JP2024012093A - 窒化物半導体装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ゲート層における電界集中を抑制すること。【解決手段】窒化物半導体装置10の電子走行層16は、基板12の上方に形成される。電子供給層18は、電子走行層16上に形成され、電子走行層16よりも大きいバンドギャップを有する。ゲート層22は、電子供給層18上に形成され、アクセプタ型不純物を含む。ゲート電極24は、ゲート層22上に形成される。ソース電極32およびドレイン電極34は、ゲート層22を挟むように配置され、電子供給層18に接する。ソース電極32、ゲート層22、およびドレイン電極34の並ぶX方向において、ゲート電極24は、ゲート層22の長さよりも大きな長さを有している。ゲート層22の上面22S全体に接しているとともに、ゲート層22からソース電極32及びドレイン電極34に向けて延びている。【選択図】図2

Description

本開示は、窒化物半導体装置に関する。
現在、窒化ガリウム(GaN)等のIII族窒化物半導体(以下、単に「窒化物半導体」と言う場合がある)を用いた高電子移動度トランジスタ(HEMT)の製品化が進んでいる。HEMTは、半導体ヘテロ接合の界面付近に形成された二次元電子ガス(2DEG)を導電経路(チャネル)として使用する。HEMTを利用したパワーデバイスは、典型的なシリコン(Si)パワーデバイスと比較して低オン抵抗および高速・高周波動作を可能にしたデバイスとして認知されている。
たとえば、特許文献1に開示された窒化物半導体装置は、窒化ガリウム(GaN)層によって構成された電子走行層と、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層によって構成された電子供給層とを含む。これら電子走行層と電子供給層とのヘテロ接合の界面付近において電子走行層中に2DEGが形成される。また、この窒化物半導体装置は、アクセプタ型不純物を含むゲート層(たとえばp型GaN層)が、電子走行層上であってゲート電極の直下に設けられている。この構成では、ゲート層から下方に広がる空乏層によりゲート層の直下のチャネルが消失することによって、ノーマリーオフが実現される。
特開2017-73506号公報
窒化物半導体装置では、たとえば、ゲート電極への正電圧の印加時に、ゲート電極の端部付近におけるゲート層の部分に電界が局所的に集中することがある。このような局所的な電界集中は、ゲート耐圧を低下させる要因となり得る。
本開示の一態様である窒化物半導体装置は、基板と、前記基板の上方に形成された電子走行層と、前記電子走行層上に形成され、前記電子走行層よりも大きいバンドギャップを有する電子供給層と、前記電子供給層上に形成され、アクセプタ型不純物を含むゲート層と、前記ゲート層上に形成されたゲート電極と、前記ゲート層を挟むように配置され、前記電子供給層に接するソース電極およびドレイン電極と、を備え、前記ソース電極、前記ゲート層、および前記ドレイン電極の並ぶ第1方向において、前記ゲート電極は、前記ゲート層の長さよりも大きな長さを有しており、前記ゲート層の上面全体に接しているとともに前記ゲート層から前記ソース電極及び前記ドレイン電極の少なくとも一方に向けて延びている。
本開示の一態様である窒化物半導体装置によれば、ゲート層における電界集中を抑制することができるという効果を奏する。
図1は、第1実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置の概略平面図である。 図2は、図1のF2-F2線で切断した窒化物半導体装置を示す概略断面図である。 図3は、図2の一部を拡大して示す概略断面図である。 図4は、比較例の窒化物半導体装置の一部を拡大して示す概略断面図である。 図5は、図2の窒化物半導体装置の例示的な製造工程を示す概略断面図である。 図6は、図5に続く製造工程を示す概略断面図である。 図7は、図6に続く製造工程を示す概略断面図である。 図8は、図7に続く製造工程を示す概略断面図である。 図9は、図8に続く製造工程を示す概略断面図である。 図10は、図9に続く製造工程を示す概略断面図である。 図11は、図10に続く製造工程を示す概略断面図である。 図12は、図11に続く製造工程を示す概略断面図である。 図13は、図12に続く製造工程を示す概略断面図である。 図14は、図13に続く製造工程を示す概略断面図である。 図15は、図14に続く製造工程を示す概略断面図である。 図16は、図15に続く製造工程を示す概略断面図である。 図17は、第2実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置の概略断面図である。 図18は、図17の一部を拡大して示す概略断面図である。 図19は、図17の窒化物半導体装置の例示的な製造工程を示す概略断面図である。 図20は、図19に続く製造工程を示す概略断面図である。 図21は、図20に続く製造工程を示す概略断面図である。 図22は、図21に続く製造工程を示す概略断面図である。 図23は、図22に続く製造工程を示す概略断面図である。 図24は、図23に続く製造工程を示す概略断面図である。 図25は、第3実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置の概略断面図である。 図26は、第4実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置の概略断面図である。 図27は、第5実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置の概略断面図である。 図28は、第6実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置の概略平面図である。 図29は、図28のF29-F29線で切断した窒化物半導体装置の概略断面図である。 図30は、図29におけるドレイン電極およびその周囲の拡大図である。 図31は、図29に示す窒化物半導体装置の特定電極の例示的な製造工程を示す概略断面図である。 図32は、図31に示す工程に続く製造工程を示す概略断面図である。 図33は、図32に示す工程に続く製造工程を示す概略断面図である。 図34は、図33に示す工程に続く製造工程を示す概略断面図である。 図35は、図34に示す工程に続く製造工程を示す概略断面図である。 図36は、図35に示す工程に続く製造工程を示す概略断面図である。 図37は、図36に示す工程に続く製造工程を示す概略断面図である。 図38は、図37に示す工程に続く製造工程を示す概略断面図である。 図39は、図38に示す工程に続く製造工程を示す概略断面図である。 図40は、第7実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置の概略断面図である。 図41は、図40におけるドレイン電極およびその周囲の拡大図である。 図42は、特定電極の変更例を示すための例示的な窒化物半導体装置の概略断面図である。
以下、添付図面を参照して本開示による半導体装置のいくつかの実施形態を説明する。なお、図面に示される構成要素は、分かり易さおよび明瞭化のために部分的に拡大されている場合があり、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。また、理解を容易にするために、断面図では、ハッチング線が省略されている場合がある。添付の図面は、本開示の実施形態を例示するに過ぎず、本開示を制限するものとみなされるべきではない。
以下の詳細な記載は、本開示の例示的な実施形態を具体化する装置、システム、および方法を含む。この詳細な記載は本来説明のためのものに過ぎず、本開示の実施形態またはこのような実施形態の適用および使用を限定することを意図しない。
(第1実施形態)
(窒化物半導体装置の断面構造)
図2は、第1実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置10の概略断面図である。図3は、図2の一部を拡大して示す概略断面図である。
なお、本開示において使用される「平面視」という用語は、図2に示される互いに直交するXYZ軸のZ軸方向に窒化物半導体装置10を視ることをいう。また、図2に示される窒化物半導体装置10において、便宜上、+Z方向を上、-Z方向を下、+X方向を右、-X方向を左と定義する。明示的に別段の記載がない限り、「平面視」とは、窒化物半導体装置10をZ軸に沿って上方から視ることを指す。
窒化物半導体装置10は、窒化物半導体を用いた高電子移動度トランジスタ(HEMT)として構成され得る。窒化物半導体装置10は、基板12と、基板12上に形成されたバッファ層14と、バッファ層14上に形成された電子走行層16と、電子走行層16上に形成された電子供給層18と、を含む。さらに、この窒化物半導体装置10は、電子供給層18上に形成されたゲート層22と、ゲート層22の上に形成されたゲート電極24を含む。
基板12としては、たとえばシリコン(Si)基板を用いることができる。基板12の厚さは、たとえば200μm以上1500μm以下とすることができる。基板12は、上面12Sを含む。基板12は、Si基板に代えて、シリコンカーバイド(SiC)基板、窒化ガリウム(GaN)基板、またはサファイア基板を用いることもできる。なお、以下の説明において、明示的に別段の記載がない限り、厚さとは、図2および図3のZ方向に沿った寸法を指す。
バッファ層14は、基板12と電子走行層16との間の熱膨張係数の不整合によるウェハ反りやクラックの発生を抑制することができる任意の材料によって構成され得る。また、バッファ層14は、1つまたは複数の窒化物半導体層を含むことができる。バッファ層14は、たとえば、窒化物アルミニウム(AlN)層、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層、および異なるアルミニウム(Al)組成を有するグレーテッドAlGaN層のうち少なくとも1つを含んでもよい。たとえば、バッファ層14は、AlNの単膜、AlGaNの単膜、AlGaN/GaN超格子構造を有する膜、AlN/AlGaN超格子構造を有する膜、またはAlN/GaN超格子構造を有する膜などによって構成されていてもよい。
一例において、バッファ層14は、基板12上に形成されたAlN層である第1バッファ層と、AlN層(第1バッファ層)上に形成されたAlGaN層である第2バッファ層を含むことができる。第1バッファ層はたとえば200nmの厚さを有するAlN層であってよく、第2バッファ層はたとえば300nmの厚さを有するグレーテッドAlGaN層であってよい。なお、バッファ層14におけるリーク電流を抑制するために、バッファ層14の一部に不純物を導入することによってバッファ層14の表層領域以外を半絶縁性にしてもよい。この場合、不純物は、たとえば炭素(C)または鉄(Fe)である。不純物濃度は、たとえば4×1016cm-3以上とすることができる。
電子走行層16は、基板12上に形成されたバッファ層14上に形成されているため、基板12の上方に形成されているともいえるし、基板12上に形成されているともいえる。電子走行層16は、たとえばGaN層であってよい。電子走行層16の厚さは、たとえば0.5μm以上2μm以下とすることができる。第1実施形態の電子走行層16は、バッファ層14上に形成された第1半導体層17Aと、第1半導体層17A上に形成された第2半導体層17Bと、を含む。第1半導体層17Aは、基板12の上方に形成されているともいえるし、基板12上に形成されているともいえる。第1半導体層17Aと第2半導体層17Bは、不純物濃度の異なるGaN層である。
一例では、第1半導体層17Aは、不純物として炭素(C)を含むCドープGaN層であり、第2半導体層17Bは、ノンドープGaN層である。第1半導体層17Aは、0.5μm以上2μm以下の厚さを有することができる。第1半導体層17A中のC濃度は、5×1017cm-3以上9×1019cm-3以下とすることができる。第2半導体層17Bは、0.05μm以上0.4μm以下の厚さを有することができる。第2半導体層17Bは、電子供給層18と接している。バッファ層14と第1半導体層17Aとの間に、1つまたは複数の窒化物半導体層が含まれていてもよい。一例では、電子走行層16は、厚さ0.4μmの第1半導体層17Aと、厚さ0.4μmの第2半導体層17Bとを含む。第1半導体層17A中のC濃度は約2×1019cm-3であってよい。
電子供給層18は、電子走行層16よりも大きなバンドギャップを有する窒化物半導体により構成される。電子供給層18は、たとえばAlGaN層であってよい。窒化物半導体では、Al組成が高いほどバンドギャップが大きくなる。このため、AlGaN層である電子供給層18は、GaN層である電子走行層16よりも大きなバンドギャップを有する。一例では、電子供給層18は、AlGa1-xNによって構成されている。つまり、電子供給層18は、AlGa1-xN層であるといえる。xは0<x<0.4であり、より好ましくは0.1<x<0.3である。電子供給層18は、たとえば5nm以上20nm以下の厚さを有することができる。
電子走行層16と電子供給層18とは、バルク領域において異なる格子定数を有する。したがって、電子走行層16と電子供給層18とは、格子不整合系のヘテロ接合を構成する。電子走行層16および電子供給層18の自発分極と、電子走行層16のヘテロ接合部が受ける圧縮応力に起因するピエゾ分極とによって、電子走行層16と電子供給層18との間のヘテロ接合界面付近における電子走行層16の伝導帯のエネルギーレベルはフェルミ準位よりも低くなる。これにより、電子走行層16と電子供給層18とのヘテロ接合界面に近い位置(たとえば、界面から数nm程度の距離)において電子走行層16内には二次元電子ガス(2DEG)20が広がっている。
ゲート層22は、電子供給層18上に形成されている。ゲート層22は、Y軸方向に延びるように形成されている。図は省略するが、窒化物半導体装置10は、X軸方向に配列された複数のゲート層22を含む。ゲート層22は、第3窒化物半導体層62により構成される。ゲート層22は、電子供給層18よりも小さなバンドギャップを有するとともに、アクセプタ型不純物を含む窒化物半導体によって構成されている。ゲート層22は、たとえばAlGaN層である電子供給層18よりも小さなバンドギャップを有する任意の材料によって構成され得る。一例では、ゲート層22は、アクセプタ型不純物がドーピングされたGaN層(p型GaN層)である。アクセプタ型不純物は、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、およびCのうち少なくとも1つを含むことができる。ゲート層22中のアクセプタ型不純物の最大濃度は、たとえば1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下である。
ゲート電極24は、ゲート層22の上面22Sの全部の上に配置されている。ゲート電極24は、ゲート層22の上面22S上に形成されている。ゲート電極24は、ゲート層22とショットキー接合を構成している。ゲート電極24は、1つまたは複数の金属層によって構成されていてよい。一例では、ゲート電極24は、窒化チタン(TiN)層によって構成されている。別の例では、ゲート電極24は、Tiからなる第1金属層と、第1金属層上に設けられたTiNからなる第2金属層とによって構成されていてもよい。ゲート電極24は、たとえば50nm以上200nm以下の厚さを有することができる。
窒化物半導体装置10はさらに、パッシベーション層26を含む。パッシベーション層26は、電子供給層18、ゲート層22、およびゲート電極24を覆っている。パッシベーション層26は、たとえば二酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)、アルミナ(Al)、AlN、および酸窒化アルミニウム(AlON)のうちいずれか1つを含む材料によって構成され得る。一例では、パッシベーション層26は、SiOを含む材料によって形成されている。
パッシベーション層26は、平坦な上面26Sを含む。パッシベーション層26は、ソース開口部26A、ドレイン開口部26Bを含む。ソース開口部26Aは、上面26Sから電子供給層18の上面までパッシベーション層26を貫通している。ソース開口部26Aは、電子供給層18の上面をソース接続領域18Aとして露出させる。ドレイン開口部26Bは、上面26Sから電子供給層18の上面までパッシベーション層26を貫通している。ドレイン開口部26Bは、電子供給層18の上面をドレイン接続領域18Bとして露出させる。ゲート層22は、ソース開口部26Aとドレイン開口部26Bとの間に位置している。
窒化物半導体装置10はさらに、ソース電極32およびドレイン電極34を含む。
ソース電極32は、パッシベーション層26のソース開口部26Aにより電子供給層18のソース接続領域18Aに接している。ソース電極32は、電子供給層18の直下の2DEG20にオーミック接触している。ドレイン電極34は、パッシベーション層26のドレイン開口部26Bにより電子供給層18のドレイン接続領域18Bに接している。ドレイン電極34は、電子供給層18の直下の2DEG20にオーミック接触している。
ソース電極32およびドレイン電極34は、例えば、Ti層、TiN層、Al層、AlSiCu層、およびAlCu層のうちの少なくとも1つを用いた1つまたは複数の金属層によって構成されている。例えば、ソース電極32およびドレイン電極34は、同じ材料で形成されている。
ソース電極32の一部は、パッシベーション層26のソース開口部26A内に充填されている。ドレイン電極34の一部は、パッシベーション層26のドレイン開口部26B内に充填されている。
ソース電極32は、必ずしもこの構成に限定されないが、ソース電極部32Aと、ソース電極部32Aに連続するソースフィールドプレート部32Bとを含み得る。ソース電極部32Aは、ソース開口部26Aに充填された充填領域と、充填領域と一体に形成されるとともに平面視においてソース開口部26Aの周辺に位置する上部領域とを含む。ソースフィールドプレート部32Bは、ソース電極部32Aの上部領域と一体に形成されており、平面視においてゲート層22の全体を覆うようにパッシベーション層26の上面26Sに設けられている。
ソースフィールドプレート部32Bは、ドレイン電極34の近傍に端部32Cを有している。この端部32Cは、平面視においてドレイン電極34とゲート電極24との間に位置している。ソースフィールドプレート部32Bは、ゲート-ソース間電圧が0Vの状態でソース-ドレイン間に高電圧が印加された際に、ソースフィールドプレート部32Bの直下の2DEG20に向けて空乏層を伸ばすことで、ゲート電極24の端部付近およびゲート層22の端部近傍の電界集中を緩和する役割を果たす。
(窒化物半導体装置の平面構造)
図1を参照して、窒化物半導体装置10の平面構造について説明する。図1では、パッシベーション層26の図示は省略されており、第1開口部26Aおよび第2開口部26Bとソース電極32のソースフィールドプレート部32Bとが破線で描かれている。
図1に示されるように、ゲート層22は、平面視において、環状に形成されている。ゲート層22は、X軸方向においてドレイン電極34を挟むように配置され、Y軸方向に延びる2つの本体部92と、ドレイン電極34よりもY軸方向の一方側および他方側に位置して、隣り合う2つの本体部92を互いに接続する接続部94と、を含む。ゲート層22は、平面視において、ドレイン電極34を囲むように形成されているといえる。ドレイン電極34は、平面視において、ゲート層22に囲まれているといえる。
ゲート電極24は、平面視において、環状に形成されている。ゲート電極24は、X軸方向においてドレイン電極34を挟むように配置され、Y軸方向に延びる2つの本体部96と、ドレイン電極34よりもY軸方向の一方側および他方側に位置して2つの本体部96を互いに接続する接続部98と、を含む。ゲート電極24は、平面視において、ドレイン電極34を囲むように形成されているといえる。ドレイン電極34は、平面視において、ゲート電極24に囲まれているといえる。ゲート電極24は、ゲート層22上に配置されている。ゲート電極24の本体部96は、ゲート層22の本体部92上に配置されている。ゲート電極24の接続部98は、ゲート層22の接続部94上に配置されている。
窒化物半導体装置10は、ゲート配線80、ソース配線82およびドレイン配線84を含んでいてよい。図1では、ゲート配線80、ソース配線82およびドレイン配線84の各々の外縁を一点鎖線にて示している。ゲート配線80、ソース配線82およびドレイン配線84は、X軸方向に沿って延びている。ゲート配線80、ソース配線82とドレイン配線84は、Y軸方向に並べられている。一例では、ゲート配線80は、ゲート電極24の接続部94上に配置されている。一例では、ソース配線82およびドレイン配線84は、ソース電極32およびドレイン電極34と交差するように配置されている。一例では、ゲート電極24は、ゲート配線80と接合ビア86Aにより電気的に接続されている。ソース電極32は、ソース配線82と接合ビア86Bにより電気的に接続されている。ドレイン電極34は、ドレイン配線84と接合ビア86Cにより電気的に接続されている。
(ゲート電極の例示的な構造)
図3に示すように、ゲート電極24は、X方向において、ゲート層22よりも大きく形成されている。つまり、ゲート電極24は、X方向におけるゲート層22の長さL22よりも大きい長さL24を有している。
ゲート電極24は、電極上面24S、電極下面24R、電極側面24A,24Bを含む。電極下面24Rは、一部がゲート層22の上面22Sと接する。電極側面24Aは、ソース電極32の側を向き、電極側面24Bはドレイン電極34の側を向く。
ゲート電極24は、接続部42、ソース側延出部44、ドレイン側延出部46を含む。接続部42は、ゲート層22の上面22Sの全体と接している。接続部42は、下面42R、上面42Sを含む。下面42Rの全体は、ゲート層22の上面22Sの全体と接する。X方向における下面42Rの長さは、ゲート層22の長さL22と等しい。
ソース側延出部44は、接続部42からソース電極32に向けて延びている。電極側面24Aは、ゲート層22とソース電極32との間に位置している。ソース側延出部44は、下面44R、上面44Sを含む。ソース側延出部44の下面44Rは、接続部42の下面42Rと面一である。ソース側延出部44の上面44Sは、接続部42の上面42Sと面一である。
ドレイン側延出部46は、接続部42からドレイン電極34に向けて延びている。電極側面24Bは、ゲート層22とドレイン電極34との間に位置している。ドレイン側延出部46は、下面46R、上面46Sを含む。ドレイン側延出部46の下面46Rは、接続部42の下面42Rと面一である。ドレイン側延出部46の上面46Sは、接続部42の上面42Sと面一である。
X方向において、ソース側延出部44の長さL44は、ゲート層22の側面22Aから、ゲート電極24の電極側面24Aまでの距離である。ソース側延出部44は、たとえば10nm以上100nm以下の長さL44を有し得る。ソース側延出部44の長さL44は、60nm以上90nm以下であることが好ましい。X方向において、ドレイン側延出部46の長さL46は、ゲート層22の側面22Bから、ゲート電極24の電極側面24Bまでの距離である。ドレイン側延出部46は、たとえば10nm以上100nm以下の長さL46を有し得る。ドレイン側延出部46の長さL46は、60nm以上90nm以下であることが好ましい。
ゲート電極24は、X方向において、電極下面24Rの両端となる第1下端部24EAと第2下端部24EBとを含む。第1下端部24EAは、電極側面24Aの下端でもある。第2下端部24EBは、電極側面24Bの下端でもある。ゲート電極24は、X方向において、ゲート層22よりも長い。そして、ゲート電極24は、ゲート層22からX方向に延出したソース側延出部44およびドレイン側延出部46を含む。したがって、ゲート電極24の第1下端部24EAは、ゲート層22とソース電極32との間に位置している。ゲート電極24の第2下端部24EBは、ゲート層22とドレイン電極34との間に位置している。
(パッシベーション層)
パッシベーション層26は、第1絶縁層27A、第2絶縁層27Bを含む。
第1絶縁層27Aは、電子供給層18上に形成されている。第1絶縁層27Aは、電子供給層18と接する下面27AR、下面27ARと反対側の上面27ASを含む。第1実施形態の窒化物半導体装置10において、上面27ASは、平坦面として形成されている。第1絶縁層27Aは、ゲート層22の側面22A,22Bと接する。第1絶縁層27Aの厚さは、ゲート層22の厚さT1と等しい。第1絶縁層27Aの上面27ASは、ゲート電極24の電極下面24Rと接する部分を含む。ゲート電極24は、X方向においてゲート層22から延出したソース側延出部44およびドレイン側延出部46を含む。ソース側延出部44とドレイン側延出部46は、それぞれ第1絶縁層27Aの上面27ASと接している。
第2絶縁層27Bは、第1絶縁層27A上に形成されている。第2絶縁層27Bは、第1絶縁層27Aと接する下面27BR、下面27BRと反対側の上面27BSを含む。上面27BSは、パッシベーション層26の上面26Sでもある。第1実施形態の窒化物半導体装置10において、上面27BSは、平坦面として形成されている。第2絶縁層27Bは、ゲート電極24の電極上面24Sおよび電極側面24A,24Bと接している。
第1絶縁層27Aと第2絶縁層27Bは、同じ材料(たとえばSiOを含む材料)により形成することができる。図2および図3では、第1絶縁層27Aと第2絶縁層27Bとを破線により区別して示している。しかし、同じ材料により第1絶縁層27Aと第2絶縁層27Bを形成した場合、第1絶縁層27Aと第2絶縁層27Bの界面は消失していることがあり、境界は明確ではないことがある。
ゲート電極24は、第1絶縁層27A上に形成されている。ゲート電極24のソース側延出部44とドレイン側延出部46は、第1絶縁層27Aの上面27ASと接している。したがって、ゲート電極24と接する第1絶縁層27Aの上面27ASの位置を、第1絶縁層27Aと第2絶縁層27Bとの間の界面の位置と見なすことができる。
(窒化物半導体装置10の作用)
(比較例)
図4は、第1実施形態の窒化物半導体装置10に対する比較例の窒化物半導体装置110の一部を拡大して示す概略断面図である。図4の構造は、図3の構造との比較例として示されている。
比較例の窒化物半導体装置110において、は、ゲート層22の長さL22よりも短い長さL124のゲート電極124を含む。ゲート電極124は、ゲート層22の上面22Sに設けられている。ゲート電極124は、電極側面124A,124Bと、ゲート層22の上面22Sに接する第1下端部124EAおよび第2下端部124EBを含む。ゲート電極124の電極下面124Rの全体は、ゲート層22の上面22Sの一部と接する。この比較例の窒化物半導体装置110では、ゲート電極24の第1下端部124EAおよび第2下端部124EB付近のゲート層22の領域に電界が局所的に集中することがある。このような局所的な電界集中は、ゲート層22の結晶欠陥ひいては結晶破壊をもたらしてゲート耐圧を低下させる要因となり得る。
図3に示す第1実施形態の窒化物半導体装置10において、ゲート電極24は、ゲート層22の長さL22よりも長い長さL24を有している。そして、ゲート電極24の第1下端部24EAおよび第2下端部24EBは、ゲート層22の上面22Sに接していない。このため、ゲート層22には、第1下端部24EAおよび第2下端部24EBによる電界集中は生じない。したがって、ゲート層22における電界集中が緩和される。
(窒化物半導体装置の製造方法)
次に、図2の窒化物半導体装置10の製造方法の一例について説明する。
図5から図16は、窒化物半導体装置10の例示的な製造工程を示す概略断面図である。なお、理解を容易にするために、図5から図16では、図2の構成要素と同様の構成要素には同一の符号を付している。
図5に示すように、窒化物半導体装置10の製造方法は、たとえばSi基板である基板12上に、バッファ層14、第1窒化物半導体層16、第2窒化物半導体層18、および第3窒化物半導体層62を順次形成することを含む。バッファ層14、第1窒化物半導体層16、第2窒化物半導体層18、および第3窒化物半導体層62は、有機金属気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いて、エピタキシャル成長させることができる。
詳細な図示は省略するが、一例では、バッファ層14は多層バッファ層であり、基板12上にAlN層(第1バッファ層)が形成された後、AlN層上にグレーテッドAlGaN層(第2バッファ層)が形成される。グレーテッドAlGaN層は、たとえばAlN層に近い側から順にAl組成を75%、50%、25%とした3つのAlGaN層を積層することによって形成される。
バッファ層14上に第1窒化物半導体層16としてGaN層が形成される。つまり、基板12上にバッファ層14を介して第1窒化物半導体層16が形成される。続いて、第1窒化物半導体層16上に第2窒化物半導体層18としてAlGaN層が形成される。したがって、第2窒化物半導体層18は、第1窒化物半導体層16よりも大きなバンドギャップを有する。
続いて、第2窒化物半導体層18上に第3窒化物半導体層62として、アクセプタ型不純物を含むGaN層が形成される。第3窒化物半導体層62は、図2,図3に示すゲート層22の厚さT1よりも厚く形成される。
バッファ層14、第1窒化物半導体層16、第2窒化物半導体層18、および第3窒化物半導体層62は、格子定数の比較的近い窒化物半導体によって構成されているため、連続的にエピタキシャル成長させることができる。
窒化物半導体装置10の製造方法は、さらにマスク層64を形成することを含む。マスク層64は、図2に示すゲート層22の形成に用いられる。マスク層64として、第3窒化物半導体層62の上に、たとえばSiO膜を形成する。
図6から図8に示すように、窒化物半導体装置10の製造工程は、ゲート層22を形成する工程を含む。ゲート層22の形成は、レジスト膜66を形成すること、ゲートマスク64Aを形成することと、ゲート層22を形成すること、を含む。
先ず、図6に示すように、図5に続く製造工程において、マスク層64の上にレジスト膜66を形成する。レジスト膜66は、フォトリソグラフィにより、第3窒化物半導体層62においてゲート層22となる部分を覆うように、マスク層64の上に形成される。
次に、図7に示すように,図6に続く製造工程において、レジスト膜66をマスクとしてマスク層64をエッチングすることにより、ゲートマスク64Aが形成される。その後、たとえば剥離液によりレジスト膜66が除去される。
次に、図8に示すように、図7に続く製造工程において、ゲートマスク64Aをマスクとして第3窒化物半導体層62をエッチング(たとえば、塩素系ガスを用いたドライエッチング)によりゲート層62Aが形成される。その後、必要に応じて洗浄が行われる。
図9および図10に示すように、窒化物半導体装置10の製造工程は、第1絶縁層27Aを形成することを含む。第1絶縁層27Aの形成は、第1絶縁膜68を形成すること、第1絶縁層27Aおよびゲート層22を形成すること、を含む。
先ず、図9に示すように、ゲート層62Aおよびゲートマスク64Aを覆う第1絶縁膜68を形成する第1絶縁膜68は、たとえば高密度プラズマによって形成されるSiO膜であってよい。
次に、図10に示すように、第1絶縁膜68を平坦化して第1絶縁層27Aを形成する。第1絶縁膜68の平坦化には、たとえば化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法を用いることができる。そして、この平坦化の工程において、図9に示す二点鎖線の位置まで第1絶縁膜68を研磨する。この研磨により、所望の厚さT1(図3参照)を有するゲート層22が形成される。また、この研磨により、ゲートマスク64Aが除去されるとともに、ゲート層62Aの一部が除去されてゲート層22が形成される。このようにして、ゲート層22が形成するとともに、ゲート層22の上面22Sが第1絶縁層27Aから露出される。
図11から図13に示すように、窒化物半導体装置10の製造方法は、ゲート層22の上にゲート電極24を形成することを含む。ゲート電極24の形成は、金属層70を形成することと、レジスト膜72を形成すること、ゲート電極24を形成すること、レジスト膜72を除去すること、を含む。
先ず、図11に示すように、図10に続く製造工程において、ゲート層22および第1絶縁層27Aの上に金属層70を形成する。第1実施形態では、たとえば、金属層70としてTiN層がスパッタ法によって形成される。
次に、図12に示すように、図11に続く製造工程において、金属層70の上にレジスト膜72を形成する。レジスト膜72は、リソグラフィによって、金属層70の上に形成される。レジスト膜72は、図2に示すゲート電極24の大きさに応じて形成される。
次に、図13に示すように、図12に続く製造工程において、レジスト膜72をマスクとしてエッチング(たとえばドライエッチング)により金属層70をパターニングすることによりゲート電極24が形成される。その後、たとえば剥離液によりレジスト膜72が除去される。
図14および図15に示すように、窒化物半導体装置10の製造方法は、ゲート電極24を覆う第2絶縁層27Bを形成することを含む。第2絶縁層27Bの形成は、第2絶縁膜74を形成すること、第2絶縁膜74を研磨して第2絶縁層27Bを形成すること、を含む。
先ず、図14に示すように、図13に続く製造工程において、ゲート電極24および第1絶縁層27Aを覆う第2絶縁膜74を形成する。第2絶縁膜74は、たとえば高密度プラズマによって形成されるSiO膜が望ましい。SiO膜とすることにより、CMP法による平坦化が比較的容易となる。
次に、図15に示すように、図14に続く製造工程において、第2絶縁膜74を平坦化して第2絶縁層27Bを形成する。第2絶縁膜74の平坦化には、たとえばCMP法を用いることができる。そして、この平坦化において、第2絶縁層27Bは、ゲート電極24の電極上面24Sを覆うように形成される。このように形成される第2絶縁層27Bは、第1絶縁層27Aとともにパッシベーション層26を構成する。
次に、窒化物半導体装置10の製造方法は、図16に示す製造工程を経て、図2に示すソース電極32およびドレイン電極34を形成することを含む。
先ず、図16に示すように、図15に続く製造工程において、パッシベーション層26を貫通して電子供給層18の一部をソース接続領域18Aおよびドレイン接続領域18Bとしてそれぞれ露出させるソース開口部26Aおよびドレイン開口部26Bが形成される。次いで、ソース開口部26Aおよびドレイン開口部26Bを充填し、パッシベーション層26を覆う金属層(1つまたは複数の金属層)76が形成される。この金属層76がフォトリソグラフィおよびエッチングによってパターニングされることにより、図2に示すソース電極32およびドレイン電極34が形成される。これにより、図2の窒化物半導体装置10が得られる。
(効果)
以上記述したように、第1実施形態の窒化物半導体装置10によれば、以下の効果を奏する。
(1-1)窒化物半導体装置10は、基板12、電子走行層16、電子供給層18、ゲート層22、ゲート電極24、ソース電極32、およびドレイン電極34、を備える。電子走行層16は、基板12の上方に形成される。電子供給層18は、電子走行層16上に形成され、電子走行層16よりも大きいバンドギャップを有する。ゲート層22は、電子供給層18上に形成され、アクセプタ型不純物を含む。ゲート電極24は、ゲート層22上に形成される。ソース電極32およびドレイン電極34は、ゲート層22を挟むように配置され、電子供給層18に接する。
ソース電極32、ゲート層22、およびドレイン電極34の並ぶX方向において、ゲート電極24は、ゲート層22の長さL22よりも大きな長さL24を有している。ゲート層22の上面22S全体に接しているとともに、ゲート層22からソース電極32及びドレイン電極34に向けて延びている。
ゲート電極24は、X方向において、電極下面24Rの両端となる第1下端部24EAと第2下端部24EBとを含む。ゲート電極24の第1下端部24EAは、ゲート層22とソース電極32との間に位置している。ゲート電極24の第2下端部24EBは、ゲート層22とドレイン電極34との間に位置している。ゲート電極24の第1下端部24EAおよび第2下端部24EBは、ゲート層22の上面22Sに接していない。このため、ゲート層22には、第1下端部24EAおよび第2下端部24EBによる電界集中は生じない。したがって、ゲート層22における電界集中が緩和される。その結果、局所的な電界集中によって生じ得るゲート層の結晶欠陥ひいては結晶破壊を抑制して、ゲート耐圧の低下を抑制することができる。
(1-2)X方向においてゲート電極24の長さL24は、ゲート層22の長さL22に対して大きい。図4に示す比較例の窒化物半導体装置110では、ゲート層22の長さL22を小さくした場合、ゲート電極124の長さL124も小さくなる。この結果、ゲート電極124が高抵抗化する。これに対し、第1実施形態の窒化物半導体装置10では、ゲート電極24の長さL24を確保することができる。このため、をゲート電極の抵抗値の増加を抑制することができる。言い換えると、第1実施形態の窒化物半導体装置10は、ゲート電極24の高抵抗化を抑制するとともに、ゲート層22の微細化を図ることができる。
(第2実施形態)
図17は、第2実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置210の概略断面図である。図18は、図17の一部を拡大して示す概略断面図である。図17,図18において、第1実施形態の窒化物半導体装置10と同様の構成要素には同じ符号が付されている。また、第1実施形態の窒化物半導体装置10と同様の構成要素については詳細な説明を省略する。
第2実施形態の窒化物半導体装置210は、第1実施形態の窒化物半導体装置10と比較して、主にゲート電極224の形状が異なる。
(ゲート電極の例示的な構造)
図17、図18に示すように、ゲート電極224は、X方向において、ゲート層22よりも大きく形成されている。図18に示すように、ゲート電極224は、X方向におけるゲート層22の長さL22よりも大きい長さL224を有している。
図18に示すように、ゲート電極224は、電極上面224S、電極下面224R、電極側面224A,224Bを含む。電極下面224Rは、一部がゲート層22の上面22Sと接する。電極側面224Aは、ソース電極32の側を向き、電極側面224Bはドレイン電極34の側を向く。
ゲート電極224は、接続部42、ソース側延出部44、ドレイン側延出部46を含む。接続部42は、ゲート層22の上面22Sの全体と接している。接続部42は、下面42R、上面42Sを含む。下面42Rの全体は、ゲート層22の上面22Sの全体と接する。X方向における下面42Rの長さは、ゲート層22の長さL22と等しい。
ソース側延出部44は、接続部42からソース電極32に向けて延びている。ソース側延出部44は、下面44R、上面44Sを含む。ソース側延出部44の下面44Rは、接続部42の下面42Rに対して、基板12とは反対側である上方に位置している。したがって、ソース側延出部44の下面44Rは、ゲート層22の上面22Sよりも上方に位置している。同様に、ソース側延出部44の上面44Sは、接続部42の上面42Sよりも上方に位置している。なお、ソース側延出部44の下面44Rと接続部42の下面42Rとの高さの差は、ゼロ、またはゼロに近いことが好ましい。また、ソース側延出部44の上面44Sと接続部42の上面42Sとの高さの差は、ゼロ、またはゼロに近いことが好ましい。
ドレイン側延出部46は、接続部42からドレイン電極34に向けて延びている。ドレイン側延出部46は、下面46R、上面46Sを含む。ドレイン側延出部46の下面46Rは、接続部42の下面42Rに対して、基板12とは反対側である上方に位置している。したがって、ドレイン側延出部46の下面46Rは、ゲート層22の上面22Sよりも上方に位置している。同様に、ドレイン側延出部46の上面46Sは、接続部42の上面42Sよりも上方に位置している。なお、ドレイン側延出部46の下面46Rと接続部42の下面42Rとの高さの差は、ゼロ、またはゼロに近いことが好ましい。また、ソース側延出部44の上面44Sと接続部42の上面42Sとの高さの差は、ゼロ、またはゼロに近いことが好ましい。
接続部42の下面42R、ソース側延出部44の下面44R、およびドレイン側延出部46の下面46Rは、ゲート電極224の電極下面224Rを構成する。接続部42の上面42S、ソース側延出部44の上面44S、およびドレイン側延出部46の上面46Sは、ゲート電極224の電極上面224Sを構成する。第2実施形態の窒化物半導体装置210において、ソース側延出部44の下面44Rと、ドレイン側延出部46の下面46Rは、Z方向において同じ高さに位置している。そして、ソース側延出部44の上面44Sと、ドレイン側延出部46の上面46Sは、Z方向において同じ高さに位置している。
パッシベーション層26を構成する第1絶縁層27Aは、ゲート層22の側面22A,22Bと接している。また、第1絶縁層27Aの上面27ASは、ゲート電極224の電極下面224R、つまりソース側延出部44の下面44Rおよびドレイン側延出部46の下面46Rと接している。したがって、第1絶縁層27Aは、ゲート電極224の接続部42のうち、ソース側延出部44の下面44Rより下方に位置する部分42Cと、ドレイン側延出部46の下面46Rより下方に位置する部分42Dとに接する。
(第2実施形態の窒化物半導体装置210の製造方法)
次に、図17の窒化物半導体装置210の製造方法の一例について説明する。
第2実施形態の窒化物半導体装置210の製造方法は、第1実施形態の窒化物半導体装置の製造方法に対して、ゲート層22を形成する工程とゲート電極224を形成する工程とが異なる。これらの工程について詳述する。
図19から図24は、窒化物半導体装置210のゲート層22およびゲート電極224の形成に係る例示的な製造工程を示す概略断面図である。なお、理解を容易にするために、図19から図24では、図17の構成要素と同様の構成要素には同一の符号を付している。
図19から図21に示すように、窒化物半導体装置210の製造工程は、第1絶縁層27Aを形成することを含む。第1絶縁層27Aの形成は、第1絶縁膜68を形成すること、第1絶縁層27Aを形成すること、ゲート層22を露出すること、を含む。
図19に示すように、ゲート層22およびゲートマスク64Aを覆う第1絶縁膜68を形成する。第1絶縁膜68は、たとえば高密度プラズマによって形成されるSiO膜が望ましい。SiO膜とすることにより、CMP法による平坦化が比較的容易となる。
ゲートマスク64Aは、第1実施形態の図5から図7に示すように、第3窒化物半導体層の上に形成したマスク層64をレジスト膜66によりエッチングして形成される。ゲート層22は、第1実施形態の図8に示すように、ゲートマスク64Aにより第3窒化物半導体層62をエッチングして形成される。なお、第2実施形態では、第3窒化物半導体層62は、図18に示すゲート層22の厚さT1に応じて、たとえばゲート層22の厚さT1と等しい厚さにて形成される。したがって、第3窒化物半導体層62をエッチングすることにより、第2実施形態のゲート層22が得られる。
次に、図20に示すように、第1絶縁膜68を平坦化して第1絶縁層27Aを形成する。第1絶縁膜68の平坦化には、たとえばCMP法を用いることができる。この平坦化の工程において、ゲートマスク64Aの一部分であるゲートマスク64Bを残すように、処理を実施する。たとえば、図19に示す二点鎖線の位置まで、第1絶縁膜68を研磨する。この工程により、第1絶縁層27Aが形成される。
次に、図21に示すように、図20に示されるゲートマスク64Bを除去してゲート層22の上面22Sを露出する。ゲートマスク64Bの除去は、たとえば反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)とウエットエッチングとを用いることができる。ゲートマスク64Bと第1絶縁層27Aのエッチングレートの差によって、第1絶縁層27Aと比べてゲートマスク64Bがより多くエッチングされる。これにより、ゲート層22の上面に対して、第1絶縁層27Aの上面27ASが上方に位置する。このように、ゲートマスク64Aの一部(ゲートマスク64B)を残すように第1絶縁膜68を平坦化して第1絶縁層27Aを形成することにより、ゲート層22に対してCMP加工によるダメージが入ることを抑制することができる。なお、第1絶縁層27Aの上面27ASをゲート層22の上面と同じ高さとすることもできる。
図22から図24に示すように、窒化物半導体装置210の製造方法は、ゲート層22の上にゲート電極224を形成することを含む。ゲート電極224の形成は、金属層70を形成することと、レジスト膜72を形成すること、ゲート電極224を形成すること、レジスト膜72を除去すること、を含む。
先ず、図22に示すように、図21に続く製造工程において、ゲート層22および第1絶縁層27Aの上に金属層70を形成する。第2実施形態では、たとえば、金属層70としてTiN層がスパッタ法によって形成される。
次に、図23に示すように、図22に続く製造工程において、金属層70の上にレジスト膜72を形成する。レジスト膜72は、リソグラフィによって、金属層70の上に形成される。レジスト膜72は、図17示すゲート電極224の大きさに応じて形成される。
次に、図24に示すように、図23に続く製造工程において、レジスト膜72をマスクとしてエッチング(たとえばドライエッチング)により金属層70をパターニングすることによりゲート電極224が形成される。その後、たとえば剥離液によりレジスト膜72が除去される。
この後、第1実施形態と同様に、第2絶縁層27B、ソース電極32、およびドレイン電極34が形成される。これにより、図17の窒化物半導体装置210が得られる。
(効果)
以上記述したように、第2実施形態の窒化物半導体装置210によれば、第1実施形態の窒化物半導体装置10の効果に加え、以下の効果を奏する。
(2-1)窒化物半導体装置210のゲート電極224は、接続部42、ソース側延出部44、ドレイン側延出部46を含む。ソース側延出部44の下面44Rは、接続部42の下面42Rに対して、基板12とは反対側である上方に位置している。ソース側延出部44の上面44Sは、接続部42の上面42Sよりも上方に位置している。ドレイン側延出部46の下面46Rは、接続部42の下面42Rに対して、基板12とは反対側である上方に位置している。ドレイン側延出部46の上面46Sは、接続部42の上面42Sよりも上方に位置している。
このゲート電極224は、パッシベーション層26を構成する第1絶縁層27Aを形成するときに、ゲート層22の上にゲートマスク64Bを残し、そのゲートマスク64Bをエッチングにより除去してゲート層22の上面22Sを露出する。そして、ゲート層22の上にゲート電極224を形成することにより得られる。このようにゲート層22およびゲート電極224を形成することにより、ゲート層22に対して加工の際のダメージが加わることを抑制することができる。
(第3実施形態)
図25は、第3実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置310の概略断面図である。図25において、第1実施形態の窒化物半導体装置10と同様の構成要素には同じ符号が付されている。また、第1実施形態の窒化物半導体装置10と同様の構成要素については詳細な説明を省略する。
第3実施形態の窒化物半導体装置310は、第1実施形態の窒化物半導体装置10と比較して、主にゲート電極324の形状が異なる。
図25に示す第3実施形態の窒化物半導体装置310において、ゲート電極324は、接続部42とドレイン側延出部46とを含み、図2に示すソース側延出部44を含んでいない。ゲート電極324の電極上面324Sは、接続部42の上面42Sとドレイン側延出部46の電極上面24Sとにより構成される。ゲート電極324の電極下面324Rは、接続部42の下面42Rとドレイン側延出部46の下面46Rとにより構成される。ゲート電極324のソース側側面324Aは、ゲート層22の側面22AとX方向において同じ位置にあり、ドレイン側側面324Bは、ゲート層22の側面22Bとドレイン電極34との間に配置されている。このように、ドレイン側延出部46を含むゲート電極324により、ゲート層22における電界集中を緩和することができる。
なお、ソース側側面324Aは、ゲート層22の上面22Sの上に配置されてもよい。この場合、ドレイン側延出部46を備えることで、図4に示す比較例の窒化物半導体装置110と比べ、ゲート層22における電界集中を緩和することができる。
また、接続部42とソース側延出部44とを含み、ドレイン側延出部46を備えていないゲート電極とすることもできる。そして、ソース側延出部44を含むゲート電極において、ドレイン側側面は、ゲート層22の上面22Sの上に配置されてもよい。
(第4実施形態)
図26は、第4実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置410の概略断面図である。図26において、第1実施形態の窒化物半導体装置10と同様の構成要素には同じ符号が付されている。また、第1実施形態の窒化物半導体装置10と同様の構成要素については詳細な説明を省略する。
第4実施形態の窒化物半導体装置410は、第1実施形態の窒化物半導体装置10と比較して、主にゲート電極424の形状が異なる。
図26に示す第4実施形態の窒化物半導体装置410において、ゲート電極424の断面形状は台形状であり、ゲート電極424は、X方向の長さが電極上面424Sから電極下面424Rに向けて大きくなるように形成されている。そして、ソース側側面424Aおよびドレイン側側面424Bは、Z方向において、基板12とは反対側を向くように傾斜している。なお、ソース側側面424Aおよびドレイン側側面424Bのいずれか一方のみが傾斜していてもよい。このように構成されるゲート電極424において、第1下端部424EAおよび第2下端部424EBとの少なくとも一方がゲート層22よりもX方向において離れた位置に配置されることにより、ゲート層22における電界集中を緩和することができる。
(第5実施形態)
図27は、第5実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置510の概略断面図である。図27において、第1実施形態の窒化物半導体装置10と同様の構成要素には同じ符号が付されている。また、第1実施形態の窒化物半導体装置10と同様の構成要素については詳細な説明を省略する。
第5実施形態の窒化物半導体装置510は、第1実施形態の窒化物半導体装置10と比較して、主にゲート層522の形状が異なる。
図27に示す第5実施形態の窒化物半導体装置510のように、ゲート層522は、ステップ構造を有し得る。一例では、ゲート層522は、リッジ部552と、リッジ部552の両側から互いに反対方向に延在するソース側ステップ部554およびドレイン側ステップ部556とを含む。これらリッジ部552、ソース側ステップ部554、およびドレイン側ステップ部556によって、ゲート層522のステップ構造が形成されている。
リッジ部552は、ゲート層522の相対的に厚い部分に相当する。ゲート電極24は、リッジ部552の上面552Sの全体に接している。リッジ部552は、図27のXZ平面に沿った断面において矩形状または台形状を有し得る。リッジ部552は、例えば100nm以上200nm以下の厚さを有し得る。リッジ部552の厚さT1とは、リッジ部552の上面から下面(電子供給層18に接するゲート層522の下面)までの距離のことである。リッジ部552(ゲート層522)の厚さは、ゲート耐圧などの種々のパラメータを考慮して決定され得る。
ソース側ステップ部554は、リッジ部552のソース側側面552Aからパッシベーション層26のソース開口部26Aに向かって(図27において-X方向に)延在している。ドレイン側ステップ部556は、リッジ部552のドレイン側側面552Bからパッシベーション層26のドレイン開口部26Bに向かって(図27において+X方向に)延在している。図27の例では、ドレイン側ステップ部556は、ソース側ステップ部554よりもリッジ部552から長く延びている。ただし、ソース側ステップ部554とドレイン側ステップ部556は同じ長さであってもよい。ソース側ステップ部554は、例えば10nm以上30nm以下の厚さを有し得る。ソース側ステップ部554は、リッジ部552からソース開口部26Aに向かう方向において、例えば0.2μm以上0.3μm以下の幅を有し得る。ドレイン側ステップ部556は、例えば10nm以上30nm以下の厚さを有し得る。ドレイン側ステップ部556は、リッジ部552からドレイン開口部26Bに向かう方向において、例えば0.2μm以上0.6μm以下の幅を有し得る。ソース側ステップ部554の厚さとドレイン側ステップ部556の厚さは、互いに等しい。ここで、ソース側ステップ部554の厚さとドレイン側ステップ部556の厚さの差がたとえばソース側ステップ部554の厚さの10%以内であれ、ソース側ステップ部554の厚さとドレイン側ステップ部556の厚さとが互いに等しいといえる。
この窒化物半導体装置510において、ゲート電極24の第1下端部24EAは、リッジ部552のソース側側面552Aよりもソース電極32の側に位置している。ゲート電極24の第2下端部24EBは、リッジ部552のドレイン側側面552Bよりもドレイン電極34の側に位置している。このように、第1下端部24EAおよび第2下端部24EBが配置されることにより、第1実施形態の窒化物半導体装置10と同様に、ゲート層522における電界集中を緩和することができる。そして、ゲート耐圧の低下を抑制することができる。
ソースフィールドプレート部32Bは、ソース電極部32Aの上部領域と一体に形成されており、平面視においてゲート層22の全体(図2の例では、リッジ部552、ソース側延在部44、およびドレイン側延在部46の全て)を覆うようにパッシベーション層26上に設けられている。
この第5実施形態の窒化物半導体装置510は、ソース側ステップ部554およびドレイン側ステップ部556により、ゲート層22と電子供給層18との界面に蓄積されるホール密度を低減することができる。したがって、ホール蓄積に起因する電子供給層18のバンドベンディングを抑制し、ゲートリーク電流の増大を抑制することができる。
(第6実施形態)
(窒化物半導体装置の概略構造)
図29を参照して、窒化物半導体装置610の構成について説明する。
図29は、第6実施形態に係る窒化物半導体装置610の概略平面構造を示している。なお、本開示において使用される「平面視」という用語は、図29に示される互いに直交するXYZ軸のZ方向に窒化物半導体装置610を視ることをいう。また、図29に示される窒化物半導体装置610において、便宜上、+Z方向を上、-Z方向を下、+X方向を右、-X方向を左と定義する。明示的に別段の記載がない限り、「平面視」とは、窒化物半導体装置610をZ軸に沿って上方から視ることを指す。
窒化物半導体装置610は、窒化物半導体を用いた高電子移動度トランジスタ(HEMT)である。窒化物半導体装置610は、半導体基板612と、半導体基板612上に形成されたバッファ層614と、バッファ層614上に形成された電子走行層616と、電子走行層616上に形成された電子供給層618と、を含む。
半導体基板612としては、たとえばシリコン(Si)基板を用いることができる。あるいは、Si基板に代えて、シリコンカーバイド(SiC)基板、窒化ガリウム(GaN)基板、またはサファイア基板を用いることもできる。半導体基板612の厚さは、たとえば200μm以上1500μm以下とすることができる。なお、以下の説明において、明示的に別段の記載がない限り、厚さとは、図29のZ方向に沿った寸法を指す。
バッファ層614は、半導体基板612と電子走行層616との間の熱膨張係数の不整合によるウェハ反りやクラックの発生を抑制することができる任意の材料によって構成され得る。また、バッファ層614は、1つまたは複数の窒化物半導体層を含むことができる。バッファ層614は、たとえば、窒化物アルミニウム(AlN)層、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層、および異なるアルミニウム(Al)組成を有するグレーテッドAlGaN層のうち少なくとも1つを含んでもよい。たとえば、バッファ層614は、AlNの単膜、AlGaNの単膜、AlGaN/GaN超格子構造を有する膜、AlN/AlGaN超格子構造を有する膜、またはAlN/GaN超格子構造を有する膜などによって構成されていてもよい。
一例において、バッファ層614は、半導体基板612上に形成されたAlN層である第1バッファ層と、AlN層(第1バッファ層)上に形成されたAlGaN層である第2バッファ層を含むことができる。第1バッファ層はたとえば200nmの厚さを有するAlN層であってよく、第2バッファ層はたとえば300nmの厚さを有するグレーテッドAlGaN層であってよい。なお、バッファ層614におけるリーク電流を抑制するために、バッファ層614の一部に不純物を導入することによってバッファ層614の表層領域以外を半絶縁性にしてもよい。この場合、不純物は、たとえば炭素(C)または鉄(Fe)である。不純物濃度は、たとえば4×1016cm-3以上とすることができる。
電子走行層616は、窒化物半導体によって構成されている。電子走行層616は、たとえばGaN層であってよい。電子走行層616の厚さは、たとえば0.5μm以上2μm以下とすることができる。なお、電子走行層616におけるリーク電流を抑制するために、電子走行層616の一部に不純物を導入することによって電子走行層616の表層領域以外を半絶縁性にしてもよい。この場合、不純物は、たとえばCである。不純物の濃度は、たとえば4×1016cm-3以上とすることができる。すなわち、電子走行層616は、不純物濃度の異なる複数のGaN層、一例ではCドープGaN層およびノンドープGaN層を含むことができる。この場合、CドープGaN層は、バッファ層614上に形成されている。CドープGaN層は、0.5μm以上2μm以下の厚さを有することができる。CドープGaN層中のC濃度は、5×1017cm-3以上9×1019cm-3以下とすることができる。ノンドープGaN層は、CドープGaN層上に形成されている。ノンドープGaN層は、0.05μm以上0.4μm以下の厚さを有することができる。ノンドープGaN層は、電子供給層618と接している。一例では、電子走行層616は、厚さ0.4μmのCドープGaN層と、厚さ0.4μmのノンドープGaN層とを含む。CドープGaN層中のC濃度は約2×1019cm-3である。
電子供給層618は、電子走行層616よりも大きなバンドギャップを有する。電子供給層618は、たとえばAlGaN層であってよい。窒化物半導体では、Al組成が高いほどバンドギャップが大きくなる。このため、AlGaN層である電子供給層618は、GaN層である電子走行層616よりも大きなバンドギャップを有する。一例では、電子供給層618は、AlGa1-xNによって構成されている。つまり、電子供給層618は、AlGa1-xN層であるといえる。xは0<x<0.4であり、より好ましくは0.1<x<0.3である。電子供給層618は、たとえば5nm以上20nm以下の厚さを有することができる。
電子走行層616と電子供給層618とは、バルク領域において異なる格子定数を有する。したがって、電子走行層616と電子供給層618とは格子不整合系の接合である。電子走行層616および電子供給層618の自発分極と、電子走行層616のヘテロ接合部が受ける圧縮応力に起因するピエゾ分極とによって、電子走行層616と電子供給層618との間のヘテロ接合界面付近における電子走行層616の伝導帯のエネルギーレベルはフェルミ準位よりも低くなる。これにより、電子走行層616と電子供給層618とのヘテロ接合界面に近い位置(たとえば、界面から数nm程度の距離)において電子走行層616内には二次元電子ガス(2DEG)620が広がっている。
電子供給層618は、電子走行層616よりも大きなバンドギャップを有する。電子供給層618は、たとえばAlGaN層であってよい。窒化物半導体では、Al組成が高いほどバンドギャップが大きくなる。このため、AlGaN層である電子供給層618は、GaN層である電子走行層616よりも大きなバンドギャップを有する。一例では、電子供給層618は、AlGa1-xNによって構成されている。つまり、電子供給層618は、AlGa1-xN層であるといえる。xは0<x<0.4であり、より好ましくは0.1<x<0.3である。電子供給層618は、たとえば5nm以上20nm以下の厚さを有することができる。
電子供給層618は、拡散金属を含有する。拡散金属は、たとえば、アルミニウム、チタンから選ばれる少なくとも1種である。図30に示すように、電子供給層618は、電子供給層618内において、拡散金属の濃度が相対的に高い高濃度領域HAと、拡散金属の濃度が相対的に低い低濃度領域LAとを有する。高濃度領域HAは、平面視において、後述するソース開口部626A(図29参照)およびドレイン開口部626Bに重なる部分である。低濃度領域LAは、電子供給層618におけるソース開口部626Aおよびドレイン開口部626Bとは異なる部分に配置されておいる。低濃度領域LAは、たとえば、平面視において、電子供給層618における絶縁層626によって覆われている部分である。
つまり、平面視において、電子供給層618におけるソース開口部626Aおよびドレイン開口部626Bに重なる部分は、これら開口部に重ならない部分よりも拡散金属の濃度が高い。また、電子供給層618の厚さ方向(Z方向)において、高濃度領域HAは、たとえば、ソース開口部626Aおよびドレイン開口部626Bに露出する表面に位置するとともに、当該表面から電子供給層618内へ広がるように形成されている。なお、図30では、ドレイン開口部626Bの付近の高濃度領域HAおよび低濃度領域LAを示しているが、ソース開口部626Aの付近についても、ドレイン開口部626Bの付近と同様に高濃度領域HAおよび低濃度領域LAが形成されている。
図29に示すように、窒化物半導体装置610は、電子供給層618上に形成されたゲート層622と、ゲート層622上に形成されたゲート電極624と、電子供給層618、ゲート層622、およびゲート電極624を覆う絶縁層626と、をさらに含む。絶縁層626は、平面視でゲート層622に対してX方向の両側に設けられたソース開口部626Aおよびドレイン開口部626Bを有する。X方向は、ソース開口部626Aおよびドレイン開口部626Bの離隔方向ともいえる。第6実施形態において、ソース開口部626Aおよびドレイン開口部626Bは、絶縁層626を貫通する開口部に該当する。
ゲート層622は、電子供給層618よりも小さなバンドギャップを有するとともに、アクセプタ型不純物を含む窒化物半導体によって構成されている。ゲート層622は、たとえばAlGaN層である電子供給層618よりも小さなバンドギャップを有する任意の材料によって構成され得る。一例では、ゲート層622は、アクセプタ型不純物がドーピングされたGaN層(p型GaN層)である。アクセプタ型不純物は、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、およびCのうち少なくとも1つを含むことができる。ゲート層622中のアクセプタ型不純物の最大濃度は、たとえば1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下である。
上記のように、ゲート層622にアクセプタ型不純物が含まれることによって、電子走行層616および電子供給層618のエネルギーレベルが引き上げられる。このため、ゲート層622の直下の領域において、電子走行層616と電子供給層618との間のヘテロ接合界面付近における電子走行層616の伝導帯のエネルギーレベルは、フェルミ準位とほぼ同じか、またはそれよりも大きくなる。したがって、ゲート電極624に電圧を印加していないゼロバイアス時において、ゲート層622の直下の領域における電子走行層616には、2DEG620が形成されない。一方、ゲート層622の直下の領域以外の領域における電子走行層616には、2DEG620が形成されている。
このように、アクセプタ型不純物がドーピングされたゲート層622の存在によってゲート層622の直下の領域で2DEG620が空乏化される。その結果、窒化物半導体装置610のノーマリーオフ動作が実現される。ゲート電極624に適切なオン電圧が印加されると、ゲート電極624の直下の領域における電子走行層616に2DEG620によるチャネルが形成されるため、ソース-ドレイン間が導通する。
なお、ゲート層622の断面形状は特に限定されない。たとえば、ゲート層622は図29におけるXZ平面において、矩形状、台形状、またはリッジ状の断面を有することができる。
ゲート電極624は、1つまたは複数の金属層によって構成されている。ゲート電極624は、一例では窒化チタン(TiN)層である。あるいは、ゲート電極624は、Tiを含む材料によって形成された第1金属層と、第1金属層上に積層され、TiNを含む材料によって形成された第2金属層とによって構成されていてもよい。ゲート電極624は、ゲート層622とショットキー接合を形成することができる。ゲート電極624は、平面視でゲート層622よりも小さい領域に形成され得る。ゲート電極624は、たとえば、50nm以上200nm以下の厚さを有することができる。
絶縁層626は、たとえば窒化シリコン(SiN)、二酸化シリコン(SiO)、酸窒化シリコン(SiON)、アルミナ(Al)、AlN、および酸窒化アルミニウム(AlON)のうちいずれか1つを含む材料によって構成され得る。一例では、絶縁層626は、SiNを含む材料によって形成されている。
絶縁層626は、電子供給層618上に形成されている。絶縁層626は、電子供給層618を覆っているともいえる。絶縁層626は、たとえば窒化シリコン(SiN)、二酸化シリコン(SiO)、酸窒化シリコン(SiON)、アルミナ(Al)、AlN、および酸窒化アルミニウム(AlON)のうちいずれか1つを含む材料によって構成され得る。一例では、絶縁層626は、SiNを含む材料によって形成されている。絶縁層626は、パッシベーション層であるともいえる。絶縁層626の厚さは、電子供給層618の厚さよりも厚い。絶縁層626の厚さは、たとえば、300nm以上1000nm以下である。なお、絶縁層626の厚さは任意に変更可能である。絶縁層626は、平坦な表面626Sを有する。そのため、絶縁層626において、ゲート層622およびゲート電極624に接する部分の厚さは、電子供給層618に接する部分の厚さよりも薄い。
ソース開口部626Aおよびドレイン開口部626Bの各々は、ゲート層622から離隔されている。ゲート層622は、ソース開口部626Aとドレイン開口部626Bとの間に位置している。ゲート層622は、X方向においてドレイン開口部626Bよりもソース開口部626A寄りに配置されている。つまり、ゲート層622とドレイン開口部626BとのX方向の間の距離は、ゲート層622とソース開口部626AとのX方向の間の距離よりも長い。
窒化物半導体装置610は、ソース開口部626Aを介して電子供給層618に接しているソース電極628と、ドレイン開口部626Bを介して電子供給層618に接しているドレイン電極630とをさらに含む。
ソース電極628およびドレイン電極630は、複数の金属層によって構成されている。ソース電極628およびドレイン電極630の詳細については後述する。ソース電極628およびドレイン電極630は、それぞれソース開口部626Aおよびドレイン開口部626Bを介して2DEG620とオーミック接触している。
窒化物半導体装置610は、絶縁層626上に形成されたフィールドプレート電極631をさらに含む。フィールドプレート電極631は、平面視でゲート層622とドレイン電極630との間の領域に少なくとも部分的に延在している。フィールドプレート電極631は、ドレイン電極630から離隔されている。したがって、フィールドプレート電極631は、たとえば、平面視でドレイン電極630(ドレイン開口部626B)とゲート層622との間に位置する端部631Aを含む。
フィールドプレート電極631は、ソース電極628に電気的に接続されている。その一例として、図29の例においては、フィールドプレート電極631は、ソース電極628と連続している。この場合、フィールドプレート電極631は、ソース電極628と一体的に形成されている。一体的に形成された電極のうち、ソース電極628は、少なくとも絶縁層626のソース開口部626Aに埋設された部分を含んでいてよく、フィールドプレート電極631は、残りの部分を含んでいてよい。フィールドプレート電極631は、ゲート電極624にゲート電圧が印加されていないゼロバイアス時に、ゲート電極624の端部近傍の電界集中を緩和する役割を果たす。
(窒化物半導体装置の平面構造)
図28を参照して、第6実施形態の窒化物半導体装置610の平面構造について説明する。図28では、絶縁層626の図示は省略されており、第1開口部626Aおよび第2開口部626Bとソース電極628のフィールドプレート電極631とが破線で描かれている。
図28に示されるように、ゲート層622は、平面視において、環状に形成されている。ゲート層622は、X軸方向においてドレイン電極630を挟むように配置され、Y軸方向に延びる2つの本体部692と、ドレイン電極630よりもY軸方向の一方側および他方側に位置して、隣り合う2つの本体部692を互いに接続する接続部694と、を含む。ゲート層622は、平面視において、ドレイン電極630を囲むように形成されているといえる。ドレイン電極630は、平面視において、ゲート層622に囲まれているといえる。
ゲート電極624は、平面視において、環状に形成されている。ゲート電極624は、X軸方向においてドレイン電極630を挟むように配置され、Y軸方向に延びる2つの本体部696と、ドレイン電極630よりもY軸方向の一方側および他方側に位置して2つの本体部696を互いに接続する接続部698と、を含む。ゲート電極624は、平面視において、ドレイン電極630を囲むように形成されているといえる。ドレイン電極630は、平面視において、ゲート電極624に囲まれているといえる。ゲート電極624は、ゲート層622上に配置されている。ゲート電極624の本体部696は、ゲート層622の本体部692上に配置されている。ゲート電極624の接続部698は、ゲート層622の接続部694上に配置されている。
第6実施形態の窒化物半導体装置610は、ゲート配線80、ソース配線82およびドレイン配線84を含んでいてよい。図28では、ゲート配線80、ソース配線82およびドレイン配線84の各々の外縁を一点鎖線にて示している。ゲート配線80、ソース配線82およびドレイン配線84は、X軸方向に沿って延びている。ゲート配線80、ソース配線82とドレイン配線84は、Y軸方向に並べられている。一例では、ゲート配線80は、ゲート電極624の接続部694上に配置されている。一例では、ソース配線82およびドレイン配線84は、ソース電極628およびドレイン電極630と交差するように配置されている。一例では、ゲート電極624は、ゲート配線80と接合ビア86Aにより電気的に接続されている。ソース電極628は、ソース配線82と接合ビア86Bにより電気的に接続されている。ドレイン電極630は、ドレイン配線84と接合ビア86Cにより電気的に接続されている。
(ソース電極およびドレイン電極の詳細)
以下、ソース電極628およびドレイン電極630の詳細について説明する。
第6実施形態において、ソース電極628およびドレイン電極630は、特定の層構造を有する特定電極640である。以下では、図30に示すドレイン電極630およびその周辺の拡大図を参照して、特定電極640について説明する。また、以下では、ソース開口部626Aおよびドレイン開口部626Bをまとめて開口部626Cと記載する場合がある。
図30に示すように、特定電極640は、絶縁層626を貫通する開口部626Cを介して電子供給層618に接しているコンタクト部641を有する。コンタクト部641は、電子供給層618に接する導電層642と、導電層642上に形成されている金属層643とを含む。
導電層642は、開口部626Cの底面および側壁を覆う層である。開口部626Cの底面は、電子供給層618によって形成されている部分である。開口部626Cの側壁は、絶縁層626によって形成されている部分である。導電層642は、開口部626C内において、電子供給層618に接している底部642Aと、底部642Aから起立し、開口部626Cの側壁と接している側部642Bとを含む。
金属層643は、開口部626C内において、導電層642の底部642Aと側部642Bとにより区画される領域に充填されている。図30に示す断面視において、金属層643は、たとえば、厚さ方向(Z方向)に延びる柱状である。金属層643は、絶縁層626の開口部626C内に埋め込まれた埋め込み型プラグということもできる。金属層643は、開口部626C内に位置する部分を有する。換言すると、第6実施形態の金属層643は、絶縁層626の表面626Sよりも電子供給層618側(下方側)に位置する部分を有する。
金属層643は、タングステン(W)を含む材料によって形成されている。また、金属層643は、タングステン以外の成分を含んでいてもよい。金属層643の一例は、タングステンを含む化学蒸着物の層である。
導電層642は、開口部626Cの底面および側壁側から順に、接触層644と、拡散層645と、保護層646とが並ぶ多層構造を有する。
接触層644は、導電層642の底部642Aにおいて、電子供給層618における開口部626Cによって露出した露出部分618Aに接して覆っている。また、接触層644は、導電層642の側部642Bにおいて、開口部626Cの側壁に接して覆っている。すなわち、接触層644は、導電層642の底部642Aに位置する接触底部644Aと、導電層642の側部642Bに位置する接触側部644Bと、を有する。接触層644は、開口部626Cの側壁の全周を覆っている。
接触層644は、還元作用を有する金属を含む材料により形成されている。還元作用を有する金属は、チタン(Ti)およびタンタル(Ta)から選ばれる少なくとも1種である。一例では、接触層644は、チタンを含むチタン層である。接触層644は、チタンおよびタンタル以外の成分を含んでいてもよい。
接触層644が接する部分である、電子供給層618における開口部626Cによって露出した露出部分618Aには、開口部626Cを形成する製造工程において、表面酸化による酸化物が生じる場合がある。この酸化物は、開口部626Cに形成される電極と電子供給層618との間の抵抗源になる。第6実施形態では、電子供給層618の露出部分618Aに接している接触層644に、チタンまたはタンタルが含まれているため、それら金属の還元作用によって、露出部分618Aに生じた酸化物が還元される。これにより、開口部626Cに形成される特定電極640と電子供給層618との間の抵抗源となる酸化物が消失または減少する。
接触層644の接触底部644Aは、たとえば、10nm以上100nm以下の厚さT11を有する。接触底部644Aの厚さT11は、たとえば、Z方向に沿った寸法を指す。なお、接触層644の接触側部644Bの厚さは、接触底部644Aの厚さT11と同じであってもよいし、接触底部644Aの厚さT11よりも厚くてもよいし、接触底部644Aの厚さT11よりも薄くてもよい。詳細は後述するが、拡散層645に含まれる拡散金属を電子供給層618に効率的に拡散させる観点においては、拡散層645と電子供給層618との間に介在する接触層644は薄いことが好ましい。
拡散層645は、導電層642の底部642Aおよび側部642Bにおいて、接触層644上に形成されている層であり、接触層644の上面に接して覆っている。接触層644の上面は、接触底部644Aにおける電子供給層618に接する面と反対側の面、および接触側部644Bにおける開口部626Cの側壁に接する面と反対側の面を含む。すなわち、拡散層645は、導電層642の底部642Aに位置する拡散底部645Aと、導電層642の側部642Bに位置する拡散側部645Bとを有する。
拡散層645は、拡散金属を含む材料により形成されている。拡散金属は、電子供給層618に含まれている金属、より詳しくは、高濃度領域HAに局所的に高い濃度で含まれている金属である。電子供給層618の高濃度領域HAは、拡散層645に含まれている拡散金属の一部が接触層644を通過して電子供給層618に拡散されることにより形成されている。電子供給層618の高濃度領域HAに含まれる拡散金属の少なくとも一部は、拡散層645に由来する拡散金属である。したがって、拡散層645は、電子供給層618における、特定電極640のコンタクト部641との接する部分およびその周囲に高濃度領域HAを形成するための層ということもできる。
拡散層645は、金属単体として拡散金属を含んでいてもよいし、拡散金属と他の金属との合金として拡散金属を含んでいてもよい。拡散金属は、たとえば、アルミニウムである。拡散金属がアルミニウムである場合、拡散層645に含まれる、拡散金属と他の金属との合金は、たとえば、AlCu、AlTi、AlTiCu、AlTa、AlTaCuである。
また、拡散層645は、拡散金属の金属単体および拡散金属と他の金属との合金以外の成分を含んでいてもよい。たとえば、拡散層645は、チタンまたはタンタルを含んでいてもよい。拡散層645は、接触層644から拡散層645に拡散されたチタンまたはタンタルを含む場合がある。なお、拡散層645を構成する材料が、AlTi、AlTiCuなどの拡散金属とチタンを含む合金である場合、接触層644から拡散層645へのチタンの拡散を抑制する効果が得られる。同様に、拡散層645を構成する材料が、AlTa、AlTaCuなどの拡散金属とタンタルを含む合金である場合、接触層644から拡散層645へのタンタルの拡散を抑制する効果が得られる。なお、以下では、接触層644に含まれる金属であるチタン、タンタルを特定金属と記載する場合がある。
拡散層645の拡散底部645Aは、たとえば、100nm以下の厚さT12を有する。また、拡散底部645Aは、たとえば、10nm以上の厚さT12を有する。拡散底部645Aの厚さT12は、たとえば、Z方向に沿った寸法を指す。なお、拡散層645の拡散側部645Bの厚さは、拡散底部645Aの厚さT12と同じであってもよいし、拡散底部645Aの厚さT12よりも厚くてもよいし、拡散底部645Aの厚さT12よりも薄くてもよい。
保護層646は、拡散層645と金属層643との間に介在している層である。保護層646は、導電層642の底部642Aおよび側部642Bにおいて、拡散層645上に形成されている層であり、拡散層645の上面に接して覆っている。拡散層645の上面は、拡散底部645Aにおける接触底部644Aに接する面と反対側の面、および拡散側部645Bにおける接触側部644Bに接する面と反対側の面を含む。すなわち、保護層646は、導電層642の底部642Aに位置する保護底部646Aと、導電層642の側部642Bに位置する保護側部646Bとを有する。保護底部646Aは、導電層642の底部642Aにおいて、拡散層645(拡散底部645A)と金属層643との間に介在している。保護側部646Bは、導電層642の側部642Bにおいて、拡散層645(拡散側部645B)と金属層643との間に介在している。保護層646は、タングステンを含む金属層643における拡散層645と接する部分の変質を抑制するための層である。
一例として、アルミニウムを含む拡散層645の上にタングステンを含む金属層643が接している場合を想定する。この場合、フッ化タングステンガス(WFガス)を用いたCVD(Chemical Vapor Deposition)により、タングステンを含む金属層643を形成する際に、フッ化タングステンガスと拡散層645のアルミニウムが反応する。これにより、製造された金属層643における拡散層645との接触部分に、意図しない生成物であるタングステン-アルミニウム合金が生じる。金属層643における拡散層645との接触部分に、抵抗源となるタングステン-アルミニウム合金が生じること(金属層643の変質)は、コンタクト部641の抵抗を増大させる要因になる。第6実施形態では、拡散層645と金属層643との間に、拡散層645と金属層643との接触を避けるための保護層646を設けることにより、金属層643の変質、ひいては、コンタクト部641の抵抗の増大を抑制している。
保護層646は、たとえば、チタン、タンタルを含む材料によって形成されている。チタンを含む材料は、たとえば、窒化チタン(TiN)である。タンタルを含む材料は、たとえば、窒化タンタル(TaN)である。また、保護層646は、チタンを含む材料、タンタルを含む材料以外の成分を含んでいてもよい。たとえば、保護層646は、アルミニウムを含んでいてもよい。拡散層645がアルミニウムを含む材料によって形成された層である場合、保護層646は、拡散層645から保護層646に拡散したアルミニウムを含む場合がある。なお、拡散層645がアルミニウムを含む材料によって形成された層である場合、保護層646は、拡散層645よりもアルミニウムの含有割合が低い層である。
保護層646の保護底部646Aは、たとえば、30nm以上100nm以下の厚さT13を有する。保護底部646Aの厚さT13は、たとえば、Z方向に沿った寸法を指す。なお、保護層646の保護側部646Bの厚さは、保護底部646Aの厚さT13と同じであってもよいし、保護底部646Aの厚さT13よりも厚くてもよいし、保護底部646Aの厚さT13よりも薄くてもよい。
特定電極640は、絶縁層626上に設けられた延設部647を含む。延設部647は、絶縁層626の表面626Sに沿って、導電層642の側部642Bの上端から導電層642をXY平面に沿った方向に延出させた部分である。したがって、延設部647は、導電層642と同様に、接触層644と、拡散層645と、保護層646が並ぶ多層構造を有する。また、特定電極640の金属層643の上面は、延設部647の上面と同一平面(XY平面)を形成する位置に配置されている。
また、詳細な層構造の図示は省略するが、図29に示すように、特定電極640として構成されるソース電極628において、フィールドプレート電極631は、延設部647の一部として形成されている。つまり、ソース電極628を構成する特定電極640の延設部647は、平面視でソース開口部626Aからゲート電極624よりもドレイン開口部626Bに近い位置まで延びるフィールドプレート電極631を有している。
(特定電極の製造工程)
図29の窒化物半導体装置610の製造方法は、特定電極640の製造工程を含む。以下、特定電極640の製造工程の一例について説明する。図31~図39は、特定電極640の例示的な製造工程を示す概略断面図である。なお、理解を容易にするために、図31~図39では、図29および図30の構成要素と同様の構成要素には同一の符号を付している。
図31に示すように、特定電極640の製造工程は、たとえばSi基板である半導体基板612上に、バッファ層614、電子走行層616、電子供給層618、および絶縁層626を順次形成することを含む。図31においては、半導体基板612上およびバッファ層614の図示を省略している。バッファ層614、電子走行層616、および電子供給層618は、有機金属気相成長(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)法を用いて、エピタキシャル成長させることができる。
詳細な図示は省略するが、一例では、バッファ層614は多層バッファ層であり、半導体基板612上にAlN層(第1バッファ層)が形成された後、AlN層上にグレーテッドAlGaN層(第2バッファ層)が形成される。グレーテッドAlGaN層は、たとえばAlN層に近い側から順にAl組成を75%、50%、25%とした3つのAlGaN層を積層することによって形成される。
バッファ層614上に電子走行層616が形成される。一例では、電子走行層616は、GaN層である。つまり、半導体基板612上にバッファ層614を介して電子走行層616が形成される。続いて、電子走行層616上に電子供給層618が形成される。一例では、電子供給層618は、AlGaN層である。
続いて、電子供給層618上に絶縁層626が形成される。一例では、絶縁層626は、減圧CVD(Low-Pressure Chemical Vapor Deposition:LPCVD)法によって形成されたSiN層である。
図32は、図31に続く製造工程を示す概略断面図である。図32に示すように、絶縁層626は、リソグラフィおよびエッチングによって選択的に除去される。その結果、絶縁層626には、開口部626C(ソース開口部626A、およびドレイン開口部626B)が形成される。開口部626Cは、電子供給層618の上面の一部(露出部分618A)を露出させている。
図33~35は、図32に続く製造工程を順に示す概略断面図である。図33に示すように、絶縁層626の上面、開口部626Cにより露出した電子供給層618の露出部分618A、および開口部626Cの側面の全体を覆う接触層644が形成される。一例では、接触層644は、スパッタ法によって形成されたチタン層である。続いて、図34に示すように、接触層644の表面全体を覆う拡散層645が形成される。一例では、拡散層645は、スパッタ法によって形成されたAlCu層である。続いて、図35に示すように、拡散層645の表面全体を覆う保護層646が形成される。一例では、保護層646は、スパッタ法によって形成されたTiN層である。以上の工程によって、開口部626Cの表面および絶縁層626の上面に導電層642が形成される。
図36および図37は、図35に続く製造工程を順に示す概略断面図である。図36に示すように、開口部626Cにおける導電層642の底部642Aと側部642Bとにより区画される領域に充填されるとともに、かつ絶縁層626の上面に形成された導電層642の上面全体を覆う金属層643が形成される。一例では、金属層643は、フッ化タングステンガス(WF)を用いたCVDによって形成されたタングステン層である。続いて、図37に示すように、絶縁層626の上面に形成された導電層642を露出させるように、たとえば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)により金属層643を平坦状に研磨する。以上の工程によって、特定電極640のコンタクト部641の金属層643が形成される。
図38および図39は、図37に続く製造工程を順に示す概略断面図である。図38および図39に示すように、絶縁層626上に形成された導電層642は、リソグラフィおよびエッチングによって選択的に除去される。より詳細には、図38に示すように、金属層643および絶縁層626上における開口部626Cの周囲の一部(延設部647となる部分)を覆うレジストマスクRMが形成される。図39に示すように、レジストマスクRMにより覆われていない部分の導電層642を除去した後、レジストマスクRMを除去する。以上の構成によって、コンタクト部641および延設部647を有する特定電極640が形成される。
(作用)
次に、第6実施形態の窒化物半導体装置610の作用を説明する。
窒化物半導体装置610は、電子走行層616と、電子走行層616上に形成された電子供給層618と、電子供給層618上に形成された絶縁層626と、特定電極640とを備える。特定電極640は、絶縁層626を貫通する開口部626Cを介して電子供給層618に接しているコンタクト部641を有する。コンタクト部641は、電子供給層618に接する導電層642と、導電層642上に形成されている金属層643を備える。
導電層642は電子供給層618における開口部626Cによって露出した露出部分618Aに接して覆っている接触層644と、拡散金属を含む層であって、接触層644上に形成されている拡散層645とを備える。
接触層644は、還元作用を有する金属であるチタンおよびタンタルから選ばれる少なくとも一種を含む。この場合、電子供給層618における開口部626Cによって露出した露出部分618Aに生じた抵抗源となる酸化物を、接触層644に含まれる金属の還元作用によって還元して、消失または減少させることができる。その結果、電子供給層618と特定電極640とが接する部分の抵抗が低下する。
拡散層645は、拡散金属を含む。この場合、拡散層645に含まれている拡散金属の一部が接触層644を通過して電子供給層618に拡散される。これにより、平面視において、電子供給層618における開口部626Cと重なる範囲に、拡散金属の濃度が局所的に高い高濃度領域HAが形成される。そして、電子供給層618における高濃度領域HA以外の部分は、拡散金属の濃度が相対的に低い低濃度領域LAになる。電子供給層618の上記範囲に高濃度領域HAが形成されることにより、電子供給層618における特定電極640と接する部分、すなわち、開口部626Cによって露出した露出部分618Aおよびその周囲の部分の導電性が向上する。
したがって、上記構成によれば、電子供給層618と特定電極640とが接する部分の抵抗が低下し、且つ電子供給層618における特定電極640と接する部分の導電性が向上する。これにより、電子供給層618における特定電極640に接する表面、および電子供給層618における拡散金属の濃度が高い部分(高濃度領域HA)を通じて、特定電極640と、電子走行層616の2DEG620とを好適にオーミック接触させることができる。その結果、特定電極640と2DEG620との接触抵抗が低減される。
(効果)
第6実施形態の窒化物半導体装置610によれば、以下の効果が得られる。
(6-1)
窒化物半導体装置610は、電子走行層616と、電子走行層616上に形成された電子供給層618と、電子供給層618上に形成された絶縁層626と、絶縁層626を貫通する開口部626Cを介して電子供給層618に接しているコンタクト部641を有する特定電極640と、を備える。コンタクト部641は、電子供給層618に接する導電層642を備える。導電層642は、チタン、およびタンタルから選ばれる少なくとも1種を含む層であって、電子供給層618における開口部626Cによって露出した露出部分618Aに接して覆っている接触層644と、拡散金属を含む層であって、接触層644上に形成されている拡散層645と、を備える。拡散金属は、電子供給層618に含まれている金属である。
この構成によれば、拡散層645の拡散金属が、接触層644を介して、電子供給層618における開口部626Cと重なる部分に拡散する。これにより、当該部分における拡散金属の濃度が高くなる。したがって、コンタクト部641と電子供給層618との接触抵抗を下げることができ、特定電極640と、電子走行層616の2DEG620とを好適にオーミック接触させることができる。その結果、特定電極640と2DEG620との接触抵抗を低減できる。
(6-2)
コンタクト部641は、さらに、タングステンを含む層であって、導電層642上に形成されている金属層643を備える。導電層642は、チタン、およびタンタルから選ばれる少なくとも一種を含む層であって、拡散層645と金属層643との間に介在している保護層646を備える。この構成によれば、拡散層645に含まれる成分とタングステンとの合金が金属層643中に生じることに起因して特定電極640の抵抗が増大することを抑制できる。
(6-3)
拡散層645は、アルミニウムを含む層である。保護層646は、拡散層645よりもアルミニウムの含有割合が低い層である。この構成によれば、フッ化タングステンガス(WF)を用いたCVDにより、タングステンを含む金属層643を形成する際に、タングステン-アルミニウム合金が生じることを抑制できる。そのため、タングステン-アルミニウム合金が金属層643中に生じることに起因して特定電極640の抵抗が増大することを抑制できる。
(6-4)
導電層642は、電子供給層618に接している底部642Aと、底部642Aから起立し、且つ開口部626Cの側壁と接している側部642Bとを含む。金属層643は、開口部626C内において、導電層642の底部642Aと側部642Bとにより区画される領域に充填されている。この構成によれば、埋め込み型の特定電極640と、電子走行層616の2DEG620との接触抵抗を低減できる。
(6-5)
拡散層645は、100nm以下の厚さを有する。
接触層644に含まれるチタンまたはタンタルは、接触層644に接している拡散層645に拡散し得る。接触層644に含まれる特定金属(チタン、タンタル)が接触層644の外へ過度に拡散すると、接触層644にボイドが形成される。接触層644に形成されたボイドは、接触層644の密度を低下させるため、接触層644の抵抗を増大させる要因になる。この構成によれば、拡散層645が薄く形成されることにより、接触層644に含まれる特定金属が拡散できる範囲が狭くなる。これにより、接触層644に含まれる特定金属が接触層644の外へ過度に拡散することに起因する接触層644の抵抗の増大を抑制できる。
(6-6)
拡散層645は、接触層644に含まれる特定金属であるチタンまたはタンタルを含む。この構成によれば、拡散層645中に既に特定金属が含まれていることにより、接触層644中の特定金属が拡散層645に拡散し難くなる。これにより、接触層644に含まれる特定金属が接触層644の外へ過度に拡散することに起因する接触層644の抵抗の増大を抑制できる。
(6-7)
特定電極640は、絶縁層626上に設けられた延設部647を備える。延設部647は、コンタクト部641から連続して形成されている導電層642を含む。この構成によれば、特定電極640と同じ電位となる延設部647を簡易な構成で形成できる。
(6-8)
開口部626Cは、互いに離隔して配置されているソース開口部626Aおよびドレイン開口部626Bを含む。窒化物半導体装置610は、ソース開口部626Aとドレイン開口部626Bの間に配置され、絶縁層626によって覆われたゲート電極624と、ソース開口部626Aを介して電子供給層618に接しているソース電極628と、ドレイン開口部626Bを介して電子供給層618に接しているドレイン電極630と、を備える。ソース電極628およびドレイン電極630は、特定電極640である。この構成によれば、ドレイン電極630およびソース電極628と、2DEG620との接触抵抗を低減できる。
(6-9)
特定電極640であるソース電極628の延設部647は、平面視でソース開口部626Aからゲート電極624よりもドレイン開口部626Bに近い位置まで延びるフィールドプレート電極631を有する。この構成によれば、ソース電極628とフィールドプレート電極631とを簡易な構成で一体に形成できる。
(第7実施形態)
第7実施形態の窒化物半導体装置710は、絶縁層626、特定電極640(ソース電極628およびドレイン電極630)の構成が第6実施形態と異なる。その他の構成については、第6実施形態と同様である。以下では、第6実施形態と同様な構成要素については説明を省略し、第6実施形態と異なる構成要素について説明する。
図40に示すように、パッシベーション膜である絶縁層626は、ゲート層622およびゲート電極624の表面に沿って形成されているため、非平坦な表面626Sを有する。絶縁層626は、たとえば、200nm以下の厚さT14を有する。絶縁層626の厚さT14は、たとえば、電子供給層618に接する部分の厚さであってよいし、ゲート電極624のゲート上面に接する部分の厚さであってもよい。また、フィールドプレート電極631は、絶縁層626の非平坦な表面626Sに沿って形成されている。そのため、フィールドプレート電極631も同様に非平坦な表面を有する。
次に、図41に示すドレイン電極630およびその周辺の拡大図を参照して、第7実施形態の特定電極640について説明する。
図41に示すように、特定電極640は、絶縁層626を貫通する開口部626Cを介して電子供給層618に接しているコンタクト部641と、絶縁層626上に設けられた延設部647とを含む。
特定電極640のコンタクト部641および延設部647は、導電層642と、導電層642上に形成されている金属層643とを備える。
導電層642は、コンタクト部641においては、開口部626Cの底面に露出する電子供給層および開口部626Cの側壁に接する層である。また、導電層642は、延設部647においては、絶縁層626の表面626Sに接する層である。導電層642は、コンタクト部641においては、開口部626Cの底面および側壁側から順に、延設部647においては、絶縁層626の表面626S側から順に、接触層644と、拡散層645と、保護層646が並ぶ多層構造を有する。
第7実施形態の金属層643は、接触層644に含まれている特定金属が拡散し得る材料により形成されている。接触層644に含まれている特定金属は、チタンまたはタンタルである。特定金属が拡散し得る材料は、たとえば、アルミニウム、アルミニウムと他の金属との合金である。アルミニウムと他の金属との合金は、たとえば、AlCu、AlTi、AlTiCu、AlTa、AlTaCuである。また、金属層643は、拡散層645と同じ材料により形成されていてもよい。一例では、金属層643および拡散層645は共に、アルミニウム、またはアルミニウムと他の金属との合金を含む層である。また、金属層643は、特定金属であるチタンまたはタンタルを含む材料により形成されていてもよい。特定金属を含む材料は、たとえば、AlTi、AlTiCu、AlTa、AlTaCuである。
第7実施形態の金属層643は、コンタクト部641および延設部647の両方に一体的に形成されている。コンタクト部641における金属層643の厚さT15は、たとえば、100nm以上1000nm以下である。また、延設部647における金属層643の厚さT16は、たとえば、100nm以上1000nm以下である。金属層643の厚さT15および厚さT16は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
導電層642を構成する接触層644、拡散層645の各層の構成は、第6実施形態と同様である。
保護層646は、拡散層645と金属層643との間に介在している。保護層646は、拡散層645と金属層643との間に介在することにより、接触層644を形成している特定金属(チタンまたはタンタル)が拡散層645を越えて金属層643まで拡散することを抑制するための層である。換言すると、保護層646は、接触層644に含まれる特定金属が拡散層645から金属層643に入り込むことを防ぐための壁である。
金属層643が、特定金属が拡散し得る材料により形成されている場合、接触層644に含まれる特定金属が拡散層645を越えて金属層643まで拡散することがある。接触層644に含まれる特定金属が接触層644の外へ過度に拡散すると、接触層644にボイドが形成される。接触層644に形成されたボイドは、接触層644の抵抗を増大させる抵抗源になる。拡散層645と金属層643との間に、特定金属の拡散を抑制する保護層646を設けることにより、接触層644におけるボイドの形成、ひいては、接触層644の抵抗の増大を抑制できる。
保護層646は、たとえば、特定金属(チタン、タンタル)を含む材料によって形成されている。チタンを含む材料は、たとえば、窒化チタン(TiN、TiN)、TiAlCuである。タンタルを含む材料は、たとえば、窒化タンタル(TaN)である。保護層646が特定金属を含む材料によって形成されている場合、接触層644から拡散層645への特定金属の拡散と、保護層646から拡散層645への特定金属の拡散が競合することにより、接触層644から拡散層645への特定金属の拡散が抑制される。
第7実施形態の保護層646は、たとえば、30nm以上100nm以下の厚さT17を有する。保護層646の厚さT17は、たとえば、開口部626Cの底面の上に位置する部分におけるZ方向に沿った寸法を指す。
また、特定電極640のコンタクト部641および延設部647は、金属層643の上面(保護層646に接する面の反対側の面)を保護するための表面保護層648をさらに備える。表面保護層648は、金属層643上に形成されるとともに、コンタクト部641および延設部647の両方に一体的に形成されている。
表面保護層648は、たとえば、10nm以上100nm以下の厚さT18を有する。表面保護層648の厚さT18は、たとえば、コンタクト部641における表面保護層648の厚さである。
表面保護層648は、たとえば、チタン、タンタルを含む材料によって形成されている。チタンを含む材料は、たとえば、窒化チタン(TiN)である。タンタルを含む材料は、たとえば、窒化タンタル(TaN)である。一例では、表面保護層648は、窒化チタンによって形成されている。また、表面保護層648は、チタンを含む材料、タンタルを含む材料以外の成分を含んでいてもよい。
(効果)
以上記述したように、第7実施形態の窒化物半導体装置710によれば、(6-2)、(6-3)、(6-4)に記載の効果を除いて、第6実施形態の窒化物半導体装置610と同様の効果を奏する。また、第7施形態の窒化物半導体装置710によれば、以下の効果が得られる。
(7-1)
特定電極640は、チタン、およびタンタルから選ばれる少なくとも一種を含む保護層646を含む。この構成によれば、保護層646が形成されていることにより、接触層644に含まれる特定金属が拡散層645を越えて金属層643まで拡散することを抑制できる。これにより、接触層644に含まれる特定金属が接触層644の外へ過度に拡散することに起因する接触層644の抵抗の増大を抑制できる。
(7-2)
金属層643は、特定金属(チタン、タンタル)を含む。この構成によれば、金属層643に既に特定金属が含まれていることにより、接触層644中の特定金属が拡散層645に拡散し難くなる。これにより、接触層644に含まれる特定金属が接触層644の外へ過度に拡散することに起因する接触層644の抵抗の増大を抑制できる。
(変更例)
上記実施形態は例えば以下のように変更できる。上記実施形態と以下の各変更例は、技術的な矛盾が生じない限り、互いに組み合せることができる。なお、以下の変更例において、上記実施形態と共通する部分については、上記実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
・上記第1~第5実施形態に対し、ソースフィールドプレート部32Bが省略されてもよい。
・上記第1~第5実施形態に対し、第1絶縁層27Aと第2絶縁層27Bは、異なる材料により形成されてもよい。
・第6実施形態の金属層643は、タングステンを含む材料により形成される層に限定されない。たとえば、第6実施形態の金属層643は、第7実施形態の金属層643を形成する材料、すなわち、特定金属が拡散し得る材料により形成されていてもよい。この場合、保護層646も第7実施形態の構成に変更してもよい。また、第6実施形態の金属層643は、窒化物半導体装置の電極に用いられる公知の材料により形成されていてもよい。
・第7実施形態の金属層643は、特定金属が拡散し得る材料により形成される層に限定されない。たとえば、第7実施形態の金属層643は、第6実施形態の金属層643を形成する材料、すなわち、タングステンを含む材料により形成されていてもよい。この場合、保護層646も第6実施形態の構成に変更してもよい。また、第7実施形態の金属層643は、窒化物半導体装置の電極に用いられる公知の材料により形成されていてもよい。
・上記第6,第7実施形態において、特定電極640は、保護層646が省略されていてもよい。
・上記第6,第7実施形態において、特定電極640は、延設部647の一部または全体が省略されていてもよい。図42に示すように、延設部647の全体が省略されている場合、コンタクト部641において、金属層643における絶縁層626の表面626Sから上方に突出する部分を省略してもよい。つまり、金属層643の上面は、絶縁層626の表面626Sと同一平面(XY平面)を形成する位置に配置されていてもよい。また、特定電極640の導電層642は、側部642Bが省略された形状であってもよい。この場合、金属層643は、開口部626Cの側壁と接していてもよい。
・上記第6,第7実施形態において、ソース電極628およびドレイン電極630のうちのいずれか一方のみが特定電極640であってもよい。
・上記第6,第7実施形態では、窒化物半導体装置610,710は、窒化物半導体HEMTとして構成されたが、窒化物半導体HEMTに限定されず、窒化物半導体ダイオードとして構成されてもよい。
本明細書に記載の様々な例のうちの1つまたは複数を、技術的に矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
本開示で使用される「~上に」という用語は、文脈によって明らかにそうでないことが示されない限り、「~上に」と「~の上方に」との双方の意味を含む。したがって、「第1層が第2層上に形成される」という表現は、或る実施形態では第1層が第2層に接触して第2層上に直接配置され得るが、他の実施形態では第1層が第2層に接触することなく第2層の上方に配置され得ることが意図される。すなわち、「~上に」という用語は、第1層と第2層との間に他の層が形成される構造を排除しない。
本開示で使用されるZ軸方向は必ずしも鉛直方向である必要はなく、鉛直方向に完全に一致している必要もない。したがって、本開示による種々の構造(例えば、図2に示される構造)は、本明細書で説明されるZ軸方向の「上」および「下」が鉛直方向の「上」および「下」であることに限定されない。例えば、X軸方向が鉛直方向であってもよく、またはY軸方向が鉛直方向であってもよい。
本開示における「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、単に対象物を区別するために用いられており、対象物を順位づけするものではない。
本開示で使用されるZ軸方向は必ずしも鉛直方向である必要はなく、鉛直方向に完全に一致している必要もない。したがって、本開示による種々の構造(たとえば、図2に示される構造)は、本明細書で説明されるZ軸方向の「上」および「下」が鉛直方向の「上」および「下」であることに限定されない。たとえば、X軸方向が鉛直方向であってもよく、またはY軸方向が鉛直方向であってもよい。
(付記)
本開示から把握できる技術的思想を以下に記載する。なお、限定する意図ではなく理解の補助のために、付記に記載される構成要素には、実施形態中の対応する構成要素の参照符号が付されている。参照符号は、理解の補助のために例として示すものであり、各付記に記載された構成要素は、参照符号で示される構成要素に限定されるべきではない。
(付記A1)
基板(12)と、
前記基板(12)の上方に形成された電子走行層(16)と、
前記電子走行層(16)上に形成され、前記電子走行層(16)よりも大きいバンドギャップを有する電子供給層(18)と、
前記電子供給層(18)上に形成され、アクセプタ型不純物を含むゲート層(22)と、
前記ゲート層(22)上に形成されたゲート電極(24,224)と、
前記ゲート層(22)を挟むように配置され、前記電子供給層(18)に接するソース電極(32)およびドレイン電極(34)と、
を備え、
前記ソース電極(32)、前記ゲート層(22)、および前記ドレイン電極(34)の並ぶ第1方向(X)において、前記ゲート電極(24,224)は、前記ゲート層(22)の長さよりも大きな長さを有しており、前記ゲート層(22)の上面全体に接しているとともに前記ゲート層(22)から前記ソース電極(32)及び前記ドレイン電極(34)の少なくとも一方に向けて延びている、
窒化物半導体装置。
(付記A2)
前記ゲート電極(24,224)は、前記ゲート層(22)の上面全体と接する接続部(42)と、前記接続部(42)から前記ソース電極(32)に向けて延びるソース側延出部(44)と、前記接続部(42)から前記ドレイン電極(34)に向けて延びるドレイン側延出部(46)とを有する、付記A1に記載の窒化物半導体装置。
(付記A3)
前記ソース側延出部(44)の下面および前記ドレイン側延出部(46)の下面は、前記接続部(42)の下面と面一である、付記A2に記載の窒化物半導体装置。
(付記A4)
前記ソース側延出部(44)の下面および前記ドレイン側延出部(46)の下面は、前記接続部(42)の下面よりも上方に位置している、付記A2に記載の窒化物半導体装置。
(付記A5)
前記ソース側延出部(44)の厚さおよび前記ドレイン側延出部(46)の厚さは、前記接続部(42)の厚さと等しい、付記A2から付記A4のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置。
(付記A6)
前記接続部(42)の上面は、前記ソース側延出部(44)およびドレイン側延在部の上面よりも前記ゲート層(22)よりに位置している、付記A2から付記A5のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置。
(付記A7)
前記ソース側延出部(44)の長さは、10nm以上100nm以下である、付記A2から付記A4のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置。
(付記A8)
前記ソース側延出部(44)の長さは、60nm以上90nm以下である、付記A2から付記A6のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置。
(付記A9)
前記ドレイン側延出部(46)の長さは、10nm以上100nm以下である、付記A2から付記A8のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置。
(付記A10)
前記ドレイン側延出部(46)の長さは、60nm以上90nm以下である、付記A2から付記A8のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置。
(付記A11)
前記ソース側延出部(44)の長さは、前記ドレイン側延出部(46)の長さと等しい、付記A2から付記A10のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置。
(付記A12)
前記ソース側延出部(44)の長さは、前記ドレイン側延出部(46)の長さと異なる、付記A2から付記A10のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置。
(付記A13)
前記ゲート層(22)および前記ゲート電極(24,224)を覆うパッシベーション層を有する、付記A1から付記A12のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置。
(付記A14)
パッシベーション層は、前記ゲート層(22)の側面と接する第1絶縁層(27A)と、前記ゲート電極(24,224)の側面および上面と接する第2絶縁層(27B)とを含む、付記A1から付記A13のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置。
(付記A15)
前記第1絶縁層(27A)と前記第2絶縁層(27B)は、同じ材料により構成されている、付記A14に記載の窒化物半導体装置。
(付記A16)
前記第1絶縁層(27A)と前記第2絶縁層(27B)は、異なる材料により構成されている、付記A14に記載の窒化物半導体装置。
(付記A17)
前記ソース側延出部(44)の下面および前記ドレイン側延出部(46)の下面は、第1絶縁層(27A)の上面に接する、付記A2から付記A12のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置。
(付記A18)
前記ゲート層(22)は、前記ゲート電極(24,224)の一部と接するリッジ部と、前記リッジ部よりも薄く前記ソース電極(32)に向けて延びるソース側ステップ部と、前記リッジ部よりも薄く前記ドレイン電極(34)に向けて延びるドレイン側ステップ部とを有する、付記A1から付記A17のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置。
(付記A19)
基板(12)上に窒化物半導体によって構成された第1窒化物半導体層(16)を形成すること、
前記第1窒化物半導体層(16)上に、前記第1窒化物半導体層(16)よりも大きなバンドギャップを有する窒化物半導体によって構成された第2窒化物半導体層(18)を形成すること、
前記第2窒化物半導体層(18)上に、アクセプタ型不純物を含む窒化物半導体によって構成された第3窒化物半導体層(22)を形成すること、
前記第3窒化物半導体層(22)をエッチングしてゲート層(22)を形成すること、
前記ゲート層(22)の側面に接する第1絶縁層(27A)を形成すること、
前記ゲート層(22)上にゲート電極(24,224)を形成すること、
前記ゲート電極(24,224)と前記第1絶縁層(27A)とを覆う第2絶縁層(27B)を形成すること、
前記ゲート電極(24,224)を挟むように配置され、前記第2窒化物半導体層(18)に接するソース電極(32)およびドレイン電極(34)を形成すること、
を備え、
前記ゲート電極(24,224)は、前記ソース電極(32)、前記ゲート層(22)、および前記ドレイン電極(34)の並ぶ第1方向(X)において、前記ゲート層(22)の長さよりも大きな長さを有しており、前記ゲート層(22)の全面に接しているとともに前記ゲート層(22)から前記ソース電極(32)及び前記ドレイン電極(34)の少なくとも一方に向けて延びている、
窒化物半導体装置の製造方法。
(付記A20)
前記ゲート層(22)を形成することは、
前記第3窒化物半導体層(22)の上にマスク層(64)を形成すること、
前記マスク層(64)をパターニングしてゲートマスク(64A)を形成すること、
前記ゲートマスク(64A)により前記第3窒化物半導体層(22)をエッチングして前記ゲート層(22)を形成すること、
を含む、付記A19に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
(付記A21)
前記第1絶縁層(27A)を形成することは、
前記ゲートマスク(64A)および前記ゲート層(22)を覆う第1絶縁膜(68)を形成すること、
前記第1絶縁膜(68)を平坦化するとともに前記ゲートマスク(64A)を除去し、前記ゲート層(22)の上面を露出する前記第1絶縁層(27A)を形成すること、
を含む、付記A20に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
(付記A22)
前記第1絶縁層(27A)を形成することは、
前記ゲートマスクおよび前記ゲート層(22)を覆う第1絶縁膜(68)を形成すること、
前記第1絶縁膜(68)を平坦化するとともに前記ゲートマスクの一部(64B)を残して前記第1絶縁層(27A)を形成すること、
前記ゲートマスクの一部(64B)を除去して前記ゲート層(22)の上面を露出すること、
を含む、付記A20に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
(付記A23)
前記ゲート電極(24,224)を形成することは、
前記ゲート層(22)と前記第1絶縁層(27A)とを覆う金属層(70)を形成すること、
前記金属層(70)をパターニングして前記ゲート電極(24,224)を形成すること、
を含み、
前記第2絶縁層(27B)を形成することは、
前記ゲート電極(24,224)と前記第1絶縁層(27A)を覆う第2絶縁膜(74)を形成すること、
前記第2絶縁膜(74)を平坦化して前記第2絶縁層(27B)を形成すること、
を含む、
付記A21または付記A22に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
(付記B1)
窒化物半導体によって構成された電子走行層(616)と、
前記電子走行層(616)上に形成され、前記電子走行層(616)よりも大きなバンドギャップを有する窒化物半導体によって構成された電子供給層(618)と、
前記電子供給層(618)上に形成された絶縁層(626)と、
前記絶縁層(626)を貫通する開口部(626A,626B,626C)を介して前記電子供給層(618)に接しているコンタクト部(641)を有する特定電極(640)と、を備え、
前記コンタクト部(641)は、前記電子供給層(618)に接する導電層(642)を備え、
前記導電層(642)は、
チタン、およびタンタルから選ばれる少なくとも一種を含む層であって、前記電子供給層(618)における前記開口部(626A,626B,626C)によって露出した部分(618A)に接して覆っている接触層(644)と、
拡散金属を含む層であって、前記接触層(644)上に形成されている拡散層(645)と、を備え、
前記拡散金属は、前記電子供給層(618)に含まれている金属である、
窒化物半導体装置(610,710)。
(付記B2)
平面視において、前記電子供給層(618)における前記開口部(626A,626B,626C)に重なる部分(HA)は、前記開口部(626A,626B,626C)に重ならない部分(LA)よりも前記拡散金属の濃度が高い、
付記B1に記載の窒化物半導体装置(610,710)。
(付記B3)
前記コンタクト部(641)は、さらに、タングステン、アルミニウムから選ばれる少なくとも一種を含む層であって、前記導電層(642)上に形成された金属層(643)を備え、
前記導電層(642)は、さらに、チタン、およびタンタルから選ばれる少なくとも一種を含む層であって、前記拡散層(645)と前記金属層(643)との間に介在している保護層(646)を備える、
付記B1または付記B2に記載の窒化物半導体装置(610,710)。
(付記B4)
前記導電層(642)は、前記電子供給層(618)に接している底部(642A)と、前記底部(642A)から起立し、且つ前記開口部(626C)の側壁と接している側部(642B)とを含み、
前記金属層(643)は、前記開口部(626C)内において、前記導電層(642)の前記底部(642A)と前記側部(642B)とにより区画される領域に充填されている、
付記B1から付記B3のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(610)。
(付記B5)
前記金属層(643)は、タングステンを含み、
前記拡散層(645)は、アルミニウムを含み、
前記保護層(646)は、前記拡散層(645)よりもアルミニウムの含有割合が低い層である、
付記B3または付記B4に記載の窒化物半導体装置(610)。
(付記B6)
前記接触層(644)は、チタンを含み、
前記保護層(646)は、チタンを含む、
付記B3から付記B5のいずれか一つに記載の窒化物半導体装置(710)。
(付記B7)
前記接触層(644)は、タンタルを含み、
前記保護層(646)は、タンタルを含む、
付記B3から付記B6のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(710)。
(付記B8)
前記拡散層(645)は、100nm以下の厚みを有する、
付記B1から付記B7のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(610,710)。
(付記B9)
前記接触層(644)は、チタン、およびタンタルから選ばれる特定金属を含み、
前記拡散層(645)は、前記拡散金属と前記特定金属を含む、
付記B1から付記B8のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(610,710)。
(付記B10)
前記特定電極(640)は、前記絶縁層(626)上に設けられた延設部(647)を備え、
前記延設部(647)は、前記コンタクト部(641)から連続して形成されている、
付記B1から付記B9のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(610,710)。
(付記B11)
前記開口部(626A,626B,626C)は、互いに離隔して配置されているソース開口部(626A)およびドレイン開口部(626B)を含み、
前記ソース開口部(626A)と前記ドレイン開口部(626B)の間に配置され、前記絶縁層(626)によって覆われたゲート電極(624)と、
前記ソース開口部(626A)を介して前記電子供給層(618)に接しているソース電極と(628)、
前記ドレイン開口部(626B)を介して前記電子供給層(618)に接しているドレイン電極(630)と、を備え、
前記ソース電極(628)および前記ドレイン電極(630)の少なくとも一方は、前記特定電極(648)である、
付記B1から付記B10のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(610,710)。
(付記B12)
前記ソース電極(628)は、前記特定電極(640)であり、
前記ソース電極(628)は、前記絶縁層上(626)に設けられた延設部(647)を備え、
前記延設部(647)は、前記コンタクト部(641)から連続して形成されており、
前記延設部(647)は、平面視で前記ソース開口部(626A)から前記ゲート電極(624)よりも前記ドレイン開口部(626B)に近い位置まで延びるフィールドプレート電極(631)を有する、
付記B11に記載の窒化物半導体装置(610,710)。
(付記B13)
前記延設部(647)は、前記コンタクト部(641)から連続して形成されるとともに、前記導電層(642)上に形成されている前記金属層(643)を含む、
付記B10または付記B12に記載の窒化物半導体装置(710)。
(付記B14)
前記電子走行層(616)は、GaN層であり、
前記電子供給層(618)は、AlGaN層であり、
前記拡散金属は、アルミニウムである、
付記B1から付記B13のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(610,710)。
以上の説明は単に例示である。本開示の技術を説明する目的のために列挙された構成要素および方法(製造プロセス)以外に、より多くの考えられる組み合わせおよび置換が可能であることを当業者は認識し得る。本開示は、特許請求の範囲を含む本開示の範囲内に含まれるすべての代替、変形、および変更を包含することが意図される。
10 窒化物半導体装置
12 基板
12S 上面
14 バッファ層
16 電子走行層(第1窒化物半導体層)
17A 第1半導体層
17B 第2半導体層
18 電子供給層(第2窒化物半導体層)
18A ソース接続領域
18B ドレイン接続領域
20 二次元電子ガス
22 ゲート層
22A 側面
22B 側面
22S 上面
24 ゲート電極
24A 電極側面
24B 電極側面
24EA 第1下端部
24EB 第2下端部
24R 電極下面
24S 電極上面
26 パッシベーション層
26A ソース開口部
26B ドレイン開口部
26S 上面
27A 第1絶縁層
27AR 下面
27AS 上面
27B 第2絶縁層
27BR 下面
27BS 上面
32 ソース電極
32A ソース電極部
32B ソースフィールドプレート部
32C 端部
34 ドレイン電極
42 接続部
42C 部分
42D 部分
42R 下面
42S 上面
44 ソース側延出部
44R 下面
44S 上面
46 ドレイン側延出部
46R 下面
46S 上面
62 第3窒化物半導体層
62A ゲート層
64 マスク層
64A ゲートマスク
64B ゲートマスク
66 レジスト膜
68 第1絶縁膜
70 金属層
72 レジスト膜
74 第2絶縁膜
76 金属層
110 窒化物半導体装置
124 ゲート電極
124A 電極側面
124B 電極側面
124EA 第1下端部
124EB 第2下端部
124R 電極下面
210 窒化物半導体装置
224 ゲート電極
224A 電極側面
224B 電極側面
224R 電極下面
224S 電極上面
310 窒化物半導体装置
324 ゲート電極
324A ソース側側面
324B ドレイン側側面
324R 電極下面
324S 電極上面
410 窒化物半導体装置
424 ゲート電極
424A ソース側側面
424B ドレイン側側面
424EA 第1下端部
424EB 第2下端部
424R 電極下面
424S 電極上面
510 窒化物半導体装置
522 ゲート層
552 リッジ部
552A ソース側側面
552B ドレイン側側面
552S 上面
554 ソース側ステップ部
556 ドレイン側ステップ部
610,710…窒化物半導体装置
612…半導体基板
614…バッファ層
616…電子走行層
618…電子供給層
618A…露出部分
620…2DEG(二次元電子ガス)
622…ゲート層
624…ゲート電極
626…絶縁層
626A…ソース開口部
626B…ドレイン開口部
626C…開口部
626S…表面
628…ソース電極
630…ドレイン電極
631…フィールドプレート電極
631A…端部
640…特定電極
641…コンタクト部
642…導電層
642A…底部
642B…側部
643…金属層
644…接触層
644A…接触底部
644B…接触側部
645…拡散層
645A…拡散底部
645B…拡散側部
646…保護層
646A…保護底部
646B…保護側部
647…延設部
648…表面保護層
L22,L24,L124,L224 長さ
L44,L46 長さ
T1 厚さ
HA…高濃度領域
LA…低濃度領域
RM…レジストマスク
T11~T18…厚さ

Claims (18)

  1. 基板と、
    前記基板の上方に形成された電子走行層と、
    前記電子走行層上に形成され、前記電子走行層よりも大きいバンドギャップを有する電子供給層と、
    前記電子供給層上に形成され、アクセプタ型不純物を含むゲート層と、
    前記ゲート層上に形成されたゲート電極と、
    前記ゲート層を挟むように配置され、前記電子供給層に接するソース電極およびドレイン電極と、
    を備え、
    前記ソース電極、前記ゲート層、および前記ドレイン電極の並ぶ第1方向において、前記ゲート電極は、前記ゲート層の長さよりも大きな長さを有しており、前記ゲート層の上面全体に接しているとともに前記ゲート層から前記ソース電極及び前記ドレイン電極の少なくとも一方に向けて延びている、
    窒化物半導体装置。
  2. 前記ゲート電極は、前記ゲート層の上面全体と接する接続部と、前記接続部から前記ソース電極に向けて延びるソース側延出部と、前記接続部から前記ドレイン電極に向けて延びるドレイン側延出部とを有する、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
  3. 前記ソース側延出部の下面および前記ドレイン側延出部の下面は、前記接続部の下面と面一である、請求項2に記載の窒化物半導体装置。
  4. 前記ソース側延出部の下面および前記ドレイン側延出部の下面は、前記接続部の下面よりも上方に位置している、請求項2に記載の窒化物半導体装置。
  5. 前記ソース側延出部の厚さおよび前記ドレイン側延出部の厚さは、前記接続部の厚さと等しい、請求項2に記載の窒化物半導体装置。
  6. 前記接続部の上面は、前記ソース側延出部およびドレイン側延在部の上面よりも前記ゲート層よりに位置している、請求項2に記載の窒化物半導体装置。
  7. 前記ソース側延出部の長さは、10nm以上100nm以下である、請求項2に記載の窒化物半導体装置。
  8. 前記ソース側延出部の長さは、60nm以上90nm以下である、請求項2に記載の窒化物半導体装置。
  9. 前記ドレイン側延出部の長さは、10nm以上100nm以下である、請求項2に記載の窒化物半導体装置。
  10. 前記ドレイン側延出部の長さは、60nm以上90nm以下である、請求項2に記載の窒化物半導体装置。
  11. 前記ソース側延出部の長さは、前記ドレイン側延出部の長さと等しい、請求項2に記載の窒化物半導体装置。
  12. 前記ソース側延出部の長さは、前記ドレイン側延出部の長さと異なる、請求項2に記載の窒化物半導体装置。
  13. 前記ゲート層および前記ゲート電極を覆うパッシベーション層を有する、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
  14. パッシベーション層は、前記ゲート層の側面と接する第1絶縁層と、前記ゲート電極の側面および上面と接する第2絶縁層とを含む、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
  15. 前記第1絶縁層と前記第2絶縁層は、同じ材料により構成されている、請求項14に記載の窒化物半導体装置。
  16. 前記第1絶縁層と前記第2絶縁層は、異なる材料により構成されている、請求項14に記載の窒化物半導体装置。
  17. 前記ソース側延出部の下面および前記ドレイン側延出部の下面は、第1絶縁層の上面に接する、請求項2に記載の窒化物半導体装置。
  18. 前記ゲート層は、前記ゲート電極の一部と接するリッジ部と、前記リッジ部よりも薄く前記ソース電極に向けて延びるソース側ステップ部と、前記リッジ部よりも薄く前記ドレイン電極に向けて延びるドレイン側ステップ部とを有する、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
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