JP2024050427A - 易接着ポリアミドフィルム及びその製造方法 - Google Patents

易接着ポリアミドフィルム及びその製造方法 Download PDF

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彰子 黒澤
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Abstract

【課題】熱水処理後も高い密着性を有しながら、耐ブロッキング性、印刷適性等にも優れた易接着ポリアミドフィルムを提供する。【解決手段】ポリアミド基材フィルムの少なくとも片面にプライマー層が形成されているポリアミドフィルムであって、(1)前記プライマー層が、シラノール基を有しないポリウレタン樹脂Aとシラノール基を有するポリウレタン樹脂Bとを含み、(2)前記ポリウレタン樹脂Aと前記ポリウレタン樹脂Bのガラス転移温度(Tg)が互いに異なる、ことを特徴とする易接着ポリアミドフィルムに係る。【選択図】なし

Description

本発明は、新規な易接着ポリアミドフィルム及びその製造方法に関する。特に、本発明は、包装材料、電気絶縁材料、一般工業材料等に好適に使用される易接着ポリアミドフィルム及びその製造方法に関する。
二軸延伸ポリアミドフィルムは、機械的特性、光学的特性、熱的特性、バリア性等に優れているほか、耐摩耗性、耐衝撃性、耐ピンホール性等にも優れていることから、食品その他を包装するための包装材料用のフィルムとして広く利用されている。これらの用途においては、通常は、基材フィルムの表面に種々の二次加工、例えば各種塗剤のコーティング加工、印刷加工、蒸着加工、他のフィルムとラミネート加工等が施される。そのため、基材フィルムにコロナ放電処理、プラズマ処理等の物理的な表面処理、あるいは酸、アルカリ等の化学薬品を使用してフィルム表面を活性化させる化学的な表面処理を施すことによって、基材フィルムの表面改質を図り、基材フィルムと二次加工による被覆物との接着性を高める試みがなされている。
しかし、物理的な表面処理では、工程は比較的簡便であるものの、得られる接着性は不十分である。化学的な表面処理では、工程が複雑となるうえに、作業環境の悪化等の問題がある。
ところで、ポリアミドフィルムを食品包装用途に供する場合は、必要に応じて印刷加工を施した後、シーラントフィルムを積層する方法が一般的に採用されている。ところが、両フィルム間の接着力が弱いと、内容物の殺菌のためのボイル処理、レトルト処理等を行う際に、基材のポリアミドフィルムとシーラントフィルムとの間での剥離、いわゆるデラミネーション現象が発生することがある。
かかる問題を解決するために、上記の物理的又は化学的な表面処理方法とは別に、基材フィルムに接着活性を有する下塗り剤を塗布することにより易接着塗膜( 以下「プライマー層」という。) を形成する方法がある。この方法は、各種のトップコート層に応じてプライマー成分を選択できること等から、広く利用されている。
プライマー層の構成成分としては、作業性、安全性及びコスト面から、水性樹脂が多く使用されている。その中でも、トップコート層としてのコーティング層、インキ層、蒸着層等との接着性を向上させるために、とりわけポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等が使用されている(特許文献1~7)。
この中でも、例えば、易接着ポリアミドフィルムのプライマー層の厚みと、易接着塗剤として使用するポリウレタン樹脂の物性と、プライマー層中に残存する揮発性塩基成分の量とを制御することで、塗膜の表面特性が改善され、熱水処理後の密着性を向上させる方法が知られている(特許文献7)。特許文献7によれば、揮発性塩基成分については、プライマー層中に硬化剤(架橋剤)を含有させないことによって、揮発性塩基成分の総量を減少することができ、耐水性低下の抑制に加え、食品のための包装材料等に用いる場合の安全性を高めることができる。
特開2022-38956 特開2020-121496 特開2014-22080 特開2000-26798 特公平3-55302 国際公開WO2008/75461 国際公開WO2010/110282
しかしながら、これらの従来のフィルムでは、耐ブロッキング性という点でさらなる改良を進める必要がある。すなわち、フィルムをロールで扱う際に、フィルムどうしが相互にくっついてしまう「ブロッキング」という現象が生じやすくなる。特に、特許文献7等に開示されているように、プライマー層中に硬化剤を使用しない場合には、その現象が顕著になる傾向にある。また、多層ラミネート積層体の中間層に用いるためプライマー層と反対面にコロナ放電処理を施した場合は、さらにブロッキングが生じやすくなり、加工トラブルになりやすい。この場合、ブロッキングを抑制するためにプライマー層中に滑剤を添加させる方法があるが、滑剤を多量に添加するとヘーズが上昇し、透明性が損なわれて印刷外観を低下させるおそれがある。
また、従来のフィルムでは、プライマー層に起因する印刷適性についても改善の余地が残されている。商品パッケージにおいては、環境に配慮したアピールのほか、個性を表現する方法として多種多様な印刷が施されることから、印刷外観への要求も高くなる傾向にある。この点、従来のフィルムで適用されるプライマー層の塗膜特性により生じる局所的な印刷外観の低下の問題もあり、この点においても改善の余地がある。
さらには、近年において、消費者の高齢化、製品の多様化等の進行に伴って、食品包装は長期保存性の要請が高まり、殺菌・滅菌の工程では熱水レトルト処理の必要性も増加している。加えて、ボイル処理において含気状態で処理を加える場合もあることから、より過酷な環境下でも高いラミネート強度を保持できることも要請されている。
このように、ボイル処理、レトルト処理等の熱水処理を施した後でも高い密着性を維持できるとともに、耐ブロッキング性、印刷適性等にも優れた材料の開発が要請されているところ、これらの点において従来のフィルムはさらなる改善の余地がある。
従って、本発明の主な目的は、熱水処理後も高い密着性を有しながら、耐ブロッキング性、印刷適性等にも優れた易接着ポリアミドフィルムを提供することにある。
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の成分を含むプライマー層をポリアミドフィルムに形成することによって、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の易接着ポリアミドフィルム及びその製造方法に係る。
1. ポリアミド基材フィルムの少なくとも片面にプライマー層が形成されているポリアミドフィルムであって、
(1)前記プライマー層が、シラノール基を有しないポリウレタン樹脂Aとシラノール基を有するポリウレタン樹脂Bとを含み、
(2)前記ポリウレタン樹脂Aと前記ポリウレタン樹脂Bのガラス転移温度(Tg)が互いに異なる、
ことを特徴とする易接着ポリアミドフィルム。
2. 前記ポリウレタン樹脂Aのガラス転移温度(Tg)が5~50℃の範囲であり、前記ポリウレタン樹脂Bのガラス転移温度(Tg)が60℃以上の範囲である、前記項1に記載の易接着ポリアミドフィルム。
3. ポリウレタン樹脂A及びポリウレタン樹脂Bの合計を100重量部としたとき、ポリウレタン樹脂Aが25~80重量部であり、ポリウレタンBが20~75重量部である、前記項1に記載の易接着ポリアミドフィルム。
4. ポリウレタン樹脂Aが、皮膜伸度300%以上及び抗張力20~50MPaであり、かつ、ポリウレタン樹脂Bが、皮膜伸度200%以上及び抗張力40~60MPaである、前記項1に記載の易接着ポリアミドフィルム。
5. 前記プライマー層に印刷した半調印刷50%階調部の2.5mm内の網点300個の面積を、印刷フィルムTD方向に任意の10箇所測長したときに、最小と最大の面積比(最小面積20個の平均/最大面積20個の平均)が0.8~1の範囲である、前記項1に記載の易接着ポリアミドフィルム。
6. プライマー層どうしを重ね、10kg/cmの荷重をかけ、40℃の環境で1週間経過後の密着力が40g/15mm以下である、前記項1に記載の易接着ポリアミドフィルム。
7. ヘーズが8%以下である、前記項1に記載の易接着ポリアミドフィルム。
8. 二軸延伸フィルムである、前記項1に記載の易接着ポリアミドフィルム。
9. 前記項1~8のいずれか1項に記載の易接着ポリアミドフィルムのプライマー層に直に又は印刷層を介して、少なくともラミネート接着剤層及びヒートシール層が順に積層されている積層体。
10. 易接着ポリアミドフィルムを製造する方法であって、
(1)未延伸のポリアミド基材フィルムの少なくとも片面に、シラノール基を有しないポリウレタン樹脂Aとシラノール基を有するポリウレタン樹脂Bとを含む水性塗剤を塗布する工程、及び
(2)水性塗剤が塗布されたポリアミドフィルムを二軸延伸した後、熱処理する工程
を含む易接着ポリアミドフィルムの製造方法。
11. 二軸延伸が同時二軸延伸である、前記項10に記載の製造方法。
12. 易接着ポリアミドフィルムを製造する方法であって、
(1)未延伸のポリアミド基材フィルムを第1の方向に一軸延伸する工程、
(2)一軸延伸されたポリアミド基材フィルムの少なくとも片面に、シラノール基を有しないポリウレタン樹脂Aとシラノール基を有するポリウレタン樹脂Bとを含む水性塗剤を塗布する工程、
(3)水性塗剤が塗布された前記ポリアミド基材フィルムを前記第1の方向と直交する第2の方向に一軸延伸した後、熱処理する工程
を含む易接着ポリアミドフィルムの製造方法。
本発明によれば、熱水処理後も高い密着性を有しながら、耐ブロッキング性、印刷適性等にも優れた易接着ポリアミドフィルムを提供することができる。
特に、本発明の易接着ポリアミドフィルムは、プライマー層にガラス転移温度が互いに異なる特定の2種のポリウレタン樹脂を用いているので、熱水処理後においても、その処理前と同等又はそれ以上の密着性(ラミネート強力)を達成できるとともに、優れた耐ブロッキング性を発揮することができる。その結果、滑剤等の含有量の低減化を図ることができるので、高い透明性を有するフィルムも提供することが可能となる。また、同時に、例えばボイル処理、レトルト処理等のように熱水処理を経た後も、優れた密着性能を維持することができる。
上記2種のポリウレタン樹脂を用いることによる作用機序については、定かではないが、シラノール基を有するポリウレタン樹脂Bを用いることで、フィルムの乾燥・延伸工程においてシラノール基どうしが反応して架橋構造を形成し、これによって硬化剤がなくてもプライマー層を硬化させることができる結果、耐ブロッキング性が向上するものと推察される。他方、シラノール基を有しないポリウレタン樹脂Aは、上記のような架橋構造を形成しないが、プライマー層中においてポリウレタン樹脂Bとの親和性を保ちつつ、印刷適性を高める機能を果たすものと推察される。このように、2種のポリウレタン樹脂を併用することによって、熱水処理後も高い密着性を有しながら、優れた耐ブロッキング性、印刷適性等が発揮することが可能となると考えられる。
このような特徴をもつ本発明の易接着ポリアミドフィルムは、例えば包装材料、電気絶縁材料、一般工業材料等として好適に使用することができる。とりわけ、フィルムに印刷を施したうえでボイル処理又はレトルト処理に供される食品包装材料に適している。
さらに、本発明の易接着ポリアミドフィルムは、ポリウレタン樹脂を含有する水性塗剤をポリアミドフィルムに塗布させて乾燥させることにより簡便に得られ、かつ、厚みの制御が行いやすい等の利点も有している。その結果、本発明の易接着ポリアミドフィルムは、生産性に優れ、工業的にも有利である。
本発明の製造方法によれば、水性塗剤の塗布によるプライマー層形成の工程をフィルム製造工程に組み込むことによって、ポリアミドフィルムの熱固定を目的とした熱処理工程において同時に塗剤を乾燥させることができることから、工程の簡略化が図れる。しかも、熱処理工程の温度条件は、二軸延伸による分子の結晶化・配向(以下「配向結晶化」ともいう。)が終了した後でフィルムに塗剤を塗布してこれを乾燥する場合の加熱条件に比べて高温にすることが可能である。このため、プライマー層中の揮発性塩基成分を低減させるのに有利である。これに対し、水性塗剤中に別途に硬化剤を添加している場合、インラインで乾燥を行った際に架橋構造が網目状に生じ、硬化点を起点として局所的にプライマー層に発生するムラが、印刷外観を悪化させてしまう。また、プライマー層中に、硬化剤を含まないポリウレタン樹脂だけでは、製膜後ロール状で保管した際に経時変化によりブロッキングが生じやすい。本発明によれば、シラノール基を含有しているポリウレタンを特定の配合比で含有することにより、ブロッキング性を損なうことなく、耐水密着性と印刷外観の改善が両立できる。
本発明の易接着ポリアミドフィルムの層構成例を示す図である。 本発明の積層体の層構成例を示す図である。 試験例1において、フィルムの印刷適性を評価する方法の概要を示す図である。
1.易接着ポリアミドフィルム
本発明の易接着ポリアミドフィルム(本発明フィルム)は、ポリアミド基材フィルムの少なくとも片面にプライマー層が形成されているポリアミドフィルムであって、
(1)前記プライマー層が、シラノール基を有しないポリウレタン樹脂Aとシラノール基を有するポリウレタン樹脂Bとを含み、
(2)前記ポリウレタン樹脂Aと前記ポリウレタン樹脂Bのガラス転移温度(Tg)が互いに異なる、
ことを特徴とする。
本発明フィルムの基本的な層構成を図1に示す。図1Aのフィルム10は、ポリアミド基材フィルム11の片面の表面上にプライマー層12が形成されている。図1Aでは、プライマー層12は、ポリアミド基材フィルム11の片面の表面の全面に形成されているが、本発明の効果を妨げない限りは一部に形成されていても良い。図1Bのフィルム10’は、ポリアミド基材フィルム11の両面(おもて面及び裏面)の表面上にプライマー層12が形成されている。図1Bでは、プライマー層12は、ポリアミド基材フィルム11の両面の表面の全面に形成されているが、本発明の効果を妨げない限りは一部に形成されていても良い。
ポリアミド基材フィルム
ポリアミド基材フィルムは、ポリアミド樹脂を主成分とするものであり、本発明フィルム又は後記に示す積層体のコア層として機能する。
ポリアミド樹脂としては、例えばε-カプロラクタムを含む原料を開環重合させることによって得られるナイロン6を挙げることができる。また、その他のポリアミド樹脂としては、3員環以上のラクタム、ω-アミノ酸、二塩基酸とジアミン等とを含む原料を重縮合させることによって得られるポリアミド樹脂等も挙げることができる。上記の原料は、限定的でなく、例えば従来の石油由来のモノマーのほか、ケミカルリサイクルにより解重合することにより得られるモノマーを用いることもできる。
さらに、ポリアミド樹脂は、ポリアミド樹脂を溶融して得られる再溶融樹脂を用いることができる。本発明において、再溶融樹脂としては、環境保全、資源の有効活用等の見地より、ポリアミド樹脂(特にポリアミド6樹脂)の樹脂廃材を用いることができる。より具体的には、ポリアミドフィルムの製造時に発生した未延伸屑、耳部トリミング屑、スリット屑、不良品等を再度溶融して成形されたペレット等が挙げられる。
このようなポリアミド樹脂の具体例としては、ナイロン6、7、10、11、12、4.10、5.6、6.6、6.9、6.10、6.11、6.12、10.10、6T、9T、10T、6I、MXD6(ポリ(メタキシリレンアジパミド)、6/6.6、6/12、6/6T、6/6I、6/MXD6等の少なくとも1種を挙げることができる。その中でも、耐熱性と機械的特性とのバランスに優れるナイロン6が好ましい。
ポリアミド基材フィルム中におけるポリアミド樹脂の含有量は、限定的ではないが、通常は90~100質量%程度の範囲内で設定することができ、例えば95~99質量%とすることもできる。
ポリアミド基材フィルム中には、本発明の効果を妨げない範囲内において、ポリアミド樹脂以外の成分が含まれていても良い。例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、無機微粒子等の各種の添加剤の少なくとも1種を添加することができる。
特に、フィルムのスリップ性をより向上させる等の目的で滑剤を配合しても良い。滑剤としては、無機系滑剤及び有機系滑剤の少なくとも1種を用いることができる。無機系滑剤としては、例えばクレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、層状ケイ酸塩、ケイ酸ソーダ、水酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、カーボンブラック等を挙げることができる。有機系滑剤としては、例えばアクリル系架橋重合体、スチレン系架橋重合体、フェノール樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレンワックス、エチレンビスステアリン酸アミド等を挙げることができる。これらの中でもシリカが好ましい。
ポリアミド基材フィルム中における滑剤の含有量は、特に限定されないが、フィルムの透明性を確保するという観点から、例えばポリアミド基材フィルム中0.5質量%以下とすることが好ましく、特に0.3質量%以下とすることがより好ましい。下限値は、例えば0.01質量%とすることができるが、これに限定されない。なお、透明性が要求されない用途に用いる場合は、0.5質量%を超えて配合しても良い。
ポリアミド基材フィルムは、単一の層から構成されたものであっても良いし、同時溶融押出し、ラミネーション等によって形成された、複数の層から構成されるフィルムであっても良い。特に、本発明では、単一の層にて構成されたポリアミド基材フィルムの方が容易に製造できるので好ましい。
ポリアミド基材フィルムは、既製又は市販のポリアミドフィルムを用いることもできるほか、公知のフィルム製膜法によって成形されたフィルムを用いることもできる。
ポリアミド基材フィルムを製造する場合は、例えばTダイから溶融ポリマーを押出後、キャスティングロールで冷却して未延伸シートを作製する。次いで、これを同時二軸延伸又は逐次二軸延伸する。このようにして得られる延伸フィルムは、寸法安定性を良くするために、例えば200℃前後の温度で短時間の熱処理を施す。このようにしてポリアミド基材フィルムを得ることができる。すなわち、本発明フィルムにおけるポリアミド基材フィルムは、二軸延伸フィルムであることが望ましい。
また、ポリアミド基材フィルムは、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、コロナ放電処理等の表面処理が施されても良い。
ポリアミド基材フィルムの厚みは、限定的でなく、例えば用途、使用箇所等に応じて適宜設定することができるが、通常は3~50μm程度の範囲内とすれば良い。
プライマー層
プライマー層は、ポリアミド基材フィルムの片面又は両面に形成されるものであり、ポリアミド基材フィルムに優れた接着性を付与する機能を有する。本発明フィルムのプライマー層は、シラノール基を有しないポリウレタン樹脂Aとシラノール基を有するポリウレタン樹脂Bとを含む。プライマー層中にポリウレタン樹脂A及びポリウレタン樹脂Bをともに含有させることによって、ポリウレタン樹脂A単独又はポリウレタン樹脂B単独では実現できなかった熱水処理後ラミネート強力を達成できると同時に、良好な耐ブロッキング性、印刷適性等も得ることが可能となる。
ポリウレタン樹脂A
ポリウレタン樹脂Aは、分子中にシラノール基を有しないものであれば良く、例えば1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を含有する化合物(以下「イソシアネート基含有化合物」という。)と、1分子中に少なくとも2個の活性水素基を含有する化合物(以下「活性水素基含有化合物」という。)との反応によって得られるポリウレタン樹脂を用いることができる。
上記イソシアネート基含有化合物としては、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート等のいずれであっても良い。これらは、1種又は2種以上を用いることができる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えばトリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、2,4,4-又は2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートメチルカプロエート等又はこれらの混合物;脂環族ジイソシアネートとしては、例えば1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン又は1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンあるいはその混合物(水添キシリレンジイソシアネート)、又はこれらの混合物;芳香族ジイソシアネートとしては、例えばm-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-又は2,6-トリレンジイソシアネートもしくはその混合物、4,4’-トルイジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート等又はこれらの混合物;芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば1,3-又は1,4-キシリレンジイソシアネートあるいはその混合物、ω、ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,3-又は1,4-ビス(1-イソシアネート-1-メチルエチル)ベンゼンあるいはその混合物等;トリイソシアネートとしては、例えばトリフェニルメタン-4,4’,4”-トリイソシアネート、1,3,5-トリイソシアネートベンゼン、2,4,6-トリイソシアネートトルエン、1,3,5-トリイソシアネートヘキサン等;ポリイソシアネート単量体としては、例えば4,4’-ジフェニルジメチルメタン-2,2’-5,5’-テトライソシアネート等;上記ポリイソシアネート単量体から誘導されたダイマー、トリマー等が挙げられる。
上記活性水素基含有化合物としては、例えば活性水素基を有する基として、アミノ基、水酸基、メルカプト基を有する化合物等が挙げられるが、イソシアネート基との反応速度、及び得られる被膜の機械的物性等の点から、水酸基を有する化合物(特にポリオール)が好ましい。
上記水酸基を有する化合物としては、例えばポリエステルポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリヒドロキシアルカン、ひまし油、ポリウレタンポリオール又はそれらの混合物等が挙げられる。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸等の二塩基酸もしくはそれらのジアルキルエステル又はそれらの混合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3’-ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のグリコール類又はそれらの混合物とを反応させて得られるポリエステルポリオール等が挙げられる。
上記ポリオレフィンポリオールとしては、例えばポリエチレンポリオール、ポリプロピレンポリオール、ポリイソブテンポリオール、水素添加ポリイソプレンポリオール、水素添加ポリブタジエンポリオール等が挙げられる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えば水、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の低分子量ポリオールを開始剤として用いて、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を重合させることにより得られるポリエーテルポリオール等が挙げられる。
上記ポリエーテルエステルポリオールとしては、例えば上記二塩基酸もしくはそれらのジアルキルエステル又はそれらの混合物と、上記ポリエーテルポリオールとを反応させて得られるポリエーテルエステルポリオール等が挙げられる。前記ポリエステルアミドポリオールとしては、上記ポリエステル化反応に際し、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアミノ基を有する脂肪族ジアミンを原料として前記ポリエステル化反応物の原料に追加して反応させることによって得られるもの等が挙げられる。
上記アクリルポリオールとしては、例えば1分子中に1個以上のヒドロキシル基を有する重合性モノマー、例えば(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等と、例えば(メタ)アクリル酸又はそのエステルとを共重合させることによって得られるもの等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。
上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,8-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノール-A及び水添ビスフェノール-Aの少なくとも1種とジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲン等とを反応させることにより得られるもの等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。
上記ポリヒドロキシアルカンとしては、イソプレン、ブタジエン、又はブタジエンとアクリルアミド等とを共重合させて得られる液状ゴム等が挙げられる。
上記ポリウレタンポリオールとしては、例えば1分子中にウレタン結合を有するポリオールが挙げられ、前記ポリオールは、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール等と後述する1分子当たり少なくとも2個のイソシアネート基を有するイソシアネート基含有化合物とを、(NCO基/OH基)のモル数が1未満で反応させることにより得られるもの等が挙げられる。
さらに上記水酸基を有する化合物以外に、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、1,8-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等のグリコール類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の低分子量ポリオール;メタノール、エタノール、プロパノール類、ブタノール類、2-エチルヘキサノール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール等のモノオール等が混合されていても良い。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。
また、ポリウレタン樹脂A中には、アニオン性官能基(親水性基)が導入されたものが好ましい。アニオン性官能基としては、例えばカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等を挙げることができる。ポリウレタン樹脂中にアニオン性官能基を導入する方法としては、ポリオール成分としてアニオン性官能基を有するジオール等を用いる方法、鎖伸張剤としてアニオン性官能基を有するジオール等を用いる方法等が挙げられる。アニオン性官能基を有するジオールとしては、例えばグリセリン酸、ジオキシマレイン酸、ジオキシフマル酸、酒石酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロール吉草酸、2,2-ジメチロールペンタン酸、4,4-ジ(ヒドロキシフェニル)吉草酸、4,4-ジ( ヒドロキシフェニル)酪酸等の脂肪族カルボン酸、2,6-ジオキシ安息香酸等の芳香族カルボン酸等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。
プライマー層中におけるポリウレタン樹脂Aの含有量は、限定的ではないが、通常は15~75質量%程度とし、特に15~70質量%とすることが好ましく、さらには20~60質量%とすることがより好ましい。
ポリウレタン樹脂B
ポリウレタン樹脂Bは、分子内に少なくとも1個のシラノール基を含有するものであれば良い。
ポリウレタン樹脂B中に含まれるシラノール基の存在(結合)部位は特に限定されず、該ポリウレタン樹脂の両端、いずれか一方端、あるいは中間部分のいずれかの部位に存在(結合)していても良い。
また、ポリウレタン樹脂B中には、アニオン性官能基(親水性基)が導入されていることが好ましい。アニオン性官能基としては、例えばカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等を挙げることができる。ポリウレタン樹脂中にアニオン性官能基を導入する方法としては、ポリオール成分としてアニオン性官能基を有するジオール等を用いる方法、鎖伸張剤としてアニオン性官能基を有するジオール等を用いる方法等が挙げられる。アニオン性官能基を有するジオールとしては、例えばグリセリン酸、ジオキシマレイン酸、ジオキシフマル酸、酒石酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロール吉草酸、2,2-ジメチロールペンタン酸、4,4-ジ(ヒドロキシフェニル)吉草酸、4,4-ジ( ヒドロキシフェニル)酪酸等の脂肪族カルボン酸、2,6-ジオキシ安息香酸等の芳香族カルボン酸等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。
ポリウレタン樹脂Bは、例えばイソシアネート基含有化合物と活性水素基含有化合物との反応から得られたポリウレタン化合物に対し、1分子中に少なくとも1個の活性水素基及び加水分解性ケイ素基を含有する化合物(以下「加水分解性ケイ素基含有化合物」という。)を反応させることによってシラノール基を分子中に導入されたポリウレタン樹脂が挙げられる。
シラノール基を導入する方法としては、アニオン性官能基の場合と同様に、ポリオール成分としてシラノール基を有するジオール等を用いる方法、鎖伸張剤としてシラノール基を有するジオール等を用いる方法等が挙げられる。シラノール基を有するジオールとしては、例えばシランジオール、1,3-ジシロキサンー1,3-ジオール、ジフェニルシランジオール等の少なくとも1種が挙げられる。
上記イソシアネート基含有化合物、活性水素基含有化合物等は、前記のポリウレタン樹脂Aで説明したものと同様のものを使用することができる。
上記加水分解性ケイ素基含有化合物は、1分子中に少なくとも1個の活性水素基及び加水分解性ケイ素基を含有する化合物であれば良い。加水分解性ケイ素基としては、シラノール縮合触媒の存在下又は非存在下で加水分解を受けたときに生じる加水分解性基がケイ素基原子に結合している基が挙げられる。加水分解性基としては、例えば水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等の少なくとも1種が挙げられる。加水分解性基は、通常は1個のケイ素原子に1~3個の範囲で結合していれば良い。
加水分解性ケイ素基含有化合物の具体例としては、活性水素基がメルカプト基であって、加水分解性基としてアルコキシ基を有する化合物として、例えばγ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等の少なくとも1種が挙げられる。また、活性水素基がアミノ基であって、加水分解性基としてアルコキシ基を有する化合物として、例えばγ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等の少なくとも1種が挙げられる。
プライマー層中におけるポリウレタン樹脂Bの含有量は、特に限定されないが、通常は15~75質量%程度とし、特に15~70質量%とすることが好ましく、さらには20~60質量%とすることがより好ましい。
また、ポリウレタン樹脂Aとポリウレタン樹脂Bとの比率については、限定されないが、両者の合計を100重量部としたとき、ポリウレタン樹脂Aを25~80重量部(好ましくは30~80重量部、より好ましくは40~80重量部)とし、ポリウレタン樹脂Bを20~75重量部(好ましくは20~70重量部、より好ましくは20~60重量部)とすることが望ましい。プライマー層中のポリウレタン樹脂Aが80重量部を超えると、易接着ポリアミドフィルムをロール状で取り扱う際に耐ブロッキング性が低下し、問題が生じることがある。また、ポリウレタン樹脂Bが75重量部を超えると、シラノール架橋構造の最適量を超え、局所的に表面にムラが生じ、印刷外観が低下するおそれがある。さらに、印刷、接着剤等のようなプライマー層に施す加工処理物との密着性が低下することがある。
本発明では、ポリウレタン樹脂A及びポリウレタン樹脂Bは、ガラス転移温度(Tg)が互いに異なるものを用いる。これにより、各ガラス転移温度(Tg)の間の温度領域において、良好な耐ブロッキング性、柔軟性等を得ることができる。ポリウレタン樹脂Aのガラス転移温度(Tg)は、通常5~50℃程度であることが好ましい。この中でも、ポリウレタン樹脂AのTgの下限は、通常は5℃以上であることが好ましく、特に10℃以上であることがより好ましく、15℃以上であることがさらに好ましく、その中でも20℃以上であることが最も好ましい。Tgが5℃未満である場合は、巻き取ったロールフィルムの耐ブロッキング性が低下する場合がある。また、Tgが50℃を超える場合には、プライマー層の柔軟性が低下し、延伸追従性が悪化してポリアミドフィルムの外観が損なわれるおそれがある。
ポリウレタン樹脂Bのガラス転移温度(Tg)は、通常は60℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましく、85℃以上であることがさらに好ましく、特に100℃以上であることが最も好ましい。Tgが60℃未満では、プライマー層全体の耐熱性が低くなり、耐ブロッキング性が低くなることがある。ポリウレタン樹脂BのTgの上限は、例えば120℃程度と設定することができるが、これに限定されない。
本発明に用いられるポリウレタン樹脂A及び/又はBは、皮膜伸度が200%以上であることが好ましい。ポリウレタン樹脂A,Bの伸度が200%未満の場合は、樹脂皮膜の凝集力は向上するものの、皮膜の可撓性及び耐衝撃性が低下することがあるため、プライマー層に対してコーティング、印刷等の加工処理を行った後における当該加工処理物との密着性が低下するおそれがある。
本発明に用いられるポリウレタン樹脂A及び/又はBは、抗張力が20MPa以上であることが好ましく、特に25MPa以上であることが好ましく、その中でも30MPa以上であることがより好ましい。ポリウレタン樹脂A,Bの抗張力が20MPa未満の場合は、プライマー層に対してコーティング、印刷等のような加工処理を行った後における熱水処理前の当該加工処理物との密着性は向上するが、プライマー層の耐熱性が低くなるおそれがある。このため、プライマー層に対してコーティング、印刷等の加工処理を行った場合に、熱水処理後の当該加工処理物との密着性が大きく損なわれやすい。また、樹脂皮膜の凝集力が低下し、耐ブロッキング性が低下するおそれがある。
上記のような点を総合すると、本発明では、特に、ポリウレタン樹脂Aは、皮膜伸度が300%以上であり、かつ、抗張力が20~50MPaであることが好ましい。また、ポリウレタン樹脂Bは、皮膜伸度が200%以上であり、かつ、抗張力が40~60MPaであることが好ましい。
本発明フィルムでは、プライマー層中には、本発明の効果を妨げない範囲内において、他の添加剤が含まれていても良い。ただし、硬化剤(架橋剤)は、前記の理由から少量又は含まないことが好ましいので、プライマー層中0.1質量%以下とする。
特に、プライマー層により高い耐ブロッキング性を付与するために、滑剤を配合することもできる。例えば、滑剤が粒子状の場合は、平均粒径5~300nm(特に10~200nm)の滑剤を用いることができる。また、その含有量は、限定的ではないが、通常はプライマー層中0~10質量%の範囲とすれば良い。従って、例えば0.1~10質量%とすることができ、また例えば0.1~3質量%とすることもできる。
滑剤としては、有機系滑剤及び無機系滑剤の少なくとも1種を用いることができる。無機系滑剤としては、例えばクレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、層状ケイ酸塩、ケイ酸ソーダ、水酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、カーボンブラック等の少なくとも1種を挙げることができる。有機系滑剤としては、例えばアクリル系架橋重合体、スチレン系架橋重合体、フェノール樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレンワックス、エチレンビスステアリン酸アミド等の少なくとも1種を挙げることができる。
本発明フィルムでは、プライマー層から発生する揮発性塩基成分の総量が0.50ppm以下であることが好ましく、特に0.20ppm 以下であることがより好ましい。揮発性塩基成分がプライマー層中に0.50ppmを超えて残留していると、プライマー層の耐水性が低下することがあり、プライマー層にコーティング、印刷等の加工処理を行った場合における水付時の当該加工処理物との接着性が低下することがある。加えて、易接着ポリアミドフィルムを食品のための包装材料等に用いる場合の安全性を高める効果が阻害されやすくなる。
プライマー層の厚み(延伸後厚み)は、限定的ではないが、通常0.025~0.250μm程度とすることができ、特に0.050~0.120μmとすることが好ましい。厚みが0.025μm未満であると、フィルム上に均一に欠点のない塗膜を形成するのが困難となる。その結果、プライマー層に対するコーティング、印刷等の加工処理を行った場合において、ボイル・レトルト処理等の熱水処理後の当該加工処理物との接着性が低下するおそれがある。一方、厚みが0.250μmを超えると、耐水性が悪化するおそれがある。また、末端基が表層にブリードアウトしやすくなるので、ブロッキング性が低下し、プライマー層中の揮発性塩基成分残存量も増えるおそれがある。さらに、それ以上の接着性の向上が軽微であるため、経済的に非効率となることもある。
本発明フィルムの厚みは、特に限定されないが、通常は3~50μm程度とし、特に10~25μmとすることが好ましい。本発明フィルムは、延伸フィルムであることが好ましく、特に二軸延伸フィルム(二軸に配向結晶化されたフィルム)であることがより好ましい。
本発明フィルムは、耐ブロッキング性に優れている。従って、プライマー層どうしを重ね、10kg/cmの荷重をかけ、40℃の環境で1週間経過後の密着力が40g/15mm以下であることが好ましい。また、プライマー層と、プライマー層とは反対面とを重ね、10kg/cmの荷重をかけ、40℃の環境で1週間経過後の密着力が10g/15mm以下であることが好ましい。耐ブロッキング性の下限値は、特に限定されないが、上記のいずれの場合も、通常は1g/15mm程度である。
また、本発明フィルムは、印刷適性に優れている。このため、プライマー層に印刷した半調印刷50%階調部の2.5mm内の網点300個の面積を、印刷フィルムTD方向に任意の10箇所測長した場合において、最小と最大の面積比(最小面積20個の平均/最大面積20個の平均)が0.8~1の範囲であることが好ましい。このような範囲内にあれば、印刷ムラが少なく、均質な印刷状態を得ることができる。
本発明フィルムは、透明性も良好であり、特にヘーズが8%以下であることが好ましい。ヘーズの下限値は、特に限定されないが、通常は1%程度である。本発明フィルムは、上記のように、耐ブロッキング性に優れているので、滑剤を使用する場合も比較的少量で済む。これにより、優れた耐ブロッキング性と高い透明性とを同時に実現することが可能である。なお、透明性が要求されない用途等に本発明フィルムを用いる場合は、ヘーズが8%を超えても良い。
本発明の易接着性ポリアミドフィルムは、そのプライマー層の表面へ塗装、インキの印刷等の各種の二次加工処理を行うときの加工処理物、すなわち塗料、インキ等との接着性に優れ、また、ラミネート接着剤層等のためにシーラントフィルムとの接着性に優れている。このため、二次加工処理としてシーラントフィルムの積層等を施した積層物として使用することができ、包装用、一般工業用等の基材フィルムとしての利用価値が高い。また、ボイル・レトルト処理等の熱水処理後も優れた密着性を有し、しかも印刷適性も優れているので、特に食品の包装用分野に好適に用いることができる。
2.易接着ポリアミドフィルムの製造方法
本発明フィルムの製造方法は、限定的ではないが、特に、下記の第1方法又は第2方法によって好適に実施することができる。
(A)第1方法
第1方法は、易接着ポリアミドフィルムを製造する方法であって、
(1)未延伸のポリアミドフィルムの少なくとも片面に、シラノール基を有しないポリウレタン樹脂Aとシラノール基を有するポリウレタン樹脂Bとを含む水性塗剤を塗布する工程(塗布工程)、及び
(2)水性塗剤が塗布されたポリアミドフィルムを二軸延伸した後、熱処理する工程(延伸工程)
を含む易接着ポリアミドフィルムの製造方法である。
塗布工程
塗布工程では、未延伸のポリアミドフィルムの少なくとも片面に、シラノール基を有しないポリウレタン樹脂Aとシラノール基を有するポリウレタン樹脂Bとを含む水性塗剤を塗布する。
上記の未延伸のポリアミドフィルムは、最終的に本発明フィルムのポリアミド基材フィルムとなるものである。従って、その組成等は、前記「1.易接着ポリアミドフィルム」で説明したものを採用することができる。未延伸のポリアミドフィルムは、ポリアミド樹脂を含む溶融混練物をシート状に成形することにより製造することができる。溶融混練物の調製自体は、公知の方法に従って実施すれば良い。例えば、加熱装置を備えた押出機にポリアミド樹脂を含む原料を投入し、所定温度に加熱することによって溶融させた後、その溶融混練物をTダイにより押し出し、キャスティングドラム等により冷却固化させることによってシート状の成形体である未延伸シートを得ることができる。この場合の未延伸シートの平均厚みは、最終厚み等に応じて適宜設定でき、例えば15~250μm程度とすることができ、また例えば50~235μm程度とすることができるが、これらに限定されない。
水性塗剤は、ポリウレタン樹脂A、ポリウレタン樹脂B等を水に分散させることによって調製することができる。特に、ポリウレタン樹脂A,Bがアニオン型のポリウレタン樹脂である場合は、これを水に分散させるために揮発性塩基を用いることが望ましい。揮発性塩基は、特に限定されず、例えばアンモニア、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モルホリン、エタノールアミン等の少なくとも1種が挙げられる。この中でも、トリエチルアミンは、水分散ポリウレタン樹脂の液安定性が良好であり、さらに沸点が比較的低温であることからプライマー層への残留量が少ないため、より好ましい。
水性塗剤には、他に塗剤を基材フィルムに塗布する際の塗工性を向上させるために、界面活性剤を添加しても良い。かかる界面活性剤は、基材フィルムへの水性塗剤の濡れを促進することができる。例えば、ポリエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン- 脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン型界面活性剤、アセチレングリコール等のノニオン型界面活性剤を挙げることができる。これらは、1種又は2種以上で用いることができる。界面活性剤の含有量は、限定的ではないが、水性塗剤中に0.01~1質量%含まれていることが好ましい。1質量%を超えると、界面活性剤がブリードアウトしたり、あるいはプライマー層中に残留することによって、ボイル・レトルト処理等の熱水処理後の接着性が低下するおそれがある。このため、用いられる界面活性剤は、易接着ポリアミドフィルムの製造工程における熱処理で揮発するものであることが好ましい。
水性塗剤としては、公知又は市販の水分散性ポリウレタン樹脂(特にアニオン型水分散性ポリウレタン樹脂)を使用することもできる。水分散性のポリウレタン樹脂Aとしては、例えば製品名「ハイドランADS-110」、「ハイドランADS-120」、「ハイドランKU-400SF」、「ハイドランHW-311」、「ハイドランHW-312B」、「ハイドランHW-333」、「ハイドランAP-20」、「ハイドランAP-201」、「ハイドランAP-80」、「ハイドランAPX-101H」、「ハイドランAP-60LM」(いずれもDIC社製)、製品名「スーパーフレックス107M」、「スーパーフレックス150」、「スーパーフレックス150HS」、「スーパーフレックス410」、「スーパーフレックス420NS」、「スーパーフレックス460」、「スーパーフレックス460S」、「スーパーフレックス700」、「スーパーフレックス750」、「スーパーフレックス840」(いずれも第一工業製薬社製)、製品名「タケラックW-6010」、「タケラックW-6020」、「タケラックW-511」、「タケラックW-5030 」(いずれも三井化学社製)、製品名「NeoRez R9679」、「NeoRez R9637」、「NeoRez R966」、「NeoRez R972」(いずれもDSM社製)等が挙げられる。水分散性のポリウレタン樹脂Bとしては、例えば製品名「タケラックWS-4022」「タケラックWS-5000」(いずれも三井化学社製)等が挙げられる。
水性塗剤におけるポリウレタン樹脂の固形分濃度は、限定的でなく、例えば塗工装置、乾燥・加熱装置の仕様によって適宜変更することができる。この場合、あまりにも希薄な溶液では、乾燥工程において長時間を要するおそれがある。他方、固形分濃度が高すぎると、均一な塗剤を得にくく、塗工性にも支障を来すおそれがある。かかる見地から、水性塗剤における固形分濃度は、通常は3~35質量%程度の範囲とすることが好ましい。
水性塗剤をポリアミドフィルムに塗布する方法は、特に限定されない。例えば、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、エアーナイフコーティング等の通常の方法を挙げることができる。
水性塗剤を塗布した後は、必要に応じて乾燥工程を実施することもできる。乾燥方法は、自然乾燥又は加熱乾燥のいずれであっても良いが、例えば100~180℃で加熱することにより乾燥する方法を好適に採用することができる。
延伸工程
延伸工程では、水性塗剤が塗布されたポリアミドフィルムを二軸延伸した後、熱処理する。より具体的には、第1方法においては、未延伸のポリアミド基材フィルムの少なくとも片面にアニオン型水分散性ポリウレタン樹脂を主成分とする水性塗剤を塗布してその塗膜を形成した後、未延伸のポリアミドフィルムを塗膜とともに二軸延伸し、その後に熱処理することによってポリアミドフィルムの結晶を二軸配向化させる。
第1方法では、延伸方法として同時二軸延伸法を好適に採用することができる。延伸温度は、通常は70~250℃程度とし、特に100~230℃とすることが好ましい。延伸倍率は、例えば用途、所望の物性等に応じて適宜設定することができ、例えばMD方向2~4倍程度、TD方向2~4倍程度とすることができるが、これに限定されない。
延伸後は、熱処理を実施する。例えば、幅方向の両端が把持された状態で延伸されたフィルムは、その幅方向の両端が把持された状態のままで好適に熱処理(すなわち、熱固定)することができる。
本発明の製造方法において、熱固定の温度は、通常は180~250℃であることが好ましく、特に210~230℃であることがより好ましい。熱固定の温度が180℃未満であると、延伸配向フィルムの熱寸法安定性が高くなったり、プライマー層に残留する揮発性塩基成分の量が多くなったりしてしまう。このため、本発明が目的とするところの、プライマー層に対してコーティング、印刷等の加工処理を行った際の水付時の加工処理物との接着性が低下しやすくなる。また、熱固定の温度が250℃を超えると、ポリアミド樹脂の融点以上の温度となるため、所望の延伸フィルムが得られなくなる場合がある。
(B)第2方法
第2方法は、易接着ポリアミドフィルムを製造する方法であって、
(1)未延伸のポリアミドフィルムを第1の方向に一軸延伸する工程(第1延伸工程)、
(2)一軸延伸されたポリアミドフィルムの少なくとも片面に、シラノール基を有しないポリウレタン樹脂Aとシラノール基を有するポリウレタン樹脂Bとを含む水性塗剤を塗布する工程(塗布工程)、
(3)水性塗剤が塗布されたポリアミドフィルムを前記第1の方向と直交する第2の方向に一軸延伸した後、熱処理する工程(第2延伸工程)
を含む易接着ポリアミドフィルムの製造方法である。
第1延伸工程
第1延伸工程では、未延伸のポリアミドフィルムを第1の方向に一軸延伸する。より具体的には、未延伸のポリアミドフィルムを、45~80℃(好ましくは50~60℃)に加熱された周速の異なるローラー群に通して第1の方向に延伸する。この場合の延伸倍率は、例えば用途、所望の物性等に応じて適宜設定することができ、例えばMD方向又はTD方向2~4倍とすることができるが、これに限定されない。上記の未延伸のポリアミドフィルムは、最終的に本発明フィルムのポリアミド基材フィルムとなるものである。従って、その組成等は、前記で説明したものを採用することができる。未延伸のポリアミドフィルムは、第1方法と同様にして作製することができる。
塗布工程
塗布工程では、一軸延伸されたポリアミドフィルムの少なくとも片面に、シラノール基を有しないポリウレタン樹脂Aとシラノール基を有するポリウレタン樹脂Bとを含む水性塗剤を塗布する。水性塗剤、塗布条件等は、第1方法と同様にすれば良い。
第2延伸工程
第2延伸工程では、水性塗剤が塗布された前記ポリアミド基材フィルムを前記第1の方向と直交する第2の方向に一軸延伸した後、熱処理する。
フィルムの幅方向の両端を把持して、第2の方向に70~150℃(好ましくは80~120℃)の温度条件で延伸する。この場合の延伸倍率は、例えば用途、所望の物性等に応じて適宜設定することができ、例えばTD方向又はMD方向2~4倍程度とすることができるが、これに限定されない。
第2方法で採用される逐次二軸延伸法の延伸温度が、第1方法の同時二軸延伸法の延伸温度に比べて低いのは、逐次二軸延伸法で高温の延伸を行うとポリアミドフィルムの結晶化度が高くなりすぎて、所要の倍率での延伸が不可能になったり、ポリアミドフィルムに要求される物性が大きく損なわれたりするためである。
このように、第1方法又は第2方法で得られた本発明フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲でコロナ放電処理、易接着処理等の表面処理を施しても良い。また、例えば易接着層、バリアコート層、印刷層等を必要に応じて適宜設けることもできる。特に、プライマー層と反対面にコロナ放電処理を施すことで、表刷り印刷に適するほか、多層ラミネート積層体の中間層等としても好適に用いることができる。
3.易接着ポリアミドフィルムの使用
上記のようにして得られる本発明フィルム(特に二軸延伸フィルム)は、ポリアミド樹脂フィルムとしての優れた引張伸度、引張強度、弾性率等の機械的物性に加えて、優れた透明性、色調、濡れ性、印刷適性等を併せ有しているため、特に包装材料として好適に使用できる。
本発明フィルムは、単独で使用することもできるほか、他の層と積層して積層体の形態で使用することもできる。
他の層としては、限定的ではなく、例えばバリア層、印刷層、ラミネート接着剤層、ヒートシール層、樹脂フィルム等を必要に応じて適宜設けることもできる。特に、本発明は、本発明フィルムのプライマー層に直に又は印刷層を介して、少なくともラミネート接着剤層及びヒートシール層が順に積層されている積層体(本発明積層体)も包含する。例えば、図2に示すように、ポリアミド基材フィルム11の片面にプライマー層12が形成されており、プライマー層上に印刷層13が積層され、さらに印刷層上にラミネート接着剤層14及びヒートシール層15が形成されている。ラミネート接着剤層又はヒートシール層としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを含む樹脂層を採用することができる。これらは、公知又は市販のものを使用することもできる。本発明では、このような積層体にさらに別の層が含まれる場合も、本発明の積層体に包含される。
例えば、本発明フィルムのプライマー層と反対面にコロナ放電処理を施し、直に又は印刷層を介して、ラミネート接着剤層及び樹脂フィルムが順に積層されている積層体としても良い。具体的には、
(a)ポリエステル樹脂フィルム/ラミネート接着剤層/ポリアミド基材フィルム/プライマー層/ラミネート接着剤層/ヒートシール層、
(b)ポリエステル樹脂フィルム/印刷層/ラミネート接着剤層/ポリアミド基材フィルム/プライマー層/ラミネート接着剤層/ヒートシール層、
(c)ポリエステル樹脂フィルム/ラミネート接着剤層/ポリアミド基材フィルム/プライマー層/印刷層/ラミネート接着剤層/ヒートシール層、
(d)ポリアミド樹脂フィルム/ラミネート接着剤層/ポリアミド基材フィルム/プライマー層/ラミネート接着剤層/ヒートシール層、
(e)ポリアミド樹脂フィルム/印刷層/ラミネート接着剤層/ポリアミド基材フィルム/プライマー層/ラミネート接着剤層/ヒートシール層、
(f)ポリプロピレン樹脂フィルム/ラミネート接着剤層/ポリアミド基材フィルム/プライマー層/ラミネート接着剤層/ヒートシール層、
(g)ポリプロピレン樹脂フィルム/印刷層/ラミネート接着剤層/ポリアミド基材フィルム/プライマー層/ラミネート接着剤層/ヒートシール層、
(h)ポリプロピレン樹脂フィルム/ラミネート接着剤層/ポリアミド基材フィルム/プライマー層/印刷層/ラミネート接着剤層/ヒートシール層
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。以下には各層の具体例を示す。
バリア層は、例えば空気、湿気等を遮断するための層である。バリア層としては、例えばアルミニウム箔、アルミニウム、酸化ケイ素等の蒸着層、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)コート、ポリカルボン酸類、水素結合性樹脂-無機層状化合物複合層等を採用することができる。
印刷層は、例えば文字、図柄等を印刷した層である。印刷層の形成に用いられるインキとしては、特に限定されるものではない。例えば、含トルエンインキ、ノントルエンインキ、水性インキ等が挙げられる。環境の面から考えると、ノントルエンインキ、水性インキ等の少なくとも1種が好ましい。
ラミネート接着剤層を形成する接着剤としては、公知又は市販のものを使用することができる。例えば、イソシアネート系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、ポリオレフィン系、アルキルチタネート系の接着剤等が挙げられる。その中でも、密着性、耐熱性、耐水性等の観点から、イソシアネート系、ポリウレタン系、ポリエステル系等の少なくとも1種の接着剤が好ましい。
ヒートシール層は、ヒートシール性を有するものであれば特に限定されず、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂等の少なくとも1種を用いることができる。
樹脂フィルムとしては、ポリエステル樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム等の少なくとも1種が挙げられる。
本発明積層体は、例えばドライラミネート法、押出しラミネート法等の公知の方法を用い、プライマー層又はその上に必要に応じて形成された印刷層上にラミネート接着剤層又はヒートシール層を積層する工程を含む方法によって製造することができる。
本発明積層体は、例えば対向するラミネート接着剤層又はヒートシール層どうしを熱融着させて包装袋(袋体)として使用することもできる。袋体としては、例えば二方袋、三方袋、合掌袋、ガゼット袋、サイドシール袋、スタンド袋、スタンドチャック袋等のいずれの形態も採用することができる。
被包装物(内容物)も限定されず、例えば飲食品をはじめ、医薬品、化粧品、化学品、雑貨等の包装材料として広範囲に使用することができる。
本発明積層体においては、印刷層の有無にかかわらず、そのプライマー層における常態水付時の熱水処理前後におけるラミネート強力(X)が3.0N/cm以上であることが好ましく、3.5N/cm以上であることがより好ましく、4.0N/cm以上であることがさらも好ましく、4.5N/cm以上であることが特に好ましく、5.0N/cm以上であることが最も好ましい。さらに、120℃で30分間の熱水処理後の水付時のラミネート強力(Y)と常態水付時のラミネート強力(X)との比(Y/X)は、0.5以上であることが好ましい。前記比(Y/X)は0.6以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましく、特に0.8以上であることがさらに好ましく、その中でも0.9以上であることが最も好ましい。前記比(Y/X)が0.5より小さいと、例えば積層物にて包装袋を形成し、内容物を充填して密封し、さらにこれを熱水処理した際に破袋、開封不良等が起こりやすくなる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。なお、実施例及び比較例において用いたウレタンエマルジョン(水分散型ポリウレタン樹脂)は、いずれもアニオン型のポリウレタン水分散体である。
[実施例1]
(1)水性塗剤(水性分散液)の調製
DIC社製水分散型ポリウレタン樹脂「ハイドランAP-201」と三井化学社製「タケラックWS-4022」を1:1(固形分重量比)の割合で混合し、さらに平均粒径12nmのシリカ粒子を全体の0.25質量%となるように加え、イオン交換水で希釈し、固形分10質量%の水性塗剤を調製した。
(2)未延伸ポリアミドフィルムの作製
平均粒径1.0μmのシリカを0.1質量%含有するナイロン6(相対粘度:3.03) を、T ダイを備えた押出機(75mm径、L/D=45の緩圧縮タイプ単軸スクリュー) によって、270℃の条件でTダイよりシート状に押し出し、表面温度18℃に調節されたキャスティングロール上に密着させて急冷することで、厚み150μmの未延伸ポリアミドフィルムを得た。この未延伸ポリアミドフィルムを水槽に導き、吸水率4.0質量%に調整した。
(3)易接着ポリアミドフィルムの製造
吸水された未延伸ポリアミドフィルムに上記水性塗剤をエアーナイフコーティング法によって塗布した後、ドライヤーにて60℃×10秒の条件で乾燥させた。コートされた未延伸フィルムを同時二軸延伸機に導き、予熱温度225℃、予熱時間5秒、延伸温度195℃、延伸時間3秒の条件にて縦方向3.3倍及び横方向3.0倍に同時二軸延伸した。次いで、熱固定温度215℃ 、熱固定時間5秒の条件で熱処理を施すことで、易接着ポリアミドフィルムを作製した。得られた易接着ポリアミドフィルムにおけるポリアミド基材フィルムの厚みは15μm、プライマー層の厚みは0.060μmであった。
[実施例2~4]
水性塗剤に用いた水系ポリウレタン樹脂の混合比を表1に記載のように変更した以外は、実施例1と同様にして易接着ポリアミドフィルムを作製した。
[実施例5]
水性塗剤に用いた水系ポリウレタン樹脂の混合比を表1に記載のように変更し、水性塗剤に添加した滑剤の平均粒径を20nm、添加量を0.25質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして易接着ポリアミドフィルムを作製した。
[実施例6]
ポリアミド樹脂として、ポリアミド6樹脂フィルム製造時に発生したフィルム屑又は不良品と、ポリアミド6樹脂の重合時に生じたオリゴマー等とを含む樹脂屑(樹脂廃材)をケミカルリサイクルによって解重合することによって得られたモノマーを重合原料に用いたポリアミド樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして易接着ポリアミドフィルムを作製した。
[実施例7~8]
水性塗剤に用いた水系ポリウレタン樹脂(A)の種類をDIC社製「ハイドランAP-80」に変更し、混合比、滑剤の添加量を表1に記載のように変更した以外は、実施例1と同様にして易接着ポリアミドフィルムを作製した。
[実施例9]
水性塗剤に用いた水系ポリウレタン樹脂(B)の種類を三井化学社製「タケラックWS-5000」に変更し、混合比を表1に記載のように変更した以外は、実施例1と同様にして易接着ポリアミドフィルムを作製した。
[実施例10]
実施例1と同様にして易接着ポリアミドフィルムを作製後、プライマー層が形成された面と反対側の面にコロナ放電処理を施した易接着ポリアミドフィルムを作製した。
[比較例1~9、14]
水性塗剤に用いる水系ポリウレタン樹脂と、滑剤の平均粒径、添加量を、表1に記載のように変更したほかは、実施例1と同様にして易接着ポリアミドフィルムを作製した。
[比較例10]
水性塗剤に用いる水系ポリウレタン樹脂をDIC社製「ハイドランAP-201」のみに変更した以外は、実施例1と同様にして易接着ポリアミドフィルムを作製し、プライマー層が形成された面と反対側の面にコロナ放電処理を施した易接着ポリアミドフィルムを作製した。
[比較例11~12]
水性塗剤に用いる水系ポリウレタン樹脂を表1に記載のように変更し、架橋剤カルボジイミド(日清紡社製V-12-S)をポリウレタン樹脂100重量部に対して4重量部添加した。これ以外は、実施例1と同様に滑剤の平均粒径、添加量を表1に記載のように変更し、実施例1と同様にして易接着ポリアミドフィルムを作製した。
[比較例13]
水性塗剤に用いる水系ポリウレタン樹脂に「ハイドランKU-400SF」を用い、架橋剤としてメラミン(DIC社製ベッカミンAPM)をポリウレタン樹脂100重量部に対して6重量部添加した。これ以外は、実施例1と同様に滑剤の平均粒径、添加量を、表1に記載のとおり変更し、実施例1と同様にして易接着ポリアミドフィルムを作製した。
[比較例15]
水性塗剤を用いなかった以外は、実施例1と同様にポリアミドフィルムを作製し、片面にコロナ放電処理を施したポリアミドフィルムを作製した。
[試験例1]
実施例1~10及び比較例1~14で得られたフィルムの特性を調べた。その結果をプライマー層形成の水性塗剤(ポリウレタン樹脂)等の組成、特性等とともに表1~表2に示す。
(1)ポリウレタン樹脂について
(1-1) 抗張力(MPa)及び伸度(%)
プライマー層を形成するための水性塗剤に用いた各ポリウレタン樹脂(分散液)(表1~表2)をガラス板上に流延し、これを常温(約20℃)で24時間乾燥させた後、150℃で10分間熱処理して、厚さ50μmのフィルムを作製した。このフィルムを5mm幅の短冊状に裁断した試験片について、引張試験機(島津製作所社製 AGS-100B)を用いて、引張速度300mm/minの条件で抗張力及び伸度を測定した。
(1-2)ガラス転移温度 Tg(℃)
パーキンエルマー社製、示差走査熱量計(Diamond DSC)を用いて、前記(1-1)で用いたフィルム10mgを20℃/minでTg+20℃まで一度昇温し、冷却後、再度昇温速度5℃/minで-30℃から250℃まで測定した。二次昇温曲線のベースラインがシフトする開始温度と終了温度の中間点をガラス転移温度とした。
(2)フィルムについて
(2-1)濡れ張力(mN/m)
日本産業規格JIS K6768に準じて、濡れ張力試験用混合液No.36.0~54.0(富士フィルム和光純薬株式会社製)を用い、各実施例及び比較例で得られた易接着ポリアミドフィルムのプライマー層形成面を測定した。
(2-2)プライマー層の厚み(μm)
日本電子製「JEM-1230 TEM」を用い、各実施例及び比較例で得られた易接着ポリアミドフィルムを適当な大きさに切り出し、リンタングステン酸水溶液(PTA溶液)中に3時間浸漬後、可視光硬化型樹脂中に包埋した。ウルトラミクロトームで厚さ80nmの切片を採取し、RuO溶液で1H気相染色後、加速電圧100kVで透過測定を実施した。
(2-3)ヘーズ
日本電色社製ヘーズメーター「NDH4000」を用い、日本産業規格JIS K7136に準じてフィルムのTD方向の中央部を測定した。
(2-4)耐ブロッキング性
各実施例及び比較例で得られた易接着ポリアミドフィルムをA4サイズに切り出し、(a)プライマー層どうしあるいは(b)プライマー層とプライマー層とは反対面とを重ね、10kg/cmの荷重をかけ、40℃・70%RHの雰囲気中で1週間放置した。ただし、比較例13についてはa)コロナ放電処理面どうしあるいはb)コロナ放電処理面とコロナ放電処理面とは反対面を重ねた。その後、15mm巾の短冊状に切断し、2枚を剥離するのに要する剥離力(g/15mm)を、引張試験機(島津製作所社製 AGS-100B)を用いて、T型(90°)法にて、引張速度300mm/minの条件で測定し、耐ブロッキング性の指標とした。数値が小さいほど耐ブロッキング性は良好であることを示す。
(2-5)半調印刷評価
[印刷工程]
(a)印刷用インキ1
リオアルファR39藍(TOYOINK製)に、希釈剤NKFS102(TOYOINK)を混ぜ、ザーンカップ#3で15秒となるように粘度(23℃)を調整した。印刷用ロールフィルムとしては、フィルムをTD方向の中央から左右500mmの位置でスリットし、作製した。グラビア印刷用シリンダーを用いて、インキをフィルムのプライマー層上に塗布した後、50℃で10秒間乾燥し、巻き取って図3に示すような印刷フィルムを作製した。ただし、比較例14についてはコロナ放電処理面にインキを塗布した。
上記シリンダーは、175線(1インチ幅に175の網点(ドット))で、MD方向に階調40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%の順でヘリオ彫刻されたものである。各階調の深度は、それぞれ10.0μm、12.5μm、15.0μm、17.5μm、20.0μm、22.5μm、32.0μmであり、各階調のMD方向の印刷長は60mmであり、TD方向の印刷幅は0.8mとした。
リオアルファR39藍は、顔料10質量%、合成樹脂15質量%、シリカ2.5質量%、酢酸エチル30質量%、イソプロピルアルコール15質量%、酢酸プロピル10質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテル10質量%、n-プロピルアルコール5質量%を主な組成とする。
希釈剤NKFS102は、酢酸エチル50質量%、酢酸プロピル35質量%、イソプロピルアルコール10質量%、n-プロピルアルコール5質量%を主な組成とする。
(b)印刷用インキ2
印刷用インキ2として、植物由来成分を含有する環境配慮型インキのベルフローラR藍800MK(サカタインクス製)に、希釈剤のL溶剤2(サカタインクス製)を用いたほかは、前記と同様にして印刷フィルムを作製した。
ベルフローラR藍800MKは、酢酸n-プロピル45質量%、イソプロピルアルコール15質量%、酢酸エチル7.5質量%、n-プロピルアルコール2.5質量%を主な組成とする。
L溶剤2は、トルエン40質量%、メチルエチルケトン40質量%、イソプロピルアルコール20質量%を主な組成とする。
[網点面積評価]
印刷用インキ1にて作製した印刷フィルムの階調50%部分の端から250mmの位置を1箇所目として、50mm間隔で合計10箇所を測定点(面積2.5mmとなる一辺約1.6mmの正方形)とした。観察できるサイズ(例えば測定点を中心としたMD方向20mm×TD方向50mm)にサンプリングし、実体顕微鏡(ZEISS社製 SteREO Discovery.V12)を用いて50倍に拡大し観察した。顕微鏡の解析ソフトを用いて2.5mm内の網点300個の直径を測長し、面積を算出した。網点が楕円形の場合、長辺、短辺を測長し、楕円として面積を算出した。すべての網点面積のうち、最小20個の平均/最大20個の平均を計算した。数値は、大きいほど(1に近いほど)印刷ムラが少ないことを示す。
[印刷外観評価]
作製した印刷フィルムの各階調部を目視で確認し、次の基準に従って4段階で評価した。実用的には「△」以上の評価が望ましい。
(評価基準)
◎…非常に良好(どの階調部も、濃淡が均一)
○…良好(低階調部の一部で印刷ムラがみられる。)
△…やや不良(どの階調部でも一部でムラがみられる。)
×…不良(どの階調部でも全体的にムラがみられる。)
(2-6)印刷フィルムのラミネート強力
[ラミネート工程]
前記(2-5)で印刷用インキ1又は印刷用インキ2を用いて作製した印刷フィルムの印刷層に対し、レトルト用途向けのドライラミネート接着剤(DIC社製、製品名「ディックドライLX500/KR90S」)を塗布した後、80℃×10秒の条件で乾燥させ、80℃に加熱した金属ロール上で490kPaのニップ圧力で未延伸ポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ社製、製品名「RXC-21」、厚み50μm)とドライラミネートし、推奨された時間エージングした後、ラミネートフィルムを得た。
[ラミネート強力測定]
作製したラミネートフィルムから幅15mmの試験片を切り出し、試験片の端部を、未延伸ポリプロピレンフィルムと易接着ポリアミドフィルムのプライマー層との界面にて剥離後、23℃・50%RH雰囲気中で24時間調湿した。同雰囲気中で、引張試験機(島津製作所社製「 AGS-100B」)を用いて、T型(90°)法にて、引張速度300mm/分の条件で剥離強力を測定し、その測定結果をラミネート強力(単位:N/cm)とした。
作製したラミネートフィルムをA4サイズに切り出した後、製袋し、水を入れてレトルト処理(120℃、1.8気圧、30分間)を実施した。その後、上記と同様にサンプリングし、ラミネート強力を測定した。
なお、この剥離試験では、実際の用途に基づいて、内容物としての液体を充填した場合を想定し、水を含ませた脱脂綿を剥離界面に付着させながら測定して、剥離界面に水がついた状態の水付ラミネート強力を測定した。
また、各ラミネート強力において、処理前のラミネート強力(X)に対する処理後のラミネート強力(Y)の比率(Y/X)を求めた。その結果も表2に併せて示す。
(2-7)含気ボイル試験
[ラミネート工程]
各実施例及び比較例で得られた易接着ポリアミドフィルムのプライマー層形成面に対し、ドライラミネート接着剤(三井化学社製、製品名「タケラックA-620/タケネートA-65」)を塗布した後、80℃×10秒の条件で乾燥させ、80℃に加熱した金属ロール上で490kPaのニップ圧力で未延伸ポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ社製、製品名「TUX(HC-E)」、厚み50μm)とドライラミネートし、推奨された時間エージングした後、ラミネートフィルムを得た。
[含気ボイル試験]
作製したラミネートフィルムを150mm×150mm(シール幅10mm)のサイズ、シール条件を温度上部150℃/下部100℃、圧力0.3MPa、時間1秒にて三方向シールして製袋した。得られた袋に水200mlと空気180mlを充填し、インパルスシーラーにてシールして密封した。作製した含気包装体10袋を95℃×30分の条件でボイル処理し、ボイル処理後に破袋した数を数え、次の基準で評価した。実用的には「○」又は「◎」の評価が望ましい。
(評価基準)
◎…非常に良好(破袋なし)
○…やや良好(10個中1個破袋)
△…やや不良(10個中2~4個破袋)
×…不良(10個中5個以上破袋)
表1~表2の結果からも明らかなように、実施例1~10は、易接着ポリアミドフィルムのプライマー層に、シラノール基を有するポリウレタンを適切な配合で含み、透明性に優れ、半調印刷の網点面積にムラが少なく、ブロッキング性にも優れていた。また、実施例1~9の易接着ポリアミドフィルムを用いたラミネートフィルムの積層体は、常態水付時のラミネート強力(X)が良好であり、熱水処理後の水付時のラミネート強力(Y)と常態水付時のラミネート強力(X)との比(Y/X)は、いずれも0.9以上であり、中には1.0以上(すなわち、処理前よりも処理後のラミネート強力が大きい)サンプルもあるうえ、含気ボイル試験も良好であった。
比較例1、2、5、9及び10は、易接着ポリアミドフィルムのプライマー層に、シラノール基を有するポリウレタンを含まず、半調印刷は問題なかったが、ブロッキング性が悪化した。
比較例3~4は、易接着ポリアミドフィルムのプライマー層にシラノール基を有するポリウレタンを含まないフィルムであるが、滑剤添加量を増量したことでブロッキング性は問題なかったものの、ヘーズ値が高くなった。
比較例6~8は、易接着ポリアミドフィルムのプライマー層が、シラノール基を有するポリウレタン樹脂のみで構成されているが、半調印刷の網点面積比が0.8未満となり、印刷外観の悪化がみられた。
比較例11~13は、易接着ポリアミドフィルムのプライマー層に、シラノール基以外の架橋構造を有する架橋剤を添加したため、塗膜乾燥、延伸工程にて架橋点を起点に表面の局所的なムラが生じ、半調印刷を施したときの網点面積比は0.8未満であり、印刷外観の悪化がみられた。また、含気ボイル試験で破袋数がやや多かった。
比較例14は、易接着ポリアミドフィルムのプライマー層が、シラノール基を有するポリウレタン樹脂とシラノール基を有しないポリウレタン樹脂で構成されているが、シラノール基を有しないポリウレタン樹脂のガラス転移温度が低く、耐ブロッキング性が悪化した。
比較例15は、プライマー層がないポリアミドフィルムであるため、耐ブロッキング性及び半調印刷は良好であったが、ラミネート強力が低く、含気ボイル試験で破袋数が多かった。

Claims (12)

  1. ポリアミド基材フィルムの少なくとも片面にプライマー層が形成されているポリアミドフィルムであって、
    (1)前記プライマー層が、シラノール基を有しないポリウレタン樹脂Aとシラノール基を有するポリウレタン樹脂Bとを含み、
    (2)前記ポリウレタン樹脂Aと前記ポリウレタン樹脂Bのガラス転移温度(Tg)が互いに異なる、
    ことを特徴とする易接着ポリアミドフィルム。
  2. 前記ポリウレタン樹脂Aのガラス転移温度(Tg)が5~50℃の範囲であり、前記ポリウレタン樹脂Bのガラス転移温度(Tg)が60℃以上の範囲である、請求項1に記載の易接着ポリアミドフィルム。
  3. ポリウレタン樹脂A及びポリウレタン樹脂Bの合計を100重量部としたとき、ポリウレタン樹脂Aが25~80重量部であり、ポリウレタンBが20~75重量部である、請求項1に記載の易接着ポリアミドフィルム。
  4. ポリウレタン樹脂Aが、皮膜伸度300%以上及び抗張力20~50MPaであり、かつ、ポリウレタン樹脂Bが、皮膜伸度200%以上及び抗張力40~60MPaである、請求項1に記載の易接着ポリアミドフィルム。
  5. 前記プライマー層に印刷した半調印刷50%階調部の2.5mm内の網点300個の面積を、印刷フィルムTD方向に任意の10箇所測長したときに、最小と最大の面積比(最小面積20個の平均/最大面積20個の平均)が0.8~1の範囲である、請求項1に記載の易接着ポリアミドフィルム。
  6. プライマー層どうしを重ね、10kg/cmの荷重をかけ、40℃の環境で1週間経過後の密着力が40g/15mm以下である、請求項1に記載の易接着ポリアミドフィルム。
  7. ヘーズが8%以下である、請求項1に記載の易接着ポリアミドフィルム。
  8. 二軸延伸フィルムである、請求項1に記載の易接着ポリアミドフィルム。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の易接着ポリアミドフィルムのプライマー層に直に又は印刷層を介して、少なくともラミネート接着剤層及びヒートシール層が順に積層されている積層体。
  10. 易接着ポリアミドフィルムを製造する方法であって、
    (1)未延伸のポリアミド基材フィルムの少なくとも片面に、シラノール基を有しないポリウレタン樹脂Aとシラノール基を有するポリウレタン樹脂Bとを含む水性塗剤を塗布する工程、及び
    (2)水性塗剤が塗布されたポリアミドフィルムを二軸延伸した後、熱処理する工程
    を含む易接着ポリアミドフィルムの製造方法。
  11. 二軸延伸が同時二軸延伸である、請求項10に記載の製造方法。
  12. 易接着ポリアミドフィルムを製造する方法であって、
    (1)未延伸のポリアミド基材フィルムを第1の方向に一軸延伸する工程、
    (2)一軸延伸されたポリアミド基材フィルムの少なくとも片面に、シラノール基を有しないポリウレタン樹脂Aとシラノール基を有するポリウレタン樹脂Bとを含む水性塗剤を塗布する工程、
    (3)水性塗剤が塗布された前記ポリアミド基材フィルムを前記第1の方向と直交する第2の方向に一軸延伸した後、熱処理する工程
    を含む易接着ポリアミドフィルムの製造方法。

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