JP2024006900A - 膜付きガラス基板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】防眩性と耐引っかき性とを高いレベルで両立することができる、膜付きガラス基板を提供する。【解決手段】ガラス基板2と、ガラス基板2の主面2a上に設けられており、酸化ケイ素を主成分とする、アンチグレア膜3とを備え、アンチグレア膜3の表面3aにおける算術平均高さSaが、0.3μm以上であり、JIS K5600-5-4:1999の鉛筆硬度試験において、アンチグレア膜3の表面3aにおける傷の有無の判定を、金属顕微鏡を用いて100倍の倍率でアンチグレア膜3の表面3aを観察することにより行ったときに、鉛筆硬度が7H以上である、膜付きガラス基板1。【選択図】図1

Description

本発明は、アンチグレア膜を有する、膜付きガラス基板及び該膜付きガラス基板の製造方法に関する。
従来、携帯電話機、タブレット端末、テレビ、あるいはデジタルサイネージ等のディスプレイにおいては、室内照明(蛍光灯等)や、太陽光等の外光により反射像が表示面に映り込むことによって視認性が低下することがある。このような外光による映り込みを抑える処理としては、アンチグレア処理や反射防止処理が知られている。
下記の特許文献1には、ガラス板と、ガラス板上に設けられているアンチグレア層とを備える、カバーガラスが開示されている。特許文献1では、ガラス板上に、スプレーコート法により無機塗料を塗布することによってアンチグレア層が形成され、それによってカバーガラスに防眩効果が付与されている。上記無機塗料の主成分としては、シリカ前駆体、アルミナ前駆体、ジルコニア前駆体、チタニア前駆体等が用いられている。
国際公開第2020/218056号
近年、特許文献1のような膜付きガラス基板には、より高い防眩性が求められている。この際、防眩性を高めるためには、アンチグレア膜の膜厚を厚くする方法が考えられる。しかしながら、アンチグレア膜の膜厚を厚くすると、耐引っかき性が低下することがある。その結果、長期間の使用により、アンチグレア膜に多数の傷が生じるという問題がある。
本発明の目的は、防眩性と耐引っかき性とを高いレベルで両立することができる、膜付きガラス基板及び該膜付きガラス基板の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決する膜付きガラス基板及び該膜付きガラス基板の製造方法の各態様について説明する。
本発明の態様1に係る膜付きガラス基板は、ガラス基板と、前記ガラス基板の主面上に設けられており、酸化ケイ素を主成分とする、アンチグレア膜とを備え、前記アンチグレア膜の表面における算術平均高さSaが、0.3μm以上であり、JIS K5600-5-4:1999の鉛筆硬度試験において、前記アンチグレア膜の表面における傷の有無の判定を、金属顕微鏡を用いて100倍の倍率で前記アンチグレア膜の表面を観察することにより行ったときに、鉛筆硬度が7H以上であることを特徴としている。
態様2に係る膜付きガラス基板は、態様1において、前記膜付きガラス基板のJIS K7136:2000に準拠して測定したヘイズが、30%以上であることが好ましい。
態様3に係る膜付きガラス基板は、態様1又は2において、前記ガラス基板の歪点が、550℃以上であることが好ましい。
態様4に係る膜付きガラス基板は、態様1から態様3のいずれか一つの態様において、前記アンチグレア膜の表面における二乗平均平方根高さSqと最小自己相関長さSalとの比(Sq/Sal)が、0.05以上であることが好ましい。
本発明の態様5に係る膜付きガラス基板の製造方法は、ガラス基板上に、スプレーコート法によりシリカ前駆体を含むコーティング液を塗布することによって、凹凸を有するコーティング膜を形成する工程と、前記コーティング膜を500℃以上の温度で焼成することにより、アンチグレア膜を形成する工程とを備え、前記アンチグレア膜の表面における算術平均高さSaが、0.3μm以上となるように、前記アンチグレア膜を形成することを特徴としている。
態様6に係る膜付きガラス基板の製造方法は、態様5において、前記コーティング膜を焼成するに際し、前記コーティング膜を前記ガラス基板の歪点以下の温度で焼成することが好ましい。
態様7に係る膜付きガラス基板の製造方法は、態様5又は6において、前記ガラス基板の歪点が、550℃以上であることが好ましい。
態様8に係る膜付きガラス基板の製造方法は、態様5から態様7のいずれか一つの態様において、前記シリカ前駆体が、N官能性シリコンアルコキシド(N=2,3,4)及び該N官能性シリコンアルコキシドの加水分解縮合物のうち少なくとも一方を含むことが好ましい。
本発明によれば、防眩性と耐引っかき性とを高いレベルで両立することができる、膜付きガラス基板及び該膜付きガラス基板の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る膜付きガラス基板を示す模式的断面図である。 図2は、本発明の第2の実施形態に係る膜付きガラス基板を示す模式的断面図である。
以下、好ましい実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は単なる例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
[第1の実施形態]
(膜付きガラス基板)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る膜付きガラス基板を示す模式的断面図である。図1に示すように、膜付きガラス基板1は、ガラス基板2と、アンチグレア膜3とを備える。ガラス基板2上に、アンチグレア膜3が設けられている。
本実施形態において、ガラス基板2は、略矩形板状の形状を有する。もっとも、ガラス基板2は、例えば、略円板状等の形状を有していてもよく、その形状は特に限定されない。
ガラス基板2は、波長450nm~700nmにおける少なくとも一部の光を透過するガラス基板であることが好ましい。ガラス基板2は透明ガラス基板であることが好ましい。なお、本明細書において、「透明」とは、波長450nm~700nmにおける可視波長域の光透過率が70%以上であることをいう。
ガラス基板2の歪点は、特に限定されないが、好ましくは500℃以上、より好ましくは550℃以上、さらに好ましくは560℃以上、さらにより好ましくは570℃以上、さらにより好ましくは580℃以上、さらにより好ましくは590℃以上、さらにより好ましくは600℃以上、さらにより好ましくは610℃以上、さらにより好ましくは620℃以上、さらにより好ましくは630℃以上、さらにより好ましくは640℃以上、さらにより好ましくは650℃以上、さらにより好ましくは660℃以上、特に好ましくは670℃以上、最も好ましくは680℃以上である。この場合、後述する製造工程において高温で焼成した場合においても、ガラス基板2の歪みをより一層残り難くすることができ、膜付きガラス基板1の変形をより一層抑制することができる。そのため、膜付きガラス基板1をディスプレイ等に用いたときに視認性をより一層向上させることができる。なお、ガラス基板2の歪点の上限値は、特に限定されないが、例えば、1000℃とすることができる。
ガラス基板2の歪点は、ASTM C336に準拠して測定することができる。また、ガラス基板2の歪点は、公知の方法(例えば、特開2002-308643号公報、特開2012-041217号公報、特開2002-029776号公報、特開2006-252828号公報、特開2022-008627号公報、特開平08-295530号公報等)により高めることができる。特に、アルカリ金属酸化物を実質的に含まない(例えば、0.1%以下)無アルカリガラスは、歪点が高くなり易く、また、耐擦傷性及び耐薬品性をより一層向上させる観点からも好ましい。
ガラス基板2に用いられるガラスとしては、特に限定されず、例えば、ホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラス、石英ガラス、結晶化ガラス等を用いることができる。なお、後述する製造工程において高温で焼成した場合に化学強化が劣化する恐れがあることから、ガラス基板2に用いられるガラスは、化学強化ガラスではないことが望ましい。
ガラス基板2に用いられるガラスは、例えば、SiO、Al、B、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属酸化物、SnO等を含有することができる。
SiOは、ガラスのネットワークフォーマー(網目形成酸化物)を形成する成分である。SiOの含有量は、例えば、質量百分率で、50%~75%とすることができる。SiOの含有量が上記下限値以上である場合、ガラスの歪点をより一層向上させることができる。一方、SiOの含有量が上記上限値以下である場合、高温粘度を低めることができ、ガラスの溶融性をより一層向上させることができる。
Alの含有量は、例えば、質量百分率で、8%~25%とすることができる。Alの含有量が上記下限値以上である場合、ガラスの歪点をより一層向上させることができる。また、ガラスを分相し難くすることができる。一方、Alの含有量が上記上限値以下である場合、ガラスの液相温度が高くなり難い。
は、ガラスの高温粘性を下げて溶融性を向上させる成分である。Bの含有量は、例えば、質量百分率で、0.01%~15%とすることができる。Bの含有量が上記下限値以上である場合、ガラスの溶融性をより一層向上させることができる。一方、Bの含有量が上記上限値以下である場合、ガラスの歪点をより一層向上させることができる。
アルカリ土類金属酸化物は、ガラスの高温粘性を下げて溶融性を高める成分である。アルカリ土類金属酸化物としては、例えば、MgO、CaO、SrO、BaO等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。アルカリ土類金属酸化物の含有量(複数種を含む場合は合量)は、例えば、質量百分率で、0.1%~20%、1%~20%、5%~20%、10%~20%である。アルカリ土類金属酸化物の含有量が上記下限値以上である場合、ガラスの溶融性をより一層向上させることができる。一方、アルカリ土類金属酸化物の含有量が上記上限値以下である場合、ガラスの歪点をより一層向上させることができる。また、ガラス組成の成分バランスを崩れ難くすることができ、失透結晶を析出し難くすることができる。
アルカリ金属酸化物は、ガラスの溶融性を高める成分である。アルカリ金属酸化物としては、例えば、LiO、NaO、KO等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。アルカリ金属酸化物の含有量(複数種を含む場合は合量)は、質量百分率で、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.02%以上、さらに好ましくは0.05%以上であり、好ましくは24%以下、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下、さらにより好ましくは5%以下、さらにより好ましくは3%以下、さらにより好ましくは1%以下、さらにより好ましくは0.5%以下、さらにより好ましくは0.3%以下、特に好ましくは0.1%以下である。アルカリ金属酸化物の含有量が上記下限値以上である場合、ガラスの溶融性をより一層向上させることができる。一方、アルカリ金属酸化物の含有量が上記上限値以下である場合、ガラスの歪点をより一層向上させることができる。
SnOは、高温域で良好な清澄作用を有し、ガラスの歪点を高める成分である。SnOの含有量は、例えば、質量百分率で、0%~1%とすることができる。SnOの含有量が上記下限値以上である場合、ガラスの歪点をより一層向上させることができる。一方、SnOの含有量が上記上限値以下である場合、ガラスの失透をより生じ難くすることができる。
ガラス基板2に用いられるガラスは、上記成分以外にも、例えば、ZnO、P、TiO、Y、Nb、La等の他の成分を含有していてもよい。他の成分は、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。なお、他の成分は、本発明の効果を阻害しない範囲で含有することができ、原料コストの観点から、他の成分の含有量(複数種を含む場合は合量)は、質量百分率で、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。
ガラス基板2に用いられるガラスとして、これらに限定される訳ではないが、例えば、ガラス組成として、質量%で、SiO 58%~70%、Al 10%~19%、B 6.5%~15%、MgO 0%~2%、CaO 3%~12%、BaO 0.1%~5%、SrO 0%~4%、BaO+SrO 0.1%~6%、ZnO 0%~5%、MgO+CaO+BaO+SrO+ZnO 5%~15%、LiO+NaO+KO 0%~0.5%、ZrO 5%~20%、TiO 0%~5%、P 0%~5%の組成を有するガラスや、ガラス組成として、質量%で、SiO 55%~70%、Al 10%~20%、B 0.1%~4.5%、MgO 0%~1%、CaO 5%~15%、SrO 0.5%~5%、BaO 5%~15%、LiO+NaO+KO 0%~0.5%を含有するガラスを挙げることができる。
ガラス基板2の厚みは、特に限定されない。ガラス基板2の厚みは、例えば、0.1mm~5mm程度とすることができる。
ガラス基板2は、第1の主面2a及び第2の主面2bを有する。第1の主面2a及び第2の主面2bは、対向し合っている。ガラス基板2の第1の主面2a上には、アンチグレア膜3が設けられている。
アンチグレア膜3は、凹凸構造を有する。アンチグレア膜3は、外光の映り込み等を抑制する、いわゆる防眩効果を付与するために設けられている。アンチグレア膜3は、酸化ケイ素を主成分とする膜である。
なお、本明細書において、上記「主成分とする」は、膜中にその成分が50質量%以上含まれていることを意味し、その成分が80質量%以上含まれることが好ましく、90質量%以上含まれることがより好ましい。当然ながら、膜中に、その成分が100質量%含まれていてもよい。
アンチグレア膜3の表面3aにおける算術平均高さSaは、0.3μm以上である。算術平均高さSaは、例えば、光干渉型顕微鏡やレーザー顕微鏡を用いて、ISO 25178に準拠して測定することができる。なお、アンチグレア膜3の算術平均高さSaは、アンチグレア膜3の膜厚を厚くすることにより、大きくすることができる。
また、アンチグレア膜3の鉛筆硬度は、7H以上である。鉛筆硬度は、JIS K5600-5-4:1999の鉛筆硬度試験に準拠した原理、装置及び器具、手順で評価できる。具体的には、鉛筆として「ユニ」(三菱鉛筆株式会社製)を用い、ひっかき距離を10mmとし、アンチグレア膜3の表面3aにおける1mm以上の傷の有無の判定を、金属顕微鏡を用いて100倍の倍率でアンチグレア膜3の表面3aを落射照明で観察することにより行うことができる。
本実施形態の膜付きガラス基板1は、上記の構成を備えるので、防眩性と耐引っかき性とを高いレベルで両立することができる。そのため、本実施形態の膜付きガラス基板1は、携帯電話機、タブレット端末、テレビ、あるいはデジタルサイネージ等のディスプレイにおけるカバーガラス等に好適に用いることができる。
本実施形態においては、アンチグレア膜3の表面3aにおける算術平均高さSaが0.3μm以上、好ましくは0.32μm以上、より好ましくは0.33μm以上であり、好ましくは0.7μm以下、より好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.45μm以下である。アンチグレア膜3の表面3aにおける算術平均高さSaが上記下限値以上である場合、膜付きガラス基板1の防眩性をより一層向上させることができる。また、アンチグレア膜3の表面3aにおける算術平均高さSaが上記上限値以下である場合、アンチグレア膜3のガラス基板2からの剥離をより一層生じ難くすることができる。
また、アンチグレア膜3の鉛筆硬度は、7H以上、好ましくは8H以上、より好ましくは9H以上である。アンチグレア膜3の鉛筆硬度が上記下限値以上である場合、膜付きガラス基板1の耐引っかき性をより一層向上させることができる。なお、アンチグレア膜3の鉛筆硬度の上限値は、特に限定されないが、例えば、10Hとすることができる。
また、アンチグレア膜3の鉛筆硬度は、上記したJIS K5600-5-4:1999に記載の原理、装置及び器具、手順に準拠した方法で行うことができる。鉛筆硬度は、同一硬度の鉛筆で10回以上ひっかきを行い、傷の発生率が30%以下となる最大の硬度とすることができる。なお、同一条件で作製した複数枚の膜付きガラス基板を用意して各々の鉛筆硬度を評価し、得られる鉛筆硬度が異なる場合は、その中央値を鉛筆硬度とすることができる。
本実施形態において、アンチグレア膜3の表面3aにおける二乗平均平方根高さSqは、好ましくは0.30μm以上、より好ましくは0.35μm以上、さらに好ましくは0.40μm以上であり、好ましくは0.80μm以下、より好ましくは0.60μm以下、さらに好ましくは0.56μm以下である。アンチグレア膜3の表面3aにおける二乗平均平方根高さSqが上記下限値以上である場合、膜付きガラス基板1の防眩性をより一層向上させることができる。また、アンチグレア膜3の表面3aにおける二乗平均平方根高さSqが上記上限値以下である場合、アンチグレア膜3のガラス基板2からの剥離をより一層生じ難くすることができる。
アンチグレア膜3の表面3aにおける最小自己相関長さSalは、好ましくは1.5μm以上、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上であり、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは8μm以下である。アンチグレア膜3の表面3aにおける最小自己相関長さSalが上記下限値以上である場合、膜付きガラス基板1の防眩性をより一層向上させることができる。また、アンチグレア膜3の表面3aにおける最小自己相関長さSalが上記上限値以下である場合、スパークルと呼ばれるぎらつきをより一層抑制することができる。
また、アンチグレア膜3の表面3aにおける二乗平均平方根高さSqと最小自己相関長さSalとの比(Sq/Sal)は、好ましくは0.03以上、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.06以上であり、好ましくは0.10以下、より好ましくは0.08以下、さらに好ましくは0.07以下である。比(Sq/Sal)が上記下限値以上である場合、膜付きガラス基板1の防眩性をより一層向上させることができる。また、比(Sq/Sal)が上記上限値以下である場合、ヘイズが高くなりすぎることをより一層確実に防止することができる。
なお、二乗平均平方根高さSq及び最小自己相関長さSalは、例えば、ISO 25178に準拠して測定することができる。また、比(Sq/Sal)は、アンチグレア膜3の膜厚を厚くすることにより、大きくすることができる。
アンチグレア膜3の平均膜厚は、特に限定されないが、好ましくは430nm以上、より好ましくは500nm以上、さらに好ましくは700nm以上、好ましくは2000nm以下、より好ましくは1500nm以下、さらに好ましくは1000nm以下となるように設計することができる。なお、アンチグレア膜3の平均膜厚は、単位面積あたりの塗布量×液塗着効率×固形分換算濃度/膜の密度から見積もることができる。
本実施形態において、膜付きガラス基板1のヘイズは、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、好ましくは80%以下、より好ましくは60%以下である。膜付きガラス基板1のヘイズが上記下限値以上である場合、膜付きガラス基板1の防眩性をより一層向上させることができる。また、膜付きガラス基板1のヘイズが上記上限値以下である場合、ディスプレイ等に用いたときに、表示面の視認性をより一層高めることができる。
膜付きガラス基板1のヘイズは、例えば、JIS K7136:2000に準拠して測定することができる。なお、膜付きガラス基板1のヘイズは、例えば、アンチグレア膜3の膜厚を厚くすることにより、大きくすることができる。
以下、本発明の膜付きガラス基板の製造方法の一例について説明する。
(膜付きガラス基板の製造方法)
本実施形態の膜付きガラス基板1の製造方法では、まず、ガラス基板2を用意する。ガラス基板2としては、上述したものを用いることができる。また、ガラス基板2は、基板本体の表面に機能層を有するものであってもよい。機能層としては、アンダーコート層、密着改善層、保護層、着色層等が挙げられる。
次に、用意したガラス基板2上に、スプレーコート法によりコーティング液を塗布することによって、凹凸を有するコーティング膜を形成する。
コーティング液は、シリカ前駆体を含む。シリカ前駆体は、例えば、スプレーコート法によりアンチグレア膜を形成する際のマトリックス形成成分として用いることができる。コーティング液がシリカ前駆体を含有することにより、ガラス基板2との密着性を高めることができ、ガラス基板2との屈折率を整合させることができる。
シリカ前駆体としては、例えば、シロキサン重合体が挙げられる。シロキサン重合体としては、シリコンアルコキシドや、その加水分解縮合物を用いることが好ましい。また、シリコンアルコキシドが、N官能性シリコンアルコキシド(N=2,3,4)及びその加水分解縮合物のうち少なくとも一方を含むことが好ましい。このようなシリコンアルコキシドとしては、例えば、4官能性シリコンアルコキシドである、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等が挙げられる。
また、シリコンアルコキシドは、アルキル基、ビニル基、フェニル基、又はエポキシ基等の有機置換基を有する3官能性シリコンアルコキシドまたは2官能性シリコンアルコキシドであってもよい。有機置換基を有するシリコンアルコキシドとしては、例えば、3官能性シリコンアルコキシドである、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシランや、2官能性シリコンアルコキシドである、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等が挙げられる。このような有機置換基を有する場合、形成されるコーティング膜の応力を低減することができ、焼成時の昇温過程で亀裂が発生することをより一層抑制することができる。
これらのシリコンアルコキシドは、1種のみを使用してもよく、複数種を混合して使用してもよい。
シロキサン重合体は、加水分解縮合反応を進めることにより、サイズを成長させることができる。シロキサン重合体のサイズは、例えば、体積平均で2nm~30nmとすることができる。
シリカ前駆体の含有量は、固形分に占めるシリカ換算の質量百分率で、例えば、50%以上であり、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上である。
コーティング液は、アルミナ前駆体、ジルコニア前駆体、チタニア前駆体、又はイットリア前駆体を含んでいてもよい。これらは、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。コーティング液が、アルミナ前駆体、ジルコニア前駆体、チタニア前駆体、又はイットリア前駆体を含有する場合、被膜(コーティング膜)の耐久性をより一層向上させることができ、被膜(コーティング膜)の屈折率とガラス基板2との屈折率の整合性をより一層向上させることができる。
アルミナ前駆体、ジルコニア前駆体、チタニア前駆体、又はイットリア前駆体の含有量(複数種を含む場合は合量)は、固形分に占めるアルミナ、ジルコニア、チタニア、又はイットリア換算の質量百分率で、例えば、0%~30%とすることができる。
アルミナ前駆体としては、例えば、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムアルコキシドの加水分解縮合物、水溶性アルミニウム塩、アルミニウムキレート等が挙げられる。水溶性アルミニウム塩としては、例えば、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、アルミニウムホルモアセテート、アルミニウムアセチルアセテート等が挙げられる。
ジルコニア前駆体としては、例えば、ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドの加水分解縮合物等が挙げられる。チタニア前駆体としては、例えば、チタンアルコキシド、チタンアルコキシドの加水分解縮合物等が挙げられる。
コーティング液は、溶媒を含んでいる。溶媒としては、特に限定されず、水、アルコール類、ケトン類、エーテル類、セロソルブ類、エステル類、グリコールエーテル類等が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。
水は、シリコンアルコキシド等の加水分解反応に用いることができる。もっとも、水の含有量が多すぎると、表面張力が高いことから、コーティング膜に亀裂が生じ易くなる。そのため、水の含有量は、Si原子に対するモル比で、例えば、3~6とすることができる。
また、コーティング液をより一層乾燥し易くする観点から、コーティング液は、沸点が90℃未満の溶媒を含有することが好ましい。沸点が90℃未満の溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ヘキサン等が挙げられる。沸点が90℃未満の溶媒の含有量(複数種を含む場合は合量)は、コーティング液全体に占める質量百分率で、例えば、30%以上、90%以下とすることができる。
コーティング液は、金属酸化物のナノ粒子を含んでいてもよい。
コーティング液における固形分の含有量(加熱残分)は、例えば、1質量%~5質量%とすることができる。
コーティング液を塗布するに際しては、スプレーコート法により、コーティング液を、ガラス基板2に吹き付ける。スプレーコート法に用いるノズルとしては、2流体ノズル、1流体ノズル等が挙げられるが、2流体ノズルを用いた2流体スプレーガンであることが好ましい。この場合、コーティング液が酸化物微粒子を含まなくても、より一層効率よくアンチグレア膜3の凹凸を形成することができる。また、ガラス基板2とアンチグレア膜3との密着性をより一層高めることができる。
ノズルから吐出されるコーティング液の液滴の粒径は、通常、0.1μm~100μmであり、1μm~50μmであることが好ましい。液滴の粒径が上記下限値以上である場合、防眩効果が充分に発揮される凹凸をより一層短時間で形成することができる。液滴の粒径が上記上限値以下である場合、防眩効果が十分に発揮される適度な凹凸をより一層形成し易くすることができる。なお、コーティング液の液滴の粒径は、ノズルの種類、エアー流量、吐出量等により適宜、調整できる。例えば、2流体ノズルでは、エアー流量が高くなるほど液滴は小さくなり、また、吐出量が多くなるほど液滴は大きくなる。なお、液滴の粒径は、レーザー回折式粒度分布計によって測定される体積基準でのメディアン径のことをいうものとする。エアー流量は、例えば50L/分~300L/分とすることができる。また、エアー圧力は、例えば、0.1MPa~0.6MPaとすることができる。
ガン距離は、例えば、20mm以上、300mm以下とすることができる。なお、ガン距離とは、ガンから成膜対象であるガラス基板2までの距離のことをいうものとする。
コーティング液の単位面積あたりの塗布量は、例えば、50g/m以上、80g/m以上、100g/m以上、200g/m以下、180g/m以下、160g/m以下とすることができる。コーティング液の固形分濃度にもよるが、コーティング液の単位面積あたりの塗布量が多いと、アンチグレア膜3の表面3aにおける算術平均高さSaが大きくなる傾向がある。また、アンチグレア膜3の膜厚が厚くなる傾向がある。一方、コーティング液の単位面積あたりの塗布量が少ないと、アンチグレア膜3の表面3aにおける算術平均高さSaが小さくなる傾向がある。また、アンチグレア膜の膜厚が薄くなる傾向がある。
コーティング液の塗布温度は、例えば、10℃以上、80℃以下とすることができる。
また、コーティング液を塗布する際のガラス基板2の表面温度は、例えば、15℃~75℃であることが好ましい。また、コーティング液を塗布する際の湿度は、例えば、20%~80%であり、50%以上であることが好ましい。
コーティング液の乾燥温度は、特に限定されるものではないが、例えば、25℃以上、100℃以上、また、450℃以下、400℃以下とすることができる。乾燥時間は、例えば、10分以上、600分以下とすることができる。
次に、コーティング膜を500℃以上の温度で焼成する。それによって、ガラス基板2上に、アンチグレア膜3を形成し、膜付きガラス基板1を得ることができる。
本実施形態の膜付きガラス基板1の製造方法では、スプレーコート法で塗布されたコーティング膜を500℃以上の温度で焼成することにより、アンチグレア膜3を形成するので、得られる膜付きガラス基板1の防眩性と耐引っかき性とを高いレベルで両立することができる。
従来、防眩性を高めることを目的として、アンチグレア膜の膜厚を厚くすると、耐引っかき性が低下することがあった。その結果、長期間の使用により、アンチグレア膜に多数の傷が生じるという問題があった。
これに対して、本発明者は、アンチグレア膜3の膜厚を厚くした場合においても、スプレーコート法で塗布されたコーティング膜を500℃以上の温度で焼成する方法で製造することにより、膜付きガラス基板1の耐引っかき性を高めることができ、防眩性と耐引っかき性とを高いレベルで両立できることを見出した。
本実施形態において、コーティング膜の焼成温度は、500℃以上、好ましくは510℃以上、より好ましくは520℃以上、さらに好ましくは530℃以上、さらにより好ましくは540℃以上、さらにより好ましくは550℃以上、さらにより好ましくは560℃以上、さらにより好ましくは570℃以上、さらにより好ましくは580℃以上、さらにより好ましくは590℃以上、さらにより好ましくは600℃以上、さらにより好ましくは610℃以上、さらにより好ましくは620℃以上、さらにより好ましくは630℃以上、さらにより好ましくは640℃以上、特に好ましくは650℃以上である。コーティング膜に残留した有機成分(残留溶媒や、シリカ前駆体に含まれるアルコキシ基、アルキル基、ビニル基、エポキシ基等)を蒸発、燃焼させ、コーティング膜を密にするためには、焼成温度が高いほど好ましい。焼成後のコーティング膜は無機成分のみからなることが好ましい。コーティング膜の焼成温度が上記下限値以上である場合、膜付きガラス基板1の耐引っかき性をより一層高めることができる。
一方、コーティング膜の焼成温度の上限値は、特に限定されないが、焼成温度はガラス基板2の歪点以下であることが好ましい。焼成温度がガラス基板2の歪点を超えると、適切に徐冷しないとガラス基板2に歪みが残ることになり、製造コストの観点から好ましくない。そのため、製造コストや生産性をより一層向上させる観点からは、コーティング膜の焼成温度は、ガラス基板2の歪点以下であることが好ましく、より好ましくは(ガラス基板2の歪点-5℃)以下、さらに好ましくは(ガラス基板2の歪点-10℃)以下、さらにより好ましくは(ガラス基板2の歪点-20℃)以下、さらにより好ましくは(ガラス基板2の歪点-30℃)以下、さらにより好ましくは(ガラス基板2の歪点-40℃)以下、さらにより好ましくは(ガラス基板2の歪点-50℃)以下、さらにより好ましくは(ガラス基板2の歪点-60℃)以下、さらにより好ましくは(ガラス基板2の歪点-70℃)以下、特に好ましくは(ガラス基板2の歪点-80℃)以下である。
コーティング膜の焼成時間は、特に限定されないが、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上であり、好ましくは300分以下、より好ましくは200分以下である。
コーティング膜の焼成は、例えば、熱風式加熱装置、接触式加熱装置、遠赤外線式加熱装置で行うことができる。
[第2の実施形態]
図2は、本発明の第2の実施形態に係る膜付きガラス基板を示す模式的断面図である。膜付きガラス基板21は、アンチグレア膜3の上にさらに反射防止膜24が設けられている。
反射防止膜24は、誘電体多層膜であることが好ましい。この場合、膜付きガラス基板21をディスプレイ等に用いたときに、画像鮮明度をより一層向上させることができる。本実施形態において、反射防止膜24は、相対的に屈折率が高い高屈折率膜25と、相対的に屈折率が低い低屈折率膜26とが、この順に交互に積層された誘電体多層膜である。なお、反射防止膜24は、相対的に屈折率が低い低屈折率膜26と、相対的に屈折率が高い高屈折率膜25とが、この順に交互に積層された誘電体多層膜であってもよい。なお、高屈折率膜25及び低屈折率膜26は、スパッタ膜であることが好ましい。このような構成にすることにより、高屈折率膜25及び低屈折率膜26の密着性を高めることができる。
高屈折率膜25の材料としては、例えば、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等が挙げられる。
低屈折率膜26の材料としては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、フッ化マグネシウム等が挙げられる。
反射防止膜24を構成する各層の膜厚は、1nm以上、500nm以下であることが好ましく、2nm以上、300nm以下であることがより好ましく、5nm以上、200nm以下であることがさらに好ましい。
本実施形態において、反射防止膜24を構成する層の総数は、6層である。もっとも、本発明において、反射防止膜24を構成する層の総数は、特に限定されない。反射防止膜24を構成する層の総数は、好ましくは2層以上、好ましくは7層以下である。このような範囲内にすることにより、効果的で、かつ簡易に形成可能な膜にすることができる。
反射防止膜24の全体の膜厚は、50nm以上、1000nm以下であることが好ましく、75nm以上、750nm以下であることがより好ましく、100nm以上、500nm以下であることがさらに好ましい。
反射防止膜24は、例えば、スパッタリング法、CVD法、又は真空蒸着法等により形成することができる。なお、反射防止膜24は、コーティング膜の焼成後に設けることが好ましい。
その他の点は、第1の実施形態と同様である。
本実施形態の膜付きガラス基板21においても、アンチグレア膜3の表面3aにおける算術平均高さSaが、0.3μm以上であり、アンチグレア膜3の鉛筆硬度が7H以上である。そのため、膜付きガラス基板21では、防眩性と耐引っかき性とを高いレベルで両立することができる。
なお、第1及び第2の実施形態では、ガラス基板2の第1の主面2a側にのみアンチグレア膜3が設けられていたが、ガラス基板2の第1の主面2a側及び第2の主面2b側の双方にアンチグレア膜3が設けられていてもよい。
また、第2の実施形態では、アンチグレア膜3の上に反射防止膜24が設けられていたが、ガラス基板2とアンチグレア膜3との間に反射防止膜24が設けられていてもよい。また、反射防止膜24も、ガラス基板2の第1の主面2a側及び第2の主面2b側の双方に設けられていてもよい。
さらに、膜付きガラス基板1,21のガラス基板2の第1の主面2a側及び第2の主面2b側のいずれか一方又は双方に、機能層を設けてもよい。機能層としては、防汚層、保護層、着色層、遮光層、装飾層などが挙げられる。なお、これらの機能層は、コーティング膜の焼成後に設けることが好ましい。
また、膜付きガラス基板1,21の最外側層には、防汚層が設けられていてもよい。
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
ガラス基板Aの用意;
ガラス組成として、アルカリ金属酸化物の含有量が質量百分率で0.1%以下となるようにガラス原料を調合及び溶融し、オーバーフローダウンドロー法を用いて板状に成形して厚さ0.5mmのガラス基板Aを得た。得られたガラス基板Aの歪点は、685℃であった。
ガラス基板Bの用意;
ガラス基板Bとして、市販のソーダ石灰ガラス(歪点:500℃)を用いた。
コーティング液Aの調製;
テトラエトキシシラン(TEOS)1質量部に対し、水0.4質量部と、変性エタノール(エタノールを主成分として85.5質量パーセント含み、他にメタノールなどを含む)7.2質量部と、硝酸とを混合して撹拌し、TEOSの加水分解及び縮合反応を進めさせて、シロキサン重合体のサイズを成長させ、動的光散乱測定で測定されるシロキサン重合体のサイズの体積平均が4.0nmであるコーティング液Aを得た。なお、硝酸は、pH=4となるように調整して混合した。得られたコーティング液Aのシリカ換算の固形分(加熱残分)濃度は、3.2質量%であった。なお、動的光散乱法により散乱光強度を測定するに際しては、マルバーンパナリティカル社製、品番「ゼータサイザーナノS」を用いた。
コーティング液Bの調製;
コーティング液Aにおいて、熟成後に硝酸アルミニウム・九水和物を0.055質量部加えて、撹拌し、コーティング液Bを得た。なお、得られたコーティング液Bのシリカ換算及びアルミナ換算の固形分(加熱残分)濃度の合計は、3.4質量%であった。また、固形分に占めるシリカ換算の割合は95質量%であり、アルミナ換算の割合は5質量%であった。
コーティング液Cの調製;
テトラエトキシシラン(TEOS)1質量部に対し、水0.4質量部と、イソプロピルアルコール8.1質量部と、硝酸とを混合して撹拌し、TEOSの加水分解及び縮合反応を進めさせて、シロキサン重合体のサイズを成長させ、動的光散乱測定で測定されるシロキサン重合体のサイズの体積平均が3.9nmであるコーティング液Cを得た。なお、硝酸は、pH=4となるように調整して混合した。得られたコーティング液Cのシリカ換算の固形分(加熱残分)濃度は、2.9質量%であった。
コーティング液Dの調製;
テトラエトキシシラン(TEOS)1質量部に対し、メチルトリエトキシシラン0.064質量部と、水0.47質量部と、変性エタノール(エタノールを主成分として85.5質量パーセント含み、他にメタノールなどを含む)8.0質量部と、1-ブタノール0.93質量部と、硝酸とを混合して撹拌し、TEOSおよびメチルトリエトキシシランの加水分解及び縮合反応を進めさせて、シロキサン重合体のサイズを成長させ、動的光散乱測定で測定されるシロキサン重合体のサイズの体積平均が3.9nmであるコーティング液Dを得た。なお、硝酸は、pH=4となるように調整して混合した。得られたコーティング液Dのシリカ換算の固形分(加熱残分)濃度は、2.8質量%であった。
コーティング液Eの調製;
テトラエトキシシラン(TEOS)1質量部に対し、メチルトリエトキシシラン0.095質量部と、水0.48質量部と、変性エタノール(エタノールを主成分として85.5質量パーセント含み、他にメタノールなどを含む)8.5質量部と、1-ブタノール0.96質量部と、硝酸とを混合して撹拌し、TEOSおよびメチルトリエトキシシランの加水分解及び縮合反応を進めさせて、シロキサン重合体のサイズを成長させ、動的光散乱測定で測定されるシロキサン重合体のサイズの体積平均が3.9nmであるコーティング液Eを得た。なお、硝酸は、pH=4となるように調整して混合した。得られたコーティング液Eのシリカ換算の固形分(加熱残分)濃度は、2.8質量%であった。
(実施例1)
ガラス基板A上にコーティング液Aをスプレーコートすることにより、コーティング膜を形成した。なお、スプレーコートの際の塗布量は単位面積あたり116g/mとした。また、2流体スプレーガンを用い、ガン距離は96mmとした。エアー圧力は、0.16MPaとし、液の吐出量は0.2kg/時とした。
次に、得られたコーティング膜付きガラス基板を熱風式加熱炉に入れ、室温から600℃まで1時間かけて昇温させた後、600℃にて30分間保持した。しかる後、2時間かけて室温まで降温させた。それによって、ガラス基板の上にアンチグレア膜が形成されてなる膜付きガラス基板を得た。
(実施例2~9及び比較例1~5)
ガラス基板及びコーティング液の種類、スプレーコートの条件(塗布量、エアー圧力、ガン距離)、焼成温度を下記の表1のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして膜付きガラス基板を得た。
[評価]
(グロス、ヘイズ、及びスパークルの評価)
実施例1~9及び比較例1~5で得られた膜付きガラス基板について、光沢度の指標となるグロス、白濁度の指標となるヘイズ、ぎらつきの指標となるスパークルを測定した。グロスは、JIS Z 8741:1997に基づいて、膜付きガラス基板における入射角度60°の光沢度を、Microgloss(60°)(BYK社製)を用いて測定した。ヘイズは、JIS K 7136:2000に基づいて、NDH-5000(日本電色社製)を用いて測定した。スパークルは、SMS-1000(Display-Messtechnik&Systeme社製)を用いて、スパークル測定モードにより測定した。
(映り込みの評価)
実施例1~9及び比較例1~5で得られた膜付きガラス基板について、SMS-1000(Display-Messtechnik&Systeme社製)の反射測定モードにて、ライン光源の反射輝度角度分布を測定した。測定した分布より、正反射輝度Rs、正反射角より0.1°、-0.1°ずれた反射輝度R(1)、R(-1)を読み取り、Rs/[R(1)とR(-1)の算術平均]の比を計算して映り込みの値とした。この値が小さいほど、映り込みが少なく、防眩性能が高いことを表す。また、上記の測定は、焦点距離16mmのレンズを用い、作動距離410mmで行った。
(鉛筆硬度の評価)
実施例1~9及び比較例1~5で得られた膜付きガラス基板について、鉛筆硬度の評価を行った。具体的には、JIS K5600-5-4:1999に記載の鉛筆硬度試験の荷重、速度にて硬度7Hの鉛筆(三菱鉛筆株式会社製、「ユニ」)で10mmの距離を引っかいた後、鉛筆の粉をふき取った。傷の発生の有無の判定は、圧痕を金属顕微鏡の落射照明にて、100倍の倍率で観察し、1mm以上の傷が生じているかどうかを確認して行った。10回引っかくことを繰り返し、傷発生率が30%以下であるときを〇とし、傷発生率が30%よりも大きいときを×として評価した。また、他の硬度の鉛筆でも同様の試験を行い、傷発生率が30%以下となる最大の硬度を鉛筆硬度とした。なお、鉛筆は1回引っかくたびにJIS K5600-5-4:1999に記載の手順で研磨紙を用いて鉛筆を削り、評価に用いた。
(表面粗さの評価)
実施例1~9及び比較例1~5で得られた膜付きガラス基板について、ISO 25178に準拠し、表面粗さの評価を行った。
具体的には、光干渉型顕微鏡(菱化システム社製、「VertScan R5300」、バージョン:VS-Measure Version 5.05.0001、CCDカメラ:SONY HR-571/2、対物レンズ:20X、鏡筒:1XBody、波長フィルタ:530white、測定モード:Wave、視野サイズ:316.77μm×237.72μm、解像度:640×480)を用い、表面の高さ分布を測定した。なお、測定した高さ分布から、解析ソフトVS-Viewer Version 5.05.0001を用いて、BadPixelを補間後、1次面補正し、算術平均高さSa、二乗平均平方根高さSq、最小自己相関長さSal(自己相関関数が0.2に減衰する距離)を算出した。なお、測定を容易にするため、測定前にサンプル表面にアルミニウムを膜厚100nm成膜した。成膜はスパッタリングで行った。
結果を下記の表1及び表2に示す。
Figure 2024006900000002
Figure 2024006900000003
(像のゆがみの評価)
アンチグレア膜を形成した面とは反対の面に対して、蛍光灯などのライン状の照明を映り込ませて、その像を観察した。実施例1~6,8,9、比較例1~5においては、膜付きガラス基板の全面で像のゆがみは見られなかったが、実施例7においては、膜付きガラス基板に像のゆがみが見られる箇所が一部あった。実施例1~6,8,9、比較例1~5においては、焼成温度より基板Aの歪点が高かったために、ひずみの残留が小さかったと考えられる。
(亀裂の評価)
アンチグレア膜の表面を金属顕微鏡の落射照明にて、100倍の倍率で観察したところ、実施例2,3,6において、一部に亀裂が見られることがあった。一方で、これらと比べて塗布量が少なかった実施例1,4,5,7や、焼成温度が低かった比較例1~5、メチルトリエトキシシランを使用した実施例8,9においては、亀裂の発生が抑えられていた。特に実施例8,9では、塗布量が多く焼成温度が高いにも関わらず亀裂の発生を抑えられており、映り込みと硬度をより高いレベルで両立できたといえる。
1,21…膜付きガラス基板
2…ガラス基板
2a,2b…第1,第2の主面
3…アンチグレア膜
3a…表面
24…反射防止膜
25…高屈折率膜
26…低屈折率膜

Claims (8)

  1. ガラス基板と、
    前記ガラス基板の主面上に設けられており、酸化ケイ素を主成分とする、アンチグレア膜と、
    を備え、
    前記アンチグレア膜の表面における算術平均高さSaが、0.3μm以上であり、
    JIS K5600-5-4:1999の鉛筆硬度試験において、前記アンチグレア膜の表面における傷の有無の判定を、金属顕微鏡を用いて100倍の倍率で前記アンチグレア膜の表面を観察することにより行ったときに、鉛筆硬度が7H以上である、膜付きガラス基板。
  2. JIS K7136:2000に準拠して測定したヘイズが、30%以上である、請求項1に記載の膜付きガラス基板。
  3. 前記ガラス基板の歪点が、550℃以上である、請求項1又は2に記載の膜付きガラス基板。
  4. 前記アンチグレア膜の表面における二乗平均平方根高さSqと最小自己相関長さSalとの比(Sq/Sal)が、0.05以上である、請求項1又は2に記載の膜付きガラス基板。
  5. ガラス基板上に、スプレーコート法によりシリカ前駆体を含むコーティング液を塗布することによって、凹凸を有するコーティング膜を形成する工程と、
    前記コーティング膜を500℃以上の温度で焼成することにより、アンチグレア膜を形成する工程と、
    を備え、
    前記アンチグレア膜の表面における算術平均高さSaが、0.3μm以上となるように、前記アンチグレア膜を形成する、膜付きガラス基板の製造方法。
  6. 前記コーティング膜を焼成するに際し、前記コーティング膜を前記ガラス基板の歪点以下の温度で焼成する、請求項5に記載の膜付きガラス基板の製造方法。
  7. 前記ガラス基板の歪点が、550℃以上である、請求項5又は6に記載の膜付きガラス基板の製造方法。
  8. 前記シリカ前駆体が、N官能性シリコンアルコキシド(N=2,3,4)及び該N官能性シリコンアルコキシドの加水分解縮合物のうち少なくとも一方を含む、請求項5又は6に記載の膜付きガラス基板の製造方法。
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