ8の3相の巻線に流れる電流のうち、少なくとも2相の電流の情報からモータ8のq軸電流iqとd軸電流idとの情報を得て、q軸電流指令iqとq軸電流iqとのq軸電流偏差をPID補償してq軸電圧指令Vqを生成するとともに、d軸電流指令idとd軸電流idとのd軸電流偏差をPID補償してd軸電圧指令Vdを生成する。そして、本実施の形態の電流ループ22は、電流指令としてq軸電圧指令Vqとd軸電圧指令Vdとを求めて、これらの2相の各電圧指令Vq,Vdをモータ8の実際のU相、V相およびW相の3相の電圧指令Vu,Vv,Vwへ変換して駆動回路23へ入力する。また、電流ループ22は、求めたq軸電圧指令Vqとd軸電圧指令Vdとを後述する発振防止制御部30へ入力する。なお、電流ループ22は、q軸電流指令iqからq軸電圧指令Vqを求める制御パスと、q軸電流指令idからq軸電圧指令Vdを求める制御パスとにおいて、PID補償ではなくPI補償を行ってもよい。
なお、本実施の形態のシリンダ装置Aにおけるコントローラ11は、モータ8をベクトル制御するので、最大トルク制御や弱め界磁制御といった回転速度トルク特性を向上させる制御を行ってもよい。
駆動回路23は、3相の電圧指令Vu,Vv,Vwを受け取ると、電圧指令Vu,Vv,Vwが指示するデューティ比にしたがってモータ8の3相の巻線に電圧を印可してモータ8をPWM駆動する。なお、駆動回路23は、モータ8の3相の巻線に流れる電流を検知するセンサを備えており、電流ループ22の処理で必要となるモータ8の巻線に流れる電流の情報を電流ループ22へフィードバックとして入力する。なお、電流ループ22は、駆動回路23からモータ8の巻線に流れる電流の情報を得ているが、別途、モータ8の巻線に流れる電流を検知するセンサを備えていてもよい。
つづいて、発振防止制御部30は、モータ8の回転速度、トルクおよび推力制御部20における電圧指令を監視しつつ第1可変絞り弁6および第2可変絞り弁7を制御する。モータ8の回転速度については、モータ8が図示しないロータの回転位置を検知可能なレゾルバ等のセンサを備えている場合には、当該センサが検知するロータの回転位置情報から得ればよい。また、モータ8の回転速度をサスペンションのストローク変位の情報から推定してもよい。モータ8のトルクについてはモータ8が3相ブラシレスDCモータとなっているので、d軸電流を0にした場合はモータ8のトルクがq軸電流iqに比例するからq軸電流iqをそのままトルクと看做すことができ、電流ループ22からq軸電流iqを入手してモータ8のトルクとして利用すればよい。なお、発振防止制御部30は、モータ8の回転速度を検知するセンサと、モータ8のトルクを検知するセンサ或いはモータ8の電流を検知するセンサを個別に備えていてもよい。発振防止制御部30は、モータ8の回転速度、トルクおよび電圧指令を所定の演算周期で順次取り込み、取り込んだ回転速度、トルクおよび電圧指令を処理する。発振防止制御部30は、モータ8のトルクを処理するが、前述したように、モータ8に流れるq軸電流iqをトルクと看做すことができるので、モータ8のq軸電流iqをトルクとして取り扱って処理すればよい。
発振防止制御部30は、モータ8の動作状態が制動状態であり、電流ループ22が生成する電流指令が飽和状態となっていることを条件として、モータ8の回転速度或いはトルク或いは回転速度とトルクを低下させてモータ8の発振を防止する発振防止制御を行う。他方、モータ8が力行状態であるか或いは制動状態でも電流ループ22が生成する電流指令が飽和しておらず発振防止制御を行う条件が整っていない場合、モータ8を正常に制御可能な状態であるにもかかわらず、第1可変絞り弁6の流路面積が大きいと作動室R1と作動室R2の圧力差が小さくなって液圧シリンダ1が発生する推力が小さくなるとともにモータ8で消費するエネルギも高くなってしまう。よって、発振防止制御を行う条件が整っていない場合、発振防止制御部30は、基本的には、モータ8の動作状態によらず第1可変絞り弁6の絞り係数を最小の値或いは極小さな値である第1初期値に固定して、第1可変絞り弁6を閉弁或いは流路面積を小さくするように制御して、第1流路4を通過する液体の流量を0或いはごく少量に制限させる。また、第2可変絞り弁7は、ポンプ9と直列に第2流路5に設けられておりポンプ9の動作に対して抵抗となってしまうため、発振防止制御を行う条件が整っていない場合には、発振防止制御部30は、ポンプ9が吐出する液体の通過を第2可変絞り弁7が妨げないように、第2可変絞り弁7の絞り係数を最大の値である第2初期値とする。
以下、発振防止制御部30について詳細に説明する。発振防止制御部30は、モータ8の回転速度からばね下共振周波数以上の成分を除去してフィルタ処理後回転速度を出力する第1フィルタ31aとモータ8のトルクからばね下共振周波数以上の成分を除去してフィルタ処理後トルクを出力する第2フィルタ31bとを備えたフィルタ処理部31と、フィルタ処理後回転速度とフィルタ処理後トルクとに基づいてモータ8が制動状態であるか否かを判定する制動状態判定部32と、モータ8の電圧指令が飽和状態であるか否かを判定する飽和判定部33と、制動状態判定部32の判定結果と飽和判定部33の判定結果とに基づいて第1可変絞り弁6の目標絞り係数と第2可変絞り弁7の目標絞り係数とを求める目標絞り係数設定部34と、目標絞り係数設定部34が求めた目標絞り係数を指示する指令を受けて第1可変絞り弁6における図外の駆動源と第2可変絞り弁7における図外の駆動源に供給する電流を制御する駆動回路35とを備えて構成されている。
フィルタ処理部31は、モータ8の回転速度のばね下共振周波数帯以上の成分を除去してフィルタ処理後回転速度を出力する第1フィルタ31aと、モータ8のトルクのばね下共振周波数帯以上の成分を除去してフィルタ処理後トルクを出力する第2フィルタ31bとを備えている。フィルタ処理部31は、順次入力されるモータ8の回転速度とトルクを処理してフィルタ処理後回転速度とフィルタ処理後トルクの信号を出力する。
ここで、液圧シリンダ1が車両におけるばね上部材である車体とばね下部材である車輪との間に介装されて使用される場合、液圧シリンダ1は、車体と車輪との相対移動によって伸縮するため、液圧シリンダ1には車体および車輪の振動が入力される。液圧シリンダ1に入力される振動によって、第2流路5におけるポンプ9を通過する液体の流量も変化するので、モータ8の回転速度およびトルクも変動する。よって、フィルタ処理部31で処理する前のモータ8の回転速度およびトルクには、車輪の共振周波数帯の高周波成分や高周波ノイズが重畳している。
そのため、フィルタ処理部31による処理を行わない場合、モータ8の動作点は、高周波で振動的に推移するので、後に続く、モータ8の動作状態の判定等の処理でハンチングが生じる可能性がある。そのため、第1フィルタ31aおよび第2フィルタ31bは、本実施の形態では、ばね上部材の共振周波数成分の抽出が可能なようにバンドパスフィルタとされている。ばね上部材の共振周波数帯は、1Hz~2Hz程度であるので、第1フィルタ31aおよび第2フィルタ31bは、1Hz~2Hzの成分を抽出できる特性となるように設定される。
このように、本実施の形態のシリンダ装置Aでは、モータ8の回転速度およびトルクがフィルタ処理部30によって処理されてモータ8の回転速度およびトルクから高周波のばね下共振周波数以上の成分が除去されるので、車両におけるばね上部材の振動に応じてモータ8の制動状態を精度良く把握できるようになり、発振防止制御部30による第1可変絞り弁6の絞り係数および第2可変絞り弁7の絞り係数を適切に制御できるようになる。なお、フィルタ処理部31における第1フィルタ31aおよび第2フィルタ31bは、ばね上共振周波数帯の成分を抽出するフィルタとされているが、少なくともばね下共振周波数帯以上の成分を除去可能なローパスフィルタであってもよい。このように、第1フィルタ31aおよび第2フィルタ31bがばね下共振周波数帯以上の成分を除去可能なローパスフィルタとされても、ばね下部材の振動やノイズを回転速度およびトルクの信号から取り除いて、モータ8の制動状態を精度良く把握できるようになり、発振防止制御部30による第1可変絞り弁6と第2可変絞り弁7とを適切に制御できるようになる。なお、フィルタ処理部31における第1フィルタ31aおよび第2フィルタ31bを設けることで、モータ8の制動状態を精度良く把握できるようになるが、第1フィルタ31aおよび第2フィルタ31bを省略することも可能である。
つづいて、制動状態判定部32は、フィルタ処理後回転速度とフィルタ処理後トルクとに基づいてモータ8が制動状態であるか否かを判定する。具体的には、制動状態判定部32は、フィルタ処理後回転速度の符号とフィルタ処理後トルクの符号とから、モータ8の動作点が図4中でどの象限にあるのかを判断して、モータ8が制動状態と力行状態の何れであるのかを判定する。制動状態判定部32は、モータ8の動作状態を判定した後、判定結果を目標絞り係数設定部34に入力する。
詳細には、制動状態判定部32は、フィルタ処理後回転速度が正であってフィルタ処理後トルクが正である場合、つまり、フィルタ処理後回転速度をωfとし、フィルタ処理後トルクをTfとすると、ωf≧0かつTf≧0である場合、モータ8の動作点が図4中第1象限の力行領域にあると判断して、モータ8の動作状態を第1象限における力行状態であると判定(力行判定)する。
また、制動状態判定部32は、フィルタ処理後回転速度が負であってフィルタ処理後トルクが正である場合、つまり、ωf<0かつTf≧0である場合、モータ8の動作点が図4中第2象限の制動領域にあると判断して、モータ8の動作状態を第2象限における制動状態であると判定(制動判定)する。
さらに、制動状態判定部32は、フィルタ処理後回転速度が負であってフィルタ処理後トルクが負である場合、ωf<0かつTf<0である場合、モータ8の動作点が図4中第3象限の力行領域にあると判断して、モータ8の動作状態を第3象限における力行状態であると判定(力行判定)する。
そして、制動状態判定部32は、フィルタ処理後回転速度が正であってフィルタ処理後トルクが負である場合、つまり、ωf≧0かつTf<0である場合、モータ8の動作点が図4中第4象限の制動領域にあると判断して、モータ8の動作状態を第4象限における制動状態であると判定(制動判定)する。
このように、制動状態判定部32は、ωfの値が正である負であるか、およびTfの値が正であるか負であるのかを判断して、モータ8の動作点が4つの象限の何れに当てはまるのかを判断して、モータ8の動作状態が制動状態であるか力行状態であるかを判断する。
飽和判定部33は、電流ループ22が求めたq軸電圧指令Vqとd軸電圧指令Vdとでなる電圧指令が飽和しているか否かを判定する。モータ8の巻線には、モータ8に電力供給する図外の電源の電圧を超える電圧を印可することができないので、電圧指令と電源電圧を基準とした飽和電圧とを比較することで、電圧指令が飽和しているか否かを判定すればよい。駆動回路35に入力される3相の電圧指令で飽和判定を行う場合、飽和判定が面倒になるが、本実施の形態のシリンダ装置Aでは、q軸電圧指令Vqとd軸電圧指令Vdとでなる電圧指令の大きさはq軸電圧指令Vqとd軸電圧指令Vdと合成ベクトル長さで把握でき、q軸とd軸とが互いに直交しているので、前記合成ベクトル長さの値の演算も容易であり、q軸電圧指令Vqとd軸電圧指令Vdと合成ベクトル長さと飽和電圧との比較によって電圧指令が飽和しているか否かを直ちに判定できる。
よって、q軸電圧指令Vqとd軸電圧指令Vdの合成ベクトル長さと飽和電圧Vsとを比較して、電圧指令が飽和しているか否かを判定すればよい。
そこで、飽和判定部33は、具体的には、電流ループ22が求めたq軸電圧指令Vqとd軸電圧指令Vdの合成ベクトル長さの二乗の値(Vq*2+Vd*2)と飽和電圧Vsの二乗の値とを比較して、合成ベクトル長さの二乗の値が飽和電圧Vsの二乗の値を超えている場合にモータ8に対する電圧指令が飽和していると判定(飽和判定)し、合成ベクトル長さの二乗の値が飽和電圧Vsの二乗の値以下である場合にモータ8に対する電圧指令が飽和していないと判定(非飽和判定)する。
つまり、飽和判定部33は、(Vq*2+Vd*2)>Vsである場合に電圧指令が飽和していると判定し、(Vq*2+Vd*2)≦Vsである場合に電圧指令が飽和していないと判定する。なお、上記判断の基準となる飽和電圧Vsは、U,V,Wの各相巻線の端子間電圧を図外の電源の電圧まで上昇させることができ得るような制御を実施する場合には1/√2を電源電圧に乗じた値とすればよく、また、U,V,Wの各相巻線に正弦波電圧を印加するように制御する場合には、√6/4を電源電圧に乗じた値とすればよい。
このように、q軸電圧指令Vqとd軸電圧指令Vdの合成ベクトル長さの二乗の値、すなわち、q軸電圧指令Vqの二乗の値とd軸電圧指令Vdの二乗の値とを足し合わせた加算値(Vq*2+Vd*2)と飽和電圧Vsの二乗とを比較して、q軸電圧指令Vqとd軸電圧指令Vdの合成ベクトル長さ(Vq*2+Vd*21/2が飽和電圧Vsを超えているかを判断するようにしているので、この判断に必要な演算にルート演算を行わずに済み、演算時間の短縮に寄与することができる。そして、飽和判定部33は、判定結果を目標絞り係数設定部34へ入力する。
目標絞り係数設定部34は、制動状態判定部31の判定結果がモータ8の動作状態が制動状態であって、飽和判定部33の判定結果がモータ8の電圧指令が飽和しているとの判定である場合、モータ8の回転速度を低下させて電気的な共振周波数を低下させると同時にシリンダ装置Aの機械的な共振周波数を変更するか、或いはモータ8の回転速度とトルクの一方または両方を低下させてモータ8を制御可能な状態に復帰させることで、シリンダ装置Aの発振を防止する。目標絞り係数設定部34は、力行判定或いは非飽和判定の場合、シリンダ装置Aの推力が発振する恐れがないため発振防止制御を行わず、第1可変絞り弁6の目標絞り係数を第1初期値として第1可変絞り弁6の流路面積を最小或いは極小さくするように制御し、第2可変絞り弁7の目標絞り係数を最大として第2可変絞り弁7の流路面積を最大となるように制御する。他方、目標絞り係数設定部34は、制動判定かつ飽和判定の場合、モータ8の回転速度とトルクとを制御できず、モータ8の回転速度が高速になって電気的な共振周波数が機械的な共振周波数に接近するとモータ8が発振する可能性がある状態となっているため発振防止する発振防止制御を行う。目標絞り係数設定部34は、発振を防止する場合、第1可変絞り弁6の流路面積を大きくしてモータ8の回転速度を低下させるか、或いは、第2可変絞り弁7の流路面積を小さくしてモータ8の負担トルクを低下させるか、或いは、それらの両方を行う。目標絞り係数設定部34が発振防止制御を行ってモータ8の回転速度を低下させる場合には、モータ8の電気的な共振周波数が低下してより高周波側に存在するモータ8の機械的な共振周波数から遠ざかると同時にモータ8の回転速度を低下させて電気的な共振周波数を低下させ、モータ8とシリンダ装置Aが互いの振動を励起して発振することを防止し、安定した推力を発生させることができる。また、目標絞り係数設定部34が発振防止制御を行ってモータ8のトルクを低下させる場合には、モータ8の動作点をモータ8の制御が可能な領域Yに収めることにより、モータ8を正常に制御できるようになり、モータ8とシリンダ装置Aが互いの振動を励起して発振することを防止し、シリンダ装置Aに安定した推力を発生させ得る。また、モータ8の電流入力からシリンダ装置Aの推力までの伝達関数から、第1可変絞り弁6の絞り係数と第2可変絞り弁7の絞り係数との組み合わせよってシリンダ装置Aの減衰比を変更可能であるので、シリンダ装置Aの減衰比を変更することでモータ8とシリンダ装置Aが互いの振動を励起して発振することを防止してもよい。
第1可変絞り弁6の絞り係数を制御する場合、目標絞り係数設定部34は、制動状態判定部31の判定結果が制動判定であって飽和判定部33の判定結果が飽和判定となると、第1可変絞り弁6の絞り係数を第1初期値からモータ8の回転速度の十分に低下させ得る第1所定値を第1可変絞り弁6の目標絞り係数に設定する。制動判定かつ飽和判定となる前には、第1可変絞り弁6の目標絞り係数が第1初期値となっているので、目標絞り係数設定部34は、制動判定かつ飽和判定になると、第1可変絞り弁6の目標絞り係数を第1初期値から第1所定値へ変更する。また、制動判定かつ飽和判定となって第1可変絞り弁6の目標絞り係数が第1所定値に設定された後に、判定結果が力行判定或いは非飽和判定になると、目標絞り係数設定部34は、第1可変絞り弁6の目標絞り係数を第1初期値から第1所定値へ変更する。なお、第1初期値と第1所定値との差が大きな場合には第1可変絞り弁6の目標絞り係数が第1初期値から第1所定値に或いは第1所定値から第1初期値に変更されると目標絞り係数が急変してモータ8の回転速度が急変する場合がある。そこで、本実施の形態のシリンダ装置Aでは、目標絞り係数設定部34の後段に第1可変絞り弁6の目標絞り係数をローパスフィルタ処理して第1可変絞り弁6の目標絞り係数の急変を緩和する第1緩和処理部36を設けており、これによってモータ8の回転速度の急変を緩和している。
また、第2可変絞り弁6の絞り係数を制御する場合、目標絞り係数設定部34は、制動状態判定部31の判定結果が制動判定であって飽和判定部33の判定結果が飽和判定となると、第2可変絞り弁7の絞り係数を最大からモータ8のトルクを十分に低下させ得る第2所定値を第2可変絞り弁7の目標絞り係数に設定する。制動判定かつ飽和判定となる前には、第2可変絞り弁7の目標絞り係数が第2初期値となっているので、目標絞り係数設定部34は、制動判定かつ飽和判定になると、第2可変絞り弁7の目標絞り係数を第2初期値から第2所定値へ変更する。また、制動判定かつ飽和判定となって第2可変絞り弁7の目標絞り係数が第2所定値に設定された後に、判定結果が力行判定或いは非飽和判定になると、目標絞り係数設定部34は、第2可変絞り弁7の目標絞り係数を第2初期値から第2所定値へ変更する。なお、第2初期値と第2所定値との差が大きな場合には第2可変絞り弁7の目標絞り係数が第2初期値から第2所定値に或いは第2所定値から第2初期値に変更されると目標絞り係数が急変してモータ8の回転速度が急変する場合がある。そこで、本実施の形態のシリンダ装置Aでは、目標絞り係数設定部34の後段に第2可変絞り弁7の目標絞り係数をローパスフィルタ処理して第2可変絞り弁7の目標絞り係数の急変を緩和する第2緩和処理部37を設けており、これによってモータ8のトルクの急変を緩和している。
また、目標絞り係数設定部34は、制動判定かつ飽和判定となった際に、第1可変絞り弁6の目標絞り係数を大きくし、かつ、第2可変絞り係数7の目標絞り係数を小さくして、モータ8の回転速度とトルクとの双方を小さくして、モータ8の電気的な共振周波数を機械的な共振周波数から遠ざけつつ、モータ8の動作点を制御可能な領域Yに移動させてモータ8の発振を防止してもよい。
第1可変絞り弁6の絞り係数と第2可変絞り弁7の絞り係数との両方を変化させる場合、目標絞り係数設定部34は、第1可変絞り弁6の目標絞り係数を予め決めておいた第1初期値よりも大きな第1目標値に設定するとともに、第2可変絞り弁7の目標絞り係数を予め決めたおいた第2初期値よりも小さな第2目標値に設定してもよいし、制動判定かつ飽和判定された時のモータ8の回転速度とトルクの値に応じて最適となる第1可変絞り弁6の絞り係数と第2可変絞り弁7の絞り係数の組み合わせをマップ化しておき、当該マップを用いてモータ8の回転速度とトルクとから第1可変絞り弁6の目標絞り係数と第2可変絞り弁7の目標絞り係数とを求めてもよい。
他方、目標絞り係数設定部34は、前述したように、制動状態判定部31の判定結果が力行判定である場合、或いは、飽和判定部33の判定結果が非飽和判定である場合、第1可変絞り弁6の目標絞り係数を第1初期値に設定してモータ8のエネルギ消費を少なくし、第2可変絞り弁7の目標絞り係数を第2初期値に設定してポンプ9の駆動の妨げにならないように第2可変絞り弁7の流路面積を最大とする。
このように、目標絞り係数設定部34が求めた目標絞り係数は、駆動回路35に入力される。駆動回路35は、第1可変絞り弁6の絞り係数と第2可変絞り弁7の絞り係数を目標絞り係数通りになるように第1可変絞り弁6の図外の駆動源および第2可変絞り弁7の図外の駆動源に電流を与えて第2可変絞り弁7の絞り係数を調整する。
第1可変絞り弁6の絞り係数と第2可変絞り弁7の絞り係数と両方を制御する場合、コントローラ11は、図6に示したフローチャートにしたがって第1可変絞り弁6の絞り係数と第2可変絞り弁7の絞り係数との制御を行う。まず、コントローラ11は、モータ8の回転速度とトルクとを検知する(ステップF1)。つづいて、コントローラ11は、モータ8の回転速度とトルクとをフィルタ処理して、フィルタ処理後回転速度とフィルタ処理後トルクとを得る(ステップF2)。
さらに、コントローラ11は、フィルタ処理後回転速度とフィルタ処理後トルクとからモータ8の動作状態が制動状態であるか否かを判定する(ステップF3)。つづいて、モータ8の動作状態が制動状態である場合、コントローラ11は、モータ8を制御する推力制御部20が求める電圧指令が飽和しているか否かを判定する(ステップF4)。そして、ステップF3およびステップF4の判定で、モータ8の動作状態について制動判定であって、かつ、電圧指令について飽和判定である場合、コントローラ11は、モータ8が制御不能であってモータ8が発振する恐れがあるので、モータ8の回転速度とトルクとを低下させる第1所定値および第2所定値をそれぞれ第1可変絞り弁6の目標絞り係数と第2可変絞り弁7の目標絞り係数とに設定する(ステップF5)。ステップF3およびステップF4の判定で、モータ8の動作状態について力行判定であるか、或いは、電圧指令について非飽和判定である場合、コントローラ11は、モータ8が制御可能な状態でモータ8が発振する恐れが無いので、第1初期値および第2初期値をそれぞれ第1可変絞り弁6の目標絞り係数と第2可変絞り弁7の目標絞り係数とに設定する(ステップF6)。目標絞り係数の設定後、目標絞り係数の急変を緩和するために第1可変絞り弁6の目標絞り係数と第2可変絞り弁7の目標絞り係数とをローパスフィルタ処理する(ステップF7)。各目標絞り係数のローパスフィルタ処理後、コントローラ11は、駆動回路35から電流を第1可変絞り弁6の駆動源と第2可変絞り弁7の駆動源とに供給して第1可変絞り弁6の絞り係数と第2可変絞り弁7の絞り係数とがそれぞれ対応する目標絞り係数となるように制御する(ステップF8)。
コントローラ11は、以上までの処理を繰り返して実行して、第1可変絞り弁6の絞り係数と第2可変絞り弁7の絞り係数とを制御する。
なお、コントローラ11は、推力制御部20における駆動回路23、実推力検知部25における圧力センサ25a,25b、発振防止制御部30における駆動回路35を除き、ハードウェア資源としては、図示はしないが具体的にはたとえば、推力指令、モータ8の回転速度およびトルク(電流)およびシリンダ2内の圧力の信号を取り込むためのインターフェースと、モータ8、第1可変絞り弁6および第2可変絞り弁7を制御するのに必要な処理に使用されるプログラムが格納されるROM(Read Only Memory)等の記憶装置と、前記プログラムに基づいた処理を実行するCPU(Central Processing Unit)等の演算装置と、前記CPUに記憶領域を提供するRAM(Random Access Memory)等の記憶装置とを備えて構成されればよく、コントローラ11における推力制御部20および発振防止制御部30の各部は、CPUの前記プログラムの実行により実現できる。また、コントローラ11は、CPUの前記プログラムの実行による実現にかえて、アナログの電子回路によって実現されてもよい。
以上、本実施の形態のシリンダ装置Aは、シリンダ2と、シリンダ2内に移動自在に挿入されてシリンダ2内を二つの作動室R1,R2に区画するピストン3と、互いに並列して作動室同士R1,R2を連通する第1流路4と第2流路5と、第1流路4に設けられた第1可変絞り弁6と、第2流路5に直列に設けられる第2可変絞り弁7およびモータ8によって駆動される双方向吐出型のポンプ9とを有する液圧シリンダ1と、第1可変絞り弁6、第2可変絞り弁7およびモータ8を制御するコントローラ11とを備え、コントローラ11は、モータ8が制動状態であって、モータ8の電圧指令が飽和していると判定すると、モータ8の回転速度を低下させて電気的な共振周波数を低下させると同時にシリンダ装置Aの機械的な共振周波数を変更するか、或いは、モータ8の回転速度或いはトルクの一方または両方を低下させるように第1可変絞り弁6の絞り係数と第2可変絞り弁7の絞り係数の一方または両方を制御する。
このように構成されたシリンダ装置Aによれば、モータ8が制動状態であり、かつ、モータ8の電圧指令が飽和していると判定することで、モータ8が発振する可能性があることを把握でき、モータ8の回転速度を低下させて電気的な共振周波数を低下させると同時にシリンダ装置Aの機械的な共振周波数を変更するか、或いはモータ8の回転速度とトルクの一方または両方を低下させてモータ8を制御可能な状態に復帰させることで、モータ8とシリンダ装置Aが互いの振動を励起して発振することを防止できる。このように、本実施の形態のシリンダ装置Aによれば、モータ8とシリンダ装置Aが互いの振動を励起して発振することを防止し、安定した推力を発生できる。
また、本実施の形態のシリンダ装置Aにおけるコントローラ11は、モータ8の回転速度とトルクとに基づいてモータ8が制動状態であるか否かを判定する制動状態判定部32と、モータ8のq軸の電圧指令とd軸の電圧指令の合成ベクトル長さに基づいてモータ8の電圧指令の飽和を判定する飽和判定部33とを備えている。
このように構成されたシリンダ装置Aによれば、モータ8の回転速度とトルクとに基づいて回転速度トルク座標系においてモータ8の動作点が制動状態となる第2象限と第4象限に存在していることを精度よく判定でき、また、q軸の電圧指令とd軸の電圧指令の合成ベクトル長さに基づいてモータ8の電圧指令の飽和を判定しているので、モータ8の電圧指令が飽和しているか否かを容易に判定でき、発振防止制御を実行する条件の見極めを正確かつ容易に行える。
さらに、本実施の形態のシリンダ装置Aでは、コントローラ11は、第1可変絞り弁6の目標絞り係数と第2可変絞り弁7の目標絞り係数との急変を緩和する第1緩和処理部36と第2緩和処理部37とを備えている。このように構成されたシリンダ装置Aによれば、発振防止制御部30によって第1可変絞り弁6の目標絞り係数と第2可変絞り弁7の目標絞り係数とが変更されても、各目標絞り係数の急変が緩和されるためにシリンダ装置Aの推力変動を抑制できる。なお、第1緩和処理部36と第2緩和処理部37とは、それぞれ対応する目標絞り係数をローパスフィルタで処理をして目標絞り係数の急変を緩和しているが、ローパスフィルタ処理に代えて変更前の目標絞り係数の値から変更後の目標絞り係数の値に時間の経過とともに段階的に或いは連続的に徐々に変化させる処理を行ってもよい。
また、本実施の形態のシリンダ装置Aでは、コントローラ11は、モータ8の回転速度から車両におけるばね下共振周波数以上の成分を除去する第1フィルタ31aと、モータ8のトルクから車両におけるばね下共振周波数以上の成分を除去する第2フィルタ31bと、フィルタ処理後回転速度とフィルタ処理後トルクとに基づいてモータ8が制動状態であるか否かを判定する制動状態判定部32を備えている。このように構成されたシリンダ装置Aによれば、モータ8の回転速度およびトルクから高周波のばね下共振周波数以上の成分が除去されるので、車両におけるばね上部材の振動に応じてモータ8の制動状態を精度良く把握できるようになり、第1可変絞り弁6の絞り係数と第2可変絞り弁6の絞り係数を適切に制御できるようになる。
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、および変更が可能である。
1・・・液圧シリンダ、2・・・シリンダ、3・・・ピストン、4・・・第1流路、5・・・第2流路、6・・・第1可変絞り弁、7・・・第2可変絞り弁、8・・・モータ、9・・・ポンプ、11・・・コントローラ、32・・・制動状態判定部、33・・・飽和判定部、A・・・シリンダ装置、R1,R2・・・作動室

Claims (2)

  1. シリンダと、前記シリンダ内に移動自在に挿入されて前記シリンダ内を二つの作動室に区画するピストンと、互いに並列して前記作動室同士を連通する第1流路と第2流路と、前記第1流路に設けられた第1可変絞り弁と、前記第2流路に直列に設けられる第2可変絞り弁およびモータによって駆動される双方向吐出型のポンプとを有する液圧シリンダと、
    前記第1可変絞り弁、前記第2可変絞り弁および前記モータを制御するコントローラとを備え、
    前記コントローラは、前記モータが制動状態であって、前記モータの電圧指令が飽和していると判定すると、前記モータの回転速度を低下させて電気的な共振周波数を低下させると同時に前記シリンダ装置の機械的な共振周波数を変更するか、或いは、前記モータの回転速度或いはトルクの一方または両方を低下させるように前記第1可変絞り弁の絞り係数と前記第2可変絞り弁の絞り係数の一方または両方を制御する
    ことを特徴とするシリンダ装置。
  2. 前記コントローラは、
    前記モータの回転速度とトルクとに基づいて前記モータが制動状態であるか否かを判定する制動状態判定部と、
    前記モータのq軸の電圧指令とd軸の電圧指令の合成ベクトル長さに基づいて前記モータの前記電圧指令の飽和を判定する飽和判定部とを有する
    ことを特徴とする請求項1に記載のシリンダ装置。
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