JP2024014588A - 調光シート - Google Patents

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【課題】調光シートが透明を呈する際のヘイズ値、調光シートの駆動電圧、および、調光シートの応答速度の全てが適切な範囲内に含まれることを可能とした調光シートを提供する。【解決手段】調光シート11Rは、第1配向層21と、第2配向層22と、第1配向層21と第2配向層22との間に位置する調光層23であって、複数のドメインが分散した透明高分子層と、液晶分子を含み、ドメイン内に充填された液晶組成物とを含む調光層23とを備える。ドメインの大きさにおける指標であるドメイン径Dと、液晶分子に対する第1配向層21の極角アンカリング係数である第1極角アンカリング係数Wa1とが、数式(1)を満たす。3.6≦|D*log10(Wa1)|≦9.3 … 数式(1)【選択図】図1

Description

本発明は、調光シートに関する。
リバース型の調光シートは、液晶分子を含む調光層と、調光層を挟む一対の透明電極層と、各透明電極層と調光層との間に位置する配向層とを備えている。各配向層は垂直配向層であるから、一対の透明電極層間に電圧が印加されていない状態において、液晶分子は、配向層が広がる平面に対して略垂直に配向する。そのため、一対の透明電極層間に電圧が印加されていない状態において、調光シートは透明を呈する。これに対して、一対の透明電極層間に電圧が印加された状態において、液晶分子は、配向層が広がる平面に対して略水平に配向する。そのため、一対の透明電極間に電圧が印加されている状態において、調光シートは不透明を呈する(例えば、特許文献1を参照)。
特開2019-194654号公報
ところで、リバース型の調光シートは、調光層に電圧が印加されていないときに透明である。そのため、停電または故障などにより調光シートに通電ができない場合にも、調光シートによって視界が隔てられない。このように、リバース型の調光シートは高い安全性を有するから、リバース型の調光シートが適用される対象は、建物が備える透明部材に限らず、自動車、列車、および、飛行機などの移動体にも広がりつつある。こうした適用対象の拡張により、安全性や美観の観点から、調光シートには、透明を呈する際の透明性がより高いことが求められている。また、調光シートに印加することが可能な電圧の大きさが制限される観点から、液晶分子を駆動させるための駆動電圧を低めることが求められている。さらには、移動体が使用され得る低温環境下でも、調光シートが不透明を呈する状態から透明を呈する状態に変化する速度である応答速度が低下しにくいことが求められている。
上記課題を解決するための調光シートは、第1配向層と、第2配向層と、前記第1配向層と前記第2配向層との間に位置する調光層であって、複数のドメインが分散した透明高分子層と、液晶分子を含み、前記ドメイン内に充填された液晶組成物とを含む前記調光層と、を備える。調光シートにおいて、前記ドメインの大きさにおける指標であるドメイン径Dと、前記液晶分子に対する前記第1配向層の極角アンカリング係数である第1極角アンカリング係数Wa1とが、数式(1)を満たす。
3.6≦|D*log10(Wa1)|≦9.3 … 数式(1)
上記調光シートによれば、第1配向層の近傍において、第1配向層の第1極角アンカリング係数Wa1が過剰に小さくなること、および、ドメイン径Dが過剰に大きくなることが抑えられる。これにより、第1配向層が液晶分子を配向させる力が過剰に小さくなることが抑えられるから、調光シートが透明を呈する際のヘイズ値が高まること、および、低温環境での応答速度が遅くなることが抑えられる。また、第1極角アンカリング係数Wa1が過剰に大きくなること、および、ドメイン径Dが過剰に小さくなることが抑えられる。これにより、第1配向層が液晶分子を配向させる力が過剰に大きくなることが抑えられるから、調光シートの駆動電圧が大きくなることが抑えられる。
上記調光シートにおいて、前記ドメイン径Dと、前記液晶分子に対する前記第2配向層の極角アンカリング係数である第2極角アンカリング係数Wa2とが、数式(2)を満たしてよい。
3.6≦|D*log10(Wa2)|≦9.3 … 数式(2)
上記調光シートによれば、第2配向層の近傍において、第1配向層の近傍と同様に、第2配向層の第2極角アンカリング係数Wa2が過剰に小さくなること、および、ドメイン径Dが過剰に大きくなることが抑えられる。これにより、第2配向層が液晶分子を配向させる力が過剰に小さくなることが抑えられるから、調光シートが透明を呈する際のヘイズ値が高まること、および、低温環境での応答速度が遅くなることが抑えられる。また、第2極角アンカリング係数Wa2が過剰に大きくなること、および、ドメイン径Dが過剰に小さくなることが抑えられる。これにより、第2配向層が液晶分子を配向させる力が過剰に大きくなることが抑えられるから、調光シートの駆動電圧が大きくなることが抑えられる。
上記調光シートにおいて、前記ドメイン径が、0.5μm以上4.0μm以下であってよい。この調光シートによれば、ドメイン径が0.5μm以上4.0μm以下であることによって、調光シートに電圧が印加されていない状態での調光シートのヘイズ値が高まることが抑えられる。
上記調光シートにおいて、前記第1極角アンカリング係数Wa1が、1.0×10-4以上1.0×10-2以下であってよい。この調光シートによれば、第1極角アンカリング係数Wa1が1.0×10-4以上1.0×10-2以下の範囲内に含まれることによって、第1極角アンカリング係数Wa1が下限値を下回る場合に比べて、数式(1)を満たすドメイン径Dの大きさが大きくなることが抑えられる。これにより、透明を呈する際のヘイズ値が高まること、および、低温環境での応答速度が遅くなることが抑えられる。一方で、第1極角アンカリング係数Wa1が上限値を上回る場合に比べて、数式(1)を満たすドメイン径Dの大きさが小さくなることが抑えられる。これにより、調光シートの駆動電圧が大きくなることが抑えられる。
上記調光シートにおいて、前記調光層の厚さ当たりにおける前記ドメインの密度が、前記調光層の厚さ方向における中央部において最も低くてよい。この調光シートによれば、調光層の厚さ方向における中央部におけるドメインの密度が最も低いことによって、各配向層からの距離が大きい部位に位置する液晶分子を減らすことが可能である。これにより、各配向層の配向規制力が液晶分子に作用しやすくなるから、調光シートに電圧が印加されていない状態において、調光シートの透明性を高める、すなわちヘイズ値を低めることが可能である。
本発明によれば、調光シートが透明を呈する際のヘイズ値、調光シートの駆動電圧、および、調光シートの応答速度の全てが適切な範囲内に含まれる。
一実施形態における調光シートの構造を示す断面図である。 図1が示す調光層の構造を模式的に示す断面図である。 図1が示す調光層における第1配向層の極角アンカリング係数を説明するための模式図である。 実施例および比較例の調光シートにおける評価結果を示す表である。
図1から図4を参照して、調光シートの一実施形態を説明する。
[調光装置]
図1を参照して調光装置を説明する。
図1が示すように、調光装置10Rは、リバース型の調光シート11Rと、駆動部12とを備えている。調光シート11Rの適用対象は、例えば、車両および航空機などの移動体が備える窓であってよい。また、調光シート11Rの適用対象は、例えば、住宅、駅、空港などの各種の建物が備える窓、オフィスに設置されたパーティション、店舗に設置されたショーウインドウ、および、映像を投影するスクリーンなどであってよい。調光シート11Rは、これらの適用対象に対して、例えば粘着層によって貼り付けられる。調光シート11Rの形状は、平面状であってもよいし、曲面状であってもよい。調光シート11Rは、適用対象が有する形状に追従することが可能な程度の可撓性を有してよい。
調光シート11Rは、第1配向層21と、第2配向層22と、調光層23と、を備えている。調光層23は、第1配向層21と第2配向層22との間に位置している。調光層23は、複数のドメインが分散した透明高分子層と、液晶分子を含み、ドメイン内に充填された液晶組成物とを含んでいる。
調光シート11Rは、さらに、第1透明電極層24、第2透明電極層25、第1透明基材26、および、第2透明基材27を備えている。調光シート11Rの厚さ方向において、第1透明電極層24と第2透明電極層25とが、一対の配向層21,22を挟んでいる。第1透明電極層24と調光層23との間に、第1配向層21が位置している。第2透明電極層25と調光層23との間に、第2配向層22が位置している。第1透明基材26は、第1透明電極層24を支持している。第2透明基材27は、第2透明電極層25を支持している。
調光シート11Rは、第1透明電極層24の一部に取り付けられた第1電極24Aと、第2透明電極層25の一部に取り付けられた第2電極25Aとを備えている。調光シート11Rはさらに、第1電極24Aに接続された配線28と、第2電極25Aに接続された配線28とを備えている。第1電極24Aおよび第2電極25Aは、それぞれ配線28によって駆動部12に接続されている。
第1透明電極層24および第2透明電極層25は、可視光を透過する光透過性を有する。第1透明電極層24の光透過性は、調光シート11Rを通した物体の視覚認識を可能にする。第2透明電極層25の光透過性は、第1透明電極層24の光透過性と同様、調光シート11Rを通した物体の視覚認識を可能にする。各透明電極層24,25の厚さは、例えば0.005μm以上0.1μm以下であってよい。これにより、調光シート11Rの適切な駆動を担保し、かつ、調光シート11Rが撓んだ際に調光シート11Rにクラックが生じることが抑えられる。
各透明電極層24,25を形成するための材料は、例えば、酸化インジウムスズ、フッ素ドープ酸化スズ、酸化スズ、酸化亜鉛、カーボンナノチューブ、および、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)から構成される群から選択されるいずれか1つであってよい。
各透明基材26,27を形成する材料は、合成樹脂、または、無機化合物であってよい。合成樹脂は、例えば、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、および、ポリオレフィンなどであってよい。ポリエステルは、例えばポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートなどであってよい。ポリアクリレートは、例えばポリメチルメタクリレートなどであってよい。無機化合物は、例えば、二酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、および、窒化ケイ素などであってよい。各透明基材26,27の厚さは、例えば16μm以上250μm以下であってよい。透明基材26,27の厚さが16μm以上であることによって、調光シート11Rの加工や施工がしやすい。透明基材26,27の厚さが250μm以下であることによって、ロールツーロールによる調光シート11Rの製造が可能である。
各電極24A,25Aは、例えばフレキシブルプリント基板(FPC : Flexible Printed Circuit)である。FPCは、支持層、導体部、および、保護層を備えている。導体部が、支持層と保護層とに挟まれている。支持層および保護層は、絶縁性の合成樹脂によって形成されている。支持層および保護層は、例えばポリイミドによって形成される。導体部は、例えば金属薄膜によって形成されている。金属薄膜を形成する材料は、例えば銅であってよい。各電極24A,25Aには、FPCに限らず、例えば金属製のテープであってもよい。
なお、各電極24A,25Aは、図示されない導電性接着層によって、各透明電極層24,25に取り付けられている。各電極24A,25Aのうち、導電性接着層に接続される部分では、導体部が保護層または支持層から露出している。
導電性接着層は、例えば、異方性導電フィルム(ACF : Anisotropic Conductive Film)、異方性導電ペースト(ACP : Anisotropic Conductive Paste)、等方性導電フィルム(ICF : Isotropic Conductive Film)、および、等方性導電ペースト(ICP : Isotropic Conductive Paste)などによって形成されてよい。調光装置10Rの製造工程における取り扱い性の観点から、導電性接着層は、異方性導電フィルムであることが好ましい。
各配線28は、例えば、金属製のワイヤーと、金属製のワイヤーを覆う絶縁層とによって形成されている。ワイヤーは、例えば銅などによって形成されている。
駆動部12は、第1透明電極層24と第2透明電極層25との間に交流電圧を印加する。駆動部12は、矩形波状を有した交流電圧を一対の透明電極層24,25間に印加することが好ましい。なお、駆動部12は、矩形波状以外の形状を有した交流電圧を一対の透明電極層24,25間に印加してもよい。例えば、駆動部12は、正弦波状を有した交流電圧を一対の透明電極層24,25間に印加してもよい。
調光層23では、2つの透明電極層24,25の間において生じる電圧の変化を受けて、液晶分子の配向が変わる。液晶分子における配向の変化は、調光層23に入る可視光の散乱度合い、吸収度合い、および、透過度合いを変える。リバース型の調光シート11Rは、調光シート11Rの通電時に、すなわち、第1透明電極層24と第2透明電極層25との間に電位差が生じているときに、相対的に高いヘイズ値を有する。リバース型の調光シート11Rは、調光シート11Rの非通電時に、すなわち、第1透明電極層24と第2透明電極層25との間に電位差が生じていないときに、相対的に低いヘイズ値を有する。例えば、リバース型の調光シート11Rは、調光シート11Rの通電時に不透明を呈し、かつ、調光シート11Rの非通電時に透明を呈する。
調光シート11Rのヘイズは、JIS K 7136:2000「プラスチック-透明材料のヘーズの求め方」に準拠した方法によって算出される。
[調光シート]
図2を参照して、調光シート11Rの構造、特に、調光シート11Rが備える調光層23の構造をより詳しく説明する。図2は、調光シート11Rの断面構造を模式的に示している。なお、図2では、図示の便宜上、透明基材26,27の図示が省略されている。また、図2では、調光層23の構造を説明する便宜上、各配向層21,22の厚さ、および、各透明電極層24,25の厚さに対する調光層23の厚さの比が、実際の比よりも大きい。また、図2では、一対の透明電極層24,25間に電位差が生じていない状態での調光層23の状態が示されている。
上述したように、調光シート11Rは、第1配向層21および第2配向層22を備えている。第1配向層21および第2配向層22を形成するための材料は、有機化合物、無機化合物、および、これらの混合物である。有機化合物は、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール、および、シアン化化合物などである。無機化合物は、シリコン酸化物、および、酸化ジルコニウムなどである。なお、配向層21,22を形成するための材料は、シリコーンであってもよい。シリコーンは、無機性の部分と有機性の部分とを有する化合物である。各配向層21,22の厚さは、例えば0.02μm以上0.5μm以下であってよい。
第1配向層21および第2配向層22は、垂直配向層である。垂直配向層は、第1透明電極層24に接する面とは反対側の面、および、第2透明電極層25に接する面とは反対側の面に対して垂直であるように、液晶分子の長軸を配向させる。なお、配向層21,22は、液晶分子23LMの長軸が各面に対して実質的に垂直であると判断される範囲において、長軸が垂直に対して数度傾くように液晶分子23LMを配向させてもよい。
上述したように、調光層23は、透明高分子層23Pと液晶組成物23Lとを備えている。透明高分子層23P内には、複数のドメイン23Dが分散している。液晶組成物23Lは、液晶分子23LMを含み、かつ、ドメイン23D内に充填されている。
ドメイン23Dの大きさの指標であるドメイン径は、0.5μm以上4.0μm以下であってよい。ドメイン径は、調光層23が広がる平面に対して直交する断面に含まれるドメイン23Dにおいて特定される。ドメイン23Dが円形状を有する場合には、ドメイン23Dの直径がドメイン径である。ドメイン23Dが楕円形状を有する場合には、ドメイン23Dの長軸がドメイン径である。ドメイン23Dが不定形状を有する場合には、ドメイン23Dに外接する円の直径がドメイン径である。
液晶組成物23Lが含む液晶分子23LMは、誘電異方性が負であるネガ型の液晶分子である。液晶分子23LMの一例は、例えば、シッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、ビフェニル系、ターフェニル系、安息香酸エステル系、トラン系、ピリミジン系、シクロヘキサンカルボン酸エステル系、シクロヘキサン系、フェニルシクロヘキサン系、および、ジオキサン系から構成される群から選択されるいずれかであってよい。液晶組成物23Lは、第1の液晶分子と、第1の液晶分子とは異なる種類の第2の液晶分子を含んでよい。
液晶分子23LMは、シクロヘキサン系、フェニルシクロヘキサン系、ビフェニル系、ターフェニル系、アルキン系、シクロヘキサンカルボン酸エステル系のいずれかであることが好ましい。さらに、液晶分子23LMは、以下の化学式(1)から化学式(11)で示される液晶分子のいずれかであることがより好ましい。
なお、化学式(1)から化学式(11)において、R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素数1から12のアルキル基、炭素数1から12のアルコキシ基、炭素数2から12のアルケニル基、炭素数2から12のアルケニルオキシ基、または、1つ以上の水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキル基である。
Figure 2024014588000002
Figure 2024014588000003
Figure 2024014588000004
Figure 2024014588000005
Figure 2024014588000006
Figure 2024014588000007
Figure 2024014588000008
Figure 2024014588000009
Figure 2024014588000010
Figure 2024014588000011
Figure 2024014588000012
透明高分子層23Pは、光重合性化合物の硬化体である。光重合性化合物は、紫外線硬化性化合物でもよいし、電子線硬化性化合物でもよい。光重合性化合物は、液晶組成物と相溶性を有する。ドメイン23Dの寸法制御性を高める場合には、光重合性化合物は、紫外線硬化性化合物であることが好ましい。紫外線硬化性化合物の一例は、分子構造の末端に重合性不飽和結合を含む。あるいは、紫外線硬化性化合物は、分子構造の末端以外に重合性の不飽和結合を含む。光重合性化合物は、1種の重合性化合物、あるいは2種以上の重合性化合物の組み合わせである。
紫外線硬化性化合物は、アクリレート化合物、メタクリレート化合物、スチレン化合物、チオール化合物、および、各化合物のオリゴマーからなる群から選択される少なくとも一種である。
アクリレート化合物は、モノアクリレート化合物、ジアクリレート化合物、トリアクリレート化合物、テトラアクリレート化合物を含む。アクリレート化合物の一例は、ブチルエチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートである。メタクリレート化合物の一例は、ジメタクリレート化合物、トリメタクリレート化合物、テトラメタクリレート化合物である。メタクリレート化合物の一例は、N,N‐ジメチルアミノエチルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレートである。チオール化合物の一例は、1,3‐プロパンジチオール、1,6‐ヘキサンジチオールである。スチレン化合物の一例は、スチレン、メチルスチレンである。
透明高分子層23Pと液晶組成物23Lとの総量に対する透明高分子層23Pの含有率の下限値は30質量%であってよく、より好ましい含有率の下限値は40質量%であってよい。透明高分子層23Pと液晶組成物23Lとの総量に対する透明高分子層23Pの含有率の上限値は70質量%であってよく、より好ましい含有率の上限値は60質量%であってよい。
透明高分子層23Pの含有率の下限値および上限値は、光重合性化合物の硬化過程において、液晶組成物23Lからなる液晶粒子が光重合性化合物の硬化体から相分離する範囲である。透明高分子層23Pの機械的な強度を高めることを要する場合には、透明高分子層23Pの含有率の下限値が高いことが好ましい。液晶分子23LMの駆動電圧を低めることを要する場合には、透明高分子層23Pの含有率の上限値が低いことが好ましい。
本実施形態において、液晶組成物23Lは、二色性色素を含んでもよい。二色性色素は、細長い形状を有している。二色性色素の分子における長軸方向での可視領域の吸光度が、分子の短軸方向における可視領域の吸光度よりも大きい。二色性色素は、長軸方向が、光の入射方向に対して平行または略平行な場合にほぼ透明を呈する。これに対して、二色性色素は、長軸方向が、光の入射方向に対して垂直または略垂直な場合に所定の色を呈する。
そのため、二色性色素は、調光層23における第1配向層21との接触面、および、調光層23における第2配向層22との接触面の法線方向に対して、長軸方向が平行または略平行であるように配向されたときに、透明を呈する。これに対して、二色性色素は、調光層23における第1配向層21との接触面、および、調光層23における第2配向層22との接触面の法線方向に対して、長軸方向が垂直または略垂直であるように配向されたときに所定の色を呈する。二色性色素が呈する色は、黒色または黒色に近い色であることが好ましい。二色性色素は、液晶分子23LMをホストとしたゲストホスト型式によって駆動され、これによって、二色性色素は呈色する。
二色性色素は、ポリヨウ素、アゾ化合物、アントラキノン化合物、ナフトキノン化合物、アゾメチン化合物、テトラジン化合物、キノフタロン化合物、メロシアニン化合物、ペリレン化合物、ジオキサジン化合物から構成される群から選択される少なくとも一種であってよい。二色性色素は、1種の色素、あるいは、2種以上の色素の組み合わせであってよい。二色性色素の耐光性を高める観点、および、二色比を高める観点では、二色性色素は、アゾ化合物およびアントラキノン化合物から構成される群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。二色性色素は、アゾ化合物であることがより好ましい。
なお、液晶組成物は、上述した液晶分子および二色性色素以外に、例えば透明高分子層を形成するためのモノマーを含んでもよい。
調光層23の厚さは、例えば、2μm以上10μm以下であってよい。また、調光層23の厚さは、3.0μm以上8.0μm以下であってよい。
調光層23の単位厚さ当たりにおけるドメイン23Dの密度は、調光層23の厚さ方向における中央部において最も低くてよい。なお、単位厚さ当たりにおけるドメイン23Dの密度は、調光層23が広がる平面と直交する断面において、当該断面当たりにおけるドメイン23Dの個数を調光層23の厚さで除算した値である。また、調光層23の厚さ方向における中央部は、調光層23の厚さ方向において、第1配向層21に接する面から第2配向層22に接する面までの距離を二等分する部分である。
図2が示すように、調光層23の厚さ方向における中央部には、ドメイン23Dが位置しないことが好ましい。また、調光層23は、第1配向層21に接するドメイン23D、および、第2配向層22に接するドメイン23Dのみを含むことが好ましい。
調光層23の厚さ方向における中央部におけるドメイン23Dの密度が最も低いことによって、各配向層21,22からの距離が大きい部位に位置する液晶分子23LMを減らすことが可能である。これにより、各配向層21,22の配向規制力が液晶分子23LMに作用しやすくなるから、透明電極層24,25間に電圧が印加されていない状態において、調光シート11Rの透明性を高める、すなわちヘイズ値を低めることが可能である。
[極角アンカリング係数]
図3を参照して、液晶分子23LMに作用する極角アンカリング係数を説明する。
液晶分子23LMは、配向層21,22との界面において配向規制力を受けて、所定の状態に配向する。本実施形態では、配向層21,22が垂直配向層であるから、液晶分子23LMは配向規制力を受けて、垂直配向する。配向規制力は、液晶分子23LMと配向層21,22との化学的な相互作用によるものか、あるいは、液晶分子23LMと配向層21,22との物理的な相互作用によるものとされている。
配向規制力には、極角アンカリング係数と、方位角アンカリング係数とが含まれる。極角アンカリング係数は、配向層21,22の法線方向におけるダイレクタの回転に作用するアンカリング係数である。方位角アンカリング係数は、配向層21,22の面内方向におけるダイレクタの回転に作用するアンカリング係数である。ダイレクタは、液晶分子23LMの尺度から見て十分に大きく、かつ、巨視的な尺度からみて十分に小さい領域での液晶分子23LMの長軸における平均的な方位を表す単位ベクトルである。
極角アンカリング係数Wは、以下の数式(3)によって表される。
数式(3)において、θは極角方向の角度である。θeは、配向容易軸eの極角方向における角度である。なお、配向容易軸eとは、配向層21,22の表面におけるダイレクタが安定しやすい方向である。配向容易軸eは、配向層21,22によって与えられる。ただし、実際には、配向層21,22表面のダイレクタがバルクのダイレクタから影響を受けるから、配向容易軸eは、配向層21,22の表面からある角度だけ変化した位置において安定する。
図3は、第1配向層21の表面における配向容易軸eおよび液晶分子23LMの座標を示している。図3が示すように、配向容易軸eの極角方向における角度がθeである。なお、配向容易軸eの極角方向における角度θeとは、配向容易軸eを含み、かつ、XY平面に直交する平面において、XY平面と配向容易軸eとが形成する角度である。また、液晶分子23LMの極角方向における角度がθである。液晶分子23LMの極角方向における角度θとは、液晶分子23LMのダイレクタを含み、かつ、XY平面に直交する平面において、XY平面とダイレクタとが形成する角度である。
なお、配向容易軸eの方位角方向における角度がΦeである。配向容易軸eの方位角方向における角度Φeとは、配向容易軸eをXY平面上に投影した投影軸と、X軸とが形成する角度である。また、液晶分子23LMの方位方向における角度がΦである。液晶分子23LMの方位角方向における角度Φとは、液晶分子23LMのダイレクタをXY平面上に投影した投影軸と、X軸とが形成する角度である。
なお、図3では、第1配向層21の表面における配向容易軸eおよび液晶分子23LMの座標が示されているが、第2配向層22の表面においても、第1配向層21の表面と同様に、配向容易軸eおよび液晶分子23LMの座標が決定される。
また、液晶分子23LMの誘電率異方性Δεは、以下の数式(4)によって表される。
数式(4)において、εは真空の誘電率であり、8.85×10-12F/mである。εは、ダイレクタに対して垂直方向の誘電率である。Vはダイレクタに対して垂直方向の電圧であり、zはダイレクタに対して垂直方向の厚さである。なお、誘電率異方性Δεは、ダイレクタに対して垂直方向の誘電率εと、ダイレクタに対して平行方向の誘電率εとを用いて、以下のように表される。
Δε = ε - ε
また、液晶分子23LMの弾性定数は、以下の数式(5)によって表される。
数式(5)において、K11はスプレイ変形に対する弾性定数であり、K33はベンド変形に対する弾性定数である。
そして、調光層23内に存在する液晶分子23LMに与えられるエネルギーUは、以下の数式(6)によって表される。
また、配向層21,22の近傍、すなわち微小厚さΔdに存在する液晶分子23LMに与えられるエネルギーUは、以下の数式(7)によって表される。なお、数式(7)におけるFは、(Fa+Fk)である。
以上から、(Ua+Ub)であるUは、以下の数式(8)によって表される。
オイラー=ラグランジュ方程式により、数式(8)であるとき、以下の数式(9)が成り立つ。
これらの数式(3)から数式(9)により、配向層21,22における極角アンカリング係数Wを算出することが可能である。
本開示において、調光層23は以下の条件1を満たす。
(条件1)ドメイン23Dの大きさにおける指標であるドメイン径Dと、液晶分子23LMに対する第1配向層21の極角アンカリング係数である第1極角アンカリング係数Wa1とが、数式(1)を満たす。
3.6≦|D*log10(Wa1)≦9.3| … 数式(1)
また、第1極角アンカリング係数Wa1が、1.0×10-4以上1.0×10-2以下である。
また、本掲示において、調光層23は以下の条件2を満たす。
(条件2)液晶分子23LMに対する第2配向層22の極角アンカリング係数である第2極角アンカリング係数Wa2とが、数式(2)を満たす。
3.6≦|D*log10(Wa2)|≦9.3 … 数式(2)
[作用]
調光シート11Rが上述した条件1を満たすことによって、第1配向層21の近傍において、第1配向層21の第1極角アンカリング係数Wa1が過剰に小さくなること、および、ドメイン径Dが過剰に大きくなることが抑えられる。これにより、第1配向層21が液晶分子23LMを配向させる力が過剰に小さくなることが抑えられるから、調光シート11Rが透明を呈する際のヘイズ値が高まること、および、低温環境での応答速度が遅くなることが抑えられる。また、第1極角アンカリング係数Wa1が過剰に大きくなること、および、ドメイン径Dが過剰に小さくなることが抑えられる。これにより、第1配向層21が液晶分子23LMを配向させる力が過剰に大きくなることが抑えられるから、調光シート11Rの駆動電圧が大きくなることが抑えられる。
また、調光シート11Rが上述した条件2を満たすことによって、第2配向層22の近傍において、第1配向層21の近傍と同様に、第2配向層22の第2極角アンカリング係数Wa2が過剰に小さくなること、および、ドメイン径Dが過剰に大きくなることが抑えられる。これにより、第2配向層22が液晶分子23LMを配向させる力が過剰に小さくなることが抑えられるから、調光シート11Rが透明を呈する際のヘイズ値が高まること、および、低温環境での応答速度が遅くなることが抑えられる。また、第2極角アンカリング係数Wa2が過剰に大きくなること、および、ドメイン径Dが過剰に小さくなることが抑えられる。これにより、第2配向層22が液晶分子23LMを配向させる力が過剰に大きくなることが抑えられるから、調光シート11Rの駆動電圧が大きくなることが抑えられる。
また、ドメイン径は、0.5μm以上4.0μm以下であることによって、調光シート11Rに電圧が印加されていない状態での調光シート11Rのヘイズ値が高まることが抑えられる。
[実施例]
図4を参照して、実施例および比較例を説明する。
[比較例1]
透明高分子層を形成するためのモノマーとしてロックタイト 3736(登録商標、ヘンケル社製)と1,6‐ヘキサンジオールジアクリレートとを1:1の質量比で混合した混合液を準備した。また、液晶組成物として、MLC‐6608(メルク社製)を含む液晶組成物を準備した。なお、液晶分子は、ネガ型のネマチック液晶であり、かつ、液晶分子の屈折率異方性Δnは0.20であった。そして、65質量部の液晶組成物と、55質量部のモノマーとを含む塗液を調整した。
20nmの厚さを有したITO層と、125μmの厚さを有したポリエチレンテレフタレートフィルムとを備える透明フィルムを2枚準備した。各ITO層上に、200nmの厚さを有するポリイミド製の配向層を形成した。
そして、一方の透明フィルムが備える配向層上に、硬化後の厚さが200nmであるように、塗液を塗布することによって塗膜を形成し、次いで、他方の透明フィルムが備える配向層を塗膜に接触させた。これにより、一対の透明フィルムによって塗膜を挟んだ。
そして、一対の透明フィルムを挟むように一対の紫外線ランプを配置し、次いで、一対のランプを用いて塗膜に紫外線を照射した。この際に、紫外線の照度を18mW/cmに設定し、かつ、紫外線の照射時間を150秒に設定した。紫外線の照射によって塗膜中において相分離を生じさせ、これにより、ドメイン径Dにおける平均値が0.6μmである調光層を形成した。これにより、比較例1の調光シートを得た。
[実施例1]
比較例1において、紫外線の照度を16mW/cmに変更した以外は、比較例1と同様の方法によって、実施例1の調光シートを得た。
[実施例2]
比較例1において、紫外線の照度を10mW/cmに変更した以外は、比較例1と同様の方法によって、実施例2の調光シートを得た。
[比較例2]
比較例1において、紫外線の照度を6mW/cmに変更した以外は、比較例1と同様の方法によって、比較例2の調光シートを得た。
[比較例3]
比較例1において、紫外線の照度を2mW/cmに変更した以外は、比較例1と同様の方法によって、比較例3の調光シートを得た。
[比較例4]
比較例1において、混合液をロックタイト 3736(登録商標、ヘンケル社製)と1,6‐ヘキサンジオールジアクリレートを3:4の質量比で混合した混合液に変更した以外は、比較例1と同様の方法によって、比較例4の調光シートを得た。
[実施例3]
比較例4において、紫外線の照度を10mW/cmに変更した以外は、比較例4と同様の方法によって、実施例3の調光シートを得た。
[実施例4]
比較例4において、紫外線の照度を8mW/cmに変更した以外は、比較例4と同様の方法によって、実施例4の調光シートを得た。
[実施例5]
比較例4において、紫外線の照度を5mW/cmに変更した以外は、比較例4と同様の方法によって、実施例5の調光シートを得た。
[比較例5]
比較例4において、紫外線の照度を2mW/cmに変更した以外は、比較例4と同様の方法によって、比較例5の調光シートを得た。
[比較例6]
比較例1において、混合液をロックタイト 3736(登録商標、ヘンケル社製)と1,6‐ヘキサンジオールジアクリレートを2:3の質量比で混合した混合液に変更した以外は、比較例1と同様の方法によって、比較例6の調光シートを得た。
[比較例7]
比較例6において、紫外線の照度を10mW/cmに変更した以外は、比較例6と同様の方法によって、比較例7の調光シートを得た。
[実施例6]
比較例6において、紫外線の照度を8mW/cmに変更した以外は、比較例6と同様の方法によって、比較例8の調光シートを得た。
[実施例7]
比較例6において、紫外線の照度を6mW/cmに変更した以外は、比較例6と同様の方法によって、実施例6の調光シートを得た。
[実施例8]
比較例6において、紫外線の照度を2mW/cmに変更した以外は、比較例6と同様の方法によって、実施例7の調光シートを得た。
[評価方法]
[ドメイン径]
各実施例および各比較例の調光シートをパラフィンを用いて包埋した後に、調光シートが広がる平面と直交する面に沿って、調光シートの側面をミクロトームで削った。そして、調光シートのうち、ミクロトームで削った面に対してスパッタを用いて白金膜を積層し、これによって、観察面を作成した。次いで、次いで、走査型電子顕微鏡(Regulus8220、(株)日立ハイテク)を用いて観察面を観察した。この際に、観察面に含まれる5個のドメインにおけるドメイン径を測定し、その後、5個のドメインについてドメイン径の平均値を算出した。当該ドメイン径の平均値を各調光シートにおけるドメイン径に設定した。
なお、各実施例および各比較例の調光シートは、透明高分子層に分散したドメインとして、第1配向層に接するドメインおよび第2配向層に接するドメインのみを有することが認められた。
[極角アンカリング係数]
各実施例および比較例の調光シートにおいて用いた液晶分子を、評価用液晶セル(KSRP-05/B111P1NSS05X、(株)EHC)にそれぞれ封入し、これにより、測定用液晶セルを作成した。なお、評価用液晶セルにおいて対応する面には、ITO層とポリイミド製の垂直配向層とを形成し、かつ、垂直配向層の表面には、反平行となるようにラビング処理を行った。
各測定用液晶セルについて、LCRメーター(E4980A、キーサイト・テクノロジー社製)を用いて、垂直方向での誘電率ε、および、水平方向での誘電率εを測定した。これらの値から、各測定用液晶セルについて、誘電率異方性Δεを算出した。次いで、誘電率ε,ε、および、誘電率異方性Δεと、各液晶分子のスプレイ変形に対する弾性定数K11と、ベンド変形に対する弾性定数K33とについて、上述した数式(3)から数式(9)を用いて、極角アンカリング係数Wを算出した。なお、第1配向層21での第1極角アンカリング係数Wa1、および、第2配向層22での第2極角アンカリング係数Wa2の両方が、極角アンカリング係数Wに等しい。
[透明時のヘイズ値]
各実施例および各比較例の調光シートについて、透明電極層間に電圧を印加していない状態でのヘイズ値を算出した。ヘイズ値の算出には、JIS K 7136:2000「プラスチック-透明材料のヘーズの求め方」に準拠した方法を用いた。なお、ヘイズ値を算出する際の測定には、ヘーズメーター(NDH-7000、日本電色工業(株)製)を用いた。
[駆動電圧]
各実施例および各比較例の調光シートについて、駆動電圧を測定した。なお、駆動電圧を以下のように設定した。調光シートに対して、0V以上から150Vの交流電圧を印加し、これによって、電圧‐ヘイズ曲線を作成した。そして、電圧‐ヘイズ曲線におけるヘイズ値の最大値に対して90%のヘイズ値となる交流電圧の最小値を特定し、当該最小値を駆動電圧に設定した。なお、電圧‐ヘイズ曲線の作成には、透明時のヘイズ値を測定する際に用いたヘーズメーターを用いた。
[応答速度]
-10℃の環境における応答速度を以下のように測定した。まず、各実施例および各比較例の調光シートに対して、60Vの交流動電圧を印加し、次いで、調光シートのヘイズ値が高まった状態を維持した。次いで、交流電圧を0Vに切り替えてから、調光シートにおけるヘイズ値が以下のヘイズ値Aに達するまでの時間を計測した。
ヘイズ値A = (透明時のヘイズ値)+(透明時のヘイズ)×0.1
[評価結果]
各調光シートにおける評価結果は、図4に示す通りであった。
図4が示すように、実施例1,2および比較例1から3の調光シートにおいて、極角アンカリング係数Wが10×10-4であった。また、調光シートのドメイン径Dは、比較例1において0.6μmであり、実施例1において0.9μmであり、実施例2において2.1であり、比較例2において3.0μmであり、比較例3において4.2μmであることが認められた。そのため、|D*log10(W)|は、比較例1において2.4であり、実施例1において3.6であり、実施例2において8.4あり、比較例2において12.0であり、比較例3において16.8であることが認められた。
また、実施例3から5および比較例4,5の調光シートにおいて、極角アンカリング係数Wが10×10-3であった。また、調光シートのドメイン径Dは、比較例4において0.6μmであり、実施例3において1.2μmであり、実施例4において2.2であり、実施例5において3.1μmであり、比較例5において4.1であることが認められた。そのため、|D*log10(W)|は、比較例4において1.8であり、実施例3において3.6であり、実施例4において6.6であり、実施例5において9.3であり、比較例5において12.3であることが認められた。
また、実施例6から8および比較例6,7の調光シートにおいて、極角アンカリング係数Wが10×10-2であった。また、調光シートのドメイン径Dは、比較例6において0.5であり、比較例7において1.1であり、実施例6において2.2であり、実施例7において2.9であり、実施例8において3.8であることが認められた。そのため、|D*log10(W)|は、比較例6において1.0であり、比較例7において2.2であり、実施例6において4.4であり、実施例7において5.8であり、実施例8において7.6であることが認められた。
実施例1から実施例8の調光シートによれば、調光シートが透明を呈する際のヘイズ値が、6%未満であることが認められた。これに対して、比較例1,4,6,7の調光シートによれば、調光シートが透明を呈する際のヘイズ値が6%未満である一方で、比較例2,3,5の調光シートでは、調光シートが透明を呈する際のヘイズが6%以上であることが認められた。
実施例1から実施例8の調光シートによれば、駆動電圧が80V未満であることが認められた。また、比較例2,3,5の調光シートでは駆動電圧が80V未満である一方で、比較例1,4,6,7の調光シートでは駆動電圧が80V以上であることが認められた。
実施例1から実施例8の調光シートによれば、応答速度が20秒未満であることが認められた。これに対して、比較例1,4から7の調光シートでは応答速度が20秒未満である一方で、比較例2,3の調光シートでの応答速度が20秒以上であることが認められた。
このように、調光シートにおいて、|D*log10(W)|の値が3.6以上9.3以下の範囲内であることによって、透明を呈する際のヘイズ値、駆動電圧、および、応答速度の全てが適した範囲内に含まれることが認められた。これに対して、|D*log10(W)|の値が上述した範囲内に含まれない場合には、透明を呈する際のヘイズ値、駆動電圧、および、応答速度の少なくとも1つが適した範囲内に含まれないことが認められた。詳細には、|D*log10(W)|の値が3.6未満であることによって、駆動電圧が高くなることが認められた。一方で、|D*log10(W)|の値が9.3を超えることによって、透明を呈する際のヘイズ値が高くなり、かつ、-10℃での応答速度が遅くなることが認められた。
以上説明したように、調光シートの一実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)第1配向層21の近傍において、第1配向層21の第1極角アンカリング係数Wa1が過剰に小さくなること、および、ドメイン径Dが過剰に大きくなることが抑えられる。これにより、第1配向層21が液晶分子23LMを配向させる力が過剰に小さくなることが抑えられるから、調光シート11Rが透明を呈する際のヘイズ値が高まること、および、低温環境での応答速度が遅くなることが抑えられる。また、第1極角アンカリング係数Wa1が過剰に大きくなること、および、ドメイン径Dが過剰に小さくなることが抑えられる。これにより、第1配向層21が液晶分子23LMを配向させる力が過剰に大きくなることが抑えられ、これにより、調光シート11Rの駆動電圧が大きくなることが抑えられる。
(2)第2配向層22の近傍において、第2配向層22の第2極角アンカリング係数Wa2が過剰に小さくなること、および、ドメイン径Dが過剰に大きくなることが抑えられる。これにより、第2配向層22が液晶分子23LMを配向させる力が過剰に小さくなることが抑えられるから、調光シート11Rが透明を呈する際のヘイズ値が高まること、および、低温環境での応答速度が遅くなることが抑えられる。また、第2極角アンカリング係数Wa2が過剰に大きくなること、および、ドメイン径Dが過剰に小さくなることが抑えられる。これにより、第2配向層22が液晶分子23LMを配向させる力が過剰に大きくなることが抑えられるから、調光シート11Rの駆動電圧が大きくなることが抑えられる。
(3)ドメイン径Dが0.5μm以上4.0μm以下であることによって、調光シート11Rに電圧が印加されていない状態での調光シート11Rのヘイズ値が高まることが抑えられる。
(4)第1極角アンカリング係数Wa1が1.0×10-4以上1.0×10-2以下の範囲内に含まれることによって、第1極角アンカリング係数Wa1が下限値を下回る場合に比べて、数式(1)を満たすドメイン径Dの大きさが大きくなることが抑えられる。これにより、透明を呈する際のヘイズ値が高まること、および、低温環境での応答速度が遅くなることが抑えられる。一方で、第1極角アンカリング係数Wa1が上限値を上回る場合に比べて、数式(1)を満たすドメイン径Dの大きさが小さくなることが抑えられる。これにより、調光シートの駆動電圧が大きくなることが抑えられる。
(5)調光層23の厚さ方向における中央部におけるドメイン23Dの密度が最も低いことによって、各配向層21,22からの距離が大きい部位に位置する液晶分子23LMを減らすことが可能である。これにより、各配向層21,22の配向規制力が液晶分子23LMに作用しやすくなるから、透明電極層24,25間に電圧が印加されていない状態において、調光シート11Rの透明性を高める、すなわちヘイズを低めることが可能である。
なお、上述した実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
[調光層]
・調光層23は、調光層23の厚さ方向に沿う断面における中央部にドメイン23Dを有してもよい。この場合であっても、上述した条件1を満たすことによって、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
[調光シート]
・調光シート11Rは、条件2を満たさなくてもよい。この場合であっても、調光シート11Rが条件1を満たすことによって、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
11R…調光シート
21…第1配向層
22…第2配向層
23…調光層
23D…ドメイン
23L…液晶組成物
23LM…液晶分子
24…第1透明電極層
25…第2透明電極層

Claims (5)

  1. 第1配向層と、
    第2配向層と、
    前記第1配向層と前記第2配向層との間に位置する調光層であって、複数のドメインが分散した透明高分子層と、液晶分子を含み、前記ドメイン内に充填された液晶組成物とを含む前記調光層と、を備え、
    前記ドメインの大きさにおける指標であるドメイン径Dと、
    前記液晶分子に対する前記第1配向層の極角アンカリング係数である第1極角アンカリング係数Wa1とが、数式(1)を満たす
    3.6≦|D*log10(Wa1)|≦9.3 … 数式(1)
    調光シート。
  2. 前記ドメイン径と、
    前記液晶分子に対する前記第2配向層の極角アンカリング係数である第2極角アンカリング係数Wa2とが、数式(2)を満たす
    3.6≦|D*log10(Wa1)|≦9.3 … 数式(2)
    請求項1に記載の調光シート。
  3. 前記ドメイン径が、0.5μm以上4.0μm以下である
    請求項1または2に記載の調光シート。
  4. 前記第1極角アンカリング係数Wa1が、1.0×10-4以上1.0×10-2以下である
    請求項1または2に記載の調光シート。
  5. 前記調光層の厚さ当たりにおける前記ドメインの密度が、前記調光層の厚さ方向における中央部において最も低い
    請求項1または2に記載の調光シート。
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