JP2024051897A - 車両用駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】パラレルハイブリッドモード及び電気自動車モードを実行可能であると共に、軸方向の寸法の小型化を図り易い車両用駆動装置を実現する。【解決手段】第1回転要素E1、第2回転要素E2、第3回転要素E3を備えた第1遊星歯車機構1と、第4回転要素E4、第5回転要素E5、第6回転要素E6を備えた第2遊星歯車機構2とが互いに平行な別軸上に配置されている。第1回転要素E1は内燃機関EGに、第5回転要素E5は出力部材OUTに駆動連結される。第2回転要素E2と第4回転要素E4とは連動して回転すると共に回転電機MGに駆動連結される。第1クラッチ1Cは第1遊星歯車機構1の回転要素の2つ、第2クラッチ2Cは第2遊星歯車機構2の回転要素の2つを選択的に係合し、第1ブレーキ1Bは第3回転要素E3を、第2ブレーキ2Bは第6回転要素E6を、非回転部材90に選択的に係合する。【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関に駆動連結される入力部材と、車輪に駆動連結される出力部材と、回転電機と、第1遊星歯車機構と、第2遊星歯車機構とを備えた車両用駆動装置に関する。
特開2012-96653号公報には、内燃機関(11)に駆動連結される入力部材(11a)と、車輪に駆動連結される出力部材(72)と、回転電機(12)と、変速装置(20)とを備えたハイブリッド車両(車両用駆動装置(1))が開示されている(背景技術において括弧内の符号は参照する文献のもの。)。変速装置(20)は、遊星歯車機構(30)と、複数の平歯車対による噛み合い式の歯車変速機構(40)とから構成されている。回転電機(12)は、歯車変速機構(40)の1つの平歯車対の一方の歯車に連結されている。この車両用駆動装置(1)は、内燃機関(11)のトルク及び回転電機(12)のトルクの双方が出力部材(72)に伝達されるパラレルハイブリッドモード(HV走行)、回転電機(12)のトルクのみが出力部材(72)に伝達されるEVモード(電気自動車モード、EV走行)等の実行が可能である。
歯車変速機構(40)の複数の平歯車対の内の一方の側のギヤ群及び遊星歯車機構(30)は、入力部材(11a)と同軸上に配置されている。具体的には、入力部材(11a)、遊星歯車機構(30)、歯車変速機構(40)は、入力部材(11a)の軸方向に沿って、記載の順に並んで配置されている。
特開2012-96653号公報
上記のような構成では、軸方向に沿って、遊星歯車機構と歯車変速機構とが並んで配置されるため、車両用駆動装置の軸方向の長さが長くなる傾向があり、車両用駆動装置の小型の妨げとなる。
そこで、パラレルハイブリッドモード及び電気自動車モードを実行可能であると共に、軸方向の寸法の小型化を図り易い車両用駆動装置の実現が望まれる。
上記課題に鑑みた車両用駆動装置は、内燃機関に駆動連結される入力部材と、車輪に駆動連結される出力部材と、回転電機と、回転速度の順に第1回転要素、第2回転要素、及び第3回転要素を備えた第1遊星歯車機構と、回転速度の順に第4回転要素、第5回転要素、及び第6回転要素を備えた第2遊星歯車機構と、第1クラッチと、第2クラッチと、第1ブレーキと、第2ブレーキと、を備えた車両用駆動装置であって、前記第1回転要素は、前記入力部材に駆動連結され、前記第5回転要素は、前記出力部材に駆動連結され、前記第2回転要素と前記第4回転要素とが互いに連動して回転するように構成されていると共に、前記第2回転要素及び前記第4回転要素は、前記回転電機に駆動連結され、前記第1クラッチは、前記第1回転要素、前記第2回転要素、及び前記第3回転要素の内から選択される2つの回転要素を選択的に係合するように構成され、前記第2クラッチは、前記第4回転要素、前記第5回転要素、及び前記第6回転要素の内から選択される2つの回転要素を選択的に係合するように構成され、前記第1ブレーキは、前記第3回転要素を非回転部材に選択的に係合するように構成され、前記第2ブレーキは、前記第6回転要素を前記非回転部材に選択的に係合するように構成され、前記第1遊星歯車機構と前記第2遊星歯車機構とが、互いに平行な別軸上に配置されている。
本構成によれば、内燃機関及び回転電機を動作させることにより、内燃機関のトルクと回転電機のトルクの双方を出力部材に伝達する、いわゆるパラレルハイブリッドモードを実現することができる。また、回転電機を動作させ、内燃機関を停止させることにより、内燃機関のトルクを出力部材に伝達せず、回転電機のトルクを出力部材に伝達する、いわゆるEVモードを実現することができる。この際、本構成によれば、第1遊星歯車機構において第1クラッチ及び第1ブレーキの係合の状態を制御することにより、高速段と低速段と動力伝達を行わない中立段(ニュートラル)とを実現することができる。また、第2遊星歯車機構においても第2クラッチ及び第2ブレーキの係合の状態を制御することにより、高速段と低速段と動力伝達を行わない中立段とを実現することができる。従って、内燃機関の回転を、第1遊星歯車機構の高速段及び低速段と第2遊星歯車機構の高速段及び低速段との組み合わせによる4つの変速段で変速して出力部材に伝達することができる。また、回転電機の回転を第2遊星歯車機構の高速段及び低速段との2つの変速段で変速して出力部材に伝達することができる。
また、一般的に、第1遊星歯車機構の回転要素同士を選択的に係合する第1クラッチ及び第1遊星歯車機構の回転要素と非回転部材とを選択的に係合する第1ブレーキは、第1遊星歯車機構と同軸上に配置され、第2遊星歯車機構の回転要素同士を選択的に係合する第2クラッチ及び第2遊星歯車機構の回転要素と非回転部材とを選択的に係合する第2ブレーキは第2遊星歯車機構と同軸上に配置される。本構成によれば、第1遊星歯車機構と第2遊星歯車機構とが互いに平行な別軸上に配置されているため、第1遊星歯車機構と同軸上に配置される第1クラッチ及び第1ブレーキと、第2遊星歯車機構と同軸上に配置される第2クラッチ及び第2ブレーキとを互いに別軸上に配置することができる。従って、これらが同軸上に配置される構成に比べて、車両用駆動装置の軸方向寸法の小型化を図り易い。
車両用駆動装置のさらなる特徴と利点は、図面を参照して説明する例示的且つ非限定的な実施形態についての以下の記載から明確となる。
車両用駆動装置の第1の構成例を示すスケルトン図 第2回転電機を備えた車両用駆動装置の第1の構成例を示すスケルトン図 第2回転電機を備えた車両用駆動装置の第2の構成例を示すスケルトン図 第1係合装置及び第2係合装置の構成例を示す断面図 第3係合装置の構成例を示す断面図 第1の構成例の車両用駆動装置の速度線図 車両用駆動装置の第2の構成例を示すスケルトン図 第2の構成例の車両用駆動装置の速度線図
以下、車両用駆動装置の実施形態を図面も参照して説明する。以下、中核となる構成については、2つの形態を例示して説明する。図1に例示する第1の構成例は「第1車両用駆動装置100A」であり、図7に例示する第2の構成例は「第2車両用駆動装置100B」である。特に区別の必要がない場合には、単に「車両用駆動装置100」と称して説明する。
本明細書において「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が1つ又は2つ以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材、例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等が含まれる。尚、伝動部材として、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置、例えば、摩擦係合装置、噛み合い式係合装置等が含まれていても良い。ただし、遊星歯車機構の各回転要素について「駆動連結」という場合には、遊星歯車機構における複数の回転要素が、互いに他の回転要素を介することなく連結されている状態を指すものとする。また、本明細書において「連動して回転する」とは、クラッチ等の係合要素を介することなく連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一定の変速比で変速されて同期回転する状態の他、同速回転する状態、一体回転する状態を含む。
また、本明細書では、2つの部材の配置に関して、「特定方向視で重複する」とは、その視線方向に平行な仮想直線を当該仮想直線に直交する各方向に移動させた場合に、当該仮想直線が2つの部材の双方に交わる領域が少なくとも一部に存在することを意味する。また、本明細書では、2つの部材の配置に関して、「特定方向における配置領域が重複する」とは、一方の部材の特定方向における配置領域内に、他方の部材の特定方向における配置領域の少なくとも一部が含まれることを意味する。
図1に示すように、車両用駆動装置100は、内燃機関EGに駆動連結される入力部材10と、車輪Wに駆動連結される出力部材OUTと、回転電機MGと、第1遊星歯車機構1と、第2遊星歯車機構2と、第1クラッチ1Cと、第2クラッチ2Cと、第1ブレーキ1Bと、第2ブレーキ2Bとを備えている。本実施形態では、車両用駆動装置100は、出力部材OUTに伝達された動力を一対の車輪Wに分配する出力用差動歯車機構7も備えている。出力用差動歯車機構7は、例えば傘歯車式の差動歯車機構により構成されている。本実施形態では、出力用差動歯車機構7へ動力を伝達する差動入力ギヤG5が出力部材OUTに相当する。尚、出力用差動歯車機構7は遊星歯車機構により構成されてもよい。
本実施形態では、第1クラッチ1Cと第1ブレーキ1Bとを備えて第1係合装置4が構成され、第2クラッチ2Cと第2ブレーキ2Bとを備えて第2係合装置5が構成されている。詳細は図4も参照して後述するが、本実施形態では、第1クラッチ1C及び第2クラッチ2Cは、それぞれ第1摩擦部材41及び第2摩擦部材42を備えた同一構成のクラッチ機構Cであり、第1ブレーキ1B及び第2ブレーキ2Bは、それぞれ第3摩擦部材45及び第4摩擦部材46を備えた同一構成のブレーキ機構Bである。そして、第1係合装置4及び第2係合装置5は、それぞれ同一構成のクラッチ機構C及びブレーキ機構Bを備え、クラッチ機構C及びブレーキ機構Bが排他的に係合状態となる状態、及び、クラッチ機構C及びブレーキ機構Bが共に解放状態となる状態(中立状態・ニュートラル状態)を実現することができる同一構成の摩擦係合装置として構成されている。
内燃機関EG、入力部材10、第1遊星歯車機構1、及び第1係合装置4は、第1軸A1上に配置されている。また、回転電機MGは、第1軸A1と平行且つ別軸の第2軸A2上に配置されている。第1軸A1及び第2軸A2に平行な別軸である第3軸A3には、回転電機MGと第1遊星歯車機構1との間で動力を伝達する第1アイドラギヤG3が配置されている。第2遊星歯車機構2及び第2係合装置5は、第1軸A1、第2軸A2、及び第3軸A3に平行且つ別軸の第4軸A4に配置されている。出力用差動歯車機構7及び一対の車輪Wは、第1軸A1、第2軸A2、第3軸A3、及び第4軸A4に平行且つ別軸の第5軸A5に配置されている。
以下、第1軸A1に平行な方向を、車両用駆動装置100の「軸方向L」とする。尚、第1軸A1から第5軸A5は、全て平行であるから、軸方向Lはどの軸を基準として定義されてもよい。第1軸A1から第5軸A5に平行な他の軸が定義された場合、当該軸に平行な方向も軸方向Lである。また、軸方向Lの一方側を「軸方向第1側L1」とし、軸方向Lの他方側を「軸方向第2側L2」とする。本実施形態では、第1遊星歯車機構1に対して、入力部材10が内燃機関EGに連結される側を軸方向第1側L1とする。また、各軸に対して、軸方向Lに直交する方向を、各軸を基準とした「径方向」とする。どの軸を基準とするかを区別する必要がない場合やどの軸を基準とするかが明らかである場合には、単に「径方向」と記す場合がある。
回転電機MGは、車両用駆動装置100のケース90などの非回転部材に固定されたステータSTと、ステータSTに対して回転自在にケース90に支持されたロータRTとを備えている。また、ロータRTには、ロータRTと一体回転するように第2入力部材20が連結されている。回転電機MGは、不図示の蓄電装置から供給される電力により回転するモータとしての機能(力行機能)と、ロータRTの回転により発電し蓄電装置を充電するジェネレータとしての機能(回生機能)とを有している。
第1遊星歯車機構1は、いわゆる分配用差動歯車機構(分配用遊星歯車機構)であると共に変速用遊星歯車機構である。第1遊星歯車機構1は、回転速度の順に第1回転要素E1、第2回転要素E2、及び第3回転要素E3を備えている。ここで、「回転速度の順」とは、各回転要素の回転状態における回転速度の順番のことである。図1に示す形態(第1車両用駆動装置100A)では、第1回転要素E1が、第1サンギヤS1、第2回転要素E2が第1リングギヤR1、第3回転要素E3が第1キャリヤC1である。
第1遊星歯車機構1は、複数の第1ピニオンギヤP1を支持する第1キャリヤC1と、複数の第1ピニオンギヤP1に噛み合う第1サンギヤS1と、第1サンギヤS1に対して径方向の外側に配置されて複数の第1ピニオンギヤP1に噛み合う第1リングギヤR1とを備えている。複数の第1ピニオンギヤP1は、径方向の内側に配置された内側ピニオンギヤと、当該内側ピニオンギヤに噛み合うと共に径方向の外側に配置された外側ピニオンギヤとによるピニオンギヤ対を複数組備えており、第1遊星歯車機構1は、ダブルピニオン型の遊星歯車機構である。尚、第1キャリヤC1は内側ピニオンギヤを回転自在に支持するピニオンシャフト、及び外側ピニオンギヤを回転自在に支持するピニオンシャフトを支持しており、第1ピニオンギヤP1を構成するピニオンギヤ対は、これらのピニオンシャフトに回転自在に支持されることによって第1キャリヤC1に支持されている。
第2遊星歯車機構2は、いわゆる変速用遊星歯車機構である。第2遊星歯車機構2は、回転速度の順に第4回転要素E4、第5回転要素E5、及び第6回転要素E6を備えている。第1車両用駆動装置100Aでは、第4回転要素E4が第2リングギヤR2、第5回転要素E5が第2キャリヤC2、第6回転要素E6が第2サンギヤS2である。
第2遊星歯車機構2は、複数の第2ピニオンギヤP2を支持する第2キャリヤC2と、複数の第2ピニオンギヤP2に噛み合う第2サンギヤS2と、第2サンギヤS2に対して径方向の外側に配置されて複数の第2ピニオンギヤP2に噛み合う第2リングギヤR2とを備えたシングルピニオン型の遊星歯車機構である。尚、第2キャリヤC2はピニオンシャフトを支持しており、第2ピニオンギヤP2は、ピニオンシャフトに回転自在に支持されることによって第2キャリヤC2に支持されている。
本実施形態の車両用駆動装置100は、図2及び図3に示すように、上述した回転電機MGとは別の第2回転電機MG2を備えて構成されていてもよい。回転電機MGを第2回転電機MG2と区別する場合、当該回転電機MGを第1回転電機MG1と称する。第2回転電機MG2は、図1及び図7に示す車輪W(第1車輪W1)とは独立して回転する別の車輪である第2車輪W2に駆動連結される、又は、第2遊星歯車機構2の第5回転要素E5(第2キャリヤC2)と第1車輪W1との間の動力伝達経路を構成する何れかの回転要素に駆動連結される。
第2回転電機MG2も、車両用駆動装置100のケース90などの非回転部材に固定されたステータSTと、ステータSTに対して回転自在にケース90に支持されたロータRTとを備えている。尚、第2回転電機MG2も、不図示の蓄電装置から供給される電力により回転するモータとしての機能(力行機能)と、ロータRTの回転により発電し蓄電装置を充電するジェネレータとしての機能(回生機能)とを有している。蓄電装置は、第1回転電機MG1と第2回転電機MG2とで共通であってもよいし、異なっていてもよい。
図2は、第2回転電機MG2が、第1車輪W1とは独立して回転する第2車輪W2に駆動連結される形態の一例を示している。例えば、第1車輪W1を車両の前輪とし、第2車輪W2を車両の後輪とすることによって4輪駆動の車両を実現することができる。第2回転電機MG2は、第1軸A1から第5軸A5とは独立した第6軸A6に配置されている。第6軸A6には、第3遊星歯車機構3及び第3係合装置6も配置されている。第3係合装置6は、第3クラッチ3C及び第3ブレーキ3Bを備えて構成されている。また、第6軸A6に平行且つ別軸の第7軸A7には、第3遊星歯車機構3を介して第2回転電機MG2に駆動連結される第2アイドラギヤG7が配置されている。また、第6軸A6及び第7軸A7に平行且つ別軸の第8軸A8には、一対の第2車輪W2に動力を分配する第2出力用差動歯車機構8、及び第2出力用差動歯車機構8への入力ギヤである第2差動入力ギヤG8が配置されている。第2出力用差動歯車機構8は例えば傘歯車機構であるが、遊星歯車機構によって構成されていてもよい。第2アイドラギヤG7は、第2差動入力ギヤG8と噛み合っており、第3遊星歯車機構3と第2出力用差動歯車機構8との間で動力を伝達する。
第3遊星歯車機構3は、変速用遊星歯車機構である。第3遊星歯車機構3は、複数の第3ピニオンギヤP3を支持する第3キャリヤC3と、複数の第3ピニオンギヤP3に噛み合う第3サンギヤS3と、第3サンギヤS3に対して径方向の外側に配置されて複数の第3ピニオンギヤP3に噛み合う第3リングギヤR3とを備えたシングルピニオン型の遊星歯車機構である。第3キャリヤC3はピニオンシャフトを支持しており、第3ピニオンギヤP3は、ピニオンシャフトに回転自在に支持されることによって第3キャリヤC3に支持されている。
図3は、第2回転電機MG2が、第2遊星歯車機構2の第5回転要素E5(第2キャリヤC2)と第1車輪W1との間の動力伝達経路を構成する何れかの回転要素に駆動連結される形態の一例を示している。ここでは、第2回転電機MG2が、差動入力ギヤG5に駆動連結される形態を例示している。
第2回転電機MG2は、第1軸A1から第5軸A5に平行且つ別軸の第6軸A6に配置されている。図2に示す形態では、第6軸A6は、第1軸A1から第5軸A5とは独立していたが、図3に示す形態では、第6軸A6は、第1軸A1から第5軸A5に平行である。図2に示す形態と同様に、第6軸A6には、第3遊星歯車機構3及び第3係合装置6も配置されている。第3係合装置6は、第3クラッチ3C及び第3ブレーキ3Bを備えて構成されている。また、第1軸A1から第6軸A6に平行且つ別軸の第7軸A7には、第3遊星歯車機構3を介して第2回転電機MG2に駆動連結される第2アイドラギヤG7が配置されている。第2アイドラギヤG7は、差動入力ギヤG5と噛み合っており、第3遊星歯車機構3と出力用差動歯車機構7との間で動力を伝達する。第3遊星歯車機構3の構成は、図2に示す形態と図3に示す形態とで同一である。
即ち、図2に示す形態と図3に示す形態とでは、第2回転電機MG2から第2アイドラギヤG7までの動力伝達経路の構成は共通であり、第2アイドラギヤG7が噛み合うギヤ(動力伝達の対象となる回転要素)が異なっている。図2に示す形態では、第2アイドラギヤG7は第2差動入力ギヤG8と噛み合っており、図3に示す形態では、第2アイドラギヤG7は差動入力ギヤG5と噛み合っている。差動入力ギヤG5は、第2遊星歯車機構2の第5回転要素E5(第2キャリヤC2)と第1車輪W1との間の動力伝達経路を構成する回転要素である。
以下、車両用駆動装置100の動力伝達経路について説明する。まず、図1に示す第1車両用駆動装置100Aについて説明する。第1遊星歯車機構1の第1回転要素E1である第1サンギヤS1は、入力部材10に駆動連結されている。また、第1遊星歯車機構1の第2回転要素E2である第1リングギヤR1は、回転電機MGに駆動連結されている。また、回転電機MGは、第4回転要素E4である第2リングギヤR2にも駆動連結されている。即ち、第1車両用駆動装置100Aでは、第2回転要素E2(第1リングギヤR1)と第4回転要素E4(第2リングギヤR2)とが互いに連想して回転するように構成されていると共に、第2回転要素E2及び第4回転要素E4が回転電機MGに駆動連結されている。そして、第5回転要素E5である第2キャリヤC2が出力部材OUTに駆動連結されている。
図1に示すように、第1リングギヤR1は、第1伝達ギヤG12に連結されて第1伝達ギヤG12と一体的に回転する。また、第2リングギヤR2は、第2リングギヤR2の径方向外側に形成された第2伝達ギヤG21と一体的に回転する。第1軸A1に配置された第1伝達ギヤG12は、第3軸A3に配置された第1アイドラギヤG3と噛み合っている。また、第1伝達ギヤG12は、第4軸A4に配置された第2伝達ギヤG21と噛み合っている。第1リングギヤR1は、第1アイドラギヤG3及び第1伝達ギヤG12を介して回転電機MGに駆動連結され、第2リングギヤR2は、第1アイドラギヤG3、第1伝達ギヤG12及び第2伝達ギヤG21を介して回転電機MGに駆動連結されている。
第1車両用駆動装置100Aでは、第1回転要素E1がサンギヤ(第1サンギヤS1)であり、第2回転要素E2がリングギヤ又はキャリヤであり(本実施形態では第1リングギヤR1)、第4回転要素E4がリングギヤ(第2リングギヤR2)である。
第2回転要素E2は、第1遊星歯車機構1の出力回転要素である。そして、第2遊星歯車機構2の第4回転要素E4は、第2回転要素E2と連動して回転する回転要素である。本実施形態によれば、第4回転要素E4がリングギヤであるため、例えば、第2回転要素E2と一体的に回転するギヤ(第1伝達ギヤG12)と、第4回転要素E4としてのリングギヤ(第2リングギヤR2)の外周面に設けられたギヤ(第2伝達ギヤG21)とを噛み合わせる構造を構築し易い。即ち、第1遊星歯車機構1と第2遊星歯車機構2とを連結するためのギヤ構造の簡素化を図り易く、車両用駆動装置100の小型化を図り易い。
第1クラッチ1Cは、第1回転要素E1、第2回転要素E2、及び第3回転要素E3の内から選択される2つの回転要素を選択的に係合するように構成されている。具体的には、第1クラッチ1Cは、第2回転要素E2である第1リングギヤR1と第3回転要素E3である第1キャリヤC1とを選択的に係合するように構成されている。また、第2クラッチ2Cは、第4回転要素E4、第5回転要素E5、及び第6回転要素E6の内から選択される2つの回転要素を選択的に係合するように構成されている。具体的には、第2クラッチ2Cは、第4回転要素E4である第2リングギヤR2と第6回転要素E6である第2サンギヤS2とを選択的に係合するように構成されている。
また、第1ブレーキ1Bは、第3回転要素E3を非回転部材であるケース90に選択的に係合するように構成されており、第2ブレーキ2Bは、第6回転要素E6を非回転部材であるケース90に選択的に係合するように構成されている。具体的には、第1ブレーキ1Bは、第1キャリヤC1をケース90に選択的に係合するように構成されており、第2ブレーキ2Bは、第2サンギヤS2をケース90に選択的に係合するように構成されている。
上述したように、第1遊星歯車機構1は第1軸A1に配置され、回転電機MGは第2軸A2に配置されている。回転電機MGのロータRTには第2入力部材20が連結され、第2入力部材20には回転電機側入力ギヤG2が連結されている。回転電機MGのロータRTと回転電機側入力ギヤG2とは一体的に回転する。回転電機MGは、第1遊星歯車機構1の第2回転要素E2である第1リングギヤR1に駆動連結されている。第1車両用駆動装置100Aでは、第3軸A3に配置された第1アイドラギヤG3を介して、回転電機MGと第1リングギヤR1とが駆動連結されている。
上述したように、第1リングギヤR1(第2回転要素E2)は、回転電機MG及び第2遊星歯車機構2の第2リングギヤR2(第4回転要素E4)に駆動連結されている。また、第1サンギヤS1(第1回転要素E1)は、入力部材10に連結され、入力部材10と一体的に回転する。そして、第1リングギヤR1は、第1クラッチ1Cの第1摩擦部材41にも連結され、第1摩擦部材41とも一体的に回転する。第1キャリヤC1(第3回転要素E3)は、第1クラッチ1Cの第2摩擦部材42及び第3摩擦部材45に連結され、これら第2摩擦部材42及び第3摩擦部材45とも一体的に回転する。
上述したように、第1係合装置4は、第1クラッチ1C及び第1ブレーキ1Bを備えて構成されている。第1係合装置4は第1軸A1に配置されており、第1クラッチ1C及び第1ブレーキ1Bも第1軸A1に配置されている。また、第1クラッチ1Cは、第1摩擦部材41と第2摩擦部材42とを備えて構成され、第1ブレーキ1Bは、第3摩擦部材45と第4摩擦部材46とを備えて構成されている。上述したように、第1摩擦部材41は、第1リングギヤR1と一体的に回転し、第2摩擦部材42は第1キャリヤC1と一体的に回転する。従って、第1クラッチ1Cは、第1リングギヤR1(第2回転要素E2)と第1キャリヤC1(第3回転要素E3)とを選択的に係合する。また、上述したように、第3摩擦部材45は第1キャリヤC1と一体的に回転する。そして、第4摩擦部材46は非回転部材であるケース90に連結されて固定されている。従って、第1ブレーキ1Bは、第1キャリヤC1(第3回転要素E3)をケース90に選択的に係合する。
第2遊星歯車機構2の第2リングギヤR2(第4回転要素E4)の径方向外側には、第2リングギヤR2と一体的に回転する第2伝達ギヤG21が形成されている。第1遊星歯車機構1からの動力は、第1リングギヤR1に連結された第1伝達ギヤG12と噛み合う第2伝達ギヤG21を介して第2遊星歯車機構2に伝達される。
第2リングギヤR2(第4回転要素E4)は、第2クラッチ2Cの第1摩擦部材41に連結されて第1摩擦部材41と一体的に回転する。また、第2サンギヤS2(第6回転要素E6)は、第2クラッチ2Cの第2摩擦部材42及び第2ブレーキ2Bの第3摩擦部材45に連結され、これら第2摩擦部材42及び第3摩擦部材45と一体的に回転する。第2キャリヤC2(第5回転要素E5)は、出力ギヤG4に連結されて出力ギヤG4と一体的に回転する。出力ギヤG4は、出力部材OUTである差動入力ギヤG5と噛み合っている。
上述したように、第2係合装置5は、第2クラッチ2C及び第2ブレーキ2Bを備えて構成されている。第2係合装置5は第4軸A4に配置されており、第2クラッチ2C及び第2ブレーキ2Bも第4軸A4に配置されている。また、第2クラッチ2Cは、第1摩擦部材41と第2摩擦部材42とを備えて構成され、第2ブレーキ2Bは、第3摩擦部材45と第4摩擦部材46とを備えて構成されている。上述したように、第1摩擦部材41は、第2リングギヤR2と一体的に回転し、第2摩擦部材42は第2サンギヤS2と一体的に回転する。従って、第2クラッチ2Cは、第2リングギヤR2(第4回転要素E4)と第2サンギヤS2(第6回転要素E6)とを選択的に係合する。また、上述したように、第3摩擦部材45は第2サンギヤS2と一体的に回転する。そして、第4摩擦部材46は非回転部材であるケース90に連結されて固定されている。従って、第2ブレーキ2Bは、第2サンギヤS2(第6回転要素E6)をケース90に選択的に係合する。
上述したように、本実施形態では、第1係合装置4と第2係合装置5とは、同一の構成である。ここで、図4の断面図も参照して第1係合装置4及び第2係合装置5の構造について説明する。第1クラッチ1C及び第2クラッチ2Cは、同一構成のクラッチ機構Cを備え、第1ブレーキ1B及び第2ブレーキ2Bは、同一構成のブレーキ機構Bを備えている。
クラッチ機構Cは、複数の第1摩擦部材41と複数の第2摩擦部材42とを備えている。複数の第1摩擦部材41は、第1支持部材43に支持されており、複数の第2摩擦部材42は、第2支持部材44に支持されている。複数の第1摩擦部材41と複数の第2摩擦部材42とは、軸方向Lに沿って互い違いに配置されている。また、第1支持部材43と第2支持部材44とは、互いに相対回転可能である。また、第1支持部材43は、係合出力部材59と一体的に回転し、第2支持部材44は、係合入力部材40と一体的に回転する。クラッチ機構Cは、互いに相対回転自在な係合入力部材40と係合出力部材59とを選択的に係合するように構成されている。
ブレーキ機構Bは、複数の第3摩擦部材45と複数の第4摩擦部材46とを備えている。複数の第3摩擦部材45は、第3支持部材47に支持されており、複数の第4摩擦部材46は、第4支持部材48に支持されている。複数の第3摩擦部材45と複数の第4摩擦部材46とは、軸方向Lに沿って互い違いに配置されている。第4支持部材48は、ケース90に固定された非回転部材であり、第3支持部材47は第4支持部材48に対して回転可能である。また、第3支持部材47は、第2支持部材44に連結されており、係合入力部材40と一体的に回転する。ブレーキ機構Bは、係合入力部材40と非回転部材であるケース90とを選択的に係合するように構成されている。
図4に示すように、クラッチ機構Cとブレーキ機構Bとは、軸方向Lに並んで配置されている。即ち、第1係合装置4及び第2係合装置5のそれぞれにおいて、第1クラッチ1Cと第1ブレーキ1Bとが軸方向Lに沿って並んで配置されていると共に、第2クラッチ2Cと第2ブレーキ2Bとが軸方向Lに沿って並んで配置されている。本実施形態では、ブレーキ機構Bに対してクラッチ機構Cが軸方向第1側L1に配置されている。
クラッチ機構Cとブレーキ機構Bとの軸方向Lの間には、押圧部材49が配置されている。押圧部材49は、軸方向Lに沿って移動可能に構成されている。押圧部材49は、第1摩擦部材41と第2摩擦部材42とを軸方向L(ここでは軸方向第1側L1)に押圧する、或いは、第3摩擦部材45と第4摩擦部材46とを軸方向L(ここでは軸方向第2側L2)に押圧する。押圧部材49が軸方向第1側L1に移動することによりクラッチ機構Cは係合状態となる。この時、ブレーキ機構Bは解放状態である。一方、押圧部材49が軸方向第2側L2に移動することによりブレーキ機構Bは係合状態となる。この時、クラッチ機構Cは解放状態である。即ち、クラッチ機構Cとブレーキ機構Bとは排他的に係合状態となる。尚、押圧部材49が軸方向Lにおけるクラッチ機構Cとブレーキ機構Bとの間に位置している時は、クラッチ機構C及びブレーキ機構Bが共に解放状態となり、いわゆるニュートラル状態となる。
押圧部材49は、係合駆動装置66の駆動力により軸方向Lに沿って移動する。係合駆動装置66は例えばモータである。押圧部材49と係合駆動装置66との間の動力伝達経路には、係合駆動装置66の回転を減速する減速機構60と、係合駆動装置66の回転を直線運動に変換する直動変換機構50とが備えられている。減速機構60は、第1減速ギヤ61と、第1減速ギヤ61に噛み合う第2減速ギヤ62と、第2減速ギヤ62に噛み合う第3減速ギヤ63とを備えている。第1減速ギヤ61は、係合駆動装置66と共に係合装置第1軸X1に配置されて、係合駆動装置66に連結された駆動入力軸65と一体的に回転する。第2減速ギヤ62は係合装置第1軸X1と平行且つ別軸の係合装置第2軸X2に配置されている。第3減速ギヤ63は、係合装置第1軸X1及び係合装置第2軸X2と平行且つ別軸の係合装置第3軸X3に駆動出力軸64と共に配置されて、駆動出力軸64と一体的に回転する。
駆動出力軸64は、直動変換機構50の直動軸部材51に連結されて、直動軸部材51と一体的に回転する。直動軸部材51は、押圧部材49を軸方向Lに沿って移動可能に支持している。押圧部材49には係合装置第3軸X3上に雌ねじ部53が形成されており、直動軸部材51の径方向外側には雌ねじ部53と螺合する雄ねじ部52が形成されている。即ち、直動変換機構50は、これら雌ねじ部53と雄ねじ部52とにより構成された、いわゆるボールねじ機構を備えている。雌ねじ部53と雄ねじ部52とが螺合し、直動軸部材51が回転することによって、押圧部材49が軸方向Lに沿って移動する。即ち、係合駆動装置66の回転駆動力が、ボールねじ機構により、軸方向Lの駆動力に変換されて押圧部材49に伝達される。そして、押圧部材49が軸方向Lに移動し、クラッチ機構Cの摩擦係合要素(第1摩擦部材41及び第2摩擦部材42)、及びブレーキ機構Bの摩擦係合要素(第3摩擦部材45及び第4摩擦部材46)のいずれか一方を押圧する。
このように第1係合装置4及び第2係合装置5は、1つの駆動機構(係合駆動装置66、減速機構60、及び直動変換機構50)により、3つの状態(クラッチ機構Cの係合状態、ブレーキ機構Bの係合状態、ニュートラル状態)の切り替えが可能である。従って、係合装置の構成の簡素化を図り易く、係合装置を小規模化し易い。
第1車両用駆動装置100Aにおいて、第1係合装置4は、係合装置第3軸X3が第1軸A1と一致するように配置されている。そして、係合入力部材40に第1キャリヤC1が連結され、係合出力部材59に第1リングギヤR1及び第1伝達ギヤG12が連結されている。
第1車両用駆動装置100Aにおいて、第2係合装置5は、係合装置第3軸X3が第4軸A4と一致するように配置されている。そして、係合入力部材40に第2サンギヤS2が連結され、係合出力部材59に第2リングギヤR2及び第2伝達ギヤG21が連結されている。
続いて、第2回転電機MG2から第2アイドラギヤG7までの動力伝達経路について説明する。上述したように、第2アイドラギヤG7が噛み合うギヤは、図2に示す形態では第2差動入力ギヤG8であり、図3に示す形態では差動入力ギヤG5である。しかし、第2アイドラギヤG7までの動力伝達経路は同一である。
図2及び図3に示すように、第2回転電機MG2から第2アイドラギヤG7までの動力伝達経路には、第3遊星歯車機構3と第3係合装置6とが備えられている。第3係合装置6は、第3クラッチ3Cと第3ブレーキ3Bとを備えている。
第3遊星歯車機構3の第3サンギヤS3は第2回転電機MG2のロータRT及び第3クラッチ3Cの第2摩擦部材42に連結されている。第3リングギヤR3は、第3クラッチ3Cの第1摩擦部材41及び第3ブレーキ3Bの第3摩擦部材45に連結されている。第3キャリヤC3は、第2回転電機伝達ギヤG6に連結されている。第2回転電機伝達ギヤG6は、第2アイドラギヤG7に噛み合っている。
第3クラッチ3Cは、第3サンギヤS3と第3リングギヤR3とを選択的に係合する。また、第3ブレーキ3Bは、第3リングギヤR3と非回転部材であるケース90とを選択的に係合する。第3クラッチ3Cが係合状態では、第3遊星歯車機構3が一体的に回転し、第2回転電機MG2の回転が減速されずに、第3キャリヤC3から出力される。第3ブレーキ3Bが係合状態では、第3リングギヤR3が固定され、第3サンギヤS3と第3キャリヤC3とが相対回転し、第3サンギヤS3の回転が減速されて第3キャリヤC3から出力される。つまり、第3遊星歯車機構3によって2段の変速機が構成される。
ここで、図5の断面図も参照して第3係合装置6の構造について説明する。第1係合装置4及び第2係合装置5と同様の構成については自明であるから適宜説明を省略する。第1クラッチ1C及び第2クラッチ2Cと同様に、第3クラッチ3Cは、複数の第1摩擦部材41と複数の第2摩擦部材42とを有するクラッチ機構Cを備えている。複数の第1摩擦部材41は、第1支持部材43に支持されており、複数の第2摩擦部材42は、第2支持部材44に支持されている。複数の第1摩擦部材41と複数の第2摩擦部材42とは、軸方向Lに沿って互い違いに配置されている。また、第1支持部材43と第2支持部材44とは、互いに相対回転可能である。また、第1支持部材43は、係合出力部材59と一体的に回転し、第2支持部材44は、係合入力部材40と一体的に回転する。第3クラッチ3Cも、互いに相対回転自在な係合入力部材40と係合出力部材59とを選択的に係合するように構成されている。
第1ブレーキ1B及び第2ブレーキ2Bと同様に、第3ブレーキ3Bは、複数の第3摩擦部材45と複数の第4摩擦部材46とを有するブレーキ機構Bを備えている。複数の第3摩擦部材45は、第3支持部材47に支持されており、複数の第4摩擦部材46は、第4支持部材48に支持されている。尚、第3係合装置6では、第1支持部材43と第3支持部材47とは一体的に回転するように連結されている、又は同一部材によって構成されている。従って、第3支持部材47も、係合出力部材59と一体的に回転する。複数の第3摩擦部材45と複数の第4摩擦部材46とは、軸方向Lに沿って互い違いに配置されている。第4支持部材48は、ケース90に固定された非回転部材であり、第3支持部材47は第4支持部材48に対して回転可能である。第3ブレーキ3Bは、係合出力部材59と非回転部材であるケース90とを選択的に係合するように構成されている。
第3クラッチ3Cと第3ブレーキ3Bとは、軸方向Lに並んで配置されている。即ち、第3クラッチ3Cと第3ブレーキ3Bとは軸方向Lに沿って並んで配置されている。図2及び図3に示すスケルトン図では、図示を簡潔にするために、ブレーキ機構Bに対してクラッチ機構Cが軸方向第2側L2に描かれているが、図5に示すように、第3ブレーキ3Bに対して第3クラッチ3Cが軸方向第1側L1に配置されている。また、第3係合装置6は、係合装置第3軸X3が第6軸A6と一致するように配置されている。そして、係合入力部材40に第2回転電機MG2及び第3サンギヤS3が連結され、係合出力部材59に第3リングギヤR3が連結されている。
第3クラッチ3Cと第3ブレーキ3Bとの軸方向Lの間には、第1係合装置4及び第2係合装置5と同様に、押圧部材49が配置されている。押圧部材49は、係合駆動装置66の駆動力により軸方向Lに沿って移動する。押圧部材49と係合駆動装置66との間の動力伝達経路には、係合駆動装置66の回転を減速する減速機構60と、係合駆動装置66の回転を直線運動に変換する直動変換機構50とが備えられている。減速機構60及び直動変換機構50の構造は、第1係合装置4及び第2係合装置5と同様であるから詳細な説明は省略する。
第1係合装置4及び第2係合装置5と同様に、第3係合装置6も、1つの駆動機構(係合駆動装置66、減速機構60、及び直動変換機構50)により、3つの状態(クラッチ機構Cの係合状態、ブレーキ機構Bの係合状態、ニュートラル状態)の切り替えが可能である。従って、係合装置の構成の簡素化を図り易く、係合装置を小規模化し易い。
このような構成を備えた車両用駆動装置100は、第1係合装置4、第2係合装置5、第3係合装置6により動力伝達の状態を切り替えることによって、複数の動作モードを実現することができる。第3係合装置6は、上述したように、第2回転電機MG2からの動力伝達に関する変速を実現するためのものであり、第3係合装置6により2段の変速段を有する変速機が実現されることについては上記において説明した。以下では、図6の速度線図、及び下記に示す表1の係合表も参照して、第1車両用駆動装置100Aにおいて、第1係合装置4、第2係合装置5により動力伝達の状態を切り替えることによって実現される複数の動作モードについて説明する。表1において、「close」は対象の係合装置が係合状態であることを示し、「---」は対象の係合装置が解放状態であることを示している。尚、クラッチ及びブレーキが共に解放状態の場合は、ニュートラル状態である。
Figure 2024051897000002
本実施形態の車両用駆動装置100は、第1車両用駆動装置100A及び第2車両用駆動装置100B共に、動作モードとして、少なくとも、2つの電気自動車モード(EVモード:EV1,EV2)、4つのハイブリッドモード(HVモード:HV1,HV2、HV3、HV4)が可能である。車両用駆動装置100は、変速機能を備えており、EVモードには、低速段であるEV第1モード(EV1)と、高速段であるEV第2モード(EV2)とが含まれる。また、HVモードには、再低速段であるHV第1モード(HV1)と、第2速段であるHV第2モード(HV2)と、第3速段であるHV第3モード(HV3)と、最高速段であるHV第4モード(HV4)とが含まれる。尚、HVモードは、内燃機関EG及び回転電機MGの駆動力により車輪Wを駆動するパラレルハイブリッドである。このため、本実施形態において実現されるHV第1モードはパラレル第1モード、HV第2モードはパラレル第2モード、HV第3モードはパラレル第3モード、HV第4モードはパラレル第4モードと称することもできる。
また、車両用駆動装置100は、停車中に内燃機関EGを始動する内燃機関始動モード(EG-start)、内燃機関EGの動力により回転電機MG(第1回転電機MG1)に発電させる発電モード(GEN)も可能である。尚、発電モード(GEN)は、主に停車中の発電を想定しているが、例えば第2回転電機MG2を第2車輪W2の動力源として、第2車輪W2のみを駆動輪とする場合には、シリーズハイブリッドモード(SHV)を実現することもできる。
表1に示すように、EVモードでは、第1係合装置4がニュートラル状態である。つまり、第1クラッチ1Cが解放状態とされる共に、第1ブレーキ1Bも解放状態とされる。内燃機関EGは停止しており、第1遊星歯車機構1は空転状態である。回転電機MGから第2遊星歯車機構2へ、回転電機側入力ギヤG2、第1アイドラギヤG3、第1伝達ギヤG12、第2伝達ギヤG21の動力伝達経路で回転電機MGの動力が伝達される。
EVモードの内、第1EVモードEV1では、第2係合装置5の第2クラッチ2Cが解放状態とされ、第2ブレーキ2Bが係合状態とされる。第2ブレーキ2Bによって、第2サンギヤS2が固定され、図6に示すように、第2リングギヤR2から入力された回転電機MGからの回転は減速されると共にトルクが増幅されて第2キャリヤC2から出力される。回転電機MGからの動力は、第2キャリヤC2と一体的に回転する出力ギヤG4を介して差動入力ギヤG5(出力部材OUT)に伝達される。
EVモードの内、第2EVモードEV2では、第2係合装置5の第2クラッチ2Cが係合状態とされ、第2ブレーキ2Bが解放状態とされる。第2クラッチ2Cによって、第2サンギヤS2と第2リングギヤR2とが連結され、図6に示すように、第2遊星歯車機構2の3つの回転要素が互いに一体的に回転する状態となる。第2リングギヤR2から入力された回転電機MGからの回転はそのまま第2キャリヤC2から出力され、第2キャリヤC2と一体的に回転する出力ギヤG4を介して差動入力ギヤG5(出力部材OUT)に伝達される。
HVモードでは、第1クラッチ1C及び第1ブレーキ1Bの何れか一方が係合状態とされる。内燃機関EGの動力と回転電機MGの動力は、第1遊星歯車機構1において合流し、両者のトルクが第1遊星歯車機構1の出力回転要素である第1リングギヤR1(第2回転要素E2)から出力され、第2遊星歯車機構2の入力回転要素である第2リングギヤR2(第4回転要素E4)に伝達される。また、第1遊星歯車機構1は、変速器としても機能し、第1ブレーキ1Bが係合状態とされると、第1キャリヤC1が固定され、図6に示すように、内燃機関EGから第1サンギヤS1を介して伝達された回転が減速されると共にトルクが増幅されて第1リングギヤR1から出力される。一方、第1クラッチ1Cが係合状態とされると、第1キャリヤC1と第1リングギヤR1とが連結され、図6に示すように、第1遊星歯車機構1の3つの回転要素は一体的に回転する。内燃機関EGから第1サンギヤS1を介して伝達された回転は、減速もトルクの増幅もされることなく、そのまま第1リングギヤR1から出力される。
第1HVモードHV1では、第1係合装置4の第1クラッチ1Cが解放状態とされ、第1ブレーキ1Bが係合状態とされる。また、第2係合装置5の第2クラッチ2Cが解放状態とされ、第2ブレーキ2Bが係合状態とされる。第1遊星歯車機構1においては、内燃機関EGから第1サンギヤS1を介して伝達された回転が減速されると共にトルクが増幅されて第1リングギヤR1から出力される。また、第2遊星歯車機構2においては、第2リングギヤR2から入力された第1遊星歯車機構1からの回転が減速されると共にトルクが増幅されて第2キャリヤC2から出力される。第2遊星歯車機構2から出力される動力は、第2キャリヤC2と一体的に回転する出力ギヤG4を介して差動入力ギヤG5(出力部材OUT)に伝達される。
第2HVモードHV2でも、第1係合装置4の第1クラッチ1Cが解放状態とされ、第1ブレーキ1Bが係合状態とされる。一方、第2HVモードHV2では、第2係合装置5の第2クラッチ2Cが係合状態とされ、第2ブレーキ2Bが解放状態とされる。第1HVモードHV1と同様に、第1遊星歯車機構1においては、内燃機関EGから第1サンギヤS1を介して伝達された回転が減速されると共にトルクが増幅されて第1リングギヤR1から出力される。第2遊星歯車機構2においては、3つの回転要素が互いに一体的に回転する状態となる。第2リングギヤR2から入力された第1遊星歯車機構1からの回転はそのまま第2キャリヤC2から出力され、第2キャリヤC2と一体的に回転する出力ギヤG4を介して差動入力ギヤG5(出力部材OUT)に伝達される。
第3HVモードHV3では、第1係合装置4の第1クラッチ1Cが係合状態とされ、第1ブレーキ1Bが解放状態とされる。また、第2係合装置5の第2クラッチ2Cが解放状態とされ、第2ブレーキ2Bが係合状態とされる。第1遊星歯車機構1の3つの回転要素は一体的に回転し、内燃機関EGから第1サンギヤS1を介して伝達された回転は、減速もトルクの増幅もされることなく第1リングギヤR1から出力される。第2遊星歯車機構2においては、第2リングギヤR2から入力された第1遊星歯車機構1からの回転が減速されると共にトルクが増幅されて第2キャリヤC2から出力される。第2遊星歯車機構2から出力される動力は、第2キャリヤC2と一体的に回転する出力ギヤG4を介して差動入力ギヤG5(出力部材OUT)に伝達される。
第4HVモードHV4でも、第3HVモードHV3と同様に、第1係合装置4の第1クラッチ1Cが係合状態とされ、第1ブレーキ1Bが解放状態とされる。一方、第4HVモードHV4では、第2係合装置5の第2クラッチ2Cが係合状態とされ、第2ブレーキ2Bが解放状態とされる。第1遊星歯車機構1の3つの回転要素は一体的に回転し、内燃機関EGから第1サンギヤS1を介して伝達された回転は、減速もトルクの増幅もされることなく第1リングギヤR1から出力される。第2遊星歯車機構2においても、3つの回転要素が互いに一体的に回転する状態となる。第2リングギヤR2から入力された第1遊星歯車機構1からの回転はそのまま第2キャリヤC2から出力され、第2キャリヤC2と一体的に回転する出力ギヤG4を介して差動入力ギヤG5(出力部材OUT)に伝達される。
尚、HVモードでは、回転電機MGを従動回転させつつ、内燃機関EGのみの動力により、車輪Wを駆動することもできる。つまり、第1HVモードHV1から第4HVモードHV4は、内燃機関EGの動力を駆動力とする4速段(第1内燃機関モードから第4内燃機関モード)とすることもできる。この際、従動回転する回転電機MGは、ジェネレータとして機能すると好適である。例えば、蓄電装置の充電量が少ない場合などにおいて、回転電機MGによる発電で蓄電装置を充電しつつ、内燃機関EGの駆動力によって車両を走行させることができる。
第1係合装置4及び第2係合装置5は、上述したように、クラッチ及びブレーキの何れとしても機能していないニュートラル状態とすることができる。停車中に内燃機関EGを始動する内燃機関始動モード(EG-start)、内燃機関EGの動力により回転電機MG(第1回転電機MG1)に発電させる発電モード(GEN)では、第2係合装置5がニュートラルの状態に制御され、第2クラッチ2C及び第2ブレーキ2Bが共に解放状態となる。これにより、内燃機関EG及び回転電機MGからの動力は、出力部材OUTに伝達されなくなる。
一方、第1係合装置4は、第1クラッチ1Cが係合状態とされ、第1ブレーキ1Bが解放状態とされる状態、或いは、第1クラッチ1Cが解放状態とされ、第1ブレーキ1Bが係合状態とされる状態に制御される。第1クラッチ1Cが係合される場合、第1遊星歯車機構1の3つの回転要素は一体的に回転し、内燃機関EGからの回転は、そのまま第1リングギヤR1から出力されて回転電機MGに伝達される。また、第1ブレーキ1Bが係合される場合、内燃機関EGからの回転が減速されると共にトルクが増幅されて第1リングギヤR1から出力されて回転電機MGに伝達される。従って、内燃機関EGの動力により、回転電機MGのロータRTを回転させて回転電機MGに発電させることができる(発電モードGEN)。逆に、回転電機MGの動力により、内燃機関EGを始動させることもできる(内燃機関始動モードEG-start)。
尚、上述したように、車両用駆動装置100が、第2回転電機MG2を備えている場合には、第2遊星歯車機構2がニュートラル状態であっても、第2回転電機MG2の動力により第2車輪W2を駆動することができる。従って、発電モードGENでは、回転電機MG(第1回転電機MG1)により発電した電力で、第2回転電機MG2を駆動するモードであるシリーズハイブリッドモード(SHVモード)を実現することもできる。また、上述したように、第3遊星歯車機構3は、第3係合装置6(第3クラッチ3C及び第3ブレーキ3B)の係合の状態が制御されることにより、低速段と高速段とを実現することができる。従って、シリーズハイブリッドモードSHVにおいても、低速段の第1SHVモードSHV1と高速段の第2SHVモードSHV2とを実現することができる。
また、第2遊星歯車機構2がニュートラル状態で、第2回転電機MG2の動力により第2車輪W2を駆動して車両を走行させつつ、第1回転電機MG1の動力により、内燃機関EGを始動させてもよい。また、シリーズハイブリッドモードSHVにおいて、車両を後進させてもよい。
また、パラレルハイブリッドモードにおいて、第1回転電機MG1に発電を行わせ、その電力を第2回転電機MG2に供給して車両を走行させることで、蓄電装置の電力消費を少なく抑えつつ、4輪駆動させてもよい。
次に、車両用駆動装置100の第2の構成例である第2車両用駆動装置100Bについて、図7及び図8も参照して説明する。図7に示すように、第2車両用駆動装置100Bも、内燃機関EGに駆動連結される入力部材10と、車輪Wに駆動連結される出力部材OUTと、回転電機MGと、第1遊星歯車機構1と、第2遊星歯車機構2と、第1クラッチ1Cと、第2クラッチ2Cと、第1ブレーキ1Bと、第2ブレーキ2Bとを備えている。また、第2車両用駆動装置100Bも、出力部材OUTに伝達された動力を一対の車輪Wに分配する出力用差動歯車機構7を備えており、出力用差動歯車機構7へ動力を伝達する差動入力ギヤG5は出力部材OUTに相当する。また、図1に示した第1車両用駆動装置100Aと同様に、第2車両用駆動装置100Bでも、第1クラッチ1Cと第1ブレーキ1Bとを備えて第1係合装置4が構成され、第2クラッチ2Cと第2ブレーキ2Bとを備えて第2係合装置5が構成されている。また、図2及び図3を参照して上述したように、第2車両用駆動装置100Bにおいても、第2車輪W2を駆動する第2回転電機MG2を備えることができる。
第2車両用駆動装置100Bでは、第1軸A1に内燃機関EG、入力部材10が配置され、第2軸A2に回転電機MGが配置され、第3軸A3に第1遊星歯車機構1及び第1係合装置4が配置され、第4軸A4に第2遊星歯車機構2及び第2係合装置5が配置され、第5軸A5に出力部材OUT及び出力用差動歯車機構7が配置されている。
第2車両用駆動装置100Bにおいても、第1遊星歯車機構1は、いわゆる分配用差動歯車機構(分配用遊星歯車機構)であると共に変速用遊星歯車機構である。第1遊星歯車機構1は、回転速度の順に第1回転要素E1、第2回転要素E2、及び第3回転要素E3を備えている。第2車両用駆動装置100Bでは、第1回転要素E1が、第1リングギヤR1、第2回転要素E2が第1キャリヤC1、第3回転要素E3が第1サンギヤS1である。
第2車両用駆動装置100Bにおける第1遊星歯車機構1は、複数の第1ピニオンギヤP1を支持する第1キャリヤC1と、複数の第1ピニオンギヤP1に噛み合う第1サンギヤS1と、第1サンギヤS1に対して径方向の外側に配置されて複数の第1ピニオンギヤP1に噛み合う第1リングギヤR1とを備えたシングルピニオン型の遊星歯車機構である。第1キャリヤC1はピニオンシャフトを支持しており、第1ピニオンギヤP1は、ピニオンシャフトに回転自在に支持されることによって第1キャリヤC1に支持されている。
また、第2車両用駆動装置100Bにおいても、第2遊星歯車機構2は、いわゆる変速用遊星歯車機構である。第2遊星歯車機構2は、回転速度の順に第4回転要素E4、第5回転要素E5、及び第6回転要素E6を備えている。第2車両用駆動装置100Bでは、第4回転要素E4が第2サンギヤS2、第5回転要素E5が第2リングギヤR2、第6回転要素E6が第2キャリヤC2である。
第2車両用駆動装置100Bにおける第2遊星歯車機構2は、複数の第2ピニオンギヤP2を支持する第2キャリヤC2と、複数の第2ピニオンギヤP2に噛み合う第2サンギヤS2と、第2サンギヤS2に対して径方向の外側に配置されて複数の第2ピニオンギヤP2に噛み合う第2リングギヤR2とを備えている。複数の第2ピニオンギヤP2は、径方向の内側に配置された内側ピニオンギヤと、当該内側ピニオンギヤに噛み合うと共に径方向の外側に配置された外側ピニオンギヤとによるピニオンギヤ対を複数組備えており、第2遊星歯車機構2は、ダブルピニオン型の遊星歯車機構である。尚、第2キャリヤC2は内側ピニオンギヤを回転自在に支持するピニオンシャフト、及び外側ピニオンギヤを回転自在に支持するピニオンシャフトを支持しており、第2ピニオンギヤP2を構成するピニオンギヤ対は、これらのピニオンシャフトに回転自在に支持されることによって第2キャリヤC2に支持されている。
第1軸A1には、入力部材10と一体的に回転する内燃機関側入力ギヤG10が配置されている。第3軸A3に配置された第1リングギヤR1の径方向外側には、第1リングギヤR1と一体的に回転する第3伝達ギヤG11が形成されている。内燃機関側入力ギヤG10と第3伝達ギヤG11とは噛み合っており、第1回転要素E1である第1リングギヤR1は、第3伝達ギヤG11及び内燃機関側入力ギヤG10を介して入力部材10に駆動連結されている。
また、第1遊星歯車機構1における出力回転要素である第1キャリヤC1(第2回転要素E2)には、第1キャリヤC1と一体的に回転する第4伝達ギヤG32が連結されている。また、第4伝達ギヤG32は、第1アイドラギヤG3を介して回転電機MGに駆動連結されている。第1アイドラギヤG3は、第1軸A1に配置されている。但し、第1アイドラギヤG3は、同じく第1軸A1に配置された入力部材10とは独立して回転する。第1アイドラギヤG3が、第1軸A1とは平行且つ別軸に配置されることを妨げるものではないが、第1アイドラギヤG3が第1軸A1に配置されることで、軸を増やすことなく車両用駆動装置100を構成することができ、車両用駆動装置100の小型化を図り易い。
第4軸A4に配置された第2遊星歯車機構2の第2サンギヤS2には、第2サンギヤS2と一体的に回転する第5伝達ギヤG33が形成されている。第4伝達ギヤG32と第5伝達ギヤG33とは噛み合っており、第2回転要素E2である第1キャリヤC1と、第4回転要素E4である第2サンギヤS2とは互いに連動して回転するように構成されている。上述したように、第4伝達ギヤG32は、回転電機MGに駆動連結されている。従って、第5伝達ギヤG33も第4伝達ギヤG32を介して回転電機MGに駆動連結されている。即ち、互いに連動して回転する第1キャリヤC1(第2回転要素E2)及び第2サンギヤS2(第4回転要素E4)は、回転電機MGに駆動連結されている。
第2車両用駆動装置100Bにおいても、第1クラッチ1Cは、第1回転要素E1、第2回転要素E2、及び第3回転要素E3の内から選択される2つの回転要素を選択的に係合するように構成されている。第2車両用駆動装置100Bでは、第1クラッチ1Cは、第2回転要素E2である第1キャリヤC1と第3回転要素E3である第1サンギヤS1とを選択的に係合するように構成されている。また、第1ブレーキ1Bは、第3回転要素E3を非回転部材であるケース90に選択的に係合するように構成されており、第2車両用駆動装置100Bでは、第1ブレーキ1Bは、第1サンギヤS1をケース90に選択的に係合するように構成されている。
また、第2クラッチ2Cは、第4回転要素E4、第5回転要素E5、及び第6回転要素E6の内から選択される2つの回転要素を選択的に係合するように構成されている。第2車両用駆動装置100Bでは、第2クラッチ2Cは、第4回転要素E4である第2サンギヤS2と第6回転要素E6である第2キャリヤC2とを選択的に係合するように構成されている。また、第2ブレーキ2Bは、第6回転要素E6を非回転部材であるケース90に選択的に係合するように構成されており、第2車両用駆動装置100Bでは、第2ブレーキ2Bは、第2キャリヤC2をケース90に選択的に係合するように構成されている。
上述したように、第1遊星歯車機構1は第3軸A3に配置され、回転電機MGは第2軸A2に配置されている。回転電機MGのロータRTには第2入力部材20が連結され、第2入力部材20には回転電機側入力ギヤG2が連結されている。回転電機MGのロータRTと回転電機側入力ギヤG2とは一体的に回転する。回転電機MGは、第1遊星歯車機構1の第2回転要素E2である第1キャリヤC1に駆動連結されている。第2車両用駆動装置100Bでは、第1軸A1に配置された第1アイドラギヤG3が、回転電機側入力ギヤG2、及び、第1キャリヤC1と一体的に回転する第4伝達ギヤG32と噛み合い、回転電機MGと第1キャリヤC1とが駆動連結されている。
第1キャリヤC1(第2回転要素E2)は、回転電機MG及び第2遊星歯車機構2の第2サンギヤS2(第4回転要素E4)に駆動連結されている。また、第1リングギヤR1(第1回転要素E1)は、入力部材10に駆動連結され、入力部材10と連動して回転する。そして、第1キャリヤC1は、第1クラッチ1Cの第1摩擦部材41にも連結され、当該第1摩擦部材41とも一体的に回転する。第1サンギヤS1(第3回転要素E3)は、第1クラッチ1Cの第2摩擦部材42及び第3摩擦部材45に連結され、これら第2摩擦部材42及び第3摩擦部材45とも一体的に回転する。
第2車両用駆動装置100Bにおいても、図4を参照して上述したように、第1係合装置4は、第1クラッチ1C及び第1ブレーキ1Bを備えて構成されている。第2車両用駆動装置100Bにおいて、第1係合装置4は、係合装置第3軸X3が第3軸A3と一致するように配置されている。即ち、第1係合装置4は第3軸A3に配置されており、第1クラッチ1C及び第1ブレーキ1Bも第3軸A3に配置されている。そして、係合入力部材40に第1サンギヤS1が連結され、係合出力部材59に第1キャリヤC1及び第4伝達ギヤG32が連結されている。
第1クラッチ1Cは、第1摩擦部材41と第2摩擦部材42とを備えて構成され、第1ブレーキ1Bは、第3摩擦部材45と第4摩擦部材46とを備えて構成されている。上述したように、第1摩擦部材41は、第1キャリヤC1と一体的に回転し、第2摩擦部材42は第1サンギヤS1と一体的に回転する。従って、第1クラッチ1Cは、第1キャリヤC1(第2回転要素E2)と第1サンギヤS1(第3回転要素E3)とを選択的に係合する。また、上述したように、第3摩擦部材45は第1サンギヤS1と一体的に回転する。そして、第4摩擦部材46は非回転部材であるケース90に連結されて固定されている。従って、第1ブレーキ1Bは、第1サンギヤS1(第3回転要素E3)をケース90に選択的に係合する。
第1遊星歯車機構1からの動力は、第1キャリヤC1に連結された第4伝達ギヤG32と噛み合う第5伝達ギヤG33を介して第2遊星歯車機構2に伝達される。第5伝達ギヤG33は、第2遊星歯車機構2の第2サンギヤS2に連結されている。
第2サンギヤS2(第4回転要素E4)は、第2クラッチ2Cの第1摩擦部材41に連結されて第1摩擦部材41と一体的に回転する。また、第2キャリヤC2(第6回転要素E6)は、第2クラッチ2Cの第2摩擦部材42及び第2ブレーキ2Bの第3摩擦部材45に連結され、これら第2摩擦部材42及び第3摩擦部材45と一体的に回転する。第2リングギヤR2(第5回転要素E5)は、出力ギヤG4に連結されて出力ギヤG4と一体的に回転する。出力ギヤG4は、出力部材OUTである差動入力ギヤG5と噛み合っている。
第2車両用駆動装置100Bにおいても、図4を参照して上述したように、第2係合装置5は、第2クラッチ2C及び第2ブレーキ2Bを備えて構成されている。第2車両用駆動装置100Bにおいて、第2係合装置5は、係合装置第3軸X3が第4軸A4と一致するように配置されている。即ち、第2係合装置5は第4軸A4に配置されており、第2クラッチ2C及び第2ブレーキ2Bも第4軸A4に配置されている。そして、係合入力部材40に第2キャリヤC2連結され、係合出力部材59に第2サンギヤS2及び第5伝達ギヤG33が連結されている。
第2クラッチ2Cは、第1摩擦部材41と第2摩擦部材42とを備えて構成され、第2ブレーキ2Bは、第3摩擦部材45と第4摩擦部材46とを備えて構成されている。上述したように、第1摩擦部材41は、第2サンギヤS2と一体的に回転し、第2摩擦部材42は第2キャリヤC2と一体的に回転する。従って、第2クラッチ2Cは、第2サンギヤS2(第4回転要素E4)と第2キャリヤC2(第6回転要素E6)とを選択的に係合する。また、上述したように、第3摩擦部材45は第2キャリヤC2と一体的に回転する。そして、第4摩擦部材46は非回転部材であるケース90に連結されて固定されている。従って、第2ブレーキ2Bは、第2キャリヤC2(第6回転要素E6)をケース90に選択的に係合する。
第2車両用駆動装置100Bも、第1係合装置4、第2係合装置5、第3係合装置6により動力伝達の状態を切り替えることによって、複数の動作モードを実現することができる。第3係合装置6は、上述したように、第2回転電機MG2からの動力伝達に関する変速を実現するためのものであり、第3係合装置6により2段の変速段を有する変速機が実現されることについては上記において説明した。以下では、図8の速度線図、及び下記に示す表2の係合表も参照して、第2車両用駆動装置100Bにおいて、第1係合装置4、第2係合装置5により動力伝達の状態を切り替えることによって実現される複数の動作モードについて説明する。表2においても、「close」は対象の係合装置が係合状態であることを示し、「---」は対象の係合装置が解放状態であることを示している。尚、クラッチ及びブレーキが共に解放状態の場合は、ニュートラル状態である。
Figure 2024051897000003
第2車両用駆動装置100Bも、動作モードとして、少なくとも、2つの電気自動車モード(EVモード:EV1,EV2)、4つのハイブリッドモード(HVモード:HV1,HV2、HV3、HV4)が可能である。また、第2車両用駆動装置100Bも、停車中に内燃機関EGを始動する内燃機関始動モード(EG-start)、内燃機関EGの動力により回転電機MG(第1回転電機MG1)に発電させる発電モード(GEN)も可能である。尚、発電モード(GEN)は、主に停車中の発電を想定しているが、例えば第2回転電機MG2を第2車輪W2の動力源として、第2車輪W2のみを駆動輪とする場合には、シリーズハイブリッドモード(SHV)を実現することもできる。
表2に示すように、EVモードでは、第1係合装置4がニュートラル状態である。つまり、第1クラッチ1Cが解放状態とされる共に、第1ブレーキ1Bも解放状態とされる。内燃機関EGは停止しており、第1遊星歯車機構1は空転状態である。回転電機MGから第2遊星歯車機構2へは、回転電機側入力ギヤG2、第1アイドラギヤG3、第4伝達ギヤG32、第5伝達ギヤG33の動力伝達経路で回転電機MGの動力が伝達される。
EVモードの内、第1EVモードEV1では、第2係合装置5の第2クラッチ2Cが解放状態とされ、第2ブレーキ2Bが係合状態とされる。第2ブレーキ2Bによって、第2キャリヤC2が固定され、図8に示すように、第2サンギヤS2から入力された回転電機MGからの回転は減速されると共にトルクが増幅されて第2リングギヤR2から出力される。回転電機MGからの動力は、第2リングギヤR2と一体的に回転する出力ギヤG4を介して差動入力ギヤG5(出力部材OUT)に伝達される。
EVモードの内、第2EVモードEV2では、第2係合装置5の第2クラッチ2Cが係合状態とされ、第2ブレーキ2Bが解放状態とされる。第2クラッチ2Cによって、第2サンギヤS2と第2キャリヤC2とが連結され、図8に示すように、第2遊星歯車機構2の3つの回転要素が互いに一体的に回転する状態となる。第2サンギヤS2から入力された回転電機MGからの回転はそのまま第2リングギヤR2から出力され、第2リングギヤR2と一体的に回転する出力ギヤG4を介して差動入力ギヤG5(出力部材OUT)に伝達される。
HVモードでは、第1クラッチ1C及び第1ブレーキ1Bの何れか一方が係合状態とされる。内燃機関EGの動力と回転電機MGの動力は、第1遊星歯車機構1において合流し、両者のトルクが第1遊星歯車機構1の出力回転要素である第1キャリヤC1(第2回転要素E2)から出力され、第2遊星歯車機構2の入力回転要素である第2サンギヤS2(第4回転要素E4)に伝達される。また、第1遊星歯車機構1は、変速器としても機能し、第1ブレーキ1Bが係合状態とされると、第1サンギヤS1が固定され、図8に示すように、内燃機関EGから第1リングギヤR1を介して伝達された回転が減速されると共にトルクが増幅されて第1キャリヤC1から出力される。一方、第1クラッチ1Cが係合状態とされると、第1キャリヤC1と第1サンギヤS1とが連結され、図8に示すように、第1遊星歯車機構1の3つの回転要素は一体的に回転する。内燃機関EGから第1リングギヤR1を介して伝達された回転は、減速もトルクの増幅もされることなく、そのまま第1キャリヤC1から出力される。
第1HVモードHV1では、第1係合装置4の第1クラッチ1Cが解放状態とされ、第1ブレーキ1Bが係合状態とされる。また、第2係合装置5の第2クラッチ2Cが解放状態とされ、第2ブレーキ2Bが係合状態とされる。第1遊星歯車機構1においては、内燃機関EGから第1リングギヤR1を介して伝達された回転が減速されると共にトルクが増幅されて第1キャリヤC1から出力される。また、第2遊星歯車機構2においては、第2サンギヤS2から入力された第1遊星歯車機構1からの回転が減速されると共にトルクが増幅されて第2リングギヤR2から出力される。第2遊星歯車機構2から出力される動力は、第2リングギヤR2と一体的に回転する出力ギヤG4を介して差動入力ギヤG5(出力部材OUT)に伝達される。
第2HVモードHV2では、第1係合装置4の第1クラッチ1Cが係合状態とされ、第1ブレーキ1Bが解放状態とされる。第2係合装置5は、第2HVモードHV2でも、第2クラッチ2Cが解放状態とされ、第2ブレーキ2Bが係合状態とされる。第1遊星歯車機構1の3つの回転要素は一体的に回転し、内燃機関EGから第1リングギヤR1を介して伝達された回転は、減速もトルクの増幅もされることなく第1キャリヤC1から出力される。第2遊星歯車機構2においては、第2サンギヤS2から入力された第1遊星歯車機構1からの回転が減速されると共にトルクが増幅されて第2リングギヤR2から出力される。第2遊星歯車機構2から出力される動力は、第2リングギヤR2と一体的に回転する出力ギヤG4を介して差動入力ギヤG5(出力部材OUT)に伝達される。
第3HVモードHV3では、第1係合装置4は、第1HVモードHV1と同様に、第1クラッチ1Cが解放状態とされ、第1ブレーキ1Bが係合状態とされる。第2係合装置5の第2クラッチ2Cは係合状態とされ、第2ブレーキ2Bは解放状態とされる。第1遊星歯車機構1においては、内燃機関EGから第1リングギヤR1を介して伝達された回転が減速されると共にトルクが増幅されて第1キャリヤC1から出力される。第2遊星歯車機構2においては、3つの回転要素が互いに一体的に回転する状態となる。第2サンギヤS2から入力された第1遊星歯車機構1からの回転はそのまま第2リングギヤR2から出力され、第2リングギヤR2と一体的に回転する出力ギヤG4を介して差動入力ギヤG5(出力部材OUT)に伝達される。
第4HVモードHV4では、第1係合装置4は、第2HVモードHV2と同様に、第1係合装置4の第1クラッチ1Cが係合状態とされ、第1ブレーキ1Bが解放状態とされる。第2係合装置5は、第3HVモードHV3と同様に第4HVモードHV4でも、第2クラッチ2Cが係合状態とされ、第2ブレーキ2Bが解放状態とされる。第1遊星歯車機構1の3つの回転要素は一体的に回転し、内燃機関EGから第1リングギヤR1を介して伝達された回転は、減速もトルクの増幅もされることなく第1キャリヤC1から出力される。第2遊星歯車機構2においても、3つの回転要素が互いに一体的に回転する状態となる。第2サンギヤS2から入力された第1遊星歯車機構1からの回転はそのまま第2リングギヤR2から出力され、第2リングギヤR2と一体的に回転する出力ギヤG4を介して差動入力ギヤG5(出力部材OUT)に伝達される。
尚、第1車両用駆動装置100Aと同様に、第2車両用駆動装置100Bにおいても、HVモードでは、回転電機MGを従動回転させつつ、内燃機関EGのみの動力により、車輪Wを駆動することもできる。つまり、第1HVモードHV1から第4HVモードHV4は、内燃機関EGの動力を駆動力とする4速段(第1内燃機関モードから第4内燃機関モード)とすることもできる。
また、第1車両用駆動装置100Aと同様に、第2車両用駆動装置100Bにおいても、第2係合装置5をニュートラル状態とすることで、停車中に内燃機関EGを始動する内燃機関始動モード(EG-start)、内燃機関EGの動力により回転電機MG(第1回転電機MG1)に発電させる発電モード(GEN)を実現することができる。この際、第1係合装置4は、第1クラッチ1Cが係合状態とされ、第1ブレーキ1Bが解放状態とされて、内燃機関EGからの回転がそのまま第1リングギヤR1から出力されて回転電機MGに伝達される状態、或いは、第1クラッチ1Cが解放状態とされ、第1ブレーキ1Bが係合状態とされる状態に制御されて、内燃機関EGからの回転が減速されると共にトルクが増幅されて第1リングギヤR1から出力されて回転電機MGに伝達される状態とすることができる。つまり、内燃機関EGの動力により、回転電機MGのロータRTを回転させて回転電機MGに発電させることができる(発電モードGEN)。逆に、回転電機MGの動力により、内燃機関EGを始動させることもできる(内燃機関始動モードEG-start)。
尚、上述したように、車両用駆動装置100が、第2回転電機MG2を備えている場合には、第2遊星歯車機構2がニュートラル状態であっても、第2回転電機MG2の動力により第2車輪W2を駆動することができる。従って、発電モードGENでは、回転電機MG(第1回転電機MG1)により発電した電力で、第2回転電機MG2を駆動するモードであるシリーズハイブリッドモード(SHVモード)を実現することもできる。また、上述したように、第3遊星歯車機構3は、第3係合装置6(第3クラッチ3C及び第3ブレーキ3B)の係合の状態が制御されることにより、低速段と高速段とを実現することができる。従って、シリーズハイブリッドモードSHVにおいても、低速段の第1SHVモードSHV1と高速段の第2SHVモードSHV2とを実現することができる。
また、第2遊星歯車機構2がニュートラル状態で、第2回転電機MG2の動力により第2車輪W2を駆動して車両を走行させつつ、第1回転電機MG1の動力により、内燃機関EGを始動させてもよい。また、シリーズハイブリッドモードSHVにおいて、車両を後進させてもよい。
また、パラレルハイブリッドモードにおいて、第1回転電機MG1に発電を行わせ、その電力を第2回転電機MG2に供給して車両を走行させることで、蓄電装置の電力消費を少なく抑えつつ、4輪駆動させてもよい。
本実施形態の車両用駆動装置100は、このように、内燃機関EG及び回転電機MGを動作させることにより、内燃機関EGのトルクと回転電機MGのトルクの双方を出力部材OUTに伝達する、いわゆるパラレルハイブリッドモードを実現することができる。また、回転電機MGを動作させ、内燃機関EGを停止させることにより、内燃機関EGのトルクを出力部材OUTに伝達せず、回転電機MGのトルクを出力部材OUTに伝達する、いわゆるEVモードを実現することができる。この際、第1遊星歯車機構1において第1クラッチ1C及び第1ブレーキ1Bの係合の状態を制御することにより、高速段と低速段と動力伝達を行わない中立段(ニュートラル状態)とを実現することができる。また、第2遊星歯車機構2においても第2クラッチ2C及び第2ブレーキ2Bの係合の状態を制御することにより、高速段と低速段と動力伝達を行わない中立段とを実現することができる。従って、内燃機関EGの回転を、第1遊星歯車機構1の高速段及び低速段と第2遊星歯車機構2の高速段及び低速段との組み合わせによる4つの変速段で変速して出力部材OUTに伝達することができる。また、回転電機MGの回転を第2遊星歯車機構2の高速段及び低速段との2つの変速段で変速して出力部材OUTに伝達することができる。また、図6及び図8に示したように、HVモードにおける4速段のステップ比をほぼ均等にできるため、ドライバビリティを向上させ易い。
上述したように、第1車両用駆動装置100Aでは、第1遊星歯車機構1がダブルピニオン型であり、第2遊星歯車機構2がシングルピニオン型であり、第2車両用駆動装置100Bでは、第1遊星歯車機構1がシングルピニオン型であり、第2遊星歯車機構2がダブルピニオン型である。即ち、第1遊星歯車機構1及び第2遊星歯車機構2の何れか一方がダブルピニオン型の遊星歯車機構であり、他方がシングルピニオン型の遊星歯車機構である。
より具体的には、第1回転要素E1及び第4回転要素E4の何れか一方がサンギヤであり、他方がリングギヤであり、第1車両用駆動装置100Aのように、第1回転要素E1がサンギヤ(第1サンギヤS1)である場合には、第1遊星歯車機構1がダブルピニオン型の遊星歯車機構であり、且つ、第2遊星歯車機構2がシングルピニオン型の遊星歯車機構である。また、第2車両用駆動装置100Bのように、第4回転要素E4がサンギヤ(第2サンギヤS2)である場合には、第1遊星歯車機構1がシングルピニオン型の遊星歯車機構であり、且つ、第2遊星歯車機構2がダブルピニオン型の遊星歯車機構である。
このように、ダブルピニオン型とシングルピニオン型の2種類の遊星歯車機構を適切に組み合わせることにより、内燃機関EGの回転を変速する4つの変速段のステップ比を均等に近づけ易い。
また、第1遊星歯車機構1と第2遊星歯車機構2とが互いに平行な別軸上に配置されているため、第1遊星歯車機構1と同軸上に配置される第1クラッチ1C及び第1ブレーキ1Bと、第2遊星歯車機構2と同軸上に配置される第2クラッチ2C及び第2ブレーキ2Bとを互いに別軸上に配置することができる。従って、第1遊星歯車機構1、第1クラッチ1C、第1ブレーキ1B、第2遊星歯車機構2、第2クラッチ2C及び第2ブレーキ2Bが同軸上に配置される構成に比べて、車両用駆動装置100の軸方向Lの寸法の小型化を図り易い。
また、図1及び図7に示すように、入力部材10は、第1遊星歯車機構1に対して軸方向第1側L1において内燃機関EGに連結されるように構成されている。また、第1クラッチ1C及び第1ブレーキ1Bは、第1遊星歯車機構1に対して軸方向第2側L2に配置され、第2クラッチ2C及び第2ブレーキ2Bは、第2遊星歯車機構2に対して軸方向第2側L2に配置されている。そして、回転電機MGの軸方向Lの配置領域は、第1クラッチ1C及び第1ブレーキ1Bの軸方向Lの配置領域、及び、第2クラッチ2C及び第2ブレーキ2Bの軸方向Lの配置領域と重複している。
ここで、「軸方向Lにおける配置領域が重複する」とは、一方の部材の軸方向Lにおける配置領域内に、他方の部材の軸方向Lにおける配置領域の少なくとも一部が含まれることを意味する。つまり、何れか一方の部材の配置領域の全体が他方の部材の配置領域に重複している場合に限らず、一部が重複している状態も含む。
一般的に、内燃機関EGは、本構成のような車両用駆動装置100に比べて体格が大きい。このため、車両用駆動装置100に対して内燃機関EGの側である軸方向第1側L1には余剰スペースが少ないことが多い。本構成によれば、第1遊星歯車機構1及び第2遊星歯車機構2に対して内燃機関EGの側とは反対側である軸方向第2側L2に、第1クラッチ1C及び第1ブレーキ1Bと、第2クラッチ2C及び第2ブレーキ2Bとを配置すると共に、これらと軸方向Lの配置が重複するように回転電機MGが配置される。従って、車両用駆動装置100の軸方向Lの寸法の小型化を図り易い。
また、車両用駆動装置100は、図1及び図7に示す回転電機MGを第1回転電機MG1として、図2及び図3を参照して上述したように、第1回転電機MG1とは別の第2回転電機MG2をさらに備えていてもよい。第2回転電機MG2は、図1及び図7に示す車輪Wを第1車輪W1として、図2を参照して上述したように第1車輪W1とは独立して回転する別の車輪である第2車輪W2に駆動連結されていてもよい。または、第2回転電機MG2は、図3を参照して上述したように、第5回転要素E5と第1車輪W1との間の動力伝達経路を構成する何れかの回転要素に駆動連結されていてもよい。
この構成によれば、第2クラッチ2C及び第2ブレーキ2Bを解放状態として第2遊星歯車機構2を中立段(ニュートラル)とした状態で、第2回転電機MG2のトルクを第2車輪W2又は第1車輪W1に伝達して車両を走行させることができる。従って、第1クラッチ1Cを係合状態且つ第1ブレーキ1Bを解放状態として、或いは、第1クラッチ1Cを解放状態且つ第1ブレーキ1Bを係合状態として、内燃機関EGのトルクにより第1回転電機MG1に発電を行わせ、当該発電電力を第2回転電機MG2に供給して車両を走行させる動作モード、いわゆるシリーズハイブリッドモードを実現することができる。また、内燃機関EGが停止状態であった場合には、第2遊星歯車機構2に中立段を形成させた状態で、第2回転電機MG2のトルクを第2車輪W2又は第1車輪W1に伝達して車両を走行させつつ、第1回転電機MG1のトルクにより内燃機関EGを始動させることもできる。
〔その他の実施形態〕
以下、その他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記においては、第2回転電機MG2を備えている構成を例示して説明した。しかし、4輪駆動が必要ない場合などでは、第2回転電機MG2を備えることなく、車両用駆動装置100が構成されていてもよい。
(2)上記においては、第1係合装置4、第2係合装置5、第3係合装置6が、排他的にクラッチ機能及びブレーキ機能を実現するようにそれぞれクラッチ機構Cとブレーキ機構Bとを備えて1つの係合装置が構成されている形態を例示した。しかし、クラッチ機構Cのみを備えた係合装置、ブレーキ機構Bを備えた係合装置が個別に設けられている形態を妨げるものではない。
(3)また、上記においては、第1クラッチ1C、第2クラッチ2C、第3クラッチ3C、第1ブレーキ1B、第2ブレーキ2B、第3ブレーキ3Bがそれぞれ摩擦係合装置である形態を例示した。しかし、これらの全て、或いは何れかが摩擦係合装置以外の係合装置であってもよい。例えば、これらの少なくとも1つが噛み合い式係合装置であってもよい。
(4)上記においては、第1遊星歯車機構1及び第2遊星歯車機構2の何れか一方がダブルピニオン型の遊星歯車機構であり、他方がシングルピニオン型の遊星歯車機構である形態を例示した。しかし、第1遊星歯車機構1及び第2遊星歯車機構2の双方がダブルピニオン型の遊星歯車機構である形態や、双方がシングルピニオン型の遊星歯車機構である形態を妨げるものではない。
(5)上記においては、第1クラッチ1C及び第1ブレーキ1Bが、第1遊星歯車機構1に対して、内燃機関EGとは逆側の軸方向第2側L2に配置され、第2クラッチ2C及び第2ブレーキ2Bは、第2遊星歯車機構2に対して軸方向第2側L2に配置され、回転電機MGの軸方向Lの配置領域が、第1クラッチ1C及び第1ブレーキ1Bの軸方向Lの配置領域、及び、第2クラッチ2C及び第2ブレーキ2Bの軸方向Lの配置領域と重複している形態を例示した。しかし、内燃機関EGの大きさや配置によっては、第1クラッチ1C及び第1ブレーキ1B、第2クラッチ2C及び第2ブレーキ2Bが、内燃機関EGと同じ側に配置されていてもよい。また、車両用駆動装置100の小型化は損なわれる可能性があるが、回転電機MGの軸方向Lの配置領域が、第1クラッチ1C及び第1ブレーキ1Bの軸方向Lの配置領域、及び、第2クラッチ2C及び第2ブレーキ2Bの軸方向Lの配置領域と重複していない形態を妨げるものではない。
1:第1遊星歯車機構、1B:第1ブレーキ、1C:第1クラッチ、2:第2遊星歯車機構、2B:第2ブレーキ、2C:第2クラッチ、10:入力部材、90:ケース(非回転部材)、100:車両用駆動装置、E1:第1回転要素、E2:第2回転要素、E3:第3回転要素、E4:第4回転要素、E5:第5回転要素、E6:第6回転要素、EG:内燃機関、G5:差動入力ギヤ(出力部材)、L:軸方向、L1:軸方向第1側、L2:軸方向第2側、MG:回転電機、MG1:第1回転電機、MG2:第2回転電機、OUT:出力部材、S1:第1サンギヤ、W:車輪、W1:第1車輪、W2:第2車輪

Claims (5)

  1. 内燃機関に駆動連結される入力部材と、
    車輪に駆動連結される出力部材と、
    回転電機と、
    回転速度の順に第1回転要素、第2回転要素、及び第3回転要素を備えた第1遊星歯車機構と、
    回転速度の順に第4回転要素、第5回転要素、及び第6回転要素を備えた第2遊星歯車機構と、
    第1クラッチと、
    第2クラッチと、
    第1ブレーキと、
    第2ブレーキと、を備えた車両用駆動装置であって、
    前記第1回転要素は、前記入力部材に駆動連結され、
    前記第5回転要素は、前記出力部材に駆動連結され、
    前記第2回転要素と前記第4回転要素とが互いに連動して回転するように構成されていると共に、
    前記第2回転要素及び前記第4回転要素は、前記回転電機に駆動連結され、
    前記第1クラッチは、前記第1回転要素、前記第2回転要素、及び前記第3回転要素の内から選択される2つの回転要素を選択的に係合するように構成され、
    前記第2クラッチは、前記第4回転要素、前記第5回転要素、及び前記第6回転要素の内から選択される2つの回転要素を選択的に係合するように構成され、
    前記第1ブレーキは、前記第3回転要素を非回転部材に選択的に係合するように構成され、
    前記第2ブレーキは、前記第6回転要素を前記非回転部材に選択的に係合するように構成され、
    前記第1遊星歯車機構と前記第2遊星歯車機構とが、互いに平行な別軸上に配置されている、車両用駆動装置。
  2. 前記第1回転要素がサンギヤであり、前記第2回転要素がリングギヤ又はキャリヤであり、前記第4回転要素がリングギヤである、請求項1に記載の車両用駆動装置。
  3. 前記第1回転要素及び前記第4回転要素のいずれか一方がサンギヤであり、他方がリングギヤであり、
    前記第1回転要素が前記サンギヤである場合には、前記第1遊星歯車機構がダブルピニオン型の遊星歯車機構であり、且つ、前記第2遊星歯車機構がシングルピニオン型の遊星歯車機構であり、
    前記第4回転要素が前記サンギヤである場合には、前記第1遊星歯車機構がシングルピニオン型の遊星歯車機構であり、且つ、前記第2遊星歯車機構がダブルピニオン型の遊星歯車機構である、請求項1に記載の車両用駆動装置。
  4. 前記第1回転要素の回転軸心に沿う方向を軸方向とし、前記軸方向の一方側を軸方向第1側とし、前記軸方向の他方側を軸方向第2側として、
    前記入力部材は、前記第1遊星歯車機構に対して前記軸方向第1側において前記内燃機関に連結されるように構成され、
    前記第1クラッチ及び前記第1ブレーキは、前記第1遊星歯車機構に対して前記軸方向第2側に配置され、
    前記第2クラッチ及び前記第2ブレーキは、前記第2遊星歯車機構に対して前記軸方向第2側に配置され、
    前記回転電機の前記軸方向の配置領域が、前記第1クラッチ及び前記第1ブレーキの前記軸方向の配置領域、及び、前記第2クラッチ及び前記第2ブレーキの前記軸方向の配置領域と重複している、請求項1から3の何れか一項に記載の車両用駆動装置。
  5. 前記車輪を第1車輪とし、前記第1車輪とは独立して回転する別の車輪を第2車輪とし、前記回転電機を第1回転電機として、
    前記第1回転電機とは別の第2回転電機をさらに備え、
    前記第2回転電機は、前記第2車輪に駆動連結され、又は、前記第5回転要素と前記第1車輪との間の動力伝達経路を構成するいずれかの回転要素に駆動連結されている、請求項1から3の何れか一項に記載の車両用駆動装置。
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