JP2024002466A - 焼入れ方法及び拘束焼入れ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の焼入れ対象物をプレスクエンチする。【解決手段】焼入れ方法は、レース601を含みワーク貫通穴600hが設けられたワーク600のためのものである。焼入れ方法は、ワーク600を拘束する拘束状態と拘束しない非拘束状態とを相互に切替可能なプレスクエンチ装置1を準備する工程と、加熱された複数のワーク600を非拘束状態であるプレスクエンチ装置1に配置する工程と、プレスクエンチ装置1を非拘束状態から拘束状態に切り替えることにより、ワーク600の拘束対象部位をプレスクエンチ装置1によって拘束する工程と、拘束されたワーク600を冷却する工程と、を有する。【選択図】図8

Description

本発明は、焼入れ方法及び拘束焼入れ装置に関する。
熱処理の実施によって、対象物が意図しない変形を生じることがある。そこで、対象物の熱処理の実施と変形の抑制とを両立させる、いわゆるプレスクエンチが知られている。特許文献1は、プレスクエンチのための装置を開示する。
特許第5740946号
特許文献1に示されたようなプレスクエンチ装置は、1個の対象物を対象としている。つまり、複数の対象物を一度にプレスクエンチすることができなかった。その一方で、熱処理工程は、複数の対象物を一度に処理するいわゆるバッチ処理を採用することもある。そのため、当該技術分野では、複数の焼入れ対象物をプレスクエンチすることが可能な焼入れ方法及び拘束焼入れ装置が望まれていた。
本発明は、複数の焼入れ対象物をプレスクエンチすることが可能な焼入れ方法及び拘束焼入れ装置を提供する。
本発明の一形態は、円板状の部位を含み貫通穴が設けられた焼入れ対象物のための焼入れ方法である。一形態の焼入れ方法は、焼入れ対象物を拘束する拘束状態と拘束しない非拘束状態とを相互に切替可能な拘束焼入れ装置を準備する工程と、加熱された複数の焼入れ対象物を非拘束状態である拘束焼入れ装置に配置する工程と、拘束焼入れ装置を非拘束状態から拘束状態に切り替えることにより、焼入れ対象物の拘束対象部位を拘束焼入れ装置によって拘束する工程と、拘束された焼入れ対象物を冷却する工程と、を有する。
この方法は、所定の態様に配置された複数の焼入れ対象物を拘束した後に、拘束状態の焼入れ対象物を冷却する。したがって、複数の焼入れ対象物をプレスクエンチすることができる。
上記の焼入れ方法は、拘束する工程の前に、加熱された複数の焼入れ対象物を冷却液に浸す工程をさらに有してもよい。拘束する工程及び冷却する工程は、焼入れ対象物が冷却液に浸された状態で実施されてもよい。この工程によれば、高温の焼入れ対象物を冷却液によって速やかに冷却することができる。
上記の焼入れ方法の配置する工程は、複数の焼入れ対象物を、拘束焼入れ装置の位置決め部材に配置する工程と、複数の焼入れ対象物の間に、拘束焼入れ装置の複数の拘束部材をそれぞれ配置する工程と、を含んでもよい。この工程によれば、複数の焼入れ対象物をプレスクエンチすることができる。
上記の焼入れ方法の配置する工程では、焼入れ対象物の貫通穴の軸線に沿うように、複数の焼入れ対象物を位置決め部材に配置してもよい。この工程によれば、複数の焼入れ対象物を簡易な動作で拘束することができる。
上記の焼入れ方法の拘束する工程では、拘束対象部位として焼入れ対象物の円板状の部位における主面に第1の拘束部材を押し当てると共に、円板状の部位における裏面に第2の拘束部材を押し当ててもよい。この工程によれば、焼入れ対象物の円板状の部位の変形を抑制することができる。
上記の焼入れ方法は、拘束する工程の後に、拘束焼入れ装置に配置された焼入れ対象物を冷却液に浸す工程をさらに有してもよい。拘束する工程は、焼入れ対象物が冷却液に浸されない状態で実施されてもよい。冷却する工程の第1期間は、焼入れ対象物が冷却液に浸されない状態で実施されてもよい。第1期間に続く冷却する工程の第2期間は、焼入れ対象物が冷却液に浸された状態で実施されてもよい。この工程によれば、配置から拘束までの時間を確保することができる。
上記の焼入れ方法の拘束する工程及び冷却する工程は、焼入れ対象物が冷却液に浸されない状態で実施されてもよい。この工程によっても、配置から拘束までの時間を確保することができる。
本発明の別の形態は、円板状の部位を含み貫通穴が設けられた焼入れ対象物のための拘束焼入れ装置である。別の形態である拘束焼入れ装置は、複数の焼入れ対象物の位置及び姿勢を保持する位置決め部材と、焼入れ対象物の拘束対象部位に接触可能な複数の拘束部材と、拘束部材を拘束対象部位に向けて押圧する押圧機構と、を備える。拘束部材及び押圧機構は、焼入れ対象物を拘束する拘束状態と拘束しない非拘束状態とを相互に切り替える。この装置によっても、複数の焼入れ対象物をプレスクエンチすることができる。
本発明の焼入れ方法及び拘束焼入れ装置によれば、複数の焼入れ対象物をプレスクエンチすることができる。
図1は、実施形態の焼入れ方法及びプレスクエンチ装置が適用される焼入れ設備を示す概要図である。 図2は、ワークの断面図である。 図3は、ワークの正面図である。 図4(a)は、ワークの温度変化を示すグラフである。図4(b)は、ワークを冷却液に浸した直後の様子を示す図である。図4(c)は、ワークから蒸気膜が離間する急冷期間の様子を模式的に示す図である。図4(d)は、ワークが冷却液に接する徐冷期間の様子を模式的に示す図である。 図5は、プレスクエンチ装置の構造を分解して示す断面図である。 図6は、プレスクエンチ装置の位置決め治具を示す断面図である。 図7(a)は、プレスクエンチ装置の非拘束状態を示す断面図である。図7(b)は、プレスクエンチ装置の拘束状態を示す断面図である。 図8は、実施形態の焼入れ方法のフローチャートである。 図9は、焼入れ方法の主要な工程を示す概要図である。 図10(a)は、搬送治具ごと複数のワークを加熱炉に入れる工程の様子を示す図である。図10(b)は、位置決め治具を冷却槽に満たされている冷却液の中に配置する工程の様子を示す図である。 図11は、複数のワークが配置された搬送治具を加熱炉から取り出した後に、冷却液の上に移動させる工程の様子を示す図である。 図12は、位置決め治具に複数のワークを配置する工程の様子を示す図である。 図13は、搬送治具をワークから抜き取った後の様子を示す図である。 図14は、拘束治具を冷却液の上に移動させる工程の様子を示す図である。 図15は、拘束治具をワークの周囲に配置する工程の様子を示す図である。 図16は、第2の位置決め治具を冷却槽に満たされている冷却液の中に配置する工程の様子を示す図である。 図17は、複数のワークを第2の位置決め治具に着座させる工程の様子を示す図である。 図18は、第2の搬送治具をワークから抜き取った後の様子を示す図である。 図19は、第2の拘束治具を冷却液の上に移動させる工程の様子を示す図である。 図20は、押圧ユニットを配置する工程の様子を示す図である。 図21は、プレスクエンチを行う工程の様子を示す図である。 図22は、変形例1の焼入れ方法のフローチャートである。 図23は、変形例2の焼入れ方法のフローチャートである。 図24は、位置決め治具の変形例を示す図である。 図25(a)、図25(b)及び図25(c)は、焼入れ方法及びプレスクエンチ装置によって焼入れが可能なワークの例示である。
以下、添付図面を参照して、本開示を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、プレスクエンチ装置1(拘束焼入れ装置)が適用される焼入れ設備を示す概要図である。ワーク600は、軸受の部品である。例えば、ワーク600は、ニードルスラスト軸受、ニードルシェル軸受、薄肉の軸受及び大径の軸受などに用いられる。プレスクエンチ装置1は、冷却液504s中において、複数のワーク600を拘束する。
複数のワーク600は、搬送治具501によって搬送される。搬送治具501は、移動機構502に連結されている。移動機構502は、搬送治具501を加熱炉503から冷却槽504に移動させる。つまり、焼入れ設備は、まとまった数のワーク600をバッチ処理する。
<焼入れ対象物>
図2及び図3に示すように、ワーク600は、円板状のレース601(円板状の部位)と、円筒状のリップ602と、を有する。なお、ワーク600の形状は、図2及び図3に示すものに限定されない。そのほかのワーク600の形状は、後述する変形例の欄にていくつか例示する。
レース601は、外径に比べて厚みが薄い薄板である。750℃~900℃に加熱した後、ワーク600を冷却液504sに浸したとき、冷却液504sに接するワーク600の表面が急冷される。そして、ワーク600の内部から熱量が順次ワーク600の表面に移動する。ワーク600の表面側と内部側とでは、厳密には、冷却の様子に相違がある。しかし、本実施形態で例示するワーク600は、その厚みが薄い。したがって、ワーク600は、表面と内部とで冷却の態様には実質的に相違がないとみなせる。つまり、本実施形態でいう「薄板」とは、冷却時において、表面と内部とで冷却の態様には実質的に相違がないとみなせるものを意味する。
レース601は、レース主面601aと、レース裏面601bと、レース貫通穴601hと、を有する。レース主面601aは、実質的な凹凸を有さない平坦面である。レース裏面601bには、リップ602が設けられている。つまり、レース裏面601bから、レース裏面601bの法線方向に沿ってリップ602が延びている。レース601とリップ602とは、一枚の板材からプレス成型されたものであるから、レース601とリップ602とを分ける物理的な境界線のようなものは存在しない。
リップ602の中心軸は、レース601の中心軸と一致する。換言すると、リップ602は、レース601に対して同軸である。リップ602は、リップ基端602aと、リップ先端602bと、リップ貫通穴602hと、を有する。リップ基端602aは、レース裏面601bにつながっている。リップ先端602bは、自由端である。リップ602の高さは、リップ602の外形よりも小さくてもよい。リップ貫通穴602hは、レース貫通穴601hとともにワーク貫通穴600hを形成する。リップ貫通穴602hの内径は、レース貫通穴601hの内径と同じである。
焼入れの結果は、例えば、レース601の反りと、リップ602の真円度と、によって評価できる。焼入れの状態が不均一であると、レース601の反りが発生することがある。また、リップ602の真円度が低下することもある。
<焼入れのメカニズム>
図4を参照しながら、ワーク600の冷却についてより詳しく述べる。ワーク600にマルテンサイトといった所望の組織を生じさせるためには、冷却速度が重要である。具体的には、ワーク600を冷却液504sに浸したときの冷却速度が、実験結果などを元に定められた基準となる冷却速度よりも遅い場合には、マルテンサイトに加えてパーライトといった別の組織も生じてしまう。したがって、ワーク600の冷却速度は、基準となる冷却速度よりも遅くならないようにしなければならない。
図4(a)は、ワーク600を冷却液504sに浸したときに生じる、ワーク600の温度変化を示すグラフである。グラフG4aは、図4(b)に示すワーク600において、レース601の下部(位置B1)の温度変化を示す。グラフG4dは、第1冷却基準線である。ワーク600を冷却したときの温度履歴が、グラフG4dより左側の範囲に存在する場合には、マルテンサイトが形成される。
グラフG4aに注目する。ワーク600を冷却液504sに浸した直後には、ワーク600の表面に蒸気膜V1が発生する(図4(b)参照)。この蒸気膜V1は、断熱効果を有するので、ワーク600から冷却液504sへの熱の移動を妨げる。したがって、ワーク600の温度は緩やかに下がる(期間T4a:蒸気膜が存在する期間)。その後、なんらかの事象をきっかけとして、ワーク600の表面から蒸気膜V1の剥離が開始される(図4(c)参照)。その瞬間にワーク600の表面は、冷却液504sに直接に接する。このワーク600の表面から蒸気膜V1が離れる現象を、沸騰と称してもよい。また、ワーク600から離間した蒸気膜V1は、泡V2と称してもよい。ワーク600が冷却液504sに直接に接したことをきっかけとして、ワーク600の温度が急激に下がる(期間T4b:急冷期間)。なお、このワーク600の温度が急激に下がる期間は、沸騰期間と称してもよい。そして、ワーク600の温度が所定の値まで下がった後は、ワーク600の温度はゆっくりと下がる(期間T4c:徐冷期間)。例えば、徐冷期間では、ワーク600の表面には蒸気膜V1が存在せず、ワーク600は直接に冷却液504sに接している。
<プレスクエンチ装置>
以下、プレスクエンチ装置1について説明する。図5に示すように、プレスクエンチ装置1は、第1の拘束ユニット2Aと、第2の拘束ユニット2Bと、押圧ユニット3(押圧機構)と、を有する。第1の拘束ユニット2A、第2の拘束ユニット2B及び押圧ユニット3は、ワーク600を拘束する際には一体化して用いられるが、機械的に連結されていない。例えば、ワーク600をプレスクエンチ装置1に設置する際には、第1の拘束ユニット2A、第2の拘束ユニット2B及び押圧ユニット3は、それぞれ独立の部品であるように、分解された状態である。
第1の拘束ユニット2Aについて説明する。なお、第2の拘束ユニット2Bの構成及び動作は、第1の拘束ユニット2Aの構成及び動作と同じである。したがって、第1の拘束ユニット2Aについて詳細に説明し、第2の拘束ユニット2Bの詳細な説明を省略する。また、第1の拘束ユニット2A及び第2の拘束ユニット2Bを区別する必要がない場合には、単に「拘束ユニット2」と称する。
拘束ユニット2は、ワーク600の変形を抑制する。拘束ユニット2は、焼入れ時に発生する可能性があるワーク600の意図しない変形の発生を抑制する。このように、ワーク600の意図しない変形の発生を抑制するための動作を、本実施形態では「拘束する」と称する。つまり、後述するように、単にワーク600の位置を保持するための機能は、「拘束する」に含まない。
拘束ユニット2は、位置決め治具21(位置決め部材)と、拘束治具22と、を有する。
位置決め治具21は、ワーク600の位置を決める。具体的には、位置決め治具21は、複数のワーク600を所定の間隔を設けて保持する。つまり、位置決め治具21は、ワーク600の位置を保持する機能を有するが、ワーク600の変形を拘束する機能を有していない。位置決め治具21は、例えば、平面視して矩形の板部材である。
図6に示すように、位置決め治具21は、ワーク600が配置されるワーク配置面211を有する。ワーク配置面211には、複数の位置決めスリット212が設けられている。つまり、位置決めスリット212の配置間隔は、ワーク600の配置間隔である。1個の位置決めスリット212には、1個のワーク600が差し込まれる。具体的には、位置決めスリット212には、ワーク600のレース601が差し込まれる。位置決めスリット212のスリット幅212tと深さ212dは、差し込まれたワーク600が倒れない程度であればよい。
再び図5に示すように、拘束治具22は、ワーク600を拘束する。つまり、拘束治具22がワーク600の変形の発生を抑制する機能を発揮する。拘束治具22は、複数のプレスブロック221(複数の拘束部材)と、ブロック連結部222と、複数のバネ223と、を有する。
複数のプレスブロック221は、ブロック連結部222に連結されている。複数のプレスブロック221のそれぞれは、所定の軸線(X軸)に沿って互いに間隔を設けて配置されている。X軸は、ワーク貫通穴600hの中心軸線Aの向きと一致する。複数のプレスブロック221のそれぞれは、X軸に沿ってブロック連結部222に対して往復移動できる。
図7(a)及び図7(b)に示すように、プレスブロック221は、ブロック主面221sと、ブロック裏面221bと、ブロック連結面221cと、ブロック自由面221fと、を有する。
ブロック主面221sは、ワーク600のワーク主面に接する。ブロック主面221sは、ワーク主面に倣う形状を有する。本実施形態の例示では、ワーク主面は、平坦なレース主面601aである。したがって、ブロック主面221sも平坦面である。ブロック裏面221bは、ワーク600のワーク裏面に接する。ブロック裏面221bは、ワーク裏面に倣う形状を有する。本実施形態の例示では、ワーク裏面は、平坦なレース裏面601bと、レース裏面601bから突出するリップ602と、を含む。したがって、ブロック裏面221bは、レース裏面601bに接する平坦面部221pと、リップ602を受け入れる穴部221hと、を含む。なお、ブロック主面221s及びブロック裏面221bの形状は、ワーク600の形状に応じて適宜変更してよい。
ブロック連結面221cは、ブロック連結部222に連結される。ブロック自由面221fは、位置決め治具21に接する部分である。ブロック自由面221fは、位置決め治具21に対して固定されていない。つまり、拘束治具22は、位置決め治具21に対して固定されていない。
互いに隣り合うプレスブロック221の間には、1または複数のバネ223が配置されている。図5及び図7には、互いに隣り合うプレスブロック221の間には、2個のバネ223が配置されている構造を例示するが、バネ223の数は2個に限定されない。バネ223の第1の端部は、プレスブロック221のブロック主面221sに設けられたバネ穴221eに差し込まれている。バネ223の第2の端部は、プレスブロック221のブロック裏面221bに設けられたバネ穴221eに差し込まれている。
バネ223の自然長は、互いに隣り合うプレスブロック221の間隔を規定する。バネ223の自然長は、少なくとも位置決め治具21に配置されたワーク600の幅よりも長い。具体的には、バネ223の自然長は、ワーク600のリップ602の高さよりも長い。
バネ223は、第1のプレスブロック221のバネ穴221eの底面から、第1のプレスブロック221に隣接する第2のプレスブロック221のバネ穴221eの底面までの距離よりも短い長さまで縮むことができる。つまり、プレスブロック221は、隣り合うプレスブロック221に接することができる。
バネ223は、圧縮バネである。バネ223は、拘束ユニット2が押圧ユニット3から受ける力によって縮む。そして、バネ223は、拘束ユニット2が押圧ユニット3から受ける力が解放されたとき、復元力によって自然長に復帰する。つまり、バネ223は、図7(b)に示す拘束状態から図7(a)に示す非拘束状態への切り替えに寄与する。
再び図5に示すように、押圧ユニット3は、第1の押圧ブロック対31Aと、第2の押圧ブロック対31Bと、第1の押圧板32と、第2の押圧板33と、を有する。
第1の押圧ブロック対31Aは、第1の拘束ユニット2Aに対応する。第1の押圧ブロック対31Aは、2個の押圧ブロック311、312を有する。押圧ブロック311は、第1の拘束ユニット2Aの最右端に配置されているプレスブロック221を押圧する。押圧ブロック311は、プレスブロック221に押し当てられる押し当て面311sを有する。押し当て面311sは、プレスブロック221に対して固定されていない。押し当て面311sに対して逆側の面は、第1の押圧板32に固定されている。
押圧ブロック312は、第1の拘束ユニット2Aの最左端に配置されているプレスブロック221を押圧する。押圧ブロック312も、プレスブロック221に押し当てられる押し当て面312sを有する。押し当て面312sも、プレスブロック221に対して固定されていない。押し当て面312sに対して逆側の面は、第2の押圧板33に固定されている。
第2の押圧ブロック対31Bは、第2の拘束ユニット2Bに対応する。第2の押圧ブロック対31Bの具体的な構成は、第1の押圧ブロック対31Aと同じであるから、詳細な説明は省略する。
第1の押圧板32には、2個の押圧ブロック311が取り付けられている。第2の押圧板33には、2個の押圧ブロック312が取り付けられている。第1の押圧板32及び第2の押圧板33は、それぞれ油圧又は空気圧等によって駆動するアクチュエータ4から力を受けて、当該力を押圧ブロック311、312に伝える。
ここで、拘束ユニット2が実現する非拘束形態と、拘束形態と、について説明する。拘束ユニット2は、非拘束形態と、拘束形態と、を相互に切替可能である。図7(a)は、非拘束形態を示す。非拘束状態であるとき、拘束ユニット2は、押圧ユニット3から力を受けていない。したがって、バネ223は、自然長223Lである。そして、互いに隣り合うプレスブロック221の間隔は、バネ223の自然長223Lによって決まっている。互いに隣り合うプレスブロック221の間隔221Lは、ワーク600の高さ600Lよりも長い。
図7(b)は、拘束形態を示す。拘束状態であるとき、拘束ユニット2は、アクチュエータ4が発生する力を受けている。まず、ブロック主面221sは、レース主面601aに押し当てられている。そして、ブロック裏面221bの平坦面部221pは、レース裏面601bに押し当てられている。つまり、レース601は、その両面から力を受けており、拘束された状態である。この状態では、レース601は、その厚みが増すような変形は許されない。また、この状態では、レース601は、厚み方向(X軸方向)にゆがむような変形も許されない。さらに、ブロック裏面221bの穴部221hの内周面221qには、リップ602の外周面602sが接している。この状態では、リップ602の膨張変形が抑制される。つまり、ブロック裏面221bの穴部221hは、リップ602の外径が所定の値よりも大きくならないように、拘束している。
したがって、拘束状態であるときは、レース601の変形が規制されており、その結果、レース601の平面度の悪化が抑制された状態である。さらに、拘束状態であるときは、リップ602の変形が規制されており、その結果、リップ602の真円度の悪化が抑制された状態である。
さらに、プレスクエンチ装置1は、一度の押圧動作によって複数のワーク600を拘束することができる。つまり、プレスクエンチ装置1によれば、複数のワーク600をまとめて処理するいわゆるバッチ処理を可能とする。
<焼入れ方法>
次に、図8に示すフローチャート及び図9~図21を参照しながら、プレスクエンチ装置1を用いた焼入れ方法について説明する。
図9に示すように、焼入れ方法は、加熱炉503によってワーク600を加熱する工程(ステップS13)と、ワーク600を搬送する工程(ステップS22)と、冷却槽504によってワーク600を冷却する工程(ステップS23~S31)と、次のワーク600を準備する工程と、を含む。
まず、第1~第Nの搬送治具501にワーク600を配置する(ステップS11)。ここで、Nは、複数の整数である。搬送治具501は、丸棒である。搬送治具501の直径は、ワーク貫通穴600hの内径とほぼ同じであるか、わずかに小さい。搬送治具501の外周面には、段差が設けられており、この段差によってワーク600の位置が決まっている。ワーク600の位置を決めるとは、互いに隣り合うワーク600の間隔を規定することであるともいえる。搬送治具501は、例えば、炭素含有量が0.7パーセントから1.2パーセント程度である鋼材を採用してよい。
次に、第1~第Nの搬送治具501ごと複数のワーク600を加熱炉503に入れる(ステップS12、図10(a)参照)。続いて、第1~第Nの搬送治具501ごと複数のワーク600を加熱する(ステップS13、図10(a)参照)。加熱炉503は、加熱室の室内を真空に設定できる。したがって、ワーク600は、真空環境下において所定の温度に所定時間だけ維持する。一例として、ワーク600は、セ氏750度からセ氏900度の間の温度になるように加熱する。また、当該温度には、5分から30分程度維持する。
次に、第1の位置決め治具21を冷却槽504に満たされている冷却液504sの中に配置する(ステップS21、図10(b)参照)。続いて、複数のワーク600が配置された第1の搬送治具501を加熱炉503から取り出した後に、冷却液504sの上に移動させる(ステップS22、図11参照)。続いて、複数のワーク600を第1の搬送治具501ごとに冷却液504sへ沈める(ステップS23)。高温状態のワーク600が冷却液504sに触れると、ワーク600の表面に蒸気膜V1が発生する。続いて、さらに複数のワーク600が配置された第1の搬送治具501を沈めることによって、第1の位置決め治具21に複数のワーク600を配置する(ステップS24、図12参照)。複数のワーク600のそれぞれは、複数の位置決めスリット212にそれぞれ差し込まれる。複数のワーク600が第1の位置決め治具21に配置された状態を、「着座」と呼ぶ。
次に、第1の搬送治具501をワーク600から抜き取る(ステップS25、図13参照)。第1の搬送治具501を抜き取る機構には特に制限はない。複数のワーク600は、第1の位置決め治具21に着座しているので、第1の搬送治具501を抜き取っても起立した状態を維持する。このステップS25が完了した後も、ワーク600の表面には蒸気膜V1が存在している。
次に、第1の拘束治具22を冷却液504sの上に移動させる(ステップS26、図14参照)。第1の拘束治具22を移動させる機構505(図1参照)には、特に制限はない。このステップS26が完了した後も、ワーク600の表面には蒸気膜V1が存在している。
次に、第1の拘束治具22をワーク600の周囲に配置する(ステップS27、図15参照)。具体的には、第1の拘束治具22におけるブロック自由面221fが第1の位置決め治具21のワーク配置面211に接するまで、第1の拘束治具22を冷却液504sに沈める。その結果、互いに隣り合うプレスブロック221の間に、1個のワーク600が配置された状態となる。このステップS27が完了した後も、ワーク600の表面には蒸気膜V1が存在している。
以上のステップS21~S27を搬送治具501の数だけ繰り返す。例えば、第2の位置決め治具21を冷却槽504に満たされている冷却液504sの中に配置する(ステップS21、図16参照)。続いて、複数のワーク600が配置された第2の搬送治具501を加熱炉503から取り出した後に、冷却液504sの上に移動させる(ステップS22)。続いて、複数のワーク600を第2の搬送治具501ごとに冷却液504sへ沈めることによって、複数のワーク600を第2の位置決め治具21に着座させる(ステップS24、図17参照)。次に、第2の搬送治具501をワーク600から抜き取る(ステップS25、図18参照)。次に、第2の拘束治具22を冷却液504sの上に移動させる(ステップS26、図19参照)。そして、第2の拘束治具22をワーク600の周囲に配置する(ステップS27)。
これらのステップS21~S27を繰り返すたびに、すべてのワーク600を配置したか否かの判定を実施してもよい(ステップS28)。そして、未だ加熱炉503にワーク600が残っている場合(ステップS28:NO)には、再びステップS21~S27を実施する。加熱炉503にワーク600が残っていない場合(ステップS28:YES)には、すべてのワーク600を配置し終えたと判断できる。
次に、押圧ユニット3を配置する(ステップS31、図20参照)。続いて、プレスクエンチを行う(ステップS32、図21参照)。つまり、プレスクエンチ装置1を、非拘束状態から拘束状態に切り替える。具体的には、押圧ユニット3が第1の拘束ユニット2A及び第2の拘束ユニット2Bに力を加える。互いに隣り合うプレスブロック221の間隔が次第に狭くなる。この間に、リップ602は、穴部221hに差し込まれる。この状態では、リップ602が穴部221hによって支持される状態になるので、ワーク600の下端を位置決め治具21で支持する必要がなくなる。したがって、レース601の下端から位置決め治具21が取り外される。その結果、ワーク600は、押圧の方向に対して拘束されない状態となるので、プレスブロック221同士の間隔が狭くなるにしたがって、ワーク600同士の間隔も狭くなっていく。そして、ブロック主面221sがレース主面601aに接する。さらに、ブロック裏面221bがレース裏面601bに接する。より詳細には、ブロック主面221s及びブロック裏面221bは、レース601の変形に伴う力に対抗し得る程度の力をもって、レース主面601a及びレース裏面601bに押し当てられている(図7(b)参照)。
さらに、非拘束状態であるとき、ワーク600の表面には、蒸気膜V1が存在していた(図20参照)。拘束状態では、ワーク600にはプレスブロック221が直接に接触している。非拘束状態は、図4のグラフG4aに示すように温度が緩やかに低下する第1の期間(T4a)である。そして、非拘束状態から拘束状態に切り替える間に、ワーク600の表面から蒸気膜V1が離脱する。換言すると、ワーク600の急冷が開始される。拘束状態は、図4のグラフG4aに示すように温度が急激に低下する第2の期間(T4b)である。つまり、本実施形態ではワーク600を冷却液504sに浸したタイミングからワーク600の表面からの蒸気膜V1の剥離が開始されるタイミングまでは、焼入れのための急冷期間とはみなさない。本実施形態では、蒸気膜V1の剥離が始まったタイミングを、急冷が開始されたとき(焼入れ処理が開始されたとき)と捉える。ワーク600の熱は、ワーク600と冷却液504sとの直接の接触によって冷却液504sに移動する態様と、ワーク600とプレスブロック221との直接の接触によってプレスブロック221に移動する態様と、があり得る。
なお、蒸気膜V1は、不安定な存在であるから、プレスブロック221の近接によらず、時間の経過とともに離脱することもある。蒸気膜V1が離脱すると急冷が開始される。プレスクエンチ装置1は、急冷時に生じるワーク600の変形を抑制するものであるから、非拘束状態から拘束状態への切り替えは、この急冷が開始される前に完了している必要がある。例えば、ワーク600を冷却液504sに沈めたときから蒸気膜V1が自然に剥離を開始し始めるまでの期間は、おおよそ数秒程度(3秒から7秒程度)である。したがって、ステップS21からステップS32までの工程は、この数秒の期間内にすべて完了させる。
次に、除荷する(ステップS33)。つまり、プレスクエンチ装置1を、拘束状態から非拘束状態に切り替える。続いて、ワーク600を位置決め治具21ごとに冷却液504sから順次取り出す(ステップS34)。そして、位置決め治具21からワーク600を取り出す(ステップS35)。以上のステップを経て、複数のワーク600の焼入れが完了する。
以下、実施形態のプレスクエンチ装置1及び焼入れ方法の作用効果について説明する。
実施形態の焼入れ方法は、レース601を含みワーク貫通穴600hが設けられたワーク600のためのものである。焼入れ方法は、ワーク600を拘束する拘束状態と拘束しない非拘束状態とを相互に切替可能なプレスクエンチ装置1を準備する工程と、加熱された複数のワーク600を非拘束状態であるプレスクエンチ装置1に配置する工程と、プレスクエンチ装置1を非拘束状態から拘束状態に切り替えることにより、ワーク600の拘束対象部位をプレスクエンチ装置1によって拘束する工程と、拘束されたワーク600を冷却する工程と、を有する。
実施形態の焼入れ方法は、所定の態様に配置された複数のワーク600を拘束した後に、拘束状態のワーク600を冷却を開始する。ここでいう「冷却の開始」とは、蒸気膜V1の剥離が開始されたときを意味する。したがって、複数のワーク600をプレスクエンチすることができる。さらに、プレスクエンチによって得たワーク600は、熱処理に起因する変形が抑制されているので、形状精度に課される条件を満たさない不良品の発生を抑制することができる。実施形態の焼入れ方法は、熱処理に起因するワーク600の変形を抑制することが可能であるから、不良品の発生を抑制することができる。つまり、複数のワーク600を一度に熱処理する場合における歩留まりを向上させることが可能である。
上記の焼入れ方法は、拘束する工程の前に、複数のワーク600を冷却液504sに浸す工程をさらに有する。拘束する工程及び冷却する工程は、ワーク600が冷却液504sに浸された状態で実施される。この工程によれば、高温のワーク600を冷却液504sによって速やかに冷却することができる。
上記の焼入れ方法の配置する工程は、複数のワーク600を、プレスクエンチ装置1の位置決め治具21に配置する工程と、複数のワーク600の間に、プレスクエンチ装置1の複数の拘束治具22をそれぞれ配置する工程と、を含む。この工程によれば、複数のワーク600をプレスクエンチすることができる。
上記の焼入れ方法の配置する工程では、ワーク600の貫通穴の軸線に沿うように、複数のワーク600を位置決め治具21に配置する。この工程によれば、複数のワーク600を簡易な動作で拘束することができる。
上記の焼入れ方法の拘束する工程では、拘束対象部位としてワーク600のレース601におけるレース主面601aに第1の拘束治具22を押し当てると共に、レース601におけるレース裏面601bに第2の拘束治具22を押し当てる。この工程によれば、ワーク600が含むレース601の変形を抑制することができる。
プレスクエンチ装置1は、レース601を含みワーク貫通穴600hが設けられたワーク600のためのものである。プレスクエンチ装置1は、複数のワーク600の位置及び姿勢を保持する位置決め治具21と、ワーク600の拘束対象部位に接する複数のプレスブロック221と、プレスブロック221を拘束対象部位に向けて押圧する押圧ユニット3と、を備える。プレスブロック221及び押圧ユニット3は、ワーク600を拘束する拘束状態と拘束しない非拘束状態とを相互に切り替える。この装置によっても、複数のワーク600をプレスクエンチすることができる。
本発明の焼入れ方法及び拘束焼入れ装置は、上述した実施形態に限定されない。
<変形例1>
実施形態の焼入れ方法では、ワーク600の急冷は、冷却液504s中で実施した。焼入れ処理は、ワーク600を所定の冷却速度をもって冷却できればよいので、必ずしも冷却液504sに沈める必要はない。例えば、プレスブロック221が十分に大きい熱容量を有している場合には、冷却液504sに沈めることなく焼入れを行うことが可能である。
図22は、変形例1の焼入れ方法のフローチャートを示す。変形例1の焼入れ方法では、冷却液504sを用いることなく焼入れ処理を実施する。なお、変形例1の焼入れ方法で用いるプレスクエンチ装置1は、実施形態の焼入れ方法で用いるプレスクエンチ装置1と同じである。
まず、複数のワーク600を加熱処理する。この加熱処理のためのステップS11、S12、S13は、実施形態と同じである。
次に、第nの位置決め治具21を配置する(ステップS21A)。実施形態の焼入れ方法では、第nの位置決め治具21は、冷却液504sの中に配置した。しかし、変形例1の焼入れ方法では、第nの位置決め治具21は、大気中に配置する。つまり、第nの位置決め治具21は、冷却液504sに沈めない。続いて、第nの位置決め治具21に複数のワーク600を配置する(ステップS24A)。ワーク600は、大気中において第nの位置決め治具21に配置する。つまり、変形例1の焼入れ方法では、実施形態で行った複数のワーク600を冷却液504sの上に移動させること(ステップS22)と、複数のワーク600を冷却液504sに沈めること(ステップS23)と、を行わない。
次に、複数のワーク600から第nの搬送治具501を抜き取る(ステップS25A)。続いて、第nの拘束治具22を移動させると共にワーク600の周囲に配置する(ステップS26A、S27A)。そして、すべてのワーク600の配置が完了した(ステップS28:YES)後に、押圧ユニット3を配置する(ステップS31A)。そして、プレスクエンチを行う(ステップS32A)。その後、除荷した(ステップS33A)後に、位置決め治具21からワーク600を取り出す(ステップS35A)。
要するに、変形例1の焼入れ方法の拘束する工程(ステップS21A~S28)及び冷却する工程(ステップS32A)は、ワーク600が冷却液504sに浸されない状態で実施される。この工程によれば、配置から拘束までの時間を確保することができる。また、変形例1の焼入れ方法によっても、複数のワーク600を一度にプレスクエンチすることが可能である。
<変形例2>
変形例1の焼入れ方法では、ワーク600の急冷を大気中で実施した。例えば、ワーク600の急冷は、大気中と冷却液504s中とで実施してもよい。図23は、変形例2の焼入れ方法のフローチャートを示す。変形例2の焼入れ方法では、まず、大気中で非拘束状態から拘束状態に切り替える。次に、所定時間が経過した後に、拘束状態であるプレスクエンチ装置1を冷却液504sに沈める。
図23に示すように、加熱処理のためのステップS11、S12、S13を実施する。そして、大気中でのプレスクエンチの準備のためのステップS21B~S27Bを実施する。ステップS21B~S27Bは、変形例1のステップS21A~S27Aと同じである。
次に、押圧ユニット3を配置した(ステップS31B)後に、プレスクエンチを行う(ステップS32B1)。つまり、プレスクエンチ装置1を非拘束状態から拘束状態に切り替える。そして、拘束状態となってから所定時間が経過した後に、拘束状態であるプレスクエンチ装置1を冷却液504sに沈める(ステップS32B2)。続いて、除荷した(ステップS33B)後に、ワーク600を冷却液504sから取り出す(ステップS34B)。そして、プレスクエンチ装置1からワーク600を取り出す(ステップS35B)。
要するに、変形例2の焼入れ方法は、拘束する工程(ステップS32B1)の後に、プレスクエンチ装置1に配置されたワーク600を冷却液504sに浸す工程(ステップS32B2)をさらに有する。拘束する工程(ステップS32B1)は、ワーク600が冷却液504sに浸されない状態で実施される。冷却する工程の第1期間(ステップS32B1)は、ワーク600が冷却液504sに浸されない状態で実施される。第1期間に続く冷却する工程の第2期間(ステップS32B2)は、ワーク600が冷却液504sに浸された状態で実施される。この工程によれば、配置から拘束までの時間を確保することができる。また、変形例2の焼入れ方法によっても、複数のワーク600を一度にプレスクエンチすることが可能である。
変形例2の焼入れ方法によれば、プレスブロック221の熱容量が十分に大きくない場合であっても、冷却液504sに沈める(ステップS32B2)ので、ワーク600を十分に冷却することができる。つまり、熱量量が比較的小さい小型のプレスブロック221であっても、複数のワーク600を一度にプレスクエンチすることができる。
<位置決め治具の変形例>
位置決め治具は、図24に示すような構成を採用することもできる。図24には、一対の角柱部材21Aによって構成される位置決め治具を示す。角柱部材21Aには、長手方向に沿って互いに離間するように配置された複数の位置決めスリットが設けられている。このような構成によっても、複数のワーク600を保持することができる。
<焼入れ対象物の例示>
図25(a)に示すワーク600Aは、レース601Aと、リップ602Aと、を含む。レース601Aにはレース貫通穴601hが形成されている。リップ602Aは、レース601Aの外周縁から起立する。リップ602Aは、レース601Aから直線状に延びる。つまり、リップ602Aは、レース601Aとつながっている部分から先端までの間に折り曲げられた部分を含まない。
図25(b)に示すワーク600Bは、レース601Bと、リップ602Bと、を含む。レース601Bにはレース貫通穴601hが形成されている。リップ602Bは、レース601Bの外周縁から起立する。リップ602Bは、レース601Bとつながっている部分から先端までの間にカール部603を含む。リップ602Bは、カール部603を起点として内側に曲がっている。つまり、リップ602Bの先端部分の内径は、レース601Bの外径よりも小さい。
図25(c)に示すワーク600Cは、レース601Cと、内リップ604Cと、外リップ602Cと、を有する。内リップ604Cは、レース601Cに設けられたレース貫通穴601hとともにワーク貫通穴600hを形成する。外リップ602Cは、レース601Cの外周縁から起立する。外リップ602Cが起立する方向は、内リップ604Cが起立する方向と同じである。外リップ602Cの高さは、内リップ604Cよりも高くてもよい。
1…プレスクエンチ装置(拘束焼入れ装置)、2,2A,2B…拘束ユニット、21…位置決め治具(位置決め部材)、22…拘束治具(拘束部材)、211…ワーク配置面、212…位置決めスリット、212t…スリット幅、221…プレスブロック、221b…ブロック裏面、221c…ブロック連結面、221e…バネ穴、221f…ブロック自由面、221h…穴部、221L…間隔、221p…平坦面部、221q…内周面、221s…ブロック主面、222…ブロック連結部、223…バネ、223L…自然長、3…押圧ユニット(押圧機構)、31A,31B…押圧ブロック対、32,33…押圧板、311,312…押圧ブロック、311s,312s…押し当て面、4…アクチュエータ、501…搬送治具、502…移動機構、503…加熱炉、504…冷却槽、504s…冷却液、600,600A,600B,600C…ワーク(焼入れ対象物)、600h…ワーク貫通穴、601,601A,601B,601C…レース(円板状の部位)、601a…レース主面、601b…レース裏面、601h…レース貫通穴、602,602A,602B…リップ、602a…リップ基端、602b…リップ先端、602C…外リップ、602h…リップ貫通穴、602s…外周面、603…カール部、604C…内リップ、A…中心軸線、V1…蒸気膜、V2…泡。

Claims (8)

  1. 円板状の部位を含み貫通穴が設けられた焼入れ対象物のための焼入れ方法であって、
    前記焼入れ対象物を拘束する拘束状態と拘束しない非拘束状態とを相互に切替可能な拘束焼入れ装置を準備する工程と、
    加熱された複数の前記焼入れ対象物を非拘束状態である拘束焼入れ装置に配置する工程と、
    前記拘束焼入れ装置を前記非拘束状態から前記拘束状態に切り替えることにより、前記焼入れ対象物の拘束対象部位を前記拘束焼入れ装置によって拘束する工程と、
    拘束された前記焼入れ対象物を冷却する工程と、を有する、焼入れ方法。
  2. 前記拘束する工程の前に、加熱された複数の前記焼入れ対象物を冷却液に浸す工程をさらに有し、
    前記拘束する工程及び前記冷却する工程は、前記焼入れ対象物が前記冷却液に浸された状態で実施される、請求項1に記載の焼入れ方法。
  3. 前記配置する工程は、
    複数の前記焼入れ対象物を、前記拘束焼入れ装置の位置決め部材に配置する工程と、
    複数の前記焼入れ対象物の間に、前記拘束焼入れ装置の複数の拘束部材をそれぞれ配置する工程と、
    を含む、請求項2に記載の焼入れ方法。
  4. 前記配置する工程では、前記焼入れ対象物の前記貫通穴の軸線に沿うように、複数の前記焼入れ対象物を前記位置決め部材に配置する、請求項3に記載の焼入れ方法。
  5. 前記拘束する工程では、前記拘束対象部位として前記焼入れ対象物の前記円板状の部位における主面に第1の前記拘束部材を押し当てると共に、前記円板状の部位における裏面に第2の前記拘束部材を押し当てる、請求項4に記載の焼入れ方法。
  6. 前記拘束する工程の後に、前記拘束焼入れ装置に配置された前記焼入れ対象物を冷却液に浸す工程をさらに有し、
    前記拘束する工程は、前記焼入れ対象物が前記冷却液に浸されない状態で実施され、
    前記冷却する工程の第1期間は、前記焼入れ対象物が前記冷却液に浸されない状態で実施され、
    前記第1期間に続く前記冷却する工程の第2期間は、前記焼入れ対象物が前記冷却液に浸された状態で実施される、請求項1に記載の焼入れ方法。
  7. 前記拘束する工程及び前記冷却する工程は、前記焼入れ対象物が冷却液に浸されない状態で実施される、請求項1に記載の焼入れ方法。
  8. 円板状の部位を含み貫通穴が設けられた焼入れ対象物のための拘束焼入れ装置であって、
    複数の前記焼入れ対象物の位置及び姿勢を保持する位置決め部材と、
    前記焼入れ対象物の拘束対象部位に接触可能な複数の拘束部材と、
    前記拘束部材を前記拘束対象部位に向けて押圧する押圧機構と、
    を備え、
    前記拘束部材及び押圧機構は、前記焼入れ対象物を拘束する拘束状態と拘束しない非拘束状態とを相互に切り替える、拘束焼入れ装置。
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