JP2024012862A - タイヤの回転速度補正装置 - Google Patents

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啓一 村上
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    • B60C23/00Devices for measuring, signalling, controlling, or distributing tyre pressure or temperature, specially adapted for mounting on vehicles; Arrangement of tyre inflating devices on vehicles, e.g. of pumps or of tanks; Tyre cooling arrangements
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    • B60C23/061Signalling devices actuated by deformation of the tyre, e.g. tyre mounted deformation sensors or indirect determination of tyre deformation based on wheel speed, wheel-centre to ground distance or inclination of wheel axle by monitoring wheel speed

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Abstract

【課題】回転速度を補正するための回帰式の変化を早期に発見する。【解決手段】補正装置は、回転速度取得部と、比較値算出部と、トルク取得部と、回帰式特定部と、回転速度補正部と、検証部とを備える。回転速度取得部は、第1タイヤ及び車両に装着された第2タイヤの回転速度を取得する。比較値算出部は、第1タイヤの回転速度と第2タイヤの回転速度とを比較する比較値を算出する。トルク取得部は、ホイールトルクを取得する。回帰式特定部は、比較値及びホイールトルクに基づいて、比較値をモデル化した回帰式であって、回帰式を特定するパラメータを算出する。回転速度補正部は、第2タイヤの回転速度及びパラメータに基づいて、スリップの影響がキャンセルされた第1タイヤの回転速度を算出する。検証部は、ホイールトルクと、回帰式特定部により算出されたパラメータとに基づく推定比較値と、比較値算出部による比較値とを比較する。【選択図】図3

Description

本発明は、車両に装着された1つまたは複数のタイヤの回転速度を補正する補正装置、方法及びプログラムに関する。
特許文献1は、車両に装着されたタイヤの回転速度を補正する補正装置を開示する。より具体的には、補正装置は、回転速度センサから取得されたタイヤの回転速度から、ホイールトルクが与えるスリップの影響、スリップのホイールトルク依存性に対する横方向加速度の影響、及び横方向加速度が与える荷重移動の影響をそれぞれキャンセルする。スリップの影響及び荷重移動の影響がキャンセルされたタイヤの回転速度は、例えば動荷重半径(Dynamic Loaded Radius;DLR)方式のタイヤの減圧を自動的に検出するシステム(Tire Pressure Monitoring System;TPMS)で利用することができる。特許文献1によれば、DLR方式では、車両の各輪に取り付けられたタイヤの回転速度に基づき算出される、DEL1~DEL3と呼ばれる3つの減圧指標値に基づいてタイヤの減圧が検出される。特許文献1のように、補正された回転速度に基づいて減圧指標値DEL1~DEL3を算出することにより、減圧検出の精度がより向上する。
特開2020-012766号公報
特許文献1では、ホイールトルク及び横方向加速度の影響がキャンセルされた回転速度を算出するため、前輪タイヤの回転速度と後輪タイヤの回転速度とを比較する比較値を、ホイールトルク及び横方向加速度を用いてモデル化された回帰式を特定するパラメータを算出する。このパラメータは、車両の走行中に取得されたデータに基づいて逐次的に算出されるが、走行中にタイヤが徐々に減圧した場合は、タイヤの動荷重半径の変化に伴って漸次変化する。このため、車両の走行中にタイヤが減圧しても、車両が走行を続けている限り、補正済みの回転速度に基づいて算出される減圧指標値は緩やかにしか変動せず、タイヤの減圧発生時から減圧検出までの間にタイムラグが生じることになる。しかし、特許文献1ではこのことが考慮されていない。なお、上記のことは、必ずしもタイヤの減圧を検出する場合ではなく、補正された回転速度を利用して、路面の状況を推定する場合等にも当てはまる。
本発明は、前輪タイヤの回転速度と後輪タイヤの回転速度とを比較する比較値をタイヤの動荷重半径に影響を及ぼす要素を用いてモデル化した回帰式に基づき、タイヤの回転速度を補正する場合に、この補正を行うための回帰式の変化を早期に発見する補正装置、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
本発明の第1観点に係る補正装置は、車両に装着された第1タイヤの回転速度を補正する補正装置であって、回転速度取得部と、比較値算出部と、トルク取得部と、回帰式特定部と、回転速度補正部と、検証部とを備える。回転速度取得部は、前記第1タイヤ及び前記車両に装着された第2タイヤの回転速度を取得する。比較値算出部は、前記第1タイヤの回転速度と前記第2タイヤの回転速度とを比較する比較値を算出する。トルク取得部は、ホイールトルクを取得する。回帰式特定部は、前記比較値及び前記ホイールトルクに基づいて、前記比較値をモデル化した回帰式であって、前記ホイールトルクに依存する要素を含む回帰式を特定するパラメータを算出する。回転速度補正部は、前記第2タイヤの回転速度及び前記パラメータに基づいて、前記ホイールトルクが前記比較値に与えるスリップの影響がキャンセルされた前記第1タイヤの回転速度を算出する。検証部は、前記トルク取得部により取得されたホイールトルクと、前記回帰式特定部により算出されたパラメータとに基づいて推定される推定比較値と、前記比較値算出部により算出された前記比較値とを比較する。前記第1タイヤ及び前記第2タイヤの一方は前輪タイヤであり、他方は後輪タイヤであり、前記第1タイヤは、前記第2タイヤよりも大きな駆動力が加えられるタイヤである。
本発明の第2観点に係る補正装置は、第1観点に係る補正装置であって、前記検証部は、前記推定比較値と前記比較値との差分に基づいて前記回帰式特定部により特定された回帰式を初期化または修正する。
本発明の第3観点に係る補正装置は、第2観点に係る補正装置であって、前記検証部は、前記差分の移動平均が所定の閾値を上回った場合、または所定の閾値を下回った場合に、前記回帰式特定部により特定された回帰式を初期化または修正する、
本発明の第4観点に係る補正装置は、第1観点から第3観点のいずれかに係る補正装置であって、前記車両に加わる横方向加速度を取得する横方向加速度取得部をさらに備える。前記回帰式は、前記ホイールトルクと前記横方向加速度に相乗的に依存する要素及び前記横方向加速度単体に依存する要素をさらに含む。前記検証部は、前記トルク取得部により取得されたホイールトルクと、前記横方向加速度取得部により取得された横方向加速度と、前記回帰式特定部により特定された回帰式とに基づいて推定される推定比較値と、前記比較値算出部により算出された前記比較値とを比較する。
本発明の第5観点に係る補正装置は、第1観点から第4観点のいずれかに係る補正装置であって、前記比較値算出部は、前記比較値として、前記車両に装着された2つの前輪タイヤ及び2つの後輪タイヤのうち、一方の前輪タイヤの回転速度と一方の後輪タイヤの回転速度とを比較する第1比較値を算出するとともに、他方の前輪タイヤの回転速度と他方の後輪タイヤの回転速度とを比較する第2比較値を算出する。
本発明の第6観点に係る補正装置は、第1観点から第5観点のいずれかに係る補正装置であって、前記第2タイヤの回転速度及び前記回転速度補正部により算出された前記第1タイヤの回転速度に基づいて、前記車両に装着された4輪のタイヤのうち、任意の2輪の回転速度と、残りの2輪の回転速度とを比較する減圧指標値を算出し、前記減圧指標値と所定の減圧閾値とを比較することにより、少なくとも1つの前記タイヤの減圧を検出する、減圧指標値算出部をさらに備える。
本発明の第7観点に係る補正装置は、第6観点に係る補正装置であって、前記タイヤの減圧状態が検出された場合に、減圧警報を出力する警報出力部をさらに備える。
本発明の第8観点に係る補正装置は、第1観点から第7観点のいずれかに係る補正装置であって、前記比較値は、前記第1タイヤの回転速度と前記第2タイヤの回転速度との比である。
本発明の第9観点に係る補正装置は、第1観点から第8観点のいずれかに係る補正装置であって、前記第1タイヤは、駆動輪タイヤであり、前記第2タイヤは、従動輪タイヤである。
本発明の第10観点に係る補正方法は、コンピュータにより実行される、車両に装着された第1タイヤの回転速度を補正する補正方法であって、以下のことを含む。また、本発明の第11観点に係る補正プログラムは、車両に装着された第1タイヤの回転速度を補正する補正プログラムであって、以下のことをコンピュータに実行させる。なお、前記第1タイヤ及び前記第2タイヤの一方は前輪タイヤであり、他方は後輪タイヤであり、前記第1タイヤは、前記第2タイヤよりも大きな駆動力が加えられるタイヤである。
(1)前記第1タイヤ及び前記車両に装着された第2タイヤの回転速度を取得すること。
(2)前記第1タイヤの回転速度と前記第2タイヤの回転速度とを比較する比較値を算出すること。
(3)ホイールトルクを取得すること。
(4)前記比較値及び前記ホイールトルクに基づいて、前記比較値をモデル化した回帰式であって、前記ホイールトルクに依存する要素を含む回帰式を特定するパラメータを算出すること。
(5)前記第2タイヤの回転速度及び前記パラメータに基づいて、前記ホイールトルクが前記比較値に与えるスリップの影響がキャンセルされた前記第1タイヤの回転速度を算出すること。
(6)前記取得されたホイールトルクと、前記算出されたパラメータとに基づいて推定される推定比較値と、前記算出された前記比較値とを比較すること。
上記観点によれば、比較値をモデル化した回帰式に基づいて推定される推定比較値と、当該回帰式を特定する基となった比較値との比較が検証部によって行われる。これにより、タイヤの減圧その他の要因により、第1タイヤの回転速度を補正するための回帰式が変化していると推定される場合に、これを早期に発見することができる。
本発明の一実施形態に係る補正装置が車両に搭載された様子を示す模式図。 補正装置の電気的構成を示すブロック図。 回転速度補正処理を含む減圧判定処理の流れを示すフローチャート。 ホイールトルクに対する比較値をプロットしたグラフ。 実施例及び比較例における時系列の残差の移動平均のグラフ。 実施例及び比較例における時系列の減圧指標値のグラフ。
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る補正装置、方法及びプログラムについて説明する。
<1.補正装置の構成>
図1は、本実施形態に係る補正装置2が車両1に搭載された様子を示す模式図である。車両1は、四輪車両であり、左前輪FL、右前輪FR、左後輪RL及び右後輪RRを備えている。車輪FL,FR,RL,RRには、それぞれ、タイヤTFL,TFR,TRL,TRRが装着されている。本実施形態に係る車両1は、フロントエンジン・フロントドライブ車(FF車)であり、前輪タイヤであるタイヤTFL,TFRが駆動輪タイヤであり、後輪タイヤであるタイヤTRL,TRRが従動輪タイヤである。よって、タイヤTFL,TFRには、タイヤTRL,TRRよりも大きな駆動力が加えられる。従って、本実施形態では、タイヤTFL,TFRが第1タイヤに相当し、タイヤTRL,TRRが第2タイヤに相当する。
補正装置2は、ホイールトルクに応じて変化する駆動輪タイヤTFL,TFRのスリップの影響をキャンセルして、測定された駆動輪タイヤTFL,TFRの回転速度を補正する機能を備えている。また、補正装置2は、こうして補正された駆動輪タイヤTFL,TFRの回転速度と、測定された従動輪タイヤTRL,TRRの回転速度とに基づいて、タイヤTFL,TFR,TRL,TRRの減圧の有無を判定する機能を備えている。補正装置2は、動荷重半径(DLR)方式に基づく減圧指標値を算出し、これに基づいてタイヤTFL,TFR,TRL,TRRの減圧が検出されると、車両1に搭載されている表示器3を介してその旨の警報を出力する。駆動輪タイヤTFL,TFRの回転速度を補正する処理(以下、回転速度補正処理ということがある)を含む、タイヤTFL,TFR,TRL,TRRの減圧を判定する処理(以下、減圧判定処理ということがある)の流れの詳細については、後述する。
本実施形態では、タイヤTFL,TFR,TRL,TRRの減圧状態は、これらの回転速度V1~V4に基づいて検出される。タイヤTFL,TFR,TRL,TRR(より正確には、タイヤTFL,TFR,TRL,TRRが装着されている車輪)には、各々、車輪速センサ6が取り付けられており、車輪速センサ6は、自身の取り付けられた車輪の車輪速情報(すなわち、各タイヤの回転速度情報)を検出する。車輪速センサ6は、補正装置2に通信線5を介して接続されており、各車輪速センサ6で検出された車輪速情報は、リアルタイムに補正装置2に送信される。
車輪速センサ6としては、走行中の車輪FL,FR,RL,RRの車輪速を検出できるものであれば、どのようなものでも用いることができる。例えば、電磁ピックアップの出力信号から車輪速を測定するタイプのセンサを用いることもできるし、ダイナモのように回転を利用して発電を行い、このときの電圧から車輪速を測定するタイプのセンサを用いることもできる。車輪速センサ6の取り付け位置も、特に限定されず、車輪速の検出が可能である限り、センサの種類に応じて、適宜、選択することができる。
車両1の一方の駆動輪FLである左前輪には、ホイールトルクセンサ(以下、WTセンサ)7が取り付けられている。WTセンサ7は、車両1のホイールトルクWTを検出する。WTセンサ7は、補正装置2に通信線5を介して接続されており、WTセンサ7で検出されたホイールトルクWTの情報は、リアルタイムに補正装置2に送信される。
WTセンサ7としては、車両1の駆動輪のホイールトルクを検出できる限り、その構造も取り付け位置も特に限定されない。ホイールトルクセンサとしては、様々な種類のものが市販されており、その構成については周知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。また、WTセンサ7によらず、ホイールトルクを検出することも可能であり、例えば、エンジンの制御装置から得られるエンジントルク及びタイヤの直径からホイールトルクを推定することもできる。
車両1には、車両1に加わる横方向加速度αを検出する横方向加速度センサ4が取り付けられている。横方向加速度センサ4の取り付け位置は特に限定されず、適宜選択することができる。横方向加速度センサ4は、補正装置2に通信線5を介して接続されている。横方向加速度センサ4で検出された横方向加速度の情報は、車輪速情報及びホイールトルクWTの情報と同様、リアルタイムに補正装置2に送信される。
図2は、補正装置2の電気的構成を示すブロック図である。図2に示されるように、補正装置2は、ハードウェアとしては車両1に搭載されている制御用のコンピュータであり、I/Oインターフェース11、CPU12、ROM13、RAM14、及び不揮発性で書き換え可能な記憶装置15を備えている。I/Oインターフェース11は、横方向加速度センサ4、車輪速センサ6、WTセンサ7及び表示器3等の外部装置との通信を行うための通信装置である。ROM13には、車両1の各部の動作を制御するためのプログラム8が格納されている。プログラム8は、CD-ROM等の記憶媒体や書き込み装置からROM13へと書き込まれる。CPU12は、ROM13からプログラム8を読み出して実行することにより、仮想的に回転速度取得部21、トルク取得部22、横方向加速度取得部23、比較値算出部24、回帰式特定部25、回転速度補正部26、検証部27、DEL算出部(減圧指標値算出部)28及び警報出力部29として動作する。各部21~29の動作の詳細は、後述する。記憶装置15は、ハードディスクやフラッシュメモリ等で構成される。なお、プログラム8の格納場所は、ROM13ではなく、記憶装置15であってもよい。RAM14及び記憶装置15は、CPU12の演算に適宜使用される。
表示器3は、減圧が起きている旨をユーザに伝えることができる限り、例えば、液晶表示素子、液晶モニター、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等、任意の態様で実現することができる。例えば、表示器3は、四輪タイヤTFL,TFR,TRL,TRRにそれぞれ対応する4つのランプを、タイヤの実際の配列に併せて配置したものとすることができる。表示器3の取り付け位置も、適宜選択することができるが、例えば、インストルメントパネル上等、ドライバーに分かりやすい位置に設けることが好ましい。補正装置2がカーナビゲーションシステムに接続される場合には、カーナビゲーション用のモニターを表示器3として使用することも可能である。表示器3としてモニターが使用される場合、警報はモニター上に表示されるアイコンや文字情報とすることができる。
<2.減圧判定処理>
以下、図3を参照しつつ、駆動輪タイヤTFL,TFRの回転速度を補正する回転速度補正処理を含む、タイヤTFL,TFR,TRL,TRRの減圧を判定するための減圧判定処理について説明する。図3に示す処理は、車両1の電気系統に電源が投入されている間、繰り返し実行される。例えば、車両1が走行を開始したタイミングでステップS1が開始し、ステップS12までの処理が車両1の走行中に繰り返し実行され、その後車両1が停車したタイミングで終了することが繰り返される。
ステップS1では、回転速度取得部21がV1~V4を取得する。ここで、V1~V4は、それぞれタイヤTFL,TFR,TRL,TRRの回転速度、すなわち、車輪FL,FR,RL,RRの車輪速である。回転速度取得部21は、所定のサンプリング周期ΔTにおける車輪速センサ6からの出力信号を受信し、これを回転速度V1~V4に換算する。
続くステップS2では、トルク取得部22が、車両1のホイールトルクWTを取得する。トルク取得部22は、WTセンサ7からの出力信号を受信し、これをホイールトルクWTに換算する。なお、このとき受信されるWTセンサ7の出力信号は、直近のステップS1で受信された車輪速センサ6の出力信号と同時刻または概ね同時刻のデータである。
続くステップS3では、横方向加速度取得部23が、車両1に加わる横方向加速度αを取得する。横方向加速度取得部23は、横方向加速度センサ4からの出力信号を受信し、これを横方向加速度αに換算する。なお、このとき受信される横方向加速度センサ4の出力信号は、直近のステップS1で受信された車輪速センサ6の出力信号と同時刻または概ね同時刻のデータである。
続くステップS4では、比較値算出部24が、タイヤTFL,TFR,TRL,TRRの回転速度V1~V4から、前輪タイヤの回転速度と後輪タイヤの回転速度との比較値H1,H2をそれぞれ算出する。比較値H1,H2とは、前輪の車輪速が大きいほど小さくなり且つ後輪の車輪速が大きいほど大きくなる値、あるいは、前輪の車輪速が大きいほど大きくなり且つ後輪の車輪速が大きいほど小さくなる値である。
比較値H1,H2は、上記特徴を有する限り、様々な方法で定義することができるが、本実施形態では、H1及びH2は、以下の式に従って算出される。すなわち、本実施形態では、比較値H1は、一方の駆動輪タイヤである左前輪タイヤTFLの回転速度V1と、該駆動輪タイヤTFLと同じく車両1の左側に装着された従動輪タイヤである左後輪タイヤTRLの回転速度V3とを比較する比較値であり、前者に対する後者の比の形式で表される。比較値H2は、他方の駆動輪タイヤである右前輪タイヤTFRの回転速度V2と、該駆動輪タイヤTFRと同じく車両1の右側に装着された従動輪タイヤである右後輪タイヤTRRの回転速度V4とを比較する比較値であり、前者に対する後者の比の形式で表される。
H1=V3/V1
H2=V4/V2
H1及びH2は、上記の定義に限られず、以下のように定義することもできる。
H1=V32/V12
H2=V42/V22
あるいは、H1及びH2は、以下のように定義することもできる。
H1=V4/V1
H2=V3/V2
以上のように定義される比較値H1は、2つの前輪タイヤTFL,TFR及び2つの後輪タイヤTRL,TRRのうち、一方の前輪タイヤの回転速度と一方の後輪タイヤの回転速度とを比較する第1比較値である。また、以上のように定義される比較値H2は、2つの前輪タイヤTFL,TFR及び2つの後輪タイヤTRL,TRRのうち、他方の前輪タイヤの回転速度と他方の後輪タイヤの回転速度とを比較する第2比較値である。
ステップS1~S4で取得された、同時刻または概ね同時刻における車輪速V1~V4、ホイールトルクWT、横方向加速度α及び比較値H1,H2のデータセットは、RAM14または記憶装置15に蓄積される。ステップS1~S4は繰り返し実行され、蓄積されたデータセット数が予め設定した数N以上になると、処理はステップS5に進む。
ステップS5では、回帰式特定部25が、RAM14または記憶装置15に蓄積されたホイールトルクWT、横方向加速度α及び比較値H1,H2のデータセットに基づいて、比較値H1,H2をモデル化した回帰式L1,L2をそれぞれ特定するパラメータ(x0,x1,x2,x3)及び(y0,y1,y2,y3)を算出するとともに、RAM14または記憶装置15に保存する。回帰式L1,L2は、例えば以下のように定めることができる。
L1:H1=x0WT+x1WTα+x2α+x3
L2:H2=y0WT+y1WTα+y2α+y3
特許文献1に開示されているように、x0WT及びy0WTはそれぞれホイールトルクWTに応じたタイヤのスリップのし易さを反映する要素であり、ホイールトルクWT単体に依存する。x1WTα及びy1WTαは、それぞれ旋回時におけるホイールトルクWTに応じたスリップのし易さの変化を反映する要素であり、ホイールトルクWT及び横方向加速度αに相乗的に依存する。x2α及びy2αは、それぞれ旋回時における回転速度変化の前後輪における非対称性を反映する要素であり、横方向加速度α単体に依存する。
ここで、パラメータ(x0,x1,x2,x3)及び(y0,y1,y2,y3)を算出するには、(WT,H1,α)及び(WT,H2,α)のデータセットが複数必要となる。このため、本実施形態では、ステップS1~S4は、データセット数が所定の量N(ただし、N≧3)蓄積されるまで繰り返し実行される。所定の量Nは、算出されるパラメータの信頼性、及び必要とされる演算リソースその他の要因に照らし、予め定められてよい。そして、ひとたびデータセット数がNを超えた後は、新しいデータセットが1点得られるたびに、最新の所定量のデータセットを用いて回帰式L1及びL2を特定するパラメータ(x0,x1,x2,x3)及び(y0,y1,y2,y3)が算出される。この算出に当たり、本実施形態では、比較値H1及びH2のそれぞれに対し、以下のような状態方程式と観測方程式で表される状態空間モデルを定義する。式中、Xnは4次元実ベクトルであるパラメータベクトルであり、パラメータ(x0,x1,x2,x3)及び(y0,y1,y2,y3)に対応する。cnはWT,WTα,α及び1を要素とする4次元実ベクトルである。enは平均0、分散σ2の正規白色ノイズとする。

本実施形態では、上記の状態空間モデルにおけるパラメータベクトルXnを、カルマンフィルタにより逐次推定する。しかしながら、推定手法はカルマンフィルタによる方法に限定されず、例えば最小二乗法を用いることができ、演算の効率化のために、再帰的最小二乗法等を用いることもできる。
ステップS6では、回転速度補正部26が、ステップS5で推定されたパラメータベクトルXnを、回帰式L1及びL2を特定するパラメータとし、タイヤTFL,TFRの補正後の回転速度V1′,V2′を算出する。回転速度V1′,V2′は、ホイールトルクWTが0(N・m)、横方向加速度αが0(m/s2)の場合の後輪タイヤの回転速度V3,V4に基づいて、それぞれ算出される。すなわち、V1′=V3/x3、V2′=V4/y3とそれぞれ算出される。
ステップS7~S9では、検証部27が回帰式L1,L2の検証を行う。より具体的には、ステップS7~S9では、最新のN個のデータセットに基づいて算出されたパラメータ(x0,x1,x2,x3)、(y0,y1,y2,y3)及びこれらにより特定される回帰式L1,L2が、最新の(WT,H1,α)及び(WT,H2,α)のデータセットに対して大きく乖離しているか否かの検証が行われる。検証部27は、回帰式特定部25により特定されたパラメータ(x0,x1,x2,x3)と正規白色ノイズe1nとで表される以下の式(1)に、このパラメータを算出する基となったホイールトルクWTn及び横方向加速度αnを代入し、推定比較値I1nを算出する(ステップS7)。推定比較値I1nは、トルク取得部22により取得されたホイールトルクWTnと回帰式特定部25により特定されたパラメータとに基づいて推定される推定比較値である。検証部27は、後述する方法で推定比較値I1nと実際に補正装置2により取得されたデータに基づく比較値H1nとを比較する(ステップS8)。同様に、検証部27は、パラメータ(y0,y1,y2,y3)と正規白色ノイズe2nとで表される以下の式(2)に、このパラメータを算出する基となったホイールトルクWTn及び横方向加速度αnを代入し、推定比較値I2nを算出する(ステップS7)とともに、後述する方法で推定比較値I2nと比較値H2nとを比較する(ステップS8)。
I1n=x0WTn+x1WTnαn+x2αn+x3+e1n (1)
I2n=y0WTn+y1WTnαn+y2αn+y3+e2n (2)
このような検証は、以下の理由により行われる。パラメータ(x0,x1,x2,x3)、(y0,y1,y2,y3)及びこれらにより特定される回帰式L1,L2は、上述したスリップのし易さの変化及び荷重移動の他、ホイールトルクWTに対するタイヤの動荷重半径に影響を及ぼす要因―例えばタイヤの減圧、路面の変化等―によって変化することがある。例えば、車両1の同じ側にある前後輪タイヤのうち、一方のタイヤが徐々に減圧していった場合を考える。減圧タイヤの動荷重半径が徐々に小さくなると、これに伴ってホイールトルクWTに対する比較値H1またはH2も、徐々に一方向的に変動する。発明者は、このことを実験により確認した。図4は、車両のFR輪に取り付けられたタイヤが正常圧である場合と、徐々に減圧していった場合とについて、ホイールトルクWTに対する比較値H1をプロットしたグラフである。このグラフからは、FR輪のタイヤが徐々に減圧していった場合の(WT,H1)のデータ群は、比較値H1が小さくなることにより、正常圧である場合の(WT,H1)のデータ群から下へと乖離する傾向が確認できる。
ここで、上述したように、回帰式L1,L2を特定するパラメータは、それぞれ複数の(WT,H1,α)及び(WT,H2,α)のデータセットに基づいて逐次的に特定される。従って、タイヤに減圧が発生した以降であっても、一定の間は正常圧時に取得されたデータセットが上記パラメータに反映されており、また比較値H1及びH2の変動も漸次的となる。これにより、上記パラメータを用いて補正される回転速度に基づき、正常圧時と減圧時とを区別できるようになるまでには、実際の減圧発生時からタイムラグが生じてしまう。なお、上記の実験ではFR輪のタイヤが減圧した場合を考えたが、同様のことは他のタイヤが減圧した場合にも当てはまるし、例えばFL輪とRR輪のタイヤ等、複数のタイヤが減圧した場合にも当てはまる。また、タイヤが減圧した場合以外にも、例えば車両1が走行する路面のスリップのし易さが変化した場合でも、ホイールトルクWTと比較値H1及びH2との関係が変動し得る。従って、回帰式L1,L2の変動は、路面の変化によっても生じ得る。
上述した回帰式L1に変動が生じていない場合、回帰式L1に関連するN個のデータセットに対する比較値H1nと推定比較値I1nとの差分である残差R1n(=H1n-I1n)は、一定の分散を持ち、平均値が0である分布に従うと仮定することができる。同様に、上述した回帰式L2に変動が生じていない場合、回帰式L2に関連するN個のデータセットに対する比較値H2nと、推定比較値I2nとの差分である残差R2n(=H2n-I2n)は、一定の分散を持ち、平均値が0である分布に従うと仮定することができる。これに対し、回帰式L1,L2に変動が生じた場合、上述したように、その変動は一方向的である。このため、N個のデータセットに対する残差R1n,R2nの平均値は0から外れると考えられる。検証部27は、このことを利用して以下の処理を行う。
再び図3を参照して、ステップS8では、検証部27が、残差R1n及びR2nを算出し、これらをRAM14または記憶装置15に保存する。そして、残差R1n及びR2nについて、これまでに実行されたステップS8で同様に算出した過去の残差との移動平均R1a及びR2aをそれぞれ算出する。移動平均としては、単純移動平均の他、加重移動平均、及び指数移動平均を採用することができる。
ステップS9では、検証部27が、ステップS8で算出した移動平均R1a及びR2aが、それぞれ下限閾値を下回っているか否か、または上限閾値を上回っているか否かを判定する。初期化のための下限閾値及び上限閾値は、実験またはシミュレーションにより予め定められ、記憶装置15またはROM13に保存することができる。検証部27が、移動平均R1a及びR2aの少なくとも一方が、初期化のための下限閾値を下回っているか、上限閾値を上回っている(NO)と判定する場合、ステップS10が実行される。検証部27が、移動平均R1a及びR2aのいずれも下限閾値以上、上限閾値以下である(YES)と判定する場合、ステップS11が実行される。
ステップS10が実行されるのは、回帰式L1及びL2を特定するパラメータのうち少なくとも一方が、最新の(WT,H1,α)及び(WT,H2,α)のデータセットに対して大きく乖離していると推定される場合であり、タイヤに減圧が生じている可能性を示唆する。ステップS10では、検証部27が、乖離していると推定される回帰式を特定するパラメータを初期化することで、当該回帰式を初期化する。すなわち、ステップS5で逐次的に算出されたパラメータがRAM14または記憶装置15から消去され、再びステップS1が実行され、その後は既に説明したような処理が繰り返される。これにより、タイヤの減圧が疑われる場合において、蓄積された(WT,H1,α)及び(WT,H2,α)のN個のデータセットが、減圧が疑われる状態におけるデータセットに全て入れ替わるのを待たずして回帰式L1及びL2を更新することができる。すなわち、タイヤが減圧した場合に、以下で算出される減圧指標値への反映が早くなり、減圧判定及びこれに続く警報出力までのタイムラグを短くすることができる。
一方、ステップS11以降の処理は、補正済みの回転速度V1′,V2′をそれぞれ以下の回転速度V1,V2に代えて用いた減圧判定処理となる。ステップS11では、DEL算出部28が、タイヤの減圧状態を判定するための減圧指標値DEL1~DEL3を算出する。DEL1,DEL2,DEL3は、それぞれ、以下に示す特徴を有する指標値である。
DEL1:回転速度V1,V4が大きい程大きくなり且つ回転速度V2,V3が大きい程小さくなる、或いは、回転速度V2,V3が大きい程大きくなり且つ回転速度V1,V4が大きい程小さくなる指標値
DEL2:回転速度V1,V2が大きい程大きくなり且つ回転速度V3,V4が大きい程小さくなる、或いは、回転速度V3,V4が大きい程大きくなり且つ回転速度V1,V2が大きい程小さくなる指標値
DEL3:回転速度V1,V3が大きい程大きくなり且つ回転速度V2,V4が大きい程小さくなる、或いは、回転速度V2,V4が大きい程大きくなり且つ回転速度V1,V3が大きい程小さくなる指標値
DEL1~DEL3は、上記特徴を有する限り、様々な方法で定義することができるが、本実施形態では、DEL1~DEL3は、以下の式に従って算出される。
DEL1=[(V1+V4)/(V2+V3)-1]*100(%)
DEL2=[(V1+V2)/(V3+V4)-1]*100(%)
DEL3=[(V1+V3)/(V2+V4)-1]*100(%)
他の実施形態では、例えば、DEL1~DEL3は、以下のように定義することもできる。
DEL1=[[(V1+V4)/2-(V2+V3)/2]/(V1+V2+V3+V4)]*100(%)
DEL2=[[(V1+V2)/2-(V3+V4)/2]/(V1+V2+V3+V4)]*100(%)
DEL3=[[(V1+V3)/2-(V2+V4)/2]/(V1+V2+V3+V4)]*100(%)
あるいは、DEL1~DEL3は、以下のように定義することもできる。
DEL1=(V12+V42)-(V22+V32)
DEL2=(V12+V22)-(V32+V42)
DEL3=(V12+V32)-(V22+V42)
タイヤTFL,TFR,TRL,TRRの減圧が進むと、それぞれの動荷重半径が小さくなるため、それぞれの回転速度V1~V4が増加し、減圧指標値DEL1~DEL3の値が変化する。本実施形態に係る減圧検出処理では、減圧指標値DEL1~DEL3の基準値からの変化を検出することで、タイヤTFL,TFR,TRL,TRRのうちどのタイヤが減圧しているかが判定される。より具体的には、以下の14個のパターンで、減圧タイヤを特定することができる。
(1)TFLのみ減圧
(2)TFRのみ減圧
(3)TRLのみ減圧
(4)TRRのみ減圧
(5)TFL,TFRのみ減圧
(6)TFL,TRLのみ減圧
(7)TFL,TRRのみ減圧
(8)TFR,TRLのみ減圧
(9)TFR,TRRのみ減圧
(10)TRL,TRRのみ減圧
(11)TFL,TFR,TRLのみ減圧
(12)TFL,TRL,TRRのみ減圧
(13)TFL,TFR,TRRのみ減圧
(14)TFR,TRL,TRRのみ減圧
続くステップS12では、DEL算出部28が、減圧状態の判定を行う。具体的には、DEL算出部28は、まず、ステップS11で算出されたDEL1~DEL3を用いて、上述した14個の減圧タイヤのパターンのうち、一輪減圧(1)~(4)、二輪減圧(5)~(10)及び三輪減圧(11)~(14)の検出を行う。より具体的には、DEL1~DEL3のそれぞれが閾値以上増加したか、閾値以上減少したか、或いは変化量が閾値以下であるかを判定し、これらの結果の組み合わせに応じて、いずれのパターンでタイヤが減圧しているかを判定する。DEL1~DEL3の変化のパターンと、減圧タイヤのパターンとの関係は、例えば、表1の通りである。なお、ここで用いられる上限閾値及び下限閾値は、車両1を用いた実験、或いはシミュレーションにより、DEL1~DEL3のそれぞれに対し定められ、ROM13または記憶装置15にあらかじめ保存されているものとする。
DEL算出部28は、(1)~(14)のいずれかのパターンでの減圧が特定されたか否かを判定する。いずれのパターンでの減圧も特定されなかった場合(NO)には、ステップS1に戻る。一方、いずれかのパターンで減圧が特定された場合(YES)には、ステップS13が実行される。
ステップS13では、警報出力部29が、表示器3を介して減圧警報を出力する。このとき、表示器3は、どのタイヤが減圧しているかを区別して警報することもできるし、いずれかのタイヤが減圧していることのみを示すように警報することもできる。また、減圧警報は、音声出力の態様で実行することもできる。
<3.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
<3-1>
車両1の横方向加速度αのデータの取得方法は、上記実施形態で説明されたものに限定されない。例えば、車両1にヨーレートセンサが搭載されている場合、横方向加速度αは、ヨーレートセンサの出力値から取得することもできる。すなわち、横方向加速度センサ4は、省略が可能である。
<3-2>
上記実施形態では、ステップS6で求めた回転速度V1′及びV2′は、タイヤの減圧検出処理に利用された。しかしながら、ステップS1~S6の処理はタイヤの減圧検出処理に限らず、例えばタイヤの回転速度に基づいて路面の滑り易さを推定する処理等においても採用され得る。
<3-3>
上記実施形態では、ステップS4でH1及びH2を算出したが、車両の特性や必要に応じてH1のみ、或いはH2のみを算出することとしてもよい。この場合はタイヤTFLまたはTFRのいずれかの回転速度が補正される。
<3-4>
本発明に係るタイヤの回転速度を補正する機能は、後輪駆動車にも適用することができる。その場合には、上記実施形態と同様の処理により、駆動輪タイヤである後輪タイヤの回転速度V3,V4を補正することができる。また、同機能は、トルク配分が一定である場合の四輪駆動車にも適用することが可能であり、前輪タイヤ及び後輪タイヤのうち、より大きな駆動力が加えられるタイヤの回転速度を補正することができる。さらに、同機能は、四輪車両に限られず、三輪車両または六輪車両などにも適用することができる。また、上記実施形態でも言及したが、同機能は、フロントエンジン車だけではなく、リアエンジン車等にも適用することができる。この場合は、後輪タイヤが第1タイヤに相当し、前輪タイヤが第2タイヤに相当する。
<3-5>
回転速度V1′及びV2′は、ホイールトルクWTが0(N・m)である場合に限らず、タイヤのスリップが生じないまたはほとんど生じない程度に小さい値である基準ホイールトルクWTRを定め、基準ホイールトルクWTRにおける横方向加速度α(αとして、0が代入される)と、比較値H1、H2とから求めることもできる。
<3-6>
比較値H1,H2は、以下のように定義することもできる。
H1=V1/V3
H2=V2/V4
或いは、比較値H1,H2は、以下のように定義することもできる。
H1=V1/V4
H2=V2/V3
<3-7>
回帰式L1,L2の横方向加速度αに依存する要素は、x2α及びy2αのようなαの一次の項を含んだ形に限定されず、αの一次の項に加えてまたはこれに代えて、α2等、αの二次以上の項を含んでいてもよい。また、回帰式L1,L2のホイールトルクWTと横方向加速度αに相乗的に依存する要素は、WTにαの一次の項が乗算された形(WTα)に加えてまたはこれに代えて、WTにαの二次以上の項が乗算された形で表されてもよい。
<3-8>
上記実施形態では、回帰式L1,L2は、ホイールトルクWTに依存する要素とともに、横方向加速度αに依存する要素を含んでいたが、これを省略してもよい。すなわち、回帰式L1,L2は、ホイールトルクWTにのみ依存する要素で定義されてもよい。
<3-9>
ステップS10では、初期化として、回帰式L1及びL2を特定するパラメータが消去され、それ以降新たに取得されたデータセットに基づいて回帰式L1及びL2を特定するパラメータの推定が行われた。しかし、回帰式L1及びL2を特定するパラメータの更新方法は、このような初期化に限定されない。例えば、直近のデータのみに基づいて推定された回帰式L1及びL2を特定するパラメータを、逐次的に算出されたパラメータに置き換えることで回帰式L1及びL2の修正を行ってもよい。
以下、本発明の実施例について説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されない。
全てのタイヤが正常圧である車両(FF車)の走行中に、回転速度V1~V4、ホイールトルクWT、及び横方向加速度αの時系列のデータセットを取得した。この時系列のデータセットを基に、車両走行中の開始点(0秒)から1000秒後にFL輪のタイヤが減圧し始め、その後1分間あたり5%ずつ減圧した場合に取得されると仮定される、時系列の仮定データセットを作製した。仮定データセットを用いて、上記実施形態に係る回帰式(L1のみ)の初期化を含む減圧判定アルゴリズムを適用し、時系列の減圧指標値DEL1を算出した(実施例)。初期化のための移動平均R1aの下限閾値は、-60とした。また、同じ仮定データセットを用いて、上記実施形態に係る回帰式の初期化を含まない減圧判定アルゴリズムを適用し、時系列の減圧指標値DEL1を算出した(比較例)。これらの場合について、減圧指標値DEL1が、予め定められた減圧閾値を超えるタイミングを比較した。
実施例及び比較例における残差R1nの時系列の移動平均R1a(t)は、以下の指数移動平均の式に基づいて算出した。また、N=200とした。
参考までに、図5に実施例に係るR1a(t)及び比較例に係るR1a(t)の時系列のグラフを示す。実施例に係るR1a(t)は、閾値-60に達した後、初期化を行ったことにより1500秒経過前に再び0付近に戻った。一方、比較例に係るR1a(t)は、一旦閾値-60に達した後、0付近に戻ることはなかった。
図6は、実施例に係る減圧指標値DEL1及び比較例に係る減圧指標値DEL1の時系列のグラフである。図6に示すように、実施例では回帰式L1の初期化を行った直後、1500秒が経過する前にDEL1が減圧閾値を超え、減圧を判定、警報出力が可能であることが確認された。一方、比較例では1500秒を経過してもDEL1が減圧閾値に達することがなく、減圧が発生してから減圧を判定するまでのタイムラグが実施例と比較して長くなることが確認された。これにより、本発明の効果が裏付けられた。
1 車両
2 補正装置
3 表示器
4 横方向加速度センサ
6 車輪速センサ
7 WTセンサ
21 回転速度取得部
22 トルク取得部
23 横方向加速度取得部
24 比較値算出部
25 回帰式特定部
26 回転速度補正部
27 検証部
28 DEL算出部(減圧指標値算出部)
29 警報出力部
FL 左前輪
FR 右前輪
RL 左後輪
RR 右後輪
FL 左前輪タイヤ
FR 右前輪タイヤ
RL 左後輪タイヤ
RR 右後輪タイヤ
V1~V4 車輪速(回転速度)
α 横方向加速度
DEL1~3 減圧指標値

Claims (11)

  1. 車両に装着された第1タイヤの回転速度を補正する補正装置であって、
    前記第1タイヤ及び前記車両に装着された第2タイヤの回転速度を取得する回転速度取得部と、
    前記第1タイヤの回転速度と前記第2タイヤの回転速度とを比較する比較値を算出する比較値算出部と、
    ホイールトルクを取得するトルク取得部と、
    前記比較値及び前記ホイールトルクに基づいて、前記比較値をモデル化した回帰式であって、前記ホイールトルクに依存する要素を含む回帰式を特定するパラメータを算出する回帰式特定部と、
    前記第2タイヤの回転速度及び前記パラメータに基づいて、前記ホイールトルクが前記比較値に与えるスリップの影響がキャンセルされた前記第1タイヤの回転速度を算出する回転速度補正部と、
    前記トルク取得部により取得されたホイールトルクと、前記回帰式特定部により算出されたパラメータとに基づいて推定される推定比較値と、前記比較値算出部により算出された前記比較値とを比較する検証部と
    を備え、
    前記第1タイヤ及び前記第2タイヤの一方は前輪タイヤであり、他方は後輪タイヤであり、前記第1タイヤは、前記第2タイヤよりも大きな駆動力が加えられるタイヤである、
    補正装置。
  2. 前記検証部は、前記推定比較値と前記比較値との差分に基づいて前記回帰式特定部により特定された回帰式を初期化または修正する、
    請求項1に記載の補正装置。
  3. 前記検証部は、前記差分の移動平均が所定の閾値を上回った場合、または所定の閾値を下回った場合に、前記回帰式特定部により特定された回帰式を初期化または修正する、
    請求項2に記載の補正装置。
  4. 前記車両に加わる横方向加速度を取得する横方向加速度取得部
    をさらに備え、
    前記回帰式は、前記ホイールトルクと前記横方向加速度に相乗的に依存する要素及び前記横方向加速度単体に依存する要素をさらに含み、
    前記検証部は、前記トルク取得部により取得されたホイールトルクと、前記横方向加速度取得部により取得された横方向加速度と、前記回帰式特定部により特定された回帰式とに基づいて推定される推定比較値と、前記比較値算出部により算出された前記比較値とを比較する、
    請求項1または2に記載の補正装置。
  5. 前記比較値算出部は、前記比較値として、前記車両に装着された2つの前輪タイヤ及び2つの後輪タイヤのうち、一方の前輪タイヤの回転速度と一方の後輪タイヤの回転速度とを比較する第1比較値を算出するとともに、他方の前輪タイヤの回転速度と他方の後輪タイヤの回転速度とを比較する第2比較値を算出する、
    請求項1または2に記載の補正装置。
  6. 前記第2タイヤの回転速度及び前記回転速度補正部により算出された前記第1タイヤの回転速度に基づいて、前記車両に装着された4輪のタイヤのうち、任意の2輪の回転速度と、残りの2輪の回転速度とを比較する減圧指標値を算出し、前記減圧指標値と所定の減圧閾値とを比較することにより、少なくとも1つの前記タイヤの減圧を検出する、減圧指標値算出部
    をさらに備える、
    請求項1または2に記載の補正装置。
  7. 前記タイヤの減圧状態が検出された場合に、減圧警報を出力する警報出力部
    をさらに備える、
    請求項6に記載の補正装置。
  8. 前記比較値は、前記第1タイヤの回転速度と前記第2タイヤの回転速度との比である、
    請求項1または2に記載の補正装置。
  9. 前記第1タイヤは、駆動輪タイヤであり、前記第2タイヤは、従動輪タイヤである、
    請求項1または2記載の補正装置。
  10. コンピュータにより実行される、車両に装着された第1タイヤの回転速度を補正する補正方法であって、
    前記第1タイヤ及び前記車両に装着された第2タイヤの回転速度を取得することと、
    前記第1タイヤの回転速度と前記第2タイヤの回転速度とを比較する比較値を算出することと、
    ホイールトルクを取得することと、
    前記比較値及び前記ホイールトルクに基づいて、前記比較値をモデル化した回帰式であって、前記ホイールトルクに依存する要素を含む回帰式を特定するパラメータを算出することと、
    前記第2タイヤの回転速度及び前記パラメータに基づいて、前記ホイールトルクが前記比較値に与えるスリップの影響がキャンセルされた前記第1タイヤの回転速度を算出することと、
    前記取得されたホイールトルクと、前記算出されたパラメータとに基づいて推定される推定比較値と、前記算出された前記比較値とを比較することと
    を含み、
    前記第1タイヤ及び前記第2タイヤの一方は前輪タイヤであり、他方は後輪タイヤであり、前記第1タイヤは、前記第2タイヤよりも大きな駆動力が加えられるタイヤである、
    補正方法。
  11. 車両に装着された第1タイヤの回転速度を補正する補正プログラムであって、
    前記第1タイヤ及び前記車両に装着された第2タイヤの回転速度を取得することと、
    前記第1タイヤの回転速度と前記第2タイヤの回転速度とを比較する比較値を算出することと、
    ホイールトルクを取得することと、
    前記比較値及び前記ホイールトルクに基づいて、前記比較値をモデル化した回帰式であって、前記ホイールトルクに依存する要素を含む回帰式を特定するパラメータを算出することと、
    前記第2タイヤの回転速度及び前記パラメータに基づいて、前記ホイールトルクが前記比較値に与えるスリップの影響がキャンセルされた前記第1タイヤの回転速度を算出することと、
    前記取得されたホイールトルクと、前記算出されたパラメータとに基づいて推定される推定比較値と、前記算出された前記比較値とを比較することと
    をコンピュータに実行させ、
    前記第1タイヤ及び前記第2タイヤの一方は前輪タイヤであり、他方は後輪タイヤであり、前記第1タイヤは、前記第2タイヤよりも大きな駆動力が加えられるタイヤである、
    補正プログラム。
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