JP2024047198A - 補強シートおよび補強シートの施工方法 - Google Patents

補強シートおよび補強シートの施工方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2024047198A
JP2024047198A JP2022152688A JP2022152688A JP2024047198A JP 2024047198 A JP2024047198 A JP 2024047198A JP 2022152688 A JP2022152688 A JP 2022152688A JP 2022152688 A JP2022152688 A JP 2022152688A JP 2024047198 A JP2024047198 A JP 2024047198A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
long fiber
fiber layer
layer
fibers
reinforcing sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022152688A
Other languages
English (en)
Inventor
直人 浪花
Naoto Namihana
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP2022152688A priority Critical patent/JP2024047198A/ja
Publication of JP2024047198A publication Critical patent/JP2024047198A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Aftertreatments Of Artificial And Natural Stones (AREA)
  • Bridges Or Land Bridges (AREA)
  • Working Measures On Existing Buildindgs (AREA)

Abstract

【課題】対象物の強度を向上することができる補強シートを提供すること。【解決手段】プリプレグ補強シート10は、チョップドストランド層11と、第1長繊維層12と、第2長繊維層13と、光硬化性樹脂14と、を含む。チョップドストランド層11は、繊維強化材からなるチョップドストランドを含む。第1長繊維層12は、チョップドストランドの繊維よりも長い繊維が異なる方向に編み込まれている。第2長繊維層13は、チョップドストランドの繊維よりも長い繊維が異なる方向に編み込まれている。光硬化性樹脂14は、チョップドストランド層11、第1長繊維層12、および第2長繊維層13に含浸されている。チョップドストランド層は、第1長繊維層と第2長繊維層の間に配置されている。【選択図】図1

Description

本発明は、補強シートおよび補強シートの施工方法に関する。
硬化性成形材料層及び補強材を含むプリプレグ補強シートは、硬化前は柔軟性を有する事から、任意のサイズや形状に加工する事ができたり、加工したものをコンクリート構造物や鋼構造物の基材に施工したりすることが容易にできるものである。
上記コンクリート構造物は、コンクリートの表面に硫化水素や塩分が付着すると、コンクリートが中性化してやがて鉄筋が腐食して膨張し、コンクリートが剥落する場合がある。これを防ぐため、通常は防食目的の光硬化型樹脂シートを使用して補修されている。上記光硬化型樹脂シートに使用される補強材は、通常はガラスチョップドストランドマットを使用されることがある。
また、上記鋼構造物の腐食部分にも、通常、防錆・防食用途として、補強材にガラスチョップドストランドマットを使用した光硬化型樹脂シートを使用して補修されることもある。
特開2012-36643号公報
しかしながら、老朽化したコンクリート構造物は、中性化したコンクリートを斫り取り、腐食した鉄筋の錆を落として錆止めを塗布した後に、ポリーマセメントモルタル等で断面修復されているが、腐食した鉄筋の強度回復には至っていない。さらに、鋼構造物のうち、例えば、歩道橋で補修されている部位は、地覆や蹴上げ、ささら部等の構造部材でない部分はさておき、歩道橋底部の鋼製デッキプレートの補修の場合は、より強度の高い補修が必要となる場合がある。
例えば、上記歩道橋の鋼材に穿孔している箇所があると、上記ガラスチョップドストランドマットを使用した光硬化型樹脂シートで補修した際に、強度が弱いため、歩行者の靴先等の接触により光硬化型樹脂シートが破断する場合がある。
さらに、鋼製デッキプレートは、歩道橋床版下部に存在し、床版制作時の型枠として使用されているが、床板設置後の経年変化により、鋼製デッキプレートが錆びて穿孔が生じ、中のコンクリートが剥き出しになることがある。このような鋼製デッキプレート下部の施工で、コンクリートの落下防止対策としてアンカーを打設すると、特許文献1のような一方向に強化ガラスロービングを使用したシート状補強材で補修した場合、シート状補強材まで穿孔され、穿孔か所間の補強材は、それ以降に力を伝達できなくなり、補強強度が足りない場合がある。
本開示は、補強強度を向上することができる補強シートとその施工方法を提供することを目的とする。
第1の本開示にかかる補強シートは、チョップドストランド層と、第1長繊維層と、第2長繊維層と、光硬化性樹脂と、を含む。チョップドストランド層は、繊維強化材からなるチョップドストランドを含む。第1長繊維層は、チョップドストランドの繊維よりも長い繊維が異なる方向に編み込まれている。第2長繊維層は、チョップドストランドの繊維よりも長い繊維が異なる方向に編み込まれている。光硬化性樹脂は、チョップドストランド層、第1長繊維層、および第2長繊維層に含浸されている。チョップドストランド層は、第1長繊維層と第2長繊維層の間に配置されている。
このように、第1長繊維層と第2長繊維層が設けられているため、引張強度を向上することができる。また、チョップドストランド層を設けることによって、光硬化性樹脂の含浸性を向上することができるため、補強シートの強度を向上することができる。チョップドストランド層を配置することによって、アンカーを打設したとしても、力をアンカー以降にも伝達することができるため、補強シートの強度を向上することができる。
第2の本開示にかかる補強シートは、第1の開示にかかる補強シートであって、光硬化性樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂またはエポキシアクリレート樹脂である。
これにより、耐食性を向上することができる。
第3の本開示にかかる補強シートは、第1の開示にかかる補強シートであって、第1長繊維層および第2長繊維層の少なくとも一方はクロスである。
第1長繊維層と第2長繊維層の少なくとも一方にクロスを用いることによって、アンカーを打設した場合であってもアンカー以降にも力を伝達することができる。
第4の本開示にかかる補強シートは、第1~3のいずれかの開示にかかる補強シートであって、チョップドストランドの平均繊維長が13mm以上50mm以下である。
これにより、光硬化性樹脂の含浸性を向上することができ、アンカーを打設したとしても力を伝達することができる。平均繊維長が13mm未満の場合、強度に影響を及ぼす場合があり、平均繊維長が50mmよりも長くなると光硬化性樹脂の含浸性や施工性に影響を及ぼす場合がある。
第5の本開示にかかる補強シートの施工方法は、塗布工程と、貼り付け工程と、硬化工程とを備える。塗布工程は、対象物に硬化性ゲル状組成物を塗布する。貼り付け工程は、補強シートを、硬化性ゲル状組成物を塗布した対象物に貼り付ける。補強シートは、繊維強化材からなるチョップドストランドを含むチョップドストランド層と、チョップドストランドの繊維よりも長い長繊維が異なる方向に編み込まれた第1長繊維層と、チョップドストランドの繊維よりも長い長繊維が異なる方向に編み込まれた第2長繊維層と、チョップドストランド層、第1長繊維層、および第2長繊維層に含浸された光硬化性樹脂と、を含み、チョップドストランド層は、第1長繊維層と第2長繊維層の間に配置されている。硬化工程は、補強シートに光を照射し、硬化させる。
このように、第1長繊維層と第2長繊維層が設けられた補強シートを施工対象物に貼り付けるため、引張強度を向上することができる。また、チョップドストランド層を設けることによって、光硬化性樹脂の含浸性が向上し、第1長繊維層と第2長繊維層、及びそれらに挟まれたチョップドストランド層が一体化する。これにより、補強シートにアンカーを打設したとしても、力をアンカー以降にも伝達することができるため、補強シートの強度を向上することができる。
第6の本開示にかかる補強シートの施工方法は、第5の開示にかかる補強シートの施工方法であって、対象物がコンクリート構造物または鋼構造物である。
これにより、コンクリート構造物または鋼構造物の補強を行うことができる。
第7の本開示にかかる補強シートの施工方法は、第5の開示にかかる補強シートの施工方法であって、硬化性ゲル状組成物は、メチルエチルケトンパーオキサイドまたはフタル酸ジメチルを含む硬化剤を含む。
これにより、補強シートの対象物への接着性を向上することができる。
第8の本開示にかかる補強シートの施工方法は、第5の開示にかかる補強シートの施工方法であって、プライマー塗布工程を更に備える。プライマー塗布工程は、硬化性ゲル状組成物塗布工程の前に、プライマーとして硬化性液状組成物を対象物に塗布する。
これにより、硬化性ゲル状組成物による補強シートの対象物への接着性を向上することができる。
本開示によれば、補強強度を向上することができる補強シートとその施工方法を提供することができる。
本開示にかかる実施形態のプリプレグ補強シートの構成を示す図である。 本開示にかかる実施形態のプリプレグ補強シートの施工方法を示すフロー図である。 (a)腐食していない健全状態の鉄筋コンクリート200の断面を示す図である、(b)腐食状態の鉄筋コンクリート200の断面を示す図である、(c)図3(b)のAA断面を示す図である、(d)本開示にかかる実施形態のプリプレグ補強シートを用いて補強した状態を示す図である。 (a)ロービングを用いた場合の力の伝達を説明するための図、(b)ロービングクロスを用いた場合の力の伝達を説明するための図である。
以下に、本開示にかかるプリプレグ補強シート(補強シートの一例)およびプリプレグ補強シートの施工方法(補強シートの一例)について説明する。
本開示のプリプレグ補強シートは、主に既設のコンクリート構造物や鋼構造物の補修や補強に用いられる。本開示のプリプレグ補強シートは、短繊維強化材からなるチョップドストランドを含むチョップドストランド層と、チョップドストランドの繊維よりも長い繊維が異なる方向に編み込まれた第1長繊維層および第2長繊維層と、を含み、チョップドストランド層、第1長繊維層、および第2長繊維層には、光硬化性樹脂が含浸されている。
図1は、本実施形態のプリプレグ補強シート10の構成を示す図である。図1では、補修を行う補修対象物100(対象物の一例)の表面にプリプレグ補強シート10が貼り付けられた状態を示す。補修対象物100としては、コンクリート構造物または鋼構造物等を挙げることができる。具体的には、補修対象物100として、歩道橋底部の鋼製デッキプレート、水槽等を挙げることができる。
図1に示すように、プリプレグ補強シート10は、チョップドストランド層11と、第1長繊維層12と、第2長繊維層13と、を含む。チョップドストランド層11は、第1長繊維層12と第2長繊維層13の間に配置されている。チョップドストランド層11、第1長繊維層12および第2長繊維層13には、光硬化性樹脂14が含浸されている。チョップドストランド層11と第1長繊維層12と第2長繊維層13は、光硬化性樹脂によって積層体として一体化される。本実施形態では、第1長繊維層12が補修対象物100に接着剤を介して接着されている。チョップドストランド層11は、第1長繊維層12に接触して配置されている。第2長繊維層13は、チョップドストランド層11に接触して配置されている。このように、本実施形態では、補修対象物100の側から第1長繊維層12、チョップドストランド層11、および第2長繊維層13の順に配置されている。
チョップドストランド層11、第1長繊維層12および第2長繊維層13は、繊維強化材(繊維ともいう)を用いて形成されている。チョップドストランド層11に含有されるチョップドストランドは、長さの短い短繊維強化材を用いて形成されている。第1長繊維層12および第2長繊維層13は、チョップドストランドに用いられる短繊維強化材よりも長い長繊維強化材が用いられる。
(繊維強化材)
チョップドストランド層11、第1長繊維層12および第2長繊維層13に用いられる繊維強化材は、プリプレグ補強シート10の補強部材として用いられ、例えば、ガラス繊維等の無機繊維、ビニロン繊維等の有機繊維、スチール繊維等の金属繊維等の繊維が挙げられる。これらの中でも、コスト及び光硬化の観点から、繊維強化材としてガラス繊維を用いる方が好ましい。
(チョップドストランド層)
チョップドストランド層11は、シート状であり、チョップドストランド成形して作成される。チョップドストランドは、数千本のガラス繊維(例えばEガラスファイバ)を束ね、所定の長さに切断したものを、厚みが均一になるようにランダムに敷き詰めてシート状になるように成形されたものである。チョップドストランドは、各々高機能樹脂の強度・物性を高めるために、独自の表面処理剤でコーティングしてもよい。 チョップドストランドの目付量は、50g/m以上900g/m以下であり、強度および施工性(シートの厚み)の観点から450g/m以上600g/m以下が好ましい。
チョップドストランドの平均繊維長さは、3mm以上50mm以下が好ましく、13mm以上50mm以下がより好ましい。平均繊維長が13mm未満の場合、強度に影響を及ぼす場合があり、平均繊維長が50mmよりも長くなると光硬化性樹脂の含浸性に影響を及ぼす場合がある。
(第1長繊維層12、第2長繊維層13)
第1長繊維層12および第2長繊維層13は、チョップドストランド層11に含まれるチョップドストランドの繊維よりも長い繊維によって形成されている。第1長繊維層12および第2長繊維層13では、繊維が異なる方向に編み込まれている。本実施形態では、第1長繊維層12と第2長繊維層13は同様の構成ではあるが、異なった繊維の種類、繊維の形態、および繊維の長さであってもよい。第1長繊維層12および第2長繊維層13の目付量は、300g/m以上800g/m以下が好ましい。引張強度の確保の観点からは、目付量が520g/m以上が好ましく、厚みの増大による屈曲部への貼付けが困難になることによる施工性の低下の観点から730g/m以下が好ましい。
(繊維の形態)
繊維の形態としては、例えば、トウ、クロス、チョップダイバー、連続繊維等の繊維を一方向に引き揃えた形態;連続繊維を経緯にして織物とした形態;トウの方向を一方向に引揃え横糸補助糸で保持した形態;および、繊維の方向を一方向に引揃えた複数の繊維シートをそれぞれの繊維の方向が異なるように重ね補助糸でステッチして留めたマルチアキシャルワープニットの形態等が挙げられる。
特に繊維としてガラス繊維を用いる場合は、ガラスヤーン又はロービングを用いることが好ましい。ガラスヤーンは、ガラス繊維に撚りをかけて合撚糸としたものであり、ロービングは、ガラス繊維を集束したものである。多軸メッシュの織り方は、平織り、綾織り、絡み織り、組布等が挙げられる。多軸メッシュの織り方の方向は、直交する二軸又はそれ以上の多軸織物であってもよい。強度を確保する観点からは、第1長繊維層12および第2長繊維層13において、繊維は少なくとも直交する方向の二軸に編み込まれている方が好ましい。
上述したように、第1長繊維層12および第2長繊維層13を形成する繊維は、チョップドストランドの繊維よりも長い長繊維である。長繊維は、例えば、層の端から端まで繋がっている。
(光硬化性樹脂)
チョップドストランド層11、第1長繊維層12、および第2長繊維層13に含浸される光硬化性樹脂14として、光硬化性樹脂が用いられる。光硬化性樹脂14としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシアクリレート樹脂(ビニルエステル樹脂)等が挙げられる。これらの中でも、耐食性の観点から、不飽和ポリエステル樹脂またはエポキシアクリレート樹脂が好ましい。
プリプレグ補強シート10は補強部材と、光硬化性樹脂とを含む未硬化樹脂シートであり、光硬化性樹脂は補強部材に含浸している。補強部材としては、繊維強化材(上述した短繊維強化材と長繊維強化材)が挙げられる。
プリプレグ補強シート10における光硬化性樹脂の含浸量は、300g/m以上400g/m以下であることが好ましく、320g/m以上360g/m以下であることがより好ましい。含浸量が前記下限値以上であると、プリプレグ補強シート10は、耐食性に優れる。前記含浸量が前記下限値以下であると、プリプレグ補強シート10は、シートの断面で破断して強度が保持できない場合がある。
プリプレグ補強シート10は、厚さが5mm以下であることが好ましく、4mm以下であることがより好ましい。前記厚さが前記上限値以下であると、プリプレグ補強シート10は、プリプレグ(半硬化)のため、形状追随性に優れることから、歩道橋等の基材の形状に沿って容易に変形し、これらの面に貼付けることができる。
また、プリプレグ補強シート10は、連続した1枚のものであってもよく、2枚以上を組み合わせたものであってもよい。貼付ける工程を簡略化するためには、プリプレグシートは、連続した1枚のものが好ましい。
本実施形態のプリプレグ補強シート10は、例えば、第1長繊維層12および第2長繊維層13の双方に、上述したクロスが用いられる。なお、これに限らず、第1長繊維層12と第2長繊維層13のいずれか一方にのみクロスを用いてもよい。
プリプレグ補強シート10は、補強材料としてシート状(層状)に形成されたチョップドストランドとクロスを重ね合わせることで、無作為の方向(360度方向)にわたって、繊維が延伸する。そのため穿孔箇所があったとしても、外力に対し確実に力を伝達することができ、新設の構造物と同程度ないし、それ以上の強度を得ることができる。本実施形態では、チョップドストランドとクロスは少なくとも3回、交互に重ね合わされている。
例えば、剥落を防止するために、歩道橋のデッキプレートの下面にシートを貼って補修する場合、シートの落下防止対策でアンカーを打設すると補強材(繊維)が寸断され荷重が伝わらなくなるが、本実施形態のプリプレグ補強シート10では、二方向のクロスにチョップドストランドを併用することにより荷重の分散と伝達を図ることができる。
デッキプレートの補修にシートを使用した場合、鋼材の伸縮をシートに伝えるため、シートの端部にアンカーを打設するが、この際、例えば補強材として、クロスのみを使用すると、アンカーの穿孔で補強材が分断され、所定の強度が得られないことになる。本実施形態では、クロスにチョップストランド層を併用することによって、穿孔の先の補強材に力を伝達させることが可能となるため、チョップを併用することが効果的である。さらにチョップドストランド層11には、含浸性を向上させる効果もある。
次に、本実施形態のプリプレグ補強シート10の施工方法について説明する。図2は、プリプレグ補強シートの施工方法を示すフロー図である。
(工程1)
工程1(S1)では、コンクリート構造物や鋼構造物である補修対象物100にプライマーを塗布する。プライマーを塗布する方法は、特に限定されないが、例えば、刷毛塗り方法、ローラー塗り方法等を用いることができる。
プライマーの塗布量は、補修対象物100の表面100aの単位面積当たり、標準使用量は100g/m以上600g/m以下であることが好ましく、鉄の場合、100g~200g/m、コンクリートの場合150g350g/mであることがより好ましい。プライマーの塗布量が前記下限値以上であれば、補修対象物100の表面と接着剤との密着性をより向上することができる。
プライマーとしては、例えば、エポキシ樹脂系プライマー、ウレタン樹脂系プライマー、ポリエステル樹脂系プライマー、ポリプロピレン樹脂系プライマー等が挙げられる。これらの中でも、作業性の観点から、一液性のウレタン樹脂系プライマーが好ましい。
プライマーを塗布した後、タック(べたつき)がなくなるまで養生する。
(工程2)
工程2(S2)では、プライマーを塗布して養生した補修対象物100に、硬化性ゲル状組成物を塗布する。塗布する方法は、特に限定されないが、例えば、ゴムベラや左官ゴテ等を用いることができる。硬化性ゲル状組成物は、接着剤として用いられる。
硬化性ゲル状組成物は、2液混合型が好ましく、例えば、エポキシ樹脂系接着剤、ビニルエステル樹脂系接着剤等が挙げられる。これらの中でも、耐食性の観点から、ビニルエステル樹脂系接着剤が好ましい。
硬化性ゲル状組成物は、プライマーを用いず、直接基材へ塗布しても良い。また、硬化性ゲル状組成物は、硬化剤として、メチルエチルケトンパーオキサイドやフタル酸ジメチルを含んでいてもよい。
(工程3)
工程3(S3)では、上述したプリプレグ補強シート10を補修対象物100に貼り付ける。プリプレグ補強シート10の上下に保護のためのPET(polyethylene terephthalate)フィルムが貼り付けられている場合には、第1長繊維層12上に貼り付けられているPETフィルムをはがしてプリプレグ補強シート10が補修対象物100に貼り付けられる。第2長繊維層13上に貼り付けられているPETフィルムは、プリプレグ補強シート10の光硬化性樹脂が硬化した後に剥がした方が好ましい。これは、酸素が存在すると光硬化性樹脂の硬化が進行し難いため、PETフィルムによって酸素の侵入を抑制するためである。
(工程4)
工程4(S4)では、工程3で張り付けたプリプレグ補強シート10を密着させるために脱泡をおこなう。脱泡方法は特に限定されないが、金へら、ローラー等で行われる。
(工程5)
工程5(S5)では、脱泡したプリプレグ補強シート10にランプを照らし、硬化させる。照射方法は特に限定されないが、プリプレグ補強シート10中の光重合開始剤に対応した捕虫用蛍光灯またはLEDランプを使用してシートを硬化させる。
以上のように、補修対象物100の表面100aをプリプレグ補強シート10によって補強することができる。
また、補修対象物の一例としての鉄筋コンクリート200の補修について図3(a)~図3(d)を用いて説明する。図3(a)に示す鉄筋コンクリート200は、例えば水槽に用いることができる。水槽としては、民間工場の曝気槽や終末処理場の汚泥濃縮槽等を挙げることができる。
図3(a)は、腐食していない健全状態の鉄筋コンクリート200の断面を示す。図3(a)に示すように、鉄筋コンクリート200の内部には、鉄筋(異形棒鋼)201が配置されている。図3(a)の矢印に示すように、鉄筋201の伸びる方向に引張力が作用する。
図3(b)は、腐食状態の鉄筋コンクリート200の断面を示す。図3(b)には腐食部分が202として示されている。この腐食部分202は、例えば硫化水素や塩害によってアルカリから中性化し腐食が発生したものである。
図3(c)は、図3(b)のAA断面図である。図3(c)に示すように、鉄筋201まで腐食している。このように鉄筋201が腐食することによって、引張強度が減少する場合がある。
図3(d)は、本実施形態のプリプレグ補強シート10を用いて補強した状態を示す。鉄筋201に防錆処理を施し、腐食部分202については、耐酸性のポリマーセメントによって断面修復処理が行われている。耐酸性のポリマーセメントによる修復処理部分は符号203で示されている。修復処理部分203の表面に本実施形態のプリプレグ補強シート10が上述した手順で貼り付けられる。
本実施形態のプリプレグ補強シート10は、十分な補強強度を有しているため、腐食した鉄筋201によって減少した引張強度を補い、更に向上することができる。
以上のように、本実施形態のプリプレグ補強シート10では、第1長繊維層12と第2長繊維層13が設けられているため、引張強度を向上することができる。また、チョップドストランド層11を設けることによって、光硬化性樹脂の含浸性を向上することができるため、プリプレグ補強シートの強度を向上することができる。チョップドストランド層を配置することによって、アンカーを打設したとしても、力をアンカー以降にも伝達することができるため、プリプレグ補強シートの強度を向上することができる。
また、本実施形態のプリプレグ補強シート10では、第1長繊維層12と第2長繊維層13にクロスを用いることによって、アンカーを打設した場合であってもアンカー以降にも力を伝達することができる。図4(a)は、一方向に繊維が配置されたロービングにアンカー300を配置した状態を示す図である。図4(a)では、ロービングの繊維301の途中にアンカー300が配置されているため、繊維301の図中右側の部分301aからアンカー300の左側の部分301bに力が伝わらない。一方、本実施形態のようにクロスを用いた場合、異なる方向に繊維が配置されているため、繊維401の図中右側の部分401aから伝達される力をアンカー300の周囲に配置されている繊維402、403、404、405を介して左側の部分401aに伝達することができる。また、アンカー300より内側のロービングは、アンカー300から離れていく方向に作用するが、繊維402、405の横方向のロービングによって食い止めることができる。
(他の実施形態)
以上、本発明による実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上記実施形態のプリプレグ補強シート10では、チョップドストランド層11の一方の面に第1長繊維層12が配置され、他方の面に第2長繊維層13が配置された3層構造であるが、3層に限らなくてもよい。例えば、図1に示す第2長繊維層13上にチョップドストランド層を追加してもよく、更に追加したチョップドストランド層上に長繊維層を配置してもよい。また、第1長繊維層12と補修対象物100との間に、硬化性ゲル状組成物の層およびプライマーの層の少なくとも一方が設けられていてもよい。
上記実施形態では、チョップドストランド層11の一方の面に第1長繊維層12が接触して配置されているが、チョップドストランド層11と第1長繊維層12の間に光硬化性樹脂の層等が設けられていてもよい。同様に、チョップドストランド層11の他方の面に第2長繊維層13が接触して配置されているが、チョップドストランド層11と第2長繊維層13の間に光硬化性樹脂の層等が設けられていてもよい。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1では、上述した実施形態のプリプレグ補強シート10を用いた。実施例1では、第1長繊維層12および第2長繊維層13の各々として目付量が縦260g/m、横260g/mのロービングクロスを用い、目付量が450g/m2のチョップドストランドを用い、ロービングクロスおよびチョップドストランドに880g/0.25m2の含浸量でビニルエステル樹脂を含浸させて、厚さ4.0mm、縦500mm、横500mmのプリプレグ補強シートを作成した。
このようなプリプレグ補強シートに対して、付着力試験、引張強度試験、および施工性について判定を行った。
試験方法について説明する。
コンクリートに対し、ウレタンプライマー(商品名:シンクボンドプライマーU-100、積水化学工業株式会社製)を塗布し、べたつきがなくなるまで養生した。
次に、ウレタンプライマーを介して、ビニルエステル接着剤(商品名:貼付けプライマーV200(主剤)、積水化学工業株式会社製)と硬化剤(商品名:メポックスD、積水化学工業株式会社製)を混合して塗布した。
次に、ビニルエステル接着剤を塗布した面にプリプレグ補強シートを貼付けた。プリプレグ補強シートを貼付ける際に、コンクリートに対しプリプレグ補強シートを押し付けて、コンクリートとプリプレグ補強シートとの間のビニルエステル接着剤を気泡と共に押し出すことにより、気泡が残らないようにした。
プリプレグ補強シートを貼付けてから24時間後について、プリプレグ補強シートの接着強度と引張強度を測定した。結果を表1に示す。
接着強度試験に使用した機器はテクノスターRT-1000LDである。
接着強度は、1.5MPa以上であって、プリプレグ補強シートの内部破壊が発生しない場合に良好と判断した。
引張強度試験は、8700N以上の場合を良好とした。これは、JISで規定されているデッキプレートの厚みが1.2mmの場合の引張強さ290N/mmから、幅25mmの場合の引張力を推定すると8700Nとなるためである。
施工性は、厚みが5.0mm以下の場合、良好と判断した。例えばデッキプレートのようなW断面や凹凸のある箇所にプリプレグ補強シートを貼り付ける場合、特に出隅の場合には、内側と外側の延長の違いによって外側のペットフィルムが突っ張り、浮きが生じることがある。このため、厚みで施工性の判断を行った。
実施例2では、第1長繊維層12および第2長繊維層13の各々として目付量が縦300g/m、横300g/mのロービングクロスを用いてプリプレグ補強シートを用い、厚みが4.0mmである点以外は実施例1と同様のプリプレグ補強シートを作成し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3では、第1長繊維層12および第2長繊維層13の各々として目付量が縦365g/m、横365g/mのロービングクロスを用い、厚みが5.0mmである点以外は実施例1と同様のプリプレグ補強シートを作成し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1では、第1長繊維層および第2長繊維層の各々として目付量が縦150g/m、横150g/mのロービングクロスを用い、厚みが2.5mmである点以外は実施例1と同様のプリプレグ補強シートを作成し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例2では、第1長繊維層および第2長繊維層の各々として目付量が縦400g/m、横400g/mのロービングクロスを用い、厚みが5.5mmである点以外は実施例1と同様のプリプレグ補強シートを作成し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例3では、目付量が450g/m2のチョップドストランド上に目付量が縦300g/m、横300g/mのロービングクロスを配置し、700g/0.25m2の含浸量でビニルエステル樹脂を含浸させて、厚さ2.5mm、縦500mm、横500mmの2層のプリプレグ補強シートを作成した。このプリプレグ補強シートについて、実施例1と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
比較例4では、目付量が縦300g/m、横300g/mのロービングクロスを2枚配置し、700g/0.25m2の含浸量でビニルエステル樹脂を含浸させて、厚さ3.0mm、縦500mm、横500mmの2層のプリプレグ補強シートを作成した。このプリプレグ補強シートについて、実施例1と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
比較例5では、目付量が縦300g/m、横300g/mのロービングクロスを3枚配置し、880g/0.25m2の含浸量でビニルエステル樹脂を含浸させて、厚さ4.5mm、縦500mm、横500mmの3層のプリプレグ補強シートを作成した。このプリプレグ補強シートについて、実施例1と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
比較例6では、目付量が450g/m2のチョップドストランドのみを用い、450g/0.25m2の含浸量でビニルエステル樹脂を含浸させて、厚さ1.0mm、縦500mm、横500mmの1層のプリプレグ補強シートを作成した。
Figure 2024047198000002
Figure 2024047198000003
接着強度試験について、実施例1~3および比較例1、2では、3.03MPaでプリプレグ補強シートと機器のアタッチメント(鉄)との接着が剥がれ、良好と判定された。比較例3では、3.22MPaでプリプレグ補強シートと機器のアタッチメント(鉄)との接着が剥がれ、良好と判定された。比較例4では、3.98MPaでプリプレグ補強シートと機器のアタッチメント(鉄)との接着が剥がれ、良好と判定された。比較例5では、4.09MPaでプリプレグ補強シートの内部破壊が発生したため、不良と判定された。比較例6では、4.68MPaでプリプレグ補強シートとプライマーとの接着が剥がれたが、内部破壊ではないため、良好と判定された。
引張強度試験について、実施例1~3および比較例2、5は良好となったが、比較例1、3、4、6は、8700Nよりも小さかったため、不良と判定された。
施工性について、比較例2では、厚みが5.0mmよりも大きくなっているため、不良と判定され、それ以外の実施例1~3および比較例1、3~6は厚みが5.0mm以下であるため良好と判定された。
10 プリプレグ補強シート
11 チョップドストランド層
12 第1長繊維層
13 第2長繊維層
14 光硬化性樹脂

Claims (8)

  1. 繊維強化材からなるチョップドストランドを含むチョップドストランド層と、
    前記チョップドストランドの繊維よりも長い繊維が異なる方向に編み込まれた第1長繊維層と、
    前記チョップドストランドの繊維よりも長い繊維が異なる方向に編み込まれた第2長繊維層と、
    前記チョップドストランド層、前記第1長繊維層、および前記第2長繊維層に含浸された光硬化性樹脂と、
    を含み、
    前記チョップドストランド層は、前記第1長繊維層と前記第2長繊維層の間に配置されている、
    補強シート。
  2. 前記光硬化性樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂またはエポキシアクリレート樹脂である、請求項1に記載の補強シート。
  3. 前記第1長繊維層および前記第2長繊維層の少なくとも一方はクロスである、
    請求項1に記載の補強シート。
  4. 前記チョップドストランドの平均繊維長が13mm以上50mm以下である、
    請求項1~3のいずれかに記載の補強シート。
  5. 対象物に硬化性ゲル状組成物を塗布する塗布工程と、
    繊維強化材からなるチョップドストランドを含むチョップドストランド層と、前記チョップドストランドの繊維よりも長い繊維が異なる方向に編み込まれた第1長繊維層と、前記チョップドストランドの繊維よりも長い繊維が異なる方向に編み込まれた第2長繊維層と、前記チョップドストランド層、前記第1長繊維層、および前記第2長繊維層に含浸された光硬化性樹脂と、を含み、前記チョップドストランド層は、前記第1長繊維層と前記第2長繊維層の間に配置されている補強シートを、前記硬化性ゲル状組成物を塗布した前記対象物に貼り付ける貼り付け工程と、
    前記補強シートに光を照射し、硬化させる硬化工程と、を有する
    補強シートの施工方法。
  6. 前記対象物がコンクリート構造物または鋼構造物である、
    請求項5に記載の補強シートの施工方法。
  7. 前記硬化性ゲル状組成物は、メチルエチルケトンパーオキサイドまたはフタル酸ジメチルを含む硬化剤を含む、
    請求項5に記載の補強シートの施工方法。
  8. 前記塗布工程の前に、プライマーとして硬化性液状組成物を前記対象物に塗布するプライマー塗布工程を更に備えた、
    請求項5に記載の補強シートの施工方法。
JP2022152688A 2022-09-26 2022-09-26 補強シートおよび補強シートの施工方法 Pending JP2024047198A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022152688A JP2024047198A (ja) 2022-09-26 2022-09-26 補強シートおよび補強シートの施工方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022152688A JP2024047198A (ja) 2022-09-26 2022-09-26 補強シートおよび補強シートの施工方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024047198A true JP2024047198A (ja) 2024-04-05

Family

ID=90527182

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022152688A Pending JP2024047198A (ja) 2022-09-26 2022-09-26 補強シートおよび補強シートの施工方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024047198A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100411196B1 (ko) 보강용 메시직물 및 재료보강방법
CA2413730C (en) Structure reinforcing method, structure-reinforcing reinforcing fiber yarn-containing material, reinforcing structure material and reinforced structure
US20200299910A1 (en) Composite bridge deck structural panel and method of fabrication
JP3097497B2 (ja) 補強繊維シートおよびコンクリート構造物
JP2004027718A (ja) コンクリート構造物の補修・補強・劣化防止用シート及びコンクリート構造物の補修・補強・劣化防止方法
CN115023343A (zh) 结构物保护片、混凝土块以及强化结构物的制造方法
JP5688525B2 (ja) 鋼板の繊維強化樹脂補修補強構造および補修補強方法
JP6203441B1 (ja) 剥落防止シート、剥落防止工法、及び剥落防止再補修工法
TWI832842B (zh) 構造物之補強用積層材料、補強方法及補強構造體
JP5645440B2 (ja) 構造物の補強方法
KR20020055567A (ko) 콘크리트구조물의 보수·보강용 시트 및 콘크리트구조물의 보수·보강방법
JP3977719B2 (ja) コンクリート構造物の補強方法に用いる緩衝材
JP2024047198A (ja) 補強シートおよび補強シートの施工方法
JP2017141566A (ja) 導水フィルム付きコンクリート剥落防止材及びその製造方法並びにコンクリート剥落防止方法
JP7153995B1 (ja) 塗布剤の塗布方法、繊維シート、及び繊維シートの施工方法
JP2010216144A (ja) 繊維強化プラスチックシート
JP2004011226A (ja) 改修パネル
JP2015124552A (ja) 鋼橋の補修補強方法及び補強構造体
JP3109409B2 (ja) コンクリート構造物用補強繊維シート
JPH10102792A (ja) 炭素繊維織物およびコンクリート構造物
JP2009119841A (ja) 立体メッシュ編物複合被覆板
WO2023286561A1 (ja) 構造物保護シート及び補強された構造物の製造方法
JPH04336242A (ja) 繊維強化樹脂補強セメント系構造体
WO2024024790A1 (ja) 構造物用シート
KR20010092963A (ko) 교량 보수방법 및 구조물