JP2024024971A - すべり軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】摺動面にキャビテーションエロージョンが発生し難いすべり軸受を提供すること。【解決手段】第2の半割軸受は、その内径側に1つの油溝および2つの第2傾斜面部を有している。第2傾斜面部の表面は、中央領域と、縁領域とを含む。中央領域と縁領域との境界には、変曲部がある。中央領域は、第2の半割軸受の外径側に凸の曲線を形成している。縁領域は、内径側に凸の曲線を形成している。第2傾斜面部の表面には、複数の第2周方向溝が隣り合って形成されている。溝中心線は、油溝の軸線方向長さの幅中央を通る中心線に向けて垂線に対して傾斜している。縁領域における溝傾斜角度は、第2傾斜面部の軸線方向端部において最小となり、変曲部に近付くほど連続して大きくなる。中央領域における溝傾斜角度は、第2傾斜表面の溝端部と隣接する位置において最小となり、変曲部に近付くほど連続して大きくなる。【選択図】図7

Description

本発明は、一対の半割軸受を備えた、内燃機関のクランク軸を支承する円筒形状のすべり軸受に関するものである。
内燃機関のクランク軸は、そのジャーナル部において、一対の半割軸受から成る主軸受を介して内燃機関のシリンダブロック下部に支承される。主軸受に対しては、オイルポンプによって吐出された潤滑油が、シリンダブロック壁内に形成されたオイルギャラリーから主軸受の壁に形成された貫通口を通じて、主軸受の内周面に沿って形成された潤滑油溝内に送り込まれる。また、ジャーナル部の直径方向には第1潤滑油路が貫通形成され、この第1潤滑油路の両端開口が主軸受の潤滑油溝と連通するようになっている。さらに、ジャーナル部の第1潤滑油路から、クランクアーム部を通る第2潤滑油路が分岐して形成され、この第2潤滑油路が、クランクピンの直径方向に貫通形成された第3潤滑油路に連通している。このようにして、シリンダブロック壁内のオイルギャラリーから貫通口を通じて主軸受の内周面に形成された潤滑油溝内に送り込まれた潤滑油は、第1潤滑油路、第2潤滑油路および第3潤滑油路を経て、第3潤滑油路の末端に開口した吐出口から、クランクピンと一対の半割軸受から成るコンロッド軸受の摺動面間に供給される(例えば、特許文献1参照)。クランク軸の表面と主軸受およびコンロッド軸受の摺動面との間に油が供給される。
従来、半割軸受の摺動面における圧力(荷重)分布の均一化を目的として、半割軸受の軸線方向端部側よりも中央側が凹むように形成された凹部を備えた半割軸受が提案されている(例えば、特許文献2および特許文献3参照)。
しかし、従来技術の凹部は、凹部表面に周方向溝が形成されておらず、凹部内の潤滑油に円周方向の流れが発生しにくいため、潤滑油中のキャビティは、凹部内で半割軸受の軸線方向外側に拡散されやすい。また、従来技術の凹部は摺動面から半割軸受の外径側に向かう凸の曲面のみで成形される(本発明のように変曲部を持たない)ため、クランク軸と半割軸受の摺動面との隙間が狭い凹部内において軸線方向端部付近に存在するキャビティを含む潤滑油をクランク軸側に押圧する流れが発生しにくく、軸線方向端部付近の凹部表面にキャビテーションエロージョンが発生しやすいという問題があった。
特開平8-277831号公報 特表2013-536924号公報 実開平2-41717号公報
本発明の目的は、半割軸受の軸線方向端部付近の摺動面にキャビテーションエロージョンが発生し難い、内燃機関のクランク軸用のすべり軸受を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明は、内燃機関のクランク軸を回転自在に支持するためのすべり軸受であって、
前記すべり軸受は、互いに組み合わされて円筒形状を構成する第1および第2の半割軸受を有し、前記第1および第2の半割軸受は、内径側に摺動面を有し、外径側に背面を有し、
前記背面は、前記第1および第2の半割軸受の軸線方向と平行になっており、
前記第1および第2の半割軸受は、周方向の両側に周方向端面を有し、
前記第1および第2の半割軸受は、軸線方向の両端に軸線方向端面を有し、
前記第2の半割軸受は、その内径側に1つの油溝を有しており、前記油溝は、前記第2の半割軸受の両軸線方向端面の間に位置し、周方向に延び、一定の軸線方向長さW1を有しており、
前記油溝は、軸線方向の両端に溝端部を有し、
前記第2の半割軸受の前記摺動面は、2つの第2傾斜面部を有しており、前記第2傾斜面部は、前記各溝端部の周方向長さの全長に亘って隣接し、一定の軸線方向長さW2を有しており、前記第2傾斜面部の表面は、各軸線方向端面側から前記溝端部に向けて、連続して前記背面に近付くように変位しており、
前記第2傾斜面部の表面は、前記溝端部に隣接する側の中央領域と、前記中央領域に隣接し前記中央領域よりも前記第2の半割軸受の各軸線方向端面側に位置する縁領域とを含み、
前記中央領域と前記縁領域との境界には、変曲部があり、
前記中央領域は、前記第2の半割軸受の軸線方向の断面視において、前記第2の半割軸受の外径側に凸の曲線を形成しており、
前記縁領域は、前記第2の半割軸受の軸線方向の断面視において、前記第2の半割軸受の内径側に凸の曲線を形成しており、
前記第2傾斜面部の表面には、複数の第2周方向溝が隣り合って形成されており、前記複数の第2周方向溝は、前記第2傾斜面部の表面の周方向全長にわたって形成されており、前記複数の第2周方向溝は、前記第2傾斜面部の表面の全幅にわたって形成されており、前記第2周方向溝は、前記第2の半割軸受の軸線方向の断面で見たときに、湾曲した溝表面を有しており、隣り合う溝表面同士の間には頂部が形成されており、頂部を結んだ曲線が前記第2傾斜面部の表面を表すようになっており、
前記第2周方向溝の溝幅は、前記第2周方向溝の両側の前記頂部を直線的に結んだ仮想直線の長さとして定義され、溝中心線が、前記仮想直線の長さの中央位置を通り前記仮想直線に対して垂直方向に延びる線として定義され、前記第2周方向溝の溝深さは、前記仮想直線に対して垂直方向に、前記仮想直線から前記溝表面が最も離間している位置までの長さとして定義され、前記第2周方向溝の最大溝深さの位置は、前記溝中心線の上に位置しており、
前記仮想直線および前記溝表面によって囲まれる面積が、溝断面積として定義され、前記複数の第2周方向溝の前記溝幅、前記溝深さ、および前記溝断面積は、それぞれ互いに同じになっており、前記第2周方向溝の前記溝幅、前記溝深さ、および前記溝断面積は、周方向のいずれの位置においても同じになっており、
前記第2傾斜面部の表面から前記半割軸受の軸線と直交するように延びる垂線と前記溝中心線とのなす角度が、溝傾斜角度θ1として定義され、
前記第2傾斜面部の表面における前記溝中心線は、前記油溝の軸線方向長さの幅中央を通り、周方向に延びる中心線に向けて前記垂線に対して傾斜しており、前記縁領域における前記溝傾斜角度θ1は、前記第2傾斜面部の軸線方向端部において最小となり、前記変曲部に近付くほど連続して大きくなり、前記中央領域における前記溝傾斜角度θ1は、前記第2傾斜表面の前記溝端部と隣接する位置において最小となり、前記変曲部に近付くほど連続して大きくなる、すべり軸受を提供する。
本発明の別の実施形態では、前記第2傾斜面部の縁領域は、前記第2の半割軸受の前記軸線方向端面と隣接する。
本発明の別の実施形態では、前記第2傾斜面部の前記中央領域の幅W2Cは、前記第2傾斜面部の幅W2の25%以上および75%以下である。
本発明の別の実施形態では、前記第2傾斜面部の深さD2は、0.005mm以上および0.050mm以下である。
本発明の別の実施形態では、前記第2周方向溝の溝深さD3は、1.5μm以上および10μm以下である。
本発明の別の実施形態では、前記第2周方向溝の溝幅W3は、0.05mm以上および0.25mm以下である。
本発明の別の実施形態では、前記第2傾斜面部の前記変曲部に最も近い前記第2周方向溝の前記溝傾斜角度θ1は、前記溝端部に最も近い前記第2周方向溝の前記溝傾斜角度θ1よりも、0.001°以上から7°以下の範囲にある値だけ大きい。
本発明の別の実施形態では、前記第2傾斜面部の前記変曲部に最も近い前記第2周方向溝の前記溝傾斜角度θ1は、前記第2傾斜面部の軸線方向端部に最も近い前記第2周方向溝の前記溝傾斜角度θ1よりも、0.001°以上から7°以下の範囲にある値だけ大きい。
本発明の別の実施形態では、前記第1の半割軸受は、中心線を有しており、前記中心線は、前記第1の半割軸受の軸線方向長さの幅中央を通り、周方向に延びており、前記第1の半割軸受の前記摺動面は、2つの第1傾斜面部を有しており、前記第1傾斜面部は、前記中心線に隣接し、前記中心線から各軸線方向端面側へ向かって一定の軸線方向長さW5を有し、前記第1の半割軸受の周方向の全長に亘って延びており、前記第1傾斜面部の表面は、各軸線方向端面側から前記溝端部に向けて、連続して前記背面に近付くように変位しており、
前記第1傾斜面部の表面は、前記第1の半割軸受の前記中心線に隣接する側の中央領域と、前記中央領域に隣接し前記中央領域よりも前記第1の半割軸受の各軸線方向端面側に位置する縁領域とを含み、
前記中央領域と前記縁領域との境界には、変曲部があり、
前記中央領域は、前記第1の半割軸受の軸線方向の断面視において、前記第1の半割軸受の外径側に凸の曲線を形成しており、
前記縁領域は、前記第1の半割軸受の軸線方向の断面視において、前記第1の半割軸受の内径側に凸の曲線を形成しており、
前記第1傾斜面部の表面には、複数の第1周方向溝が隣り合って形成されており、前記複数の第1周方向溝は、前記第1傾斜面部の表面の周方向全長にわたって形成されており、前記複数の第1周方向溝は、前記第1傾斜面部の表面の全幅にわたって形成されており、前記第1周方向溝は、前記第1の半割軸受の軸線方向の断面で見たときに、湾曲した溝表面を有しており、隣り合う溝表面同士の間には頂部が形成されており、頂部を結んだ曲線が前記第1傾斜面部の表面を表すようになっており、
前記第1周方向溝の溝幅は、前記第1周方向溝の両側の前記頂部を直線的に結んだ仮想直線の長さとして定義され、溝中心線が、前記仮想直線の長さの中央位置を通り前記仮想直線に対して垂直方向に延びる線として定義され、前記第1周方向溝の溝深さは、前記仮想直線に対して垂直方向に、前記仮想直線から前記溝表面が最も離間している位置までの長さとして定義され、前記第1周方向溝の最大溝深さの位置は、前記溝中心線の上に位置しており、
前記仮想直線および前記溝表面によって囲まれる面積が、溝断面積として定義され、
前記複数の第1周方向溝の前記溝幅、前記溝深さ、および前記溝断面積は、それぞれ互いに同じになっており、前記第1周方向溝の前記溝幅、前記溝深さ、および前記溝断面積は、周方向のいずれの位置においても同じになっており、
前記第1傾斜面部の表面から前記半割軸受の軸線と直交するように延びる垂線と前記溝中心線とのなす角度が、溝傾斜角度θ2として定義され、
前記第1傾斜面部の表面における前記溝中心線は、前記第1の半割軸受の前記中心線に向けて前記垂線に対して傾斜しており、前記縁領域における前記溝傾斜角度θ2は、前記第1傾斜面部の軸線方向端部において最小となり、前記変曲部に近付くほど連続して大きくなり、前記中央領域における前記溝傾斜角度θ2は、前記第1の半割軸受の前記中心線と隣接する位置において最小となり、前記変曲部に近付くほど連続して大きくなる。
本発明の別の実施形態では、前記第1傾斜面部の縁領域は、前記第1の半割軸受の前記軸線方向端面と隣接する。
本発明の別の実施形態では、前記第1の半割軸受の2つの前記第1傾斜面部の前記軸線方向長さW5を合計した軸線方向長さが、軸線方向長さW7であり、前記第2の半割軸受の2つの前記第2傾斜面部W2および前記油溝の軸線方向長さW1を合計した軸線方向長さが、軸線方向長さW4であり、前記軸線方向長さW7と前記軸線方向長さW4が同じである。
本発明の別の実施形態では、前記第1傾斜面部の前記中央領域の幅W5Cは、前記第1傾斜面部の幅W5の25%以上および75%以下である。
本発明の別の実施形態では、前記第1傾斜面部の深さD4は、0.005mm以上および0.050mm以下である。
本発明の別の実施形態では、前記第1周方向溝の溝深さD5は、1.5μm以上および10μm以下である。
本発明の別の実施形態では、前記第1周方向溝の溝幅W6は、0.05mm以上および0.25mm以下である。
本発明の別の実施形態では、前記第1傾斜面部の前記変曲部に最も近い前記第1周方向溝の前記溝傾斜角度θ2は、前記前記第1の半割軸受の前記中心線に最も近い前記第1周方向溝の前記溝傾斜角度θ1よりも、0.001°以上から7°以下の範囲にある値だけ大きい。
本発明の別の実施形態では、前記第1傾斜面部の前記変曲部に最も近い前記第1周方向溝の前記溝傾斜角度θ2は、前記第1傾斜面部の軸線方向端部に最も近い前記第1周方向溝の前記溝傾斜角度θ2よりも、0.001°以上から7°以下の範囲にある値だけ大きい。
クランク軸の軸受装置を示す概略図である。 本発明の第1の具体例によるすべり軸受を軸受の軸線方向から見た図である。 図2の第1の半割軸受を摺動面側から見た平面図である。 図2の第2の半割軸受を摺動面側から見た平面図である。 図3のA-A断面図である。 図4のB-B断面図である。 図6の拡大図である。 第2周方向溝の断面拡大図である(θ1が最小付近)。 第2周方向溝の断面拡大図である(θ1が最大付近)。 本発明の作用を説明するための断面図である。 本発明の作用を説明するための平面図である。 本発明の作用を説明するための断面図である(図9BのC-C断面図)。 本発明の作用を説明するための平面図である。 油流F1のF1(v)成分がF1(h)成分より相対的に大きい状態を示す成分分解図である。 油流F1のF1(h)成分がF1(v)成分より相対的に大きい状態を示す成分分解図である。 具体例と異なる半割軸受の断面図である。 本発明の第2の具体例による第1の半割軸受を摺動面側から見た平面図である。 図12のD-D断面図である。 図13の拡大図である。 第1周方向溝の断面拡大図である(θ2が最小付近)。 第1周方向溝の断面拡大図である(θ2が最大付近)。 本発明の作用を説明するための断面図である。 本発明の作用を説明するための平面図である。 本発明の作用を説明するための断面図である(図16BのE-E断面図)。 本発明の作用を説明するための平面図である。 油流F1のF1(v)成分がF1(h)成分より相対的に大きい状態を示す成分分解図である。 油流F1のF1(h)成分がF1(v)成分より相対的に大きい状態を示す成分分解図である。 具体例と異なる半割軸受の断面図である。
以下、本発明の第1の具体例について図面を参照しながら説明する。
図1に内燃機関の軸受装置1を概略的に示す。この軸受装置1は、シリンダブロック8の下部に支承されるジャーナル部6と、ジャーナル部6と一体に形成されてジャーナル部6を中心として回転するクランクピン5と、クランクピン5に内燃機関から往復運動を伝達するコンロッド2とを備えている。そして、軸受装置1は、クランク軸を支承するすべり軸受として、ジャーナル部6を回転自在に支承する主軸受4と、クランクピン5を回転自在に支承するコンロッド軸受3とをさらに備えている。
なお、クランク軸は複数のジャーナル部6と複数のクランクピン5とを有するが、ここでは説明の便宜上、1つのジャーナル部6および1つのクランクピン5を図示して説明する。図1において、紙面奥行き方向の位置関係は、ジャーナル部6が紙面の奥側で、クランクピン5が手前側となっている。
ジャーナル部6は、一対の半割軸受41、42によって構成される主軸受4を介して、内燃機関のシリンダブロック下部82に軸支されている。図1で上側にある半割軸受42には、内周面全長にわたって油溝42aが形成されている。また、ジャーナル部6は、直径方向に貫通する潤滑油路6aを有し、ジャーナル部6が矢印X方向に回転すると、潤滑油路6aの両端の入口開口6cが交互に主軸受4の油溝42aに連通する。
クランクピン5は、一対の半割軸受31、32によって構成されるコンロッド軸受3を介して、コンロッド2の大端部ハウジング21(ロッド側大端部ハウジング22およびキャップ側大端部ハウジング23)に軸支されている。
上述したように、主軸受4に対して、オイルポンプによって吐出された潤滑油が、シリンダブロック壁内に形成されたオイルギャラリーから主軸受4の壁に形成された貫通口を通じて主軸受4の内周面に沿って形成された油溝42a内に送り込まれる。
さらに、ジャーナル部6の直径方向に第1の潤滑油路6aが貫通形成され、第1の潤滑油路6aの入口開口6cが潤滑油溝42aと連通できるようになっており、ジャーナル部6の第1の潤滑油路6aから分岐してクランクアーム部(図示せず)を通る第2の潤滑油路5aが形成され、第2の潤滑油路5aが、クランクピン5の直径方向に貫通形成された第3の潤滑油路5bに連通している。
このようにして、潤滑油は、第1の潤滑油路6a、第2の潤滑油路5aおよび第3の潤滑油路5bを経て、第3の潤滑油路5bの端部の吐出口5cから、クランクピン5とコンロッド軸受3の間に形成される隙間に供給される。
第1の具体例
以下、本発明のすべり軸受をコンロッド軸受3に適用した例を示して説明する。しかし、本発明は、コンロッド軸受3に限定されず、主軸受4に適用することもできる。
図2は、本発明に係るすべり軸受(コンロッド軸受3)の第1の具体例を示す。コンロッド軸受3は、一対の第1の半割軸受31と第2の半割軸受32の周方向の端面76を突き合わせて、全体として円筒形状に組み合わせることによって形成される。円筒形状の内周面を形成する面が摺動面7であり、外周面を形成する面が背面である。
なお、第1の半割軸受31および第2の半割軸受32の壁厚は、周方向で一定である。しかし、壁厚は、周方向中央部で最大で、周方向両端面76、76側へ向けて連続して減少するようにしてもよい。
ここで、乗用車及び商用車用の小型内燃機関では、第1の半割軸受31および第2の半割軸受32の外径は、30mm~150mm程度であり、軸線方向の幅は、10mm~50mm程度であり、壁厚は、1.5mm~3mm程度である。また、産業用の中型内燃機関では、外径は、150mm~350mm程度であり、軸線方向の幅は、50mm~150mm程度であり、壁厚は、3mm~8mm程度である。なお、これら寸法は、一例であり、他の寸法にすることができる。
図3は、第1の半割軸受31を摺動面7側から見た図である。第1の半割軸受31は、軸線方向端面7E、7Eを有する。
図5は、第1の半割軸受31を図3のA-A断面(軸線方向断面)から見た断面図である。第1の半割軸受31の摺動面7は、軸線方向断面において、第1の半割軸受の背面と平行になっている。
図4は、第2の半割軸受32を摺動面7側から見た図である。第2の半割軸受32は、軸線方向端面7E、7Eを有する。また、第2の半割軸受32には、摺動面7に周方向に延びる油溝32aが形成され、油溝32aは軸線方向の両端部に溝端部32E、32Eを有する。油溝32aは、第2の半割軸受32の周方向両端面76、76に開口している。ここで、第2の半割軸受32の軸線方向長さの幅中央を通り、周方向に延びる中心線WC2が定義される。また、油溝32aの軸線方向長さの幅中央を通り、周方向に延びる中心線32Cが定義される。ここで、第2の半割軸受32の中心線WC2は、油溝32aの中心線32Cと整合している。なお、油溝32aは、周方向両端面76、76の少なくとも一方に開口するように形成されてもよい。
図6は、第2の半割軸受32を図4のB-B断面(軸線方向断面)から見た断面図である。第2の半割軸受32の摺動面7は、油溝32aの溝両端部32E、32Eの周方向長さの全長に亘って隣接する2つの第2傾斜面部71、71を有しており、2つの第2傾斜面部は各表面71S、71Sを有している。第2傾斜面の各表面71S、71Sは、第2傾斜面部の軸線方向各端部71E、71E側から油溝の各端部32E、32Eに向けて、連続して第2の半割軸受32の背面に近付くように変位している。ここで、第2傾斜面部の軸線方向各端部71E、71Eは、第2の半割軸受32の軸線方向各端面7E、7Eと隣接している。
次に、図7、図8A、および図8Bを用いて、第2の半割軸受32の軸線方向における断面形状を詳細に説明する。
図7は、図6の拡大図であり、第2の半割軸受32の軸線方向における断面形状を示す。第2傾斜面部71は、溝端部32Eに隣接する側の中央領域711と、中央領域711に隣接し、中央領域711よりも第2の半割軸受の軸線方向端面7E側に位置する、縁領域712とを含む。中央領域711と縁領域712との境界には変曲部71Pがある。ここで、第2傾斜面部71、中央領域711、縁領域712は、それぞれ一定の軸線方向長さW2、W2C、W2Eを有する。また、ここで第2の半割軸受32の2つの第2傾斜面部W2、W2および油溝32aの軸線方向長さW1を合計した軸線方向長さが、W4になっている。
なお、ここで油溝32aは、溝幅W1および溝深さD1からなる矩形の断面を有している。溝幅W1は、第2の半割軸受32の背面に平行な距離として定義される。また、溝深さD1は、第2の半割軸受32の背面に垂直な方向における、油溝32aの溝端部32Eから、油溝32aの底面までの距離として定義される。ここで、溝幅W1は、第2の半割軸受32の軸線方向の幅の10%~30%程度であり、溝深さD1は、第2の半割軸受32の壁厚の30%~70%程度である。なお、これら寸法は一例であり、他の寸法にすることができる。
第2傾斜面部の幅W2は、第2の半割軸受32の背面に平行な距離として定義される。第2傾斜面部の幅W2は、中央領域の幅W2Cと、縁領域の幅W2Eとに分解される。ここで、中央領域の幅W2Cは、第2傾斜面部の幅W2の25%以上および75%以下である。
中央領域711は、第2の半割軸受32の外径側に凸の曲線を有している。縁領域712は、第2の半割軸受32の内径側に凸の曲線を有している。また、第2傾斜面部深さD2は、油溝の溝端部32Eとの隣接部において最大となり、第2傾斜面部の軸線方向端部71Eにおいて最小(ゼロ)になる。また、第2傾斜面部の深さD2は、第2の半割軸受32の背面に垂直な方向における、第2傾斜面部の軸線方向端部71Eから、油溝の溝端部32Eまでの長さとして定義される。ここで、第2傾斜面部の深さD2は、0.005mm以上および0.050mm以下である。
第2の半割軸受32の第2傾斜面部の表面71Sには、複数の第2周方向溝72が、隣り合って形成されている。複数の第2周方向溝72は、周方向に平行に延在しており、表面71Sの周方向全長に亘って形成されている。また、第2周方向溝72は、表面71Sの全幅に亘って形成されている。なお、第2周方向溝72は、第2の半割軸受32の周方向に対して僅かに傾斜(最大1°)することは許容される。なお、理解を容易にするために、各図面において第2周方向溝72は誇張して描かれている。
第2周方向溝72は、第2の半割軸受32の軸線方向の断面で見たときに、湾曲した溝表面721を有している。隣り合う第2周方向溝72の凹面721同士の間には頂部722が形成されている。頂部722を結んだ曲線が、第2傾斜面部の表面71Sを表すようになっている。微視的に見れば、第2傾斜面部の表面71Sに平坦な領域は存在しない。
図8Aおよび図8Bは、図7の第2周方向溝72の拡大図を示している。図8Aは、第2傾斜面部71の中央領域711における油溝の溝端部32E付近の第2周方向溝72の形状、および、縁領域712における第2傾斜面部の軸線方向端部71E付近の第2周方向溝72の形状を示している。図8Bは、第2傾斜面部71の中央領域711の変曲部71P付近の第2周方向溝72の形状、および、縁領域712の変曲部71P付近の第2周方向溝72の形状を示している。第2周方向溝72の溝幅W3は、第2周方向溝72の両側の頂部722を直線的に結んだ仮想直線723の長さとして定義される。溝中心線724が、仮想直線723の長さの中央位置を通り仮想直線723に対して垂直方向に延びる線として定義される。第2周方向溝72の溝深さD3は、仮想直線723に対して垂直方向に、仮想直線723から溝表面721が最も離間している位置までの長さとして定義される。第2周方向溝72の最大溝深さD3の位置は、溝中心線724の上に位置している。ここで、第2周方向溝72の溝深さD3は、1.5μm以上および10μm以下である。また、第2周方向溝72の溝幅W3は、0.05mm以上および0.25mm以下である。
仮想直線723および溝表面721によって囲まれる面積が、溝断面積72Aとして定義される。それぞれの第2周方向溝72の溝幅W3、溝深さD3、および溝断面積72Aは、互いに同じになっている。さらに、第2周方向溝72の溝幅W3、溝深さD3、および溝断面積72Aは、周方向のいずれの位置においても同じになっている。
また、各第2周方向溝72の溝表面721の形状は、溝中心線724に対して対称に形成されている。各第2周方向溝72の溝断面積72Aを溝中心線724によって分割される2つの溝断面積は、互いに同じになっている。
第2傾斜面部の表面71Sから第2の半割軸受32の軸線と直交するように延びる垂線VL1と第2周方向溝72の溝中心線724とのなす角度が、溝傾斜角度θ1として定義される。第2傾斜面部71における全ての第2周方向溝72の溝中心線724は、垂線VL1に対して油溝32aの中心線32C側へ傾斜している。
第2傾斜面部71の中央領域711において、油溝の溝端部32Eに最も近い第2周方向溝72が、最小の溝傾斜角度θ1を有し(図8A参照)、変曲部71Pに最も近い第2周方向溝72が最大の溝傾斜角度θ1を有している(図8B参照)。そのため、溝傾斜角度θ1は、油溝の溝端部32Eから変曲部71Pに近付くほど(軸線方向外側に向かうほど)連続して大きくなっている。ここで、第2傾斜面部71の変曲部71Pに最も近い前記第2周方向溝72の溝傾斜角度θ1は、溝端部32Eに最も近い前記第2周方向溝の前記溝傾斜角度θ1よりも、0.001°以上から7°以下の範囲にある値だけ大きくなっている。
第2傾斜面部71の縁領域712において、変曲部71Pに最も近い第2周方向溝72が、最大の溝傾斜角度θ1を有し(図8B参照)、第2傾斜面部の軸線方向端部71Eに最も近い第2周方向溝72が、最小の溝傾斜角度θ1を有している(図8A参照)。そのため、溝傾斜角度θ1は、変曲部71Pから第2傾斜面部の軸線方向端部71Eに近付くほど(軸線方向外側に向かうほど)連続して小さくなっている。ここで、第2傾斜面部71の変曲部71Pに最も近い第2周方向溝72の溝傾斜角度θ1は、第2傾斜面部71の軸線方向端部71Eに最も近い第2周方向溝72の溝傾斜角度θ1よりも、0.001°以上から7°以下の範囲にある値だけ大きくなっている。
本具体例のコンロッド軸受3は、一対の第1の半割軸受31と第2の半割軸受32の周方向の端面76を突き合わせて、全体として円筒形状に組み合わせることによって形成される。半割軸受31、32は、Cu軸受合金またはAl軸受合金である摺動層を有することができる。あるいは、Fe合金製の裏金層上にCu軸受合金またはAl軸受合金の摺動層を有することができる。また、Cu軸受合金またはAl軸受合金と軟質なBi、Sn、Pbのいずれか1種からなる、あるいはこれら金属を主体とする合金からなる表面部や合成樹脂を主体とする樹脂組成物からなり軸受合金よりも摺動面側に配される表面部とからなる摺動層を有してもよい。
次に、図9A~図10Dを参照して、本発明のすべり軸受3の作用について説明する。
内燃機関の運転時には、シリンダ内の爆発圧力やクランクシャフトの回転に伴う遠心力の影響によって、クランクピン5の表面と第2の半割軸受32の摺動面7との間の隙間Sは常に変動している。また、第1の半割軸受31の摺動面7の軸線方向中央付近の隙間Sに存在する潤滑油は、クランクピン5の回転に伴って、周方向端面76を越えて、第2の半割軸受32の軸線方向中央付近の隙間S側に流れ込む。その際、潤滑油は、第1の半割軸受31の摺動面7と第2の半割軸受32の油溝32aとから形成される不連続面を通過する。そのため、周方向端面76付近の油溝32a内には潤滑油の乱流が発生し、潤滑油の圧力変動によって、潤滑油中にキャビティ9が生成されている。
図9Aは、周方向端面76付近のコンロッド軸受3の断面図を示している。図9Bは、図9Aを摺動面7側から見た図を示している。図9Aおよび図9Bは、内燃機関の運転時に、コンロッド軸受3の摺動面7とクランクピン5の表面とが、離間した状態から相対的に近接するように動作した状態を示す。摺動面7およびクランクピン5の表面が離間した状態から相対的に近接する際、隙間Sに存在する潤滑油は摺動面7側に押圧される。そのため、油溝32a内に生成されたキャビティ9は、潤滑油と共に油溝32aの内部側(第2の半割軸受32の外径側)に向かって押し込まれるように移動する。
図10Aは、図9BのC-C断面であり、第2傾斜面部71付近を示す。ここで、油溝32aに押し込まれるように移動したキャビティ9を含む潤滑油の流れは、油溝32aの溝底に到達すると反転し、逆流Rを生じる。その理由は、潤滑油が、溝底よりも第2の半割軸受32の外径側に向かって移動することができないからである。したがって、キャビティ9を含む潤滑油は、第2の半割軸受32の軸線方向端面7E側に向かって押し出されるように移動する。
また、クランクピン5の表面が摺動面7に近接する際、第2傾斜面部の表面71Sとクランクピン5の表面との隙間Sを周方向に流れている油は、クランクピン5の表面によって、第2傾斜面部の表面71Sの複数の第2周方向溝72の内部へ向けて押圧される。各第2周方向溝72内の油は、後から押圧されて流入する油に押されて圧力が高くなり、第2周方向溝72内を周方向に流れるだけでなく、クランクピン5側に向けて流れ込み(逆流し)、油流F1が形成される。ここで、第2傾斜面部の表面71Sの各第2周方向溝73の溝中心線724は、油溝32aの中心線32C側へ傾斜している。このため、第2周方向溝72内から流出する油流F1は、主に、クランクピン5の表面側および油溝32aの中心線32C側に向けて傾斜して流れる。また、このとき、回転するクランクピン5の表面に付随して第2傾斜面部の表面71Sとクランクピン5の表面との隙間Sを周方向に流れる油流F2が形成されている(図10Bを参照。図10Bは、図10Aを第2の半割軸受32の摺動面7側から見た図である)。
逆流Rによって押し出されたキャビティ9は、油流F1および油流F2によって、潤滑油と共に隙間S内をクランクピンの回転方向Zの前方側に運ばれる。キャビティ9が存在する第2傾斜面部71の中央領域711は、第2の半割軸受32の外径側に凸の曲線を有しているため、油流F1は、次のような成分を持つ。
図10Cおよび図10Dに示すように、油流F1は、油流F1をクランク軸5の表面側へ向かう成分F1(v)と、油溝32aの中心線32C側へ向かう成分F1(h)とに分解される。中央領域711において、第2傾斜面部71の油溝の溝端部32E付近の第2周方向溝72から流出する油流F1は、図10Cに示されるように、F1(v)が相対的に大きくなっている。
一方、中央領域711において、第2傾斜面部71の変曲部71P付近の第2周方向溝72から流出する油流F1は、図10Dに示されるように、F1(h)が相対的に大きくなっている。
中央領域711において、溝端部32Eと変曲部71Pの間に存在する第2周方向溝72から流出する油流F1の流れ成分は、溝端部32Eから変曲部71Pに向かって(第2の半割軸受32の軸線方向外側に向かって)、図10Cに示される流れ成分から図10Dに示される流れ成分に連続的に変化していく。本構造によって、第2傾斜面部71の中央領域711の油流F1は、中央領域711に存在する潤滑油を、キャビティ9と共に、油溝32aの中心線32C側の方向、および、クランクピン5の表面の方向に向けて押圧する。押圧された中央領域711の潤滑油の圧力が増加するため、潤滑油中に内包されるキャビティ9は、復圧により中央領域711内で早期に崩壊する。そのため、キャビティ9が第2傾斜面部71の縁領域712へ流入することが防止される。そのため、隙間Sが狭くなる縁領域712の表面71S付近でキャビティ9が崩壊し、縁領域712の表面71Sにキャビテーションエロージョンが発生することが防止される。また、この際、中央領域711内のキャビティ9は、潤滑油と共にクランクピン5の表面付近に押し上げられており、中央領域711の表面71Sから離間している。また、キャビティ9が押圧されて移動する油溝32aの中心線32C側では、第2傾斜面部の深さD2が最も深くなっている。そのため、中央領域711内でキャビティ9が崩壊する際に、中央領域711の表面71Sおよび溝表面721におけるキャビテーションエロージョンの発生が防止される。
また、第2傾斜面部71の縁領域712は、第2の半割軸受32の内径側に凸の曲線を有しているため、油流F1は、次のような成分を持つ。
縁領域712において、第2傾斜面部71の変曲部71P付近の第2周方向溝72から流出する油流F1は、図10Dに示されるように、F1(h)が相対的に大きくなっている。
一方、縁領域712において、第2傾斜面部の軸線方向端部71E付近の第2周方向溝72から流出する油流F1は、図10Cに示されるように、F1(v)が相対的に大きくなっている。
そのため、仮に中央領域711内のキャビティ9が全て中央領域711内で崩壊せず、一部が縁領域712に流入した場合でも、縁領域712の変曲部71P付近では、キャビティ9は潤滑油と共に油溝32aの中心線32C側に向かって押圧される。このように、縁領域712に流入したキャビティ9を中央領域711に押し込む効果がある。また、仮に縁領域712の軸線方向端部71E付近にキャビティ9が到達した場合でも、縁領域712の軸線方向端部71E付近では、キャビティ9が潤滑油と共にクランクピン5の表面側に押圧される。そのため、縁領域712の表面71Sから離間した隙間S内で、キャビティ9を復圧によって崩壊させることが可能であり、縁領域712の表面71Sおよび溝表面721におけるキャビテーションエロージョンの発生が防止される。
第2傾斜面部の中央領域の幅W2Cは、第2傾斜面部の幅W2の25%以上および75%以下であることが好ましい。中央領域の幅W2Cが第2傾斜面部の幅W2の25%未満の場合には、油溝32の溝端部32E付近では、キャビティ9が潤滑油と共にクランクピン5の表面側に押圧されにくい。そのため、キャビティ9が中央領域711の表面71Sに近い隙間S内で崩壊しやすく、溝端部32E付近の中央領域711の表面71Sおよび溝表面721でキャビテーションエロージョンが発生しやすい。中央領域の幅W2Cが第2傾斜面部の幅W2の75%を超える場合には、第2傾斜面部の軸線方向端部71E付近では、キャビティ9が潤滑油と共にクランクピン5の表面側に押圧されにくい。そのため、キャビティ9が縁領域712の表面71Sに近い隙間S内で崩壊しやすく、軸線方向端部71E付近の縁領域712の表面71Sおよび溝表面721でキャビテーションエロージョンが発生しやすい。
第2傾斜面部の深さD2は、0.005mm以上および0.050mm以下であることが好ましい。第2傾斜面部の深さD2が0.005mm未満の場合には、キャビティ9が油流F1によって押圧されたとしても、第2傾斜面部の表面71Sとクランクピン5の表面の隙間Sが狭く、キャビティ9が第2傾斜面部の表面71S付近で崩壊しやすく、同部でキャビテーションエロージョンが発生しやすい。第2傾斜面部の深さD2が0.050mmを超える場合には、第2傾斜面部で油膜切れが発生しやすく、焼付が発生しやすい。
第2周方向溝72の溝深さD3は、1.5μm以上および10μm以下であることが好ましい。また第2周方向溝72の溝幅W3は、0.05mm以上および0.25mm以下であることが好ましい。第2周方向溝72の溝深さD3が10μmを超える場合、または、溝幅W3が0.25mmを超える場合には、油流F1が弱くなる。また、第2周方向溝72の溝深さD3が1.5μm未満である場合、または、溝幅W3が0.05mm未満である場合には、各第2周方向溝72から第2傾斜面部の表面71Sとクランクピン5の表面の隙間Sへ流出する油流F1の量が少なくなる。そのため、キャビティ9が十分に押圧されないことがある。
第2傾斜面部71の変曲部71Pに最も近い第2周方向溝72の溝傾斜角度θ1は、溝端部32Eに最も近い第2周方向溝72の溝傾斜角度θ1よりも、0.001°以上から7°以下の範囲にある値だけ大きいことが好ましい。変曲部71Pに最も近い第2周方向溝72の溝傾斜角度θ1が、溝端部32Eに最も近い第2周方向溝72の溝傾斜角度θ1よりも、0.001°未満の値だけ大きい場合、中央領域711の第2周方向溝72から流出する油流F1のF1(h)成分が過小となる。そのため、キャビティ9が油溝32aの中心線32C側に向かって押圧されにくく、キャビティ9が縁領域712に流出しやすい。また、変曲部71Pに最も近い第2周方向溝72の溝傾斜角度θ1が、溝端部32Eに最も近い第2周方向溝72の溝傾斜角度θ1よりも、7°を超える値だけ大きい場合、中央領域711の第2周方向溝72から流出する油流F1のF1(v)成分が過小となる。そのため、キャビティ9はクランクピン5の表面側に向かって押圧されにくく、キャビティ9が中央領域711の表面71Sおよび溝表面721の付近で崩壊しやすい。
第2傾斜面部71の変曲部71Pに最も近い第2周方向溝72の溝傾斜角度θ1は、第2傾斜面部71の軸線方向端部71Eに最も近い第2周方向溝72の溝傾斜角度θ1よりも、0.001°以上から7°以下の範囲にある値だけ大きいことが好ましい。変曲部71Pに最も近い第2周方向溝72の溝傾斜角度θ1が、第2傾斜面部71の軸線方向端部71Eに最も近い第2周方向溝72の溝傾斜角度θ1よりも、0.001°未満だけ大きい場合、縁領域712の変曲部71P付近の第2周方向溝72から流出する油流F1のF1(h)成分が過小となる。そのため、キャビティ9を中央領域711へ押し込みにくく、キャビティ9が縁領域712内で崩壊しやすい。また、変曲部71Pに最も近い第2周方向溝72の溝傾斜角度θ1が、第2傾斜面部71の軸線方向端部71Eに最も近い第2周方向溝72の溝傾斜角度θ1よりも、7°を超える値だけ大きい場合、キャビティ9はクランクピン5の表面側へ押し上げられにくい。そのため、キャビティ9が縁領域712の表面71Sおよび溝表面721付近で崩壊しやすい。
周方向のいずれの位置においても、第2傾斜面部71に形成されるそれぞれの第2周方向溝72は、溝深さD3、溝幅W3、および溝断面積72Aが互いに同じになっている。第2傾斜面部71の各第2周方向溝72の溝深さD3、溝幅W3、溝断面積72Aが同じになっていることによって、内燃機関の運転時、クランク軸5の表面が摺動面7に接近する際に、各第2周方向溝72内に押圧され流入する油の圧力は、ほぼ同時に同等に高くなり、各第2周方向溝72から第2傾斜面部71の表面71Sとクランクピン5の表面の隙間Sに向けて逆流する油流F1が、ほぼ同時に形成される。そのため、キャビティ9が偏りなく油溝32aの中心線32C側へ押圧されるため、キャビティ9を油溝32aの中心線32C付近のクランクシャフト5の表面側で安定的に崩壊させやすい。
なお、内燃機関の運転時において、摺動面7およびクランクピン5の表面が、近接した状態から離間した状態になるときには、隙間Sに存在するキャビティ9は、潤滑油と共に、クランクピン5の表面に追従して摺動面7から離れる方向(クランクピン5の表面側)に移動する。また、隙間Sも拡大されるため、中央領域711内または縁領域712内のキャビティ9は、第2傾斜面部の表面71S、溝表面721から十分に離間された位置で崩壊することになり、第2傾斜面部の表面71S、溝表面721においてキャビテーションエロージョンは生じない。
本具体例の構成とは異なり、第2周方向溝72の溝中心線724が、垂線VL1に対して油溝32aの中心線32C側ではなく、第2の半割軸受の軸線方向端面7E側に傾斜している場合、クランクピン5の表面が摺動面7に近接した際には、クランクピン5の表面側へ潤滑油およびキャビティ9を押し上げる効果はあるものの、潤滑油およびキャビティ9が軸線方向外側に押圧される流れを持つため、キャビティ9が縁領域712に流入しやすい。
図11は、本具体例の構成とは異なる半割軸受の断面図である。図11では、第2傾斜面部の表面71Sが変曲部71Pを持たず、外径側に凸の曲線のみで形成されている。さらに、第2傾斜面部の表面71Sには、第2周方向溝72が形成されていない。このような場合、第2傾斜面部の表面71Sとクランクピン5の表面との隙間Sの潤滑油には、油溝32aの中心線32C側に向かう油流F1が発生しない。したがって、逆流Rによって押し出されたキャビティ9を含む潤滑油は、第2の半割軸受32の軸線方向外側に拡散しやすく、第2傾斜面部の軸線方向端部71E付近にキャビティ9が到達しやすい。したがって、軸線方向端部71E付近の表面71Sでキャビテーションエロージョンが発生しやすい。
また、本具体例の構成とは異なり、第2傾斜面部71の各第2周方向溝72の溝深さD3、溝幅W3、および溝断面積72Aが一定でない場合、クランク軸5の表面が摺動面7に接近する際に、各第2周方向溝72内に押圧され流入する油の圧力は、同時に同じ圧力にならず、各第2周方向溝72から第2傾斜面部71の表面71Sとクランクピン5の表面の隙間Sに向けて逆流する油流F1が、ほぼ同時に形成されることはない。または、複数の第2周方向溝72のなかで溝深さD3、溝幅W3、および溝断面積72Aが相対的に大きい第2周方向溝72は、流入する油の圧力が高くならないために、油流F1が形成されない(油は、第2周方向溝72内を周方向に流れる)。そのため、キャビティ9が安定的に油溝32aの中心線32C付近のクランクシャフト5の表面側に押圧されにくく、表面71S、溝表面721にキャビテーションエロージョンが発生することがある。
第2の具体例
次に、本発明の第2の具体例について説明する。なお、第2の具体例は、以下に説明する第1の半割軸受31の構成を除いて、第1の具体例と同様の構成を持つ。
図12は、第2の具体例における第1の半割軸受31を摺動面7側から見た図である。第1の半割軸受31は、軸線方向端面7E、7Eを有する。ここで、第1の半割軸受31の軸線方向長さの幅中央を通り、周方向に延びる中心線WC1が定義される。
図13は、第1の半割軸受31を図12のD-D断面(軸線方向断面)から見た断面図である。第1の半割軸受31の摺動面7は、第1の半割軸受の中心線WC1に隣接する2つの第1傾斜面部73、73を有している。2つの第1傾斜面部は、各表面73S、73Sを有している。第1傾斜面の各表面73S、73Sは、第1傾斜面部の軸線方向各端部73E、73E側から第1の半割軸受の中心線WC1に向けて、連続して第1の半割軸受31の背面に近付くように変位している。
次に、図14、図15A、および図15Bを用いて、第1の半割軸受31の軸線方向における断面形状を詳細に説明する。
図14は、図13の拡大図であり、第1の半割軸受31の軸線方向における断面形状を示す。第1傾斜面部73は、第1の半割軸受の中心線WC1に隣接する側の中央領域731と、中央領域731に隣接し、中央領域731よりも第1の半割軸受の軸線方向端面7E側に位置する縁領域732とを含む。中央領域731と縁領域732との境界には変曲部73Pがある。ここで、第1傾斜面部73、中央領域731、縁領域732は、それぞれ一定の軸線方向長さW5、W5C、W5Eを有する。また、ここで第1の半割軸受31の2つの第1傾斜面部73、73の軸線方向長さW5、W5を合計した軸線方向長さが、W7になっている。
第1傾斜面部の幅W5は、第1の半割軸受31の背面に平行な距離として定義される。第1傾斜面部の幅W5は、中央領域の幅W5Cと、縁領域の幅W5Eとに分解される。ここで、中央領域の幅W5Cは、第1傾斜面部の幅W5の25%以上および75%以下である。
中央領域731は、第1の半割軸受31の外径側に凸の曲線を有している。縁領域732は、第1の半割軸受31の内径側に凸の曲線を有している。また、第1傾斜面部深さD4は、第1の半割軸受の中心線WC1との隣接部において最大となり、第1傾斜面部の軸線方向端部73Eにおいて最小(ゼロ)になる。また、第1傾斜面部の深さD4は、第1の半割軸受31の背面に垂直な方向における、第1傾斜面部の軸線方向端部73Eから、第1の半割軸受の中心線WC1と表面73Sの交点までの長さとして定義される。ここで、第1傾斜面部の深さD4は、0.005mm以上および0.050mm以下である。
第1の半割軸受31の第1傾斜面部の表面73Sには、複数の第1周方向溝74が、隣り合って形成されている。複数の第1周方向溝74は、周方向に平行に延在しており、表面71Sの周方向全長に亘って形成されている。また、第1周方向溝73は、表面71Sの全幅に亘って形成されている。なお、第1周方向溝74は、第1の半割軸受31の周方向に対して僅かに傾斜(最大1°)することは許容される。なお、理解を容易にするために、各図面において第1周方向溝74は誇張して描かれている。
第1周方向溝74は、第1の半割軸受31の軸線方向の断面で見たときに、湾曲した溝表面741を有している。隣り合う第1周方向溝74の凹面741同士の間には頂部742が形成されている。頂部742を結んだ曲線が、第1傾斜面部の表面73Sを表すようになっている。微視的に見れば、第1傾斜面部の表面73Sに平坦な領域は存在しない。
図15Aおよび図15Bは、図14の第1周方向溝74の拡大図を示している。図15Aは、第1傾斜面部73の中央領域731における、第1の半割軸受の中心線WC1付近の第1周方向溝74の形状、および、縁領域732における第1傾斜面部の軸線方向端部73E付近の第1周方向溝74の形状を示している。図15Bは、第1傾斜面部73の中央領域731の変曲部73P付近の第1周方向溝74の形状、および、縁領域732の変曲部73P付近の第1周方向溝74の形状を示している。第1周方向溝74の溝幅W6は、第1周方向溝74の両側の頂部742を直線的に結んだ仮想直線743の長さとして定義される。溝中心線744が、仮想直線743の長さの中央位置を通り仮想直線743に対して垂直方向に延びる線として定義される。第1周方向溝74の溝深さD5は、仮想直線743に対して垂直方向に、仮想直線743から溝表面741が最も離間している位置までの長さとして定義される。第1周方向溝74の最大溝深さD5の位置は、溝中心線744の上に位置している。ここで、第1周方向溝74の溝深さD5は、1.5μm以上および10μm以下である。また、第1周方向溝74の溝幅W6は、0.05mm以上および0.25mm以下である。
仮想直線743および溝表面741によって囲まれる面積が、溝断面積74Aとして定義される。それぞれの第1周方向溝74の溝幅W6、溝深さD5、および溝断面積74Aは、互いに同じになっている。さらに、第1周方向溝74の溝幅W6、溝深さD5、および溝断面積74Aは、周方向のいずれの位置においても同じになっている。
また、各第1周方向溝74の溝表面741の形状は、溝中心線744に対して対称に形成されている。各第1周方向溝74の溝断面積74Aを溝中心線744によって分割される2つの溝断面積は、互いに同じになっている。
第1傾斜面部の表面73Sから第1の半割軸受31の軸線と直交するように延びる垂線VL2と第1周方向溝74の溝中心線744とのなす角度が、溝傾斜角度θ2として定義される。第1傾斜面部73における全ての第1周方向溝74の溝中心線744は、垂線VL2に対して第1の半割軸受の中心線WC1側へ傾斜している。
第1傾斜面部73の中央領域731において、第1の半割軸受の中心線WC1に最も近い第1周方向溝74が、最小の溝傾斜角度θ2を有し(図15A参照)、変曲部73Pに最も近い第1周方向溝74が最大の溝傾斜角度θ2を有している(図15B参照)。そのため、溝傾斜角度θ2は、第1の半割軸受の中心線WC1から変曲部73Pに近付くほど(軸線方向外側に向かうほど)連続して大きくなっている。ここで、第1傾斜面部73の変曲部73Pに最も近い前記第1周方向溝74の溝傾斜角度θ2は、第1の半割軸受の中心線WC1に最も近い前記第1周方向溝の前記溝傾斜角度θ2よりも、0.001°以上から7°以下の範囲にある値だけ大きくなっている。
第1傾斜面部73の縁領域732において、変曲部73Pに最も近い第1周方向溝74が、最大の溝傾斜角度θ2を有し(図15B参照)、第1傾斜面部の軸線方向端部73Eに最も近い第1周方向溝74が、最小の溝傾斜角度θ2を有している(図15A参照)。そのため、溝傾斜角度θ2は、変曲部73Pから第1傾斜面部の軸線方向端部73Eに近付くほど(軸線方向外側に向かうほど)連続して小さくなっている。ここで、第1傾斜面部73の変曲部73Pに最も近い第1周方向溝74の溝傾斜角度θ2は、第1傾斜面部73の軸線方向端部73Eに最も近い第1周方向溝74の溝傾斜角度θ2よりも、0.001°以上から7°以下の範囲にある値だけ大きくなっている。
また、ここで、第1の半割軸受31の2つの第1傾斜面部73、73の軸線方向長さW5、W5を合計した軸線方向長さW7と、第2の半割軸受32の2つの第2傾斜面部W2、W2および油溝32aの軸線方向長さW1を合計した軸線方向長さW4は同じ長さになされている。
次に、図16A~図17Dを参照して、本発明のすべり軸受3の作用について説明する。
内燃機関の運転時には、第2の半割軸受32の油溝32a内の潤滑油が、周方向端面76を越えて、第1の半割軸受31の中心線WC1付近の隙間Sに流れ込む。油溝32aの潤滑油がキャビティ9を含む場合、キャビティ9は潤滑油の流れと共に、第1の半割軸受31の中心線WC1付近の隙間Sに流れ込む。
図16Aは、周方向端面76付近のコンロッド軸受3の断面図を示している。図16Bは、図16Aを摺動面7側から見た図を示している。図16Aおよび図16Bは、内燃機関の運転時に、コンロッド軸受3の摺動面7とクランクピン5の表面とが、離間した状態から相対的に近接するように動作した状態を示す。摺動面7およびクランクピン5の表面が離間した状態から相対的に近接する際、隙間Sに存在する潤滑油は摺動面7側に押圧される。そのため、第1の半割軸受31の中心線WC1付近の隙間Sに流れ込んだキャビティ9は、潤滑油と共に第1の半割軸受31の摺動面7に向かって押し込まれるように移動する。
図17Aは、図16BのE-E断面であり、第1傾斜面部73付近を示す。クランクピン5の表面が摺動面7に近接する際、第1傾斜面部の表面73Sとクランクピン5の表面との隙間Sを周方向に流れている油は、クランクピン5の表面によって、第1傾斜面部の表面73Sの複数の第1周方向溝74の内部へ向けて押圧される。各第1周方向溝74内の油は、後から押圧されて流入する油に押されて圧力が高くなり、第1周方向溝74内を周方向に流れるだけでなく、クランクピン5側に向けて流れ込み(逆流し)、油流F1が形成される。ここで、第1傾斜面部の表面73Sの各第1周方向溝74の溝中心線744は、第1の半割軸受の中心線WC1側へ傾斜している。このため、第1周方向溝74内から流出する油流F1は、主に、クランクピン5の表面側および第1の半割軸受の中心線WC1側に向けて傾斜して流れる。また、このとき、回転するクランクピン5の表面に付随して第1傾斜面部の表面73Sとクランクピン5の表面との隙間Sを周方向に流れる油流F2が形成されている(図17Bを参照。図17Bは、図17Aを第1の半割軸受31の摺動面7側から見た図である)。
ここで、第1の半割軸受31の中心線WC1付近には、第1傾斜面部の中央領域731が形成されている。そのため、第2の半割軸受32の油溝32aから、第1の半割軸受31の中心線WC1付近の隙間Sに流れ込んだキャビティ9は、油流F1および油流F2によって、潤滑油と共に隙間S内をクランクピンの回転方向Zの前方側に運ばれる。第1傾斜面部73の中央領域731は、第1の半割軸受31の外径側に凸の曲線を有しているため、油流F1は、次のような成分を持つ。
図17Cおよび図17Dに示すように、油流F1は、油流F1をクランク軸5の表面側へ向かう成分F1(v)と、第1の半割軸受31の中心線WC1側へ向かう成分F1(h)とに分解される。中央領域731において、第1の半割軸受31の中心線WC1付近の第1周方向溝74から流出する油流F1は、図17Cに示されるように、F1(v)が相対的に大きくなっている。
一方、中央領域731において、第1傾斜面部73の変曲部73P付近の第1周方向溝74から流出する油流F1は、図17Dに示されるように、F1(h)が相対的に大きくなっている。
中央領域731において、第1の半割軸受31の中心線WC1と変曲部73Pの間に存在する第1周方向溝74から流出する油流F1の流れ成分は、第1の半割軸受31の中心線WC1から変曲部73Pに向かって(第1の半割軸受31の軸線方向外側に向かって)、図17Cに示される流れ成分から図17Dに示される流れ成分に連続的に変化していく。本構造によって、第1傾斜面部73の中央領域731の油流F1は、中央領域731に存在する潤滑油を、キャビティ9と共に、第1の半割軸受31の中心線WC1側の方向、および、クランクピン5の表面の方向に向けて押圧する。押圧された中央領域731の潤滑油の圧力が増加するため、潤滑油中に内包されるキャビティ9は、復圧により中央領域731内で早期に崩壊する。そのため、キャビティ9が第1傾斜面部73の縁領域732へ流入することが防止される。そのため、隙間Sが狭くなる縁領域732の表面73S付近でキャビティ9が崩壊し、縁領域732の表面73Sにキャビテーションエロージョンが発生することが防止される。また、この際、中央領域731内のキャビティ9は、潤滑油と共にクランクピン5の表面付近に押し上げられており、中央領域731の表面73Sから離間している。また、キャビティ9が押圧されて移動する第1の半割軸受31の中心線WC1側では、第1傾斜面部の深さD4が最も深くなっている。そのため、中央領域731内でキャビティ9が崩壊する際に、中央領域731の表面73Sおよび溝表面741におけるキャビテーションエロージョンの発生が防止される。
また、第1傾斜面部73の縁領域732は、第1の半割軸受31の内径側に凸の曲線を有しているため、油流F1は、次のような成分を持つ。
縁領域732において、第1傾斜面部73の変曲部73P付近の第1周方向溝74から流出する油流F1は、図17Dに示されるように、F1(h)が相対的に大きくなっている。
一方、縁領域732において、第1傾斜面部の軸線方向端部73E付近の第1周方向溝74から流出する油流F1は、図17Cに示されるように、F1(v)が相対的に大きくなっている。
そのため、仮に中央領域731内のキャビティ9が全て中央領域731内で崩壊せず、一部が縁領域732に流入した場合でも、縁領域732の変曲部73P付近では、キャビティ9は潤滑油と共に第1の半割軸受31の中心線WC1側に向かって押圧される。このように、縁領域732に流入したキャビティ9を中央領域731に押し込む効果がある。また、仮に縁領域732の軸線方向端部73E付近にキャビティ9が到達した場合でも、縁領域732の軸線方向端部73E付近では、キャビティ9が潤滑油と共にクランクピン5の表面側に押圧される。そのため、縁領域732の表面73Sから離間した隙間S内で、キャビティ9を復圧によって崩壊させることが可能であり、縁領域732の表面73Sおよび溝表面741におけるキャビテーションエロージョンの発生が防止される。
第1傾斜面部の中央領域の幅W5Cは、第1傾斜面部の幅W5の25%以上および75%以下であることが好ましい。中央領域の幅W5Cが第1傾斜面部の幅W5の25%未満の場合には、第1の半割軸受の中心線WC1付近では、キャビティ9が潤滑油と共にクランクピン5の表面側に押圧されにくい。そのため、キャビティ9が中央領域731の表面73Sに近い隙間S内で崩壊しやすく、第1の半割軸受の中心線WC1付近の中央領域731の表面73Sおよび溝表面741でキャビテーションエロージョンが発生しやすい。中央領域の幅W5Cが第1傾斜面部の幅W5の75%を超える場合には、第1傾斜面部の軸線方向端部73E付近では、キャビティ9が潤滑油と共にクランクピン5の表面側に押圧されにくい。そのため、キャビティ9が縁領域732の表面73Sに近い隙間S内で崩壊しやすく、軸線方向端部73E付近の縁領域732の表面73Sおよび溝表面741でキャビテーションエロージョンが発生しやすい。
第1傾斜面部の深さD4は、0.005mm以上および0.050mm以下であることが好ましい。第1傾斜面部の深さD4が0.005mm未満の場合には、キャビティ9が油流F1によって押圧されたとしても、第1傾斜面部の表面73Sとクランクピン5の表面の隙間Sが狭く、キャビティ9が第1傾斜面部の表面73S付近で崩壊しやすく、同部でキャビテーションエロージョンが発生しやすい。第1傾斜面部の深さD4が0.050mmを超える場合には、第1傾斜面部で油膜切れが発生しやすく、焼付が発生しやすい。
第1周方向溝74の溝深さD5は、1.5μm以上および10μm以下であることが好ましい。また第1周方向溝74の溝幅W6は、0.05mm以上および0.25mm以下であることが好ましい。第1周方向溝74の溝深さD5が10μmを超える場合、または、溝幅W6が0.25mmを超える場合には、油流F1が弱くなる。また、第1周方向溝74の溝深さD5が1.5μm未満である場合、または、溝幅W6が0.05mm未満である場合には、各第1周方向溝74から第1傾斜面部の表面73Sとクランクピン5の表面の隙間Sへ流出する油流F1の量が少なくなる。そのため、キャビティ9が十分に押圧されないことがある。
第1傾斜面部73の変曲部73Pに最も近い第1周方向溝74の溝傾斜角度θ2は、第1の半割軸受31の中心線WC1に最も近い第1周方向溝74の溝傾斜角度θ2よりも、0.001°以上から7°以下の範囲にある値だけ大きいことが好ましい。変曲部71Pに最も近い第1周方向溝74の溝傾斜角度θ2が、第1の半割軸受31の中心線WC1に最も近い第1周方向溝74の溝傾斜角度θ2よりも、0.001°未満の値だけ大きい場合、中央領域731の第1周方向溝74から流出する油流F1のF1(h)成分が過小となる。そのため、キャビティ9が第1の半割軸受31の中心線WC1側に向かって押圧されにくく、キャビティ9が縁領域732に流出しやすい。また、変曲部73Pに最も近い第1周方向溝74の溝傾斜角度θ2が、第1の半割軸受31の中心線WC1に最も近い第1周方向溝74の溝傾斜角度θ2よりも、7°を超える値だけ大きい場合、中央領域731の第1周方向溝74から流出する油流F1のF1(v)成分が過小となる。そのため、キャビティ9はクランクピン5の表面側に向かって押圧されにくく、キャビティ9が中央領域731の表面73Sおよび溝表面741の付近で崩壊しやすい。
第1傾斜面部73の変曲部73Pに最も近い第1周方向溝74の溝傾斜角度θ2は、第1傾斜面部73の軸線方向端部73Eに最も近い第1周方向溝74の溝傾斜角度θ2よりも、0.001°以上から7°以下の範囲にある値だけ大きいことが好ましい。変曲部73Pに最も近い第1周方向溝74の溝傾斜角度θ2が、第1傾斜面部73の軸線方向端部73Eに最も近い第1周方向溝74の溝傾斜角度θ2よりも、0.001°未満だけ大きい場合、縁領域732の変曲部73P付近の第1周方向溝74から流出する油流F1のF1(h)成分が過小となる。そのため、キャビティ9を中央領域731へ押し込みにくく、キャビティ9が縁領域732内で崩壊しやすい。また、変曲部73Pに最も近い第1周方向溝74の溝傾斜角度θ2が、第1傾斜面部73の軸線方向端部73Eに最も近い第1周方向溝74の溝傾斜角度θ2よりも、7°を超える値だけ大きい場合、キャビティ9はクランクピン5の表面側へ押し上げられにくい。そのため、キャビティ9が縁領域732の表面73Sおよび溝表面741付近で崩壊しやすい。
周方向のいずれの位置においても、第1傾斜面部73に形成されるそれぞれの第1周方向溝74は、溝深さD5、溝幅W6、および溝断面積74Aが互いに同じになっている。第1傾斜面部73の各第1周方向溝74の溝深さD5、溝幅W6、溝断面積74Aが同じになっていることによって、内燃機関の運転時、クランク軸5の表面が摺動面7に接近する際に、各第1周方向溝74内に押圧され流入する油の圧力は、ほぼ同時に同等に高くなり、各第1周方向溝74から第1傾斜面部73の表面73Sとクランクピン5の表面の隙間Sに向けて逆流する油流F1が、ほぼ同時に形成される。そのため、キャビティ9が偏りなく第1の半割軸受31の中心線WC1側へ押圧されるため、キャビティ9を第1の半割軸受31の中心線WC1付近のクランクシャフト5の表面側で安定的に崩壊させやすい。
また、本具体例では、第1の半割軸受31の2つの第1傾斜面部73、73の軸線方向長さW5、W5を合計した軸線方向長さW7と、第2の半割軸受32の2つの第2傾斜面部W2、W2および油溝32aの軸線方向長さW1を合計した軸線方向長さW4は、同じ長さになっている。そのため、次の効果を奏する。すなわち、第1の半割軸受31の摺動面7とクランクピン5の隙間Sの潤滑油が周方向端面76を越えて、第2の半割軸受32の摺動面7とクランクピン5の隙間Sに流れ込む際(または逆に、第2の半割軸受32の摺動面7とクランクピン5の隙間Sの潤滑油が周方向端面76を越えて、第1の半割軸受31の摺動面7とクランクピン5の隙間Sに流れ込む際)に、第1の半割軸受31と第2の半割軸受32に同程度の油流れF1および油流れF2が形成される。そのため、潤滑油の流れが安定し、周方向端面76を越える際の潤滑油の乱流発生を予防し、周方向端面76を越える際のキャビティ9の発生を好適に予防することができる。
なお、内燃機関の運転時において、摺動面7およびクランクピン5の表面が、近接した状態から離間した状態になるときには、隙間Sに存在するキャビティ9は、潤滑油と共に、クランクピン5の表面に追従して摺動面7から離れる方向(クランクピン5の表面側)に移動する。また、隙間Sも拡大されるため、中央領域731内または縁領域732内のキャビティ9は、第1傾斜面部の表面73S、溝表面741から十分に離間された位置で崩壊することになり、第1傾斜面部の表面73S、溝表面741においてキャビテーションエロージョンは生じない。
本具体例の構成とは異なり、第1周方向溝74の溝中心線744が、垂線VL2に対して第1の半割軸受31の中心線WC1側ではなく、第1の半割軸受の軸線方向端面7E側に傾斜している場合、クランクピン5の表面が摺動面7に近接した際には、クランクピン5の表面側へ潤滑油およびキャビティ9を押し上げる効果はあるものの、潤滑油およびキャビティ9が軸線方向外側に押圧される流れを持つため、キャビティ9が縁領域732に流入しやすい。
図18は、本具体例の構成とは異なる半割軸受の断面図である。図18では、第1傾斜面部の表面73Sが変曲部73Pを持たず、外径側に凸の曲線のみで形成されている。さらに、第1傾斜面部の表面73Sには、第1周方向溝74が形成されていない。このような場合、第1傾斜面部の表面73Sとクランクピン5の表面との隙間Sの潤滑油には、第1の半割軸受31の中心線WC1側に向かう油流F1が発生しない。したがって、キャビティ9を含む潤滑油は、第1の半割軸受31の軸線方向外側に拡散しやすく、第1傾斜面部の軸線方向端部73E付近にキャビティ9が到達しやすい。したがって、軸線方向端部73E付近の表面73Sでキャビテーションエロージョンが発生しやすい。
また、本具体例の構成とは異なり、第1傾斜面部73の各第1周方向溝74の溝深さD5、溝幅W6、および溝断面積74Aが一定でない場合、クランク軸5の表面が摺動面7に接近する際に、各第1周方向溝74内に押圧され流入する油の圧力は、同時に同じ圧力にならず、各第1周方向溝74から第1傾斜面部73の表面73Sとクランクピン5の表面の隙間Sに向けて逆流する油流F1が、ほぼ同時に形成されることはない。または、複数の第1周方向溝74のなかで溝深さD5、溝幅W6、および溝断面積74Aが相対的に大きい第1周方向溝74は、流入する油の圧力が高くならないために、油流F1が形成されない(油は、第1周方向溝74内を周方向に流れる)。そのため、キャビティ9が安定的に第1の半割軸受31の中心線WC1付近のクランクシャフト5の表面側に押圧されにくく、表面73S、溝表面741にキャビテーションエロージョンが発生することがある。
1 軸受装置
2 コンロッド
21 大端部ハウジング
22 ロッド側大端部ハウジング
23 キャップ側大端部ハウジング
3 コンロッド軸受
31 第1の半割軸受
32 第2の半割軸受
32a 油溝
32C 油溝の軸線方向の中心線
32E 溝端部
4 主軸受
41 第1の半割軸受
42 第2の半割軸受
42a 油溝
5 クランクピン
5a 潤滑油路
5b 潤滑油路
5c 吐出口
6 ジャーナル部
6a 潤滑油路
6c 入口開口
7 摺動面
7E 軸線方向端面
71 第2傾斜面部
711 第2傾斜面部の中央領域
712 第2傾斜面部の縁領域
71E 第2傾斜面部の軸線方向端部
71P 第2傾斜面部の変曲部
71S 第2傾斜面部の表面
72 第2周方向溝
721 第2周方向溝の溝表面
722 第2周方向溝の頂部
723 第2周方向溝の仮想直線
724 第2周方向溝の溝中心線
72A 第2周方向溝の溝断面積
73 第1傾斜面部
731 第1傾斜面部の中央領域
732 第1傾斜面部の縁領域
73E 第1傾斜面部の軸線方向端部
73P 第1傾斜面部の変曲部
73S 第1傾斜面部の表面
74 第1周方向溝
741 第1周方向溝の溝表面
742 第1周方向溝の頂部
743 第1周方向溝の仮想直線
744 第1周方向溝の溝中心線
74A 第1周方向溝の溝断面積
76 周方向端面
8 シリンダブロック
81 シリンダブロック上部
82 シリンダブロック下部
D1 溝深さ
D2 第2傾斜面部の深さ
D3 第2周方向溝の溝深さ
D4 第1傾斜面部の深さ
D5 第1周方向溝の溝深さ
R 逆流
VL1 第2の半割軸受の垂線
VL2 第1の半割軸受の垂線
WC1 第1の半割軸受の軸線方向の中心線
WC2 第2の半割軸受の軸線方法の中心線
W1 溝幅
W2 第2傾斜面部の軸線方向長さ
W2C 第2中央領域の軸線方向長さ
W2E 第2縁領域の軸線方向長さ
W3 第2周方向溝の溝幅
W4 W1+W2×2の軸線方向長さ
W5 第1傾斜面部の軸線方向長さ
W5C 第1中央領域の軸線方向長さ
W5E 第1縁領域の軸線方向長さ
W6 第1周方向溝の溝幅
W7 W5×2の軸線方向長さ
X ジャーナル部の回転方向
Z クランクピンの回転方向
θ1 第2周方向溝の溝傾斜角度
θ2 第1周方向溝の溝傾斜角度

Claims (17)

  1. 内燃機関のクランク軸を回転自在に支持するためのすべり軸受であって、
    前記すべり軸受は、互いに組み合わされて円筒形状を構成する第1および第2の半割軸受を有し、前記第1および第2の半割軸受は、内径側に摺動面を有し、外径側に背面を有し、
    前記背面は、前記第1および第2の半割軸受の軸線方向と平行になっており、
    前記第1および第2の半割軸受は、周方向の両側に周方向端面を有し、
    前記第1および第2の半割軸受は、軸線方向の両端に軸線方向端面を有し、
    前記第2の半割軸受は、その内径側に1つの油溝を有しており、前記油溝は、前記第2の半割軸受の両軸線方向端面の間に位置し、周方向に延び、一定の軸線方向長さW1を有しており、
    前記油溝は、軸線方向の両端に溝端部を有し、
    前記第2の半割軸受の前記摺動面は、2つの第2傾斜面部を有しており、前記第2傾斜面部は、前記各溝端部の周方向長さの全長に亘って隣接し、一定の軸線方向長さW2を有しており、前記第2傾斜面部の表面は、各軸線方向端面側から前記溝端部に向けて、連続して前記背面に近付くように変位しており、
    前記第2傾斜面部の表面は、前記溝端部に隣接する側の中央領域と、前記中央領域に隣接し前記中央領域よりも前記第2の半割軸受の各軸線方向端面側に位置する縁領域とを含み、
    前記中央領域と前記縁領域との境界には、変曲部があり、
    前記中央領域は、前記第2の半割軸受の軸線方向の断面視において、前記第2の半割軸受の外径側に凸の曲線を形成しており、
    前記縁領域は、前記第2の半割軸受の軸線方向の断面視において、前記第2の半割軸受の内径側に凸の曲線を形成しており、
    前記第2傾斜面部の表面には、複数の第2周方向溝が隣り合って形成されており、前記複数の第2周方向溝は、前記第2傾斜面部の表面の周方向全長にわたって形成されており、前記複数の第2周方向溝は、前記第2傾斜面部の表面の全幅にわたって形成されており、前記第2周方向溝は、前記第2の半割軸受の軸線方向の断面で見たときに、湾曲した溝表面を有しており、隣り合う溝表面同士の間には頂部が形成されており、頂部を結んだ曲線が前記第2傾斜面部の表面を表すようになっており、
    前記第2周方向溝の溝幅は、前記第2周方向溝の両側の前記頂部を直線的に結んだ仮想直線の長さとして定義され、溝中心線が、前記仮想直線の長さの中央位置を通り前記仮想直線に対して垂直方向に延びる線として定義され、前記第2周方向溝の溝深さは、前記仮想直線に対して垂直方向に、前記仮想直線から前記溝表面が最も離間している位置までの長さとして定義され、前記第2周方向溝の最大溝深さの位置は、前記溝中心線の上に位置しており、
    前記仮想直線および前記溝表面によって囲まれる面積が、溝断面積として定義され、前記複数の第2周方向溝の前記溝幅、前記溝深さ、および前記溝断面積は、それぞれ互いに同じになっており、前記第2周方向溝の前記溝幅、前記溝深さ、および前記溝断面積は、周方向のいずれの位置においても同じになっており、
    前記第2傾斜面部の表面から前記半割軸受の軸線と直交するように延びる垂線と前記溝中心線とのなす角度が、溝傾斜角度θ1として定義され、
    前記第2傾斜面部の表面における前記溝中心線は、前記油溝の軸線方向長さの幅中央を通り、周方向に延びる中心線に向けて前記垂線に対して傾斜しており、前記縁領域における前記溝傾斜角度θ1は、前記第2傾斜面部の軸線方向端部において最小となり、前記変曲部に近付くほど連続して大きくなり、前記中央領域における前記溝傾斜角度θ1は、前記第2傾斜表面の前記溝端部と隣接する位置において最小となり、前記変曲部に近付くほど連続して大きくなる、すべり軸受。
  2. 前記第2傾斜面部の縁領域は、前記第2の半割軸受の前記軸線方向端面と隣接する、請求項1に記載のすべり軸受。
  3. 前記第2傾斜面部の前記中央領域の幅W2Cは、前記第2傾斜面部の幅W2の25%以上および75%以下である、請求項1または2に記載のすべり軸受。
  4. 前記第2傾斜面部の深さD2は、0.005mm以上および0.050mm以下である、請求項1または2に記載のすべり軸受。
  5. 前記第2周方向溝の溝深さD3は、1.5μm以上および10μm以下である、請求項1または2に記載のすべり軸受。
  6. 前記第2周方向溝の溝幅W3は、0.05mm以上および0.25mm以下である、請求項1または2に記載のすべり軸受。
  7. 前記第2傾斜面部の前記変曲部に最も近い前記第2周方向溝の前記溝傾斜角度θ1は、前記溝端部に最も近い前記第2周方向溝の前記溝傾斜角度θ1よりも、0.001°以上から7°以下の範囲にある値だけ大きい、請求項1または2に記載のすべり軸受。
  8. 前記第2傾斜面部の前記変曲部に最も近い前記第2周方向溝の前記溝傾斜角度θ1は、前記第2傾斜面部の軸線方向端部に最も近い前記第2周方向溝の前記溝傾斜角度θ1よりも、0.001°以上から7°以下の範囲にある値だけ大きい、請求項1または2に記載のすべり軸受。
  9. 前記第1の半割軸受は、中心線を有しており、前記中心線は、前記第1の半割軸受の軸線方向長さの幅中央を通り、周方向に延びており、前記第1の半割軸受の前記摺動面は、2つの第1傾斜面部を有しており、前記第1傾斜面部は、前記中心線に隣接し、前記中心線から各軸線方向端面側へ向かって一定の軸線方向長さW5を有し、前記第1の半割軸受の周方向の全長に亘って延びており、前記第1傾斜面部の表面は、各軸線方向端面側から前記溝端部に向けて、連続して前記背面に近付くように変位しており、
    前記第1傾斜面部の表面は、前記第1の半割軸受の前記中心線に隣接する側の中央領域と、前記中央領域に隣接し前記中央領域よりも前記第1の半割軸受の各軸線方向端面側に位置する縁領域とを含み、
    前記中央領域と前記縁領域との境界には、変曲部があり、
    前記中央領域は、前記第1の半割軸受の軸線方向の断面視において、前記第1の半割軸受の外径側に凸の曲線を形成しており、
    前記縁領域は、前記第1の半割軸受の軸線方向の断面視において、前記第1の半割軸受の内径側に凸の曲線を形成しており、
    前記第1傾斜面部の表面には、複数の第1周方向溝が隣り合って形成されており、前記複数の第1周方向溝は、前記第1傾斜面部の表面の周方向全長にわたって形成されており、前記複数の第1周方向溝は、前記第1傾斜面部の表面の全幅にわたって形成されており、前記第1周方向溝は、前記第1の半割軸受の軸線方向の断面で見たときに、湾曲した溝表面を有しており、隣り合う溝表面同士の間には頂部が形成されており、頂部を結んだ曲線が前記第1傾斜面部の表面を表すようになっており、
    前記第1周方向溝の溝幅は、前記第1周方向溝の両側の前記頂部を直線的に結んだ仮想直線の長さとして定義され、溝中心線が、前記仮想直線の長さの中央位置を通り前記仮想直線に対して垂直方向に延びる線として定義され、前記第1周方向溝の溝深さは、前記仮想直線に対して垂直方向に、前記仮想直線から前記溝表面が最も離間している位置までの長さとして定義され、前記第1周方向溝の最大溝深さの位置は、前記溝中心線の上に位置しており、
    前記仮想直線および前記溝表面によって囲まれる面積が、溝断面積として定義され、
    前記複数の第1周方向溝の前記溝幅、前記溝深さ、および前記溝断面積は、それぞれ互いに同じになっており、前記第1周方向溝の前記溝幅、前記溝深さ、および前記溝断面積は、周方向のいずれの位置においても同じになっており、
    前記第1傾斜面部の表面から前記半割軸受の軸線と直交するように延びる垂線と前記溝中心線とのなす角度が、溝傾斜角度θ2として定義され、
    前記第1傾斜面部の表面における前記溝中心線は、前記第1の半割軸受の前記中心線に向けて前記垂線に対して傾斜しており、前記縁領域における前記溝傾斜角度θ2は、前記第1傾斜面部の軸線方向端部において最小となり、前記変曲部に近付くほど連続して大きくなり、前記中央領域における前記溝傾斜角度θ2は、前記第1の半割軸受の前記中心線と隣接する位置において最小となり、前記変曲部に近付くほど連続して大きくなる、請求項1または2に記載のすべり軸受。
  10. 前記第1傾斜面部の縁領域は、前記第1の半割軸受の前記軸線方向端面と隣接する、請求項9に記載のすべり軸受。
  11. 前記第1の半割軸受の2つの前記第1傾斜面部の前記軸線方向長さW5を合計した軸線方向長さが、軸線方向長さW7であり、前記第2の半割軸受の2つの前記第2傾斜面部W2および前記油溝の軸線方向長さW1を合計した軸線方向長さが、軸線方向長さW4であり、前記軸線方向長さW7と前記軸線方向長さW4が同じである、請求項9に記載のすべり軸受。
  12. 前記第1傾斜面部の前記中央領域の幅W5Cは、前記第1傾斜面部の幅W5の25%以上および75%以下である、請求項9に記載のすべり軸受。
  13. 前記第1傾斜面部の深さD4は、0.005mm以上および0.050mm以下である、請求項9に記載のすべり軸受。
  14. 前記第1周方向溝の溝深さD5は、1.5μm以上および10μm以下である、請求項9に記載のすべり軸受。
  15. 前記第1周方向溝の溝幅W6は、0.05mm以上および0.25mm以下である、請求項9に記載のすべり軸受。
  16. 前記第1傾斜面部の前記変曲部に最も近い前記第1周方向溝の前記溝傾斜角度θ2は、前記前記第1の半割軸受の前記中心線に最も近い前記第1周方向溝の前記溝傾斜角度θ1よりも、0.001°以上から7°以下の範囲にある値だけ大きい、請求項9に記載のすべり軸受。
  17. 前記第1傾斜面部の前記変曲部に最も近い前記第1周方向溝の前記溝傾斜角度θ2は、前記第1傾斜面部の軸線方向端部に最も近い前記第1周方向溝の前記溝傾斜角度θ2よりも、0.001°以上から7°以下の範囲にある値だけ大きい、請求項9に記載のすべり軸受。
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