JP2024007046A - プラズマ発生装置およびプラズマ処理方法 - Google Patents

プラズマ発生装置およびプラズマ処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】1MHz以下の高周波電力を用いた場合においても、あるいは減圧状態においても、効率よく長尺のプラズマを発生することができるプラズマ発生装置およびプラズマ処理方法を提供することを目的とする。【解決手段】チャンバと、両側の開口端を前記チャンバに連通させたガス流通管とを備え、前記ガス流通管は第一直線部と、前記第一直線部の両側にそれぞれ屈曲部を介して内側方向所定の接続角θ1,θ2にて接続した第二直線部と第三直線部の端部に前記開口端を有し、前記ガス流通管の両側面に対向配置した一対の空心コイルと、前記空心コイルに高周波電力を供給することで、前記ガス流通管内にプラズマ発生ガスを流した状態で誘導熱プラズマを発生させる高周波電源を有し、前記接続角θ1及びθ2は45±10度であることを特徴とする。【選択図】 図2

Description

本発明はプラズマ発生装置に関し、特に高周波誘導熱プラズマの発生装置及びそれを用いたプラズマ処理方法に係る。
高周波誘導熱プラズマは、高温で且つ高い反応性を有する熱プラズマ空間を無電極状態で形成することができるため、電極金属の溶融等に起因する不純物の混入が抑制されることから、各種の表面処理方法や成膜方法として広く応用されている。
従来の高周波誘導熱プラズマ装置は、円筒状のプラズマトーチの外周部に誘導コイルが巻回された構成を有し、プラズマトーチの内部にアルゴンガス等の不活性ガスを流すと共に誘導コイルに高周波電力を供給しつつ、プラズマトーチの内部に高電圧を印加して放電を発生させることで、プラズマが点火される。
その後、プラズマトーチの内部に原料物質を供給することで、各種の化学反応を行うことができる。
このような円筒状のプラズマトーチを使用する装置では、近年の半導体ウエハの大型化および液晶画面の大型化に対応して、プラズマによる処理面積の拡大を図ることが困難であった。
すなわち、円筒状のプラズマトーチの径を拡大すると、誘導コイルに供給する高周波電力の増大および冷却効率の向上が必要となり、処理面積の拡大には限界があった。
そこでプラズマ処理の広領域化を目的に例えば特許文献1には、中心軸の周りを囲む円環状のループ管の一部を切り欠くことにより一対の開口端が形成された形状を有するガス流通管からプラズマを真空チャンバ内に射出する技術を開示する。
この技術は、ある程度の広領域化を図るのには有効であるものの、しかし大型基板を処理すべく、基板に照射するプラズマの長さを長くしようとすると、円形のループを大型化する必要があり、結果として基板に直接作用しない、すなわち、基板の処理に寄与しないプラズマが非常に長くなり、装置を構成する部材や、プラズマの発生に用いる高周波電力の無駄が多くなってしまう恐れがあり、さらなる改善の余地があった。
また、非特許文献1および特許文献2にはレーストラック形のチャンバを用いる技術を開示するが同装置(いずれも13.56MHz、大気圧での運転について報告・例示されている)では、部材や高周波電力の無駄は解消されるものの、比較的扱いが容易な1MHz以下の高周波電力を用いたプラズマ発生、とくに大気圧でなく、減圧下におけるプラズマ発生ができないという問題点があった。
特開2015-215942号公報 国際公開第2014/045547号公報
Tomohiro Okumura et al., Annealing performance improvement of elongated inductively coupled plasma torch and its application to recovery of plasma-induced Si substrate damage, Japanese Journal of Applied Physics, Vol.53, No.3S2(2014)
本発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、1MHz以下の高周波電力を用いた場合においても、あるいは減圧状態においても、効率よく長尺のプラズマを発生することができるプラズマ発生装置およびプラズマ処理方法を提供することを目的とする。
本発明に係るプラズマ発生装置は、チャンバと、両側の開口端を前記チャンバに連通させたガス流通管とを備え、前記ガス流通管は第一直線部と、前記第一直線部の両側にそれぞれ屈曲部を介して内側方向所定の接続角θ1,θ2にて接続した第二直線部と第三直線部の端部に前記開口端を有し、前記ガス流通管の両側面に対向配置した一対の空心コイルと、前記空心コイルに高周波電力を供給することで、前記ガス流通管内にプラズマ発生ガスを流した状態で誘導熱プラズマを発生させる高周波電源を有し、前記接続角θ1及びθ2は45±10度であることを特徴とする。
ここで、第一直線部の長さによりチャンバに連通させる両側の第二直線部と第三直線部との開口端の距離を調整することができ、従来のループ構造よりも長くできる。
従って、第二直線部と第三直線部の長さは第一直線部の長さよりも短くなっている。
また、第一直線部にプラズマ発生ガスの注入口を設け、チャンバに直接原料物質の導入口を設けることもできその場合にガス流通管には原料物質が含まれていないので誘導熱プラズマ状態が安定する。
本発明において、前記チャンバの内部を減圧する減圧手段を有しているのが好ましい。
本発明において、前記高周波電源は、出力周波数が1MHz以下であるのが好ましい。
上記プラズマ発生装置を用いると、チャンバ内におけるプラズマ領域が広く、長尺の基材(基板)に対しても対応できるプラズマ処理方法となる。
したがって、本発明に係るプラズマ処理方法は、チャンバと、両側の開口端を前記チャンバに連通させたガス流通管とを備え、前記ガス流通管は第一直線部と、前記第一直線部の両側にそれぞれ屈曲部を介して内側方向所定の接続角θ1,θ2にて接続した第二直線部と第三直線部の端部に前記開口端を有し、前記ガス流通管の両側面に対向配置した一対の空心コイルと、前記空心コイルに高周波電力を供給することで、前記ガス流通管内にプラズマ発生ガスを流した状態で誘導熱プラズマを発生させる高周波電源を有し、前記接続角θ1及びθ2は45±10度である。
ここで、本発明に係るプラズマ処理方法は、前記チャンバの内部を減圧する減圧手段を有しているのが好ましく、前記高周波電源は出力周波数が1MHz以下であるのが好ましい。
本発明に係るプラズマ発生装置は、チャンバと、両側の開口端を前記チャンバに連通させたガス流通管とを備え、前記ガス流通管は第一直線部と、前記第一直線部の両側にそれぞれ屈曲部を介して内側方向所定の接続角θ1,θ2にて接続した第二直線部と第三直線部の端部に前記開口端を有し、前記ガス流通管の両側面に対向配置した一対の空心コイルと、前記空心コイルに高周波電力を供給することで、前記ガス流通管内にプラズマ発生ガスを流した状態で誘導熱プラズマを発生させる高周波電源を有し、前記接続角θ1及びθ2は45±10度であるので、チャンバ内に保持させた基材の表面上にて両側の開口端から射出された熱プラズマが重なり合い、この基材表面に均一なプラズマ領域が形成される。
接続角θ1,θ2の設定理由は、実施の形態にて詳しく説明する。
この発明の実施の形態1に係るプラズマ発生装置の全体構成を概略的に示す。 ガス流通管内に誘導熱プラズマを発生させ且つガス流通管の直下に基板を配置したときのガス流通管およびチャンバの断面図を示す。 実施の形態1のプラズマ発生装置に用いる空心コイル側面図を示す。 第二直線部と第三直線部の接続角の影響の説明図を示す。 実施の形態2のプラズマ発生装置の構成例を示す。 Ar/NICTP発光様相を示す。 N原子スペクトルのx方向分布を示す。
以下、この発明の実施の形態1を添付図面に基づいて説明する。
図1に、プラズマ装置の構成図を模式的に、図2にガス流通管及びチャンバ内の断面図、図3に空心コイルの側面図を示す。
本発明に係るプラズマ発生装置は、チャンバ1と両側の開口端(2a,2b)をチャンバ1に連通させたガス流通管2とを備え、ガス流通管2は第一直線部2Cと、第一直線部の両側にそれぞれ屈曲部(第一屈曲部2F,第二屈曲部2G)を介して、内側方向所定の接続角θ1,θ2にて接続した第二直線部2Dと、第三直線部2Eの端部に開口端(2a,2b)を有し、ガス流通管2の両側面に対向配置した一対の空心コイル3と、空心コイル3に高周波電力を供給することで、ガス流通管2内にプラズマ発生ガスを流した状態で、誘導熱プラズマを発生させる高周波電源6を有し、接続角θ1及びθ2は45±10度になっている。
以下、プラズマ発生装置の構成内容を具体的に説明する。
プラズマ発生装置は、チャンバ1を有し、チャンバ1にガス流通管2が連結されている。
ガス流通管2は、一対の開口端(2a,2b)においてチャンバ1に連結されている。
さらに、ガス流通管2の近傍両側部には、一対の巻き線部を有する空心コイル3が配置されている。
また、ガス流通管2の中間部にプラズマ発生ガス注入口4が形成され、チャンバ1に原料物質導入口5が形成されている。
空心コイル3は、一対の巻き線部31および32を有しており、これら一対の巻き線部31および32がガス流通管2の両側面から挟み込むように互いに対向配置されている。
一対の巻き線部31および32は、ガス流通管2の両側面に沿って巻回され、それぞれ、ガス流通管2に近接した第1の端部31aおよび32aと、中心軸Cに沿ってガス流通管2から離れた第2の端部31bおよび32bを有している。
そして、双方の巻き線部31および32の第1の端部31aおよび32aの間に高周波電源6が接続され、双方の巻き線部31および32の第2の端部31bおよび32bは短絡部33を介して互いに短絡されている。
さらに、プラズマ発生ガス注入口4にプラズマ発生ガス供給部7が接続され、原料物質導入口5に原料物質供給部8が接続されている。
本実施例のプラズマ発生ガス注入口4は、チャンバ1からもっとも離れたガス流通管2の中間部に配置されており、原料物質導入口5は、チャンバ1に連結されたガス流通管2の一対の開口端(2a,2b)の中央に配置されている例になっている。
図2に示されるように、ガス流通管2は、チャンバ1内に配置する基板Sの長手方向に平行な長さL1の第一直線部2Cと、第一直線部2Cの両側にそれぞれ第一直線部2Cよりも短い長さL2の第二直線部2Dおよび第三直線部2Eとを有し、第一直線部2Cと第二直線部2Dとを内側方向所定の接続角θ1の角度で接続する第一屈曲部2Fと、第一直線部2Cと第三直線部2Eとを内側方向所定の接続角θ2の角度で接続する第二屈曲部2Gとからなり、第二直線部2Dに設けられた開口端2aおよび第三直線部2Eに設けられた開口端2bからなる一対の開口端を有している。
したがって、接続角θ1,θ2は、第二直線部2D,第三直線部2Eのチャンバ1に対する外側の連結角に対応する。
これらの開口端2aおよび2bを介してガス流通管2の内部がチャンバ1内に連通している。
また、原料物質導入口5は、一対の開口端2aおよび2bの間でチャンバ1内に連通している。
なお、本実施例は接続角θ1および接続角θ2はいずれも45度±10度の範囲である。
さらに、チャンバ1内には、プラズマ処理を行う基材(基板)Sを保持するための基板保持部9が配置されている。
基板保持部9は、基板Sの表面が、ガス流通管2の一対の開口端2aおよび2bと、第二直線部2Dおよび第三直線部2Eの中心軸に沿って延長した中心線T1およびT2が交差する点Pとの間に位置するように、基板Sを保持する。
また、チャンバ1には内部を減圧する減圧手段を有し、具体的には排気口10が形成されており、この排気口10に真空ポンプ等からなる真空排気部11が接続されている。
図3に示されるように、空心コイル3の一対の巻き線部31および32は、互いに同一方向に巻回され、中心軸C方向にガス流通管2から離れた第2の端部31bおよび32bが短絡部33を介して互いに短絡されているので、ガス流通管2に近接した第1の端部31aおよび32aに高周波電源6から高周波電力を供給すると、空心コイル3の中心を貫く中心軸Cに沿って時間と共に大きさと方向が変化する磁界B、いわゆる交番磁界が形成される。
高周波電源6は、出力周波数が1MHz以下であるのが好ましい。
また、ガス流通管2に近接した第1の端部31aおよび32aに高周波電源6から高周波電力が供給されるため、互いに対向する巻き線部31の第1の端部31aと巻き線部32の第1の端部32aの間に時間と共に大きさと方向が変化する電界Eが形成される。
ここで、巻き線部31および32は、ガス流通管2の側面に沿って配置されているので、ガス流通管2のすべての箇所に中心軸Cと平行な電界Eが形成されることとなる。
次に、本実施例1に係るプラズマ発生装置の動作について説明する。
まず、真空排気部11でチャンバ1内を減圧し、プラズマ発生ガス供給部7からプラズマ発生ガス注入口4を介してガス流通管2内にプラズマ発生ガスを注入すると、プラズマ発生ガス注入口4が第一直線部2Cの中間部に配置されているため、プラズマ発生ガスは、ガス流通管2内で2方向に分岐されてそれぞれガス流通管2内を流れ、一方が第一屈曲部2F、第二直線部2Dを通ってガス流通管2の開口端2aから中心線T1に沿ってチャンバ1内に射出され、他方が第二屈曲部2G、第三直線部2Eを通ってガス流通管2の開口端2bから中心線T2に沿ってチャンバ1内に射出される。
この状態で、空心コイル3の第1の端部31aおよび32aの間に高周波電源6から高周波電力を供給して中心軸Cに沿った交番磁界を形成しつつ、図示しない高電圧印加装置によりガス流通管2に高電圧を印加して放電を発生させることで、ガス流通管2内にプラズマが点火される。
なお、このとき、高周波電源6から空心コイル3の第1の端部31aおよび32aの間に供給される高周波電力に起因して、空心コイル3の一対の巻き線部31および32の間に位置するガス流通管2の内部に中心軸Cと平行な電界Eが形成されているため、静電的なプラズマがつきやすくなり、容易にプラズマを点火することが可能となる。
点火されたプラズマは、高周波の電磁界の変化に追随することができず、あたかも導電性金属柱のように振る舞い、電磁誘導作用によりプラズマに渦電流が流れ、この渦電流により生ずるジュール熱に起因して誘導熱プラズマが発生する。
このようにして発生した誘導熱プラズマZは、図2に示されるように、プラズマ発生ガスの流れに対応して、ガス流通管2の一対の開口端2aおよび2bから中心線T1およびT2に沿ってチャンバ1内に射出されることとなる。
そして、図2に示されるように、基板Sを基板保持部9に保持させることにより、ガス流通管2の開口端2aおよび2bにおける中心線T1およびT2が交差する点Pと、これらの開口端2aおよび2bとの間に基板Sの表面を位置させると、開口端2aおよび2bからチャンバ1内に射出されていた誘導熱プラズマZが基板Sの表面上で互いに向き合うように延びて重なり合う。
その結果、ガス流通管2の内部と、一対の開口端2aおよび2bから基板Sの表面まで延びる中心線T1およびT2上と、基板Sの表面上を通る閉路プラズマ電流が形成される。
これにより、中心線T1およびT2が基板Sの表面と交わる点AおよびBを結ぶ直線状の領域が、均一な誘導熱プラズマZによって直接照射され、基板Sの表面に対して熱処理を施すことが可能となる。
このとき、一対の開口端2aおよび2bの間に配置されている原料物質導入口5は、基板Sの表面における点AおよびBを結ぶ直線の直上に位置しているので、原料物質供給部8から原料物質導入口5を介してチャンバ1内に原料物質を注入すると、原料物質は基板Sの表面上に形成された誘導熱プラズマZに導入されて化学反応し、基板Sの表面に対して原料物質に対応した処理が行われる。
原料物質供給部8から供給される原料物質としては、固体、液体、ガス、あるいはこれらの混合物質等、各種の物質を用いることができる。
具体的には、チタン粉体、黒鉛粉体等の固体物質、ベンゼン、エタノール等の液体物質、窒素、酸素、水素等のガス物質が、それぞれの処理目的に応じて使用される。
例えば、原料物質として窒素ガスを供給することにより、基板Sの表面に対して窒化処理を行うことができ、また、原料物質として酸素ガスを供給することにより、基板Sの表面に対して酸化処理を行うことができる。
さらに、各種の原料物質を供給することで、基板Sの表面上に膜形成を行うこともできる。
また、高周波電源6から空心コイル3の第1の端部31aおよび32aの間に供給される高周波電流の振幅を変調することにより、誘導熱プラズマZから処理対象物であるチャンバ1内の基板Sへ向かう熱流束およびラジカル流束を制御することができる。
例えば、互いに振幅が異なる2種類の高周波電流を交互に繰り返して空心コイル3に供給することで、基板Sの表面温度を基板Sが熱的ダメージを受けない所定範囲内に維持しながら、誘導熱プラズマZ中のラジカル量が異なる2つの処理を交互に施して、効率よく基板Sの表面処理を行うことも可能となる。
なお、誘導熱プラズマを発生させるためのプラズマ発生ガスとしては、アルゴンガス等の不活性ガスを用いることができる。
本実施例1においては、ガス流通管2の内部にプラズマ発生ガスを流した状態で誘導熱プラズマを発生させ、ガス流通管2の一対の開口端2aおよび2bからチャンバ1内に射出される誘導熱プラズマに原料物質を導入するように構成されているので、ガス流通管2の内部にはプラズマ発生ガスのみが存在することになり、原料物質の供給を伴っても、極めて安定した誘導熱プラズマを得ることが可能となる。
ここで、プラズマ発生装置を実際に製作して行った誘導熱プラズマの発生の実験について説明する。
第一直線部2Cの長さL1を100mm、第二直線部2Dおよび第三直線部2Eの長さL2を20mm、接続角θ1およびθ2を45度として、プラズマ発生装置を製作した。
一対の開口端2aおよび2bの間隔は、約80mmである。
まず、真空排気部11によりチャンバ1内を減圧して圧力1330Pa(N/m)とし、プラズマ発生ガスとして流量1リットル/分(1.667×10-5/秒)のアルゴンガスをプラズマ発生ガス注入口4からガス流通管2内に供給し、電力6kW、周波数295kHzの高周波電力を高周波電源6から空心コイル3に供給してプラズマを発生させたところ、アルゴンガスの発光状態から、ガス流通管2の内部と一対の開口端2aおよび2bから延びる中心線T1およびT2上に安定した誘導熱プラズマZが形成されたことが確認された。
さらに、基板Sを一対の開口端2aおよび2bに接近させて配置することで、基板Sの表面上に80mm×10mm程度の直線状の領域にわたって誘導熱プラズマZを照射することができた。
ただし、上記の実験で製作されたプラズマ発生装置は、一例に過ぎず、例えば、ガス流通管2の第一直線部2Cの長さL1を250mm程度とすれば、基板Sの表面上に200mm×10mm程度の領域にわたって誘導熱プラズマZを照射することができる。
つまり、ガス流通管2の第一直線部2Cを長くして一対の開口端2aおよび2bの間隔を拡げることで、基板Sに対する誘導熱プラズマZの照射領域をより長くすることが可能となる。
なお、コアを有しない空心コイル3を使用しているので、空心コイル3の一対の巻き線部31および32の間に原料物質導入口5を配置して、原料物質を原料物質導入口5からチャンバ1内に直接注入することができる。
このため、ガス流通管2の中間部に位置するプラズマ発生ガス注入口4から注入したのでは、チャンバ1内に到達するまでに消失してしまうような寿命が短い活性種を含む原料物質であっても、確実にチャンバ1内で誘導熱プラズマに導入されることとなる。
また、コアを使用しないため、磁気飽和および鉄損の問題を考慮する必要がなく、さらに、コアの冷却も不要となり、簡単な構成を有するプラズマ発生装置が実現される。
なお、チャンバ1およびガス流通管2は、例えば、石英、セラミックス等の耐熱性に優れた材料から形成されることが望ましい。
空心コイル3の外周部、特に、巻き線部31および32の外周部は、隣接する巻き線の間で放電が生じることを防止するために放電防止用の被膜でコーティングされていることが望ましい。
さらに、内部に冷却水を流通させて冷却することができる構造のコイルを使用することが好ましい。
また、チャンバ1、ガス流通管2および空心コイル3を水冷タンク内で流水中に晒して冷却する構造を採用することもできる。
また、ガス流通管2の内部にも高温の誘導熱プラズマが形成されるが、プラズマ発生ガス注入口4から注入されるプラズマ発生ガスの流量を高めることにより、ガス流通管2の内壁への誘導熱プラズマの接触を防止することができる。
また、接続角θ1および接続角θ2がいずれも45度である場合を例示したが、接続角θ1および接続角θ2はいずれも45±10度であることが好ましい。
35度よりも小さい場合は、図4に示すように、誘導熱プラズマZが基板Sから離れ、中央部付近でチャンバ1がなす直方体部の上面に接触する可能性が高くなる。
おそらく、開口端2aおよび2bから噴出されるガス流れが基板Sの中央付近で衝突することが原因と推定される。
逆に、接続角θ1および接続角θ2が55度よりも大きい場合、誘導熱プラズマを安定して生成することができない。
特許文献2に記載の装置では、接続角θ1および接続角θ2は約90度であり、非特許文献1に記載の装置では、接続角θ1および接続角θ2は約60度であるが、誘導熱プラズマが安定して生成できるとされている。
その違いは、おそらく装置の動作圧力および駆動周波数に起因するものと推定される。
装置を減圧した状態でプラズマを発生させる場合、より具体的には、チャンバ内の圧力を10,000Pa以下に減圧した状態でプラズマを発生させる場合、及び/又は高周波電力の周波数が1MHz以下である場合、より具体的には、高周波電力の周波数が100kHz以上1MHz以下である場合、接続角θ1および接続角θ2はいずれも45±10度とすべきである。
また、チャンバ1内で、ガス流通管2の一対の開口端2aおよび2bに対し、基板保持部9を基板Sと共に移動し得るように構成し、直線状の誘導熱プラズマを基板Sのあらゆる部分に次々に照射することにより、基板Sの表面全体に対してプラズマ処理を施すことを可能とする構成としてもよい。
次に実施の形態2(実施例2)について説明する。
本実施例2の構成を図5に示す。
ガス流通管2の上部の中央部に設けたプラズマ発生ガス注入口からAr(流量1.0slpm)を注入した。
本実施例2はチャンバに原料物質導入口を2ヶ所に設け、多孔質セラミック(Porous ceramic)を通して基板上に吹き付けるようにした。
原料物質としてはAr/N流量:0.6/0.1slpmとした。
本実施例2は、空心コイル3として3パターンコイルを用い、投入電力6kw、チャンバ内圧力10TorrとしAr/Nプラズマを発生及び維持した。
この状態のAr/N誘導熱プラズマ(ICTP)の発光様相を図6に示す。
基板ホルダ上空間に紫がかった短い発光が観察された。
これは、N2+の発光スペクトル(355~430nm)によると考えられる。
分光観察からN原子の発光スペクトル747.3,821.1nmも確認できた。
図7に基板ホルダ上,1mm間隔21点に対してN原子スペクトル(821.1nm)のx方向の分布図を示す。
図7のN原子スペクトル(821.1nm)のx方向分布図からも、本発明によるプラズマ発生装置のスペクトル強度分布が一様になっていることが分かる。
1 チャンバ
2 ガス流通管
2a,2b 開口端
3 空心コイル
4 プラズマ発生ガス注入口
5 原料物質導入口
6 高周波電源
7 プラズマ発生ガス供給部
8 原料物質供給部
9 基板保持部
10 排気口
11 真空排気部
31,32 巻き線部
31a,32a 第1の端部
31b,32b 第2の端部
33 短絡部
C 中心軸
2C 第一直線部
2D 第二直線部
2E 第三直線部
2F 第一屈曲部
2G 第二屈曲部
θ1 第一直線部と第二直線部との接続角
θ2 第一直線部と第三直線部との接続角
T1,T2 中心線
P 中心線が交差する点
S 基板
B 磁界
E 電界
Z 誘導熱プラズマ
A,B 中心線が基板表面と交わる点

Claims (4)

  1. チャンバと、
    両側の開口端を前記チャンバに連通させたガス流通管とを備え、
    前記ガス流通管は第一直線部と、前記第一直線部の両側にそれぞれ屈曲部を介して内側方向所定の接続角θ1,θ2にて接続した第二直線部と第三直線部の端部に前記開口端を有し、
    前記ガス流通管の両側面に対向配置した一対の空心コイルと、
    前記空心コイルに高周波電力を供給することで、前記ガス流通管内にプラズマ発生ガスを流した状態で誘導熱プラズマを発生させる高周波電源を有し、
    前記接続角θ1及びθ2は45±10度であることを特徴とするプラズマ発生装置。
  2. 前記チャンバの内部を減圧する減圧手段を有していることを特徴とする請求項1記載のプラズマ発生装置。
  3. 前記高周波電源は、出力周波数が1MHz以下であることを特徴とする請求項1記載のプラズマ発生装置。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載のプラズマ発生装置を用いたことを特徴とする基材のプラズマ処理方法。
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