JP2024021400A - セラミックスヒーター、およびその製造方法 - Google Patents

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敬介 大木
Keisuke Oki
航介 神
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Abstract

【課題】AlNセラミックスを含む基材にMoを含むヒーター用電極が埋設されてなるセラミックスヒーターにおいて、ヒーター用電極の体積抵抗率を安定化し、ヒーター用電極の抵抗のバラツキを低減したセラミックスヒーターおよびその製造方法を提供する。【解決手段】セラミックスヒーター100であって、AlNセラミックスを主成分とする基材110と、Mo2Cを主成分とし、前記基材110に埋設されたヒーター用電極120と、を備え、前記ヒーター用電極120は、表面122にY2O3または希土類酸化物を主成分とする酸化物層130が形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、セラミックスヒーター、およびその製造方法に関する。
半導体製造装置用の部材としてセラミックス焼結体にヒーター用電極が埋設されたセラミックスヒーターが提案されている。
特許文献1には、窒化アルミニウム製の焼結体からなる基板にヒーター電極層が形成されたセラミックヒーターを製造する方法において、一炭化一タングステン粒子を含む導電性ペーストを用いて、窒化アルミニウム製のグリーンシートにヒーター電極層を形成し、次いでグリーンシートを非酸化性雰囲気下にて本焼成時よりも低い温度域で加熱する熱処理工程を行った後、グリーンシートを完全に焼結させる本焼成工程を行うセラミックヒーター製造方法が開示されている。
特許文献2には、耐熱性金属材料の表面に、金属炭化物の標準生成自由エネルギーが該耐熱性金属材料より小さい金属材料からなる金属皮膜を形成する皮膜形成ステップと、皮膜形成ステップで皮膜を形成した耐熱性金属材料を、セラミックス基体の原材料である粉体中の所定の位置に配設し、加圧成型してセラミックス成型体を成型する成型ステップと、成型ステップで成型したセラミックス成型体を焼結してセラミックス焼結体を生成する焼結ステップとを含むセラミックス焼結体の製造方法が開示されている。
特許文献3には、セラミックス基体の原料となるセラミックス原料粉中に、発熱体と該発熱体を取り囲む金属部材とを両者の間にセラミックス原料粉と主成分が同じ原料粉が介在するように埋設させて成形体を作製する工程と、金属部材が発熱体に優先して炭化又は酸化するように成形体を焼結させることによりセラミックス基体及び反応層を作製する工程とを含むセラミックスヒーターの製造方法が開示されている。
特許文献4には、セラミック焼結体と、このセラミック焼結体に接触するように設けられている抵抗発熱体とを備えているセラミックヒーターを製造する方法であって、セラミック粉末の成形体に、抵抗発熱体、および周期律表4a、5aおよび6a族元素から選ばれた一種以上の金属元素を含む金属からなるダミー部材を接触させ、次いで成形体を焼結させることによってセラミック焼結体を得るセラミックヒーターの製造方法が開示されている。
特許文献5は、AlNセラミックスを含む基材にヒーター用電極が埋設されてなるセラミックスヒーターであって、前記ヒーター用電極はMoおよびCを含み、Moの原子数とCの原子数との合計に対するCの原子数の比が0.20以上であることを特徴としたセラミックスヒーターの技術が開示されている。また、前記基材はY成分を含み、前記基材における前記ヒーター用電極の周囲にYAGが形成されており、前記ヒーター用電極の周囲の前記基材のX線回折チャートにおいて、2θが54.978°の位置におけるYAGのピーク強度をAとし、2θが36.041°の位置におけるAlNのピーク強度をBとするとき、(A/B)≧0.11の関係式を満たす技術が開示されている。これらにより、AlNセラミックスを含む基材にMoを含むヒーター用電極が埋設されてなるセラミックスヒーターにおいて、発熱体(ヒーター用)の体積抵抗率が安定し、加熱温度の均一性が高くなることが記載されている。
特開2000-012194号公報 特開2012-096948号公報 特開2009-295960号公報 特開2003-288975号公報 特開2021-157948号公報
AlNセラミックスに埋設されたMo電極は、同時焼成されることにより一部がMoCとなる。MoとMoCは体積抵抗率が異なるため、MoC化の度合いによって電極の抵抗値がばらつく原因となっていた。特にヒーター用電極として用いる場合は、設計通りのヒーター抵抗値が得られず、電流過多や電力不足など機能的な不具合の原因となっていた。そのためAlNに埋設して焼成した電極の抵抗を安定化したセラミックスヒーターが望まれていた。
特許文献1~4のセラミックヒーターの製造方法では、AlNセラミックスに埋設されるW、Mo等の発熱体の炭化を抑制することによってヒーター用電極の体積抵抗率を小さくし(電気伝導率を大きくし)、体積抵抗率のばらつきを抑制しようとしていた。しかしながら、これらの方法では、部分的にヒーター用電極の体積抵抗率が小さくなって体積抵抗率のばらつきが生じ、その結果、加熱温度が不均一になっていた。
また、特許文献5記載の技術は、発熱体(ヒーター用)の体積抵抗率が安定化し、加熱温度の均一性が高くなるが、そのために制御する必要のある条件がシビアであり、製造方法も複雑なものになっていた。
すなわち、本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、AlNセラミックスを含む基材にMoを含むヒーター用電極が埋設されてなるセラミックスヒーターにおいて、ヒーター用電極の体積抵抗率を安定化し、ヒーター用電極の抵抗のバラツキを低減したセラミックスヒーターおよびその製造方法を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するため、本発明のセラミックスヒーターは、以下の手段を講じた。すなわち、本発明の適用例のセラミックスヒーターは、セラミックスヒーターであって、AlNセラミックスを主成分とする基材と、MoCを主成分とし、前記基材に埋設されたヒーター用電極と、を備え、前記ヒーター用電極は、表面にYまたは希土類酸化物を主成分とする酸化物層が形成されていることを特徴としている。
このように、埋設されたヒーター用電極の表面にYまたは希土類酸化物を主成分とする酸化物層が形成されるように、埋設前のヒーター用電極(ヒーター用電極前駆体)の表面にYまたは希土類酸化物をコーティングしてAlNと同時焼成することにより、ヒーター用電極の表面上にYまたは希土類酸化物を主成分とする酸化物層を形成させると同時に、Moをほぼ全域にわたりMoC化させることができる。その結果、ヒーター用電極の体積抵抗率をMoCの物性に従い安定化させることができ、ヒーター用電極の抵抗のバラツキを低減することができる。
(2)また、上記(1)の適用例のセラミックスヒーターにおいて、前記酸化物層は、前記酸化物層に含まれるYまたは希土類元素とAlとの複酸化物を含むことを特徴としている。
これにより、AlNセラミックスとヒーター用電極の密着性が改善し、酸化物層が厚くても剥離等が生じる虞を低減できる。
(3)また、上記(1)または(2)の適用例のセラミックスヒーターにおいて、前記基材は、Yまたは希土類酸化物を2.0wt%以下含有することを特徴としている。
本発明のセラミックスヒーターは、基材を形成するAlNの焼結助剤の種類や量に関わらずヒーター用電極の体積抵抗率を安定化させることができる。そのため、これまでヒーター用電極の体積抵抗率のバラツキが大きかった焼結助剤の量が少ない構成のAlNであっても基材の材料とすることができ、基材の熱伝導率や体積抵抗率を幅広い範囲から選択できるようになる。
(4)また、上記(1)から(3)のいずれかの適用例のセラミックスヒーターにおいて、前記ヒーター用電極はメッシュで形成され、前記メッシュの開口部には、前記酸化物層に主成分として含まれるYまたは希土類酸化物を主成分とする第2の酸化物層が形成されていることを特徴としている。
このように、ヒーター用電極を形成するメッシュの開口部に酸化物層に主成分として含まれるYまたは希土類酸化物を主成分とする第2の酸化物層が形成されていることで、第2の酸化物層とAlNセラミックスとの界面にYまたは希土類元素とAlとを含む化合物や酸化物、複酸化物が形成され、AlNセラミックスと密着する。その結果、ヒーター用電極とAlNセラミックスとの界面での剥離や不整合が生じにくくなり、十分な機械強度が確保される。
(5)また、本発明の適用例のセラミックスヒーターの製造方法は、セラミックスヒーターの製造方法であって、AlNを主成分とするセラミックス成形体を準備する工程と、Moを主成分とするヒーター用電極前駆体の表面にYまたは希土類酸化物を主成分とする希土類酸化物層を形成する工程と、前記ヒーター用電極前駆体を前記セラミックス成形体に埋設する工程と、前記ヒーター用電極前駆体が埋設された前記セラミックス成形体を焼成する工程と、を含むことを特徴としている。
このように、Moを主成分とする埋設前のヒーター用電極前駆体の表面にYまたは希土類酸化物をコーティングしてAlNと同時焼成することにより、ヒーター用電極の表面上にYまたは希土類酸化物を主成分とする酸化物層を形成させると同時に、Moをほぼ全域にわたりMoC化させることができる。その結果、ヒーター用電極の体積抵抗率をMoCの物性に従い安定化させることができ、加熱温度の均一性を高くすることができる。
本発明によれば、AlNセラミックスを含む基材にMoを含むヒーター用電極が埋設されてなるセラミックスヒーターにおいて、ヒーター用電極の体積抵抗率を安定化し、ヒーター用電極の抵抗値のバラツキを低減することができる。
実施形態に係るセラミックスヒーターの一例を示す模式的な断面図である。 実施形態に係るセラミックスヒーターのヒーター用電極の模式的な断面の拡大図である。 実施形態に係るセラミックスヒーターの模式的な断面の拡大図である。 実施形態に係るセラミックスヒーターの製造方法の一例を示すフローチャートである。 (a)~(d)それぞれ実施形態に係るセラミックスヒーターの製造工程の一段階を模式的に示す断面図である。 (a)~(c)それぞれ実施形態に係るセラミックスヒーターの製造工程の一段階を模式的に示す断面図である。 実施例および比較例の焼成後の基材の組成、ヒーター用電極前駆体の処理、および測定結果を示す表である。 (a)は、実施例4のヒーター用電極の断面のSEM画像である。(b)は、図8(a)のSEM画像の矢印位置のEPMAによる元素カウント数の変動を示すグラフである。 (a)は、図8(a)のSEM画像の部分拡大図である。図9(b)は、図9(a)のSEM画像の矢印位置のEPMAによる元素カウント数の変動を示すグラフである。 (a)は、実施例4のヒーター用電極の開口部を含む断面のSEM画像である。(b)は、図10(a)のSEM画像と同一の範囲を元素マッピングした画像である。
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。なお、構成図において、各構成要素の大きさは概念的に表したものであり、必ずしも実際の寸法比率を表すものではない。
本発明者らは、Moのカーバイド化は、AlNセラミックス中の助剤成分であるYや希土類酸化物の濃度によって変化することを発見した。すなわち、Yや希土類酸化物の濃度が高いほうがMo電極のカーバイド化が進むことを発見した。しかし、AlNセラミックス中の焼結助剤量の濃度はAlNセラミックスの物性(機能)と大きく関連するため、Mo電極のカーバイド化促進のためだけに助剤量を決定することはできなかった。そこで予め埋設するMo電極の表面にYまたは希土類酸化物をコーティングしておき、これをAlNと同時焼成することにより、Mo電極表面上にYまたは希土類酸化物を主成分とする酸化物層を形成させることによって、Mo電極断面をほぼ全域にわたりMoC化させることができるようにした。その結果、ヒーター用電極はMoCの物性に従い安定化させることができる。
[実施形態]
[セラミックスヒーターの構成]
まず、本実施形態に係るセラミックスヒーターの構成を説明する。図1は、本発明の実施形態に係るセラミックスヒーターの一例を示す断面図である。本実施形態に係るセラミックスヒーター100は、基材110と、ヒーター用電極120と、を備える。
基材110は、AlNセラミックスを主成分とする。基材110がAlNセラミックスを主成分とするとは、AlNを90wt%以上含むセラミックス焼結体からなることをいう。基材110は、平板状に形成され、一方の主面に基板を載置する載置面112を有することが好ましい。また、基材110の形状は、円板状、多角形状、楕円状など、様々な形状にすることができる。
AlNセラミックスは、熱伝導率や体積抵抗率を変化させることを目的として焼結助剤を添加することがある。熱伝導率については、一般的に、焼結助剤の添加量は、量を増やすと熱伝導率が高くなるが、一定量以上添加すると熱伝導率の低下を引き起こすことが知られている。したがって、焼結助剤の含有量は、10wt%以下とすることが望ましい。焼結助剤は、後述するYまたは希土類酸化物を使用することができる。また、AlNセラミックスの物性の調節のため、周期律表第4族の窒化物を添加してもよい。
AlNを主成分とするセラミックス焼結体は、熱伝導率が高く、耐熱性、耐プラズマ性に優れており、添加する焼結助剤の種類や量を調整することで、容易に熱伝導率や体積抵抗率を調整することができる。そのため、AlNを主成分とするセラミックス焼結体により基材110を形成することで、熱伝導率や体積抵抗率が調整され、耐熱性、耐プラズマ性に優れた基材110を構成できる。
基材110は、Yまたは希土類酸化物を2.0wt%以下含有することが好ましい。本発明のセラミックスヒーター100は、基材110を形成するAlNの焼結助剤の種類や量に関わらずヒーター用電極120の体積抵抗率を安定化させることができる。そのため、これまでヒーター用電極の体積抵抗率のバラツキが大きかった焼結助剤の量が少ない構成のAlNセラミックスであっても基材110の材料とすることができ、基材110の熱伝導率や体積抵抗率を幅広い範囲から選択できるようになる。また、基材110がYまたは希土類酸化物を2.0wt%以下含有することには、基材110がYおよび希土類酸化物を含有しないことも含むこととする。本発明は、Yまたは希土類酸化物、その他の焼結助剤を含有しないAlNセラミックスであっても、ヒーター用電極120の体積抵抗率を安定化させることができる。基材110がYまたは希土類酸化物を2.0wt%以下含有することは、EDX(Energy dispersive X-ray spectroscopy)やEPMA(Electron Probe Micro Analyzer)による元素カウント数で確かめることができる。測定個所は、ヒーター用電極120の影響をほとんど受けない領域とする。例えば、ヒーター用電極120から2mm以上離間した任意の領域を選択することができる。
ヒーター用電極120は、MoCを主成分とし、基材110に埋設されている。このように、ヒーター用電極120をMoCを主成分とする構成とすることで、ヒーター用電極120の体積抵抗率を高くすることができ、ヒーター用電極120の抵抗値を高くすることができる。また、面内の抵抗のバラツキも生じにくいので、ヒーター用電極120の設計の自由度を高くすることができる。
ヒーター用電極120がMoCを主成分とすることは、EPMA分析においてヒーター用電極120の断面全面の元素マッピング分析を行うことで確かめることができる。ヒーター用電極120がMoCを主成分とするとは、EPMA分析で元素分析を行い、ZAF法または半定量分析によりCおよびMoをatom%換算で定量し、C/(C+Mo)比が0.3以上となっていることをいう。
図2は、実施形態に係るセラミックスヒーター100のヒーター用電極120の模式的な断面の拡大図である。基材110は省略している。図2に示されるように、ヒーター用電極120は、表面122にYまたは希土類酸化物を主成分とする酸化物層130が形成されている。希土類酸化物とは、希土類の酸化物である。ここでいう希土類には、例えば、Nd、Sm、Eu、Gd、Ce、Er等が含まれる。
このように、埋設されたヒーター用電極120の表面122にYまたは希土類酸化物を主成分とする酸化物層130が形成されるように、埋設前のヒーター用電極(ヒーター用電極前駆体124)の表面にYまたは希土類酸化物をコーティングしてAlNと同時焼成することにより、ヒーター用電極120の表面上にYまたは希土類酸化物を主成分とする酸化物層130を形成させると同時に、Moをほぼ全域にわたりMoC化させることができる。その結果、ヒーター用電極120の体積抵抗率をMoCの物性に従い安定化させることができる。これにより、加熱温度の均一性を高くすることができる。酸化物層130は、ヒーター用電極120の表面122全面に形成されなくてもよい。ヒーター用電極120の表面122にYまたは希土類酸化物を主成分とする酸化物層130が形成されていることは、EDXやEPMAによる元素カウント数で確かめることができる。測定個所は、ヒーター用電極120の断面領域とする。例えば、ヒーター用電極120の表面から0.1mm以内の任意の領域を選択することができる。なお、酸化物層130を構成する希土類酸化物は、基材110が含有する希土類酸化物と同じであっても異なっていてもよい。
酸化物層130は、酸化物層130に含まれるYまたは希土類元素とAlとの複酸化物を含むことが好ましい。これにより、基材110のAlNセラミックスとヒーター用電極120の密着性が改善し、酸化物層130が厚くても剥離等が生じる虞を低減できる。酸化物層130が酸化物層130に含まれるYまたは希土類元素とAlとの複酸化物を含むことは、EDXやEPMAによる元素カウント数で確かめることができる。
ヒーター用電極120は、ワイヤーを織り込んだメッシュで形成されることが好ましい。ヒーター用電極120がメッシュで形成されることで、ヒーター用電極材料のペーストを焼成することで作製されたヒーター用電極と比較して断線の虞を低減することができ、ヒーター用電極120の信頼性を高くできる。
図3は、実施形態に係るセラミックスヒーター100の模式的な断面の拡大図である。図3に示されるように、ヒーター用電極120がメッシュで形成される場合、メッシュの開口部には、酸化物層130に主成分として含まれるYまたは希土類酸化物を主成分とする第2の酸化物層135が形成されていることが好ましい。このように、ヒーター用電極120を形成するメッシュの開口部に酸化物層130に主成分として含まれるYまたは希土類酸化物を主成分とする第2の酸化物層135が形成されていることで、第2の酸化物層135とAlNセラミックスとの界面にYまたは希土類元素とAlとを含む化合物や酸化物、複酸化物が形成され、AlNセラミックスと密着する。その結果、ヒーター用電極120とAlNセラミックスとの界面での剥離や不整合が生じにくくなり、十分な機械強度が確保される。メッシュの開口部とは、メッシュを形成する隣接するワイヤーに囲まれた領域である。
ヒーター用電極120がメッシュで形成される場合、メッシュを形成するワイヤーは、線径が0.02mm以上0.15mm以下であることが好ましい。これにより、ヒーター用電極の抵抗を高い値に設計することがより容易になり、ヒーター用電極設計の自由度をより高くすることができる。Moは融点が高く加工が難しいので、線径が0.02mm未満のワイヤーは、製造が困難である。また、線径が0.15mmより大きいワイヤーを織り込んでメッシュを形成すると、抵抗値を高くすることが難しくなり、必要な抵抗値に設計することが難しくなる場合がある。
さらに、ワイヤーの線径が0.15mmより大きい場合、焼結時にワイヤーに圧裂(クラック)が生じる虞が高くなる。また、ワイヤーの交点部分のメッシュの厚みは0.3mmより大きくなり、ヒーター用電極120の上部のセラミックスを薄い絶縁層として構成する場合に、絶縁層にクラックを生じさせる虞が増大する。このように、十分に細いワイヤーでヒーター用電極120を構成することで、焼結時にワイヤーに圧裂が生じる虞をより低減することができ、また、ヒーター用電極120の上部のAlNセラミックスを薄い絶縁層として構成しても、絶縁層にクラックを生じさせる虞をより低減させることができる。
セラミックスヒーター100は、必要な端子140、端子穴142を備えていてもよい。これにより、ヒーター用電極120に給電することができる。また、セラミックスヒーター100は、端子140とヒーター用電極120との間でそれぞれと電気的に接続される図示しない接続部材を備えていてもよい。端子140は、Niなどで形成することができる。端子140は、ヒーター用電極120または接続部材とAuロウなどでロウ付けされる。接続部材は、Mo、W、コバールなどで形成することができる。
[セラミックスヒーターの製造方法]
次に、本実施形態に係るセラミックスヒーターの製造方法を説明する。図4は、本発明の実施形態に係るセラミックスヒーターの製造方法の一例を示すフローチャートである。本発明の実施形態に係るセラミックスヒーターの製造方法は、図4に示すように、成形体準備工程STEP1、希土類酸化物層形成工程STEP2、積層体形成工程STEP3、および焼成工程STEP4を備えている。なお、以下では成形体を積層して製造する成形体ホットプレス法による製造方法を説明するが、本発明は希土類酸化物層形成工程STEP2のMoを主成分とするヒーター用電極前駆体をYまたは希土類酸化物でコーティングして希土類酸化物層を形成することが重要であり、その他の工程は別の方法に置き換えてもよい。また、成形体ホットプレス法による製造方法の場合、成形体準備工程STEP1と希土類酸化物層形成工程STEP2は、順序が逆であってもよい。
図5(a)~(d)および図6(a)~(c)は、それぞれ本実施形態に係るセラミックスヒーターの製造工程の一段階を模式的に示す断面図である。
成形体準備工程STEP1は、AlN原料粉から複数のセラミックス成形体11、12を形成する。なお、図5ではセラミックス成形体は2の部材に分かれているが、設計に応じて3以上であってもよい。例えば、AlN原料粉にバインダ、可塑剤、分散剤などの添加剤を適宜添加して混合して、スラリーを作製し、スプレードライ法等により造粒粉を造粒後、加圧成形して複数のセラミックス成形体11、12を形成することができる。このようにバインダを用いた製法をとる場合、バインダ由来のC成分が後述する脱脂工程後もセラミックス脱脂体内に100ppm~500ppm程度残ることとなる。このC成分やジグ等の環境からのC成分が炭化の原因となると推定される。AlN原料粉には、必要に応じて焼結助剤となる粉末が添加されてもよい。
AlN原料粉は、高純度であることが好ましく、その純度は、好ましくは96%以上、より好ましくは98%以上である。また、AlN原料粉の平均粒径は、好ましくは0.1μm以上1.0μm以下、より好ましくは0.3μm以上0.8μm以下である。焼結助剤として、例えばYを用いる場合は、AlN原料粉に内比で0.1wt%~5wt%のYを添加し、PVA系等のバインダ、分散剤、溶剤を添加してスラリーを調製し、スプレードライヤー等により造粒粉を造粒する。
混合方法は、湿式、乾式の何れであってもよく、例えばボールミル、振動ミルなどの混合器を用いることができる。また、成形方法としては、例えば、一軸加圧成形や冷間静水等方圧加圧(CIP:Cold Isostatic Pressing)法などの公知の方法を用いればよい。なお、セラミックス成形体を形成する方法は、加圧成形に限らず、例えば、グリーンシート積層、または鋳込み成形であっても適用が可能であり、これらを適宜脱脂、またはさらに仮焼する工程により、セラミックス成形体を製造することができる。また、粉末ホットプレス法により積層体を形成してもよい。
複数のセラミックス成形体11、12は、成形後、機械加工により成形体の形状が整えられてもよい。また、図5(b)に示されるように、セラミックス成形体12の片面(他のセラミックス成形体11との接合面)に、ヒーター用電極120の形状に合わせた形状の凹部が形成されてもよい。凹部はセラミックス成形体11に設けられてもよいし、両方に設けられてもよい。機械加工は、脱脂後に行ってもよい。
複数のセラミックス成形体11、12は、所定の温度以上、所定の時間以上脱脂処理して複数のセラミックス脱脂体21、22を作製してもよい。セラミックス成形体11、12は、例えば、400℃以上800℃以下の温度で熱処理され、セラミックス脱脂体21、22となる。脱脂時間は、1時間以上120時間以下であることが好ましい。脱脂には、大気炉または窒素雰囲気炉を用いることができる。
希土類酸化物層形成工程STEP2では、Moを主成分とするヒーター用電極前駆体124の表面にYまたは希土類酸化物をコーティングして、Yまたは希土類酸化物を主成分とする希土類酸化物層を形成する。ヒーター用電極前駆体124の表面にYまたは希土類酸化物をコーティングする方法はどのような方法でもよく、希土類酸化物層のねらいの厚みに応じて適宜選択することができる。例えば、Yまたは希土類酸化物を溶媒に懸濁させてディップする方法やプラズマ溶射、AD法(Aerosol Deposition method)、プラズマCVDなどを用いることができる。
ヒーター用電極前駆体124がMoを主成分とするとは、純度が98wt%以上のMoで形成されたことを示し、他の遷移金属や希土類の単体またはその化合物およびCの合計が2wt%以下であることを示す。表面にYまたは希土類酸化物がコーティングされた、Moを主成分とするヒーター用電極前駆体124が後述する焼成工程STEP4を経ることにより、表面にYまたは希土類酸化物を主成分とする酸化物層が形成されたMoCを主成分とするヒーター用電極120となる。また、ヒーター用電極前駆体124は、セラミックスヒーター100の設計に応じた形状に加工されたものを準備する。形状は、Moワイヤーを織り込んだメッシュを所定の形状に切断したものであることが好ましい。ヒーター用電極前駆体124のメッシュを形成するワイヤーの線径は、0.02mm以上0.15mm以下であることが好ましい。
積層体形成工程STEP3では、Yまたは希土類酸化物を主成分とする希土類酸化物層を形成したヒーター用電極前駆体124、および複数のセラミックス成形体11、12もしくはセラミックス脱脂体21、22を組み合わせて、平板状に形成され、ヒーター用電極前駆体124が埋設された積層体30を形成する。
焼成工程STEP4では、積層体30を主面(載置面)に垂直方向に一軸加圧焼成して、セラミックスヒーター100を得る。加圧する力は、1MPa以上であることが好ましい。また、焼成温度は、1500℃以上2000℃以下であることが好ましい。焼成時間は、1時間以上12時間以下であることが好ましい。焼成雰囲気は、例えば、窒素や不活性ガス雰囲気であるが、真空などの雰囲気であってもよい。これにより、複数のセラミックス成形体11、12またはセラミックス脱脂体21、22が焼結してセラミックス焼結体となり、これらが一体化され、ヒーター用電極120が埋設されたセラミックスヒーター100が得られる。
なお、脱脂工程を設ける場合、脱脂工程の後にさらにセラミックス仮焼体作製工程を設けてもよい。セラミックス仮焼体作製工程を設ける場合、セラミックス脱脂体を1200℃以上1700℃以下の温度で仮焼してセラミックス仮焼体を作製する。これにより、セラミックスヒーター100の外形やヒーター用電極120の埋設位置などの寸法精度をより高くすることができる。仮焼時間は、0.5時間以上12時間以下であることが好ましい。仮焼雰囲気は、窒素や不活性ガス雰囲気であることが好ましいが、真空などの雰囲気であってもよい。仮焼体作製工程を設ける場合、機械加工は仮焼体作製工程の後に行ってもよい。
焼成後のセラミックスヒーター100に端子穴142を設けて、ヒーター用電極120に端子140を接続する工程を設けてもよい。また、図示しない接続部材などをあらかじめ基材110に埋設しておいてもよい。なお、接続部材は、Mo、W、コバール等を用いることができる。ヒーター用電極120の表面または接続部材にロウ材等で端子140を接続することができる。端子140は、Ni等を用いることができる。また、ロウ材は、Auロウ等を用いることができる。
このようにすることで、ヒーター用電極120の体積抵抗率を安定化し、ヒーター用電極120の抵抗値のバラツキを低減したセラミックスヒーター100を製造することができる。
[実施例および比較例]
(実施例1)
AlN原料粉に内比で5wt%のY(純度99.9%以上)を添加し、バインダ(PVA)、分散剤、溶剤を添加してスラリーを調製し、スプレードライヤーにより造粒粉を造粒した。作製した造粒粉を用いて、CIP成形(圧力1ton/cm)し、成形体のインゴットを得た。これを機械加工することで、直径300mm、厚み10mmのセラミックス成形体、および直径300mm、厚み15mmのセラミックス成形体を成形した。そして、厚み15mmのセラミックス成形体の一方の面に、成形体の中心を共有し、ヒーター用電極を収納するための直径295mm、深さ0.1mmの凹部を設けた。次に、セラミックス成形体を、550℃、12時間脱脂して、セラミックス脱脂体を作製した。
これとは別に、直径294mmのMo製のモリブデンメッシュ(線径0.1mm、平織り、メッシュサイズ♯50)を所定の形状に裁断した。これをY溶液にディッピングし常温乾燥することで、希土類酸化物層を形成したヒーター用電極前駆体を準備した。Y溶液は、Y粉末(純度99.9%以上)を溶剤(水)に懸濁させ、比重1.8となるように調整した。希土類酸化物層の厚みは、80μmであった。
次に、凹部を設けたセラミックス脱脂体の凹部にヒーター用電極前駆体を載置し、もう一方のセラミックス脱脂体で挟み、積層体を作製した。次に、積層体をホットプレス炉に載置して、積層体の主面(載置面)に垂直な方向に1MPaの力を加えつつ、1800℃、2時間、1軸ホットプレス焼成した。このようにして、セラミックスヒーターを焼成した。
その後、総厚15mm、ヒーター用電極から一方の主面までの絶縁層厚み5mmとなるように全面に研削、研磨加工を行った。また、同一の構成のセラミックスヒーターを10個作製した。以下の実施例、比較例のセラミックスヒーターも同様である。
(実施例2)
実施例2は、実施例1の造粒粉をAlN原料粉に内比で1wt%のYおよび6wt%のSmを添加したものに変更した。それ以外は、実施例1と同じ工程、条件で実施例2のセラミックスヒーターを作製した。
(実施例3)
実施例3は、実施例1の造粒粉をAlN原料粉のみのものに変更した。それ以外は、実施例1と同じ工程、条件で実施例3のセラミックスヒーターを作製した。
(実施例4)
実施例4は、実施例1の造粒粉をAlN原料粉に内比で1wt%のYおよび6wt%のTiNを添加したものに変更した。それ以外は、実施例1と同じ工程、条件で実施例4のセラミックスヒーターを作製した。
(実施例5)
実施例5は、実施例1の造粒粉をAlN原料粉に内比で1wt%のYおよび2wt%のNdを添加したものに変更した。それ以外は、実施例1と同じ工程、条件で実施例5のセラミックスヒーターを作製した。
(実施例6)
実施例6は、実施例4のヒーター用電極に希土類酸化物層を形成する方法を、Yのプラズマ溶射に変更した。それ以外は、実施例4と同じ工程、条件で実施例6のセラミックスヒーターを作製した。なお、希土類酸化物層の厚みは、15μmであった。
(実施例7)
実施例7は、実施例4のヒーター用電極の希土類酸化物層を形成する材料を、Smに変更した。それ以外は、実施例4と同じ工程、条件で実施例7のセラミックスヒーターを作製した。Sm溶液は、Sm粉末(純度99.9%以上)を溶剤(水)に懸濁させ、比重1.8となるように調整した。希土類酸化物層の厚みは、80μmであった。
(実施例8)
実施例8は、実施例4のヒーター用電極に希土類酸化物層を形成する方法を、YのプラズマCVDに変更した。処理温度は500℃とした。それ以外は、実施例4と同じ工程、条件で実施例8のセラミックスヒーターを作製した。なお、希土類酸化物層の厚みは、1μmであった。
(実施例9)
実施例9は、実施例1の造粒粉をAlN原料粉に内比で2wt%のYおよび6wt%のTiNを添加したものに変更した。それ以外は、実施例1と同じ工程、条件で実施例9のセラミックスヒーターを作製した。
(比較例1)
比較例1は、実施例1で使用したヒーター用電極を、希土類酸化物層を形成していないヒーター用電極に変更した。それ以外は、実施例1と同じ工程、条件で比較例1のセラミックスヒーターを作製した。
(比較例2)
比較例2は、比較例1の造粒粉をAlN原料粉に内比で3wt%のYを添加したものに変更した。それ以外は、比較例1と同じ工程、条件で比較例2のセラミックスヒーターを作製した。
(比較例3)
比較例3は、比較例1の造粒粉をAlN原料粉に内比で0.3wt%のYを添加したものに変更した。それ以外は、比較例1と同じ工程、条件で比較例3のセラミックスヒーターを作製した。
(比較例4)
比較例4は、実施例4で使用したヒーター用電極を、希土類酸化物層を形成していないヒーター用電極に変更した。それ以外は、実施例4と同じ工程、条件で比較例4のセラミックスヒーターを作製した。
[性能評価]
(ヒーター用電極の抵抗値のバラツキの評価)
実施例および比較例それぞれ10個のセラミックスヒーターについて、ヒーター用電極の両端を露出させる抵抗測定用の端子穴を2箇所設けた。端子穴に露出したヒーター用電極にテスターのプローブを接触させ、端子間のヒーター抵抗値を測定した。10個のセラミックスヒーターの測定値から、各実施例、比較例について変動係数CV(標準偏差/平均値)を求めた。変動係数CVは、値が小さいほどバラツキが小さいことを示す。図7は、実施例および比較例の焼成後の基材の組成、ヒーター用電極前駆体の処理、および測定結果を示す表である。
(基材、ヒーター用電極、その表面、およびメッシュの開口部の組成分析)
各実施例、比較例のセラミックスヒーターから1つを選択し、載置面の中心を通る垂直な断面で切断した。そして、ヒーター用電極の断面を露出させ研磨後、EMPAで元素分析を行った。ヒーター用電極の元素分析は、載置面の中心に最も近い位置、外周に最も近い位置、およびその中点に最も近い位置の3箇所のヒーター用電極について行った。
EPMA分析は、ヒーター用電極の断面をFE-EPMA(電界放出型電子線マイクロアナライザ)による断面の元素マッピング分析を行い、ZAF法でatom%換算でC/(C+Mo)比で炭化物の判断を行った。C/(C+Mo)比が0.3以上である場合、MoCを主成分とすると判断し、C/(C+Mo)比が0.3未満である場合、未炭化のMoが多く残っており、MoCが主成分でないと判断した。
実施例1~9は、測定した3箇所全てでヒーター用電極の中心までMoCが含まれ、MoCを主成分とすることが確かめられた。また、実施例1~9は、比較例1~4と比較して、変動係数CVの値が小さかった。実施例1~9は、複数のセラミックスヒーターのヒーター用電極がいずれも十分に炭化したため、ヒーター用電極の抵抗値のバラツキが抑制されたと考えられる。
図8(a)は、実施例4のヒーター用電極の断面のSEM画像である。図8(b)は、図8(a)のSEM画像の矢印位置のEPMAによる元素カウント数の変動を示すグラフである。図8(a)、(b)に示されるように、実施例4のヒーター用電極は、表面にYを主成分とする酸化物層が形成されていることが確かめられた。
図9(a)は、図8(a)のSEM画像の部分拡大図である。図9(b)は、図9(a)のSEM画像の矢印位置のEPMAによる元素カウント数の変動を示すグラフである。図9(a)、(b)に示されるように、実施例4のヒーター用電極は、酸化物層が異なる相からなることが分かった。これにより、酸化物層にYとAlとの複酸化物を含むことが確かめられた。
図10(a)は、実施例4のヒーター用電極の開口部を含む断面のSEM画像である。図10(b)は、図10(a)のSEM画像と同一の範囲を元素マッピングした画像である。図10(b)の灰色は、Yを示す。図10(a)、(b)に示されるように、実施例4のヒーター用電極は、メッシュの開口部に酸化物層に主成分として含まれるYを主成分とする第2の酸化物層が形成されていることが確かめられた。
また、その他の実施例1~3、5~9においても、測定した3箇所全てでヒーター用電極の表面にYまたは希土類酸化物を主成分とする酸化物層が形成されていることが確かめられた。また、酸化物層にYまたは希土類酸化物に含まれる希土類元素とAlとの複酸化物を含むことが確かめられた。また、実施例1~9は、メッシュの開口部に、酸化物層に主成分として含まれるYまたは希土類酸化物を主成分とする第2の酸化物層が形成されていることが確かめられた。
また、実施例4、および6~9の結果から、ヒーター用電極前駆体にYまたは希土類酸化物を主成分とする酸化物層を形成する方法は、ヒーター用電極の炭化に影響しないことが分かった。また、酸化物層の厚みも1μmで十分であることが分かった。
実施例4、および7の結果から、ヒーター用電極前駆体のYまたは希土類酸化物を主成分とする酸化物層の材質の違いは、ヒーター用電極の炭化度合いに影響しないことが分かった。これにより、実施例で使用したYまたは希土類酸化物以外の希土類酸化物を主成分とする酸化物層であっても同様の効果を奏することが期待される。
比較例1~4は、載置面の中心に最も近い位置のヒーター用電極は、表面のみがMoCとなっており、中心を含む大部分はMoからなっていた。ヒーター用電極前駆体に希土類酸化物層を形成していない場合、ヒーター用電極の炭化度合いは、AlNセラミックスの組成や製造条件の僅かな違いによって大きく異なっていた。その結果、複数のセラミックスヒーターについて、ヒーター用電極の抵抗のバラツキが抑制されなかったと考えられる。
これらの結果、実施例1~9は、比較例1~4に比べヒーター用電極を十分に炭化させることができ、ヒーター用電極の抵抗のバラツキが抑制されることが確かめられた。その結果、ヒーター用電極を安定化させることができることが確かめられた。また、本発明の製造方法は、このようなセラミックスヒーターを製造できることが確かめられた。
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形および均等物に及ぶことはいうまでもない。また、各図面に示された構成要素の構造、形状、数、位置、大きさ等は説明の便宜上のものであり、適宜変更しうる。
11、12 セラミックス成形体
21、22 セラミックス脱脂体
30 積層体
100 セラミックスヒーター
110 基材
112 載置面
120 ヒーター用電極
122 表面
124 ヒーター用電極前駆体
130 酸化物層
135 第2の酸化物層
140 端子
142 端子穴

Claims (5)

  1. セラミックスヒーターであって、
    AlNセラミックスを主成分とする基材と、
    MoCを主成分とし、前記基材に埋設されたヒーター用電極と、を備え、
    前記ヒーター用電極は、表面にYまたは希土類酸化物を主成分とする酸化物層が形成されていることを特徴とするセラミックスヒーター。
  2. 前記酸化物層は、前記酸化物層に含まれるYまたは希土類元素とAlとの複酸化物を含むことを特徴とする請求項1に記載のセラミックスヒーター。
  3. 前記基材は、Yまたは希土類酸化物を2.0wt%以下含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセラミックスヒーター。
  4. 前記ヒーター用電極はメッシュで形成され、
    前記メッシュの開口部には、前記酸化物層に主成分として含まれるYまたは希土類酸化物を主成分とする第2の酸化物層が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセラミックスヒーター。
  5. セラミックスヒーターの製造方法であって、
    AlNを主成分とするセラミックス成形体を準備する工程と、
    Moを主成分とするヒーター用電極前駆体の表面にYまたは希土類酸化物を主成分とする希土類酸化物層を形成する工程と、
    前記ヒーター用電極前駆体を前記セラミックス成形体に埋設する工程と、
    前記ヒーター用電極前駆体が埋設された前記セラミックス成形体を焼成する工程と、を含むことを特徴とするセラミックスヒーターの製造方法。
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