JP2023545928A - ヒト乳オリゴ糖を含む栄養組成物 - Google Patents

ヒト乳オリゴ糖を含む栄養組成物 Download PDF

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Abstract

ヒト乳オリゴ糖(HMO) 2’-フコシルラクトース(2FL)、3’-フコシルラクトース(3FL)、3’-シアリルラクトース(SSL)、及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含む栄養組成物。栄養組成物は、アレルゲンに対する耐性を誘導すること、及び/又はアレルギーのアウトグロースを加速させること、及び/又はインターロイキンIL-10介在性疾患を治療すること若しくはそのリスクを低減することに有用である。【選択図】 なし

Description

本発明は、アレルゲンに対する耐性(tolerance)を誘導することにおける使用のための栄養組成物に関する。特に、本発明は、ヒト乳オリゴ糖(HMO) 2’-フコシルラクトース(2FL)、3’-フコシルラクトース(3FL)、3’-シアリルラクトース(3SL)、ラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)、並びに任意に6’-シアリルラクトース(6SL)及びラクト-N-テトラオース(LNT)を含む栄養組成物に関する。
[背景技術]
食品アレルギー、アトピー性皮膚炎、及び喘息などのアレルギー疾患の罹患率は世界的に増加している。例えば、世界中で3億人が喘息を患っており、欧州連合では1100万人~2600万人が食品アレルギーを有する(Martins,T.B.et al.(2014)J Allergy Clin Immunol 133:589-91)。
牛乳タンパク質(CMP)は、乳児の食物アレルギーの主要な原因であり、世界中で2~3%の小児に影響を及ぼしている。CMPアレルギー(CMPA)を有する小児のほとんどは、2つ以上の症状を有する:50~70%は皮膚症状があり;50~60%は胃腸症状があり;20~30%は気道症状がある。10%の小児では、重篤な生命を脅かす症状が現れることがある。(Nutten,2018.EMJ Allergy Immunol,3(1),pp.50-59)。
乳児の腸内微生物組成が乳児宿主の免疫分化経路及びアレルギー発症に関与するという証拠が増えてきている(Quante M.et al.(2012)BMC Public Health 12:1021)。その結果、食事、汚染、都市生活、清浄度、及び出産方法などの環境要因が、免疫系の発達及びアレルギー疾患の発症と関連付けられてきた(Seppo,A.E.et al.(2017)J Allergy Clin Immunol 139:708-11 e5;Azad,M.B.et al.(2018)J Nutr 148:1733-42)。
母乳は免疫学的に活性な分泌液であり、免疫系の発達を調節し、ひいてはアレルギー疾患の発症を調節し得る多くの成分を含有する。母乳中に3番目に豊富な成分であるヒトミルクオリゴ糖(HMO)がアレルギー疾患の発症に及ぼす影響は、特に関心を集めてきた。HMOは、短鎖及び長鎖オリゴ糖の両方を含む、構造的に多様なラクトース系複合体グリカンである。ヒト母乳中のHMOの数(200超のHMOが同定されている)及び構造の多様性は、他の哺乳動物乳では観察されていない。HMOの組成は、環境及び遺伝の両方の影響を受け、母体集団によって大きく異なる。乳腺で合成される母乳中のHMO量は、初乳の約20.9g/Lから成熟乳の12.9g/Lまで様々である。
関連する研究により、乳児のミルクアレルギー又は食物アレルギーと相関するいくつかの母乳中HMO濃度の特定がなされてきた。しかしながら、アレルギーを調節するのに有益であり得る特定のHMOの同一性に関して不確かさが残っている。
生後数ヶ月の健康な乳児にとって、ヒトの母乳及び母乳栄養は栄養の最適な形態であると考えられている。しかしながら、母乳に追加して使用することができる栄養源が必要とされている。更に、乳児には必ずしも母乳栄養が可能なわけではなく、早産児などのより脆弱な乳児のニーズは母乳では達成できないため、母乳の代替品も必要とされている。乳児の栄養要件を満たす乳児用フォーミュラなどの栄養組成物は、ヒトの母乳を代替するもの又は補完するものとして使用することができる。しかしながら、乳児用フォーミュラの組成は、栄養要件を満たし、許容できる味を提供し、更に乳児の発達を助けるために、特にアレルギーの乳児又はアレルギーのリスクがある乳児を対象とする場合は、慎重に制御される必要がある。
アレルギーの乳児及び小児に適した栄養組成物が依然として切に必要とされている。特に、アレルゲンに対する耐性を誘導し、アレルギー、特に牛乳アレルギーのアウトグロース(outgrowth)の加速に対して有効な製剤が必要とされている。
[発明の概要]
本発明者らは、驚くべきことに、HMOの特定の組合せがIL-10の誘導において最も有効であることを見出した。この組み合わせは、アレルギー感作を低減し、アレルゲンに対する耐性を誘導するのに有用である。
したがって、一態様では、本発明は、ヒト乳オリゴ糖(HMO) 2’-フコシルラクトース(2FL)、3’-フコシルラクトース(3FL)、3’-シアリルラクトース(3SL)、及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含む栄養組成物を提供する。
いくつかの実施形態では、栄養組成物中のHMOは、2FL、3FL、3SL、及びLNnTからなるか、又は本質的になる。
いくつかの実施形態では、栄養組成物中のHMOは、以下:
i.約40重量%~約80重量%、好ましくは約55重量%~約75重量%、好ましくは約65重量%~約70重量%の2FL、
ii.約2重量%~約15重量%、好ましくは約4重量%~約12重量%、好ましくは約6重量%~約9重量%のLNnT、
iii.約5重量%~約30重量%、好ましくは約10重量%~約25重量%、好ましくは約15重量%~約20重量%の3FL、及び
iv.約2重量%~約15重量%、好ましくは約4重量%~約12重量%、好ましくは約7重量%~約9重量%の3SL、からなるか、又は本質的になる。
いくつかの実施形態では、栄養組成物中に存在する2FL、3FL、3SL、及びLNnTの総量は、10μg/mL~10000μg/mL、好ましくは50μg/mL~5000μg/mLの濃度である。
別の態様では、本発明は、ヒト乳オリゴ糖(HMO) 2’-フコシルラクトース(2FL)、3’-フコシルラクトース(3FL)、3’-シアリルラクトース(3SL)、ラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)、6’-シアリルラクトース(6SL)及びラクト-N-テトラオース(LNT)を含む栄養組成物を提供する。
いくつかの実施形態では、栄養組成物中のHMOは、2FL、3FL、3SL、LNnT、6SL及びLNTからなるか、又は本質的になる。
いくつかの実施形態では、栄養組成物中のHMOは、以下:
i.約35重量%~約60重量%、好ましくは約40重量%~約50重量%、好ましくは約43重量%~約47重量%の2FL、
ii.約1重量%~約10重量%、好ましくは約3重量%~約7重量%、好ましくは約4重量%~約6重量%のLNnT、
iii.約10重量%~約30重量%、好ましくは約15重量%~約25重量%、好ましくは約18重量%~約22重量%のLNT、
iv.約3重量%~約20重量%、好ましくは約7重量%~約15重量%、好ましくは約10重量%~約13重量%の3FL、
v.約1重量%~約10重量%、好ましくは約4重量%~約8重量%、好ましくは約5重量%~約7重量%の3SL、及び
vi.約5重量%~約20重量%、好ましくは約7重量%~約15重量%、好ましくは約10重量%~約14重量%の6SL、からなるか、又は本質的になる。
いくつかの実施形態では、栄養組成物中に存在する2FL、3FL、3SL、LNnT、6SL及びLNTの総量は、10μg/mL~10000μg/mL、好ましくは50μg/mL~5000μg/mLの濃度である。
本発明の栄養組成物は、好ましくは乳児(infant)又は幼児(young-child)に投与するためのものである。
一実施形態では、栄養組成物は、乳児用フォーミュラ、スターター乳児用フォーミュラ、フォローオン若しくはフォローアップ乳児用フォーミュラ、グローイングアップミルク、強化剤又はサプリメントの形態であり得る。一実施形態では、本発明の栄養組成物は、乳児用又は幼児用のフォーミュラである。
いくつかの実施形態では、本発明の栄養組成物は、高度加水分解フォーミュラ(eHF)又はアミノ酸ベースフォーミュラ(AAF)である。
いくつかの実施形態では、本発明の栄養組成物は、
(a)100kcal当たり1.8~3.2gのタンパク質、
(b)100kcal当たり9~14gの炭水化物、及び/又は
(c)100kcal当たり4.0~6.0gの脂肪
を含む。
いくつかの実施形態では、本発明の栄養組成物は、100kcal当たり約2.4g以下のタンパク質を含む。
いくつかの実施形態では、本発明の栄養組成物は、100kcal当たり1.8~2.4gのタンパク質、100kcal当たり2.1~2.3gのタンパク質、又は100kcal当たり2.15~2.25gのタンパク質を含む。
いくつかの実施形態では、栄養組成物は、100kcal当たり約2.2gのタンパク質を含む。
いくつかの実施形態では、本発明の栄養組成物中の脂肪の約30重量%以下は、中鎖トリグリセリド(MCT)である。
いくつかの実施形態では、栄養組成物はサプリメントである。一実施形態では、サプリメント中に存在する2FL、3FL、3SL、及びLNnTの総量は、サプリメントの単位用量当たり0.2g~2g、好ましくは単位用量当たり約0.4g~1.5g、好ましくは単位用量当たり0.5g~1gの量であり得る。一実施形態では、サプリメント中に存在する2FL、3FL、3SL、LNnT、6SL及びLNTの総量は、サプリメントの単位用量当たり0.2g~2g、好ましくは単位用量当たり約0.4g~1.5g、好ましくは単位用量当たり0.5g~1gの量であり得る。
別の態様では、アレルゲン、好ましくは食物アレルゲンに対する耐性を誘導することにおける使用のための、本明細書で定義される栄養組成物が提供される。一実施形態では、アレルゲンは牛乳タンパク質である。
一態様では、本発明は、アレルゲン、好ましくは食物アレルゲンに対して対象の耐性を誘導する方法を提供する。一実施形態では、アレルゲンは牛乳タンパク質であり、本明細書で定義される栄養組成物を対象に投与することを含む。好ましくは、対象は乳児又は小児である。
別の態様では、アレルギー、好ましくは食物アレルゲンに対するアレルギーのアウトグロースを加速させることにおける使用のための、本明細書で定義される栄養組成物が提供される。一実施形態では、アレルギーは、牛乳アレルギーである。
一態様では、本発明は、本明細書で定義される栄養組成物を対象に投与することを含む、対象においてアレルギーのアウトグロースを加速させる方法を提供する。好ましくは、対象は乳児又は小児である。
別の態様では、インターロイキンIL-10介在性疾患を治療することにおける使用のための、本明細書で定義される栄養組成物が提供される。
一態様では、本発明は、対象においてインターロイキンIL-10介在性疾患を治療する、予防する、又はそのリスクを低減する方法であって、本明細書で定義される栄養組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。好ましくは、対象は乳児又は小児である。
一態様では、本発明は、対象においてインターロイキンIL-10の発現を増加させる方法であって、本明細書で定義される栄養組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。好ましくは、対象は乳児又は小児である。
HMOは、末梢血単核細胞におけるIL-10発現レベルを誘導した。PBMCはTH2表現型に偏っていた。異なるHMO混合物を試験した。HMO混合物インキュベート後の上清中のIL-10レベルを定量した。 本発明によるHMOの混合物による免疫寛容原性マーカーの誘導。単球を新鮮なPBMCから単離し、HMO混合物2、HMO混合物4、HMO混合物6、並びにラクトース及び母乳(BM)由来のHMOの存在下でDCに分化させた。LPSを、DCマーカー(CD80、CD86、CD40、HLADR、PD-L1、OX40L)の発現の陽性対照として使用した。LPSと比較して中程度の発現は、免疫寛容原性DCのマーカーとみなされる。 本発明によるHMOの混合物による免疫寛容原性マーカーの誘導。単球を新鮮なPBMCから単離し、等モル比又は母乳比(BM比)に近い比の4種類及び6種類のHMOからなる混合物の存在下でDCに分化させた。LPSを、DCマーカー(CD80、CD86、CD40、HLADR、PD-L1、OX40L)の発現の陽性対照として使用し、LPSと比較して中程度の発現を、免疫寛容原性DCのマーカーとした。
[発明を実施するための形態]
次に、本発明の様々な好ましい特徴及び実施形態を、非限定的な実施例により記載する。
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用する場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別段の指示がない限り、複数の指示対象を含むことについて留意する必要がある。
本明細書で使用する場合、用語「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、及び「を含む(comprised of)」は、「含む(including)」又は「含む(includes)」又は「含有する(containing)」又は「含有する(contains)」と同義であり、他を包含し得るもの、すなわちオープンエンドであり、かつ追加の、列挙されていない構成、要素、又は工程を除外しない。「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、及び「含む(comprised of)」という用語はまた、「からなる(consisting of)」及び「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語を含む。
本明細書で使用される「から本質的になる」という用語は、任意の追加の列挙されていない部材、要素、又はステップが、特許請求される装置、組成物、方法などの特徴に実質的に影響を及ぼさないことを意味する。適切には、列挙されたHMO「から本質的になる」HMOを含む組成物は、組成物の特性に実質的に影響を及ぼさない非掲載の微量のHMO(例えば、全HMOの1重量%未満、0.5重量%未満、又は0.1重量%未満)を含み得る。
本明細書で使用するとき、用語「約」は、およそ、ほぼ、概ね、又はその付近、を意味する。用語「約」が数値又は範囲と共に使用される場合、その値又は範囲は、記載された数値(複数可)の上方及び下方の境界を拡大することによって、その値又は範囲を修正する。一般に、用語「約」及び「ほぼ」は、本明細書では、規定された値(複数可)を10%超える及び下回る数値(複数可)を調整するために使用される。
本明細書で論じられる刊行物は、単に本出願の出願日より前にそれらが開示されていたがために提供されている。本明細書において引用されるいかなる文献も、これらの刊行物が本明細書に添付の特許請求の範囲に対する先行技術を構成するものであると認めるものとして解釈されるべきではない。
本開示は、本明細書に開示される例示的な方法及び材料によって限定されず、本明細書に記載されるものと類似又は同等の任意の方法及び材料を、本開示の実施形態の実施又は試験に使用することができる。数値範囲は、その範囲を画定する数を含む。
栄養組成物
表現「栄養組成物」は、対象に栄養を与える組成物を意味する。
この栄養組成物は、通常、経口で摂取され、通常、脂質源又は脂肪源及びタンパク質源を含む。
特定の実施形態では、栄養組成物は、合成栄養組成物である。「合成栄養組成物」という表現は、化学的及び/又は生物学的手段によって得られる混合物を意味し、これは、哺乳動物の乳汁において天然に存在する混合物と化学的に同一とすることができる(すなわち、合成栄養組成物は母乳ではない)。
好ましい実施形態では、栄養組成物は、乳児又は幼児のためのものである。乳児は、例えば、0~1歳又は0~6ヶ月齢であり得る。小児は、例えば、1~3歳であり得る。特に好ましい実施形態では、栄養組成物は、乳児用フォーミュラ又は幼児用フォーミュラである。
「乳児用フォーミュラ」という用語は、生後1年の間の乳児の特定栄養用途食品であって、当該フォーミュラ単独で、このカテゴリーに該当するヒトの栄養要件(2015年9月25日の欧州委員会規則(EU)2016/127に定義される)を満たす、食品を指し得る。
「乳児用フォーミュラ」という表現は、「スターター乳児用フォーミュラ」及び「フォローアップフォーミュラ」又は「フォローオンフォーミュラ」の両方を包含する。
「フォローアップフォーミュラ」又は「フォローオンフォーミュラ」は、6か月目以降に与えられる。
本発明の乳児用フォーミュラは、低アレルギー性乳児用フォーミュラであり得る。本発明の乳児用フォーミュラは、高度加水分解乳児用フォーミュラ(eHF)又はアミノ酸ベース乳児用フォーミュラ(AAF)であり得る。あるいは、乳児用フォーミュラは、部分加水分解乳児用フォーミュラ(pHF)であり得る。
「高度加水分解フォーミュラ」又は「eHF」という用語は、高度加水分解タンパク質(extensively hydrolysed protein)を含むフォーミュラを指し得る。eHFは、未処理の牛乳タンパク質(Cow’s milk protein、CMP)を消化することができない、又はCMPに対して不耐性若しくはアレルギーを有する乳児に対して完全栄養を提供する、低アレルギー性乳児用フォーミュラであり得る。
「アミノ酸ベースフォーミュラ」又は「AAF」という用語は、タンパク質の供給源として遊離アミノ酸のみを含むフォーミュラを指し得る。AAFは、検出可能なペプチドを含有しない場合がある。AAFは、食物タンパク質アレルギー及び/又は食物タンパク質不耐性を有する乳児に対して完全栄養を提供する低アレルギー性乳児用フォーミュラであり得る。例えば、AAFは、未処理のCMPを消化することができない、又はCMPに対して不耐性若しくはアレルギーを有する、また複数の食品に対して極めて重篤な若しくは生命を脅かす症状及び/若しくは感作を有し得る乳児に対して完全栄養を提供する低アレルギー性乳児用フォーミュラであり得る。
「低アレルギー性」組成物は、アレルギー反応を引き起こす可能性が低い組成物である。低アレルギー性乳児用フォーミュラは、CMPアレルギーを有する乳児の90%超によって許容され得る。これは、米国小児科学会が提供するガイダンスに沿ったものである(Committee on Nutrition,2000.Pediatrics,106(2),pp.346-349)。かかる乳児用フォーミュラは、CMP特異的IgE、例えばCMPAを有する対象のIgEによって認識されるペプチドを含有し得ない。
乳児には乳児用フォーミュラのみを与えることができる、又は乳児用フォーミュラを、ヒト母乳を補完するものとして使用できる。
「幼児用フォーミュラ」という用語は、1~3歳の幼児の栄養要求を部分的に満たすことが意図された食品を指し得る。「幼児用フォーミュラ」という表現は、「幼児用ミルク」、「グローイングアップミルク」、又は「幼児用フォーミュラ」を包含する。ESPGHAN Committee on Nutritionは、最近、幼児用フォーミュラをレビューしている(Hojsak,I.,et al.,2018.Journal of pediatric gastroenterology and nutrition,66(1),pp.177-185)。適切には、幼児用フォーミュラは、Hojsak,I.,et al.,2018.Journal of pediatric gastroenterology and nutrition,66(1),pp.177-185及び/又はSuthutvoravut,U.,et al.,2015.Annals of Nutrition and Metabolism,67(2),pp.119-132において提案された組成要件を満たし得る。
本発明の幼児用フォーミュラは、低アレルギー性の幼児用フォーミュラであり得る。本発明の幼児用フォーミュラは、高度加水分解幼児用フォーミュラ又はアミノ酸ベース幼児用フォーミュラであり得る。あるいは、幼児用フォーミュラは、部分加水分解幼児用フォーミュラ(pHF)であり得る。
本発明の乳児用フォーミュラ又は幼児用フォーミュラは、粉末又は液体の形態であり得る。
液体は、例えば、濃縮液体フォーミュラ又はレディ・トゥ・フィードフォーミュラであり得る。フォーミュラは、再構成された乳児用又は幼児用フォーミュラ(すなわち、粉末形態から再構成された液体フォーミュラ)の形態であり得る。濃縮液体乳児用又は幼児用フォーミュラは、好ましくは、例えば水を加えることによって、乳児又は小児に与えるのに好適な液体組成物に希釈することができる。
いくつかの実施形態では、乳児用又は幼児用フォーミュラは粉末形態である。粉末は、例えば水を加えることによって、乳児又は小児に与えるのに好適な液体組成物に再構成することができる。
栄養組成物は、指示通りに配合した場合、100mL当たり約60~72kcalのエネルギー密度を有し得る。好適には、栄養組成物は、指示通りに配合した場合、100mL当たり約60~70kcalのエネルギー密度を有し得る。
本発明による栄養組成物は、例えば、乳児用フォーミュラ、スターター乳児用フォーミュラ、フォローオン若しくはフォローアップフォーミュラ、ヒト乳強化剤などの強化剤、又はサプリメントであり得る。いくつかの特定の実施形態では、本発明の組成物は、乳児用フォーミュラ、幼児用フォーミュラ、又はサプリメントである。一つの好ましい実施形態では、本発明の栄養組成物は、乳児用フォーミュラである。
本発明の文脈において、「強化剤」という用語は、乳児に対して栄養上の利益を有する1つ以上の栄養素を含む組成物を指す。「乳強化剤」という用語は、ヒト母乳、乳児用フォーミュラ、グローイングアップミルク、又は他の栄養素で強化されたヒト母乳のいずれかを強化又は補充するために使用される任意の組成物を意味する。したがって、本発明のヒト乳強化剤は、ヒト母乳、乳児用フォーミュラ、グローイングアップミルク、又は他の栄養素で強化されたヒト母乳に溶解させた後に投与することができ、あるいは独立した組成物として投与することができる。
独立した組成物として投与される場合、本発明のヒト乳強化剤は、「サプリメント」であると特定することもできる。一実施形態では、本発明の乳強化剤はサプリメントである。いくつかの実施形態では、本発明の栄養組成物は強化剤である。強化剤は、母乳強化剤(例えば、ヒト母乳強化剤)又は乳児用フォーミュラ強化剤若しくはフォローオン/フォローアップフォーミュラ強化剤などの、フォーミュラ強化剤とすることができる。
栄養組成物がサプリメントである場合、単位用量の形態で提供することができる。サプリメントは、例えば、タブレット、カプセル、トローチ、又は液体の形態であり得る。ダイエタリーサプリメントは、保護親水コロイド(ガム、タンパク質、加工デンプンなど)、結合剤、皮膜形成剤、カプセル化剤/材料、壁/シェル材料、マトリックス化合物、コーティング、乳化剤、表面活性剤、可溶化剤(油、脂肪、ワックス、レシチンなど)、吸着剤、担体、充填剤、共化合物、分散剤、湿潤剤、加工助剤(溶媒)、流動剤、味覚マスキング剤、増量剤、ゼリー化剤、及びゲル形成剤を更に含有してもよい。かかるサプリメントはまた、従来の医薬添加剤及び補助剤、添加物、及び希釈剤を含有してもよく、これには、水、任意の由来のゼラチン、植物ガム、リグニンスルホネート、タルク、糖、デンプン、アラビアガム、植物油、ポリアルキレングリコール、風味剤、防腐剤、安定剤、乳化剤、緩衝液、潤滑剤、着色剤、湿潤剤、充填剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
更に、サプリメントには、経口又は非経口投与に好適な有機又は無機担体材料に加え、USRDAなどの政府機関の推奨に従い、ビタミン類、ミネラル類、微量元素及びその他の微量栄養素を含有させることもできる。
本発明の栄養組成物は、固体(例えば、粉末)、液体、又はゼラチン状の形態とすることができる。
ヒト乳オリゴ糖
本発明の栄養組成物は、ヒト乳オリゴ糖(HMO)を含有する。
ヒト母乳には多くの種類のHMOが見出される。各個々のオリゴ糖は、グルコース、ガラクトース、シアル酸(N-アセチルノイラミン酸)、フコース、及び/又はN-アセチルグルコサミンの組み合わせをベースに、それらの間に多種多様な結合を有するため、ヒト母乳中には非常に多様なオリゴ糖が含まれることになる。ほとんど全てのHMOは、還元末端にラクトース部分を有し、非還元末端の末端位置は、シアル酸及び/又はフコース(存在する場合)が占める。HMOは、酸性(例えば、荷電シアル酸含有オリゴ糖)又は中性(例えば、フコシル化オリゴ糖)であり得る。
いくつかの実施形態では、栄養組成物中のHMOは、2’-フコシルラクトース(2FL)、3’-フコシルラクトース(3FL)、3’-シアリルラクトース(3SL)及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含むか、本質的にそれらからなるか、又は好ましくはそれらからなる。したがって、栄養組成物は、2FL、3FL、3SL及びLNnT以外の他のタイプのHMOを含まなくてもよい。
別の実施形態では、栄養組成物中のHMOは、2’-フコシルラクトース(2FL)、3’-フコシルラクトース(3FL)、3’-シアリルラクトース(3SL)、ラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)、6’-シアリルラクトース(6SL)及びラクト-N-テトラオース(LNT)を含むか、本質的にそれらからなるか、又は好ましくはそれらからなる。したがって、栄養組成物は、2FL、3FL、3SL、LNnT、6SL及びLNT以外の他のタイプのHMOを含まなくてもよい。
HMOは、任意の適切な方法によって得られ得る。HMOを合成するための適切な方法は、当業者に周知である。例えば、微生物発酵、酵素プロセス、化学合成、又はこれらの技術の組み合わせによってHMOを産生するためのプロセスが開発されている(Zeuner et al.,2019.Molecules,24(11),p.2033)。
2FLは、酵素ベースの発酵技術(組換え酵素又は天然酵素)又は微生物発酵技術のいずれかを用いた、特定のフコシルトランスフェラーゼ及び/又はフコシダーゼを使用するバイオテクノロジー手段によって生成され得る。後者の場合、微生物が、それらの天然酵素及び基質を発現し得る、又はそれぞれの基質及び酵素を生成するように操作され得る。あるいは、2FLは、ラクトース及び遊離フコースからの化学合成によって生成され得る。
3FLは、酵素的、生物工学的及び/又は化学的プロセスによって合成され得る。3FLは、遺伝子改変された微生物を用いた発酵によって製造され得る。あるいは、3FLは、国際公開第2013/139344号パンフレットに記載されているように製造され得る。
3SLは、酵素的、生物工学的及び/又は化学的プロセスによって合成され得る。3SLは、国際公開第2014/153253号に記載されているように製造され得る。
LNnTは、例えば米国特許第5,288,637号及び国際公開第1996/010086号に記載されているように、グリコシルトランスフェラーゼを使用して、ドナー部分からアクセプター部分への糖単位の酵素的な転移によって化学的に合成され得る。あるいは、LNnTは、Wrodnigg,T.M.及びStutz,A.E.(1999)Angew.Chem.Int.Ed.38:827-828に記載されているように、遊離ケトヘキソース、又はオリゴ糖(例えば、ラクツロース)に結合したケトヘキソース(例えば、フルクトース)をN-アセチルヘキソサミン又はN-アセチルヘキソサミン含有オリゴ糖に化学変換することにより調製され得る。このようにして生成されたN-アセチル-ラクトサミンは、次いでアクセプター部分としてラクトースに転移され得る。あるいは、LNnTは、国際公開第2011/100980号パンフレット又は国際公開第2013/044928号パンフレットに記載されているように製造され得る。
6SLは、グリコシルハライド、チオグリコシド又はジエチルホスファイトのドナー活性化を使用して、4’,6’-糖ジオール又は6’-糖アルコールのいずれかの立体選択的6’-0-シアリル化を含む化学的方法によって合成され得る。あるいは、6SLは、グリコシルトランスフェラーゼ及びシアリダーゼを使用して酵素により製造され得る。6SLは、国際公開第2011/100979号パンフレットに記載されているように製造され得る。
LNTは、酵素的、生物工学的及び/又は化学的プロセスによって合成され得る。LNTは、国際公開第2012/155916号パンフレット又は国際公開2013/044928号パンフレットに記載されているように製造され得る。LNT及びLNnTの混合物は、国際公開第2013/091660号パンフレットに記載されているように作製することができる。
いくつかの実施形態では、栄養組成物は、ヒト乳オリゴ糖(HMO) 2’-フコシルラクトース(2FL)、3’-フコシルラクトース(3FL)、3’-シアリルラクトース(3SL)、及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含む。いくつかの実施形態では、栄養組成物中のHMOは、2FL、3FL、3SL、及びLNnTからなるか、又は本質的になる。
いくつかの実施形態では、栄養組成物中のHMOは、以下:
i.約40重量%~約80重量%、好ましくは約55重量%~約75重量%、好ましくは約65重量%~約70重量%の2FL、
ii.約2重量%~約15重量%、好ましくは約4重量%~約12重量%、好ましくは約6重量%~約9重量%のLNnT、
iii.約5重量%~約30重量%、好ましくは約10重量%~約25重量%、好ましくは約15重量%~約20重量%の3FL、及び
iv.約2重量%~約15重量%、好ましくは約4重量%~約12重量%、好ましくは約7重量%~約9重量%の3SL、からなるか、又は本質的になる。
いくつかの実施形態では、栄養組成物中に存在する2FL、3FL、3SL、及びLNnTの総量は、1μg/mL~5000μg/mL、好ましくは10μg/mL~100μg/mLの濃度である。いくつかの実施形態では、栄養組成物中に存在する2FL、3FL、3SL、及びLNnTの総量は、1μg/kcal~10000μg/kcal、好ましくは10μg/kcal~200μg/kcalの濃度である。
いくつかの実施形態では、本発明は、ヒト乳オリゴ糖(HMO) 2’-フコシルラクトース(2FL)、3’-フコシルラクトース(3FL)、3’-シアリルラクトース(3SL)、ラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)、6’-シアリルラクトース(6SL)及びラクト-N-テトラオース(LNT)を含む栄養組成物を提供する。いくつかの実施形態では、栄養組成物中のHMOは、2FL、3FL、3SL、LNnT、6SL及びLNTからなるか、又は本質的になる。
いくつかの実施形態では、栄養組成物中のHMOは、以下:
i.約35重量%~約60重量%、好ましくは約40重量%~約50重量%、好ましくは約43重量%~約47重量%の2FL、
ii.約1重量%~約10重量%、好ましくは約3重量%~約7重量%、好ましくは約4重量%~約6重量%のLNnT、
iii.約10重量%~約30重量%、好ましくは約15重量%~約25重量%、好ましくは約18重量%~約22重量%のLNT、
iv.約3重量%~約20重量%、好ましくは約7重量%~約15重量%、好ましくは約10重量%~約13重量%の3FL、
v.約1重量%~約10重量%、好ましくは約4重量%~約8重量%、好ましくは約5重量%~約7重量%の3SL、及び
vi.約5重量%~約20重量%、好ましくは約7重量%~約15重量%、好ましくは約10重量%~約14重量%の6SL、からなるか、又は本質的になる。
いくつかの実施形態では、特に栄養組成物が乳児用フォーミュラ又は幼児用フォーミュラである場合、栄養組成物中に存在する2FL、3FL、3SL、及びLNnTの総量は、(指示どおりに配合された場合)10μg/mL~10000μg/mL、好ましくは50μg/mL~5000μg/mLの濃度である。
いくつかの実施形態において特に、栄養組成物が乳児用フォーミュラ又は幼児用フォーミュラである場合、栄養組成物中に存在する2FL、3FL、3SL、LNnT、6SL及びLNTの総量は、(指示どおりに配合された場合)10μg/mL~10000μg/mL、好ましくは50μg/mL~5000μg/mLの濃度である。
いくつかの実施形態では、栄養組成物がサプリメントの形態である場合、サプリメント中に存在する2FL、3FL、3SL及びLNnT又は2FL、3FL、3SL、LNnT、6SL及びLNTの総量は、サプリメントの単位用量当たり0.2g~2g、好ましくは単位用量当たり約0.4g~1.5g、好ましくは単位用量当たり0.5g~1gの量であり得る。一実施形態では、栄養組成物がサプリメントの形態である場合、サプリメント中に存在する2FL、3FL、3SL及びLNnTの総量、又は2FL、3FL、3SL、LNnT、6SL及びLNTの総量は、サプリメントの単位用量当たり0.7g~0.8gの量であり得る。
本発明の特定の実施形態では、栄養組成物は、2’-フコシルラクトース(2FL)及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を、2FL:LNnT重量比で1:10~12:1、例えば、1:7~10:1、又は1:5~5:1、又は2:1~5:1、又は1:3~3:1、又は1:2~2:1、又は1:1~3:1、又は1:5~1:0.5、例えば、2:1又は10:1で含む。本発明の特定の実施形態では、栄養組成物は、2’-フコシルラクトース(2FL)及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を、2FL:LNnT重量比で約2:1で含む。
タンパク質
「タンパク質」という用語は、ペプチド及び遊離アミノ酸を含む。栄養組成物のタンパク質含有量は、当業者に既知の任意の方法によって計算され得る。好適には、タンパク質含有量は、窒素タンパク質換算法によって算出され得る。例えば、Maubois,J.L.and Lorient,D.(2016)Dairy Science&Technology 96(1):15-25に記載の通りである。好ましくは、タンパク質含有量は、2015年9月25日の欧州委員会規則(EU)2016/127に定義されるように、窒素含有量×6.25として計算される。窒素含有量は、当業者に既知の任意の方法によって特定され得る。例えば、窒素含有量は、ケルダール法によって測定され得る。
本発明の栄養組成物、特に本発明の乳児用フォーミュラのタンパク質含量は、好ましくは100kcal当たり1.6~3.2gタンパク質の範囲である。いくつかの実施形態では、栄養組成物のタンパク質含有量は、100kcal当たり1.8~2.8gの範囲のタンパク質である。
eHFは、典型的には、100kcal当たり2.6~2.8gのタンパク質を含有し、AAFは、典型的には、100kcal当たり2.8~3.1gのタンパク質を含有するものであり、例えば、重度の吸収不良を含む胃腸病変のある乳児、又は高い代謝率を補うためにタンパク質及びカロリーをより多く必要とする乳児のニーズに対応する。
より低いタンパク質含有量を有するeHF又はAAFなどの乳児用フォーミュラは、アレルギー乳児の適切な発育及び発達をサポートすると共に、安全性及び耐容性があり得る。
したがって、いくつかの実施形態では、本発明の栄養組成物、特に本発明の乳児用フォーミュラは、100kcal当たり約2.4g以下のタンパク質を含み得る。例えば、栄養組成物は、100kcal当たり約2.3g以下のタンパク質、100kcal当たり2.25g以下のタンパク質、又は100kcal当たり2.2g以下のタンパク質を含み得る。
好適には、本発明の栄養組成物、特に本発明の乳児用フォーミュラは、100kcal当たり約1.8g以上のタンパク質を含む。例えば、栄養組成物は、100kcal当たり約1.86g以上のタンパク質、100kcal当たり1.9g以上のタンパク質、100kcal当たり2.0g以上のタンパク質、又は100kcal当たり2.1g以上のタンパク質を含み得る。いくつかの実施形態では、栄養組成物は、乳児用フォーミュラのための現行のEU規則(EFSA NDA Panel(2014)EFSA journal 12(7):3760)に準拠して、100kcal当たり約1.86g以上のタンパク質を含む。
いくつかの実施形態では、本発明の栄養組成物、具体的には本発明の乳児用フォーミュラは、100kcal当たり1.8~2.4gのタンパク質、100kcal当たり1.86~2.4gのタンパク質、100kcal当たり1.9~2.4gのタンパク質、100kcal当たり2.0~2.4gのタンパク質、100kcal当たり2.0~2.3gのタンパク質、100kcal当たり2.1~2.3gのタンパク質、又は100kcal当たり2.15~2.25gのタンパク質を含み得る。
タンパク質の供給源
タンパク質の供給源は、栄養組成物における使用に好適な任意の供給源であり得る。
好適には、タンパク質は牛乳タンパク質である。いくつかの実施形態では、栄養組成物は、牛乳タンパク質を含まない。
いくつかの実施形態では、栄養組成物は、乳タンパク質を含まない。したがって、いくつかの実施形態では、総タンパク質の100重量%は非乳タンパク質である。
高度加水分解/加水分解されたホエイベースのフォーミュラは、高度加水分解/加水分解されたカゼインベースのフォーミュラよりも嗜好性が高い場合があり、及び/又は対象はカゼインタンパク質にのみ感作される場合がある。したがって、好適には、タンパク質の約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、又は約100%がホエイタンパク質である。好ましくは、タンパク質の供給源はホエイタンパク質である。
ホエイタンパク質は、チーズの製造に由来するホエイであってよく、特に、レンネットによるカゼインの凝固により得られるものなどのスイートホエイ、酸によるカゼインの凝固又は発酵物の酸性化により得られる酸性ホエイ、あるいは更には酸による及びレンネットによる凝固により得られる混合ホエイであってよい。この原料は、イオン交換により、及び/又は電気透析により脱塩された、脱塩乳清タンパク質(DWP)として知られる乳清であり得る。
ホエイタンパク質の供給源は、カゼイノ-グリコマクロペプチド(CGMP)が完全に又は部分的に除去されたスイートホエイであり得る。このホエイは、変性スイートホエイ(MSW)と呼ばれる。スイートホエイからCGMPを除去すると、スレオニン及びトリプトファン含有量がヒト母乳により近いタンパク質材料が得られる。スイートホエイからのCGMPの除去プロセスは、欧州特許第880902号に記載されている。
ホエイタンパク質はDWP及びMSWの混合物であってよい。
いくつかの実施形態では、栄養組成物中のカゼインの量は検出不可能であり、例えば、0.2mg/kg未満である。カゼインの量は、当業者に既知の任意の方法によって特定され得る。
加水分解度
加水分解タンパク質は、加水分解反応が実施される程度により、「部分的に加水分解された」又は「高度に加水分解された」として評価され得る。現在、WAO(国際アレルギー学会)による牛乳タンパク質アレルギー(CMA)についてのガイドラインに準拠する、高度加水分解生成物は、法律上/臨床上の定義合意には至っていないものの、かかる加水分解フォーミュラは、CMAに罹患している小児のためのタンパク質源として有用であることが証明されており、広く使用されていることが認められる。本発明において、部分加水分解タンパク質は、タンパク質/ペプチド集団の60~70%が1000ダルトン未満の分子量を有するタンパク質であり、一方、高度加水分解タンパク質は、タンパク質/ペプチド集団の少なくとも95%が1000ダルトン未満の分子量を有するタンパク質である。現在、工業界ではこれらの定義が使用されている。部分加水分解タンパク質は、通常、低アレルギー性(HA)であると考えられ、一方、広度加水分解タンパク質は、通常、非アレルギー性であると考えられている。
本発明の加水分解されたタンパク質は、NPN/TN%により特徴づけられる加水分解度を有し得る。全窒素に対する非タンパク質窒素は、酵素加水分解によって生成される可溶性ペプチドの尺度として広く使用されている。NPN/TN%は、非タンパク質窒素を全窒素で除したものに100を乗じたものを意味する。NPN/TN%は、Adler-Nissen J-,1979,J.Agric.Food Chem.,27(6),1256~1262に記載のとおりに測定され得る。概して、高度加水分解タンパク質は、95%超のNPN/TN%を有するものとして特徴づけられる一方、部分加水分解タンパク質は、75%~85%の範囲のNPN/TN%を有するものとして特徴づけられる。部分加水分解タンパク質はまた、それらのタンパク質/ペプチド集団のうちの少なくとも60~70%が1000ダルトン未満の分子量を有することを特徴とし得る。
好適な実施形態では、タンパク質は、90%超、95%超、又は98%超のNPN/TN%を有し得る。「高度」加水分解タンパク質が所望される好ましい実施形態では、本発明の加水分解タンパク質は、95%を超える範囲のNPN/TN%を有する。好適には、タンパク質は、90%超、95%超、又は98%超のNPN/TN%を有し得る。これらの高度加水分解タンパク質はまた、それらのタンパク質/ペプチド集団のうちの少なくとも95%が1000ダルトン未満の分子量を有することを特徴とし得る。
加水分解の程度はまた、加水分解度によって特定され得る。「加水分解度」(DH)は、タンパク質加水分解物中の切断されたペプチド結合の割合として定義され、当業者に既知の任意の方法によって特定され得る。好適には、加水分解度は、pHスタット、トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)、o-フタルジアルデヒド(OPA)、トリクロロ酢酸可溶性窒素(SN-TCA)、又はホルモール滴定法によって特定される。(Rutherfurd,S.M.(2010)Journal of AOAC International 93(5):1515-1522)。タンパク質の加水分解度(DH)は、例えば、90超、95超、又は98超であり得る。
加水分解の程度はまた、ペプチド分子量分布によって特定され得る。ペプチド分子量分布は、高性能サイズ排除クロマトグラフィーによって、任意にUV検出器を用いて(HPSEC/UV)特定され得る(Johns,P.W.et al.(2011)Food chemistry 125(3):1041-1050)。例えば、ペプチド分子量分布は、205nm、214nm、又は220nmで特定されたHPSECピーク面積ベースの推定値であり得る。好適には、ペプチド分子量分布がHPSEC/UVによって特定される場合、ある特定の分子量を有する「ペプチドの重量パーセント」は、205nm、214nm、又は220nmで特定された、その分子量を有する「総ピーク面積の百分率としてのピーク面積の分率」によって推定され得る。好適には、加水分解の程度は、国際公開第2016/156077号に記載されている方法によって特定され得る。あるいは、ペプチド分子量分布は、当業者に既知の任意の方法、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって特定され得る(Chauveau,A.et al.(2016)Pediatric Allergy and Immunology 27(5):541-543)。
理論的には、細胞膜結合型IgEと結合するためには、ペプチドは約1500Da(約15アミノ酸)を超えるサイズである必要があり、IgE分子を架橋して免疫反応を誘導するためには、約3000Da(約30アミノ酸)を超えるサイズである必要がある(Nutten(2018)EMJ Allergy Immunol 3(1):50-59)。
したがって、好適には、eHF中のペプチドの少なくとも約95重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、又は約100重量%は、約3000Da未満の分子量を有する。例えば、eHF中には約3000Da以上のサイズの検出可能なペプチドは存在し得ない。
したがって、好適には、eHF中のペプチドの少なくとも約95重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、又は約100重量%は、約1500Da未満の分子量を有する。好ましくは、ペプチドの少なくとも99重量%は、約1500Da未満の分子量を有する。例えば、eHF中には約1500Da以上のサイズの検出可能なペプチドは存在し得ない。
好ましくは、eHF中のペプチドの少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約98重量%、又は少なくとも約99重量%は、約1200Da未満の分子量を有する。より好ましくは、eHF中のペプチドの少なくとも95重量%又は98重量%は、約1200Da未満の分子量を有する。
好適には、eHF中のペプチドの少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、又は少なくとも約95重量%は、約1000Da未満の分子量を有する。好ましくは、eHF中のペプチドの少なくとも約95重量%は、約1000Da未満の分子量を有する。
好ましくは、eHFは、約3000Da以上のサイズの検出可能なペプチドを有しておらず、ペプチドの少なくとも約95重量%は、約1200Da未満の分子量を有する。
ジペプチド及びトリペプチドの割合が高いと、腸機能障害のある患者でも窒素(タンパク質)吸収が改善され得る。PEPT1は、低分子ペプチド(例えば、ジペプチド及びトリペプチド)の吸収を促進する専用の輸送経路である。生後数週間においては、腸のPEPT1は栄養摂取に重要であり、その後は離乳後の食移行に重要である。
したがって、eHF中のペプチドの少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、又は少なくとも約50重量%は、ジペプチド及びトリペプチドであり得る。好ましくは、eHF中のペプチドの少なくとも約45重量%、少なくとも約50重量%、45~55重量%、又は50~54重量%は、ジペプチド及びトリペプチドである。より好ましくは、eHF中のペプチドの約51~53重量%、又はより好ましくは約52重量%は、ジペプチド及びトリペプチドである。
好適には、eHF中のペプチドの少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、又は少なくとも約50重量%は、240~600Daの分子量を有する。好ましくは、eHF中のペプチドの少なくとも約45重量%、少なくとも約50重量%、45~55重量%、又は50~54重量%は、240~600Daの分子量を有する。より好ましくは、eHF中のペプチドの約51~53重量%、又は最も好ましくは、約52重量%は、240~600Daの分子量を有する。
eHF中のペプチドは、例えば、300Da~370Da、好ましくは320Da~360Daの分子量中央値を有し得る。
主要な牛乳アレルゲンとしては、α-ラクトアルブミン(aLA)、β-ラクトグロブリン(bLG)、及びウシ血清アルブミン(BSA)が認識されている。
したがって、好適には、eHFは、検出不可能なaLA含有量、例えば、約0.010mg/kg以下のaLAを有し得、eHFは、検出不可能なbLG含有量、例えば、約0.010mg/kg以下のbLGを有し得、及び/又はeHFは、検出不可能なBSA含有量、例えば、約0.010mg/kg以下のBSAを有し得る。好ましくは、eHFは、検出可能な量のaLA、bLG、及びBSAを含まない。aLA、bLG、及びBSAの含有量は、当業者に既知の任意の方法、例えばELISAによって特定され得る。
加水分解方法
栄養組成物、好ましくは本発明の乳児用フォーミュラに使用するためのタンパク質は、当該技術分野において既知の任意の好適な方法によって加水分解され得る。例えば、タンパク質は、例えばプロテアーゼを使用して、酵素加水分解され得る。例えば、タンパク質は、アルカラーゼを使用して加水分解され得る(例えば、約1~15重量%の酵素:基質比で、約1~10時間の持続時間)。温度は、約40℃~60℃の範囲、例えば、約55℃であり得る。反応時間は、例えば、1~10時間であり得、加水分解を開始する前のpH値は、例えば、6~9、好ましくは6.5~8.5、より好ましくは7.0~8.0の範囲内にあり得る。
加水分解プロセスには、ブタ酵素、特にブタ膵臓酵素が使用され得る。例えば、国際公開第1993004593(A1)号は、トリプシン及びキモトリプシンを使用した加水分解プロセスについて開示している。このプロセスには2ステップの加水分解反応が含まれており、2ステップの間には、最終的な加水分解物を、未処理のアレルゲン性タンパク質を実質的に含まないものにすることを担保すべく、熱変性ステップが含まれている。これらの方法に使用されるトリプシン及びキモトリプシンは、ブタ膵臓抽出物により製造される調製物である。
国際公開第2016156077(A1)号は、乳ベースのタンパク性材料を、微生物由来アルカリセリンプロテアーゼと、ブロメライン、アスペルギルス属(Aspergillus)由来のプロテアーゼ、及びバシラス属(Bacillus)由来のプロテアーゼとの組み合わせにより加水分解することを含む、乳タンパク質加水分解物の調製プロセスについて開示している。
遊離アミノ酸
本発明の栄養組成物は、遊離アミノ酸を含み得る。
遊離アミノ酸の濃度は、乳児栄養に十分なアミノ酸プロファイル、特に栄養規則(例えば、欧州委員会指令2006/141/EC)を満たすアミノ酸プロファイルを提供するように選択され得る。
遊離アミノ酸は、ペプチドに含まれるアミノ酸を補充するために本発明のeHFに組み込まれ得る。
本発明の栄養組成物に使用するための遊離アミノ酸の例としては、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、チロシン、スレオニン、トリプトファン、バリン、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、カルニチン、タウリン、及びそれらの混合物が挙げられる。
遊離アミノ酸は、タンパク質と同等の供給源を提供する(すなわち、窒素含有量に寄与する)。上記のように、ジペプチド及びトリペプチドの割合が高いと、腸機能障害のある患者でも、窒素(タンパク質)吸収が改善され得る。したがって、遊離アミノ酸の割合が低いと、腸機能障害のある患者でも、窒素(タンパク質)吸収が改善され得る。
したがって、好適には、eHF中の遊離アミノ酸は、アミノ酸の総重量に基づいて、50重量%以下、40重量%以下、30重量%以下、又は25重量%以下の濃度で存在し得る。好ましくは、eHFは、アミノ酸の総重量に基づいて、25重量%以下の遊離アミノ酸を含む。より好ましくは、eHF中の遊離アミノ酸は、アミノ酸の総重量に基づいて、20~25重量%、21~23重量%、又は約22重量%の濃度で存在する。
遊離アミノ酸含有量は、当業者に既知の任意の方法によって特定され得る。好適には、遊離アミノ酸含有量は、イオン交換クロマトグラフィーによる水性サンプル抽出物中に存在する遊離アミノ基の分離及びニンヒドリン試薬によるポストカラム誘導体化後の光検出によって得られ得る。総アミノ酸含有量は、窒素下、6mol/LのHCl中での試験部分の加水分解によって、及び上記のようにイオン交換クロマトグラフィーによる個々のアミノ酸の分離によって得られ得る。
炭水化物
炭水化物は、栄養組成物における使用に好適な任意の炭水化物であり得る。
本発明の栄養組成物、特に本発明の乳児用フォーミュラの炭水化物含量は、好ましくは100kcal当たり9~14g炭水化物の範囲である。
栄養組成物に使用するための炭水化物の例としては、ラクトース、サッカロース、マルトデキストリン、及びデンプンが挙げられる。炭水化物の混合物を使用してもよい。
いくつかの実施形態では、炭水化物含有量は、マルトデキストリンを含む。いくつかの実施形態では、総炭水化物含有量の少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、又は少なくとも約70重量%は、マルトデキストリンである。
いくつかの実施形態では、炭水化物含有量は、ラクトースを含む。いくつかの実施形態では、総炭水化物含有量の少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、又は少なくとも約70重量%は、ラクトースである。
いくつかの実施形態では、炭水化物は、ラクトース及びマルトデキストリンを含む。
脂肪
本発明の栄養組成物、特に本発明の乳児用フォーミュラの脂肪含量は、好ましくは100kcal当たり4.0~6.0g脂肪の範囲である。
本発明の栄養組成物に使用するための脂肪の例としては、ヒマワリ油、低エルカ酸菜種油、ベニバナ油、キャノーラ油、オリーブ油、ココナッツ油、パーム核油、大豆油、魚油、パームオレイン油(palm oleic)、高オレイン酸ヒマワリ油及び高オレイン酸ベニバナ油、並びに長鎖多価不飽和脂肪酸を含有する微生物発酵油(microbial fermentation oil)が挙げられる。
脂肪はまた、パームオレイン、中鎖トリグリセリド(MCT)、及び脂肪酸(例えば、アラキドン酸、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ドコサヘキサエン酸、リノレン酸、オレイン酸、ラウリン酸、カプリン酸、カプリル酸、カプロン酸など)のエステルなどのこれらの油に由来する画分の形態であり得る。
更なる脂肪の例としては、構造化脂質(すなわち、構造を変化させるための化学的又は酵素的な修飾を受けた脂質)が挙げられる。好ましくは、構造化脂質は、sn2構造化脂質であり、例えば、トリグリセリドのsn2位にパルミチン酸を有する割合が高められているトリグリセリドが含まれる。構造化脂質は、添加してもよく、又は含めなくてもよい。
あらかじめ形成されたアラキドン酸(ARA)及び/又はドコサヘキサエン酸(DHA)を多量に含有する魚油又は微生物油などの油を添加してもよい。
ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸(ARA)、エイコサペンタエン酸、及びドコサヘキサエン酸(DHA)などの長鎖多価不飽和脂肪酸を添加してもよい。
中鎖トリグリセリド(MCT)
高濃度のMCTは、早期の体重増加を損なう可能性がある。MCTは蓄積されず、脂肪の蓄積をサポートしない。例えば、Borschelらは、MCTを含まないフォーミュラを与えられた乳児は、MCT由来の脂肪を50%含有するフォーミュラを与えられた乳児よりも、1~56日の間に有意により多い体重の増加を示したと報告している(Borschel,M.et al.(2018)Nutrients 10(3):289)。
したがって、本発明の栄養組成物において、脂肪の約30重量%以下は、例えば、中鎖トリグリセリド(MCT)であり得る。
いくつかの実施形態では、中鎖トリグリセリド(MCT)は、脂肪の約25重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、0.5重量%以下、又は0.1重量%以下である。
いくつかの実施形態では、中鎖トリグリセリド(MCT)は、脂肪の0~30重量%、0~25重量%、0~20重量%、0~15重量%、0~10重量%、0~5重量%、0~4重量%、0~3重量%、0~2重量%、0~1重量%、0~0.5重量%、又は0~0.1重量%である。
いくつかの実施形態では、栄養組成物は、添加されたMCTを含まない。好適には、脂肪の約0重量%がMCTであり、かつ/又は組成物は検出可能なMCTを含まない。好適には、栄養組成物は、MCTを含まない。
更なる成分
本発明の栄養組成物、特に乳児用フォーミュラ又は幼児用フォーミュラはまた、毎日の食生活において及び栄養上相当の量で必須であると理解されている全てのビタミン及びミネラルを含有し得る。特定のビタミン及びミネラルに関しては、最小必要量が確立されている。
本発明の栄養組成物、特に本発明の乳児用フォーミュラに使用するためのビタミン、ミネラル、及びその他の栄養素の例としては、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンC、ビタミンD、葉酸、イノシトール、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸、コリン、カルシウム、リン、ヨウ素、鉄、マグネシウム、銅、亜鉛、マンガン、塩素、カリウム、ナトリウム、セレン、クロム、モリブデン、タウリン、及びL-カルニチンが挙げられる。ミネラルは、通常、その塩形態で添加される。
栄養組成物は、1種以上のカロテノイドを含み得る。
本発明の栄養組成物はまた、少なくとも1種のプロバイオティクスを含み得る。「プロバイオティクス」という用語は、宿主の健康又はウェル・ビーイングに有益な効果を有する微生物細胞の調製物又は微生物細胞の成分を指す。具体的には、プロバイオティクスは、腸内バリア機能を改善することができる。
本発明の栄養組成物に使用するためのプロバイオティック微生物の例としては、サッカロミセス(Saccharomyces)、デバロミセス(Debaromyces)、カンジダ(Candida)、ピキア(Pichia)及びトルロプシス(Torulopsis)などの酵母、並びにビディドバクテリウム(Bifidobacterium)、バクテロイデス(Bacteroides)、クロストリジウム(Clostridium)、フゾバクテリウム(Fusobacterium)、メリソコッカス(Melissococcus)、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)、ストレプトコッカス(Streptococcus)属などの細菌が挙げられる。
好ましいプロバイオティクスは、全体として安全であり、L(+)乳酸産生培養物であり、24ヶ月まで安定かつ有効なままであることが必要とされる製品について許容可能な貯蔵寿命を有するものであり、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ペプトストレプトコッカス属(Peptostrepococcus)、バシラス属(Bacillus)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、マイクロコッカス属(Micrococcus)、ロイコノストック属(Leuconostoc)、ワイセラ属(Weissella)、アエロコッカス属(Aerococcus)、オエノコッカス属(Oenococcus)及びラクトバシラス属(Lactobacillus)が挙げられる。
好適なプロバイオティクス微生物の具体例は、サッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces cereviseae)、バシラス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バシラス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バシラス・ズブティリス(Bacillus subtilis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、ラクトバシラス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバシラス・アリメンタリウス(Lactobacillus alimentarius)、ラクトバシラス・カゼイ亜種カゼイ(Lactobacillus casei subsp.casei)、ラクトバシラス・カゼイ・シロタ(Lactobacillus casei Shirota)、ラクトバシラス・クルバトゥス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバシラス・デルブルキ亜種ラクティス(Lactobacillus delbruckii subsp.lactis)、ラクトバシラス・ファルシミナス(Lactobacillus farciminus)、ラクトバシラス・ガゼリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバシラス・ヘルベティクス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバシラス・ジョンソニ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバシラス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus) (ラクトバシラス(Lactobacillus) GG) 、ラクトバシラス・サケ(Lactobacillus sake)、ラクトバシラス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ミクロコッカス・バリアンス(Micrococcus varians)、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)、ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)、ペディオコッカス・ハロフィラス(Pediococcus halophilus)、ストレプトコッカス・フェカリス(Streptococcus faecalis)、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)、スタフィロコッカス・カルノスス(Staphylococcus carnosus)及びスタフィロコッカス・キシロスス(Staphylococcus xylosus)、ラクチカゼイバシラス・ラムノスス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、ラクチカゼイバシラス・パラカゼイ(Lacticaseibacillus paracasei)、リモシラクトバシリア(Limosilactobacillia)、アケルメムシア(Akkermemsia)、クロストリダレス(Clostridales)、プレボテラ(Prebotella)である。
本発明の栄養組成物はまた、プレバイオティクス、ラクトフェリン、繊維、ヌクレオチド、及びヌクレオシドなどの、有益な効果を有し得る他の物質を含有し得る。
IL-10及びアレルギー感作
本発明者らは、驚くべきことに、HMOの特定の組合せがインターロイキン-10(IL-10)を誘導するのに最も有効であり、それによってアレルゲンに対するアレルギー感作を低減し、アレルゲンに対する耐性を誘導するのに有用であることを見出した。
IL-10は、アレルギー、感染に関連する免疫病理及び自己免疫から宿主を保護するのに重要な多面的な免疫調節サイトカインである。
IL-10は、当初、Tヘルパー(TH)2特異的であるとして評価された。しかしながら、さらなる調査により、IL-10産生はT調節性(Treg)細胞応答にも関連することが明らかになった。IL-10欠損マウスは、抗原に対して長期の過度の免疫応答を示し、その多くの場合に過剰な炎症及び組織損傷を伴い、またしばしば慢性腸炎を発症する(Kuhn et al.,1993,Cell 75,263-274、Leon et al.,1998,Ann.N.Y.Acad.Sci.856,69-75)。RA(Hajeer et al.,1998,Scand.J.Rheumatol.27,142-145)、重症喘息(Lim et al.,1998,Lancet 352,113)、及びSLE(Gibson et al.,2001,J.Immunol.166,3915-3922)を有する患者では、IL-10のmRNAの低発現に関連する一塩基多型(SNP)も過剰に示されている。
胸腺及び末梢で生成されたFoxP3+制御性T細胞は、IL-10を分泌する(Sky Ng et al.,31 May 2013)。
TH2細胞によって分泌されるサイトカインIL-4、IL-5、及びIL-13は、寄生虫感染に関連して防御免疫を提供するが、IgEの産生を増強することによってアレルギー反応を開始、増幅、及び延長し、好酸球及び肥満細胞の動員、増殖、及び分化に関与する(Robinson et al.,1992,N.Engl.J.Med.326,298-304、Romagnani,1994,Annu.Rev.Immunol.12,227-257、Northrop et al.,2006,J.Immunol.177,1062-1069)。トリチュリス・ムリス(Trichuris muris)及びT.クルジィ(T.cruzii)などの実験的なTH2誘導性寄生生物感染の初期の研究は、致死的なT細胞応答を予防する際のIL-10の重要な役割を実証している(Schopf et al.,2002,J.Immunol.168,2383-2392)。
TH2由来IL-10は、アレルギー反応中のIL-4及びIL-13の下方制御に関連する(Grunig et al.,1997,J.Exp.Med.185,1089-1100、Jutel et al.,2003,Eur.J.Immunol.33,1205-1214、Akdis et al.,2004,J.Exp.Med.199,1567-1575)。アレルギー性肺炎症のマウスモデルにおいて、IL-10は、TH2応答を抑制するのに重要である(Grunigら、1997)。アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)のアレルゲンを繰り返し吸入した後のIL-10ノックアウトマウス由来の肺細胞及び気管支肺胞洗浄(BAL)液では、より高レベルのIL-4、IL-5、及びIFN-γが産生され、気道炎症の悪化をもたらした(Grunig et al.,1997)。加えて、喘息患者から単離された肺胞マクロファージは、非喘息患者由来のものと比較してより低レベルでIL-10を分泌する(Borish,1998、John et al.,1998,Am.J.Respir.Crit.Care Med.157,256-262)。
IL-10は、抗原特異的治療による耐性を首尾よく介するという重要な役割を果たす。例えば、OVAに由来するペプチドの鼻腔内投与は、TH2により駆動されるOVA/ミョウバン誘導性気道知覚過敏(AHR)の症状を低減することができる(Akbari et al.,2001)。AHRからの保護は、インビトロにおいてIL-4及びIL-10を分泌するOVA特異的CD4+T細胞を誘導する能力を有し、IL-10を分泌する肺DCの誘導と関連する(Akbari et al.,2001)。耐性誘導中のIL-10の中和は、OVA特異的IgE産生の上昇をもたらし、OVA投与の防御効果を打ち消す(Vissers et al.,2004,J.Allergy Clin.Immunol.113,1204-1210)。ヒトにおいて成功したアレルゲン特異的免疫療法(SIT)、例えば、イネ科植物花粉又はチリダニアレルギーの処置におけるその療法は、IL-10分泌CD4+T細胞の生成と関連がある(Jutel et al.,2003,Eur.J.Immunol.33,1205-1214)。IL-10は、IL-4の下方制御、DC上のMHCクラスIIによる抗原提示の阻害、並びにCD28、ICOS、及びCD2を含む共刺激分子の発現の抑制によって、TH2応答を制限する(Taylor et al.,2007,J.Allergy Clin.Immunol.120,76-83)。ナイーブCD4+T細胞においてsrc相同性ホスファターゼ(SHP)-1に介在されるこの制限は、IL-10がエフェクター応答を調節することができ、またナイーブCD4+T細胞からのTH2細胞の分化を防止できることを示唆している(Taylor et al.,2007)。
本発明の栄養組成物は、インターロイキンIL-10介在性疾患を治療し、予防し、又はそのリスクを低減するために使用することができる。免疫調節におけるIL-10の重要な役割は、アレルギー性疾患の予防にとどまらず、炎症性腸疾患及び自己免疫疾患を含む他の疾患にまで及ぶ。IBDに関しては、IL-10欠損マウスが大腸炎を自然発症することが示されている(Kuhn et al;1993,Cell.75,263-274)。このプロセスは、IL-10投与又はIL-10過剰発現によって防止することができる(Steidler et al;2000,Science.289,1352-1355及びHagenbaugh et al;1997,J Exp Med.185,2101-2110)。同様に、ヒトにおけるIBD素因は、IL-10応答の欠損と強く関連している(Glocker et al;2009,N Engl J Med.361,2033-2045)。前臨床モデルでは、IL-10の欠如がリウマチ性関節炎(Hata et al;2004,J Clin Invest.114,582-588)、狼瘡(Ishida et al;1994,J Exp Med.179,305-310)及び脳脊髄炎(Betteli et al;1998,J Immunol.161,3299-3306)の発症を悪化させたことから、一定範囲の自己免疫病理において、免疫調節におけるIL-10の重要性がさらに実証されている。
本発明の栄養組成物は、アレルゲンに対するアレルギー感作を治療又は予防するために使用され得る。
本発明の栄養組成物は、アレルゲンに対する耐性を誘導するために使用され得る。
アレルゲンの例としては、乳タンパク質、卵タンパク質、小麦タンパク質、大豆タンパク質、ピーナッツタンパク質、ナッツ類タンパク質、魚タンパク質、甲殻類タンパク質、貝類タンパク質及びゴマタンパク質が挙げられる。特に好ましいアレルゲンは、牛乳タンパク質である。
本発明の栄養組成物は、アレルギー、好ましくは牛乳アレルギーのアウトグロースを加速させるために使用され得る。
「アレルギー」という用語は、通常は耐容性がある物質(アレルゲン)に対する、免疫系の過敏症を指す。アレルギーは、医師によって診断されたアレルギーであり得る。アレルギーの例としては、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、湿疹、喘息及び鼻炎が挙げられる。本発明は、乳児及び小児においてそのようなアレルギー、特に、乳タンパク質、卵タンパク質、小麦タンパク質、大豆タンパク質、ピーナッツタンパク質、ナッツ類タンパク質、魚タンパク質、甲殻類タンパク質、貝類タンパク質、及びゴマタンパク質に対するアレルギーを低減することにおける使用のための、本明細書に記載の栄養組成物を提供する。本明細書で言及される特に好ましいアレルギーは、牛乳アレルギーである。
「アレルギー感作」という用語は、通常は耐容性があり、アレルギー反応の非存在下では典型的には無害である作用物質(アレルゲンとして知られる、例えば食品又は花粉中の物質)に対する、免疫系の感作を指す。したがって、アレルギー感作とは、アレルゲンを認識するための免疫系のプライミングを指し得る。このようにして感作された個体は、アレルゲンへの再曝露時にアレルギー反応を発症し得る。
本発明の栄養組成物は、対象においてアレルギー感作の発生を低減するため、及び/又は対象においてアレルギー感作を予防するために使用され得る。好ましくは、対象は乳児又は小児である。
本明細書で使用される場合、アレルギー感作の「発生を低減する」とは、栄養組成物がアレルギー感作の可能性を低減させることを意味する。
本明細書で使用される場合、アレルギー感作を「予防する」とは、対象、例えば乳児がまだ感作されておらず、栄養組成物がアレルギー感作を予防することを意味する。
いくつかの実施形態では、対象、特に乳児は、1つ以上のアレルギーを発症するリスクがある。例えば、乳児は、1つ以上のアレルギーの病歴を有する家族に属し得る。好ましくは、本発明の栄養組成物は、乳児又は幼児に投与される。好ましくは、幼児は1~3歳の小児である。
製造方法
本発明の栄養組成物は、任意の好適な方法で調製することができる。
例えば、本明細書に記載の栄養組成物は、タンパク質の供給源、炭水化物の供給源、及び脂肪の供給源を、適切な割合で一緒にブレンドすることによって調製することができる。更に乳化剤を使用する場合、この時点で含めることができる。この時点でビタミン及びミネラルを添加してもよいが、通常、ビタミンは熱分解を避けるために後で添加する。任意の親油性ビタミン及び乳化剤などを、ブレンド前に脂肪の供給源に溶解してもよい。次いで、水、好ましくは逆浸透処理した水を混合して、液体混合物を形成することができる。市販の液化装置を用いて液体混合物を形成することができる。次いで、液体混合物を均質化してもよい。
次いで、液体混合物を熱処理して、細菌含有量を低減することができる。この熱処理は、例えば、蒸気注入によって、又はオートクレーブ若しくは熱交換器、例えば、プレート熱交換器を使用して行うことができる。
次いで、液体混合物を冷却、及び/又は均質化してもよい。均質化した混合物のpH及び固形分含有量は、この時点で調整することができる。
次いで、均質化した混合物を、噴霧乾燥機又は凍結乾燥機などの好適な乾燥装置に移し、粉末に変換することができる。栄養組成物が好ましい場合、均質化された混合物を滅菌し、次いで適切な容器に無菌充填してもよく、又は最初に容器に充填し、次いでレトルト処理してもよい。
当業者は、開示される本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に開示される本発明の全ての特徴を組み合わせることができることを理解されたい。
本発明の好ましい特徴及び実施形態を、非限定的な例によってこれより記述する。
[実施例]
実施例1
末梢血単核細胞(PBMC)を単離し、以前に公開された研究に従って培養した(Holvoet et al 2013 - Int Arch Allergy Immunol 2013;161:142-154)。健康なボランティアの献血からのバフィコートを、Transfusion Center of Lausanne(Transfusion interegionnale CRS)で回収した。ヒトPBMCをバフィーコートから単離した。細胞を等体積栄養組成物懸濁した。Histopaque(Sigma)での密度勾配遠心分離によってPBMCを単離した。間期の細胞を回収し、PBS+2%FCSで2回洗浄した。PBMCを、10%ウシ胎児血清(FBS、Thermofisher scientific)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Sigma)を含有する完全RPMI 1640培地、GlutaMAX(商標)サプリメント(Thermofisher scientific)に再懸濁した。Th2サイトカイン表現型を誘導するために、48ウェルプレート(Milian、Meyrin,Switzerland)で、cIMDM中の50ng/mLのIL-4(Bioconcept)及び1μg/mLの抗CD40抗体(R&D Systems、Abingdon、UK)の存在下で細胞を1.5×10個/mLで培養した。LPSを100μg/mLで使用した。3日間の培養後、HMOの個々の混合物を最終100μg/mLで添加した。成分を添加した後、PBMCの培養をさらに48時間継続し、5日間の総培養期間とした。
Il-10発現レベルを図1に示す。2FL、3FL、3SL及びLNnT;並びに2FL、3FL、3SL、LNnT、6SL及びLNTの組合せは、最高レベルのIL-10発現をもたらした。
実施例2
樹状細胞(DC)は、適応免疫応答の開始において重要である。樹状細胞の抗原提示能力と、適切なレベルの共刺激分子の供給との組み合わせにより、樹状細胞はT細胞応答を運命づけることができる。免疫寛容原性DCは、IL-10、TGF-ββ及びIL-27を含む免疫調節サイトカインを高レベルで発現し、かつ重要なことにはTregの分化を駆動する。これらの免疫寛容原性DCは、CD80、CD86、及びCD40などの共刺激分子のレベルの低下、並びに阻害マーカーPD-L1の発現の増加によって同定することができる(Takenaka et al;2017,Semi Immunopathol.39,113-120)。
免疫寛容原性DCの生成のために、健常ドナー由来のPBMCを用い、EasySeP(TM)ヒト単球単離キット(STEMCELL Technologies)を使用するネガティブ選抜によって単球を(上記のように)単離した。単球をEasySep培地(STEMCELL Technologies)に1×10個/mLで再懸濁し、1:100希釈のImmocult(商標)-ACF樹状細胞分化サプリメント(STEMCELL Technologies)の存在下で6日間、DCに分化させた。6日間の培養後、HMOの混合物を100μg/mLで培養DCに24時間添加した。異なる表面マーカー(CD80、CD86、CD40、HLA-DR、PD-L1及びOX-40L)の発現をフローサイトメトリーによって測定して、免疫寛容原性DCを同定した。2FL、3FL、3SL及びLNnTの混合物、並びに2FL、3FL、3SL、LNnT、6SL及びLNTの混合物は、免疫寛容原性レベルのCD86、PD-L1及びCD40などのDCマーカーを誘導した(図2)。
興味深いことに、CD40、HLADR、OX40L及びPD-L1などのDCマーカーの免疫寛容原性レベルの誘導では、4種の混合物の場合には67% 2’FL、17% 3FL、8% 3’SL、7% LNT、又は6種の混合物の場合には46% 2’FL、12% 3FL、6% 3’SL、12% 6’SL、5% LNnt、20% LNTという特定の比が、等モル比のHMOよりも有効であった(図3参照)。

Claims (15)

  1. ヒト乳オリゴ糖(HMO) 2’-フコシルラクトース(2FL)、3’-フコシルラクトース(3FL)、3’-シアリルラクトース(3SL)、及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含む栄養組成物であって、好ましくは乳児又は小児において、アレルゲンに対する耐性を誘導すること、及び/又はアレルギーのアウトグロースを加速させること、及び/又はインターロイキンIL-10介在性疾患を治療若しくはそのリスクを低減することにおける使用のための栄養組成物。
  2. 前記栄養組成物中の前記ヒト乳オリゴ糖(HMO)が、2FL、3FL、3SL、及びLNnTからなる、請求項1に記載の使用のための栄養組成物。
  3. 2’-フコシルラクトース(2FL)、3’-フコシルラクトース(3FL)、3’-シアリルラクトース(3SL)、ラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)、6’-シアリルラクトース(6SL)及びラクト-N-テトラオース(LNT)を含む、請求項1に記載の使用のための栄養組成物。
  4. 前記栄養組成物中の前記HMOが、2FL、3FL、3SL、LNnT、6SL及びLNTからなる、請求項3に記載の使用のための栄養組成物。
  5. 前記栄養組成物中の前記HMOが、
    i.約40重量%~約80重量%、好ましくは約55重量%~約75重量%、好ましくは約65重量%~約70重量%の2FL、
    ii.約2重量%~約15重量%、好ましくは約4重量%~約12重量%、好ましくは約6重量%~約9重量%のLNnT、
    iii.約5重量%~約30重量%、好ましくは約10重量%~約25重量%、好ましくは約15重量%~約20重量%の3FL、及び
    iv.約2重量%~約15重量%、好ましくは約4重量%~約12重量%、好ましくは約7重量%~約9重量%の3SL、からなる、請求項1又は2に記載の使用のための栄養組成物。
  6. 前記栄養組成物中の前記HMOが、
    i.約35重量%~約60重量%、好ましくは約40重量%~約50重量%、好ましくは約43重量%~約47重量%の2FL、
    ii.約1重量%~約10重量%、好ましくは約3重量%~約7重量%、好ましくは約4重量%~約6重量%のLNnT、
    iii.約10重量%~約30重量%、好ましくは約15重量%~約25重量%、好ましくは約18重量%~約22重量%のLNT、
    iv.約3重量%~約20重量%、好ましくは約7重量%~約15重量%、好ましくは約10重量%~約13重量%の3FL、
    v.約1重量%~約10重量%、好ましくは約4重量%~約8重量%、好ましくは約5重量%~約7重量%の3SL、及び
    vi.約5重量%~約20重量%、好ましくは約7重量%~約15重量%、好ましくは約10重量%~約14重量%の6SL、からなる、請求項1、3又は4に記載の使用のための栄養組成物。
  7. 前記栄養組成物が、乳児用フォーミュラ、スターター乳児用フォーミュラ、フォローオン若しくはフォローアップ乳児用フォーミュラ、グローイングアップミルク、強化剤又はサプリメントである、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のための栄養組成物。
  8. 栄養組成物中に存在する2FL、3FL、3SL及びLNnTの総量が10μg/mL~10000μg/mL、好ましくは50μg/mL~5000μg/mLの濃度である、請求項1、2もしくは5に記載の使用のための栄養組成物、又は栄養組成物中に存在する2FL、3FL、3SL、LNnT、6SL及びLNTの総量が10μg/mL~10000μg/mL、好ましくは50μg/mL~5000μg/mLの濃度である、請求項1、3、4もしくは6に記載の使用のための栄養組成物であって、前記栄養組成物が乳児用フォーミュラ又は幼児用フォーミュラである、栄養組成物。
  9. 前記栄養組成物が、高度加水分解フォーミュラ(eHF)又はアミノ酸ベースフォーミュラ(AAF)である、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用のための栄養組成物。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載の使用のための栄養組成物であって、前記栄養組成物が、乳児用又は幼児用フォーミュラであり、
    (a)100kcal当たり1.6~3.2gのタンパク質、
    (b)100kcal当たり9~14gの炭水化物、及び/又は
    (c)100kcal当たり4.0~6.0gの脂肪
    を含む、栄養組成物。
  11. アレルゲンに対する耐性を誘導することにおける使用のための、請求項1~10のいずれかに記載の栄養組成物であって、好ましくは前記アレルゲンが牛乳タンパク質である、栄養組成物。
  12. アレルギー、好ましくは牛乳アレルギーのアウトグロースを加速させることにおける使用のための、請求項1~10のいずれか一項に記載の栄養組成物。
  13. インターロイキンIL-10介在性疾患を治療すること又はそのリスクを低減することにおける使用のための、請求項1~10のいずれか一項に記載の使用のための栄養組成物。
  14. 2’-フコシルラクトース(2FL)、3’-フコシルラクトース(3FL)、3’-シアリルラクトース(3SL)、及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)から本質的になるヒト乳オリゴ糖(HMO)の混合物を含む合成栄養組成物。
  15. 請求項14に記載の栄養組成物であって、前記栄養組成物中の前記HMOが、
    i.約40重量%~約80重量%、好ましくは約55重量%~約75重量%、好ましくは約60 65重量%~約70重量%の2FL、
    ii.約2重量%~約15重量%、好ましくは約4重量%~約12重量%、好ましくは約7 6重量%~約9重量%のLNnT、
    iii.約5重量%~約30重量%、好ましくは約10重量%~約25重量%、好ましくは約15重量%~約20重量%の3FL、及び
    iv.約2重量%~約15重量%、好ましくは約4重量%~約12重量%、好ましくは約7重量%~約9重量%の3SL、からなる、栄養組成物。
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