JP2024014402A - インバータ装置の取り付け構造、電動圧縮機 - Google Patents

インバータ装置の取り付け構造、電動圧縮機 Download PDF

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Abstract

【課題】 予め電力用半導体素子と回路基板とがモジュール化されたインバータ装置を冷却部材に取り付ける場合であっても、電力用半導体素子の端子と回路基板との固着部に生じる応力を緩和し、電気的接続不良を回避又は低減可能な、インバータ装置の取り付け構造、電動圧縮機を提供する。【解決手段】 インバータ装置の取り付け構造10は、インバータ装置9は、電力用半導体素子63と、電力用半導体素子63の第1の面USに対向して配置される回路基板8と、回路基板8と電力用半導体素子63の端子63Cとを電気的に固着する導電性接着剤90と、電力用半導体素子63と回路基板8とを所定距離に維持する移動規制部材100と、を有し、放熱材201を介して電力用半導体素子63の第2の面DSを冷却部材23に対向させ、回路基板8を冷却部材23に取り付ける。【選択図】図3

Description

本発明は、インバータ装置の取り付け構造、電動圧縮機に関するものである。
従来、車両用の空気調和装置に用いられる電動圧縮機として、モータが収容される筐体内に、インバータ装置を取り付けたインバータ一体型の電動圧縮機が用いられている。また、この場合、回路基板と、電力用半導体素子を含むインバータ回路部とがモジュール化されたインバータ装置が用いられることが多い。
具体的に、特許文献1に記載の電動圧縮機では、予め、複数の電力用半導体素子(パワーモジュール)を一の設置プレートにねじにより固定し、その設置プレートと回路基板(インバータ制御基板)をサブラインにて一体化してインバータ回路部を形成している。そしてそのインバータ回路部を、筐体の回路収容部にボルトにて着脱可能に取り付けている。筐体はその内部に低温のガス冷媒が流通されていることで冷却部材として機能するため、設置プレートと筐体の密着で熱交換が進行し、パワーモジュールが放熱される構成となっている。
また、電力用半導体素子をねじの締結によらず筐体に固定する方法も知られている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2記載の電動圧縮機では、ガイド部の内部にIGBTを収容する際、ガイド部とIGBTの間に弾性体として板バネを配置する構成を開示している。ガイド部材は、この板バネを介して、IGBT20を冷却部材である筺体に向けて付勢される。
このように、従来では電力用半導体素子の放熱性を高めるために、ねじや板バネなどの外力を付与して、冷却部材である筺体に押し付ける構成が一般的であった。
特開2019-143603号公報 特許第5644706号公報
しかしながら、特に、特許文献1のように回路基板とインバータ回路部とがモジュール化されたインバータ装置においては、電力用半導体素子を放熱させるべく、当該電力用半導体素子または回路基板を筐体に押し付けて固定すると、電力用半導体素子と回路基板の電気的接続部に負荷が係る問題がある。
具体的に、インバータ装置は予め、サブラインにおいて電力用半導体素子の端子(リード)と回路基板の配線がはんだなどの導電性接着剤によって電気的に固着されている。
この状態で電力用半導体装置、あるいは回路基板をねじで筐体に締結して押し付けると、その締結力に対応して電力用半導体装置および回路基板は筐体からの反力をうける。この反力が、はんだなどの電気的な固着部に作用し、当該固着部に応力が発生する。導電性接着剤が特にはんだの場合は、品質のばらつきや、固着部としての形状ばらつきなども影響し、応力によって固着部(はんだ接続部)にクラックが生じる場合がある。その結果、インバータ装置において接続不良が生じる懸念がある。
これは例えば、特許文献2のように、板ばねによって電力用半導体素子を筐体に付勢する場合においても同様の問題が生じる。
本発明は、斯かる実情に鑑み、予め電力用半導体素子と回路基板とがモジュール化されたインバータ装置を冷却部材に取り付ける場合であっても、電力用半導体素子の端子と回路基板との固着部に生じる応力を緩和し、電気的接続不良を回避又は低減可能な、インバータ装置の取り付け構造、電動圧縮機を提供しようとするものである。
本発明は、インバータ装置を冷却部材に取り付けるインバータ装置の取り付け構造であって、前記インバータ装置は、電力用半導体素子と、前記電力用半導体素子の第1の面に対向して配置される回路基板と、前記回路基板と前記電力用半導体素子の端子とを電気的に固着する導電性接着剤と、前記電力用半導体素子と前記回路基板とを所定距離に維持する移動規制部材と、を有し、放熱材を介して前記電力用半導体素子の第2の面を前記冷却部材に対向させ、前記回路基板を前記冷却部材に取り付ける、ことを特徴とする、インバータ装置の取り付け構造にかかるものである。
また、本発明は、上記のインバータ装置の取り付け構造を有し、筐体内にモータが内蔵される電動圧縮機であって、前記冷却部材は前記筐体の一部である、ことを特徴とする電動圧縮機に係るものである。
本発明によれば、予め電力用半導体素子と回路基板とがモジュール化されたインバータ装置を冷却部材に取り付ける場合であっても、電力用半導体素子の端子と回路基板との固着部に生じる応力を緩和し、電気的接続不良を回避又は低減可能な、インバータ装置の取り付け構造、電動圧縮機を提供できる、という優れた効果を奏し得る。
本発明の実施形態に係る電動圧縮機の概要を示す縦断面図である。 本発明の実施形態に係る電動圧縮機の回路ブロック図である。 本実施形態のインバータ回路部の概略を示す図であり(A)断面概要図、(B)電力用半導体素子の外観斜視図、(C)電力用半導体素子の断面概略図である。 本実施形態のインバータ装置の組み立て方法を説明する断面概略図である。 本実施形態のインバータ装置の取り付け方法を説明する断面概略図である。 本実施形態の電動圧縮機の組み立て方法を説明する断面概略図である。 本実施形態のインバータ装置の取り付け構造を説明する断面概要図である。 本実施形態のインバータ装置の取り付け構造を説明する図であり、(A)取り付け構造を示す断面概要図、(B)、(C)電力用半導体素子の平面図、(D)取り付け構造を示す断面概要図である。 本実施形態の(A)電力用半導体モジュールの外観斜視図、(B)断面概要図である。 本実施形態のインバータ装置の組み立て方法を説明する外観斜視図である。 本実施形態のインバータ装置の取り付け方法を説明する断面概要図である。 本実施形態のインバータ装置の取り付け方法を説明する断面概要図である。
以下、本発明の実施の形態について図1~12を参照して説明する。図1~図12は本発明を実施する形態の一例であって、図中、同一の符号を付した部分は同一構成を表わす。また、各図において一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。また、各図において一部の構成について形状や寸法を適宜誇張して表現する。
<電動圧縮機の全体構成>
図1を参照して、本実施形態の電動圧縮機1の全体構成について説明する。同図は、本実施形態に係るインバータ装置9の取り付け構造を有する電動圧縮機1の概要を示す縦断面図であり、説明の便宜上、主要な構成のみを模式的に示している。
本実施形態の電動圧縮機1は、所謂インバータ一体型の電動圧縮機であり、図示しない車両の車室内を空調する車両用空気調和装置の冷媒回路の一部を構成するものである。電動圧縮機1は、筐体2と、筐体2に内蔵されるモータ3と、このモータ3の回転軸4により駆動される圧縮機構5と、インバータ装置9などを有する。インバータ装置9は、少なくとも、回路基板(プリント基板)8と、モータ3を駆動するインバータ回路部6を有し、この例では、スイッチング電流の高周波成分を吸収するためのフィルタ回路部7と、インバータ制御部16などを含む。
筐体2は、例えば、モータ3の収容部であるハウジング21と、回路収容部22と、回路収容部22を覆う蓋部材25を有する。ハウジング21にはモータ3、回転軸4および圧縮機構5が収容され、回路収容部22には、インバータ装置9(インバータ回路部6、フィルタ回路部7、インバータ制御部16および回路基板8など)が収容される。
回路収容部22は、一例として、第1空間221と第2空間222を有する。第1空間221はモータ3の回転軸4の軸方向における一端側において隔壁23を介してハウジング21と隣接する空間であり、インバータ回路部6が収容される。第2空間222は、ハウジング21よりも、モータ3のステータ径方向外側に突出する空間であり、フィルタ回路部7が収容される。本実施形態では一例として、一つの回路基板8にインバータ回路部6とフィルタ回路部7が構成され、インバータ回路部6とフィルタ回路部7を筐体2の内部(回路収容部22)に収めるように、回路基板8が筐体2に着脱可能に組み付けられている。回路収容部22は隔壁23の対向面が開口24となり、蓋部材25により開閉可能に閉塞される。尚、本実施形態における各図では回路収容部22を上にした状態で電動圧縮機1を示しているが、車両用空気調和装置として実際には回路収容部22が一側となるように横方向で配置される。本実施形態では説明の便宜上、電動圧縮機1における方向の定義として、回路収容部22側を上方、モータ3側を下方とし、各構成におけるモータ3の回転軸4の方向(モータ軸方向)を「高さ方向」とする。
インバータ装置9は、インバータ回路部6およびフィルタ回路部7を構成する各電子部品が回路基板(プリント基板)8に実装され、または電気的に接続されて構成される。本実施形態では、一つの回路基板8にインバータ回路部6とフィルタ回路部7が一体的に設けられて(モジュール化されて)、インバータ装置9が構成されている場合を例示する。具体的に、回路基板8の第1の面Sf1にインバータ制御部16を構成する電子部品が直接装着(実装)されて電気的に接続される。そして回路基板8の第2の面Sf2の所定の領域にインバータ回路部6が設けられ、同じ第2の面Sf2の別の所定の領域にフィルタ回路部7が設けられる。
インバータ回路部6は、これを構成する複数の電力用半導体素子63の端子63Cが回路基板8と電気的に接続・固着する。フィルタ回路部7では、これを構成するノイズフィルタ72および平滑コンデンサ71などのフィルタ回路部品70が例えば絶縁樹脂部73により一体化され、回路基板8に直接装着(実装)されて回路基板8と電気的に接続する。
なお、この例に限らず、回路基板8はインバータ回路部6用の回路基板と、フィルタ回路部7用の回路基板とに分離されているものであってもよい。この場合、本実施形態のインバータ装置9とは、少なくともインバータ回路部6と、これに電気的に接続する(インバータ回路部6用の)回路基板とを含み、両者が一体化されている構成をいう。
モータ3は、三相同期モータ(ブラシレスDCモータ)から構成されており、圧縮機構5は例えばスクロール式の圧縮機構である。圧縮機構5はモータ3の回転軸4により駆動され、冷媒を圧縮して冷媒回路内に吐出する。そして、ハウジング21には、これも冷媒回路の一部を構成するエバポレータ(吸熱器とも称される)から吸入された低温のガス冷媒が流通される。そのため、ハウジング21内は冷却され、それに伴い回路収容部22の下部(底部22B)の一部を構成する隔壁23も低温のガス冷媒により冷却される。
隔壁23(第1空間221側の回路収容部22の底部22B)の上面23Uには、放熱材201を介在させてインバータ回路部6の電力用半導体素子(パワー半導体素子)63が密着する。放熱材201は例えば、ペースト状のシリコンなどや、常温、高温、湿度などを条件に1液または2液で硬化するもの、またはシリコーングリスなど流動性の低いものである。第2空間222側の回路収容部22の底部22Bの上面には、放熱材(例えば、絶縁シート)302を介在させてフィルタ回路部7の絶縁樹脂部73が密着する。回路基板8は、ボルト85により筐体2(回路収容部22の底部22B)に固定される。
図2は、電動圧縮機1のモータ駆動制御用の電気回路の概略を示す回路図である。インバータ回路部6は、スイッチング素子(例えば、IGBT)61と還流ダイオード62からなる電力用半導体素子63を複数(ここでは一例として3組合計6個)含む。また、フィルタ回路部7は、フィルタ回路部品70を有する。フィルタ回路部品70はこの例では、インバータ回路部6への供給電力を平滑化する平滑コンデンサ71とノイズフィルタ72を構成するコイルおよびコンデンサを含む。
インバータ装置9には、電源12からの電力が、高電力用コネクタ13を介して給電され、ノイズフィルタ72、平滑コンデンサ71を介してインバータ回路部6に供給される。
また、車両の空調制御装置18から、低電圧の電力が制御信号用コネクタ19を介してインバータ制御部16へ供給される。インバータ制御部16は、回路基板8に実装されるマイクロコンピュータ(プロセッサ)により構成され、不図示のモータ制御部、PWM制御部、電力用半導体素子63のゲートドライバなどを含み、外部からの指令に基づいてインバータ回路部6の各電力用半導体素子63をスイッチング制御する。またインバータ制御部16は、モータ3の駆動状態を外部に送信する機能を有している。
インバータ回路部6では電源12からの直流が疑似三相交流に変換されてインバータ装置9から出力される。この出力がモータ側接続端子11を介してモータ3の各巻線3aに給電されることによりモータ3が回転駆動され、圧縮機構5による圧縮が行われる。
<インバータ装置の取り付け構造/第1実施形態>
図3を参照してインバータ装置9の取り付け構造10について説明する。図3(A)がインバータ装置9と冷却部材23との取り付け構造10を示す断面概要図であり、同図(B)がインバータ回路部6を構成する電力用半導体素子63の外観斜視図、同図(C)が電力用半導体素子63の断面概要図である。なお、図3以降(図6を除く)においてはインバータ装置9におけるインバータ回路部6部分を抜き出して示し、他の構成(フィルタ回路部7等)の図示は省略している。
図3(A)に示すように、本実施形態のインバータ装置9は、電力用半導体素子63と、回路基板8と、回路基板8と電力用半導体素子63の端子63Cとを電気的に固着する導電性接着剤90と、移動規制部材100と、を有する。
インバータ装置9を構成するインバータ回路部6は、図3(B)に示すような三相インバータ回路の各相のアームを構成する複数(ここでは6個)の電力用半導体素子63を、同図(A)に示すように回路基板8に電気的に接続してなる。
同図(A)、同図(C)に示すように、各電力用半導体素子63は、それぞれ、スイッチング素子(例えば、IGBT)61と還流ダイオード62(図2参照)を接続した半導体チップ63Sを、放熱板64の一方の面(上面)側に載置して一つの樹脂パッケージ63Pに収容したモールド型素子である。樹脂パッケージ63Pはその外形が略直方体形状であり、以下の説明では、冷却部材23に載置した場合にこれに平行(水平)となる2面を電力用半導体素子63の上面US、下面DSと称し、残りの4つの面を側面SSと称する。
電力用半導体素子63の3本の端子(リード)63Cは樹脂パッケージ63Pの側面SSから放熱板64と水平方向に外部に導出され、断面視において略L字状に上方に曲折される。樹脂パッケージ63Pの下面DSには放熱板64の他方の面(下面)が露出する。なお、本実施形態では従来既知の電力用半導体素子63を採用しており、樹脂パッケージ63Pには、その上面USから下面DSまで貫通する固定用孔部63Hが設けられている。固定用孔部63Hは、従来、電力用半導体素子63を回路基板その他の基板にねじ止めする場合に、ねじの挿通孔として利用されていた孔部であり、放熱板64も固定用孔部63Hに対応して円形に繰り抜かれている。しかしながら本実施形態では電力用半導体素子63と他の部材とのねじによる締結は行わない。
図3(A)を参照して、回路基板8は、その第2の面Sf2が電力用半導体素子63の第1の面(上面US)に対向するように配置される。ここで電力用半導体素子63の第1の面USと回路基板8の第2の面Sf2間には、両者を所定の距離t1に維持する移動規制部材100が配置される。移動規制部材100は、この例では、大経の略円柱形状の台座部104の上に小径の略円柱形状の基板係合部103を両者の円筒の軸方向が同方向になるように積層した形状を有している。台座部104の下面(底面)は電力用半導体素子63の上面US(樹脂パッケージ63Pの上面と同意、以下同様)と当接するパッケージ当接部101となり、台座部104から突出する基板係合部103の段差部(肩部)は回路基板8と当接する基板当接部102となる。基板係合部103は、回路基板8に設けられた係合孔88に挿通され、回路基板8と係合する部位である。係合孔88の直径は基板係合部103の径より大きく台座部104の径より小さい。これにより、係合孔88には基板係合部103が挿通可能となり、基板係合部103を挿通した状態で基板当接部102に回路基板8の第2の面Sf2が当接する。
移動規制部材100は、電動圧縮機1の通常の(一般的な)使用(運転)では変形しにくい硬質な樹脂材料(例えば、PPS(ポリフェニレンスルファイド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート、その他のスーパーエンジニアリングプラスチック、エンジニアリングプラスチックなど)や金属材料などにより構成される。この移動規制部材100のパッケージ当接部101を電力用半導体素子63の上面USに載置し、肩部である基板当接部102の上に回路基板8を載置することで、電力用半導体素子63と回路基板8とは、高さ(図示上下)方向(モータ軸方向)において距離t1に維持される。
図3(B)に示すように、この例では6個の電力用半導体素子63は、それぞれ独立して回路基板8に接続(固定)される。この場合、6個の電力用半導体素子63のそれぞれの上面USに移動規制部材100が配置されることが望ましい。しかしながら移動規制部材100が配置されない電力用半導体素子63が含まれていてもよい。また一つのインバータ装置9において、複数の移動規制部材100の形状は同一であってもよいし異なるものがあってもよいが、少なくとも台座部104のモータ軸方向における高さt1は同一とする。
移動規制部材100は、電力用半導体素子63と回路基板8の間のスペーサとして機能し、両者を距離t1に維持するとともに、両者が距離t1よりも近づく方向に移動することを規制する。また、基板係合部103を係合孔88に挿通することにより、移動規制部材100と回路基板8のモータ軸方向に直交する水平方向(図示左右方向)の相対移動も規制される。
ここで、移動規制部材100は、回路基板8と係合はするが、固定・固着はされておらず離脱が許容される。また、この例の移動規制部材100は、台座部104が電力用半導体素子63の上面USに載置されているが、固定・固着はされていない。移動規制部材100は、ねじによる締結や板ばねによる押圧のように電力用半導体素子63に外力として下方向(冷却部材23方向)への押さえつけをするものではないが、電力用半導体素子63が回路基板8方向に移動することを規制する。
なお、移動規制部材100は、電力用半導体素子63と回路基板8とをモータ軸方向において距離t1に維持し、両者が距離t1より近づく方向に移動することを規制する構成であれば図示の形状に限らず、例えば台座部104のみ(基板係合部103を有さない)形状であってもよい。
回路基板8には、電力用半導体素子63の端子(リード)63Cの先端が挿通可能な端子挿通孔83が、端子63Cの数(例えば18)と同数設けられている。端子63Cの先端は、回路基板8の第2の面Sf2から端子挿通孔83に挿通され、第1の面Sf1に導出される。そして、端子挿通孔83付近において、端子63Cと回路基板8の配線が電気的に接続するよう、導電性接着剤90により両者が固着・固定される。導電性接着剤90が塗布され、端子63Cと回路基板8(の配線)が固定される領域を固着部91という。導電性接着剤90はこの例では、はんだであるがこれに限らず、導電性ペーストであってもよい。回路基板8と電力用半導体素子63とは、導電性接着剤90による端子63Cと回路基板8の固着部91のみで接続されている。
このように、本実施形態のインバータ装置9は、予め(サブラインにより)、電力用半導体素子63と回路基板8とが、固着部91(のみ)によって一体化(モジュール化)されており、その状態で筐体2の回路収容部22に収容される。詳細には、インバータ回路部6は回路収容部22の第1空間221に収容され、電力用半導体素子63の下面DS(放熱板64)と隔壁23とが放熱材201を介して対向配置される。そしてインバータ装置9の自重により電力用半導体素子63の下面DSが放熱材201と密着し、放熱材201を介して隔壁23と面接触する。
放熱材201は、放熱板64に生じる熱を効率的に冷却部材23に伝達する手段であることに加え、放熱板64を含む電力用半導体素子63の下面DSと冷却部材23の上面23Uの表面形状ばらつき(意図しない凹凸など)、及び組立公差を吸収する手段としても機能する。
一方で放熱材201は、電力用半導体素子63が載置された場合に、当該電力用半導体素子63に対して生じる反力(反発力)が可能な限り小さくなる材料であることが望ましい。
これらのことより、放熱材201は、或る程度の流動性および/又は柔軟性(粘性)を有する一方、自身の弾性力は低い材料が選択される。放熱材201は具体的には、上述のとおり、例えば、ペースト状のシリコンなどや、常温、高温、湿度などを条件に1液または2液で硬化するもの、またはシリコーングリスなど流動性の低いものなどである。
本実施形態では、従来のねじや板ばねなど、外力によって電力用半導体素子63を隔壁23に押し付ける手段を有さない。つまり電力用半導体素子63は、隔壁23から受ける反力が従来と比較して小さくできる。これにより)電力用半導体素子63の端子63Cと回路基板8との固着部91に生じる応力を緩和でき、導電性接着剤90のクラックなどによる接続不良を回避できる。
また、回路基板8と電力用半導体素子63の間に、両者を距離t1に維持する移動規制部材100が設けられている。回路基板8に特にフィルタ回路部7などが一体化されている場合、回路基板8の重量が増すため、インバータ装置9を回路収容部22に収容、取り付ける際に(意図せず)電力用半導体素子63の端子63Cと固着部91に過剰な負荷が係る恐れがある。またこれに限らず回路基板8や電力用半導体素子63に外力(特に上向きあるいは下向きの力)が加わる可能性もある。本実施形態では移動規制部材100によってモータ軸方向において電力用半導体素子63と回路基板8とが近づく方向に移動することを規制できるので、端子63Cや固着部91に過剰な負荷が集中することを回避できる。
筐体2はモータ3を収容するハウジング21の内部に低温のガス冷媒が流通しており、ハウジング21との境界となる隔壁23は冷却部材として機能する。このため、放熱板64が放熱材201を介して冷却部材である隔壁23と密着して熱交換が進行し、電力用半導体素子63が効率良く放熱される。
回路基板8は、ボルト85によって隔壁23(筐体2)に着脱可能に取り付けられる。ここで、図3(A)に示すように、本実施形態では上述した移動規制部材(以下、第1移動規制部材)100に加えて、他の移動規制部材(以下、第2移動規制部材)110を有している。第2移動規制部材110は、冷却部材(隔壁)23と、回路基板8を所定の距離t2に維持する部材であり、冷却部材当接部111と基板当接部112を有する。移動規制部材110はこの例では、その内部が中空でボルト85を挿通可能なスリーブ部品である。スリーブ部品の下側の開口端は冷却部材23と当接する冷却部材当接部111となり、スリーブ部品の上側の開口端は回路基板8と当接する基板当接部112となる。
第2移動規制部材110も、電動圧縮機1の通常の(一般的な)使用(運転)では略変形しない(変形が困難な)硬質な樹脂材料(例えば、ポリカーボネイト、エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックなど)や金属材料などにより構成される。
第2移動規制部材110の高さ(モータ軸方向の長さ)t2は、電力用半導体素子63の高さt3と第1移動規制部材100の台座部104の高さt1の合計より大きい。つまり、インバータ装置9を冷却部材23に取り付ける際(回路収容部22に収容する際)、回路基板8は、ボルト85によって冷却部材23に締結固定されるが、第2移動規制部材110の存在により、回路基板8および電力用半導体素子63が冷却部材23方向に押し込まれることはなく、冷却部材23からの反力も最小限に留めることができる。
このように第2移動規制部材110は、冷却部材23と回路基板8の間のスペーサとして機能し、両者を距離t2に維持するとともに、両者が距離t2より近づく方向に移動することを規制する。
第2移動規制部材110は、回路基板8と冷却部材23の間に配置されるが、いずれとも固定・固着はされない。なお、基板当接部112に係合突起などを設け、回路基板8の対応する位置に係合孔部を設けるなどして第2移動規制部材110と回路基板8を係合可能としてもよい。これに加えて、あるいはこれに代えて、冷却部材当接部111に係合突起などを設け、冷却部材23の対応する位置に係合孔部を設けるなどして第2移動規制部材110と冷却部材23を係合可能としてもよい。
また、第2移動規制部材110は、冷却部材23と回路基板8とをモータ軸方向において所定の距離t2に維持し、両者が近づく方向に移動することを規制する構成であれば図示の形状に限らない。例えば、第2移動規制部材110は、その内部にボルト85を挿通しないスリーブ部品であってもよいし、内部が中空でない(中実の)柱状部材であってもよい。この場合、第2移動規制部材110は、ボルト85に隣接させるなど、ボルト85とは異なる位置に配置する。
また一つのインバータ装置9において第2移動規制部材110は複数配置される。複数の第2移動規制部材110の形状は同一であってもよいし異なるものがあってもよいが、少なくともモータ軸方向における高さt2が同一のものが複数(少なくとも2つ)配置される。複数の第2移動規制部材100は、例えば6個の電力用半導体素子63を囲むように、可能な限り等し間隔で離間して配置すると望ましい。
第2移動規制部材110は、電力用半導体素子63が電気的に固着されている回路基板8を支持するものであり、その高さt2は、回路基板8を支持した場合に、電力用半導体素子63の下面DSと冷却部材23の上面23Uが直接的には非接触であり、且つ、電力用半導体素子63の下面DSが放熱材201のみに直接的に接触する状態を維持するように設定されている。
これにより、図3(A)に示すようにインバータ装置9を回路収容部22に収容した場合、電力用半導体素子63の下面DS(放熱板64)と冷却部材23との間は第2移動規制部材110によって極僅かな隙間が生じる。本実施形態では放熱板64と冷却部材23との間に放熱材201を配置して、両者間の隙間を埋め、これを介して放熱板64と冷却部材23とを間接的に、十分に面接触させる。隙間(放熱材201の塗布厚)は、一例として、0.5mm~10mm、望ましくは、0.5mm~5mm、好適には0.5mm~3mm、より好適には、0.5mm~2mmである。あるいは、隙間(放熱材201の塗布厚)は、一例として、0.5mm~1.5mm、1.0mm~1.5mm、1.0mm~1.5mm、1.0mm~2.0mmなどであってもよい。
つまり、放熱材201は、放熱板64に生じる熱を効率的に冷却部材23に伝達する手段であることに加え、第2移動規制部材110によって電力用半導体素子63の放熱板64と冷却部材23との間に生じる極僅かな隙間を埋めるとともに、放熱板64を含む電力用半導体素子63の下面DSと冷却部材23の上面23Uの表面形状ばらつき(意図しない凹凸など)、及び組立公差を吸収する手段としても機能する。
第2移動規制部材110によって、電力用半導体素子63および回路基板8はそれらの自重を超えて冷却部材23方向に押し込まれることはない構成ではあるが、組立公差のばらつきや、電力用半導体素子63および回路基板8の対向面の表面形状のばらつきにより、多少の押し込みが生じる可能性もある。この場合に放熱材201として弾性力の大きい材料を採用すると、冷却部材23からの反力は増加することとなり、固着部91に応力が生じる可能性がある。
これらのことより、上述したように放熱材201は、或る程度の流動性および/又は柔軟性(粘性)を有する一方、自身の弾性力は低い材料が選択される。
放熱材201は、第2移動規制部材110によって電力用半導体素子63の放熱板64と冷却部材23との間に生じる極僅かな隙間を埋めるとともに、放熱板64を含む電力用半導体素子63の下面DSと冷却部材23の表面形状ばらつき(意図しない凹凸など)や組立公差を吸収可能であること、および部品形状など考慮してその材料および厚み(塗布厚)が適宜選択される。放熱材201は、更に絶縁性を有する材料が望ましいが、絶縁性を有さなくてもよい。
また、放熱材201は、インバータ装置9を冷却部材23に組み付ける際に流動性を有している材料であればよく、組み付け後に硬化可能な材料であってもよい。
このようにして、インバータ装置9を冷却部材23に取り付けるインバータ装置9の取り付け構造10が実現できる。また冷却部材23は、既に述べているように、電動圧縮機1のモータが内蔵される筐体2の一部(隔壁)である。従って上記インバータ装置9の取り付け構造10により、インバータ装置9を一体的に収容する電動圧縮機1を実現できる(図1参照)。
なお、第2移動規制部材110は、隔壁23と一体の(隔壁23から立接する)柱(円筒)部材とし、その上端にねじ溝26を設け、これと螺合するボルト25にて固定してもよい。
<インバータ装置の取り付け方法/第1実施形態>
図4および図5を参照して、本実施形態のインバータ装置9の組み立て方法、およびインバータ装置9の冷却部材23への取り付け方法について説明する。図4はインバータ装置9の組み立て方法を、図5は、インバータ装置9を冷却部材23に取り付けるインバータ装置9の取り付け方法を時系列で示す断面概要図である。図4および図5においてはインバータ装置9におけるインバータ回路部6部分を抜き出して示し、他の構成(フィルタ回路部7等)の図示は省略している。
まず、図4(A)に示すように所定の治具(不図示)によりインバータ回路部6を構成する電力用半導体素子63を保持(支持)する。図4および図5においては1つの電力用半導体素子63を示しているが、インバータ回路部6は複数(この例では6個)の電力用半導体素子63を有する。すなわち6個の電力用半導体素子63は治具によって3個を1組とし、各組の端子63Cは互いに導出方向を揃えるとともに2組の端子63Cは向かい合わせとなるように保持される(図3(B)参照)。
図4(B)に示すように、6個の電力用半導体素子63の第1の面(上面US)に第1位置規制部材100を配置する。この例では6個の電力用半導体素子63はそれぞれ独立して治具に保持されており、第1位置規制部材100は6個の電力用半導体素子63のそれぞれの上面USに、パッケージ当接部101が当接するように載置される。
同図(C)に示すように、第1移動規制部材100によって所定の距離t1が確保された状態で、電力用半導体素子の第1の面(上面US)と回路基板8の第2の面Sf2とが対向するように回路基板8を配置する。回路基板8の所定の領域には、6個の第1位置規制部材100の基板係合部103に対応する位置に係合孔88が設けられている。
同図(D)に示すように、係合孔88に基板係合部103を挿通して回路基板8の第2の面Sf2を第1位置規制部材100の基板当接部102に当接させる。回路基板8は第1移動規制部材100の肩部となる基板当接部102に載置され、電力用半導体素子63の上面USから距離t1の位置に支持される。第1移動規制部材100回路基板8および電力用半導体素子63のいずれとも固着(接着)はさせないが、第1移動規制部材100の基板係合部103を回路基板8と係合させる。
回路基板8には、端子挿通孔83が設けられており、この状態で電力用半導体素子63の端子63Cの先端は、回路基板8の第2の面Sf2側から端子挿通孔83を介して第1の面Sf1側に導出される。
この状態で、回路基板8の第1の面Sf1に設けられた配線(不図示)と電力用半導体素子63の端子63Cとを導電性接着剤90により電気的に固着(接続)し、固着部91を形成する。電力用半導体素子63は固着部91のみによって回路基板8に固定されている。このようにしてインバータ回路部6が組み立てられる。
また、ここでの図示は省略しているが、回路基板8の別の領域においてもフィルタ回路部7を構成するフィルタ回路部品70を絶縁樹脂部73などによって回路基板8と一体化する。そしてフィルタ回路部品70の端子(リード)を、回路基板8の第2の面Sf2から端子挿通孔を介して第1の面Sf1側に導出し、導電性接着剤90によって回路基板8の第1の面Sf1に設けられた配線(不図示)と電気的に固着(接続)し、フィルタ回路部7を形成する。このようにして、一枚の回路基板8にインバータ回路部6とフィルタ回路部7が一体化(モジュール化)されたインバータ装置9が組み立てられる。
その後、インバータ装置9を冷却部材23に取り付ける。すなわち、図5(A)に示すように、冷却部材23の上面に放熱材201を塗布などにより設ける。放熱材201は、冷却部材23の上面の、少なくとも電力用半導体素子63の放熱板64と接触する位置に塗布する。
その後図5(B)に示すように、冷却部材23の所定の位置にインバータ装置9を載置する。この時、まず複数の第2移動規制部材110を所定位置に配置する。この例では、第2移動規制部材110は中空のスリーブ部品であり、その下方側の開口端(冷却部材当接部111)が冷却部材23のねじ孔26の周囲と当接するように冷却部材23上に載置する。
そして図5(C)に示すように、第2移動規制部材110の上方側の開口端(基板当接部112)の上にインバータ装置9を、詳細には、回路基板8の第2の面Sf2を載置する。回路基板8は、第2移動規制部材110によって支持され、電力用半導体素子63の第2の面(下面DS)は冷却部材23に対向する。
第2移動規制部材110により電力用半導体素子63の下面DSと冷却部材23の間には隙間が生じるが、放熱材201により当該隙間が埋められる。またモータ軸方向の組立公差、および電力用半導体素子63(樹脂パッケージ63Pや放熱板64)と冷却部材23の上面23Uの表面形状のばらつき(凹凸など)が吸収される。これにより、電力用半導体素子63の第2の面(下面DS、放熱板64)は、放熱材201を介して、冷却部材23の上面と面接触する。
そして図5(C)に示すように、回路基板8に設けたボルト挿通孔86にボルト85を挿通し、冷却部材23のねじ孔26と締結固定する。この例では第2移動規制部材110はボルト挿通孔86と冷却部材23のねじ孔26の両方に連通するように配置される。つまりボルト85は第2移動規制部材110の内部に挿通されてねじ孔26に締結され、回路基板8は着脱自在に冷却部材23に固定される。
この時、第2移動規制部材110の存在により、ボルト85で締結した場合でも回路基板8および電力用半導体素子63のいずれも、ボルト85の強い締結力で冷却部材23に押し付けられることが回避される。また、放熱材201も弾性力が小さい材料である。従って、冷却部材23からの反力(モータ軸方向の上向きの力)を小さくでき、固着部91に係る応力を緩和できる。
このようにして、インバータ装置9を冷却部材23へ取り付けることができる。ここで、上記の冷却部材23は、図6に示すように電動圧縮機1のモータが内蔵される筐体2の一部である。従って上記方法を用いて、電動圧縮機1を組み立てることができる。すなわち、予めサブラインなどで回路基板8とインバータ回路部6およびフィルタ回路部7を一体化したインバータ装置9を製造する。そしてインバータ装置9を筐体2内に区画される回路収容部22に収容し、上述した方法によって回路基板8をボルト85により筐体2に固定し、電動圧縮機1が組み立てられる。
インバータ一体型の電動圧縮機1において、回路収容部22に収容される電力用半導体素子63の放熱性を高めるには、冷却部材である回路収容部22の底部22Bと、放熱板64とを(放熱材201を介して)均一かつ十分に面接触(密着)させることが望ましい。
従来では、ねじや板ばねなどによって、電力用半導体素子を冷却部材である筺体に押し付ける(付勢する)、あるいは、電力用半導体素子が固着された回路基板を冷却部材である筺体に押し付ける(付勢する)などして、放熱板と冷却部材を面接触させていた。
しかしながら本実施形態のように、予め回路基板8とインバータ回路部6を一体化(モジュール化)したインバータ装置9を回路収容部22(冷却部材23)に取り付ける際には上記の従来方法では問題が生じる。
具体的に本実施形態では、インバータ装置9を回路収容部22へ収容する際、すなわち電力用半導体素子63と回路収容部22の底部22Bとを面接触させる際、それに先立ち回路基板8と電力用半導体素子63の端子63Cとは、導電性接着剤90によって固着されている。
従って、電力用半導体素子63と回路収容部22の底部22Bとの密着性を高めるべく、従来のようにねじや板ばねなどの固定手段によって回路基板8、或いは電力用半導体素子63を回路収容部22に押し付けて固定すると、その反力により端子63Cと回路基板8の固着部91に応力が生じる問題がある。特に、導電性接着剤90がはんだなどの場合は、その品質や固着部91としての形状にばらつきが生じる場合もあり、応力によって固着部91にクラックが生じ、接合不良となる恐れがある。
本実施形態では第1移動規制部材100によって電力用半導体素子63と回路基板8をモータ軸方向において所定の距離t1に維持した状態で、導電性接着剤90により端子63Cと回路基板8の電気的接続を行う。つまり、導電性接着剤90による固着後に、仮に回路基板8と電力用半導体素子63とがモータ軸方向において近づくような外力がかかった場合であっても、第1移動規制部材100によって両者が距離t1以上に近づく方向に移動することはなく、固着部91に係る応力を緩和できる。
またボルト85で回路基板8を冷却部材23に締結する際には、第2移動規制部材110によって回路基板8と冷却部材23は距離t2より近づくことが規制された状態で、締結固定される。第2移動規制部材110を配置しない場合、ボルト85の締結力により回路基板8が冷却部材23に強力に押し付けられることになり、その反力が応力として固着部91に作用し、クラックの発生原因となる。本実施形態では回路基板8が冷却部材23側に押し付けられることが規制され、これによっても固着部91に係る応力を緩和できる。
更に、放熱材201を介して電力用半導体素子63の第2の面(下面DS,放熱板64)を冷却部材23に対向させ、回路基板8を冷却部材23に取り付ける。この放熱材201は、或る程度の流動性および/又は柔軟性(粘性)が有る一方、弾性力は小さい材料を採用する。第2移動規制部材110によって冷却部材23と電力用半導体素子63の間には隙間が生じているが、放熱材201によってその隙間を埋め、組立公差や電力用半導体素子63と冷却部材23の表面形状のばらつき(凹凸など)を吸収する。一方で放熱材201は弾力性が小さいものが採用されるため、冷却部材23が電力用半導体素子63を上方に付勢する力を相当程度小さくできる。これによっても固着部91に係る応力を緩和できる。
図7および図8を参照して、上述したインバータ装置の取り付け構造10の変形例を説明する。
<変形例>
図7(A)に示すように、冷却部材23の上面23U(回路収容部22の底部22B)に放熱材充填部210を備えてもよい。放熱材充填部210は、放熱材201を充填可能な凹部形状を有する。放熱材201の流動性が高い場合には放熱材充填部210に充填することで所定の領域に放熱材201を滞留させることができる。
また図7(B)に示すように、第1移動規制部材100は、台座部104から回路基板8方向(上方)に突出する基板係合部(第1係合部)103Aだけでなく、台座部104から冷却部材23方向(下方)に突出する他の係合部(第2係合部)103Bを有してもよい。この場合、第2係合部103Bは例えば電力用半導体素子63の固定用孔部63Hなどと係合するようにすると好ましい。
また、図8(A)に示すように電力用半導体素子63は、インテリジェントパワーモジュール(Intelligent Power Module:IPM)であってもよい。図8(B)、同図(C)はIPM63を放熱板64側から視た平面図である。IPMは、電力を制御するパワーMOSFETや絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)などのスイッチング素子と、これらの駆動回路や自己保護機能を1つの樹脂パッケージ63P内に組み込んだ電力用半導体素子である。
図8(D)は、図7(B)と同様に第1移動規制部材100に、上方に突出する第1係合部103Aと下方に突出する第2係合部103Bを設ける例である。図8(B)、同図(C)に示すように、IPM63は既知の構成であり、例えば、樹脂パッケージ63Pに固定用の固定用孔部63Hや切り欠き63Dが設けられている。本実施形態では、ねじや板ばねなどによりIPM63を冷却部材23に押し付け固定するものではないが、第2基板係合部103Bはこれらの固定用孔部63Hや切り欠き63Dに係合させると好ましい。また図8に示す冷却部材23は図7(A)に示すような放熱材充填部210を備えてもよい。
<インバータ装置の取り付け構造/第2実施形態>
図9から図12を参照して、インバータ装置9の取り付け構造の第2実施形態について説明する。
第2実施形態は、インバータ回路部6を構成する複数(例えば6個)の電力用半導体素子63が一体化されてインバータ回路モジュールを構成し、更にそのインバータ回路モジュールが回路基板8と一体化される例である。
<インバータ回路部>
図9を参照してインバータ回路部6の構成について説明する。図9はインバータ回路部6(電力用半導体モジュール63´)を説明する図であり、同図(A)が電力用半導体モジュール63´の外観斜視図である。同図(B)はインバータ回路部6(インバータ装置9)の一部を抜き出して示す図であり、同図(A)のA-A線断面に対応する断面概要図である。以下、主に第1実施形態と異なる構成について説明し、第1実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。
電力用半導体モジュール63´は6個の電力用半導体素子63と、これらを一体的に載置するベースプレート56と、電力用半導体素子63の少なくとも一部を覆うとともに電力用半導体素子63とベースプレート56とを一体化する絶縁樹脂部67を有する。電力用半導体素子63は第1実施形態と同様である。
ベースプレート56は、例えば略矩形状の高放熱性の金属(例えば、アルミニウム)の平板であり、一方の面(載置面)Sf3に6個の電力用半導体素子63が、3個ずつ2列で載置される。各列の電力用半導体素子63の各端子63Cはベースプレート56の概ね中央部で相互に隣接する。そして各列ごとに電力用半導体素子63が絶縁樹脂部67によって一体化(モールド)されるとともに、ベースプレート56とも一体化される。絶縁樹脂部67は例えば射出成形が可能な樹脂材であり、ここでは一例として熱可塑性樹脂材である。本実施形態では、熱可塑性樹脂材の射出成形(ホットメルト)により、3個の電力用半導体素子63を一組としてこれらの少なくとも一部を覆うように一体化してパワー半導体素子群631、632を形成するとともにこれらをベースプレート56に固定する。あるいは、ベースプレート56をパワー半導体素子群631,632(電力用半導体素子63)に固定する。この場合の「固定」(樹脂材による固定)とは、軟化(または液体化)した樹脂が硬化する際に電力用半導体素子63とベースプレート56の双方に当接(介在)して両者を一体化することをいう。つまり、電力用半導体素子63は、少なくとも4つの側面SSがまとめて絶縁樹脂部67を構成する樹脂で取り囲まれ、当該樹脂がベースプレート56まで連続している。本実施形態では、パワー半導体素子群631,632のそれぞれを構成する3個の電力用半導体素子63は、互いに少なくとも4つの側面SSがまとめて絶縁樹脂部67を構成する樹脂で取り囲まれ、当該樹脂がベースプレート56まで連続しているが、複数の電力用半導体素子63は一体化されていなくてもよい。すなわち、少なくとも1個の電力用半導体素子63がベースプレート56と一体化する構成であればよい。
さらに、図9(B)に示すように、パワー半導体素子群631、632とベースプレート56の間には、絶縁樹脂シート69(例えば、シリコーン樹脂シート)を介在させている。各電力用半導体素子63の樹脂パッケージ63Pの下面DSに露出する放熱板64は絶縁樹脂シート69と当接し、これを介して、平坦性の良好なベースプレート56と密着する。また、各電力用半導体素子63の端子63Cは、樹脂パッケージ63Pからの導出部を含む一部が絶縁樹脂部67に覆われるが、先端部を含む他の部分は絶縁樹脂部67から露出する。
また、ベースプレート56の周辺部分の複数個所(この例では4か所)には、インバータ回路部6を筐体2に固定するためのボルトを挿通可能なボルト挿通孔86が設けられるとともに、それぞれのボルト挿通孔86に内部空間が連通するスリーブ部品65が立設される。スリーブ部品65もまた、絶縁樹脂部67により電力用半導体素子63およびベースプレート56と一体化される。
更に第2実施形態では、この絶縁樹脂部67によって、第1位置規制部材(第1位置規制部)150を構成する。第1位置規制部材150の形状は第1実施形態と概ね同様であり、台座部151と台座部151からモータ軸方向の上方に突出する基板係合部152を有する。この場合、台座部151は、パワー半導体素子群631,632の樹脂部上面67Uから、モータ軸方向の上方に突出する略円錐台形に設けられ、台座部151の上面から更にモータ軸方向の上方に突出するように略円筒形状の基板係合部152が設けられる。そして台座部151と基板係合部152の段差部(肩部)は回路基板8と当接する基板当接部153となる。この場合台座部151は絶縁樹脂部67の一部として設けられ、台座部151の下面において電力用半導体素子63と直接的に当接するパッケージ当接部は存在しない。
スリーブ部品65は金属(例えばアルミニウム)製の円筒部材であり、その表面に凹凸加工が施されて絶縁樹脂部67との密着性が高いものが採用されると望ましい。また、インバータ回路部6における複数のスリーブ部品65の高さ(軸方向長さ)は同等であり、ベースプレート56の周辺部分に互いに離間して(この場合は概ね四隅に)配置される。スリーブ部品65はその軸方向がモータ軸方向と平行するように配置され、ベースプレート56の表面からのスリーブ部品65の上端部までの高さt4は、パワー半導体素子群631、632の樹脂部上面67U、または電力用半導体素子63の樹脂パッケージ63Pのうちいずれか大きい高さt5より高い。また、スリーブ部品の高さt4は、ベースプレート56の表面からの台座部104の基板当接部102までの高さt6より低い。
本実施形態ではこのように、例えば、熱可塑性樹脂の射出成形によって複数の電力用半導体素子63とベースプレート56およびスリーブ部品65を一体的に互いに固定して一纏まりの電子部品である電力用半導体モジュール63´を構成し、また、絶縁樹脂部67によって、第1位置規制部材150を構成する。第1位置規制部材150は少なくとも絶縁樹脂部67部毎に(少なくとも、パワー半導体素子群631,632のそれぞれに1個ずつ)設ければよい。また樹脂の射出成形などにより絶縁樹脂部67の一部として成形できるので、第1実施形態のように電力用半導体素子63のそれぞれに第1位置規制部材100を配置する場合と比較して、組み立ての煩雑さが低減する。
そして図9(B)に示すように、当該電力用半導体モジュール63´と回路基板8は予めサブライン等で一体化されインバータ装置9を構成する。回路基板8は、基板当接部153に当接してこれに支持され、電力用半導体素子63と回路基板8とは、モータ軸方向(図示上下方向)において所定の距離t1に維持される。
このように第1移動規制部材150は、電力用半導体素子63と回路基板8の間のスペーサとして機能し、両者を距離t1に維持するとともに、両者が距離t1より近づく方向に移動することを規制する。なお、図9(B)において図示は省略しているが、回路基板8にはフィルタ回路部7等、所望の電子部品も適宜設けられている。
<インバータ回路部の製造方法>
図10を参照して、第2実施形態におけるインバータ回路部6の製造方法の一例を説明する。図10(A)~同図(D)は、インバータ回路部6の製造方法の一例を示す外観斜視図である。図10の説明において、ベースプレート56側を下方とし、回路基板8側を上方として説明する。
まず図10(A)に示すように、ベースプレート56の載置面Sf3の所定の領域に絶縁樹脂シート69を配置し、その上に複数(ここでは6個)の電力用半導体素子63を3個を一組として二列で載置する(図10(B))。そして例えば熱可塑性樹脂材の射出成形により、3個の電力用半導体素子63とベースプレート56を一体化する絶縁樹脂部67を形成する。(図10(C))。また、絶縁樹脂部67によってスリーブ部品65も電力用半導体素子63およびベースプレート56と一体化され、第1移動規制部材(第1移動規制部)150が成型される。
このようにして製造された電力用半導体モジュール63´を、回路基板8に接続する。すなわち、図10(D)に示すように、ベースプレート56の載置面Sf3と回路基板8の第2の面Sf2とが対向するように回路基板8を配置する。回路基板8の所定の領域には、2か所の第1位置規制部材150の基板係合部152に対応する位置に係合孔88が設けられている(図9(B)参照)。
そして、係合孔88に基板係合部152を挿通して回路基板8の第2の面Sf2を第1位置規制部材150の基板当接部153に当接させる。回路基板8は基板当接部153に支持され、電力用半導体素子63の上面US(電力用半導体モジュール63´の樹脂部上面67U)から距離t1に維持される(図9(B)参照)。
また、回路基板8には、端子挿通孔83が設けられており(図9(B)参照)、電力用半導体素子63の端子63Cの先端は、回路基板8の第2の面Sf2側から端子挿通孔83を介して第1の面Sf1側に導出される。
この状態で、回路基板8の第2の面Sf2に設けられた配線(不図示)と電力用半導体素子63の端子63Cとを導電性接着剤90により電気的に固着(接続)する。これによりインバータ回路部6が形成される。また、ここでの図示は省略しているが、回路基板8の別の領域においてもフィルタ回路部7を構成する電子部品の端子(リード)を、回路基板8の第2の面Sf2から端子挿通孔を介して第1の面Sf1側に導出し、導電性接着剤90によって回路基板8の第2の面Sf2に設けられた配線(不図示)と電気的に固着(接続)し、フィルタ回路部7を形成する。このようにして、一枚の回路基板8にインバータ回路部6とフィルタ回路部7が一体化(モジュール化)されたインバータ装置9を形成する。
<インバータ装置の取り付け方法/第2実施形態>
図11および図12を参照して、上記(図9、図10)のごとく構成されたインバータ装置9を冷却部材23に取り付ける取り付け方法について説明する。
図11(A)に示すように、まず、冷却部材23の上面23Uに放熱材201を塗布などにより設ける。放熱材201は、第1実施形態と同様である。放熱材201は、冷却部材23の上面23Uの、少なくとも電力用半導体素子63の放熱板64と対向し、且つベースプレート56と接触可能な位置に塗布する。
また、第2実施形態においても第2移動規制部材160を設ける。第2移動規制部材160は例えば、内部が中空でボルト85を挿通可能なスリーブ部品であり、第2移動規制部材160は冷却部材当接部161および基板当接部162を有する。この例では、第2移動規制部材160は、冷却部材23のねじ孔26の周囲を囲む位置に載置する。
電力用半導体素子モジュール63´のスリーブ部品65は、絶縁樹脂部67によって電力用半導体素子63やベースプレート56と一体化しているが、第2移動規制部材160は、絶縁樹脂部67およびスリーブ部品65とは別体(いずれからも独立した部品)であり、いずれとも固着はされていない。
そして、図11(B)に示すようにインバータ装置9を回路収容部22に収容する。第2移動規制部材160は、電力用半導体素子モジュール63´のスリーブ部品65内に挿入され、電力用半導体素子63の第2の面(下面DS,放熱板64)は、絶縁樹脂シート69、ベースプレート56および放熱材201を介して冷却部材23に対向配置される。なお、インバータ装置9を回路収容部22に収容した後、第2移動規制部材160を電力用半導体素子モジュール63´のスリーブ部品65内に挿入してもよい。
同図(C)に示すように、第2移動規制部材160の高さt6は、スリーブ部品65の高さt4より大きい。これにより、インバータ装置9を冷却部材23に取り付ける際(回路収容部22に収容する際)、回路基板8は、第2移動規制部材110によって支持され、冷却部材23と回路基板8とは、モータ軸方向(図示上下方向)において所定の距離t6(第2移動規制部材160の高さ)に維持される。つまり第2移動規制部材160は、冷却部材23と回路基板8の間のスペーサとして機能し、両者を所定の距離t6に維持するとともに、両者が距離t6より近づく方向に移動することを規制する。
第2移動規制部材160の高さt6は、回路基板8を支持した場合に、ベースプレート56の下面56DSと上面23Uが直接的には非接触であり、且つ、ベースプレート56の下面56DSは放熱材201のみに直接的に接触する状態を維持するように設定されている。これにより、ベースプレート56と冷却部材23との間は第2移動規制部材160によって極僅かな隙間が生じる。
放熱材201は、この隙間を埋め、これによりベースプレート56の下面56DSが確実かつ十分に、放熱材201と接触し、これを介して冷却部材23と面接触可能となる。つまり放熱材201は、放熱板64に生じる熱を、絶縁樹脂シート69およびベースプレート56を介して効率的に冷却部材23に伝達する手段であることに加え、第2移動規制部材160によってベースプレート56と冷却部材23との間に生じる極僅かな隙間を埋めるとともに、組立公差や両者の表面形状ばらつき(意図しない凹凸など)を吸収する手段としても機能する。
つまり放熱材201はこれらの機能を発揮できること、および部品形状など考慮してその材料および厚み(塗布厚)が適宜選択される。
そして図12(A)に示すように、回路基板8に設けたボルト挿通孔86にボルト85を挿通し、冷却部材23のねじ孔26と締結固定する。この例では第2移動規制部材160はボルト挿通孔86と冷却部材23のねじ孔26の両方に連通するように配置される。つまりボルト85は第2移動規制部材160の内部に挿通されてねじ孔26に締結される。この時、第2移動規制部材150により、ベースプレート56と冷却部材23が直接接触しない状態で回路基板8が支持され、ベースプレート56と冷却部材23の間に生じた隙間は放熱材201によって埋められ、組立公差や両者の表面形状ばらつきは吸収される。
つまり、回路基板8をボルト85で冷却部材23に締結固定しているが、その締結力により回路基板8および電力用半導体素子63(電力用半導体モジュール63´)が直接的に冷却部材23に押し付けられことはない。放熱材201は弾性力が小さい材料であるため冷却部材23からの反力(モータ軸方向の上向きの反力)は、非常に小さくなる。従って、電力用半導体素子63の端子C63と回路基板8の固着部91に生じる応力を緩和できる。
したがって、回路基板8と電力用半導体素子63の端子63Cとの固着部91に生じる応力を緩和でき、クラックの発生を抑制できる。
また、電力用半導体素子63の第2の面(下面DS、放熱板64)は、絶縁樹脂シート69、ベースプレート56および放熱材201を介して、冷却部材23の上面と十分な面接触が図れ、放熱性が向上する。
このようにして、インバータ装置9を着脱可能に冷却部材23へ取り付けることができる。ここで、上記の冷却部材23は、図6に示すように電動圧縮機1のモータが内蔵される筐体2の一部である。従って上記方法を用いて、電動圧縮機1を組み立てることができる。すなわち、予めサブラインなどで回路基板8とインバータ回路部6およびフィルタ回路部7を一体化したインバータ装置9を製造する。そしてインバータ装置9を筐体2内に区画される回路収容部22に収容し、上述した方法によって回路基板8をボルト85により筐体2に固定し、電動圧縮機1が組み立てられる。
なお、図12に示すように、第1移動規制部材150において基板係合部152を回路基板8と係合させた後、当該基板係合部152を熱かしめして回路基板8に固定するようにしてもよい。また、第2実施形態において、ベースプレート56を設けず、絶縁樹脂部67によって複数の電力用半導体素子63を一体的にモールドしてもよい。
また、第1移動規制部材100の台座部104を例えばプレート状に形成してもよい。プレート状の台座部104は、独立した(一体化されていない)複数(例えば3個、または6個)の電力用半導体素子63を上方から纏めて覆うことが可能(保持可能)な形状とし、その表面から突出する1または複数の係合部103(第1係合部103A,第2係合部103B)を設けてもよい。
また上記の例ではスイッチング素子としてIGBTを例示したが、これに限らず、SiC素子,MOSFETなどであってもよい。
尚、本発明の電動圧縮機1は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
本発明は、電動圧縮機の分野に利用できる。
1 電動圧縮機
2 筐体
3 モータ
3a 巻線
4 回転軸
5 圧縮機構
6 インバータ回路部
7 フィルタ回路部
8 回路基板(プリント基板)
9 インバータ装置
21 ハウジング
22 回路収容部
23 隔壁(冷却部材)
56 ベースプレート
63 電力用半導体素子
63C 端子
63´ 電力用半導体素子モジュール
63H 固定用孔部
63P 樹脂パッケージ
64 放熱板
65 スリーブ部品
67 絶縁樹脂部
67U 樹脂部上面
69 絶縁樹脂シート
70 フィルタ回路部品
83 端子挿通孔
85 ボルト
86 ボルト挿通孔
88 係合孔
90 導電性接着剤
91 固着部
100 第1移動規制部材
102 基板当接部
103 基板係合部
104 台座部
110 第2移動規制部材
151 台座部
152 基板係合部
153 基板当接部
161 冷却部材当接部
162 基板当接部
201 放熱材
210 放熱材充填部

Claims (9)

  1. インバータ装置を冷却部材に取り付けるインバータ装置の取り付け構造であって、
    前記インバータ装置は、
    電力用半導体素子と、
    前記電力用半導体素子の第1の面に対向して配置される回路基板と、
    前記回路基板と前記電力用半導体素子の端子とを電気的に固着する導電性接着剤と、
    前記電力用半導体素子と前記回路基板とを所定距離に維持する移動規制部材と、を有し、
    放熱材を介して前記電力用半導体素子の第2の面を前記冷却部材に対向させ、前記回路基板を前記冷却部材に取り付ける、
    ことを特徴とする、インバータ装置の取り付け構造。
  2. 前記回路基板と前記冷却部材とを所定距離に維持可能な他の移動規制部材を有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のインバータ装置の取り付け構造。
  3. 前記移動規制部材は、少なくとも前記電力用半導体素子とは固着されることなく、該電力用半導体素子および前記回路基板のそれぞれの一部と当接する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のインバータ装置の取り付け構造。
  4. 前記移動規制部材は、該電力用半導体素子および前記回路基板のそれぞれの一部と当接可能な台座部と、該台座部から突出し前記回路基板と係合する係合部を有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のインバータ装置の取り付け構造。
  5. 前記移動規制部材は、前記台座部から突出し前記電力用半導体素子と係合する他の係合部を有する、
    ことを特徴とする請求項4に記載のインバータ装置の取り付け構造。
  6. 前記放熱材は流動性および/または柔軟性を有する材料である、
    ことを特徴とする請求項1に記載のインバータ装置の取り付け構造。
  7. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のインバータ装置の取り付け構造を有し、
    筐体内にモータが内蔵される電動圧縮機であって、
    前記冷却部材は前記筐体の一部である、
    ことを特徴とする電動圧縮機。
  8. 前記筐体内に区画される回路収容部に前記インバータ装置を収容する、
    ことを特徴とする請求項7に記載の電動圧縮機。
  9. 前記冷却部材は前記回路収容部の底面であり、該底面に前記放熱材の充填部を備える、
    ことを特徴とする請求項8に記載の電動圧縮機。
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