JP2024048159A - フルオレン化合物ならびにその製造方法および用途 - Google Patents

フルオレン化合物ならびにその製造方法および用途 Download PDF

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Abstract

【課題】高屈折率で、かつ高い耐熱性を示す化合物またはその塩、およびその化合物またはその塩を原料とする樹脂、ならびにそれらの製造方法および用途を提供する。【解決手段】下記式(1)で表される化合物またはその塩を調製する。TIFF2024048159000027.tif55156[式中、Z1aおよびZ1bは独立して置換または未置換のアレーン環を示し、Z2aおよびZ2bは独立して置換または未置換のアレーン環を示し、A1aおよびA1bは独立してアルキレン基を示し、R3aおよびR3bは独立してヒドロキシル基、基[-ORh](式中、Rhは炭化水素基を示す)またはハロゲン原子を示す。]【選択図】なし

Description

本発明は、9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物(またはその塩)およびその誘導体ならびにその製造方法および用途に関する。
スマートフォンやタブレット型PCなどの小型機器またはモバイル機器には、画像表示機能だけでなくカメラ機能などの光学的機能を備えた物が多く、機器の高性能化に伴って光学部材に対する要求特性が高まっている。光学部材には、軽量性、耐衝撃性(柔軟性)、成形性(生産性)などの点で光学ガラスよりも有利な樹脂材料も多く利用されているが、既存の樹脂材料では高まる要求特性に対して十分に対応できない場合もある。
例えば、カメラ機能を備えた機器に搭載される撮像レンズユニットには、機器自体の薄型化や多機能化に伴い小型化が求められる一方で、撮像素子の高画素化に伴って高解像度化も要求されている。そのため、撮像レンズユニットでは、レンズ構成、形状および材料の選択に様々な工夫がなされ、小型かつ高い結像性能で諸収差の補正に対応できるよう光学設計される。一般的に、撮像レンズユニッ卜はアッベ数や屈折率の異なる複数のレンズから構成されており、例えば、高アッベ数のレンズと低アッベ数のレンズとを組み合わせて構成されることが多いが、光学レンズに使用可能な樹脂材料の種類に限りがあり、有効性の高い多様なレンズユニットの設計には限界がある。そのため、設計の自由度を高めて高機能化または高性能化する観点から、材料選択の幅を広げることが重要視され、アッベ数などの光学特性が異なる様々な光学用樹脂材料の開発が求められている。
また、アッベ数とは別の波長分散特性を表す指標として、部分分散比θgFが知られており、この部分分散比θgFが高い(大きな異常分散特性を示す)材料では、色収差(波長による結像位置のズレ)を有効に補正または低減できる。そのため、国際公開第2019/131258号(特許文献1)、特開2020-158723号公報(特許文献2)および国際公開第2017/146022号(特許文献3)では、高い部分分散比θgFを示す樹脂または樹脂組成物が提案されている。
なお、特開2009-256332号公報(特許文献4)および特開2009-256333号公報(特許文献5)には、9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有する特定のカルボン酸が開示されている。
国際公開第2019/131258号 特開2020-158723号公報 国際公開第2017/146022号 特開2009-256332号公報 特開2009-256333号公報
特許文献1では、特定のベンゾトリアゾール系化合物またはフェニルトリアジン系化合物を所定の割合で含む色収差補正用光学樹脂材料について開示され、実施例では、これらの化合物をジないしテトラ(メタ)アクリレート樹脂に混合した後に硬化して光学樹脂材料を調製したことが記載されている。
しかし、ほとんどの実施例の屈折率ndは1.5程度と低く、高くても1.63程度であり、屈折率を十分に向上できない。また、混合するベンゾトリアゾール系化合物またはフェニルトリアジン系化合物が低分子化合物であるため、光学樹脂材料からのブリードアウトが生じるおそれがある。なお、樹脂としては硬化性樹脂である多官能(メタ)アクリレート樹脂が想定されており、生産性または成形性を向上し難い場合がある。
一方、特許文献2では、異常分散性が高く、かつ射出成形を適用可能な量産性に優れる樹脂組成物として、熱可塑性樹脂と異常分散性化合物とを所定の割合で含む樹脂組成物が開示されている。この文献の実施例では、環状オレフィン系重合体(エチレンとテトラシクロドデセンとのランダム共重合体)と特定の異常分散性化合物とを溶融混練して樹脂組成物を調製している。
しかし、環状オレフィン系重合体では屈折率を十分に向上できないとともに、一般に屈折率が低い場合にはアッベ数は高くなる傾向にあるため、実施例におけるアッベ数νdも38.3~49.4と比較的高い値になっている。また、異常分散性化合物が低分子化合物であるため、樹脂組成物からブリードアウトするおそれがある。
異常分散性化合物(低分子化合物)を樹脂に添加して樹脂組成物を調製しなくても、樹脂自体の異常分散性が高く、アッベ数も低い材料として、特許文献3には、特定の構成単位を有するポリカーボネート樹脂が開示されている。この文献の実施例では、特定の構成単位を有するポリカーボネート樹脂を射出成形して得られた成形体が、低アッベ数および高異常分散性を示したことが記載されている。
しかし、この文献の実施例には、θgF値が0.600以上であることのみで、具体的な数値は記載されていない。
特に、特許文献3には、フルオレン骨格を有する構成単位を含む従来の樹脂では、アッベ数を十分に低減できず、異常分散性も低いことが記載され、この文献の比較例1~4の9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有する樹脂では、アッベ数νDが24.2~25.8であり、0.500<θgF<0.600であり、屈折率nDは1.62~1.63であったことが記載されている。
このように様々な光学用樹脂材料が知られているものの、光学部材の設計における材料選択の幅を広げる観点からは、優れた特性を有する樹脂材料およびその原料(またはモノマー)が必要とされている。
なお、特許文献4および5では、9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有するカルボン酸が開示されているものの、いずれの文献においても、実施例では特定のジカルボン酸が調製されているのみで、その具体的な特性は測定されていない。また、いずれの文献においても、前記ジカルボン酸を原料とする樹脂が具体的に調製されておらず、その光学的特性や熱的特性も不明である。
従って、本発明の目的は、高屈折率で、かつ高い耐熱性を示す化合物(またはその塩)、およびその化合物(またはその塩)を原料(反応成分)とする樹脂、ならびにそれらの製造方法および用途を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、特定の構造を有する化合物(またはその塩)が高屈折率で、かつ高い耐熱性を示し、樹脂材料の原料として有用なことを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記態様などを包含していてもよい。
態様[1]:下記式(1)で表される化合物またはその塩。
Figure 2024048159000001
[式中、Rは置換基を示し、k1は0~8の整数を示し、
1aおよびZ1bは独立して置換または未置換のアレーン環を示し、
2aおよびZ2bは独立して置換または未置換のアレーン環を示し、
1aおよびA1bは独立してアルキレン基を示し、m1aおよびm1bは独立して0以上の整数を示し、
2aおよびR2bは独立して置換または未置換の2価の炭化水素基を示し、
3aおよびR3bは独立してヒドロキシル基、基[-ORh3](式中、Rh3は炭化水素基を示す)またはハロゲン原子を示す。]。
態様[2]:前記式(1)において、Rがハロゲン原子、炭化水素基、基[-ORh1](式中、Rh1は炭化水素基を示す)、アシル基、ニトロ基、シアノ基または置換アミノ基であり、k1が0~4の整数であり、
1aおよびZ1bのアレーン環が独立して単環式または縮合多環式アレーン環であり、
2aおよびZ2bのアレーン環が独立して単環式または縮合多環式アレーン環であり、
m1aおよびm1bが独立して0~10の整数であり、
2aおよびR2bの2価の炭化水素基が独立してアルキレン基である態様[1]記載の化合物またはその塩。
態様[3]:結晶の形態である態様[1]または[2]記載の化合物またはその塩。
態様[4]:下記式(2)で表される化合物またはその塩と、下記式(3a)で表される化合物および下記式(3b)で表される化合物とを反応させて、態様[1]~[3]のいずれかに記載の式(1)で表される化合物またはその塩を製造する方法。
Figure 2024048159000002
[式中、X1aおよびX1bと、X2aおよびX2bとは互いにカップリング反応により炭素-炭素結合を形成可能な基を示し、
、k1、Z1aおよびZ1b、Z2aおよびZ2b、A1aおよびA1b、m1aおよびm1b、R2aおよびR2b、R3aおよびR3bは、それぞれ前記式(1)に同じ]。
態様[5]:下記式(A-1)で表される構成単位を少なくとも含む樹脂。
Figure 2024048159000003
[式中、Rは置換基を示し、k1は0~8の整数を示し、
1aおよびZ1bは独立して置換または未置換のアレーン環を示し、
2aおよびZ2bは独立して置換または未置換のアレーン環を示し、
1aおよびA1bは独立してアルキレン基を示し、m1aおよびm1bは独立して0以上の整数を示し、
2aおよびR2bは独立して置換または未置換の2価の炭化水素基を示す]。
態様[6]:前記樹脂が、重合成分としてのジカルボン酸成分に由来するジカルボン酸単位(A)を少なくとも含む熱可塑性樹脂であり、
前記ジカルボン酸単位(A)が、第1のジカルボン酸単位(A1)として、前記式(A-1)で表される構成単位を少なくとも含む態様[5]記載の樹脂。
態様[7]:前記ジカルボン酸単位(A)が、さらに、下記式(A-2)で表される第2のジカルボン酸単位(A2)を少なくとも含む態様[6]記載の樹脂。
Figure 2024048159000004
(式中、Zは置換または未置換のアレーン環を示す)。
態様[8]:前記式(A-2)において、Zのアレーン環が縮合多環式アレーン環である態様[7]記載の樹脂。
態様[9]:前記第1のジカルボン酸単位(A1)と、前記第2のジカルボン酸単位(A2)との割合が、前者/後者(モル比)=10/90~90/10である態様[7]または[8]記載の樹脂。
態様[10]: 前記樹脂が、さらに、重合成分としてのジオール成分に由来するジオール単位(B)を少なくとも含むポリエステル系樹脂である態様[5]~[9]のいずれかに記載の樹脂。
態様[11]:前記ジオール単位(B)が、下記式(B-1)で表される第1のジオール単位(B1)および下記式(B-2)で表される第2のジオール単位(B2)から選択された少なくとも一種のジオール単位を少なくとも含む態様[10]記載の樹脂。
Figure 2024048159000005
(式中、Rは置換基を示し、k4は0~8の整数を示し、
4aおよびZ4bは独立して置換または未置換のアレーン環を示し、
2aおよびA2bは独立して直鎖状または分岐鎖状アルキレン基を示し、m2aおよびm2bは独立して0または1以上の整数を示す。)
Figure 2024048159000006
(式中、Aは直鎖状または分岐鎖状アルキレン基を示し、m3は1以上の整数を示す)。
態様[12]:前記式(B-1)において、Rがハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アシル基、ニトロ基、シアノ基または置換アミノ基であり、k4が0~4の整数であり、
4aおよびZ4bのアレーン環が独立して単環式または縮合多環式アレーン環であり、
m2aおよびm2bが独立して0~10である態様[11]記載の樹脂。
態様[13]:前記第1のジオール単位(B1)と、前記第2のジオール単位(B2)との割合が、前者/後者(モル比)=50/50~99/1である態様[11]または[12]記載の樹脂。
態様[14]:前記ジカルボン酸単位(A)が、さらに、態様[7]~[9]のいずれかに記載の式(A-2)で表される第2のジカルボン酸単位(A2)を少なくとも含み、
前記ジオール単位(B)が、前記第1のジオール単位(B1)を少なくとも含む態様[11]~[13]のいずれかに記載の樹脂。
態様[15]:アッベ数νdが17~23であり、部分分散比θgFが0.67以上である態様[5]~[14]のいずれかに記載の樹脂。
態様[16]:態様[1]~[3]のいずれかに記載の化合物またはその塩を原料として、態様[5]~[15]のいずれかに記載の樹脂を製造する方法。
態様[17]:態様[5]~[15]のいずれかに記載の樹脂を含む成形体。
態様[18]:光学部材である態様[17]記載の成形体。
態様[19]:光学レンズである態様[17]または[18]記載の成形体。
なお、本発明では、以下の従たる目的を達成(または課題を解決)してもよい。
すなわち、本発明の他の目的は、高屈折率および高耐熱性と、高屈折率とはトレードオフの光学的特性である低複屈折(低い複屈折の絶対値)とをバランスよく充足した樹脂を調製可能な化合物(またはその塩)、およびその化合物(またはその塩)を原料とする樹脂、ならびにそれらの製造方法および用途を提供することにある。
また、本発明のさらに他の目的は、フルオレン骨格を有していても、高い異常分散特性(高い部分分散比θgF値)を示す樹脂を調製可能な化合物(またはその塩)、およびその化合物(またはその塩)を原料とする樹脂、ならびにそれらの製造方法および用途を提供することにある。
本明細書および特許請求の範囲において、「ジカルボン酸単位」、「ジカルボン酸成分由来の構成単位」は、対応するジカルボン酸の2つのカルボキシル基から、OH(ヒドロキシル基)をそれぞれ除いた単位(または2価の基)を意味し、「ジカルボン酸成分」(ジカルボン酸成分として例示される化合物を含む)は、対応する「ジカルボン酸単位」と同義に用いる場合がある。また、同様に、「ジオール単位」、「ジオール成分由来の構成単位」は、対応するジオール成分の2つのヒドロキシル基から、水素原子をそれぞれ除いた単位(または2価の基)を意味し、「ジオール成分」(ジオール成分として例示される化合物を含む)は、対応する「ジオール単位」と同義に用いる場合がある。
また、本明細書および特許請求の範囲において、「ジカルボン酸成分」とは、ジカルボン酸に加えて、そのエステル形成性誘導体を含む意味に用いる。エステル形成性誘導体としては、例えば、アルキルエステル、酸クロリドなどの酸ハライド、酸無水物などが挙げられる。前記アルキルエステルとしては、低級アルキルエステル、例えば、メチルエステル、エチルエステル、t-ブチルエステルなどのC1-4アルキルエステルなどが挙げられる。なお、エステル形成性誘導体は、モノエステル(ハーフエステル)またはジエステルであってもよい。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、置換基の炭素原子の数をC、C、C10などで示すことがある。例えば、炭素数が1のアルキル基は「Cアルキル」で示し、炭素数が6~10のアリール基は「C6-10アリール」で示す。
本発明の化合物(またはその塩)は、高屈折率で、かつ高い耐熱性を備えている。そのため、高屈折率かつ高耐熱性の樹脂原料などとして有効に利用できる。また、本発明の化合物(またはその塩)を原料とする樹脂は、高屈折率および高耐熱性と、高屈折率とはトレードオフの光学的特性である低複屈折(低い複屈折の絶対値)とをバランスよく充足することもできる。また、前記樹脂は、フルオレン骨格を有していても、高い異常分散特性(高い部分分散比θgF値)を示すこともできる。
[式(1)で表される化合物]
本発明は、下記式(1)で表される化合物(ジカルボン酸化合物)(またはその塩)およびその誘導体を包含する。なお、本明細書および特許請求の範囲において、式(1)で表される化合物を、単に、「化合物(1)」という場合がある。
Figure 2024048159000007
[式中、Rは置換基を示し、k1は0~8の整数を示し、
1aおよびZ1bは独立して置換または未置換のアレーン環を示し、
2aおよびZ2bは独立して置換または未置換のアレーン環を示し、
1aおよびA1bは独立してアルキレン基を示し、m1aおよびm1bは独立して0以上の整数を示し、
2aおよびR2bは独立して置換または未置換の2価の炭化水素基を示し、
3aおよびR3bは独立してヒドロキシル基、基[-ORh3](式中、Rh3は炭化水素基を示す)またはハロゲン原子を示す]。
前記式(1)において、Rで表される置換基としては、反応に不活性な非反応性基(または非重合性基)であってもよく、例えば、ハロゲン原子、炭化水素基、基[-ORh1](式中、Rh1は炭化水素基を示す)、アシル基、ニトロ基、シアノ基または置換アミノ基(モノまたはジ置換アミノ基)などが挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などが挙げられる。
アルキル基(直鎖状または分岐鎖状アルキル基)としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基などのC1-10アルキル基が挙げられ、好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはC1-4アルキル基である。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのC5-10シクロアルキル基が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、アルキルフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基などのC6-12アリール基が挙げられる。アルキルフェニル基としては、例えば、メチルフェニル基(またはトリル基)、ジメチルフェニル基(またはキシリル基)などのモノないしトリC1-4アルキル-フェニル基が挙げられる。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基などのC6-10アリール-C1-4アルキル基が挙げられる。
前記基[-ORh1]において、炭化水素基Rh1としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などの上記炭化水素基と同様の基が挙げられる。前記基[-ORh1]としては、例えば、前記炭化水素基Rh1の例示に対応する基が挙げられ、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基などが挙げられる。アルコキシ基(直鎖状または分岐鎖状アルコキシ基)としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、t-ブトキシ基などのC1-10アルコキシ基が挙げられる。シクロアルキルオキシ基としては、例えば、シクロヘキシルオキシ基などのC5-10シクロアルキルオキシ基が挙げられる。アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基などのC6-10アリールオキシ基が挙げられる。アラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基などのC6-10アリール-C1-4アルキルオキシ基が挙げられる。
アシル基としては、C1-12アシル基などが挙げられ、例えば、アセチル基などのC1-6アルキル-カルボニル基などが挙げられる。
モノまたはジ置換アミノ基としては、例えば、モノまたはジアルキルアミノ基、モノまたはビス(アルキルカルボニル)アミノ基などが挙げられる。モノまたはジアルキルアミノ基としては、例えば、モノまたはジメチルアミノ基などのモノまたはジC1-4アルキルアミノ基が挙げられる。モノまたはビス(アルキルカルボニル)アミノ基としては、例えば、モノまたはジアセチルアミノ基などのモノまたはビス(C1-4アルキル-カルボニル)アミノ基が挙げられる。
これらの基のうち、代表的なRとしては、ハロゲン原子、炭化水素基、基[-ORh1]、シアノ基などが挙げられ、好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基などの炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基などの基[-ORh1]が挙げられる。
置換数k1は、例えば0~6程度の整数であってもよく、好ましくは以下段階的に、0~4の整数、0~3の整数、0~2の整数、0または1であり、特に0が好ましい。なお、フルオレン環を構成する2つのベンゼン環における基Rの各置換数(1~4位における置換数と、5~8位における置換数と)は、互いに異なっていてもよいが、同一であるのが好ましい。
なお、基Rの置換数k1が複数(2以上)である場合、フルオレン環を構成する2つのベンゼン環のうち、一方のベンゼン環に置換する2以上の基Rの種類は、同一または異なっていてもよく;また、双方のベンゼン環にそれぞれ置換する基Rの種類は異なっていてもよいが、同一が好ましい。なお、基Rの結合位置(置換位置)は、フルオレン環の1~8位であれば特に制限されず、例えば、フルオレン環の2位、7位、2,7位などが挙げられ、2,7位が好ましい。
1aおよびZ1bは独立して、置換または未置換のアレーン環(置換基を有していてもよいアレーン環)を示し、前記アレーン環(芳香族炭化水素環)としては、例えば、ベンゼン環などの単環式アレーン環、縮合多環式アレーン環(縮合多環式芳香族炭化水素環)などが挙げられる。
縮合多環式アレーン環としては、例えば、縮合二環式アレーン環、縮合三環式アレーン環などの縮合二ないし四環式アレーン環などが挙げられる。縮合二環式アレーン環としては、例えば、ナフタレン環、インデン環などの縮合二環式C10-16アレーン環などが挙げられる。縮合三環式アレーン環としては、例えば、アントラセン環、フェナントレン環などの縮合三環式C14-20アレーン環などが挙げられる。好ましい縮合多環式アレーン環は、ナフタレン環などの縮合多環式C10-14アレーン環である。
1aおよびZ1bにおける好ましいアレーン環としては、C6-14アレーン環、さらに好ましくはベンゼン環、ナフタレン環などのC6-10アレーン環であり、特にナフタレン環である。Z1aおよびZ1bにおけるアレーン環は、ナフタレン環などの縮合多環式アレーン環が好ましいようである。
1aおよびZ1bにおけるアレーン環の種類は、互いに異なっていてもよいが、同一が好ましい。
1aおよびZ1bのアレーン環において、フルオレン環の9位、環Z2a,Z2b、および基[-O-(A1aO)m1a-R2a-C(=O)-R3a],[-O-(A1bO)m1b-R2b-C(=O)-R3b]との置換位置(結合位置)は特に制限されないが、フルオレン環の9位との結合位置に対して、例えば、隣接していない離れた置換位置、好ましくは最も離れた置換位置に基[-O-(A1aO)m1a-R2a-C(=O)-R3a],[-O-(A1bO)m1b-R2b-C(=O)-R3b]が置換(結合)するのが好ましく;この基[-O-(A1aO)m1a-R2a-C(=O)-R3a],[-O-(A1bO)m1b-R2b-C(=O)-R3b]の置換位置に対して、隣接する置換位置(またはオルト位)に環Z2a,Z2bが置換(結合)するのが好ましい。具体的には、Z1a,Z1bがベンゼン環の場合、フルオレン環の9位との結合位置としてのベンゼン環の1位(またはフェニル基)に対して、パラ位(4位)に基[-O-(A1aO)m1a-R2a-C(=O)-R3a],[-O-(A1bO)m1b-R2b-C(=O)-R3b]が置換(結合)するのが好ましく;この基[-O-(A1aO)m1a-R2a-C(=O)-R3a],[-O-(A1bO)m1b-R2b-C(=O)-R3b]の置換位置(4位)に対して、隣接する置換位置(3位)に環Z2a,Z2bが置換(結合)するのが好ましい。また、Z1a,Z1bがナフタレン環の場合、例えば、フルオレン環の9位との結合位置としてのナフタレン環の2位(または2-ナフチル基)に対して、6位に(2,6位の位置関係で)基[-O-(A1aO)m1a-R2a-C(=O)-R3a],[-O-(A1bO)m1b-R2b-C(=O)-R3b]が置換(結合)するのが好ましく;この基[-O-(A1aO)m1a-R2a-C(=O)-R3a],[-O-(A1bO)m1b-R2b-C(=O)-R3b]の置換位置(6位)に対して、隣接する置換位置(5位)に環Z2a,Z2bが置換(結合)するのが好ましい。
1aおよびZ1bにおいて、前記アレーン環は、未置換のアレーン環、すなわち、フルオレン環の9位、環Z2a,Z2b、および基[-O-(A1aO)m1a-R2a-C(=O)-R3a],[-O-(A1bO)m1b-R2b-C(=O)-R3b]との置換位置(結合位置)以外の位置に置換基(以下、基[-RZ1]ともいう)を有しないアレーン環であってもよく、1または複数の置換基(基[-RZ1])を有するアレーン環であってもよい。このような置換基[-RZ1]としては、反応に不活性な非反応性基(または非重合性基)であってもよく、例えば、ハロゲン原子、炭化水素基、基[-ORhZ1](式中、RhZ1は炭化水素基を示す)、基[-SRhZ1](式中、RhZ1は炭化水素基を示す)、アシル基、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基(モノまたはジ置換アミノ基)などが挙げられる。
置換基[-RZ1]におけるハロゲン原子、アシル基、置換アミノ基(モノまたはジ置換アミノ基)としては、例えば、Rとして例示したハロゲン原子、アシル基、置換アミノ基(モノまたはジ置換アミノ基)とそれぞれ同様のものが例示できる。
置換基[-RZ1]における炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などが挙げられ、Rにおいて炭化水素基として例示した基とそれぞれ同様のものが例示できる。なお、置換基[-RZ1]としての炭化水素基は、アリール基を除く炭化水素基であってもよい。
基[-ORhZ1]、基[-SRhZ1]において、炭化水素基RhZ1としては、例えば、Rにおいて炭化水素基として例示したアルキル基(直鎖状または分岐鎖状アルキル基)、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基とそれぞれ同様の基などが挙げられる。基[-ORhZ1]、基[-SRhZ1]において、炭化水素基RhZ1の種類は、互いに同一または異なっていてもよい。
基[-ORhZ1]としては、例えば、Rにおいて基[-ORh1]として例示したアルコキシ基(直鎖状または分岐鎖状アルコキシ基)、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基とそれぞれ同様の基などが挙げられる。
基[-SRhZ1]としては、例えば、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基などが挙げられる。アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、t-ブチルチオ基などの直鎖状または分岐鎖状C1-10アルキルチオ基が挙げられる。シクロアルキルチオ基としては、例えば、シクロヘキシルチオ基などのC5-10シクロアルキルチオ基が挙げられる。アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基(チオフェノキシ基)などのC6-10アリールチオ基が挙げられる。アラルキルチオ基としては、例えば、ベンジルチオ基などのC6-10アリール-C1-4アルキルチオ基が挙げられる。
代表的な置換基[-RZ1]としては、ハロゲン原子、炭化水素基、基[-ORhZ1]、アシル基、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基などが挙げられ;好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などの炭化水素基、アルコキシ基などの基[-ORhZ1]が挙げられ;さらに好ましくはメチル基などの直鎖状または分岐鎖状C1-6アルキル基、シクロヘキシル基などのC5-8シクロアルキル基、フェニル基などのC6-14アリール基、メトキシ基などの直鎖状または分岐鎖状C1-4アルコキシ基が挙げられる。置換基[-RZ1]のなかでもアルキル基が好ましく、特に、メチル基などの直鎖状または分岐鎖状C1-4アルキル基が好ましい。
1a,Z1bの各アレーン環における置換基[-RZ1]の数(置換数)は、アレーン環の種類に応じて、それぞれ、例えば0~5程度の整数、好ましくは以下段階的に、0~3の整数、0~2の整数、0または1であり、特に0である。Z1aにおける置換数と、Z1bにおける置換数とは、互いに異なっていてもよいが、同一が好ましい。Z1aにおける置換数が2以上である場合、2以上の置換基[-RZ1]の種類は、互いに同一または異なっていてもよく;Z1bにおける置換数が2以上である場合、2以上の置換基[-RZ1]の種類は、互いに同一または異なっていてもよい。また、Z1aにおける置換基[-RZ1]の種類と、Z1bにおける置換基[-RZ1]の種類は、互いに異なっていてもよいが、同一が好ましい。
2aおよびZ2bは独立して、置換または未置換のアレーン環(置換基を有していてもよいアレーン環)を示し、前記アレーン環としては、例えば、ベンゼン環などの単環式アレーン環、多環式アレーン環などが挙げられ、多環式アレーン環としては、例えば、縮合多環式アレーン環、環集合アレーン環などが挙げられる。
縮合多環式アレーン環としては、例えば、Z1a,Z1bとして例示したものと同様の縮合多環式アレーン環などが挙げられ、好ましい縮合多環式アレーン環は、ナフタレン環などの縮合多環式C10-14アレーン環である。
環集合アレーン環としては、例えば、ビフェニル環、フェニルナフタレン環、ビナフチル環などのビアレーン環;テルフェニル環などのテルアレーン環などが挙げられる。好ましい環集合アレーン環は、ビフェニル環などのC12-18ビアレーン環である。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、「環集合アレーン環」とは、2つ以上の環系(アレーン環系)が一重結合(単結合)か二重結合で直結し、環を直結する結合の数が環系の数より1つだけ少ないものを意味し、例えば、上述のように、フェニルナフタレン環、ビナフチル環などは縮合多環式アレーン環骨格を有していても環集合アレーン環に分類され、ナフタレン環(非環集合アレーン環)などの「縮合多環式アレーン環」と明確に区別される。
2aおよびZ2bにおける好ましいアレーン環としては、C6-14アレーン環が挙げられ、単環式または縮合多環式アレーン環が好ましく、さらに好ましくはベンゼン環、ナフタレン環などのC6-10アレーン環である。特に、化合物(1)、およびこの化合物(1)を原料とする樹脂の屈折率および耐熱性を向上し易い点では、ナフタレン環などの縮合多環式アレーン環が好ましい。なお、ナフタレン環などの縮合多環式アレーン環である場合、樹脂原料として用いると、得られる樹脂が高屈折率および高耐熱性を示すのみならず、意外にも低複屈折となり、高屈折率、高耐熱性および低複屈折を高度にバランスよく充足できるようである。また、ナフタレン環などの縮合多環式アレーン環ではなく、ベンゼン環であっても、化合物(1)、およびこの化合物(1)を原料とする樹脂の耐熱性を意外にも向上し易く好ましい。
2aおよびZ2bにおけるアレーン環の種類は、互いに異なっていてもよいが、同一が好ましい。
2aおよびZ2bにおいて、前記アレーン環は、未置換のアレーン環、すなわち、環Z1a,Z1bとの置換位置(結合位置)以外の位置に置換基(以下、基[-RZ2]ともいう)を有しないアレーン環であってもよく、1または複数の置換基(基[-RZ2])を有するアレーン環であってもよい。このような置換基[-RZ2]としては、反応に不活性な非反応性基(または非重合性基)であってもよく、例えば、ハロゲン原子、炭化水素基、基[-ORhZ2](式中、RhZ2は炭化水素基を示す)、基[-SRhZ2](式中、RhZ2は炭化水素基を示す)、アシル基、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基(モノまたはジ置換アミノ基)などが挙げられる。
置換基[-RZ2]におけるハロゲン原子、アシル基、置換アミノ基(モノまたはジ置換アミノ基)としては、例えば、Rとして例示したハロゲン原子、アシル基、置換アミノ基(モノまたはジ置換アミノ基)とそれぞれ同様のものが例示できる。
置換基[-RZ2]における炭化水素基としては、例えば、Rにおいて炭化水素基として例示したアルキル基(直鎖状または分岐鎖状アルキル基)、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基とそれぞれ同様の基などが挙げられる。なお、置換基[-RZ2]としての炭化水素基は、アリール基を除く炭化水素基であってもよい。
基[-ORhZ2]、基[-SRhZ2]において、炭化水素基RhZ2としては、例えば、Rにおいて炭化水素基として例示したアルキル基(直鎖状または分岐鎖状アルキル基)、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基とそれぞれ同様の基などが挙げられる。基[-ORhZ2]、基[-SRhZ2]において、炭化水素基RhZ2の種類は、互いに同一または異なっていてもよい。
基[-ORhZ2]としては、例えば、Rにおいて基[-ORh1]として例示したアルコキシ基(直鎖状または分岐鎖状アルコキシ基)、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基などとそれぞれ同様の基などが挙げられる。
基[-SRhZ2]としては、例えば、前記Z1a,Z1bの置換基[-RZ1]において基[-SRhZ1]として例示したアルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基などとそれぞれ同様の基などが挙げられる。
代表的な置換基[-RZ2]としては、ハロゲン原子、炭化水素基、基[-ORhZ2]、アシル基、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基などが挙げられ;好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などの炭化水素基、アルコキシ基などの基[-ORhZ2]が挙げられ;さらに好ましくはメチル基などの直鎖状または分岐鎖状C1-6アルキル基、シクロヘキシル基などのC5-8シクロアルキル基、フェニル基などのC6-14アリール基、メトキシ基などの直鎖状または分岐鎖状C1-4アルコキシ基が挙げられる。置換基[-RZ2]のなかでもアルキル基が好ましく、特に、メチル基などの直鎖状または分岐鎖状C1-4アルキル基が好ましい。
2a,Z2bの各アレーン環における置換基[-RZ2]の置換数は、アレーン環の種類に応じて、それぞれ、例えば0~5程度の整数、好ましくは以下段階的に、0~3の整数、0~2の整数、0または1であり、特に0である。Z2aにおける置換数と、Z2bにおける置換数とは、互いに異なっていてもよいが、同一が好ましい。Z2aにおける置換数が2以上である場合、2以上の置換基[-RZ2]の種類は、互いに同一または異なっていてもよく;Z2bにおける置換数が2以上である場合、2以上の置換基[-RZ2]の種類は、互いに同一または異なっていてもよい。また、Z2aにおける置換基[-RZ2]の種類と、Z2bにおける置換基[-RZ2]の種類は、互いに異なっていてもよいが、同一が好ましい。
1a、A1bで表されるアルキレン基(直鎖状または分岐鎖状アルキレン基)としては、例えば、エチレン基、プロピレン基(1,2-プロパンジイル基)、トリメチレン基、1,2-ブタンジイル基、テトラメチレン基などのC2-6アルキレン基などが挙げられ、好ましくはC2-4アルキレン基、さらに好ましくはエチレン基、プロピレン基などのC2-3アルキレン基、特にエチレン基が好ましい。
アルキレンオキシ基[-(A1aO)-]、[-(A1bO)-]の繰り返し数(付加モル数)m1a,m1bは、それぞれ0以上であればよく、例えば0~15程度の整数から選択してもよく、屈折率、耐熱性および生産性を向上し易い点から、好ましくは以下段階的に、0~10の整数、0~8の整数、0~6の整数、0~4の整数、0~2の整数、0または1であり、特に0が好ましい。
なお、「繰り返し数(付加モル数)」m1a,m1bは、平均値(算術平均値、相加平均値)、すなわち、前記化合物(1)の集合体(分子集合体)としての平均付加モル数であってもよく、例えば0~15程度の範囲から選択してもよく、屈折率、耐熱性および生産性を向上し易い点から、好ましくは以下段階的に、0~10、0~8、0~6、0~4、0~2、0~1であり、特に0が好ましい。
また、m1a,m1bは、互いに同一または異なっていてもよい。m1aが2以上の場合、2以上のアルキレンオキシ基[-(A1aO)-]の種類は互いに異なっていてもよいが、同一であるのが好ましく;m1bが2以上の場合、2以上のアルキレンオキシ基[-(A1bO)-]の種類は互いに異なっていてもよいが、同一であるのが好ましい。なお、A1aおよびA1bの種類は、互いに異なっていてもよいが、同一であるのが好ましい。
2aおよびR2bにおける2価の炭化水素基としては、例えば、2価の脂肪族炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基などが挙げられる。
2価の脂肪族炭化水素基は、脂肪族炭化水素骨格で形成されていればよく、飽和または不飽和であってもよく、鎖状(直鎖状または分岐鎖状)構造または環状構造(脂環族骨格)を含んでいてもよい。
2価の飽和脂肪族炭化水素基としては、鎖状飽和脂肪族炭化水素基、脂環族飽和炭化水素基などが挙げられる。鎖状飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(アルキリデン基を含む)、具体的には、メチレン基、エチレン基、エチリデン基、トリメチレン基、プロピレン基、プロピリデン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などのC1-10アルキレン基が挙げられ、好ましくはC1-8アルキレン基、さらに好ましくはC1-4アルキレン基であってもよい。脂環族飽和炭化水素基としては、例えば、シクロアルキレン基、具体的には、シクロヘキシレン基などのC5-10シクロアルキレン基などが挙げられる。なお、これらの脂環族飽和炭化水素基は、アルキル基、例えば、メチル基などのC1-6アルキル基などを有する脂環族飽和炭化水素基であってもよい。
2価の不飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、鎖状不飽和脂肪族炭化水素基、脂環族不飽和炭化水素基などが挙げられる。鎖状不飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルケニレン基、具体的には、ビニレン基、プロペン-1,3-ジイル基などのC2-6アルケニレン基などが挙げられる。脂環族不飽和炭化水素基としては、例えば、シクロアルケニレン基、具体的には、シクロヘキセン-1,4-ジイル基などのC5-10シクロアルケニレン基などが挙げられる。なお、これらの脂環族不飽和炭化水素基は、アルキル基、例えば、メチル基などのC1-6アルキル基などを有する脂環族不飽和炭化水素基であってもよい。
2価の脂肪族炭化水素基には、これらの鎖状または環状の飽和または不飽和脂肪族炭化水素基を2以上組み合わせて結合した2価の炭化水素基、例えば、アルキレン-シクロアルキレン基なども含まれる。
これらの2価の脂肪族炭化水素基のうち、飽和脂肪族炭化水素基が好ましく、鎖状飽和脂肪族炭化水素基がより好ましく、C1-6アルキレン基がさらに好ましい。なお、鎖状飽和脂肪族炭化水素基は直鎖状または分岐鎖状のいずれであってもよく、直鎖状が好ましい。
2価の芳香族炭化水素基としては、少なくとも芳香族炭化水素骨格(アレーン環骨格)を含んでいればよく、前記脂肪族炭化水素基などの脂肪族炭化水素骨格を含んでいてもよい。代表的な2価の芳香族炭化水素基としては、アリーレン基などが挙げられ、例えば、単環式アリーレン基、縮合多環式アリーレン基、環集合アリーレン基などのアリーレン基などが挙げられる。なお、これらのアリーレン基は、アルキル基、例えば、メチル基などのC1-6アルキル基などを有するアリーレン基であってもよい。
単環式アリーレン基としては、例えば、アルキル基を有していてもよいフェニレン基、具体的には、1,4-フェニレン基などのフェニレン基、メチルフェニレン基、ジメチルフェニレン基などのモノないしトリC1-4アルキル-フェニレン基などが挙げられる。
縮合多環式アリーレン基としては、例えば、ナフチレン基などのC10-14アリーレン基、モノないしトリC1-4アルキル-C10-14アリーレン基などが挙げられる。
環集合アリーレン基としては、例えば、ビフェニル-ジイル基、ビナフチル-ジイル基、フェニルナフタレン-ジイル基、ターフェニル-ジイル基などの2ないし4個のアレーン環が結合した環集合アリーレン基などが挙げられる。好ましい環集合アリーレン基としては、2または3個のアレーン環が結合した環集合アリーレン基、なかでも2個のアレーン環が結合した環集合アリーレン基であり、例えば、ビフェニル-ジイル基などのC6-10アリールC6-10アレーン-ジイル基、モノないしトリC1-4アルキル-C6-10アリールC6-10アレーン-ジイル基が挙げられる。前記ビフェニル-ジイル基としては、例えば、ビフェニル-4,4’-ジイル基、ビフェニル-4,2’-ジイル基などが挙げられる。
これらのアリーレン基のうち、単環式アリーレン基、環集合アリーレン基が好ましい。
2価の芳香族炭化水素基には、1または複数の前記アリーレン基(アルキル基を有していてもよいアリーレン基)を少なくとも含み、かつ1または複数の前記2価の脂肪族炭化水素基、好ましくはアルキレン基と組み合わせて結合した2価の炭化水素基なども含まれ、例えば、アルキレン-アリーレン基、ジアリールアルカン-ジイル基などが挙げられる。
アルキレン-アリーレン基としては、例えば、メチレン-フェニレン基、メチレン-ビフェニル-ジイル基などのC1-4アルキレン-C6-14アリーレン基などが挙げられる。前記メチレン-フェニレン基としては、例えば、メチレン-1,4-フェニレン基などが挙げられ、前記メチレン-ビフェニル-ジイル基としては、例えば、メチレン-ビフェニル-4,2’-ジイル基などが挙げられる。なお、アルキレン-アリーレン基のうち、アルキレン基が基[-C(=O)-R3a],[-C(=O)-R3b]側に位置して結合してもよいが、生産性などの観点から、アルキレン基が基[-O-(A1aO)m1a-],[-O-(A1bO)m1b-]側に位置して結合するのが好ましい。
ジアリールアルカン-ジイル基としては、例えば、ジフェニルメタン-ジイル基などのジC6-10アリールC1-10アルカン-ジイル基などが挙げられる。
これらの2価の芳香族炭化水素基のうち、アリーレン基、アルキレン-アリーレン基が好ましく、さらに好ましくはフェニレン基、モノまたはジC1-4アルキル-フェニレン基などのC6-12アリーレン基、C1-4アルキレン-C6-14アリーレン基、特にC6-10アリーレン基、C1-3アルキレン-C6-12アリーレン基が好ましい。
なお、R2aおよびR2bにおける前記2価の炭化水素基は、1または複数の置換基を有していてもよく、置換基としては、反応に不活性な非反応性基(または非重合性基)であってもよく、例えば、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基(モノまたはジ置換アミノ基)などが挙げられる。置換アミノ基(モノまたはジ置換アミノ基)としては、例えば、Rとして例示した置換アミノ基(モノまたはジ置換アミノ基)と同様のものが例示できる。
2a,R2bの各2価の炭化水素基が有していてもよい置換基の置換数は、2価の炭化水素基の種類に応じて、それぞれ、例えば0~5程度の整数、好ましくは以下段階的に、0~3の整数、0~2の整数、0または1、0(すなわち、未置換)である。R2aにおける置換数と、R2bにおける置換数とは、互いに異なっていてもよいが、同一が好ましい。R2aにおける置換数が2以上である場合、2以上の置換基の種類は、互いに同一または異なっていてもよく;R2bにおける置換数が2以上である場合、2以上の置換基の種類は、互いに同一または異なっていてもよい。また、R2aにおける置換基の種類と、R2bにおける置換基の種類は、互いに異なっていてもよいが、同一が好ましい。
好ましいR2aおよびR2bとしては、アルキレン基、アリーレン基、アルキレン-アリーレン基などの未置換の2価の炭化水素基であり、さらに好ましくはアルキレン基、アリーレン基、アルキレン-アリーレン基などの少なくとも脂肪族炭化水素骨格を含む2価の炭化水素基であり、なかでもアルキレン基などの飽和脂肪族炭化水素骨格を含む2価の炭化水素基が好ましく、特にアルキレン基(アルキリデン基を含む)が好ましい。また、好ましいアルキレン基(アルキリデン基を含む)としては、C1-8アルキレン基であり、耐熱性の点から、C2-6アルキレン基などの炭素数2以上のアルキレン基がより好ましく、耐熱性および生産性の点から、C3-5アルキレン基などの炭素数3以上のアルキレン基がさらに好ましく、トリメチレン基などのC3-4アルキレン基が特に好ましい。なお、アルキレン基は直鎖状または分岐鎖状のいずれであってもよく、直鎖状が好ましい。このようなR2aおよびR2bでは、樹脂原料などとして用いた際に、高屈折率および高耐熱性と、低複屈折とをバランスよく充足し易く、高い異常分散特性(高い部分分散比θgF値)を示す樹脂を調製できる傾向にある。
3aおよびR3bは、ヒドロキシル基、基[-ORh3](式中、Rh3は炭化水素基を示す)またはハロゲン原子のいずれであってもよい。
基[-ORh3]における炭化水素基Rh3としては、例えば、アルキル基(直鎖状または分岐鎖状アルキル基)、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などが挙げられ、Rにおいて炭化水素基として例示した基とそれぞれ同様のものが例示できる。好ましい炭化水素基Rh3はアルキル基であり、なかでも低級アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、t-ブチル基などのC1-4アルキル基がさらに好ましい。
基[-ORh3]としては、例えば、アルコキシ基(直鎖状または分岐鎖状アルコキシ基)、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基などが挙げられ、具体的には、Rにおいて基[-ORh1]として例示した基とそれぞれ同様の基などが挙げられる。好ましい基[-ORh3]としては、前記好ましい炭化水素基Rh3に対応し、アルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、t-ブトキシ基などのC1-4アルコキシ基がさらに好ましい。
3aおよびR3bにおけるハロゲン原子としては、例えば、Rとして例示したハロゲン原子と同様のものが例示でき、塩素原子、臭素原子が好ましい。
なお、R3aおよび/またはR3bがヒドロキシル基である場合、前記化合物(1)は塩の形態(カルボン酸塩の形態)であってもよい。塩の形態としては、カルボキシル基との塩を形成可能な金属または化合物との塩であればよく、例えば、金属塩、アンモニウム塩(NH )、アミン塩などのオニウム塩などが挙げられる。金属塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩などが挙げられる。アミン塩としては、例えば、ジメチルアミン塩(ジメチルアンモニウム塩)、トリメチルアミン塩(トリメチルアンモニウム塩)、トリエチルアミン塩(トリエチルアンモニウム塩)などのモノないしテトラアルキルアミン塩(モノないしテトラアルキルアンモニウム塩)、ピリジン塩(ピリジニウム塩)などが挙げられる。
また、R3aおよび/またはR3bがヒドロキシル基である場合、前記化合物(1)はカルボン酸から誘導されるアミド誘導体の形態であってもよく、例えば、未置換のアミド(カルボン酸アミド)、モノまたはジ置換アミド、具体的にはモノまたはジアルキルアミドなどの形態であってもよい。
好ましいR3aおよびR3bは、基[-ORh3]である。R3aおよびR3bの種類は、互いに異なっていてもよいが、同一が好ましい。
なお、化合物(1)が、置換または未置換のアミノ基を有する場合、例えば、有機酸、無機酸などの酸との塩を形成してもよい。
前記式(1)で表される代表的な化合物(またはその塩)としては、
が、ハロゲン原子、炭化水素基、基[-ORh1]、アシル基、ニトロ基、シアノ基または置換アミノ基であり、k1が0~4の整数であり、
1aおよびZ1bのアレーン環が、独立して、単環式または縮合多環式アレーン環であり、
1aおよびZ1bの置換基[-RZ1]が、独立して、ハロゲン原子、炭化水素基、基[-ORhZ1]、基[-SRhZ1]、アシル基、ニトロ基、シアノ基または置換アミノ基であり、置換基[-RZ1]の数が、独立して0~3の整数であり、
2aおよびZ2bのアレーン環が、独立して単環式または縮合多環式アレーン環であり、
2aおよびZ2bの置換基[-RZ2]が、独立してハロゲン原子、炭化水素基、基[-ORhZ2]、基[-SRhZ2]、アシル基、ニトロ基、シアノ基または置換アミノ基であり、置換基[-RZ2]の数が、独立して0~3の整数であり、
m1aおよびm1bが、独立して0~10の整数であり、
2aおよびR2bの2価の炭化水素基が、独立してアルキレン基、アリーレン基またはアルキレン-アリーレン基であり、
2aおよびR2bが有していてもよい置換基が、独立してニトロ基、シアノ基または置換アミノ基であり、その置換数が0~3の整数である化合物(またはその塩)が挙げられ;
好ましくは、
が、アルキル基、アリール基などの炭化水素基、またはアルコキシ基などの基[-ORh1]であり、k1が0~2の整数であり、
1aおよびZ1bのアレーン環が、独立してベンゼン環または縮合多環式C10-14アレーン環であり、
1aおよびZ1bの置換基[-RZ1]が、独立して、アルキル基などの炭化水素基、またはアルコキシ基などの基[-ORhZ1]であり、置換基[-RZ1]の数が、独立して0~2の整数であり、
2aおよびZ2bのアレーン環が、独立してベンゼン環または縮合多環式C10-14アレーン環であり、
2aおよびZ2bの置換基[-RZ2]が、独立してアルキル基などの炭化水素基、またはアルコキシ基などの基[-ORhZ2]であり、置換基[-RZ2]の数が、独立して0~2の整数であり、
1aおよびA1bが、独立してC2-6アルキレン基を示し、m1aおよびm1bが、独立して0~6の整数であり、
2aおよびR2bの2価の炭化水素基が、独立してC1-6アルキレン基などのアルキレン基であり、
2aおよびR2bが置換基を有しない2価の炭化水素基である化合物(またはその塩)が挙げられ;
さらに好ましくは、
が、C1-4アルキル基またはC6-12アリール基、k1が0~2の整数であり、
1aおよびZ1bのアレーン環が、独立してベンゼン環またはナフタレン環であり、
1aおよびZ1bの置換基[-RZ1]が、独立して、C1-4アルキル基であり、置換基[-RZ1]の数が、独立して0または1であり、
2aおよびZ2bのアレーン環が、独立してベンゼン環またはナフタレン環であり、
2aおよびZ2bの置換基[-RZ2]が、独立してC1-4アルキル基であり、置換基[-RZ2]の数が、独立して0または1であり、
1aおよびA1bが、独立してC2-4アルキレン基を示し、m1aおよびm1bが、独立して0~3の整数であり、
2aおよびR2bが、独立してC2-5アルキレン基などのC1-5アルキレン基であり、
3aおよびR3bが、独立してヒドロキシル基または基[-ORh3]である化合物(またはその塩)が挙げられ;
特に好ましくは、
が、C1-4アルキル基、k1が0または2の整数であり、
1aおよびZ1bが、ナフタレン環であり、
1aおよびZ1bの置換基[-RZ1]が、独立して、C1-4アルキル基であり、置換基[-RZ1]の数が、独立して0または1であり、
2aおよびZ2bのアレーン環が、独立してベンゼン環またはナフタレン環であり、
2aおよびZ2bの置換基[-RZ2]が、独立してC1-4アルキル基であり、置換基[-RZ2]の数が、独立して0または1であり、
1aおよびA1bが、独立してC2-3アルキレン基を示し、m1aおよびm1bが、独立して0または1であり、
2aおよびR2bが、独立してC3-4アルキレン基などのC1-4アルキレン基であり、
3aおよびR3bが、独立して基[-ORh3]である化合物が挙げられる。
前記式(1)で表される具体的な化合物(またはその塩)としては、例えば、9,9-ビス(アリール-カルボキシアルキルオキシ-アリール)フルオレン、9,9-ビス(アリール-カルボキシアリールオキシ-アリール)フルオレン、9,9-ビス(アリール-カルボキシアリールアルキルオキシ-アリール)フルオレンなどが挙げられる。
9,9-ビス(アリール-カルボキシアルキルオキシ-アリール)フルオレンとしては、例えば、9,9-ビス[3-フェニル-4-(3-カルボキシプロピルオキシ)-フェニル]フルオレン、9,9-ビス[3-(2-ナフチル)-4-(3-カルボキシプロピルオキシ)-フェニル]フルオレン、9,9-ビス[3-(1-ナフチル)-4-(3-カルボキシプロピルオキシ)-フェニル]フルオレン、9,9-ビス[5-フェニル-6-(3-カルボキシプロピルオキシ)-2-ナフチル]フルオレン、9,9-ビス[5-(2-ナフチル)-6-(3-カルボキシプロピルオキシ)-2-ナフチル]フルオレン、9,9-ビス[5-(1-ナフチル)-6-(3-カルボキシプロピルオキシ)-2-ナフチル]フルオレンなどの9,9-ビス(C6-10アリール-カルボキシC1-6アルキルオキシ-C6-10アリール)フルオレン、およびこれらの誘導体、例えば、アルキルエステルなどのエステル、酸クロリドなどの酸ハライド、金属塩などの塩などが挙げられる。
9,9-ビス(アリール-カルボキシアリールオキシ-アリール)フルオレンとしては、例えば、9,9-ビス[3-フェニル-4-(4-カルボキシフェニルオキシ)-フェニル]フルオレン、9,9-ビス[3-(2-ナフチル)-4-(4-カルボキシフェニルオキシ)-フェニル]フルオレン、9,9-ビス[3-(1-ナフチル)-4-(4-カルボキシフェニルオキシ)-フェニル]フルオレン、9,9-ビス[5-フェニル-6-(4-カルボキシフェニルオキシ)-2-ナフチル]フルオレン、9,9-ビス[5-(2-ナフチル)-6-(4-カルボキシフェニルオキシ)-2-ナフチル]フルオレン、9,9-ビス[5-(1-ナフチル)-6-(4-カルボキシフェニルオキシ)-2-ナフチル]フルオレンなどの9,9-ビス(C6-10アリール-カルボキシC6-10アリールオキシ-C6-10アリール)フルオレン、およびこれらの誘導体、例えば、アルキルエステルなどのエステル、酸クロリドなどの酸ハライド、金属塩などの塩などが挙げられる。
9,9-ビス(アリール-カルボキシアリールアルキルオキシ-アリール)フルオレンとしては、例えば、9,9-ビス(アリール-カルボキシフェニルアルキルオキシ-アリール)フルオレン、9,9-ビス(アリール-カルボキシビフェニルアルキルオキシ-アリール)フルオレンなどの9,9-ビス(C6-10アリール-カルボキシC6-12アリールC1-6アルキルオキシ-C6-10アリール)フルオレン、およびこれらの誘導体、例えば、アルキルエステルなどのエステル、酸クロリドなどの酸ハライド、金属塩などの塩などが挙げられる。
9,9-ビス(アリール-カルボキシフェニルアルキルオキシ-アリール)フルオレンとしては、例えば、9,9-ビス[3-フェニル-4-(4-カルボキシフェニルメトキシ)-フェニル]フルオレン、9,9-ビス[3-(2-ナフチル)-4-(4-カルボキシフェニルメトキシ)-フェニル]フルオレン、9,9-ビス[3-(1-ナフチル)-4-(4-カルボキシフェニルメトキシ)-フェニル]フルオレン、9,9-ビス[5-フェニル-6-(4-カルボキシフェニルメトキシ)-2-ナフチル]フルオレン、9,9-ビス[5-(2-ナフチル)-6-(4-カルボキシフェニルメトキシ)-2-ナフチル]フルオレン、9,9-ビス[5-(1-ナフチル)-6-(4-カルボキシフェニルメトキシ)-2-ナフチル]フルオレンなどの9,9-ビス(C6-10アリール-カルボキシフェニルC1-4アルキルオキシ-C6-10アリール)フルオレンなどが挙げられる。
9,9-ビス(アリール-カルボキシビフェニルアルキルオキシ-アリール)フルオレンとしては、例えば、9,9-ビス[3-フェニル-4-(2’-カルボキシビフェニル-4-イル-メトキシ)-フェニル]フルオレン、9,9-ビス[3-(2-ナフチル)-4-(2’-カルボキシビフェニル-4-イル-メトキシ)-フェニル]フルオレン、9,9-ビス[3-(1-ナフチル)-4-(2’-カルボキシビフェニル-4-イル-メトキシ)-フェニル]フルオレン、9,9-ビス[5-フェニル-6-(2’-カルボキシビフェニル-4-イル-メトキシ)-2-ナフチル]フルオレン、9,9-ビス[5-(2-ナフチル)-6-(2’-カルボキシビフェニル-4-イル-メトキシ)-2-ナフチル]フルオレン、9,9-ビス[5-(1-ナフチル)-6-(2’-カルボキシビフェニル-4-イル-メトキシ)-2-ナフチル]フルオレンなどの9,9-ビス(C6-10アリール-カルボキシビフェニルC1-4アルキルオキシ-C6-10アリール)フルオレンなどが挙げられる。
(式(1)で表される化合物の特性)
化合物(1)(またはその塩)は、結晶の形態であってもよい。
化合物(1)(またはその塩)は高屈折率であり、その屈折率nDは、温度25℃、波長589nmにおいて、例えば1.63~1.7程度であってもよく、好ましくは以下段階的に、1.64~1.69、1.65~1.68、1.66~1.67である。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、屈折率は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
化合物(1)(またはその塩)は耐熱性に優れ、5%重量減少温度は、例えば200~450℃程度であってもよく、好ましくは以下段階的に、250~430℃、300~410℃、320~350℃であってもよく、さらに好ましくは以下段階的に、330~430℃、350~420℃、380~410℃である。また、10%重量減少温度は、例えば300~450℃程度であってもよく、好ましくは以下段階的に、350~435℃、380~430℃、390~425℃、400~420℃である。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、重量減少温度は、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件下で測定した温度であり、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
(式(1)で表される化合物の製造方法)
前記化合物(1)(またはその塩)の製造方法は特に制限されないが、下記式(2)で表される化合物(またはその塩)と、下記式(3a)で表される化合物および(3b)で表される化合物とをカップリング反応させるカップリング工程を含むのが好ましい。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、式(2)で表される化合物を、単に、「化合物(2)」ともいい、同様に、式(3a)で表される化合物を「化合物(3a)」、式(3b)で表される化合物を「化合物(3b)」という場合がある。また、化合物(3a)および化合物(3b)を「化合物(3a)(3b)」という場合がある。
Figure 2024048159000008
[式中、X1aおよびX1bと、X2aおよびX2bとは互いにカップリング反応により炭素-炭素結合(Z1aおよびZ1bのアレーン環と、Z2aおよびZ2bのアレーン環との直接結合)を形成可能な基を示し、
、k1、Z1aおよびZ1b、Z2aおよびZ2b、A1aおよびA1b、m1aおよびm1b、R2aおよびR2b、R3aおよびR3bは、それぞれ好ましい態様も含めて前記式(1)に同じ]。
カップリング反応(またはクロスカップリング反応)としては、慣用のカップリング反応、例えば、鈴木-宮浦カップリング反応、右田-小杉-スティレ(Stille)カップリング反応、根岸カップリング反応、檜山カップリング反応などのパラジウム触媒(またはパラジウム(0)触媒)によるカップリング反応、熊田-玉尾-コリュー(Corriu)カップリング反応などのニッケル触媒(またはニッケル(0)触媒)によるカップリング反応などが挙げられる。これらのカップリング反応のうち、鈴木-宮浦カップリング反応が好ましい。
前記式(2)において、X1aおよびX1bは独立して、カップリング反応により炭素-炭素結合(または直接結合)を形成可能な反応性基を示し;前記式(3a)および(3b)において、X2aは前記反応性基X1aと、X2bは前記反応性基X1bとともに、それぞれカップリング反応により炭素-炭素結合を形成可能な反応性基を示している。反応性基X1aおよびX1bならびにX2aおよびX2bは、前記カップリング反応の種類に応じて適宜選択できる。鈴木-宮浦カップリング反応により合成する場合、一方の反応性基、例えば、基X1aおよびX1bとしては、ハロゲン原子またはフッ化アルカンスルホニルオキシ基などのホウ素非含有基(または脱離基)が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えば、ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子などが挙げられる。フッ化アルカンスルホニルオキシ基としては、例えば、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基(または基[-OTf])などのフッ化C1-4アルカンスルホニルオキシ基などが挙げられる。これらの一方の反応性基は、単独でまたは2種以上組み合わせてもよい。これらの一方の反応性基のうち、ハロゲン原子が好ましく、ヨウ素原子、臭素原子がさらに好ましく、臭素原子がさらに好ましい。
鈴木-宮浦カップリング反応における前記一方の反応性基X1aおよびX1bとカップリング可能な他方の反応性基X2aおよびX2bとしては、例えば、ボロン酸基(ジヒドロキシボリル基または基[-B(OH)])、ボロン酸エステル基などのホウ素含有基が挙げられる。ボロン酸エステル基としては、例えば、ジメトキシボリル基、ジイソプロポキシボリル基、ジブトキシボリル基などのジアルコキシボリル基;ピナコラートボリル基(または基[-Bpin])、1,3,2-ジオキサボリナン-2-イル基、5,5-ジメチル-1,3,2-ジオキサボリナン-2-イル基などの環状ボロン酸エステル基などが挙げられる。これらの他方の反応性基は、単独でまたは2種以上組み合わせてもよい。他方の反応性基のうち、基[-B(OH)]が好ましい。
なお、基X1aおよびX1bと、基X2aおよびX2bとは、それぞれ互いにカップリング反応可能な一対の反応性基であればいずれの反応性基であってもよく、基X1aおよびX1bがボロン酸基などの前記ホウ素含有基であり、基X2aおよびX2bがハロゲン原子などの前記ホウ素非含有基(または脱離基)であってもよく、基X1aおよびX1bがハロゲン原子などの前記ホウ素非含有基であり、基X2aおよびX2bがボロン酸基などの前記ホウ素含有基であるのが好ましい。
化合物(2)(またはその塩)としては、化合物(1)(またはその塩)の好ましい態様に対応する化合物、例えば、前記式(1)のZ2a,Z2bに代えて臭素原子などのハロゲン原子が結合した化合物(Z1a,Z1bのアレーン環におけるZ2a,Z2bの結合位置に対して、ハロゲン原子が結合した化合物)(またはその塩)などが挙げられる。代表的な化合物(2)(またはその塩)としては、例えば、9,9-ビス(ハロ-カルボキシアルキルオキシ-アリール)フルオレンなどが挙げられ、具体的には、9,9-ビス[3-ブロモ-4-(3-カルボキシプロピルオキシ)-フェニル]フルオレン、9,9-ビス[5-ブロモ-6-(3-カルボキシプロピルオキシ)-2-ナフチル]フルオレンなどの9,9-ビス(ハロ-カルボキシC1-6アルキルオキシ-C6-10アリール)フルオレン、およびこれらの誘導体、例えば、アルキルエステルなどのエステル、酸クロリドなどの酸ハライド、金属塩などの塩などが挙げられる。
化合物(3a)(3b)としては、化合物(1)(またはその塩)の好ましい態様に対応する化合物、例えば、フェニルボロン酸、1-ナフチルボロン酸、2-ナフチルボロン酸などのアリールボロン酸などが挙げられ、フェニルボロン酸、2-ナフチルボロン酸などのC6-10アリールボロン酸が好ましい。
化合物(3a)と化合物(3b)とは、互いに同一の化学構造を有するのが好ましい。化合物(3a)(3b)は、市販品などを利用できる。
化合物(2)(またはその塩)と、化合物(3a)(3b)の合計量との割合は、例えば、前者/後者(モル比)=1/2~1/10程度であってもよく、好ましくは以下段階的に、1/2.1~1/5、1/2.2~1/3、1/2.25~1/2.5である。
カップリング反応は、触媒の存在下で行ってもよい。鈴木-宮浦カップリング反応により合成する場合、パラジウム触媒の存在下で反応させてもよく、パラジウム触媒としては、慣用のカップリング触媒、例えば、パラジウム(0)触媒、パラジウム(II)触媒などが挙げられる。
パラジウム(0)触媒としては、例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)[またはPd(PPh]、ビス(トリ-t-ブチルホスフィン)パラジウム(0)[またはPd(P(t-Bu)]などのパラジウム(0)-ホスフィン錯体などが挙げられる。
パラジウム(II)触媒としては、例えば、[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム(II)ジクロリド[またはPdCl(dppe)]、[1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]パラジウム(II)ジクロリド[またはPdCl(dppp)]、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド[またはPdCl(dppf)]、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド[またはPdCl(PPh]、ビス(トリ-o-トリルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド[またはPdCl(P(o-tolyl)]などのパラジウム(II)-ホスフィン錯体などが挙げられる。なお、パラジウム(II)触媒を用いる場合、例えば、ホスフィン、アミン、有機金属試薬などの反応系内の還元性化合物により、0価の錯体に還元されて反応が開始する。
なお、前記パラジウム触媒は、例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルム錯体[またはPd(dba)・CHCl]、酢酸パラジウム(II)などの触媒前駆体と、トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類、カルベン類などの配位子とを添加して反応系内で調製してもよい。前記触媒前駆体と、配位子との割合は、例えば、前者/後者(モル比)=1/2~1/10程度であってもよく、好ましくは1/2.3~1/4、さらに好ましくは1/2.5~1/3.5である。
これらの触媒は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することもできる。これらの触媒のうち、操作性(空気中での安定性)に優れる点から、特に、酢酸パラジウム(II)などの触媒前駆体が好ましい。触媒または触媒前駆体の割合は、化合物(2)(またはその塩)1モルに対して、金属換算で、例えば0.0001~0.1モル程度であってもよく、好ましくは0.001~0.05モル、さらに好ましくは0.005~0.025モルである。
鈴木-宮浦カップリング反応は、塩基の存在下で行ってもよい。塩基としては、例えば、金属炭酸塩または炭酸水素塩、金属水酸化物、金属フッ化物、金属リン酸塩、金属有機酸塩、金属アルコキシドなどが挙げられる。
金属炭酸塩または炭酸水素塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどのアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩、炭酸タリウム(I)などが挙げられる。
金属水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属水酸化物、水酸化タリウム(I)などが挙げられる。
金属フッ化物としては、例えば、フッ化カリウム、フッ化セシウムなどのアルカリ金属フッ化物などが挙げられる。
金属リン酸塩としては、例えば、リン酸三カリウムなどのアルカリ金属リン酸塩などが挙げられる。
金属有機酸塩としては、例えば、酢酸カリウムなどのアルカリ金属酢酸塩などが挙げられる。
金属アルコキシドとしては、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt-ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシドなどが挙げられる。
これらの塩基は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することもできる。好ましい塩基としては、金属炭酸塩が挙げられ、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩がさらに好ましい。塩基の割合は、化合物(2)(またはその塩)1モルに対して、例えば0.1~50モル程度であってもよく、好ましくは以下段階的に、1~5モル、2~4モル、2.5~3モルである。
カップリング反応は、相間移動触媒の存在下または非存在下で行ってもよい。相間移動触媒としては、例えば、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)、トリオクチルメチルアンモニウムクロリドなどのテトラアルキルアンモニウムハライドなどが挙げられる。これらの相間移動触媒は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することもできる。
カップリング反応は、反応に不活性な溶媒の非存在下または存在下で行ってもよい。溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノールなどのアルコール類;環状エーテル、鎖状エーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)などのケトン類;酢酸エチルなどのエステル類;アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンなどのアミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;脂肪族炭化水素類、脂環族炭化水素類、芳香族炭化水素類など炭化水素類などが挙げられる。
環状エーテルとしては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。鎖状エーテルとしては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのジアルキルエーテル、グリコールエーテル類などが挙げられる。前記グリコールエーテル類としては、例えば、メチルセロソルブ、メチルカルビトールなどの(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジメトキシエタンなどの(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテルなどが挙げられる。
脂肪族炭化水素類としては、例えば、ヘキサン、ドデカンなどが挙げられる。脂環族炭化水素類としては、シクロヘキサンなどが挙げられる。芳香族炭化水素類としては、例えば、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
これらの溶媒は単独でまたは2種以上組み合わせて使用することもできる。これらの溶媒のうち、水とMIBKなどのケトン類との混合溶媒が好ましい。水とMIBKなどのケトン類との割合は、例えば、前者/後者(質量比)=5/95~50/50程度であってもよく、好ましくは以下段階的に、10/90~40/60、15/85~35/65、20/80~30/70である。溶媒の割合は、化合物(2)(またはその塩)および化合物(3a)(3b)の総量100質量部に対して、例えば100~1000質量部、好ましくは200~800質量部、さらに好ましくは400~600質量部である。
カップリング反応は、不活性ガス雰囲気下、例えば、窒素ガス;ヘリウム、アルゴンなどの希ガスなどの雰囲気下で行ってもよく、好ましくは窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下であり、また、減圧下、常圧下または加圧下で行ってもよい。反応温度は、例えば50~150℃、好ましくは60~120℃、さらに好ましくは70~100℃、特に80~90℃であり、還流しながら反応させてもよい。反応時間は、例えば0.5~24時間程度であってもよく、好ましくは3~6時間である。
反応終了後、必要により、反応混合物を、慣用の分離精製方法、例えば、中和、洗浄、抽出、ろ過、脱水、濃縮、デカンテーション、乾燥、晶析、再沈殿、カラムクロマトグラフィー、吸着、これらを組み合わせた方法などにより分離精製してもよい。
(式(2)で表される化合物の製造方法)
化合物(2)(またはその塩)の製造方法は特に制限されず、例えば、特開2009-256332号公報、特開2009-256333号公報に記載の方法などに準じて製造してもよく、具体的には、下記式(4)で表される化合物と、下記式(5a)で表される化合物(またはその塩)および下記式(5b)で表される化合物(またはその塩)とを反応(求核反応または脱ハロゲン化水素反応)させて製造できる。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、式(4)で表される化合物を、単に、「化合物(4)」ともいい、同様に、式(5a)で表される化合物を「化合物(5a)」、式(5b)で表される化合物を「化合物(5b)」という場合がある。また、化合物(5a)および化合物(5b)を「化合物(5a)(5b)」という場合がある。
Figure 2024048159000009
[式中、X3aおよびX3bは独立してハロゲン原子を示し、
、k1、Z1aおよびZ1b、A1aおよびA1b、m1aおよびm1b、X1aおよびX1b、R2aおよびR2b、R3aおよびR3bは、それぞれ好ましい態様も含めて前記式(1)および(2)に同じ]。
化合物(4)としては、化合物(1)(またはその塩)および化合物(2)(またはその塩)の好ましい態様に対応する化合物などが挙げられ、代表的な化合物(4)としては、X3aおよびX3bが臭素原子などのハロゲン原子、m1aおよびm1bが0である化合物、例えば、9,9-ビス(ハロ-ヒドロキシ-アリール)フルオレンなどが挙げられ、具体的には、9,9-ビス[3-ブロモ-4-ヒドロキシ-フェニル]フルオレン、9,9-ビス[5-ブロモ-6-ヒドロキシ-2-ナフチル]フルオレンなどの9,9-ビス(ハロ-ヒドロキシ-C6-10アリール)フルオレンなどが挙げられる。
前記式(5a)および(5b)において、X3aおよびX3bのハロゲン原子としては、例えば、ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子などが挙げられ、好ましくは臭素原子である。
化合物(5a)(5b)としては、ハロゲン化カルボン酸またはその誘導体であってもよく、好ましくは化合物(1)(またはその塩)および化合物(2)(またはその塩)の好ましい態様に対応する化合物、例えば、ハロアルカン酸、具体的にはブロモ酢酸、2-ブロモプロピオン酸、3-ブロモプロピオン酸、2-ブロモ酪酸、3-ブロモ酪酸、4-ブロモ酪酸などのブロモアルカン酸、これらのブロモアルカン酸に対応するクロロアルカン酸(臭素原子に代えて塩素原子が結合したアルカン酸)、およびこれらの誘導体、例えば、アルキルエステルなどのエステル、酸クロリドなどの酸ハライド、金属塩などの塩などが挙げられる。好ましい化合物(5a)(5b)(またはその塩)は、ブロモアルカン酸、クロロアルカン酸などのハロアルカン酸またはこれらの誘導体であり、さらに好ましくはC2-10ブロモアルカン酸、C2-10クロロアルカン酸などのC2-10ハロアルカン酸またはこれらのエステル、なかでも、さらに好ましくはC3-6ブロモアルカン酸、C3-6クロロアルカン酸などのC3-6ハロアルカン酸またはこれらのアルキルエステル、特に、4-ブロモ酪酸エチルなどのC3-6ブロモアルカン酸またはそのC1-4アルキルエステルが好ましい。
化合物(5a)(またはその塩)と化合物(5b)(またはその塩)とは、互いに同一の化学構造を有するのが好ましい。化合物(5a)(5b)は、市販品などを利用できる。
化合物(4)と、化合物(5a)(5b)(またはその塩)の合計量との割合は、例えば、前者/後者(モル比)=1/2~1/10程度であってもよく、好ましくは以下段階的に、1/2.2~1/5、1/2.4~1/3、1/2.5~1/2.7である。
反応は、通常、塩基性化合物(塩基性触媒、塩基触媒)の存在下で行ってもよい。塩基性化合物としては、例えば、無機塩基、有機塩基などが挙げられる。
無機塩基としては、例えば、金属水酸化物、金属水素化物、金属炭酸塩、金属炭酸水素塩などが挙げられる。
金属水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物などが挙げられる。
金属水素化物としては、例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどのアルカリ金属水素化物、アルカリ土類金属水素化物などが挙げられる。
金属炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩などが挙げられる。
金属炭酸水素塩としては、例えば、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ土類金属炭酸水素塩などが挙げられる。
また、有機塩基としては、例えば、アミン類、カルボン酸金属塩、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩などが挙げられる。
アミン類としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミンなどが挙げられる。
脂肪族アミンとしては、例えば、脂肪族第3級アミンなどの第1ないし3級脂肪族アミン、具体的には、トリエチルアミン、ジエチルメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリn-プロピルアミン、トリブチルアミンなどのトリアルキルアミン、トリシクロヘキシルアミンなどのトリシクロアルキルアミン、メチルジシクロヘキシルアミンなどが挙げられる。
芳香族アミンとしては、第1ないし3級芳香族アミン、例えば、N,N-ジメチルアニリンなどの芳香族第3級アミンなどが挙げられる。
複素環式アミンとしては、例えば、第1ないし3級複素環式アミン、具体的には、ピコリン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、1-メチルイミダゾール、トリエチレンジアミン、N,N-ジメチルアミノピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ-7-センなどの複素環式第3級アミン、ピペリジンなどの複素環式第2級アミンなどが挙げられる。
カルボン酸金属塩としては、例えば、酢酸ナトリウムなどの酢酸アルカリ金属塩、酢酸カルシウムなどの酢酸アルカリ土類金属塩などが挙げられる。
第4級アンモニウム塩としては、塩化テトラエチルアンモニウムなどのテトラアルキルアンモニウムハライド、塩化ベンジルトリメチルアンモニウムなどのベンジルトリアルキルアンモニウムハライドなどが挙げられる。
第4級ホスホニウム塩としては、例えば、塩化ベンジルトリフェニルホスホニウムなどが挙げられる。
これらの塩基性化合物は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。これらのうち、金属炭酸塩などの無機塩基が好ましく、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩がさらに好ましい。
塩基性化合物の使用量は、反応に応じて調整してもよく、化合物(4)のヒドロキシル基1モルに対して、例えば0.1~10モル、好ましくは以下段階的に、1~5モル、1.5~4モル、2~3モルである。
化合物(4)と化合物(5a)(5b)(またはその塩)との反応は、溶媒の非存在下で行ってもよく、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、反応を阻害しない溶媒であれば限定されないが、例えば、アルコール類、アミド類、ニトリル類、硫黄化合物、エーテル類、炭化水素類などの有機溶媒;水などの無機溶媒などが挙げられる。
アルコール類としては、例えば、アルカノール、具体的には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノールなどのC1-6アルカノール;アルキレングリコールモノアルキルエーテル、具体的には、2-メトキシエタノールなどのC1-4アルコキシ-C2-4アルカノール;シクロヘキサノールなどのシクロアルカノール;グリセリンなどが挙げられる。
アミド類としては、例えば、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)などのN-モノまたはジC1-4アルキルホルムアミド;N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどのN-モノまたはジC1-4アルキル-アセトアミドなどが挙げられる。
ニトリル類としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリルなどが挙げられる。
硫黄化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;スルホン類、具体的には、スルホランなどの環状スルホンなどが挙げられる。
エーテル類としては、例えば、ジエチルエーテルなどのジアルキルエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテルなどの(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル;テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサンなどの環状エーテルなどが挙げられる。
炭化水素類としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類が挙げられる。
これらの溶媒は単独でまたは2種以上組み合わせてもよい。また、溶媒としては、DMFなどのアミド類が好ましい。
溶媒の割合は、例えば、化合物(4)および化合物(5a)(5b)(またはその塩)の総量100質量部に対して、例えば10~1000質量部、好ましくは100~500質量部、さらに好ましくは200~300質量部である。
反応は、攪拌しながら行ってもよく、空気中または不活性ガス雰囲気下、好ましくは窒素ガス、希ガス、例えば、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行ってもよく、また、減圧下、常圧下または加圧下で行ってもよい。反応温度は、例えば0~250℃程度であってもよく、好ましくは30~150℃、さらに好ましくは60~100℃、特に70~90℃である。また、反応は、溶媒を還流させながら行ってもよい。反応時間は、例えば1~72時間程度であってもよく、好ましくは2~6時間である。
反応終了後、必要により、反応混合物を、慣用の分離精製方法、例えば、中和、洗浄、抽出、ろ過、脱水、濃縮、乾燥、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィー、これらを組み合わせた方法などにより分離精製してもよい。
(式(4)で表される化合物の製造方法)
化合物(4)の製造方法は特に制限されず、例えば、特開2009-256334号公報に記載の方法などに準じて製造してもよく、具体的には、下記式(6)で表される化合物と、反応性基X1aおよびX1bとしてのハロゲン原子に対応するハロゲン化剤などとを反応させて製造できる。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、式(6)で表される化合物を、単に、「化合物(6)」という場合がある。
Figure 2024048159000010
[式中、R、k1、Z1aおよびZ1b、A1aおよびA1b、m1aおよびm1bは、それぞれ好ましい態様も含めて前記式(1),(2)および(4)に同じ]。
化合物(6)としては、化合物(1)、化合物(2)および化合物(4)の好ましい態様に対応する化合物などが挙げられ、代表的な化合物(6)としては、m1aおよびm1bが0である化合物、例えば、9,9-ビス(ヒドロキシアリール)フルオレンなどが挙げられ、具体的には、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(6-ヒドロキシ-2-ナフチル)フルオレンなどの9,9-ビス(ヒドロキシC6-10アリール)フルオレンなどが挙げられる。
反応性基X1aおよびX1bとしてのハロゲン原子に対応するハロゲン化剤としては、臭素(Br)などのハロゲン単体などが挙げられる。
化合物(6)と、ハロゲン化剤との割合は、例えば、前者/後者(モル比)=1/0.9~1/20程度であってもよく、好ましくは以下段階的に、1/1~1/10、1/1.5~1/3、1/2~1/2.1である。
反応を促進させるために、触媒(または添加剤)を用いてもよい。こうした触媒の例としては、反応性基X1aおよびX1bが臭素原子である場合、例えば、塩化鉄、塩化亜鉛などのルイス酸類、ヨウ素(I)など(臭素以外)のハロゲン類、鉄、ニッケルなどの重金属類、過酸化水素水、過ヨウ素酸などの酸化剤類、硫酸、塩酸、臭化水素酸などの鉱酸類などが挙げられる。
反応は、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、化合物(6)を溶解(または分散)でき、臭素などのハロゲン化剤と反応しない溶媒であればよく、例えば、エーテル類、ハロゲン系溶媒、ケトン類などが挙げられる。
エーテル類としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのジアルキルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテルなどが挙げられる。
ハロゲン系溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類などが挙げられる。
ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのジアルキルケトン類などが挙げられる。
これらの溶媒は単独でまたは2種以上組み合わせてもよい。これらの溶媒のうち、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類が好ましい。
なお、溶媒の混合方法は特に限定されず、例えば、予め化合物(4)と混合してもよく、予め化合物(4)および臭素などのハロゲン化剤に混合してもよく、溶媒の一部または全部に臭素などのハロゲン化剤に溶解させて化合物(4)に混合してもよい。
反応は、攪拌しながら行ってもよく、空気中または不活性ガス雰囲気下、好ましくは窒素ガス、希ガス、例えば、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行ってもよく、また、減圧下、常圧下または加圧下で行ってもよい。反応温度は、例えば-20℃~100℃、好ましくは-10℃~50℃、さらに好ましくは0℃~30℃、特に10~25℃である。なお、反応により発熱を伴う場合には、発生する熱を随時除去しながら反応を行ってもよい。また、反応時間は、例えば1分~48時間、好ましくは30分~12時間、さらに好ましくは1~6時間である。
なお、反応生成物は、慣用の方法、例えば、洗浄、ろ過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製してもよい。この方法では、通常、定量的に進行するため、反応生成物(反応系)からの目的物の回収は、必要に応じて残存する臭素を分解した後、分液やろ過などの操作で容易に高い純度で分離でき、さらに純度を高めるために、蒸留や再結晶などにより精製してもよい。
[樹脂]
本発明は、前記化合物(1)(またはその塩)またはその誘導体を原料(前駆体成分または中間体)とする樹脂、例えば、下記式(A-1)で表される構成単位を少なくとも含む樹脂を包含する。
Figure 2024048159000011
[式中、Rは置換基を示し、k1は0~8の整数を示し、
1aおよびZ1bは独立して置換または未置換のアレーン環を示し、
2aおよびZ2bは独立して置換または未置換のアレーン環を示し、
1aおよびA1bは独立してアルキレン基を示し、m1aおよびm1bは独立して0以上の整数を示し、
2aおよびR2bは独立して置換または未置換の2価の炭化水素基を示し、
いずれも好ましい態様を含めて前記式(1)と同様である]。
本発明の樹脂は、硬化性樹脂(熱または光硬化性樹脂)であってもよく、熱可塑性樹脂であってもよい。
硬化性樹脂(熱または光硬化性樹脂)としては、前記化合物(1)(またはその塩)を原料とする樹脂であればよく、例えば、エピハロヒドリンなどとの反応によるグリシジルエステル型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂(またはこのエポキシ樹脂を含む硬化性組成物の硬化物);ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどとの反応による(メタ)アクリル系樹脂(またはこの(メタ)アクリル系樹脂を含む硬化性組成物の硬化物);前記化合物(1)(またはその塩)と、ポリオール成分、ポリアミン成分および/またはポリイソシアネート成分などとの反応物(硬化物または三次元架橋物)などが挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、重合成分(モノマー成分)として少なくともジカルボン酸成分を含み、このジカルボン酸成分が少なくとも前記化合物(1)(またはその塩)を含んでいればよく、例えば、重合成分としてのジカルボン酸成分に加えて、さらに、ジオール成分を含むポリエステル系樹脂であってもよく、ジアミン成分などを含むポリアミド系樹脂であってもよい。
前記ポリエステル系樹脂としては、主鎖中の連結基[重合反応により、互いに隣接する構成単位(重合成分由来の構成単位)を繋ぐ結合として形成される基(2価の基)]として、少なくともエステル結合を含む樹脂であればよく、連結基全体に対して、例えば30~100モル%、好ましくは以下段階的に、50モル%以上、70モル%以上、90モル%以上のエステル結合を含んでいればよい。なお、連結基としての前記エステル結合には、炭酸エステル結合も含まれる。代表的なポリエステル系樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂のうち、成形性や光学的特性などの観点から、熱可塑性樹脂が好ましく、耐水性や寸法安定性の観点から、ポリエステル系樹脂がさらに好ましく、ポリエステル樹脂が特に好ましい。
(ジカルボン酸単位(A))
樹脂(熱可塑性樹脂)は、重合成分としてのジカルボン酸成分に対応するジカルボン酸単位(A)を少なくとも含み、このジカルボン酸単位(A)が、少なくとも前記式(A-1)で表される構成単位[第1のジカルボン酸単位(A1)]を含んでいる。
第1のジカルボン酸単位(A1)
前記式(A-1)で表される第1のジカルボン酸単位(A1)は、重合成分(ジカルボン酸成分)としての前記化合物(1)(またはその塩)[第1のジカルボン酸成分(A1)ともいう]に対応するジカルボン酸単位であって、第1のジカルボン酸単位(A1)の具体的な態様は、前記化合物(1)(またはその塩)に対応し、好ましい態様を含めて同様である。すなわち、前記式(A-1)において、R、k1、Z1aおよびZ1b、Z2aおよびZ2b、A1aおよびA1b、m1aおよびm1b、R2aおよびR2bは、それぞれ前記式(1)に対応し、好ましい態様を含めて同様であり、代表的な第1のジカルボン酸単位(A1)としては、前述した代表的な化合物(1)に対応するジカルボン酸単位が挙げられる。
第1のジカルボン酸単位(A1)単独でまたは2種以上組み合わせてもよい。好ましい第1のジカルボン酸単位(A1)は、9,9-ビス(アリール-カルボキシアルキルオキシ-アリール)フルオレンに由来する構成単位であり;さらに好ましくは9,9-ビス[3-フェニル-4-(3-カルボキシプロピルオキシ)-フェニル]フルオレン、9,9-ビス[3-(2-ナフチル)-4-(3-カルボキシプロピルオキシ)-フェニル]フルオレン、9,9-ビス[3-(1-ナフチル)-4-(3-カルボキシプロピルオキシ)-フェニル]フルオレン、9,9-ビス[5-フェニル-6-(3-カルボキシプロピルオキシ)-2-ナフチル]フルオレン、9,9-ビス[5-(2-ナフチル)-6-(3-カルボキシプロピルオキシ)-2-ナフチル]フルオレン、9,9-ビス[5-(1-ナフチル)-6-(3-カルボキシプロピルオキシ)-2-ナフチル]フルオレンなどの9,9-ビス(C6-10アリール-カルボキシC1-6アルキルオキシ-C6-10アリール)フルオレンに由来する構成単位であり;特に、9,9-ビス[5-フェニル-6-(3-カルボキシプロピルオキシ)-2-ナフチル]フルオレン、9,9-ビス[5-(2-ナフチル)-6-(3-カルボキシプロピルオキシ)-2-ナフチル]フルオレンなどの9,9-ビス(C6-10アリール-カルボキシC2-5アルキルオキシ-ナフチル)フルオレンに由来する構成単位が好ましい。
これらの好ましい態様の第1のジカルボン酸単位(A1)の割合、特に、9,9-ビス(C6-10アリール-カルボキシC1-6アルキルオキシ-C6-10アリール)フルオレンに由来する構成単位などの割合は、第1のジカルボン酸単位(A1)全体に対して、例えば10~100モル%程度、好ましくは以下段階的に、30モル%以上、50モル%以上、70モル%以上、90モル%以上、実質的に100モル%であり、第1のジカルボン酸単位(A1)が上記好ましい態様の第1のジカルボン酸単位(A1)のみであるのが好ましい。
第1のジカルボン酸単位(A1)の割合は、ジカルボン酸単位(A)全体に対して、例えば5~100モル%程度であってもよく、好ましくは以下段階的に、10~90モル%、20~80モル%、30~70モル%、40~60モル%、45~55モル%である。異常分散特性(部分分散比θgF値)を向上し易い点では、第1のジカルボン酸単位(A1)の割合は、ジカルボン酸単位(A)全体に対して、例えば10~50モル%程度であってもよく、好ましくは以下段階的に、15~45モル%、20~40モル%、25~35モル%である。第1のジカルボン酸単位(A1)の割合が少なすぎると、樹脂の屈折率や耐熱性を十分に向上し難くなったり、樹脂の複屈折が増加し易くなったり、樹脂の異常分散特性(部分分散比θgF値)が低下するおそれがある。第1のジカルボン酸単位(A1)の割合が多すぎると、樹脂の異常分散特性(部分分散比θgF値)が低下するおそれがある。
第2のジカルボン酸単位(A2)
前記ジカルボン酸単位(A)は、第1のジカルボン酸単位(A1)に加えて、さらに、下記式(A-2)で表される第2のジカルボン酸単位(A2)を少なくとも含んでいてもよい。第1のジカルボン酸単位(A1)と第2のジカルボン酸単位(A2)とを組み合わせると、樹脂の屈折率や耐熱性を向上しつつ、複屈折を低減し易い。また、樹脂の異常分散特性(部分分散比θgF値)も向上できる傾向にある。
Figure 2024048159000012
(式中、Zは置換または未置換のアレーン環を示す)。
前記式(A-2)において、Zのアレーン環としては、例えば、ベンゼン環などの単環式アレーン環、多環式アレーン環などが挙げられ、多環式アレーン環としては、例えば、縮合多環式アレーン環、環集合アレーン環などが挙げられる。
縮合多環式アレーン環としては、例えば、前記式(1)の項において、Z1a,Z1bとして例示したものと同様の縮合多環式アレーン環などが挙げられ、好ましくは、ナフタレン環などの縮合多環式C10-14アレーン環である。
環集合アレーン環としては、例えば、前記式(1)の項において、Z2a,Z2bとして例示したものと同様の環集合アレーン環などが挙げられ、好ましくは、ビフェニル環などのC12-18ビアレーン環である。
における代表的なアレーン環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環などのC6-14アレーン環が挙げられ、好ましくは単環式または縮合多環式アレーン環であり、さらに好ましくはベンゼン環、ナフタレン環などのC6-10アレーン環、特にナフタレン環である。
の前記アレーン環において、前記式(A-2)両側の2つのカルボニル基の置換位置(結合位置)は、例えば、互いに隣接していてもよく、好ましくは隣接していない離れた位置、さらに好ましくは最も離れた位置である。具体的には、Zのアレーン環がナフタレン環である場合、一方のカルボニル基との置換位置である1位または2位に対して、他方のカルボニル基が5~8位に置換していてもよく、好ましくは2位に対して6位(2,6位)の位置関係である。
における前記アレーン環は、未置換のアレーン環、すなわち、前記式(A-2)両側の2つのカルボニル基以外に置換基(以下、基[-RZ3]ともいう)を有しないアレーン環であってもよく、1または複数の置換基(基[-RZ3])を有するアレーン環であってもよい。このような置換基[-RZ3]としては、反応に不活性な非反応性基(または非重合性基)であってもよく、例えば、ハロゲン原子、炭化水素基、基[-ORhZ3](式中、RhZ3は炭化水素基を示す)、基[-SRhZ3](式中、RhZ3は炭化水素基を示す)、アシル基、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基(モノまたはジ置換アミノ基)などが挙げられる。
置換基[-RZ3]におけるハロゲン原子、アシル基、置換アミノ基(モノまたはジ置換アミノ基)としては、例えば、前記式(1)の項において、Rとして例示したハロゲン原子、アシル基、置換アミノ基(モノまたはジ置換アミノ基)とそれぞれ同様のものが例示できる。
置換基[-RZ3]における炭化水素基としては、例えば、前記式(1)の項において、Rの炭化水素基として例示したアルキル基(直鎖状または分岐鎖状アルキル基)、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基とそれぞれ同様の基などが挙げられる。
基[-ORhZ3]、基[-SRhZ3]において、炭化水素基RhZ3としては、例えば、前記式(1)の項において、Rにおいて炭化水素基として例示したアルキル基(直鎖状または分岐鎖状アルキル基)、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基とそれぞれ同様の基などが挙げられる。基[-ORhZ3]、基[-SRhZ3]において、炭化水素基RhZ3の種類は、互いに同一または異なっていてもよい。
基[-ORhZ3]としては、例えば、前記式(1)の項において、R(基[-ORh1])として例示したアルコキシ基(直鎖状または分岐鎖状アルコキシ基)、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基などとそれぞれ同様の基などが挙げられる。
基[-SRhZ3]としては、例えば、前記式(1)の項において、Z1a,Z1bの置換基[-RZ1](基[-SRhZ1])として例示したアルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基などとそれぞれ同様の基などが挙げられる。
代表的な置換基[-RZ3]としては、ハロゲン原子、炭化水素基、基[-ORhZ3]、アシル基、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基などが挙げられ;好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などの炭化水素基、アルコキシ基などの基[-ORhZ3]が挙げられ;さらに好ましくはメチル基などの直鎖状または分岐鎖状C1-6アルキル基、シクロヘキシル基などのC5-8シクロアルキル基、フェニル基などのC6-14アリール基、メトキシ基などの直鎖状または分岐鎖状C1-4アルコキシ基が挙げられる。置換基[-RZ3]のなかでもアルキル基が好ましく、特に、メチル基などの直鎖状または分岐鎖状C1-4アルキル基が好ましい。
における置換基[-RZ3]の置換数は、アレーン環の種類に応じて、例えば0~5程度の整数、好ましくは以下段階的に、0~3の整数、0~2の整数、0または1、0である。Zにおける置換数が2以上である場合、2以上の置換基[-RZ3]の種類は、互いに同一または異なっていてもよい。
代表的な第2のジカルボン酸単位(A2)としては、例えば、単環式芳香族ジカルボン酸、多環式芳香族ジカルボン酸などの第2のジカルボン酸成分(A2)に由来する構成単位などが挙げられる。単環式芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸などのベンゼンジカルボン酸;アルキルベンゼンジカルボン酸、具体的には、4-メチルイソフタル酸などのC1-4アルキル-ベンゼンジカルボン酸などが挙げられる。
多環式芳香族ジカルボン酸としては、例えば、縮合多環式芳香族ジカルボン酸(縮合多環式アレーンジカルボン酸)、具体的には、ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸などの縮合多環式C10-24アレーン-ジカルボン酸など;ビアリールジカルボン酸、具体的には、2,2’-ビフェニルジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、3,3’-ジカルボキシ-1,1’-ビナフチルなどのビC6-10アリール-ジカルボン酸などが挙げられる。
前記ナフタレンジカルボン酸としては、1,2-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。
第2のジカルボン酸単位(A2)は単独でまたは2種以上組み合わせてもよい。好ましい第2のジカルボン酸単位(A2)としては、C10-14縮合多環式アレーン-ジカルボン酸などの縮合多環式アレーンジカルボン酸に対応する構成単位などが挙げられ、好ましくは2,6-ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸に対応する構成単位である。
これらの好ましい態様の第2のジカルボン酸単位(A2)の割合、特に、ナフタレンジカルボン酸に由来する構成単位などの割合は、第2のジカルボン酸単位(A2)全体に対して、例えば10~100モル%程度、好ましくは以下段階的に、30モル%以上、50モル%以上、70モル%以上、90モル%以上、実質的に100モル%であり、第2のジカルボン酸単位(A2)が上記好ましい態様の第2のジカルボン酸単位(A2)のみであるのが好ましい。
第1のジカルボン酸単位(A1)と、第2のジカルボン酸単位(A2)との割合(A1/A2ともいう)は、例えば、前者/後者(モル比)=10/90~90/10程度であってもよく、好ましくは以下段階的に、20/80~80/20、30/70~70/30、40/60~60/40、45/55~55/45である。異常分散特性(部分分散比θgF値)を向上し易い点では、A1/A2(モル比)は、例えば10/90~50/50程度であってもよく、好ましくは以下段階的に、15/85~45/55、20/80~40/60、25/75~35/65である。第2のジカルボン酸単位(A2)の割合が少なすぎると、樹脂の異常分散特性(部分分散比θgF値)が低下するおそれがある。第2のジカルボン酸単位(A2)の割合が多すぎると、樹脂の屈折率や耐熱性を十分に向上し難くなったり、樹脂の複屈折が増加し易くなったり、樹脂の異常分散特性(部分分散比θgF値)が低下するおそれがある。
第3のジカルボン酸単位(A3)
なお、ジカルボン酸単位(A)は、必要に応じて、第1のジカルボン酸単位(A1)および第2のジカルボン酸単位(A2)とは異なる[第1~2のジカルボン酸単位(A1)~(A2)の範疇に属さない]第3のジカルボン酸単位(A3)を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。
第3のジカルボン酸単位(A3)としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸成分、脂環族ジカルボン酸成分、芳香族ジカルボン酸成分などの第3のジカルボン酸成分(A3)に由来する構成単位が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アルカンジカルボン酸(直鎖状または分岐鎖状アルカンジカルボン酸)、具体的には、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸などのC2-12アルカン-ジカルボン酸など;不飽和脂肪族ジカルボン酸(直鎖状または分岐鎖状不飽和脂肪族ジカルボン酸)、具体的には、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのC2-10アルケン-ジカルボン酸;およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
脂環族ジカルボン酸成分としては、例えば、シクロアルカンジカルボン酸、具体的には、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸などのC5-10シクロアルカン-ジカルボン酸など;架橋環式シクロアルカンジカルボン酸、具体的には、デカリンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸などのビまたはトリシクロアルカンジカルボン酸など;シクロアルケンジカルボン酸、具体的には、シクロヘキセンジカルボン酸などのC5-10シクロアルケン-ジカルボン酸など;架橋環式シクロアルケンジカルボン酸、具体的には、ノルボルネンジカルボン酸などのビまたはトリシクロアルケンジカルボン酸;およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
芳香族ジカルボン酸成分[ただし、第1~2のジカルボン酸単位(A1)~(A2)に対応するジカルボン酸成分を除く]としては、例えば、ビス(カルボキシアルコキシ)ビアリール、具体的には、2,2’-ビス(カルボキシメトキシ)-1,1’-ビナフチルなどのビス(カルボキシC1-4アルコキシ)ビC6-10アリールなど;ビス[(カルボキシアルコキシ)-アリール]アルカン、具体的には、ビス[2-(カルボキシメトキシ)-1-ナフチル]メタンなどのビス[(カルボキシC1-4アルコキシ)-C6-10アリール)C1-6アルカンなど;ジアリールアルカンジカルボン酸、具体的には、4,4’-ジフェニルメタンジカルボン酸などのジC6-10アリールC1-6アルカン-ジカルボン酸など;ジアリールケトンジカルボン酸、具体的には、4.4’-ジフェニルケトンジカルボン酸などのジ(C6-10アリール)ケトン-ジカルボン酸など;ジアリールエーテルジカルボン酸、具体的には、4.4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸などのジ(C6-10アリール)エーテル-ジカルボン酸など;ジアリールスルホンジカルボン酸、具体的には、4.4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸などのジ(C6-10アリール)スルホン-ジカルボン酸;およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
第3のジカルボン酸単位(A3)は、単独でまたは二種以上組み合わせて含まれていてもよい。
第3のジカルボン酸単位(A3)の割合は、ジカルボン酸単位(A)全体に対して、例えば50モル%未満、好ましくは30モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下であり、実質的に第3のジカルボン酸単位(A3)を含まないのが好ましく、第3のジカルボン酸単位(A3)を含む場合の前記割合は、例えば0.1~5モル%程度であってもよい。
第1のジカルボン酸単位(A1)および第2のジカルボン酸単位(A2)の総量の割合は、ジカルボン酸単位(A)全体に対して、例えば10モル%以上、具体的には30~100モル%程度の範囲から選択してもよく、好ましくは以下段階的に、50モル%以上、70モル%以上、90モル%以上、実質的に100モル%であり、ジカルボン酸単位(A)が第1のジカルボン酸単位(A1)および第2のジカルボン酸単位(A2)のみであるのが好ましい。
なお、ジカルボン酸単位(A)[第1~3のジカルボン酸単位(A1)~(A3)の総量]の割合は、樹脂(熱可塑性樹脂)の構成単位全体(樹脂を構成する全てのモノマー成分由来の単位の総量)に対して、例えば10モル%以上、具体的には20~50モル%程度であってもよく、好ましくは以下段階的に、30~50モル%、40~50モル%、45~50モル%、実質的に50モル%である。
(ジオール単位(B))
樹脂(熱可塑性樹脂)は、ジカルボン酸単位(A)に加えて、さらに、重合成分としてのジオール成分に由来するジオール単位(B)を少なくとも含むポリエステル系樹脂であるのが好ましい。
代表的なジオール単位(B)としては、例えば、後述する第1のジオール単位(B1)、第2のジオール単位(B2)などが挙げられ、これらのジオール単位は、単独でまたは2種以上組み合わせて含まれていてもよい。
ジオール単位(B)は、第1のジオール単位(B1)および第2のジオール単位(B2)から選択された少なくとも一種のジオール単位を含むのが好ましく、第1のジオール単位(B1)を少なくとも含むのがさらに好ましく、特に、第1のジオール単位(B1)および第2のジオール単位(B2)の双方を少なくとも含むのが好ましい。
第1のジオール単位(B1)
第1のジオール単位(B1)は、下記式(B-1)で表される。第1のジオール単位(B1)を、第1のジカルボン酸単位(A1)に組み合わせると、好ましくは第1のジカルボン酸単位(A1)および第2のジカルボン酸単位(A2)に組み合わせると、樹脂の屈折率や耐熱性を向上しつつ、複屈折を低減し易く、フルオレン骨格を含むにもかかわらず、樹脂の異常分散特性(部分分散比θgF値)も向上できる傾向にある。
Figure 2024048159000013
(式中、Rは置換基を示し、k4は0~8の整数を示し、
4aおよびZ4bは独立して置換または未置換のアレーン環を示し、
2aおよびA2bは独立して直鎖状または分岐鎖状アルキレン基を示し、m2aおよびm2bは独立して0または1以上の整数を示す)。
前記式(B-1)において、置換基Rとしては、反応に不活性な非反応性基(または非重合性基)であってもよく、例えば、ハロゲン原子、炭化水素基、基[-ORh4](式中、Rh4は炭化水素基を示す)、基[-SRh4](式中、Rh4は炭化水素基を示す)、アシル基、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基(モノまたはジ置換アミノ基)などが挙げられる。
におけるハロゲン原子、アシル基、置換アミノ基(モノまたはジ置換アミノ基)としては、例えば、前記式(1)の項において、Rとして例示したハロゲン原子、アシル基、置換アミノ基(モノまたはジ置換アミノ基)とそれぞれ同様のものが例示できる。
における炭化水素基としては、例えば、前記式(1)の項において、Rにおいて炭化水素基として例示したアルキル基(直鎖状または分岐鎖状アルキル基)、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基とそれぞれ同様の基などが挙げられる。
基[-ORh4]、基[-SRh4]において、炭化水素基Rh4としては、例えば、前記式(1)の項において、Rの炭化水素基として例示したアルキル基(直鎖状または分岐鎖状アルキル基)、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基とそれぞれ同様の基などが挙げられる。基[-ORh4]、基[-SRh4]において、炭化水素基Rh4の種類は、互いに同一または異なっていてもよい。
基[-ORh4]としては、例えば、前記式(1)の項において、R(基[-ORh1])として例示したアルコキシ基(直鎖状または分岐鎖状アルコキシ基)、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基などとそれぞれ同様の基などが挙げられる。
基[-SRh4]としては、例えば、前記式(1)の項において、Z1a,Z1bの置換基[-RZ1](基[-SRhZ1])として例示したアルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基などとそれぞれ同様の基などが挙げられる。
代表的なRとしては、ハロゲン原子、炭化水素基、基[-ORh4]、アシル基、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基などが挙げられ;好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などの炭化水素基、アルコキシ基などの基[-ORh4]が挙げられ;さらに好ましくはメチル基などの直鎖状または分岐鎖状C1-6アルキル基、シクロヘキシル基などのC5-8シクロアルキル基、フェニル基などのC6-14アリール基、メトキシ基などの直鎖状または分岐鎖状C1-4アルコキシ基が挙げられる。Rのなかでもアルキル基が好ましく、特に、メチル基などの直鎖状または分岐鎖状C1-4アルキル基が好ましい。
の置換数k4としては、例えば、Rの置換数k1として例示した範囲と同様の範囲の数などが挙げられ、好ましくは0~2の整数、さらに好ましくは0または2、特に0が好ましい。なお、フルオレン環を構成する2つのベンゼン環におけるRの各置換数(1~4位における置換数と、5~8位における置換数と)は、互いに異なっていてもよいが、同一であるのが好ましい。
なお、Rの置換数k4が複数(2以上)である場合、フルオレン環を構成する2つのベンゼン環のうち、一方のベンゼン環に置換する2以上の基Rの種類は、同一または異なっていてもよく;また、双方のベンゼン環にそれぞれ置換する基Rの種類は異なっていてもよいが、同一が好ましい。なお、Rの結合位置(置換位置)は、フルオレン環の1~8位であれば特に制限されず、例えば、フルオレン環の2位、7位、2,7位などが挙げられ、2,7位が好ましい。
4aおよびZ4bのアレーン環としては、例えば、ベンゼン環などの単環式アレーン環、多環式アレーン環などが挙げられ、多環式アレーン環としては、例えば、縮合多環式アレーン環、環集合アレーン環などが挙げられる。
縮合多環式アレーン環としては、例えば、前記式(1)の項において、Z1a,Z1bとして例示したものと同様の縮合多環式アレーン環などが挙げられ、好ましい縮合多環式アレーン環は、ナフタレン環などの縮合多環式C10-14アレーン環である。
環集合アレーン環としては、例えば、前記式(1)の項において、Z2a,Z2bとして例示したものと同様の環集合アレーン環などが挙げられ、好ましい環集合アレーン環は、ビフェニル環などのC12-18ビアレーン環である。
4aおよびZ4bにおける代表的なアレーン環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環などのC6-14アレーン環が挙げられ、好ましくは単環式または縮合多環式アレーン環であり、さらに好ましくはベンゼン環、ナフタレン環などのC6-10アレーン環、特にベンゼン環である。
4aおよびZ4bにおけるアレーン環の種類は、互いに異なっていてもよいが、同一が好ましい。
4aおよびZ4bのアレーン環において、フルオレン環の9位、および基[-O-(A2aO)m2a-],[-O-(A2bO)m2b-]との置換位置(結合位置)は特に制限されないが、フルオレン環の9位との結合位置に対して、例えば、隣接していない離れた置換位置、好ましくは最も離れた置換位置に基[-O-(A2aO)m2a-],[-O-(A2bO)m2b-]が置換(結合)するのが好ましい。具体的には、Z4a,Z4bがベンゼン環の場合、フルオレン環の9位との結合位置としてのベンゼン環の1位(またはフェニル基)に対して、2位、3位または4位、好ましくは3位または4位、特に4位(パラ位)に基[-O-(A2aO)m2a-],[-O-(A2bO)m2b-]が置換(結合)するのが好ましい。また、Z4a,Z4bがナフタレン環の場合、例えば、フルオレン環の9位との結合位置としてのナフタレン環の1位または2位(1-ナフチル基または2-ナフチル基)に対して、5~8位のいずれかの位置、好ましくは5位または6位に(1,5位または2,6位の位置関係で)基[-O-(A2aO)m2a-],[-O-(A2bO)m2b-]が置換(結合)するのが好ましい。Z4a,Z4bがビフェニル環の場合、例えば、フルオレン環の9位との結合位置としてのビフェニル環の3位(3-ビフェニル基)に対して、6位に(3,6位の位置関係で)基[-O-(A2aO)m2a-],[-O-(A2bO)m2b-]が置換(結合)するのが好ましい。
4aおよびZ4bにおける前記アレーン環は、未置換のアレーン環、すなわち、フルオレン環の9位、および基[-O-(A2aO)m2a-],[-O-(A2bO)m2b-]との置換位置(結合位置)以外の位置に置換基(以下、基[-RZ4]ともいう)を有しないアレーン環であってもよく、1または複数の置換基(基[-RZ4])が置換(結合)したアレーン環であってもよい。このような置換基[-RZ4]としては、反応に不活性な非反応性基(または非重合性基)であってもよく、例えば、ハロゲン原子、炭化水素基、基[-ORhZ4](式中、RhZ4は炭化水素基を示す)、基[-SRhZ4](式中、RhZ4は炭化水素基を示す)、アシル基、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基(モノまたはジ置換アミノ基)などが挙げられる。
置換基[-RZ4]におけるハロゲン原子、アシル基、置換アミノ基(モノまたはジ置換アミノ基)としては、例えば、前記式(1)の項において、Rとして例示したハロゲン原子、アシル基、置換アミノ基(モノまたはジ置換アミノ基)とそれぞれ同様のものが例示できる。
置換基[-RZ4]における炭化水素基としては、例えば、前記式(1)の項において、Rの炭化水素基として例示したアルキル基(直鎖状または分岐鎖状アルキル基)、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基とそれぞれ同様の基などが挙げられる。
基[-ORhZ4]、基[-SRhZ4]において、炭化水素基RhZ4としては、例えば、前記式(1)の項において、Rの炭化水素基として例示したアルキル基(直鎖状または分岐鎖状アルキル基)、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基とそれぞれ同様の基などが挙げられる。基[-ORhZ4]、基[-SRhZ4]において、炭化水素基RhZ4の種類は、互いに同一または異なっていてもよい。
基[-ORhZ4]としては、例えば、前記式(1)の項において、R(基[-ORh1])として例示したアルコキシ基(直鎖状または分岐鎖状アルコキシ基)、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基などとそれぞれ同様の基などが挙げられる。
基[-SRhZ4]としては、例えば、前記式(1)の項において、Z1a,Z1bの置換基[-RZ1](基[-SRhZ1])として例示したアルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基などとそれぞれ同様の基などが挙げられる。
代表的な置換基[-RZ4]としては、ハロゲン原子、炭化水素基、基[-ORhZ4]、アシル基、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基などが挙げられ;好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などの炭化水素基、アルコキシ基などの基[-ORhZ4]が挙げられ;さらに好ましくはメチル基などの直鎖状または分岐鎖状C1-6アルキル基、シクロヘキシル基などのC5-8シクロアルキル基、フェニル基などのC6-14アリール基、メトキシ基などの直鎖状または分岐鎖状C1-4アルコキシ基が挙げられる。置換基[-RZ4]のなかでもアルキル基が好ましく、特に、メチル基などの直鎖状または分岐鎖状C1-4アルキル基が好ましい。
4a,Z4bの各アレーン環における置換基[-RZ4]の置換数は、アレーン環の種類に応じて、それぞれ、例えば0~5程度の整数、好ましくは以下段階的に、0~3の整数、0~2の整数、0または1、0である。Z4aにおける置換数と、Z4bにおける置換数とは、互いに異なっていてもよいが、同一が好ましい。Z4aにおける置換数が2以上である場合、2以上の置換基[-RZ4]の種類は、互いに同一または異なっていてもよく;Z4bにおける置換数が2以上である場合、2以上の置換基[-RZ4]の種類は、互いに同一または異なっていてもよい。また、Z4aにおける置換基[-RZ4]の種類と、Z4bにおける置換基[-RZ4]の種類は、互いに異なっていてもよいが、同一が好ましい。
2aおよびA2bで表されるアルキレン基(直鎖状または分岐鎖状アルキレン基)としては、例えば、前記式(1)の項において、A1a、A1bとして例示したアルキレン基と同様の基などが挙げられ、代表的にはC2-6アルキレン基、好ましくはC2-4アルキレン基、さらに好ましくはエチレン基、プロピレン基などのC2-3アルキレン基、特に好ましくはエチレン基である。
アルキレンオキシ基[-(A2aO)-],[-(A2bO)-]の繰り返し数(付加モル数)m2a,m2bは、それぞれ0または1以上であればよく、例えば0~15程度の整数から選択してもよく、好ましくは以下段階的に、0~10の整数、0~6の整数、0~4の整数、0~2の整数、0または1、特に、1である。なお、m2a,m2bは、それぞれ1以上であると重合反応性を向上し易く好ましい。また、m2a,m2bは平均値(算術平均値、相加平均値)または平均付加モル数であってもよく、m2a,m2bはそれぞれ、例えば0~15程度の範囲から選択してもよく、好ましくは以下段階的に、0~10、0~6、0~4、0~2、0~1、特に、1である。m2a,m2bが大きすぎると、耐熱性や屈折率が低下するおそれがある。また、m2a,m2bは、互いに同一または異なっていてもよい。m2aが2以上の場合、2以上のアルキレンオキシ基[-(A2aO)-]の種類は互いに異なっていてもよいが、同一が好ましく、m2bが2以上の場合、2以上のアルキレンオキシ基[-(A2bO)-]の種類は互いに異なっていてもよいが、同一が好ましい。また、A2aおよびA2bの種類は、互いに同一または異なっていてもよい。
代表的な第1のジオール単位(B1)に対応する第1のジオール成分(B1)としては、例えば、前記式(B-1)において、m2aおよびm2bが0である9,9-ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン類;m2aおよびm2bが1以上、例えば1~10程度である9,9-ビス[ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリール]フルオレン類などが挙げられる。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、特に断りのない限り、「(ポリ)アルコキシ」とは、アルコキシ基およびポリアルコキシ基の双方を含む意味に用いる。
9,9-ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン類としては、例えば、9,9-ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(アルキル-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(アリール-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレンなどが挙げられる。
9,9-ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレンとしては、例えば、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンなどが挙げられる。
9,9-ビス(アルキル-ヒドロキシフェニル)フルオレンとしては、例えば、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9-ビス[(モノまたはジ)C1-4アルキル-ヒドロキシフェニル]フルオレンなどが挙げられる。
9,9-ビス(アリール-ヒドロキシフェニル)フルオレンとしては、例えば、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9-ビス(C6-10アリール-ヒドロキシフェニル)フルオレンなどが挙げられる。
9,9-ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレンとしては、例えば、9,9-ビス(6-ヒドロキシ-2-ナフチル)フルオレン、9,9-ビス(5-ヒドロキシ-1-ナフチル)フルオレンなどが挙げられる。
9,9-ビス[ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリール]フルオレン類としては、例えば、9,9-ビス[ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル]フルオレン、9,9-ビス[アルキル-ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル]フルオレン、9,9-ビス[アリール-ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル]フルオレン、9,9-ビス[ヒドロキシ(ポリ)アルコキシナフチル]フルオレンなどが挙げられる。
9,9-ビス[ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル]フルオレンとしては、例えば、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9-ビス[ヒドロキシ(モノないしデカ)C2-4アルコキシ-フェニル]フルオレンなどが挙げられる。
9,9-ビス[アルキル-ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル]フルオレンとしては、例えば、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3,5-ジメチルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシプロポキシ)-3-メチルフェニル]フルオレンなどの9,9-ビス[(モノまたはジ)C1-4アルキル-ヒドロキシ(モノないしデカ)C2-4アルコキシ-フェニル]フルオレンなどが挙げられる。
9,9-ビス[アリール-ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル]フルオレンとしては、例えば、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシプロポキシ)-3-フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9-ビス[C6-10アリール-ヒドロキシ(モノないしデカ)C2-4アルコキシ-フェニル]フルオレンなどが挙げられる。
9,9-ビス[ヒドロキシ(ポリ)アルコキシナフチル]フルオレンとしては、例えば、9,9-ビス[6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ナフチル]フルオレン、9,9-ビス[5-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-ナフチル]フルオレン、9,9-ビス[6-(2-ヒドロキシプロポキシ)-2-ナフチル]フルオレンなどの9,9-ビス[ヒドロキシ(モノないしデカ)C2-4アルコキシ-ナフチル]フルオレンなどが挙げられる。
第1のジオール単位(B1)は、単独でまたは二種以上組み合わせて含んでいてもよい。好ましい第1のジオール単位(B1)としては、9,9-ビス[ヒドロキシ(モノないしペンタ)C2-4アルコキシC6-10アリール]フルオレンなどの9,9-ビス[ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリール]フルオレン類由来の構成単位であり;さらに好ましくは9,9-ビス[ヒドロキシC2-4アルコキシC6-10アリール]フルオレン由来の構成単位;特に好ましくは9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9-ビス[ヒドロキシC2-3アルコキシ-フェニル]フルオレン由来の構成単位である。
これらの好ましい態様の第1のジオール単位(B1)の割合、特に、9,9-ビス[ヒドロキシC2-4アルコキシC6-10アリール]フルオレンなどの9,9-ビス[ヒドロキシアルコキシアリール]フルオレンに由来する構成単位などの割合は、第1のジオール単位(B1)全体に対して、例えば10~100モル%程度、好ましくは以下段階的に、30モル%以上、50モル%以上、70モル%以上、90モル%以上、実質的に100モル%であり、第1のジオール単位(B1)が上記好ましい態様の第1のジオール単位(B1)のみであるのが好ましい。
第1のジオール単位(B1)の割合は、ジオール単位(B)全体に対して、例えば10~100モル%程度であってもよく、好ましくは以下段階的に、30~100モル%、50~99モル%、70~95モル%、75~92モル%、80~90モル%である。第1のジオール単位(B1)の割合が少なすぎると、樹脂の屈折率や耐熱性を十分に向上し難くなるおそれがある。第1のジオール単位(B1)の割合が多すぎると、樹脂の分子量を十分に向上できなかったり、機械的特性が低下したりするおそれがある。
第2のジオール単位(B2)
第2のジオール単位(B2)は、下記式(B-2)で表される。第2のジオール単位(B2)を含むと、重合反応が効率よく進行して高分子量に調製し易く、樹脂の機械的特性(柔軟性または靱性)を改善して成形性や取り扱い性も向上できる。
Figure 2024048159000014
(式中、Aは直鎖状または分岐鎖状アルキレン基を示し、m3は1以上の整数を示す)。
で表されるアルキレン基(直鎖状または分岐鎖状アルキレン基)としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、1,2-ブタンジイル基、1,3-ブタンジイル基、テトラメチレン基、1,5-ペンタンジイル基、1,6-ヘキサンジイル基、1,8-オクタンジイル基、1,10-デカンジイル基などのC2-12アルキレン基などが挙げられる。好ましいアルキレン基Aは以下段階的に、C2-8アルキレン基、C2-6アルキレン基、C2-4アルキレン基であり、さらに好ましくはエチレン基、プロピレン基などのC2-3アルキレン基であり、特にエチレン基が好ましい。
アルキレンオキシ基[-(AO)-]の繰り返し数(付加モル数)m3は、例えば1~15程度の整数から選択してもよく、好ましくは以下段階的に、1~10の整数、1~6の整数、1~4の整数、1~2の整数、特に、1である。また、m3は平均値(算術平均値、相加平均値)または平均付加モル数であってもよく、例えば1~15程度の範囲から選択してもよく、好ましくは以下段階的に、1~10、1~6、1~4、1~2、特に、1である。m3が大きすぎると、耐熱性や屈折率が低下するおそれがある。m3が2以上の場合、2以上のアルキレンオキシ基[-(AO)-]の種類は互いに異なっていてもよいが、同一が好ましい。
第2のジオール単位(B2)に対応する第2のジオール成分(B2)としては、例えば、アルカンジオール(またはアルキレングリコール)、ポリアルカンジオール(またはポリアルキレングリコール)などが挙げられる。
アルキレングリコール(直鎖状または分岐鎖状アルキレングリコール)としては、例えば、前記式(B-2)においてm3が1、Aが前記例示のアルキレン基に対応する化合物、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、テトラメチレングリコール(または1,4-ブタンジオール)、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオールなどのC2-12アルキレングリコールなどが挙げられ、好ましい態様は前記アルキレン基Aに対応して同様である。
ポリアルキレングリコール(直鎖状または分岐鎖状ポリアルキレングリコール)としては、例えば、前記式(B-2)においてm3が2以上、好ましくは2~10、より好ましくは2~6、さらに好ましくは2~4であり、Aが前記例示のアルキレン基に対応する化合物、具体的には、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコールなどのジないしデカC2-12アルキレングリコールなどが挙げられ、好ましくはジないしヘキサC2-6アルキレングリコール、さらに好ましくはジないしテトラC2-4アルキレングリコールが挙げられる。
第2のジオール単位(B2)は、単独でまたは二種以上組み合わせて含まれていてもよい。好ましい第2のジオール単位(B2)は、耐熱性を高く維持し易い点から、C2-6アルキレングリコールなどのアルキレングリコール由来の構成単位であり;より好ましくはC2-4アルキレングリコール由来の構成単位;さらに好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコールなどのC2-3アルキレングリコール由来の構成単位;特に好ましくはエチレングリコール由来の構成単位である。
これらの好ましい態様の第2のジオール単位(B2)の割合、特に、C2-4アルキレングリコールなどのアルキレングリコールなどに由来する構成単位などの割合は、第2のジオール単位(B2)全体に対して、例えば10~100モル%程度、好ましくは以下段階的に、30モル%以上、50モル%以上、70モル%以上、90モル%以上、実質的に100モル%であり、第2のジオール単位(B2)が上記好ましい態様の第2のジオール単位(B2)のみであるのが好ましい。
前記第1のジオール単位(B1)と、前記第2のジオール単位(B2)との割合(B1/B2ともいう)は、前者/後者(モル比)=10/90~100/0程度であってもよく、好ましくは以下段階的に、30/70~100/0、50/50~99/1、70/30~95/5、75/25~92/8、80/20~90/10である。第2のジオール単位(B2)の割合が少なすぎると、樹脂の分子量を十分に向上できなかったり、機械的特性が低下したりするおそれがある。第2のジオール単位(B2)の割合が多すぎると、樹脂の屈折率や耐熱性を十分に向上し難くなるおそれがある。
第3のジオール単位(B3)
なお、ジオール単位(B)は、必要に応じて、第1のジオール単位(B1)および第2のジオール単位(B2)とは異なる[第1~2のジオール単位(B1)~(B2)の範疇に属さない]第3のジオール単位(B3)を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。
第3のジオール単位(B3)としては、例えば、芳香族ジオール、脂環族ジオール、およびこれらのジオール成分のアルキレンオキシド(またはアルキレンカーボネート、ハロアルカノール)付加体などの第3のジオール成分(B3)に由来する構成単位などが挙げられる。
芳香族ジオール[ただし、第1のジオール成分(B1)を除く]としては、例えば、ヒドロキノン、レゾルシノールなどのジヒドロキシアレーン;ベンゼンジメタノールなどの芳香脂肪族ジオール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールC、ビスフェノールG、ビスフェノールSなどのビスフェノール類;p,p’-ビフェノールなどのビフェノール類などが挙げられる。
脂環族ジオールとしては、例えば、シクロヘキサンジオールなどのシクロアルカンジオール;シクロヘキサンジメタノールなどのビス(ヒドロキシアルキル)シクロアルカン;ビスフェノールAの水添物などの上記芳香族ジオールの水添物などが挙げられる。
これらのジオール成分のアルキレンオキシド(または対応するアルキレンカーボネート、ハロアルカノール)付加体としては、例えば、C2-4アルキレンオキシド付加体、好ましくはエチレンオキシド付加体、プロピレンオキシド付加体などのC2-3アルキレンオキシド付加体が挙げられ、付加モル数は特に制限されない。具体的には、ビスフェノールA 1モルに対して、2~10モル程度のエチレンオキシドが付加した付加体などが挙げられる。
第3のジオール単位(B3)は、単独でまたは二種以上組み合わせて含まれていてもよい。
第3のジオール単位(B3)の割合は、ジオール単位(B)全体に対して、例えば50モル%未満、好ましくは30モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下であり、実質的に第3のジオール単位(B3)を含まないのが好ましく、第3のジオール単位(B3)を含む場合の前記割合は、例えば0.1~5モル%程度であってもよい。
第1のジオール単位(B1)および第2のジオール単位(B2)の総量の割合は、ジオール単位(B)全体に対して、例えば10モル%以上、具体的には30~100モル%程度の範囲から選択でき、好ましい範囲としては、以下段階的に、50モル%以上、70モル%以上、90モル%以上、実質的に100モル%であり、ジオール単位(B)が第1のジオール単位(B1)および第2のジオール単位(B2)のみであるのが好ましい。
なお、ジオール単位(B)[第1~3のジオール単位(B1)~(B3)の総量]の割合は、樹脂(熱可塑性樹脂)の構成単位全体(樹脂を構成する全てのモノマー成分由来の単位の総量)に対して、例えば10モル%以上、具体的には20~50モル%程度であってもよく、好ましくは以下段階的に、30~50モル%、40~50モル%、45~50モル%、実質的に50モル%である。
(カーボネート単位(C))
樹脂(熱可塑性樹脂)は、ジオール単位(B)を含むポリエステル系樹脂である場合、必ずしも含んでいなくてもよいが、必要に応じてさらにカーボネート単位(C)を含むことでポリエステルカーボネート樹脂を形成してもよい。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、「カーボネート単位」とは、ジオール成分などとの反応によりカーボネート結合[-O-C(=O)-O-]を形成可能なカーボネート結合形成成分に由来する構成単位、すなわち、カルボニル基[-C(=O)-]を意味する。換言すると、カーボネート単位(カルボニル基)に隣接して結合する2つのジオール単位の末端酸素原子とともにカーボネート結合を形成できる。
そのため、カーボネート結合形成成分(C)としては、ジオール成分との反応により、カーボネート結合を形成可能な化合物であればよく、例えば、ホスゲン、トリホスゲンなどのホスゲン類、ジフェニルカーボネートなどの炭酸ジエステル類などが挙げられる。
これらのカーボネート結合形成成分(C)は単独でまたは二種以上組み合わせて使用することもできる。これらのカーボネート結合形成成分(C)のうち、安全性などの観点からジフェニルカーボネートなどの炭酸ジエステル類が好ましい。
樹脂(熱可塑性樹脂)中のジカルボン酸単位(A)およびカーボネート単位(C)の総量と、ジオール単位(B)との割合は、前者/後者(モル比)=1/0.8~1/1.2、好ましくは1/0.9~1/1.1であり、ほぼ等モルであるのが好ましい。また、ジカルボン酸単位(A)とカーボネート単位(C)との割合(A/Cともいう)は、A/C(モル比)=99/1~1/99程度、例えば90/10~10/90の範囲から選択してもよく、好ましくは以下段階的に、80/20~20/80、70/30~30/70、60/40~40/60である。カーボネート単位(C)の割合が多すぎると、屈折率や耐熱性が低下するおそれがある。
なお、カーボネート単位(C)の割合は、樹脂(熱可塑性樹脂)の構成単位全体(樹脂を構成する全てのモノマー成分由来の単位の総量)に対して、例えば30モル%程度以下であってもよく、好ましくは以下段階的に、0~20モル%、0~10モル%、0~5モル%であり、1~3モル%程度であってもよい。
(他の構成単位(D))
なお、樹脂(熱可塑性樹脂)は、ジカルボン酸単位(A)、ジオール単位(B)およびカーボネート単位(C)とは異なる他の構成単位(D)を含んでいなくてもよいが、必要に応じて、本発明の効果を害しない範囲で含んでいてもよい。
他の構成単位(D)としては、例えば、ヒドロキシカルボン酸成分や対応するラクトン成分、3以上の重合性基(カルボキシル基および/またはヒドロキシル基)を有する多官能性重合成分などに由来する構成単位が挙げられる。他の構成単位(D)は単独でまたは二種以上組み合わせて含まれていてもよい。
ヒドロキシカルボン酸成分としては、例えば、ヒドロキシ安息香酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸;乳酸、3-ヒドロキシ酪酸、6-ヒドロキシヘキサン酸などの脂肪族ヒドロキシカルボン酸(ヒドロキシアルカン酸);これらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。ラクトン成分としては、例えば、ε-カプロラクトンなどのヒドロキシアルカン酸に対応するラクトンなどが挙げられる。
なお、樹脂(熱可塑性樹脂)は、結晶性高分子であってもよいが、複屈折を低減し易い点から、特に光学レンズなどの光学部材などの用途では、ヒドロキシ安息香酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する単位を含まない非液晶性高分子であるのが好ましく、特に非晶性高分子であるのが好ましい。
合計で3以上の重合性基(カルボキシル基および/またはヒドロキシル基)を有する多官能性重合成分としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸;グリセリン、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールなどが挙げられる。
このような他の構成単位(D)の割合は、構成単位全体(樹脂を構成する全てのモノマー成分由来の単位の総量、すなわち、ジカルボン酸単位(A)、ジオール単位(B)、カーボネート単位(C)および他の構成単位(D)の総量)に対して、例えば、50モル%以下、好ましくは以下段階的に、0~30モル%、0~10モル%、0.01~5モル%であり、他の構成単位(D)を実質的に含まないのが好ましい。
本発明の樹脂(熱可塑性樹脂)の好ましい態様としては、
ジカルボン酸単位(A)が、第1のジカルボン酸単位(A1)を少なくとも含み、
ジオール単位(B)が、前記第1のジオール単位(B1)を少なくとも含むポリエステル系樹脂であり;
さらに好ましくは、
ジカルボン酸単位(A)が、第1のジカルボン酸単位(A1)および第2のジカルボン酸単位(A2)を少なくとも含み、
ジオール単位(B)が、第1のジオール単位(B1)を少なくとも含むポリエステル系樹脂であり;
特に好ましくは
ジカルボン酸単位(A)が、第1のジカルボン酸単位(A1)および第2のジカルボン酸単位(A2)を少なくとも含み、
ジオール単位(B)が、第1のジオール単位(B1)および第2のジオール単位(B2)を少なくとも含むポリエステル系樹脂である。
(樹脂の製造方法)
本発明の樹脂の製造方法は、前記化合物(1)を原料として製造する方法であれば特に制限されず、樹脂の種類や他の重合成分(共重合成分)などに応じて慣用の方法であってもよい。樹脂が熱可塑性樹脂である場合、各重合成分を混合して重合(または重縮合)すればよく、代表的には、溶融重合、溶液重合、界面重合などが挙げられる。
例えば、ポリエステル樹脂などのポリエステル系樹脂である場合、前述のジカルボン酸単位(A)などに対応するジカルボン酸成分(A)と、前述のジオール単位(B)などに対応するジオール成分(B)と、必要に応じてカーボネート結合形成成分(C)などとを反応させて製造すればよく、慣用の方法、具体的には、エステル交換法、直接重合法などの溶融重合法、溶液重合法、界面重合法などで調製できる。
重合方法に応じて、反応は溶媒の存在下または非存在下で行ってもよいが、得られた熱可塑性樹脂中に溶媒が残存すると、成形の際に金型を腐食するおそれがある。また、重合方法に応じて、塩などの副生成物が残留すると、熱可塑性樹脂(またはその成形体)の濁りの原因となり、特に光学部材のように高度な透明性などが要求される用途では不良となるおそれがある。そのため、成形性(生産性)や透明性を向上する観点から、溶媒や塩などの残存または混入を有効に抑制できる溶融重合法(または溶融重合体)が好ましい。
ジカルボン酸成分(A)とジオール成分(B)との仕込み割合は、通常、前者/後者(モル比)=例えば、1/1.2~1/0.8、好ましくは1/1.1~1/0.9であるが、必ずしもこの範囲である必要はなく、ジカルボン酸成分(A)およびジオール成分(B)から選択される少なくとも一種の成分を、予定する導入割合に対して過剰に用いて反応させてもよい。例えば、反応系から留出可能なエチレングリコールなどの第2のジオール成分(B2)は、ポリエステル系樹脂中に導入される割合(または導入割合)よりも過剰に使用してもよい。
また、カーボネート結合形成成分(C)を用いる場合、ジカルボン酸成分(A)およびカーボネート結合形成成分(C)の総量と、ジオール成分(B)との使用割合は、例えば、前者/後者(モル比)=1/1.2~1/0.8、好ましくは1/1.1~1/0.9である。なお、カーボネート結合形成成分(C)は、反応における揮発や分解を考慮して、予定する導入割合に対してやや過剰に用いてもよく、ジカルボン酸単位(A)およびカーボネート単位(C)の総量(樹脂中への導入予定量の総量)に対して、例えば0.1~5モル%、好ましくは2~3モル%過剰にカーボネート結合形成成分(C)を用いてもよい。
反応は、触媒の存在下で行ってもよい。触媒としては、慣用のエステル化触媒、例えば、金属触媒などが利用できる。金属触媒としては、例えば、ナトリウムなどのアルカリ金属;マグネシウム、カルシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属;チタン、マンガン、コバルトなどの遷移金属;亜鉛、カドミウムなどの周期表第12族金属;アルミニウムなどの周期表第13族金属;ゲルマニウム、鉛などの周期表第14族金属;アンチモンなどの周期表第15族金属などを含む金属化合物が用いられる。金属化合物としては、例えば、アルコキシド;酢酸塩、プロピオン酸塩などの有機酸塩;ホウ酸塩、炭酸塩などの無機酸塩;酸化物などであってもよく、これらの水和物であってもよい。代表的な金属化合物としては、例えば、二酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、シュウ酸ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウム-n-ブトキシドなどのゲルマニウム化合物;三酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモンエチレングリコレートなどのアンチモン化合物;テトラ-n-プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネート(またはチタン(IV)テトラブトキシド)、シュウ酸チタン、シュウ酸チタンカリウムなどのチタン化合物;酢酸マンガン・4水和物などのマンガン化合物;酢酸カルシウム・1水和物などのカルシウム化合物などが挙げられる。
これらの触媒は単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。複数の触媒を用いる場合、反応の進行に応じて、各触媒を添加することもできる。これらの触媒のうち、酢酸マンガン・4水和物、酢酸カルシウム・1水和物、二酸化ゲルマニウム、チタン(IV)テトラブトキシドなどが好ましい。触媒の使用量は、例えば、ジカルボン酸成分(A)1モルに対して、0.01×10-4~100×10-4モル、好ましくは0.1×10-4~40×10-4モルである。
また、反応は、必要に応じて、熱安定剤や酸化防止剤などの安定剤の存在下で行ってもよい。通常、熱安定剤がよく利用され、例えば、トリメチルホスフェート(またはリン酸トリメチル)、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート(またはリン酸トリブチル)、トリフェニルホスフェート、ジブチルホスフェート(またはリン酸ジブチル)、亜リン酸、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイトなどのリン化合物などが挙げられる。これらのうち、リン酸トリメチルがよく利用される。熱安定剤の使用量は、例えば、ジカルボン酸成分(A)1モルに対して、0.01×10-4~100×10-4モル、好ましくは0.1×10-4~40×10-4モルである。
反応は、不活性ガス、例えば、窒素ガス;ヘリウム、アルゴンなどの希ガスなどの雰囲気中で行ってもよい。また、反応は、減圧下、例えば、1×10~1×10Pa程度で行うこともできる。エステル交換反応は、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で行ってもよく、重縮合反応は、減圧下で行ってもよい。反応温度は、重合方法に応じて選択でき、例えば、溶融重合法における反応温度は、例えば150~320℃、好ましくは200~310℃、さらに好ましくは250~300℃である。
反応終了後、生成した樹脂は、慣用の方法、例えば、洗浄、抽出、濃縮、再沈殿、遠心分離、ろ過、カラムクロマトグラフィー、吸着などの分離精製手段や、これらを組み合わせた手段により分離精製してもよい。
(樹脂の特性)
本発明の樹脂は耐熱性に優れており、ガラス転移温度Tgは、例えば130~200℃程度であってもよく、好ましくは以下段階的に、150~195℃、160~190℃、165~185℃、170~180℃である。Tgが低過ぎると、耐熱性が低下して、製造および/または使用に際して変色(または着色)し易くなったり、所定形状に成形後、高温環境下で変形し易くなり、高い熱安定性が要求される用途などで利用できないおそれがある。
本発明の樹脂は、光学的特性にも優れており、高い屈折率を備えている。
樹脂の屈折率ndは、温度20℃、波長587.6nmにおいて、例えば1.65~1.7程度であってもよく、好ましくは以下段階的に、1.663~1.69、1.665~1.685、1.67~1.68である。
樹脂の屈折率nCは、温度20℃、波長656.3nmにおいて、例えば1.64~1.69程度であってもよく、好ましくは以下段階的に、1.65~1.68、1.655~1.675、1.66~1.67である。
樹脂の屈折率neは、温度20℃、波長546.1nmにおいて、例えば1.66~1.71程度であってもよく、好ましくは以下段階的に、1.67~1.7、1.675~1.695、1.68~1.69である。
樹脂の屈折率nFは、温度20℃、波長486.1nmにおいて、例えば1.67~1.72程度であってもよく、好ましくは以下段階的に、1.68~1.715、1.69~1.71、1.695~1.705である。
樹脂の屈折率ngは、温度20℃、波長435.8nmにおいて、例えば1.69~1.75程度であってもよく、好ましくは以下段階的に、1.7~1.74、1.71~1.735、1.72~1.73である。
樹脂の屈折率nhは、温度20℃、波長404.7nmにおいて、例えば1.7~1.76程度であってもよく、好ましくは以下段階的に、1.715~1.75、1.725~1.745、1.73~1.74である。
また、樹脂は、比較的高屈折率であっても、低複屈折である。樹脂の複屈折は、樹脂単独で形成したフィルムを、延伸温度:ガラス転移温度Tg+10℃、延伸速度:25mm/分、延伸倍率:3倍で一軸延伸した延伸フィルムの複屈折(3倍複屈折)により評価してもよい。前記延伸フィルムの複屈折(3倍複屈折)の絶対値は、測定温度25℃、波長600nmにおいて、例えば0~75×10-4程度の範囲であってもよく、好ましくは以下段階的に、60×10-4以下、50×10-4以下、40×10-4以下、30×10-4以下、25×10-4以下、20×10-4以下である、なお、前記複屈折(3倍複屈折)の絶対値の範囲における下限値は、例えば、1×10-4以上、5×10-4以上、10×10-4以上、15×10-4以上などであってもよい。
また、樹脂のアッベ数νdは、温度20℃において、例えば15~25程度であってもよく、好ましくは以下段階的に、17~23、17.5~21、18~20、18.5~19.5である。アッベ数が高すぎると屈折率が低下するおそれがある。本発明では、比較的低いアッベ数であっても、大きな異常分散特性(θgF値またはΔθgF値)を示し易く、光学材料の選択肢を有効に増やすことができるため、特に光学レンズとして好適に利用できる。
本発明の樹脂は、フルオレン骨格を含んでいても、従来の樹脂に比べて、大きな異常分散特性を示す。熱可塑性樹脂の部分分散比θgF値は、温度20℃において、例えば0.66以上、具体的には0.665~0.71程度であってもよく、好ましくは以下段階的に、0.67~0.7、0.675~0.695、0.68~0.69である。
また、アッベ数が同じ基準分散ガラスのθgFに対する差(ΔθgF値)は、例えば0.04以上、具体的には0.05~0.1程度であってもよく、好ましくは以下段階的に、0.055~0.095、0.06~0.09、0.065~0.085、0.07~0.08である。
部分分散比θgFまたはΔθgFが低すぎると、色収差を有効に低減または補正できないおそれがある。
樹脂の重量平均分子量Mwは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)などにより測定でき、ポリスチレン換算で、例えば10000~300000程度であってもよく、好ましくは以下段階的に、20000~100000、25000~70000、30000~50000、35000~40000である。重量平均分子量Mwが低すぎると、成形性(生産性)が低下したり、用途が制限されるおそれがある。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、ガラス転移温度Tg、各屈折率(nd,nC,ne,nF,ng,ng)、複屈折(3倍複屈折)、アッベ数νd、部分分散比θgF値、ΔθgF値、重量平均分子量Mwは、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
なお、樹脂は、結晶性(結晶性高分子)であってもよいが、複屈折を低減し易い点から、特に光学レンズなどの光学部材などの用途では、非晶性(非晶性高分子)であるのが好ましい。
(樹脂を含む成形体)
本発明は、前記樹脂を含む成形体も包含する。
成形体は、少なくとも前記樹脂を含んでいればよく、必要に応じて、前記樹脂(本発明の樹脂)とは異なる他の樹脂、例えば、慣用の硬化性樹脂や熱可塑性樹脂などを単独でまたは二種以上組み合わせて含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。成形体中の前記樹脂(本発明の樹脂)の割合は、例えば10~100質量%程度であってもよく、好ましくは以下段階的に、30質量%以上、50質量%以上、70質量%以上、90質量%以上であり、実質的に100質量%である。また、成形体中の前記樹脂(本発明の樹脂)の割合は、例えば1~90質量%、60~80質量%程度であってもよい。
成形体は、慣用の添加剤を含んでいてもよく、前記添加剤としては、例えば、充填剤または補強剤、染顔料などの着色剤、導電剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、分散剤、流動調整剤、レベリング剤、消泡剤、表面改質剤、加水分解抑制剤、炭素材、安定剤、低応力化剤などが挙げられる。安定剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤などが挙げられる。低応力化剤としては、シリコーンオイル、シリコーンゴム、各種プラスチック粉末、各種エンジニアリングプラスチック粉末などが挙げられる。これらの添加剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。これらの添加剤の合計割合は、前記樹脂100質量部に対して、例えば50質量部以下、好ましくは以下段階的に、30質量部以下、0~10質量部であり、0.1~5質量部程度であってもよい。
成形体の製造方法は、特に制限されず、樹脂の種類などに応じて、慣用の成形方法で成形できる。例えば、熱可塑性樹脂である場合、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、トランスファー成形法、ブロー成形法、加圧成形法、キャスティング成形法などを利用して製造できる。
また、成形体の形状は、特に限定されず、例えば、線状、繊維状、糸状などの一次元的構造、フィルム状、シート状、板状などの二次元的構造、凹または凸レンズ状などのレンズ状、棒状、中空状(管状)などの三次元的構造などが挙げられる。
成形体は、優れた光学的特性や耐熱性などをバランスよく備えているため、光学フィルム(光学シート)、光学レンズなどの光学部材、特に光学レンズとして有効に利用できる。
なお、フィルムは、前記樹脂を、慣用の成膜方法、例えば、キャスティング法(溶剤キャスト法)、溶融押出法、カレンダー法などを用いて成膜(または成形)することにより製造できる。
フィルムの平均厚みは、1~1000μm程度の範囲から用途に応じて選択でき、例えば1~200μm、好ましくは5~150μm、さらに好ましくは10~120μmである。
フィルムは、未延伸または延伸フィルムであってもよく、延伸フィルムであっても低い複屈折を維持できる。なお、このような延伸フィルムは、一軸延伸フィルムまたは二軸延伸フィルムのいずれであってもよい。
延伸倍率は、一軸延伸または二軸延伸において各方向にそれぞれ、例えば1.1~10倍、好ましくは1.2~8倍、さらに好ましくは1.5~6倍である。なお、二軸延伸の場合、等延伸、例えば、縦横両方向に1.5~5倍延伸であってもよく、偏延伸、例えば、縦方向に1.1~4倍、横方向に2~6倍延伸であってもよい。また、一軸延伸の場合、縦延伸、例えば、縦方向に2.5~8倍延伸であってもよく、横延伸、例えば、横方向に1.2~5倍延伸であってもよい。
延伸フィルムの平均厚みは、例えば1~150μm、好ましくは3~120μm、さらに好ましくは5~100μmである。
なお、このような延伸フィルムは、成膜後のフィルム(または未延伸フィルム)に、延伸処理を施すことにより得ることができる。延伸方法は、特に制限が無く、一軸延伸の場合、湿式延伸法または乾式延伸法のいずれであってもよく、二軸延伸の場合、テンター法(フラット法)であってもチューブ法であってもよいが、延伸厚みの均一性に優れるテンター法が好ましい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。以下に、評価項目および原料の詳細について示す。
[評価方法]
H-NMR)
試料を、内部標準物質としてテトラメチルシランを用い、重クロロホルムなどの重溶媒に溶解し、核磁気共鳴装置(BRUKER社製「AVANCE III HD」)を用いて、H-NMRスペクトルを測定した。
(LC純度)
HPLC(高性能または高速液体クロマトグラフ)装置として(株)島津製作所製「LC-2010A HT」、カラムとして東ソー(株)製「ODS-80TM」を用いて、試料を、アセトニトリルに溶解し測定し、HPLC純度[面積%]を算出した。
(5%重量減少温度、10%重量減少温度)
熱重量測定-示差熱分析装置(TG-DTA)(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製「TG/DTA6200」)を使用して、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件下で、試料の質量が5%、10%減少した温度をそれぞれ測定した。
(ガラス転移温度Tg)
示差走査熱量計(エスアイアイナノテクノロジー(株)製「EXSTAR6000 DSC6220 ASD-2」)を用いて、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で測定した。
(分子量)
試料をクロロホルムに溶解し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製「HLC-8320GPC」)を用いて、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量Mwを求めた。
(屈折率)
実施例1~2で得られたジカルボン酸またはその誘導体の屈折率は、屈折率計((株)アタゴ製「RX-7000i」)を用いて、温度25℃、波長589nm(D線)で測定した。なお、屈折率の算出は、試料をジメチルスルホキシドに溶解して、濃度が異なる複数の溶液(10質量%、30質量%)を調製し、得られた溶液の屈折率を測定することで作成した検量線(近似直線)において、濃度を100質量%に外挿して求めた。
樹脂試料の屈折率は、次のようにして測定した。試料を200~240℃で熱プレスすることによって、厚みが約1mmの試験片を成形した。この試験片を、カルニュ-精密屈折率計「KPR-2000」[(株)島津デバイス製造製]を用いて、測定温度20℃で、試験片の接触液として屈折率1.60の接触液を使用し、波長587.6nm(d線)の屈折率ndを測定した。また、同様にして、測定波長を656.3nm(C線)、546.1nm(e線)、486.1nm(F線)、435.8nm(g線)および404.7nm(h線)に変更する以外は屈折率ndと同様にして、屈折率nC、ne、nF、ngおよびnhをそれぞれ測定した。
(アッベ数νd)
屈折率nF、ndおよびnCから、アッベ数νdを以下の式によって算出した。
(アッベ数νd)=(nd-1)/(nF-nC)。
(部分分散比θgF)
屈折率ng、nFおよびnCから、部分分散比θgFの値を以下の式によって算出した。
(部分分散比θgF)=(ng-nF)/(nF-nC)。
また、以下に記載の方法によりΔθgF値を算出した。すなわち、横軸をアッベ数νd、縦軸を部分分散比θgFとしたグラフにおいて、異常分散性を示さない2種類の光学ガラスK7(νd,θgF)=(60.5,0.547)およびF2(νd,θgF)=(36.3,0.583)をプロットしたとき、この2つの基準分散ガラスの座標を結ぶ直線は下記式で表される。
(部分分散比θgF)=-0.00149×(アッベ数νd)+0.637
この式に、得られた樹脂のアッベ数νdを代入して基準分散ガラスのθgF値を求め、実測した樹脂のθgF値から減じることでΔθgF値を算出した。
(複屈折(3倍延伸))
試料を200~240℃で熱プレスすることによって、厚みが200~600μmのフィルムを成形した。このフィルムを10mm×50mmの短冊状に切り出し、ガラス転移温度Tg+10℃の温度条件下、25mm/分で延伸倍率が3倍となるように一軸延伸して試験片を得た。得られた試験片を、位相差フィルム・光学材料検査装置(大塚電子(株)製「RETS-100」)を用いて、測定温度25℃、測定波長600nmの条件下、平行ニコル回転法にてリタデーションを測定し、その値を測定部位の厚みで除して複屈折(または3倍複屈折)を算出した。
[原料]
BNF:9,9-ビス(6-ヒドロキシ-2-ナフチル)フルオレン
(ジカルボン酸成分)
FDP-m:9,9-ビス(2-メトキシカルボニルエチル)フルオレン[あるいは9,9-ビス(2-カルボキシエチル)フルオレンまたはフルオレン-9,9-ジプロピオン酸のジメチルエステル]、特開2005-89422号公報記載の実施例1において、アクリル酸t-ブチルに代えて、アクリル酸メチル[37.9g(0.44モル)]を用いること以外は同様にして合成したもの
DMN:2,6-ビス(メトキシカルボニル)ナフタレン
(ジオール成分)
BPEF:9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン
EG:エチレングリコール
[合成例1]BNFの臭素化
Figure 2024048159000015
窒素雰囲気下、10Lの反応容器にBNF 360g(0.80mol)およびクロロホルム8.0kgを加え、そこへ臭素258g(1.61mol)とクロロホルム3.9kgとの混合溶液を滴下した。室温(15~20℃)にて3時間攪拌し、原料(BNF)の消失を確認した。得られた反応混合物を飽和亜硫酸ナトリウム水溶液900gで洗浄する操作を2回繰返した後、蒸留水900gで洗浄する操作を3回繰返した。得られた有機層を濃縮してクロロホルムを除去し、析出した結晶をろ取した後、イソプロピルアルコール(IPA)800gにてリンスし(すすいで)、目的物である9,9-ビス(5-ブロモ-6-ヒドロキシ-2-ナフチル)フルオレン(以下、BNF-Br体ともいう)を419g(収率86%、LC純度99%)得た。H-NMRスペクトルの結果を以下に示す。
H-NMR(CDCl、300MHz):δ(ppm)=5.8(s,2H)、7.2(d,2H)、7.2-7.5(m,12H)、7.8(d,2H)、7.9(d,2H)。
[合成例2]BNF-Br体の酪酸エチル化
Figure 2024048159000016
窒素雰囲気下、反応容器に、BNF-Br体216g(355mmol)、4-ブロモ酪酸エチル180g(923mmol)およびN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)1Lを加え、そこへ炭酸カリウム245g(1.77mol)を添加し、80℃に昇温した。80℃で3時間攪拌して目的物の生成を確認した後、50℃に冷却し、メチルイソブチルケトン(MIBK)1.2Lを添加した。そこへイオン交換水2.0Lを入れて水洗する操作を3回繰り返した後、80℃に加温して有機溶媒を留去し、目的物である9,9-ビス[5-ブロモ-6-(3-エトキシカルボニルプロピルオキシ)-2-ナフチル]フルオレン(以下、ジブロモBNF酪酸エチルともいう)を赤褐色粘調固体として317g(LC純度99%以上)得た。H-NMRスペクトルの結果を以下に示す。
H-NMR(CDCl、300MHz):δ(ppm)=1.2-1.3(m,6H)、2.1-2.2(m,4H)、2.6(t,4H)、4.1-4.2(m,8H)、7.1-7.2(d,2H)、7.3-7.6(m,12H)、7.8(d,2H)、8.1(d,2H)。
[実施例1]ジナフチルBNF酪酸エチルの合成
Figure 2024048159000017
3Lの反応容器にジブロモBNF酪酸エチル200g(239mmol)、2-ナフチルボロン酸95g(552mmol)、2M-NaCO水溶液310mL、MIBK 1.08kgを加え、脱気して系内を窒素置換した後に、トリフェニルホスフィン1.89g(7.21mmol)、酢酸パラジウム540mg(2.41mmol)を添加し、還流にて85~88℃で4時間攪拌した。反応後、得られた反応混合物をイオン交換水で洗浄し、活性炭処理した後、再度、イオン交換水で洗浄した。得られた有機層を濃縮し、IPA 900gを50℃で14分かけて加えて、5℃以下に冷却し1時間攪拌の後、析出した結晶をろ取した。得られた結晶を5℃以下の冷IPA 100gでリンスする(すすぐ)操作を3回繰返し、目的物である9,9-ビス[5-(2-ナフチル)-6-(3-エトキシカルボニルプロピルオキシ)-2-ナフチル]フルオレン(以下、ジナフチルBNF酪酸エチルともいう)を淡褐色結晶として197g(収率88.7%、LC純度95.5%)得た。H-NMRスペクトルの結果を以下に示す。
H-NMR(CDCl、300MHz):δ(ppm)=1.1(t,6H)、1.8-1.9(m,4H)、2.1-2.2(t,4H)、4.0(m,8H)、7.2-7.7(m,32H)。
得られたジナフチルBNF酪酸エチルの単体での屈折率nD(D線、25℃)は1.666であり、高屈折であった。また、ジナフチルBNF酪酸エチルの5%重量減少温度は333.8℃、10%重量減少温度は397.1℃であり、高い耐熱性を示した。
[実施例2]ジフェニルBNF酪酸エチルの合成
Figure 2024048159000018
2Lの反応容器にジブロモBNF酪酸エチル104g(124mmol)、フェニルボロン酸34.9g(286mmol)、2M-NaCO水溶液160mL、MIBK 560gを加え、脱気して系内を窒素置換した後に、トリフェニルホスフィン980mg(3.74mmol)、酢酸パラジウム540mg(2.41mmol)を添加し、還流にて85~88℃で4時間攪拌した。反応後、得られた反応混合物をイオン交換水で洗浄した後、活性炭処理し、再度、イオン交換水で洗浄した。得られた有機層を濃縮し、60℃でメタノール310gを加えて60℃で30分攪拌した後、10℃に冷却して1時間攪拌し、得られた結晶をろ過して、目的物である9,9-ビス[5-フェニル-6-(3-エトキシカルボニルプロピルオキシ)-2-ナフチル]フルオレン(以下、ジフェニルBNF酪酸エチルともいう)を淡褐色結晶として84.6g(収率81.9%、LC純度:99.5%)得た。H-NMRスペクトルの結果を以下に示す。
H-NMR(CDCl、300MHz):δ(ppm)=1.2(t,6H)、1.9(m,4H)、2.2(t,4H)、4.0―4.1(m,8H)、6.7-6.8(d,2H)、7.1(d,2H)、7.1-7.8(m,24H)。
得られたジフェニルBNF酪酸エチルの単体での屈折率nD(D線、25℃)は1.647であり、高屈折であった。また、ジフェニルBNF酪酸エチルの5%重量減少温度は402℃、10%重量減少温度は416℃であり、高い耐熱性を示した。
[実施例3]
反応器に、ジカルボン酸成分としてジナフチルBNF酪酸エチル 37g(40mmol)、DMN 23g(92mmol)、ジオール成分としてBPEF 49g(112mmol)、EG 18g(283mmol)、エステル交換反応の触媒として酢酸マンガン・4水和物 7.8mg(30μmol)を仕込み、窒素雰囲気下、250℃まで徐々に加温、撹拌し、エステル交換を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、重縮合反応の触媒として、二酸化ゲルマニウム36mg(344μmol)、熱安定剤として、リン酸トリメチル11mg(80μmol)を加え、徐々に275℃、130Paまで昇温、減圧し、EGを除去しながら重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[実施例4]
反応器に、ジカルボン酸成分としてジナフチルBNF酪酸エチル 52g(56mmol)、DMN 14g(56mmol)、ジオール成分としてBPEF 42g(95mmol)、EG 15g(241mmol)、エステル交換反応の触媒として酢酸マンガン・4水和物 7.8mg(30μmol)を仕込み、窒素雰囲気下、250℃まで徐々に加温、撹拌し、エステル交換を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、重縮合反応の触媒として、二酸化ゲルマニウム36mg(344μmol)、熱安定剤として、リン酸トリメチル11mg(80μmol)を加え、徐々に275℃、130Paまで昇温、減圧し、EGを除去しながら重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[実施例5]
反応器に、ジカルボン酸成分としてジフェニルBNF酪酸エチル 32g(39mmol)、DMN 22g(91mmol)、ジオール成分としてBPEF 49g(111mmol)、EG 17g(280mmol)、エステル交換反応の触媒として酢酸マンガン・4水和物 7.8mg(30μmol)を仕込み、窒素雰囲気下、250℃まで徐々に加温、撹拌し、エステル交換を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、重縮合反応の触媒として、二酸化ゲルマニウム36mg(344μmol)、熱安定剤として、リン酸トリメチル11mg(80μmol)を加え、徐々に275℃、130Paまで昇温、減圧し、EGを除去しながら重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[実施例6]
反応器に、ジカルボン酸成分としてジフェニルBNF酪酸エチル 41g(50mmol)、DMN 15g(61mmol)、ジオール成分としてBPEF 41g(94mmol)、EG 15g(238mmol)、エステル交換反応の触媒として酢酸マンガン・4水和物 7.8mg(30μmol)を仕込み、窒素雰囲気下、250℃まで徐々に加温、撹拌し、エステル交換を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、重縮合反応の触媒として、二酸化ゲルマニウム36mg(344μmol)、熱安定剤として、リン酸トリメチル11mg(80μmol)を加え、徐々に275℃、130Paまで昇温、減圧し、EGを除去しながら重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[比較例1]
反応器に、ジカルボン酸成分としてFDP-m 21g(61mmol)、DMN 35g(142mmol)、ジオール成分としてBPEF 76g(173mmol)、EG 27g(437mmol)、エステル交換反応の触媒として酢酸マンガン・4水和物 7.8mg(30μmol)を仕込み、窒素雰囲気下、250℃まで徐々に加温、撹拌し、エステル交換を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、重縮合反応の触媒として、二酸化ゲルマニウム36mg(344μmol)、熱安定剤として、リン酸トリメチル11mg(80μmol)を加え、徐々に275℃、130Paまで昇温、減圧し、EGを除去しながら重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[比較例2]
反応器に、ジカルボン酸成分としてFDP-m 33g(98mmol)、DMN 24g(99mmol)、ジオール成分としてBPEF 73g(167mmol)、EG 26g(423mmol)、エステル交換反応の触媒として酢酸マンガン・4水和物 7.8mg(30μmol)を仕込み、窒素雰囲気下、250℃まで徐々に加温、撹拌し、エステル交換を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、重縮合反応の触媒として、二酸化ゲルマニウム36mg(344μmol)、熱安定剤として、リン酸トリメチル11mg(80μmol)を加え、徐々に275℃、130Paまで昇温、減圧し、EGを除去しながら重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
実施例および比較例で得られた各ポリエステル樹脂のNMRスペクトルから、ポリマー組成比(調製に用いた各重合成分に由来する構成単位の割合(モル比))を確認した。各ポリエステル樹脂のポリマー組成比および仕込み比、ならびに各物性値の評価結果を下記表に示す。なお、表1中の( )内の数値は、仕込み比を示す。
Figure 2024048159000019
Figure 2024048159000020
表1~2の結果から明らかなように、実施例では、比較例に比べて、ガラス転移温度Tgおよび屈折率が高かった。また、実施例では、複屈折を増加させ易い芳香環骨格(ベンゼン環骨格)を数多く含むものの、いずれの実施例においても、複屈折を過度に増加させることなく、屈折率およびTgを向上でき、トレードオフの関係にある低複屈折と高屈折および高耐熱性とをバランスよく充足できた。特に、実施例3~4では、より多くの芳香環骨格(ベンゼン環骨格)を有するジナフチルBNF酪酸エチルを用いたにもかかわらず、ジフェニルBNF酪酸エチルを用いた実施例5~6やFDP-mを用いた比較例1~2に比べて、意外にも低複屈折であった。なかでも実施例4が、低複屈折、高屈折および高耐熱性を最もバランスよく充足できた。
また、フルオレン骨格を有する樹脂であっても、部分分散比θgF値およびΔθgF値が大きく、高い異常分散特性を示す樹脂を調製できることも分かった。そのため、光学レンズ、特に、複数のレンズを組み合わせて色収差を低減または補正するための光学レンズなどにも有効に利用できる。
本発明のジカルボン酸(またはその塩)またはその誘導体は、高い屈折率および耐熱性を示すため、樹脂原料や、屈折率向上剤、耐熱性向上剤、硬化剤などの添加剤(または樹脂添加剤)、レジスト材料などとして有効に利用できる。前記硬化剤としては、エポキシ樹脂に対する硬化剤などが挙げられる。また、レジスト材料としては、ネガ型(硬化型)またはポジ型レジスト材料などが挙げられ、例えば、ネガ型(硬化型)レジスト材料では、アルカリ可用性樹脂の架橋剤などの形態などで利用でき、ポジ型レジスト材料では、R3aおよびR3bを分岐鎖状アルコキシ基などとして、光酸発生剤とともに用いる形態などで利用してもよい。
本発明の樹脂は、高い屈折率、低い複屈折などの優れた光学的特性や、高い耐熱性を示すため、様々な用途で利用でき、例えば、コーティング剤またはコーティング膜、具体的には、塗料、インキ、電子機器や液晶部材などの保護膜など;接着剤、粘着剤;樹脂充填剤;電気・電子材料または電気・電子部品(電気・電子機器)、具体的には、帯電防止剤、キャリア輸送剤、発光体、有機感光体、感熱記録材料、フォトクロミック材料、ホログラム記録材料、帯電防止トレイ、導電シート、光ディスク、インクジェットプリンタ、デジタルペーパ、カラーフィルタ、有機EL素子、有機半導体レーザ、色素増感型太陽電池、センサ、EMIシールドフィルムなど;機械材料または機械部品(機器)、具体的には、自動車用材料または部品、航空・宇宙関連材料または部品、摺動部材などに利用してもよい。
また、本発明の樹脂は、高い屈折率、低い複屈折などの優れた光学的特性および高い耐熱性をバランスよく充足でき、光学部材として有効に利用できる。
代表的な光学部材としては、液晶用フィルム、有機EL用フィルムなどの光学フィルム(光学シート);メガネ用レンズ、カメラ用レンズなどの光学レンズ;プリズム、ホログラム、光ファイバーなどが挙げられる。
光学フィルムとしては、例えば、偏光フィルム、偏光フィルムを構成する偏光素子と偏光板保護フィルム、位相差フィルム、配向膜(配向フィルム)、視野角拡大(補償)フィルム、拡散板(フィルム)、プリズムシート、導光板、輝度向上フィルム、近赤外吸収フィルム、反射フィルム、反射防止(AR)フィルム、反射低減(LR)フィルム、アンチグレア(AG)フィルム、透明導電(ITO)フィルム、異方導電性フィルム(ACF)、電磁波遮蔽(EMI)フィルム、電極基板用フィルム、カラーフィルタ基板用フィルム、バリアフィルム、カラーフィルタ層、ブラックマトリクス層、光学フィルム同士の接着層もしくは離型層などが挙げられる。これらの光学フィルムは、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ(OLED)、プラズマディスプレイ(PDP)、フィールド・エミッション・ディスプレイ(FED)、電子ペーパなどのディスプレイ用の光学フィルムとして有効に利用でき、具体的な機器または装置としては、テレビジョン;デスクトップ型PC、ノート型PCまたはタブレット型PCなどのパーソナル・コンピュータ(PC);スマートフォン、携帯電話;カー・ナビゲーションシステム;タッチパネルなどフラットパネルディスプレイ(FPD)を備えた機器または装置などが挙げられる。
光学レンズとしては、例えば、メガネ用レンズ、コンタクトレンズ、カメラ用レンズ、VTRズームレンズ、ピックアップレンズ、フレネルレンズ、太陽集光レンズ、対物レンズ、ロッドレンズアレイなどが挙げられる。
特に、本発明の樹脂は高い異常分散特性を示すため、カメラ用レンズなどの光学レンズに好適に利用してもよい。このような光学レンズが搭載される代表的な機器または装置としては、スマートフォン、携帯電話、デジタルカメラなどのカメラ機能を有する小型機器またはモバイル機器;ドライブレコーダー、バックカメラ(リアカメラ)などの車載用カメラなどが挙げられる。

Claims (19)

  1. 下記式(1)で表される化合物またはその塩。
    Figure 2024048159000021
    [式中、Rは置換基を示し、k1は0~8の整数を示し、
    1aおよびZ1bは独立して置換または未置換のアレーン環を示し、
    2aおよびZ2bは独立して置換または未置換のアレーン環を示し、
    1aおよびA1bは独立してアルキレン基を示し、m1aおよびm1bは独立して0以上の整数を示し、
    2aおよびR2bは独立して置換または未置換の2価の炭化水素基を示し、
    3aおよびR3bは独立してヒドロキシル基、基[-ORh3](式中、Rh3は炭化水素基を示す)またはハロゲン原子を示す。]
  2. 前記式(1)において、Rがハロゲン原子、炭化水素基、基[-ORh1](式中、Rh1は炭化水素基を示す)、アシル基、ニトロ基、シアノ基または置換アミノ基であり、k1が0~4の整数であり、
    1aおよびZ1bのアレーン環が独立して単環式または縮合多環式アレーン環であり、
    2aおよびZ2bのアレーン環が独立して単環式または縮合多環式アレーン環であり、
    m1aおよびm1bが独立して0~10の整数であり、
    2aおよびR2bの2価の炭化水素基が独立してアルキレン基である請求項1記載の化合物またはその塩。
  3. 結晶の形態である請求項1または2記載の化合物またはその塩。
  4. 下記式(2)で表される化合物またはその塩と、下記式(3a)で表される化合物および下記式(3b)で表される化合物とを反応させて、請求項1または2記載の式(1)で表される化合物またはその塩を製造する方法。
    Figure 2024048159000022
    [式中、X1aおよびX1bと、X2aおよびX2bとは互いにカップリング反応により炭素-炭素結合を形成可能な基を示し、
    、k1、Z1aおよびZ1b、Z2aおよびZ2b、A1aおよびA1b、m1aおよびm1b、R2aおよびR2b、R3aおよびR3bは、それぞれ前記式(1)に同じ。]
  5. 下記式(A-1)で表される構成単位を少なくとも含む樹脂。
    Figure 2024048159000023
    [式中、Rは置換基を示し、k1は0~8の整数を示し、
    1aおよびZ1bは独立して置換または未置換のアレーン環を示し、
    2aおよびZ2bは独立して置換または未置換のアレーン環を示し、
    1aおよびA1bは独立してアルキレン基を示し、m1aおよびm1bは独立して0以上の整数を示し、
    2aおよびR2bは独立して置換または未置換の2価の炭化水素基を示す。]
  6. 前記樹脂が、重合成分としてのジカルボン酸成分に由来するジカルボン酸単位(A)を少なくとも含む熱可塑性樹脂であり、
    前記ジカルボン酸単位(A)が、第1のジカルボン酸単位(A1)として、前記式(A-1)で表される構成単位を少なくとも含む請求項5記載の樹脂。
  7. 前記ジカルボン酸単位(A)が、さらに、下記式(A-2)で表される第2のジカルボン酸単位(A2)を少なくとも含む請求項6記載の樹脂。
    Figure 2024048159000024
    (式中、Zは置換または未置換のアレーン環を示す。)
  8. 前記式(A-2)において、Zのアレーン環が縮合多環式アレーン環である請求項7記載の樹脂。
  9. 前記第1のジカルボン酸単位(A1)と、前記第2のジカルボン酸単位(A2)との割合が、前者/後者(モル比)=10/90~90/10である請求項7または8記載の樹脂。
  10. 前記樹脂が、さらに、重合成分としてのジオール成分に由来するジオール単位(B)を少なくとも含むポリエステル系樹脂である請求項6記載の樹脂。
  11. 前記ジオール単位(B)が、下記式(B-1)で表される第1のジオール単位(B1)および下記式(B-2)で表される第2のジオール単位(B2)から選択された少なくとも一種のジオール単位を少なくとも含む請求項10記載の樹脂。
    Figure 2024048159000025
    (式中、Rは置換基を示し、k4は0~8の整数を示し、
    4aおよびZ4bは独立して置換または未置換のアレーン環を示し、
    2aおよびA2bは独立して直鎖状または分岐鎖状アルキレン基を示し、m2aおよびm2bは独立して0または1以上の整数を示す。)
    Figure 2024048159000026
    (式中、Aは直鎖状または分岐鎖状アルキレン基を示し、m3は1以上の整数を示す。)
  12. 前記式(B-1)において、Rがハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アシル基、ニトロ基、シアノ基または置換アミノ基であり、k4が0~4の整数であり、
    4aおよびZ4bのアレーン環が独立して単環式または縮合多環式アレーン環であり、
    m2aおよびm2bが独立して0~10である請求項11記載の樹脂。
  13. 前記第1のジオール単位(B1)と、前記第2のジオール単位(B2)との割合が、前者/後者(モル比)=50/50~99/1である請求項11または12記載の樹脂。
  14. 前記ジカルボン酸単位(A)が、さらに、請求項7記載の式(A-2)で表される第2のジカルボン酸単位(A2)を少なくとも含み、
    前記ジオール単位(B)が、前記第1のジオール単位(B1)を少なくとも含む請求項11記載の樹脂。
  15. アッベ数νdが17~23であり、部分分散比θgFが0.67以上である請求項5~8、10~12および14から選択されたいずれか一項に記載の樹脂。
  16. 請求項1または2記載の化合物またはその塩を原料として、請求項5記載の樹脂を製造する方法。
  17. 請求項5~8、10~12および14から選択されたいずれか一項に記載の樹脂を含む成形体。
  18. 光学部材である請求項17記載の成形体。
  19. 光学レンズである請求項17記載の成形体。
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