JP2024013920A - モータ駆動制御装置およびモータ駆動制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】モータの駆動制御における演算の負荷を低減する。【解決手段】モータ駆動制御装置10において、駆動回路2は、駆動制御信号Sdに基づいてモータ3のコイルを駆動するインバータ回路2aと、モータ3のコイルの駆動電流を検出し、検出した駆動電流に応じた電流検出信号Vmを出力する電流検出回路2cと、を含み、制御回路1は、モータ3の動作の目標状態を指示する値を含む駆動指令信号Scを取得する駆動指令取得部11と、電流検出信号Vmに基づいて検出した前記駆動電流の絶対値の包絡線に基づいて、2相の回転座標系のd軸電流値をゼロとしたときのq軸電流値を算出するq軸電流値算出部12と、q軸電流値と、駆動指令信号と、モータ3の回転速度と、回転角度とを用いてベクトル制御演算を行うことにより、駆動制御信号Sdを生成する演算部13と、を含む。【選択図】図2
Description
特許法第30条第2項適用申請有り (1)2022年 一般社団法人電気学会 モータドライブ/家電・民生合同研究会,予稿集,ウェブサイト掲載,2022年2月26日 https://www.iee.jp/tech_mtg/host/host_2022/ https://www.bookpark.ne.jp/cm/ieej/detail/IEEJ-20220301X09901-017-PDF/ (2)2022年 一般社団法人電気学会 モータドライブ/家電・民生合同研究会,学会発表,ウェブサイト掲載,2022年3月1日 https://www.iee.jp/tech_mtg/host/host_2022/ https://www.bookpark.ne.jp/cm/ieej/detail/IEEJ-20220301X09901-017-PDF/
本発明は、モータ駆動制御装置及びモータ駆動制御方法に関する。
一般に、ブラシレスDCモータとしての永久磁石同期モータ(PMSM:Permanent Magnet Synchronous Motor)は、回転子の表面に永久磁石を張り付けた表面磁石型同期モータ(SPMSM:Surface Permanent Magnet Synchronous Motor)と回転子の内部に永久磁石を埋め込んだ埋め込み磁石型同期モータ(IPMSM:Interior Permanent Magnet Synchronous Motor)とに大別される。
従来、永久磁石同期モータ(PMSM)の駆動制御技術として、ベクトル制御によるモータ駆動制御方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、ベクトル制御によるモータ駆動制御方法では、固定座標系と回転座標系との間での座標変換や除算等の複雑な演算を行う必要があり、モータ駆動制御装置としてのマイクロコントローラ等のプログラム処理装置による演算の負荷が大きくなる。そのため、大容量のメモリを搭載し、複雑な演算を高速で処理可能な高性能なマイクロコントローラ等が必要となり、モータ駆動制御装置のコストの増大を招いている。
本発明は、上述した課題を解消するためのものであり、モータの駆動制御における演算の負荷を低減することを目的とする。
本発明の代表的な実施の形態に係るモータ駆動制御装置は、モータを駆動させるための駆動制御信号を出力する制御回路と、前記制御回路から出力された前記駆動制御信号に基づいて前記モータを駆動する駆動回路と、を備え、前記駆動回路は、前記駆動制御信号に基づいて前記モータのコイルを駆動するインバータ回路と、前記コイルの駆動電流を検出し、検出した前記駆動電流に応じた電流検出信号を出力する電流検出回路と、を含み、前記制御回路は、前記モータの動作の目標状態を指示する値を含む駆動指令信号を取得する駆動指令取得部と、前記電流検出信号に基づいて検出した前記駆動電流の絶対値の包絡線に基づいて、2相の回転座標系のd軸電流値をゼロとしたときのq軸電流値を算出するq軸電流値算出部と、前記q軸電流値算出部によって算出した前記q軸電流値と、前記駆動指令信号と、前記モータのロータの回転速度と、前記ロータの回転角度とを用いてベクトル制御演算を行うことにより、前記駆動制御信号を生成する演算部と、を含むことを特徴とする。
本発明の一態様によれば、モータ駆動制御における演算の負荷を低減することが可能となる。
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。なお、以下の説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の参照符号を、括弧を付して記載している。
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。なお、以下の説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の参照符号を、括弧を付して記載している。
〔1〕本発明の代表的な実施の形態に係るモータ駆動制御装置(10,10A)は、モータ(3)を駆動させるための駆動制御信号(Sd)を出力する制御回路(1,1A)と、前記制御回路から出力された前記駆動制御信号に基づいて前記モータを駆動する駆動回路(2)と、を備え、前記駆動回路は、前記駆動制御信号に基づいて前記モータのコイルを駆動するインバータ回路(2a)と、前記コイルの駆動電流を検出し、検出した前記駆動電流に応じた電流検出信号(Vm)を出力する電流検出回路(2c)と、を含み、前記制御回路は、前記モータの動作の目標状態を指示する値を含む駆動指令信号(Sc,Sc1)を取得する駆動指令取得部(11)と、前記電流検出信号に基づいて検出した前記駆動電流の絶対値の包絡線に基づいて、2相の回転座標系のd軸電流値をゼロとしたときのq軸電流値を算出するq軸電流値算出部(12)と、前記q軸電流値算出部によって算出した前記q軸電流値と、前記駆動指令信号と、前記モータのロータの回転速度と、前記ロータの回転角度とを用いてベクトル制御演算を行うことにより、前記駆動制御信号を生成する演算部(13,13A)と、を含むことを特徴とする。
〔2〕上記〔1〕に記載のモータ駆動制御装置において、前記q軸電流値算出部は、前記電流検出信号の絶対値を検出し、検出した絶対値を表す信号を出力する絶対値出力部(121)と、前記絶対値を表す信号のピーク値を検出し、検出したピーク値を表す信号(ip)を出力するピーク値出力部(122)と、前記ピーク値を表す信号が入力されるローパスフィルタ(123)と、前記ローパスフィルタから出力された値にπ/3を乗算し、前記q軸電流値として出力する乗算部(124)と、を含んでいてもよい。
〔3〕上記〔1〕に記載のモータ駆動制御装置において、前記電流検出回路は、前記インバータ回路に直列に接続され、前記電流検出信号として前記駆動電流を示す単一の信号を出力し、前記q軸電流値算出部は、前記電流検出信号のピーク値を検出し、前記q軸電流値として出力するピークホールド回路(125)を含んでいてもよい。
〔4〕上記〔1〕乃至〔3〕の何れかに記載のモータ駆動制御装置において、前記演算部は、前記駆動指令信号に基づいて、前記2相の回転座標系のq軸電流の指令値を算出するq軸電流指令値算出部(17)と、前記q軸電流値と前記q軸電流の指令値との差が小さくなるように、前記2相の回転座標系の電圧指令値(vref)を算出する電圧指令値算出部(19)と、前記q軸電流値と、前記ロータの回転速度とに基づいて、前記2相の回転座標系のd軸電流値がゼロになる進角値を算出する進角制御部(20)と、前記進角値と前記ロータの回転角度とを加算した角度と、前記電圧指令値とに基づいて、空間ベクトル変換を行って、前記駆動制御信号を生成する駆動制御信号生成部(22)と、を有していてもよい。
〔5〕上記〔4〕に記載のモータ駆動制御装置において、前記2相の回転座標系のd軸電流値がゼロになる進角値は、前記電圧指令値のベクトルのd軸方向の成分が前記d軸電流値がゼロであるときのd軸電圧値に一致するときの、前記電圧指令値のベクトルのq軸に対する角度に基づく値であってもよい。
〔6〕上記〔5〕に記載のモータ駆動制御装置において、前記進角制御部は、前記ロータの回転速度と、前記q軸電流値と、前記進角値との対応関係を示す対応関係情報(201)を有し、前記対応関係情報に基づいて前記進角値を算出してもよい。
〔7〕上記〔6〕に記載のモータ駆動制御装置において、前記対応関係情報は、前記ロータの回転速度と前記q軸電流値の組み合わせ毎に前記進角値を対応付けたテーブルであってもよい。
〔8〕上記〔4〕乃至〔7〕の何れかに記載のモータ駆動制御装置において、前記進角制御部は、前記電圧指令値のベクトルのq軸に対する角度にπ/2を加算して前記進角値を算出してもよい。
〔9〕上記〔4〕に記載のモータ駆動制御装置(10A)において、前記演算部(13A)は、前記q軸電流値算出部によって算出された前記q軸電流値と、q軸電圧の指令値としての前記電圧指令値算出部によって算出した前記電圧指令値とを入力とし、前記回転角度の推定値と前記回転速度の推定値とを出力とする線形カルマンフィルタに基づく演算を行う推定部(24)を更に有し、前記線形カルマンフィルタは、線形且つ時不変で表される予測ステップと、更新ステップとを含んでいてもよい。
〔10〕上記〔9〕に記載のモータ駆動制御装置において、前記モータは、d軸電流値がゼロ、且つ前記回転速度が一定とした場合の前記モータのq軸電圧の方程式から導かれる状態空間モデルで表され、少なくとも前記q軸電流値、前記回転角度、および前記回転速度を状態変数としてもよい。
〔11〕上記〔4〕乃至〔8〕のいずれかに記載のモータ駆動制御装置(10)において、前記ロータの位置に応じた信号を出力する位置センサ(4u,4v,4w)を更に備え、前記演算部(13)は、前記位置センサから出力された信号に基づいて、前記ロータの回転角度を取得する回転角度取得部(14)と、前記位置センサから出力された信号に基づいて、前記ロータの回転速度を取得する回転速度取得部(15)と、を更に有し、前記q軸電流指令値算出部は、前記モータの回転速度の目標値と前記回転速度取得部によって取得した前記ロータの回転速度との差が小さくなるように、前記q軸電流の指令値を算出してもよい。
本発明の代表的な実施の形態に係るモータ駆動制御方法は、モータ(3)の動作の目標状態を指示する値を含む駆動指令信号(Sc,Sc1)を取得する第1ステップ(S1)と、前記モータのコイルの駆動電流を検出する第2ステップ(S4)と、前記第2ステップにおいて検出した前記駆動電流の絶対値の包絡線に基づいて、2相の回転座標系のd軸電流値をゼロとしたときのq軸電流値を算出する第3ステップ(S5)と、前記第1ステップにおいて取得した前記駆動指令信号と、前記第3ステップにおいて算出した前記q軸電流値と、前記モータのロータの回転速度と、前記ロータの回転角度とを用いてベクトル制御演算を行うことにより、前記モータを駆動させるための駆動制御信号を生成する第4ステップ(S9)と、を含むことを特徴とする。
2.実施の形態の具体例
以下、本発明の実施の形態の具体例について図を参照して説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態において共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
以下、本発明の実施の形態の具体例について図を参照して説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態において共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
≪実施の形態1≫
図1は、実施の形態1に係るモータ駆動制御装置10を備えたモータユニット100の構成を示す図である。
図1は、実施の形態1に係るモータ駆動制御装置10を備えたモータユニット100の構成を示す図である。
図1に示すように、モータユニット100は、モータ3と、モータ3の回転を制御するモータ駆動制御装置10と、を備えている。モータユニット100は、例えばファン等の、モータを駆動源として用いる種々の機器に適用することができる。
モータ3は、例えば、永久磁石同期モータ(PMSM)である。本実施の形態において、モータ3は、例えば、3相のコイルLu,Lv,Lwを有する表面磁石型同期モータ(SPMSM)である。コイルLu,Lv,Lwは、例えば、互いにY結線されている。
モータ駆動制御装置10は、例えば、モータ3に正弦波駆動信号を与えることにより、モータ3の3相のコイルLu,Lv,Lwに周期的に正弦波状の駆動電流を流してモータ3のロータ31を回転させる(図3参照)。
モータ駆動制御装置10は、制御回路1と駆動回路2とを有している。
なお、図1に示されているモータ駆動制御装置10の構成要素は、全体の一部であり、モータ駆動制御装置10は、図1に示されたものに加えて、他の構成要素を有していてもよい。
なお、図1に示されているモータ駆動制御装置10の構成要素は、全体の一部であり、モータ駆動制御装置10は、図1に示されたものに加えて、他の構成要素を有していてもよい。
駆動回路2は、後述する制御回路1から出力された駆動制御信号Sdに基づいてモータ3を駆動する。駆動回路2は、例えば、インバータ回路2a、プリドライブ回路2b、および電流検出回路2cを有する。
インバータ回路2aは、直流電源Vccとグラウンド電位との間に配置され、入力された駆動制御信号Sdに基づいて、負荷としてのモータ3のコイルLu,Lv,Lwを駆動する回路である。具体的には、実施の形態1において、インバータ回路2aは、直列に接続された2つの駆動用トランジスタを含むスイッチングレグを3つ有し、入力された駆動制御信号Sdに基づいて、2つの駆動用トランジスタが交互にオン・オフ動作(スイッチング動作)を行うことにより、負荷としてのモータ3を駆動する。
より具体的には、インバータ回路2aは、モータ3のU相、V相、およびW相にそれぞれ対応するスイッチングレグを有する。図1に示すように、各相に対応するスイッチングレグは、直流電源Vccとグラウンド電位との間に電流検出回路2cを介して直列に接続された2つの駆動用トランジスタQ1とQ2,Q3とQ4,Q5とQ6を有している。
ここで、駆動用トランジスタQ1,Q3,Q5は、例えば、Pチャネル型のMOSFETであり、駆動用トランジスタQ2,Q4,Q6は、例えば、Nチャネル型のMOSFETである。なお、駆動用トランジスタQ1~Q6は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の他の種類のトランジスタであってもよい。
例えば、U相に対応するスイッチングレグは、互いに直列に接続された駆動用トランジスタQ1,Q2を有する。駆動用トランジスタQ1と駆動用トランジスタQ2とが共通に接続される点は、負荷としてのコイルLuの一端に接続されている。V相に対応するスイッチングレグは、互いに直列に接続された駆動用トランジスタQ3,Q4を有する。駆動用トランジスタQ3と駆動用トランジスタQ4とが共通に接続される点は、負荷としてのコイルLvの一端に接続されている。W相に対応するスイッチングレグは、互いに直列に接続された駆動用トランジスタQ5,Q6を有する。駆動用トランジスタQ5と駆動用トランジスタQ6とが共通に接続される点は、負荷としてのコイルLwの一端に接続されている。
プリドライブ回路2bは、制御回路1から出力された駆動制御信号Sdに基づいて、インバータ回路2aを駆動するための駆動信号を生成する。
駆動制御信号Sdは、モータ3の駆動を制御するための信号であり、例えばPWM(Pulse Width Modulation)信号である。具体的には、駆動制御信号Sdは、インバータ回路2aを構成する各スイッチ素子のオン/オフの状態によって定まるモータ3のコイルLu,Lv,Lwの通電パターンを切り替えるための信号である。より具体的には、駆動制御信号Sdは、インバータ回路2aの各駆動用トランジスタQ1~Q6に対応する6種類のPWM信号を含む。
プリドライブ回路2bは、制御回路1から供給された駆動制御信号Sdとしての6種類のPWM信号に基づいて、インバータ回路2aの各駆動用トランジスタQ1~Q6の制御電極(ゲート電極)を駆動するのに十分な電力を供給可能な6種類の駆動信号Vuh,Vul,Vvh,Vvl,Vwh,Vwlを生成する。
これらの駆動信号Vuh,Vul,Vvh,Vvl,Vwh,Vwlがインバータ回路2aの各駆動用トランジスタQ1~Q6の制御電極(ゲート電極)に入力されることにより、各駆動用トランジスタQ1~Q6がオン・オフ動作(スイッチング動作)を行う。例えば、各相に対応するスイッチングレグの上側アームの駆動用トランジスタQ1,Q3,Q5と下側アームの駆動用トランジスタQ2,Q4,Q6は、交互にオン・オフ動作を行う。これにより、モータ3の各相に直流電源Vccから電力が供給され、モータ3が回転する。
なお、制御回路1が駆動信号Vuh,Vul,Vvh,Vvl,Vwh,Vwlを生成できる場合には、駆動回路2は、プリドライブ回路2bを有していなくてもよい。
電流検出回路2cは、モータ3のコイルLu,Lv,Lwの駆動電流(相電流)iu,iv,iwを検出するための回路である。電流検出回路2cは、駆動電流(相電流)iu,iv,iwに応じた電流検出信号Vmを出力する。電流検出回路2cは、例えば、インバータ回路2aと直列に接続され、電流検出信号Vmとして、コイルLu,Lv,Lwの駆動電流iu,iv,iwを示す信号を出力する。
具体的には、電流検出回路2cは、例えば、電流検出素子としての少なくとも一つの抵抗(シャント抵抗)を含む。抵抗は、例えば、直流電源Vccとグラウンド電位との間にインバータ回路2aと直列に接続されている。実施の形態1において、電流検出回路2cとしての抵抗は、例えば、図1に示すように、インバータ回路2aの負側(グラウンド側)に接続されている。電流検出回路2cは、モータ3のコイルLu,Lv,Lwの駆動電流iu,iv,iwを上記抵抗によって電圧に変換し、その電圧を電流検出信号Vmとして制御回路1に入力する。これにより、電流検出信号Vmは、コイルLu,Lv,Lwの駆動電流iu,iv,iwを示す信号となる。
位置センサ4は、モータ3のロータ31の回転位置を検出するための装置である。位置センサ4は、ロータ31の回転位置に応じた信号を出力する。位置センサ4は、例えば、ホール素子である。図1には、一例として、モータ3のU相、V相、およびW相毎に、位置センサ4u,4v,4wとしてのホール素子が設けられた場合が示されている。以下、位置センサ4u,4v,4wを「ホール素子4u,4v,4w」とも称する。
ホール素子4u,4v,4wは、例えば、互いに略等間隔(例えば、隣り合うものと120度の間隔)にモータ3のロータ(回転子)31の周囲に配置されている。ホール素子4u,4v,4wは、それぞれ、ロータ31の磁極を検出し、ロータ31の回転に応じて電圧が変化するホール信号を回転位置検出信号Hu,Hv,Hwとして出力する。回転位置検出信号Hu,Hv,Hwは、制御回路1に入力される。
なお、制御回路1には、このようなホール信号に代えて、モータ3のロータ31の回転位置に対応する他の信号が回転位置検出信号として入力されるように構成されていてもよい。例えば、エンコーダやレゾルバ等を設け、その検出信号が制御回路1に入力されるようにしてもよい。
制御回路1は、例えば、外部から入力される、モータ3の動作の目標状態を指示する駆動指令信号Scに基づいて、モータ3を駆動させるための駆動制御信号Sdを生成し、モータ3の駆動を制御する。具体的には、制御回路1は、電流検出回路2cからの電流検出信号Vm、および位置センサ4u,4v,4wからの回転位置検出信号Hu,Hv,Hwに基づいて、モータ3のロータ31の回転速度やトルク等の情報を得ることでモータ3の回転状態を監視するとともに、モータ3が駆動指令信号Scによって指定された動作状態となるように駆動制御信号Sdを生成して、駆動回路2に与える。
実施の形態1において、制御回路1は、例えば、CPU等のプロセッサと、RAM,ROM等の各種記憶装置と、カウンタ(タイマ)、A/D変換回路、D/A変換回路、クロック発生回路、および入出力I/F回路等の周辺回路とが、バスや専用線を介して互いに接続された構成を有するプログラム処理装置(例えばマイクロコントローラ)である。
なお、モータ駆動制御装置10は、制御回路1の少なくとも一部と駆動回路2の少なくとも一部とが一つの集積回路装置(IC)としてパッケージ化された構成であってもよいし、制御回路1と駆動回路2がそれぞれ個別の集積回路装置として夫々パッケージ化された構成であってもよい。
制御回路1は、従来のモータのベクトル制御における演算負荷を低減するために、簡易的な手法によってq軸電流値を算出し、駆動制御信号Sdを生成する。以下、制御回路1による駆動制御信号Sdの生成手法について詳細に説明する。
図2は、実施の形態1に係るモータ駆動制御装置10における制御回路1の機能ブロック構成を示す図である。
図2に示すように、制御回路1は、駆動制御信号Sdを生成するための機能ブロックとして、駆動指令取得部11、q軸電流値算出部12、および演算部13を有する。
これらの機能ブロックは、例えば、制御回路1としてのプログラム処理装置において、プロセッサが、メモリに記憶されたプログラムに従って各種演算処理を実行するとともに、カウンタやA/D変換回路等の周辺回路を制御することによって実現される。
駆動指令取得部11は、外部から駆動指令信号Scを受信し、受信した駆動指令信号Scを解析することにより、駆動指令信号Scで指定されたモータ3の目標となる動作状態を指定する値を取得する。
駆動指令信号Scは、モータ3の動作の目標状態を指示する値を含む。駆動指令信号Scは、例えば、モータ駆動制御装置10の外部に設けられた、モータユニット100を制御するための上位装置から出力される信号である。
実施の形態1において、駆動指令信号Scは、例えば、モータ3のロータの回転速度を指定する速度指令信号Sc1である。駆動指令信号Scは、モータ3のロータの目標となる回転速度(目標回転速度)の値ωrefを含んでいる。以下、実施の形態1では、駆動指令信号Scが速度指令信号Sc1であるとして説明する。
速度指令信号Sc1は、例えば、指定する目標回転速度ωrefに応じたデューティ比を有するPWM信号である。駆動指令取得部11は、例えば、速度指令信号Sc1としてのPWM信号のデューティ比を計測し、計測したデューティ比に応じた回転速度を目標回転速度ωrefとして出力する。
q軸電流値算出部12は、モータ3のコイルLu,Lv,Lwの駆動電流iu,iv,iwの絶対値(振幅)に基づいて、2相の回転座標系のq軸電流値を算出する機能部である。以下、実施の形態1におけるq軸電流値の算出方法について説明する。
先ず、実施の形態1に係るモータ駆動制御装置10によるベクトル制御における座標系について説明する。なお、実施の形態1に係るモータ駆動制御装置10は、座標変換を行わないが、便宜上、3相(U,V,W)の固定座標系とベクトル制御における2相(d,q)の回転座標系とを対応付けて説明する。
図3は、3相(U,V,W)の固定座標系と2相(d,q)の回転座標系との関係を示す図である。
図3に示すように、U-V-W軸は3相の固定座標系であり、d-q軸は2相の回転座標系である。一般に、ベクトル制御において、2相(d,q)の回転座標系におけるd軸をモータ3のロータ(回転子)31の磁石(永久磁石)の磁束(N極)方向とし、q軸をd軸から正方向に90度進んだ方向とする。この場合、回転角度取得部14によって計測されるロータ31の回転角度θは、d軸の回転角度となり、例えば、3相(U,V,W)の固定座標系におけるu軸とd軸とのなす角となる。
一般に、永久磁石同期モータ(PMSM)のトルクは、以下の式で表されることが知られている。
上記式(1)において、Teは発生トルク、Pは極対数、Ψは永久磁石(ロータ)の磁束、Ldはd軸インダクタンス、Lqはq軸インダクタンス、idはd軸電流値、iqはq軸電流値、ΨIqはマグネットトルク、“(Ld-Lq)idiq”はリラクタンストルクである。
ここで、モータ3が表面磁石型同期モータ(SPMSM)である場合、d軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqとが等しい(Ld=Lq)ため、リラクタンストルクが発生しない。したがって、式(1)から理解されるように、d軸電流値idをゼロにしたときに、モータ3の効率を最大にすることができる。
次に、モータ3の各相の駆動電流と2相の回転座標系のq軸電流値との関係について説明する。
図4Aは、モータ3の各相の駆動電流およびq軸電流を示す図である。
図4Aにおいて、横軸は時間、縦軸は電流をそれぞれ表している。
図4Aにおいて、横軸は時間、縦軸は電流をそれぞれ表している。
図4Aに示すように、モータ3を正弦波駆動したとき、モータ3の各相のコイルの駆動電流iu,iv,iwは、例えば、互いに位相が120度ずれた正弦波状の波形となる。
上述したように、モータの効率を最大にするためには、d軸電流値idをゼロにする。d軸電流値idがゼロのとき、q軸電流値iqは、モータ3の各相のコイルの駆動電流(相電流)iu,iv,iwの振幅と一致する。
図4Bは、駆動電流(相電流)iu,iv,iwの絶対値の包絡線およびq軸電流を示す図である。
図4Bにおいて、横軸は時間、縦軸は電流をそれぞれ表している。
図4Bにおいて、横軸は時間、縦軸は電流をそれぞれ表している。
図4Bに示すように、図4Aに示した各駆動電流(相電流)iu,iv,iwの絶対値をプロットした波形の包絡線を描いた場合、その包絡線は、参照符号400に示す波形となる。すなわち、各駆動電流iu,iv,iwの絶対値の包絡線(以下、「ピーク電流ip」とも称する。)は、d軸電流値idをゼロとしたときのq軸電流値iq(波形401)の下側をなぞるように振動する波形400となる。そして、図4Bから理解されるように、ピーク電流ip(波形400)のピーク値は、d軸電流値idをゼロとしたときのq軸電流値iqと一致する。
そこで、実施の形態1に係るモータ駆動制御装置10では、q軸電流値算出部12が、モータ3の各駆動電流iu,iv,iwの絶対値に基づいて、d軸電流値idをゼロとしたときのq軸電流値を算出する。
具体的には、q軸電流値算出部12は、電流検出回路2cから出力された電流検出信号Vmに基づいて検出した各駆動電流iu,iv,iwの絶対値の包絡線(ピーク電流ip)に基づいて、2相の回転座標系のq軸電流値を算出する。
例えば、図2に示すように、q軸電流値算出部12は、絶対値出力部121と、ピーク値出力部122と、ローパスフィルタ(LPF)123と、乗算部124と、を含んでいてもよい。絶対値出力部121、ピーク値出力部122、ローパスフィルタ123、および乗算部124の一部または全部は、制御回路1としてのプログラム処理装置によるプログラム処理によって実現されていてもよいし、OPアンプ等の専用回路によって実現されていてもよい。
上述したように、電流検出信号Vmは、モータ3の各相のコイルの駆動電流(相電流)iu,iv,iwを示す信号となっている。そこで、絶対値出力部121に電流検出信号Vmを入力する。絶対値出力部121は、入力された電流検出信号Vmの絶対値を検出し、検出した絶対値を表す信号を出力する。例えば、絶対値出力部121は、モータ3の各相のコイルの駆動電流iu,iv,iwの絶対値を夫々検出し、各駆動電流iu,iv,iwの絶対値を表す信号をそれぞれ出力する。
ピーク値出力部122は、絶対値出力部121から出力された絶対値を表す信号のピーク値を検出し、検出したピーク値を表す信号を出力する。例えば、ピーク値出力部122は、モータ3の各相のコイルの駆動電流iu,iv,iwの絶対値を表す3つの信号のうち最も振幅の大きい信号の最大値をピーク値として検出し、検出したピーク値を表す信号を出力する。これにより、ピーク値出力部122から出力されるピーク値を表す信号は、各駆動電流iu,iv,iwの絶対値の包絡線(ピーク電流ip)となる。
ローパスフィルタ123には、ピーク値出力部122から出力されたピーク値を表す信号(ピーク電流ip)が入力される。ローパスフィルタ123は、入力されたピーク値を表す信号(ピーク電流ip)の高周波成分を除去した信号を出力する。例えば、ローパスフィルタ123は、図4Bに示したピーク電流ipを平滑化した信号を出力する。
乗算部124は、ローパスフィルタ123から出力された信号(値)に所定値を乗算する。例えば、乗算部124は、ローパスフィルタ123から出力された値に“π/3”を乗算する。これにより、d軸電流値idをゼロとしたときのq軸電流値の近似値を得ることができる(図4B参照)。乗算部124は、上述のように算出したq軸電流値の近似値を“q軸電流値iq”として出力する。
なお、乗算部124がローパスフィルタ123から出力された値に乗算する“所定値”は、上述の“π/3”に限定されず、ローパスフィルタ123から出力された値から適切なq軸電流値が算出できるように適宜設定すればよい。
演算部13は、q軸電流値算出部12によって算出したq軸電流値iqと、駆動指令取得部11によって取得した駆動指令信号Sc(速度指令信号Sc1)と、モータ3のロータ31の回転速度と、ロータ31の回転角度とを用いてベクトル制御演算を行うことにより、駆動制御信号Sdを生成する。
例えば、演算部13は、回転角度取得部14、回転速度取得部15、誤差算出部16,18、q軸電流指令値算出部17、電圧指令値算出部19、進角制御部20、加算部21、および駆動制御信号生成部22を有する。
回転角度取得部14は、モータ3のロータ31の回転角度の計測値を取得する機能部である。回転角度取得部14は、例えば、位置センサ4u,4v,4wから出力された回転位置検出信号Hu,Hv,Hwに基づいて、公知の計算手法により、モータ3のロータ31の回転角度(回転位置)θを算出する。
回転速度取得部15は、モータ3のロータ31の回転速度の計測値を取得する機能部である。回転速度取得部15は、位置センサ4u,4v,4wから出力された回転位置検出信号Hu,Hv,Hwに基づいて、公知の計算手法により、モータ3のロータ31の回転速度ωを算出する。実施の形態では、例えば、回転速度取得部15は、回転角度取得部14によって算出された回転角度θに基づいて、モータ3のロータ31の回転速度ωを算出する。
誤差算出部16は、駆動指令取得部11から出力された目標回転速度ωrefと回転速度取得部15によって取得したモータ3の実際の回転速度ωとの差(ωref‐ω)を算出する機能部である。
q軸電流指令値算出部17は、モータ3の目標回転速度ωrefと回転速度ωとの差が小さくなるように、q軸電流の指令値iqrefを算出する機能部である。q軸電流指令値算出部17は、例えば、PI制御演算により、誤差算出部16によって算出した誤差(ωref‐ω)がゼロになるように、モータ3の制御量としてのq軸電流の指令値iqrefを算出する。
誤差算出部18は、q軸電流指令値算出部17によって算出したq軸電流の指令値iqrefとq軸電流値算出部12によって算出したq軸電流値iqとの差(iqref‐iq)を算出する機能部である。
電圧指令値算出部19は、q軸電流指令値算出部17によって算出したq軸電流の指令値iqrefとq軸電流値算出部12によって算出したq軸電流値iqとの差が小さくなるように、回転座標系(d,q)の電圧指令値vrefを算出する機能部である。電圧指令値算出部19は、例えば、PI制御演算により、誤差算出部18によって算出した誤差(iqref‐iq)がゼロになるように、モータ3の制御量としての電圧指令値vrefを算出する。
進角制御部20は、モータ3の進角制御を行う機能部である。
進角制御部20は、q軸電流値算出部12によって算出したq軸電流値iqと、回転速度取得部15によって取得したロータ31の回転速度ωとに基づいて、各コイルLu,Lv,Lwの印加電圧(相印加電圧)の位相進み角度(進角値φ)を算出する。具体的には、進角制御部20は、回転座標系(d,q)のd軸電流値idがゼロになる進角値δを算出する。以下、実施の形態1に係る進角値δの算出方法について、詳細に説明する。
進角制御部20は、q軸電流値算出部12によって算出したq軸電流値iqと、回転速度取得部15によって取得したロータ31の回転速度ωとに基づいて、各コイルLu,Lv,Lwの印加電圧(相印加電圧)の位相進み角度(進角値φ)を算出する。具体的には、進角制御部20は、回転座標系(d,q)のd軸電流値idがゼロになる進角値δを算出する。以下、実施の形態1に係る進角値δの算出方法について、詳細に説明する。
図5は、モータのコイルの印加電圧に対する電流の遅れを説明するための図である。
一般に、モータのコイルに電圧を印加した場合、コイルのインダクタンスにより、コイルの電流は印加電圧に対して位相が遅れる。そこで、一般的な進角制御では、コイルの電流の印加電圧に対する位相の遅れ分φだけ、印加電圧の位相を進めて、電流が所望の位相となるよう制御する。この場合の印加電圧の位相の進み角度を進角値φと称する。
一般に、モータのコイルに電圧を印加した場合、コイルのインダクタンスにより、コイルの電流は印加電圧に対して位相が遅れる。そこで、一般的な進角制御では、コイルの電流の印加電圧に対する位相の遅れ分φだけ、印加電圧の位相を進めて、電流が所望の位相となるよう制御する。この場合の印加電圧の位相の進み角度を進角値φと称する。
上述したように、表面磁石型同期モータ(SPMSM)では、d軸インダクタンスとq軸インダクタンスとが等しいため、d軸電流値idをゼロにしたとき、モータの効率が最大となる。d軸電流値idをゼロ、すなわち、電流をq軸成分のみとするためには、印加電圧の位相をq軸に対して進角値φだけ進ませればよい。
そこで、実施の形態1に係るモータ駆動制御装置10は、回転座標系のd軸電流値idがゼロになる進角値φを算出し、その進角値φと回転座標系の電圧指令値vrefとで表される極座標の情報に基づいて空間ベクトル変換を行うことにより、駆動制御信号Sdを生成する。
図6は、進角値の算出方法を説明するための図である。
同図には、横軸をd軸、縦軸をq軸としたときの電圧指令値vref(ベクトル)が示されている。
同図には、横軸をd軸、縦軸をq軸としたときの電圧指令値vref(ベクトル)が示されている。
一般に、永久磁石同期モータ(PMSM)の2相(d,q)の回転座標系におけるd軸電圧値vdは、下記式(2)によって表される。
ここで、d軸電流値id=0としたときのd軸電圧値vdは、上記式(2)より、下記式(3)で表すことができる。
したがって、電圧指令値vrefのベクトルのd軸方向成分が“‐ωLqiq”となるように進角値φを決定する進角制御を行うことにより、d軸電流値idがゼロになるようにモータ3の駆動を制御することができる。
図6に示すように、電圧指令値vrefのベクトルとq軸とのなす角をφとしたとき、式(3)より、下記式(4)が成り立つ。
上記式(4)より、d軸電流値idをゼロにするときの進角値φは、下記式(5)で表される。
本実施の形態に係るモータ駆動制御装置10において、進角制御部20は、q軸電流値算出部12によって算出したq軸電流値iqと、回転速度取得部15によって取得したロータ31の回転速度ωとに基づいて、2相(d,q)の回転座標系のd軸電流値idがゼロになる進角値φを算出する。
具体的には、進角制御部20は、電圧指令値vrefのベクトルのd軸方向の成分が、d軸電流値idがゼロであるときのd軸電圧値vdに一致するときの、電圧指令値vrefのベクトルのq軸に対する角度(進角値)φを算出する。
ここで、モータ3のロータ31の回転角度θは、d軸の回転角度である。一方、図6に示すように、進角値φは、電圧指令値vrefのベクトルのq軸に対する角度である。したがって、d軸を基準とした進角値δは、“φ+π/2”となる。進角制御部20は、進角値δ(=φ+π/2)を算出して出力する。
具体的には、進角制御部20は、ロータ31の回転速度ωと、q軸電流値iqと、進角値δ(φ)との対応関係を示す対応関係情報201を用いて、進角値δを算出する。対応関係情報201を用いた進角値δの算出方法としては、以下の手法を例示することができる。
第1の手法として、進角制御部20は、対応関係情報201として、式(5)で表される進角値φの関数を有し、式(5)に基づいて進角値φを算出してもよい。例えば、式(5)で表される角度φの関数を対応関係情報201として、制御回路1内のメモリに予め記憶しておく。進角制御部20は、対応関係情報201としての式(5)をメモリから読み出して、q軸電流値算出部12によって算出したq軸電流値iqと回転速度取得部15によって取得したロータ31の回転速度ωとを式(5)に代入することにより、d軸電流値idがゼロになる角度φを算出する。そして、進角制御部20は、算出した角度φにπ/2を加算した値を、d軸を基準とした進角値δとして出力する。
式(5)において、q軸インダクタンスLqは固定値である。したがって、進角制御部20は、上記式(5)を用いた演算において、q軸インダクタンスLqとして、例えば、制御回路1内のメモリに予め記憶しておいた値を用いることができる。また、進角制御部20は、上記(5)を用いた演算において、電圧指令値vrefとして、電圧指令値算出部19によって算出された値を用いることができる。
なお、電圧指令値vrefは、q軸電流値iqと回転速度ωとから算出することができるので、進角制御部20は、電圧指令値算出部19から電圧指令値vrefの値を取得せず、q軸電流値iqと回転速度ωとを用いて電圧指令値vrefの値を算出してもよい。
第2の手法として、進角制御部20は、対応関係情報201として、回転速度ωとq軸電流値iqの組み合わせ毎に進角値δを対応付けたテーブルを有し、そのテーブルに基づいて進角値φを算出してもよい。
図7は、対応関係情報201としての、回転速度ωとq軸電流値iqの組み合わせ毎に進角値δを対応付けたテーブルの一例を示す図である。
上述したように、q軸インダクタンスLqは固定値であり、電圧指令値vrefは、q軸電流値iqと回転速度ωから算出することができる。そこで、ロータ31の回転速度ωとq軸電流値iqを変数として、予め、最適となる進角値δを実測しておく。或いは、予め、上記式(5)を用いて進角値δを算出しておく。そして、変数としての回転速度ωとq軸電流値iqの組み合わせ毎に進角値δを対応付けたテーブルを作成し、対応関係情報201として、制御回路1内のメモリに予め記憶しておく。
進角制御部20は、q軸電流値算出部12によって算出したq軸電流値iqと、回転速度取得部15によって取得したロータ31の回転速度ωとを引数として、対応関係情報201としてのテーブルを参照し、その引数に対応する進角値δをテーブルから読み出して出力する。
上述の手法によって算出された進角値δは、加算部21に入力される。加算部21は、進角制御部20から出力された進角値δと回転角度取得部14によって取得したロータ31の回転角度θとを加算し、加算した値を電圧指令値vrefのベクトルの角度σ(=θ+δ)の情報として出力する。
駆動制御信号生成部22は、進角値δとロータ31の回転角度θとを加算した角度σと、電圧指令値vrefとに基づいて、駆動制御信号Sdを生成する機能部である。駆動制御信号生成部22は、電圧指令値算出部19から出力された電圧指令値vrefと、加算部21から出力された角度σ(=θ+δ)とによって表される極座標の情報に基づいて、空間ベクトル変換を行う。すなわち、駆動制御信号生成部22は、公知の空間ベクトル変換の演算手法により、電圧指令値vrefと角度σ(=θ+δ)の極座標値によって表される電圧ベクトルを3相(U,V,W)の固定座標系の電圧信号(PWM信号)に変換し、駆動制御信号Sdとして出力する。
次に、実施の形態1に係るモータ駆動制御装置10による駆動制御信号Sdの生成処理の流れについて説明する。
図8は、実施の形態1に係るモータ駆動制御装置10による駆動制御信号Sdの生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
先ず、制御回路1は、例えば、上位装置から速度指令信号Sc1が入力されると、速度指令信号Sc1を解析することにより、速度指令信号Sc1によって指定されたモータ3の目標回転速度ωrefの情報を取得する(ステップS1)。
次に、制御回路1は、モータ3のロータ31の回転角度θを取得する(ステップS2)。具体的には、上述したように、回転角度取得部14が、位置センサとしてのホール素子4u,4v,4wから出力された回転位置検出信号Hu,Hv,Hwに基づいてモータ3のロータ31の回転角度θを算出する。
制御回路1は、モータ3の回転速度ωを取得する(ステップS3)。具体的には、上述したように、回転速度取得部15が、ステップS2で算出したロータ31の回転角度θに基づいて、モータ3のロータ31の回転速度ωを算出する。
制御回路1は、モータ3の各相のコイルの駆動電流iu,iv,iwを検出する(ステップS4)。具体的には、電流検出回路2cが、上述した手法により、コイルの各駆動電流iu,iv,iwに応じた電流検出信号Vmを出力し、q軸電流値算出部12が電流検出信号Vmを取得する。
次に、制御回路1は、q軸電流値iqを算出する(ステップS5)。具体的には、q軸電流値算出部12が、ステップS4で取得した電流検出信号Vmに基づいて、上述した手法により、q軸電流値iqを算出する。
次に、制御回路1は、モータ3の目標回転速度ωrefとステップS3で取得したロータ31の回転速度ωとの差が小さくなるように、q軸電流の指令値iqrefを算出する(ステップS6)。具体的には、上述したように、誤差算出部16によって目標回転速度ωrefとモータ3の実際の回転速度ωとの差を算出し、q軸電流指令値算出部17が誤差算出部16によって算出した差がゼロになるようにPI制御演算を行うことにより、q軸電流の指令値iqrefを算出する。
次に、制御回路1は、ステップS6で算出したq軸電流の指令値iqrefとステップS5で算出したq軸電流値iqとの差が小さくなるように、2相(d,q)の回転座標系の電圧指令値vrefを算出する(ステップS7)。具体的には、上述したように、誤差算出部18が、q軸電流の指令値iqrefとモータ3の実際のq軸電流値iqとの差を算出し、電圧指令値算出部19が、誤差算出部18によって算出した差がゼロになるようにPI制御演算を行うことにより、電圧指令値vrefを算出する。
次に、制御回路1は、ステップS5で算出したq軸電流値iqと、ステップS3で取得したロータ31の回転速度ωとに基づいて、d軸電流値idがゼロになる進角値δを算出する(ステップS8)。具体的には、進角制御部20が、対応関係情報201を用いた上述の手法により、進角値δを算出する。
次に、制御回路1は、ステップS8で算出した進角値δとロータ31の回転角度θとを加算した角度σと、ステップS7で算出した電圧指令値vrefとに基づいて、駆動制御信号Sdを生成する(ステップS9)。具体的には、上述したように、駆動制御信号生成部22が、公知の空間ベクトル変換の演算手法により、電圧指令値vrefと角度σ(=θ+δ)の極座標値によって表される電圧ベクトルを3相(U,V,W)の固定座標系の電圧信号(PWM信号)に変換し、駆動制御信号Sdとして出力する。
以上の処理手順で生成された駆動制御信号Sdは、駆動回路2に供給される。駆動回路2は、入力された駆動制御信号Sdに基づいて、上述した手法により、モータ3のコイルの通電を制御する。これにより、モータ3は、速度指令信号Sc1によって指定された目標回転速度ωrefで回転するように制御される。
以上、実施の形態1に係るモータ駆動制御装置10において、制御回路1は、モータ3の各相のコイルを駆動する駆動電流iu,iv,iwの絶対値を検出し、当該絶対値の包絡線に基づいて、2相の回転座標系のd軸電流値をゼロとしたときのq軸電流値を算出し、ベクトル制御演算を行うことにより、駆動制御信号Sdを生成する。
これによれば、q軸電流を算出するために従来の座標変換を行う必要がないので、モータの駆動制御における演算の負荷を低減することが可能となる。これにより、制御回路1としてのマイクロコントローラ等のプログラム処理装置として必要な処理能力を低く抑えることできるので、コストを抑えたモータ駆動制御装置10を提供することが可能となる。
また、制御回路1において、q軸電流値算出部12は、電流検出信号Vmの絶対値を検出し、検出した絶対値を表す信号を出力する絶対値出力部121と、上記絶対値を表す信号のピーク値を検出し、検出したピーク値を表す信号を出力するピーク値出力部122と、上記ピーク値を表す信号が入力されるローパスフィルタ123と、ローパスフィルタ123から出力された値に所定値(例えば、π/3)を乗算し、q軸電流値iqとして出力する乗算部124と、を含んでいてもよい。
これによれば、モータ3の駆動電流iu,iv,iwの絶対値(振幅)からq軸電流値iqの推定値を簡単且つ高精度に算出することが可能となる。
これによれば、モータ3の駆動電流iu,iv,iwの絶対値(振幅)からq軸電流値iqの推定値を簡単且つ高精度に算出することが可能となる。
また、制御回路1は、モータ3の効率を最大化するために、d軸電流値idがゼロになるように進角制御を行うことにより、モータ3を駆動する。これによれば、座標変換によってd軸電流値idを算出し、算出したd軸電流値idがゼロになるようにベクトル制御演算を行う従来手法に比べて、演算の負荷を低減することが可能となる。これにより、制御回路1としてのプログラム処理装置に必要な処理能力を更に低く抑えることが可能となるので、よりコストを抑えたモータ駆動制御装置10を提供することが可能となる。
また、制御回路1は、d軸電流値idをゼロにするための進角値δ(φ)を算出する際に、ロータ31の回転速度ωと、q軸電流値iqと、進角値δとの対応関係を示す対応関係情報201を用いる。これにより、制御回路1による演算の負荷を更に減らすことが可能となる。例えば、上述したように、ロータ31の回転速度ωとq軸電流値iqの組み合わせ毎に進角値δを対応付けたテーブルを対応関係情報201として制御回路1のメモリに予め記憶しておく。これによれば、複雑な計算を行うことなく、進角値δを算出することができるので、制御回路1による演算の負荷を更に減らすことが可能となる。
≪実施の形態2≫
図9は、実施の形態2に係るモータ駆動制御装置10Aを備えたモータユニット100Aの構成を示す図である。
図9は、実施の形態2に係るモータ駆動制御装置10Aを備えたモータユニット100Aの構成を示す図である。
実施の形態2に係るモータユニット100Aは、モータ駆動制御装置10Aが位置センサを用いないセンサレスベクトル制御によってモータ3を駆動することが可能である点において、実施の形態1に係るモータユニット100と相違し、その他の点においては、実施の形態1に係るモータユニット100と同様である。
図10は、実施の形態2に係るモータ駆動制御装置10Aにおける制御回路1Aの機能ブロック構成を示す図である。
図10に示すように、制御回路1Aは、駆動制御信号Sdを生成するための機能ブロックとして、駆動指令取得部11、q軸電流値算出部12、および演算部13Aを有する。
これらの機能ブロックは、例えば、実施の形態1に係る制御回路1と同様に、制御回路1Aとしてのプログラム処理装置において、プロセッサが、メモリに記憶されたプログラムに従って各種演算処理を実行するとともに、カウンタやA/D変換回路等の周辺回路を制御することによって実現される。
演算部13Aは、q軸電流値算出部12によって算出したq軸電流値iqと、駆動指令取得部11によって取得した駆動指令信号(速度指令信号Sc1)と、モータ3のロータ31の回転速度と、ロータ31の回転角度とを用いてベクトル制御演算を行うことにより、駆動制御信号Sdを生成する。
例えば、演算部13Aは、実施の形態1に係る演算部13と同様に、誤差算出部16,18、q軸電流指令値算出部17、電圧指令値算出部19、進角制御部20、加算部21、および駆動制御信号生成部22を有する。演算部13Aは、回転角度取得部14および回転速度取得部15に代えて、推定部24および記憶部23を有する。
推定部24は、モータ3のロータの回転角度(回転位置)θとロータの回転速度ωを推定する機能部である。記憶部23は、推定部24による演算に必要な各種データを記憶するための機能部である。
以下、推定部24によるモータ3のロータの回転角度θおよび回転速度ωの推定手法について具体的に説明する。
制御回路1Aは、駆動制御信号Sdを生成するとき、モータ3の駆動電流の検出結果に基づいて算出した2相(d,q)の回転座標系のq軸電流値iqと、2相の回転座標系のq軸電圧の指令値vrefとを入力値とする線形カルマンフィルタを用いて、モータ3の回転角度θおよび回転速度ω(電気角速度ωe)を推定する。
具体的には、推定部24が、q軸電流値算出部12によって算出したq軸電流値iqと、q軸電圧の指令値としての電圧指令値算出部19によって算出した電圧指令値vrefとを入力とし、ロータの回転角度θの推定値とロータの回転速度ωの推定値とを出力とする線形カルマンフィルタに基づく演算を行う。
実施の形態2における線形カルマンフィルタは、予測ステップと更新ステップを含み、予測ステップが、線形且つ時不変で表される定常カルマンフィルタである。
以下、実施の形態2に係る線形カルマンフィルタについて説明する。
先ず、一般的なカルマンフィルタについて説明する。
カルマンフィルタは、状態空間モデルにおいて、内部の見えない「状態」を効率的に推定するための計算手法である。推定すべき状態変数の正規性を仮定し、その平均値(推定値)と分散(共分散行列)を逐次的に推定する。カルマンフィルタは、一つ前の状態の推定値から現在の状態を予測する予測ステップと、予測ステップで予測した状態を現在の観測値を用いて修正する更新ステップ(フィルタリングステップ)とから構成される。
カルマンフィルタは、状態空間モデルにおいて、内部の見えない「状態」を効率的に推定するための計算手法である。推定すべき状態変数の正規性を仮定し、その平均値(推定値)と分散(共分散行列)を逐次的に推定する。カルマンフィルタは、一つ前の状態の推定値から現在の状態を予測する予測ステップと、予測ステップで予測した状態を現在の観測値を用いて修正する更新ステップ(フィルタリングステップ)とから構成される。
ここで、予測ステップは、下記式(6)によって表され、更新ステップは、下記式(7)によってそれぞれ表される。
式(6)および式(7)において、uは入力を表し、G,gはゲインを表している。
ここで、予測ステップが線形で表せるとき、すなわち、予測ステップが下記式(8)で表されるとき、そのカルマンフィルタは線形カルマンフィルタとなる。
更に、予測ステップを表す上記式(8)における係数A,Bが時不変である場合、その線形カルマンフィルタは、定常カルマンフィルタとなる。この場合、共分散行列が一定値となり、且つ、カルマンゲインも一定値となる。すなわち、カルマンフィルタが線形且つ時不変の場合、共分散行列とカルマンゲインの値は、予測ステップおよび予測ステップの演算ステップ毎に変化せず、一定となる。
従来のモータのセンサレスベクトル制御に用いられていた拡張カルマンフィルタは、予測ステップが線形・時不変で表されていないため、予測ステップおよび予測ステップの演算を行う毎に、共分散行列とカルマンゲインを算出する必要があった。
これに対し、実施の形態2に係るモータ駆動制御装置10Aによるセンサレスベクトル制御では、予測ステップを線形且つ時不変で表した定常カルマンフィルタ(線形カルマンフィルタ)を用いることにより、共分散行列とカルマンゲインの値が固定値となるので、予測ステップおよび予測ステップの演算を行う毎にこれらの値を算出する必要がなく、事前に算出しておくことが可能となる。
次に、実施の形態2に係るモータ駆動制御装置10Aによるセンサレスベクトル制御で用いる線形カルマンフィルタについて説明する。
一般に、2相(d,q)の回転座標系における永久磁石同期モータ(PMSM)の電圧方程式は、下記式(9)によって表される。
上記式(9)において、vdはd軸電圧、vqはq軸電圧、Raはモータのコイルの巻線抵抗、Ldはd軸インダクタンス、Lqはq軸インダクタンス、ωeは電気角速度、Ψaはロータの磁石のd軸方向の磁束、sは微分演算子である。
上記式(9)より、q軸電圧vqの方程式は、下記式(10)で表すことができる。
上記式(9)より、q軸電圧vqの方程式は、下記式(10)で表すことができる。
ここで、q軸電流値iq、回転角度θ、および電気角速度ωeを状態変数とし、状態ベクトルを下記式(11)で定義する。
更に、下記式(12)に示すように、d軸電流値idがゼロ、且つ回転速度(電気角速度ωe)が一定であると定義する。
このとき、上記式(10),式(11),および式(12)より、実施の形態2に係るモータ3の状態空間モデルは、下記式(13)および式(14)で表される。
ただし、Ac,Bc,cは、それぞれ下記式(15)によって定義される。
このように、d軸電流値idがゼロ、且つ回転速度(電気角速度ωe)が一定と定義することによって、モータ3の状態空間モデルは、上記式(13)乃至(15)に示す線形・時不変で表すことができる。
次に、上述した線形カルマンフィルタを用いた、モータ3の回転角度θおよび回転速度ω(電気角速度ωe)の推定方法について説明する。
ここで、Qは3×3行列のチューニングパラメータ、Rはスカラーのチューニングパラメータである。また、Ad,Bdは、Ac,Bcおよび制御周期(サンプル周期)Tsを用いて下記式(21)および式(22)で表すことができる。
Ad,Bdは、上記式(21)および(22)において、所望の次数まで考慮した近似式で表すことにより、固定値として予め算出することができる。
上述したように、モータ3の状態空間モデルは、上記式(13)乃至(15)に示す線形時不変で表すことができる。
この線形・時不変の状態空間モデルでは、式(17)および式(20)で表される誤差共分散行列が一定値に収束するので、式(18)に示されるように、誤差共分散行列に基づいて算出されるカルマンゲインg(k)も一定値に収束する。
したがって、本実施の形態に係る線形カルマンフィルタでは、予め、推定誤差共分散行列とカルマンゲインg(k)を算出しておくことができる。そこで、本実施の形態に係る制御回路1は、予め算出しておいたカルマンゲインg(k)の値を制御回路1内部の記憶装置に記憶しておくことにより、推定誤差共分散行列およびカルマンゲインg(k)を算出する処理を省くことができる。
ここで、gはカルマンゲインであり、上記式(15)、式(17)、式(18)、式(20)、および式(21)を用いて事前に算出した値である。
推定部24は、上記式(23)および式(24)に基づく演算を実行することにより、モータ3のロータの回転角度θおよび回転速度ωを算出する。推定部24が実行する演算は、図11に示すブロック線図によって表すことができる。
図11は、実施の形態2に係る制御回路1Aの推定部24における演算処理の一例を示すブロック線図である。
例えば、制御回路1Aの記憶部23に、演算式情報231と係数情報232とを予め記憶しておく。演算式情報231は、上述した式(23)および式(24)で示される関数の情報である。係数情報232は、上記式(23)および式(24)による演算で用いる係数(固定値)の情報であり、例えば、Ad,Bd、カルマンゲインg等の値である。上述したようにAd,Bd、カルマンゲインg等は事前に算出しておくことができるので、固定値として記憶部23に記憶させておく。
なお、上記線形カルマンフィルタによって算出されるモータ3のロータの回転速度は電気角速度ωeである。したがって、推定部24は、算出した電気角速度ωeを機械的な回転速度(角速度)ωに変換して誤差算出部16に供給してもよいし、算出した電気角速度ωeをそのまま出力し、駆動指令取得部11が目標回転速度ωrefを電気角速度に変換して誤差算出部16に供給してもよい。
以上のように、推定部24を上述の線形カルマンフィルタ(図11参照)によって実現することにより、従来の拡張カルマンフィルタにおいて行われる推定誤差共分散行列およびカルマンゲインを算出するための演算を省略することができるので、推定部24の演算負荷を抑えることが可能となる。
推定部24が上述の演算手法によって算出した回転角度θおよび回転速度ωの推定値は、誤差算出部16、進角制御部20、および加算部21に供給されることにより、制御回路1Aは、実施の形態1に係る制御回路1と同様に、ベクトル制御演算を実行して駆動制御信号Sdを生成することができる。
次に、実施の形態2に係るモータ駆動制御装置10Aによる駆動制御信号Sdの生成処理の流れについて説明する。
図12は、実施の形態2に係るモータ駆動制御装置10Aによる駆動制御信号Sdの生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
一般に、カルマンフィルタによる演算を開始するためには、状態変数(iq,ωe,θ)の初期値が必要である。例えば、モータ3が停止している状態から回転させる場合、状態変数としてのq軸電流値iqおよびモータ3の回転速度(電気角速度ωe)の初期値はともにゼロである。その一方で、モータ3の回転角度θは不明であることが多い。
そこで、実施の形態2に係るモータ駆動制御装置10Aは、線形カルマンフィルタによる演算を実行する前に、モータ3のロータの予め設定された初期位置を特定する。例えば、モータ駆動制御装置10Aは、モータ3の回転角度θが特定できる位置までロータを回転させる。例えば、モータユニット100Aが起動したとき、制御回路1Aは、先ず、モータ3のロータを予め設定された初期位置θ0(例えば、0°)まで回転移動させてロックする(ステップS11)。より具体的には、制御回路1Aは、起動後、所定の大きさの電圧指令値vrefに応じた駆動制御信号Sdを生成して駆動回路2を制御する。これにより、モータ3のステータが励磁され、ロータが初期位置θ0で固定される。
なお、モータ3のロータの予め設定された初期位置を特定する方法としては、上述したロータを回転させる方法に限られず、例えば、モータ3に高周波電圧を印加したときの応答を検出する方法等、種々の方法を採用することができる。
次に、制御回路1Aは、推定部24による線形カルマンフィルタの状態変数の初期値x(0)を設定する(ステップS12)。例えば、推定部24は、状態変数(iq,ωe,θ)の初期値x(0)を(0,0,0)に設定する。
なお、ロータの初期位置θ0は、回転角度=0°の位置である必要はなく、予め回転角度の値が決まった回転位置であればよい。また、起動時などの速度変化時は、dωe/dt=0という前提条件が成立しないが、チューニングパラメータである行列Qを最適に設定することで対応可能である。
次に、例えば、上位装置から速度指令信号Sc1が入力された場合、制御回路1Aは、速度指令信号Sc1を解析することにより、速度指令信号Sc1によって指定されたモータ3の目標回転速度ωrefの情報を取得する(ステップS13)。
制御回路1Aは、モータ3を目標回転速度ωrefで回転させるための駆動制御信号Sdの生成処理を開始する(ステップS14)。
先ず、制御回路1Aは、モータ3の各相のコイルの駆動電流iu,iv,iwの絶対値を検出する(ステップS4)。具体的には、q軸電流値算出部12が、実施の形態1において説明した手法により、電流検出信号Vmに基づいて駆動電流iu,iv,iwの絶対値を検出する。
次に、制御回路1Aは、q軸電流値iqを算出する(ステップS5)。具体的には、q軸電流値算出部12が、実施の形態1において説明した手法により、ステップS4で検出した駆動電流iu,iv,iwの絶対値に基づいて、q軸電流値iqを算出する。
次に、制御回路1Aは、モータ3の目標回転速度ωrefと推定部24から出力されたロータ31の回転速度ωの推定値との差が小さくなるように、q軸電流の指令値iqrefを算出する(ステップS6)。具体的には、上述したように、誤差算出部16が、目標回転速度ωrefとモータ3の実際の回転速度ωの推定値との差を算出し、q軸電流指令値算出部17が、誤差算出部16によって算出した差がゼロになるようにPI制御演算を行うことにより、q軸電流の指令値iqrefを算出する。なお、起動直後の最初の演算ステップでは、推定部24から回転速度ω(ωe)の初期値(例えば、ゼロ)が誤差算出部16に与えられる。
次に、制御回路1Aは、ステップS5で算出したq軸電流値iqとステップS6で算出したq軸電流の指令値iqrefとの差が小さくなるように、q軸電圧の指令値vrefを算出する(ステップS7)。具体的には、上述したように、誤差算出部18が、q軸電流の指令値iqrefとモータ3の実際のq軸電流値iqとの差を算出し、電圧指令値算出部19が、誤差算出部18によって算出した差がゼロになるようにPI制御演算を行うことにより、q軸電圧の指令値vrefを算出する。
次に、制御回路1Aは、モータ3の回転角度θおよび回転速度ωの推定値を更新する(ステップS15)。具体的には、上述したように、推定部24が、記憶部23から読み出した演算式情報231(式(23),式(24))および係数情報232(カルマンゲインg等)と、ステップS5で算出したq軸電流値iqと、ステップS7で算出したq軸電圧の指令値vrefとに基づいて、所定のサンプル周期Tsごとに、予測ステップの演算と更新ステップ(フィルタリングステップ)の演算を逐次実行することにより、回転角度θおよび回転速度ωの推定値を更新する。
次に、制御回路1Aは、ステップS5で算出したq軸電流値iqと、ステップS15で更新したロータ31の回転速度ωとに基づいて、d軸電流値idがゼロになる進角値δを算出する(ステップS8)。具体的には、進角制御部20が、対応関係情報201を用いた上述の手法により、進角値δを算出する。なお、起動直後の最初の演算ステップでは、推定部24から回転速度ω(ωe)の初期値(例えば、ゼロ)が進角制御部20に与えられる。
次に、制御回路1Aは、ステップS8で算出した進角値δとステップS15で推定したロータ31の回転角度θとを加算した角度σと、ステップS7で算出した電圧指令値vrefとに基づいて、駆動制御信号Sdを生成する(ステップS9)。具体的には、上述したように、駆動制御信号生成部22が、公知の空間ベクトル変換の演算手法により、電圧指令値vrefと角度σ(=θ+δ)の極座標値によって表される電圧ベクトルを3相(U,V,W)の固定座標系の電圧信号(PWM信号)に変換し、駆動制御信号Sdとして出力する。
以上の処理手順で生成された駆動制御信号Sdは、駆動回路2に供給される。駆動回路2は、入力された駆動制御信号Sdに基づいて、上述した手法により、モータ3のコイルの通電を制御する。これにより、モータ3は、速度指令信号Sc1によって指定された目標回転速度ωrefで回転するように制御される。
以上、実施の形態2に係るモータ駆動制御装置10Aの制御回路1Aは、実施の形態1に係る制御回路1と同様に、q軸電流値算出部12によって、モータ3の各相のコイルの駆動電流iu,iv,iwの絶対値の包絡線に基づいて2相の回転座標系のd軸電流値をゼロとしたときのq軸電流値を算出し、演算部13によってベクトル制御演算を行うことにより、駆動制御信号Sdを生成する。
これによれば、実施の形態1に係る制御回路1と同様に、制御回路1Aは、q軸電流を算出するために従来の座標変換を行う必要がないので、モータのセンサレスベクトル制御における演算の負荷を低減することが可能となる。
これによれば、実施の形態1に係る制御回路1と同様に、制御回路1Aは、q軸電流を算出するために従来の座標変換を行う必要がないので、モータのセンサレスベクトル制御における演算の負荷を低減することが可能となる。
また、実施の形態2に係るモータ駆動制御装置10Aにおいて、制御回路1Aは、センサレスベクトル制御において、予測ステップが線形且つ時不変で表される線形カルマンフィルタを用いて、モータ3の各相のコイルの駆動電流iu,iv,iwの絶対値の包絡線に基づいて算出したq軸電流値iqとq軸電圧の指令値vrefとから、モータ3の回転角度θおよび回転速度ωを推定する。
これによれば、従来の拡張カルマンフィルタを用いたセンサレスベクトル制御に比べて、制御回路1Aの演算負荷を低減することが可能となる。
具体的には、実施の形態2において、モータ3は、d軸電流値idがゼロ、且つ回転速度が一定(dωe/dt=0)とした場合のモータのq軸電圧の方程式(式(10))から導かれる状態空間モデル(式(13),(14))で表され、少なくともq軸電流値iq、回転角度θ、および回転速度ω(電気角速度ωe)を状態変数(式(11))とする。
具体的には、実施の形態2において、モータ3は、d軸電流値idがゼロ、且つ回転速度が一定(dωe/dt=0)とした場合のモータのq軸電圧の方程式(式(10))から導かれる状態空間モデル(式(13),(14))で表され、少なくともq軸電流値iq、回転角度θ、および回転速度ω(電気角速度ωe)を状態変数(式(11))とする。
この線形カルマンフィルタによれば、従来の拡張カルマンフィルタと比べて、推定誤差共分散行列およびカルマンゲインを算出するための演算を省略することができるので、制御回路1Aによる演算の負荷を削減することができる。これにより、制御回路1Aとしてのプログラム処理装置(例えば、マイクロコントローラ)に必要な処理能力を更に低く抑えることが可能となり、モータ駆動制御装置10の更なるコスト削減が可能となる。
また、実施の形態2に係る制御回路1Aは、予測ステップの演算のための関数(式(23))と更新ステップ(フィルタリングステップ)の演算のための関数(式(24))とを演算式情報231として記憶部23に記憶しておくとともに、予め算出しておいたカルマンゲインの値等を係数情報232として記憶部23に記憶しておく。
これによれば、制御回路1Aは、所定のサンプル周期Ts毎の予測ステップおよび更新ステップにおいて、記憶部23に記憶された値を用いて、式(23)および式(24)の演算を実行すればよいので、容易に演算の負荷を減らすことが可能となり、モータ駆動制御装置10の更なるコスト削減が可能となる。
≪実施の形態の拡張≫
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、実施の形態1,2において、q軸電流値算出部12が絶対値出力部121と、ピーク値出力部122と、ローパスフィルタ123および乗算部124を含む場合を例示したが、これに限られない。例えば、図13に示すように、q軸電流値算出部12は、ピークホールド回路(PHC)125を含んでいてもよい。例えば、ピークホールド回路125は、モータ3の各相のコイルの駆動電流iu,iv,iwを示す信号である単一の電流検出信号Vmのピーク値を検出するとともに保持し、q軸電流値iqとして出力する。これによれば、上述の絶対値出力部121、ピーク値出力部122、ローパスフィルタ123、および乗算部124、を含む構成と同様に、モータ3の駆動電流iu,iv,iwからq軸電流値iqの推定値を簡単且つ高精度に算出することが可能となる。なお、この場合、電流検出回路2cとしてインバータ回路2aに直列に接続された1つのシャント抵抗によって駆動電流iu,iv,iwが同時に検出される。電流検出回路2cは所謂1シャント方式で構成される。すなわち、駆動電流iu,iv,iwを示す信号である単一の電流検出信号Vmがピークホールド回路125に入力される。
また、実施の形態1,2において、電流検出回路2cとしてインバータ回路2aに直列に接続されたシャント抵抗によって駆動電流iu,iv,iwを検出する手法を例示したが、公知の他の電流検出技術によって駆動電流iu,iv,iwを検出してもよい。例えば、各相のコイルとそれらに接続されるインバータ回路2aの各駆動用トランジスタが共通に接続される点との間に設けられたシャント抵抗によって駆動電流iu,iv,iwを検出してもよい。すなわち、駆動電流iu,iv,iwの検出方法は、上述の例に限定されない。
また、実施の形態1,2において、駆動指令信号Scが、モータ3の回転速度の目標値(目標回転速度)を含む速度指令信号Sc1である場合を例示したが、これに限られない。例えば、駆動指令信号Scは、モータ3のトルクを指定するトルク指令信号であってもよい。
また、実施の形態1,2において、モータ3が表面磁石型同期モータ(SPMSM)である場合を説明したが、これに限られない。例えば、モータ3が表面磁石型同期モータ(SPMSM)でない場合(例えば、モータ3がIPMSMの場合)であっても、リラクタンストルクを利用せず、d軸電流の指令値を常にゼロとするベクトル制御を行う場合には、本実施の形態に係るモータ駆動制御装置10,10Aを用いることができる。
また、実施の形態1,2において、制御回路1,1Aは、上述した回路構成に限定されない。制御回路1,1Aは、本発明の目的にあうように構成された、様々な回路構成を適用することができる。
実施の形態1、2においてモータ駆動制御装置10,10Aにより駆動されるモータ3の相数は、3相に限られない。
上述のフローチャートは具体例であって、このフローチャートに限定されるものではなく、例えば、各ステップ間に他の処理が挿入されていてもよいし、処理が並列化されていてもよい。
1,1A…制御回路、2…駆動回路、2a…インバータ回路、2b…プリドライブ回路、2c…電流検出回路、3…モータ、10,10A…モータ駆動制御装置、11…駆動指令取得部、12…q軸電流値算出部、13,13A…演算部、14…回転角度取得部、15…回転速度取得部、16,18…誤差算出部、17…q軸電流指令値算出部、19…電圧指令値算出部、20…進角制御部、21…加算部、22…駆動制御信号生成部、23…記憶部、24…推定部、100,100A…モータユニット、121…絶対値出力部、122…ピーク値出力部、123…ローパスフィルタ、124…乗算部、125…ピークホールド回路、201…対応関係情報、231…演算式情報、232…係数情報、Q1~Q6…駆動用トランジスタ、Sc…駆動指令信号、Sc1…速度指令信号、Sd…駆動制御信号、θ…回転角度、ω…回転速度、ωe…電気角速度、iq…q軸電流値、iqref…q軸電流の指令値、vref…電圧指令値、Vcc…直流電源、Vuu,Vul,Vvu,Vvl,Vwu,Vwl…駆動信号、Vm…電流検出信号、ωref…目標回転速度。
Claims (12)
- モータを駆動させるための駆動制御信号を出力する制御回路と、
前記制御回路から出力された前記駆動制御信号に基づいて前記モータを駆動する駆動回路と、を備え、
前記駆動回路は、
前記駆動制御信号に基づいて前記モータのコイルを駆動するインバータ回路と、
前記コイルの駆動電流を検出し、検出した前記駆動電流に応じた電流検出信号を出力する電流検出回路と、を含み、
前記制御回路は、
前記モータの動作の目標状態を指示する値を含む駆動指令信号を取得する駆動指令取得部と、
前記電流検出信号に基づいて前記駆動電流の絶対値を検出し、当該絶対値の包絡線に基づいて、2相の回転座標系のd軸電流値をゼロとしたときのq軸電流値を算出するq軸電流値算出部と、
前記q軸電流値算出部によって算出した前記q軸電流値と、前記駆動指令信号と、前記モータのロータの回転速度と、前記ロータの回転角度とを用いてベクトル制御演算を行うことにより、前記駆動制御信号を生成する演算部と、を含む
モータ駆動制御装置。 - 請求項1に記載のモータ駆動制御装置において、
前記q軸電流値算出部は、
前記電流検出信号の絶対値を検出し、検出した絶対値を表す信号を出力する絶対値出力部と、
前記絶対値を表す信号のピーク値を検出し、検出したピーク値を表す信号を出力するピーク値出力部と、
前記ピーク値を表す信号が入力されるローパスフィルタと、
前記ローパスフィルタから出力された値にπ/3を乗算し、前記q軸電流値として出力する乗算部と、を含む
モータ駆動制御装置。 - 請求項1に記載のモータ駆動制御装置において、
前記電流検出回路は、前記インバータ回路に直列に接続され、前記電流検出信号として前記駆動電流を示す単一の信号を出力し、
前記q軸電流値算出部は、
前記電流検出信号のピーク値を検出し、前記q軸電流値として出力するピークホールド回路を含む
モータ駆動制御装置。 - 請求項1に記載のモータ駆動制御装置において、
前記演算部は、
前記駆動指令信号に基づいて、前記2相の回転座標系のq軸電流の指令値を算出するq軸電流指令値算出部と、
前記q軸電流値と前記q軸電流の指令値との差が小さくなるように、前記2相の回転座標系の電圧指令値を算出する電圧指令値算出部と、
前記q軸電流値と、前記ロータの回転速度とに基づいて、前記2相の回転座標系のd軸電流値がゼロになる進角値を算出する進角制御部と、
前記進角値と前記ロータの回転角度とを加算した角度と、前記電圧指令値とに基づいて、空間ベクトル変換を行って、前記駆動制御信号を生成する駆動制御信号生成部と、を有する
モータ駆動制御装置。 - 請求項4に記載のモータ駆動制御装置において、
前記2相の回転座標系のd軸電流値がゼロになる進角値は、前記電圧指令値のベクトルのd軸方向の成分が前記d軸電流値がゼロであるときのd軸電圧値に一致するときの、前記電圧指令値のベクトルのq軸に対する角度に基づく値である
モータ駆動制御装置。 - 請求項5に記載のモータ駆動制御装置において、
前記進角制御部は、前記ロータの回転速度と、前記q軸電流値と、前記進角値との対応関係を示す対応関係情報を有し、前記対応関係情報に基づいて前記進角値を算出する
モータ駆動制御装置。 - 請求項6に記載のモータ駆動制御装置において、
前記対応関係情報は、前記ロータの回転速度と前記q軸電流値の組み合わせ毎に前記進角値を対応付けたテーブルである
モータ駆動制御装置。 - 請求項4に記載のモータ駆動制御装置において、
前記進角制御部は、前記電圧指令値のベクトルのq軸に対する角度にπ/2を加算して前記進角値を算出する
モータ駆動制御装置。 - 請求項4に記載のモータ駆動制御装置において、
前記演算部は、
前記q軸電流値算出部によって算出された前記q軸電流値と、q軸電圧の指令値としての前記電圧指令値算出部によって算出した前記電圧指令値とを入力とし、前記回転角度の推定値と前記回転速度の推定値とを出力とする線形カルマンフィルタに基づく演算を行う推定部を更に有し、
前記線形カルマンフィルタは、線形且つ時不変で表される予測ステップと、更新ステップとを含む
モータ駆動制御装置。 - 請求項9に記載のモータ駆動制御装置において、
前記モータは、d軸電流値がゼロ、且つ前記回転速度が一定とした場合の前記モータのq軸電圧の方程式から導かれる状態空間モデルで表され、少なくとも前記q軸電流値、前記回転角度、および前記回転速度を状態変数とする
モータ駆動制御装置。 - 請求項4に記載のモータ駆動制御装置において、
前記ロータの位置に応じた信号を出力する位置センサを更に備え、
前記演算部は、
前記位置センサから出力された信号に基づいて、前記ロータの回転角度を取得する回転角度取得部と、前記位置センサから出力された信号に基づいて、前記ロータの回転速度を取得する回転速度取得部と、を更に有し、
前記q軸電流指令値算出部は、前記モータの回転速度の目標値と前記回転速度取得部によって取得した前記ロータの回転速度との差が小さくなるように、前記q軸電流の指令値を算出する
モータ駆動制御装置。 - モータの動作の目標状態を指示する値を含む駆動指令信号を取得する第1ステップと、
モータのコイルの駆動電流を検出する第2ステップと、
前記第2ステップにおいて検出した前記駆動電流の絶対値の包絡線に基づいて、2相の回転座標系のd軸電流値をゼロとしたときのq軸電流値を算出する第3ステップと、
前記第1ステップにおいて取得した前記駆動指令信号と、前記第3ステップにおいて算出した前記q軸電流値と、前記モータのロータの回転速度と、前記ロータの回転角度とを用いてベクトル制御演算を行うことにより、前記モータを駆動させるための駆動制御信号を生成する第4ステップと、を含む
モータ駆動制御方法。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A80 | Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80 Effective date: 20220819 |