JP2023548196A - ビッグ・データ手法および機械学習に基づいて眼鏡レンズを計算する方法 - Google Patents

ビッグ・データ手法および機械学習に基づいて眼鏡レンズを計算する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、眼の生体データを判定するコンピュータ実装方法、および判定された生体データを考慮して眼鏡レンズを製造する対応する方法に関する。さらに、本発明は、対応するコンピュータ・プログラム製品およびデバイスに関する。生体データを判定する方法は、使用者の個別標準データを提供するステップであって、標準データが、使用者の眼の少なくとも一方の遠距離処方および/または近距離処方を含む処方データを含む、ステップと、個別標準データに基づいて、使用者の少なくとも一方の眼の少なくとも1つの個別生体パラメータを含む個別追加データを、標準データと追加データとの間の関係を記述する統計モデルを使用して計算するステップとを含み、統計モデルは、複数の基準データ・セットによる訓練データ・セットの統計分析を使用して導出されており、基準データ・セットの各々は、標準データおよび標準データに関連付けられた追加データを含む。

Description

本発明は、眼の生体データを判定するコンピュータ実装方法、および判定された生体データを考慮して眼鏡レンズを製造する対応する方法に関する。さらに、本発明は、対応するコンピュータ・プログラム製品およびデバイスに関する。
眼鏡レンズ、特に累進眼鏡レンズの計算では、たとえば米国特許第9,910,294(B2)号に記載されているように、眼鏡着用者の眼のバイオメトリクスが考慮されうる。これらのバイオメトリック眼鏡レンズは、簡単なモデルの仮想点である頂点球で結像の品質が評価されるのではなくなり、実際に眼の網膜上で結像が行われるため、大きな利点を与える。したがって、眼の媒体を通る屈折および伝播中に生じる個別収差間の相互作用も考慮される。
しかし、この方法の欠点は、複雑な機器およびデバイスを用いた広範囲にわたる測定が必要になることである。これは、大きな労力および高いコストの原因となる。その結果、高品質のバイオメトリック眼鏡レンズの利点が、比較的小さい割合の視覚障害患者にしか利用できなくなる。
本発明の目的は、複雑な測定という欠点を生じることなく、バイオメトリック眼鏡レンズの利点を広範囲にわたって使用することである。
この目的は、眼の生体データを判定するコンピュータ実装方法、対応するデバイス、および対応するコンピュータ・プログラム製品、ならびにそれぞれの独立請求項に指定される特徴を有する眼鏡レンズを製造する方法および対応するデバイスによって実現される。
本発明は、通常の屈折判定の一部として判定される使用者の眼の標準的な値を使用して、使用者の眼の少なくとも一方の個別生体パラメータを十分な精度および正確性で判定または予測することが可能であるという驚くべき発見に基づいている。したがって、そのために追加の生体データの複雑でコスト集約的な測定を必要とすることなく、高い結像品質および着用快適性を有する個別バイオメトリック眼鏡レンズを計算および製造することが可能である。
本発明の第1の態様は、使用者の眼の少なくとも一方の個別生体パラメータを判定するコンピュータ実装方法に関する。この方法は、
使用者の個別標準データを提供することであり、標準データが、使用者の眼の少なくとも一方の処方データを含む、提供することと、
個別標準データに基づいて、使用者の少なくとも一方の眼の少なくとも1つの個別生体パラメータを含む個別追加データを、標準データと追加データとの間の関係を記述する統計モデルを使用して計算することとを含み、
統計モデルは、複数の基準データ・セットによる訓練データ・セットの統計分析を使用して導出されており、基準データ・セットの各々は、標準データおよび標準データに関連付けられた追加データを含む。
この方法はまた、標準データと追加データとの間の関係を記述する統計モデルを提供することを含むことができる。
さらに、この方法は、訓練データ・セットを提供することと、訓練データ・セットの統計分析を使用して統計モデルを導出することとを含むことができる。統計モデルを導出することは、たとえば、訓練データ・セットを使用して元の(訓練されていない)モデルを訓練することを含むことができる。たとえば、モデルは、訓練データ・セットによる訓練中に変更または適合されるいくつかのモデル・パラメータを含むことができる。
本出願の意味範囲において、「提供する」という用語は、「指定する」、「伝送する」、「取得する」、「読み出す」、「メモリ、データベース、および/またはテーブルから取り出す」、「受け取る」などを含む。
本出願の意味範囲において、「判定する」という用語はまた、「指定する」、「計算する」、「識別する」、「予測する」などを含む。
標準データ
標準データ(基本データ)は、使用者の眼の少なくとも一方のデータ、および場合により、眼鏡の注文に関連して(たとえば、眼鏡技師または眼科医によって)記録された他のデータである。たとえば、標準データは、処方データなど、通常は眼鏡の注文に関連して常に記録されるデータを含むことができる。標準データはまた、使用者の眼の少なくとも一方の高次収差など、通常は眼鏡の注文に関連して任意選択で記録または測定されるデータを含むことができる。次いで、このデータは、さらなる補助データ(追加データ)を判定するために使用されうる。
たとえば、標準データは、第1の測定デバイスまたは第1の測定方法によって記録されたデータを含むことができる。追加データは、このデータに基づいて計算されうるものであり、第1の測定デバイスまたは第1の測定方法によって判定または測定されることはない。別法または追加として、追加データは、第1の測定デバイスまたは第1の測定方法によって判定または測定されうるが、十分な品質(たとえば、十分な精度、正確性、および/または再現性)を有していないデータを含むことができる。
たとえば、標準データの少なくとも一部の判定において、使用者の眼の少なくとも一方の生体パラメータのうち、個別バイオメトリック眼鏡レンズを計算するときに考慮されるべき部分を判定することを可能にする測定デバイスが利用可能である。次いで、この測定デバイスによって記録されたデータは、この測定デバイスでは判定されえない追加の個別生体パラメータを判定するために使用されうる。第1の測定デバイスは、収差計とすることができ、たとえば、角膜の収差(たとえば、トポグラファによって測定される)および/または前眼房深さ(たとえば、シャインプルーフ・カメラによって測定される)ではなく、眼の収差を判定することを可能にする。この方法は、収差計によって記録された眼の収差データに基づいて、角膜の収差および/または前眼房深さなどのさらなる生体データを判定するために使用されうる。トポグラファおよび/またはシャインプルーフ・カメラが利用可能である場合、対応する測定データは、眼の収差を判定するために使用されうる。
上記で記載されているように、この方法はまた、データが判定または測定されえない(たとえば、適当な測定デバイスが利用可能でないため)ときだけでなく、対応するデータが乏しいまたは不十分な品質でしか判定または測定されえないときにも使用されうる。たとえば、標準データは、低いまたは不十分な品質でデータを送達する第1の(たとえば簡単な)測定デバイスまたは測定方法によって測定されたデータを含む可能性がある。第1の測定デバイスまたは第1の測定方法によって記録されたデータは、より高い品質を有する追加データを判定するために使用されうる。たとえば、追加データは、第2のより正確な測定デバイス/測定デバイスタイプまたは第2の測定方法によって記録されたまたは測定されうるデータに対応することができる。
標準データは、少なくとも処方データを含む。処方データは、遠距離処方(すなわち、離れた距離、たとえば無限遠点を見たときの屈折データ)、および/または近距離処方(すなわち、近い距離、たとえば読書距離を見たときの屈折データ)を含む。使用者の眼の少なくとも一方の遠距離処方は、球面(Sph)、円柱(Cyl)のパラメータ、および軸、またはこれらから導出される変数、たとえば遠距離処方のパワーベクトルの成分M(球面相当)、J0(垂直乱視)、およびJ45(斜乱視)などから構成される。近距離処方はまた、使用者の眼の少なくとも一方の球面(Sph)、円柱(Cyl)、および軸の変数、またはこれらから導出される変数、たとえば近距離処方のパワーベクトルの成分M、J0、およびJ45から構成される。処方データはまた、たとえば累進多焦点レンズおよび多焦点レンズの場合、加入度数を含むことができる。
遠距離処方、加入度数、および/または近距離処方は、たとえば自覚的屈折を使用して判定されうる。他覚的屈折を使用して、または他覚的および自覚的屈折の組合せを使用して、遠距離処方、加入度数、および/または近距離処方を判定することも可能である。
自覚的屈折判定は、使用者によって自覚的に感知された視覚的印象が考慮される屈折判定方法である。通常、使用者の前に異なる屈折レンズが配置され、眼鏡レンズの使用者は、前の屈折レンズの光学特性が変化すると、視覚的印象の改善または劣化を屈折矯正士に通知する。
しかし、他覚的屈折の場合、使用者からのフィードバックは考慮されない。他覚的屈折は、装置配置のみを使用して実施され、眼球の屈折特性および幾何形状を記録することもできる。他覚的屈折は、屈折計、収差計、波面スキャナなどの様々なデバイスを使用して実行されうる。
任意選択で、標準データは、
瞳孔距離PD、および
瞳孔径
のパラメータのうちの少なくとも1つを含むことができる。
瞳孔距離および瞳孔径は、従来の測定方法を使用して判定されうる。
さらに、標準データは、任意選択で、
- 球面(Sph)、円柱(Cyl)、軸(またはM、J0、J45)、コマ、トレフォイル、2次乱視、球面収差、および/もしくは他の収差など、眼の低次および/もしくは高次収差、ならびに/または
- 球面(Sph)、円柱(Cyl)、軸(またはM、J0、J45)、コマ、トレフォイル、2次乱視、球面収差、および/もしくは他の収差など、角膜の低次および高次収差、ならびに/または
- 前眼房深さ、眼の長さなど、眼の物理的寸法、ならびに/または
- たとえば水晶体の低次および高次収差(球面(Sph)、円柱(Cyl)、軸(またはM、J0、J45)、コマ、トレフォイル、2次乱視、球面収差、および/または他の収差など)、および/もしくは曲率および/もしくは厚さなどの水晶体の構造および/もしくは物理的寸法を含む水晶体データ、ならびに/または
- 遠距離視覚および近距離視覚中の瞳孔径、および/もしくは薄明視および明所視条件下の瞳孔径
のデータのうちの少なくとも一部を含むことができ、データは、第1の測定方法または測定デバイスを使用して記録される。
さらに、標準データはまた、任意選択で、年齢、性別、民族、注文箇所、身長、眼圧、血液値、既往症データ、または医療記録(たとえば、場合により糖尿病)、網膜の画像、眼圧の値、眼の前区のデータ(前房隅角)、および/または古い眼鏡レンズのデータの追加パラメータを含むことができる。
追加データ
追加データは、使用者の眼の少なくとも一方の生体データであり、眼鏡の注文に関連して(たとえば、眼鏡技師によって)判定される。追加データは、たとえば、通常は任意選択で(たとえば、眼鏡技師によって)眼鏡の注文に関連して判定されるデータとすることができる。上記で記載されているように、追加データおよび標準データは、同じパラメータ(使用者の眼の少なくとも一方の収差など)を少なくとも部分的に含むことができ、追加データに含まれるパラメータおよび標準データに含まれるパラメータは、異なる測定方法または測定デバイスを使用して記録可能である。
たとえば、追加データは、収差計、トポグラファ、シャインプルーフ・カメラ、OCT(すなわち、光干渉断層撮影装置または光干渉断層撮影法)、バイオメータ、および/もしくは別の測定デバイスによって測定されるデータ、または別の他覚的屈折方法を使用して記録されたもしくは記録されうるデータを含むことができる。
追加データは、たとえば、使用者の眼の少なくとも一方に関して、
- 球面(Sph)、円柱(Cyl)、軸(またはM、J0、J45)、コマ、トレフォイル、2次乱視、球面収差、および/もしくは他の収差など、眼の低次および/もしくは高次収差、ならびに/または
- 球面(Sph)、円柱(Cyl)、軸(またはM、J0、J45)、コマ、トレフォイル、2次乱視、球面収差、および/もしくは他の収差など、角膜の低次および高次収差、ならびに/または
- 前眼房深さ、眼の長さなど、眼の物理的寸法、ならびに/または
- たとえば水晶体の低次および高次収差(球面(Sph)、円柱(Cyl)、軸(またはM、J0、J45)、コマ、トレフォイル、2次乱視、球面収差、および/または他の収差など)、および/もしくは曲率および/もしくは厚さなどの水晶体の構造および/もしくは物理的寸法を含む水晶体データ、ならびに/または
- 遠距離視覚および近距離視覚中の瞳孔径、および/もしくは薄明視および明所視条件下の瞳孔径
の生体データまたはパラメータを含むことができる。
追加データは、好ましくは、眼の高次収差(コマ、トレフォイル、2次乱視、球面収差など)、角膜の低次および高次収差(球面(Sph)、円柱(Cyl)、軸(またはM、J0、J45)、コマ、トレフォイル、2次乱視、球面収差など)、前眼房深さ、遠距離および近距離ならびに/または薄明視および明所視条件下の瞳孔径のデータまたはパラメータのうちの少なくとも一部を含む。
基準データ・セット内の追加データは、標準データに加えて、たとえば収差計、トポグラファ、シャインプルーフ・カメラ、OCT、バイオメータ、および/または別の測定デバイスによってバイオメトリック眼鏡レンズの以前の注文に対して記録または測定されたデータであってよい。
使用者の標準個別データに基づいて指定される個別追加データと、統計モデルを使用して判定される追加データとは、基準データ・セットに含まれて統計モデルを導出するために使用される同じタイプの追加データであってよいが、必須ではない。
統計モデル
統計モデルは、統計的方法を使用して既存のデータ・セット(訓練データ・セット)から導出される統計モデルとすることができる。例示的な統計的方法としては、回帰(線形回帰、非線形回帰、注意機構の非線形回帰、非線形マルチタスク回帰、ノンパラメトリックまたはセミパラメトリック回帰など)、分類方法、および他の機械学習方法が挙げられる。機械学習アルゴリズムは、たとえば、Jeremy Watt、Reza Borhani、Aggelos Katsaggelos、「Machine Learning Refined:Foundations,Algorithms,and Applications」、Cambridge University Press、2020に記載されている。
統計モデルは、そこから導出された個別標準データおよび/または変数の少なくとも一部を入力変数として受け取り、これらを使用して、追加の個別生体パラメータまたは追加データの少なくとも一部を計算する。標準データと統計モデルによって指定される追加データとの間の関係は、線形の関係であっても非線形の関係であってもよい。さらに、この関係はマルチパラメトリックであってもよい。
例示的な統計モデルは、線形または非線形の回帰モデルである。たとえば、ニューラル・ネットワークは、ディープ・ニューラル・ネットワークも含み、非線形回帰モデルとして使用されうる。機械学習の分野から知られている他の非線形回帰モデルを使用することも可能である。ニューラル・ネットワークなどの回帰モデルは、提供される訓練データ・セットを使用して訓練されうる。
統計モデルはまた、異なるタイプのいくつかの統計モデルの組合せ、たとえば線形回帰モデル、非線形回帰モデル(ニューラル・ネットワークなど)、分類モデル、および/または別の統計モデルの組合せとすることができる。
訓練データ・セットから導出される統計モデルは、データベース、計算器、コンピュータまたはデータ・クラウドなどの好適な記憶デバイスに記憶されうる。導出に使用される訓練データ・セットの少なくとも一部は、統計モデルとともに記憶されうる。
訓練データ・セットから導出される統計モデルはまた、連続して、または定期的な間隔で、たとえば新しい基準データ・セットに基づいて、確認および/または修正されうる。それに応じて、この方法は、統計モデルを修正することを含むことができる。
統計モデルとしてのニューラル・ネットワーク
統計モデルがニューラル・ネットワークを含む場合、またはニューラル・ネットワークからなる場合、ニューラル・ネットワークの入力層は、標準データおよび/またはそこから計算された補助変数の少なくとも一部で充填される。出力層は、少なくとも1つの生体追加パラメータまたは追加データの少なくとも一部に対する値を出力する。ニューラル・ネットワークはまた、好ましくは、入力および出力層に加えて、1つまたは複数の隠れ層を含むことができる。
元の訓練されていないニューラル・ネットワークの訓練中に、適当な学習アルゴリズムを使用して、重みが変更される。訓練されたニューラル・ネットワークは、標準データと追加データとの間の関係を指定する。
ニューラル・ネットワークの構造(層の数およびタイプ、異なる層内のニューロンの数およびタイプ、層およびニューロンが互いに結び付けられる方法など)および学習アルゴリズムは異なってもよい。
訓練データ・セット
標準データと追加データとの間の関係を記述する統計モデルは、統計的方法を使用して、複数の個別データ・セット(基準データ・セット)を含む訓練データ・セットに基づいて導出される。基準データ・セットの各々は、たとえば標準データと、好適な測定方法を使用して判定された特有の使用者の追加データとを含むことができる。訓練データ・セット内の異なる基準データ・セットは、好ましくは、複数の異なる使用者(基準使用者)のデータ(標準データおよび追加データ)を含むことができる。
基準データ・セットに含まれる追加データは、追加データに割り当てられた標準データに含まれない生体パラメータを含むことができる。基準データ・セットに含まれる追加データは、追加データに割り当てられた標準データに含まれるが低品質の生体パラメータを含むことも可能である。たとえば、標準データおよびこの標準データに割り当てられた追加データの値は、異なる測定方法および/または測定デバイスを使用して記録されている可能性がある。
この目的で、バイオメトリック眼鏡レンズに対する既存の注文が、データ・セットによってニューラル・ネットワークまたは別の統計モデルを訓練するために使用されうる。新しい標準注文の場合、追加の測定データ(追加データ)が、訓練された統計モデルを使用して、新しい注文に含まれる個別標準パラメータに基づいて計算または予想されうる。したがって、バイオメトリック眼鏡レンズは、個別標準パラメータおよびニューラル・ネットワークまたは他の統計モデルを使用してそこから計算された追加データに基づいて計算されうる。
基準データ・セットの数は変動してよい。たとえば、10、100、1,000、10,000、100,000、または1,000,000を上回る基準データ・セットが使用されうる。基準データ・セットは、好ましくは、眼鏡レンズが後に注文されうる広い範囲、好ましくは範囲全体をカバーする。たとえば、基準データ・セットは、たとえば球面の場合は-20dpt~+20dpt、円柱の場合は-8dpt~+8dptの屈折値の範囲をカバーすることができる。
さらに、使用者の眼の少なくとも一方の個別生体パラメータを判定する方法は、個別標準データおよび計算された個別追加データを、眼科用レンズの製造者、製造ユニット、製造デバイスなどの外部実体へ伝送することを含むことができる。
本発明の第2の態様は、眼鏡レンズを製造する方法であって、
使用者の個別標準データを提供することであり、標準データが使用者の眼の少なくとも一方の遠距離処方を含む、提供することと、
上記の態様のうちの1つによる方法による使用者の提供された個別標準データに基づいて、使用者の眼の少なくとも一方の個別生体パラメータを判定することと、
提供された個別標準データおよび判定された個別生体パラメータに基づいて、眼鏡レンズを計算することとを含む方法に関する。
たとえば、眼鏡レンズは、米国特許第9,910,294(B2)号に記載されている方法を使用して、または眼鏡レンズを計算するときに個別生体パラメータが考慮される別の知られている方法を使用して、計算されうる。
この方法はまた、計算された眼鏡レンズを製造することを含むことができる。眼鏡レンズは、単焦点眼鏡レンズ、多焦点眼鏡レンズ、または累進多焦点眼鏡レンズとすることができる。
本発明の第3の態様は、統計モデルを判定するコンピュータ実装方法であって、
- 訓練データ・セットに複数の基準データ・セットを提供することであり、基準データ・セットの各々が、標準データおよび標準データに関連付けられた追加データを含む、提供することと、
- 訓練データ・セットの統計分析を使用して、標準データと追加データとの間の関係を記述する統計モデルを導出することと、
- 統計モデルを記憶デバイスに記憶することとを含むコンピュータ実装方法に関する。
本発明の第4の態様は、コンピュータのメモリにロードされて実行されたとき、上記の態様のうちの1つによる方法をコンピュータに実行させるコンピュータ・プログラム製品に関する。
上記の方法およびコンピュータ・プログラム製品に関連して、前述の好ましい実施形態および前述の利点も同様に当てはまる。
上記の態様のうちの1つによる方法は、それに対応して設計されたデバイスを使用して実施されうる。
本発明の第5の態様は、使用者の眼の少なくとも一方の個別生体パラメータを判定するためのデバイスであって、個別生体パラメータを判定する前述の方法を実施するように設計された計算デバイスを備えるデバイスに関する。
計算デバイスは、好ましくは、
使用者の個別標準データを提供するための標準データ入力インターフェースであり、標準データが、使用者の眼の少なくとも一方の処方データ(遠距離処方および/または近距離処方、ならびに場合により加入度数など)を含む、標準データ入力インターフェースと、
個別追加データを計算するための追加データ計算デバイスであり、追加データが、使用者の少なくとも一方の眼の少なくとも1つの個別生体パラメータを含み、計算が、個別標準データに基づいて、統計モデルを使用して行われ、統計モデルが、複数の基準データ・セットによる訓練データ・セットの統計分析を使用して導出され、基準データ・セットの各々が、標準データおよび標準データに関連付けられた追加データを含む、追加データ計算デバイスとを備えることができる。
さらに、デバイスは、統計モデルを提供するためのモデル入力インターフェースを含むことができる。たとえば、統計モデルは、データベース、計算器、および/またはデータもしくは計算器クラウドなどのデバイスに記憶されうる。さらに、デバイスは、訓練データ・セットを提供するための訓練データ・セット入力インターフェースと、訓練データ・セットの統計分析を使用して統計モデルを導出または計算するためのモデル計算デバイスとを提供することができる。統計モデルは、たとえば、訓練データ・セットを使用して元の(訓練されていない)モデルを訓練することによって導出または計算されうる。
本発明の第6の態様は、眼鏡レンズを製造するためのデバイスであって、
第5の態様による使用者の眼の少なくとも一方の個別生体パラメータを判定するためのデバイスと、
提供された個別標準データおよび計算された個別生体パラメータに基づいて眼鏡レンズを計算するように設計されたレンズ計算デバイスとを備えるデバイスに関する。
製造デバイスはまた、計算された眼鏡レンズを製造するための製造デバイスを備えることができる。
データ((個別)標準データ、(個別)追加データ、統計モデル、モデル・パラメータ、重みなど)を提供、判定、指定、または計算するための前述のデバイスは、適当なコンピューティング・ユニット、電子インターフェース、ストレージ、およびデータ伝送ユニットを有する好適に構成またはプログラムされたデータ処理デバイス(特に、コンピュータまたはデータ・クラウドなどの特殊なハードウェア・モジュール、コンピュータ、またはコンピュータ・システム)によって実現されうる。デバイスは、少なくとも、使用者がデータを閲覧および/または入力および/または修正することを可能にする好ましくは対話型のグラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)をさらに備えることができる。
上記のデバイスはまた、データ(訓練データ・セット、基準データ・セット、(個別)標準データ、(個別)追加データなど)が伝送、入力、および/または読み出しされることを可能にする好適なインターフェースを有することができる。デバイスはまた、たとえばデータベースの形態で、使用されたデータを記憶する少なくとも1つの記憶ユニットを含むことができる。
製造デバイスは、たとえば、判定された最適化指定によるブランクの直接処理のための少なくとも1つのCNC制御機械を備えることができる。別法として、眼鏡レンズは、鋳造プロセスを使用して製造されうる。仕上げられた眼鏡レンズは、第1の簡単な球面または回転対称の非球面と、個別標準データおよび計算される個別追加データの関数として計算された第2の個別の表面とを有することができる。簡単な球面または回転対称の非球面は、眼鏡レンズの前面(すなわち、物体側の表面)とすることができる。しかし、当然ながら、個別の表面を眼鏡レンズの前面として配置することも可能である。眼鏡レンズのどちらの表面も、個別に計算されうる。
本発明のさらなる態様は、上記の製造方法によって製造された眼鏡レンズに関する。さらに、本発明は、使用者の視覚障害を補正するための特有の使用者の眼の前の眼鏡レンズの所定の平均または概念または個別の着用位置における上記の製造方法によって製造された眼鏡レンズの使用を提供する。
以下、本発明の好ましい実施形態が、添付の図を参照して例として説明される。記載される実施形態の個別の要素は、それぞれの実施形態に限定されるものではない。逆に、所望される場合、これらの実施形態の要素が互いに組み合わされてよく、それによって新しい実施形態が作成されてよい。
使用者の眼の少なくとも一方の個別生体データを判定し、眼鏡レンズを計算する例示的な方法の図である。 例示的な基準データ・セットの図である。 例示的な線形回帰モデルの図である。 例示的な非線形回帰モデルの図である。 注意機構を有する例示的な非線形回帰モデルを示す図である。 例示的なマルチタスク非線形回帰モデルを示す図である。 角膜の球面相当M[Dpt単位]を瞳孔径[mm単位]の関数として示す図である。 角膜のパワーベクトルの成分J0[Dpt単位]を標準データに含まれる自覚的垂直乱視[Dpt単位]の関数として示す図である。 角膜のパワーベクトルの成分J45[Dpt単位]を標準データに含まれる自覚的斜乱視J45[Dpt単位]の関数として示す図である。 眼の長さを標準データに含まれる自覚的球面相当M[Dpt単位]の関数として示す図である。 前眼房深さを標準データに含まれる自覚的球面相当M[Dpt単位]の関数として示す図である。 使用者の右眼の異なる生体追加パラメータを表で示す図である。 使用者の左眼の異なる追加生体パラメータを表で示す図である。 本発明の一例による方法を使用して計算される眼鏡レンズと、Gullstrand眼によって表される生体データまたは生体標準パラメータを使用しない従来の眼鏡レンズとに対する、眼の最大周辺乱視の差を示す図である。 本発明の一例による方法を使用して計算される眼鏡レンズと、Gullstrand眼によって表される生体データまたは生体標準パラメータを使用しない従来の眼鏡レンズとに対する、屈折力の変化の割合の差を示す図である。 本発明の一例による方法を使用して眼鏡レンズが計算されている、眼鏡レンズ-眼球システムの画像平面における乱視を示す図である。 例示的な統計モデルのグラフである。 異なる標準パラメータに対する角膜トポグラフィの例示的な予測を示す図である。 予測される追加データ(この場合、眼の長さ)の実際に測定されたデータからの偏差を示す図である。
図1は、使用者の眼の少なくとも一方の個別生体パラメータを判定し、判定された個別生体パラメータに基づいて眼鏡レンズを計算する例示的な方法を示す。この方法は、以下のステップを含む。
ステップS1:複数のデータ・セット(基準データ・セット)10から訓練データ・セットを作成し、各基準データ・セットは、標準データ12と、この標準データに割り当てられた追加データ14とを含む。
例示的な基準データ・セット10が図2に示されている。標準データ12は、2焦点、多焦点、および累進多焦点レンズに対する遠距離処方(Sph、Cyl、Axis、またはM、J0、J45)および加入度数(Add)を含む。任意選択で、標準データは、瞳孔距離(PD)、瞳孔径、および近距離処方(Sph、Cyl、Axis、またはM、J0、J45)をさらに含む。追加データ14は、たとえば、
眼の低次および高次収差、
角膜の低次および高次収差、
前眼房深さ、眼の長さなどの眼のパラメータ、
瞳孔径(遠距離、近距離、薄明視、明所視)、
水晶体データ
のデータ・セットのうちの少なくとも1つを含むことができる。
訓練データ・セットを形成するために、バイオメトリック眼鏡レンズに対する既存の注文が使用されてよく、それに対する追加データが測定方法を使用して記録されている。例示的な測定方法は、収差計、トポグラファ、シャインプルーフ・カメラ、OCT、および/またはバイオメータを使用する測定である。
ステップS2:統計的方法を用いて、複数の基準データ・セットから標準データと追加データとの間の関係が導出される。言い換えれば、訓練データ・セットに基づいて、標準データと追加データとの間の相関などの関係を記述する統計モデルが判定される。
統計モデルの判定は、たとえば、元は訓練されていないニューラル・ネットワークを訓練データ・セットによって訓練することを含むことができ、訓練データ・セットは、複数の基準データ・セットを含む。訓練されたニューラル・ネットワークは、試験データ・セットを使用して試験されてよく、かつ/または認証データ・セットを使用して認証されてよい。試験データ・セットおよび認証データ・セットは各々、以前の注文からの複数のデータ・セット(基準データ・セット)、たとえば図2に示されている複数の基準データ・セットを含むことができる。好ましくは、試験データ・セットに含まれる基準データ・セットは、認証データ・セットにも訓練データ・セットにも含まれない。同様に、認証データ・セットに含まれる基準データ・セットは、好ましくは、試験データ・セットにも訓練データ・セットにも含まれない。
ステップS3:個別標準データを含むのみの個別データ・セットを提供する。個別標準データは、眼鏡技師によって、使用者のための眼鏡に対する個別注文の一部として記録されうる。
ステップS4:ステップS3で提供された個別データ・セットに含まれる個別標準データに基づいて、さらにステップS2で判定された標準データと追加データとの間の関係に基づいて、個別追加データ(追加データ)を計算する。たとえば、個別標準データは、ステップS2の訓練されたニューラル・ネットワークに入力されうる。ニューラル・ネットワークの対応する出力データは、個別追加データとして直接使用されうる。ニューラル・ネットワークの出力データを直接使用するだけでなく、最初にこの出力データをさらなる処理(妥当性の確認、平滑化、フィルタリング、カテゴリ化、変換など)にかけることも可能である。
ステップS5:ステップS3で提供された個別データ・セットに含まれる個別標準データに基づいて、さらにステップS4の計算された個別追加データに基づいて、個別眼鏡レンズを計算する。
個別眼鏡レンズの計算は、個別標準データおよび計算された個別追加データに基づいた眼鏡レンズの少なくとも1つの表面の計算を含む。そのように計算された表面は、眼鏡レンズの裏面であっても前面であってもよい。「眼鏡レンズの少なくとも1つの表面の計算」は、少なくとも表面の一部分または表面の一部の計算を含む。言い換えれば、「眼鏡レンズの少なくとも1つの表面の計算」は、表面の少なくとも一部の計算または表面全体の計算を意味する。
計算される表面とは反対の表面は、球面、回転対称、非球面、円環状、または非円環状の表面など、簡単な表面とすることができる。両方の表面を個別に計算することも可能である。
個別眼鏡レンズは、知られている方法を使用して、たとえば米国特許第9,910,294(B2)号から知られている方法を使用して計算されうる。
図3~図6は、データ・セット1(訓練データ・セット)に基づいて各々訓練された例示的な統計モデル2を示す。
図3は、入力層および出力層を有する例示的な線形回帰モデルを示す。Kの変数を有する出力変数f(x)が、多次元入力変数xから次元D(たとえば、D=26)で計算される。
f(x)=Wx (1)
上式で、
Figure 2023548196000002
は重み行列を示す。
図4は、入力層、出力層、およびいくつかの隠れ層を有する例示的な非線形回帰モデルを示す。ここで、kの変数を有する出力変数f(x)が、多次元入力変数xから次元D(たとえば、D=26)で計算される。
f(x)=σ(Wσ(Wσ(Wx))) (2)
上式で、
σ(a)は、活性化関数を示し、
たとえば、σ(a)=max(a,0)(正規化線形ユニット(ReLU))であり、
Figure 2023548196000003

Figure 2023548196000004
および
Figure 2023548196000005
は、重み行列を示す。
図5は、注意機構を有する例示的な非線形回帰モデルを示す。このモデルは、入力層、出力層、いくつかの隠れ層、および注意層を有し、「H」の注意ヘッドを有する。以下の演算が、注意ヘッドの各々に対して実行される。
Figure 2023548196000006
上式で、
Figure 2023548196000007
、(h=1,...H)は、重み行列を示し、
h(h=1,...H)は、第hの注意ヘッドを示す。
出力f(x)は、以下によって計算される。
f(x)=σ(Wσ(Wσ(WAttention(x)))) (4)
上式で、
σ(a)は、活性化関数(たとえば、正規化線形ユニット(ReLU))を示す。
Figure 2023548196000008
Figure 2023548196000009
は、要素ごとの積を示す。
Figure 2023548196000010
は、個別注意ヘッドのすべての出力ベクトルの連結を示し、h=1,...Hであり、
Figure 2023548196000011

Figure 2023548196000012
、および
Figure 2023548196000013
は、重み行列を示す。
図6は、いくつかのタスク(タスク1~T)の処理のための例示的な非線形マルチタスク回帰モデルを示す。図6に示されているモデルは、図5に示されているモデルに基づいており、いくつかのタスク(タスク1~タスクT)に関して修正されたものである。ここで、注意層における一般的な表現が使用される。重み行列
Figure 2023548196000014
の代わりに、別個の重み行列
Figure 2023548196000015
、h=1...,Tが、各個別タスクに使用される。このモデルの助けを借りて、いくつかの出力変数f(x)、t=1,...,Tが、多次元入力変数xから次元D(たとえば、D=26)で計算される。出力変数の次元は、タスクによって与えられ、様々なタスクが異なる次元を有することができる。たとえば、出力変数fは次元Kを有することができ、出力変数fは次元Kを有することができ、以下同様である。全体的に、すべての出力変数の次元は、個別の出力変数の次元の和
Figure 2023548196000016
である。
図7および図8は、図3に示されているモデル(すなわち、線形回帰)を使用して上式に記載されている方法によって計算された異なる個別生体追加パラメータ(すなわち、追加データに含まれるパラメータ)の結果を、実際に測定された個別追加パラメータおよびGullstrand眼模型による追加パラメータと比較して示す。図7および図8で、測定された値は、小さい円で示されている。実線は、前述の方法を使用してそれぞれの追加パラメータと対応する標準パラメータ(すなわち、標準データに含まれるパラメータ)との間の統計的に判定された線形関係を示す。破線は、Gullstrand眼模型によるパラメータ値を示す。
図7は、角膜のパワーベクトルの成分、角膜の「M」(球面相当)、「J0」(垂直乱視)、および「J45」(斜乱視)に対する結果を示し、
図7Aは、角膜の球面相当M[Dpt単位]を、標準データに含まれる瞳孔径[mm単位]の関数として示し、
図7Bは、角膜の垂直乱視J0[Dpt単位]を、標準データに含まれる自覚的(Rx)垂直乱視J0[Dpt単位]の関数として示し、
図7Cは、角膜の斜乱視J45[Dpt単位]を、標準データに含まれる自覚的(Rx)斜乱視J45[Dpt単位]の関数として示す。
図8は、眼の長さ(図8A)および前眼房深さ(図8B)を、各々標準データに含まれる自覚的(Rx)球面相当M[Dpt単位]の関数として示す。
自覚的(Rx)球面相当M、自覚的(Rx)垂直乱視J0、および自覚的斜乱視J45は、自覚的屈折を使用して判定された遠距離処方のパワーベクトルの成分である。遠距離処方は標準データの一部である。
図7および図8から見られうるように、追加生体パラメータである角膜の球面相当M、角膜の垂直乱視J0、角膜の斜乱視J45、眼の長さ、および前眼房深さに関して上記の方法を使用して判定される値は、複雑な測定方法によって判定された値に非常に近接している。
図9および図10は各々、使用者の右眼(図9)および左眼(図10)の異なる追加生体パラメータを、以下の標準データとともに、表で示す。
右眼
遠距離処方
Sph=-3.00dpt
Cyl=-1.75dpt、Axis=173°
加入度数=0.00dpt
瞳孔距離PD=61.7mm
左眼
遠距離処方
Sph=-4.50dpt
Cyl=-1.00dpt、Axis=179°
加入度数=0.00dpt
瞳孔距離PD=61.7mm
図9および図10に示されている表の列1は、Gullstrand眼模型による追加生体パラメータに対する値を示す。列2は、統計モデルに基づいて上記の方法を使用して判定される追加生体パラメータに対する値を示す。統計モデルは、図3に示されているモデルなどの線形回帰モデルであり、複数のタスクに関して修正されている。列3は、実際に測定された値を示す。測定された値は、眼の屈折面間の距離を測定するのに好適な「LenStar900」(Haag-Streit)低コヒーレンス反射率計を使用して記録された。
図9~図10から見られうるように、計算された追加パラメータは主に、実際に測定されたパラメータに対応する。
図11および図12は各々、本発明の一例による方法を使用して計算された眼鏡レンズ(合計813の眼鏡レンズ)の特性と、Gullstrand眼が表すものなどの生体標準パラメータに基づく生体モデルを使用しない従来の眼鏡レンズの特性との差を示す。
Dpt単位の処方の平均度数(sph+cyl/2)(球面相当とも呼ばれる)が、図11および図12の横座標に示されている。
本発明の一例による方法を使用して計算される眼鏡レンズによる眼の最大乱視と、従来の眼鏡レンズによる眼の最大乱視との差[Dpt単位]が、図11の縦座標に示されており、どちらの眼鏡レンズも同じ標準パラメータを有する。
本発明の一例による方法によって計算された眼鏡レンズに対する屈折力の変化と、従来の眼鏡レンズに対する屈折力の変化との間の割合の差が、図12の縦座標に示されており、どちらの眼鏡レンズも同じ標準パラメータを有する。
図13は、眼鏡レンズ-眼システムの画像平面における乱視を示し、2つの等位線間の距離は0.25Dptである。眼鏡レンズは、遠距離処方(Sph=0.0Dpt、Ast=0.0Dpt)および加入度数Add=2.0Dptに関して、本発明による例示的な方法を使用して計算された。眼鏡レンズは、最大周辺乱視(Cyl)の約15%の低下を示す。
図11~図13から見られうるように、追加データが統計モデルを使用して標準データに基づいて計算または予測されるとき、個別追加生体パラメータ(追加データ)に基づいて最適化された眼鏡レンズは、非常に良好な光学特性を有する。したがって、個別追加データの複雑でコスト集約的な測定は必要とされない。
図11~図13に示されている値による眼鏡レンズの計算で使用される例示的な方法が、以下に記載されている。
訓練データ・セットは、約20000の基準データ・セットを含む。各基準データ・セットは、標準データと、標準データに関連付けられた追加データとを含む。標準データは、自覚的屈折によって獲得された使用者の右眼の処方データ(M、J0、J45に変換された遠距離処方)を含む。追加データは、ゼルニケ表現における角膜トポグラフィおよび使用者の右眼の前眼房深さを含む。訓練データ・セットは、図3に示されているモデルなどの線形回帰モデルを訓練するために使用される。
訓練されたモデルは、以下の特徴の線形回帰として、角膜トポグラフィのゼルニケ係数cn,m(x)および前眼房深さdCL(x)の各々の予測を可能にする。
x=(1,M,J,J45,Add,M・J,M・J45,M・Add,J・J45,J・Add,J45・Add) (5)
線形回帰モデルでは、
Figure 2023548196000017
が、角膜トポグラフィの予測されたゼルニケ係数cn,m(x)に有効である。
予測された前眼房深さdCL(x)の場合、
Figure 2023548196000018
が有効である。
等式(6)および(7)において、
Figure 2023548196000019
は、ゼルニケ係数cn,mを予測するための第iの特徴の線形回帰のパラメータを示し、
Figure 2023548196000020
は、前眼房深さを予測する第iの特徴の線形回帰のパラメータを示す。
角膜頂点深さzの場合、特徴ベクトルxおよび瞳孔座標Xpup,Ypupの位置の関数として、
z(x,Xpup,Ypup)=Σn,mn,m(x)Zn,m(Xpup,Ypup)=Σ(Xpup,Ypup) (8)
が有効であり、上式で、
Figure 2023548196000021
であり、
n,mは、第(m,n)のゼルニケ多項式を示し、
pup,Ypupは、瞳孔座標を示す。
等式(8)による和の項は、モデルを訓練することによって判定される。
図14は、角膜トポグラフィに対する訓練されたモデルのグラフを示す。上記で説明されているように、角膜トポグラフィの頂点深さzの場合、
z(x,Xpup,Ypup)=Σ(Xpup,Ypup) (10)
が有効である。
図14で、モデルを訓練することによって判定される等式(10)の和の項は、頂点深さプロットとして示されており、頂点深さの等位線が、それぞれの特徴(定数項、M、J、J45、Add、M・J、M・J45、M・Add、J・J45、J・Add、J45・Add)の単位当たりμmで示されており、瞳孔座標Xpup,Ypupがmmで示されている。
図15A~図15Dは、異なる標準パラメータM(球面相当)、J0、J45、およびAddを有する訓練されたモデルに基づいて、角膜トポグラフィに対する例示的な予測を示す。図15Aは、M=0D、J0=0D、J45=0D、およびAdd=0Dに対する結果を(等位線プロットとして)示す。図15Bは、M=0D、J0=2D、J45=0D、およびAdd=0Dに対する結果を(等位線プロット)として示す。図15Cは、M=0D、J0=0D、J45=2D、およびAdd=0Dに対する結果を(等位線プロットとして)示す。図15Dは、M=0D、J0=0D、J45=0D、およびAdd=2Dに対する結果を(等位線プロットとして)示す。瞳孔座標xpup,ypupは、それぞれ図15A~図15Dの横座標および縦座標上に示されている。特に、図15A~図15Dは各々、左から右へ、Dpt単位の角膜の平均度数、μm単位の角膜頂点深さ(角膜トポグラフィ)、および等式(10)による角膜トポグラフィ表現の定数項からの角膜頂点深さの偏差(トポグラフィ偏差)を示す。
図16A~図16Cは、予測された追加データ(この場合、眼の長さ)の実際に測定されたデータからの偏差を示す。mm単位の測定された眼の長さが、横座標上に示されている。予測された眼の長さが、mm単位で縦座標上に示されている。
図16Aに示されている予測された眼の長さは、Gullstrand眼模型による眼の長さである。このモデルは、0の入力パラメータを有する。予測の精度(95%の信頼区間)は±2.4mmである。
図16Bに示されている予測された眼の長さは、球面相当を入力パラメータとして有する訓練された統計モデルを使用して判定された。予測の精度(95%の信頼区間)は±1.5mmである。
図16Cに示されている予測された眼の長さは、球面相当および瞳孔距離を入力パラメータとして有する訓練された統計モデルを使用して判定された。予測の精度(95%の信頼区間)は±1.4mmである。
図16A~図16Cから見られうるように、複数の入力パラメータを考慮することで、予測の精度を改善することができる。
1 訓練データ・セット
2 統計モデル
10 基準データ・セット
12 標準データ
14 追加データ
S1~S5:方法ステップ

Claims (13)

  1. 使用者の眼の少なくとも一方の個別生体パラメータを判定するコンピュータ実装方法であって、
    前記使用者の個別標準データ(12)を提供することであって、前記標準データ(12)が、前記使用者の眼の少なくとも一方の遠距離処方および/または近距離処方を含む処方データを含む、ことと、
    前記個別標準データ(12)に基づいて、前記使用者の少なくとも一方の眼の少なくとも1つの個別生体パラメータを含む個別追加データ(14)を、前記標準データと前記追加データとの間の関係を記述する統計モデル(2)を使用して計算することとを含み、
    前記統計モデル(2)が、複数の基準データ・セット(10)による訓練データ・セット(1)の統計分析を使用して導出されており、前記基準データ・セット(10)の各々が、標準データおよび前記標準データに関連付けられた追加データを含む、コンピュータ実装方法。
  2. 前記訓練データ・セット(1)を提供することと、
    前記訓練データ・セット(1)の統計分析を使用して前記統計モデル(2)を導出することであって、前記統計モデル(2)を導出することが、前記訓練データ・セット(1)を使用して元のモデルを訓練することを含むことができる、こととをさらに含む、
    請求項1に記載の方法。
  3. 前記統計モデル(2)が、線形回帰モデル、非線形回帰モデル、ノンパラメトリック、またはセミパラメトリック回帰モデルである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記統計モデル(2)が、前記訓練データ・セットを使用して訓練されたニューラル・ネットワークである、請求項1から3の一項に記載の方法。
  5. 前記標準データ(12)が、加入度数および/または瞳孔距離および/または瞳孔径をさらに含む、
    請求項1から4の一項に記載の方法。
  6. 前記基準データ・セット(10)に含まれる前記追加データ(14)が、前記追加データ(14)に割り当てられた前記標準データ(12)に含まれない生体パラメータを含み、かつ/または
    前記基準データ・セット(10)に含まれる前記追加データ(14)が、前記追加データ(14)に割り当てられた前記標準データ(12)に含まれる生体パラメータを含み、前記標準データ(12)および前記標準データに割り当てられた前記追加データ(14)の値が、異なる測定方法および/または測定デバイスによって記録されている、
    請求項1から5の一項に記載の方法。
  7. 前記処方が、自覚的屈折を使用して判定されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記基準データ・セット(10)に含まれる前記追加データ(14)が、収差計、トポグラファ、シャインプルーフ・カメラ、OCT、および/またはバイオメータによって記録されたデータを含む、請求項1から7の一項に記載の方法。
  9. 前記追加データ(14)が、
    - 眼の低次および/もしくは高次収差、ならびに/または
    - 眼の前眼房深さおよび/もしくは長さ、ならびに/または
    - 角膜の低次および高次収差、ならびに/または
    - 水晶体の低次および/もしくは高次収差、ならびに/または
    - 水晶体の構造、および/もしくは水晶体の曲率、および/もしくは水晶体の厚さ、ならびに/または
    - 遠距離視覚および近距離視覚中および/もしくは薄明視および明所視条件下の使用者の瞳孔径を含む、請求項1から8の一項に記載の方法。
  10. 眼鏡レンズを製造する方法であって、
    請求項1から9の一項に記載の方法による前記使用者の前記提供された個別標準データ(12)に基づいて、前記使用者の少なくとも一方の眼の少なくとも1つの個別生体パラメータを含む個別追加データ(14)を判定することと、
    前記判定された個別追加データに基づいて前記眼鏡レンズを計算することとを含む方法。
  11. コンピュータのメモリにロードされて実行されたとき、請求項1から10の一項に記載の方法を前記コンピュータに実施させるコンピュータ・プログラム製品。
  12. 使用者の眼の少なくとも一方の個別生体パラメータを判定するためのデバイスであって、請求項1から9の一項に記載の方法を実施するように設計された計算デバイスを備えるデバイス。
  13. 眼鏡レンズを製造するためのデバイスであって、
    請求項12に記載の使用者の眼の少なくとも一方の個別生体パラメータを判定するためのデバイスと、
    前記計算された個別生体パラメータに基づいて前記眼鏡レンズを計算するように設計されたレンズ計算デバイスとを備えるデバイス。
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