JP2023543005A - 疼痛を処置するための化合物及び方法 - Google Patents

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Abstract

本開示は、疼痛の処置又は予防での使用のための新規の方法及び投与量レジメンであって、結合分子は、NGFアンタゴニストドメインと、TNFαアンタゴニストドメインとを含み、NGFアンタゴニストドメインは、抗NGF抗体又はその抗原結合断片であり、TNFαアンタゴニストドメインは、TNFRの可溶性TNFα結合断片を含む、新規の方法及び投与量レジメンを提供する。

Description

疼痛は、医学的支援が求められる最も一般的な症状の1つであり、医師を訪れる全ての患者の半数の主訴である。多くの鎮痛剤の存在及び幅広い使用にもかかわらず、疼痛(特に慢性疼痛)の排除は、成功していない。そのため、社会への負担は、大きいままである。様々な研究から、疼痛により、毎年5000万日の就業日が失われており、且つ612億ドルの生産性が失われていると推定されている。慢性疼痛患者では、利用可能な処方処置の選択肢で疼痛を管理可能であるのは、約半数にすぎない。また、鎮痛剤の総市場は、1年当たり約250億ドルである。
疼痛は、変形性関節症の主な症状であり、変形性関節症は、高齢者における能力障害の主因であり、且つ社会的コストの原因である。人口の高齢化及び肥満の増加により、この症候群は、過去数十年よりも更に蔓延している(非特許文献1)。変形性関節症での疼痛に対する現在の処置として、低用量の経口NSAIDが挙げられる。しかしながら、心血管事象に起因する死亡率の増加との関連に起因して、NSAIDの使用は、好ましくは、短期間の使用に限定される(非特許文献2)。これらのデータから示唆されるように、安全で有効な新規の鎮痛薬が依然として大いに必要とされている。
分泌される神経成長因子(NGF又はベータ-NGF)の組織レベルを低下させるか又は効果を阻害する治療薬は、まさにこのような新規な鎮痛薬である可能性がある。NGFは、神経系の発達において公知の中心的役割を果たすが、NGFは、動物及びヒトで疼痛を引き起こすことから、疼痛に対する十分に検証された標的でもある。成人では、NGFは、特に中枢及び末梢の神経細胞のサブセットの健康及び生存を促進する(非特許文献3)。NGFは、これらの神経細胞の機能的特徴の調節にも寄与し、侵害受容器と呼ばれる感覚疼痛受容器の感受性又は興奮性の緊張性制御を行う(非特許文献4、非特許文献5)。侵害受容器は、疼痛の知覚(侵害受容)を生じる様々な侵害刺激を感知して中枢神経系に伝達する。NGF受容体は、侵害受容器上に位置する。NGFの発現は、傷害を受けて炎症を起こした組織で増大し、ヒトの疼痛状態では上方制御される。そのため、侵害受容でのNGFの役割から、NGFのレベルを低下させるNGF結合剤には、鎮痛剤療法としての有用性がある。
腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)は、カケクチンとも呼ばれ、細胞毒性、免疫細胞増殖、炎症、腫瘍発生及びウイルス複製等の広範囲の生物学的活性を有する多面的なサイトカインである。非特許文献6。TNFαは、膜貫通型タンパク質(tmTNFα)として最初に産生され、次いでメタロプロテイナーゼにより可溶型(sTNFα)に開裂される。非特許文献7。TNFα(約17kDa)は、強固なホモ三量体分子として存在し、細胞表面TNF受容体1又はTNF受容体2に結合し、受容体のオリゴマー形成及びシグナル伝達を誘発する。炎症性サイトカイン(特にTNFα)は、痛覚過敏の発生において役割を果たすことが知られている。非特許文献8。いくつかの予備データから、TNFα阻害剤は、神経障害性疼痛の制御で有用であり得ることが示されている。例えば、非特許文献9、非特許文献10、非特許文献11を参照されたい。神経障害性疼痛の処置における単一療法としてTNFα阻害剤を試験している臨床試験の結果は、依然として結論が出ていない。非特許文献12を参照されたい。
抗NGF抗原結合断片と可溶性TNFR-2部分とを含む、既に開示されている結合分子は、NGF及びTNFαの両方の強力な阻害剤であることが分かっている。更に、この結合分子は、疼痛の動物モデルにおける疼痛の徴候の軽減での治療効果が分かっている。例えば、特許文献1(その全体が参照により組み込まれる)を参照されたい。これらの結合分子の明確な治療上での有効性を考慮して、疼痛(例えば、変形性関節症疼痛)の処置(例えば、軽減又は予防)を、それを必要とする対象において行うための結合分子の改善された投与量レジメンが必要とされている。
米国特許第9,884,911号明細書
Hunter&Bierma-Zeinstra Lancet,393:1745-59(2019) Kolasinski et al.,Arthritis Care&Research,72(2)149-162(2020) Huang&Reichardt,Ann.Rev.Neurosci.24:677-736(2001) Priestley et al.,Can.J.Physiol.Pharmacol.80:495-505(2002) Bennett,Neuroscientist 7:13-17(2001) Kim et al.,J.Mol.Biol.374,1374(2007) Wallis,Lancet Infect.Dis.8(10):601(2008) Leung,L.,and Cahill,CM.,J.Neuroinflammation 7:27(2010) Sommer C,et al.,J.Peripher.Nerv.Syst.6:67-72(2001) Cohen et al,A&A Feb 2013,116,2,455-462 Genevay et al.,Ann Rheum Dis 2004,63,1120-1123 Leung and Cahill(2010)
本開示は、疼痛の処置(例えば、対象の疼痛の軽減又は予防)のための新規の方法及び投与レジメンであって、結合分子の皮下固定用量を対象に投与することを含み、結合分子は、NGFアンタゴニスト部分と、TNFαアンタゴニスト部分とを含む、新規の方法及び投与レジメンを提供する。一部の実施形態では、この投与は、単独で投与された等量のNGFアンタゴニスト又はTNFαアンタゴニストと比べて有効に対象の疼痛を制御する。
一部の実施形態では、本開示は、疼痛の軽減又は予防を、それを必要とする対象において行う方法であって、結合分子の皮下固定用量を対象に投与することを含み、この結合分子は、NGFアンタゴニストドメインと、TNFαアンタゴニストドメインとを含み、NGFアンタゴニストドメインは、抗NGF抗体又はその抗原結合断片であり、TNFαアンタゴニストドメインは、TNFRの可溶性TNFα結合断片を含み、この方法は、対象の疼痛を軽減又は予防する、方法を提供する。一部の実施形態では、結合分子の皮下固定用量は、5~200mgである。一部の実施形態では、結合分子の皮下固定用量は、7.5~150mgである。一部の実施形態では、結合分子の皮下固定用量は、7.5、25、75又は150mgである。一部の実施形態では、皮下固定用量は、結合分子の30mgの静脈内固定用量と同等である。一部の実施形態では、固定用量は、少なくとも2週間毎に投与される。一部の実施形態では、固定用量は、少なくとも12週間にわたって投与される。一部の実施形態では、疼痛は、慢性疼痛を含む。一部の実施形態では、疼痛は、変形性関節症疼痛を含む。一部の実施形態では、疼痛は、膝の変形性関節症疼痛を含む。
一部の実施形態では、対象は、結合分子の投与前に3ヶ月以上にわたって疼痛を患っている。一部の実施形態では、疼痛は、関節炎を伴う。一部の実施形態では、対象は、変形性関節症を有する。一部の実施形態では、対象は、膝の片側性変形性関節症(unilateral osteoarthritis)を有する。一部の実施形態では、対象は、中央リーダー評価(central reader evaluation)による0~4のケルグレン・ローレンス(KL)評価スケールで膝関節のグレード2の変形性関節症を有する。
一部の実施形態では、本方法は、対象への結合分子の投与前に、a.NSAID、強オピオイド、弱オピオイド、COX-2阻害剤、アセトアミノフェン又はこれらの組合せを対象に投与することと、b.i)NSAID、強オピオイド、弱オピオイド、COX-2阻害剤、アセトアミノフェン若しくはこれらの組合せが対象の疼痛を軽減若しくは予防しないことを決定し、且つ/又はii)対象がNSAID、強オピオイド、弱オピオイド、COX-2阻害剤、アセトアミノフェン若しくはこれらの組合せに対して不耐性であることを決定することとを含む。一部の実施形態では、NSAID、強オピオイド、弱オピオイド、COX-2阻害剤、アセトアミノフェン又はこれらの組合せは、少なくとも2週間にわたって投与される。一部の実施形態では、NSAID、強オピオイド、弱オピオイド、COX-2阻害剤、アセトアミノフェン又はこれらの組合せは、結合分子の投与前に少なくとも2週間にわたって対象に投与されている。一部の実施形態では、対象は、NSAID、強オピオイド、弱オピオイド、COX-2阻害剤、アセトアミノフェン(パラセタモール)又はこれらの組合せに対して不耐性である。
一部の実施形態では、本方法は、結合分子の固定用量の投与前に、SARS-CoV2感染に関して対象を検査することを含む。一部の実施形態では、SARS-CoV2感染に関して対象を検査することは、結合分子の固定用量の投与前に、SARS-CoV2遺伝物質に関して対象を検査することを含む。一部の実施形態では、対象は、ベースライン時にSARS-CoV2に感染していない。
一部の実施形態では、対象は、ベースライン時において、疼痛の数値評価スケール(NRS)で測定された場合、関節の少なくとも5の平均疼痛強度スコアを有する。一部の実施形態では、本方法は、対象の1日当たりのNRS疼痛スコアの週平均をベースラインから低減させる。一部の実施形態では、固定用量は、12週間にわたって2週間毎に投与され、本方法は、少なくとも12週目までに対象の1日当たりのNRS疼痛スコアの週平均をベースラインから低減させる。一部の実施形態では、本方法は、対象の1日当たりのNRS疼痛スコアの週平均をベースラインから少なくとも30%低減させる。一部の実施形態では、本方法は、対象の1日当たりのNRS疼痛スコアの週平均をベースラインから少なくとも50%低減させる。
一部の実施形態では、対象は、ベースライン時において、Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis(WOMAC)指標の疼痛サブスケールを使用して測定された場合、関節の少なくとも5の平均WOMAC疼痛スコアを有する。一部の実施形態では、本方法は、対象のWOMAC疼痛サブスケールスコアをベースラインから低減させる。一部の実施形態では、固定用量は、12週間にわたって2週間毎に投与され、本方法は、少なくとも12週目までに対象の1日当たりのWOMAC疼痛スコアの週平均をベースラインから低減させる。一部の実施形態では、本方法は、対象のWOMAC疼痛サブスケールスコアをベースラインから少なくとも30%低減させる。一部の実施形態では、本方法は、対象のWOMAC疼痛サブスケールスコアをベースラインから少なくとも50%低減させる。一部の実施形態では、本方法は、対象のWOMAC身体サブスケールスコアをベースラインから少なくとも30%低減させる。一部の実施形態では、本方法は、対象のWOMAC身体サブスケールスコアをベースラインから少なくとも50%低減させる。
一部の実施形態では、本方法は、変形性関節症の患者全般評価(PGA)をベースラインから改善する。一部の実施形態では、固定用量は、12週間にわたって2週間毎に投与され、方法は、少なくとも12週目までに変形性関節症のPGAをベースラインから低減させる。一部の実施形態では、本方法は、変形性関節症のPGAを少なくとも2ポイント改善する。
一部の実施形態では、疼痛の軽減は、対象における結合分子の単回用量投与後に観察される。一部の実施形態では、本方法は、対象にNSAIDを投与することを含む。一部の実施形態では、本方法は、対象にオピオイドを投与することを含む。一部の実施形態では、本方法は、対象にパラセタモールを投与することを含む。一部の実施形態では、本方法は、対象にCOX-2阻害剤を投与することを含む。
一部の実施形態では、抗NGF抗体又はその断片は、TrkA、p75NRT又はTrkA及びP75NRTの両方へのNGFの結合を阻害し得る。一部の実施形態では、抗NGF抗体又はその断片は、p75NRTへのNGFの結合よりもTrkAへのNGFの結合を優先的にブロックする。一部の実施形態では、抗NGF抗体又はその断片は、約0.25~0.44nMの親和性でヒトNGFに結合する。一部の実施形態では、抗NGF抗体又はその断片は、CDR HCDR1、HCDR2、HCDR3のセットを含む抗体VHドメインと、CDR LCDR1、LCDR2及びLCDR3のセットを含む抗体VLドメインとを含み、HCDR1は、配列番号4のアミノ酸配列又は最大で2つのアミノ酸置換を有する配列番号4のアミノ酸配列を有し、HCDR2は、配列番号5のアミノ酸配列又は最大で2つのアミノ酸置換を有する配列番号5のアミノ酸配列を有し、HCDR3は、配列番号6のアミノ酸配列若しくは最大で2つのアミノ酸置換を有する配列番号6のアミノ酸配列、SSRIYDFNSALISYYDMDV(配列番号11)又はSSRIYDMISSLQPYYDMDV(配列番号12)を有し、LCDR1は、配列番号8のアミノ酸配列又は最大で2つのアミノ酸置換を有する配列番号8のアミノ酸配列を有し、LCDR2は、配列番号9のアミノ酸配列又は最大で2つのアミノ酸置換を有する配列番号9のアミノ酸配列を有し、及びLCDR3は、配列番号10のアミノ酸配列又は最大で2つのアミノ酸置換を有する配列番号10のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、抗NGF抗体又はその断片は、CDR HCDR1、HCDR2、HCDR3のセットを含む抗体VHドメインと、CDR LCDR1、LCDR2及びLCDR3のセットを含む抗体VLドメインとを含み、HCDR1は、配列番号4のアミノ酸配列を含み、HCDR2は、配列番号5のアミノ酸配列を含み、HCDR3は、配列番号6のアミノ酸配列、SSRIYDFNSALISYYDMDV(配列番号11)又はSSRIYDMISSLQPYYDMDV(配列番号12)を含み、LCDR1は、配列番号8のアミノ酸配列を含み、LCDR2は、配列番号9のアミノ酸配列を含み、及びLCDR3は、配列番号10のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号3又は94のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を有するVHを含む。一部の実施形態では、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号7又は95のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を有するVLを含む。一部の実施形態では、抗NGF抗体又はその断片は、完全H2L2抗体、Fab断片、Fab’断片、F(ab)2断片又は一本鎖Fv(scFv)断片である。一部の実施形態では、抗NGF抗体又はその断片は、ヒト化されているか、キメラであるか、霊長類化されているか又は完全ヒトである。一部の実施形態では、抗NGF scFv断片は、N末端からC末端に、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVH、15個のアミノ酸のリンカー配列(GGGGS)3(配列番号15)及び配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVLを含む。一部の実施形態では、抗NGF scFv断片は、N末端からC末端に、配列番号94のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVH、20個のアミノ酸のリンカー配列(GGGGS)4(配列番号19)及び配列番号95のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVLを含む。
一部の実施形態では、TNFRは、TNFR-2である。一部の実施形態では、TNFR-2断片は、免疫グロブリンFcドメインに融合されている。一部の実施形態では、免疫グロブリンFcドメインは、ヒトIgG1 Fcドメインである。一部の実施形態では、TNFαアンタゴニストドメインは、配列番号13に記載されているアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列又はその機能的断片を含む。
一部の実施形態では、結合分子は、リンカーを介してTNFαアンタゴニストに融合されているNGFアンタゴニストを含む融合タンパク質を含む。一部の実施形態では、結合分子は、融合タンパク質のホモ二量体を含む。一部の実施形態では、結合分子は、N末端からC末端に、配列番号13のアミノ酸1~235に対応する配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むTNFR-2のTNFα結合断片、ヒトIgG1Fcドメイン、10個のアミノ酸のリンカー配列(GGGGS)2(配列番号98)、配列番号3又は94のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVH、15個のアミノ酸のリンカー配列(GGGGS)3(配列番号15)及び配列番号7又は95のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVLを含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む。一部の実施形態では、結合分子は、配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む。一部の実施形態では、結合分子は、N末端からC末端に、配列番号13のアミノ酸配列を含むTNFR-2のTNFα結合75kD断片、10個のアミノ酸のリンカー配列(GGGGS)2(配列番号98)、配列番号94のアミノ酸配列を含むVH、20個のアミノ酸のリンカー配列(GGGGS)4(配列番号19)及び配列番号95のアミノ酸配列を含むVLを含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む。一部の実施形態では、配列番号7の102、103又は104位に対応するアミノ酸位置のグリン残基は、システイン残基に改変されており、配列番号3の44位に対応するアミノ酸位置のグリシン残基は、システイン残基に改変されている。一部の実施形態では、結合分子は、配列番号17のアミノ酸配列を含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む。一部の実施形態では、結合分子は、配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%又は99%同一であるアミノ酸配列を含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む。
本開示は、疼痛の軽減又は予防を、それを必要とする対象において行う方法での使用のための結合分子であって、この方法は、結合分子の皮下固定用量を対象に投与することを含み、結合分子は、NGFアンタゴニストドメインと、TNFαアンタゴニストドメインとを含み、NGFアンタゴニストドメインは、抗NGF抗体又はその抗原結合断片であり、TNFαアンタゴニストドメインは、TNFRの可溶性TNFα結合断片を含み、この方法は、対象の疼痛を軽減又は予防する、結合分子を提供する。
TNFR2-Fc融合タンパク質(パネルA)及び抗NGF scFvドメインに融合したTNFR2-Fcドメインを含む例示的な多重特異性結合分子TNFR2-Fc_VH#4(パネルB)の概略図である。 [図2A]精製されたTNFR2-Fc_VH#4のバッチにおける凝集体、単量体及びタンパク質断片化のレベルのSEC-HPLC分析の結果を示す。[図2B]還元条件下及び非還元条件下での、精製されたTNFR2-Fc_VH#4及び精製されたTNFR2-Fcタンパク質のSDS-PAGE分析を示す。ゲルローディング順:1.TNFR2-Fc_VH#4、2.TNFR2-Fc_VL-VH(抗NGF scFvに融合したTNFR2-Fcであり、可変ドメインの遺伝子の向きが逆である)、3.TNFR2-Fc無関係scFv 1、4.TNFR2-Fc、5.TNFR2-Fc無関係scFv 2。 [図3A-B]図3Aは、プロテインAカラム精製後のTNFR2-Fc_VH#4の純度を示す。図3Bは、SPセファロースカラムによる2回目の精製工程後のTNFR2-Fc_VH#4の純度を示す。 示差走査熱量測定を使用するTNFR2-Fc_VH#4の安定性分析を示す。 ELISAにより決定した場合の、TNFα及びNGF(単独及び一緒の両方)へのTNFR2-Fc_VH#4の結合を示す。図5Aは、NGFへの結合を示し、図5Bは、TNFαへの結合を示し、図5Cは、TNFα及びNGFへの同時結合を示す。 TNFR2-Fc_VH#4に関する表面プラズモン共鳴結合アッセイのセンサーグラムを示す。TNFR2-Fc_VH#4多重特異性抗体の同時抗原結合を、BIAcore 2000を使用して実施した。同時抗原結合を、センサー表面に結合したTNFR2-Fc_VH#4上にTNFα及びNGRを連続的に結合させることにより評価した。センサーグラムの第1の部分は、多重特異性抗体へのTNFαの飽和量の結合を示し、センサーグラムの第2の部分は、再度のTNFα(表面が飽和していることを示す)又はTNFα及びNGFの等モル混合物のいずれかの第2の抗原を適用した場合の結合を示す。共鳴単位の増加は、多重特異性分子へのNGFの結合と同等であり、従って同時抗原結合と同等であった。このアッセイを逆の順序の抗原添加でも実施して、これらのデータを確認した。 TF-1細胞のNGF媒介性増殖の抑制を示す。A.添加されるNGFアンタゴニストの非存在下でのNGF媒介性増殖。B.TNFR2-Fc_VH#4によるヒトNGF反応の阻害。C.TNFR2-Fc_VH#4.によるマウスNGF反応の阻害。NGFの活性は、通常、RLU-相対発単位として表され、NGF媒介性増殖の%は、以下の式:100×(ウェルRLU-バックグランウドRLU)/(全RLU-バックグラウンドRLU)(式中、バックグラウンドRLU=培地コントロールの平均値であり、及び全RLU=リガンド単独コントロールの平均値である)を使用して、NGFリガンド単独に対する反応%として算出される。D.TNFR2-Fc_VarB及びヌディマブ(ndimab)VarBによるヒトNGF反応の阻害。E.TNFR2-Fc_VarB及びヌディマブVarBによるマウスNGF反応の阻害。 U937細胞におけるTNFα誘発性カスパーゼ3活性の阻害を示す。A.添加されるTNFαアンタゴニストの非存在下でのU937細胞におけるTNFα誘発性カスパーゼ3活性。B.添加されるアンタゴニストの非存在下での反応率として示されている、U937細胞におけるTNFα誘発性カスパーゼ3活性の阻害。TNFの活性は、通常、RLU-相対発単位として表され、TNF媒介性カスパーゼ3放出の%は、図7Cにおいて上記で説明されている式を使用して、TNFリガンド単独に対する反応%として算出された。C.関連する分子TNFR2-Fc_varB及びヌディマブVarBに関して示されている同様の結果。 部分的坐骨神経ライゲーション誘発性機械的痛覚過敏に対するエタネルセプト及びMEDI-578による併用処置の効果を示す。結果を同側/反対側比として示す。1つの群当たりN=9~10。依存因子として時間及び処置を用いる二元配置ANOVA分析を使用してデータを解析した。続いて、統計的有意性を、ボンフェローニの事後検定を使用して得た。***Op+CAT-251コントロールに対してp<0.001。 [図10A-B]図10Aは、部分的坐骨神経ライゲーション誘発性機械的痛覚過敏に対するTNFR2-Fc_VH#4の効果を示す。結果を同側/反対側比として示す。1つの群当たりN=10。依存因子として時間及び処置を用いる二元配置ANOVA分析を使用してデータを解析した。続いて、統計的有意性を、ボンフェローニの事後検定を使用して得た。***二重特異性アイソタイプコントロールに対してp<0.001。図10Bは、関連分子であるTNFR2-Fc_varBによる同様の結果を示す。 機械的過敏の関節痛モデルにおける疼痛減少に対するMEDI-578及びエタネルセプトの共投与の効果を示す。1つの群当たりN=9~10。二元配置ANOVA分析を使用してデータを解析した。続いて、統計的有意性を、ボンフェローニの事後検定を使用して得た。*P>0.05;***CAT-251に対してP<0.001。 機械的過敏の関節痛モデルにおける疼痛減少に対するTNFR2-Fc_VH#4の効果を示す。1つの群当たりN=9~10。二元配置ANOVA分析を使用してデータを解析した。続いて、統計的有意性を、ボンフェローニの事後検定を使用して得た。***二重特異性アイソタイプコントロールに対してP<0.001。 ラットモデルにおけるCFA誘発性痛覚過敏に対するTNFR2-Fc_varBの5つの異なる用量の効果を示す。 ホスホ-p38反応からのHTRF比を示すヒートマップである。 p38リン酸化に対するTNFα、NGF又はTNFα及びNGFの組合せの効果を示す用量反応曲線である。 ホスホ-ERK反応からのHTRF比を示すヒートマップである。 ERKリン酸化に対するTNFα、NGF又はTNFα及びNGFの組合せの効果を示す用量反応曲線である。 [図18A-B]図18Aは、インターリーブ単回漸増用量(SAD)及び複数回漸増用量(MAD)試験の簡略図を示す。図18Bは、各コホートの試験デザインを表形式で示す。「RoA」は、投与経路であり、「IV」は、静脈内であり、「SC」は、皮下である。予測される平均NGF抑制率も示す。 [図19A-B]図19Aは、採点された1日当たりの疼痛の平均へのTNFR2-Fc_varBの単回静脈内用量の効果が時間(用量後の日数)に対してプロットされているグラフを示す。上部の水平な赤線は、用量前の全ての対象の1日当たりの疼痛スコアの平均である。下部の水平な赤線は、プラセボを投与した全ての対象の1日当たりの疼痛スコアの平均である。図19Bは、列挙された用量での予測される平均NGF抑制率及びプラセボ(PBO)に対するピークNRS変化を示す表である。 [図20A-B]図20Aは、TNFR2-Fc_varBの投与後のベースライン調整された平均疼痛WOMACのグラフである。対象は、疼痛(歩行時、階段昇段時、夜間時、安静時及び体重負荷時)に特に焦点を当てる5つの質問に答える。各質問を5点スケール(0~4)でスコア化し、0は、「全くない」であり、4は、「非常にある」である。スコアが高いほど、その活動を実行する際に経験した疼痛がひどい(又は知覚される機能障害が大きい)。5つ全ての疼痛質問に回答した対象は、最大スコア20を有し得、ここでは、疼痛NRSスコアと比較可能にするために10までスケールダウンされている。ベースライン時(投与前1日目)並びに8、15、22、29日目(且つ250及び1000μg/kgコホートのみに関して43及び56日目)に診療所内で質問表に回答するように対象に求めた。図20Bは、SAD試験におけるプラセボ対様々なTNFR2-Fc_varB用量のWOMACスコアの比較のためのp値を提供する表である。 TNFR2-Fc_varBの3つの統計的に有意な単回用量について、用量後2週間にわたるピーク及び平均での測定されたNGF抑制%を示す表であり、括弧内は、予測されるNGF抑制レベルである。これらの3つの用量のそれぞれに関して、プラセボに対するピークWOMAC疼痛サブスケール変化も表す。ピーク効果は、50及び250μg/kgの用量でのそれぞれ46~55%の遊離NGFの測定された抑制と対応することに留意されたい。 TNFR2-Fc_varBの単回用量の投与の結果としての血漿中遊離NGFの抑制を示す。簡潔に説明すると、下記の時点:用量前、用量後1、8及び24時間、8、15、22、29日目(2つの最高用量のみに関して43及び56日目)で各対象から血液サンプルを採取した。血漿サンプルを調製し、Singulex,Erenna technologyを使用して分析した。遊離NGFの抑制を算出し、各濃度での用量後14日にわたる平均抑制を算出した。14日にわたる遊離NGFの平均抑制は、0(1kg当たり0.3μg)~約65%(1kg当たり1000μg)の範囲である。 SADコホート1~4(0.3~50μg/kg)の各対象に関するNGFレベルの上昇をプロットした一連のグラフである。 時間に対する各コホートに関するベースラインからのCXCL-13レベルの平均変化率をプロットしたグラフである。 0.3~1000μg/kgの範囲の単回静脈内用量及び50μg/kgの単回皮下用量でのTNFR2-Fc_varB(MEDI7352で示されている)の幾何平均血清中薬物動態プロファイルを示す。図25は、データを対数スケールで示す。50μg/kgまでの用量の場合、用量後29日目までサンプルを採取した。250及び1000μg/kgの用量の場合、用量後43日目及び56日目までサンプリングを延長した。250μg/kgに関するデータは、コホート中の全ての対象の値が43日目及び56日目に定量下限を下回っていたことから、29日目を超えて示されていない。1000μg/kgの場合、値は、43日目には3例のみの対象で定量下限を超えており、56日目では1例の対象で定量下限を超えていた。LLOQ=定量下限。 1~450μg/kgの範囲の反復静脈内用量でのTNFR2-Fc_varB(MEDI7352で示されている)の幾何平均血清中薬物動態プロファイルを示す。図26Aは、データを線形スケールで表す。図26Bは、データを対数スケールで示す。1μg/kgに関するデータは、コホート中の全ての対象の値が64、71及び84日目に定量下限を下回っていたことから、用量後57日目を超えて示されていない。50μg/kgに関するデータは、全ての対象が定量下限を下回る濃度であったことから、84日目に関して示されていない。450μg/kgに関して、57日目を超えて利用可能な濃度データはない。 用量後43日目でのTNFR2-Fc_varBの観察された最大血清中濃度(Cmax;上のグラフ)と、1~450μg/kgの範囲のTNFR2-Fc_varBの反復静脈内用量後のベースラインからのWOMAC疼痛スコアの関連する変化(下のグラフ)とを示す。 [図28A-C]図28は、TNFR2-Fc_varBの反復用量後の疼痛レベルを示す。図28Aは、プラセボ、150μg/kg又は450μg/kgのTNFR2-Fc_varBを投与した患者における、0~84日目からのNRS疼痛のベースラインからの変化を示す。図28Bは、TNFR2-Fc_varBの反復用量の効果と、タネズマブ2.5mg、タネズマブ5mg、オキシコドン40mg又はプラセボとを比較する。図28Cは、様々な用量のファシヌマブ、フルラヌマブ(fulranumab)、TNFR2-Fc_varB(MEDI7352で示されている)及びタネズマブにより誘発された、ベースラインからのWOMAC疼痛サブスケールの変化により決定される疼痛軽減を示す。 TNFR2-Fc_varB(MEDI7352で示されている)濃度と、WOMAC疼痛サブスケール(上のグラフ)又はNRS疼痛サブスケール(下のグラフ)の変化により決定される疼痛軽減とに対するADA力価の効果を示す。 0.3~1000μg/kgの範囲の単回静脈内用量でのTNFR2-Fc_varBの幾何平均血清中薬物動態プロファイルと、ADA力価のレベルにより分類された1~450μg/kgの範囲の反復静脈内用量とを示す。 4種の週2回用量後の体重に対するTNFR2-Fc_varBクリアランスの散布図である。凡例は、MADコホート番号及びTNFR2-Fc_varB用量を示す。クリアランスデータをノンコンパートメント解析から得た。プロットは、95%信頼限界(破線)である線形回帰分析(実線)を示す。0.61のp値は、クリアランスと体重との間に有意な関連がないことを示す。 皮下固定用量試験の簡略図を示す。
定義
「1つの(a)」又は「1つの(an)」実体という用語は、この実体の1つ又は複数を指すことに留意されたい。従って、「1つの(a)」(又は「1つの(an)」)、「1つ又は複数」及び「少なくとも1つ」という用語は、本明細書では互換的に使用され得る。
更に、本明細書で使用する「及び/又は」は、他方の有無にかかわらず、2つの指定された特徴又は構成要素のそれぞれの具体的な開示と見なされるべきである。従って、「及び/又は」という用語は、本明細書において「A及び/又はB」等の語句で使用される場合、「A及びB」、「A又はB」、「A」(単独)及び「B」(単独)を含むことが意図されている。同様に、「及び/又は」という用語は、「A、B及び/又はC」等の語句で使用される場合、下記の態様のそれぞれを包含することが意図されている:A、B及びC;A、B又はC;A又はC;A又はB;B又はC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);並びにC(単独)。
態様が「含む」という語と共に本明細書で説明される場合には常に、「からなる」及び/又は「から本質的になる」という用語で説明される類似の態様も提供されることを理解されたい。
「約」又は「およそ」という用語は、当業者により決定される場合の特定の値に対する許容可能な誤差範囲内を意味しており、この値がどのように測定されるか又は決定されるかに部分的に依存し、即ち測定システムの限界に部分的に依存する。例えば、「約」は、当技術分野での慣例により、1つ又は複数の標準偏差内を意味し得る。代わりに、「約」は、所与の値の最大で20%、最大で15%、最大で10%、最大で5%又は最大で1%上下の範囲を意味し得る。
別途定義されない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は全て、本開示が関連する技術分野の当業者により通常理解されるのと同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei-Show,2nd ed.,2002,CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed.,1999,Academic Press;及びOxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressは、本開示で使用される用語の多くの一般辞書を当業者に提供する。
単位、接頭辞及び記号は、これらの国際単位系(SI)で認められている形態で表記される。数値範囲には、この範囲を画定する数字が含まれる。別途指示されない限り、アミノ酸配列は、アミノからカルボキシ方向に向けて左から右に記述される。本明細書中で提供される見出しは、全体として本明細書を参照することによって得られる本開示の様々な態様の限定ではない。従って、直下に定義する用語は、本明細書を全体として参照することによってより詳細に定義される。
本明細書で使用される場合、「結合分子」という用語は、その広義の意味において、抗原決定基(例えば抗原)に特異的に結合する分子を指す。結合分子の非限定的な例として、抗体又はその断片、可溶性受容体融合タンパク質又はその断片、非免疫グロブリン足場又はその断片が挙げられ、それぞれ、抗原特異的結合を保持する。例示的な可溶性受容体融合タンパク質及び抗体を下記に示す。特定の実施形態では、結合分子を、そのような抗体又はその断片、可溶性受容体融合タンパク質又はその断片及び非免疫グロブリンベースの足場又はその断片の組合せを含むように操作する可能性がある。
結合分子又は抗原を認識する、結合分子の任意の部分は、本明細書では、「結合ドメイン」と称される。天然に存在する抗体等のフルサイズの結合分子に具体的に言及しない限り、「結合分子」という用語は下記を包含するが、これらに限定されない:フルサイズの抗体又は他の非抗体結合分子及びそのような結合分子の抗原結合断片、バリアント、類似体又は誘導体、例えば天然に存在する抗体若しくは免疫グロブリン分子又はフルサイズの結合分子と同様の方法で抗原に結合する操作された結合分子若しくは断片。
特定の実施形態では、本開示は、特定の多重特異性結合分子(例えば、二重特異性、三重特異性、四重特異性等の結合分子)又はその抗原結合断片、バリアント若しくは誘導体を提供する。本明細書で使用される場合、多重特異性結合分子は、1つ若しくは複数の抗体結合ドメイン、1つ若しくは複数の非抗体結合ドメイン又はこれらの組合せを含み得る。
文献ではベータ-神経成長因子とも称されている「神経成長因子」(「NGF」)という用語は、本明細書で使用される場合、様々な神経細胞の成長及び生存で機能する分泌タンパク質を指す。ヒトNGFは、Genbank Accession Number NP_002497.2で示されており、本明細書では配列番号1で示される。NGFという用語は、本明細書で使用される場合、ヒトNGFに限定されず、ヒトNGFの全ての種オルソログを含む。「NGF」という用語は、NGFのプロフォーム、プロNGF、完全長NGF及び細胞内でのプロセシングにより生じるあらゆる形態のNGFを包含する。この用語は、NGFの天然に存在するバリアント(例えば、スプライスバリアント、対立遺伝子バリアント)及びアイソフォームも包含する。NGFは、下記の2種の受容体に結合し得る:p75ニューロトロフィン受容体(p75(NTR))及び膜貫通チロシンキナーゼであるTrkA。NGFは、侵害受容器の感作を媒介することが知られている、疼痛の十分に検証された標的である。
NGF媒介性疼痛は、本明細書に記載されている結合分子による安全な且つ有効な処置に特に十分に適しており、なぜならば、NGFレベルは侵害刺激に応答して末梢で上昇し、且つ抗体は血液脳関門透過性が低いからである。本明細書で説明されている治療及び組成物で使用され得る多くの抗NGF抗体及びその抗原結合断片は、文献中に見出され得、例えばPCT公開国際公開第02/096458号パンフレット及び同第04/032870号パンフレットを参照されたい。
「MEDI-578」という用語は、NGFに特異的に結合する抗体を指し、NGFは、国際出願第PCT/GB2006/000238号パンフレット及び米国特許出願公開第2008/0107658A1号明細書の主題であり、これらの両方は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。MEDI-578の重鎖及び軽鎖の配列をそれぞれ配列番号3及び7で示す。
NGF-NGという用語は、NGFに特異的に結合する抗体を指す。NGF-NGの重鎖及び軽鎖の配列をそれぞれ配列番号24及び26に示す。
文献ではカケクチン、ACP1タンパク質:腫瘍壊死因子;TNF;又は腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリメンバー2とも称されている「腫瘍壊死因子アルファ」(「TNFα」)という用語は、本明細書で使用される場合、特定のTNFαタンパク質を指し、且つTNFリガンドのスーパーファミリを指すものではない。ヒトTNFαは、Genbank Accession Number NP_000585.2で示されており、配列番号2で示される。TNFαという用語は、本明細書で使用される場合、ヒトTNFに限定されず、ヒトTNFαの全ての種オルソログを含む。「TNFα」という用語は、TNFαのプロフォーム、プロTNFα、完全長TNFα及び細胞内でのプロセシングにより生じるあらゆる形態のTNFαを包含する。この用語は、TNFαの天然に存在するバリアント及び天然には存在しないバリアント(例えば、スプライスバリアント、対立遺伝子バリアント)並びにアイソフォームも包含する。TNFαは、下記の2種の受容体に結合し得る:TNFR1(TNF受容体1型;CD120a;p55/60)及びTNFR2(TNF受容体2型;CD120b;p75/80)。TNFαは、炎症促進性サイトカインとして機能し、例えば神経炎症で機能する。例えば、TNFαは、神経障害性疼痛の発生に機能的に関与すると考えられている(Leung,L.,and Cahill,CM.,J.Neuroinflammation 7:27(2010))。
「単離された」結合分子、ポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞又は組成物は、天然に存在しない形態である結合分子、ポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞又は組成物を指す。単離された結合分子、ポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞又は組成物は、これらがもはや自然界では見出される形態ではない程度まで変更されているか、適合されているか、組合わされているか、再編成されているか、操作されているか又は他の方法で操作されているものを含む。一部の実施形態では、単離されっている結合分子、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞又は組成物は、「組換え体」である。
本明細書で使用される場合、「多機能性ポリペプチド」及び「二機能性ポリペプチド」という用語は、2種以上の抗原を標的とするように設計された、天然に存在しない結合分子を指す。本明細書で説明されている例示的な多機能性ポリペプチドは、抗NGF抗原結合断片又は抗体部分と、可溶性TNFR2部分とを含む多機能性結合分子である。
「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子であって、この免疫グロブリン分子の可変領域内の少なくとも1箇所の抗原認識部位を介して、標的(例えば、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質又は前述の組み合わせ)を認識して特異的に結合する免疫グロブリン分子を意味する。本明細書で使用される場合、「抗体」という抗体は、下記を包含する:インタクトなポリクローナル抗体、インタクトなモノクローナル抗体、抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2及びFv断片)、一本鎖Fv(scFv)変異体、少なくとも2種のインタクトな抗体から作製された多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体、三重特異性抗体、四重特異性抗体)、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体の抗原決定部分を含む融合タンパク質及び抗体が所望の生物学的活性を示す限りは抗原認識部位を含む任意の他の改変免疫グロブリン分子。抗体は、免疫グロブリンの下記の5つの主要なクラスのいずれかであり得る:それぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ及びミューと呼ばれる、重鎖定常ドメインの同一性に基づくIgA、IgD、IgE、IgG及びIgM又はこれらのサブクラス(アイソタイプ)(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)。免疫グロブリンの様々なクラスは、様々な公知のサブユニット構造及び3次元配置を有する。
一部の実施形態では、「ブロッキング」結合分子(例えばブロッキング抗体)又は「アンタゴニスト」結合分子(例えばアンタゴニスト抗体若しくは融合タンパク質)は、NGF又はTNFα等の結合する抗原の生物学的活性を阻害又は低減するものである。特定の態様では、ブロッキング抗体又はアンタゴニスト結合分子は、抗原の生物学的活性を実質的に又は完全に阻害する。例えば、生物学的活性を0.01%、0.1%、0.5%、1%、5%、10%、20%、30%、50%、70%、80%、90%、95%又は更に100%低減し得る。
「アンタゴニスト」及び「アンタゴニストドメイン」は、本明細書で使用される場合、標的(例えば、TNFα又はNGF)に結合し、それにより標的が受容体と相互作用することがブロックされるか又は阻害されるポリペプチド又は他の分子を含む。そのため、NGF及び/又はTNFαアンタゴニストは、NGFとtrkA若しくはp75ニューロトロフィンとの相互作用又はTNFαとTNFR-1若しくはTNFR-2との相互作用をブロックするか又は阻害する分子を含む。NGF及び/又はTNFαアンタゴニストは、p38リン酸化及び/又はERKリン酸化を低減する分子も含む。例示的なアンタゴニストとして下記が挙げられるが、これらに限定されない:抗NGF抗体又はその抗原結合断片及び標的特異的で可溶性の非シグナル伝達TNF-アルファ受容体ペプチド(「デコイ受容体」又はそのリガンド結合断片)。
「抗体断片」という用語は、インタクトな抗体の一部を指し、且つインタクトな抗体の抗原決定可変領域を指す。抗体断片の例として下記が挙げられるが、これらに限定されない:Fab、Fab’、F(ab’)2及びFv断片、線状抗体、一本鎖抗体並びに抗体断片から形成される多重特異性抗体。本明細書の他の箇所で説明されている非抗体結合分子の抗原結合断片も、本開示により提供される。
「モノクローナル抗体」は、単一の抗原決定基又はエピトープの高度に特異的な認識及び結合に関与する均質な抗体集団を指す。これは、典型的には異なる抗原決定基に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体と対照的である。「モノクローナル抗体」という用語は、下記を包含する:インタクトなモノクローナル抗体及び完全長モノクローナル抗体の両方並びに抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv)、一本鎖(scFv)変異体、抗体部分を含む融合タンパク質並びに抗原認識部位を含む任意の他の改変免疫グロブリン分子。更に、「モノクローナル抗体」は、ハイブリドーマ、ファージ選択、組換え発現及びトランスジェニック動物によるものが挙げられるが、これらに限定されないいくつかの方法で製造されるような抗体を指す。
「ヒト化抗体」という用語は、最小限の非ヒト(例えばネズミ科)配列を含む特定の免疫グロブリン鎖、キメラ免疫グロブリンである非ヒト(例えばネズミ科)抗体又はその断片の形態を指す。典型的には、ヒト化抗体は、相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種(例えば、マウス、ラット、ウサギ又はハムスター)のCDR由来の残基に置き換えられているヒト免疫グロブリンである(Jones et al.,1986,Nature,321:522-525;Riechmann et al.,1988,Nature,332:323-327;Verhoeyen et al.,1988,Science,239:1534-1536)。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR又はFW)残基は、所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種由来の抗体中の対応する残基に置き換えられている。ヒト化抗体を、Fvフレームワーク領域中の及び/又は置き換えられた非ヒト残基内の更なる残基の置換により更に改変して、抗体の特異性、親和性及び/又は能力を洗練して最適化し得る。一般に、ヒト化抗体は、非ヒト免疫グロブリンに対応するCDR領域の全て又は実質的に全てを含むが、FR領域の全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである少なくとも1つ、典型的には2つ又は3つの可変ドメインの実質的に全てを含むことになる。ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域又はドメイン(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのものの少なくとも一部も含み得る。ヒト化抗体を生成するために使用される方法の例は、米国特許第5,225,539号明細書又は同第5,639,641号明細書で説明されている。
抗体の「可変領域」は、単独の又は組み合わせられた抗体軽鎖の可変領域又は抗体重鎖の可変領域を指す。重鎖及び軽鎖の可変領域は、それぞれ、超可変領域としても既知の3つの相補性決定領域(CDR)により接続された4つのフレームワーク領域(FR又はFW)からなる。各鎖のCDRは、FRにより近接して一体に保持されており、他方の鎖からのCDRと共に抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。CDRを決定するために、下記の少なくとも2種の技術が存在する:(1)異種間の配列可変性に基づくアプローチ(即ちKabat et al.Sequences of Proteins of Immunological Interest,(5th ed.,1991,National Institutes of Health,BethesdaMd.));及び(2)抗原-抗体複合体の結晶学的研究に基づくアプローチ(Al-lazikani et al(1997)J.Molec.Biol.273:927-948))。加えて、当技術分野では、これらの2つのアプローチの組合せを使用してCDRを決定することがある。
Kabat付番方式は、一般に、可変ドメイン内の残基(概ね、軽鎖の残基1~107及び重鎖の残基1~113)を指す際に使用される(例えば、Kabat et al.,Sequences of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))。
Kabatにあるようなアミノ酸位置の付番は、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)における抗体編集物の重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインに使用される付番方式を指す。この付番方式を使用して、実際の直鎖状アミノ酸配列は、可変ドメインのFR又はCDRの短縮又はこれらへの挿入に対応するより少ない又は追加のアミノ酸を含み得る。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後の1つのアミノ酸の挿入(Kabatによれば残基52a)並びに重鎖FR残基82の後に挿入された残基(例えば、Kabatによれば残基82a、82b及び82c等)を含み得る。残基のKabat付番は、所与の抗体について、相同性領域でのこの抗体の配列と「標準」Kabat付番配列とのアラインメントにより決定され得る。Chothiaは、代わりに、構造ループの位置を指す(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987))。Kabat付番規則を使用して付番した場合のChothia CDR-H1ループの末端は、このループの長さに応じてH32~H34で変化する(これは、Kabat付番スキームがH35A及びH35Bに挿入を置くためであり、35Aも35Bも存在しない場合、このループは、32で終わり、35Aのみが存在する場合、このループは、33で終わり、35A及び35Bの両方が存在する場合、このループは、34で終わる)。AbM超可変領域は、Kabat CDRとChothia構造ループとの妥協案を示し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアにより使用される。比較を下記の表1に示す。
Figure 2023543005000001
「ヒト抗体」という用語は、天然ヒト抗体又は当技術分野で既知の任意の技術を使用して製造された、天然ヒト抗体に対応するアミノ酸配列を有する抗体を意味する。ヒト抗体のこの定義には、インタクトな若しくは完全長の抗体、その断片並びに/又は少なくとも1つのヒト重鎖及び/若しくは軽鎖ポリペプチドを含む抗体、例えばマウス軽鎖及びヒト重鎖のポリペプチドを含む抗体が含まれる。
「キメラ抗体」という用語は、免疫グロブリン分子のアミノ酸配列が2種以上に由来する抗体を指す。典型的には、軽鎖及び重鎖の両方の可変領域は、哺乳類(例えば、マウス、ラット、ウサギ等)の一種に由来する、所望の特異性、親和性及び能力を有する抗体の可変領域に相当する一方、定常領域は、別の種(通常、ヒト)における免疫反応を誘発することを回避するために、この種に由来する抗体中の配列に相同である。多重特異性結合分子(例えば、1つ若しくは複数の抗体結合ドメイン、1つ若しくは複数の非抗体結合ドメイン又はこれらの組合せを含む;例えば、本明細書で提供されるTNFαアンタゴニスト及び/又はNGFアンタゴニスト)は、抗体定常領域(例えばFc領域)であって、所望の生化学的特性(例えば、ネイティブの又は変更されていない定常領域を含む、ほぼ同一の免疫原性の抗体と比較した場合の高い腫瘍局在化又は低い血清半減期)を提供するために、この定常領域ドメインの1つ又は複数の少なくとも一部が欠失しているか又は他の方法で変更されている、抗体定常領域を含み得る。本明細書で提供される改変定常領域は、3つの重鎖定常ドメイン(CH1、CH2若しくはCH3)の1つ又は複数及び/又は軽鎖定常ドメイン(CL)に対する変更又は改変を含み得る。一部の態様では、1つ又は複数の定常ドメインを部分的に又は完全に欠失させ得る。一部の態様では、CH2ドメイン全体を欠失させ得る(ΔCH2構築物)。例えば、Oganesyan V,et al.,2008 Acta Crystallogr D Biol Crystallogr.64:700-4;Oganesyan V,et al.,Mol Immunol.46:1750-5;Dall’Acqua,W.F.,et al.,2006.J.Biol.Chem.281:23514-23524;及びDall’Acqua,et al.,2002.J.Immunol.169:5171-5180を参照されたい。
「エピトープ」又は「抗原決定基」という用語は、本明細書では互換的に使用されており、特定の抗体が認識して特異的に結合し得る抗原の部分を指す。抗原がポリペプチドである場合、エピトープは、連続アミノ酸及びタンパク質の3次折り畳みによって並置された不連続アミノ酸の両方から形成され得る。連続アミノ酸から形成されたエピトープは、典型的には、タンパク質変性時に維持されるが、3次折り畳みにより形成されたエピトープは、典型的にはタンパク質変性時に失われる。エピトープは、典型的には少なくとも3つ、より一般的には少なくとも5つ又は8~10個の独自の空間的な立体構造のアミノ酸を含む。本明細書で説明されているエピトープを、このエピトープを形成する特定のアミノ酸まで定義する必要はない。一部の態様では、エピトープをポリペプチド抗原のペプチドサブユニットへの結合の調査により同定し得るか、又は一群の抗原特異性抗体による抗原への競合結合を調査することにより同定し得る。
「対象」、又は「個体」、又は「動物」、又は「患者」、又は「哺乳類」が意味するのは、診断、予後又は治療が所望されるあらゆる対象(特に哺乳類対象)である。哺乳類対象として、ヒト、家畜、農業動物、競技動物及び動物園動物、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、クマ等が挙げられる。
「組成物」及び「医薬組成物」という用語は、活性成分の生物学的活性が有効であることを可能にするような形態であり且つ組成物が投与されるであろう対象が許容できないほど毒性の追加成分を含まない製剤を指す。そのような組成物は、無菌であり得る。
本明細書で使用される場合、「有効な量」及び「治療上有効な量」という用語は、対象の疼痛を処置するか又は制御するのに有効である、1種又は複数の治療用組成物の量を指す。「疼痛を処置する」、「疼痛を制御する」という用語及び文法上の均等物は、本明細書では、疼痛の制御を必要とする対象での任意の有益な又は所望の効果を説明するために使用される。例えば、本明細書で説明されている1種又は複数の治療用組成物の有効な量により、例えば対象の疼痛を予防し得、疼痛の許容可能なレベルを維持し得、疼痛を寛解させ得、疼痛を軽減し得、疼痛を最小限に抑え得、且つ/又は疼痛を除去し得る。特に、「疼痛を処置する」、「疼痛を制御する」という用語及び文法上の均等物は、本明細書では、疼痛の軽減及び/又は疼痛の予防を説明するために使用される。
「投与する」という用語は、本明細書で使用される場合、本明細書で説明されている1種又は複数の治療用組成物(例えば、GNFアンタゴニストドメインとTNFαアンタゴニストドメインとを含む二機能性ポリペプチド)を対象に投与することを指す。「共投与する」という用語は、2種以上の治療用組成物を対象に投与することを指す。本明細書で使用される場合、共投与するは、2種以上の治療用組成物を対象に同時に投与することを含むが、この投与である必要はない。2種以上の治療用組成物は、例えば、30分間隔、1時間間隔、2時間間隔、3時間間隔、4時間間隔又は5時間以上の間隔で順次対象に投与され得る。本明細書で説明されている共投与の順序及びタイミングは、固定され得るか、又は医療専門家の判断に基づいて変更され得る。
「ポリヌクレオチド」及び「核酸」という用語は、共有結合的に連結されたヌクレオチド残基で構成された高分子化合物を指す。ポリヌクレオチドは、DNA、cDNA、RNA、一本鎖若しくは二本鎖、ベクター、プラスミド、ファージ又はウイルスであり得る。
「ベクター」という用語は、宿主細胞で1種又は複数の目的の遺伝子又は配列を送達可能且つ発現可能である構築物を意味する。ベクターの例として下記が挙げられるが、これらに限定されない:ウイルスベクター、ネイキッドDNA又はRNA発現ベクター、プラスミド、コスミド又はファージベクター、カチオン性縮合剤に会合したDNA又はRNA発現ベクター、リポソームに封入されたDNA又はRNA発現ベクター及びプロデューサー細胞等の特定の真核細胞。
「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」という用語は、本明細書では、あらゆる長さのアミノ酸のポリマーに言及するために互換的に使用される。ポリマーは、線状又は分枝状であり得、改変アミノ酸を含み得、且つ非アミノ酸により中断され得る。この用語は、天然に改変されているか又は介入により改変されているアミノ酸ポリマーも包含し、例えばジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質付加、アセチル化、リン酸化又は任意の他の操作若しくは改変、例えば標識成分とのコンジュゲーションにより改変されているアミノ酸ポリマーも包含する。この定義には、例えば、アミノ酸(例えば、非天然アミノ酸等)の1種又は複数の類似体を含むポリペプチド及び当技術分野で既知の他の改変も含まれる。
「保存的アミノ酸置換」とは、あるアミノ酸残基が、同様の側鎖を有する別のアミノ酸残基に置き換えられることである。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリは、当技術分野で定義されており、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分枝側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が挙げられる。例えば、フェニルアラニンのチロシンとの置換は、保存的置換である。特定の態様では、本明細書で提供されるポリペプチド及び抗体の配列における保存的置換により、このアミノ酸配列を含むポリペプチドの結合活性又は他の機能的活性は抑制されない。機能に影響を及ぼさないヌクレオチド及びアミノ酸の保存的置換を同定する方法は、当技術分野で公知である(例えば、Brummell et al.,Biochem.32:1180-1187(1993);Kobayashi et al.Protein Eng.12:879-884(1999);及びBurks et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:.412-417(1997)を参照されたい)。
NGFアンタゴニストドメインとTNFαアンタゴニストドメインとを含む結合分子
本開示は、(例えば、本明細書で開示されている投与レジメンのいずれかによる)本明細書で開示されている方法のいずれかでの使用のための、NGFアンタゴニストドメインとTNFαアンタゴニストドメインとを含む二機能性ポリペプチドを提供する。特定の態様では、本明細書で提供される二機能性ポリペプチドの有効な量の投与は、それを必要とする対象において、単独で投与されるNGFアンタゴニスト又はTNFαアンタゴニストの等量と比べて有効に疼痛を制御し得る。本明細書で提供される二機能性ポリペプチドは、任意の順序、構造又は立体構造でNGFアンタゴニストドメインとTNFαアンタゴニストドメインとを含み得る。任意の好適なNGFアンタゴニスト又はTNFαアンタゴニストは、本明細書で提供される二機能性ポリペプチドの一部であり得る。例示的なNGFアンタゴニスト及びTNFαアンタゴニストが、本開示で説明されている。
特定の態様では、NGFアンタゴニストは、抗NGF抗体又はその抗原結合断片である。特定の態様では、本明細書で提供される二機能性分子(例えば、多重特異性結合分子)での使用のための抗NGFアンタゴニスト(例えば、アンタゴニスト抗体又はその断片)は、p75NRTへのNGFの結合よりもTrkAへのNGFの結合を優先的にブロックし得る。
二機能性ポリペプチド(例えば、本明細書で開示されている多重特異性結合分子)での使用のための例示的な抗体又はその断片は、全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2008/0107658号明細書で入手可能である。特定の態様では、抗NGF抗体又はその断片は、抗NGF抗体MEDI-578と比べて高い親和性でNGFと同一のエピトープに結合するか、NGFを競合的に阻害し得るか又はNGFに結合し得る。特定の実施形態では、抗NGF抗体又はその断片は、1、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3又は0.2nM未満の親和性でヒトNGF及び/又はラットNGFに結合する。例えば、抗NGF抗体又はその断片は、約0.2~0.8、0.2~0.7、0.2~06、0.2~0.5及び/又は0.25~0.44nMの親和性でヒトNGFに結合し得、且つ約0.2~0.9、0.2~0.8及び/又は0.25~0.70nMの親和性でラットNGFに結合し得る。
特定の態様では、抗NGF抗体又はその断片は、MEDI-578である。MEDI-578は、米国特許出願公開第2008/0107658号明細書においてクローン1252A5として開示されている。他の態様では、抗NGF抗体又はその断片は、下記である:タネズマブ(RN-624)、ヒト化抗NGF mAb(Pfizer;Kivitz et al.,(2013)PAIN,154,9,1603-161で説明されている)、フルラヌマブ、完全ヒト抗NGF mAb(Amgen;Sanga et al.,PAIN,Volume 154,Issue 10,October 2013,Pages 1910-1919で説明されている);REGN475/SAR164877、完全ヒト抗NGF mAb(Regeneron/Sanafi-Aventis);ABT-110(PG110)、ヒト化抗NGF mAb(Abbott Laboratories);ファシヌマブ、ヒト抗NGF mAb(Regeneron,米国特許出願公開第2009/0041717号明細書においてクローンREGN475として開示されている)。二機能性ポリペプチド(例えば、本明細書で提供される多重特異性結合分子)に含まれる抗NGF抗体又はその断片は、例えば、ヒト化され得るか、キメラであるか、霊長類化され得るか又は完全ヒトであり得る。
特定の態様では、抗NGF抗体又はその断片は、MEDI-578のHCDR1、HCDR2及びHCDR3の各ドメインを含む抗体VHドメイン、最大で1、2、3、4、5つ又はより多くのアミノ酸置換(例えば保存的アミノ酸置換)を有するMEDI-578重鎖CDRのバリアントを含む。例えば、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号4の正確なアミノ酸配列を有するHCDR1を含み得るか、又は1つ若しくは複数(例えば、1、2、3、4、5つ若しくはより多く)のアミノ酸置換を有する配列番号4のアミノ酸配列を有するHCDR1を含み得る。同様に、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号5の正確なアミノ酸配列を有するHCDR2を含み得るか、又は1つ若しくは複数(例えば、1、2、3、4、5つ若しくはより多く)のアミノ酸置換を有する配列番号5のアミノ酸配列を有するHCDR2を含み得る。同様に、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号6の正確なアミノ酸配列を有するHCDR3を含み得るか、又は1つ若しくは複数(例えば、1、2、3、4、5つ若しくはより多く)のアミノ酸置換を有する配列番号6のアミノ酸配列を有するHCDR3を含み得る。特定の態様では、HCDR3は、アミノ酸配列SSRIYDFNSALISYYDMDV(配列番号11)又はSSRIYDMISSLQPYYDMDV(配列番号12)を含み得る。
特定の態様では、抗NGF抗体又はその断片は、MEDI-578のLCDR1、LCDR2及びLCDR3の各ドメインを含む抗体VLドメイン、最大で1、2、3、4、5つ又はより多くのアミノ酸置換(例えば保存的アミノ酸置換)を有するMEDI-578軽鎖CDRのバリアントを含む。特定の態様では、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号8の正確なアミノ酸配列を有するLCDR1を含み得るか、又は1つ若しくは複数(例えば、1、2、3、4、5つ若しくはより多く)のアミノ酸置換を有する配列番号8のアミノ酸配列を有するLCDR1を含み得る。同様に、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号9の正確なアミノ酸配列を有するLCDR2を含み得るか、又は1つ若しくは複数(例えば、1、2、3、4、5つ若しくはより多く)のアミノ酸置換を有する配列番号9のアミノ酸配列を有するLCDR2を含み得る。同様に、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号10の正確なアミノ酸配列を有するLCDR2を含み得るか、又は1つ若しくは複数(例えば、1、2、3、4、5つ若しくはより多く)のアミノ酸置換を有する配列番号10のアミノ酸配列を有するLCDR2を含み得る。
特定の態様では、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一のVHアミノ酸配列を含む抗体VHドメインを含む。一部の態様では、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号3のVHアミノ酸配列を含む抗体VHドメインを含む。
特定の態様では、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一のVLアミノ酸配列を含む抗体VLドメインを含む。一部の態様では、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号7のVLアミノ酸配列を含む抗体VLドメインを含む。
特定の態様では、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号94のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一のVHアミノ酸配列を含む抗体VHドメインを含む。一部の態様では、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号94のVHアミノ酸配列を含む抗体VHドメインを含む。
特定の態様では、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号95のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一のVLアミノ酸配列を含む抗体VLドメインを含む。一部の態様では、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号95のVLアミノ酸配列を含む抗体VLドメインを含む。
特定の態様では、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86及び96のいずれか1つのHCDR1、HCDR2及びHCDR3の各ドメインを含むか、又は最大で1、2、3、4、5つ若しくはより多くのアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換)を有するこれらのバリアントを含む抗体VHドメインを含む。
特定の態様では、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87及び97のいずれか1つのLCDR1、LCDR2及びLCDR3の各ドメインを含むか、又は最大で1、2、3、4、5つ若しくはより多くのアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換)を有するこれらのバリアントを含む抗体VLドメインを含む。
特定の態様では、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86及び96のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一のVHアミノ酸配列を含む抗体VHドメインを含む。一部の態様では、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86及び96のいずれか1つのVHアミノ酸配列を含む抗体VHドメインを含む。
特定の態様では、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87及び97のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一のVLアミノ酸配列を含む抗体VLドメインを含む。一部の態様では、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87及び97のいずれか1つのVLアミノ酸配列を含む抗体VLドメインを含む。
特定の態様では、抗NGF抗体又はその断片は、NGF-NGのHCDR1、HCDR2及びHCDR3の各ドメインを含む抗体VHドメイン、最大で1、2、3、4、5つ又はより多くのアミノ酸置換(例えば保存的アミノ酸置換)を有するNGF-NG重鎖CDRのバリアントを含む。例えば、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号88の正確なアミノ酸配列を有するHCDR1を含み得るか、又は1つ若しくは複数(例えば、1、2、3、4、5つ若しくはより多く)のアミノ酸置換を有する配列番号88のアミノ酸配列を有するHCDR1を含み得る。同様に、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号89の正確なアミノ酸配列を有するHCDR2を含み得るか、又は1つ若しくは複数(例えば、1、2、3、4、5つ若しくはより多く)のアミノ酸置換を有する配列番号89のアミノ酸配列を有するHCDR2を含み得る。同様に、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号90の正確なアミノ酸配列を有するHCDR3を含み得るか、又は1つ若しくは複数(例えば、1、2、3、4、5つ若しくはより多く)のアミノ酸置換を有する配列番号90のアミノ酸配列を有するHCDR3を含み得る。
特定の態様では、抗NGF抗体又はその断片は、NGF-NGのLCDR1、LCDR2及びLCDR3の各ドメインを含む抗体VLドメイン、最大で1、2、3、4、5つ又はより多くのアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換)を有するNGF-NG軽鎖CDRのバリアントを含む。特定の態様では、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号91の正確なアミノ酸配列を有するLCDR1を含み得るか、又は1つ若しくは複数(例えば、1、2、3、4、5つ若しくはより多く)のアミノ酸置換を有する配列番号91のアミノ酸配列を有するLCDR1を含み得る。同様に、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号92の正確なアミノ酸配列を有するLCDR2を含み得るか、又は1つ若しくは複数(例えば、1、2、3、4、5つ若しくはより多く)のアミノ酸置換を有する配列番号92のアミノ酸配列を有するLCDR2を含み得る。同様に、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号93の正確なアミノ酸配列を有するLCDR3を含み得るか、又は1つ若しくは複数(例えば、1、2、3、4、5つ若しくはより多く)のアミノ酸置換を有する配列番号93のアミノ酸配列を有するLCDR3を含み得る。
特定の態様では、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号24のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一のVHアミノ酸配列を含む抗体VHドメインを含む。一部の態様では、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号24のVHアミノ酸配列を含む抗体VHドメインを含む。
特定の態様では、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号26のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一のVLアミノ酸配列を含む抗体VLドメインを含む。一部の態様では、抗NGF抗体又はその断片は、配列番号26のVLアミノ酸配列を含む抗体VLドメインを含む。
多機能性ポリペプチド(例えば、本開示により提供される多重特異性結合分子)は、完全抗NGF抗体を含み得、即ちH2L2フォーマットで2本の完全重鎖及び2本の完全軽鎖を含む抗体を含み得る。抗NGF抗体が完全抗体である場合、1つ又は複数のTNFαアンタゴニストドメインをこの抗NGF抗体の1本若しくは複数本の重鎖のN末端若しくはC末端に融合させ得るか、又はこの抗NGF抗体の1本若しくは複数本の軽鎖のN末端若しくはC末端に融合させ得る。代わりに、多機能性ポリペプチド(例えば、本開示により提供される多重特異性結合分子)は、抗NGF抗体の抗原結合断片を含み得る。ある態様では、抗NGF抗体断片は、この抗体の定常ドメインの任意の部分を含み得るか又は可変ドメインのみを含み得る。二機能性ポリペプチド(例えば多重特異性結合分子)に含まれる例示的な抗NGF抗体断片として下記が挙げられるが、これらに限定されない:Fab断片、Fab’断片、F(ab)2断片又は一本鎖Fv(scFv)断片。
本明細書で提供される特定の例示的な組成物では、抗NGF抗体は、scFv断片(例えば、MEDI-578のscFv断片)又はそのNGF結合バリアントである。本明細書で提供される特定の例示的な組成物では、抗NGF抗体は、scFv断片(例えば、NGF-NGのscFv断片)又はそのNGF結合バリアントである。抗NGF scFvポリペプチドは、N-VH-VL-C又はN-VL-VH-Cのいずれかの任意の順序でVH及びVLの各ドメインを含み得る。scFv分子は、典型的には、VH及びVLの各ドメインがフレキシブルなリンカーを介して接続されるように操作されている。様々なリンカーを含む例示的なscFv構造は、Dimasi,N.,et al.,J Mol Biol.393:672-92(2009)及びPCT公開国際公開第2013/070565号パンフレットに見出され得、これらの両方は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。当業者により理解されるように、scFv断片は、標準的なFab立体構造で存在する可変ドメインと比較して安定性が低下している可能性がある。一部の態様では、安定化変異を導入するか又は鎖間ジスルフィド結合を導入することにより、scFvを構造的に安定化させ得る(例えば、SS-安定化)。しかしながら、安定化変異及び/又は鎖間ジスルフィド結合の導入は、必須ではなく、特定の態様では存在しない。当技術分野で認識されている多くの方法を利用して、scFvポリペプチドを安定化させ得る。
リンカーを使用して、本明細書で提供される二機能性ポリペプチドのドメイン/領域を連結し得る。リンカーを使用して、二機能性分子のNGFアンタゴニストドメイン及びTNFαアンタゴニストドメインを接続し得、且つscFvの可変重鎖及び可変軽鎖も相互に接続し得る。リンカーの例示的且つ非限定的な例は、少なくとも4つの残基を含むポリペプチド鎖である。そのようなリンカーの一部は、フレキシブルであり得、親水性であり得、更にそれ自体の二次構造(リンカー部分又はフレキシブルなリンカー部分)を殆ど有し得ないか又は全く有し得ない。少なくとも4つのアミノ酸のリンカーを使用して、二機能性ポリペプチド分子が集合した後、近傍に位置するドメイン及び/又は領域を相互に連結させ得る。より長いリンカーも使用し得る。そのため、リンカーは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45又は50個の残基であり得る。リンカーは、例えば、約100~175個の残基でもあり得る。複数のリンカーを使用して二機能性ポリペプチド分子の一部を相互に連結する場合、これらのリンカーは、同じであるか又は異なり得る(例えば、同じ又は異なる長さ及び/又はアミノ酸配列)。
二機能性ポリペプチド分子中のリンカーは、所望の構造の形成を容易にする。リンカーは、(Gly-Ser)n残基(式中、nは、少なくとも1、2及び最大で例えば3、4、5、6、10、20、50、100又はより大きい整数である)を含み得、溶解度を上昇させるために、いくつかのGlu又はLys残基が全体的に分散されている。代わりに、特定のリンカーは、例えば、このリンカーがO-結合グリコシル化を受ける場合、セリン残基を全く含まない。一部の態様では、例えばリンカーの2量体化を使用して、二機能性ポリペプチドのドメインをこのドメインが適切に折りたたまれた構造にする場合、このリンカーは、システイン残基を含み得る。一部の態様では、二機能性ポリペプチドは、このポリペプチドのドメインを連結する少なくとも1、2、3、4又はより多くのポリペプチドリンカーを含み得る。
一部の態様では、ポリペプチドリンカーは、1~50個の残基、1~25個の残基、25~50個の残基又は30~50個の残基を含み得る。一部の態様では、ポリペプチドリンカーは、Fc部分の一部を含み得る。例えば、一部の態様では、ポリペプチドリンカーは、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体及び/若しくはIgG4抗体の免疫グロブリンヒンジドメイン又はそのバリアントの一部を含み得る。
一部の態様では、ポリペプチドリンカーは、gly-serリンカーを含み得るか又はgly-serリンカーからなり得る。本明細書で使用される場合、「gly-serリンカー」という用語は、グリシン残基及びセリン残基からなるペプチドを指す。例示的なgly-serリンカーは、式(Gly4Ser)n(式中、nは、少なくとも1、2及び最大で例えば3、4、5、6、10、20、50、100又はより大きい整数である)のアミノ酸配列を含む。一部の態様では、ポリペプチドリンカーは、ヒンジ領域(例えば、IgG1分子、IgG2分子、IgG3分子又はIgG4分子に由来する)の少なくとも一部及び一連のgly-serアミノ酸残基(例えば、(Gly4Ser)n等のgly-serリンカー)を含み得る。
多機能性ポリペプチド(例えば、多重特異性結合分子)がscFvを含む場合、フレキシブルなリンカーは、scFvの重鎖及び軽鎖を接続し得る。このフレキシブルなリンカーは、一般にはヒンジ部分を含まず、むしろgly-serリンカー又は他のフレキシブルなリンカーである。scFvのドメインを相互に接続するフレキシブルなリンカーの長さ及びアミノ酸配列を容易に選択して最適化し得る。
特定の態様では、多機能性ポリペプチド(例えば多重特異性結合分子)は、抗NGF scFv断片であって、N末端からC末端に、VH、15個のアミノ酸のリンカー配列(GGGGS)3及びVLを含む抗NGF scFv断片を含み得る。特定の実施形態では、scFvのVH及びVLを連結するリンカーは、20個のアミノ酸のリンカー配列(GGGGS)4である。特定の態様では、VHは、配列番号3のアミノ酸配列を含む。特定の態様では、VLは、配列番号7のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、VHは、配列番号24、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、94及び96のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、VLは、配列番号26、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、95及び97のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。特定の態様では、VHドメインは、配列番号3、24、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、94及び96のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一のアミノ酸配列を含む。特定の態様では、VLドメインは、配列番号7、26、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、95及び97のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一のアミノ酸配列を含む。
他の態様では、ポリペプチドの安定性は、VH及びVLの各ドメイン内の特定の残基をシステイン残基に改変することによるVHドメインとVLドメインとの間での鎖間ジスルフィド結合の付加により改善され得る。例えば、Michaelson,J.S.,et al.(2009)MAbs 1,128-41;Brinkmann,U.,et al.,(1993)Proc Natl Acad Sci USA 90,7538-42;Young,N.M.,et al.,(1995)FEBS Lett 377,135-9を参照されたい。例えば、VL(例えば配列番号7)の102、103又は104位でのグリシン残基をシステイン残基に改変し得、VH(例えば配列番号3)の44位でのグリシン残基をシステイン残基に改変し得る。一部の実施形態では、配列番号7の102、103又は104位に対応するアミノ酸位置のグリシン残基は、システイン残基に改変されている。一部の実施形態では、配列番号3の44位に対応するアミノ酸位置のグリシン残基は、システイン残基に改変されている。
多機能性ポリペプチド(例えば、本明細書で提供される多重特異性結合分子)は、TNFαアンタゴニストドメインを含む。特定の態様では、TNFαアンタゴニストドメインは、細胞の表面上のTNF受容体(TNFR)へのTNFαの結合を阻害し得、それによりTNF活性がブロックされる。
特定の態様では、TNFαアンタゴニストは、TNF受容体(例えば、TNFR-1若しくはTNFR-2)のTNFα結合可溶性断片、又はそのバリアント、又はその可溶性断片である。特定の態様では、TNFR-1の可溶性断片は、55kD断片である。特定の実施形態では、TNFR-2の可溶性断片は、75kD断片である。特定の態様では、TNF受容体断片は、異種ポリペプチドに融合しており、例えば、免疫グロブリンFc断片に融合しており、例えばIgG1 Fcドメインに融合している。特定の態様では、TNFαアンタゴニストは、配列番号13に記載されているアミノ酸又はそのTNFα結合断片を含む。TNFR-2部分は、配列番号13のアミノ酸1~235を含む。特定の態様では、TNFR-2のTNFα結合可溶性断片のバリアントは、配列番号13のアミノ酸1~235と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を含む。特定の態様では、TNFR-2のTNFα結合可溶性断片のバリアントは、例えば、1、2、3、4、5、10、20、20、40又は50個のアミノ酸の挿入、置換又は欠失を除いて、配列番号13のアミノ酸1~235を含む。IgG1 Fc部分は、配列番号13のアミノ酸236~467を含む。特定の態様では、TNFR-2のTNFα結合可溶性断片を任意のヒト抗体若しくは非ヒト抗体のFC部分と融合させ得るか、又は安定性をもたらすであろう任意の他のタンパク質若しくは非タンパク質物質(例えば、アルブミン若しくはポリエチレングリコール)と融合させ得る。特定の態様では、TNFR-2のTNFα結合可溶性断片のバリアントは、配列番号13のアミノ酸236~467と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を含む。特定の態様では、TNFR-2のTNFα結合可溶性断片のバリアントは、例えば、1、2、3、4、5、10、20、20、40又は50個のアミノ酸の挿入、置換又は欠失を除いて、配列番号13のアミノ酸236~467を含む。特定の態様では、TNFR-2のTNFα結合可溶性断片のバリアントは、配列番号13と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を含む。特定の態様では、TNFR-2のTNFα結合可溶性断片のバリアントは、例えば、1、2、3、4、5、10、20、20、40又は50個のアミノ酸の挿入、置換又は欠失を除いて、配列番号13を含む。
特定の態様では、TNFR-2のTNFα結合可溶性断片は、一本鎖融合タンパク質である。特定の態様では、TNFR-2のTNFα結合可溶性断片は、例えば、2つのFcドメイン間のジスルフィド結合を介して会合した2種の融合タンパク質の二量体である。
多機能性ポリペプチド(例えば、本明細書で提供される多重特異性結合分子)は、様々な異なる構造及び立体構造を有し得る。一態様では、本明細書で提供される多機能性ポリペプチドは、融合タンパク質であって、上記で説明されているNGFアンタゴニストドメインが、フレキシブルなリンカーを介して、上記で説明されているTNFαアンタゴニストドメインに融合されている、融合タンパク質を含む。リンカーの例は、本明細書の他の箇所で説明されている。特定の態様では、多機能性ポリペプチドは、融合タンパク質のホモ二量体を含む。
例示的な態様では、多機能性ポリペプチドであって、NGFアンタゴニストが、例えばMEDI-578に由来する抗NGF scFvドメインであり、TNFαアンタゴニストが、カルボキシ末端で免疫グロブリンFcドメインに融合しているTNFR-2の可溶性のTNFα結合断片である、多機能性ポリペプチドが提供される。一部の態様では、抗NGF scFvを、リンカーを介して免疫グロブリンFcドメインのカルボキシ末端と融合させ得る。特定の態様では、この多機能性ポリペプチドの単量体は、ホモ二量体であって、各サブユニットが、N末端からC末端に、TNFR-2のTNFα結合75kD断片、ヒトIgG1Fcドメイン、10個のアミノ酸のリンカー(GGGGS)2(配列番号98)、配列番号3のアミノ酸配列を含む抗NGF VH、15個のアミノ酸のリンカー配列(GGGGS)3(配列番号15)及び配列番号7のアミノ酸配列を含む抗NGF VLを含む、ホモ二量体を形成する。一態様では、多機能性ポリペプチドは、配列番号14のアミノ酸配列を含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含むTNFR2-Fc_VH#4である。一部の態様では、多機能性ポリペプチドは、配列番号14と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ鎖配列を含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む。
別の例示的な態様では、多機能性ポリペプチドは、N末端からC末端に、TNFR-2のTNFα結合75kD断片、ヒトIgG1Fcドメイン、10個のアミノ酸のリンカー(GGGGS)2(配列番号98)、配列番号94のアミノ酸配列を含む抗NGF VH、20個のアミノ酸のリンカー配列(GGGGS)4(配列番号19)、配列番号95のアミノ酸配列を含む抗NGF VLを含む。一部の実施形態では、結合分子は、N末端からC末端に、配列番号13と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を含むTNFR-2のTNFα結合75kD断片、ヒトIgG1Fcドメイン、10個のアミノ酸のリンカー(GGGGS)2(配列番号98)、配列番号94のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を含む抗NGF VH、20個のアミノ酸のリンカー配列(GGGGS)4(配列番号19)及び配列番号95のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を含む抗NGF VLを含む。一部の態様では、多機能性ポリペプチドは、配列番号17のアミノ酸配列を含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含むTNFR2-Fc_varBである。一部の態様では、多機能性ポリペプチドは、配列番号17と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるアミノ酸配列を含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む。
ポリヌクレオチド、ベクター及び宿主細胞
本開示は、本明細書で開示されている方法のいずれか(及び例えば本明細書で開示されている投与レジメンのいずれか)での使用のための、本明細書で開示されている結合分子のいずれかをコードするポリヌクレオチドを含む核酸分子を提供する。本開示は、NGFアンタゴニスト及びTNFαアンタゴニストをそれぞれ含む個々のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む核酸分子を更に提供する。特定の態様では、そのようなポリヌクレオチドは、NGF又はその断片に特異的に結合し、TNFα又はその断片にも特異的に結合するペプチドドメインをコードする。例えば、本開示は、抗NGF抗体又はその抗原結合断片を含むポリペプチドドメインと、TNFαアンタゴニスト(例えば、抗TNFα抗体若しくはその抗原結合断片又はTNF受容体(例えばTNFR2)の可溶性のTNFα結合部分)を含むポリペプチドドメインとをコードするポリヌクレオチドを提供する。ポリヌクレオチドは、RNAの形態又はDNAの形態であり得る。DNAには、cDNA、ゲノムDNA及び合成DNAが含まれ;且つ二本鎖又は一本鎖であり得、一本鎖の場合、コード鎖又は非コード鎖(アンチセンス鎖)であり得る。
一部の実施形態では、本明細書で説明されている多機能性ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドは、配列番号16、18若しくは99のヌクレオチド配列又はその断片を含むか、又は配列番号16、18若しくは99と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一の配列又はその断片を含む。
本明細書で説明されている単離ポリペプチドは、当技術分野で既知の任意の好適な方法によって作製され得る。そのような方法は、直接的なタンパク質合成方法から、単離ポリペプチド配列をコードするDNA配列を構築し、この配列を好適な形質転換宿主中で発現させることまで様々である。一部の態様では、DNA配列を、NGFアンタゴニストドメインと、TNFαアンタゴニストドメインとを含む多機能性ポリペプチドをコードするか又はNGFアンタゴニストドメイン及びTNRアンタゴニストドメインをそれぞれ含む個々のポリペプチドをコードするDNA配列を単離するか又は合成することにより、組換え技術を使用して構築する。従って、本開示は、上記で詳述されているNGFアンタゴニストドメインとTNFαアンタゴニストドメインとを含む二機能性ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを提供する。更に提供されるのは、NGFアンタゴニストドメイン及びTNFαアンタゴニストドメインをそれぞれ含む個々のポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドである。
一部の態様では、多機能性ポリペプチド(例えば、目的の多重特異性結合分子又はNGFアンタゴニストドメイン及びTNFαアンタゴニストドメインをそれぞれ含む個々のポリペプチド)をコードするDNA配列を、オリゴヌクレオチド合成機を使用する化学合成により構築し得る。そのようなオリゴヌクレオチドを、所望の多機能性ポリペプチドのアミノ酸配列及び目的の組換えポリペプチドが産生される宿主細胞において有利なコドンの選択に基づいて設計し得る。標準方法を適用して、目的の多機能性ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチド配列を合成し得る。例えば、完全なアミノ酸配列を使用して、逆翻訳遺伝子を構築し得る。更に、特定の多機能性ポリペプチド又は個々のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むDNAオリゴマーを合成し得る。例えば、所望のポリペプチドの一部分をコードする幾つかの小さいオリゴヌクレオチドを合成し、次にライゲートし得る。個々のオリゴヌクレオチドは、典型的には、相補的構築のために5’又は3’オーバーハングを含む。
特定の態様では、本明細書で提供されるポリヌクレオチドは、例えば、コードされたポリペプチドの精製を可能にするマーカー配列に同一のリーディングフレームで融合した成熟ポリペプチドのコード配列を含み得る。例えば、マーカー配列は、pQE-9ベクターにより供給されるヘキサヒスチジンタグであり得、それにより、細菌宿主の場合、マーカーと融合した成熟ポリペプチドの精製が可能となるか、又はマーカー配列は、哺乳類宿主(例えば、COS-7細胞)を使用する場合、インフルエンザヘマグルチニンタンパク質に由来するヘマグルチニン(HA)タグであり得る。
本明細書で提供されるポリヌクレオチドは、コード領域、非コード領域又は両方での変更を更に含み得る。一部の態様では、ポリヌクレオチドバリアントは、サイレント置換、付加又は欠失を生じるが、コードされるポリペプチドの特性又は活性は変えない変更を含む。一部の態様では、ヌクレオチドバリアントを、遺伝子コードの縮重に起因するサイレント置換により作製する。多様な理由のため、例えば、特定の宿主のコドン発現を最適化する(ヒトmRNA中のコドンを、大腸菌(E.coli)等の細菌宿主により優先されるものに変更する)ために、ポリヌクレオチドバリアントを作製し得る。
本明細書で説明されているポリヌクレオチドを含むベクター及び細胞も提供される。(合成、部位特異的変異誘発又は別の方法による)構築時、目的の特定の単離ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を発現ベクターに挿入し、所望の宿主中でのタンパク質発現に適した発現制御配列に作動的に作動可能に連結させ得る。本開示は、そのようなベクターを提供する。ヌクレオチド配列決定、制限マッピング及び好適な宿主中での生物学的に活性なポリペプチドの発現により、適切な構築を確認し得る。当技術分野で公知であるように、宿主における遺伝子導入遺伝子の高い発現レベルを達成するために、この遺伝子を、選択された発現宿主中で機能する転写及び翻訳発現制御配列に作動可能に連結しなければならない。
特定の態様では、組換え発現ベクターを使用して、NGFアンタゴニストドメインとTNFαアンタゴニストドメインとを含む多機能性ポリペプチド(例えば多重特異性結合分子)をコードするか又はNGFアンタゴニストドメイン及びTNFαアンタゴニストドメインをそれぞれ含む個々のポリペプチドをコードするDNAを増幅して発現させ得る。組換え発現ベクターは、哺乳類、微生物、ウイルス又は昆虫の遺伝子に由来する好適な転写又は翻訳調節エレメントに作動可能に連結された、多機能性ポリペプチドをコードするか又はNGFアンタゴニストドメイン及びTNFαアンタゴニストドメインをそれぞれ含む個々のポリペプチドをコードする合成又はcDNA由来のDNA断片を有する複製可能なDNA構築物である。転写単位は、概して、下記で詳述するように、(1)遺伝子発現において調節的役割を有する1つ又は複数の遺伝エレメント、例えば転写プロモーター又はエンハンサーと、(2)mRNAに転写され且つタンパク質に翻訳される構造又はコード配列と、(3)適切な転写及び翻訳開始及び終結配列との集合体を含む。そのような調節エレメントとして、転写を制御するオペレーター配列が挙げられ得る。一般に複製起点によって付与される宿主における複製能及び形質転換体の認識を促進する選択遺伝子が、更に組み込まれ得る。DNA領域は、それらが機能上互いに関係している場合、作動可能に連結されている。例えば、シグナルペプチド(分泌リーダー)のDNAは、ポリペプチドの分泌に関与する前駆体として発現される場合、このポリペプチドのDNAに作動可能に連結されており;プロモーターは、配列の転写を制御する場合、コード配列に作動可能に連結されており;又はリボソーム結合部位は、翻訳を可能にするような位置にある場合、コード配列に作動可能に連結されている。酵母発現系での使用が意図されている構造エレメントは、宿主細胞による翻訳タンパク質の細胞外分泌を可能にするリーダー配列を含む。代わりに、組換えタンパク質は、リーダー配列又は輸送配列なしに発現される場合、N末端メチオニン残基を含み得る。この残基は、その後、発現した組換えタンパク質から任意選択的に開裂されて、最終産物を提供し得る。
発現制御配列及び発現ベクターの選択は、宿主の選択に依存するであろう。多種多様な発現宿主/ベクターの組合せが利用可能である。真核宿主に有用な発現ベクターとして、例えば、SV40、ウシパピローマウイルス、アデノウイルス及びサイトメガロウイルスに由来する発現制御配列を含むベクターが挙げられる。細菌宿主に有用な発現ベクターとして、既知の細菌プラスミドが挙げられ、例えば、pCR1、pBR322、pMB9等の大腸菌(E.coli)由来のプラスミド及びこれらの誘導体、より広範な宿主プラスミド、例えば、M13及び繊維状一本鎖DNAファージが挙げられる。
本開示は、本明細書で提供されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を更に提供する。本明細書で提供されるポリペプチドの発現に好適な宿主細胞として、適切なプロモーターの制御下にある、原核生物、酵母、昆虫又はより高等な真核細胞が挙げられる。原核生物として、グラム陰性生物又はグラム陽性生物が挙げられ、例えば、大腸菌(E.coli)又は桿菌が挙げられる。高等真核細胞として、下記で説明されている哺乳類起源の確立された細胞系が挙げられる。無細胞翻訳系も利用し得る。細菌、真菌、酵母及び哺乳類の細胞宿主との使用に適切なクローニングベクター及び発現ベクターは、Pouwelsら(Cloning Vectors:A Laboratory Manual,Elsevier,N.Y.,1985)で説明されており、この関連する開示は、参照により本明細書に組み込まれる。抗体作製を含むタンパク質作製の方法に関する追加情報は、例えば、米国特許出願公開第2008/0187954号明細書、米国特許第6,413,746号明細書及び同第6,660,501号明細書並びに国際公開第04009823号パンフレット(それぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に見出され得る。
組換えタンパク質を発現させるために、様々な哺乳類又は昆虫の細胞培養系も有利に利用し得る。哺乳類細胞中での組換えタンパク質の発現を実施し得、なぜならば、そのようなタンパク質は概して正しく折り畳まれ、適切に改変され、且つ完全に機能するかである。好適な哺乳類宿主細胞株の例として、HEK-293及びHEK-293T、Gluzman(Cell 23:175,1981)で説明されているサル腎細胞のCOS-7株並びに他の細胞株(例えば、L細胞、C127、3T3、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、HeLa及びBHKの細胞株)が挙げられる。哺乳類発現ベクターは、非転写エレメント、例えば複製起点、発現させる遺伝子に連結された好適なプロモーター及びエンハンサー、並びに他の5’又は3’フランキング非転写配列、並びに5’又は3’非翻訳配列、例えば必須リボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナー及びアクセプター部位並びに転写終結配列を含み得る。昆虫細胞中での異種タンパク質の産生用のバキュロウイルス系は、Luckow and Summers,Bio/Technology 6:47(1988)で概説されている。
本開示は、本明細書で説明されている多機能性ポリペプチドを製造するか又はNGFアンタゴニスト及びTNFαアンタゴニストをそれぞれ含む個々のポリペプチドを製造する方法を更に提供する。この方法は、多機能性ポリペプチド又は個々のポリペプチドの発現を促進する条件下において、上記で説明されている宿主細胞を培養することと、この多機能性ポリペプチド又は個々のポリペプチドを回収することとを伴う。
組換えタンパク質の長期的な高収率の産生のために、安定的発現が適切である。例えば、多機能性ポリペプチドを安定して発現する細胞株を操作し得る。ウイルス複製起点を含む発現ベクターを使用するのではなく、宿主細胞を、適切な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位等)により制御されるDNA及び選択可能なマーカーで形質転換させ得る。外来性DNAの導入後、操作された細胞を強化培地で1~2日にわたって成長させ得、次いで選択培地に切り換える。組換えプラスミド中の選択可能なマーカーにより、選択に対する抵抗性が付与され、細胞がその染色体中にプラスミドを安定的に組み込むことが可能となり、且つ成長してフォーカスを形成することが可能となり、次いでこのフォーカスをクローニングして細胞株に拡大させ得る。この方法を使用して、多機能性ポリペプチドを発現する細胞株を操作し得る。
特定の実施形態では、本明細書で提示される多機能性ポリペプチドを、この多機能性ポリペプチドの一過性発現を呈する細胞株で発現させる。一過性遺伝子導入とは、細胞中に導入された核酸がこの細胞のゲノム中にも染色体DNA中にも統合しないが、細胞中で染色体外エレメント(例えばエピソーム)として維持されるプロセスである。エピソームの核酸の転写プロセスは、影響を受けず、エピソームの核酸によりコードされるタンパク質が産生される。
安定的又は一過的に形質移入された細胞株を、ポリペプチドの発現及び産生をもたらす、当技術分野で既知の細胞培養培地及び条件下で維持する。特定の実施形態では、哺乳類細胞培養培地は、例えば、DMEM又はHam’s F12等の市販の培地製剤をベースとする。一部の実施形態では、細胞培養培地は、細胞成長及び生物学的タンパク質発現の両方の増加を支援するように改変されている。本明細書で使用される場合、「細胞培養培地」、「培養培地」及び「培地製剤」という用語は、多細胞生物又は組織以外の人工的インビトロ環境下での細胞の維持、成長、増殖又は拡大のための栄養液を指す。細胞培養培地は、例えば、細胞の成長を促進するように配合された細胞培養成長培地又は組換えタンパク質産生を促進するように配合された細胞培養産生培地を含め、特定の細胞培養用途に最適化され得る。栄養素、原料及び成分という用語は、細胞培養培地を構成する成分を指すために互換的に使用され得る。
様々な実施形態では、細胞株を、流加法を使用して維持する。本明細書で使用される場合、「流加法」は、初めに基礎培地でインキュベートした後、流加細胞培養物に更なる栄養素を供給する方法を指す。例えば、流加法は、所与の時間内に所定の補給スケジュールに従い補足培地を添加することを含み得る。そのため、「流加細胞培養」は、細胞(典型的には哺乳類)及び細胞培地を培養ベッセルに最初に供給し、追加の培養栄養素を培養中に培養物に継続的又は不連続的に増分して供給し、培養終了前の定期的な細胞及び/又は生成物回収を伴うか又は伴わない細胞培養を指す。
一部の実施形態では、細胞培養培地は、基礎培地及び改変基礎培地をもたらす少なくとも1種の加水分解物(例えば、ダイズベースの加水分解物、酵母ベースの加水分解物又はこれらの2つのタイプの加水分解物の組合せ)を含む。追加の栄養素は、濃縮基礎培地等の基礎培地のみを含み得ることもあり得るか、又は加水分解物若しくは濃縮加水分解物のみを含み得る。好適な基礎培地として下記が挙げられるが、これらに限定されない:ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)、DME/F12、最小必須培地(MEM)、イーグル基礎培地(BME)、RPMI 1640、F-10、F-12、α-最小必須培地(α-MEM)、グラスゴー最小必須培地(G-MEM)、PF CHO(例えば、CHOタンパク質不含培地(Sigma)又はCHO細胞タンパク質不含用のEX-CELL(商標)325 PF CHO無血清培地(SAFC Bioscience)を参照されたい)、及びイスコフ改変ダルベッコ培地。本明細書における技術で使用され得る基礎培地の他の例として、BME基礎培地(Gibco-Invitrogen;ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、粉末)(Gibco-Invitrogen(#31600))が挙げられる。
特定の実施形態では、基礎培地は無血清であり得、これは、培地が血清(例えば、ウシ胎仔血清(FBS)、ウマ血清、ヤギ血清又は当業者に既知の任意の他の動物由来血清)を含まないこと又は動物タンパク質不含培地若しくは合成培地であることを意味する。
基礎培地は、標準の基礎培地中に見出される特定の非栄養成分(例えば、様々な無機及び有機緩衝液、界面活性剤並びに塩化ナトリウム)を除去するために改変され得る。そのような成分を基本細胞培地から除去することにより、残存する栄養成分の濃度上昇を可能にし、且つ全体的な細胞増殖及びタンパク質発現を改善し得る。加えて、除去された成分は、細胞培養条件の要求に従い、改変基本細胞培地を含む細胞培地に再び添加され得る。特定の実施形態では、細胞培養培地は、改変基礎細胞培地と、下記の栄養素:鉄源、組換え成長因子;緩衝剤;界面活性剤;容量オスモル濃度調節因子;エネルギー源;及び非動物性加水分解物の少なくとも1つとを含む。加えて、改変基礎細胞培地は、任意選択的に、アミノ酸、ビタミン又はアミノ酸及びビタミンの両方の組み合わせを含み得る。一部の実施形態では、改変基礎培地は、グルタミン、例えばL-グルタミン及び/又はメトトレキサートを更に含む。
一部の実施形態では、大量のタンパク質作製は、当技術分野で既知の流加法、バッチ法、パーフュージョン法又は連続フィードバイオリアクタ法を使用するバイオリアクタプロセスにより実行する。大規模バイオリアクタは、少なくとも50リットルの容量を有し、約500リットル超の容量又は1,000~100,000リットルの容量を有することもある。このバイオリアクタは、撹拌機インペラを使用して、酸素及び栄養素を分配し得る。小規模バイオリアクタは、概して、容積が約100リットル以下の細胞培養を指し、約1リットル~約100リットルの範囲であり得る。代わりに、シングルユースバイオリアクタ(SUB)は、大規模培養又は小規模培養のいずれにも使用され得る。
温度、pH、撹拌、曝気及び接種密度は、使用される宿主細胞及び発現させる組換えタンパク質に応じて異なり得る。例えば、組換えタンパク質細胞培養物を30~45摂氏度の温度で維持し得る。培養培地のpHは、培養プロセス中、pHが最適なレベルに保たれるようにモニタリングされ得、最適なレベルは、特定の種の宿主細胞の場合に6.0~8.0のpH範囲内であり得る。そのような培養方法での撹拌には、インペラ駆動による混合を使用し得る。インペラの回転速度は、約50~200cm/秒の先端速度であり得るが、培養される宿主細胞の種類に応じて、当技術分野で既知の他のエアリフト又は他の混合/曝気システムを使用し得る。十分な曝気を提供することにより、ここでもやはり培養される特定の宿主細胞に応じて、培養物中において約20%~80%空気飽和の溶存酸素濃度が維持される。代わりに、バイオリアクタにより、空気又は酸素を培養培地中に直接拡散させ得る。中空糸膜曝気装置を利用する無気泡曝気システム等の他の酸素供給方法が存在する。
タンパク質の精製
一部の実施形態では、本開示は、本明細書で開示されている方法のいずれか(例えば、本明細書で開示されている投与量レジメンのいずれか)での使用のための本明細書で開示されている結合分子のいずれかを精製する方法を提供する。上記で説明した形質転換宿主により産生されたタンパク質を任意の好適な方法に従って精製し得る。そのような標準的方法として、クロマトグラフィー法(例えば、イオン交換、アフィニティー及びサイズカラムクロマトグラフィー法)、遠心分離法、溶解度差法又は任意の他の標準的タンパク質精製技術による方法が挙げられる。ヘキサヒスチジン、マルトース結合ドメイン、インフルエンザコート配列及びグルタチオン-S-トランスフェラーゼ等のアフィニティータグをタンパク質に付着させて、適切なアフィニティーカラムに通過させることによる容易な精製が可能となり得る。単離されたタンパク質は、タンパク質分解、核磁気共鳴及びX線結晶学等の技術を使用して物理的に特徴付けることもできる。
例えば、培養培地中に組換えタンパク質を分泌する系の上清を、最初に市販のタンパク質濃縮フィルター(例えば、Amicon又はMillipore Pellicon限外濾過ユニット)を用いて濃縮し得る。この濃縮工程に続いて、濃縮物を好適な精製マトリックスに適用可能である。代わりに、陰イオン交換樹脂(例えば、ペンダントジエチルアミノエチル(DEAE)基を有するマトリックス又は基材)を利用し得る。このマトリックスは、アクリルアミド、アガロース、デキストラン、セルロース又はタンパク質精製に一般に利用される他のタイプであり得る。代わりに、陽イオン交換工程を利用し得る。好適な陽イオン交換体として、スルホプロピル基又はカルボキシメチル基を含む様々な不溶性マトリックスが挙げられる。最後に、疎水性RP-HPLC媒体(例えば、ペンダントメチル基又は他の脂肪族基を有するシリカゲル)を利用する1種又は複数の逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)工程を利用して、NGF結合剤を更に精製し得る。前述の精製工程の一部又は全てを様々に組み合わせて利用して、均一な組換えタンパク質を得ることもできる。
細菌培養物中に産生された組換えタンパク質は、例えば、細胞ペレットからの最初の抽出、それに続く1つ又は複数の濃縮、塩析、水性イオン交換又はサイズ排除クロマトグラフィー工程により単離され得る。最終精製工程で高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を利用し得る。組換えタンパク質の発現で利用される微生物細胞は、凍結融解サイクル処理、音波処理、機械的破壊又は細胞溶解剤の使用等の任意の好都合な方法によって破壊し得る。
組換えポリペプチドを精製するための当技術分野で既知の方法として、例えば、米国特許出願公開第2008/0312425号明細書、同第2008/0177048号明細書及び同第2009/0187005号明細書(これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)で説明されているものも挙げられる。
使用方法及び医薬組成物
本開示は、対象の疼痛を制御するか又は処置する(例えば、対象の疼痛を軽減する及び/又は予防する)方法であって、本明細書で提供されるTNFα及びNGFアンタゴニスト多機能性ポリペプチド(例えば多機能性結合分子)の治療上有効な量を投与することを含むか、又はTNFαアンタゴニスト及びNGFアンタゴニストの共投与を含む方法を提供する。特定の態様では、対象は、ヒトである。
本開示は、本明細書で説明されている結合分子のいずれかを含む医薬組成物を更に提供する。特定の態様では、この医薬組成物は、薬学的に許容されるビヒクルを更に含む。この医薬組成物は、疼痛(例えば、神経障害性疼痛及び炎症性(例えば、骨関節炎又はリウマチ関節炎の)疼痛)の処置(例えば、軽減又は予防)で有用である。
本明細書で提供されるNGFアンタゴニスト及びTNFαアンタゴニストを含む多機能性ポリペプチド及び組成物は、神経障害性疼痛等の疼痛の制御又は処置(例えば、軽減及び/又は予防)が挙げられるが、これらに限定されない様々な用途で有用であり得る。この使用方法は、インビトロ、エクスビボ又はインビボ方法であり得る。
特定の態様では、本NGF結合剤(例えば、抗体又はポリペプチド)で処置される疾患、障害又は状態は、疼痛を伴う。特定の態様では、疼痛は、慢性侵害受容性疼痛、慢性腰痛、神経障害性疼痛、癌性疼痛、帯状疱疹後神経痛(PHN)疼痛又は内臓痛の状態を伴う。特定の態様では、疼痛は、膝又は股関節の炎症等の関節炎を伴う。
本開示は、対象の疼痛を制御する(例えば、軽減又は予防する)方法であって、神経成長因子(NGF)アンタゴニスト及び腫瘍壊死因子(TNFα)アンタゴニストの有効な量を、疼痛制御を必要とする対象に投与することを含み、この投与により、単独で投与されたNGFアンタゴニスト又はTNFαアンタゴニストの等量と比べて有効に対象の疼痛を制御し得る(例えば、軽減し得るか又は予防し得る)、方法を提供する。
単独で投与された成分と比べて「有効に」疼痛を制御することは、併用処置は、個々に投与されたNGFアンタゴニスト又はTNFαアンタゴニストのいずれかの等量と比べて疼痛の制御で有効であることを意味する。特定の態様において且つ下記でより詳細に説明するように、本明細書で提供される疼痛を制御する(例えば、軽減又は予防する)方法により、相乗的な有効性を得ることができ、例えば、NGFアンタゴニスト及びTNFαアンタゴニストの両方の投与の効果は、相加効果を超え得るか、又はNGFアンタゴニストもTNFαアンタゴニストも単独では有効ではない場合に有効であり得る。特定の態様では、この組合せにより、用量の節約が可能となり得、例えば、共投与された場合の個々の成分の有効な投与量は、単独でのいずれの成分の有効な量と比べて少ない可能性がある。
特定の態様では、本明細書で提供される疼痛を制御する(例えば、軽減又は予防する)方法は、単独で投与されたNGFアンタゴニスト又はTNFαアンタゴニストの等量と比べて、対象の疼痛の制御(例えば、軽減又は予防)で少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%有効である。特定の態様では、対象に共投与される個々のNGFアンタゴニスト若しくはTNFαアンタゴニストの投与量又は本明細書で提供される二機能性ポリペプチドの投与時に提供されるNGFアンタゴニスト若しくはTNFαアンタゴニストの相対用量の用量は、単独で投与された各成分に必要な投与量と比べて低くあり得、例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%低くあり得る。
一部の実施形態では、本開示は、特定の投与量レジメンにおいて、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを対象に投与することを提供する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを0.04~0.25mg/kgの用量で、本明細書で開示されている対象のいずれかに投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを0.04~0.15mg/kgの用量で、本明細書で開示されている対象のいずれかに投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを0.04~0.1mg/kgの用量で、本明細書で開示されている対象のいずれかに投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを0.04~0.075mg/kgの用量で、本明細書で開示されている対象のいずれかに投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを0.04~0.06mg/kgの用量で、本明細書で開示されている対象のいずれかに投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを約0.05mg/kgの用量で、本明細書で開示されている対象のいずれかに投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを約0.1mg/kgの用量で、本明細書で開示されている対象のいずれかに投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを約0.15mg/kgの用量で、本明細書で開示されている対象のいずれかに投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを約0.2mg/kgの用量で、本明細書で開示されている対象のいずれかに投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを静脈内投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを皮下投与する。
一部の実施形態では、本開示は、疼痛の処置(例えば、軽減又は予防)を、それを必要とする対象において行う方法であって、本明細書で開示されている結合分子のいずれかの0.04~0.275mg/kgを対象に静脈内投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、この方法は、この結合分子の0.04~0.25mg/kgを対象に静脈内投与することを含む。一部の実施形態では、この方法は、この結合分子の0.04~0.2mg/kgを対象に静脈内投与することを含む。一部の実施形態では、この方法は、この結合分子の0.04~0.15mg/kgを対象に静脈内投与することを含む。一部の実施形態では、この方法は、この結合分子の0.04~0.1mg/kgを対象に静脈内投与することを含む。一部の実施形態では、この方法は、この結合分子の0.04~0.08mg/kgを対象に静脈内投与することを含む。一部の実施形態では、この方法は、この結合分子の0.1~0.275mg/kgを対象に静脈内投与することを含む。一部の実施形態では、この方法は、この結合分子の0.1~0.25mg/kgを対象に静脈内投与することを含む。一部の実施形態では、この方法は、この結合分子の0.1~0.2mg/kgを対象に静脈内投与することを含む。一部の実施形態では、この方法は、この結合分子の0.15~0.25mg/kgを対象に静脈内投与することを含む。一部の実施形態では、この方法は、この結合分子の約0.05mg/kgを対象に静脈内投与することを含む。一部の実施形態では、この方法は、この結合分子の約0.1mg/kgを対象に静脈内投与することを含む。一部の実施形態では、この方法は、この結合分子の約0.15mg/kgを対象に静脈内投与することを含む。一部の実施形態では、この方法は、この結合分子の約0.2mg/kgを対象に静脈内投与することを含む。
一部の実施形態では、本開示は、疼痛の処置(例えば、軽減又は予防)を、それを必要とする対象において行う方法であって、本明細書で開示されている結合分子のいずれかの0.1~1.2mg/kgを対象に皮下投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、疼痛の処置(例えば、軽減又は予防)を、それを必要とする対象において行う方法であって、本明細書で開示されている結合分子のいずれかの0.1~1.0mg/kgを対象に皮下投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、疼痛の処置(例えば、軽減又は予防)を、それを必要とする対象において行う方法であって、本明細書で開示されている結合分子のいずれかの0.1~0.8mg/kgを対象に皮下投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、疼痛の処置(例えば、軽減又は予防)を、それを必要とする対象において行う方法であって、本明細書で開示されている結合分子のいずれかの0.1~0.6mg/kgを対象に皮下投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、疼痛の処置(例えば、軽減又は予防)を、それを必要とする対象において行う方法であって、本明細書で開示されている結合分子のいずれかの0.1~0.4mg/kgを対象に皮下投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、疼痛の処置(例えば、軽減又は予防)を、それを必要とする対象において行う方法であって、本明細書で開示されている結合分子のいずれかの0.1~0.25mg/kgを対象に皮下投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、疼痛の処置(例えば、軽減又は予防)を、それを必要とする対象において行う方法であって、本明細書で開示されている結合分子のいずれかの0.4~1.0mg/kgを対象に皮下投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、疼痛の処置(例えば、軽減又は予防)を、それを必要とする対象において行う方法であって、本明細書で開示されている結合分子のいずれかの0.6~1.0mg/kgを対象に皮下投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、疼痛の処置(例えば、軽減又は予防)を、それを必要とする対象において行う方法であって、本明細書で開示されている結合分子のいずれかの0.8~1.0mg/kgを対象に皮下投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、疼痛の処置(例えば、軽減又は予防)を、それを必要とする対象において行う方法であって、本明細書で開示されている結合分子のいずれかの0.8~1.2mg/kgを対象に皮下投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、疼痛の処置(例えば、軽減又は予防)を、それを必要とする対象において行う方法であって、本明細書で開示されている結合分子のいずれかの約0.2mg/kgを対象に皮下投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、疼痛の処置(例えば、軽減又は予防)を、それを必要とする対象において行う方法であって、本明細書で開示されている結合分子のいずれかの約0.4mg/kgを対象に皮下投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、疼痛の処置(例えば、軽減又は予防)を、それを必要とする対象において行う方法であって、本明細書で開示されている結合分子のいずれかの約0.6mg/kgを対象に皮下投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、疼痛の処置(例えば、軽減又は予防)を、それを必要とする対象において行う方法であって、本明細書で開示されている結合分子のいずれかの約0.8mg/kgを対象に皮下投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、疼痛の処置(例えば、軽減又は予防)を、それを必要とする対象において行う方法であって、本明細書で開示されている結合分子のいずれかの約1mg/kgを対象に皮下投与することを含む方法を提供する。
一部の実施形態では、本開示は、疼痛の処置(例えば、軽減又は予防)を、それを必要とする対象において行う方法であって、固定投与量レジメンにおいて、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを対象に投与することによる方法を提供する。本明細書で使用される場合、固定投与量レジメンは、各対象に投与される投与量が固定されており、対象の体重又は他の特性に左右されないことを意味する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを5~200mgの固定用量で、本明細書で開示されている対象のいずれかに投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを7.5~150mgの用量で、本明細書で開示されている対象のいずれかに投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを25~150mgの用量で、本明細書で開示されている対象のいずれかに投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを75~150mgの用量で、本明細書で開示されている対象のいずれかに投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを5、7.5、25、75、150又は200mgの用量で、本明細書で開示されている対象のいずれかに投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを7.5、25、75又は150の用量で、本明細書で開示されている対象のいずれかに投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを5mgの用量で、本明細書で開示されている対象のいずれかに投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを7.5mgの用量で、本明細書で開示されている対象のいずれかに投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを25mgの用量で、本明細書で開示されている対象のいずれかに投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを75mgの用量で、本明細書で開示されている対象のいずれかに投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを150mgの用量で、本明細書で開示されている対象のいずれかに投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを200mgの用量で、本明細書で開示されている対象のいずれかに投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを、この結合分子の静脈内用量と等しい固定用量で、本明細書で開示されている対象のいずれかに投与する。一部の実施形態では、静脈内用量と等しい固定用量とは、静脈内用量と実質的に同一であるか又は同一である血清中薬物動態プロファイルを生じる固定用量である。一部の実施形態では、静脈内用量と等しい固定用量とは、静脈内用量と実質的に同一であるか又は同一である、薬物動態プロファイルプロットにおける曲線下幾何平均面積を生じる固定用量である。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを、この結合分子の静脈内固定用量と等しい固定用量で、本明細書で開示されている対象のいずれかに投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを、この結合分子の30mgの固定静脈内用量と等しい固定用量で、本明細書で開示されている対象のいずれかに投与する。
一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを静脈内投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを、本明細書で開示されている対象のいずれかに静脈内投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを固定用量で静脈内投与する。
一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを皮下投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを、本明細書で開示されている対象のいずれかに皮下投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを固定用量で皮下投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを、本明細書で開示されている固定用量のいずれかで皮下投与する。
一部の実施形態では、本開示は、疼痛の処置(例えば、予防又は軽減)を、それを必要とする対象において行う方法であって、皮下固定用量の、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを対象に投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、この方法は、本明細書で開示されている結合分子のいずれかの5~200mgの固定用量を皮下投与することを含む。一部の実施形態では、この方法は、本明細書で開示されている結合分子のいずれかの7.5~150mgの固定用量を皮下投与することを含む。一部の実施形態では、この方法は、本明細書で開示されている結合分子のいずれかの25~150mgの固定用量を皮下投与することを含む。一部の実施形態では、この方法は、本明細書で開示されている結合分子のいずれかの75~150mgの固定用量を皮下投与することを含む。一部の実施形態では、この方法は、本明細書で開示されている結合分子のいずれかの5、7.5、25、75、150又は200mgの固定用量を皮下投与することを含む。一部の実施形態では、この方法は、本明細書で開示されている結合分子のいずれかの7.5、25、75又は150mgの固定用量を皮下投与することを含む。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを5mgの用量で、本明細書で開示されている対象のいずれかに皮下投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを7.5mgの用量で、本明細書で開示されている対象のいずれかに皮下投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを25mgの用量で、本明細書で開示されている対象のいずれかに皮下投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを75mgの用量で、本明細書で開示されている対象のいずれかに皮下投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを150mgの用量で、本明細書で開示されている対象のいずれかに皮下投与する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを200mgの用量で、本明細書で開示されている対象のいずれかに皮下投与する。一部の実施形態では、この方法は、この結合分子の静脈内固定用量と等しい固定用量を皮下投与することを含む。一部の実施形態では、この方法は、この結合分子の30mgの固定静脈内用量と等しい固定用量を皮下投与することを含む。
一部の実施形態では、疼痛を処置する(例えば、予防するか又は軽減する)方法は、投与量スケジュールに従い、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを投与することを含む。一部の実施形態では、結合分子を対象に1回投与する。一部の実施形態では、結合分子を対象に複数回投与する。一部の実施形態では、結合分子の固定用量を対象に複数回投与する。一部の実施形態では、結合分子の同一の固定用量を対象に複数回投与する。一部の実施形態では、結合分子(例えば、結合分子の固定用量)を対象に1週間に少なくとも1回、1週間に1回以下、2週間毎に少なくとも1回、2週間毎に1回以下、3週間毎に少なくとも1回、3週間毎に1回以下、1ヶ月に少なくとも1回、1ヶ月に1回以下、1ヶ月に少なくとも2回、1ヶ月に2回以下、1ヶ月に少なくとも3回、1ヶ月に3回以下、6週間毎に少なくとも1回又は6週間毎に1回以下投与する。一部の実施形態では、結合分子(例えば、結合分子の固定用量)を対象に2週間毎に少なくとも1回投与する。一部の実施形態では、結合分子(例えば、結合分子の固定用量)を対象に2週間毎に1回以下投与する。一部の実施形態では、結合分子(例えば、結合分子の固定用量)を対象に2週間毎に1回投与する。一部の実施形態では、結合分子(例えば、結合分子の固定用量)を対象に3週間毎に少なくとも1回投与する。一部の実施形態では、結合分子を対象に3週間毎に1回以下投与する。一部の実施形態では、結合分子(例えば、結合分子の固定用量)を対象に3週間毎に1回投与する。一部の実施形態では、結合分子(例えば、結合分子の固定用量)を対象に1ヶ月に少なくとも1回投与する。一部の実施形態では、結合分子(例えば、結合分子の固定用量)を対象に1ヶ月に1回以下投与する。一部の実施形態では、結合分子(例えば、結合分子の固定用量)を対象に1ヶ月に1回投与する。
本開示は、疼痛を処置する(例えば、予防するか又は軽減する)方法であって、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを投与するための投与量スケジュールを一定期間にわたって継続する、方法を提供する。例えば、結合分子の固定用量を少なくとも12週間にわたって2週間毎に少なくとも1回投与し得る。一部の実施形態では、結合分子を少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間又は少なくとも16週間にわたって投与する。一部の実施形態では、結合分子を少なくとも4週間にわたって投与する。一部の実施形態では、結合分子を少なくとも8週間にわたって投与する。一部の実施形態では、結合分子を少なくとも12週間にわたって投与する。一部の実施形態では、結合分子を少なくとも16週間にわたって投与する。一部の実施形態では、結合分子を12週間にわたって投与する。一部の実施形態では、結合分子を少なくとも12週間にわたって2週間毎に少なくとも1回投与する。一部の実施形態では、結合分子を少なくとも12週間にわたって2週間毎に1回投与する。一部の実施形態では、結合分子を12週間にわたって2週間毎に1回投与する。
本明細書で開示されている結合分子のいずれかを追加の疼痛処置と組み合わせて疼痛の軽減又は予防に使用し得る。この追加の疼痛処置は、本明細書で開示されている結合分子のいずれかと同時に施され得るか、又は本明細書で開示されている結合分子のいずれかから独立して施され得る。従って、本開示は、疼痛の軽減又は予防を、それを必要とする対象において行う方法であって、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを投与することを含み、追加の疼痛処置を施すことを更に含む方法を提供する。一部の実施形態では、疼痛を予防するか又は軽減する方法は、対象にNSAIDを投与することを更に含む。一部の実施形態では、この方法は、対象にオピオイドを投与することを更に含む。一部の実施形態では、この方法は、対象にアセトアミノフェンを投与することを更に含む。一部の実施形態では、この方法は、対象にパラセタモールを投与することを更に含む。一部の実施形態では、この方法は、対象にCOX-2阻害剤を投与することを更に含む。
疼痛処置を必要とする対象は、本明細書が開示されている結合分子のいずれかを投与する前に、しばらくの間にわたって疼痛を患っている場合がある。疼痛を予防するか又は軽減する方法の一部の実施形態では、対象は、この結合分子の投与前に1ヶ月以上にわたって疼痛を患っている。一部の実施形態では、対象は、この結合分子の投与前に3ヶ月以上にわたって疼痛を患っている。一部の実施形態では、対象は、この結合分子の投与前に6ヶ月以上にわたって疼痛を患っている。
本明細書で開示されている結合分子いずれかによる処置の開始前に、対象は、疼痛の代替処置が既に施されている場合がある。一部の実施形態では、疼痛を予防するか又は軽減する方法は、本明細書で開示されている結合分子のいずれかの投与前に、疼痛の代替処置を対象に施すことと、この疼痛の代替処置が対象の疼痛を軽減若しくは予防せず、且つ/又は対象が疼痛の代替処置に対して不耐性であることを決定することとを含む。一部の実施形態では、疼痛の代替処置は、NASAID、強オピオイド、弱オピオイド、COX-2阻害剤、アセトアミノフェン又はこれらの組合せである。一部の実施形態では、この方法は、対象への本結合分子の投与前に、a.NSAID、強オピオイド、弱オピオイド、COX-2阻害剤、アセトアミノフェン又はこれらの組合せを対象に投与する工程と、b.i)NSAID、強オピオイド、弱オピオイド、COX-2阻害剤、アセトアミノフェン若しくはこれらの組合せが対象の疼痛を軽減若しくは予防しないことを決定し、且つ/又はii)対象がNSAID、強オピオイド、弱オピオイド、COX-2阻害剤、アセトアミノフェン若しくはこれらの組合せに対して不耐性であることを決定する工程とを含む。一部の実施形態では、NSAID、強オピオイド、弱オピオイド、COX-2阻害剤、アセトアミノフェン又はこれらの組合せを少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間又は少なくとも4週間にわたって投与する。一部の実施形態では、NSAID、強オピオイド、弱オピオイド、COX-阻害剤、アセトアミノフェン又はこれらの組合せを少なくとも2週間にわたって投与する。一部の実施形態では、NSAID、強オピオイド、弱オピオイド、COX-2阻害剤、アセトアミノフェン又はこれらの組合せを、本明細書で開示されている結合分子のいずれかの投与前に、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間又は少なくとも4週間にわたって対象に投与している。一部の実施形態では、NSAID、強オピオイド、弱オピオイド、COX-2阻害剤、アセトアミノフェン又はこれらの組合せを、本明細書で開示されている結合分子のいずれかの投与前に、少なくとも2週間にわたって対象に投与している。一部の実施形態では、対象は、NSAID、強オピオイド、弱オピオイド、COX-2阻害剤、アセトアミノフェン又はこれらの組合せに対して不耐性である。
本明細書で開示されている結合分子のいずれかによる処置の開始前に、感染の存在に関して対象を検査し得る。一部の実施形態絵では、疼痛を予防するか又は軽減する方法は、本明細書で開示されている結合分子のいずれかの投与前に、SARS-CoV2感染に関して対象を検査することを含む。一部の実施形態では、この方法は、対象への結合分子の固定用量の投与前に、SARS-CoV2感染に関して対象を検査することを含む。一部の実施形態では、SARS-CoV2感染に関して対象を検査することは、対象への結合分子の固定用量の投与前に、SARS-CoV2遺伝物質に関して対象を検査することを含む。一部の実施形態では、対象は、ベースライン時にSARS-CoV2に感染していない。対象は、PCRにより検査した場合、ベースライン時にSARS-CoV2リボ核酸(RNA)に対して陰性であり得る。対象は、COVID-19感染又は急性ウイルス性呼吸器疾患と一致する臨床症状又は徴候(例えば、発熱、咳、呼吸困難、咽頭痛及び/又は味覚/嗅覚の喪失)を示さない場合がある。対象は、SRAS-CoV2に対して陰性であり得、COVID-19抗体に対して陰性であり得る。
本発明は、疼痛を制御するか又は処置する(例えば、軽減又は予防する)方法を提供する。特定の態様では、この疼痛は、慢性侵害受容性疼痛、慢性腰痛、神経障害性疼痛、癌性疼痛、帯状疱疹後神経痛(PHN)疼痛又は内臓痛の状態から選択される。特定の態様では、疼痛は、膝又は股関節の炎症等の関節炎を伴う。
本明細書で開示されている結合分子は、関節炎を伴う疼痛の軽減又は予防に特に有用であり得る。疼痛を予防するか又は軽減する方法の一部の実施形態では、対象は、変形性関節症を有する。一部の実施形態では、対象は、膝の片側性変形性関節症を有する。一部の実施形態では、対象は、中央リーダー評価による0~4のケルグレン・ローレンス(KL)評価スケールで膝関節の少なくともグレード2の変形性関節症を有する。一部の実施形態では、対象は、中央リーダー評価による0~4のKL評価スケールで膝関節のグレード2の変形性関節症を有する(Kohn et al(2016)Clin Orthop Relat Res 474:1886-1893及びAltman et al.(1986)Arthritis Rheum.;29(8):1039-49)。KL分類システムは、膝関節のX線像評価に基づいており、グレード0は、変形性関節症のX線像の特徴がないことを特徴とし、そのため、OAが存在しないことを示し;グレード1は、関節腔の疑わしい狭窄を特徴とし;グレード2は、関節腔の狭窄及び骨棘の存在の可能性を特徴とし;グレード3は、明確な関節腔の狭窄及び複数の骨棘を特徴とし;グレード4は、関節腔の狭窄の発生、重度の硬化及び大きい骨棘を特徴とし、そのため、重度のOAを示す。
疼痛制御の有効性は、多くの様々なスケールに従い、経験している疼痛の質及び強度を評価することを患者に求めることにより測定され得る。言葉による疼痛スケールは、言葉を使用して、無痛、軽度の疼痛、中程度の疼痛及び重度の疼痛の範囲を、それぞれに割り当てられた0~3のスコアで説明する。代わりに、0(無痛)~10(考えられる最悪の疼痛)の数値による疼痛スケールに従って疼痛を評価するように患者に求め得る。視覚的アナログスケール(VAS)では、垂直線又は水平線には、無痛から考えられる最悪の疼痛までの疼痛を説明する言葉があり、現在の疼痛レベルを表す点に線を引くように患者に求める。McGill疼痛指標は、一連の短いリスト(例えば、ズキズキする、燃えているよう、つねるよう)から疼痛を最もよく説明する言葉を選択することにより、疼痛の質及び強度の両方を患者が説明することを可能にする。VAS又は数値スケールの使用が困難な成人には、他の疼痛スケール(例えばFACES)を使用し得、言葉を使えない患者には、例えば行動評価スケールを使用し得る。機能的活動スコアは、疼痛がある領域に関連するタスクを実行するように患者に求めることにより、患者が疼痛によりどの程度妨げられているかに関する。このタイプのスケールを使用する疼痛スコアの改善は、鎮痛剤の有効性の改善を潜在的に示すであろう。
対象が患う疼痛のベースラインレベルは、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを対象に投与する前に決定され得る。一部の実施形態では、対象は、ベースライン時において、Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis指標(WOMAC)の疼痛サブスケールを使用して測定された場合、関節での少なくとも5の平均WOMAC疼痛スコアを有する。
WOMACマルチスケール指標を使用して、膝又は股関節のOAを有する対象の疼痛、こわばり及び関節機能性を評価する。WOMAC疼痛サブスケールは、標的膝でのOAに起因する対象の疼痛を評価する5つの質問からなる、膝のOAを有する参加者を評価するための、広く使用される患者報告結果測定ツールである(Lundgren-Nilsson et al.Patient-reported outcome measures in osteoarthritis:a systematic search and review of their use and psychometric properties.RMD Open.2018 Dec 16;4(2):e000715)。各質問を0~10のNRSスケールで採点し、WOMAC疼痛サブスケールスコアを5つ全ての質問からの平均スコアとして算出し、スコアが高いほど疼痛が高いことを表す。WOMAC身体機能サブスケールは、標的膝でのOAに起因する対象の日常生活での活動の実施の困難さを評価する17個の質問からなる。各質問を0~10のNRSスケールで採点し、WOMAC疼痛サブスケールスコアを17個全ての質問からの平均スコアとして算出し、スコアが高いほど機能の悪化を表す。WOMACこわばり機能サブスケールは、標的膝でのOAに起因するこわばりを評価する2つの質問からなる。こわばりは、標的膝の動きやすさの低下の感覚として定義される。各質問を0~10のNRSスケールで採点し、WOMAC疼痛サブスケールスコアを2つの質問からの平均スコアとして算出し、スコアが高いほどこわばりが高いことを表す。本明細書で使用される場合、ベースラインWOMACスコアは、本結合剤の投与日でのWOMACスコアと定義されている。
一部の実施形態では、対象は、ベースライン時において、疼痛の数値評価(NRS)スケールで測定された場合、関節の少なくとも5の平均疼痛強度スコアを有する。NRSは、疼痛を評価するために使用される11点リッカートスケールであり、対象には、0=「無痛」~10=「過去24時間で考えられる最も重度の疼痛」の数字を特定することにより、指標となる膝の平均疼痛を説明することを求める(Alghadir et al.Test-retest reliability,validity,and minimum detectable change of visual analog,numerical rating,and verbal rating scales for measurement of osteoarthritic knee pain.J Pain Res.2018 Apr 26;11:851-6を参照されたい)。本明細書で使用される場合、ベースラインNRSスコアは、本明細書で開示されている結合分子のいずれかによる処置の開始前-7日目から-1日目(含まれる)まで記録された毎日のNRS疼痛スコアの平均と定義される。
疼痛の軽減又は予防の有効性を、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを投与した対象での疼痛レベルの変化と、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを投与していないコントロール対象での疼痛レベルの変化とを比較することにより確認し得る。一部の実施形態では、本明細書で開示されている方法又は投与量レジメンのいずれかにより、疼痛は、本結合分子を投与していないコントロール対象(例えば、プラセボを投与したコントロール対象)でのWestern Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis指標(WOMAC)スコアと比較して、(1~10のスケールでスケーリングした場合には)WOMACスケールが少なくとも1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5又は6ポイント低減される。一部の実施形態では、本明細書で開示されている方法又は投与量レジメンのいずれかにより、疼痛は、本結合分子を投与していないコントロール対象(例えば、プラセボを投与したコントロール対象)でのWOMACスコアと比較して、(0~4のスケールでスケーリングした場合には)WOMACスケールが少なくとも1、1.5、2、2.5、3、3.5又は4ポイント低減される。
一部の実施形態では、本明細書で開示されている方法又は投与量レジメンのいずれかにより、疼痛は、本結合分子が投与されていないコントロール対象での疼痛の数値評価スケール(NRS)スコアと比較して、(1~10のスコアでスコアリングした場合には)NRSが少なくとも1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5又は6ポイント低減される。一部の実施形態では、疼痛の軽減は、対象への本結合分子の単回用量投与後に観察される。
疼痛の軽減又は予防の有効性を、本明細書で開示されている結合分子のいずれかを投与した対象における疼痛レベルの変化と、ベースライン時での対象における疼痛レベルとを比較することにより確認し得る。一部の実施形態では、本明細書で開示されている方法又は投与量レジメンのいずれかにより、対象のWOMAC疼痛サブスケールがベースラインから低減する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかは、12週間にわたって2週間毎に固定用量で投与され、本方法は、本明細書で開示されている結合分子のいずれかの最初の投与から少なくとも12週間後、対象のWOMAC疼痛サブスケールスコアをベースラインから低減させる。一部の実施形態では、本明細書で開示されている方法又は投与量レジメンのいずれかにより、対象のWOMAC疼痛サブスケールスコアは、ベースラインから少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%又は少なくとも50%低減する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている方法又は投与量レジメンのいずれかにより、対象のWOMAC疼痛サブスケールスコアは、ベースラインから少なくとも30%低減する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている方法又は投与量レジメンのいずれかにより、対象のWOMAC疼痛サブスケールスコアは、ベースラインから少なくとも50%低減する。
一部の実施形態では、本明細書で開示されている方法又は投与量レジメンのいずれかにより、対象のWOMAC身体サブスケールスコアがベースラインから低減する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかは、12週間にわたって2週間毎に固定用量で投与され、本方法は、本明細書で開示されている結合分子のいずれかの最初の投与から少なくとも12週間後、対象のWOMAC身体サブスケールスコアをベースラインから低減させる。一部の実施形態では、本明細書で開示されている方法又は投与量レジメンのいずれかにより、対象のWOMAC身体サブスケールスコアは、ベースラインから少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%又は少なくとも50%低減する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている方法又は投与量レジメンのいずれかにより、対象のWOMAC身体サブスケールスコアは、ベースラインから少なくとも30%低減する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている方法又は投与量レジメンのいずれかにより、対象のWOMAC身体サブスケールスコアは、ベースラインから少なくとも50%低減する。
一部の実施形態では、本明細書で開示されている方法又は投与量レジメンのいずれかにより、対象の1日当たりのNRS疼痛スコアの週平均がベースラインから低減する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかは、12週間にわたって2週間毎に固定用量で投与され、本方法は、少なくとも12週間までに対象の1日当たりのNRS疼痛スコアの週平均をベースラインから低減させる。一部の実施形態では、本明細書で開示されている方法又は投与量レジメンのいずれかにより、対象の1日当たりのNRS疼痛スコアの週平均は、ベースラインから少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%又は少なくとも50%低減する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている方法又は投与量レジメンのいずれかにより、対象の1日当たりのNRS疼痛スコアの週平均は、ベースラインから少なくとも30%低減する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている方法又は投与量レジメンのいずれかにより、対象の1日当たりのNRS疼痛スコアの週平均は、ベースラインから少なくとも50%低減する。
一部の実施形態では、本明細書で開示されている方法又は投与量レジメンのいずれかにより、変形性関節症の患者全般評価(PGA)がベースラインから改善される。本明細書で使用される場合、ベースラインPGAは、本結合剤の投与日でのPGAスコアと定義される。PGAは、膝のOAに起因する症状及び活動障害を評価するために使用される5点リッカートスケールである(例えば、Nikiphorou et al(2016)Arthritis Res Ther 18:251を参照されたい)。対象には、「膝のOAがあなたに影響を及ぼす全ての方法を考慮して、今日の気分はどうですか?」という質問に基づいて、1=非常に良好(無症状であり、通常の活動は制限されない)から5=非常に不良(耐えられない非常に重度の症状があり、全ての通常の活動を実行することができない)までの数字を特定するように求められる。一部の実施形態では、本明細書で開示されている結合分子のいずれかは、12週間にわたって2週間毎に固定用量で投与され、本方法は、少なくとも12週間までに変形性関節症のPGAをベースラインから改善する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている方法又は投与量レジメンのいずれかにより、変形性関節症のPGAが少なくとも2ポイント改善される。
疼痛の軽減又は予防の有効性を、対象のバイアマーカーのレベルの変化を測定することにより確認し得る。一部の実施形態では、本疼痛を予防するか又は軽減する方法により、対象でのNGF活性は、本結合分子を投与していないコントロール対象(例えば、プラセボを投与したコントロール対象)でのNGF活性と比較して、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%抑制される。一部の実施形態では、この方法により、対象でのNGF活性は、本結合分子を投与していないコントロール対象でのNGF活性と比較して、少なくとも40%抑制される。一部の実施形態では、NGFの抑制は、対象への本結合分子の単回用量投与後に観察される。一部の実施形態では、NGFの抑制は、対象への本結合分子の複数回用量の投与後に観察される。
一部の実施形態では、本疼痛を予防するか又は軽減する方法により、対象でのCXCL-13レベルは、本結合分子を投与していないコントロール対象(例えば、プラセボを投与したコントロール対象)でのCXCL-13レベルと比較して、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%抑制される。一部の実施形態では、CXCL-13の抑制は、対象への本結合分子の単回用量投与後に観察される。一部の実施形態では、CXCL-13の抑制は、対象への本結合分子の複数回用量の投与後に観察される。
特定の態様では、TNFα及びNGFアンタゴニスト多機能性ポリペプチド(例えば、本明細書で提供される多機能性結合分子)と、薬学的に許容されるビヒクル(例えば、担体、賦形剤)とを組み合わせることにより、保存及び使用のために製剤を調製する(Remington,The Science and Practice of Pharmacy 20th Edition Mack Publishing,2000)。好適な薬学的に許容されるビヒクルとして下記が挙げられるが、これらに限定されない:非毒性緩衝剤、例えば、リン酸塩、クエン酸塩及び他の有機酸;塩類、例えば塩化ナトリウム;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸及びメチオニン;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチル又はプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量ポリペプチド(例えば、約10個未満のアミノ酸残基);タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリシン;炭水化物、例えば、単糖類、二糖類、グルコース、マンノース又はデキストリン;キレート剤、例えばEDTA;糖類、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール;塩形成対イオン、例えばナトリウム;金属複合体(例えば、Zn-タンパク質複合体);並びに非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN又はポリエチレングリコール(PEG)。
本開示の多機能性ポリペプチドは、この分子の物理化学的特性及び送達経路に応じて液体、半固体又は固体の形態で製剤化され得る。製剤は、賦形剤又は賦形剤の組合せを含み得、例えば、糖類、アミノ酸及び界面活性剤を含み得る。液体製剤は、広範囲に及ぶポリペプチド濃度及びpHを含み得る。固体製剤を例えば凍結乾燥、噴霧乾燥又は超臨界流体技術による乾燥により製造し得る。一部の実施形態では、本明細書で説明されている製剤のいずれかは、凍結乾燥製剤である。
本明細書で提供される医薬組成物は、局所的な及び全身性の処置のために任意の数の方法で投与され得る。投与は、局所(例えば、膣及び直腸送達を含む粘膜への局所)、例えば、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、ドロップ、座薬、スプレー、液体及び粉末;肺(例えば、ネブライザによるもの等の粉末若しくはエアロゾルの吸入若しくは吹送によるもの;気管内、鼻腔内、表皮及び経皮);経口;又は非経口、例えば、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内若しくは筋肉内への注射若しくは注入;又は頭蓋内(例えば、髄腔内若しくは脳室内)投与であり得る。
本明細書で提供されるTNFα及びNGFアンタゴニスト多機能性ポリペプチドは、併用療法としての医薬組合せ製剤又は投与レジメンにおいて、抗侵害受容性特性を有する第2の(又は第3の)化合物と更に組み合わされ得る。
疼痛の処置のために、TNFα及びNGFアンタゴニスト多機能性ポリペプチド(例えば、本明細書で提供される多重特異性結合分子)の適切な投与量は、処置される疼痛の種類、疼痛の重症度及び経過、疼痛の反応性、この多機能性ポリペプチドを治療目的で投与するか又は予防目的で投与するか、過去の治療、患者の臨床歴並びに同類のものにより、全て処置する医師の裁量で決まる。多機能性ポリペプチドを1回投与するか又は数日~数ヶ月にわたる一連の処置で投与して、有効な疼痛制御を維持し得る。最適な投与スケジュールは、患者の体内の薬剤蓄積についての測定値から算出され得、個々の抗体又はポリペプチドの相対的な効力に依存して変動するであろう。投与している医者は、最適な投与量、投与手法及び反復率を容易に決定し得る。
多機能性ポリペプチド(例えば、本明細書で提供される多重特異性結合分子)の投与により、「相乗効果」がもたらされ得、「相乗的」であること(即ち有効成分が一緒に使用される場合に達成される効果)は、化合物を個別に使用することにより得られる効果の総和と比べて大きい場合に証明される。有効成分を単一の多機能性融合ポリペプチドとして投与する場合、相乗効果が達成され得る。
疼痛
最も広い用法では、「疼痛」は、これを経験している個体にとって非常に主観的であり且つ環境及び文化的背景等の個体の精神状態による影響を受ける体験的現象を指す。「身体的」疼痛は、通常、実際の又は潜在的な組織損傷の原因となる、第三者に知覚可能な刺激に関連付けされ得る。この意味では、疼痛は、国際疼痛学会(ISAP)によれば、「実際の若しくは潜在的な組織損傷と関連しているか又はそのような損傷の観点で説明されている感覚的で感情的な経験」と見なされ得る。しかしながら、疼痛の一部の例には、知覚可能な原因がない。例えば、心因性疼痛、例えば、心因性要因による既存の身体的疼痛の悪化又は疼痛の知覚可能な原因の証拠がない心理的障害を有する人における時に持続的に知覚される疼痛の症状。本発明に関連して、「疼痛」は、本明細書で開示されている疼痛の種類のいずれかであり得るか、又はこのいずれかを含み得る。
疼痛の種類
本発明に関連して、疼痛として、侵害受容性疼痛、神経障害性/神経原性疼痛、突破痛、アロディニア、痛覚過敏、知覚過敏、異常錯感覚、錯感覚、ヒペルパチー、幻肢痛、心因性疼痛、無知覚性疼痛症、神経痛、神経炎が挙げられる。他の分類には、悪性疼痛、狭心痛及び/又は特発性疼痛、複合性局所疼痛症候群I、複合性局所疼痛症候群IIが含まれる。疼痛の種類及び症状は、互いに排他的である必要はない。これらの用語は、IASPにより定義された通りに意図されている。
侵害受容性疼痛は、侵害刺激に反応した末梢神経中の特殊な感覚侵害受容器により開始され、侵害刺激は活動電位にコードされる。侵害受容器は、一般に、Aδ繊維及び(ポリモーダル)C繊維上に存在し、皮膚の直下、腱、関節及び体器官中で終わる自由神経終末である。後根神経節(DRG)神経細胞は、末梢と脊髄との間の伝達部位を提供する。信号は、脊髄を通って脳幹及び視床部位に処理され、最終的には大脳皮質に処理され、通常(しかしながら、常にではない)疼痛の感覚を誘発する。侵害受容性疼痛は、身体組織を刺激するか又は損傷する可能性を有する多種多様な化学的な、熱的な、生物学的な(例えば炎症性の)又は機械的な事象から生じる可能性があり、この事象は、一般に、侵害受容器中で侵害受容活動を引き起こすのに必要な強度の特定の最小閾値を超えている。
神経障害性疼痛は、一般に、末梢神経系又は中枢神経系の異常な機能の結果であり、それぞれ、末梢神経障害性疼痛又は中枢神経障害性疼痛が生じる。神経障害性疼痛は、IASPにより、神経系での一時的な病変又は機能障害により開始されるか又は引き起こされる疼痛と定義されている。神経障害性疼痛は、特に慢性の場合、神経系への実際の損傷を伴うことが多い。炎症性侵害受容性疼痛は、一般に、組織損傷及び結果として起きる炎症過程の結果である。神経障害性疼痛は、組織に対する任意の観察可能な損傷の明らかな治癒後(例えば、数ヶ月後又は数年後)でも十分に継続している可能性がある。
神経障害性疼痛の場合、患部からの感覚処理に異常が生じる可能性があり、通常、疼痛を引き起こさないであろう無害の刺激(即ち熱、触覚/圧力)が、疼痛を引き起こす場合があるか(即ちアロディニア)、又は通常、疼痛を伴う刺激に反応して疼痛を誇張して感じる場合がある(即ち痛覚過敏)。加えて、電気的刺激若しくはショック又は「ピン及び針」と同様の感覚(即ち錯感覚)並びに/又は不快な特性を有する感覚(即ち異常感覚)が通常の刺激により誘発される場合がある。突出痛は、既存の慢性疼痛の悪化である。ヒペルパチーは、刺激に対する異常に有痛性の反応により生じる有痛性の症候群である。刺激は、殆どの場合、疼痛閾値が増加する反復性であり、疼痛閾値は、患者が疼痛として認識し得る疼痛の最小の経験と見なされ得る。
神経障害性疼痛の例として、下記が挙げられる:接触性アロディニア(例えば、神経損傷後に誘発される接触性アロディニア)、神経痛(例えば、ヘルペス後(又は帯状疱疹後)神経痛、三叉神経痛)、反射***感神経性ジストロフィー/カウサルギー(神経外傷)、癌性疼痛の構成成分(例えば、癌自体に起因する疼痛、又は炎症等の状態に関連する疼痛、又は化学療法、外科手術若しくは放射線療法等の処置に起因する疼痛)、幻肢痛、絞扼性ニューロパシー(例えば手根管症候群)並びに神経障害、例えば末梢神経障害(例えば、糖尿病、HIV、慢性的なアルコールの使用、他の毒素(多くの化学療法を含む)に対する曝露、ビタミン欠乏症並びに多種多様な他の医学的状態。神経障害性疼痛として、様々な原因(例えば、外科手術、創傷、帯状疱疹、糖尿病性神経障害、脚又は腕の切断、癌及び同類のもの)に起因する神経損傷後の神経系の病理学的操作の発現により誘発される疼痛が挙げられる。神経障害性疼痛に関連する医学的状態として、外傷性神経損傷、脳卒中、多発性硬化症、脊髄空洞症、脊髄損傷及び癌が挙げられる。
疼痛を引き起こす刺激は、自体が疼痛の経験の一因となり得る炎症反応を呼び起こすことが多い。一部の状態では、疼痛は、侵害受容性因子及び神経障害因子の複雑な混合により引き起こされると思われる。例えば、慢性疼痛は、炎症性の侵害受容性疼痛若しくは神経障害性疼痛又は両方の混合を含むことが多い。最初の神経系の機能障害又は損傷により、炎症性メディエータの神経性放出及びその後の神経障害性炎症が誘発され得る。例えば、片頭痛は、神経障害性疼痛及び侵害受容性疼痛の混合を表し得る。また、筋筋膜痛は、筋肉からの侵害受容性インプットに対しておそらく二次的であるが、異常な筋肉活動性は、神経障害性状態の結果であり得る。
本発明で提供される疼痛を制御する(例えば、疼痛を軽減又は予防する)方法によれば、本明細書で開示されている結合分子のいずれかの投与は、疼痛制御を必要とする対象の疼痛を制御する(例えば、疼痛を軽減又は予防する)のに十分である。一部の実施形態では、疼痛の軽減は、対象への本明細書で開示されている結合分子のいずれかの単回用量投与後に観察される。一部の実施形態では、疼痛の軽減は、対象への本明細書で開示されている結合分子のいずれかの複数回用量の投与後に観察される。特定の実施形態では、本開示は、変形性関節症を伴う疼痛を軽減又は予防するための方法又は投与量レジメンを提供する。一部の実施形態では、変形性関節症を伴う疼痛は、変形性関節症を伴う膝の疼痛である。
疼痛を予防するか又は軽減する方法の一部の実施形態では、疼痛は、急性疼痛、短期間疼痛、持続性若しくは慢性の侵害受容性疼痛又は持続性若しくは慢性の神経障害性疼痛である。一部の実施形態では、疼痛は、慢性疼痛を含む。一部の実施形態では、疼痛は、関節炎(例えば、膝又は股関節の炎症)を伴う。一部の実施形態では、疼痛は、変形性関節症疼痛を含む。一部の実施形態では、疼痛は、膝の変形性関節症疼痛を含む。
TNFα及びNGFアンタゴニストを含むキット
本開示は、本明細書で説明されている方法を実施するために使用され得る、本明細書で提供されるTNFα及びNGFアンタゴニスト多機能性ポリペプチド(例えば多重特異性結合分子)を含むキットを提供する。特定の態様では、キットは、1つ又は複数の容器中において、TNFαアンタゴニスト及びNGFアンタゴニストを含む多機能性融合ポリペプチド(例えば、配列番号14又は17のアミノ酸配列を含むポリペプチド)を少なくとも含む。当業者は、当技術分野では公知の確立されたキットフォーマットの1つに、本明細書で提供される本開示のTNFα及びNGFアンタゴニストを容易に組み込み得ることを容易に認識するであろう。
以上で本開示を概略的に説明したが、下記の実施例を参照することにより、本発明をより容易に理解するであろう。この実施例は、単に本開示の特定の態様及び実施形態を例示するために含まれるにすぎず、本開示を限定することを意図するものではない。
実施例1 - 抗NGF scFv/TNFR2-Fc多重特異性結合分子の構築及びキャラクタリゼーション
多機能性分子(具体的には、抗NGF抗体ドメインとTNFR2-Fcドメインとを含む多重特異性結合分子)を下記の通りに作製した。抗NGF抗体scFv断片を、Dimasi,N.,et al.,J Mol Biol.393:672-92(2009)及び国際公開第2013/070565号パンフレットで説明されているBs3Ab形式に従い、重鎖CH3ドメインを介してTNFR2-Fc融合タンパク質(配列番号13)のC末端と融合させた。この構造の図を図1に示す。TNFR2-Fcポリペプチド及び多重特異性結合分子をコードするDNA構築物をGeneArt(Invitrogen)で合成した。多重特異性結合分子の場合、15個のアミノ酸のリンカー配列(GGGGS)3(配列番号15)を介して互いに連結されているMEDI-578のVHドメイン(配列番号3)及びVLドメイン(配列番号7)を含む抗NGF scFvを構築した。このscFvのN末端を、10個のアミノ酸のリンカー配列(GGGGS)2を介して、配列番号13のC末端と融合させた。この多重特異性結合分子は、本明細書ではTNFR2-Fc_VH#4と称される。多重特異性結合分子をコードするDNA構築物を、Bs3Ab発現ベクターへのクローニングのために、3’末端で停止コドン及びEcoRI制限部位を含むように操作した。TNFR2-Fc_VH#4をコードするDNA配列を配列番号16で表し、そのアミノ酸配列を配列番号14で表す。
TNF-NGF多重特異性結合分子の熱安定性を、この多重特異性結合分子のMEDI-578 scFv部分のVHドメインとVLドメインとの間に鎖内ジスルフィド結合を付加することにより改善した。これは、VLドメイン(配列番号94)のアミノ酸44及びVLドメイン(配列番号95)のアミノ酸103でG→C変異を導入することにより行った。このクローンをTNFR2-Fc_varBと命名した。TNFR2-Fc_varBのアミノ酸配列を配列番号17で表す。TNFR2-Fc_varBをコードするDNA配列を配列番号18で表す。TNFR2-Fc_varBをコードするコドン最適化DNA配列を配列番号99で表す。TNFR2-Fc_varBは、scFv部分のVH及びVLを連結する15個のアミノ酸のリンカー配列(GGGGS)3が20個のアミノ酸のリンカー(GGGGS)4(配列番号19)に置き換えられている点でTNFR2-Fc_VH#4と更に異なる。示差走査蛍光定量法(DSF)を使用して、TNFR2-Fc_VH#4及びTNFR2-Fc_varBのTmを測定した。この方法により、高温への曝露時でのタンパク質ドメインの展開中に現れる疎水性表面に結合する蛍光色素Sypro Orange(Invitrogen)の組込みが測定される。DSFアッセイでは、TNFR2-Fc_VH#4のTmは62℃であり、TNFR2-Fc_varBのTmは66℃であった。従って、多重特異性分子のMEDI-578 scFv部分での鎖間ジスルフィド結合の付加により、この分子の熱安定性が4℃改善された。
TNFR2-Fcタンパク質及びTNFR2-Fc_VH#4を、遺伝子導入試薬としてポリエチレンイミン(PEI)(Polysciences)を使用して、懸濁CHO細胞中で一過的に発現させた。この細胞をCD-CHO培地(Life Technologies)中で維持した。小規模遺伝子導入からの培養回収物を、製造業者のプロトコル(GE Healthcare)に従って1ml HiTrap MabSelect SuRe(商標)アフィニティクロマトグラフィーを使用して精製し、続いて1%スクロース、100mM NaCl、25mM L-アルギニン塩酸塩及び25mMリン酸ナトリウム(pH6.3)に緩衝液交換した。組換えタンパク質の純度を、還元条件下でSDS-PAGEを使用し、且つ分析用サイズ排除クロマトグラフィーを使用して分析し(下記の方法を参照されたい)、濃度を、理論的に決定された吸光係数を使用して280nmでの吸光度を読み取ることにより決定した。
TNFR2-Fc融合タンパク質及びTNF-NGF多重特異性構築物TNFR2-Fc_VH#4の小規模一過性発現及びプロテインAカラム精製により、それぞれ36.6及び79.9mg L-1の収量が得られた。
TNFR2-Fc_VH#4のより大きいバッチを下記の通りに作製した。大規模遺伝子導入(最大で6L)からの粗培養回収物を、深層ろ過を使用してろ過し、緩衝液A(リン酸緩衝生理食塩水pH7.2)で予め平衡化した1.6×20cmプロテインAアガロースカラム(GE Healthcare)にロードした。次いで、このカラムを緩衝液Aで洗浄し、生成物を緩衝液B(50mM酢酸ナトリウム pH<4.0)の工程勾配で溶出させた。この生成物を、緩衝液C(50mM酢酸ナトリウム緩衝液 pH<5.5)で予め平衡化した1.6×20cm Poros HS 50カラム(Applied Biosystems)にロードして更に精製し、緩衝液Cで洗浄し、次いで生成物を50mM酢酸ナトリウム緩衝液pH<5.5中の0~1M NaClの線形勾配で溶出させた。得られた溶出液をサイズ排除HPLCで分析した。タンパク質濃度を、算出された吸光係数1.36を使用して、Beckman DU520分光光度計によるA280分光法により決定した。
TNFR2-Fc_VH#4のキャラクタリゼーション方法
標準的なプロトコルを使用して、ウエスタンブロット分析を実行した。製造業者の指示に従ってXcell SureLock(商標)システム(Invitrogen)を使用して、タンパク質をフッ化ポリビニリデン膜(Life Technologies)上に転写した。この膜を室温で1時間にわたりリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の3%(w/v)スキムミルク粉末でブロックした。ウエスタンブロットを、HRPコンジュゲート抗ヒトIgG Fc特異的抗体(Sigma)による標準的なプロトコルを使用して現像した。
サイズ排除HPLCを、1ml/分の流速でのD-PBS(life Technologies)の移動相によるPhenomenex BioSep-SEC-S3000(300×7.8mm)カラムにより、Gilson HPLCシステム(Isocratic pump-307、UV/Vis-151検出器、Liquid Handler-215及びInjection Module-819)を使用して実施した。このカラムにサンプル25μLを注入し、タンパク質種の分離をA280nmでモニタリングした。
小規模の精製されたTNFR2-Fc_VH#4の酵素的脱グリコシル化を、製造業者のプトロコルに従ってEDGLYキット(Sigma Aldrich)を使用して実施した。タンパク質を変性条件及び天然条件の両方下で脱グリコシル化した。変性タンパク質の場合、37℃で3時間にわたり、タンパク質30μgをPNGアーゼF、O-グリコシダーゼ及びα-(2→3,6,8,9)-ノイラミニダーゼ、β-N-アセチルグルコサミニダーゼ及びβ-(1→4)-ガラクトシダーゼにより脱グリコシル化した。天然条件下でタンパク質35μgを37℃で3日にわたり、上記と同一の酵素セットで脱グリコシル化した。脱グリコシル化タンパク質を、標準的なアッセイプロトコルを使用して、クーマシー染色SDS-PAGE及びウエスタンブロットで分析した。
TNFR2-Fc_VH#4のN末端アミノ酸の配列決定を下記の通りに実行した。標準的なプトロコルを使用して、TNFR2-Fc_VH#4約2μgをSDS-PAGEゲル上で泳動させた。製造業者の指示に従ってXcell SureLock(商標)システム(Invitrogen)を使用して、タンパク質をPVDF膜上に転写した。この膜をオービタルシェイキングプラットフォーム上で約15分にわたって0.1%(w/v)アミドブラックで染色し、次いでdH2Oで洗浄して、このPDVF膜のバックグラウンド染色を減少させた。この膜を風乾させた後、N末端を配列決定した。目的のバンドを切り出し、多重特異性結合分子のN末端の配列決定を、Applied Biosystems 140AマイクロHPLCを使用するオンラインフェニルチオヒダントイン分析と共に、Applied Biosystems 494 HTシーケンサー(Applied Biosystems,San Francisco,CA,U.S.A.)で実施した。
キャラクタリゼーション結果
精製されたTNFR2-Fc_VH#4及びTNFR2-Fcの各タンパク質を凝集体、単量体及びタンパク質断片化のレベルに関してSEC-HPLCでプロファイルした(図2A及び2B)。単量体を含む主ピークは、存在する全タンパク質の約90%を構成しており、タンパク質質量の残り約10%は、カラム保持時間が短く、これは、より高次の種又は凝集体の存在を示す。しかしながら、SEC-HPLCからの単量体ピークには、2つの顕著な肩があり、これは、このピーク内のタンパク質が単一種ではなかったことを示す。クーマシー染色を伴うSDS-PAGE分析から、還元条件下での、TNFR2-Fc_VH#4に関する2つの異なるバンド(約100及び75kD)並びにTNFR2-Fc融合タンパク質に関する同様の2つの異なるバンド(約70及び45kD)が示された(図2B)。非還元条件下では、TNFR2-Fc_VH#4に関して3つの主要なバンドが存在し(150~250kD)、TNFR2-Fc融合タンパク質に関して1つの主要なバンド及び1つの小さいバンド(それぞれ、約150及び120kD)が存在した。還元条件下での2つのバンド間の分子量差は、scFv断片のサイズ(約26.5kD)とほぼ等しかったことから、多重特異性結合分子がどのような形態で生成されているかを理解するために更なる分析を実施した。天然条件下での質量分析により、SDS-PAGEデータを確認し、2種の別々の精製されたタンパク質調製物に関して、精製されたTNFR2-Fc_VH#4調製物中に3つの分子量(約125、152及び176kD)が存在した(図2C)。
SDS-PAGEゲルにより観察されたバンドパターンが、TNFR2-Fc_VH#4の異なるグリコシル化に起因していた場合、脱グリコシル化時、これは、単一のバンドに分解されるであろう。しかしながら、TNFR2-Fc_VH#4が天然タンパク質又は変性タンパク質のいずれかとして脱グリコシル化された場合、還元条件下及び非還元条件下の両方でバンドパターンが維持された(データは示さない)。ポリクローナル抗ヒトIgG Fc特異的抗体による、グリコシル化TNFR2-Fc_VH#4及び脱グリコシル化TNFR2-Fc_VH#4の両方のウエスタンブロット染色により、完全長の予想バンドと、より低い分子量のバンドとの両方が、抗Fc特異的抗体と反応することが示された(データは示さない)。
トランケートされた生成物の最終同定をこのタンパク質のN末端アミノ酸配列決定により行った。これにより、トランケートされたタンパク質のN末端の最初の8個のアミノ酸は、TNFR2-Fc_VH#4配列(配列番号14)のアミノ酸176~183に対応するSMAPGAVHであることが明らかとなった。これは、TNFR2ドメインの42個のアミノ酸のみが残るTNFR2-Fc_VH#4のN末端での175個のアミノ酸のトランケーションを意味した。これにより、本発明者らは、SDS-PAGE、質量分析及びSEC-HPLC分析からの質量データを正確に解釈することが可能となる。TNFR2-Fc_VH#4二量体の可能な組合せは、下記の3通りであり、全てが、精製されたタンパク質調製物中に存在した:(1)完全長のホモ二量体、(2)完全長種とトランケートされた種とのヘテロ二量体、及び(3)トランケートされた種のホモ二量体。インビトロ及びインビボの両方での生物学的活性を正確に測定するために、完全長のホモ二量体の調製物を2段階カラムクロマトグラフィープロセスにより生成した。第1の工程では、プロテインA精製後、生成物は、80.5%の単量体を含み(図3A)、第2のカラム精製工程(SPセファロース)後、単量体の割合は、97.8%であった(図3B)。このプロセス全体の収率は、7.3%であった。
実施例2 - 示差走査熱量測定(DSC)による熱安定性分析
熱量測定に自動型MicroCal VP-Capillary DSC(GE Healthcare,USA)を使用した。タンパク質サンプルを25mMヒスチジン/ヒスチジン-HCl緩衝液pH6.0中の1mg/mLで試験した。このタンパク質サンプル及び緩衝液を1時間当たり95℃の速度で25℃~100℃の線形ヒートランプに曝した。Origin 7ソフトウェアを使用して、緩衝液を基準としてタンパク質サンプルから減算し、熱転移を決定した。
TNFR2-Fc_VH#4のサーモグラム(図4)は、変性温度(Tm)が64、67及び84℃である3つの異なる展開転移を示す。本発明者らは、64℃のTmは、TNFR2ドメイン及び抗NGF scFvドメインの両方の変性に対応していると推定しており、67℃及び84℃のTmは、それぞれ、IgG1 CH2及びCH3の各ドメインの変性Tmに特有である(例えば、Dimasi,N.,et al.,J Mol Biol.393:672-92(2009)及び国際公開第2013/070565号パンフレット)。理論に拘束されることを望まないが、scFvは、一般には、他の抗体ドメインと比べて変性温度が低く、その展開は、単一の転移事象を特徴とする(Roberge et al.,2006,Jung et al.,1999,Tischenko et al.,1998)。
実施例3 - TNFR2-Fc_VH#4への抗原結合の確認
A.ELISAによる単一抗原結合及び二重抗原結合
Nunc Maxisorpウェルを、PBS(pH7.4)中の5μgml-1まで希釈したTNFα(R&D Systems)50μlで4℃において一晩コーティングした。翌日、このコーティング液を除去し、このウェルを室温で1時間にわたりブロッキング緩衝液[3%スキムミルク-PBS]150μlでブロックした。このウェルをPBSで3回すすぎ、その後、ブロッキング緩衝液で作製したTNFR2-Fc_VH#4jの希釈系列50μlを添加した。室温で1時間後、このウェルをPBS-Tween(0.1%v/v;PBS-T)で3回洗浄した。次いで、このウェルにビオチン化NGF 50マイクロリットルを添加し、室温で更に1時間にわたってインキュベートし、その後、上記のように洗浄し、ストレプトアビジン-HRP(1:100)50μlを添加した。室温で1時間後、このウェルをPBS-Tで洗浄し、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン基質50μlを添加し、発色させた。この反応を1M H2SO4の添加により停止させ、450nmdでの吸光度を、マイクロタイタープレートリーダーを使用して測定した。得られたデータを、Prism 5ソフトウェア(GraphPad,San Diego,CA)を使用して分析した。単一抗原結合ELISAの場合、ウェルをTNFα又はNGF-ビオチンのいずれかで上記のようにコーティングし、抗体結合を抗ヒトIgG Fc特異的HRPコンジュゲート抗体(1:5000)で検出し、上記のように発色させた。
ELISAの結果を図5に示す。TNFR2-Fc_VH#4を、TNFα抗原及びNGF抗原の両方に結合するように設計した。単一抗原結合を、最初に96ウェルマイクロタイタープレート上に1種の抗原を固定化し、続いてTNFR2-Fc_VH#4の連続希釈液を添加することにより実施した。特異的結合を、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲート抗IgG Fc特異的抗体を使用することにより検出した。二重抗原結合ELISAの場合、第1の抗原TNFαをELISAプレート上に固定し、次いでTNFR2-Fc_VH#4の連続希釈液を添加し、続いて第2のビオチン化抗原NGFを固定濃度で添加した。特異的結合を、HRPコンジュゲートストレプトアビジンを使用して検出した。単一抗原結合ELISAでは、TNFR2-Fc_VH#4は、TNFα及びNGFに結合した(図5A及び5B)。二重抗原結合ELISAでは、TNFR2-Fc_VH#4は、TNFα及びNGFの両方に同時に結合した(図5C)。
B.表面プラズモン共鳴による同時抗原結合
同時抗原結合実験を、BIAcore 2000機器(GE Healthcare)を使用して、本質的にはDimasi,N.,et al.,J Mol Biol.393:672-92(2009)で説明されているように実行した。簡潔に説明すると、CM5センサーチップを使用して、100nMでTNFR2-Fc_VH#4の約1500共鳴単位を固定した。次いで、センサーチップ表面をTNFα及びNGFの同時結合に使用した。抗原をHBS-EP緩衝液[10mM HEPES(pH7.4)、150mM NaCl、3mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、0.005% P20]で調製した。全ての結合測定に関して、30μL/分の流速を使用した。TNFα及びNGFに対する多重特異性抗体の同時結合を測定するために、1μM TNFα(分子量17.5kD)をセンサーチップ表面上に注入し、注入の完了時にTNFα及びNGF(分子量13.5kD)(両方とも1μM)の混合物を注入した。NGF結合段階中でのTNFα解離に起因するシグナルロスを防止するために、TNFαをNGFとの混合物に含めた。コントロールとして、同様の結合手順を実施し、最後の注入ではTNFαのみを添加し、この注入に関する共鳴単位の更なる増加はなく、これは、TNFαが飽和レベルで結合していることを示した。TNFα及びNGFの注入順序を逆にして、同様の結合実験及びコントロール実験を実施した。
TNFR2-Fc_VH#4の同時抗原結合を表面プラズモン共鳴によりキャラクタライズした。結合事象を逐次的に定性分析した。アミノカップリング化学を使用して、TNFR2-Fc_VH#4をセンサーチップ表面上に共有結合的に固定した。その後、TNFR2-Fc_VH#4への結合が飽和レベルになるまで第1の抗原を注入し、第2の抗原を抗原1との等モル混合として注入した。結合センサーグラムから、TNFR2-Fc_VH#4がTNFα及びNGFに同時に結合することが明確に示された(図6)。抗原注入の順序に関係なく、これらの2種の抗原の同時結合が起きた。
実施例4 - NGF誘発性TF-1細胞増殖の阻害
TF-1細胞(ECACCカタログ番号93022307)を96ウェル組織培養プレート(Corning Costar)中の血清フリー培養培地50μlに1.5×104個の細胞/ウェルで播種し、37℃及び5%CO2で18時間にわたってインキュベートした。組換えヒト(Sigma)又はマウスNGF(R&D Systems)を96ウェル丸底プレート(Greiner)中において、37℃で30分にわたり、TNFR2-Fc_VH#4、MEDI-578 IgG1 TM YTE、MEDI-578に関する結合していないIgG1 TM YTEアイソタイプコントロール又は結合していない二重特異性アイソタイプコントロールR347 Bs3Abの希釈液と共に予めインキュベートした。次いで、この細胞プレートに各サンプル50マイクロリットルを添加し、37℃で48時間にわたってインキュベートした。インキュベート期間後、細胞TITRE GLO(登録商標)アッセイ緩衝液(Promega)100μlを添加し、このプレートを37℃及び5%CO2で10分にわたってインキュベートした。次いで、標準的な発光プロトコルを使用して発光を測定した。抗体の非存在下での標準的なNGF誘発性TF-1増殖を図7Aに示す。
TNFR2-Fc_VH#4の機能的活性を、NGF誘発性TF-1増殖を使用して決定した。TNFR2-Fc_VH#4は、ヒトNGFにより誘発される増殖及びマウスNGFにより誘発される増殖の両方を完全に阻害し得た(それぞれ、図7B及び7C)。図7B:TF-1細胞を、EC80濃度に対応する組換えヒトNGFで刺激した。細胞を、48時間にわたり、抗体の希釈系列を有するリガンドと共にインキュベートし、その後、細胞TITRE GLO(登録商標)アッセイ緩衝液(Promega)による10分にわたる培養により、細胞増殖を定量した。図7C:TF-1細胞を、EC80濃度に対応する組換えマウスNGFで刺激した。細胞を、48時間にわたり、抗体の希釈系列を有するリガンドと共にインキュベートし、その後、細胞TITRE GLO(登録商標)アッセイ緩衝液(Promega)による10分にわたる培養により、細胞増殖を定量した。これらのデータから、TNFR2-Fc_VH#4のNGF阻害部分は、生物学的に活性であり、IgG1TMと同様のMEDI-578に対する効力でNGF誘発性増殖を阻害することが実証される。同様のデータは、TNFR2-Fc_varB及び別のTNF-NGF多重特異性結合分子ヌディマブvarBに観察しても観察された(図7D及び7E)。ヌディマブvarBは、完全な抗TNFα抗体を含み、即ちH2L2形式で2本の完全な重鎖及び2本の完全な軽鎖を含む抗体を含み、MEDI-578 scFvは、抗TNFα抗体の重鎖のC末端に融合している。ヌディマブvarBの軽鎖は、配列番号20で示されており、ヌディマブvarBの重鎖は、配列番号22で示されている。
実施例5 - TNFαにより誘発されるU937細胞アポトーシスの阻害
U937細胞(ECACCカタログ番号85011440)を培養培地50μl中に8×105個の細胞/ウェルの濃度において、壁が黒色の96ウェル組織培養プレート(Corning Costar)中に蒔いた。U937細胞を、EC80濃度に対応する組換えヒトTNFαで刺激した。細胞を、2時間にわたり、抗体の希釈系列を有するリガンドと共にインキュベートし、その後、カスパーゼ3活性をカスパーゼ3アッセイ反応緩衝液による2時間にわたる培養により定量した。TNFR2-Fc_VH#4、結合していない二重特異性アイソタイプコントロール、R347 Bs3Ab及びエタネルセプトを37℃で30分にわたって細胞と共に予めインキュベートした。これに続いて、組換えヒトTNFα(R&D Systems)50μlを添加して、最終アッセイ濃度20ng/mlを得、続いて37℃で2時間インキュベートした。インキュベーション期間後、カスパーゼ3アッセイ反応緩衝液(0.2%w/v CHAPS、0.5%v/v Igepal CA-630、200mM NaCl、50mM HEPES、20μM DEVD-R110基質(Invitrogen))50μlを添加し、細胞を37℃で2.5時間にわたってインキュベートした。475nmでの励起及び512nmでの発光により、蛍光を測定した。TNFαアンタゴニストの非存在下でのカスパーゼ活性を図8Aに示す。
TNFR2-Fc_VH#4の機能的活性を、U937細胞におけるTNFα誘発性カスパーゼ3活性アッセイを使用して決定した。TNFR2-Fc_VH#4は、エタネルセプトと同様に、TNFα誘発性カスパーゼ3活性を完全に疎外した(図8B)。これにより、TNFR2-Fc_VH#4のTNFα阻害部分は生物学的に活性であり、エタネルセプトと同様の効力を有することが明確に示されている。同様のデータをTNFR2-Fc_varB及びヌディマブvarBに関しても観察した(図8Cを参照されたい)。
実施例6 - インビボアッセイ
全てのインビボ処置をUK Home Office Animals(Scientific Procedures)Act(1986)に従って実行しており、現地の倫理委員会の承認を得た。全体を通して、雌C57Bl/6マウス(Charles River,UK)を使用した。マウスを、12時間明/暗サイクル(点灯07:00~19:00)下において食餌及び水への自由なアクセスで、個別換気ケージ(IVC)中において1つのケージ当たり5/6匹の群で飼育した。飼育及び処置の部屋を24℃で維持しており、従来のラジオ局により、一定のバックグラウンドノイズを維持した。全てのマウスに対して、各試験開始の少なくとも5日前に、識別するために麻酔(酸素中に3%イソフルラン)下でトランスポンダを挿入した。
A.神経障害性疼痛のSeltzerモデル
機械的痛覚過敏を、無痛覚計を使用して決定した(Randall LO,Selitto JJ,Arch Int Pharmacodyn Ther.111:409-19(1957))(Ugo Basile)。離脱応答が観察されるまで、各後足の背面に順番に力を増加させながら加えた。この時点で力の適用を停止し、体重をグラムで記録した。データを同側の足及び反対側の足についてグラムでの離脱閾値として表した。ベースラインの読み取りの確立後、マウスを、ほぼ等しい同側/反対側比を有する2つ群に分割し、外科手術を施した。マウスを3%イソフルランで麻酔した。この後、左坐骨神経の約1cmを大腿中央の位置で切開による鈍的切開によって露出させた。次いで、縫合糸(10/0 Virgin Silk:Ethicon)を背側の神経の3番に通して、きつく結んだ。接着剤を使用して切開を閉じて、試験開始前の少なくとも7日間にわたり、マウスを回復させた。偽手術を施したマウスは同じプロトコルを受けたが、神経の露出後、創傷を縫合して回復させた。マウスを手術後の7日目及び10日目に痛覚過敏の発症について試験した。10日目の試験後、手術したマウスを、CAT251 IgG1アイソタイプコントロール(0.03mg/kg s.c.)、エタネルセプト(0.01mg/kg s.c.)、MEDI-578(0.03mg/kg s.c.)又はエタネルセプト(0.01mg/kg s.c)及びMEDI-578(0.03mg/kg s.c)の組合せが投与された群に更に細分割した。偽手術を施したマウス全てにCAT251(0.03mg/kg s.c.)を投与した。用量後4時間、1、2、3、4及び7日で機械的痛覚過敏を測定した。
機械的痛覚過敏モデルでのエタネルセプト及びMEDI-578の共投与は、偽手術を施したコントロールと比較した場合、手術後10日目に同側/反対側比における有意な低下として顕在化した(図9)。エタネルセプト(0.01mg/kg s.c.)又はMEDI-578(0.03mg/kg s.c.)いずれかの単回用量の投与では、この痛覚過敏を有意に逆転させ得なかった。MEDI-578(0.03mg/kg s.c.)と一緒のエタネルセプト(0.01mg/kg s.c.)の共投与により、用量後4時間で機械的痛覚過敏が有意に逆転し、この効果は、用量後7日間を通して維持された。
第2の試験では、TNFR2-Fc_VH#4の効果を評価した。機械的痛覚過敏の確立後、手術後13日目にR347 Bs3Abアイソタイプコントロール(0.03mg/kg s.c.)、エタネルセプト(0.01mg/kg s.c.)、MEDI-578(0.03mg/kg s.c.)又はTNFR2-Fc_VH#4(0.01mg/kg若しくは0.03mg/kg s.c.)をマウスに投与した。偽準備した動物にR347 Bs3Abアイソタイプコントロール(0.03mg/kg s.c.)を投与した。マウスを、上記で説明したように、用量後4時間並びに用量後1、2、4及び7日目に機械的痛覚過敏に関して試験した。
TNFR2-Fc_VH#4の投与により、偽手術を施したコントロールと比較した場合、手術後10日目に同側/反対側比における有意な低下が生じた(図10A)。エタネルセプト(0.01mg/kg s.c.)又はMEDI-578(0.03mg/kg s.c.)いずれかの投与では、機械的痛覚過敏を有意に逆転させ得なかった。しかしながら、TNFR2-Fc_VH#4(0.01及び0.03mg/kg s.c.)の投与により、用量後4時間で機械的痛覚過敏が有意に逆転し、効果は、用量後6日間を通して維持された。R347コントロールBs3Abの投与後には、効果が見られなかった。TNFR2-Fc_varBを投与した場合、同様のデータが観察された(図10Bを参照されたい)。これらのデータから、TNFR2-Fc_VH#4は、非常に低い用量で疼痛を有意に逆転させ得ることが示差されており、MEDI-578又はエタネルセプトいずれかの単独では、同等の用量は、効果がないか又は最小であることが示された。
B.慢性関節痛モデル
機械的過敏を、マウスインキャパシタンステスターを使用して決定した。マウスを別々のセンサーに後足を載せて装置中に置き、体重分布を、4秒の期間をかけて算出した。データをグラムでの同側及び反対側の体重負荷の比として表した。
ベースラインの読み取りの確立後、マウスを、ほぼ等しい同側/反対側比を有する2つ群に分割した。下記の技術を使用して、関節内注射を実行した:動物を、酸素中の3%イソフルランを使用して麻酔し、左膝を剪毛して清浄にした。各マウスの膝関節に、100μl Hamiltonシリンジに搭載された25ゲージ針を使用して、フロイント完全アジュバント(FCA)(10mg/ml)又はビヒクル(軽油)いずれか10μlを注射した。注射を膝関節の滑膜腔中に直接行った。上記で説明したように、マウスを回復させ、注射後7日目及び10日目に機械的過敏の変化に関して再試験した。10日目での試験後、FCA処置マウスを群に更に無作為化し、13日目にマウスにエタネルセプト(0.01mg/kg i.p.)又はビヒクルを投与し、その後、MEDI-578(0.03mg/kg i.v.)又はCAT251アイソタイプコントロール(0.03mg/kg i.v.)の用量を投与した。上記で説明したように、用量後4時間並びに用量後1、2、4及び7日目にマウスを機械的過敏に関して試験した。
エタネルセプト及びMEDI-578の共投与の効果を、炎症性疼痛の関節内FCAモデルを使用して評価した。FCAの関節内投与により、ビヒクルコントロールと比較した場合に7及び10日目に同側/反対側比の有意な低下として顕在化した機械的過敏が引き起こされた(図11)。偽処置群では、処置前のベースラインレベルと比較して、同側/反対側比の低下は観察されなかった。エタネルセプト(0.01mg/kg i.p.)+CAT251(0.03mg/kg i.v.)又はPBS(10ml/kg i.p.)+MEDI-578(0.03mg/kg i.v.)の投与により、用量後4時間並びに用量後1、2、4及び7日目にFCA誘発性機械的過敏をわずかに逆転させたが、これは、統計学的有意性に達し得なかった。しかしながら、エタネルセプト(0.01mg/kg i.p.)+MEDI-578(0.03mg/kg i.v)の投与により、用量後の全ての試験時間でFCA誘発性機械的過敏を有意に逆転させた。
第2の試験では、TNFR2-Fc_VH#4の効果を評価した。FCA誘発性機械的過敏の確立後、FCA後13日目にマウスにR347 Bs3Abアイソタイプコントロール(0.01mg/kg s.c.)、エタネルセプト(0.01mg/kg s.c.)、MEDI-578(0.01mg/kg s.c.)又はTNFR2-Fc_VH#4(0.003mg/kg若しくは0.01mg/kg s.c.)を投与した。再び、上記で説明したように、用量後4時間後並びに用量後1、2、4及び7日目にマウスを機械的過敏に関して試験した。
エタネルセプト及びMEDI-578個々の効果と比較したTNFR2-Fc_VH#4(「二重特異性」)の効果を図12に示す。エタネルセプト(0.01mg/kg s.c.)もMEDI-578(0.01mg/kg s.c.)も、用量後のあらゆる時点でFCA誘発性機械的過敏を有意に逆転させなかった。しかしながら、TNFR2-Fc_VH#4の投与により、FCA誘発性機械的過敏が有意に逆転した。高用量のTNFR2-Fc_VH#4(0.01mg/kg s.c.)は、この試験の持続期間中に有意な活性を示したが、低用量(0.003mg/kg s.c.)は、用量後1日目に有意性に達し、この試験の持続期間中に高用量と同様のレベルのままであった。
C.ラットにおける機械的過敏の確立されたFCA誘発性モデル
フロイント完全アジュバント(FCA)の足底内注射により、炎症反応が引き起こされ、この炎症反応により過敏症及び浮腫が誘発され、臨床的な炎症性疼痛のいくつかの側面が模倣される。これらの効果を、体重負荷を測定するために機器を使用して調べ得る。体重負荷方法を使用するTNFR2-Fc_VH#4 FCA誘発性過敏症の潜在的な抗痛覚過敏性質の評価。ナイーブラットは、このラットの体重を2本の後足間に等しく分配する。しかしながら、注射した(左)後足に炎症があり、且つ/又は痛みを感じる場合、体重は、冒された足により少ない体重がかかるように再分配される(損傷した足では体重負荷が低減する)。各後肢を通じた体重負荷を、ラットインキャパシタンステスター(Linton Instruments、UK)を使用して測定する。ラットを別々のセンサーに後足を載せてインキャパシタンステスター中に置き、両後肢によって及ぼされた平均の力を4秒間にわたって記録する。
この試験のために、ナイーブラット(雄、Sprague Dawleyラット(Harlan、UK)、198~258g)をホームケージ中において処置室に気候順応させ、食餌及び水を自由に摂らせた。インキャパシタンステスターへの慣らしを数日かけて実施した。ベースラインの体重負荷の記録を取った後、傷害を導入した。FCA(Sigmaから入手可能、1mg/ml溶液100μl)の左後足へ足底内注射により、炎症性過敏症を誘発した。処置前の体重負荷測定を行って、FCA後23時間で過敏症を評価した。
次いで、動物をランク付けし、ラテン方格法における体重負荷FCAウインドウに従って処置群に無作為化した。FCA注射後24時間後、動物を、0.003、0.01、0.03、0.3及び3mg/kgでi.v.投与するTNFR2-Fc_VH#4(「二重特異性」)、3mg/kgでi.v.投与する陰性コントロール抗体NIP228(ハプテンニトロフェノールに結合するように産生された抗体)、2ml/kgでp.o.投与するビヒクル(1%メチルセルロース)又は10mg/kgでp.o.投与するインドメタシンのいずれかで処置した。
体重負荷を抗体/薬物処置の4及び24時間後に評価した。各時点で処置群とビヒクルコントロール群とを比較することにより、データを分析した。統計学的分析には、InVivoStat(invivostat.co.uk)を使用する反復測定ANOVA及びこれに続く計画比較検定(p<0.05を有意とみなした)が含まれた。結果を図13に示す。4及び24時間でインドメタシン(10mg/kg)により過敏症の有意な逆転を観察した。0.3及び3mg/kgを投与したTNFR2-Fc_VH#4は、4及び24時間の両方で過敏症の有意な逆転を示し、0.003及び0.03mg/kgで投与したTNFR2-Fc_VH#4も過敏症の有意な逆転を示したが、24時間においてのみであった。アイソタイプコントロールであるNIP228は、いずれの時間点でもFCA反応に対する有意な効果がなかった。
実施例7 - TNFα及びNGFによるp38リン酸化
文献により、p38リン酸化が神経障害性疼痛の発症において重要な役割を果たすことが示唆されている。例えば、p38阻害剤による処置は、神経部分損傷モデルにおいて(Wen YR et al.,Anesthesiology 2007,107:312-321)及び坐骨の炎症性神経障害モデルにおいて(Milligan ED et al.,J Neurosci 2003,23:1026-1040)、神経障害性疼痛の症状の発症を予防することが示されている。本実験では、p38リン酸化に関するTNFα、NGF並びにTNFα及びNGFの組合せの役割を細胞培養アッセイで調べた。簡潔に説明すると、Neuroscreen-1細胞(PC-12ラット神経内分泌細胞のサブクローン)をTNFα、NGF又はTNFα及びNGFの組合せの漸増量と共にインキュベートした。20分間のインキュベート期間後、ホスホ-38を、均一時間分解蛍光(HTRF)アッセイ(Cisbio)を使用して定量した。
HTRFアッセイ:TNFα、NGF又はTNFα及びNGFの組合せによる刺激後、細胞上清を速やかに除去し、細胞を溶解緩衝液に溶解させた。ホスホ-p38 MAPK(Thr180/Tyr182)を、下記の2つの異なる特異的抗体:ユウロピウムクリプテート(ドナーフルオロフォア)にコンジュゲートしている抗ホスホ-p38抗体及びd2(アクセプターフルオロフォア)にコンジュゲートしている抗p38(全)抗体を使用するサンドイッチアッセイフォーマットで溶解物中において検出した。抗体を細胞溶解物と共にインキュベートし、HTRF比を、EnVision Multilabel Plate Reader(Perkin Elmer)を使用して行った665nm及び620nmでの蛍光測定値から算出した。
データを665nmでの発光と620nmでの発光との比として算出したHTRF比として表す。ホスホ-p38反応からのHTRF比を示すヒートマップを図14に示す。TNFα、NGF又はTNFα及びNGFの組合せの効果を示す用量反応曲線を図15に示す。図15から分かるように、ホスホ-p38に対する高濃度のTNFα及びNGFの併用効果は、いずれかの因子単独により誘発されるホスホ-p38シグナルの予測される合計と比べて大きい。このデータから、TNFα及びNGFが一緒に作用してp38リン酸化を誘発し得ることと、この2つ経路が、疼痛を引き起こす分子シグナル伝達に関与し得ることとが示唆される。
実施例8 - TNFα及びNGFによるERKリン酸化
p38同様に、ERKも神経障害性疼痛発症中に活性化される(Zhuang ZY et al.,Pain 2005,114:149-159)。本実験では、ERKリン酸化に関するTNFα、NGF並びにTNFα及びNGFの組合せの役割を細胞培養アッセイで調べた。簡潔に説明すると、Neuroscreen-1細胞(PC-12ラット神経内分泌細胞のサブクローン)をTNFα、NGF又はTNFα及びNGFの組合せの漸増量と共にインキュベートした。20分間のインキュベート期間後、ホスホ-ERKを、HTRFアッセイ(Cisbio)を使用して定量した。
HTRFアッセイ:刺激後、細胞上清を速やかに除去し、細胞を溶解緩衝液に溶解させた。ホスホ-ERK MAPK(Thr202/Tyr204)を、下記の2つの異なる特異的抗体:ユウロピウムクリプテート(ドナーフルオロフォア)にコンジュゲートしている抗ホスホ-ERK抗体及びd2(アクセプターフルオロフォア)にコンジュゲートしている抗ERK(全)抗体を使用するサンドイッチアッセイフォーマットで溶解物中において検出した。抗体を細胞溶解物と共にインキュベートし、HTRF比を、EnVision Multilabel Plate Reader(Perkin Elmer)を使用して行った665nm及び620nmでの蛍光測定値から算出した。
データを665nmでの発光と620nmでの発光との比として算出したHTRF比として表す。ホスホ-ERK反応からのHTRF比を示すヒートマップを図16に示す。TNFα、NGF又はTNFα及びNGFの組合せの効果を示す用量反応曲線を図17に示す。図17から分かるように、低量のTNFα単独では、ホスホ-ERKが誘発されなかったが、より高量では、NGF誘発性ホスホ-ERKが増強された。このデータから、TNFα及びNGFが一緒に作用してp38リン酸化を誘発し得ることと、これらの2つ経路が、疼痛を引き起こす分子シグナル伝達に関与し得ることとが示唆される。
実施例9 - 膝の有痛性変形性関節症を有するヒトにおけるTNFR2-Fc_varBの様々な用量の効果
膝の有痛性変形性関節症を有する18~80歳の対象に対して多施設無作為化二重盲検プラセボ対照インターリーブ単回漸増用量(SAD)及び複数回漸増用量(MAD)試験を計画した。SADコホート1には、TNFR2-Fc_varBを投与した3例の患者と、プラセボを投与した2例とが含まれていた。SADコホート2~7には、各8例の患者が含まれ、各コホートの6例には、TNFR2-Fc_varBを投与しており、各コホートの2例には、プラセボを投与した。MADコホート8及び9には、各18例の患者が含まれ、各コホートの12例には、TNFR2-Fc_varBを投与しており、各コホートの6例には、プラセボを投与した。MADコホート10及び11には、各12例の患者が含まれ、各コホートの9例には、TNFR2-Fc_varBを投与しており、各コホートの3例には、プラセボを投与した。この試験デザインの簡略化したレイアウトを18A及び18Bに示す。
SADコホートの対象に二重盲検でTNFR2-Fc_varB又はプラセボのいずれかを単回注入した。退院後、経過観察期間の終了まで、24時間の記憶を反映するために毎朝のほぼ同一時間に11点NRS(0~10)で毎日疼痛を記録するように対象に指示した。
驚くべきことに、2~1000μg/kgの用量の範囲でのTNFR2-Fc_varBの単回静脈内用量は、プラセボに対して毎日の平均疼痛スコアを(ピーク効果で)0.69~3.45ポイント反転させるように思われた(図19A~19B)。この効果は、50、250及び1000μg/kgの用量で統計的に有意である(p≦0.01)。この効果の持続期間は、驚くべきことに、TNFR2-Fc_varBの半減期(3~4日)と比較して10日超続いた。プラセボを投与した対象の疼痛スコアの減少は、約0.5ポイントであるように思われる。このプラセボ効果は、比較的低く、且つ安定しているように思われる。
Western Ontario and McMasters Universities osteoarthritis指標(WOMAC)は、OAを有する対象の慢性疼痛の結果としての機能障害を測定するための質問表ベースのツールである。驚くべきことに、0.3~1000μg/kgの範囲の用量でのTNFR2-Fc_varBの単回投与により、平均WOMAC疼痛サブスケールスコアが、10日以上の期間にわたって最大で約3ポイント有意に低下した(図20A~20B)。50、250及び1000μg/kgの用量では、疼痛サブスケールスコアのピーク反転は、2.0~2.9の範囲であり、且つ統計的に有利であり、p値は0.06以下である。疼痛NRSエンドポイントと同様に、単回用量後の効果の持続期間(約10日以上)は、半減期が3~4日である分子の予想よりも長かった。ピーク効果は、50及び250μg/kgそれぞれの用量で46~55%という遊離NGFの測定した抑制に対応していた(図21)。
末梢中の遊離NGFのレベルへのTNFR2-Fc_varBの効果を、Singulex Erennaアッセイを使用して決定した。簡潔に説明すると、用量前、用量後1、8及び24時間、8、15、22、29日目(2つの最高用量のみに関して43及び56日目)の時点で各対象から血液サンプルを採取した。血漿サンプルを下記の工程に従って調製してアッセイした:(1)サンプルと、抗NGF mAbでコーティングされた磁気ビーズとを混合する、(2)捕捉されたNGF磁気ビーズ複合体を、蛍光標識された抗ヒトNGF抗体と混合する、(3)ビーズ複合体を溶出させて蛍光標識を放出させる、(4)Erenna fluorescenceリーダーで蛍光シグナルを読み取る。遊離NGFの抑制を算出し、TNFR2-Fc_varBの各濃度での用量後14日期間にわたる平均抑制を算出してプロットした(図22)。14日にわたる遊離NGFの平均抑制は、0(0.3μg/kg)~約65%(1000μg/kg)の範囲であった。
末梢中の全NGFのレベルへのTNFR2-Fc_varBの効果を、Q2 Solutionsにより開発されたLC-MS/MSアッセイを使用して決定した。簡潔に説明すると、用量前、用量後1、8及び24時間、8、15、22、29日目(2つの最高用量のみに関して43及び56日目)の時点で各対象から血液サンプルを採取した。血清サンプルを、Neubert et al.,2013,Anal.Chem.,85:1719-1726で説明されているものと同様の方法で調製してアッセイした。SADコホート1~4(0.3~50μg/kg)の各対象に関して、全NGFレベルの上昇を算出してプロットし、コホート1~7のそれぞれに関して、平均全NGFレベルを算出した。TNFR2-Fc_varBの単回投与の用量の増加後、全NGFのレベルの明確な上昇を観察した(図23;表2)。理論に拘束されることを望まないが、この上昇は、NGFが結合しているTNFR2-Fc_varBの半減期と一致して増加するNGFの半減期に起因している可能性がある。
Figure 2023543005000002
各コホートの2例の対象に関して、全NGFが明確に上昇しなかったことに留意すべきである。この試験は、本出願の出願時には盲検化されたままであることから、プラセボサンプルが存在することが予測される。コホート3及び4に関して、抗薬物抗体の全NGFレベルへの明確な効果が観察された。この効果は、おそらく、TNFR2-Fc_varBの暴露の減少及び効果の持続期間の対応する短縮に起因していた。
TNFαレベルのレベルを測定するための代理として、Simoaプラットフォーム技術を使用してCXCL-13レベルを測定し得る。CXCL-13遺伝子発現は、リンホトキシンアルファ経路により制御されている。TNFR2-Fc_varBは、TNFα及びリンパ毒素アルファに結合しており、従って、CXCL-13発現のレベルへの効果を有すると仮定した。用量前、用量後1、8及び24時間、8、15、22、29日目(2つの最高用量のみに関して43及び56日目)の時点で各対象から血液サンプルを採取した。血清サンプルを調製し、次いでSimoa CXCL-13アッセイでアッセイした。明確な用量反応を観察しており、TNFR2-Fc_varBの増加した単回用量の投与後、CXCL-13レベルの抑制の増加を観察した(図24)。
静脈内投与したTNFR2-Fc_varBの血清レベルを単回漸増用量後の様々な時間間隔で決定した。TNFR2-Fc_varBの観察された血清中薬物動態から、全てのコホートが暴露されており、曝露量は平均して用量依存的に増加することが示された(図25)。図25は、皮下投与により、10日超にわたってTNFR2-Fc_varBbの比較的安定した血清レベルが得られたことを示す。
皮下投与による絶対的バイオアベイラビリティを、表3に示すように、TNFR2-Fc_varBの50μg/kgの皮下投与対50μg/kgの静脈内投与の単回用量からの曲線下面積(AUC)の幾何平均値(n=6)を比較することにより算出した。TNFR2-Fc_varBの皮下投与のバイオアベイラビリティは驚くほど低いことが分かり、21%と推定した。表3aに示すように、推定される絶対的バイオアベイラビリティ値の90%信頼区間は、0.1627~0.2781であった。
Figure 2023543005000003
Figure 2023543005000004
MADコホートの対象に二重盲検法で2週間毎に1~450μg/kgの範囲のTNFR2-Fc_varB(合計4回の用量)又はプラセボの反復静脈内注入を投与した。TNFR2-Fc_varBの観察された血清中薬物動態から、全てのコホートが暴露されており、曝露量は平均して用量依存的に増加することが示された(図26)。暴露反応分析から、150~450μg/kgの静脈内用量範囲で最大の疼痛軽減効果に達したことが示唆される(図27;表4)。
Figure 2023543005000005
退院後、経過観察期間の終了まで、24時間の記憶を反映するために毎朝のほぼ同一時間に11点NRS(0~10)で毎日疼痛を記録するように対象に指示した。150μg/kgのTNFR2-Fc_varB及び450μg/kgのTNFR2-Fc_varBのいずれかの反復注射により、プラセボ処置コントロールと比較して疼痛が明確に軽減された(図28A)。これらの用量の両方は、オピオイドであるオキシコドンの40mg用量、抗NGF抗体であるタネズマブの2.5mg用量又は5mgタネズマブと比較して疼痛も大きく軽減されており(図28B)、且つファシヌマブ、フルラヌマブ又はタネズマブで達成された疼痛の最大軽減と比較して、疼痛の軽減でより有効であった(図28C)。
抗薬物抗体(ADA)レベルを免疫原性評価(Food and Drug Administration.Guidance for industry.Immunogenicity assessment for therapeutic protein products.August 2014。2018年7月27日にアクセスしたhttp://www.fda.gov/downloads/drugs/guidancecomplianceregulatoryinformation/guidances/ucm338856.pdf.から利用可能)により測定した。全体として、TNFR2-Fc_varBの反復用量を投与した対象におけるADA有病率は、70%であった(50例の対象の35例)。ADA有病率を、任意の時点(ベースライン及び/又はベースライン後)でADA陽性であった対象の割合と定義した。下記の表5に示すように、ごく一部の患者が高いADA力価を有していたものの、TNFR2-Fc_varB用量レベルとADA有病率との間に明確な関係がなかった。高いADA力価がTNFR2-Fc_varBへの暴露及び有効性に影響を及ぼすかどうかを決定するために、150μg/kgのTNFR2-Fc_varBで処置した個々の対象において、TNFR2-Fc_varBへの暴露、ADA力価及び疼痛軽減を測定した。驚くべきことに、高いADA力価にもかかわらず、TNFR2-Fc_varBへの有意な暴露が観察されており、疼痛軽減効果が50日超にわたって維持された(図29)。加えて、TNFR2-Fc-varBの半減期は、ADA力価が低い対象ほど高く、450μg/kgのTNFR2-Fc_varBで処置された患者では、高いADA力価はなかった(図30)。重要なことに、ADAと有害事象との間に関連はなかった。
Figure 2023543005000006
驚くべきことに、この試験のMAD段階のデータを使用して、本発明者らは、体重が暴露に関する臨床的に有意な共変数ではないことも発見した(p=0.61;図31)。
実施例10 - 膝の有痛性変形性関節症を有するヒトにおけるTNFR2-Fc_varBの固定皮下用量の効果
体重はTNFR2-Fc_varBへの暴露に関する臨床的に有意な共変数ではないという発見に基づいて、本発明者らは、TNFR2-Fc_varBの固定投与戦略がヒトにおける疼痛の処置に有効であろうと仮定した。そのため、膝の有痛性変形性関節症を有する18~80歳の対象に関して、多施設無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験を設計した。約255例の対象が処置期間を完了するようにするために、約300例の適格対象をTNFR2-Fc_varB処置又はプラセボに無作為に割り当てる。対象に12週間にわたって2週間毎に(Q2W)、TNFR2-Fc_varBの4つの固定皮下用量(7.5mg、25mg、75mg及び150mg)の1つ又はプラセボを投与する。TNFR2-Fc_varBのこれらの固定皮下用量を、それぞれ15、50、150及び300μg/kgのTNFR2-Fc_varBの静脈内用量と同様の効果をもたらすと予測し、皮下投与されたTNFR2-Fc_varBで観察されたバイオアベイラビリティと、OA患者の体重分布とに基づいて算出した。合計で、処置期間中に各対象にTNFR2-Fc_varB又はプラセボの6回の用量を投与する。この試験デザインの単純化されたレイアウトを図32に示す。
処置開始の14日前から開始して、TNFR2-Fc_varB又はプラセボの最終投与後少なくとも6週間まで、24時間の記憶を反映するために毎朝のほぼ同一時間に11点NRS(0~10)で毎日疼痛を記録するように対象に指示する。
処置の開始前に始まり且つTNFR2-Fc_varB又はプラセボの最終投与後少なくとも6週間に終わる特定の時点でWOMAC質問表に回答するように対象に指示する。
処置の開始前に始まり且つTNFR2-Fc_varB又はプラセボの最終投与後少なくとも6週間に終わる特定の時点で患者全般評価(PGA)に回答するように対象に指示する。PGAは、膝のOAに起因する症状及び活動障害を評価するために使用される5点リッカートスケールである。「膝のOAがあなたに影響を及ぼす全ての方法を考慮して、今日の気分はどうですか?」という質問に基づいて、1=非常に良好(無症状であり、通常の活動は制限されない)から5=非常に不良(耐えられない非常に重度の症状があり、全ての通常の活動を実行することができない)までの数字を特定するように対象に求める。
末梢中の遊離NGFのレベルへのTNFR2-Fc_varBの効果を測定し得る。例えば、末梢中の遊離NGFを投与の1日後に開始して最大で12週目まで毎週測定し得、次いで18週目及び28週目に再度測定し得る。
末梢中の全NGFのレベルへのTNFR2-Fc_varBの効果を測定し得る。例えば、末梢中の全NGFを投与の1日後に開始して最大で12週目まで毎週測定し得、次いで18週目及び28週目に再度測定し得る。
TNFαレベルのレベルを測定するための代理として、CXCL-13レベルを測定し得る。例えば、CXCL-13レベルを投与の1日後に開始して最大で12週目まで毎週測定し得、次いで18週目及び28週目に再度測定し得る。
配列表
配列番号1 NP_002497.2|ベータ-神経成長因子前駆体[ヒト]
Figure 2023543005000007
配列番号2 NP_000585.2|腫瘍壊死因子[ヒト]
Figure 2023543005000008
配列番号3 MEDI-578 VH(1256A5 VH)
Figure 2023543005000009
配列番号4 MEDI-578 VHCDR1
1 TYGIS
配列番号5 MEDI-578 VHCDR2
1 GIIPIFDTGN SAQSFQG
配列番号6 MEDI-578 VHCDR3
1 SSRIYDLNPS LTAYYDMDV
配列番号7 MEDI-578 VL(1256A5 VL)
Figure 2023543005000010
配列番号8 MEDI-578 VLCDR1
1 SGSSSNIGNN YVS
配列番号9 MEDI-578 VLCDR2
1 DNNKRPS
配列番号10 MEDI-578 VLCDR3
1 GTWDSSLSAW V
配列番号11
1 SSRIYDFNSA LISYYDMDV
配列番号12
1 SSRIYDMISS LQPYYDMDV
配列番号13 可溶性TNFR2アミノ酸配列
Figure 2023543005000011
配列番号14 TNFR2-Fc_VH#4-アミノ酸配列
Figure 2023543005000012
配列番号15 (Gly4Ser)3 15aaリンカー配列
1 GGGGSGGGGS GGGGS
配列番号16 TNFR2-Fc_VH#4-ヌクレオチド配列
Figure 2023543005000013
配列番号17 - TNFR2-Fc_varB-アミノ酸配列
Figure 2023543005000014
配列番号18 - TNFR2-Fc_varB-ヌクレオチド配列
Figure 2023543005000015
配列番号19 - (Gly4Ser)4 20aaリンカー配列
1 GGGGSGGGGS GGGGSGGGGS
配列番号20 - ヌディマブvarB-L鎖アミノ酸配列
Figure 2023543005000016
配列番号21 - ヌディマブvarB-L鎖ヌクレオチド配列
Figure 2023543005000017
配列番号22 - ヌディマブvarB-H鎖アミノ酸配列
Figure 2023543005000018
配列番号23 - ヌディマブvarB-H鎖ヌクレオチド配列
Figure 2023543005000019
配列番号24 - NGF-NG VHアミノ酸配列
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFWFGAFTWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGLTNLAQNFQGRVTITADESTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARSSRIYDLNPSLTAYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号25 - NGF-NG VHヌクレオチド配列
Figure 2023543005000020
配列番号26 - NGF-NG VLアミノ酸配列
QSVLTQPPSVSAAPGQKVTISCSGSSSDIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号27 - NGF-NG VLヌクレオチド配列
Figure 2023543005000021
配列番号28 - ヌディマブVHアミノ酸配列
Figure 2023543005000022
配列番号29 - ヌディマブVLアミノ酸配列
Figure 2023543005000023
配列番号30 - 1126F1 VHアミノ酸配列
EVQLVQTGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDANRQAVPYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号31 - 1126F1 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQMVTISCSGSSSDIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号32 - 1126G5 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDFTSGLAPYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号33 - 1126G5 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPPGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSTWVFGGGTKLTVL
配列番号34 - 1126H5 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDAGNSAQSFQGRVTITADESTSTAHMEVSSLRSEDTAVYYCASSSRIYDHHIQKGGYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号35 - 1126H5 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号36 - 1127D9 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDYHTIAYYD
配列番号37 - 1127D9 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号38 - 1127F9 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMKVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDYIPGMRPYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号39 - 1127F9 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGNSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSRSGTLATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号40 - 1131D7 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDFNSSLIAYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号41 - 1131D7 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDETDYYCGTWDSSLSAWVFSGGTKLTVL
配列番号42 - 1131H2 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSTVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDLNPSLTAYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号43 - 1131H2 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGTSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号44 - 132A9 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFGTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDFEPSLIYYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号45 - 132A9 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号46 - 1132H9 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDLNPSLTAYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号47 - 1132H9 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSDIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPTGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号48 - 1133C11 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDLNPSLTAYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号49 - 1133C11 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号50 - 1134D9 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVAITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDLNPSLTAYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号51 - 1134D9 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSGLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号52 - 1145D1 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTSNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDFRTLYSTYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号53 - 1145D1 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGISDRFSGSKSGTSATLGIAGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号54 - 1146D7 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDLNPSLTAYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号55 - 1146D7 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQEVTISCSGSSTNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号56 - 1147D2 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVRISCKASGGTFSTYGVSWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDLNPSLTAYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号57 - 1147D2 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGVPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号58 - 1147G9 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSAYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFNTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDLNPSLTAYYDMDVWGQGTMVTV
配列番号59 - 1147G9 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTVSCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号60 - 1150F1 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQDRVTITADESTSTAYMEVGSLRSDDTAVYYCASSSRIYDLNPSLTAYYDMDVWGHGTMVTVSS
配列番号61 - 1150F1 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号62 - 1152H5 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLVWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDMISSLQPYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号63 - 1152H5 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKATISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号64 - 1155H1 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDFHLANKGYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号65 - 1155H1 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKATISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLDITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号66 - 1158A1 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFGTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDHHNHVGGYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号67 - 1158A1 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYASWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDGSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号68 - 1160E3 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSAKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDLNPSLTAYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号69 - 1160E3 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSNSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTV
配列番号70 - 1165D4 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDLNPSLTAYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号71 - 1165D4 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIENNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号72 - 1175H8 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQRLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDATTGLTPYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号73 - 1175H8 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLRTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号74 - 1211G10 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVRKPGSSVKVSCKAYGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWVGGIIPIFDTRNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDMVSTLIPYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号75 - 1211G10 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号76 - 1214A1 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVRVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDAHLQAYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号77 - 1214A1 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPPGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTRDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号78 - 1214D10 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEAKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGRGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVAITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDAHLNHHGYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号79 - 1214D10 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQAGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号80 - 1218H5 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAVVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGSSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDLNPSLTAYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号81 - 1218H5 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNTGNNYVSWYQQLSGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号82 - 1230H7 VHアミノ酸配列
EMQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDFNSALISYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号83 - 1230H7 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTV
配列番号84 - 1083H4 VHアミノ酸配列
QMQLVQSGAEVKKTGSSVKVSCKASGYTFAYHYLHWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGTTNYAQRFQDRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCASADYVWGSYRPDWYFDLWGRGTMVTVSS
配列番号85 - 1083H4 VLアミノ酸配列
QSVLTQPPSASGTPGQRVTISCSGSSSNIGSNTVNWYQRLPGAAPQLLIYNNDQRPSGIPDRFSGSKSGTSGSLVISGLQSEDEADYYCASWDDSLNGRVFGGGTKLTVL
配列番号86 - 1227H8 VHアミノ酸配列
QMQLVQSGAEVKKTGSSVKVSCKASGHTFAYHYLHWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGTTNYAQRFQDRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCASADYAWESYQPPQINGVWGRGTMVTVSS
配列番号87 - 1227H8 VLアミノ酸配列
QSVLTQPPSVSAAPGQKVTITCSGSTSNIGNNYVSWYQQHPGKAPKLMIYDVSKRPSGVPDRFSGSKSGNSASLDISGLQSEDEADYYCAAWDDSLSEFFFGTGTKLTVL
配列番号88 - NGF-NG HCDR1
FGAFT
配列番号89 - NGF-NG HCDR2
GIIPIFGLTNLAQNFQG
配列番号90 - NGF-NG HCDR3
SSRIYDLNPSLTAYYDMDV
配列番号91 - NGF-NG LCDR1
SGSSSDIGNNYVS
配列番号92 - NGF-NG LCDR2
DNNKRPS
配列番号93 - NGF-NG LCDR3
GTWDSSLSAWV
配列番号94 - G→Cを有するMEDI-578 VHアミノ酸配列
Figure 2023543005000024
配列番号95 - G→Cを有するMEDI-578 VLアミノ酸配列
Figure 2023543005000025
配列番号96 - 1230D8 VHアミノ酸配列
QMQLVQSGAEVKKTGSSVKVSCKASGYTFPYHYLHWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGTTNYAQRFQDRVTITADESTSTAYMEFSSLRSEDTAVYYCASADYVWESYHPATSLSLWGRGTMVTVSS
配列番号97 - 1230D8 VLアミノ酸配列
QSVLTQPPSVSAAPGQKVTISCPGSTSNIGNNYVSWYQQRPGKAPKLMIYDVSKRPSGVPDRFSGSKSGNSASLDISELQSEDEADYYCAAWDDSLSEFLFGTGTKLTVL
配列番号98
GGGGSGGGGS
配列番号99 - TNFR2-Fc_varB-コドン最適化ヌクレオチド配列
Figure 2023543005000026
本開示は、本開示の個々の態様の1つの例示であることが意図される、説明されている特定の態様によって範囲を限定されず、機能的に均等なあらゆる組成物又は方法は、本開示の範囲内である。実際、本明細書で図示及び説明されているものに加えて、本開示の様々な変更形態が前述の説明及び添付の図面から当業者に明らかになるであろう。そのような変更形態は、添付の特許請求の範囲に含まれるものとする。
本明細書で述べた全ての刊行物及び特許出願は、あたかも各刊行物又は特許出願が具体的且つ個別に参照により組み込まれると示されているのと同程度まで、参照により本明細書に組み込まれるものとする。

Claims (67)

  1. 疼痛の軽減又は予防を、それを必要とする対象において行う方法であって、結合分子の皮下固定用量を前記対象に投与することを含み、前記結合分子は、NGFアンタゴニストドメインと、TNFαアンタゴニストドメインとを含み、前記NGFアンタゴニストドメインは、抗NGF抗体又はその抗原結合断片であり、前記TNFαアンタゴニストドメインは、TNFRの可溶性TNFα結合断片を含み、前記方法は、前記対象の疼痛を軽減又は予防する、方法。
  2. 前記結合分子の前記皮下固定用量は、約5~200mgである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記結合分子の前記皮下固定用量は、約7.5~150mgである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記結合分子の前記皮下固定用量は、約7.5mg、約25mg、約75mg又は約150mgである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記皮下固定用量は、前記結合分子の30mgの静脈内固定用量と同等である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記固定用量は、2週間毎に少なくとも1回投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記固定用量は、少なくとも12週間にわたって投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記疼痛は、慢性疼痛を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記疼痛は、変形性関節症疼痛を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記疼痛は、膝の変形性関節症疼痛を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記対象は、前記結合分子の投与前に3ヶ月以上にわたって前記疼痛を患っている、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記疼痛は、関節炎を伴う、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記対象は、変形性関節症を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記対象は、膝の片側性変形性関節症を有する、請求項13に記載の方法。
  15. 前記対象は、中央リーダー評価による0~4のケルグレン・ローレンス(KL)評価スケールで膝関節の少なくともグレード2の変形性関節症を有する、請求項13又は14に記載の方法。
  16. 前記対象への前記結合分子の投与前に、
    a.NSAID、強オピオイド、弱オピオイド、COX-2阻害剤、アセトアミノフェン又はこれらの組合せを前記対象に投与する工程と、
    b.i)前記NSAID、強オピオイド、弱オピオイド、COX-2阻害剤、アセトアミノフェン若しくはこれらの組合せが前記対象の疼痛を軽減若しくは予防しないことを決定し、且つ/又はii)前記対象が前記NSAID、強オピオイド、弱オピオイド、COX-2阻害剤、アセトアミノフェン若しくはこれらの組合せに対して不耐性であることを決定する工程と
    を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記NSAID、強オピオイド、弱オピオイド、COX-2阻害剤、アセトアミノフェン又はこれらの組合せは、少なくとも2週間にわたって投与される、請求項16に記載の方法。
  18. 前記NSAID、強オピオイド、弱オピオイド、COX-2阻害剤、アセトアミノフェン又はこれらの組合せは、前記結合分子の投与前に少なくとも2週間にわたって前記対象に投与されている、請求項16に記載の方法。
  19. 前記対象は、NSAID、強オピオイド、弱オピオイド、COX-2阻害剤、アセトアミノフェン又はこれらの組合せに対して不耐性である、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記結合分子の前記固定用量の投与前に、SARS-CoV2感染に関して前記対象を検査することを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
  21. SARS-CoV2感染に関して前記対象を検査することは、前記結合分子の前記固定用量の投与前に、SARS-CoV2遺伝物質に関して前記対象を検査することを含む、請求項20に記載の方法。
  22. 前記対象は、ベースライン時にSARS-CoV2に感染していない、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記対象は、ベースライン時において、Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis(WOMAC)指標の疼痛サブスケールを使用して測定された場合、関節の少なくとも5の平均WOMAC疼痛スコアを有する、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記対象は、ベースライン時において、疼痛の数値評価スケール(NRS)で測定された場合、関節の少なくとも5の平均疼痛強度スコアを有する、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記対象の1日当たりのNRS疼痛スコアの週平均をベースラインから低減させる、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記固定用量は、12週間にわたって2週間毎に投与され、前記方法は、少なくとも12週目までに前記対象の1日当たりのNRS疼痛スコアの週平均をベースラインから低減させる、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記対象の1日当たりのNRS疼痛スコアの週平均をベースラインから少なくとも30%低減させる、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記対象の1日当たりのNRS疼痛スコアの週平均をベースラインから少なくとも50%低減させる、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記対象のWOMAC疼痛サブスケールスコアをベースラインから低減させる、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記固定用量は、12週間にわたって2週間毎に投与され、前記方法は、少なくとも12週目までに前記対象のWOMAC疼痛サブスケールスコアをベースラインから低減させる、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記対象のWOMAC疼痛サブスケールスコアをベースラインから少なくとも30%低減させる、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 前記対象のWOMAC疼痛サブスケールスコアをベースラインから少なくとも50%低減させる、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 前記対象のWOMAC身体サブスケールスコアをベースラインから少なくとも30%低減させる、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
  34. 前記対象のWOMAC身体サブスケールスコアをベースラインから少なくとも50%低減させる、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
  35. 変形性関節症の患者全般評価(PGA)をベースラインから改善する、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
  36. 前記固定用量は、12週間にわたって2週間毎に投与され、方法は、少なくとも12週目までに変形性関節症のPGAをベースラインから改善する、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
  37. 変形性関節症のPGAを少なくとも2ポイント改善する、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
  38. 疼痛の軽減は、前記対象における前記結合分子の単回用量投与後に観察される、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
  39. 前記対象にNSAIDを投与することを含む、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
  40. 前記対象にオピオイドを投与することを含む、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
  41. 前記対象にアセトアミノフェンを投与することを含む、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
  42. 前記対象にCOX-2阻害剤を投与することを含む、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
  43. 前記抗NGF抗体又はその断片は、TrkA、p75NRT又はTrkA及びP75NRTの両方へのNGFの結合を阻害し得る、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
  44. 前記抗NGF抗体又はその断片は、p75NRTへのNGFの結合よりもTrkAへのNGFの結合を優先的にブロックする、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
  45. 前記抗NGF抗体又はその断片は、約0.25~0.44nMの親和性でヒトNGFに結合する、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
  46. 前記抗NGF抗体又はその断片は、CDR HCDR1、HCDR2、HCDR3のセットを含む抗体VHドメインと、CDR LCDR1、LCDR2及びLCDR3のセットを含む抗体VLドメインとを含み、前記HCDR1は、配列番号4のアミノ酸配列又は最大で2つのアミノ酸置換を有する配列番号4のアミノ酸配列を有し、前記HCDR2は、配列番号5のアミノ酸配列又は最大で2つのアミノ酸置換を有する配列番号5のアミノ酸配列を有し、前記HCDR3は、配列番号6のアミノ酸配列若しくは最大で2つのアミノ酸置換を有する配列番号6のアミノ酸配列、SSRIYDFNSALISYYDMDV(配列番号11)又はSSRIYDMISSLQPYYDMDV(配列番号12)を有し、前記LCDR1は、配列番号8のアミノ酸配列又は最大で2つのアミノ酸置換を有する配列番号8のアミノ酸配列を有し、前記LCDR2は、配列番号9のアミノ酸配列又は最大で2つのアミノ酸置換を有する配列番号9のアミノ酸配列を有し、及び前記LCDR3は、配列番号10のアミノ酸配列又は最大で2つのアミノ酸置換を有する配列番号10のアミノ酸配列を有する、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
  47. 前記抗NGF抗体又はその断片は、CDR HCDR1、HCDR2、HCDR3のセットを含む抗体VHドメインと、CDR LCDR1、LCDR2及びLCDR3のセットを含む抗体VLドメインとを含み、
    前記HCDR1は、配列番号4のアミノ酸配列を含み、
    前記HCDR2は、配列番号5のアミノ酸配列を含み、
    前記HCDR3は、配列番号6のアミノ酸配列、SSRIYDFNSALISYYDMDV(配列番号11)又はSSRIYDMISSLQPYYDMDV(配列番号12)を含み、
    前記LCDR1は、配列番号8のアミノ酸配列を含み、
    前記LCDR2は、配列番号9のアミノ酸配列を含み、及び
    前記LCDR3は、配列番号10のアミノ酸配列を含む、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
  48. 前記抗NGF抗体又はその断片は、配列番号3又は94のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を有するVHを含む、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
  49. 前記抗NGF抗体又はその断片は、配列番号7又は95のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を有するVLを含む、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
  50. 前記抗NGF抗体又はその断片は、完全H抗体、Fab断片、Fab’断片、F(ab)断片又は一本鎖Fv(scFv)断片である、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
  51. 前記抗NGF抗体又はその断片は、ヒト化されているか、キメラであるか、霊長類化されているか又は完全ヒトである、請求項1~50のいずれか一項に記載の方法。
  52. 前記抗NGF scFv断片は、N末端からC末端に、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVH、15個のアミノ酸のリンカー配列(GGGGS)(配列番号15)及び配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
  53. 前記抗NGF scFv断片は、N末端からC末端に、配列番号94のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVH、20個のアミノ酸のリンカー配列(GGGGS)(配列番号19)及び配列番号95のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項1~52のいずれか一項に記載の方法。
  54. 前記TNFRは、TNFR-2である、請求項1~53のいずれか一項に記載の方法。
  55. 前記TNFR-2断片は、免疫グロブリンFcドメインに融合されている、請求項1~54のいずれか一項に記載の方法。
  56. 前記免疫グロブリンFcドメインは、ヒトIgG1 Fcドメインである、請求項1~55のいずれか一項に記載の方法。
  57. 前記TNFαアンタゴニストは、配列番号13に記載されているアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列又はその機能的断片を含む、請求項1~56のいずれか一項に記載の方法。
  58. 前記結合分子は、リンカーを介して前記TNFαアンタゴニストに融合されている前記NGFアンタゴニストを含む融合タンパク質を含む、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
  59. 前記結合分子は、前記融合タンパク質のホモ二量体を含む、請求項1~58のいずれか一項に記載の方法。
  60. 前記結合分子は、N末端からC末端に、配列番号13のアミノ酸1~235に対応する配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むTNFR-2のTNFα結合断片、ヒトIgG1Fcドメイン、10個のアミノ酸のリンカー配列(GGGGS)(配列番号98)、配列番号3又は94のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVH、15個のアミノ酸のリンカー配列(GGGGS)(配列番号15)及び配列番号7又は95のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVLを含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
  61. 前記結合分子は、配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
  62. 前記結合分子は、N末端からC末端に、配列番号13のアミノ酸配列を含むTNFR-2のTNFα結合75kD断片、10個のアミノ酸のリンカー配列(GGGGS)(配列番号98)、配列番号94のアミノ酸配列を含むVH、20個のアミノ酸のリンカー配列(GGGGS)(配列番号19)及び配列番号95のアミノ酸配列を含むVLを含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む、請求項1~61のいずれか一項に記載の方法。
  63. 配列番号7の102、103又は104位に対応するアミノ酸位置のグリン残基は、システイン残基に改変されており、配列番号3の44位に対応するアミノ酸位置のグリシン残基は、システイン残基に改変されている、請求項1~62のいずれか一項に記載の方法。
  64. 前記結合分子は、配列番号17のアミノ酸配列を含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む、請求項1~63のいずれか一項に記載の方法。
  65. 前記結合分子は、配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%又は99%同一であるアミノ酸配列を含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む、請求項1~64のいずれか一項に記載の方法。
  66. 疼痛の軽減又は予防を、それを必要とする対象において行う方法での使用のための結合分子であって、前記方法は、結合分子の皮下固定用量を前記対象に投与することを含み、前記結合分子は、NGFアンタゴニストドメインと、TNFαアンタゴニストドメインとを含み、前記NGFアンタゴニストドメインは、抗NGF抗体又はその抗原結合断片であり、前記TNFαアンタゴニストドメインは、TNFRの可溶性TNFα結合断片を含み、前記方法は、前記対象の疼痛を軽減又は予防する、結合分子。
  67. 請求項1~65のいずれか一項に記載の方法での使用のための結合分子。
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