JP2023529276A - アルキルフェノールを含まない反応性非イオン性界面活性剤、アルキルフェノールを含まない反応性非イオン性界面活性剤を得るための方法、乳化重合により得られるラテックス、高い耐水性を有する水性コーティング組成物、及び水性コーティング組成物の使用 - Google Patents

アルキルフェノールを含まない反応性非イオン性界面活性剤、アルキルフェノールを含まない反応性非イオン性界面活性剤を得るための方法、乳化重合により得られるラテックス、高い耐水性を有する水性コーティング組成物、及び水性コーティング組成物の使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、モノエステル及びジエステルの少なくとも1つを含み、疎水性部分に末端不飽和を有する新規アルキルフェノールエトキシル化を含まない(APEを含まない)反応性非イオン性界面活性剤、並びにAPEを含まない反応性非イオン性界面活性剤を得るための方法、末端不飽和を有する脂肪族アルコール若しくは脂肪酸のアルコキシル化ステップ、又は末端不飽和を有する脂肪酸及びグリコール誘導体の直接エステル化を含む、を扱う。さらに、アニオン性界面活性剤及び本発明の反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合された乳化重合ラテックスが開示されている。本発明に従って調製されたラテックスは、高い耐水性を有する水性コーティング組成物を生成した。【選択図】図16

Description

発明の詳細な説明
[発明の分野]
[001]本発明は、高い耐水性を有する水性コーティング組成物、反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合され、乳化重合により得られるラテックス、該ラテックスを生成するために使用される乳化重合方法、及び乳化重合に使用されるエトキシル化アルキルフェノールを含まない反応性非イオン性界面活性剤の合成を含む。
[発明の原理]
[002]水性コーティングは、溶剤系コーティングと比較して低い環境負荷を示し、且つ経済的に持続可能であることから、注目されている。
[003]ほとんどの水性コーティングは、単数形ではラテックス(latex)、複数形ではラテックス(latexes)として知られている、界面活性剤により安定化された水中ポリマー粒子分散体を含有する。
[004]ラテックスは、好ましくは乳化重合により得られ、その主な特性は、
様々な温度及び湿度条件下でガラス転移温度(Tg)及び膜形成能が定められるモノマー組成物、並びに
粒子径分布、である。
[005]従来の市販のラテックスは、通常、平均粒子径が50~500nmの間、Tgが-40~90℃の粒子を有する。
[006]ラテックスは、各用途に好適な外観、機械的特性、耐水性、耐候性、及び他の外部要因に対する耐性を示す膜又は連続的且つ均質なコーティング膜の形成に責任を負う、水性コーティング配合物の最も重要な成分である。
[007]水性コーティングは、建築用塗料、接着剤、紙、皮革及び繊維を含むいくつかの用途で使用されている。
[008]乳化重合方法を開発し、したがって、安定なラテックスを開発するためには、界面活性剤の選択が最も重要である。
[009]界面活性剤は、重合開始時の粒子核生成の制御、並びに重合全体を通した粒子安定性、及び反応器内の凝塊形成の制御という困難な課題を有している。さらに、界面活性剤は、粒子径、機械的安定性、電解質安定性、凍結融解安定性及び最終ラテックス寿命又は貯蔵寿命を制御する。
[0010]乳化重合において最も一般的に使用される界面活性剤は、アニオン性及び非イオン性である。通常、単一の界面活性剤では、機械的安定性、電解質に対する安定性、並びに冷却及び加熱サイクルに対する安定性(凍結融解安定性としても知られる)を有するラテックスを生成するのに十分ではない。
[0011]乳化重合に使用される従来の界面活性剤は、疎水性部分と親水性部分とを有し、各部分は、水中に乳化したモノマー液滴、及び水中に分散したポリマー粒子などの重合全体を通して存在する分散相の表面、並びに最終ラテックスから水中に分散したポリマー粒子の表面に、物理的に吸着する。
[0012]また、従来の界面活性剤は、ラテックス膜の形成、及び水性コーティング膜の特性にも影響を与える。
[0013]通常、ラテックス膜の形成は、以下の3段階を含む。
段階I:水の蒸発及び粒子のパッケージング。この段階では、界面活性剤は粒子に吸着されたままである。この段階で得られる膜は、連続的ではなく、白っぽく脆い外観を示す。
[0014]段階II:湿潤ポリマーTg又は最低造膜温度(MFFT)が室温及び水蒸発より低い場合、粒子変形。得られる膜は連続的で透明且つ均質であるが、低い機械的耐性を示す。加えて、この段階では、界面活性剤が変形した粒子の隙間に残存しているため、耐水性の低い膜となる。
[0015]段階III:媒体の温度が乾燥ポリマーTgより高い場合、合一として知られる、粒子ドメインの消失を伴う、1つの粒子から他の粒子への、ポリマー鎖の相互拡散がある。同時に、ポリマー-空気及びポリマー-基材界面への界面活性剤の移動、並びに親水性ドメインを形成する界面活性剤の偏析も起こる。これらの親水性ドメインは、膜中へ水が浸透する経路である。
[0016]界面への界面活性剤の移動及び親水性ドメインの形成は、水性コーティングの低い耐水性及び低い耐久性の主な原因である。これは、溶剤系コーティングと比較した場合における水性コーティングの主な欠点であり、より要求の厳しい用途、例えば、高い耐水性コーティングを必要とする高い相対湿度の環境における水性コーティングの使用を制限するものである。
[0017]水性コーティングの低い耐水性というこの問題に対して考え得る解決策は、乳化重合における反応性界面活性剤の使用である。乳化重合におけるこのような反応性界面活性剤の使用により、界面活性剤のポリマーへの共有結合を確実にし、膜全体にわたって界面活性剤の移動及び偏析が回避される。
[0018]該戦略により、水性コーティング配合物に使用される従来の界面活性剤の少なくとも一部を反応性界面活性剤に置き換えて、最終コーティングの耐水性を改善することができる。コーティングのこのような耐水性の改善は、コーティング配合物、特に塗料配合物の耐湿潤摩耗性の向上により証明され得る。
[0019]従来の界面活性剤は、屋外に塗布されたコーティングから雨水により除去されて環境中に取り込まれるが、ポリマーに組み込まれた界面活性剤は水により除去されず、したがって環境中に流れ込むことがないため、反応性界面活性剤の使用は、環境の観点からも興味深い。
[0020]以下に示すように、いくつかの先行技術文献では、反応性界面活性剤の使用について記載されている。
[0021]米国特許第5,162,475号は、繊維コーティングに利用される、ブトキシル化及びエトキシル化アリルアルコールに由来する界面活性剤を使用して重合されたラテックスを教示する。該文献は、反応性界面活性剤を使用して重合されたラテックスで処理された天然及び合成繊維が高い硬度を有し、従来の界面活性剤で処理された繊維よりも疎水性であることを実証している。
[0022]米国特許出願公開第2019/0144584号には、エトキシル化メタノールと9-デセン酸とのモノエステルを反応性界面活性剤として使用して重合されたラテックス、及びこのようなラテックスを配合した組成物が記載されている。該発明は、実施例から、得られた反応性界面活性剤は、発泡の可能性が低く、デカン酸類似体よりも粘度が低く、乳化重合に使用することができることを実証している。ラテックス、及びこれらのラテックスを含有する組成物の特性に対する反応性界面活性剤の影響に関する証拠は示されていない。
[0023]米国特許出願公開第2009/0118397号の文献によれば、該文献は、ラテックスと、ポリグリセロール及び不飽和脂肪酸、好ましくはオレイン酸のエステルをベースとする反応性界面活性剤とを含有するコーティング組成物の保護を求めるものである。反応性界面活性剤はラテックスの乳化重合には使用されていないが、コーティング配合物に添加されており、酸化硬化反応によりラテックスの表面と反応することが予想される。耐湿潤摩耗性試験により到達される塗料の耐水性により、塗料乾燥中に、反応性界面活性剤がポリマーと反応して塗料の耐湿潤摩耗性が改善されたという結論は得られなかった。評価した4種類の塗料配合物のうち、反応性界面活性剤を含有する1種類の塗料配合物のみが従来の界面活性剤を含有する塗料と比較して優れた耐湿潤摩耗性を示し、他のすべての塗料配合物が従来の界面活性剤を含有する塗料と比較して同様の耐湿潤摩耗性を示したためである。
[0024]米国特許出願公開第2014/0249272号は、スチレンの転化及び共重合に悪影響を及ぼさない(該悪影響はAPEを含まない反応性界面活性剤の欠点であるため)、疎水性部分にアリル側基を有する、アルキルフェノールエトキシル化(APE)を含まない反応性界面活性剤を含む。該文献によれば、APE反応性界面活性剤のみがスチレンの転化及び共重合を可能にした。さらに、反応性界面活性剤を使用して重合された水性コーティングの主な特性は耐水性であることが補強され、水に浸漬したラテックス膜の白化評価により、反応性界面活性剤を使用して重合されたラテックス膜の耐水性が実証されている。
[0025]しかしながら、コーティング配合物の耐水性を改善することができる、疎水性鎖の先頭に不飽和を有する特殊な反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合された新規ラテックスを開発するという技術的要求が依然として存在する。さらに、このようなラテックスを含有するコーティング配合物は、濾過ステップ中及びラテックス中和ステップ中における反応器内の凝塊形成がより少ない、優れたコロイド安定性を示すべきである。
[発明の概要]
[0026]本発明は、高い耐水性を有する水性コーティング組成物、反応性界面活性剤を使用して重合されたラテックス、該ラテックスを生成するために使用される乳化重合方法、及び乳化重合に使用される反応性界面活性剤の合成を含む。
図1は、反応器内の凝塊形成に対する、異なる非イオン性界面活性剤の影響を実証する写真である。 図2は、異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスの濾過中に得られた凝塊含有量を示す。 図3は、ラテックス中和ステップ中に形成された凝塊含有量を示す。 図4は、重合に伴う固形分の推移を示すグラフである。 図5は、重合に伴う粒子径の推移を示すグラフである。 図6は、重合に伴う粒子数の推移を示すグラフである。 図7は、中和されたラテックスの機械的安定性に対する、異なる非イオン性界面活性剤の影響を示すグラフである。 図8は、実施例8、9、10及び11で重合されたラテックスの臨界凝集濃度を示す。 図9は、異なるラテックスの沈降速度を示すグラフである。 図10は、異なる界面活性剤を使用して重合されたラテックスのTMFFを示す棒グラフである。 図11は、実施例8、9、10及び11のラテックスが5℃の温度で膜を形成するために必要な合体剤含有量を示す。 図12は、浸漬前、浸漬1時間後及び24時間後のラテックス膜を示す写真である。 図13は、異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを含有する、約26%のPVCを含む半光沢塗料の、60°の角度で測定された輝度を示す。 図14は、異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを含有する、約26%のPVCを含む半光沢塗料のウェットコーティングを示すグラフである。 図15は、異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを含有する、約26%のPVCを含む半光沢塗料のドライコーティングを示すグラフである。 図16は、異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを含有する、約26%のPVCを含む半光沢塗料の耐湿潤摩耗性を示す。 図17は、反応器内の凝塊形成に対する、実施例19、20及び21のラテックスの重合に使用した異なる非イオン性界面活性剤の影響を示す。 図18は、異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックス中の、濾過された凝塊含有量を示す。 図19は、重合に伴う固形分の推移を示す。 図20は、重合に伴う粒子径の推移を示す。 図21は、重合に伴う粒子数の推移を示す。 図22は、実施例8、9、10及び11で重合されたラテックスの臨界凝固(clotting)濃度を示す。 図23は、異なるラテックスの沈降速度を示す。 図24は、異なる界面活性剤を使用して重合されたラテックスのTMFFを示す。 図25は、実施例22、19、20及び21のラテックスが5℃の温度で膜を形成するために必要な凝集剤含有量(coalescing content)を示す。 図26は、凍結融解サイクルの前後の、市販のラテックス及び実施例19及び20で重合されたラテックスを配合した半光沢塗料を示す写真である。 図27は、異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを含有する、約30%のPVCを含む半光沢塗料の、60°の角度で測定された光沢を示すグラフである。 図28は、異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを含有する、約30%のPVCを含む半光沢塗料の、ASTM D 2486に従う耐湿潤摩耗性を示す。 図29は、純粋なアクリルラテックスに対するアニオン性界面活性剤のREDグラフを灰色で、非イオン性界面活性剤のREDをオレンジで示す図である。 図30は、ビニル-アクリルラテックスと比較して、アニオン性界面活性剤のREDグラフを灰色で、非イオン性界面活性剤のREDをオレンジで示す図である。
[発明の詳細な説明]
[0057]本発明に含まれる水性コーティング組成物には、APEを含まない反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスが配合されている。
[0058]通常、従来の界面活性剤を高い含有量で使用して重合されたラテックスを配合したコーティングは、塗料の耐湿潤摩耗性試験により到達される低い耐水性を有する。
[0059]利点として、APEを含まない反応性非イオン性界面活性剤を高い含有量で使用して重合されたラテックスを含有する配合物は、従来のAPEを含まない非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを配合した塗料と比較して、80~200%、好ましくは80~160%の耐湿潤摩耗性向上を示した。
[0060]これらの利点により、本発明のコーティング組成物は、装飾塗料、建築用塗料、工業用塗料、印刷用インク、トナー、自動車用オリジナル塗料、再塗装用塗料、接着剤、シーラント、防水剤、アスファルト乳剤、手袋及びカーペットに使用することができる。
[0061]ラテックス合成に使用されるモノマーは、好ましくはスチレン、アクリル酸に由来するエステル、メタクリル酸に由来するエステル、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル、エチレン、アクリロニトリル、ブタジエン、ヴェオヴァ(VEOVA)(商標)である。
[0062]従来のAPEを含まないアニオン性界面活性剤及びAPEを含まない反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたスチレン-アクリルラテックスは、従来のアニオン性及び非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスと同様の転化速度を示した。また、アクリルモノマーのみを使用して重合されたラテックスも同様の挙動を示した。これらの結果は、本発明のAPEを含まない反応性非イオン性界面活性剤が、上述の利点を示す他に、モノマーのポリマーへの転化及び共重合、特にスチレンモノマーの転化及び共重合に悪影響を及ぼさないことを示す。これは、米国特許出願公開第2014/0249272号の文献で前述のように、APEを含まない反応性界面活性剤において重要である。
[0063]本発明に含まれる重合方法により、重合方法全体を通して安定且つ低発泡性であるラテックスを生成することができる。
[0064]ラテックスの調製に使用されるアニオン性界面活性剤は、非反応性、及び硫酸基、スルホン酸基、スルホコハク酸基及びリン酸基に由来する反応性であってもよい。
[0065]また、本発明に含まれるAPEを含まない反応性非イオン性界面活性剤は、界面活性剤の疎水性部分に不飽和を有する。該文献によれば、界面活性剤の疎水性部分に不飽和を有する分子により、反応性界面活性剤が、粒子表面において従来の界面活性剤と同様の配置を有することができ、従来の界面活性剤では、疎水性部分が粒子表面に吸着するだけであるのに対し、反応性界面活性剤では、疎水性部分がモノマーと反応し、ポリマーとの共有結合を形成する。いずれの界面活性剤も、親水性部分は水と接触したままであり、静電的又は立体的な安定化により、粒子をフロキュレーション又は凝集から保護する。
[0066]本発明のAPEを含まない反応性非イオン性界面活性剤の不飽和は疎水性鎖の末端部にあり、したがって、疎水性鎖の中間に不飽和を有する従来の脂肪酸に由来する界面活性剤と比較して、優れた反応性を有する。その結果、このような従来の脂肪酸に由来する界面活性剤は、反応性が低く、ポリマーに効果的に取り込まれる可能性が低い。一方、本発明のAPEを含まない反応性非イオン性界面活性剤は、反応性が非常に高く、ポリマーに取り込まれ、コーティング組成物の耐水性を改善する高い可能性を示す。
[0067]さらに、本発明の界面活性剤分子は、ほとんどの市販の反応性界面活性剤分子及び米国特許出願公開第2014/0249272号の文献において教示されている分子と同じように、側基における不飽和を有さない。側基に不飽和を有する分子は、従来の界面活性剤と比較して、1分子当たりがより大きな面積を占め、ポリマー-水界面に吸着する反応性界面活性剤分子数を減少させ、水中に分散されたポリマー粒子を安定化させる能力を低下させる。
[0068]その結果、本明細書で特許請求するAPEを含まない反応性非イオン性界面活性剤も、安定なラテックスを生成する高い可能性を有する。
[0069]一実施態様において、本発明のAPEを含まない反応性非イオン性界面活性剤は、疎水性鎖の末端に不飽和を有する、不飽和脂肪酸とグリコール誘導体とのエステルである。
[0070]それに加えて、本発明のAPEを含まない反応性非イオン性界面活性剤は、末端に不飽和を有する脂肪酸又は脂肪族アルコールのアルコキシル化反応により優先的に得ることができる。また、本発明の反応性非イオン性界面活性剤は、末端不飽和を有する脂肪酸及びグリコール誘導体の直接エステル化及びエステル交換により得ることもできる。
[0071]末端不飽和を有する脂肪酸及びグリコール誘導体の直接エステル化経路は、従来の界面活性剤を使用して重合されたラテックスを配合したコーティングよりも30~80%高い耐湿潤摩耗性を有する安定なラテックス及びコーティングをもたらすモノエステルを生成する。
[0072]末端不飽和を有する脂肪酸のエステル化経路は公知である。米国特許第10,100,137号には、本発明で使用される経路と同様の合成経路が記載されている。
[0073]末端不飽和を有する脂肪酸のアルコキシル化経路は、有望な表面特性を示す、モノエステル及びジエステルの混合物を生成する。この経路から得られたAPEを含まない反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスは安定であり、従来の界面活性剤を使用して重合されたラテックス、及び類似の市販のラテックスを配合したコーティングよりも約30~160%高い、驚くべき耐湿潤摩耗性を有するコーティングを生成する。ほとんどのラテックスは反応性アニオン性界面活性剤を使用して重合されることが好ましいため、これらの予想外の結果は、公開文献及び特許では予見されなかったものである。
[0074]好ましい実施態様において、本発明で使用される末端不飽和脂肪酸は10個又は11個の炭素を有し、より好ましい実施態様において、脂肪酸は9-デセン酸及び10-ウンデセン酸から選択される。
[0075]加えて、さらにより好ましい実施態様において、APEを含まない反応性非イオン性界面活性剤は、9-デセン酸のエトキシル化により調製される。
[0076]これから示す実施例は、本発明のAPEを含まない反応性非イオン性界面活性剤の可能性を例示するものである。
[0077]以下に記載した方法を使用して、実施例で述べた重合、ラテックス及び塗料の特性を示した。
[0078]重合中に収集したラテックス試料、最終酸ラテックス及び最終中和ラテックスについて、ASTM D2369-10に従って固形分を決定することにより、モノマーのポリマーへの転化を監視した。
[0079]反応器内の凝塊形成は、重合完了後に反応器の写真を撮ることにより監視した。
[0080]反応器からのラテックスを200メッシュのあらかじめ秤量したふるいで濾過し、ふるい及び残渣を温度110±5℃のオーブンで3時間乾燥させ、残渣の乾燥質量を秤量し、ASTM D2369-10に従って凝塊含有量を推定することにより、ラテックス中の凝塊含有量を推定した。
[0081]希釈したラテックス分散体の粒子径分布は、Zetasizer Nano ZS装置を使用し、動的光散乱法により決定した。
[0082]ラテックスのBrookfield粘度は、ISO 1652に従って決定した。
[0083]ラテックスの機械的安定性は、ASTM D1417に従って、14000rpmで30分間維持したラテックス中に形成された凝塊含有量を決定することにより推定した。
[0084]電解質安定性は、固形分0.1%のラテックス分散体を5mol・L-1のCaCl溶液で滴定し、ラテックス試料の粒子径を測定することにより決定した。CaCl濃度の関数として平均粒子径グラフが描かれている。平均粒子径に急激な増大が見られるCaCl濃度が、臨界凝集濃度(CCC)である。
[0085]エマルションの加速安定性は、希釈したラテックス分散体を遠心分離し、LUMisizer装置で分散体の清澄化速度を測定することにより評価した。
[0086]本発明で研究したラテックスの最低造膜温度(TMFF)を、ASTM D2354(2018)に従って決定した。
[0087]ラテックス膜の白化は、ガラスに厚さ150μmのラテックス膜を調製し、温度40℃のオーブンで16時間乾燥させることを含む内部法(internal method)に従って測定された。次いで、乾燥ラテックス膜をオーブンから取り出し、25±2℃及び50±5%の相対湿度において30分間維持した。次いで、ラテックス膜を温度25±2℃の水中に浸漬した。水中浸漬の0.5、1、2、4、24、48、72、96、120、144及び168時間後に膜の外観を写真に撮った。
[0088]ラテックス及び塗料のpHは、ASTM E70に従って決定した。
[0089]塗料の稠度は、ASTM D562-10に従って決定した。
[0090]塗料のレオロジー挙動は、ASTM D7394に従って調整された。
[0091]ASTM D2243-95(2014)に若干の修正を加えることにより、凍結融解サイクルに対する塗料の安定性を評価した。塗料を入れた缶を、温度10℃のチャンバ内に16時間保管した。これらの缶をチャンバから取り出し、完全に融解されるまで室温で維持した。各凍結融解サイクルの前後で塗料の写真を撮影した。塗料は、凍結融解サイクルに2回のみ供された。
[0092]25±2℃及び50±5%の相対湿度において7日間乾燥させた塗料の光沢を、ASTM D523-14(2018)に従って評価した。
[0093]塗料の湿潤隠蔽力を、ASTM D2805-11(2018)に従って評価した。
[0094]25±2℃及び50±5%の相対湿度において7日間乾燥させた塗料の乾燥隠蔽力を、ASTM D2805-11(2018)に従って評価した。
[0095]25±2℃及び50±5%の相対湿度において7日間乾燥させた塗料の耐湿潤摩耗性を、ASTM D2486-17に従って評価した。
(実施例1:エステル化)
[0096]機械撹拌器、冷却管、熱電対及び窒素導入口を備えた3リットル4つ口丸底フラスコに、エステル化及びメタノールデセノエート12EO製造用の原料を入れた。ポリエチレングリコール誘導体(メトキシポリエチレングリコール、MPEG500、1108g)、脂肪酸(9-デセン酸、9-DA、329g)、次亜リン酸(14g)及びメタンスルホン酸(MSA、10g)を入れた。700rpmの撹拌、真空、140℃の温度を維持した。安定化された酸性度指数を得るため、及び理論上の水(約35mL)を除去するための反応時間は、約15時間であった。系を50~60℃まで冷却し、中和を行った。次いで、試料を再度130℃で真空乾燥させ、中和による水を除去した。同様の手順を行い、同一エステルの23EO変型を得た。
(実施例2:エトキシル化)
[0097]脂肪酸(9-デセン酸、9-DA、800g)をParr社製反応器に入れた。触媒として水酸化カリウム50wt%溶液(4g)を使用した。混合物を撹拌しながら均質化し、次いで、水を除去するために真空及び加熱を開始した。脂肪酸が乾燥すると、真空を遮断し、撹拌を増加させた(800rpm)。系が140℃になると、エチレンオキシド(EO、2358g)の注入を開始し、反応温度を155℃に維持した。すべてのEOを注入後、系の圧力が安定化するのを待ち、オキシドの全質量の消化(digestion)を確実にした。次いで、120℃で再び真空を適用して副生成物を除去し、90℃未満の温度まで冷却して中和し、9-デセン酸12EOを得た。同様の手順を行い、同一酸の23EO変型を得た。
(実施例3:エステル交換)
[0098]機械撹拌器、冷却管、熱電対及び窒素導入口を備えた3リットル4つ口丸底フラスコに、ポリエチレングリコール(ULTRAPEG 600、1427g)、脂肪酸エステル(メチル9-デセノエート、9-DAME、584g)、触媒としてのフレーク状の水酸化カリウム(14g)を包含する、ポリエチレングリコールデセノエートを得るための原料を入れた。700rpmの撹拌及び170℃の温度を維持し、メタノールの除去を促進するために軽く減圧した。安定化されたヒドロキシル価(hydoroxyl index)を得るため、及び理論上のメタノール(約130mL)を除去するための反応時間は、約18時間であった。系を50~60℃まで冷却し、中和を行った。
(実施例4:エステル交換に続くエトキシル化)
[0099]機械撹拌器、冷却管、熱電対及び窒素導入口を備えた3リットル4つ口丸底フラスコに、モノエチレングリコール(MEG、497g)、脂肪酸エステル(メチル9-デセノエート、9-DAME、1358g)、触媒としてのフレーク状の水酸化カリウム(32g)を包含する、エステル化及びモノエチレングリコールデセノエート製造用の原料を入れた。700rpmの撹拌及び140℃の温度を維持した。安定化されたヒドロキシル価を得るため、及び理論上のメタノール(約315mL)を除去するための反応時間は、約12時間であった。系を50~60℃まで冷却し、中和を行った。
[00100]次いで、モノエチレングリコールデセノエートをParr社製反応器に移し、11モルのEOを確実に注入して、実施例2と同様のエトキシル化手順を行い、デセン酸12EOと同様の生成物を得た。
(実施例5:エステル化経路の特性評価)
[00101]実施例1で示したエステル化経路では、おおよそ以下のHPLCにより分析されたモノエステル及びジエステルの混合物の組成を有する生成物が生成された(表1)。各成分の濃度は、クロマトグラムの面積におけるそれぞれのパーセンテージに基づいて推定された。
Figure 2023529276000002

異なる特性評価方法により得られた、生成物の推定分子量を、以下の表2に示す。
Figure 2023529276000003
(実施例6:エトキシル化経路の特性評価)
[00102]エトキシル化経路(12及び23EO)についてHPLCで分析したモノエステル及びジエステルの混合物の、おおよその組成を表3に示す。各成分の濃度は、クロマトグラムの面積におけるそれぞれのパーセンテージに基づいて推定された。
Figure 2023529276000004
[00103]表4は、エステル化(実施例1)及びエトキシル化経路(実施例2)により得られた生成物間の分子量の比較を示す。エトキシル化により得られた生成物については、LC/MSにより得られた分子量が示されている。エステル化生成物については、GC/MSによる平均分子量の値(Mw)及び最も高いピークの分子量(Mp)を報告する。
Figure 2023529276000005
(実施例7:エステル交換経路の比較特性評価)
[00104]モノエステル/ジエステル比が1.5~2.5の範囲である、不飽和脂肪酸エトキシル化経路の生成物は、おそらくジエステルの存在のため、本出願において驚くべき結果を示した。これらの結果により、不飽和脂肪酸のエトキシル化と同様の組成及び分子量を生成するために、実施例3及び4において、不飽和脂肪酸メチルエステルを出発物質とする代替経路が開発された。
[00105]以下の表5は、本発明の対照(酸経路、実施例2)と、脂肪酸エステルのエステル交換により得られた(例えばこれまでに得られたモノエステル/ジエステル比の)物質との、分子量の比較を示す。表5に示した結果は、本発明分子を得るための代替経路として、エステル交換(純粋なもの、又はエトキシル化が続くもの)に道を開くものである。
Figure 2023529276000006
(実施例8)
[00106]脱塩水131.3g、炭酸水素ナトリウム0.1g、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム塩2.1g(30wt%)、及び従来の非イオン性界面活性剤2.0g(OXITIVE 7110、エチレンオキシド23モルを有する脂肪族アルコール、60wt%)を反応器に入れた。これを300rpmで撹拌し、温度が80℃に達するように加温した。使用した反応器は、還流冷却器、撹拌棒及び熱電対the OPTIMAXを備えた1Lガラス製反応器、Mettler Toledo社製OPTIMAX 300であった。
[00107]同時に、脱塩水127.4g、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム塩12.6g(30wt%)、従来の非イオン性界面活性剤11.8g(OXITIVE 7110、エチレンオキシド23モルを有する脂肪族アルコール、60wt%)、スチレン164.3g、ブチルアクリレート138.0g、及びアクリル酸6.6gを含有するプレエマルション、並びに水32.8g及び過硫酸カリウム1.0gを含有する開始剤溶液を調製した。
[00108]媒体の反応温度が80℃に達した時点で、5wt%のプレエマルション及び5wt%の開始剤溶液を反応器に添加し、300rpmで撹拌しながら重合媒体を80~85℃の温度で30分間維持した。この重合の段階には、シード核形成が含まれた。
[00109]核形成ステップ終了後、蠕動ポンプを使用して、95%のプレエマルションを、3.5時間、約2.1g/分の流量で反応器に添加した。同時に、蠕動ポンプを使用して、95%の開始剤溶液を、4.0時間、約0.1g/分の流量で反応器に添加した。
[00110]重合の0.5、1.5、2.5、3.5及び4.5時間後に反応器からラテックス試料を収集し、モノマーのポリマーへの転化及び平均粒子径を監視した。
[00111]開始剤溶液の添加終了後、反応媒体の温度を80~85℃で0.5時間維持し、その後60℃に下げた。同時に、水9.9g及びTrigonox AW 70(70wt%tert-ブチルヒドロペルオキシド水溶液)0.1gを含有する酸化溶液、並びに水9.9g及びSFS(スルホキシル酸ナトリウムホルムアルデヒド)0.1gを含有する還元溶液を調製した。
[00112]残留モノマーのポリマーへの転化を促進するために、ラテックスが入った反応器に、60℃の温度で1時間、これらの溶液を約0.2g/分の流量で添加した。
[00113]酸化溶液及び還元溶液の添加後、重合は60~65℃の温度でさらに1時間維持された。
[00114]このステップの後、媒体の温度を50℃に下げ、得られたラテックスを反応器から出し、200メッシュのふるいで濾過して、ラテックス中に分散している凝塊含有量を定量化した。
[00115]ラテックスの理論的質量は650gであるべきである。この理論的ラテックス質量は、プロセスを監視するために収集した試料、反応器及びインペラ壁へのラテックス損失、並びにラテックス濾過中に生じる損失を考慮に入れていない。
(実施例9)
[00116]実施例9のラテックスは、従来の非イオン性界面活性剤のアセット質量(asset mass)を、同等のアセット質量の共重合性非イオン性界面活性剤1(実施例1に記載の経路から得られた実験試料で99.6wt%)に置き換えて、実施例8に記載の手順に従って調製した。ラテックスの理論的質量を650gに保つために、反応器に充填する脱塩水及びプレエマルションの質量を、それぞれ132.1g及び132.3gに調整した。
(実施例10)
[00117]実施例10は、従来の非イオン性界面活性剤のアセット質量を、同等のアセット質量の共重合性非イオン性界面活性剤2(実施例2に記載の経路に従って得られた実験試料で99.0wt%)に置き換えて、実施例8に記載の手順に従って調製した。ラテックスの理論的質量を650gに保つために、反応器に充填する脱塩水及びプレエマルションの質量を調整した。
(実施例11)
[00118]脱塩水133.3g、炭酸水素ナトリウム0.1g及びラウリルエーテル硫酸ナトリウム塩2.1g(30wt%)を反応器に入れた。これを300rpmで撹拌し、温度が80℃に達するように加温した。使用した反応器は、実施例8で使用したものと同様の1Lガラス製反応器OPTIMAXであった。
[00119]同時に、脱塩水139.3g、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム塩12.6g(30wt%)、スチレン164.3g、ブチルアクリレート138.0g、及びアクリル酸6.6gを含有するプレエマルション、並びに水32.8g及び過硫酸カリウム1.0gを含有する開始剤溶液を調製した。
[00120]反応媒体が80℃の温度に達した時点で、5wt%のプレエマルション及び5wt%の開始剤溶液を反応器に添加し、300rpmで撹拌しながら反応媒体を80~85℃の温度で30分間維持した。この重合段階には、シード核形成が含まれた。
[00121]核形成ステップ終了後、蠕動ポンプを使用して、95wt%のプレエマルションを、3.5時間、約2.1g/分の流量で反応器に添加した。同時に、蠕動ポンプを使用して、95wt%の開始剤溶液を、4.0時間、約0.1g/分の流量で反応器に添加した。
[00122]重合の0.5、1.5、2.5、3.5及び4.5時間後に反応器からラテックス試料を収集し、モノマーのポリマーへの転化及び平均粒子径を監視した。
[00123]開始剤溶液の添加終了後、反応媒体の温度を80~85℃で0.5時間維持し、その後60℃に下げた。同時に、水9.9g及びTrigonox AW 70(70wt%tert-ブチルヒドロペルオキシド水溶液)0.1gを含有する酸化溶液、並びに水9.9g及びSFS(スルホキシル酸ナトリウムホルムアルデヒド)0.1gを含有する還元溶液を調製した。
[00124]残留モノマーのポリマーへの転化を促進するために、ラテックスが入った反応器に、60℃で1時間、これらの溶液を約0.2g/分の流量で添加した。
[00125]酸化溶液及び還元溶液の添加終了後、重合は60~65℃の温度でさらに1時間維持された。
[00126]このステップの後、媒体の温度を50℃に下げ、得られたラテックスを反応器から出し、200メッシュのふるいで濾過して、ラテックス中に分散している凝塊含有量を定量化した。
[00127]ラテックスの理論的質量は650gであるべきである。この理論的ラテックス質量は、プロセスを監視するために採取した試料、反応器及びインペラ壁へのラテックス損失、並びにラテックス濾過中に生じる損失を考慮に入れていない。
(実施例12)
[00128]反応器内の凝塊形成に対する、異なる非イオン性界面活性剤の影響を図1に示す。
[00129]ラテックスの濾過後に得られた反応器写真は、反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスにより、従来の非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスにより発生した汚れのレベルと同様の、低いレベルの汚れが反応器内に生じたことを示す。
(実施例13)
[00130]ラテックスの濾過により得られる凝塊含有量に対する、重合に使用された異なる非イオン性界面活性剤の影響を図2に示す。
[00131]図2によれば、反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスは、従来の非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスよりも、重合中に形成された凝塊が非常に少ないことがわかった。
(実施例14)
[00132]実施例8、9及び10で得られたラテックスはpHが2付近であり、MEA(モノエタノールアミン)でpHが8.5~9.0の間に達するまで中和する間に形成された凝塊含有量を図3に示す。
[00133]中和段階において、媒体のイオン強度、及び粒子の凝集傾向を大幅に上昇させる、媒体中の電解質濃度の上昇、特にラテックスが最初に中和剤と接触する点における濃度の上昇がある。プロセスのこの段階で、非イオン性界面活性剤は、ラテックス粒子の凝固を防止するのに重要な役割を果たす。
[00134]図3に示した、中和中に形成された凝塊含有量の結果は、反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスでは、従来の非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスよりも、中和ステップ中に形成された凝塊が少ないことを実証している。したがって、反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスは、従来の非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスよりも高い耐電解質性を有する。
(実施例15)
[00135]モノマーのポリマーへの転化に対する、異なる非イオン性界面活性剤の影響を図4に示す。プロセス全体を通して収集したラテックス試料の固形分を評価することにより、モノマーのポリマーへの転化を監視した。図4に示した結果は、従来の非イオン性界面活性剤及び反応性非イオン性界面活性剤が、モノマーからポリマーへの転化に好都合であることを実証している。この結果の傾向は、前例のない分子である反応性非イオン性界面活性剤が、モノマーのポリマーへの転化を遅らせていないことを示す。
(実施例16)
[00136]重合全体を通したラテックス粒子径に対する、異なる非イオン性界面活性剤の影響を図5に示す。プロセス全体を通して採取したラテックス試料の粒子径分析を行うことにより、ラテックス粒子径の推移を監視した。ラテックス粒子のサイズは、核生成粒子の数、アニオン性及び非イオン性界面活性剤、並びに過硫酸塩開始剤からの硫酸末端基及びカルボン酸由来のモノマーからのカルボキシル基であることが好ましい、粒子表面に存在する親水性基によるこれらの粒子の安定化に依存する。粒子径の推移の結果は、反応性非イオン性界面活性剤が、従来の非イオン性界面活性剤と同程度、重合に伴って成長するラテックス粒子を安定化するのに有効であることを示す。
(実施例17)
[00137]重合に伴うラテックス粒子数の推移に対する、異なる非イオン性界面活性剤の影響を図6に示す。粒子数は、固形分から推定したポリマー体積を、粒子半径から推定した粒子の体積で割ることにより推定した。異なる非イオン性界面活性剤を含有するすべての重合について、粒子数の推移の傾向は近かった。これらの傾向は、粒子核形成ステップの後に粒子数の増加が起こったことを示しており、これは新しい粒子が核形成されたことを示す。この粒子数の増加は、従来の非イオン性界面活性剤において、より長い期間にわたって起こった。この粒子数の増加期間の後、すべての重合で粒子数の減少があった。図6のこれらの結果は、反応性非イオン性界面活性剤により、従来の非イオン性界面活性剤よりも良好に粒子数を制御することができたことを示唆している。
(実施例18)
[00138]異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスの一般的な特性を表6に示す。
Figure 2023529276000007
[00139]これらの結果は、異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスが、高い固形分、すなわち45wt%より大きい固形分、120~150nmの間の粒子径、300cP未満の粘度及び35~40mN/mの間の表面張力を有したことを示す。
(実施例19)
[00140]ラテックスの機械的安定性に対する、異なる非イオン性界面活性剤の影響を図7に示す。14,000のせん断で30分間維持したラテックス中に形成された凝塊含有量は、従来の非イオン性界面活性剤及び反応性非イオン性界面活性剤1が同様の機械的安定性を示したのに対し、反応性界面活性剤2は、凝塊形成が従来の非イオン性界面活性剤及び反応性非イオン性界面活性剤1を使用して重合されたラテックスの1/5である、優れた機械的安定性を示したことを示す。このようなより高い安定性は、従来の非イオン性界面活性剤及び反応性非イオン性界面活性剤1と比較した、該界面活性剤のポリマーへの組み込み及び安定化能力に関係する。
(実施例20)
[00141]標準ラテックスと呼ばれる、実施例11のアニオン性界面活性剤のみを使用して重合されたラテックス、並びに実施例8~10のアニオン性界面活性剤及び異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスの電解質安定性を図8に示す。図8は、ラテックス粒子を凝集させるために必要なCaClの臨界凝集濃度(CCC)を示す。該濃度が高いほど、ラテックスの安定性は高い。
[00142]図8によれば、従来の非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスは、反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスよりも、CaClに対してより高い安定性を示した。反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスは、非イオン性界面活性剤を使用せずに重合された標準ラテックスよりも、CaClに対してより高い安定性を示した。これらのCCC結果は、従来の非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスが、反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスよりも効果的な立体安定化を示したことを示唆しており、これはおそらく、反応性非イオン性界面活性剤分子が、この特定の重合条件で得られた粒子内部に部分的に埋没しているという事実によるものである。
(実施例21)
[00143]標準ラテックスと呼ばれる、実施例11のアニオン性界面活性剤のみを使用して重合されたラテックス、並びに実施例8~10のアニオン性界面活性剤及び異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスのコロイド安定性を図9に示す。このようなラテックスのコロイド安定性は、5~7℃の温度で24時間の、5wt%の固形分を有する酸ラテックスの遠心分離試験により到達された。これらの実験では、ラテックスの清澄化特性が時間の関数として描かれ、ラテックス粒子の沈降速度を推定することが可能であった。非イオン性界面活性剤及び粒子表面に存在する硫酸基の、粒子の安定化における寄与を考慮し、約7℃のクラフト温度を有するカルボン酸塩及びアニオン性界面活性剤の基の、粒子の安定化における寄与は無視するように、温度5~7℃の酸ラテックスを評価した。
[00144]図9に示した沈降速度の結果により、従来の非イオン性界面活性剤を使用せずに重合されたラテックスは、従来の非イオン性界面活性剤及び反応性非イオン性界面活性剤1を使用して重合されたラテックスと比較して10%低いコロイド安定性を有する、反応性非イオン性界面活性剤2を使用して重合されたラテックスと同様の沈降速度を示したことが示された。
(実施例22)
[00145]実施例8、9、10及び11で重合されたラテックスの最低造膜温度(MFFT)を図10に示す。図10によれば、すべてのラテックスが同様のMFFTを有した。
(実施例23)
[00146]実施例8、9、10及び11で重合されたラテックスのMFFTに対する、ウルトラフィルム(ULTRAFILM)(登録商標) 5000凝集剤含有量の影響についても評価した。図11は、ラテックスが5℃の温度で膜を形成するために必要なウルトラフィルム(登録商標) 5000含有量を示す。
[00147]図11によれば、反応性非イオン性界面活性剤2を使用して重合されたラテックスは、他のラテックスよりも約20%低い、最も少ない凝集剤含有量を必要とした。これらの結果は、反応性非イオン性界面活性剤2分子のポリマーへの組み込みが、ポリマー-合体剤相互作用、及びMFFT評価により到達された、造膜の段階IIに特有の粒子の変形に好都合であったことを示唆している。
(実施例24)
[00148]水浸ラテックス膜が白っぽくなるのに要する時間に対する、非イオン性界面活性剤の種類の影響を図12に示す。
[00149]図12に示された写真から、従来の非イオン性界面活性剤を含有するラテックス膜は1時間の水中浸漬後に白っぽくなったのに対し、反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックス膜は24時間の水中浸漬後に白っぽくなったことが実証された。これらの結果は、従来の非イオン性界面活性剤を含有するラテックス膜では界面活性剤のドメインが偏析しているため、膜の迅速な吸水に好都合であり、反応性非イオン性界面活性剤を含有する膜では吸水がより遅かったことを示唆している。これらの結果は、反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックス膜が、特にラテックス膜が水又は湿潤環境に短期間さらされる条件下で、ラテックス膜の耐水性を改善することを示す。
(実施例25)
[00150]また、半光沢塗料の特性に対する、異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスの影響も確認した。実施例8、9、10で得られたラテックスを、表7に示された成分と共に半光沢塗料に配合した。
Figure 2023529276000008
[00151]塗料のレオロジー挙動を、1:1の割合で増粘剤を補完水(completion water)で希釈することにより調整した。KU粘度を、好適なアクリル増粘剤を添加することにより80KUに調整し、低せん断速度における塗料のレオロジー挙動を調整した。ICI粘度を、好適なアクリル増粘剤を添加することにより50~80cPに調整し、11000s-1程度の高せん断速度における塗料のレオロジー挙動を調整した。低、中、高せん断速度における塗料のレオロジー挙動及び粘度を調整するために使用した増粘剤含有量を、それぞれ表8及び表9に示す。
Figure 2023529276000009
[00152]表8は、異なるラテックスを配合した塗料のレオロジー挙動を調整するために、約2%の総増粘剤含有量を使用する必要があったことを示す。
[00153]表9によれば、得られた塗料粘度は、低せん断速度で1200~1500cPの間、中せん断速度で250~350cPの間、高せん断速度で56~70cPの間であった。
Figure 2023529276000010
[00154]25℃で1日間エージングさせた塗料のpH及びKU粘度値を表10に示す。
Figure 2023529276000011
[00155]異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを配合した塗料の光沢結果を図13に示す。
[00156]図13によれば、異なるラテックスを配合した塗料はいずれも光沢が30GUより高く、従来の非イオン性界面活性剤及び反応性非イオン性界面活性剤2を使用して重合されたラテックスを配合した塗料は、反応性非イオン性界面活性剤1を使用して重合されたラテックスを配合した塗料よりわずかに高い光沢を有した。
[00157]異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを配合した塗料の湿潤及び乾燥隠蔽力の結果を、それぞれ図14及び図15に示す。
[00158]異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを配合した半光沢塗料の湿潤及び乾燥隠蔽力は、類似していた。これらの結果は、異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスが、湿潤及び乾燥塗膜中の顔料及びフィラーの分布パターンに影響を与えていないことを示唆している。
[00159]異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを配合した塗料の耐湿潤摩耗性結果を図16に示す。
[00160]図16によれば、反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを配合した塗料は、従来の非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを配合した塗料よりも30%高い耐湿潤摩耗性を示した。これらの結果から、反応性非イオン性界面活性剤を配合した塗料は、従来の非イオン性界面活性剤を配合した塗料よりも高い耐水性を有することが確認された。
(実施例26)
[00161]脱塩水131.5g、炭酸水素ナトリウム0.1g及びラウリルエーテル硫酸ナトリウム塩3.9g(30wt%)を1Lガラス製反応器に充填した。これを300rpmで撹拌し、温度が80℃に達するように加温した。使用した反応器は、実施例8に記載したものと同じ(OPTIMAX)であった。
[00162]同時に、脱塩水126.8g、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム塩22.8g(30wt%)、従来の非イオン性界面活性剤25.1g(OXITIVE 7110、23モルのエチレンオキシドを有する脂肪族アルコール、60wt%)、スチレン151.6g、ブチルアクリレート128.7g、及びアクリル酸5.7gを含有するプレエマルション、並びに水32.9g及び過硫酸カリウム0.9gを含有する開始剤溶液を調製した。
[00163]反応器が80℃の温度に達した時点で、5wt%のプレエマルション及び5wt%の開始剤溶液を反応器に添加し、300rpmで撹拌しながら反応媒体を80~85℃の間の温度で30分間維持した。この重合の段階には、シード核形成が含まれる。
[00164]核形成ステップ完了後、蠕動ポンプを使用して、95wt%のプレエマルションを、3.5時間、約2.1g/分の流量で反応器に添加した。同時に、蠕動ポンプを使用して、95wt%の開始剤溶液を、4.0時間、約0.1g/分の流量で反応器に添加した。
[00165]重合の0.5、1.5、2.5、3.5及び4.5時間後に反応器からラテックス試料を採取し、モノマーのポリマーへの転化及び平均粒子径を監視した。
[00166]開始剤溶液の添加終了後、反応媒体の温度を80~85℃で0.5時間維持し、その後60℃に下げた。同時に、水9.9g及びTrigonox AW 70(70wt%tert-ブチルヒドロペルオキシド水溶液)0.1gを含有する酸化溶液、並びにSFS(スルホキシル酸ナトリウムホルムアルデヒド)0.1gを含有する還元溶液を調製した。
[00167]残留モノマーのポリマーへの転化を促進するために、ラテックスが入った反応器に、60℃の温度で1時間、これらの溶液を約0.2g/分の流量で添加した。
[00168]酸化溶液及び還元溶液の添加後、重合は60~65℃の温度でさらに1時間維持された。
[00169]このステップの後、媒体の温度を50℃に下げ、結果として得られたラテックスを出し、200メッシュのふるいで濾過して、ラテックス中に分散している凝塊含有量を定量化した。
[00170]ラテックスの理論的質量は650gであるべきである。該理論的ラテックス質量は、プロセスを監視するために採取した試料、反応器及びインペラ壁へのラテックス損失、並びにラテックス濾過中に生じる損失を考慮に入れていない。
(実施例27)
[00171]本発明によれば、実施例27は、従来の非イオン性界面活性剤のアセット質量を、同等のアセット質量の反応性非イオン性界面活性剤1(実施例1に記載の経路から得られた実験試料で99.6wt)に置き換えることにより、実施例26に記載の手順に従って調製した。理論的ラテックス質量を650gに維持するために、最初の脱塩水質量及びプレエマルション水質量を調整した。
(実施例28)
[00172]本発明によれば、実施例28は、従来の非イオン性界面活性剤のアセット質量を、同等のアセット質量の反応性非イオン性界面活性剤2(実施例2に記載の経路に従って得られた実験試料でアセットの99.0%)に置き換えることにより、実施例26に記載の手順に従って調製した。ラテックスの理論的質量を650gに維持するために、反応器に入れる脱塩水及びプレエマルションの質量を調整した。
(実施例29)
[00173]脱塩水131.5g、炭酸水素ナトリウム0.1g及びラウリルエーテル硫酸ナトリウム塩3.9g(30wt%)を実施例8に記載の1L反応器に充填した。これを300rpmで撹拌し、温度が80℃に達するように加温した。OPTIMAX
[00174]同時に、脱塩水151.9g、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム塩22.8g(30wt%)、スチレン151.6g、ブチルアクリレート128.7g、及びアクリル酸5.7gを含有するプレエマルション、並びに水32.9g及び過硫酸カリウム0.9gを含有する開始剤溶液。
[00175]反応器が80℃の温度に達した時点で、5wt%のプレエマルション及び5wt%の開始剤溶液を反応器に添加し、300rpmで撹拌しながら反応媒体を80~85℃の間の温度で30分間維持した。この重合段階には、シード核形成が含まれる。
[00176]核形成ステップ完了後、蠕動ポンプを使用して、95wt%のプレエマルションを、3.5時間、約1.8g/分の流量で反応器に添加した。同時に、蠕動ポンプを使用して、95wt%の開始剤溶液を、4.0時間、約0.1g/分の流量で反応器に添加した。
[00177]重合の0.5、1.5、2.5、3.5及び4.5時間後に反応器からラテックス試料を採取し、転化及び平均粒子径を監視した。
[00178]開始剤溶液の添加後、反応媒体の温度を80~85℃で0.5時間維持し、その後60℃に下げた。同時に、水9.9g及びTrigonox AW 70(有効成分70wt%のtert-ブチルヒドロペルオキシド水溶液)0.1gを含有する酸化溶液、並びにSFS(スルホキシル酸ナトリウムホルムアルデヒド)0.1gを含有する還元溶液を調製した。
[00179]残留モノマーの転化を促進するために、ラテックスが入った反応器に、60℃の温度で1時間、これらの溶液を約0.2g/分の流量で添加した。
[00180]酸化溶液及び還元溶液の添加後、重合は60~65℃の温度でさらに1時間維持された。
[00181]このステップの後、媒体の温度を50℃に下げ、結果として得られたラテックスを出し、200メッシュのふるいで濾過して、ラテックス中に分散している凝塊含有量を定量化した。
[00182]ラテックスの理論的質量は650gであるべきである。この理論的ラテックス質量は、プロセスを監視するために採取した試料、反応器及びインペラ壁へのラテックス損失、並びにラテックス濾過中に生じる損失を考慮に入れていない。
(実施例30)
[00183]反応器内の凝塊形成に対する、実施例26、27及び28のラテックスの重合に使用した異なる非イオン性界面活性剤の影響を、図17に示す。
[00184]ラテックスの濾過後に得られた反応器写真は、反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスによって、従来の非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスにより発生した汚れのレベルと同様の、低いレベルの汚れが反応器内に生成されたことを示す。
(実施例31)
[00185]濾過で得られた凝塊含有量に対する、実施例26、27及び28のラテックスの重合に使用した異なる非イオン性界面活性剤の影響を図18に示す。
[00186]図18によれば、反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスは、従来の非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスよりもはるかに少ない凝塊含有量を有する。
(実施例32)
[00187]モノマーのポリマーへの転化に対する、異なる非イオン性界面活性剤の影響を図19に示す。図19に示した結果は、実施例26、27、28の重合で使用した従来の界面活性剤及び反応性界面活性剤が、モノマーからポリマーへの転化に好都合であることを実証している。これらの結果は、実施例15の結果と共に、反応性界面活性剤がモノマーのポリマーへの転化を遅らせなかったことを実証している。
(実施例33)
[00188]重合に伴う粒子径に対する、実施例26、27及び28におけるラテックスの異なる非イオン性界面活性剤の影響を、図20に示す。粒子径の推移の結果は、反応性非イオン性界面活性剤が、従来の非イオン性界面活性剤と同程度、重合に伴って成長するラテックス粒子を安定化するのに有効であることを示す。
(実施例34)
[00189]実施例26、27及び28のラテックスの重合に伴う粒子数の推移に対する、異なる非イオン性界面活性剤の影響を図21に示す。異なる非イオン性界面活性剤を含有するすべての重合について、粒子数の推移の傾向は類似していた。
(実施例35)
[00190]実施例26、27及び28の異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスの一般的な特性を表11に示す。
Figure 2023529276000012
[00191]これらの結果は、異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスはいずれも45%より高い固形分、107~110nmの間の粒子径、200cp未満の粘度、及び35~40mN/mの間の表面張力を有したことを示す。
(実施例36)
[00192]実施例29のアニオン性界面活性剤のみを使用して重合されたラテックス、標準ラテックス、並びに実施例26~28のアニオン性界面活性剤及び異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスの電解質安定性を図22に示す。図22は、臨界凝集濃度(CCC)としても知られる、ラテックス粒子のサイズを増大させるのに必要なCaCl濃度を示す。該濃度が高いほど、ラテックスの安定性は高い。
[00193]CCC値は、従来の非イオン性界面活性剤及び反応性非イオン性界面活性剤1を使用して重合されたラテックスが、CaClに対して、同様の、反応性非イオン性界面活性剤2を使用して重合されたラテックスよりも高い安定性を示したことを示す。また、反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスは、非イオン性界面活性剤を使用せずに重合された標準ラテックスよりも高いCCCを有した。これらのCCC結果は、従来の非イオン性界面活性剤及び反応性非イオン性界面活性剤1を使用して重合されたラテックスが、反応性非イオン性界面活性剤2を使用して重合されたラテックスよりも効果的に立体安定化されていることを示唆している。このような挙動は、反応性非イオン性界面活性剤2を使用して重合されたラテックス粒子と比較して、ラテックス粒子表面における従来の非イオン性界面活性剤及び反応性非イオン性界面活性剤1の分子数が多いことに起因している可能性がある。
(実施例37)
[00194]実施例29のアニオン性界面活性剤のみを使用して重合されたラテックス、標準ラテックス、並びに実施例26~28のアニオン性界面活性剤及び異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスのコロイド安定性を図23に示す。
[00195]図23に示した沈降速度の結果は、約110nmの粒子径を有するラテックスが、120~140nmの間の粒子径を有するラテックスと比較して、低い沈降速度を有することを実証している。図23によれば、異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスが、同様の沈降速度を示し、これは、非イオン性界面活性剤及び硫酸化基の密度が、この範囲の粒子径を有する安定な粒子を生成するのに十分であったことを示唆している。
(実施例38)
[00196]実施例29、26、27及び28で重合されたラテックスの最低造膜温度(MFFT)を図24に示す。図24によれば、すべてのラテックスが25~22℃の間のMFFTを有した。
(実施例39)
[00197]実施例29、26、27及び28で重合されたラテックスのMFFTに対する、ウルトラフィルム(登録商標) 5000凝集剤含有量の影響についても評価した。図25は、ラテックスが5℃の温度で膜を形成するために必要なウルトラフィルム(登録商標) 5000のレベルを示す。
[00198]図25によれば、反応性非イオン性界面活性剤2を使用して重合されたラテックスは、他のラテックスよりも約10%低い、最も少ない凝集剤含有量を必要とした。実施例26及び27の重合による界面活性剤を高い含有量で使用して重合されたラテックス、及び実施例8及び9の重合による同じ界面活性剤を低い含有量で使用して重合されたラテックスは、同様のMFFTを有した。興味深いことに、実施例26及び27の界面活性剤の含有量が高いラテックスにおける、5℃で膜を形成するために必要な凝集剤含有量は、実施例8及び9のラテックスよりも17%低かった。
[00199]これらの結果は、粒子径の減少、界面活性剤含有量の増加が、ポリマー-合体剤相互作用に好都合であり、5℃の温度で膜を形成するために必要な凝集剤含有量を低減させることが可能になったことを示唆している。
(実施例40)
[00200]実施例26、27及び28で得られたラテックスを、表12に示した成分と共に半光沢塗料に配合し、半光沢塗料の特性に対する、これらのラテックスの重合に使用した異なる非イオン性界面活性剤の影響を以下に示す。
Figure 2023529276000013
[00201]25℃で1日間エージングさせた塗料のKU粘度を表13に示す。
Figure 2023529276000014
[00202]また、塗料の凍結融解サイクルに対する安定性も評価した。図26は、2回の凍結融解サイクルに供した塗料の写真を示す。
[00203]図26によれば、従来の非イオン性界面活性剤及び反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを配合した半光沢塗料は、市販のスチレン-アクリルラテックスと比較して凍結融解サイクルに対して優れた耐性を示した。
[00204]異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを配合した塗料の光沢結果を図27に示す。
[00205]図27によれば、異なるラテックスを配合した塗料はいずれも光沢が20GUより高く、反応性非イオン性界面活性剤1を使用して重合されたラテックスを配合した塗料は、従来の非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを配合した塗料と比較して優れた光沢を示した。
[00206]異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを配合した塗料の耐湿潤摩耗性結果を図28に示す。
[00207]図28によれば、反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスにより、従来の非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスと比較して、塗料の耐湿潤摩耗性が80~160%上昇した。
[00208]実施例25及び40に示した耐湿潤摩耗性結果、及び実施例23に示したラテックス膜の白化結果は、本発明に記載の新規反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを配合した水性コーティング配合物が、該配合物の耐水性を改善することを証明している。さらに、これらのコーティングは、濾過ステップ中及びラテックス中和ステップ中における反応器内の凝塊形成がより少ない、優れたコロイド安定性を有する。反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを含有する塗料配合物は、凍結融解サイクルに対しても、市販のラテックスを配合した塗料より高い耐性を示した。反応性非イオン性界面活性剤の存在により、低温で透明且つ連続的な膜を形成するために必要な凝集剤含有量を約20%低減させることができた。
(実施例41)
[00209]通常、アニオン性反応性界面活性剤により、より良好な耐水性を有するコーティングを生成することができるという共通の理解がある。
[00210]市販のアニオン性反応性界面活性剤を使用したラテックス重合の先行する経験により、アニオン性反応性界面活性剤が反応器内の凝塊形成を制御せず、これらのラテックスを配合した塗料が、従来の界面活性剤を配合した塗料と同様の耐水性を示したことが示された。
[00211]その結果、本発明において、いくつかの市販品で使用されているアクリル及びビニル-アクリルラテックスと比較した、従来のアニオン性及び非イオン性界面活性剤のハンセン溶解度パラメータにおける違いを理解するための研究が実施された。
[00212]図29は、アニオン性及び非イオン性界面活性剤とアクリル系ラテックスとのハンセン溶解度パラメータの相対差(RED:relative energy difference、相対エネルギー差)を示す。ここで、ビニルアクリルラテックスと比較して、アニオン性界面活性剤のREDは灰色、非イオン性界面活性剤のREDはオレンジである。1未満の値は、界面活性剤がポリマーとの相容性を有することを示し、1より大きい値は、界面活性剤がポリマーとの相容性に乏しいことを示す。
[00213]図29及び30に示した結果は、乳化重合に使用したアニオン性界面活性剤が、非イオン性界面活性剤よりも従来の市販のラテックスに近いハンセン溶解度パラメータを有することを示し、非イオン性界面活性剤が、アニオン性界面活性剤よりも相容性が低く、より偏析しやすいことを実証している。
[00214]したがって、得られた結果から、市販されている従来の非イオン性界面活性剤を、本発明の反応性非イオン性界面活性剤で置き換えることにより、コーティングの耐水性を最大で200%向上させることができることを実証することが可能であった。
発明の詳細な説明
[発明の分野]
[001]本発明は、高い耐水性を有する水性コーティング組成物、反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合され、乳化重合により得られるラテックス、該ラテックスを生成するために使用される乳化重合方法、及び乳化重合に使用されるエトキシル化アルキルフェノールを含まない反応性非イオン性界面活性剤の合成を含む。
[発明の原理]
[002]水性コーティングは、溶剤系コーティングと比較して低い環境負荷を示し、且つ経済的に持続可能であることから、注目されている。
[003]ほとんどの水性コーティングは、単数形ではラテックス(latex)、複数形ではラテックス(latexes)として知られている、界面活性剤により安定化された水中ポリマー粒子分散体を含有する。
[004]ラテックスは、好ましくは乳化重合により得られ、その主な特性は、
様々な温度及び湿度条件下でガラス転移温度(Tg)及び膜形成能が定められるモノマー組成物、並びに
粒子径分布、である。
[005]従来の市販のラテックスは、通常、平均粒子径が50~500nmの間、Tgが-40~90℃の粒子を有する。
[006]ラテックスは、各用途に好適な外観、機械的特性、耐水性、耐候性、及び他の外部要因に対する耐性を示す膜又は連続的且つ均質なコーティング膜の形成に責任を負う、水性コーティング配合物の最も重要な成分である。
[007]水性コーティングは、建築用塗料、接着剤、紙、皮革及び繊維を含むいくつかの用途で使用されている。
[008]乳化重合方法を開発し、したがって、安定なラテックスを開発するためには、界面活性剤の選択が最も重要である。
[009]界面活性剤は、重合開始時の粒子核生成の制御、並びに重合全体を通した粒子安定性、及び反応器内の凝塊形成の制御という困難な課題を有している。さらに、界面活性剤は、粒子径、機械的安定性、電解質安定性、凍結融解安定性及び最終ラテックス貯蔵寿命を制御する。
[0010]乳化重合において最も一般的に使用される界面活性剤は、アニオン性及び非イオン性である。通常、単一の界面活性剤では、機械的安定性、電解質に対する安定性、並びに冷却及び加熱サイクルに対する安定性(凍結融解安定性としても知られる)を有するラテックスを生成するのに十分ではない。
[0011]乳化重合に使用される従来の界面活性剤は、疎水性部分と親水性部分とを有し、各部分は、水中に乳化したモノマー液滴、及び水中に分散したポリマー粒子などの重合全体を通して存在する分散相の表面、並びに最終ラテックスから水中に分散したポリマー粒子の表面に、物理的に吸着する。
[0012]また、従来の界面活性剤は、ラテックス膜の形成、及び水性コーティング膜の特性にも影響を与える。
[0013]通常、ラテックス膜の形成は、以下の3段階を含む。
段階I:水の蒸発及び粒子のパッケージング。この段階では、界面活性剤は粒子に吸着されたままである。この段階で得られる膜は、連続的ではなく、白っぽく脆い外観を示す。
[0014]段階II:湿潤ポリマーTg又は最低造膜温度(MFFT)が室温及び水蒸発より低い場合、粒子変形。得られる膜は連続的で透明且つ均質であるが、低い機械的耐性を示す。加えて、この段階では、界面活性剤が変形した粒子の隙間に残存しているため、耐水性の低い膜となる。
[0015]段階III:媒体の温度が乾燥ポリマーTgより高い場合、合一として知られる、粒子ドメインの消失を伴う、1つの粒子から他の粒子への、ポリマー鎖の相互拡散がある。同時に、ポリマー-空気及びポリマー-基材界面への界面活性剤の移動、並びに親水性ドメインを形成する界面活性剤の偏析も起こる。これらの親水性ドメインは、膜中へ水が浸透する経路である。
[0016]界面への界面活性剤の移動及び親水性ドメインの形成は、水性コーティングの低い耐水性及び低い耐久性の主な原因である。これは、溶剤系コーティングと比較した場合における水性コーティングの主な欠点であり、より要求の厳しい用途、例えば、高い耐水性コーティングを必要とする高い相対湿度の環境における水性コーティングの使用を制限するものである。
[0017]水性コーティングの低い耐水性というこの問題に対して考え得る解決策は、乳化重合における反応性界面活性剤の使用である。乳化重合におけるこのような反応性界面活性剤の使用により、界面活性剤のポリマーへの共有結合を確実にし、膜全体にわたって界面活性剤の移動及び偏析が回避される。
[0018]該戦略により、水性コーティング配合物に使用される従来の界面活性剤の少なくとも一部を反応性界面活性剤に置き換えて、最終コーティングの耐水性を改善することができる。コーティングのこのような耐水性の改善は、コーティング配合物、特に塗料配合物の耐湿潤摩耗性の向上により証明され得る。
[0019]従来の界面活性剤は、屋外に塗布されたコーティングから雨水により除去されて環境中に取り込まれるが、ポリマーに組み込まれた界面活性剤は水により除去されず、したがって環境中に流れ込むことがないため、反応性界面活性剤の使用は、環境の観点からも興味深い。
[0020]以下に示すように、いくつかの先行技術文献では、反応性界面活性剤の使用について記載されている。
[0021]米国特許第5,162,475号は、繊維コーティングに利用される、ブトキシル化及びエトキシル化アリルアルコールに由来する界面活性剤を使用して重合されたラテックスを教示する。該文献は、反応性界面活性剤を使用して重合されたラテックスで処理された天然及び合成繊維が高い硬度を有し、従来の界面活性剤で処理された繊維よりも疎水性であることを実証している。
[0022]米国特許出願公開第2019/0144584号には、エトキシル化メタノールと9-デセン酸とのモノエステルを反応性界面活性剤として使用して重合されたラテックス、及びこのようなラテックスを配合した組成物が記載されている。該発明は、実施例から、得られた反応性界面活性剤は、発泡の可能性が低く、デカン酸類似体よりも粘度が低く、乳化重合に使用することができることを実証している。ラテックス、及びこれらのラテックスを含有する組成物の特性に対する反応性界面活性剤の影響に関する証拠は示されていない。
[0023]米国特許出願公開第2009/0118397号の文献によれば、該文献は、ラテックスと、ポリグリセロール及び不飽和脂肪酸、好ましくはオレイン酸のエステルをベースとする反応性界面活性剤とを含有するコーティング組成物の保護を求めるものである。反応性界面活性剤はラテックスの乳化重合には使用されていないが、コーティング配合物に添加されており、酸化硬化反応によりラテックスの表面と反応することが予想される。耐湿潤摩耗性試験により到達される塗料の耐水性により、塗料乾燥中に、反応性界面活性剤がポリマーと反応して塗料の耐湿潤摩耗性が改善されたという結論は得られなかった。評価した4種類の塗料配合物のうち、反応性界面活性剤を含有する1種類の塗料配合物のみが従来の界面活性剤を含有する塗料と比較して優れた耐湿潤摩耗性を示し、他のすべての塗料配合物が従来の界面活性剤を含有する塗料と比較して同様の耐湿潤摩耗性を示したためである。
[0024]米国特許出願公開第2014/0249272号は、スチレンの転化及び共重合に悪影響を及ぼさない(該悪影響はAPEを含まない反応性界面活性剤の欠点であるため)、疎水性部分にアリル側基を有する、アルキルフェノールエトキシル化(APE)を含まない反応性界面活性剤を含む。該文献によれば、APE反応性界面活性剤のみがスチレンの転化及び共重合を可能にした。さらに、反応性界面活性剤を使用して重合された水性コーティングの主な特性は耐水性であることが補強され、水に浸漬したラテックス膜の白化評価により、反応性界面活性剤を使用して重合されたラテックス膜の耐水性が実証されている。
[0025]しかしながら、コーティング配合物の耐水性を改善することができる、疎水性鎖の先頭に不飽和を有する特殊な反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合された新規ラテックスを開発するという技術的要求が依然として存在する。さらに、このようなラテックスを含有するコーティング配合物は、濾過ステップ中及びラテックス中和ステップ中における反応器内の凝塊形成がより少ない、優れたコロイド安定性を示すべきである。
[発明の概要]
[0026]本発明は、高い耐水性を有する水性コーティング組成物、反応性界面活性剤を使用して重合されたラテックス、該ラテックスを生成するために使用される乳化重合方法、及び乳化重合に使用される反応性界面活性剤の合成を含む。
図1は、異なる非イオン性界面活性剤の界面活性剤濃度の関数としての表面張力の曲線を示す図である。 は、反応器内の凝塊形成に対する、異なる非イオン性界面活性剤の影響を実証する写真である。 は、異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスの濾過中に得られた凝塊含有量を示す。 は、ラテックス中和ステップ中に形成された凝塊含有量を示す。 は、重合に伴う固形分の推移を示すグラフである。 は、重合に伴う粒子径の推移を示すグラフである。 は、重合に伴う粒子数の推移を示すグラフである。 は、中和されたラテックスの機械的安定性に対する、異なる非イオン性界面活性剤の影響を示すグラフである。 は、ラテックス アクロナール(ACRONAL)(登録商標)BS700及び実施例9、10及び11で重合されたラテックスの臨界凝集濃度を示す 図10は、異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを含有する、約26%のPVCを含む半光沢塗料の、60°の角度で測定された光沢を示す。 11は、異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを含有する、約26%のPVCを含む半光沢塗料の湿潤隠蔽力を示すグラフである。 12は、異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを含有する、約26%のPVCを含む半光沢塗料の乾燥隠蔽力を示すグラフである。 13は、異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを含有する、約26%のPVCを含む半光沢塗料の耐湿潤摩耗性を示す 図14は、異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックス中の、濾過された凝塊含有量を示す。 15は、重合に伴う固形分の推移を示す。 16は、重合に伴う粒子径の推移を示す。 17は、重合に伴う粒子数の推移を示す 図18は、なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを含有する、約30%のPVCを含む半光沢塗料の、ASTM D 2486に従う耐湿潤摩耗性を示す
[発明の詳細な説明]
[0045]本発明に含まれる水性コーティング組成物には、APEを含まない反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスが配合されている。
[0046]通常、従来の界面活性剤を高い含有量で使用して重合されたラテックスを配合したコーティングは、塗料の耐湿潤摩耗性試験により到達される低い耐水性を有する。
[0047]利点として、従来のアニオン性界面活性剤及び本発明のAPEを含まない反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを含有する配合物は、従来のAPEを含まない非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを配合した塗料と比較して、80~200%、好ましくは80~160%の耐湿潤摩耗性向上を示した。
[0048]これらの利点により、本発明のコーティング組成物は、装飾塗料、建築用塗料、工業用塗料、印刷用インク、トナー、自動車用オリジナル塗料、再塗装用塗料、接着剤、シーラント、防水剤、アスファルト乳剤、手袋及びカーペットに使用することができる。
[0049]ラテックス合成に使用されるモノマーは、好ましくはスチレン、アクリル酸に由来するエステル、メタクリル酸に由来するエステル、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル、エチレン、アクリロニトリル、ブタジエン、ヴェオヴァ(VEOVA)(商標)である。
[0050]従来のAPEを含まないアニオン性界面活性剤及びAPEを含まない反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたスチレン-アクリルラテックスは、従来のアニオン性及び非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスと同様の転化速度を示した。また、アクリルモノマーのみを使用して重合されたラテックスも同様の挙動を示した。これらの結果は、本発明のAPEを含まない反応性非イオン性界面活性剤が、上述の利点を示す他に、モノマーのポリマーへの転化及び共重合、特にスチレンモノマーの転化及び共重合に悪影響を及ぼさないことを示す。これは、米国特許出願公開第2014/0249272号の文献で前述のように、APEを含まない反応性界面活性剤において重要である。
[0051]本発明に含まれる重合方法により、重合方法全体を通して安定且つ低発泡性であるラテックスを生成することができる。
[0052]ラテックスの調製に使用されるアニオン性界面活性剤は、非反応性、及び硫酸基、スルホン酸基、スルホコハク酸基及びリン酸基に由来する反応性であってもよい。
[0053]また、本発明に含まれるAPEを含まない反応性非イオン性界面活性剤は、界面活性剤の疎水性部分に不飽和を有する。該文献によれば、界面活性剤の疎水性部分に不飽和を有する分子により、反応性界面活性剤が、粒子表面において従来の界面活性剤と同様の配置を有することができ、従来の界面活性剤では、疎水性部分が粒子表面に吸着するだけであるのに対し、反応性界面活性剤では、疎水性部分がモノマーと反応し、ポリマーとの共有結合を形成する。いずれの界面活性剤も、親水性部分は水と接触したままであり、静電的又は立体的な安定化により、粒子をフロキュレーション又は凝集から保護する。
[0054]本発明のAPEを含まない反応性非イオン性界面活性剤の不飽和は疎水性鎖の末端部にあり、したがって、疎水性鎖の中間に不飽和を有する従来の脂肪酸に由来する界面活性剤と比較して、優れた反応性を有する。その結果、このような従来の脂肪酸に由来する界面活性剤は、反応性が低く、ポリマーに効果的に取り込まれる可能性が低い。一方、本発明のAPEを含まない反応性非イオン性界面活性剤は、反応性が非常に高く、ポリマーに取り込まれ、コーティング組成物の耐水性を改善する高い可能性を示す。
[0055]さらに、本発明の界面活性剤分子は、ほとんどの市販の反応性界面活性剤分子及び米国特許出願公開第2014/0249272号の文献において教示されている分子と同じように、側基における不飽和を有さない。側基に不飽和を有する分子は、従来の界面活性剤と比較して、1分子当たりがより大きな面積を占め、ポリマー-水界面に吸着する反応性界面活性剤分子数を減少させ、水中に分散されたポリマー粒子を安定化させる能力を低下させる。
[0056]その結果、本明細書で特許請求するAPEを含まない反応性非イオン性界面活性剤も、安定なラテックスを生成する高い可能性を有する。
[0057]一実施態様において、本発明のAPEを含まない反応性非イオン性界面活性剤は、疎水性鎖の末端に不飽和を有する不飽和脂肪酸のモノエステル及びジエステルの混合物を含むエステルである。
[0058]それに加えて、本発明のAPEを含まない反応性非イオン性界面活性剤は、末端に不飽和を有する脂肪酸のアルコキシル化反応により優先的に得ることができる。また、本発明の反応性非イオン性界面活性剤は、脂肪酸とポリエチレングリコールとの直接エステル化により得ることもできる。
[0059]それに加えて、本発明のAPEを含まない反応性非イオン性界面活性剤は、末端不飽和を有する脂肪エステル及びポリエチレングリコールの直接エステル交換により又はこの脂肪エステルの直接エステル交換に続くアルコキシル化により得ることができる。
[0060]末端不飽和を有する脂肪酸及びグリコール誘導体の直接エステル化経路は、米国特許第10,100,137号に記載されているようなモノエステル及び乳化重合におけるその使用を生成する。しかしながら、発明者らは、モノエステルを使用して重合されたラテックスのコロイド安定性に関する改善も、本発明において驚くべきことに特定されたそれらのラテックスを配合した塗料の耐湿潤摩耗性における改善も報告しなかった。
[0061]この発明において、モノエステルを使用して重合されたラテックスは、より高いコロイド安定性を示し、従来の非イオン性界面活性剤及び市販のラテックスを使用して重合されたラテックスを配合したコーティングよりも30~80%高い耐湿潤摩耗性を有するコーティングを生成する。
[0062]末端不飽和を有する脂肪酸のアルコキシル化経路は、有望な表面特性を示す、モノエステル及びジエステルの混合物を生成する。この経路から得られたAPEを含まない反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスは安定であり、従来の非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックス、及び市販のラテックスを配合したコーティングよりも約30~160%高い、驚くべき耐湿潤摩耗性を有するコーティングを生成する。ほとんどのラテックスは反応性アニオン性界面活性剤を使用して重合されることが好ましいため、これらの予想外の結果は、公開文献及び特許では予見されなかったものである。
[0063]好ましい実施態様において、本発明で使用される末端不飽和脂肪酸は10個又は11個の炭素を有し、より好ましい実施態様において、脂肪酸は9-デセン酸及び10-ウンデセン酸から選択される。
[0064]加えて、さらにより好ましい実施態様において、APEを含まない反応性非イオン性界面活性剤は、9-デセン酸のエトキシル化により調製される。
[0065]これから示す実施例は、本発明のAPEを含まない反応性非イオン性界面活性剤の可能性を例示するものである。
[0066]以下に記載した方法を使用して、実施例で述べた重合、ラテックス及び塗料の特性を示した。
[0067]重合中に収集したラテックス試料、最終酸ラテックス及び最終中和ラテックスについて、ASTM D2369-10に従って固形分を決定することにより、モノマーのポリマーへの転化を監視した。
[0068]反応器内の凝塊形成は、重合完了後に反応器の写真を撮ることにより監視した。
[0069]反応器からのラテックスを200メッシュのあらかじめ秤量したふるいで濾過し、ふるい及び残渣を温度110±5℃のオーブンで3時間乾燥させ、残渣の乾燥質量を秤量し、ASTM D2369-10に従って凝塊含有量を推定することにより、ラテックス中の凝塊含有量を推定した。
[0070]希釈したラテックス分散体の粒子径分布は、Zetasizer Nano ZS装置を使用し、動的光散乱法により決定した。
[0071]ラテックスのBrookfield粘度は、ISO 1652に従って決定した。
[0072]ラテックスの機械的安定性は、ASTM D1417に従って、14000rpmで30分間維持したラテックス中に形成された凝塊含有量を決定することにより推定した。
[0073]電解質安定性は、固形分0.1wt%のラテックス分散体を5mol・L-1のCaCl溶液で滴定し、ラテックス試料の粒子径を測定することにより決定した。CaCl濃度の関数として平均粒子径グラフが描かれている。平均粒子径に急激な増大が見られるCaCl濃度が、臨界凝集濃度(CCC)である
[0074]ラテックス及び塗料のpHは、ASTM E70に従って決定した。
[0075]塗料の稠度は、ASTM D562-10に従って決定した。
[0076]塗料のレオロジー挙動は、ASTM D7394に従って調整された
[0077]25±2℃及び50±5%の相対湿度において7日間乾燥させた塗料の光沢を、ASTM D523-14に従って評価した。
[0078]塗料の湿潤隠蔽力を、ASTM D2805-11に従って評価した。
[0079]25±2℃及び50±5%の相対湿度において7日間乾燥させた塗料の乾燥隠蔽力を、ASTM D2805-11に従って評価した。
[0080]25±2℃及び50±5%の相対湿度において7日間乾燥させた塗料の耐湿潤摩耗性を、ASTM D2486-17に従って評価した
実施例:エトキシル化)
[0081]脂肪酸(9-デセン酸、9-DA、800g)をParr社製反応器に入れた。触媒として水酸化カリウム50wt%溶液(4g)を使用した。混合物を撹拌しながら均質化し、次いで、水を除去するために真空及び加熱を開始した。脂肪酸が乾燥すると、真空を遮断し、撹拌を増加させた(800rpm)。系が140℃になると、エチレンオキシド(EO、2358g)の注入を開始し、反応温度を155℃に維持した。すべてのEOを注入後、系の圧力が安定化するのを待ち、オキシドの全質量の消化(digestion)を確実にした。次いで、120℃で再び真空を適用して副生成物を除去し、90℃未満の温度まで冷却して中和し、9-デセン酸12EOを得た。同様の手順を行い、同一酸の23EO変型を得た。
(実施例:エステル交換)
[0082]機械撹拌器、冷却管、熱電対及び窒素導入口を備えた3リットル4つ口丸底フラスコに、ポリエチレングリコール(ULTRAPEG 600、1427g)、脂肪酸エステル(メチル9-デセノエート、9-DAME、584g)、触媒としてのフレーク状の水酸化カリウム(14g)を包含する、ポリエチレングリコールデセノエートを得るための原料を入れた。700rpmの撹拌及び170℃の温度を維持し、メタノールの除去を促進するために軽く減圧した。安定化されたヒドロキシル価(hydoroxyl index)を得るため、及び理論上のメタノール(約130mL)を除去するための反応時間は、約18時間であった。系を50~60℃まで冷却し、中和を行った。
(実施例:エステル交換に続くエトキシル化)
[0083]機械撹拌器、冷却管、熱電対及び窒素導入口を備えた3リットル4つ口丸底フラスコに、モノエチレングリコール(MEG、497g)、脂肪酸エステル(メチル9-デセノエート、9-DAME、1358g)、触媒としてのフレーク状の水酸化カリウム(32g)を包含する、エステル化及びモノエチレングリコールデセノエート製造用の原料を入れた。700rpmの撹拌及び140℃の温度を維持した。安定化されたヒドロキシル価を得るため、及び理論上のメタノール(約315mL)を除去するための反応時間は、約12時間であった。系を50~60℃まで冷却し、中和を行った。
[0084]次いで、モノエチレングリコールデセノエートをParr社製反応器に移し、11モルのEOを確実に注入して、実施例2と同様のエトキシル化手順を行い、デセン酸12EOと同様の生成物を得た。
(実施例4:エトキシル化経路の特性評価)
[0085]エトキシル化経路(12及び23EO)についてHPLCで分析したモノエステル及びジエステルの混合物の、おおよその組成を表1に示す。各成分の濃度は、クロマトグラムの面積におけるそれぞれのパーセンテージに基づいて推定された。
Figure 2023529276000045
[0086]表2は、エトキシル化経路(実施例1)により得られた生成物の分子量を示す。これらの分子量はLC/MSにより得た。
Figure 2023529276000046
(実施例5:エステル交換経路の比較特性評価)
[0087]モノエステル/ジエステル比が1.5~2.5の範囲である、不飽和脂肪酸エトキシル化経路の生成物は、おそらくジエステルの存在のため、本出願において驚くべき結果を示した。これらの結果により、不飽和脂肪酸のエトキシル化と同様の組成及び分子量を生成するために、実施例2及び3において、不飽和脂肪酸メチルエステルを出発物質とする代替経路が開発された。
[0088]以下の表3は、本発明の対照(酸経路、実施例1)と、脂肪酸エステルのエステル交換により得られた(例えばこれまでに得られたモノエステル/ジエステル比の)物質との、分子量の比較を示す。表3に示した結果は、本発明分子を得るための代替経路として、エステル交換(純粋なもの、又はエトキシル化が続くもの)に道を開くものである。
Figure 2023529276000047
[0089]表3に示されるこれらの特性に基づいて、実施例1~3に示されるモノ不飽和脂肪酸のエトキシル化、モノ不飽和脂肪エステルのエステル交換、及びモノ不飽和脂肪エステルのエステル交換に続くエトキシル化から得られる反応性非イオン性界面活性剤の組成は、ジエステルに対するモノエステルの比が1~3の範囲であるモノエステル及びジエステルの混合物を含む。実施例1~3で得られた12モルのEOを含有する組成をREACT1と名付け、これを乳化重合における反応性非イオン性界面活性剤の適用例において使用する。
(実施例6:エステル化)
[0090]機械撹拌器、冷却管、熱電対及び窒素導入口を備えた3リットル4つ口丸底フラスコに、エステル化及びメタノールデセノエート12EO製造用の原料を入れた。ポリエチレングリコール誘導体(メトキシポリエチレングリコール、MPEG500、1108g)、脂肪酸(9-デセン酸、9-DA、329g)、次亜リン酸(14g)及びメタンスルホン酸(MSA、10g)を入れた。700rpmの撹拌、真空、140℃の温度を維持した。安定化された酸性度指数を得るため、及び理論上の水(約35mL)を除去するための反応時間は、約15時間であった。系を50~60℃まで冷却し、中和を行った。次いで、試料を再度130℃で真空乾燥させ、中和による水を除去した。得られたメタノールデセノエート12EOは、米国特許第10,100,137号で保護し、Standard Reactive(標準反応性)と名付け、それを標準として使用し、その特性をREACT1と比較する。
(実施例:エステル化経路の特性評価)
[0091]実施例で示したエステル化経路では、おおよそ以下のHPLCにより分析されたモノエステル及びジエステルの混合物の組成を有する生成物が生成された(表)。各成分の濃度は、クロマトグラムの面積におけるそれぞれのパーセンテージに基づいて推定された。
Figure 2023529276000048
[0092]異なる特性評価方法により得られた、生成物の推定分子量を、以下の表に示す。
Figure 2023529276000049
(実施例8)
[0093]実施例8は、実施例1で合成されたREACT1の表面活性に関係する特性を示す。REACT1のこれらの特性は、従来の非イオン性界面活性剤及び実施例6で合成され米国特許第10,100,137号で保護されるStandard Reactiveのそれと比較する。
[0094]界面活性剤濃度の関数としての表面張力の曲線の図を図1に、臨界ミセル濃度(CMC)及びCMCでの表面張力を表6に示す。
Figure 2023529276000050
[0095]図1及び表6は、REACT1が従来の非イオン性界面活性剤よりも低いCMC及びCMCでの表面張力を有することを示す。さらに、REACT1は、Standard Reactiveよりも低いCMCを有する。これらの結果によれば、REACT1は、その共重合前は従来の界面活性剤として挙動し、従来の非イオン性界面活性剤及びStandard Reactiveよりも疎水性であり、空気-水界面での吸着及びパッキング(packing)に効率的である。さらに、そのより高い疎水性のために、REACT1は、Standard Reactiveよりもコーティングに使用される疎水性ラテックスとより相溶性であるべきである。
(実施例
[0096]脱塩水131.3g、炭酸水素ナトリウム0.1g、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム塩2.1g(30wt%)、及び従来の非イオン性界面活性剤2.0g(OXITIVE 7110、エチレンオキシド23モルを有する脂肪族アルコール、60wt%)を反応器に入れた。これを300rpmで撹拌し、温度が80℃に達するように加温した。使用した反応器は、還流冷却器、撹拌棒及び熱電対を備えた1Lガラス製反応器、Mettler Toledo社製OPTIMAX 300であった。
[0097]同時に、脱塩水127.4g、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム塩12.6g(30wt%)、従来の非イオン性界面活性剤11.8g(OXITIVE 7110、エチレンオキシド23モルを有する脂肪族アルコール、60wt%)、スチレン164.3g、ブチルアクリレート138.0g、及びアクリル酸6.6gを含有するプレエマルション、並びに水32.8g及び過硫酸カリウム1.0gを含有する開始剤溶液を調製した。
[0098]媒体の反応温度が80℃に達した時点で、5wt%のプレエマルション及び5wt%の開始剤溶液を反応器に添加し、300rpmで撹拌しながら重合媒体を80~85℃の温度で30分間維持した。この重合の段階には、シード核形成が含まれた。
[0099]核形成ステップ終了後、蠕動ポンプを使用して、95%のプレエマルションを、3.5時間、約2.1g/分の流量で反応器に添加した。同時に、蠕動ポンプを使用して、95%の開始剤溶液を、4.0時間、約0.1g/分の流量で反応器に添加した。
[00100]重合の0.5、1.5、2.5、3.5及び4.5時間後に反応器からラテックス試料を収集し、モノマーのポリマーへの転化及び平均粒子径を監視した。
[00101]開始剤溶液の添加終了後、反応媒体の温度を80~85℃で0.5時間維持し、その後60℃に下げた。同時に、水9.9g及びTrigonox AW 70(70wt%tert-ブチルヒドロペルオキシド水溶液)0.1gを含有する酸化溶液、並びに水9.9g及びSFS(スルホキシル酸ナトリウムホルムアルデヒド)0.1gを含有する還元溶液を調製した。
[00102]残留モノマーのポリマーへの転化を促進するために、ラテックスが入った反応器に、60℃の温度で1時間、これらの溶液を約0.2g/分の流量で添加した。
[00103]酸化溶液及び還元溶液の添加後、重合は60~65℃の温度でさらに1時間維持された。
[00104]このステップの後、媒体の温度を50℃に下げ、得られたラテックスを反応器から出し、200メッシュのふるいで濾過して、ラテックス中に分散している凝塊含有量を定量化した。
[00105]ラテックスの理論的質量は650gであるべきである。この理論的ラテックス質量は、プロセスを監視するために収集した試料、反応器及びインペラ壁へのラテックス損失、並びにラテックス濾過中に生じる損失を考慮に入れていない。
(実施例10
[00106]実施例10のラテックスは、従来の非イオン性界面活性剤のアセット質量(asset mass)を、同等のアセット質量のStandard Reactive(実施例6で得られた実験試料で99.6wt%)に置き換えて、実施例に記載の手順に従って調製した。ラテックスの理論的質量を650gに保つために、反応器に充填する脱塩水及びプレエマルションの質量を、それぞれ132.1g及び132.3gに調整した。
(実施例11
[00107]実施例11は、従来の非イオン性界面活性剤のアセット質量を、同等のアセット質量のREACT1(実施例に記載の経路に従って得られた実験試料で99.0wt%)に置き換えて、実施例に記載の手順に従って調製した。ラテックスの理論的質量を650gに保つために、反応器に充填する脱塩水及びプレエマルションの質量を調整した
実施例12)
[00108]反応器内の凝塊形成に対する、異なる非イオン性界面活性剤の影響を図に示す。
[00109]ラテックスの濾過後に得られた反応器写真は、反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスにより、従来の非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスにより発生した汚れのレベルと同様の、低いレベルの汚れが反応器内に生じたことを示す。
(実施例13)
[00110]ラテックスの濾過により得られる凝塊含有量に対する、重合に使用された異なる非イオン性界面活性剤の影響を図に示す。
[00111]図によれば、反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスは、従来の非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスよりも、重合中に形成された凝塊が非常に少ないことがわかった。
(実施例14)
[00112]実施例10及び11で得られたラテックスはpHが2付近であり、MEA(モノエタノールアミン)でpHが8.5~9.0の間に達するまで中和する間に形成された凝塊含有量を図に示す。
[00113]中和段階において、媒体のイオン強度、及び粒子の凝集傾向を大幅に上昇させる、媒体中の電解質濃度の上昇、特にラテックスが最初に中和剤と接触する点における濃度の上昇がある。プロセスのこの段階で、非イオン性界面活性剤は、ラテックス粒子の凝を防止するのに重要な役割を果たす。
[00114]図に示した、中和中に形成された凝塊含有量の結果は、反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスでは、従来の非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスよりも、中和ステップ中に形成された凝塊が少ないことを実証している。したがって、反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスは、従来の非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスよりも高い耐電解質性を有する。
(実施例15)
[00115]モノマーのポリマーへの転化に対する、異なる非イオン性界面活性剤の影響を図に示す。プロセス全体を通して収集したラテックス試料の固形分を評価することにより、モノマーのポリマーへの転化を監視した。図に示した結果は、従来の非イオン性界面活性剤及び反応性非イオン性界面活性剤が、モノマーからポリマーへの転化に好都合であることを実証している。この結果の傾向は、前例のない分子である反応性非イオン性界面活性剤が、モノマーのポリマーへの転化を遅らせていないことを示す。
(実施例16)
[00116]重合全体を通したラテックス粒子径に対する、異なる非イオン性界面活性剤の影響を図に示す。プロセス全体を通して採取したラテックス試料の粒子径分析を行うことにより、ラテックス粒子径の推移を監視した。ラテックス粒子のサイズは、核生成粒子の数、アニオン性及び非イオン性界面活性剤、並びに過硫酸塩開始剤からの硫酸末端基及びカルボン酸由来のモノマーからのカルボキシル基であることが好ましい、粒子表面に存在する親水性基によるこれらの粒子の安定化に依存する。粒子径の推移の結果は、反応性非イオン性界面活性剤が、従来の非イオン性界面活性剤と同程度、重合に伴って成長するラテックス粒子を安定化するのに有効であることを示す。
(実施例17)
[00117]重合に伴うラテックス粒子数の推移に対する、異なる非イオン性界面活性剤の影響を図に示す。粒子数は、固形分から推定したポリマー体積を、粒子半径から推定した粒子の体積で割ることにより推定した。異なる非イオン性界面活性剤を含有するすべての重合について、粒子数の推移の傾向は近かった。これらの傾向は、粒子核形成ステップの後に粒子数の増加が起こったことを示しており、これは新しい粒子が核形成されたことを示す。この粒子数の増加は、従来の非イオン性界面活性剤において、より長い期間にわたって起こった。この粒子数の増加期間の後、すべての重合で粒子数の減少があった。図のこれらの結果は、反応性非イオン性界面活性剤により、従来の非イオン性界面活性剤よりも良好に粒子数を制御することができたことを示唆している。
(実施例18)
[00118]異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスの一般的な特性を表に示す。
Figure 2023529276000051
[00119]これらの結果は、異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスが、高い固形分、すなわち45wt%より大きい固形分、120~150nmの間の粒子径、300cP未満の粘度及び35~40mN/mの間の表面張力を有したことを示す。
(実施例19)
[00120]ラテックスの機械的安定性に対する、異なる非イオン性界面活性剤の影響を図に示す。14,000rpmのせん断で30分間維持したラテックス中に形成された凝塊含有量は、従来の非イオン性界面活性剤及びStandard Reactive非イオン性界面活性剤が同様の機械的安定性を示したのに対し、REACT1は、凝塊形成が従来の非イオン性界面活性剤及びStandard Reactive非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスの1/5である、優れた機械的安定性を示したことを示す。このようなより高い安定性は、従来の非イオン性界面活性剤及びStandard Reactive非イオン性界面活性剤と比較した、該界面活性剤のポリマーへの組み込み及び安定化能力に関係する。
(実施例20)
[00121]ベンチマーク スチレン-アクリルラテックス アクロナール(ACRONAL)(登録商標)BS700、並びに実施例11のアニオン性界面活性剤及び異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスの電解質安定性を図に示す。図は、ラテックス粒子を凝集させるために必要なCaClの臨界凝集濃度(CCC)を示す。該濃度が高いほど、ラテックスの安定性は高い。
[00122]図によれば、従来の非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスは、反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスよりも、CaClに対してより高い安定性を示した。反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスは、ベンチマークラテックスよりも、CaClに対してより高い安定性を示した。これらのCCC結果は、従来の非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスが、反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスよりも効果的な立体安定化を示したことを示唆しており、これはおそらく、反応性非イオン性界面活性剤分子が、粒子内部に部分的に埋没し得るという事実によるものである
実施例21
[00123]また、半光沢塗料の特性に対する、異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスの影響も確認した。実施例1011で得られたラテックスを、表に示された成分と共に半光沢塗料に配合した。
Figure 2023529276000052
[00124]塗料のレオロジー挙動を、1:1の割合で増粘剤を補完水(completion water)で希釈することにより調整した。KU粘度を、好適なアクリル増粘剤を添加することにより80KUに調整し、低せん断速度における塗料のレオロジー挙動を調整した。ICI粘度を、好適なアクリル増粘剤を添加することにより50~80cPに調整し、11000s-1程度の高せん断速度における塗料のレオロジー挙動を調整した。低、中、高せん断速度における塗料のレオロジー挙動及び粘度を調整するために使用した増粘剤含有量を、それぞれ表及び表10に示す。
Figure 2023529276000053
[00125]表は、異なるラテックスを配合した塗料のレオロジー挙動を調整するために、約2%の総増粘剤含有量を使用する必要があったことを示す。
[00126]表10によれば、得られた塗料粘度は、低せん断速度で1200~1500cPの間、中せん断速度で250~350cPの間、高せん断速度で56~70cPの間であった。
Figure 2023529276000054
[00127]25℃で1日間エージングさせた塗料のpH及びKU粘度値を表11に示す。
Figure 2023529276000055
[00128]異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを配合した塗料の光沢結果を図10に示す。
[00129]図10によれば、異なるラテックスを配合した塗料はいずれも光沢が30GUより高く、従来の非イオン性界面活性剤及びREACT1を使用して重合されたラテックスを配合した塗料は、Standard Reactive非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを配合した塗料よりわずかに高い光沢を有した。
[00130]異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを配合した塗料の湿潤及び乾燥隠蔽力の結果を、それぞれ図11及び図12に示す。
[00131]異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを配合した半光沢塗料の湿潤及び乾燥隠蔽力は、類似していた。これらの結果は、異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスが、湿潤及び乾燥塗膜中の顔料及びフィラーの分布パターンに影響を与えていないことを示唆している。
[00132]異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを配合した塗料の耐湿潤摩耗性結果を図13に示す。
[00133]図13によれば、反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを配合した塗料は、従来の非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを配合した塗料よりも30%高い耐湿潤摩耗性を示した。これらの結果から、反応性非イオン性界面活性剤を配合した塗料は、従来の非イオン性界面活性剤を配合した塗料よりも高い耐水性を有することが確認された。
(実施例22
[00134]脱塩水131.5g、炭酸水素ナトリウム0.1g及びラウリルエーテル硫酸ナトリウム塩3.9g(30wt%)を1Lガラス製反応器に充填した。これを300rpmで撹拌し、温度が80℃に達するように加温した。使用した反応器は、実施例に記載したものと同じ(OPTIMAX)であった。
[00135]同時に、脱塩水126.8g、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム塩22.8g(30wt%)、従来の非イオン性界面活性剤25.1g(OXITIVE 7110、23モルのエチレンオキシドを有する脂肪族アルコール、60wt%)、スチレン151.6g、ブチルアクリレート128.7g、及びアクリル酸5.7gを含有するプレエマルション、並びに水32.9g及び過硫酸カリウム0.9gを含有する開始剤溶液を調製した。
[00136]反応器が80℃の温度に達した時点で、5wt%のプレエマルション及び5wt%の開始剤溶液を反応器に添加し、300rpmで撹拌しながら反応媒体を80~85℃の間の温度で30分間維持した。この重合の段階には、シード核形成が含まれる。
[00137]核形成ステップ完了後、蠕動ポンプを使用して、95wt%のプレエマルションを、3.5時間、約2.1g/分の流量で反応器に添加した。同時に、蠕動ポンプを使用して、95wt%の開始剤溶液を、4.0時間、約0.1g/分の流量で反応器に添加した。
[00138]重合の0.5、1.5、2.5、3.5及び4.5時間後に反応器からラテックス試料を採取し、モノマーのポリマーへの転化及び平均粒子径を監視した。
[00139]開始剤溶液の添加終了後、反応媒体の温度を80~85℃で0.5時間維持し、その後60℃に下げた。同時に、水9.9g及びTrigonox AW 70(70wt%tert-ブチルヒドロペルオキシド水溶液)0.1gを含有する酸化溶液、並びにSFS(スルホキシル酸ナトリウムホルムアルデヒド)0.1gを含有する還元溶液を調製した。
[00140]残留モノマーのポリマーへの転化を促進するために、ラテックスが入った反応器に、60℃の温度で1時間、これらの溶液を約0.2g/分の流量で添加した。
[00141]酸化溶液及び還元溶液の添加後、重合は60~65℃の温度でさらに1時間維持された。
[00142]このステップの後、媒体の温度を50℃に下げ、結果として得られたラテックスを出し、200メッシュのふるいで濾過して、ラテックス中に分散している凝塊含有量を定量化した。
[00143]ラテックスの理論的質量は650gであるべきである。該理論的ラテックス質量は、プロセスを監視するために採取した試料、反応器及びインペラ壁へのラテックス損失、並びにラテックス濾過中に生じる損失を考慮に入れていない。
(実施例23
[00144]本発明によれば、実施例23は、従来の非イオン性界面活性剤のアセット質量を、同等のアセット質量のStandard Reactive(実施例6で得られた実験試料で99.6wt)に置き換えることにより、実施例22に記載の手順に従って調製した。理論的ラテックス質量を650gに維持するために、最初の脱塩水質量及びプレエマルション水質量を調整した。
(実施例24
[00145]本発明によれば、実施例24は、従来の非イオン性界面活性剤のアセット質量を、同等のアセット質量のREACT1(実施例に記載の経路に従って得られた実験試料でアセットの99.0%)に置き換えることにより、実施例22に記載の手順に従って調製した。ラテックスの理論的質量を650gに維持するために、反応器に入れる脱塩水及びプレエマルションの質量を調整した
実施例25
[00146]濾過で得られた凝塊含有量に対する、実施例2223及び24のラテックスの重合に使用した異なる非イオン性界面活性剤の影響を図14に示す。
[00147]図14によれば、反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスは、従来の非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスよりもはるかに少ない凝塊含有量を有する。
(実施例26
[00148]モノマーのポリマーへの転化に対する、異なる非イオン性界面活性剤の影響を図15に示す。図15に示した結果は、実施例222324の重合で使用した従来の界面活性剤及び反応性界面活性剤が、モノマーからポリマーへの転化に好都合であることを実証している。これらの結果は、実施例15の結果と共に、反応性界面活性剤がモノマーのポリマーへの転化を遅らせなかったことを実証している。
(実施例27
[00149]重合に伴う粒子径に対する、実施例2223及び24におけるラテックスの異なる非イオン性界面活性剤の影響を、図16に示す。粒子径の推移の結果は、反応性非イオン性界面活性剤が、従来の非イオン性界面活性剤と同程度、重合に伴って成長するラテックス粒子を安定化するのに有効であることを示す。
(実施例28
[00150]実施例2223及び24のラテックスの重合に伴う粒子数の推移に対する、異なる非イオン性界面活性剤の影響を図17に示す。異なる非イオン性界面活性剤を含有するすべての重合について、粒子数の推移の傾向は類似していた。
(実施例29
[00151]実施例2223及び24の異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスの一般的な特性を表12に示す。
Figure 2023529276000056
[00152]これらの結果は、異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスはいずれも45%より高い固形分、107~110nmの間の粒子径、200cp未満の粘度、及び35~40mN/mの間の表面張力を有したことを示す
実施例30
[00153]実施例2223及び24で得られたラテックスを、表13に示した成分と共に半光沢塗料に配合し、半光沢塗料の特性に対する、これらのラテックスの重合に使用した異なる非イオン性界面活性剤の影響を以下に示す。
Figure 2023529276000057
[00154]25℃で1日間エージングさせた塗料のKU粘度を表14に示す。
Figure 2023529276000058
[00155]異なる非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを配合した塗料の耐湿潤摩耗性結果を図18に示す。
[00156]図18によれば、反応性非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスにより、従来の非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスと比較して、塗料の耐湿潤摩耗性が80~160%上昇した。
[00157]実施例21及び30に示した耐湿潤摩耗性結果は、本発明に記載の新規反応性非イオン性界面活性剤REACT1を使用して重合されたラテックスを配合した水性コーティング配合物が、従来の非イオン性界面活性剤を使用して重合されたラテックスを含有するものと比較して、塗料配合物の耐水性を200%まで改善することを証明している。さらに、これらのラテックスは、濾過ステップ中及びラテックス中和ステップ中における反応器内の凝塊形成がより少ない、優れたコロイド安定性を有する

Claims (14)

  1. モノエステル及びジエステルの少なくとも1つを含み、疎水性部分に末端不飽和を含むことを特徴とする、APEを含まない反応性非イオン性界面活性剤。
  2. 好ましくはモノエステルからなることを特徴とする、請求項1に記載のAPEを含まない反応性非イオン性界面活性剤。
  3. 末端不飽和を有する脂肪酸又は脂肪族アルコールに由来することを特徴とする、請求項1又は2に記載のAPEを含まない反応性非イオン性界面活性剤。
  4. 側基に不飽和を有さないことを特徴とする、請求項1に記載のAPEを含まない反応性非イオン性界面活性剤。
  5. メタノールデセノエート12EO、メタノールデセノエート23EO、9-デセン酸12EO又は9-デセン酸23EOであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のAPEを含まない反応性非イオン性界面活性剤。
  6. 請求項1に記載のAPEを含まない反応性非イオン性界面活性剤を得るための方法であって、末端不飽和を有する脂肪族アルコール若しくは脂肪酸のアルコキシル化、又は末端不飽和を有する脂肪酸及びグリコール誘導体の直接エステル化、又は末端不飽和を有する脂肪酸エステル及びグリコール誘導体のエステル交換の段階を含むことを特徴とする、方法。
  7. 前記末端不飽和を有する脂肪酸又はアルコールが、10個又は11個の炭素を有することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
  8. 前記脂肪酸が、9-デセン酸及び10-ウンデセン酸であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
  9. 9-デセン酸のエトキシル化を含むことを特徴とする、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. アニオン性界面活性剤及び請求項1に記載のAPEを含まない非イオン性反応性界面活性剤を使用して重合されていることを特徴とする、乳化重合ラテックス。
  11. 前記アニオン性界面活性剤が、非反応性、及び硫酸基、スルホン酸基、スルホコハク酸基及びリン酸基に由来する反応性であることを特徴とする、請求項10に記載の乳化重合ラテックス。
  12. ラテックス合成に使用されるモノマーが、好ましくはスチレン、アクリル酸に由来するエステル、メタクリル酸に由来するエステル、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル、エチレン、アクリロニトリル、ブタジエン、ヴェオヴァ(VEOVA)(商標)であることを特徴とする、請求項10又は11に記載の乳化重合ラテックス。
  13. 高い耐水性を有する水性コーティング組成物であって、請求項10に記載の乳化重合ラテックスを含むことを特徴とする、水性コーティング組成物。
  14. 請求項13に記載の水性コーティング組成物の使用であって、装飾塗料、建築用塗料、工業用塗料、印刷用インク、トナー、自動車用オリジナル塗料、再塗装用塗料、接着剤、シーラント、防水剤、アスファルト乳剤、手袋及びカーペットにおける使用であることを特徴とする、使用。
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