JP2024049758A - 感光性樹脂組成物、硬化物および表示装置 - Google Patents

感光性樹脂組成物、硬化物および表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】相溶性に優れ、優れた機械特性を有し、低露光量でパターン形成が可能な樹脂組成物を提供することを課題とする。【解決手段】ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリアミドイミド、これらの前駆体およびこれらの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種類であるアルカリ可溶性樹脂(A)、ポリシロキサン(B)並びに、光酸発生剤(C)を含み、前記(B)成分が、その全繰り返し単位構造100mol%中に芳香族基を有するオルガノシラン単位を85~100mol%有する、感光性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence:以下ELと記す)表示装置の駆動用薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下TFTと記す)基板の平坦化膜、絶縁層などの用途に適した感光性樹脂組成物に関する。
ポリイミドやポリベンゾオキサゾールなどの耐熱性樹脂は、優れた機械特性や耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性を有することから、有機EL表示装置の絶縁層、表示装置用TFT基板の平坦化膜などに用いられている。
近年、基板の大型化や生産性向上などの理由から、露光時間を短縮するため、感光性樹脂組成物により高い感度が要求されている。
一方でポリシロキサンは、低露光量でパターン加工が可能であることが知られている(特許文献1)。しかしポリシロキサンは、ポリイミドやポリベンゾオキサゾールと比較して、機械特性が劣るという課題点がある。
優れた機械特性を有し、低露光量でパターンを形成が可能な材料として、優れた機械特性を有するポリイミドやポリベンゾオキサゾールと、低露光量でパターンを形成が可能なポリシロキサンを混合させることを思索した。本発明の課題解決とは別の目的で、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、およびそれらの前駆体とポリシロキサンを混合した例がいくつか報告されている(特許文献2、3)。
特開2006-178436号公報 特開2014-191002号公報 国際公開第2017/057281号
しかしながら特許文献2と3に記載の従来のポリシロキサンを含有する樹脂組成物は、相溶性が不十分であり、塗布膜を形成した際、膜が白濁する課題が判明した。そこで本発明は、相溶性に優れ、優れた機械特性を有し、低露光量でパターン形成が可能な樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明は、以下の構成を有する。
(1)ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリアミドイミド、これらの前駆体およびこれらの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種類であるアルカリ可溶性樹脂(A)、ポリシロキサン(B)並びに、光酸発生剤(C)を含み、
前記(B)成分が、その全繰り返し単位構造100mol%中に芳香族基を有するオルガノシラン単位を85~100mol%有す、感光性樹脂組成物。
(2)前記(B)成分が、その全繰り返し単位構造100mol%中に多環の芳香族基を有するオルガノシラン単位を60~100mol%有する、上記(1)に記載の感光性樹脂組成物。
(3)前記(B)成分の全繰り返し単位構造100mol%中の前記多環の芳香族基を有するオルガノシラン単位の含有率が60~95mol%であり、かつ、
前記(B)成分が、その全繰り返し単位構造100mol%中に単環の芳香族基を有するオルガノシラン単位を5~40mol%有する、
上記(2)に記載の感光性樹脂組成物。
(4)前記(B)成分が、その全繰り返し単位構造100mol%中にカルボキシル基および/またはカルボン酸無水物基を有するオルガノシラン単位を合計で1~5mol%有する、上記(1)~(3)のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
(5)前記(A)成分100質量部に対し、前記(B)成分の含有量が10質量部以上、50質量部以下である、上記(1)~(4)のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
(6)上記(1)~(5)のいずれかに記載の感光性樹脂組成物が硬化されてなる硬化物。
(7)上記(6)に記載の硬化物を具備する表示装置。
本発明の感光性樹脂組成物によれば、塗布膜形成時、膜が白濁することなく、優れた機械特性を有し、低露光量でパターン加工が可能な感光性樹脂組成物を得ることができる。
本発明の感光性樹脂組成物が硬化されてなる硬化物を具備する、有機EL表示装置の例を示す断面図である。
本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の感光性樹脂組成物は、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリアミドイミド、これらの前駆体およびこれらの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種類であるアルカリ可溶性樹脂(A)、ポリシロキサン(B)、並びに、感光剤(C)を含む。
<アルカリ可溶性樹脂(A)>
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂とは、以下に定義する溶解速度が50nm/分以上である樹脂をいう。詳細には、γ-ブチロラクトンに樹脂を溶解した溶液をシリコンウエハ上に塗布し、120℃で4分間プリベークを行って厚さ10μm±0.5μmのプリベーク膜を形成し、前記プリベーク膜を23±1℃の2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に1分間浸漬した後、純水でリンス処理したときの厚さ減少から求められる溶解速度が50nm/分以上である樹脂をいう。
アルカリ可溶性樹脂(A)は、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリアミドイミド、これらの前駆体およびこれらの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種類である。これらのアルカリ可溶性樹脂は、耐熱性が高いため、表示装置に用いると、熱処理後の200℃以上の高温下におけるアウトガス量が少なくなり、表示装置の耐久性を高めることができる。
ポリイミドは、テトラカルボン酸残基とジアミン残基を有する。ポリイミドは、例えば、テトラカルボン酸あるいはテトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸ジエステルジクロリド等と、ジアミンあるいはジイソシアネート化合物、トリメチルシリル化ジアミン等とを反応させて得ることができる。また、ポリイミドは、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させて得られるポリイミド前駆体の1つであるポリアミド酸を、加熱処理により脱水閉環することにより得ることができる。この加熱処理時、m-キシレンなどの水と共沸する溶媒を加えることもできる。あるいは、カルボン酸無水物やジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤やトリエチルアミン等の塩基などを閉環触媒として加えて、化学熱処理により脱水閉環することにより得ることもできる。または、弱酸性のカルボン酸化合物を加えて100℃以下の低温で加熱処理により脱水閉環することにより得ることもできる。
ポリベンゾオキサゾールは、ジカルボン酸残基とビスアミノフェノール残基を有する。ポリベンゾオキサゾールは、例えば、ビスアミノフェノール化合物と、ジカルボン酸あるいはジカルボン酸クロリド、ジカルボン酸活性エステル等とを反応させて得ることができる。また、ポリベンゾオキサゾールは、例えば、ビスアミノフェノール化合物とジカルボン酸を反応させて得られるポリベンゾオキサゾール前駆体の1つであるポリヒドロキシアミドを、加熱処理により脱水閉環することにより得ることができる。あるいは、無水リン酸、塩基、カルボジイミド化合物などを加えて、化学処理により脱水閉環することにより得ることができる。
ポリイミド前駆体としては、ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸アミド、ポリイソイミドなどを挙げることができる。例えば、ポリアミド酸は、テトラカルボン酸あるいはテトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドなどとジアミンあるいはジイソシアネート化合物、トリメチルシリル化ジアミンを反応させて得ることができる。ポリイミドは、例えば、上記の方法で得たポリアミド酸を、加熱あるいは酸や塩基などの化学処理で脱水閉環することで得ることができる。
ポリベンゾオキサゾール前駆体としては、ポリヒドロキシアミドなどを挙げることができる。例えば、ポリヒドロキシアミドは、ビスアミノフェノールと、ジカルボン酸あるいはジカルボン酸クロリド、ジカルボン酸活性エステルなどを反応させて得ることができる。ポリベンゾオキサゾールは、例えば、上記の方法で得たポリヒドロキシアミドを、加熱あるいは無水リン酸、塩基、カルボジイミド化合物などの化学処理で脱水閉環することで得ることができる。
ポリアミドイミド前駆体は、例えば、トリカルボン酸、対応するトリカルボン酸無水物、トリカルボン酸無水物ハライドなどとジアミンやジイソシアネートを反応させて得ることができる。ポリアミドイミドは、例えば、上記の方法で得た前駆体を、加熱あるいは酸や塩基などの化学処理で脱水閉環することにより得ることができる。
これらの共重合体とは、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリアミドイミドおよびこれらいずれかの前駆体からなる群より選択される2種以上の共重合体のこという。上記共重合体としては、ブロック共重合、ランダム共重合、交互共重合、グラフト共重合のいずれかまたはそれらの組み合わせであってもよい。例えば、ポリヒドロキシアミドにテトラカルボン酸、対応するテトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドなどを反応させてブロック共重合体を得ることができる。さらに、加熱あるいは酸や塩基などの化学処理で脱水閉環することもできる。
これらのアルカリ可溶性樹脂は単独で含有されていてもよく、また複数のアルカリ可溶性樹脂が組み合わせて含有されていてもよい。
アルカリ可溶性樹脂(A)は、アルカリ可溶性のために、樹脂の構造単位中および/またはその主鎖末端にアルカリ可溶性基を有することが好ましい。アルカリ可溶性基とはアルカリと相互作用、または反応することによりアルカリ溶液に対する溶解性を増加させる官能基を指す。好ましいアルカリ可溶性基としてはカルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基、チオール基などが挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂(A)は、トリフルオロメチル基を有することが好ましい。トリフルオロメチル基は、感光性樹脂組成物の硬化物の吸水率を低下させることができる。
アルカリ可溶性樹脂(A)は、カルボン酸成分の残基および/またはジアミン成分の残基に式(1)で示される構造を有することが好ましい。式(1)で示される構造は後述のポリシロキサン(B)との相溶性に優れ、また、感光性樹脂組成物の硬化物の吸水率を低下させることができる。
Figure 2024049758000001
式(1)中、*は共有結合を示す。
アルカリ可溶性樹脂(A)は、式(2)~(5)のいずれかで表される構造単位を有することが好ましい。
Figure 2024049758000002
式(2)~(5)中、RおよびRは炭素数5~40の4価の有機基、R、RおよびRは炭素数5~40の2価の有機基、Rは炭素数5~40の3価の有機基、Rは炭素数5~40の2~6価の有機基、Rは炭素数5~40の2~12価の有機基を表す。Rは水素原子または炭素数1~20の1価の炭化水素基を表す。pは0~2の整数、qは0~10の整数を表す。nは0~2の整数を表す。
~Rは、芳香族環および/または脂肪族環を有するものが好ましい。
式(2)~(5)中のR、R、RおよびR(COOR(OH)は、それぞれ対応するカルボン酸残基を示す。例えば、Rはテトラカルボン酸残基、Rはジカルボン酸残基、Rはトリカルボン酸残基、Rはジ-、トリ-またはテトラ-カルボン酸残基である。R、R、RおよびR(COOR(OH)のカルボン酸残基の例としては、ジカルボン酸残基の例として、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ビス(カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビフェニルジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、トリフェニルジカルボン酸などの残基、トリカルボン酸残基の例として、トリメリット酸、トリメシン酸、ジフェニルエーテルトリカルボン酸、ビフェニルトリカルボン酸などの残基、テトラカルボン酸残基の例として、ピロメリット酸、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,5,6-ピリジンテトラカルボン酸、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸などの芳香族テトラカルボン酸残基や、ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸などの脂肪族テトラカルボン酸残基などを挙げることができる。これらのうち、式(4)においては、トリカルボン酸残基、テトラカルボン酸残基のそれぞれ1つまたは2つのカルボキシル基がCOOR基に相当する。また、アルカリ可溶性樹脂(A)は、これら2種以上の残基を組み合わせて有してもよい。
式(2)~(5)中のR、R、R、R(OH)はジアミン残基を示す。R、R、R、R(OH)のジアミン残基の例としては、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシ)ビフェニル、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)フルオレンなどのヒドロキシル基含有ジアミン残基、3-スルホン酸-4,4’-ジアミノジフェニルエーテルなどのスルホン酸含有ジアミン残基、ジメルカプトフェニレンジアミンなどのチオール基含有ジアミン残基、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、1,5-ナフタレンジアミン、2,6-ナフタレンジアミン、ビス(4-アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3-アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4-(4-アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジエチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’,3,3’-テトラメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’,4,4’-テトラメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニルなどの芳香族ジアミン残基や、これらの芳香族環の水素原子の一部を、炭素数1~10のアルキル基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子などで置換した化合物の残基、シクロヘキシルジアミン、メチレンビスシクロヘキシルアミンなどの脂環式ジアミン残基、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンなどのシロキサン系ジアミン残基を挙げることができる。また、アルカリ可溶性樹脂(A)はこれら2種以上のジアミン残基を組み合わせて有してもよい。耐熱性が要求される用途では、芳香族ジアミン残基をジアミン残基全体の50mol%以上有することが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂(A)は、式(2)~(5)のいずれかで表される構造単位を有する2種以上の樹脂を含有してもよいし、2種以上の構造単位が共重合されていてもよい。
アルカリ可溶性樹脂(A)は、式(2)~(5)のいずれかで表される構造単位を分子中に3~1000含むものが好ましく、20~200含むものがより好ましい。
アルカリ可溶性樹脂(A)は、前述の通り、カルボン酸残基および/またはジアミン残基に式(1)で示される構造を有することが好ましいため、そのカルボン酸残基としては、ビス(カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンの残基が好ましい。
式(2)~(5)のR~Rは、その骨格中にフェノール性水酸基、スルホン酸基、チオール基などを含むことができる。R~Rがフェノール性水酸基、スルホン酸基またはチオール基を有することで、適度なアルカリ可溶性を有するポジ型感光性樹脂組成物となる。
式(2)~(4)のいずれかで表される構造単位を有する樹脂において、構造単位の繰り返し数は3以上200以下が好ましい。また、式(5)で表される構造単位を有する樹脂において、構造単位の繰り返し数は10以上1000以下が好ましい。この範囲内であれば、厚膜を容易に形成することができる。
アルカリ可溶性樹脂(A)は、式(2)~(5)のいずれかで表される構造単位のみからなるものであってもよいし、他の構造単位との共重合体あるいは混合体であってもよい。
アルカリ可溶性樹脂(A)は、式(2)~(5)のいずれかで表される構造単位を樹脂全体の10質量%以上含有することが好ましく、30質量%以上含有することがより好ましい。式(2)~(5)のいずれかで表される以外の構造単位の種類および量は、最終加熱処理によって得られる薄膜の機械特性を損なわない範囲で選択することができる。
また、アルカリ可溶性樹脂(A)は、基板との接着性の観点から、ジアミン残基に1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン残基などのシロキサン系ジアミン残基を有することが好ましい。
また、感光性樹脂組成物の保存安定性を向上させるため、アルカリ可溶性樹脂(A)の樹脂は主鎖末端がモノアミン、酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物などの末端封止剤で封止されていることが好ましい。
末端封止剤として用いられるモノアミンの導入割合は、アルカリ可溶性樹脂(A)の全アミン成分に対して、好ましくは0.1mol%以上、より好ましくは5mol%以上である。また、モノアミンの導入割合は、全アミン成分に対して、好ましくは60mol%以下、より好ましくは50mol%以下である。
末端封止剤として用いられる酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物またはモノ活性エステル化合物の導入割合は、ジアミン成分に対して、好ましくは0.1mol%以上、より好ましくは5mol%以上である。また、前記導入割合は、ジアミン成分に対して、好ましくは100mol%以下、より好ましくは90mol%以下である。
複数の末端封止剤を反応させることにより、複数の異なる末端基を導入してもよい。
<ポリシロキサン(B)>
本発明の感光性樹脂組成物がポリシロキサン(B)を含有することで、低露光量でパターン加工することができる。
ポリシロキサン(B)としては、例えば、三官能オルガノシラン及び二官能オルガノシランから選ばれる一種類以上を加水分解し、脱水縮合させて得られるポリシロキサンが挙げられる。
ポリシロキサン(B)は芳香族基を有するオルガノシラン単位を含有する。芳香族基を有するオルガノシラン単位は、式(6)で示されるオルガノシラン単位および/または式(7)で示されるオルガノシラン単位で表される。
Figure 2024049758000003
式(6)中、R10は水素原子、炭素数1~6のアルキル基、または炭素数1~6のアシル基である。
式(6)、(7)中、R11は炭素数6~15の1価の芳香族基であり、R12は単結合または炭素数1~4のアルキレン基である。
式(7)中、Yは1または2である。
式(6)で示されるオルガノシラン単位および式(7)で示されるオルガノシラン単位は、芳香族基を有するため、アルカリ可溶性樹脂(A)と優れた相溶性を示すことができる。
重合性の制御の観点から、R10は水素原子または炭素数1~6のアルキル基であることが好ましい。前記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基などが挙げられる。これらのうち、重合性の制御の観点から、水素原子、メチル基、エチル基がより好ましい。
式(6)および式(7)におけるR12の炭素数1~4のアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、n-ブチレン基、t-ブチレン基などが挙げられる。
式(6)で示されるオルガノシラン単位および式(7)で示されるオルガノシラン単位としては、例えば、
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、4-トリルトリメトキシシラン、4-ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、4-メトキシフェニルトリメトキシシラン、4-t-ブチルフェニルトリメトキシシラン、1-ナフチルトリメトキシシラン、2-ナフチルトリメトキシシラン、2-フェニルエチルトリメトキシシラン、4-ヒドロキシベンジルトリメトキシシラン、1-(4-ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、2-(4-ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、4-ヒドロキシ-5-(4-ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチルトリメトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン、スチリルトリ(メトキシエトキシ)シラン、スチリルトリ(プロポキシ)シラン、スチリルトリ(ブトキシ)シランなどの三官能オルガノシラン単位、
スチリルメチルジメトキシシラン、スチリルエチルジメトキシシラン、スチリルメチルジエトキシシラン、スチリルメチルジ(メトキシエトキシ)シラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどの二官能オルガノシラン単位
が挙げられる。ただし、ポリシロキサン(B)が有するオルガノシラン単位は、これらにのみ限定されるものではない。
ポリシロキサン(B)は、芳香族基を有するオルガノシラン単位として、多環の芳香族基を有するオルガノシラン単位を含むことが好ましい。ポリシロキサン(B)が、多環の芳香族基を有するオルガノシラン単位を含むことで、より優れたアルカリ可溶性樹脂(A)との相溶性を示すことができる。
多環の芳香族基を有するオルガノシラン単位としては、例えば1-ナフチルトリメトキシシラン、2-ナフチルトリメトキシシランが挙げられるが、これらにのみ限定されるものではない。
また、多環の芳香族基を有するオルガノシラン単位は、式(6)または(7)における、R11が式(8)であることが好ましい。
Figure 2024049758000004
式(8)中、R13は、ヒドロキシ基、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、ビニル基、炭素数1~5のハロゲン化アルキル基、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基または、炭素数1~5のハロゲン化ヒドロキシアルキル基である。bは0~3の整数を示す。*はR12に直結する共有結合を示す。式(8)中、R13の結合位置は、ナフタレン環の2つの環のどちらにあってもよい。
13における、炭素数1~5のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基などが挙げられる。炭素数1~5のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。
13における、炭素数1~5のハロゲン化アルキル基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、トリクロロメチル基、ペンタクロロエチル基、ヘプタクロロプロピル基などが挙げられる。炭素数1~5のヒドロキシアルキル基の具体例として、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシプロピル基、3-ヒドロキシプロピル基などが挙げられる。炭素数1~5のハロゲン化ヒドロキシアルキル基として、2-ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル基などが挙げられる。
式(8)の具体例としては、1-ナフチル基、2-ナフチル基、4-メチル-1-ナフチル基、4-ヒドロキシ-1-ナフチル基、4-ヒドロキシメチル-1-ナフチル基などが挙げられる。
式(6)および式(7)の構造を有するオルガノシランのうち、式(8)で示される置換基を有するオルガノシランとしては、例えば1-ナフチルトリメトキシシラン、2-ナフチルトリメトキシシランが挙げられるが、これらにのみ限定されるものではない。
ポリシロキサン(B)は、芳香族基を有するオルガノシラン単位として、多環の芳香族基を有するオルガノシラン単位を含むことに加え、単環の芳香族基を有するオルガノシラン単位を含むことが好ましい。有機EL表示装置の絶縁層、表示装置用TFT基板の平坦化膜用途の感光性樹脂組成物は、加工安定性と生産性向上の観点から、パターン加工における現像時間が40秒から250秒程度であることが好ましいところ、ポリシロキサン(B)が、単環の芳香族基を有するオルガノシラン単位および多環の芳香族基を有するオルガノシラン単位を有することで、アルカリ可溶性樹脂(A)との相溶性を損なうことなく、低露光量でのパターン加工を上記の現像時間の範囲内で行うことが可能となる。
単環の芳香族基を有するオルガノシラン単位としては例えば、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、4-トリルトリメトキシシラン、4-ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、4-メトキシフェニルトリメトキシシラン、4-t-ブチルフェニルトリメトキシシラン、2-フェニルエチルトリメトキシシラン、4-ヒドロキシベンジルトリメトキシシラン、1-(4-ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、2-(4-ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、4-ヒドロキシ-5-(4-ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチルトリメトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン、スチリルトリ(メトキシエトキシ)シラン、スチリルトリ(プロポキシ)シラン、スチリルトリ(ブトキシ)シラン、式(10)で示される構造を持つトリメトキシシランなどの三官能オルガノシラン単位、
スチリルメチルジメトキシシラン、スチリルエチルジメトキシシラン、スチリルメチルジエトキシシラン、スチリルメチルジ(メトキシエトキシ)シラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどの二官能オルガノシラン単位
が挙げられる。
また、単環の芳香族基を有するオルガノシラン単位は、式(6)または(7)における、R11が式(9)で表される構造であることが好ましい。
Figure 2024049758000005
式(9)中、R13は、ヒドロキシ基、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、ビニル基、炭素数1~5のハロゲン化アルキル基、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基または、炭素数1~5のハロゲン化ヒドロキシアルキル基である。bは0~3の整数を示す。*はR12に直結する共有結合を示す。
13における、炭素数1~5のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基などが挙げられる。炭素数1~5のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。
13における、炭素数1~5のハロゲン化アルキル基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、トリクロロメチル基、ペンタクロロエチル基、ヘプタクロロプロピル基などが挙げられる。炭素数1~5のヒドロキシアルキル基の具体例として、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシプロピル基、3-ヒドロキシプロピル基などが挙げられる。炭素数1~5のハロゲン化ヒドロキシアルキル基として、2-ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル基などが挙げられる。
式(9)の具体例としては、フェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、3-エチルフェニル基、4-エチルフェニル基、3-t-ブチルフェニル基、4-t-ブチルフェニル基、3-ヒドロキシフェニル基、4-ヒドロキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、3-トリフルオロメチルフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基、3-ヒドロキシメチルフェニル基、4-ヒドロキシメチルフェニル基、及び、式(10)で示される構造などが挙げられる。
Figure 2024049758000006
式(10)中、*はR12に直結する共有結合を示す。R12が単結合の場合には、ケイ素原子に直結する共有結合を示す。aは1~3の整数を示す。
重合性の観点から式(10)中のaは1~2であることが好ましく、aが1であることがより好ましい。
式(10)で示される構造の具体例として、以下の構造が挙げられる。
Figure 2024049758000007
式(6)および式(7)の構造を有するオルガノシランのうち、式(9)で示される置換基を有するオルガノシランとしては、例えば
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、4-トリルトリメトキシシラン、4-ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、4-メトキシフェニルトリメトキシシラン、4-t-ブチルフェニルトリメトキシシラン、2-フェニルエチルトリメトキシシラン、4-ヒドロキシベンジルトリメトキシシラン、1-(4-ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、2-(4-ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、4-ヒドロキシ-5-(4-ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチルトリメトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン、スチリルトリ(メトキシエトキシ)シラン、スチリルトリ(プロポキシ)シラン、スチリルトリ(ブトキシ)シラン、式(10)で示される構造を持つトリメトキシシランなどの三官能オルガノシラン、
スチリルメチルジメトキシシラン、スチリルエチルジメトキシシラン、スチリルメチルジエトキシシラン、スチリルメチルジ(メトキシエトキシ)シラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどの二官能オルガノシラン
が挙げられる。ただし、これらにのみ限定されるものではない。
ポリシロキサン(B)の全繰り返し単位構造100mol%中の前記芳香族基を有するオルガノシラン単位の含有率は、85~100mol%である。当該含有率が85mol%以上、より好ましくは、90mol%以上であることで、優れた相溶性を示すことができる。
ポリシロキサン(B)の全繰り返し単位構造100mol%中の前記多環の芳香族基を有するオルガノシラン単位の含有率は60~100mol%であることが好ましく、より好ましくは65~100mol%である。当該含有率が上記の範囲内であることで、より優れたアルカリ可溶性樹脂(A)との相溶性を示すことができる。
なお、一つのオルガノシラン単位構造中に、単環の芳香族基を有する置換基および多環の芳香族基を有する置換基をともに有している場合は、多環の芳香族基を有するオルガノシラン単位に数えられるものとする。
ポリシロキサン(B)の全繰り返し単位構造100mol%中の前記多環の芳香族基を有するオルガノシラン単位の含有率が60~95mol%であり、かつ、ポリシロキサン(B)が、その全繰り返し単位構造100mol%中に単環の芳香族基を有するオルガノシラン単位の含有比率を5~40mol%有することも好ましい。より好ましくは、単環の芳香族基を有するオルガノシラン単位の含有比率が、15~35mol%であり、多環の芳香族基を有するオルガノシラン単位の含有比率が、65~85mol%である。芳香族基を有するオルガノシラン単位の含有比率が上記の範囲内であると、アルカリ可溶性樹脂(A)と優れた相溶性を示し、良好なアルカリ現像液に対する溶解性を示すことができる、感光性樹脂組成物を得ることができる。
ポリシロキサン(B)は、カルボキシル基および/またはカルボン酸無水物基を有するオルガノシラン単位も有することが好ましい。かかるオルガノシラン単位は、酸性基を含む有機基を有するため、アルカリ現像液に対する溶解性が向上し、感光性樹脂組成物の溶解速度の調節が容易になる。
カルボキシル基および/またはカルボン酸無水物基を有するオルガノシラン単位としては、例えば、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-トリエトキシシシリルプロピルコハク酸無水物などが挙げられる。
カルボキシル基および/またはカルボン酸無水物基を有するオルガノシラン単位は、式(11)で示されるオルガノシラン単位および/または式(12)で示されるオルガノシラン単位であることが好ましい。
Figure 2024049758000008
式(11)中、R10は水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアシルである。
式(11)および(12)中、R14はカルボキシル基、カルボン酸無水物基から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する炭素数2~20の有機基である。
重合性の制御の観点から、R10は水素原子または炭素数1~6のアルキル基であることが好ましい。前記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基などが挙げられる。これらのうち、重合性の制御の観点から、水素原子、メチル基、エチル基がより好ましい。
式(11)および(12)におけるR14は、より好ましくはカルボン酸無水物基、またはカルボン酸無水物基を加水分解して得られるジカルボキシ基である式(13)もしくは(14)で示される構造を有する基である。
Figure 2024049758000009
式(13)および(14)中、R15は単結合または炭素数1~10のアルキレン基である。*は共有結合を示す。
式(13)で示される置換基を有するオルガノシランとしては、例えば、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-トリエトキシシシリルプロピルコハク酸無水物などが挙げられる。
式(11)および(12)中のR14の具体例としては、カルボキシメチル基、2-カルボキシエチル基、3-カルボキシプロピル基、及び、下記に示す構造(α)、構造(β)が挙げられる。カルボキシル基を有する構造としてはカルボキシメチル基、2-カルボキシエチル基、3-カルボキシプロピル基、構造(α)、及び構造(β)が好ましく、構造(α)、及び構造(β)がより好ましい。
Figure 2024049758000010
構造(α)および(β)中、*はケイ素原子に直結する共有結合を示す。
ポリシロキサン(B)の全繰り返し単位構造100mol%中に、カルボキシル基および/またはカルボン酸無水物基を有するオルガノシラン単位を合計で1~5mol%有することが好ましく、式(11)で示される繰り返し単位構造および式(12)で示される繰り返し単位構造を合計で1~5mol%含むことがより好ましい。カルボキシル基および/またはカルボン酸無水物基を有するオルガノシラン単位を合計で1mol%以上、より好ましくは2mol%以上含むことで、より効果的に良好なアルカリ現像液に対する溶解性を示すことができる。また、カルボキシル基および/またはカルボン酸無水物基を有するオルガノシラン単位を合計で5mol%以下、より好ましくは4mol%以下含むことで、感光性樹脂組成物の溶解速度の調節が容易になる。
ポリシロキサン(B)は、式(15)で示される繰り返し単位構造および/または式(16)で示される繰り返し単位構造を有していてもよい。
Figure 2024049758000011
式(15)中、R10は水素原子、炭素数1~6のアルキル基または炭素数1~6のアシル基を示し、R16は、式(6),(7)中のR11-R12、式(11),(12)中のR14のいずれにも該当しない炭素数1~10の有機基を示す。
式(15)中のR10は、重合性の制御の観点から、水素原子または炭素数1~6のアルキル基であることが好ましい。かかるアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基などが挙げられる。これらのうち、重合性の制御の観点から、水素原子、メチル基、エチル基がより好ましい。
式(15)中のR16の具体例としては、
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロヘキシル基、などの炭化水素基、
3-アミノプロピル基、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル基、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピル基、などのアミノ基含有基、
β-シアノエチル基などのシアノ基含有基、
グリシドキシメチル基、α-グリシドキシエチル基、α-グリシドキシプロピル基、β-グリシドキシプロピル基、γ-グリシドキシプロピル基、α-グリシドキシブチル基、β-グリシドキシブチル基、γ-グリシドキシブチル基、σ-グリシドキシブチル基、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル基、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピル基、4-(3,4-エポキシシクロヘキシル)ブチル基、などのエポキシ基含有基、
3-クロロプロピルメチル基などのクロロ基含有基、
2,2,2-トリフルオロエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基などのフルオロ基含有基、
γ-アクリロイルプロピル基、γ-メタクリロイルプロピル基、などのα,β-不飽和エステル基含有基、
ビニル基、などのビニル基含有基、
などが挙げられる。
式(15)および/または式(16)の構造を有するオルガノシラン単位としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ-n-プロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-デシルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]プロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(4-アミノフェニル)プロピルトリメトキシシラン、1-[4-(3-トリメトキシシリルプロピル)フェニル]尿素、1-(3-トリメトキシシリルプロピル)尿素、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロメトキシプロピルトリメトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルオキシプロピルトリメトキシシラン、6,6,6,5,5,4,4,3,3-ノナフルオロ-n-ヘキシルトリメトキシシラン、1,2,3,4,5-ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、3-(1,2,3,4,5-ペンタフルオロフェニル)プロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、若しくは3-アクリロキシプロピルトリエトキシシランなどの単位が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物において、前述のアルカリ可溶性樹脂(A)100質量部に対し、ポリシロキサン(B)の含有量は10質量部以上、50質量部以下であることが好ましい。ポリシロキサン(B)の含有量が10質量部以上、より好ましくは15質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上であることで、低露光量でパターンを形成が可能な感光性樹脂組成物を得ることができる。また、ポリシロキサン(B)の含有量が50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下であることで、感光性樹脂組成物が優れた機械特性を示すことができる。
加水分解反応は、溶媒中、式(17)、必要に応じて式(18)および/または式(19)で示されるアルコキシシランに、酸触媒および水を添加した後、室温~110℃で1~180分反応させることが好ましい。
Figure 2024049758000012
式(17)~(19)中、R10、R11およびR12は式(6)および式(7)におけるものと同様の基をとることができ、R14は式(11)および式(12)におけるものと同様の基をとることができ、R16は式(15)および式(16)におけるものと同様の基をとることができる。
このような条件で加水分解反応を行うことにより、急激な反応を抑制することができる。反応温度は、より好ましくは40~105℃である。
加水分解反応における各種条件は、反応スケール、反応容器の大きさ、形状などを考慮して、適宜設定することができる。たとえば酸濃度、反応温度、反応時間などを設定することによって、目的の重合度のポリシロキサンを得ることができる。
加水分解反応に用いる水としては、イオン交換水が好ましい。水の量は任意に選択可能であるが、アルコキシシラン化合物1molに対して、1.0~4.0molの範囲で用いることが好ましい。
加水分解反応に用いる溶媒としては例えば、アルコール類、エーテル類、エステル類、アミド類、芳香族炭化水素類などが挙げられる。
前記アルコール類としては例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、3-ヒドロキシ-3-メチル-2-ブタノン、5-ヒドロキシ-2-ペンタノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン(ジアセトンアルコール)、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノn-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノt-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メチル-3-メトキシ-1-ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、2-メチルベンジルアルコール、3-メチルベンジルアルコール、4-メチルベンジルアルコール、4-イソプロピルベンジルアルコール、1-フェニルエチルアルコール、2-フェニル-2-プロパノール、2-エチルベンジルアルコール、3-エチルベンジルアルコール、4-エチルベンジルアルコールなどを挙げることができる。
前記エーテル類としては例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどを挙げることができる。
前記エステル類としては例えば、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、炭酸プロピレン、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシ-1-ブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシ-1-ブチルアセテート、アセト酢酸エチル、シクロヘキサノールアセテートなどを挙げることができる。
前記アミド類としては例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルイソ酪酸アミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N,N-ジメチルプロピレン尿素などを挙げることができる。
前記芳香族炭化水素類としては例えば、トルエン、キシレンなどを挙げることができる。
加水分解反応に用いる酸触媒としては、塩酸、酢酸、蟻酸、硝酸、蓚酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、多価カルボン酸あるいはその無水物、イオン交換樹脂などの酸触媒が挙げられる。特に蟻酸、酢酸またはリン酸を用いた酸性水溶液が好ましい。
酸触媒の添加量としては、加水分解反応時に使用される全アルコキシシラン化合物100質量部に対して、好ましくは、0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上である。また、酸触媒の含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。ここで、全アルコキシシラン化合物量とは、アルコキシシラン化合物、その加水分解物およびその縮合物の全てを含んだ量のことを言い、以下同じとする。酸触媒の量を0.05質量部以上とすることでスムーズに加水分解が進行し、また10質量部以下とすることで加水分解反応の制御が容易となる。
また、加水分解反応によりシラノール化合物を得た後、反応液を50℃以上、溶媒の沸点以下で1~100時間加熱し、縮合反応を行うことが好ましい。また、縮合反応により得られるシロキサン化合物の重合度を上げるために、酸または塩基触媒の添加、または再加熱を行ってもよい。
また、組成物の貯蔵安定性の観点から、加水分解、部分縮合後のポリシロキサン溶液には上記触媒が含まれないことが好ましく、必要に応じて触媒の除去を行うとよい。除去方法に特に制限は無いが、操作の簡便さと除去性の点で、水洗浄、および/またはイオン交換樹脂による処理が好ましい。水洗浄とは、ポリシロキサン溶液を適当な疎水性溶媒で希釈した後、水で数回洗浄して得られた有機層をエバポレーター等で濃縮する方法である。イオン交換樹脂による処理とは、ポリシロキサン溶液を適当なイオン交換樹脂に接触させる方法である。
ポリシロキサン(B)の重量平均分子量(Mw)は、特に制限されないが、ゲルパーエミッションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算で、好ましくは500以上、より好ましくは1,000以上である。また、好ましくは20,000以下、より好ましくは10,000以下である。
<光酸発生剤(C)>
光酸発生剤(C)は、一般的な紫外線である水銀灯のi線(波長365nm)、h線(波長405nm)、g線(波長436nm)のいずれかの波長の光により分解し、酸を発生する化合物である。光酸発生剤(C)により、光照射部のアルカリ水溶液に対する溶解性が増大し、光照射部が溶解するポジ型の感光性樹脂組成物を得ることができる。
光酸発生剤(C)としては例えば、キノンジアジド化合物、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩などが挙げられる。中でも、優れた溶解抑止効果を発現し、高感度かつ低膜減りの感光性樹脂組成物を得られるという点から、キノンジアジド化合物が好ましく用いられる。
また、光酸発生剤を2種以上含有してもよい。
前記キノンジアジド化合物としては例えば、ポリヒドロキシ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステル結合したもの、ポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がスルホンアミド結合したもの、ポリヒドロキシポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステル結合および/またはスルホンアミド結合したものなどが挙げられる。
これらポリヒドロキシ化合物、ポリアミノ化合物、ポリヒドロキシポリアミノ化合物の全ての官能基がキノンジアジドで置換されていなくてもよいが、平均して官能基全体の40mol%以上がキノンジアジドで置換されていることが好ましい。本発明においては、キノンジアジドで置換されている官能基のmol%をキノンジアジド置換率と称する。キノンジアジド置換率が40mol%以上のキノンジアジド化合物を用いることで、一般的な紫外線である水銀灯のi線(波長365nm)、h線(波長405nm)、g線(波長436nm)に感光するポジ型の感光性樹脂組成物を得ることができる。
キノンジアジド置換率は、対象の化合物に応じて、下記式により求めることができる。
ポリヒドロキシ化合物の場合:
(キノンジアジドスルホン酸エステル基モル数)/(ポリヒドロキシ化合物のエステル化前のヒドロキシ基モル数)×100
ポリアミノ化合物の場合:
(キノンジアジドスルホン酸アミド基モル数)/(ポリアミノ化合物のアミド化前のアミノ基モル数)×100
ポリヒドロキシポリアミノ化合物の場合:
{(キノンジアジドスルホン酸エステル基モル数)+(キノンジアジドスルホン酸アミド基モル数)}/{(ポリヒドロキシポリアミノ化合物のエステル化前のヒドロキシ基モル数)+(ポリヒドロキシポリアミノ化合物のアミド化前のアミノ基モル数)}×100 。
本発明では2種以上の前記キノンジアジド化合物を用いてもよい。この場合、キノンジアジド置換率として、下式のように、各キノンジアジド化合物のキノンジアジド置換率に全キノンジアジド化合物に対する割合を乗じた値を合計することで求められる。
Σ((あるキノンジアジド化合物のキノンジアジド置換率)×(全キノンジアジド化合物に対するあるキノンジアジド化合物の割合)) 。
また、感光性樹脂組成物中のキノンジアジド化合物のキノンジアジド置換率は、感光性樹脂組成物の樹脂成分を再沈殿法などで除去後、カラム分取法などで含有成分を分離し、NMRやIRで化学構造を同定することにより求めることができる。
前記ポリヒドロキシ化合物は、フェノール性水酸基を分子内に2つ以上、好しくは3つ以上有するものである。前記ポリヒドロキシ化合物は、例えば、Bis-Z、BisP-EZ、TekP-4HBPA、TrisP-HAP、TrisP-PA、TrisP-SA、TrisOCR-PA、BisOCHP-Z、BisP-MZ、BisP-PZ、BisP-IPZ、BisOCP-IPZ、BisP-CP、BisRS-2P、BisRS-3P、BisP-OCHP、メチレントリス-FR-CR、BisRS-26X、DML-MBPC、DML-MBOC、DML-OCHP、DML-PCHP、DML-PC、DML-PTBP、DML-34X、DML-EP、DML-POP、ジメチロール-BisOC-P、DML-PFP、DML-PSBP、DML-MTrisPC、TriML-P、TriML-35XL、TML-BP、TML-HQ、TML-pp-BPF、TML-BPA、TMOM-BP、HML-TPPHBA、HML-TPHAP(以上商品名、本州化学工業(株)製)、BIR-OC、BIP-PC、BIR-PC、BIR-PTBP、BIR-PCHP、BIP-BIOC-F、4PC、BIR-BIPC-F、TEP-BIP-A、46DMOC、46DMOEP、TM-BIP-A(以上商品名、旭有機材工業(株)製)、BisP-AP(商品名、本州化学工業(株)製)、2,6-ジメトキシメチル-4-t-ブチルフェノール、2,6-ジメトキシメチル-p-クレゾール、2,6-ジアセトキシメチル-p-クレゾール、ナフトール、テトラヒドロキシベンゾフェノン、没食子酸メチルエステル、ビスフェノールA、ビスフェノールE、メチレンビスフェノール、ノボラック樹脂などが挙げられる。ただし、これらにのみ限定されるものではない。
前記ポリアミノ化合物は、例えば、1,4-フェニレンジアミン、1,3-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィドなどが挙げられる。ただし、これらにのみ限定されるものではない。
前記ポリヒドロキシポリアミノ化合物は、例えば、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’-ジヒドロキシベンジジンなどが挙げられる。ただし、これらにのみ限定されるものではない。
また、キノンジアジドのスルホン酸としては例えば、1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸、1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸などが挙げられる。ただし、これらにのみ限定されるものではない。
本発明では、前記キノンジアジド化合物として、ポリヒドロキシ化合物にキノンジアジドスルホン酸が結合したものが好ましく用いられる。かかるキノンジアジド化合物を用いることで、一般的な紫外線である水銀灯のi線(波長365nm)、h線(波長405nm)、g線(波長436nm)に感光し、高い感度と、より高い解像度を得ることができる。
より好ましい前記キノンジアジド化合物としては、式(20)または式(21)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2024049758000013
式(20)および式(21)中、Qは、それぞれ独立に、水素原子、または構造式(22)もしくは構造式(23)で表されるキノンジアジドを有する基を表す。
Figure 2024049758000014
キノンジアジドを有する基として、構造式(22)で表される基を用いることが、感度の観点でさらに好ましい。
前記キノンジアジド化合物の製造方法は特に制限されないが、常法に従ってキノンジアジドスルホン酸ハライド、好ましくはキノンジアジドスルホン酸クロリドを、アセトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の溶媒中で炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の無機塩基、または、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピリジン、ジシクロヘキシルアミン等の有機塩基の存在下、ポリヒドロキシ化合物と反応させることにより得ることができる。
本発明において、光酸発生剤(C)の含有量は特に限定されないが、アルカリ可溶性樹脂(A)100質量部に対して、10質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましい。また、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましい。光酸発生剤(C)の含有量をこの範囲内とすることにより、低露光量でパターン加工することができる。
<有機溶媒>
本発明の感光性樹脂組成物は、有機溶媒を含有することが好ましい。
有機溶媒としては、例えば、エーテル類、アセテート類、エステル類、ケトン類、芳香族炭化水素類、アミド類、アルコール類などが挙げられる。
前記エーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルもしくはテトラヒドロフラン等を挙げることができる。
前記アセテート類としては例えば、ブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」と称する場合がある。)、3-メトキシブチルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シクロヘキサノールアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3-メトキシ-3-メチル-1-ブチルアセテート、1,4-ブタンジオールジアセテート、1,3-ブチレングリコールジアセテートもしくは1,6-ヘキサンジオールジアセテート等を挙げることができる。
前記エステル類としては例えば、2-ヒドロキシプロピオン酸メチルもしくは2-ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸i-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸i-ブチル、蟻酸n-ペンチル、酢酸i-ペンチル、プロピオン酸n-ブチル、酪酸エチル、酪酸n-プロピル、酪酸i-プロピル、酪酸n-ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n-プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチルもしくは2-オキソブタン酸エチル等の他のエステル類を挙げることができる。
前記ケトン類としては例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノンもしくは3-ヘプタノン等を挙げることができる。
前記芳香族炭化水素類としては例えば、トルエン、キシレン等を挙げることができる。
前記アミド類としては例えば、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミドもしくはN,N-ジメチルアセトアミド等を挙げることができる。
前記アルコール類としては例えば、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンタノ-ル、4-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-2-ブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノールもしくはジアセトンアルコール等が挙げられる。
前記有機溶媒の使用量は、必要とする厚さや採用する塗布方法に応じて変更するため特に限定されないが、感光性樹脂組成物の固形分、すなわち有機溶媒を除くその他の成分100質量部に対して、100~2000質量部が好ましく、150~900質量部がより好ましい。
<熱架橋剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、さらに熱架橋剤を含有することができる。熱架橋剤とは、メチロール基、アルコキシメチル基、エポキシ基、オキセタニル基をはじめとする熱反応性の官能基を分子内に少なくとも2つ有する化合物を指す。熱架橋剤はアルカリ可溶性樹脂(A)またはその他の成分を架橋し、硬化物の耐久性を高めることができる。
アルコキシメチル基またはメチロール基を少なくとも2つ有する化合物としては、各種公知のものを用いることができる。かかる化合物の好ましい例としては、HMOM-TPPHBA、HMOM-TPHAP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、NIKALAC(登録商標)MX-290、NIKALAC MX-280、NIKALAC MX-270、NIKALAC MX-279、NIKALAC MW-100LM、NIKALAC MX-750LM(以上、商品名、(株)三和ケミカル製)が挙げられ、それぞれ前記各社から入手できる。
エポキシ基またはオキセタニル基を少なくとも2つ有する化合物としては、各種公知のものを用いることができる。かかる化合物の好ましい例としては、エポキシ基を有するものとして、VG3101L(商品名、(株)プリンテック製)、“テピック”(登録商標)S、“テピック”G、“テピック”P(以上商品名、日産化学工業(株)製)、“エピクロン”N660、“エピクロン”N695、HP7200(以上商品名、大日本インキ化学工業(株)製)、“デナコール”EX-321L(商品名、ナガセケムテックス(株)製)、NC6000、EPPN502H、NC3000(以上商品名、日本化薬(株)製)、“エポトート”(登録商標)YH-434L(商品名、東都化成(株)製)、EHPE-3150(商品名、(株)ダイセル製)、オキセタニル基を有する化合物としては、OXT-121、OXT-221、OX-SQ-H、OXT-191、PNOX-1009、RSOX(以上商品名、東亜合成(株)製)、“エタナコール”(登録商標)OXBP、“エタナコール”OXTP(以上商品名、宇部興産(株)製)などが挙げられ、それぞれ各社から入手可能である。
熱架橋剤としては、一分子中にフェノール性水酸基を有し、かつ前記フェノール性水酸基の両オルト位にメチロール基および/またはアルコキシメチル基を有するものが好ましい。メチロール基および/またはアルコキシメチル基がフェノール性水酸基に隣接することで、硬化物の耐久性をさらに高めることできる。アルコキシメチル基としては、例えばメトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基を挙げることができる。ただし、これらに限定のみされるものではない。
熱架橋剤の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(A)総量100質量部に対して、5質量部以上、50質量部以下が好ましい。熱架橋剤の含有量を5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは15質量部以上とすることで、硬化物の機械特性や耐熱性が向上する。また、50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下とすることで、硬化物の伸度低下を防ぐことができる。
<熱酸発生剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、熱酸発生剤を含有することができる。熱酸発生剤とは、熱によって結合開裂を起こして酸を発生する化合物をいう。ただし上記定義に該当しても、i線(波長365nm)、h線(波長405nm)、g線(波長436nm)のいずれかの波長の光により分解し、酸を発生する化合物は、前述の光酸発生剤(C)に分類されるものとする。
前記熱酸発生剤を含有することで、本発明の感光性樹脂組成物から得られる硬化膜の吸水率を低下させることができる。これは、熱硬化時、該化合物から発生した酸により、効果的にシロキサンが縮合するためであると推測される。
前記熱酸発生剤としては、本発明の感光性樹脂組成物の塗布後、プリベーク時の熱では酸を発生しない、又は酸を少量しか発生しないものが好ましい。例えば、プリベーク温度が100℃の場合、100℃より高い温度で酸を発生する化合物が好ましい。前記熱酸発生剤が、プリベーク温度より高い温度で酸を発生する化合物であることで、プリベーク時にポリシロキサン(B)中の残存シラノールの脱水縮合が進行するのを抑制し、露光時の感度低下や現像後の残渣発生を抑制することができる。
熱酸発生剤としては、例えば、“サンエイド”(登録商標)SI-60、同SI-80、同SI-100、同SI-200、同SI-110、同SI-145、同SI-150、同SI-60L、同SI-80L、同SI-100L、同SI-110L、同SI-145L、同SI-150L、同SI-160L、同SI-180L(以上、何れも三新化学工業(株)製)、4-ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ベンジル-4-ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、2-メチルベンジル-4-ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4-アセトキシフェニルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4-アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4-(メトキシカルボニルオキシ)フェニルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート又はベンジル-4-(メトキシカルボニルオキシ)フェニルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、p-トルエンスルホン酸メチル、p-トルエンスルホン酸エチル、p-トルエンスルホン酸プロピル、p-トルエンスルホン酸ブチル、1,3-プロパンジオールジトシラート、メタンスルホン酸フェニル、1,4-ブタンジオールジメタンスルホナートが挙げられる。
前記熱酸発生剤の含有量は、アルカリ可溶樹脂(A)100重量部に対して、0.1~10重量部が好ましく、1~5重量部がより好ましい。前記熱酸発生剤の含有量が上記範囲内であることで、硬化膜の吸水率を低下させることができる
<界面活性剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、さらに、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤とは、親水性の構造及び疎水性の構造を有する化合物をいう。
前記界面活性剤を適量含有させることで、樹脂組成物の表面張力を任意に調整することができ、塗布時のレベリング性を向上させ、塗膜の膜厚均一性を向上させることができる。
前記界面活性剤としては、フッ素樹脂系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリオキシアルキレンエーテル系界面活性剤又はアクリル樹脂系界面活性剤が好ましい。
前記フッ素樹脂系界面活性剤としては、例えば、1,1,2,2-テトラフルオロオクチル(1,1,2,2-テトラフルオロプロピル)エーテル、1,1,2,2-テトラフルオロオクチルヘキシルエーテル、オクタエチレングリコールビス(1,1,2,2-テトラフルオロブチル)エーテル、ヘキサエチレングリコール(1,1,2,2,3,3-ヘキサフルオロペンチル)エーテル、オクタプロピレングリコールビス(1,1,2,2-テトラフルオロブチル)エーテル、ヘキサプロピレングリコールビス(1,1,2,2,3,3-ヘキサフルオロペンチル)エーテル、パーフルオロドデシルスルホン酸ナトリウム、1,1,2,2,8,8,9,9,10,10-デカフルオロドデカン、1,1,2,2,3,3-ヘキサフルオロデカン、N-[3-(パーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル]-N,N’-ジメチル-N-カルボキシメチレンアンモニウムベタイン、パーフルオロアルキルスルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル-N-エチルスルホニルグリシン塩又はリン酸ビス(N-パーフルオロオクチルスルホニル-N-エチルアミノエチル)が挙げられる。また、モノパーフルオロアルキルエチルリン酸エステルなどの末端、主鎖及び側鎖のいずれかの部位にフルオロアルキル基又はフルオロアルキレン鎖を有する化合物が挙げられる。そのような化合物としては、例えば、“メガファック”(登録商標)F-142D、同F-172、同F-173、同F-183、同F-444、同F-445、同F-470、同F-475、同F-477、同F-555、同F-558若しくは同F-559(以上、何れも大日本インキ化学工業(株)製)、“エフトップ”(登録商標)EF301、同303若しくは同352(以上、何れも三菱マテリアル電子化成(株)製)、“フロラード”(登録商標)FC-430若しくは同FC-431(以上、何れも住友スリーエム(株)製)、“アサヒガード”(登録商標)AG710(旭硝子(株)製)、“サーフロン”(登録商標)S-382、同SC-101、同SC-102、同SC-103、同SC-104、同SC-105若しくは同SC-106(以上、何れもAGCセイミケミカル(株)製)、BM-1000若しくはBM-1100(以上、何れも裕商(株)製)又は“フタージェント”(登録商標)710FM若しくは同730LM(以上、何れも(株)ネオス製)が挙げられる。
前記シリコーン系界面活性剤しては、例えば、SH28PA、SH7PA、SH21PA、SH30PA若しくはST94PA(以上、何れも東レ・ダウコーニング(株)製)又は“BYK”(登録商標)-301、同-306、同-307、同-331、同-333、同-337若しくは同-345(以上、何れもビックケミー・ジャパン(株)製)が挙げられる。
前記ポリオキシアルキレンエーテル系界面活性剤としては例えば、“フタージェント”(登録商標)212M、同209F、同208G、同240G、同212P、同220P、同228P、同NBX-15、同FTX-218若しくは同DFX-218(以上、何れも(株)ネオス製)が挙げられる。
前記アクリル樹脂系界面活性剤としては例えば、“BYK”(登録商標)-350、同-352、同-354、同-355、同-356、同-358N、同-361N、同-392、同-394若しくは同-399(以上、何れもビックケミー・ジャパン(株)製)が挙げられる。
前記界面活性剤の含有率は、前記感光性樹脂組成物全体の、0.001質量%以上1質量%以下が好ましい。前記界面活性剤の含有率が0.001質量%以上、より好ましくは0.003質量%以上、さらに好ましくは0.005質量%以上であることで、塗布時のレベリング性を向上させることができる。一方、前記界面活性剤の含有率が1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらにより好ましくは0.03質量%以下であることで、塗布時のレベリング性を向上させることができる。
<感光性樹脂組成物を製造する方法>
本発明の感光性樹脂組成物を製造する方法について説明する。例えば、前記アルカリ可溶性樹脂(A)、ポリシロキサン(B)、光酸発生剤(C)およびその他の成分を有機溶媒に溶解させることにより得ることができる。
溶解方法としては、撹拌や加熱などが挙げられる。加熱する場合、加熱温度は樹脂組成物の性能を損なわない範囲で設定することが好ましく、通常、20℃~80℃が好ましい。また、各成分の溶解順序は特に限定されず、例えば、溶解性の低い化合物から順次溶解させる方法がある。
得られた感光性樹脂組成物は、濾過フィルターを用いて濾過し、ゴミや粒子を除去することが好ましい。フィルター孔径は、例えば1μm、0.5μm、0.2μm、0.1μm、0.05μmなどがあるが、これらに限定されない。濾過フィルターの材質には、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン(NY)、ポリテトラフルオロエチエレン(PTFE)などがあるが、ポリエチレンやナイロンを用いて濾過することが好ましい。
<硬化物>
本発明の硬化物は、本発明の感光性樹脂組成物が硬化されてなる。
硬化方法としては、例えば、基板上に塗布した感光性樹脂組成物を加熱処理する方法などが挙げられる。基板上に感光性樹脂組成物を塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、スリットコート法、ディップコート法、スプレーコート法、印刷法などが挙げられる。塗布後の加熱処理により残留溶媒や耐熱性の低い成分を除去できるため、硬化物の耐熱性および耐薬品性を向上させることができる。また、架橋剤を含有することにより、加熱処理により熱架橋反応を進行させることができ、硬化物の耐熱性および耐薬品性を向上させることができる。この加熱処理は、例えば、温度を選び、段階的に昇温してもよいし、ある温度範囲を選び連続的に昇温しながら5分間~5時間実施してもよい。一例としては、150℃、250℃で各30分ずつ熱処理する方法が挙げられる。あるいは、室温より300℃まで2時間かけて直線的に昇温する方法などが挙げられる。本発明においての加熱処理条件としては180℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましく、230℃以上がさらに好ましい。また、加熱処理条件は、400℃以下が好ましく、350℃以下がより好ましく、300℃以下がさらに好ましい。
本発明の硬化物は、有機EL表示装置や液晶表示装置、半導体装置、多層配線板等の電子部品に使用することができる。具体的には、有機EL素子の隔壁、有機EL素子を用いた表示装置の駆動回路付き基板の平坦化層、液晶装置のカラーフィルター、液晶装置のブラックマトリックス、半導体装置または半導体部品の再配線間の層間絶縁膜、半導体のパッシベーション膜、半導体素子の表面保護膜、高密度実装用多層配線の層間絶縁膜、回路基板の配線保護絶縁層、固体撮像素子のオンチップマイクロレンズや各種ディスプレイ・固体撮像素子用平坦化層などの用途に好適に用いられる。本発明の硬化物を配置した表面保護膜や層間絶縁膜等を有する電子デバイスとしては、例えば、耐熱性の低いMRAMなどが挙げられる。すなわち、本発明の硬化物は、MRAMの表面保護膜用として好適である。また、例えば、LCD、有機ELなどの表示装置の隔壁や絶縁層に好ましく用いることができる。
本発明の表示装置は、硬化物を具備する。
表示装置は、有機EL表示装置や液晶表示装置などの公知の表示装置が挙げられ、有機EL表示装置であることが好ましい。
<有機EL表示装置>
本発明の有機EL表示装置は、前記硬化膜を具備する。具体的には、基板上に、駆動回路、平坦化層、第1電極、絶縁層、発光層および第2電極を有し、平坦化層および/または絶縁層が前記硬化膜を含む有機EL表示装置であることが好ましい。アクティブマトリックス型の表示装置を例に挙げると、ガラスや樹脂フィルムなどの基板上に、TFTと、TFTの側方部に位置しTFTと接続された配線とを有し、その上に凹凸を覆うようにして平坦化層を有し、さらに平坦化層上に表示素子が設けられている。表示素子と配線とは、平坦化層に形成されたコンタクトホールを介して接続される。本発明の感光性樹脂組成物を硬化した硬化物は、平坦化性とパターン寸法安定性に優れるため、平坦化層として有機EL表示装置に具備させることが好ましい。特に、近年、有機EL表示装置のフレキシブル化が主流になっており、前述の駆動回路を有する基板が樹脂フィルムからなる有機EL表示装置であってもよい。
また、本発明の感光性樹脂組成物は、ファンアウトウエハレベルパッケージ(ファンアウトWLP)にも好適に用いられる。ファンアウトWLPは、半導体チップの周辺にエポキシ樹脂等の封止樹脂を用いて拡張部分を設け、半導体チップ上の電極から該拡張部分まで再配線を施し、拡張部分にもはんだボールを搭載することで必要な端子数を確保した半導体パッケージである。ファンアウトWLPにおいては、半導体チップの主面と封止樹脂の主面とが形成する境界線を跨ぐように配線が設置される。すなわち、金属配線が施された半導体チップおよび封止樹脂という2種以上の材料で構成される基材の上に層間絶縁膜が形成され、該層間絶縁膜の上に配線が形成される。これ以外にも、半導体チップをガラスエポキシ樹脂基板に形成された凹部に埋め込んだタイプの半導体パッケージでは、半導体チップの主面とプリント基板の主面との境界線を跨ぐように配線が設置される。この態様においても、2種以上の材料で構成される基材の上に層間絶縁膜が形成され、該層間絶縁膜の上に配線が形成される。本発明の感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化物は、金属配線が施された半導体チップに高い密着力を有するとともに、エポキシ樹脂等へ封止樹脂にも高い密着力を有するため、2種以上の材料で構成される基材の上に設ける層間絶縁膜として好適に用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例にのみ限定されるものではない。
[測定方法および評価方法]
(1)アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量
アルカリ可溶性樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置(日本ウォーターズ(株)製“Waters”2690-996)を用い、展開溶媒をN-メチル-2-ピロリドン(以降NMPと称する)として測定し、ポリスチレン換算で重量平均分子量(Mw)を算出した。
(2)ポリシロキサンの重量平均分子量
ポリシロキサンの分子量は、GPC装置(日本ウォーターズ(株)製“Waters”2690-996)を用い、展開溶媒をテトラヒドロフランとして測定し、ポリスチレン換算で重量平均分子量(Mw)を算出した。
(3)相溶性
各実施例および比較例により得られた感光性樹脂組成物を、5cm×5cmの耐熱ガラス(“テンパックス”)上に、プリベーク後の厚さが3μmとなるように塗布した。ついでホットプレートを用いて、100℃で80秒プリベークすることにより、感光性樹脂乾燥物付き基板を得た。なお、膜厚は、膜厚測定装置(大日本スクリーン製造(株)製“ラムダエース”STM-602)を用いて、屈折率1.63の条件で測定した。
得られた感光性樹脂乾燥物付き基板を分光ヘーズメーター((株)村上色彩技術研究所“HSP-150Vis”)にてヘーズ測定を実施した。ヘーズの値を下記のように区分し、A~Dを合格、Eを不合格とした。
A:1.0%以下
B:1.0%超、1.5%以下
C:1.5%超、2.0%以下
D:2.0%超、2.5%以下
E:2.5%超。
(4)感度評価
各実施例および比較例により得られた感光性樹脂組成物を、塗布現像装置(東京エレクトロン(株)製ACT-8)を用いて、8インチシリコンウェハー上にスピンコート法により塗布した。そして、100℃で80秒間ベークをして膜厚2.4μmのプリベーク膜を作製した。なお、膜厚は、膜厚測定装置(大日本スクリーン製造(株)製“ラムダエース”STM-602)を用いて、屈折率1.63の条件で測定した。
この膜に露光装置((株)ナノテック製PEM-6M)を用いて高圧水銀灯(g線+h線+i線(約350nm~450nmの波長を持つ光))と、グレースケールマスクを用いて、h線の露光量で3~300mJ/cm、照射した。なおグレースケールマスクはマスク上から300mJ/cm露光することにより、マスク下に1%(3mJ/cm)から100%(300mJ/cm)までを、1%、5%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、100%と段階的に一括で露光することができる。露光後、前記塗布現像装置を用いて、2.38質量%のテトラメチルアンモニウム(以下、TMAHと呼ぶ場合がある)水溶液(多摩化学工業(株)製)を現像液として、未露光部の膜減り量が0.2μmになるまで、現像時間を10秒刻みで変えて現像した。現像した後、蒸留水でリンスを行い、振り切り乾燥し、パターンを得た。
得られたパターンをデジタルマイクロスコープ((株)キーエンス製VHX-6000)を用いて倍率2000倍で観察し、20μm幅のラインパターンの開口幅を測定した。ラインパターンの開口幅が20μmに達した際の、そのパターンに照射された露光量を、高圧水銀灯の露光量とマスクの透過率より算出し、パターン開口に必要な最低露光量とした。測定は3回行い、最低露光量の平均値を求め、これを感度とした。感度を下記のように区分し、A~Cを合格、Dを不合格とした。
A:60mJ/cm未満
B+:60mJ/cm以上、65mJ/cm未満
B-:65mJ/cm以上、70mJ/cm未満
C:70mJ/cm以上、80mJ/cm未満
D:80mJ/cm以上。
上記の評価を実施するにあたって、要した現像時間を下記にように区分し、A~Eを合格、Fを不合格とした。
A:80秒以上120秒以下
B:60秒以上70秒以下、もしくは130秒以上160秒以下
C:40秒以上50秒以下、もしくは170秒以上200秒以下
D:210秒以上250秒以下
E:260秒以上300秒以下
F:30秒以下、もしくは310秒以上。
(5)折り曲げ耐性
各実施例および比較例により得られたワニスをポリイミドフィルム基板上に、スピンコート法により硬化膜の膜厚が2.0μmとなるように調節された回転数で塗布し、感光性樹脂膜を得て、乾燥工程として100℃のホットプレート上で80秒間プリベークし、感光性樹脂膜を得た。次に自動現像装置(滝沢産業(株)製AD-2000)を用いて2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で90秒間シャワー現像し、次いで純水で30秒間リンスした。現像した感光性樹脂膜付き基板をイナートオーブン(光洋サーモシステム(株)製CLH-21CD-S)を用いて、酸素濃度20ppm以下で5℃/分の昇温条件で250℃まで昇温しながら加熱し、さらに250℃で1時間焼成を行い、膜厚2.0μmの硬化膜を得た。
次いで硬化膜を具備するポリイミドフィルム基板を、縦50mm×横10mmの大きさに10枚切り出した。次に硬化膜の面を外側にして、ポリイミドフィルム基板を縦25mmの線上で曲率半径が0.1~1.0mmの範囲で折り曲げた状態で、30秒間保持した。30秒後、折り曲げたポリイミドフィルム基板を開き、FPD検査顕微鏡(オリンパス(株)製MX-61L)を用いて、硬化膜表面の縦25mmの線上の折り曲げ部を観察し、硬化膜表面の外観変化を評価した。折り曲げ試験は曲率半径0.1~1.0mmの範囲で、0.1mm刻みで実施し、ポリイミドフィルム基板からの硬化膜の剥離や硬化膜表面にクラックなどの外観変化が生じない最小の曲率半径を記録した。
最小の曲率半径を下記のように区分し、A~Dを合格、Eを不合格とした。
A: 0.5mm以下
B: 0.6mm以上0.7mm以下
C: 0.8mm以上0.9mm以下
D: 1.0mm
E: 1.0mmでクラック等外観変化有り。
以下に、実施例で用いた成分の略称を示す。
<アルコキシシリル>
(芳香族基を有するもの)
HfTES:4-(2-ヒドロキシ-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル)-1-トリエトキシシリルベンゼン
PhTMS:フェニルトリメトキシシラン
DPhDMS:ジメトキシジフェニルシラン
NapTMS:1-ナフチルトリメトキシシラン
(カルボキシル基および/またはカルボン酸無水物基を含むもの)
TMSSucA:3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物
(その他のアルコキシシリル)
MTMS:メチルトリメトキシシラン。
<架橋剤>
HMOM-TPHAP:(下記化学式に示す化合物、本州化学工業(株)製)
Figure 2024049758000015
<有機溶媒>
GBL:γ-ブチロラクトン
EL:乳酸エチル。
実施例および比較例で用いた化合物の合成について以下に示す。
[ポリシロキサンP-1の合成]
500mLの三口フラスコにNapTMSを124.2g(0.50mol)、ELを210g仕込み、40℃で攪拌しながら、水27g、リン酸0.62g(仕込みモノマーに対して0.5質量%)を混和したリン酸溶液を添加した。その後、フラスコを70℃のオイルバスに浸けて60分間攪拌した後、オイルバスを15分間かけて130℃まで昇温した。昇温開始10分後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから3時間加熱攪拌し(内温は100~125℃)、固形分濃度30%となるように調整したポリシロキサンP-1のEL溶液を得た。なお、昇温および加熱攪拌中、窒素を0.07L/分、流した。P-1の重量平均分子量は1300であった。
[ポリシロキサンP-2~P-13の合成]
アルコキシシランの成分、仕込み量を表1に記載のとおりに変更した以外は合成例1と同様にして、固形分濃度30%のポリシロキサンP-2~P-13のEL溶液を得た。ポリシロキサンP-2~P-13の重量平均分子量を表1に示す。
Figure 2024049758000016
[HfTESの合成]
HfTESを合成するために下記式の反応を行った。
Figure 2024049758000017
還流管を取り付けた300mL三口フラスコ内に、予め乾燥させておいた2-(3-ブロモフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパノールを6.46g(20.0mmol)、テトラブチルアンモニウムヨージドを7.38g(40.0mmol)、およびビス(アセトニトリル)(1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボラートを0.2280g(0.60mmol)、室温で投入した。次いで、アルゴン雰囲気下で、脱水処理したN,N-ジメチルホルムアミド120mL、脱水処理したトリエチルアミン11.1mL(80.0mmol)、およびトリエトキシシラン7.40mL(40.0mmol)を加えて、80℃に昇温し、4時間攪拌した。反応系を室温までに自然冷却した後、溶媒であるN,N-ジメチルホルムアミドを留去し、次いでジイソプロピルエーテルを200mL加えた。生じた沈殿に、セライトを接触させて濾過した。その後、濾液を100mLの水で3回洗浄し、NaSOを加えて脱水乾燥させ、さらに濾過した後、溶媒を留去した。反応物である残渣を、クーゲルロール装置を用いて140℃~190℃、200Paの条件にて蒸留生成し、無色液体としてHfTESを得た。
得られたHfTESの、H-NMR測定結果は以下のようになった。
H-NMR(溶媒CDCl(重水素化クロロホルム)、TMS(テトラメチルシラン)):δ8.03(1H,s),7.79(2H,d,J=7.6Hz),7.47(1H,t,J=7.6Hz),4.16(1H,s),3.88(6H,q,J=5.0Hz),1.24(9H,t,J=7.4Hz)。
[ヒドロキシル基含有ジアミン化合物]
2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン18.3g(0.05mol)をアセトン100mL、プロピレンオキシド17.4g(0.3mol)に溶解させ、-15℃に冷却した。ここに3-ニトロベンゾイルクロリド20.4g(0.11mol)をアセトン100mLに溶解させた溶液を滴下した。滴下終了後、-15℃で4時間反応させ、その後室温に戻した。析出した白色固体をろ別し、50℃で真空乾燥した。
固体30gを300mLのステンレスオートクレーブに入れ、メチルセロソルブ250mLに分散させ、5%パラジウム-炭素を2g加えた。ここに水素を風船で導入して、還元反応を室温で行なった。約2時間後、風船がこれ以上しぼまないことを確認して反応を終了させた。反応終了後、濾過して触媒であるパラジウム化合物を除き、ロータリーエバポレーターで濃縮し、下記式で表されるヒドロキシル基含有ジアミン化合物を得た。
Figure 2024049758000018
[アルカリ可溶性樹脂A1の合成]
乾燥窒素気流下、2,2-(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物88.8g(0.20mol)をNMP500gに溶解させた。ここに上記で得られたヒドロキシル基含有ジアミン化合物96.7g(0.16mol)、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン2.48g(0.01mol)をNMP100gとともに加えて、20℃で1時間反応させ、次いで50℃で2時間反応させた。次に末端封止剤として3-アミノフェノール8.7g(0.08mol)をNMP50gとともに加え、50℃で2時間反応させた。その後、N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール47.7g(0.40mol)をNMP100gで希釈した溶液を投入した。投入後、50℃で3時間撹拌した。撹拌終了後、溶液を室温まで冷却した後、溶液を水5Lに投入して白色沈殿を得た。この沈殿を濾過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で24時間乾燥し、目的のポリイミド前駆体であるアルカリ可溶性樹脂A1を得た。
A1の重量平均分子量は27000であった。
[アルカリ可溶性樹脂A2の合成]
ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸41.3g(0.16mol)と1-ヒドロキシ-1,2,3-ベンゾトリアゾール43.2g(0.32mol)とを反応させて得られたジカルボン酸誘導体の混合物0.16mol、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン73.3g(0.20mol)、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン2.48g(0.01mol)を、乾燥窒素気流下でNMP570gに溶解させ、その後75℃で12時間反応させた。次にNMP70gに、溶解させた5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物13.1g(0.08mol)を加え、更に12時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/メタノールの容積比が3/1の溶液に投入して白色沈殿を得た。この沈殿を濾過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で24時間乾燥し、目的のポリベンゾオキサゾール(PBO)前駆体であるアルカリ可溶性樹脂A2を得た。
A2の重量平均分子量は20000であった。
[キノンジアジド化合物C1の合成]
乾燥窒素気流下、ポリヒドロキシ化合物(本州化学工業(株)製TrisP-PA)21.23g(0.05mol)と4-ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド33.58g(0.125mol)を1,4-ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4-ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン12.65g(0.125mol)を、反応系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後、30℃で2時間攪拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、ろ液を水に投入させた。その後、析出した沈殿をろ過で集めた。この沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、下記式で表されるナフトキノンジアジド化合物であるキノンジアジド化合物C1を得た。
C1のキノンジアジド置換率は83%であった。
Figure 2024049758000019
[実施例1]
黄色灯の下で、アルカリ可溶性樹脂(A)としてA1を10.0g、ポリシロキサン(B)の溶液として固形分濃度30%のP-1のEL溶液を10.0g、光酸発生剤(C)としてC1を3.0g、熱架橋剤としてHMOM-TPHAPを2.0g秤量し、これを20.0gのGBLおよび13.0gのELの混合溶媒に溶解させた。その後、得られた溶液を孔径1μmのフィルターでろ過し、感光性樹脂組成物W1を得た。
[実施例2~9]
表2に示す対応のとおり、ポリシロキサン(B)の溶液として固形分濃度30%のP-2~P-8またはP-10のEL溶液を用いた以外は実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物W2~W9を得た。
Figure 2024049758000020
[実施例10~17]
ポリシロキサン(B)の溶液として固形分濃度30%のP-11のEL溶液を用い、その添加量を表3に示す対応となるように変更した以外は実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物W10~W17を得た。
[実施例18]
アルカリ可溶性樹脂(A)としてA2を用い、ポリシロキサン(B)の溶液として固形分濃度30%のP-11のEL溶液を用いた以外は実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物W18を得た。
[実施例19,20]
表3に示す対応のとおり、ポリシロキサン(B)の溶液として固形分濃度30%のP-12またはP-13のEL溶液を用いた以外は実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物W19,20を得た。
[比較例1]
ポリシロキサン(B)を用いなかった以外は実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物W21を得た。
[比較例2]
黄色灯の下で、ポリシロキサン(B)の溶液として固形分濃度30%のP-10のEL溶液を33.3g、光酸発生剤(C)としてC1を3.0g、熱架橋剤としてHMOM-TPHAPを2.0g秤量し、これをGBL16.7gに溶解させた。その後、得られた溶液を孔径1μmのフィルターでろ過し、感光性樹脂組成物W22を得た。
[比較例3]
ポリシロキサン(B)の溶液として固形分濃度30%のP-9のEL溶液を用いた以外は実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物W23を得た。
Figure 2024049758000021
各実施例および比較例の評価結果を表4に示す。
Figure 2024049758000022
実施例1~20においては、いずれも相溶性と感度、折り曲げ耐性のすべてにおいて良好な結果が得られた。これに対し、ポリシロキサン(B)を含まない比較例1は、感度が不良という結果となった。また、アルカリ可溶性樹脂(A)を含まない比較例2は、折り曲げ耐性が不良という結果となった。また、ポリシロキサン(B)に占める、芳香族基を有するオルガノシラン単位の含有比率が80mol%である比較例3は、相溶性が不良という結果となった。
1 TFT(薄膜トランジスタ)
2 配線
3 TFT絶縁層
4 平坦化層
5 ITO(透明電極)
6 基板
7 コンタクトホール
8 絶縁層
9 有機EL層
10 第2電極

Claims (7)

  1. ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリアミドイミド、これらの前駆体およびこれらの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種類であるアルカリ可溶性樹脂(A)、ポリシロキサン(B)並びに、光酸発生剤(C)を含み、
    前記(B)成分が、その全繰り返し単位構造100mol%中に芳香族基を有するオルガノシラン単位を85~100mol%有する、感光性樹脂組成物。
  2. 前記(B)成分が、その全繰り返し単位構造100mol%中に多環の芳香族基を有するオルガノシラン単位を60~100mol%有する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記(B)成分の全繰り返し単位構造100mol%中の前記多環の芳香族基を有するオルガノシラン単位の含有率が60~95mol%であり、かつ、
    前記(B)成分が、その全繰り返し単位構造100mol%中に単環の芳香族基を有するオルガノシラン単位を5~40mol%有する、
    請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記(B)成分が、その全繰り返し単位構造100mol%中にカルボキシル基および/またはカルボン酸無水物基を有するオルガノシラン単位を合計で1~5mol%有する、請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 前記(A)成分100質量部に対し、前記(B)成分の含有量が10質量部以上、50質量部以下である、請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物が硬化されてなる硬化物。
  7. 請求項6に記載の硬化物を具備する表示装置。
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