JP2024052371A - 圧縮機および冷凍サイクル装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本開示が解決しようとする課題は、ハイドロフルオロオレフィンを含む冷媒を使用が用いられる圧縮機および冷凍サイクル装置において、圧縮機の腐食を抑制することである。【解決手段】圧縮機(30)は、ハイドロフルオロオレフィンを含む冷媒を使用し、ポリオールエステルまたはポリビニルエーテルを含む冷凍機油を使用して、冷凍サイクルを行う冷凍サイクル装置(20)における圧縮機(30)である。圧縮機(30)は、摺動部(79s)を備える。摺動部(79s)は、5wt%以上25wt%以下のシリコンを含むアルミニウム合金で構成される。冷凍機油は、酸捕捉剤または酸素捕捉剤を含み、下記関係式を満たす。冷凍機油における酸捕捉剤と酸素捕捉剤の合計含有量[wt%]≧2.3+2.6×(冷媒におけるハイドロフルオロオレフィンの含有量[wt%])-1.6×(摺動部におけるシリコンの含有量[wt%])【選択図】図2

Description

圧縮機および冷凍サイクル装置に関する。
従来より、冷凍サイクルを行う冷媒回路を備えた冷凍サイクル装置は、空気調和装置や給湯機等に広く適用されている。
特許文献1(特開2010-265777号公報)には、この種の冷凍サイクル装置が開示されている。この特許文献1の冷媒回路には、HFO-1234yf、またはHFO-1234yfを一成分とする混合冷媒が用いられている。この冷媒は、塩素原子や臭素原子を含まず、オゾン層の破壊への影響が小さいことが知られている。
ところで、特許文献1に記載の冷媒は、水分や酸素等に対して比較的不安定な分子構造を有するため、長期の冷凍サイクルに伴い冷媒が劣化して不純物等が生成してしまうことがある。このような不純物が生成されると、たとえば可動スクロールの摺動面や軸受け等の圧縮機における摺動部が腐食してしまうおそれがある。
本願の発明者らは、圧縮機の摺動部における腐食を抑制すべく鋭意研究を重ねた結果、アルミニウム合金により構成された摺動部の腐食抑制には、冷媒に配合されるハイドロフルオロオレフィンの量と摺動部のアルミニウム合金に含まれるシリコンの量とが関係することを新規に見出した。本願の発明者らは、かかる知見に基づきさらに研究を重ね、本開示の内容を完成するに至った。本開示は、以下の各観点に係る冷媒としての使用、および冷凍サイクル装置を提供する。
第1観点の圧縮機は、ハイドロフルオロオレフィンを含む冷媒を使用し、ポリオールエステルまたはポリビニルエーテルを含む冷凍機油を使用して、冷凍サイクルを行う冷凍サイクル装置における圧縮機である。圧縮機は、摺動部を備える。摺動部は、5wt%以上25wt%以下のシリコンを含むアルミニウム合金で構成される。冷凍機油は、酸捕捉剤または酸素捕捉剤を含み、下記関係式を満たす。
冷凍機油における酸捕捉剤と酸素捕捉剤の合計含有量[wt%]≧2.3+2.6×(冷媒におけるハイドロフルオロオレフィンの含有量[wt%])-1.6×(摺動部におけるシリコンの含有量[wt%])
第1観点の圧縮機では、上記式を満たす酸捕捉剤と酸素捕捉剤を含む冷凍機油が用いられている。したがって、ハイドロフルオロオレフィンを含む冷媒の劣化に起因する圧縮機の摺動部の腐食が抑制される。
第2観点の圧縮機は、第1観点の圧縮機であって、冷凍機油は、極圧剤を含む。
第3観点の圧縮機は、第1観点または第2観点の圧縮機であって、冷凍機油は、酸化防止剤を含む。
第4観点の冷凍サイクル装置は、第1観点から第3観点のいずれかに記載の圧縮機を備える。
図1は、実施形態に係る冷凍サイクル装置の概略構成図である。 図2は、実施形態に係る圧縮機の縦断面図である。 図3は、実施形態に係る圧縮機の圧縮機構の横断面図である。
冷凍サイクル装置の一例としての空気調和装置20を例に挙げて説明する。
(1)空気調和装置の全体構成
本実施形態の空気調和装置20は、図1に示すように、室外機22と3台の室内機23a,23b,23cとを備えている。なお、室内機23の台数は、単なる例示である。
上記空気調和装置20は、冷媒を充填されて冷凍サイクルを行う冷媒回路10を備えている。冷媒回路10は、室外機22に収容される室外回路9と、各室内機23に収容される室内回路17a,17b,17cと、これらの室内回路17a,17b,17cと室外回路9を接続する液側連絡配管18およびガス側連絡配管19と、を備えている。これらの室内回路17a,17b,17cは、室外回路9に対して互いに並列に接続されている。
本実施形態の冷媒回路10には、冷媒としてハイドロフルオロオレフィンを含む冷媒が充填されている。ハイドロフルオロオレフィンは、たとえば、2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(以下、「HFO-1234yf」という)、1,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(以下、「HFO-1234ye」という)、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(以下、「HFO-1234ze」という)、3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン(以下、「HFO-1243zf」という)、1,1,2-トリフルオロエチレン(以下、「HFO-1123」という)、1,2-ジフルオロエチレン(以下、「HFO-1132」という)、1,1-ジフルオロエチレン(以下、「HFO-1132a」という)、モノフルオロエチレン(以下、「HFO-1141」という)、1,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロペン(以下、HFO-1225ye)という)、1,2,2-トリフルオロ-1-プロペン、2-フルオロ-1-プロペン、およびこれらの混合冷媒が挙げられる。なお、1,2-ジフルオロエチレンは、トランス-1,2-ジフルオロエチレン[(E)-HFO-1132]であってもよく、シス-1,2-ジフルオロエチレン[(Z)-HFO-1132]であってもよく、これらの混合物であってもよい。
冷媒は、ハイドロフルオロオレフィンを含む冷媒であってもよいし、ハイドロフルオロオレフィンのみからなる冷媒であってもよい。
冷媒は、上記ハイドロフルオロオレフィン以外の成分として、たとえば、ジフルオロメタン(以下、「HFC-32」という)、ペンタフルオロエタン(以下、「HFC-125」という)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(以下、「HFC-134」という)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(以下、「HFC-134a」という)、1,1,1-トリフルオロエタン(以下、「HFC-143a」という)、1,1-ジフルオロエタン(以下、「HFC-152a」という)、HFC-161、HFC-227ea、HFC-236ea、HFC-236fa、HFC-365mfc、メタン、エタン、プロパン、プロペン、ブタン、イソブタン、ペンタン、2-メチルブタン、シクロペンタン、ジメチルエーテル、ビストリフルオロメチル-サルファイド、二酸化炭素、ヘリウムのうち少なくとも1つが配合された混合冷媒であってもよい。
たとえば、冷媒としては、HFO-1234yfとHFC-32の2成分からなる混合冷媒を用いてもよい。この場合は、HFO-1234yfとHFC-32の混合冷媒は、冷凍サイクル装置で用いた場合の性能の観点から、HFO-1234yfの割合が30wt%以上80wt%以下であり、HFC-32の割合が20wt%以上70wt%以下であることが好ましい。
また、HFO-1234yfとHFC-125の混合冷媒を用いてもよい。この場合は、HFC-125の割合が10wt%以上であるのが好ましく、さらに10wt%以上20wt%以下であるのがさらに好ましい。
また、HFO-1234yfとHFC-32とHFC-125の3成分からなる混合冷媒を用いてもよい。
(2)室外回路
室外回路9には、圧縮機30、室外熱交換器11、室外膨張弁12、および四路切換弁13が設けられている。
圧縮機30は、たとえば運転容量が可変なインバータ式の圧縮機として構成されている。圧縮機30には、インバータを介して電力が供給される。圧縮機30は、吐出側が四路切換弁13の第2ポートP2に接続され、吸入側が四路切換弁13の第1ポートP1に接続されている。なお、圧縮機30についての詳細は後述する。
室外熱交換器11は、クロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器として構成されている。室外熱交換器11の近傍には、室外ファン14が設けられている。室外熱交換器11では、室外空気と冷媒との間で熱交換が行われる。室外熱交換器11は、一端が四路切換弁13の第3ポートP3に接続され、他端が室外膨張弁12に接続されている。また、四路切換弁13の第4ポートP4は、ガス側連絡配管19に接続されている。
室外膨張弁12は、室外熱交換器11と室外回路9の液側端との間に設けられている。室外膨張弁12は、開度可変の電子膨張弁として構成されている。
四路切換弁13は、第1ポートP1と第4ポートP4とが連通して第2ポートP2と第3ポートP3とが連通する第1状態、つまり図1に実線で示す状態と、第1ポートP1と第3ポートP3とが連通して第2ポートP2と第4ポートP4とが連通する第2状態、つまり図1に破線で示す状態とが切り換え自在に構成されている。
(3)室内回路
各室内回路17a,17b,17cには、そのガス側端から液側端へ向かって順に、室内熱交換器15a,15b,15cと、室内膨張弁16a,16b,16cとが設けられている。
室内熱交換器15a,15b,15cは、クロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器として構成されている。室内熱交換器15a,15b,15cの近傍には、室内ファン21a,21b,21cが設けられている。室内熱交換器15では、室内空気と冷媒との間で熱交換が行われる。また、室内膨張弁16a,16b,16cは、開度可変の電子膨張弁として構成されている。
(4)圧縮機の構成
圧縮機30は、たとえば全密閉の高圧ドーム型のスクロール圧縮機として構成されている。圧縮機30の構成を図2および図3にしたがって説明する。
圧縮機30は、縦型の密閉容器を形成するケーシング70を備えている。ケーシング70の内部には、下から上へ向かって、電動機85と圧縮機構82とが配置されている。
電動機85は、ステータ83とロータ84とを備えている。ステータ83は、ケーシング70の胴部に固定されている。一方、ロータ84は、ステータ83の内側に配置され、クランク軸90が連結されている。
圧縮機構82は、可動スクロール76と固定スクロール75とを備え、スクロール式の圧縮機構を構成している。可動スクロール76は、略円板状の可動側鏡板76bと、渦巻き状の可動側ラップ76aとを備えている。可動側ラップ76aは可動側鏡板76bの前面、つまり上面に立設されている。また、可動側鏡板76bの背面、つまり下面には、クランク軸90の偏心部が挿入された円筒状の突出部76cが立設されている。可動スクロール76は、オルダムリング79を介して、可動スクロール76の下側に配置されたハウジング77に支持されている。一方、固定スクロール75は、略円板状の固定側鏡板75bと、渦巻き状の固定側ラップ75aとを備えている。固定側ラップ75aは固定側鏡板75bの前面、つまり下面に立設されている。圧縮機構82では、固定側ラップ75aと可動側ラップ76aとが互いに噛み合うことによって、両ラップ75a,76aの接触部の間に複数の圧縮室73が形成されている。
なお、本実施形態の圧縮機30では、いわゆる非対称渦巻き構造が採用されており、固定側ラップ75aと可動側ラップ76aとで巻き数、つまり渦巻きの長さが相違している。上記複数の圧縮室73は、固定側ラップ75aの内周面と可動側ラップ76aの外周面との間に構成される第1圧縮室73aと、固定側ラップ75aの外周面と可動側ラップ76aの内周面との間に構成される第2圧縮室73bとから構成されている。
圧縮機構82では、固定スクロール75の外縁部に吸入ポート98が形成されている。吸入ポート98には、ケーシング70の頂部を貫通する吸入管57が接続されている。吸入ポート98は、可動スクロール76の公転運動に伴って、第1圧縮室73aと第2圧縮室73bのそれぞれに間欠的に連通する。また、吸入ポート98には、圧縮室73から吸入管57へ戻る冷媒の流れを禁止する吸入逆止弁が設けられている(図示省略)。
また、圧縮機構82では、固定側鏡板75bの中央部に吐出ポート93が形成されている。吐出ポート93は、可動スクロール76の公転運動に伴って、第1圧縮室73aと第2圧縮室73bのそれぞれに間欠的に連通する。吐出ポート93は、固定スクロール75の上側に形成されたマフラー空間96に開口している。
ケーシング70内は、円盤状のハウジング77によって、上側の吸入空間101と下側の吐出空間100とに区画されている。吸入空間101は、図示しない連通ポートを通じて、吸入ポート98に連通している。吐出空間100は、固定スクロール75とハウジング77とにわたって形成された連絡通路103を通じて、マフラー空間96に連通している。運転中の吐出空間100は、吐出ポート93から吐出された冷媒がマフラー空間96を通じて流入するので、圧縮機構82で圧縮された冷媒で満たされる高圧空間になる。吐出空間100には、ケーシング70の胴部を貫通する吐出管56が開口している。
本実施形態の圧縮機30のケーシング70内には、有機材料によって構成された部品として、ステータ83の巻き線の絶縁被覆材料、絶縁フィルム、および圧縮機構82のシール材料が用いられている。これらの部品には、高温高圧の冷媒に接触した場合でも、冷媒により物理的や化学的に変性を受けない物質で、特に耐溶剤性、耐抽出性、熱的・化学的安定性、耐発泡性を有する物質が用いられている。
具体的に、ステータ83の巻き線の絶縁被覆材料は、ポリビニルフォルマール、ポリエステル、THEIC変性ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリエステルアミドイミドの何れかが用いられている。なお、好ましいのは、上層がポリアミドイミド、下層がポリエステルイミドの二重被覆線である。また、上記物質以外に、ガラス転移温度が120℃以上のエナメル被覆を用いてもよい。
また、絶縁フィルムには、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテフタレート(PBT)の何れかが用いられている。なお、絶縁フィルムに、発泡材料が冷凍サイクルの冷媒と同じ発泡フィルムを用いることも可能である。インシュレーター等の巻き線を保持する絶縁材料には、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)の何れかが用いられている。ワニスには、エポキシ樹脂が用いられている。また、シール材料には、ポリテトラフルオロエチレン、アラミド繊維やNBRからなるパッキン、パーフルオロエラストマー、シリコンゴム、水素化NBRゴム、フッ素ゴムの何れかが用いられている。
また、ケーシング70の底部には、冷凍機油が貯留される油溜まりが形成されている。また、クランク軸90の内部には、油溜まりに開口する第1給油通路104が形成されている。また、可動側鏡板76bには、第1給油通路104に接続する第2給油通路105が形成されている。この圧縮機30では、油溜まりの冷凍機油が第1給油通路104および第2給油通路105を通じて低圧側の圧縮室73に供給される。
上述のように、可動スクロール76とハウジング77との間には、オルダムリング79が設けられている。オルダムリング79は、可動スクロール76の自転を防止するための自転防止機構を構成している。オルダムリング79は、リング状に形成されており、リングの上側には互いに対向する位置にそれぞれスクロールキーが突設されている。また、オルダムリング79の下側には、上記スクロールキーに対して周方向に90度ずれた位置に一対のハウジングキーが突設されている。つまり、オルダムリング79では、スクロールキーとハウジングキーとが、リング周方向において90度ずれた位置に交互に設けられている。
上記可動スクロール76の可動側鏡板76bの背面側には、オルダムリング79のスクロールキーに対応するように径方向に延びる第1ガイド溝が形成されている。また、ハウジング77の上面には、オルダムリング79のハウジングキーに対応するように径方向に延びる第2ガイド溝が形成されている。オルダムリング79は、スクロールキーが第1ガイド溝に、ハウジングキーが第2ガイド溝にそれぞれ嵌合して摺動するように構成されている。これにより、可動スクロール76は、クランク軸90の回転するときに、オルダムリング79によって自転が防止され、公転運動、つまり旋回運動のみが許容されている。このように、オルダムリング79は、可動スクロール76と摺接する摺動面と、ハウジング77と摺接する摺動面と、を有している。
本実施形態のオルダムリング79は、その全体が、ハイシリコンアルミニウム材料と称されるシリコンを含有するアルミニウム合金で構成されている。オルダムリング79を構成するアルミニウム合金は、そのシリコンの含有量が5wt%以上25wt%以下となっている。オルダムリング79は、冷媒および冷凍機油に接触可能に配設され、可動スクロール76やハウジング77に対して互いに摺接する部位である摺動部79sが5wt%以上25wt%以下のシリコンを含有するアルミニウム合金で構成されている。なお、オルダムリング79について、その摺動部79sである外表面にだけに上記のアルミニウム合金を別体で形成しても良い。摺動部79sのアルミニウム合金のシリコン含有量の好ましい下限は、たとえば、7wt%である。シリコン含有量の多い高価なアルミニウム合金の使用を抑制できる点で、摺動部79sのアルミニウム合金のシリコン含有量の好ましい上限は20wt%であり、さらに好ましくは18wt%である。
(5)冷凍機油について
本実施形態では、ポリオールエステルおよびポリビニルエーテルの2種類の基油のうち少なくとも1種類を主成分とする冷凍機油を圧縮機30に用いる。たとえば、本実施形態の冷凍機油には、この2種類のうちポリビニルエーテルを主成分とする冷凍機油が用いられている。なお、ここでの主成分は、冷凍機油のうち最も重量割合が大きな成分を意味する。
本実施形態の冷凍機油では、下記一般式Iで表される構成単位を有するポリビニルエーテルを主成分とする冷凍機油が用いられている。この構造のポリビニルエーテルは、ポリビニルエーテルの中でも、分子構造中に二重結合を1個有する冷媒との相溶性に優れている。
Figure 2024052371000002
一般式Iにおいて、R1、R2、およびR3は、水素または炭素数が1以上8以下の炭化水素基を表している。R1、R2、およびR3は、同一でもよく、互いに異なっていてもよい。また、一般式Iにおいては、構成単位毎において、R4が炭素数が1または2のアルキル基が40%以上100%以下、炭素数が3または4のアルキル基が0%以上60%以下の構成比を有している。
上記冷凍機油は、動粘度が40℃において30cSt以上400cSt以下で、流動点が-30℃以下で、表面張力が20℃において0.02N/m以上0.04N/m以下で、さらに密度が15℃において0.8g/cm3以上1.8g/cm3以下になっている。また、冷凍機油は、温度30℃、相対湿度90%における飽和水分量が2000ppm以上になり、アニリン点が所定の数値範囲の値となっている。ここで、「アニリン点」は、たとえば炭化水素系溶剤等の溶解性を示す数値であり、試料(ここでは冷凍機油)を等容積のアニリンと混合して冷やしたときに、互いに溶解し合えなくなって濁りがみえ始めたときの温度を表すものである(詳細は、JIS K 2256で定義)。なお、これらの値は、冷媒が溶解しない状態の冷凍機油自体の値である。この点は、その他の実施形態に記載した冷凍機油も同じである。
本実施形態では、冷凍機油の主成分となるポリビニルエーテルが、冷媒としてのハイドロフルオロオレフィンに対して相溶性を有している。そして、冷凍機油の動粘度は、40℃において400cSt以下である。このため、冷媒としてのハイドロフルオロオレフィンが、冷凍機油にある程度溶解する。また、冷凍機油の流動点が-30℃以下であるため、冷媒回路10において比較的低温部位でも、冷凍機油の流動性を確保できる。また、表面張力が20℃において0.04N/m以下であるため、圧縮機30から吐出された冷凍機油が冷媒によって押し流されにくくなるような大きな油滴になりにくい。したがって、圧縮機30から吐出された冷凍機油は、冷媒に溶解して、冷媒と共に圧縮機30に戻ってくる。
また、冷凍機油の動粘度が40℃において30cSt以上であるため、動粘度が低すぎて油膜強度が不十分になることはなく、潤滑性能が確保される。また、表面張力が20℃において0.02N/m以上であるため、圧縮機30内のガス冷媒中で小さな油滴になりにくく、圧縮機30から多量に冷凍機油が吐出されることがない。このため、圧縮機30における冷凍機油の貯留量を充分に確保することができる。
また、冷凍機油の飽和水分量が、温度30℃でかつ相対湿度90%において2000ppm以上であるため、冷凍機油の吸湿性が比較的高いものとなる。これにより、冷媒中の水分を冷凍機油によって有る程度捕捉することが可能となる。ハイドロフルオロオレフィンは、含有される水分の影響により、変質または劣化し易い分子構造を有する。よって、冷凍機油による吸湿効果により、このような劣化を抑制することができる。
さらに、冷凍機油のアニリン点を所定の数値範囲の値とすることで、冷凍機油と所定の樹脂製機能部品(冷凍機油や冷媒に接触可能に配設された有機材から成る機能部品であり、たとえば摺動部材やシール部材等)との適合性が向上する。つまり、アニリン点を所定の数値範囲の値とすると、冷凍機油の影響により樹脂製機能部品が膨潤または縮小してしまうのを防止でき、樹脂製機能部品の機能が損なわれてしまうのを回避できる。
また、本実施形態の冷凍機油には、添加剤として、酸捕捉剤または酸素捕捉剤が添加されており、必要に応じてさらに極圧剤、酸化防止剤、消泡剤、油性剤、および銅不活性化剤が添加されている。酸捕捉剤と酸素捕捉剤以外の個々の添加剤の配合量は、冷凍機油に含まれる割合が0.01wt%以上5wt%以下になるように設定されることが好ましい。
酸捕捉剤の配合量、および酸素捕捉剤の配合量の合計配合量は、下記関係式を満たす。ただし、上記のとおり、酸捕捉剤と酸素捕捉剤とは、どちらか一方のみが配合されていてもよい。
冷凍機油における酸捕捉剤と酸素捕捉剤の合計含有量[wt%]≧2.3+2.6×(冷媒中のハイドロフルオロオレフィンの含有量[wt%])-1.6×(摺動部におけるシリコン含有量[wt%])
上記関係式は、次の方法により得られた。シリコン含有量が異なる複数のアルミ合金を用意し、スラスト摺動試験用のリングとした。それぞれのリングを用いて、ハイドロフルオロオレフィン含有量、ならびに、冷凍機油に配合される酸捕捉剤および酸素捕捉剤の合計配合量を変更して、スラスト摺動試験を行った。試験条件は、速度5cm/secとした。スラスト摺動試験において、リングが焼付く直前のハイドロフルオロオレフィン含有量と、酸捕捉剤および酸素捕捉剤の合計配合量と、の組合せをリングごとにプロットし、回帰直線を得た。この回帰直線の式を上記関係式とした。
F1=2.3+2.6×(冷媒中のハイドロフルオロオレフィンの含有量[wt%])-1.6×(摺動部におけるシリコン含有量[wt%])と定義する。F1は、酸捕捉剤および酸素捕捉剤が捕捉できる冷媒中の酸の量を示す指標である。
冷凍機油における酸捕捉剤と酸素捕捉剤の合計含有量がF1未満であれば、酸捕捉剤および酸素捕捉剤による酸の捕捉が不十分となり、捕捉できなかった酸によりアルミ部品の腐食が発生しやすい。
冷凍機油における酸捕捉剤と酸素捕捉剤の合計含有量がF1以上であれば、酸捕捉剤および酸素捕捉剤による酸の捕捉が十分となり、アルミ部品の腐食を抑制することができる。
冷媒が一種または複数種類のハイドロフルオロオレフィンのみから構成されている場合には、酸捕捉剤の配合量および酸素捕捉剤の配合量の合計配合量は、たとえば、3.0wt%より多いことが好ましく、3.2wt%より多いことがより好ましい。
酸捕捉剤の配合量および酸素捕捉剤の配合量の合計配合量の上限は、たとえば、10.0wt%である。酸捕捉剤の配合量および酸素捕捉剤の配合量の合計配合量が10.0wt%を超えると、冷凍機油の粘性が低下する。その結果、潤滑性が低下し、摩耗が発生しやすい。なお、冷凍機油の粘性低下を抑制する観点から、冷凍機油における酸捕捉剤と酸素捕捉剤の合計含有量の上限は、たとえば「F1+5.0wt%」であることが好ましく、「F1+2.0wt%」であることがより好ましい。
酸捕捉剤には、たとえば、フェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、アルキレングリコールグリシジルエーテル、シクロヘキセンオキシド、α-オレフィンオキシド、エポキシ化大豆油などのエポキシ化合物を用いることができる。なお、これらの中で冷媒との相溶性の観点から好ましい酸捕捉剤は、フェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、アルキレングリコールグリシジルエーテル、シクロヘキセンオキシド、α-オレフィンオキシドである。アルキルグリシジルエーテルのアルキル基、およびアルキレングリコールグリシジルエーテルのアルキレン基は、分岐を有していてもよい。これらの炭素数は、3以上30以下であればよく、4以上24以下であればより好ましく、6以上16以下であればさらに好ましい。また、α-オレフィンオキシドは、全炭素数が4以上50以下であればよく、4以上24以下であればより好ましく、6以上16以下であればさらに好ましい。酸捕捉剤は、1種だけを用いてもよく、複数種類を併用することも可能である。
酸素捕捉剤には、たとえば、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、ジフェニルスルフィド、ジオクチルジフェニルスルフィド、ジアルキルジフェニレンスルフィド、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、フェノチアジン、ベンゾチアピラン、チアピラン、チアントレン、ジベンゾチアピラン、ジフェニレンジスルフィド等の含硫黄芳香族化合物、各種オレフィン、ジエン、トリエン等の脂肪族不飽和化合物、二重結合を持ったテルペン類等を用いることができる。酸素捕捉剤は、1種だけを用いてもよく、複数種類を併用することも可能である。
なお、極圧剤には、リン酸エステル類を含むものを用いることができる。リン酸エステル類としては、リン酸エステル、亜リン酸エステル、酸性リン酸エステル、および酸性亜リン酸エステル等を用いることができる。また、極圧剤には、リン酸エステル類には、リン酸エステル、亜リン酸エステル、酸性リン酸エステル、および酸性亜リン酸エステルのアミン塩を含むものを用いることもできる。
また、上記以外の極圧剤を添加することも可能である。たとえば、モノスルフィド類、ポリスルフィド類、スルホキシド類、スルホン類、チオスルフィネート類、硫化油脂、チオカーボネート類、チオフェン類、チアゾール類、メタンスルホン酸エステル類等の有機硫黄化合物系の極圧剤、チオリン酸トリエステル類等のチオリン酸エステル系の極圧剤、高級脂肪酸、ヒドロキシアリール脂肪酸類、多価アルコールエステル類、アクリル酸エステル類等のエステル系の極圧剤、塩素化炭化水素類、塩素化カルボン酸誘導体等の有機塩素系の極圧剤、フッ素化脂肪族カルボン酸類、フッ素化エチレン樹脂、フッ素化アルキルポリシロキサン類、フッ素化黒鉛等の有機フッ素化系の極圧剤、高級アルコール等のアルコール系の極圧剤、ナフテン酸塩類(ナフテン酸鉛等)、脂肪酸塩類(脂肪酸鉛等)、チオリン酸塩類(ジアルキルジチオリン酸亜鉛等)、チオカルバミン酸塩類、有機モリブデン化合物、有機スズ化合物、有機ゲルマニウム化合物、ホウ酸エステル等の金属化合物系の極圧剤を用いることが可能である。
また、酸化防止剤には、フェノール系の酸化防止剤やアミン系の酸化防止剤を用いることができる。フェノール系の酸化防止剤には、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(DBPC)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール等がある。また、アミン系の酸化防止剤には、N,N’-ジイソプロピル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、フェニル-α-ナフチルアミン、N.N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン等がある。なお、酸化防止剤には、酸素を捕捉する酸素捕捉剤も用いることができる。
また、銅不活性化剤としては、ベンゾトリアゾールやその誘導体等を用いることができる。消泡剤としては、ケイ素化合物を用いることができる。油性剤としては、高級アルコール類を用いることができる。
また、本実施形態の冷凍機油には、必要に応じて、耐荷重添加剤、塩素捕捉剤、清浄分散剤、粘度指数向上剤、防錆剤、安定剤、腐食防止剤、および流動点降下剤等を添加することも可能である。個々の添加剤の配合量は、冷凍機油に含まれる割合が0.01wt%以上5wt%以下であればよく、0.05wt%以上3wt%以下であることが好ましい。また、本実施形態の冷凍機油は、塩素濃度が50ppm以下、さらに硫黄濃度が50ppm以下になっている。
(6)全体動作
上記空気調和装置20の運転動作について説明する。この空気調和装置20は、冷房運転と暖房運転とが実行可能になっており、四路切換弁13によって冷房運転と暖房運転との切り換えが行われる。
(6-1)冷房運転
冷房運転時には、四路切換弁13が第1状態に設定される。この状態で、圧縮機30の運転が行われると、圧縮機30から吐出された高圧冷媒が、室外熱交換器11において室外空気へ放熱して凝縮する。室外熱交換器11で凝縮した冷媒は、各室内回路17へ分配される。各室内回路17では、流入した冷媒が、室内膨張弁16で減圧された後に、室内熱交換器15において室内空気から吸熱して蒸発する。一方、室内空気は冷却されて室内へ供給される。
各室内回路17で蒸発した冷媒は、他の室内回路17で蒸発した冷媒と合流して、室外回路9へ戻ってくる。室外回路9では、各室内回路17から戻ってきた冷媒が、圧縮機30で再び圧縮されて吐出される。なお、冷房運転中は、各室内膨張弁16の開度が、室内熱交換器15の出口における冷媒の過熱度が一定値になるように過熱度制御される。室内熱交換器15の出口における冷媒の過熱度の一定値とは、たとえば5℃である。
(6-2)暖房運転
暖房運転時には、四路切換弁13が第2状態に設定される。この状態で、圧縮機30の運転が行われると、圧縮機30から吐出された高圧冷媒が、各室内回路17へ分配される。各室内回路17では、流入した冷媒が室内熱交換器15において室内空気へ放熱して凝縮する。一方、室内空気は加熱されて室内へ供給される。室内熱交換器15で凝縮した冷媒は、室外回路9で合流する。
室外回路9で合流した冷媒は、室外膨張弁12で減圧された後、室外熱交換器11において室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器11で蒸発した冷媒は、圧縮機30で再び圧縮されて吐出される。なお、暖房運転中は、各室内膨張弁12の開度が、室内熱交換器15の出口における冷媒の過冷却度が一定値になるようにサブクール制御される。室内熱交換器15の出口における冷媒の過冷却度の一定値とは、たとえば5℃である。
(7)特徴
(7-1)
上記のとおり、HFO-1234yf等のハイドロフルオロオレフィンを含む冷媒は、水分や酸素等に対して比較的不安定な分子構造を有する。そのため、長期の冷凍サイクルに伴い冷媒が劣化してフッ酸やトリフルオロ酢酸などの強酸が生成してしまうことがある。このような強酸が生成されると、圧縮機30の摺動部が物理的、または化学的に変性して劣化または損耗してしまう場合がある。その結果、圧縮機30の摺動部において異常摩耗が発生しがちになる。
圧縮機30の摺動部に使用するアルミ部品のSi含有量を高めることで腐食を抑制することも考えられる。しかしながら、Si含有量の高いアルミ合金は特殊な技術を必要とし、高価である。
ここで、本実施形態では、酸捕捉剤の配合量、および酸素捕捉剤の配合量の合計配合量は、下記関係式を満たす。
冷凍機油における酸捕捉剤と酸素捕捉剤の合計含有量[wt%]≧2.3+2.6×(冷媒中のハイドロフルオロオレフィンの含有量[wt%])-1.6×(摺動部におけるシリコン含有量[wt%])
F1=2.3+2.6×(冷媒中のハイドロフルオロオレフィンの含有量[wt%])-1.6×(摺動部におけるシリコン含有量[wt%])と定義する。冷凍機油における酸捕捉剤と酸素捕捉剤の合計含有量がF1以上であれば、酸捕捉剤および酸素捕捉剤が冷媒中の酸を十分に捕捉できる。そのため、アルミ部品の腐食を抑制することができる。その結果、アルミ部品の異常摩耗の発生を抑制することができる。
(7-2)
また、本実施形態では、冷凍機油は、極圧剤を含む。このため、アルミ部品の腐食をさらに抑制することができる。
(7-3)
また、本実施形態では、冷凍機油は、酸化防止剤を含む。このため、アルミ部品の腐食をさらに抑制することができる。
(8)その他の実施形態
上記実施形態は、以下のように構成してもよい。
(8-1)他の実施形態A
上記実施形態では、圧縮機構82のオルダムリング79の摺動部79sを、5wt%以上25wt%以下のシリコンを含有するアルミニウム合金で構成しているが、このアルミニウム合金を圧縮機構82の他の摺動部に適用しても良い。
具体的には、上記の可動スクロール76の摺動部や、クランク軸90のジャーナル軸受けやスラスト軸受け等の軸受けに対する摺動部や、ジャーナル軸受けやスラスト軸受け等の軸受けのクランク軸90に対する摺動部等に、上記のアルミニウム合金を適用しても良い。
可動スクロール76の摺動部としては、たとえば、突出部76cのうちクランク軸90の偏心部に対して摺接する部分、可動側ラップ76aのうち固定スクロール75の固定側ラップ75aに対して摺接する部分、可動側鏡板76bのうちオルダムリング79に対して摺接する部分等が挙げられる。
なお、摺動部を有する部材は、当該部材全体を上記アルミニウム合金で構成してもよいし、摺動面に露出している摺動部のみを上記アルミニウム合金で構成してもよい。
(8-2)他の実施形態B
また、上記実施形態では、圧縮機30の圧縮機構82がスクロール式の圧縮機構により構成されている。しかしながら、圧縮機構82は、スイング式、ロータリ式、スクリュー式等の他の方式の圧縮機構であっても良い。このような他の方式においても、圧縮機構の所定の摺動部に上記のアルミニウム合金を適用しても良い。
(8-3)他の実施形態C
上記実施形態では、ポリオールエステルおよびポリビニルエーテルの2種類の基油のうちポリビニルエーテルを主成分とする冷凍機油が用いられる場合を例に挙げて説明した。これに対して、冷凍機油としては、ポリオールエステルを主成分とする冷凍機油を用いてもよい。
ポリオールエステルとしては、たとえば、「脂肪族多価アルコールと直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪酸とのエステル」、「脂肪族多価アルコールと直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪酸との部分エステル」、および、「脂肪族多価アルコールと炭素数が3以上9以下の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪酸との部分エステルと、脂肪族二塩基酸若しくは芳香族二塩基酸とのコンプレックスエステル」のいずれかまたはその混合物を用いることが好ましい。これらのポリオールエステルは、ポリオールエステルの中でも、ハイドロフルオロオレフィン冷媒との相溶性に優れる。
「脂肪族多価アルコールと直鎖状または分岐鎖状の脂肪酸とのエステルまたは部分エステル」を形成する脂肪族多価アルコールには、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール等を用いることができる。このうち脂肪族多価アルコールとしては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、およびトリペンタエリスリトールが好ましい。
また、脂肪酸には、炭素数が3以上12以下のものを用いることができ、たとえばプロピオン酸、酪酸、ピバリン酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、イソ吉草酸、ネオペンタン酸、2-メチル酪酸、2-エチル酪酸、2-メチルヘキサン酸、2-エチルヘキサン酸、イソオクタン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、2,2-ジメチルオクタン酸、2-ブチルオクタン酸、3,5,5-トリメチルヘキサン酸を用いることができる。脂肪酸としては、炭素数が5以上12以下の脂肪酸が好ましく、炭素数が5以上9以下の脂肪酸がさらに好ましい。具体的には、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、2-メチルヘキサン酸、2-エチルヘキサン酸、イソオクタン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、2,2-ジメチルオクタン酸、2-ブチルオクタン酸、3,5,5-トリメチルヘキサン酸等が好ましい。
また、「脂肪族多価アルコールと炭素数が3以上9以下の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪酸との部分エステルと、脂肪族二塩基酸若しくは芳香族二塩基酸とのコンプレックスエステル」では、炭素数が5以上7以下の脂肪酸が好ましく、炭素数が5または6の脂肪酸がさらに好ましい。具体的には、吉草酸、ヘキサン酸、イソ吉草酸、2-メチル酪酸、2-エチル酪酸またはその混合物が好ましい。また、炭素数が5の脂肪酸と炭素数が6の脂肪酸を重量比で10:90以上90:10以下の割合で混合した脂肪酸を使用することができる。
また、脂肪族二塩基酸には、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、ドコサンナ二酸がある。また、芳香族二塩基酸には、フタル酸、イソフタル酸がある。コンプレックスエステルを調製するためのエステル化反応は、多価アルコールと二塩基酸を所定の割合で反応させて部分エステル化した後に、その部分エステルと脂肪酸とを反応させる。なお、二塩基酸と脂肪酸の反応順序を逆にしてもよく、二塩基酸と脂肪酸を混合してエステル化に供してもよい。
また、冷凍機油には、ポリアルキレングリコールが配合されていてもよい。ポリアルキレングリコールとしては、ハイドロフルオロオレフィン冷媒との相溶性が良好である観点から、分子式:R1(R2)m(R3O)nR4(但し、mおよびnは整数で、R1およびR4は、水素、炭素数が1以上6以下のアルキル基またはアリール基を表し、R2およびR3は、炭素数が1以上4以下のアルキル基を表す。)で表される分子構造のポリアルキレングリコールが好ましい。
(8-4)他の実施形態D
また、上記実施形態について、ケイ酸や合成ゼオライトが乾燥剤として充填された乾燥機を冷媒回路10に設けてもよい。
(8-5)他の実施形態E
また、上記実施形態について、冷凍サイクル装置20が、暖房専用の空気調和装置であってもよいし、食品を冷却するための冷蔵庫や冷凍庫であってもよいし、空調機と冷蔵庫や冷凍庫とを組み合せた冷凍サイクル装置であってもよいし、冷媒回路10の放熱器で水を加熱する給湯装置であってもよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本開示、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以下に、本開示を実施例に基づいて説明する。なお、本開示は以下の実施例に記載したものに限定されるものではない。
本実施形態における圧縮機および冷凍サイクル装置が用いる冷凍機油の試験結果について説明する。冷凍機油の試験では、表1に記載の試験片を用いたスラスト摺動試験を実施して、冷凍機油が圧縮機および冷凍サイクル装置に与える影響を分析した。
Figure 2024052371000003
冷凍機油には、ポリビニルエーテルと、表1に記載の配合量の酸捕捉剤および酸素捕捉剤を混合したものを用いた。
試験では、冷媒の種類および配合量、試験片のアルミ合金に含まれるシリコン含有量、ならびに、冷凍機油に配合される酸捕捉剤および酸素捕捉剤の合計配合量を変更した。冷凍機油をディスクに塗布し、スラスト摺動試験を行った。試験条件は、速度5cm/secとした。スラスト摺動試験においてリングが焼付いた時の面圧(以下、焼付面圧という)(MPa)を測定し、現行品の焼付面圧と比較した。試験の結果を表1に示す。
表1より、酸捕捉剤および酸素捕捉剤の合計配合量が、関係式から計算される酸捕捉剤および酸素捕捉剤の合計配合量以上の実施例1~実施例6において、焼付面圧は現行品よりも高かった。
酸捕捉剤および酸素捕捉剤の合計配合量が、関係式から計算される酸捕捉剤および酸素捕捉剤の合計配合量未満の比較例1~比較例6において、焼付面圧は現行品よりも低かった。
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
以上説明したように、本開示は、冷凍サイクルを行う冷凍サイクル装置および圧縮機について有用である。
10 冷媒回路
20 空気調和装置(冷凍サイクル装置)
30 圧縮機
73 圧縮室
75 固定スクロール
76 可動スクロール
79 オルダムリング
79s 摺動部
82 圧縮機構
特開2010-265777号公報
冷凍機油における酸捕捉剤と酸素捕捉剤の合計含有量[wt%]≧2.3+2.6×(冷媒におけるハイドロフルオロオレフィンの含有量[wt%])-1.6×(摺動部におけるシリコンの含有量[wt%]))/100
第1観点の圧縮機では、上記式を満たす酸捕捉剤と酸素捕捉剤を含む冷凍機油が用いられている。したがって、ハイドロフルオロオレフィンを含む冷媒の劣化に起因する圧縮機の摺動部の腐食が抑制される。
冷凍機油における酸捕捉剤と酸素捕捉剤の合計含有量[wt%]≧2.3+2.6×(冷媒中のハイドロフルオロオレフィンの含有量[wt%])-1.6×(摺動部におけるシリコン含有量[wt%]))/100
上記関係式は、次の方法により得られた。シリコン含有量が異なる複数のアルミ合金を用意し、スラスト摺動試験用のリングとした。それぞれのリングを用いて、ハイドロフルオロオレフィン含有量、ならびに、冷凍機油に配合される酸捕捉剤および酸素捕捉剤の合計配合量を変更して、スラスト摺動試験を行った。試験条件は、速度5cm/secとした。スラスト摺動試験において、リングが焼付く直前のハイドロフルオロオレフィン含有量と、酸捕捉剤および酸素捕捉剤の合計配合量と、の組合せをリングごとにプロットし、回帰直線を得た。この回帰直線の式を上記関係式とした。
F1=2.3+2.6×(冷媒中のハイドロフルオロオレフィンの含有量[wt%])-1.6×(摺動部におけるシリコン含有量[wt%]))/100と定義する。F1は、酸捕捉剤および酸素捕捉剤が捕捉できる冷媒中の酸の量を示す指標である。
冷凍機油における酸捕捉剤と酸素捕捉剤の合計含有量[wt%]≧2.3+2.6×(冷媒中のハイドロフルオロオレフィンの含有量[wt%])-1.6×(摺動部におけるシリコン含有量[wt%]))/100
F1=2.3+2.6×(冷媒中のハイドロフルオロオレフィンの含有量[wt%])-1.6×(摺動部におけるシリコン含有量[wt%]))/100と定義する。冷凍機油における酸捕捉剤と酸素捕捉剤の合計含有量がF1以上であれば、酸捕捉剤および酸素捕捉剤が冷媒中の酸を十分に捕捉できる。そのため、アルミ部品の腐食を抑制することができる。その結果、アルミ部品の異常摩耗の発生を抑制することができる。

Claims (4)

  1. ハイドロフルオロオレフィンを含む冷媒を使用し、ポリオールエステルまたはポリビニルエーテルを含む冷凍機油を使用して、冷凍サイクルを行う冷凍サイクル装置(20)における圧縮機(30)であって、
    5wt%以上25wt%以下のシリコンを含むアルミニウム合金で構成された摺動部79sを備え、
    前記冷凍機油は、酸捕捉剤または酸素捕捉剤を含み、下記関係式を満たす、
    圧縮機。
    冷凍機油における酸捕捉剤と酸素捕捉剤の合計含有量[wt%]≧2.3+2.6×(冷媒におけるハイドロフルオロオレフィンの含有量[wt%])-1.6×(摺動部におけるシリコンの含有量[wt%])
  2. 前記冷凍機油は、極圧剤を含む、
    請求項1に記載の圧縮機。
  3. 前記冷凍機油は、酸化防止剤を含む、
    請求項1に記載の圧縮機。
  4. 請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の圧縮機(30)を備える、冷凍サイクル装置(20)。
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