JP2024031197A - 樹脂組成物および光学部材 - Google Patents

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強 武田
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Abstract

【課題】適切な屈折率およびアッベ数を有し、かつ、透明性、耐熱性、耐湿熱性および低吸水性に優れた樹脂組成物およびそれから形成される光学部材を提供する。【解決手段】下記式(1)で表される繰り返し単位(a-1)を全繰り返し単位中35~85モル%含むポリカーボネート樹脂およびガラス転移温度が110℃~160℃であるアクリル樹脂を含む樹脂組成物であって、ポリカーボネート樹脂とアクリル樹脂との重量比が99:1~55:45である樹脂組成物。【化1】JPEG2024031197000006.jpg24103(式中、Wは炭素数1~20のアルキレン基または炭素数6~20のシクロアルキレン基を表し、R1は炭素数1~20の分岐または直鎖のアルキル基、もしくは置換基を有してもよい炭素数6~20のシクロアルキル基を表し、mは0~10の整数を示す。)【選択図】なし

Description

本発明は、適切な屈折率およびアッベ数を有し、かつ、透明性、耐熱性、耐湿熱性および低吸水性に優れた樹脂組成物およびそれから形成される光学部材に関する。
カメラ、ビデオカメラあるいはカメラ付携帯電話、テレビ電話あるいはカメラ付ドアホンなどには、撮像モジュールが用いられている。近年、この撮像モジュールに用いられる光学系では、特に小型化が求められている。光学系を小型化していくと光学系の色収差が大きな問題となる。そこで、光学レンズの屈折率を高く、かつアッベ数を小さくして高分散にした光学レンズ材料と、屈折率を低くかつアッベ数を大きくして低分散にした光学レンズ材料を組み合わせることで、色収差の補正を行うことができることが知られている。
近年、撮影モジュールに使用される光学素子の種類はより多くなっており、様々なバランスの屈折率とアッベ数を有する光学レンズ向け樹脂の要望が強くなっている。しかしながら、屈折率を低くかつアッベ数を大きくして低分散にした光学レンズ材料に関しては、耐熱性とのバランスが取れた熱可塑性樹脂の報告は少ない。
従来、レンズ用透明樹脂としてはアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂(以下、PCと称することがある)などが知られている。アクリル樹脂は、屈折率が低く、アッベ数が高い特徴を有する一方で、PCは一般的には屈折率が高く、アッベ数が低いものが多い。そこで光学的なバランスを取るためにアクリル樹脂とPCの混和物が想定されるが、アクリル樹脂とPCの混和物は本質的に非相溶であり不透明な材料を生じることが知られている。例えば、特許文献1には、PCとアクリル樹脂との混和物が不透明で、両方のポリマーが有する物性が発現しないことが示されている。
これらの課題を解決するべく、これまでに特殊な構造を有するポリカーボネート樹脂を用いたアクリル樹脂との樹脂組成物が報告されている(特許文献2、3)。しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献に記載されている樹脂組成物は光学特性と耐熱性を高度に両立することが困難であることが見出された。更に、吸水率も高く、光学部材とした際の吸水膨張や湿熱試験時の劣化も問題となる。したがって、ポリカーボネート樹脂とアクリル樹脂の組成物において、適切な屈折率およびアッベ数を有し、かつ、透明性、耐熱性、、耐湿熱性および低吸水性を高度に両立した組成物はこれまでに報告されていなかった。
米国特許第4319003号明細書 特開2015-232091号公報 特開2019-104872号公報
本発明の目的は、適切な屈折率およびアッベ数を有し、かつ、透明性、耐熱性、耐湿熱性および低吸水性に優れた樹脂組成物およびそれから形成される光学部材を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂に特定の環構造を特定割合で含有し、特定のアクリル樹脂と混和することで、適切な屈折率およびアッベ数を有し、透明性、耐熱性、耐湿熱性および低吸水性に優れた特性を有する樹脂組成物となることを究明し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、発明の課題は、下記により達成される。
1.下記式(1)で表される繰り返し単位(a-1)を全繰り返し単位中35~85モル%含むポリカーボネート樹脂およびガラス転移温度が110℃~160℃であるアクリル樹脂を含む樹脂組成物であって、ポリカーボネート樹脂とアクリル樹脂との重量比が99:1~55:45である樹脂組成物。
(式中、Wは炭素数1~20のアルキレン基または炭素数6~20のシクロアルキレン基を表し、Rは炭素数1~20の分岐または直鎖のアルキル基、もしくは置換基を有してもよい炭素数6~20のシクロアルキル基を表し、mは0~10の整数を示す。)
2.カルボジイミドを更に含有し、カルボジイミドの含有量が、ポリカーボネート樹脂とアクリル樹脂の合計100重量部に対して0.001~20重量部である前項1に記載の樹脂組成物。
3.カルボジイミドの分子量が、150~13000である前項2に記載の樹脂組成物。
4.アッベ数が35~60である前項1~3のいずれかに記載の樹脂組成物。
5.ガラス転移温度が130~160℃である前項1~4のいずれかに記載の樹脂組成物。
6.屈折率が1.450~1.600である前項1~5のいずれかに記載の樹脂組成物。
7.飽和吸水率が1.5%以下である前項1~6のいずれかに記載の樹脂組成物。
8.前項1~7のいずれかに記載の樹脂組成物から形成される光学部材。
9.光学レンズである前項8に記載の光学部材。
本発明は、ポリカーボネート樹脂に特定の環構造を含有し、特定のアクリル樹脂と混和することで、適切な屈折率およびアッベ数を有し、透明性、耐熱性、耐湿熱性および低吸水性に優れた特性を有する樹脂組成物を提供することが可能となった。そのため、その奏する工業的効果は格別である。
以下、本発明を詳細に説明する。
[ポリカーボネート樹脂]
本発明におけるポリカーボネート樹脂は、下記式で表される繰り返し単位(a-1)を全繰り返し単位中35~85モル%含むポリカーボネート樹脂である。
(式中、Wは炭素数1~20のアルキレン基または炭素数6~20のシクロアルキレン基を表し、Rは炭素数1~20の分岐または直鎖のアルキル基、もしくは置換基を有してもよい炭素数6~20のシクロアルキル基を表し、mは0~10の整数を示す。)
Wは炭素数1~12のアルキレン基または炭素数6~10のシクロアルキレン基が好ましく、炭素数1~8のアルキレン基がより好ましく、炭素数1~4のアルキレン基がさらに好ましい。Rは炭素数1~12の分岐または直鎖のアルキル基が好ましく、炭素数1~8の分岐または直鎖のアルキル基がより好ましく、炭素数1~4の分岐または直鎖のアルキル基がさらに好ましい。mは0~6の整数が好ましく、0~4の整数がより好ましく、0~2の整数がさらに好ましい。
上記式(a-1)で表される繰り返し単位(a-1)は、スピロ環構造を有するジオールから誘導されるものである。かかるスピロ環構造を有するジオール化合物として、具体的には3,9-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン、3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン、3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジエチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン、3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジプロピルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカンなどの脂環式ジオール化合物が挙げられる。
なかでも、3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカンが好ましく用いられる。
本発明の樹脂組成物に使用されるポリカーボネート樹脂は、上記式(a-1)で表される繰り返し単位(a-1)を全繰り返し単位中35~85モル%含み、36~80モル%含むことがより好ましく、38~75モル%含むことがさらに好ましく、40~70モル%含むことが特に好ましい。繰り返し単位(a-1)が上記範囲内であると、アクリル樹脂との樹脂組成物における押出時や成形時に相分離して樹脂組成物が白濁することがなく、また、ポリカーボネート樹脂の重合時に結晶化することなく重合が容易であり好ましい。
本発明において、繰り返し単位(a-1)以外の共重合構成単位を構成する繰り返し単位として、各種ジオール化合物から誘導される繰り返し単位が挙げられる。
脂肪族ジオール化合物としては、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1.9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサングリコール、1,2-オクチルグリコール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,3-ジイソブチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジイソアミル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオールなどが挙げられ、1,8-オクタンジオール、1.9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオールが好ましく使用される。
脂環式ジオール化合物としては、1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、2-メチル-1,4-シクロヘキサンジオールなどのシクロヘキサンジオール類、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノールなどのシクロヘキサンジメタノール類、2,3-ノルボルナンジメタノール、2,5-ノルボルナンジメタノールなどのノルボルナンジメタノール類、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、1,3-アダマンタンジオール、2,2-アダマンタンジオール、デカリンジメタノール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、イソソルビドなどが挙げられ、シクロヘキサンジメタノール類、4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、イソソルビドが好ましく使用される。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、α,α’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-m-ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM)、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)フルオレン等が例示され、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールTMC)、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルフィド、ビスフェノールA、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(ビスフェノールAF)、および1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカンなどが挙げられ、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールTMC)およびビスフェノールAが好ましく使用される。
繰り返し単位(a-1)以外の共重合構成単位を構成する繰り返し単位としては、芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導される繰り返し単位が好ましい。
(ポリカーボネート樹脂の製造方法)
ポリカーボネート樹脂は、通常のポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えばジオール成分に炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。次にこれらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所定割合のジオール成分を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点などにより異なるが、通常120~300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応を完結させる。また、必要に応じて末端停止剤、酸化防止剤等を加えてもよい。
前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、置換されてもよい炭素数6~12のアリール基、アラルキル基等のエステルが挙げられる。具体的には、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネートおよびm-クレジルカーボネート等が例示される。なかでもジフェニルカーボネートが特に好ましい。ジフェニルカーボネートの使用量は、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して、好ましくは0.97~1.10モル、より好ましくは1.00~1.06モルである。
また溶融重合法においては重合速度を速めるために、重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、含窒素化合物、金属化合物等が挙げられる。
このような化合物としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の、有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物、アルコキシド、4級アンモニウムヒドロキシド等が好ましく用いられ、これらの化合物は単独もしくは組み合わせて用いることができる。
アルカリ金属化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸2ナトリウム、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2セシウム塩、2リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、リチウム塩等が例示される。
アルカリ土類金属化合物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、二酢酸マグネシウム、二酢酸カルシウム、二酢酸ストロンチウム、二酢酸バリウム、ステアリン酸バリウム等が例示される。
含窒素化合物としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール基等を有する4級アンモニウムヒドロキシド類が挙げられる。また、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等の3級アミン類、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、ベンゾイミダゾール等のイミダゾール類が挙げられる。また、アンモニア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルアンモニウムテトラフェニルボレート等の塩基あるいは塩基性塩等が例示される。
金属化合物としては亜鉛アルミニウム化合物、ゲルマニウム化合物、有機スズ化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物等が例示される。これらの化合物は1種または2種以上併用してもよい。
これらの重合触媒の使用量は、ジオール成分1モルに対し好ましくは1×10-9~1×10-2当量、より好ましくは1×10-8~1×10-5当量、さらに好ましくは1×10-7~1×10-3当量の範囲で選ばれる。
また、反応後期に触媒失活剤を添加することもできる。使用する触媒失活剤としては、公知の触媒失活剤が有効に使用されるが、この中でもスルホン酸のアンモニウム塩、ホスホニウム塩が好ましい。更にドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等のドデシルベンゼンスルホン酸の塩類、パラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等のパラトルエンスルホン酸の塩類が好ましい。
またスルホン酸のエステルとして、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、パラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸ブチル、パラトルエンスルホン酸オクチル、パラトルエンスルホン酸フェニル等が好ましく用いられる。なかでも、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩が最も好ましく使用される。
これらの触媒失活剤の使用量はアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物より選ばれた少なくとも1種の重合触媒を用いた場合、その触媒1モル当たり好ましくは0.5~50モルの割合で、より好ましくは0.5~10モルの割合で、更に好ましくは0.8~5モルの割合で使用することができる。
(比粘度:ηSP
本発明の樹脂組成物に使用されるポリカーボネート樹脂の比粘度(ηSP)は、0.15~1.5が好ましい。比粘度が0.15~1.5の範囲では成形品の強度及び成形加工性が良好となる。より好ましくは0.18~1.2であり、さらに好ましくは0.19~1.0であり、特に好ましくは0.20~0.5である。
本発明でいう比粘度は、20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求めたものである。
比粘度(ηSP)=(t-t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
なお、具体的な比粘度の測定としては、例えば次の要領で行うことができる。まず、ポリカーボネート樹脂をその20~30倍重量の塩化メチレンに溶解し、可溶分をセライト濾過により採取した後、溶液を除去して十分に乾燥し、塩化メチレン可溶分の固体を得る。かかる固体0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から20℃における比粘度を、オストワルド粘度計を用いて求める。
[アクリル樹脂]
本発明の樹脂組成物に使用されるアクリル樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が110℃~160℃であり、より好ましくは112~150℃、さらに好ましくは114~140℃である。Tgが上記範囲であると、耐熱安定性及び成形性が良好であり光学部材用途として好ましい。
ガラス転移温度(Tg)はティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製2910型DSCを使用し、昇温速度20℃/minにて測定する。
本発明の樹脂組成物に使用されるアクリル樹脂は、特に構造は限定されないが、(メタ)アクリル酸エステルモノマーから誘導される構成単位を含有することが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、具体的には(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニルなどの(メタ)アクリル酸アルキル類;(メタ)アクリル酸(2-ヒドロキシエチル)や(メタ)アクリル酸(2-ヒドロキシプロピル)、(メタ)アクリル酸(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)などの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル類;(メタ)アクリル酸(2-メトキシエチル)、(メタ)アクリル酸(2-エトキシエチル)などの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル類;(メタ)アクリル酸ベンジルや(メタ)アクリル酸フェニルなどの芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル類;および2-(メタ)アクロイルオキシエチルホスホリルコリンなどのリン脂質類似官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル類などをあげることができるが、物性面のバランスから、メタクリル酸アルキルを単独で用いるか、あるいはメタクリル酸アルキルとアクリル酸アルキルを併用することが好ましい。
本発明の樹脂組成物に使用されるアクリル樹脂は、耐熱性を高めるために、前記(メタ)アクリル酸エステルモノマー(メタ)アクリル系モノマーを他のモノマーと共重合することによって導入される構成単位を有することが好ましい。このような他のモノマーとしては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、α-ヒドロキシメチルスチレン、α-ヒドロキシエチルスチレン等のスチレン系モノマー;N-ビニルピロリドン、N-ビニルカルバゾール等の含窒素複素環系ビニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;メタリルアルコール、アリルアルコール等のビニルアルコール類;エチレン、プロピレン、4-メチル-1-ペンテン等のオレフィン類;酢酸ビニル、2-ヒドロキシメチル-1-ブテン、メチルビニルケトン等が挙げられ、スチレン系モノマー、含窒素複素環系ビニル化合物が好ましく、スチレン系モノマーがより好ましい。さらに前記構造の芳香環を水素化しても良い。これら他のモノマー(構成単位)は1種のみを有していてもよいし2種以上を有していてもよい。他のモノマー(構成単位)は、(メタ)アクリル系重合体中、例えば、5mol%以上、好ましくは10mol%以上である。
本発明の樹脂組成物に使用されるアクリル樹脂は、主鎖に環構造を有していてもよい。主鎖環構造としては、例えば、ラクトン環構造、無水グルタル酸構造、グルタルイミド構造、無水マレイン酸に由来する構造、N-置換マレイミドに由来する構造等が挙げられる。
前記アクリル樹脂の分子量は特に限定されるものではないが、重量平均分子量で3万以上、30万以下の範囲であれば、成形する際に流れムラ等の外観不良を生じることがなく、機械特性、耐熱性に優れた組成物を提供することができる。
本発明の樹脂組成物に使用されるアクリル樹脂は、比粘度が0.12~0.55の範囲にあることが好ましい。比粘度が上記下限未満では成形品が脆くなることがある。比粘度が上記上限より高くなると、樹脂の溶融粘度が高くなり成形性に劣ることがある。
[カルボジイミド]
本発明の樹脂組成物に好適に使用されるカルボジイミドは、分子内に「-N=C=N-」構造を有する化合物であれば、特に限定されない。カルボジイミド化合物としては、モノカルボジイミド化合物、ポリカルボジイミド化合物、環状カルボジイミド化合物等が挙げられ、一般に広く知られており、それらはいずれも使用することができる。カルボジイミド化合物は、例えば、特開平9-309871、特開平9-249801、特開平9-208649、特開平9-296097、特開平8-81533、特開平8-27092、特開平9-136869、特開平9-124582、特開平9-188807、特開2005-82642、特開2005-53870、特開2012-36392、特開2010-163203、特開2011-174094、WO2008/072514、WO2010/071211、特開2012-81759、特開2012-52014、特開2012-7079等に記載されたものが挙げられる。
カルボジイミドの分子量は、好ましくは150以上、より好ましくは185以上、さらに好ましくは200以上である。このような範囲であれば、耐湿熱性の向上に加え、良好な保存安定性が得られる。また、カルボジイミドの分子量は、好ましくは13000以下、より好ましくは8000以下、さらに好ましくは4000以下である。このような範囲であれば、ポリカーボネート樹脂およびアクリル樹脂との相溶性に優れ、成形体としたときの透明性に優れるため、好ましい。
なお、本明細書において、カルボジイミドがポリマーである場合、カルボジイミドの分子量とは、「質量平均分子量」を意味するものとする。ここで、カルボジイミドの質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算の質量平均分子量であり、具体的には、カルボジイミドのポリスチレン換算の質量平均分子量は、測定装置として(株)島津製作所製LC-9A/RID-6Aを、カラムとして昭和電工(株)製Shodex K-800P/K-804L/K-804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
カルボジイミドとしては、モノカルボジイミド、ポリカルボジイミドおよび環状カルボジイミドの何れも使用可能であるが環状カルボジイミドおよびポリカルボジイミドがより好ましい。
ポリカルボジイミドとしては、市販品を用いても良く、例えば、脂肪族ポリカルボジイミド(日清紡ケミカル社製「HMV-8CA」、「LA-1」)、カルボジイミド変性イソシアネート(日清紡ケミカル社製「カルボジライトV-05」)などが挙げられる。これらのうち、脂肪族ポリカルボジイミド(日清紡ケミカル社製「HMV-8CA」、「LA-1」)が好ましい。
環状カルボジイミドとしては、特許第5484356号に記載の環状カルボジイミドなどが挙げられる。
[樹脂組成物の製造方法]
本発明の樹脂組成物はポリカーボネート樹脂およびアクリル樹脂を溶融状態でブレンドすることが好ましい。溶融状態でブレンドする方法として、押出機が一般的に用いられ、溶融樹脂温度200~320℃、好ましくは220~300℃、より好ましくは、230~290℃で混練し、ペレタイズする。これにより、両樹脂が均一にブレンドされた樹脂組成物のペレットが得られる。押出機の構成、スクリューの構成等は特に限定されない。押出機中の溶融樹脂温度が上記上限を超えると樹脂が着色したり、熱分解することがある。一方、樹脂温度が上記下限を下回ると、樹脂粘度が高過ぎて押出機に過負荷がかかることがある。
[重量比]
ポリカーボネート樹脂とアクリル樹脂との重量比は99:1~55:45の範囲であり、その範囲で任意に混合可能である。より好ましくは97:3~58:42の範囲であり、さらに好ましくは95:5~60:40の範囲である。上記範囲とすることにより耐熱性、光学特性、低吸水性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
また、カルボジイミドは、ポリカーボネート樹脂とアクリル樹脂の合計100重量部に対して好ましくは0.001~20重量部の範囲で混合される。より好ましくは0.002~15重量部の範囲であり、さらに好ましくは0.005~10重量部の範囲であり、よりさらに好ましくは0.01~5重量部の範囲であり、特に好ましくは0.015~2重量部の範囲であり、もっとも好ましくは0.02~1重量部の範囲である。
[屈折率]
本発明の樹脂組成物の屈折率は、1.450~1.600であることが好ましく、1.460~1.580であるとより好ましく、1.470~1.570であるとさらに好ましく、1.480~1.560であると特に好ましく、1.490~1.550であると最も好ましい。
[アッベ数]
本発明の樹脂組成物のアッベ数は、35~60であることが好ましく、38~55であることがより好ましく、40~50であるとさらに好ましい。ここで、アッベ数は、温度:20℃、波長:486.13nm、587.56nm、656.27nmの屈折率から、下記式を用いて算出する:
νd=(nd-1)/(nF-nC)
nd:波長587.56nmにおける屈折率、
nF:波長486.13nmにおける屈折率、
nC:波長656.27nmにおける屈折率を意味する。
[ガラス転移温度]
本発明の樹脂組成物のガラス転移温度は、130~160℃であることが好ましく、132~155であることがより好ましく、135~150であるとさらに好ましい。ガラス転移温度(Tg)はティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製2910型DSCを使用し、昇温速度20℃/minにて測定する。
[飽和吸水率]
本発明の樹脂組成物の飽和吸水率は、1.5%以下であることが好ましく、1.2%以下であることがより好ましく、1.0%以下であるとさらに好ましく、0.8%以下であると特に好ましい。吸水率が上記上限以下であると光学部材とした際の吸水膨張や湿熱試験時の劣化が低減でき好ましい。吸水率の下限は特に限定されないが0.1%以上であってもよい。
[添加剤]
本発明の樹脂組成物は、用途や必要に応じて熱安定剤、可塑剤、光安定剤、重合金属不活性化剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤等の添加剤を配合することができる。
(熱安定剤)
本発明の樹脂組成物は、押出・成形時の分子量低下や色相の悪化を抑制するために、特に熱安定剤を含有することが好ましい。熱安定剤としてはリン系熱安定剤、フェノール系熱安定剤、イオウ系熱安定剤が挙げられ、これらの1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。リン系安定剤としてはホスファイト化合物を配合することが好ましい。ホスファイト化合物としては、ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物、二価フェノール類と反応し環状構造を有するホスファイト化合物、その他の構造を有するホスファイト化合物が挙げられる。
上記のペンタエリスリトール型ホスファイト化合物としては、具体的には、例えば、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられ、中でも好適には、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、およびビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが挙げられる。
上記の二価フェノール類と反応し環状構造を有するホスファイト化合物としては、例えば、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)(2-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェニル)(2-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、2,2’-エチリデンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェニル)(2-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、2,2’-メチレン-ビス-(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、6-tert-ブチル-4-[3-[(2,4,8,10)-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イル)オキシ]プロピル]-2-メチルフェノールなどを挙げることができる。
上記のその他の構造を有するホスファイト系化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ-iso-プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ-n-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、およびトリス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトなどが挙げられる。
各種ホスファイト化合物以外には、例えば、ホスフェート化合物、ホスホナイト化合物、ホスホネイト化合物が挙げられる。
ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,6-ジ-n-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイト等があげられ、テトラキス(ジ-tert-ブチルフェニル)-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ-tert-ブチルフェニル)-フェニル-フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-フェニル-フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。
ホスホネイト化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、およびベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。
上記のリン系熱安定剤の中でも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましく使用される。
上記のリン系熱安定剤は、単独でまたは2種以上を併用して使用することができる。リン系熱安定剤は樹脂組成物100重量部当たり、好ましくは0.001~1重量部、より好ましくは0.01~0.5重量部、さらに好ましくは0.01~0.3重量部配合される。
本発明の樹脂組成物は、押出・成形時の分子量低下や色相の悪化を抑制することを目的に、熱安定剤として、ヒンダードフェノール系熱安定剤またはイオウ系熱安定剤を、リン系熱安定剤と組み合わせて添加することもできる。
ヒンダードフェノール系熱安定剤としては、例えば、酸化防止機能を有するものであれば特に限定されないが、例えば、n-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス{メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン、ジステアリル(4-ヒドロキシ-3-メチル-5-t-ブチルベンジル)マロネート、トリエチレグリコール-ビス{3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、1,6-ヘキサンジオール-ビス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、ペンタエリスリチル-テトラキス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,2-チオジエチレンビス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,2-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレート、2,4-ビス{(オクチルチオ)メチル}-o-クレゾール、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,5,7,8-テトラメチル-2(4’,8’,12’-トリメチルトリデシル)クロマン-6-オール、3,3’,3”,5,5’,5”-ヘキサ-t-ブチル-a,a’,a”-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール等が挙げられる。
これらの中で、n-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル-テトラキス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、3,3’,3”,5,5’,5”-ヘキサ-t-ブチル-a,a’,a’-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、2,2-チオジエチレンビス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}等が好ましい。
これらのヒンダードフェノール系熱安定剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても用いても良い。
ヒンダードフェノール系熱安定剤は樹脂組成物100重量部当たり、好ましくは0.001~1重量部、より好ましくは0.01~0.5重量部、さらに好ましくは0.01~0.3重量部配合される。
イオウ系熱安定剤としては、例えば、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオン酸エステル、ジトリデシル-3,3’-チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオン酸エステル、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオン酸エステル、ラウリルステアリル-3,3’-チオジプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、ビス[2-メチル-4-(3-ラウリルチオプロピオニルオキシ)-5-tert-ブチルフェニル]スルフィド、オクタデシルジスルフィド、メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプト-6-メチルベンズイミダゾール、1,1’-チオビス(2-ナフトール)などを挙げることができる。上記のうち、ペンタエリスリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)が好ましい。
これらのイオウ系熱安定剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても用いても良い。
イオウ系熱安定剤は樹脂組成物100重量部当たり、好ましくは0.001~1重量部、より好ましくは0.01~0.5重量部、さらに好ましくは0.01~0.3重量部配合される。
ホスファイト系熱安定剤、フェノール系熱安定剤、イオウ系熱安定剤を併用する場合、これらの合計で樹脂組成物100重量部に対し、好ましくは0.001~1重量部、より好ましくは0.01~0.3重量部配合される。
(離型剤)
本発明の樹脂組成物は、溶融成形時の金型からの離型性をより向上させるために、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤を配合することも可能である。
かかる離型剤としては、一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸、パラフィンワックス、蜜蝋、オレフィン系ワックス、カルボキシ基および/またはカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数1~20の一価または多価アルコールと炭素原子数10~30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルが好ましい。かかる一価または多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとしては、例えば、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸モノグリセリド、ベヘニン酸ベヘニル、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、ビフェニルビフェネ-ト、ソルビタンモノステアレート、2-エチルヘキシルステアレート等が挙げられる。
なかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ベヘニン酸ベヘニルが好ましく用いられる。
高級脂肪酸としては、炭素原子数10~30の飽和脂肪酸が好ましい。かかる脂肪酸としては、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などが挙げられる。
これらの離型剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。かかる離型剤の配合量は、樹脂組成物100重量部に対して0.01~5重量部が好ましい。
(紫外線吸収剤)
本発明の樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含むことができる。紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、環状イミノエステル系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられ、なかでもベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-ドデシル-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ビス(α,α’-ジメチルベンジル)フェニルベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-3’-(3”,4”,5”,6”-テトラフタルイミドメチル)-5’-メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2,2’メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]、メチル-3-[3-tert-ブチル-5-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニルプロピオネート-ポリエチレングリコールとの縮合物に代表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を挙げることができる。
かかる紫外線吸収剤の割合は、樹脂組成物100重量部に対して好ましくは0.01~2重量部、より好ましくは0.1~1重量部、さらに好ましくは0.2~0.5重量部である。
(光安定剤)
本発明の樹脂組成物は、光安定剤を含むことができる。光安定剤を含むと、耐候性の面で良好であり、成形品にクラックが入り難くなるという利点がある。
光安定剤としては、例えば1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート、ジデカン酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-オクチルオキシ-4-ピペリジニル)エステル、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)-[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、2,4-ビス[N-ブチル-N-(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-2-イル)アミノ]-6-(2-ヒドロキシエチルアミン)-1,3,5-トリアジン、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)カーボネート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)サクシネ-ト、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-オクタノイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ジフェニルメタン-p,p′-ジカ-バメート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ベンゼン-1,3-ジスルホネート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)フェニルホスファイト等のヒンダードアミン類、ニッケルビス(オクチルフェニルサルファイド、ニッケルコンプレクス-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルリン酸モノエチラート、ニッケルジブチルジチオカ-バメート等のニッケル錯体が挙げられる。これらの光安定剤は単独もしくは2種以上を併用してもよい。光安定剤の含有量は、樹脂組成物100重量部に対して好ましくは0.001~1重量部、より好ましくは0.01~0.5重量部である。
(エポキシ系安定剤)
本発明の樹脂組成物には、加水分解性を改善するため、本願発明の目的を損なわない範囲で、エポキシ化合物を配合することが出来る。
エポキシ系安定剤としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、t-ブチルフェニルグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシ-6’-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、2,3-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4-(3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシル)ブチル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシシクロヘキシルエチレンオキシド、シクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-6’-メチルシロヘキシルカルボキシレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAグリシジルエーテル、フタル酸のジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステル、ビス-エポキシジシクロペンタジエニルエーテル、ビス-エポキシエチレングリコール、ビス-エポキシシクロヘキシルアジペート、ブタジエンジエポキシド、テトラフェニルエチレンエポキシド、オクチルエポキシタレート、エポキシ化ポリブタジエン、3,4-ジメチル-1,2-エポキシシクロヘキサン、3,5-ジメチル-1,2-エポキシシクロヘキサン、3-メチル-5-t-ブチル-1,2-エポキシシクロヘキサン、オクタデシル-2,2-ジメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、N-ブチル-2,2-ジメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、シクロヘキシル-2-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、N-ブチル-2-イソプロピル-3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、オクタデシル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2-エチルヘキシル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,6-ジメチル-2,3-エポキシシクロヘキシル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,5-エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、3-t-ブチル-4,5-エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、ジエチル-4,5-エポキシ-シス-1,2-シクロヘキシルジカルボキシレート、ジ-n-ブチル-3-t-ブチル-4,5-エポキシ-シス-1,2-シクロヘキシルジカルボキシレートなどが挙げられる。ビスフェノールAジグリシジルエーテルが相溶性などの点から好ましい。
このようなエポキシ系安定剤は、樹脂組成物100重量部に対して、好ましくは0.0001~5重量部、より好ましくは0.001~1重量部、さらに好ましくは0.005~0.5重量部の範囲で配合される。
(ブルーイング剤)
本発明の樹脂組成物は、重合体や紫外線吸収剤に基づくレンズの黄色味を打ち消すためにブルーイング剤を配合することができる。ブルーイング剤としては、ポリカーボネートに使用されるものであれば、特に支障なく使用することができる。一般的にはアンスラキノン系染料が入手容易であり好ましい。
具体的なブルーイング剤としては、例えば、一般名Solvent Violet13[CA.No(カラーインデックスNo)60725]、一般名Solvent Violet31[CA.No 68210、一般名Solvent Violet33[CA.No 60725]、一般名Solvent Blue94[CA.No 61500]、一般名Solvent Violet36[CA.No 68210]、一般名Solvent Blue97[バイエル社製「マクロレックスバイオレットRR」]および一般名Solvent Blue45[CA.No61110]が代表例として挙げられる。
これらのブルーイング剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。これらブルーイング剤は、樹脂組成物100重量部に対して好ましくは0.1×10-4~2×10-4重量部の割合で配合される。
(難燃剤)
本発明の樹脂組成物には、難燃剤を配合することもできる。難燃剤としては、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネート、臭素化ポリアクリレート、および塩素化ポリエチレンなどのハロゲン系難燃剤、モノホスフェート化合物およびホスフェートオリゴマー化合物などのリン酸エステル系難燃剤、ホスフィネート化合物、ホスホネート化合物、ホスホニトリルオリゴマー化合物、ホスホン酸アミド化合物などのリン酸エステル系難燃剤以外の有機リン系難燃剤、有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、ホウ酸金属塩系難燃剤、および錫酸金属塩系難燃剤などの有機金属塩系難燃剤、並びにシリコーン系難燃剤、ポリリン酸アンモニウム系難燃剤、トリアジン系難燃剤等が挙げられる。また別途、難燃助剤(例えば、アンチモン酸ナトリウム、三酸化アンチモン等)や滴下防止剤(フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン等)等を配合し、難燃剤と併用してもよい。
上述の難燃剤の中でも、塩素原子および臭素原子を含有しない化合物は、焼却廃棄やサーマルリサイクルを行う際に好ましくないとされる要因が低減されることから、環境負荷の低減をも1つの特徴とする本発明の成形品における難燃剤としてより好適である。
難燃剤を配合する場合には、樹脂組成物100重量部当たり0.05~50重量部の範囲が好ましい。上記範囲内であれば、十分な難燃性が発現し、且つ成形品の強度や耐熱性などに優れる。
[光学部材]
本発明の光学部材は、上記の樹脂組成物から形成される。そのような光学部材としては、上記の樹脂組成物の特性が有用となる光学用途であれば、特に限定されないが、光学レンズ、光ディスク、透明導電性基板、光カード、シート、フィルム、光ファイバー、レンズ、プリズム、光学膜、基盤、光学フィルター、ハードコート膜等を挙げることができる。
[光学レンズ]
本発明の光学部材として、特に光学レンズを好ましく挙げることができる。このような光学レンズとしては、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、パソコン、デジタルカメラ、ビデオカメラ、車載カメラ、監視カメラ等のための光学レンズを挙げることができる。
本発明の光学レンズは、射出成形、圧縮成形、射出圧縮成形、溶融押出成形、キャスティング等の任意の方法により成形、加工することができるが、射出成形が特に好適である。射出成形の成形条件は特に限定されないが、成形機のシリンダー温度は180~320℃が好ましく、220~300℃がより好ましく、240~280℃が特に好ましい。また、金型温度は70~130℃が好ましく、80~125℃がより好ましく、90~120℃が特に好ましい。射出圧力は5~170MPaが好ましく、50~160MPaがより好ましく、100~150MPaが特に好ましい。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例中「部」とは「重量部」を意味する。各種評価方法および実施例において使用した樹脂ならびに添加剤は以下のとおりである。
(ポリカーボネート樹脂の評価)
1.ポリマー組成比(NMR)
日本電子社製JNM-AL400のプロトンNMRにて各繰り返し単位を測定し、ポリマー組成比(モル比)を算出した。
(樹脂組成物の評価)
2.ガラス転移温度
TAインスツルメント製の示差熱・熱重量同時測定装置Discovery SDT650により、昇温速度20℃/minで測定した。試料は5mg程度で測定した。
3.屈折率、アッベ数
各樹脂の3mm厚試験片を作製し研磨した後、島津製作所製のカルニュー精密屈折計KPR-2000を使用して、20℃における屈折率nd(587.56nm)を測定した。
アッベ数の測定波長は、486.13nm、587.56nm、656.27nmの屈折率から下記の式を用いて算出した。
νd=(nd-1)/(nF-nC)
nd:波長587.56nmでの屈折率、
nF:波長486.13nmでの屈折率、
nC:波長656.27nmでの屈折率を意味する。
4.飽和吸水率
樹脂組成物を塩化メチレンに溶解後、塩化メチレンを蒸発させて得られた厚み200μmのキャストフィルムを用い、90℃12時間乾燥後、25℃480時間水中に浸漬した後の重量増加を測定し、次式によって飽和吸水率を求めた。
飽和吸水率(%)={(吸水後の樹脂重量-吸水前の樹脂重量)/吸水前の樹脂重量}×100
5.耐湿熱性試験
得られた樹脂組成物のペレットから射出成形機を用いて作製した3段型プレートの2mmの部分を50mm×45mmの大きさに切り出し、この成形板について、エスペック(株)製 小型環境試験機SH-241にて、85℃、85%RH条件にて、1000時間静置処理した。処理後のサンプルについて下記方法で測定した方法を用いて比粘度を測定し、処理前後での比率を算出することで分子量保持率を求めた。
<比粘度測定法>
20℃で塩化メチレン100mlに樹脂組成物0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求めた。
比粘度(ηSP)=(t-t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
[ポリカーボネート樹脂]
PC1(実施例):
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(以下TMC)に由来する構造単位/3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン(以下SPG)に由来する構造単位=50/50(モル%)、比粘度0.235
PC2(実施例):
TMCに由来する構造単位/9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン(以下BCF)に由来する構造単位/SPGに由来する構造単位=40/20/40(モル%)、比粘度0.249
PC3(実施例):
BCFに由来する構造単位/SPGに由来する構造単位=40/60(モル%)、比粘度0.235
PC4(比較例):
TMCに由来する構造単位/SPGに由来する構造単位=80/20(モル%)、比粘度0.239
PC5(比較例):
イソソルビド(以下ISS)に由来する構造単位/SPGに由来する構造単位=70/30、比粘度0.308
[アクリル樹脂]
A1(実施例)
特開2006-63126号記載の製造例1と同様の合成法により作成した、メタクリル酸メチル80モル%とスチレン20モル%を共重合し、芳香環を水素化したアクリル樹脂、ガラス転移温度120℃
A2(比較例)
三菱ケミカル社製アクリペットVH-001(メタクリル酸メチル95モル%とアクリル酸メチル5モル%を共重合したアクリル樹脂)、ガラス転移温度108℃
[カルボジイミド]
C1(実施例):
日清紡社製脂肪族ポリカルボジイミド HMV-8CA、分子量3000
C2(実施例):
特許第5484356号記載の実施例2と同様の合成法により作成した、環状カルボジイミド(構造下記参照)、分子量516、
[実施例1]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(以下TMCと略す)538部、3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン(以下SPGと略す)527部、ジフェニルカーボネート(以下DPCと略す)750部、および触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.8×10-2部とステアリン酸バリウム0.6×10-4部を窒素雰囲気下200℃に加熱し溶融させた。その後、30分かけて240℃へ昇温および減圧度を20.0kPaに調整した。その後、さらに30分かけて270℃へ昇温および減圧度を10kPaに調整した。10分間その温度で保持した後、1時間かけて減圧度を133Pa以下とした。反応終了後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た(PC1)。
<樹脂組成物の製造>
ポリカーボネート樹脂PC1とアクリル樹脂A1を使用し、各々の樹脂を80℃で12時間以上乾燥した後、重量比が70:30となるように混合した。その後、ベント式二軸押出機[(株)テクノベル製KZW15-25MG]により、シリンダおよびダイス共に270℃にて溶融混練し、アクリル樹脂とポリカーボネート樹脂の樹脂組成物(ブレンド)ペレットを得た。得られたペレットの一部を、90℃で12時間以上乾燥した後、射出成形機を用いて各種評価用の試験片を成形した。評価結果を表1に示した。
[実施例2]
<樹脂組成物の製造>
ブレンド重量比をPC1:A1=90/10とした他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
[実施例3]
<樹脂組成物の製造>
カルボジイミドC1を樹脂100重量部に対して0.1重量部添加した他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
[実施例4]
<樹脂組成物の製造>
カルボジイミドC1を樹脂100重量部に対して0.03重量部添加した他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
[実施例5]
<樹脂組成物の製造>
カルボジイミドC1を樹脂100重量部に対して0.5重量部添加した他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
[実施例6]
<樹脂組成物の製造>
カルボジイミドC2を樹脂100重量部に対して0.1重量部添加した他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
[実施例7]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
TMC430部、SPG422部、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン(以下BCFと略す)262部、DPC750部、および触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.8×10-2部とステアリン酸バリウム0.6×10-4部を窒素雰囲気下200℃に加熱し溶融させた。その後、30分かけて240℃へ昇温および減圧度を20.0kPaに調整した。その後、さらに30分かけて280℃へ昇温および減圧度を10kPaに調整した。10分間その温度で保持した後、1時間かけて減圧度を133Pa以下とした。反応終了後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た(PC2)。
<樹脂組成物の製造>
ポリカーボネート樹脂PC2とアクリル樹脂A1を使用し、各々の樹脂を80℃で12時間以上乾燥した後、重量比が60:40となるように混合し、さらにカルボジイミドC1を樹脂合計100重量部に対して0.1重量部添加した。その後、ベント式二軸押出機[(株)テクノベル製KZW15-25MG]により、シリンダおよびダイス共に280℃にて溶融混練し、アクリル樹脂とポリカーボネート樹脂の樹脂組成物(ブレンド)ペレットを得た。得られたペレットの一部を、90℃で12時間以上乾燥した後、射出成形機を用いて各種評価用の試験片を成形した。評価結果を表1に示した。
[実施例8]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
SPG632部、BCF524部、DPC750部、および触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.8×10-2部とステアリン酸バリウム0.6×10-4部を窒素雰囲気下200℃に加熱し溶融させた。その後、30分かけて240℃へ昇温および減圧度を20.0kPaに調整した。その後、さらに30分かけて260℃へ昇温および減圧度を10kPaに調整した。10分間その温度で保持した後、1時間かけて減圧度を133Pa以下とした。反応終了後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た(PC3)。
<樹脂組成物の製造>
ポリカーボネート樹脂PC3とアクリル樹脂A1を使用し、各々の樹脂を80℃で12時間以上乾燥した後、重量比が70:30となるように混合した。その後、ベント式二軸押出機[(株)テクノベル製KZW15-25MG]により、シリンダおよびダイス共に260℃にて溶融混練し、アクリル樹脂とポリカーボネート樹脂の樹脂組成物(ブレンド)ペレットを得た。得られたペレットの一部を、90℃で12時間以上乾燥した後、射出成形機を用いて各種評価用の試験片を成形した。評価結果を表1に示した。
[比較例1]
<樹脂組成物の製造>
ブレンド重量比をPC1:A1=40/60とした他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。樹脂組成物のガラス転移温度が低く実施例1と比較して劣っていた。
[比較例2]
<樹脂組成物の製造>
ポリカーボネート樹脂PC1とアクリル樹脂A2を使用した他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。樹脂組成物のガラス転移温度が低く、また吸水率も高いため、光学部材に使用できる特性ではなかった。
[比較例3]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
TMC861部、SPG211部、DPC750部、および触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.8×10-2部とステアリン酸バリウム0.6×10-4部を窒素雰囲気下200℃に加熱し溶融させた。その後、30分かけて240℃へ昇温および減圧度を20.0kPaに調整した。その後、さらに30分かけて280℃へ昇温および減圧度を10kPaに調整した。10分間その温度で保持した後、1時間かけて減圧度を133Pa以下とした。反応終了後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た(PC4)。
<樹脂組成物の製造>
ブレンド重量比をPC4:A1=50/50とした他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。得られた成形品は不透明であり、光学部材に使用できる特性ではなかった。
[比較例4]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
イソソルビド(以下ISSと略す)354部、SPG316部、DPC750部、および触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.8×10-2部とステアリン酸バリウム0.6×10-4部を窒素雰囲気下200℃に加熱し溶融させた。その後、30分かけて220℃へ昇温および減圧度を20.0kPaに調整した。その後、さらに30分かけて240℃へ昇温および減圧度を10kPaに調整した。10分間その温度で保持した後、1時間かけて減圧度を133Pa以下とした。反応終了後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た(PC5)。
<樹脂組成物の製造>
ブレンド重量比をPC5:A1=70/30とした他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。得られた成形品は不透明であり、光学部材に使用できる特性ではなかった。
[比較例5]
<樹脂組成物の製造>
ブレンド重量比をPC5:A2=70/30とした他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。樹脂組成物のガラス転移温度が低く、また吸水率も高いため、光学部材に使用できる特性ではなかった。
[比較例6]
<樹脂組成物の製造>
ブレンド重量比をPC3:A2=90/10とした他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。アッベ数が低く、実施例1と比較して劣っていた。
本発明の樹脂組成物は、適切な屈折率およびアッベ数を有し、かつ、透明性、耐熱性、耐湿熱性および低吸水性に優れることから、光学材料として好適に用いられ、具体的に光学レンズ、プリズム、光ディスク、透明導電性基板、光カード、シート、フィルム、光ファイバー、光学膜、光学フィルター、ハードコート膜等の光学部材として用いることができ、特に光学レンズ材料として極めて有用である。

Claims (9)

  1. 下記式(1)で表される繰り返し単位(a-1)を全繰り返し単位中35~85モル%含むポリカーボネート樹脂およびガラス転移温度が110℃~160℃であるアクリル樹脂を含む樹脂組成物であって、ポリカーボネート樹脂とアクリル樹脂との重量比が99:1~55:45である樹脂組成物。
    (式中、Wは炭素数1~20のアルキレン基または炭素数6~20のシクロアルキレン基を表し、Rは炭素数1~20の分岐または直鎖のアルキル基、もしくは置換基を有してもよい炭素数6~20のシクロアルキル基を表し、mは0~10の整数を示す。)
  2. カルボジイミドを更に含有し、カルボジイミドの含有量が、ポリカーボネート樹脂とアクリル樹脂の合計100重量部に対して0.001~20重量部である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. カルボジイミドの分子量が、150~13000である請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. アッベ数が35~60である請求項1に記載の樹脂組成物。
  5. ガラス転移温度が130~160℃である請求項1に記載の樹脂組成物。
  6. 屈折率が1.450~1.600である請求項1に記載の樹脂組成物。
  7. 飽和吸水率が1.5%以下である請求項1に記載の樹脂組成物。
  8. 請求項1~7のいずれかに記載の樹脂組成物から形成される光学部材。
  9. 光学レンズである請求項8に記載の光学部材。
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