JP2024042792A - 磁歪式トルクセンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】検出コイルの抵抗成分にバラつきがある場合であっても、検出精度を向上可能な磁歪式トルクセンサを提供する。【解決手段】磁歪特性を有する磁歪材2によって伝達されるトルクを検出するトルクセンサであって、磁歪材2の軸方向に対して所定角度傾斜した第1直線部31a,33aを有し互いに電磁結合するように設けられた一対の第1及び第3の検出コイル31,33と、磁歪材2の軸方向に対して第1直線部31a,33aと反対方向に所定角度傾斜した第2直線部32a,34aを有し互いに電磁結合するように設けられた第2及び第4の検出コイル32,34とを有するセンサ部10と、第1の検出コイル31と第2の検出コイル32に対して、交流の駆動電圧を印加する駆動部8と、第3の検出コイル33と第4の検出コイル34に電磁結合により生じた電圧を測定する電圧測定部9と、を備えた。【選択図】図4
Description
本発明は、磁歪式トルクセンサに関する。
従来、トルク(回転トルク)が付与された際に透磁率が変化する磁歪特性を有する磁歪材を用い、トルクが付与された際の磁歪材の透磁率の変化を検出コイルのインダクタンスの変化として検出することにより、磁歪材に付与されたトルクを検出する磁歪式トルクセンサが知られている。
従来の磁歪式トルクセンサでは、4つの検出コイルをブリッジ接続したセンサ部を有しており、トルクの付与による各検出コイルのインピーダンスの変化を基に、磁歪特性を有するシャフトに付与されたトルクを検出している(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、検出コイルには抵抗成分が含まれており、この抵抗成分にばらつきが存在している。特に、基板上に形成された配線パターンにより検出コイルを構成する場合には、配線パターンの厚さや幅にある程度の誤差が生じ、検出コイルに抵抗成分のばらつきが生じてしまうことは避けられない。検出コイルに抵抗成分のばらつきが生じると、トルクが付与されていない状態においても出力が生じてしまうオフセットと呼ばれる現象が生じてしまう。さらに、この抵抗成分のばらつきによるオフセットは、温度により大きく変化するため、検出精度が低下してしまうおそれがある。
そこで、本発明は、検出コイルの抵抗成分にバラつきがある場合であっても、検出精度を向上可能な磁歪式トルクセンサを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決することを目的として、磁歪特性を有する磁歪材によって伝達されるトルクを検出するトルクセンサであって、前記磁歪材の軸方向に対して所定角度傾斜した第1直線部を有し互いに電磁結合するように設けられた一対の第1及び第3の検出コイルと、前記磁歪材の軸方向に対して前記第1直線部と反対方向に前記所定角度傾斜した第2直線部を有し互いに電磁結合するように設けられた第2及び第4の検出コイルとを有するセンサ部と、前記第1の検出コイルと前記第2の検出コイルに対して、交流の駆動電圧を印加する駆動部と、前記第3の検出コイルと前記第4の検出コイルに電磁結合により生じた電圧を測定する電圧測定部と、を備えた、磁歪式トルクセンサを提供する。
本発明によれば、検出コイルの抵抗成分にバラつきがある場合であっても、検出精度を向上可能な磁歪式トルクセンサを提供できる。
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
図1は、本実施の形態に係る磁歪式トルクセンサの外観を示す斜視図である。図2(a)は、図1において樹脂モールド部を省略した斜視図、図2(b)はフレキシブル基板及び磁性リングの積層構造を示す断面図である。図3は、フレキシブル基板の各配線層に形成される配線パターンの一例を示す図である。
(磁歪材2)
図1~3に示すように、磁歪式トルクセンサ(以下、単にトルクセンサという)1は、磁歪材2に付与されるトルク(回転トルク)を検出するセンサであり、磁歪材2の周囲に取り付けられている。
図1~3に示すように、磁歪式トルクセンサ(以下、単にトルクセンサという)1は、磁歪材2に付与されるトルク(回転トルク)を検出するセンサであり、磁歪材2の周囲に取り付けられている。
磁歪材2は、周方向にトルクが付与される円柱状の部材である。トルクセンサ1における磁歪材2は、例えば、車両のパワートレイン系のトルク伝達に用いられるシャフト、あるいは車両のエンジンのトルク伝達に用いられるシャフトである。磁歪材2としては、例えばクロム鋼、クロムモリブデン鋼、又はニッケルクロムモリブデン鋼等のクロムを含有するクロム鋼からなる基材に、浸炭焼入れ焼戻し処理を施した後に、ショットピーニングを施したものを用いることができる。
(センサ部10)
トルクセンサ1は、磁歪材2の周囲を覆うように設けられたセンサ部10を備えている。センサ部10は、磁歪材2の周囲に設けられた検出コイル3と、検出コイル3の周囲を覆うように設けられた磁性リング(磁性体リング、バックヨーク)4と、を有している。本実施の形態では、第1乃至第4の4つの検出コイル31~34を有している。
トルクセンサ1は、磁歪材2の周囲を覆うように設けられたセンサ部10を備えている。センサ部10は、磁歪材2の周囲に設けられた検出コイル3と、検出コイル3の周囲を覆うように設けられた磁性リング(磁性体リング、バックヨーク)4と、を有している。本実施の形態では、第1乃至第4の4つの検出コイル31~34を有している。
図1及び図2(a)に示すように、センサ部10は、磁歪材2と離間して同軸に配置された円筒状のボビン5と、ボビン5の外面に巻き付けられたフレキシブル基板6と、樹脂モールド部7と、を有している。本実施の形態では、検出コイル3は、フレキシブル基板6に形成された配線パターン(後述する配線層60)から構成されている。ボビン5は、樹脂等の非磁性体からなり、その軸方向の一端部に径方向外方に突出した鍔部51が一体に形成されている。磁性リング4は、フレキシブル基板6の周囲を覆うように設けられている。
(樹脂モールド部7)
図1に示されるように、樹脂モールド部7は、フレキシブル基板6や磁性リング4を保護するためのものであり、ボビン5及びフレキシブル基板6及び磁性リング4の周囲を覆うように樹脂をモールドして形成される。樹脂モールド部7は、ボビン5及びフレキシブル基板6及び磁性リング4の周囲を覆う本体部71と、本体部71から外方に突出するように形成されたフランジ部72と、を一体に有している。本体部71には、磁歪材2を通すための貫通孔71aが形成されている。フランジ部72には、フランジ部72を貫通し、金属からなる短円筒状のカラー73を保持する保持孔74が形成されている。フランジ部72は、ボルト等を用いて、周囲の部材(磁歪材2の回転に伴い回転しない部材)に固定される。
図1に示されるように、樹脂モールド部7は、フレキシブル基板6や磁性リング4を保護するためのものであり、ボビン5及びフレキシブル基板6及び磁性リング4の周囲を覆うように樹脂をモールドして形成される。樹脂モールド部7は、ボビン5及びフレキシブル基板6及び磁性リング4の周囲を覆う本体部71と、本体部71から外方に突出するように形成されたフランジ部72と、を一体に有している。本体部71には、磁歪材2を通すための貫通孔71aが形成されている。フランジ部72には、フランジ部72を貫通し、金属からなる短円筒状のカラー73を保持する保持孔74が形成されている。フランジ部72は、ボルト等を用いて、周囲の部材(磁歪材2の回転に伴い回転しない部材)に固定される。
(フレキシブル基板6)
図2(b)に示されるように、フレキシブル基板6は、第1配線層61、第2配線層62、第3配線層63、第4配線層64の4層の配線層60を有している。ただし、配線層60の層数はこれに限定されず、2層以上であればよい。
図2(b)に示されるように、フレキシブル基板6は、第1配線層61、第2配線層62、第3配線層63、第4配線層64の4層の配線層60を有している。ただし、配線層60の層数はこれに限定されず、2層以上であればよい。
第1配線層61は、ポリイミドからなる第1ベース樹脂層65aの表面に形成されており、第1ベース樹脂層65aの裏面は接着層66bを介して第2配線層62に接着固定されている。第1配線層61の表面には、接着層66aを介してポリイミドからなる第1カバーレイ層67aが設けられ、絶縁処理が施されている。第1カバーレイ層67aの表面には両面テープ68aが貼付され、この両面テープ68aを介して、フレキシブル基板6がボビン5に接着固定される。
第2配線層62は、ポリイミドからなる第2ベース樹脂層65bの表面に形成されており、第2ベース樹脂層65bの裏面には、第3配線層63が形成されている。
第4配線層64は、ポリイミドからなる第3ベース樹脂層65cの裏面に形成されており、第3ベース樹脂層65cの表面は接着層66cを介して第3配線層63に接着固定されている。第4配線層64の表面には、接着層66dを介してポリイミドからなる第2カバーレイ層67bが設けられ、絶縁処理が施されている。第2カバーレイ層67bには、両面テープ68bが貼付され、この両面テープ68bを介して、フレキシブル基板6と磁性リング4とが接着固定されている。
フレキシブル基板6の内層となる第2配線層62と第3配線層63とは、圧延銅箔からなる。フレキシブル基板6の外層となる第1配線層61と第4配線層64とは、電解銅箔に銅めっきを施したものからなる。詳細は後述するが、トルクセンサ1では、フレキシブル基板6にビア(スルーホール)を形成する必要があるため、外層である第1,4配線層61,64では、めっきを施した構成となっている。
図3は、フレキシブル基板6の各配線層60に形成される配線パターンの一例を示す図である。図3では、フレキシブル基板6を展開して平面とした際の各配線層60の配線パターンを模式的に示している。
図3に示すように、第1乃至第4の検出コイル31~34は、フレキシブル基板6の配線層60に形成されている。第1及び第3の検出コイル31,33は、磁歪材2の軸方向に対して所定角度傾斜した第1直線部31a,33aを有し、第2及び第4の検出コイル32,34は、磁歪材2の軸方向に対して第1直線部31a,33aと反対方向に所定角度傾斜した第2直線部32a,34aを有する。
トルクセンサ1では、磁歪材2にトルクが付与された際の透磁率の変化は軸方向に対して±45度の方向で最も大きくなる。よって、第1直線部31a,33aを軸方向に対して+45度傾斜するように形成し、第2直線部32a,34aを軸方向に対して-45度傾斜するように形成することで、検出感度を向上できる。
このトルクセンサ1では、第1の検出コイル31を形成する配線層60と、第4の検出コイル34を形成する配線層60の配線パターンを一部入れ替え、2層の配線層60(第1及び第2配線層61,62)にわたって第1及び第4の検出コイル31,34が形成されるように構成している。同様に、第2の検出コイル32を形成する配線層60と、第3の検出コイル33を形成する配線層60の配線パターンを一部入れ替え、2層の配線層60(第3及び第4配線層63,64)にわたって第2及び第3の検出コイル32,33が形成されるように構成している。配線層60間はビアを介して電気的に接続される。
各検出コイル3を2層の配線層60にわたって形成することで、2層の配線層60の特性差による影響を抑制することが可能になる。その結果、配線層60間の特性差に起因した測定誤差を抑制し、測定精度を向上させることが可能になる。
本実施の形態では、第1配線層61と第3配線層63、および、第2配線層62と第4配線層64に形成される配線パターンは、略同じパターンとされる。また、第1配線層61と第3配線層63、および、第2配線層62と第4配線層64に形成される配線パターンに流れる電流は、同じ向きとなるようにされる。図3では、白抜き矢印で電流の向きを示している。また、図3では、第1乃至第4の検出コイル31~34の入力側電極を符号31b,32b,33b,34b、出力側電極を符号31c,32c,33c,34cで示している。また、図3における符号a~y,A~Yは、ビアによる接続関係を便宜的に表すものであり、同じ符号同士がビアを介して電気的に接続されていることを表している。なお、図3に示す各配線層60の配線パターンはあくまで一例であり、配線パターンの具体的な構造はこれに限定されるものではない。
本実施の形態では、センサ部10では、第1の検出コイル31と第3の検出コイル33とは、磁歪材2の径方向に重なるように設けられており、互いに電磁結合するように設けられている。同様に、第2の検出コイル32と第4の検出コイル34とは、磁歪材2の径方向に重なるように設けられており、互いに電磁結合するように設けられている。
(センサ部10の回路構成)
図4は、センサ部10の回路構成を示す回路図である。図4に示すように、トルクセンサ1は、第1の検出コイル31と第2の検出コイル32に対して、交流の駆動電圧を印加する駆動部8と、第3の検出コイル33と第4の検出コイル34に電磁結合により生じた電圧を測定する電圧測定部9と、を備えている。なお、図4では、第1乃至第4の検出コイル31~34を、L1~L4で表している。
図4は、センサ部10の回路構成を示す回路図である。図4に示すように、トルクセンサ1は、第1の検出コイル31と第2の検出コイル32に対して、交流の駆動電圧を印加する駆動部8と、第3の検出コイル33と第4の検出コイル34に電磁結合により生じた電圧を測定する電圧測定部9と、を備えている。なお、図4では、第1乃至第4の検出コイル31~34を、L1~L4で表している。
本実施の形態では、第1の検出コイル31と第2の検出コイル32とが直列に接続されると共に、第3の検出コイル33と第4の検出コイル34とが直列に接続されている。ここでは、第3の検出コイル33と第4の検出コイル34とは、電磁結合により生じる電圧の向きが逆方向となるように、直列に接続されている。
駆動部8は、直列に接続された第1の検出コイル31と第2の検出コイル32に対して、交流の駆動電圧を印加するように構成されている。駆動部8としては、一定周波数の交流の駆動電圧を出力可能な発振器を用いるとよい。
電圧測定部は、直列に接続された第3の検出コイル33と第4の検出コイル34の全体の電圧を測定するように構成されている。電圧測定部9としては、入力インピーダンスが高いものを用いるとよく、第3及び第4の検出コイル33,34にほぼ電流が流れない状態とすることが望ましい。本実施の形態では、電圧測定部9としてロックインアンプを用いた。
第1及び第3の検出コイル31,33間の相互インダクタンスをM31、第2及び第4の検出コイル32,34間の相互インダクタンスをM42とし、第1及び第3の検出コイル31,33に流れる電流をia、駆動電圧の周波数をfとすると、電磁結合により第3及び第4の検出コイル33,34に生じる電圧V3,V4は、下式(1),(2)で表される。なお、詳細は後述するが、本実施の形態では、第3及び第4の検出コイル33,34に生じる電圧V3,V4の向きが異なるようにセンサ部10を構成しており、相互インダクタンスM31,M42の正負の符号が異なっている。
V3=2πf×M31×ia ・・・(1)
V4=2πf×M42×ia ・・・(2)
V3=2πf×M31×ia ・・・(1)
V4=2πf×M42×ia ・・・(2)
電圧測定部9では、これら電圧V3,V4を合計した電圧V(=V3+V4)が測定されることになる。ここで、本実施の形態では、入力インピーダンスが高い電圧測定部9を用いているため、第3及び第4の検出コイル33,34にはほぼ電流が流れない。よって、電圧測定部9で検出される電圧Vは、第3及び第4の検出コイル33,34の抵抗成分の影響を受けない。
そして、上式(1),(2)中の相互インダクタンスM31,M42は、磁歪材2に付与されたトルクに応じて変動する。第1及び第3の検出コイル31,33間の相互インダクタンスM31は、磁歪材2を通過しない磁束による成分と、磁歪材2を通過する磁束による成分とに分けられる。このうち、磁歪材2を通過する磁束による成分は、磁歪材2を通過する磁束の通路の磁気抵抗に反比例すること、すなわち磁束の通路の透磁率に比例することが知られている。つまり、相互インダクタンスM31のうち、磁歪材2を通過する磁束による成分は、磁束の通路となる磁歪材2の45度傾斜した方向の透磁率に比例する。
磁歪材2の軸方向に対して45度傾斜した方向の透磁率をu+、磁歪材2に付与されたトルクをTとすると、透磁率をμ+は、下式(3)のように近似することができる。
μ+=μ0+Δμ=μ0+C×T ・・・(3)
ただし、μ0:トルクを付与しない状態での透磁率
Δμ:トルクを付与した際の透磁率の変化量
C:定数
式(3)においてΔμ(=C×T)が十分に小さいとすると、相互インダクタンスM31を近似すると、下式(4)で表すことができる。
M31=MC+A×T ・・・(4)
ただし、MC:トルクによる透磁率変化に依存しない定数項
A:相互インダクタンスに対するトルクの1次の係数
μ+=μ0+Δμ=μ0+C×T ・・・(3)
ただし、μ0:トルクを付与しない状態での透磁率
Δμ:トルクを付与した際の透磁率の変化量
C:定数
式(3)においてΔμ(=C×T)が十分に小さいとすると、相互インダクタンスM31を近似すると、下式(4)で表すことができる。
M31=MC+A×T ・・・(4)
ただし、MC:トルクによる透磁率変化に依存しない定数項
A:相互インダクタンスに対するトルクの1次の係数
同様に、第2及び第4の検出コイル32,34間の相互インダクタンスM42は下式(5)で表すことができる。なお、右辺のマイナスは、第4の検出コイル34に生じる電圧が第3の検出コイル33とは逆方向であることを意味している。
M42=-(MC-A×T) ・・・(5)
ただし、MC:トルクによる透磁率変化に依存しない定数項
A:相互インダクタンスに対するトルクの1次の係数
M42=-(MC-A×T) ・・・(5)
ただし、MC:トルクによる透磁率変化に依存しない定数項
A:相互インダクタンスに対するトルクの1次の係数
式(4),(5)を上式(1),(2)に代入すると、電圧測定部9で測定される電圧Vは、下式(6)で表される。
V=2πf×ia×(M31+M42)
=2πf×ia×(2×A×T) ・・・(6)
式(6)より、電圧測定部9で測定される電圧Vは、トルクTに比例したものとなる。よって、電圧Vを測定することで、磁歪材2に付与されたトルクTを検出することができる。本実施の形態では、磁歪材2にトルクが付与されていない状態では電圧Vはゼロとなり、トルクが付与される方向によって電圧Vの正負が変化する。
V=2πf×ia×(M31+M42)
=2πf×ia×(2×A×T) ・・・(6)
式(6)より、電圧測定部9で測定される電圧Vは、トルクTに比例したものとなる。よって、電圧Vを測定することで、磁歪材2に付与されたトルクTを検出することができる。本実施の形態では、磁歪材2にトルクが付与されていない状態では電圧Vはゼロとなり、トルクが付与される方向によって電圧Vの正負が変化する。
なお、上式(4),(5)では、両相互インダクタンスM31,M42において定数Aが同じとしたが、この定数Aに差がある場合、磁歪材2にトルクが付与されていない状態での電圧Vはゼロとならない。よって、両相互インダクタンスM31,M42が同等となるように(定数Aが同じになるように)センサ部10を構成することがより望ましい。
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態に係る磁歪式トルクセンサ1では、磁歪材2の軸方向に対して所定角度傾斜した第1直線部31a,33aを有し互いに電磁結合するように設けられた一対の第1及び第3の検出コイル31,33、及び、磁歪材2の軸方向に対して第1直線部31a,33aと反対方向に所定角度傾斜した第2直線部32a,34aを有し互いに電磁結合するように設けられた第2及び第4の検出コイル32,34を有するセンサ部10と、第1の検出コイル31と第2の検出コイル32に対して、交流の駆動電圧を印加する駆動部8と、第3の検出コイル33と第4の検出コイル34に電磁結合により生じた電圧を測定する電圧測定部9と、を備えている。
以上説明したように、本実施の形態に係る磁歪式トルクセンサ1では、磁歪材2の軸方向に対して所定角度傾斜した第1直線部31a,33aを有し互いに電磁結合するように設けられた一対の第1及び第3の検出コイル31,33、及び、磁歪材2の軸方向に対して第1直線部31a,33aと反対方向に所定角度傾斜した第2直線部32a,34aを有し互いに電磁結合するように設けられた第2及び第4の検出コイル32,34を有するセンサ部10と、第1の検出コイル31と第2の検出コイル32に対して、交流の駆動電圧を印加する駆動部8と、第3の検出コイル33と第4の検出コイル34に電磁結合により生じた電圧を測定する電圧測定部9と、を備えている。
入力インピーダンスが十分に高い電圧測定部9を用いることで、第3及び第4の検出コイル33,34に流れる電流を極めて小さくすることができ、製造上のばらつきが大きい第3及び第4の検出コイル33,34の抵抗成分の影響を受けずに、トルクの検出(トルクに応じた電圧Vの検出)が可能になる。その結果、抵抗成分の温度変化による変動も無視することが可能になり、精度よくトルクを検出することが可能になる。すなわち、本実施の形態によれば、検出コイル31~34の抵抗成分にバラつきがある場合であっても、温度変動を小さくし、検出精度を向上することが可能になる。本実施の形態は、幅や厚さが変動しやすい配線パターンにより検出コイル31~34を構成する場合に、特に有効である。
(変形例)
上記実施の形態では、電圧測定部9としてロックインアンプを用いる場合を説明したが、これに限らず、電圧測定部9は、第3及び第4の検出コイル33,34の抵抗成分を無視できる程度に電流を抑えられる十分に高い入力インピーダンスを有するものであればよく、ロックインアンプに限定されない。
上記実施の形態では、電圧測定部9としてロックインアンプを用いる場合を説明したが、これに限らず、電圧測定部9は、第3及び第4の検出コイル33,34の抵抗成分を無視できる程度に電流を抑えられる十分に高い入力インピーダンスを有するものであればよく、ロックインアンプに限定されない。
また、上記実施の形態では、第3の検出コイル33と第4の検出コイル34とが、電磁結合により生じる電圧の向きが逆方向となるように、直列に接続されている場合について説明したが、これに限らず、第3及び第4の検出コイル33,34で電磁結合により生じる電圧の向きが同じ方向であってもよい。この場合、トルクが付与されていない状態での電圧Vからの変化量に基づいて、磁歪材2に付与されたトルクを求めることになる。ただし、この場合、トルクが付与されていない状態でも常に電圧Vが出力されることになるため、トルクが付与されていない状態では電圧Vがゼロ(あるいは略ゼロ)となるように、第3及び第4の検出コイル33,34で電磁結合により生じる電圧の向きを逆方向とすることがより好ましい。
さらに、上記実施の形態では、直列に接続された第1及び第2の検出コイル31,32に対して、交流の駆動電圧を印加したが、これに限らず、第1及び第2の検出コイル31,32それぞれに一定の駆動電圧を印加できればよい。例えば、第1及び第2の検出コイル31,32それぞれに駆動部8からの駆動電圧が印加されるよう構成されていてもよく、第1及び第2の検出コイル31,32が直列に接続されていることは必須ではない。
さらにまた、上記実施の形態では、直列に接続された第3の検出コイル33と第4の検出コイル34の全体の電圧Vを電圧測定部9により測定したが、第3及び第4の検出コイル33,34に生じる電圧V3,V4を個別に測定し、演算により電圧Vを求めてもよく、第3及び第4の検出コイル33,34が直列に接続されていることは必須ではない。
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
[1]磁歪特性を有する磁歪材(2)によって伝達されるトルクを検出するトルクセンサであって、前記磁歪材(2)の軸方向に対して所定角度傾斜した第1直線部(31a,33a)を有し互いに電磁結合するように設けられた一対の第1及び第3の検出コイル(31,33)と、前記磁歪材(2)の軸方向に対して前記第1直線部(31a,33a)と反対方向に前記所定角度傾斜した第2直線部(32a,34a)を有し互いに電磁結合するように設けられた第2及び第4の検出コイル(32,34)とを有するセンサ部(10)と、前記第1の検出コイル(31)と前記第2の検出コイル(32)に対して、交流の駆動電圧を印加する駆動部(8)と、前記第3の検出コイル(33)と前記第4の検出コイル(34)に電磁結合により生じた電圧を測定する電圧測定部(9)と、を備えた、磁歪式トルクセンサ(1)。
[2]前記センサ部(10)は、前記第1の検出コイル(31)と前記第2の検出コイル(32)とが直列に接続さると共に、前記第3の検出コイル(33)と前記第4の検出コイル(34)とが直列に接続されており、前記駆動部(8)は、直列に接続された前記第1の検出コイル(31)と前記第2の検出コイル(32)に対して、交流の駆動電圧を印加するように構成され、前記電圧測定部(9)は、直列に接続された前記第3の検出コイル(33)と前記第4の検出コイル(34)の全体の電圧を測定する、[1]に記載の磁歪式トルクセンサ(1)。
[3]前記センサ部(10)は、前記第3の検出コイル(33)と前記第4の検出コイル(34)とが、電磁結合により生じる電圧の向きが逆方向となるように、直列に接続されている、[1]に記載の磁歪式トルクセンサ(1)。
[4]前記電圧測定部(9)が、ロックインアンプからなる、[1]に記載の磁歪式トルクセンサ(1)。
[5]前記所定角度が45度である、[1]に記載の磁歪式トルクセンサ(1)。
[6] 前記第1乃至第4の検出コイル(31~34)が、フレキシブル基板(6)に形成された配線パターンにより構成されている、[1]に記載の磁歪式トルクセンサ。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
1…磁歪式トルクセンサ(トルクセンサ)
2…磁歪材
3…検出コイル
31…第1の検出コイル
32…第2の検出コイル
33…第3の検出コイル
34…第4の検出コイル
31a,33a…第1直線部
32a,34a…第2直線部
6…フレキシブル基板
8…駆動部
9…電圧測定部
10…センサ部
2…磁歪材
3…検出コイル
31…第1の検出コイル
32…第2の検出コイル
33…第3の検出コイル
34…第4の検出コイル
31a,33a…第1直線部
32a,34a…第2直線部
6…フレキシブル基板
8…駆動部
9…電圧測定部
10…センサ部
Claims (6)
- 磁歪特性を有する磁歪材によって伝達されるトルクを検出するトルクセンサであって、
前記磁歪材の軸方向に対して所定角度傾斜した第1直線部を有し互いに電磁結合するように設けられた一対の第1及び第3の検出コイルと、前記磁歪材の軸方向に対して前記第1直線部と反対方向に前記所定角度傾斜した第2直線部を有し互いに電磁結合するように設けられた第2及び第4の検出コイルとを有するセンサ部と、
前記第1の検出コイルと前記第2の検出コイルに対して、交流の駆動電圧を印加する駆動部と、
前記第3の検出コイルと前記第4の検出コイルに電磁結合により生じた電圧を測定する電圧測定部と、を備えた、
磁歪式トルクセンサ。 - 前記センサ部は、前記第1の検出コイルと前記第2の検出コイルとが直列に接続さると共に、前記第3の検出コイルと前記第4の検出コイルとが直列に接続されており、
前記駆動部は、直列に接続された前記第1の検出コイルと前記第2の検出コイルに対して、交流の駆動電圧を印加するように構成され、
前記電圧測定部は、直列に接続された前記第3の検出コイルと前記第4の検出コイルの全体の電圧を測定する、
請求項1に記載の磁歪式トルクセンサ。 - 前記センサ部は、前記第3の検出コイルと前記第4の検出コイルとが、電磁結合により生じる電圧の向きが逆方向となるように、直列に接続されている、
請求項1に記載の磁歪式トルクセンサ。 - 前記電圧測定部が、ロックインアンプからなる、
請求項1に記載の磁歪式トルクセンサ。 - 前記所定角度が45度である、
請求項1に記載の磁歪式トルクセンサ。 - 前記第1乃至第4の検出コイルが、フレキシブル基板に形成された配線パターンにより構成されている、
請求項1に記載の磁歪式トルクセンサ。
Priority Applications (1)
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JP2022147636A JP2024042792A (ja) | 2022-09-16 | 2022-09-16 | 磁歪式トルクセンサ |
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-
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- 2022-09-16 JP JP2022147636A patent/JP2024042792A/ja active Pending
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