JP2024032848A - 弁構造体及びこれを備える包装体 - Google Patents
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Abstract
【課題】包装容器の内圧の上昇時にガス抜きを行うことができる一方で、包装容器内へ水分が混入することを防止することができる弁構造体及びこれを備える包装体を提供する。【解決手段】包装容器に取り付けられる弁構造体が提供される。前記弁構造体は、前記包装容器の内外を連通させる通路が内部に形成される弁外体と、前記通路内に配置される逆止弁と、前記通路を閉塞するように前記逆止弁の外部に向かう側である二次側に配置される水分バリア機構とを備える。【選択図】図1
Description
本発明は、弁構造体及びこれを備える包装体に関する。
特開2016-31934号公報(特許文献1)は、電池素子をパウチに収容した電池を開示している。パウチには、その周縁に沿って形成されるヒートシール部に、逆止弁を有する弁構造体が取り付けられる。この逆止弁は、パウチの内圧が一定以上に上昇した場合に作動し、ガス抜きを行うように構成されている。
また、特開2010-153841号公報(特許文献2)は、電池素子を箱型のラミネート容器に収容した電池を開示している。このラミネート容器は、その周縁に沿って形成されるフランジ状のヒートシール部に、他の部位よりも剥離し易い箇所(以下、イージーピール部という)が形成されている。イージーピール部は、ラミネート容器の内圧が一定以上に上昇した場合に剥離し、イージーピール部の中央に形成されている孔を介してガス抜きを行う。イージーピール部は、特許文献1のような逆止弁とは異なり、一度剥離すると元の状態に復帰しない破壊弁である。
ところで、逆止弁とは、概ね一方通行の弁であり、逆流を完全に防止することまでは通常できない。そのため、特許文献1のようなパウチ内のガス抜きを行う逆止弁が、パウチ内への大気の進入を完全に防止することは実際上困難である。よって、特許文献1のような電池では、パウチ内に大気に含まれる水分が混入し、電池の劣化が起きてしまう。
一方、特許文献2のような電池では、破壊弁が一度破壊してしまうと、破壊により形成された通路を介してラミネート容器内へ大気が進入する。よって、特許文献2のように破壊弁が用いられる場合も、ラミネート容器内に大気に含まれる水分が混入し、電池の劣化が起きてしまう。
本発明は、包装容器の内圧の上昇時にガス抜きを行うことができる一方で、包装容器内へ水分が混入することを防止することができる弁構造体及びこれを備える包装体を提供することを目的とする。なお、本発明は、上記のような電池の例に限らず、内部への水分の混入が問題となり得る様々な包装体又はこれに含まれる弁構造体に適用され得る。
本発明の第1観点に係る弁構造体は、包装容器に取り付けられる弁構造体であって、前記包装容器の内外を連通させる通路が内部に形成される弁外体と、前記通路内に配置される逆止弁と、前記通路を閉塞するように前記逆止弁の外部に向かう側である二次側に配置される水分バリア機構とを備える。
本発明の第2観点に係る弁構造体は、第1観点に係る弁構造体であって、前記水分バリア機構は、内部に向かう側である一次側の圧力が上昇した場合に裂開する破壊弁を含む。
本発明の第3観点に係る弁構造体は、第1観点又は第2観点に係る弁構造体であって、前記水分バリア機構は、防水性液体の層を含む。
本発明の第4観点に係る弁構造体は、第1観点から第3観点のいずれかに係る弁構造体であって、前記水分バリア機構の一次側に配置されるアキュムレータをさらに備える。
本発明の第5観点に係る弁構造体は、第1観点から第4観点のいずれかに係る弁構造体であって、前記弁外体は、前記包装容器の外部に配置され、前記取付部に連続し、前記通路を部分的に画定する筒状部位をさらに含む。前記逆止弁は、前記筒状部位内に配置される。
本発明の第6観点に係る弁構造体は、第1観点から第5観点のいずれかに係る弁構造体であって、前記包装容器は、ラミネート容器である。前記弁外体は、前記通路を少なくとも部分的に画定し、前記ラミネート容器を構成するラミネートフィルムに挟まれた状態で前記ラミネート容器に固定される取付部を含む。
本発明の第7観点に係る包装体は、第1観点から第6観点のいずれかに係る弁構造体と、前記弁構造体が取り付けられた前記包装容器とを備える。
本発明の第8観点に係る包装体は、第7観点に係る包装体であって、前記包装容器の内圧が前記包装容器の耐内圧の2/3以下の所定の圧力まで上昇した場合に圧力を逃がすように構成されている。
本発明の第9観点に係る包装体は、第7観点又は第8観点に係る包装体であって、前記包装容器の内圧と外圧との圧力差が0.05以上かつ0.75MPa以下の所定の圧力に達した場合に圧力を逃がすように構成されている。
本発明の第10観点に係る包装体は、第7観点から第9観点のいずれかに係る包装体であって、前記包装容器は、パウチである。
本発明の第11観点に係る包装体は、第7観点から第10観点のいずれかに係る包装体であって、前記包装容器の耐内圧は、0.3~1MPaである。
本発明の第12観点に係る包装体は、第7観点から第11観点のいずれかに係る包装体であって、前記包装容器内には、使用開始前において実質的に真空が形成されている。
本発明の第13観点に係る包装体は、第7観点から第12観点のいずれかに係る包装体であって、前記包装容器は、電池素子を収容する。
本発明によれば、包装容器の内外を連通させる通路内に逆止弁が配置されるとともに、逆止弁の外部に向かう側である二次側に水分バリア機構が配置される。従って、逆止弁により、包装容器の内圧の上昇時にガス抜きが可能である一方で、水分バリア機構により、包装容器内へ水分が混入することを防止することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る弁構造体及びこれを備える包装体について説明する。
<1.包装体の全体構成>
図1は、本実施形態に係る包装体101の斜視図を示す。同図に示すように、包装体101は、本実施形態に係る弁構造体100と、弁構造体100が取り付けられた包装容器200とを備える。図1では、本来外部から視認できない部位が、参考のため、部分的に点線で示されている。以下では、説明の便宜のため、図1の上下方向を「上下」と称し、左右方向を「左右」と称するが、包装体101の使用時の向き及び方向は、これに限定されない。
図1は、本実施形態に係る包装体101の斜視図を示す。同図に示すように、包装体101は、本実施形態に係る弁構造体100と、弁構造体100が取り付けられた包装容器200とを備える。図1では、本来外部から視認できない部位が、参考のため、部分的に点線で示されている。以下では、説明の便宜のため、図1の上下方向を「上下」と称し、左右方向を「左右」と称するが、包装体101の使用時の向き及び方向は、これに限定されない。
包装容器200の内容物は特に限定されないが、包装体101は、時間の経過に伴いガスを発生する内容物を収容するのに特に優れる。包装容器200の内容物は、例えば、コーヒー、発酵食品(味噌等)、長期保存用食品等とすることができるが、本実施形態の包装体101は、電池、特にリチウムイオン二次電池であり、包装容器200は、内容物として、電極及び電解液といった電池素子を収容する。
包装容器200は、例えば、樹脂成形品又はフィルムにより形成される。ここでいう樹脂成形品とは、射出成型や圧空成形、真空成形、ブロー成形等の方法により製造することができ、意匠性や機能性を付与するためにインモールド成形を行ってもよい。樹脂の種類は、PP、PET、ナイロン、ABS等とすることができる。また、ここでいうフィルムとは、例えば、インフレーション法やTダイ法等の方法により製造することができるプラスチックフィルムや金属箔である。また、ここでいうフィルムは、延伸されたものであってもなくてもよく、単層のフィルムであっても積層フィルムであってもよい。また、ここでいう積層フィルムは、コーティング法により製造されてもよいし、複数枚のフィルムが接着剤等により接着されたものでもよいし、多層押出法により製造されてもよい。
包装容器200は、本実施形態ではラミネート容器である。ラミネート容器とは、その名の通り、ラミネートフィルムから構成される。また、ラミネート容器の形態は特に限定されず、袋状にすることもできるが、本実施形態では、ラミネートフィルムを凹状に成形し、その上から重ね合わされたラミネートフィルムと適当な部分(周縁部)でヒートシールされ、これによりヒートシール部201が形成される。そして、このヒートシール部201により、外部空間から遮断された包装容器200の内部空間が形成される。なお、本明細書でいうヒートシールの態様には、熱源からの加熱溶着、超音波溶着等の態様が想定される。ラミネートフィルムは、基材層、バリア層及び熱融着性樹脂層をこの順に積層した積層体とすることができる。
弁構造体100は、包装容器200の内部で発生したガスを必要に応じて外部へ逃がし、包装容器200が内圧によって破裂することを防止するように構成される。以下では、弁構造体100を基準として、包装容器200の内部に向かう側を一次側、一次側の反対側(包装容器200の外部に向かう側)を二次側と呼ぶ。
<2.弁構造体の構成>
図1に示すように、弁構造体100は、内部に通路Lが形成される弁外体2を備える。弁外体2は、筒状部位20及び取付部22を有する。取付部22は、弁構造体100を包装容器200に取り付けるための部位である。取付部22は、本実施形態では、包装容器200の成袋時にヒートシール部201を構成するラミネートフィルムに挟まれた状態でヒートシールされることによって、包装容器200に固定される。図1では、包装容器200にヒートシールが施されている位置が、斜線のハッチングで示されている。
図1に示すように、弁構造体100は、内部に通路Lが形成される弁外体2を備える。弁外体2は、筒状部位20及び取付部22を有する。取付部22は、弁構造体100を包装容器200に取り付けるための部位である。取付部22は、本実施形態では、包装容器200の成袋時にヒートシール部201を構成するラミネートフィルムに挟まれた状態でヒートシールされることによって、包装容器200に固定される。図1では、包装容器200にヒートシールが施されている位置が、斜線のハッチングで示されている。
取付部22は、筒状部位20と中心軸が略一致する環状部23と、環状部23の左右の端部からそれぞれ左方向及び右方向に延びる翼状延端部24及び24とを含み、平面視において涙目形状である。筒状部位20は、取付部22の上端から上方向に延びる略円筒状の部位である。これに限定されないが、本実施形態では、筒状部位20及び取付部22は、ステンレス等の金属で構成されており、別部品として成形された後、互いに溶接されている。ただし、筒状部位20及び取付部22は、一体的に構成することもできる。なお、取付部22と筒状部位20とを別部品とする場合、両者を異素材とすることができ、例えば、筒状部位20をステンレス製とし、取付部22を硬質の樹脂製とすることができる。通路Lは、取付部22及び筒状部位20の内部を貫通して上下方向に延びる、断面が略円形の通路であり、包装容器200の内外を連通させる。
通路L内には、逆止弁3が配置される。図2は、逆止弁3の周辺の構造を示す側方断面図である。逆止弁3は、自身の一次側の圧力が上昇すると開状態となり、ガスを一次側の空間から二次側の空間に逃すように構成される。通路L内において逆止弁3の一次側の空間R1は、包装容器200の内部に連通しており、空間R1の内圧は、包装容器200の内圧に一致する。空間R1は、包装容器200の内部とともに、包装容器200内部で発生したガスが最初に封止される閉空間を形成する。つまり、逆止弁3は、包装容器200の内部において発生したガスに起因して包装容器200の内圧が上昇した場合に開くように構成されている。逆止弁3は、包装容器200の内圧に応じて包装容器200の内部から外部方向へとガスを放出する一方通行の弁である。逆止弁3は、繰り返しのガス抜きが可能な復帰弁である。
図2に示されるように、通路Lは、包装容器200内において発生したガスを逆止弁3へ誘導する。逆止弁3の構成は特に限定されず、本実施形態では、図2に示すとおり、ボールスプリング型であるが、例えば、ダックビル型、アンブレラ型等とすることもできる。本実施形態の逆止弁3は、弁座210と、Oリング212と、ボール214と、バネ216とを含む。
弁座210は、筒状部位20の内周面から通路L内に向かって突出するように配置される。弁座210は、通路L内に、上方に向かって拡径する逆円錐型の空間を画定し、同空間は、逆止弁3の一次側の空間R1に連通する。弁座210は、バネ216により上方から付勢される弁体としてのボール214を受け取り、このとき、逆止弁3の閉状態が形成される。ボール214は、バネ216の下端に接触し、バネ216の上端は、筒状部位20の内周面に固定される。バネ216は、図2の例では、板バネであるが、コイルばねとすることもできる。弁座210は、例えば、ステンレス等の金属製とすることができ、筒状部位20及び取付部22と一体的に構成することができる。Oリング212は、ボール214が弁座210に着座したときに、ボール214と弁座210との隙間をなくし、閉状態の密閉性を高めるのを補助する。Oリング212は、中空円形のリングであり、例えば、フッ素ゴムによって構成される。ボール214及びバネ216の材質は特に限定されず、例えば、両者をステンレス等の金属製とすることができる。また、ボール214は、樹脂で構成されてもよい。また、ボール214及び弁座210の一方をゴム製とし、他方をテフロン(登録商標)またはテフロン(登録商標)コートしたステンレス等の金属製とすることもできる。
また、通路L内において逆止弁3の二次側(弁座210とボール214とが接触する位置よりも包装容器200の外部へ向かう側)には、空間R2が形成されている。包装容器200の内圧、すなわち、逆止弁3の一次側の空間R1の内圧が所定の圧力に達すると、包装容器200の内部から誘導されたガスがボール214を上方に押圧する。ボール214が押圧され、弁座210から離れると、バネ216が変形して、バネ216とボール214との接触部位が上方へ移動し、逆止弁3の開状態が形成される。この開状態において、包装容器200内部で発生したガスは、ボール214とOリング212との間に形成された隙間を介して空間R2内へ流れ出す。これにより、空間R1内のガスが排出され、ボール214を上方向に押圧する力が弱まると、バネ216がボール214を下方向に付勢する力がこれよりも大きくなり、バネ216の形状が復元する。その結果、再度、逆止弁3の閉状態が形成される。
逆止弁3の二次側には、破壊弁1が配置される。より具体的には、筒状部位20の上端部の内周面には、フランジ部21が形成されており、フランジ部21の上面は、破壊弁1の外周縁と溶接されている。破壊弁1は、アルミニウム等の金属製であり、略円板形状である。破壊弁1は、通路Lを閉塞し、空間R2を外部空間から密閉するように配置される。フランジ部21は、内フランジであり、破壊弁1の外径は、フランジ部21の内径よりも大きく、本実施形態では、フランジ部21の外径と概ね同じ大きさである。なお、破壊弁1は、フランジ部21の下面に固定されてもよい。
破壊弁1は、自身の一次側の圧力が上昇すると、裂開してガスを一次側の空間から二次側の空間に逃すように構成される。つまり、破壊弁1は、包装容器200の内部において発生したガスが逆止弁3を通過して二次側の空間R2内に溜まり、これにより空間R2の内圧が上昇した場合に裂開し、ガスを外部空間へ放出するように構成されている。
破壊弁1は、裂開前の状態においては、気体及び液体連通を防止する。すなわち、破壊弁1は、大気及びこれに含まれる水分が包装容器200の外部から内部へと混入するのを防止する水分バリア機構として機能する。
図3Aは、破壊弁1の上面図である。破壊弁1の上面には、略Y字状に切り欠かれた切欠き部10が形成される。図3Bは、図3AのIII-III線断面図である。図3Bに示すように、切欠き部10は、破壊弁1の上面と下面とで対称に形成され、切欠き部10の厚みW1は破壊弁1の他の部分の厚みW2よりも薄い。つまり、切欠き部10は、破壊弁1の他の部分よりも相対的に強度が低く、破壊弁1の一次側の圧力が上昇した場合に応力が集中する部位である。これにより、空間R2の内圧の上昇に伴って破壊弁1に一定以上の圧力が加わると、切欠き部10から破断が発生し、破壊弁1が裂開する。破壊弁1の開弁圧力は、破壊弁1が裂開する圧力(一次側と二次側との圧力差)であり、切欠き部10の形状、厚みW1、材料等のパラメータによって適宜実現することができる。なお、ここでいう「裂開」とは、破壊弁1を構成する材料が断ち切れることにより、破壊弁1の一次側と二次側とが気体及び液体連通した状態になることを指すものとする。
以上のとおり、本実施形態では、逆止弁3の二次側に破壊弁1が配置される。逆止弁3は、一方通行の弁であると言えるものの、それ単体では、逆流を完全に防止することまではできない。よって、逆止弁3のみでは、包装容器200内への大気の進入を完全に防止することは困難であり、電池の劣化が生じ得る。この点、本実施形態では、破壊弁1の裂開前には、破壊弁1の存在により、包装容器200内への大気の進入を十分に防止し、これに含まれる水分による電池の劣化を効果的に防止することができる。
また、破壊弁1が裂開するのは、逆止弁3が少なくとも1回作動した後である。よって、破壊弁1の裂開後においては、逆止弁3の一次側の空間R1の内圧が比較的高い状態に維持されるため、逆止弁3を介しての僅かな逆流さえも生じにくい状態が生じる。よって、破壊弁1の裂開後においても、逆止弁3の作用により、包装容器200内への大気の進入を防止し、これに含まれる水分による電池の劣化を効果的に防止することができる。よって、破壊弁1の裂開後も、電池である包装体101を継続的に使用することができる。
さらに、本実施形態の包装体101は、電池であり、製造直後の使用開始前においては、包装容器200内には実質的に真空が形成される。ここで、以上述べた大気の逆流の問題により、仮に破壊弁1が存在せず、逆止弁3のみの構成では、包装容器200内を真空引きすることが困難である。この点、本実施形態では、破壊弁1の存在により、このような真空引きも容易に行うことができる。
さらに、本実施形態では、逆止弁3及び破壊弁1が取付部22ではなく、筒状部位20内に配置される。その結果、包装容器200に取付部22をヒートシールにより取り付ける時の熱で、逆止弁3及び破壊弁1を構成する各種部品が変形する虞が低減される。
逆止弁3の開弁圧力は、破壊弁1の開弁圧力よりも大きいことが好ましい。逆の場合、破壊弁1がなかなか裂開しないために、二次側の空間R2の内圧が上昇するが、このとき、一次側と二次側の差圧によって作動する逆止弁3が、包装容器200の内圧がさらに高まるまで作動できなくなってしまう可能性があるからである。なお、逆止弁3の開弁圧力も、破壊弁1と同様に、逆止弁3が開弁する圧力(一次側と二次側との圧力差)である。
包装容器200の耐内圧は、0.3MPa以上であることが好ましい。この場合、振動等の予期せぬ原因により、包装容器200が破裂してしまうことが防止される。また、包装容器200の耐内圧は、1MPa以下とすることができる。この場合、包装容器200内で大量に発生したガスにより、電池の内部部品に不具合が生じることが抑制され得る。なお、包装容器200の耐内圧とは、弁構造体100を省略し、弁構造体100の取り付け位置をその周辺と同様にヒートシールした場合に、包装容器200が気密にシールされた状態を維持できる包装容器200の最大の内圧を意味する。ここで、包装容器200の内圧は、大気圧との差で表すものとする。また、圧力を数値で示すとき、特に断らない限り、それらは25℃環境で計測されるものとする。
また、包装体101は、包装容器200の内圧が包装容器200の耐内圧の2/3以下の所定の圧力まで上昇した場合に、破壊弁1が裂開し、外部空間へ圧力を逃がすように構成されていることが好ましい。この場合、包装容器200が破裂する前に、より確実に弁構造体100によるガス抜きを実現することができる。
また、包装体101は、包装容器200の内圧と外圧(外部空間の圧力)との圧力差が0.05MPa以上かつ0.75MPa以下の所定の圧力に達した場合に、破壊弁1が裂開し、外部空間へ圧力を逃がすように構成されていることが好ましい。包装容器200の内圧と外圧との圧力差が0.05MPa以下で破壊弁1が裂開する場合、少しの振動で開弁してしまう可能性があり、0.75MPa以上で破壊弁1が裂開する場合、弁構造体100の周辺の変形が大きくなり、電極同士が短絡してしまう可能性があるからである。
破壊弁1の開弁圧力は、0.05~0.75MPaであることが好ましい。逆止弁3の開弁圧力は、0.05~0.75MPaであることが好ましい。また、破壊弁1の開弁圧力は、逆止弁3の開弁圧力と同じ又はそれ以下であることが好ましい。100℃の高温環境でラミネート容器200の耐内圧が1MPaを上回る場合、破壊弁1の開弁圧力は、1MPaの2/3以下であることが好ましい。破壊弁1の開弁圧力が1MPaの2/3を上回ると、ラミネート容器200が破袋しないとしても変形により電極が変形し、ショートするなどの問題が発生するためである。
<3.弁構造体の動作>
以下、弁構造体100の使用状態について説明する。弁構造体100は、包装容器200に気密に取り付けられた状態で使用される。
以下、弁構造体100の使用状態について説明する。弁構造体100は、包装容器200に気密に取り付けられた状態で使用される。
既に述べたとおり、包装体101は電池であり、包装容器200には、電解液が収容される。電解液は、何らかの原因で気化したり、分解したりすることがある。電解液の気化や分解に伴って包装容器200の内部でガスが発生すると、空間R1の内圧が上昇する。そして、空間R1の内圧(空間R2との差圧)が上昇して逆止弁3の開弁圧力に達すると、逆止弁3が開弁する。逆止弁3が開弁すると、空間R1と空間R2とが連通し、ガスは元々閉空間であった空間R2内に逃れることができるようになる。その結果、包装容器200に加わる内圧が降下し、逆止弁3は、閉状態に復帰する。
逆止弁3が1回又は複数回繰り返し開弁し、空間R2の内圧が上昇して破壊弁1の開弁圧力に達すると、破壊弁1が裂開する。これにより、空間R2が外部空間と連通し、空間R2内のガスが外部空間へと放出される。
破壊弁1は、一度裂開すると、その機能を果たさなくなる。しかしながら、破壊弁1の二次側に逆止弁3が存在するため、包装容器200の内外が連通することなく、包装容器200内への大気及びこれに含まれる水分の進入が生じ難い状態が継続する。従って、破壊弁1の裂開後も、電池である包装体101の使用を継続することができる。
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
<4-1>
上記実施形態では、破壊弁1は、切欠き部10が形成された金属製の板状部材とされたが、破壊弁1の構成は、この態様に限定されない。例えば、弁外体2の上端部に外周縁がヒートシールされたラミネートフィルムにより、破壊弁1を構成することもできる。この例でも、上記実施形態と同様に、包装容器200の内部において発生したガスにより、破壊弁1であるラミネートフィルムの一次側の圧力が上昇すると、ラミネートフィルムが剥離する(開弁する)ように構成される。また、図4に示すように、弁外体2の筒状部位20に、その内部空間を外部空間から密閉するようなパウチ1aを取り付けてもよい。この例でも、包装容器200の内部において発生したガスにより、パウチ1a内の圧力が上昇すると、パウチ1aが剥離する(開弁する)ように構成される。以上のとおり、イージーピールによっても、好ましく破壊弁を形成することができる。
上記実施形態では、破壊弁1は、切欠き部10が形成された金属製の板状部材とされたが、破壊弁1の構成は、この態様に限定されない。例えば、弁外体2の上端部に外周縁がヒートシールされたラミネートフィルムにより、破壊弁1を構成することもできる。この例でも、上記実施形態と同様に、包装容器200の内部において発生したガスにより、破壊弁1であるラミネートフィルムの一次側の圧力が上昇すると、ラミネートフィルムが剥離する(開弁する)ように構成される。また、図4に示すように、弁外体2の筒状部位20に、その内部空間を外部空間から密閉するようなパウチ1aを取り付けてもよい。この例でも、包装容器200の内部において発生したガスにより、パウチ1a内の圧力が上昇すると、パウチ1aが剥離する(開弁する)ように構成される。以上のとおり、イージーピールによっても、好ましく破壊弁を形成することができる。
<4-2>
上記実施形態において、破壊弁1に代えて、図5に示すように、逆止弁3の二次側に防水性液体の層1bを配置することもできる。この場合、例えば、防水性液体として、気体を通すが液体を通さないオイルを使用することができる。防水性液体の層1bは、例えば、図5に示すように、気体を通して液体を通さない膜1cを、通路L内において通路Lの延びる方向に沿って2か所に配置し、これらの膜1cの間に防水性液体を収容することにより、形成することができる。このような膜1cとしては、例えば、フッ素から構成される、又はフッ素コートされた不織布や、ゴアテックス(商標登録)の布を使用することができる。この変形例では、防水性液体の層1bは、気体を通すため、空間R2の内圧の上昇により破壊され難い点で優れる。また、破壊弁とは異なり、圧力設定をする必要がないので、逆止弁のみの圧力制御によって外部にガスを放出することができる。一方で、防水性液体の層1bは、液体を通さないため、大気及びこれに含まれる水分が包装容器200の外部から内部へと混入するのを防止する水分バリア機構として機能することができる。なお、破壊弁1とともに、防水性液体の層1bを配置することもできる。この場合、破壊弁1の二次側に防水性液体の層1bを配置することが好ましい。
上記実施形態において、破壊弁1に代えて、図5に示すように、逆止弁3の二次側に防水性液体の層1bを配置することもできる。この場合、例えば、防水性液体として、気体を通すが液体を通さないオイルを使用することができる。防水性液体の層1bは、例えば、図5に示すように、気体を通して液体を通さない膜1cを、通路L内において通路Lの延びる方向に沿って2か所に配置し、これらの膜1cの間に防水性液体を収容することにより、形成することができる。このような膜1cとしては、例えば、フッ素から構成される、又はフッ素コートされた不織布や、ゴアテックス(商標登録)の布を使用することができる。この変形例では、防水性液体の層1bは、気体を通すため、空間R2の内圧の上昇により破壊され難い点で優れる。また、破壊弁とは異なり、圧力設定をする必要がないので、逆止弁のみの圧力制御によって外部にガスを放出することができる。一方で、防水性液体の層1bは、液体を通さないため、大気及びこれに含まれる水分が包装容器200の外部から内部へと混入するのを防止する水分バリア機構として機能することができる。なお、破壊弁1とともに、防水性液体の層1bを配置することもできる。この場合、破壊弁1の二次側に防水性液体の層1bを配置することが好ましい。
<4-3>
上記実施形態では、破壊弁1も逆止弁3も、筒状部位20内に配置されたが、逆止弁3のみが、又は破壊弁1及び逆止弁3の両方が取付部22内に配置されてもよい。また、破壊弁1及び逆止弁3を筒状部位20内に配置したまま、涙目形状の取付部22を省略して、包装容器200を筒状部位20の外周面にヒートシールにより固定してもよい。
上記実施形態では、破壊弁1も逆止弁3も、筒状部位20内に配置されたが、逆止弁3のみが、又は破壊弁1及び逆止弁3の両方が取付部22内に配置されてもよい。また、破壊弁1及び逆止弁3を筒状部位20内に配置したまま、涙目形状の取付部22を省略して、包装容器200を筒状部位20の外周面にヒートシールにより固定してもよい。
<4-4>
図6Aに示すように、逆止弁3の一次側の空間R1内に、又はこれに連通するように、例えばダイヤフラム式のアキュムレータ4を配置してもよい。この場合、空間R1内のガスを溜める容積を増量することができる。
図6Aに示すように、逆止弁3の一次側の空間R1内に、又はこれに連通するように、例えばダイヤフラム式のアキュムレータ4を配置してもよい。この場合、空間R1内のガスを溜める容積を増量することができる。
これに代えて又は加えて、図6Bに示すように、破壊弁1の一次側であって、逆止弁3の二次側の空間R2内に、又はこれに連通するように、例えばダイヤフラム式のアキュムレータ4を配置してもよい。この場合、破壊弁1の一次側においてガスを溜める容積を増量することができる。一方で、破壊弁1が作動し、ガスが外部空間へ抜けると、アキュムレータ4内に溜められたガスも外部空間へ開放される。
これに代えて又は加えて、図6Bに示すように、防水性液体の層1bの一次側であって、逆止弁3の二次側の空間R2内に、又はこれに連通するように、例えば、ダイヤフラム式のアキュムレータ4を配置してもよい。この場合、逆止弁3の二次側においてガスを溜める容積を増量することができるため、逆止弁3から空間R2内へ一度にガスが流れ出し、空間R2のみでは防水性液体の層1bの気体の排出が追い付かないような状況にも対処することができる。アキュムレータ4内に溜められたガスは、徐々に外部空間へ開放される。
1 破壊弁(水分バリア機構)
1a パウチ(破壊弁、水分バリア機構)
1b 防水性液体の層(水分バリア機構)
2 弁外体
3 逆止弁
4 キュムレータ
200 包装容器
L 通路
1a パウチ(破壊弁、水分バリア機構)
1b 防水性液体の層(水分バリア機構)
2 弁外体
3 逆止弁
4 キュムレータ
200 包装容器
L 通路
Claims (1)
- 包装容器に取り付けられる弁構造体であって、
前記包装容器の内外を連通させる通路が内部に形成される弁外体と、
前記通路内に配置される逆止弁と、
前記通路を閉塞するように前記逆止弁の外部に向かう側である二次側に配置される水分バリア機構と
を備える、弁構造体。
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