JP2023528479A - 肺がん及び前立腺がんの治療に使用するダクラタスビル - Google Patents

肺がん及び前立腺がんの治療に使用するダクラタスビル Download PDF

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Abstract

本発明は、がん、好ましくは肺がん及び/又は前立腺がん、より好ましくはエンザルタミド耐性前立腺がんの治療及び/又は予防に使用するためのダクラタスビル(DCV)を開示する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2020年6月5日に出願された米国仮特許出願第63/035,353号の優先権の利益を主張し、その全ての内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
特に、治療有効量のダクラタスビル(DCV)の使用を含む、がんを予防及び/又は治療するための新しい方法が記載され、特許請求され、非がん細胞と比較してより高いレベルのTribblesホモログ2(TRIB2)を発現するがんを有する、それを必要とする対象におけるその使用が同様に記載され、特許請求される。
エンザルタミド(Enzalutamide)は、前立腺がんの治療に使用されるアンドロゲン受容体阻害剤である。患者は治療に対する初期応答を示すが、エンザルタミドに対する耐性が発現し得る。エンザルタミド耐性前立腺がん(ERPC)は、不治の終末期疾患であり、そのための好適な標的又は薬剤は現在利用可能ではない。したがって、がんの治療において実施可能な新しい治療的アプローチの同定の必要性が存在する。
肺がんは、世界におけるがん関連死亡の主な原因である。標的療法の最近の発展は、非小細胞肺がん(NSCLC)における治療パラダイムの変化をもたらした。Mok TS,Wu YL,Thongprasert S,Yang CH,Chu DT,Saijo N,Sunpaweravong P,Han B,Margono B,Ichinose Y,Nishiwaki Y,Ohe Y,Yang JJ,Chewaskulyong B,Jiang H,Duffield EL,Watkins CL,Armour AA,Fukuoka M.Gefitinib or carboplatin-paclitaxel in pulmonary adenocarcinoma.N Engl J Med.2009 Sep 3;361(10):947-57。Maemondo M,Inoue A,Kobayashi K,Sugawara S,Oizumi S,Isobe H,Gemma A,Harada M,Yoshizawa H,Kinoshita I,Fujita Y,Okinaga S,Hirano H,Yoshimori K,Harada T,Ogura T,Ando M,Miyazawa H,Tanaka T,Saijo Y,Hagiwara K,Morita S,Nukiwa T;North-East Japan Study Group.Gefitinib or chemotherapy for non-small-cell lung cancer with mutated EGFR.N Engl J Med.2010 Jun 24;362(25):2380-8。上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)であるゲフィチニブ及びエルロチニブ、並びに未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)TKIであるクリゾチニブは、EGFR変異又はALK遺伝子再構成を有するNSCLC患者において臨床活性を示した。Kwak EL,Bang YJ,Camidge DR,Shaw AT,Solomon B,Maki RG,Ou SH,Dezube BJ, Janne PA,Costa DB,Varella-Garcia M,Kim WH,Lynch TJ,Fidias P,Stubbs H,Engelman JA,Sequist LV,Tan W,Gandhi L,Mino-Kenudson M,Wei GC,Shreeve SM,Ratain MJ,Settleman J,Christensen JG,Haber DA,Wilner K,Salgia R,Shapiro GI,Clark JW,Iafrate AJ。したがって、肺がん及びエンザルタミド耐性前立腺がんにおける主要なドライバー遺伝子を同定し、各サブセットの患者に対する治療を開発することがより重要になっている。
本明細書に記載されるように、Tribblesホモログ2(TRIB2)は、エンザルタミド耐性前立腺がん(ERPC)細胞の生存において役割を果たす。現在、TRIB2の阻害剤は存在しない。本開示は、抗ウイルス薬ダクラタスビル(DCV)がTRIB2タンパク質を阻害することができ、DCVが、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、燕麦細胞がん、腺がん、扁平上皮がん、大細胞(未分化)がん、乳頭がん、腺扁平上皮がん、カルチノイド腫瘍、腺様嚢胞がんリンパ腫、並びに肉腫及び肉腫様がんを含むがこれらに限定されない、ERPC細胞及びTRIB2陽性肺がんを含むTRIB2陽性がん細胞において抗腫瘍効果を示すことを実証する。様々な実施形態では、上記の肺がんは、TRIB2陽性肺がんである。本開示は、治療有効量のダクラタスビル(DCV)を治療を必要とする対象に投与することによって、前立腺がん、特にERPC、及び/又は肺がん等のTRIB2陽性がんを治療するための有効な方法を提供する。
本開示は、がんの予防又は治療を必要とする対象においてがんを予防又は治療する方法であって、治療有効量のダクラタスビル(DCV)をがんに罹患している対象に投与することを含む、方法を記載する。種々の実施形態では、がんは、TRIB2陽性がんである。
更に、本開示は、がんを治療する必要がある対象においてがんを治療する方法であって、治療有効量のダクラタスビル(DCV)を対象に投与することを含み、対象におけるがん細胞が、非がん性及び/又は非過剰増殖性であるがん細胞に隣接する同じ細胞型の細胞の対応する非がん細胞によって発現されるTribblesホモログ2(TRIB2)のレベルと比較して、より高いレベルのTRIB2を発現する、方法を記載する。
更に、本開示は、がんの予防又は治療を必要とする対象においてがんを予防又は治療する方法であって、治療有効量のダクラタスビル(DCV)をがんに罹患している対象に投与することを含む、方法を記載する。
更に、本開示は、がんの予防又は治療を必要とする対象においてがんを予防又は治療する方法であって、療有効量のダクラタスビル(DCV)をがんに罹患している対象に治投与することを含み、がんが、前立腺がん又は肺がんである、方法を記載する。
更に、本開示は、がんの予防又は治療を必要とする対象においてがんを予防又は治療する方法であって、治療有効量のダクラタスビル(DCV)をがんに罹患している対象に投与することを含み、対象が、治療を未だ経験していないか、又は抗がん剤で以前に治療されており、抗がん剤に対して難治性である、方法を記載する。
更に、本開示は、がんの予防又は治療を必要とする対象においてがんを予防又は治療する方法であって、治療有効量のダクラタスビル(DCV)を投与することをがんに罹患している対象に含み、上記の抗がん剤が、アンドロゲン除去療法(ADT)である、方法を記載する。
更に、本開示は、がんの予防又は治療を必要とする対象においてがんを予防又は治療する方法であって、治療有効量のダクラタスビル(DCV)をがんを患っている対象に投与することを含み、前立腺がんが、ADTに耐性であり、任意選択で、対象が、以前にADTで治療されており、がんが、ADTに対する耐性を発達させている、方法を記載する。
更に、本開示は、がんの予防又は治療を必要とする対象においてがんを予防又は治療する方法であって、治療有効量のダクラタスビル(DCV)をがんに罹患している対象に投与することを含み、ADTが、薬学的ADTであり、任意選択で、薬学的ADTが、抗アンドロゲン薬による治療である。
更に、本開示は、がんの予防又は治療を必要とする対象においてがんを予防又は治療する方法であって、治療有効量のダクラタスビル(DCV)をがんに罹患している対象に投与することを含み、抗アンドロゲン薬が、エンザルタミドである、方法を記載する。
更に、本開示は、がんの予防又は治療を必要とする対象においてがんを予防又は治療する方法であって、治療有効量のダクラタスビル(DCV)をがんを罹患している対象に投与することを含み、がんが、エンザルタミド耐性前立腺がん(ERPC)である、方法を記載する。
更に、本開示は、がんの予防又は治療を必要とする対象においてがんを予防又は治療する方法であって、治療有効量のダクラタスビル(DCV)をがんに罹患している対象に投与することを含み、がんが、肺がんである、方法を記載する。
更に、本開示は、がんの予防又は治療を必要とする対象においてがんを予防又は治療する方法であって、治療有効量のダクラタスビル(DCV)をがんを患っている対象に投与することを含み、対象のがん由来のがん細胞が、対応する非がん細胞におけるTRIB2のレベルと比較して、より高いレベルのTribblesホモログ2(TRIB2)を発現する、方法を記載する。
更に、本開示は、がんの予防又は治療を必要とする対象においてがんを予防又は治療する方法であって、治療有効量のダクラタスビル(DCV)をがんに罹患している対象に投与することを含み、(i)がん細胞が、対象の対応する非がん細胞におけるTRIB2のレベルと比較して、より高いレベルのTRIB2を発現する、かつ/又は(ii)がん細胞が、がんに罹患していない対象に由来する対応する非がん細胞におけるTRIB2のレベルと比較して、より高いレベルのTRIB2を発現する、方法を記載する。
更に、本開示は、がんの予防又は治療を必要とする対象においてがんを予防又は治療する方法であって、治療有効量のダクラタスビル(DCV)をがんに罹患している対象に投与することを含み、がん細胞及び非がん細胞が、同じ種類の組織に由来し、任意選択で、がん細胞及び非がん細胞が、前立腺組織に由来する、方法を記載する。
更に、本開示は、がんの予防又は治療を必要とする対象においてがんを予防又は治療する方法であって、治療有効量のダクラタスビル(DCV)をがんに罹患している対象に投与することを含み、DCVが、併用療法の一部として投与され、任意選択で、併用療法が、DCV及びエンザルタミドを含む、方法を記載する。
更に、本開示は、がんの予防又は治療を必要とする対象においてがんを予防又は治療する方法であって、治療有効量のダクラタスビル(DCV)をがんに罹患している対象に投与することを含み、治療が、(i)対象における腫瘍体積又は負荷の減少、(ii)対象における腫瘍成長の阻害、及び/又は(iii)対象の腫瘍におけるTRIB2タンパク質のレベルの減少を含む、方法を記載する。
本開示は、がんの予防又は治療を必要とする対象においてがんを予防又は治療する方法であって、治療有効量のダクラタスビル(DCV)をがんに罹患している対象に投与することを含み、対象におけるがん細胞が、対応する非がん細胞によって発現されるTribblesホモログ2(TRIB2)のレベルと比較して、より高いレベルのTRIB2を発現する、方法を記載する。
更に、本開示は、がんの予防又は治療を必要とする対象においてがんを予防又は治療する方法であって、治療有効量のダクラタスビル(DCV)をがんに罹患している対象に投与することを含み、対象におけるがん細胞が、対応する非がん細胞によって発現されるTribblesホモログ2(TRIB2)のレベルと比較して、より高いレベルのTRIB2を発現し、(i)対応する非がん細胞が、対象に由来し、かつ/又は(ii)対応する非がん細胞が、がんに罹患していない対象に由来する、方法を記載する。
更に、本開示は、がんの予防又は治療を必要とする対象においてがんを予防又は治療する方法であって、治療有効量のダクラタスビル(DCV)をがんに罹患している対象に投与することを含み、対象におけるがん細胞が、対応する非がん細胞によって発現されるTribblesホモログ2(TRIB2)のレベルと比較して、より高いレベルのTRIB2を発現し、がん細胞及び対応する非がん細胞が、前立腺組織に由来し、任意選択で、がん細胞及び対応する非がん細胞が、前立腺の細胞である、方法を記載する。
更に、本開示は、がんの予防又は治療を必要とする対象においてがんを予防又は治療する方法であって、治療有効量のダクラタスビル(DCV)をがんに罹患している対象に投与することを含み、対象におけるがん細胞が、対応する非がん細胞によって発現されるTribblesホモログ2(TRIB2)のレベルと比較して、より高いレベルのTRIB2を発現し、がん細胞及び対応する非がん細胞が、肺組織に由来し、がん細胞が、非小細胞肺がん(NSCLC)、小細胞肺がん、乳頭がん、腺がん、扁平上皮がん、細気管支肺胞上皮がん、及び大細胞がんであるか、又はそれらに由来する、方法を記載する。
図1A~図1Cは、Tribblesホモログ2(TRIB2)を下方制御する化合物を同定するためのハイスループットスクリーニングからの代表的な化合物を示す。図1Aは、Trib2-ルシフェラーゼ融合構築物をトランスフェクトしたヒト***線維芽細胞(HFF)細胞に対する104個のFDA承認化合物の代表的なセットの効果を示す表である。ここで、ダクラタスビル(DCV)は赤で強調されている。右端の列は、100%として採用される対照溶媒(0.4% DMSO)処置に対して正規化された、所与の薬物処置後に残るルシフェラーゼ活性パーセントを示す。図1Bは、ダクラタスビル(DCV)の化学構造を図示する。図1Cは、レジパスビル(LDV)の化学構造を図示する。 図2A~図2Bは、TRIB2陽性がん細胞に対するDCV対他の化合物の効果を示す。図2Aは、10μMの種々の薬物で24時間処理したLNCaP-ENR細胞由来の溶解物のウエスタンブロットを示す。標識されたレーンは次の通りである:(1)対照、すなわち溶媒(0.4% DMSO)処理(DMSOは、試験化合物がDMSO中に可溶化されるために対照として選択され、薬物とともに細胞に添加されたDMSOの最終濃度は約0.4%である)、(2)アンピロキシカム、(3)プラゾシン、(4)ダクラタスビル、(5)オルニプレシン、(6)レジパスビル、(7)ラパチニブ、(8)ヴォラパクサル、(9)ポナチニブ、(10)ミアンセリン。図2Bは、示される用量のDCV又はLDVで72時間処理したLNCaP-ENR細胞の細胞生存性を示す。結果を、対照処置細胞(すなわち、対照DMSO(0.4%)処置細胞)に正規化する。データは、3回の複製を表す。誤差バーは、平均からの標準偏差を表す。 図3A~図3Dは、TRIB2陽性腫瘍細胞におけるDCVのインビトロ処置効果を示す。図3Aは、示された濃度のDCV又は対照(0.4% DMSO)処理で24時間処理されたLNCaP-ENR細胞からの溶解物のウエスタンブロットを示す。図3Bは、軟寒天コロニー形成アッセイにおいて示された濃度のDCVによるERPC細胞の処理を示す。図3Cは、対照又はDCV処理LNCaP-ENR細胞のフローサイトメトリー分析によって測定されるアネキシンV結合を示す。図3Dは、エンザルタミド、DCV、又はそれらの組み合わせで処理した後のLNCaP細胞生存の阻害を示す。ここで、対照値(すなわち、溶媒のみ、約0.4% DMSO処理を使用した結果)を各実験値から引いた。誤差バーは、標準誤差(SE)を示す。**は、p<0.005であり、***は、p<0.0005である。 図4A~図4Cは、BALB/cヌードマウスにおけるERPC腫瘍のDCV処置を用いたインビボ異種移植片研究の結果を示す。図4Aは、ビヒクル又はDCV処置動物の平均腫瘍体積を示す(群当たりn=3、**p<0.005)。誤差バーは、平均からの標準偏差を表す。図4Bは、処置の4週間で撮影した代表的なビヒクル処置及びDCV処置マウスを示す。図4Cは、モノクローナル抗Trib2抗体を使用したIHCによる、ビヒクル及びDCV処置マウス腫瘍におけるTRIB2タンパク質レベルを示す。 図5は、Trib2-Luc細胞におけるルシフェラーゼ活性の阻害に基づいて化合物を選択するために使用されるが、Luc細胞においては使用されない、スクリーニング戦略を示す。スクリーニングした化合物は、Trib2-ルシフェラーゼ融合構築物をトランスフェクトしたHFF細胞上の104個のFDA承認化合物の代表的なセットを含んだ。細胞を化合物(10μM)で24時間処理し、Promega Corp.(Madison,WI)のキットを使用してルシフェラーゼ活性を測定した。更なる開発のために、対照ルシフェラーゼをトランスフェクしたHFF細胞を用いて、選択された化合物を対応スクリーニングする。注釈:ダクラタスビルは、24時間でTrib2-ルシフェラーゼ活性の70%以上の阻害を示し、対応スクリーニング試験に合格した。 図6は、LNCaP-ENR細胞におけるTrib2タンパク質レベルに対する(1)DCV(12μM)、又はシクロヘキシミド(CHX)(10μg/mL)の効果を示すウエスタンブロットを示す。GAPDHを対照として使用した。各レーン上の「+」及び/又は「-」は、それぞれDCV又はCHXの存在又は不存在を示す。 図7は、LNCaP-ENR細胞におけるTrib2タンパク質レベルに対する(1)DCV(15μM)、又は(2)C2641(CAS番号133407-82-6)(ベンジルN-[(2S)-4-メチル-1-[[(2S)-4-メチル-1-[[(2S)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル]アミノ]-1-オキソペンタン-2-イル]アミノ]-1-オキソペンタン-2-イル]カルバメート)(「MG132」)(2.5μM)の効果を示すウエスタンブロットを示す。GAPDHを対照として使用した。各レーン上の「+」及び/又は「-」は、それぞれDCV又はCHXの存在又は不存在を示す。 図8は、示差走査分光法(Differential Scanning Spectro-fluorometry)による純粋なTrib2タンパク質の熱シフトアッセイの結果を示すグラフを示す。ここで、結果は、DCVがTrib2の溶融曲線を左にシフトすることを示す。そして、Tmは41℃から37℃に減少し、DCVによるタンパク質の不安定化が示唆された。 図9は、三次元ビューで提示される、Trib2(タンパク質)及びダクラタスビル(リガンド)の分子ドッキング分析の結果を示す。 図10は、Trib2の二次構造並びにアミノ酸Arg-132、Ser-133、Glu-194、Glu-197、及びAsp-198を強調する図で提示される、Trib2(タンパク質)及びダクラタスビル(リガンド)の分子ドッキング分析の結果を示す。 図11は、リガンド及びTrib2のアミノ酸の空間配置を示す図で提示される、Trib2(タンパク質)及びダクラタスビル(リガンド)の分子ドッキング分析の結果を示す。 図12は、DCVとTRIB2との間の極性接触の確立を示す三次元モデルを示す。ここで、TRIB2のArg-132、Ser-133、Glu-194、Glu-197、及びAsp-198残基は、DCVと水素結合を形成することが示された。 図13は、DCVと相互作用する残基を含む、Trib2のアミノ酸配列を示す(赤色で強調表示)。 図14は、対照で24時間処理したLNCaP-ENR細胞におけるアポトーシスを評価するフローサイトメトリーの結果を示す。細胞をPerCP-Cy5.5アネキシンVで染色した。 図15は、様々な用量の24時間ダクラタスビルで処理したLNCaP-ENR細胞におけるアポトーシスを評価するフローサイトメトリーの結果を示す。細胞をPerCP-Cy5.5アネキシンVで染色した。 図16は、ダクラタスビル(8μM)で処理した細胞と比較した対照細胞における細胞周期分布を要約したグラフを示す。 図17は、DNA分解アッセイによって測定したDCVのアポトーシス効果を示すグラフを示す。 図18は、Trib2を過剰発現させるために完全長ヒト遺伝子をトランスフェクトし、エンザルタミドで処理した前立腺がん細胞の結果を示すグラフを示す。興味深いことに、DCV(6μM)でのTrib2の阻害は、耐性細胞を再びエンザルタミドに再び感受性にする。Trib2 siRNAは、陽性対照として並列実験で使用した。誤差バーは、標準誤差(SE)を示す。*は、p<0.05であり、**は、p<0.005であり、***は、p<0.0005である。 図19は、MTS/PESアッセイによって測定した、前立腺がん細胞の細胞生存を阻害するDCV及びエンザルタミドの相乗効果を示すグラフを示す。誤差バーは、標準誤差(SE)を示す。*は、p<0.05であり、**は、p<0.005であり、***は、p<0.0005である。 図20は、BALB/cヌードマウスにおけるERPC腫瘍増殖のDCV阻害を評価する異種移植片研究の処置タイムラインを示す。簡潔に述べると、BALB/cヌードマウスに、高腫瘍原性E006AA(E006AA-hT)細胞(1匹のマウス当たり1×10個)を皮下注入して、腫瘍を発達させ、次いで、30mg/kg/日のDCV又は溶媒で4週間にわたって経口的に処理した(n=3)。腫瘍サイズ及びマウスの体重を週に1回測定した。 図21は、抗Trib2抗体で染色した腫瘍切片の免疫組織化学を示す。腫瘍の種類は以下の通りである:(1)ヒト患者肺腺がん、(2)ヒト患者肺乳頭がん、(3)ヒト患者肺扁平上皮がん、及び(4)ヒト患者肺腺がん。 図22は、肺がん細胞株におけるTrib2タンパク質レベルを評価するウエスタンブロットを示す。各レーンは、以下の細胞株に対応している:NCI-H226及びSK-MES-1=扁平上皮がん、NCI-H2228=非小細胞肺がん、並びにNCI-H596=腺がん。 図23は、DCVで処理した肺がん細胞株における72時間の細胞生存アッセイの結果を示す。肺がん細胞株は、以下の通りである:NCI-H226及びSK-MES-1=扁平上皮がん、NCI-H2228=非小細胞肺がん、並びにNCI-H596=腺がん。誤差バーは、標準誤差(SE)を示す。 図24は、転移性エンザルタミド耐性前立腺がん(ERPC)を有する患者におけるダクラタスビル(DCV)の第I相用量漸増試験のための用量漸増設計概略図を示す。「MTD」=最大忍容量、「PK」=薬物動態。
定義
「組み合わせ」という用語は、本明細書で使用される場合、2つ以上の治療剤の投与を指す。この用語は、治療剤の同時投与、別個の投与及び/又は連続投与を包含する。
本明細書で使用される「対応する非がん細胞」は、がん細胞への参照として使用される正常な非形質転換細胞であり、典型的には、それが比較されるがん細胞と同じ組織又は前駆細胞に由来する。対照的に、悪性の形質転換を受けた細胞は、がん細胞である。
本明細書で使用される場合、「由来する」という語句は、細胞に関する場合、細胞が由来する実体及び/又は位置を指す。例えば、細胞は、その細胞がその対象に見出されるか、又はその対象から採取される対象に由来し得る。細胞は、生検又は血液試料の採取による1つ以上の細胞の収集を含む、当該技術分野で既知の任意の方法によって対象に由来し得る。別の例として、細胞は、対象における特定の臓器又は組織に由来し得る。がんを有する患者において、がん細胞は、例えば、腫瘍生検を含む方法によって患者に由来し得る。別の例として、分化される細胞は、前駆細胞等の分化の少ない細胞に由来し得る。
「発現」という用語は、細胞又は細胞集団に関する場合、細胞又は細胞集団による遺伝子発現又はタンパク質産生を指す。本明細書で使用される場合、「発現する」又は「発現」は、以下のうちの1つ以上を指すことができる:(1)DNA配列からのRNA鋳型の産生(例えば、転写による)、(2)RNA転写産物のプロセシング(例えば、スプライシング、編集、5’キャップ形成、及び/又は3’末端プロセシングによる)、(3)ポリペプチド又はタンパク質へのRNAの翻訳、(4)ポリペプチド又はタンパク質のフォールディン、並びに(5)ポリペプチド又はタンパク質の翻訳後修飾。本開示のいくつかの実施形態では、タンパク質は、異なる細胞において過剰発現され得るか、又はより高いレベルで発現され得る。いくつかの実施形態では、タンパク質(例えば、TRIB2)は、対応する非がん細胞等の非がん細胞と比較して、がん細胞において過剰発現され得るか、又はより高いレベルで発現され得る。
「阻害する」又は「の阻害」という用語は、測定可能な量だけ減少若しくは妨害することを意味し、又は完全に減少若しくは遮断することを意味する。本明細書で使用される阻害という用語は、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%の阻害又は低減を指すことができる。
本明細書で使用される「予防」という用語は、状態若しくはその生物学的発現の可能性若しくは重症度を実質的に減少させること、又はそのような状態若しくはその生物学的発現の開始を遅延させることを意図した予防的アプローチを指す。
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、ヒト及び非ヒト動物を含むよう意図されている。「対象」及び「患者」という用語は、互換的に使用され、ヒト患者、並びに非ヒト霊長類又は実験動物、例えば、ウサギ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、及び他の動物を指すことができる。本開示の好ましい対象には、疾患又は障害の治療を必要とするヒト患者が含まれる。本明細書に記載される組成物及び方法は、Tribblesホモログ2(TRIB2)の阻害から利益を受ける疾患又は障害を有する対象の治療に好適である。本開示の対象は、肺がん及び/又は前立腺がん等のがんに罹患している患者であり得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、肺がん、及び/又は前立腺がん、例えば、エンザルタミド耐性前立腺がん(ERPC)の治療に特に好適である。
本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、所望の生物学的又は治療的結果を付与するのに十分な量を指す。治療有効量の治療剤は、疾患、障害、及び/若しくは状態を治療し、疾患、障害、及び/若しくは状態の症状を改善し、疾患、障害、及び/若しくは状態を予防し、並びに/又は疾患、障害、及び/若しくは状態の発症を遅延させることができる。がんに関して、治療有効量は、腫瘍を縮小させ、及び/又は腫瘍成長を抑制させるのに十分な量を含み得る。治療有効量は、望ましくない細胞増殖を予防若しくは遅延させるか、腫瘍の発達を遅延させるか、症状を改善するか、生存期間を延長するか、又はがん若しくは腫瘍の安定化を誘導することができる。治療有効量の治療剤又は治療剤の組み合わせは、以下のうちの1つ以上をもたらし得る:(i)がん細胞の数を減少させること、(ii)腫瘍サイズを減少させること、(iii)末梢臓器へのがん細胞の浸潤を阻害すること、遅延させること、若しくは停止させること、(iv)腫瘍転移を阻害すること(すなわち、ある程度遅延させること、好ましくは停止させること)、(v)腫瘍成長を阻害すること、(vi)腫瘍の発生及び/若しくは再発を予防若しくは遅延させること、並びに/又は(vii)がんに関連する症状のうちの1つ以上をある程度緩和すること。治療有効量は、1つ以上の投与において投与することができる。いくつかの実施形態では、治療有効量は、単回用量で提供される。いくつかの実施形態では、治療有効量は、複数の用量を含む投与レジメンで投与される。当業者は、対象のサイズ、対象の症状の重症度、及び特定の組成物又は選択される投与経路等の因子に基づいて、対象を治療するための治療有効量を決定することができるであろう。
本明細書で使用される場合、「治療」又は「治療すること」という用語は、有益な又は所望の結果、好ましくは、有益な又は所望の臨床結果を得るためのアプローチを指す。そのような有益な又は所望の臨床結果には、(1)状態(例えば、疾患)、状態の症状、若しくは状態の生物学的症状を治癒する(curing)、治癒する(healing)、緩和する(alleviating)、緩和する(relieving)、変更する、修復する、改善する(ameliorating)、改善する(improving)、妨害する、若しくは影響を与えること、(2)状態をもたらすか若しくはその原因となる生物学的カスケードにおける1つ以上の点を妨害すること、(3)疾患若しくは状態の症状、合併症、生物学的症状、及び/若しくは生化学的徴候の発症若しくは進行を予防する、遅くする、若しくは遅延させること、又は(4)その他では、疾患、状態、若しくは障害の更なる発達を阻止若しくは阻害することが含まれるが、これらに限定されない。本開示の組成物及び方法は、有益又は所望の結果を得ること、例えば、がん性細胞若しくは他の疾患細胞の増殖を低減すること(若しくはそれらを破壊すること)、がんに見出されるがん性細胞の転移を低減すること、腫瘍のサイズを縮小すること、疾患に起因する症状を低減すること、疾患に罹患している者の生活の質を向上させること、疾患の治療に必要な他の薬剤の用量を低減すること、疾患の進行を遅延させること、及び/又は個体の生存性を延長することに適している。治療は、本明細書に記載の有益又は所望の結果を達成する目的で1つ以上の治療剤を投与することを含むことができる。
「腫瘍」及び「がん」という用語は、互換的に使用され、その成長、増殖、又は生存が、対応する正常細胞の成長、増殖、又は生存を上回る細胞又は細胞集団を指す。腫瘍又はがんにおける細胞又は細胞集団は、異常な成長を有し、典型的には、成長が制御されない。「悪性」という用語は、近傍組織に侵入する能力を有する腫瘍又はがん細胞の特性を指す。「転移」という用語は、対象内の他の部位、位置、又は領域への腫瘍、がん、又は新生物の拡散又は散在を指し、その部位、位置又は領域は、原発腫瘍又はがんとは異なる。
「耐性である」又は「耐性」という用語は、本明細書で使用される場合、(i)対象における疾患若しくは状態、又は(ii)疾患若しくは状態の特性を有することを特徴とする細胞若しくは細胞集団が、特定の治療に応答しない状態を指す。疾患又は状態に罹患している対象は、疾患又は状態が治療に全く応答しないことを意味する、一次耐性を有する疾患又は状態を有し得る。あるいは、対象は、疾患又は状態が最初に治療に応答するが、後に耐性を発症することを意味する、二次的耐性を有する疾患又は状態を有し得る。細胞又は細胞集団はまた、一次耐性又は二次耐性を有し得る。細胞は、研究目的のために特定の治療に耐性であるように改変され得る。本開示で使用される場合、耐性とは、単離されているか又はがんに罹患している対象における疾患若しくは状態に関連している、がん細胞又はがん細胞集団であって、特定の治療に応答しない、がん細胞又はがん細胞の集団を指す。
本明細書で使用される場合、「約」は、値の測定又は決定方法、すなわち、測定システムの限界に部分的に依存する、当業者によって決定される特定の値に対する許容誤差範囲内であることを意味する。例えば、「約」は、当該技術分野における慣例に従って、1以内の又は1より大きい標準偏差を意味し得る。あるいは、「約」は最大20%の範囲を意味し得る。本出願及び特許請求の範囲において特定の値が提供される場合、別段の記載がない限り、「約」の意味は、その特定の値の許容誤差範囲内であるとみなすべきである。
本明細書で使用される場合、「有効量」は、治療される患者に治療効果を付与するために必要な量として定義され、典型的には、患者の年齢、表面積、体重、及び状態に基づいて決定される。動物及びヒトに対する投与量の相互関係(体表面積1平方メートル当たりのミリグラムに基づく)は、Freireich et al.,Cancer Chemother.Rep.,50:219(1966)に記載されている。体表面積は、患者の身長及び体重からおよそで決定され得る。例えば、Scientific Tables,Geigy Pharmaceuticals,Ardsley,New York,537(1970)を参照されたい。本明細書で使用される場合、「患者」は、ヒトを含む哺乳動物を指す。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」又は「薬学的に許容される賦形剤」には、活性成分と組み合わせた場合、成分が生物学的活性を保持することを可能にし、対象の免疫系と非応答性であり、生理学的に適合性であり、非毒性であり、当業者に既知であるように、DCV又はその薬学的に許容される塩の作用機序を妨げない、任意かつ全ての溶媒、希釈剤、担体、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤等を含むことができる、任意の材料が含まれる(例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.Mack Printing Company,1990,pp.1289-1329を参照されたい)。
好ましくは、薬学的に許容される賦形剤は、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄、又は表皮投与(例えば、注射又は注入による)に好適である。投与経路に応じて、DCV又はその薬学的に許容される塩は、酸の作用及び化合物を不活性化し得る他の天然条件から化合物を保護するための材料でコーティングされ得る。薬学的に許容される賦形剤は、滅菌水溶液又は分散液、及び滅菌注射可能溶液又は分散液を即時調製するための滅菌粉末を含む。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体及び薬剤の使用は、当技術分野で既知である。任意の従来の媒体又は薬剤が活性化合物と適合性のない場合を除いて、本開示の医薬組成物におけるそれらの使用が企図される。補助的な活性化合物も組成物に組み入れることができる。
「安定的又は化学的に実現可能な」という語句は、本明細書で使用される場合、製造、検出、並びに好ましくは回収、精製、及び本明細書に開示される1つ以上の目的のための使用を可能にする条件に供されたときに実質的に変更されない化合物を指す。いくつかの実施形態では、安定な化合物又は化学的に実現可能な化合物は、少なくとも1週間、水分又は他の化学反応性条件の不在下で、40℃以下の温度で維持されるときに実質的に変化しない化合物である。
本開示の治療方法は、安全かつ有効量の本明細書に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含む。
「等」は、「等であるが、これに限定されるものではない」と同じ意味を有する。同様に、「含む(include)」は、「含むが、これらに限定されない」と同じ意味を有し、「含む(including)」は、「含むがこれらに限定されない」と同じ意味を有する。
「腫瘍」、「がん」及び「新生物」という用語は、互換的に使用され、その成長、増殖又は生存が正常な対応する細胞の成長、増殖、又は生存性を上回る細胞又は細胞集団、例えば、細胞増殖性又は分化性障害を指す。典型的には、成長が制御されないことである。「悪性腫瘍」という用語は、近傍組織への侵入を指す。「転移」という用語は、対象内の他の部位、位置、又は領域への、腫瘍、がん、又は新生物の拡散又は散在を指し、その部位、位置、又は領域は、原発腫瘍又はがんとは異なる。
更に、別段で記載されない限り、本明細書に示される構造はまた、1つ以上の同位体に富む(isotopically enriched)原子の存在のみ異なる化合物を含むことを意味する。本発明の化合物及びその薬学的に許容される塩に組み込まれ得る同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、ヨウ素、及び塩素の同位体、例えば、2H、3H、11C、13C、14C、15N、170、180、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I、及び125Iが含まれる。
上記の同位体及び/又は他の原子の他の同位体を含む本発明のDCV及びDCVの薬学的に許容される塩は、本発明の範囲内である。本発明の同位体標識化合物、例えば、3H及び14C等の放射性同位体が組み込まれた化合物は、薬物及び/又は基質の組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化水素(3H)及び炭素-14(14C)同位体は、それらの調製の容易性及び検出可能性のために特に好ましい。11C及び18F同位体は、PET(陽電子放出断層撮影)において特に有用であり、125L同位体は、SPECT(単一光子放出コンピュータ断層撮影)において特に有用であり、これらは全て、脳撮像において有用である。更に、重水素(2H)等のより重い同位体での置換は、より高い代謝安定性、例えば、インビボ半減期の増加又は必要な用量の減少から生じる特定の治療上の利点を提供することができ、いくつかの状況において好ましい場合がある。本発明の同位体標識化合物は、概して、スキーム及び/又は実施例で開示される手順を行い、容易に入手可能な同位体標識試薬を非同位体標識試薬に置き換えることによって調製することができる。
別段で記載されない限り、本明細書に示される構造はまた、構造の全ての異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー、及び幾何学的(又は立体配座))形態を含むことを意味する。「異性体」とは、同一の組成及び分子量を有するが、物理的及び/又は化学的特性が異なる化合物、例えば(Z)及び(E)二重結合異性体、並びに(Z)及び(E)立体構造異性体を指す。構造的差異は、構成(幾何異性体)又は偏光平面を回転させることができること(立体異性体)であり得、例えば、各不斉中心のR及びS構成である。本発明の化合物は、キラル中心とも称される1つ以上の不斉中心を含み得、したがって、個々のエナンチオマー、ジアステレオマー、若しくは他の立体異性体形態として、又はそれらの混合物として存在し得る。全てのそのような異性体形態は、それらの混合物を含む本発明に含まれる。キラル中心はまた、アルキル基等の置換基に存在し得る。
本発明のDCV又は本明細書に示される任意の化学構造に存在するキラル中心の立体化学が特定されていない場合、構造は、任意の立体異性体及びそれらの全ての混合物を包含することが意図される。したがって、1つ以上のキラル中心を含む本発明の化合物は、ラセミ混合物、エナンチオマー的に豊富化された(enantiomerically enriched)混合物、又はエナンチオマー的に純粋な個々の立体異性体として使用され得る。
1つ以上の不斉中心を含む本発明の化合物の個々の立体異性体は、当業者に既知の方法によって分解され得る。例えば、そのような分解は、(1)ジアステレオ異性体塩、複合体、若しくは他の誘導体の形成、(2)例えば、酵素的酸化若しくは還元による、立体異性体特異的試薬との選択的応答、又は(3)キラル環境、例えば、結合したキラルリガンドを有するシリカ等のキラル支持体上、若しくはキラル溶媒の存在下における、ガス-液体若しくは液体クロマトグラフィーによって行われ得る。当業者は、所望の立体異性体が上記の分離手順のうちの1つによって別の化学物質に変換される場合、所望の形態を遊離するために更なるステップが必要であることを理解するであろう。あるいは、特定の立体異性体は、光学活性試薬、基質、触媒、若しくは溶媒を使用した不斉合成によって、又は不斉変換によって一方のエナンチオマーを他方に変換することによって合成され得る。
別段で記載しない限り、本発明の化合物の全ての互変異性形態は、本発明の範囲内である。
本明細書に開示される任意の数値範囲は、別段で明記しない限り、上限及び下限並びに各介在値を包含する。実施例において又は別段で示されている場合を除き、本明細書及び特許請求の範囲において使用される数値(例えば、成分の量、反応条件を表す数値)は、「約」という用語によって修飾される。したがって、反意が示されない限り、そのような数値は、取得しようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲への均等論の適用を限定しようとする試みとしてではなく、各数値パラメータは、有効桁の数及び通常の四捨五入技術に照らして解釈されるべきである。
開示された主題の範囲を示す数値パラメータは近似値であるが、実施例に記載された数値はできるだけ正確に報告される。しかしながら、任意の数値には、それぞれの試験測定値に見出される標準偏差から必ず生じる特定の誤差が含まれる。
別段で定義されない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語の意味は、開示される主題が属する当業者に一般に理解されるものである。
ダクラタスビル(本明細書で「DCV」と同義に称される)は、FDAによって承認され、C型肝炎ウイルス(HCV)感染を治療するために、他の抗ウイルス剤と組み合わせて一般的に使用される経口利用可能な抗ウイルス化合物であるMargusino-Framinan,L.,et.al.(2019)Effectiveness and safety of daclatasvir/sofosbuvir with or without ribavirin in genotype 3 hepatitis C virus infected patients.Results in real clinical practice.Rev Esp Quimioter.32(2):137-144。DCVは、IUPAC公式名を有する:4,4’-ビス[2-((2S)-1-{(2S)-2-[(メトキシカルボニル)アミノ]-3-メチルブタノイル}-2-ピロリジニル)-1H-イミダゾール-4-イル]-1,1’-ビフェニル、CAS番号1007884-60-7。「DCV」という用語はまた、本明細書で定義及び例示されるDCVの薬学的に許容される塩を含む。
前立腺がんの治療
世界的に、前立腺がんは男性で2番目に一般的ながんである。前立腺がんは、前立腺の細胞が変異してがん細胞に変化するときに発達する。がん細胞が制御不能に***し、周囲の前立腺組織に広がると、腫瘍が形成される。いくつかの場合には、腫瘍は成長を続け、原発部位から体内の異なる部位に広がり、このプロセスは転移と呼ばれる。前立腺がん細胞は、近くの臓器に侵入することができ、血流及びリンパ系に侵入することができる。前立腺がんの転移の一般的な部位は、骨及びリンパ節である。
前立腺がんの臨床評価及び管理
前立腺がんの初期評価には、がんの拡大の程度を判断するための臨床病期分類が含まれる。臨床病期分類は、疾患のリスク階層化に重要であり、臨床医が疾患予後を評価するのに役立つ。
いくつかの試験が、前立腺がんの検出、診断、及びリスク層別化のために利用可能である。これらには、デジタル直腸検査、血清前立腺特異的抗原(PSA)の評価、画像撮影、及び生検が含まれる。画像撮影は、疾患が局所的又は転移性であるかどうかを判断するのに役立つ。生検は、前立腺がんの診断を確認するために使用される。ゲノムプロファイリング及び組織ベースの分子アッセイも、疾患評価のために利用可能である。これらの試験に加えて、疾患の初期管理及び評価において考慮される他の要因には、患者の年齢、寿命、全医学的状態、症状の有無、及び異なる治療選択肢に対する患者の好みが含まれる。
診断された前立腺がんの治療計画は、管理及び/又は根治的治療を含み得る。前立腺がんの管理は、積極的監視又は注意深い待機を伴う。積極的監視は、がんの拡散を防止することを目的としており、慎重な監視と組み合わせた即時療法の延期を伴う。積極的監視を追跡する過程で疾患進行リスクの増加の証拠がある場合、根治的治療を開始することができる。注意深く待機することは、積極的監視とは異なり、上記の根治的治療を放棄し、症状を緩和するための全身又は局所治療を提供するという最初の決定を伴う。前立腺がんの根治的治療には、手術、放射線療法、ホルモン療法、又は化学療法が含まれる。疾患が骨に広がった場合、鎮痛薬、ビスホスホネート、及び標的療法を含む他の治療は、ケアの一部として考慮される。
リスク層別化は、前立腺がんの治療決定に情報を与える。臨床的に局所的な、非常に低リスク、及び低リスクの前立腺がんについては、積極的監視が適切なアプローチであり得る。一部の患者については、根治的前立腺切除術、小線源治療、又は放射線療法を含む根治的療法も適切であり得る。例えば、最初に非常に低リスクの疾患を有すると考えられた患者については、疾患の進行の可能性が高い場合又は進行の証拠が存在する場合に、根治的療法を開始することができる。両方の症例(臨床的に局所的な、非常に低リスクかつ臨床的に局所的な、低リスクの前立腺がん)において、治療アプローチの決定は、各治療アプローチのリスク及び利点、並びに患者の個々の好みを考慮する。臨床的に局所的な場合、中リスク前立腺がん、放射線療法、及び根治的前立腺切除術はいずれも適切な選択肢である。積極的監視は、好ましい中等度リスクの疾患を有する患者のための選択肢として提供されるが、この選択肢は、根治的治療と比較して転移を発症するリスクを増加させる。臨床的に局所的又は局所進行であるリスクの高い前立腺がんの場合、治療選択肢には、放射線療法、小線源治療、及びアンドロゲン除去療法(ADT)等のホルモン療法が含まれる。局所進行性かつ非常に危険性の高い前立腺がんを有する一部の患者には、拡張リンパ節の切除を伴う根治的前立腺全摘除術も選択肢である。ステージIV(転移性)疾患は、患者が臨床リンパ節関与又は播種性転移を有する場合に分類される。臨床リンパ節関与を有する患者の典型的な治療は、根治的放射線療法及びADTである。播種性疾患の場合、初期治療アプローチは、通常、ホルモン療法/ADTであり、これは、ドセタキセル等の化学療法と組み合わされ得る。
前立腺がん治療のためのアンドロゲン除去療法(ADT)
アンドロゲン除去療法(ADT)は、テストステロン等のアンドロゲンホルモンのレベルを低下させ、それによって、成長のためにアンドロゲンホルモンに依存する前立腺がん細胞を標的化する。外科的ADTは、外科的去勢を伴い、したがって積極的かつ永続的な治療方法とみなされる。薬学的ADTには、化学的去勢及び抗アンドロゲン薬による治療が含まれる。化学的去勢には、LHRHアゴニスト及びアンタゴニストが含まれ、これらは両方ともテストステロン産生量を低下させる。ADTに使用されるLHRHアゴニスト及びアンタゴニストの例には、ロイプロレリン、ゴセレリン、トリプトレリン、ヒストレリン、ブセレリン、及びデガレリクスが含まれる。抗アンドロゲン薬は、身体がアンドロゲンを使用することができることを妨げることによって機能する。例えば、抗アンドロゲン薬はテストステロンのアンドロゲン受容体への結合を防止する。前立腺細胞に見られるアンドロゲン受容体へのテストステロンの結合は、成長を促進し、かつ、前立腺分化を維持するシグナル伝達を開始する。しかしながら、これらの成長促進シグナルは、がん細胞の関連において発がん性である。抗アンドロゲン薬は、テストステロン合成及びアンドロゲン受容体核移行を標的化することもできる。抗アンドロゲン薬の例は、エンザルタミド、酢酸シプロテロン、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、酢酸アビラテロン、セビテロネル、アパルタミド、及びダロルタミドである。
エンザルタミド耐性前立腺がん
エンザルタミドは、去勢耐性前立腺がん(CRPC)及び転移性去勢感受性前立腺がん(mCSPC)の患者の治療に適応される、非ステロイド性抗アンドロゲン(NSAA)薬である。エンザルタミドは、アンドロゲン受容体阻害剤として機能し、腫瘍細胞におけるアンドロゲン受容体シグナル伝達経路の複数の工程に影響を与えると考えられる。一部の患者は治療に対する初期応答を示すが、エンザルタミド耐性前立腺がん(ERPC)は臨床的に文書化されている。
ERPCは、悪性腫瘍の中で最も致命的な形態の1つであり、骨転移及び最終的な死のために耐え難い痛み及び苦痛の原因である。現在、ERPCのために利用可能な有効な治療はなく、ほとんどの前立腺がんによる死は、エンザルタミド耐性型の侵襲性前立腺がんのために起こる。
エンザルタミド耐性前立腺がん(ERPC)の分子標的としてのTribblesホモログ2(TRIB2)
Tribblesホモログ2(TRIB2)は、TRIB2遺伝子によってヒトでコードされる偽キナーゼである。TRIB2は、触媒的に障害がある偽キナーゼドメインを有し、かつ、非常に低いホスホトランスフェラーゼ活性を有するか又はホスホトランスフェラーゼ活性を全く示さない、セリン/スレオニン偽キナーゼの哺乳類Tribblesファミリー(TRIB1、TRIB2、及びTRIB3)に属する。TRIBタンパク質は、基質タンパク質のユビキチン化及びその後のプロテアソーム分解を媒介する足場タンパク質として機能すると考えられている。タンパク質安定性の関連での役割に加えて、TRIBタンパク質はまた、規範的なAKT経路等のシグナル伝達経路の活性を調節することが認識されている。
TRIB2の調節不全は、白血病、黒色腫、肺がん、及び肝臓がんを含む様々な悪性腫瘍に関連付けられている。しかしながら、発がん性タンパク質として関与しているにもかかわらず、TRIB2に関連する発がん性メカニズム及び治療機会をよりよく理解するために利用可能な標的検証された(target-validated)小分子化合物の欠如が存在する。
本明細書に記載されるように、TRIB2は過剰発現されており、エンザルタミド耐性型前立腺がん(ERPC)細胞の生存において重要な役割を果たす。shRNAによるTrib2の阻害は、アポトーシスを引き起こすことによってERPC細胞を死滅させる。これらの観察及び本開示の実施例は、ERPCの治療のための新しい分子標的としてのTRIB2を追求するための説得力のある動機を提供する。
TRIB2阻害剤を同定するために使用され得るツール、薬剤、及び方法が本開示において提供される。非限定的な例として、TRIB2レベル及び/又は活性の読み出しと組み合わせて既存の低分子を使用するハイスループット薬物スクリーニングを使用して、TRIB2の阻害剤を同定し得る。検出可能な形態のTRIB2タンパク質を発現するように改変された細胞、又は高レベルのTRIB2タンパク質を通常で発現する細胞を含む、様々な細胞株を使用して、提供される方法に従ってTRIB2阻害剤を同定し得る。初期スクリーニングからのヒットの検証を行い、同定されたTRIB2阻害剤の有効性を特徴付ける及び/又は確認することができる。検証方法の例には、TRIB2レベルを検出するためのイムノアッセイ、TRIB2機能を必要とする細胞を使用する細胞生存性アッセイ、及びTRIB2機能に依存する腫瘍細胞に対する推定TRIB2阻害剤の効果を決定するためのインビボアッセイが含まれる。
前立腺がん治療のための抗ウイルス薬ダクラタスビル(DCV)の別目的利用
ダクラタスビル(DCV)は、C型肝炎ウイルス(HCV)感染症の治療に使用される
ダクラタスビル(DCV)は、C型肝炎ウイルス(HCV)感染を治療するために他の抗ウイルス剤と組み合わせて一般的に使用されるFDA承認された経口利用可能な抗ウイルス化合物である。DCVは、以下のIUPAC公式名を有する:4,4’-ビス[2-((2S)-1-{(2S)-2-[(メトキシカルボニル)アミノ]-3-メチルブタノイル}-2-ピロリジニル)-1H-イミダゾール-4-イル]-1,1’-ビフェニル、CAS番号1007884-60-7。DCVは、Sigma-Aldrich Inc./Millipore-Sigmaから市販されている(製品ID:ADV465749207-10MG、販売会社SKU:10310-10MG.(St.Louis MO,USA))
DCVは、直接結合によって、HCV非構造タンパク質5A(NS5A)を阻害する。NS5Aは、HCV複製に重要である。NS5Aタンパク質の活性を阻害することにより、DCVは、ウイルスRNA複製複合体の破壊、ウイルスHCV RNA産生の妨害、及びウイルス複製の阻害を引き起こす。HCV感染のためにDCVと併用される他の薬剤には、ウイルスRNAポリメラーゼ(NS5Bタンパク質)の阻害剤であるソホスブビル、及びヌクレオシド類似体であるリバビリンが含まれる。DCVは、フェニトイン、カルバマゼピン、リファンピン、及びセントジョンズワートを含むCYP3Aを強く誘導する薬物と組み合わせることは禁忌である。
ソホスブビルと組み合わせた、かつ、リバビリンと組み合わせた、又はリバビリンとの組み合わせなしのDCVの有効性は、3つの第3相臨床試験であるALLY-1、ALLY-2、及びALLY-3で評価された。ALLY-1は、慢性HCV感染及びChild-Pugh A、B、又はC肝硬変、又は肝移植後のHCV再発を有する対象において、DCV、ソホスビル、及びリバビリンを評価した。ALLY-2は、慢性C型肝炎及びHIV共感染を有する対象においてDCV及びソホスブビルを評価した。ALLY-3は、治療を未だ受けていないか、又は治療を経験した、慢性HCV遺伝子型3型感染及び代償性肝疾患を有する対象においてDCV及びソホスブビルを評価した。152名の患者において1日1回60mgの経口投与を12週間使用した、ALLY-3の無作為化、多施設、非盲検、実薬対照臨床試験(NCT02319031)に基づき、DCVは、C型肝炎ウイルス(HCV)感染のための使用の承認を2015年7月に与えられた。
がんの治療としてのダクラタスビル(DCV)の適用
エンザルタミド耐性前立腺がん(ERPC)の治療としてのダクラタスビル(DCV)の適用
本開示は、DCVがTribblesホモログ2(TRIB2)を阻害することができることを実証する。上記で論じたように、TRIB2は、様々な悪性腫瘍と関連し、本開示によれば、エンザルタミド耐性前立腺がん(ERPC)のための提案された分子標的である。したがって、本開示によれば、DCV治療は、ERPC等のTRIB2過剰発現がんに対して別目的利用することができる。
本明細書に示されるように、TRIB2タンパク質レベルは、対照で処置されたヒトERPC細胞と比較して、DCV処置されたヒトERPC細胞で低下する。DCVは、ERPC細胞の生存能を低下させ、急速なアポトーシス細胞死を誘導する。TRIB2タンパク質レベルの観察された低下及びアポトーシス死は、マイクロモル濃度のDCVで生じる。ERPC細胞とは対照的に、DCVは、同じ実験条件下で正常な非がん細胞に対しては最小限の効果しか示さない。
一態様では、本開示は、がんの予防又は治療を必要とする対象においてがんの予防又は治療方法であって、治療有効量のダクラタスビル(DCV)をがんに罹患している対象に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、Tribblesホモログ2(TRIB2)を過剰発現するか、又はTribblesホモログ2(TRIB2)のより高い発現レベルを有するがんを予防又は治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、前立腺がんを予防又は治療する方法を提供する。本開示の方法に従って治療され得る前立腺がんには、アンドロゲン除去療法(ADT)(例えば、エンザルタミド)で以前に治療されたがん、ADTに耐性のがん、又はADTで以前に治療され、かつ、ADT治療に対する耐性を発達させたがんが含まれる。いくつかの実施形態では、DCVは、本開示に従って、エンザルタミド耐性前立腺がん(ERPC)を治療するために使用することができる。
いくつかの実施形態では、DCVは、がん細胞(例えば、TRIB2及び/又は前立腺がん細胞を過剰発現するがん細胞)を選択的に攻撃する。いくつかの実施形態では、DCVは、非がん細胞に最小限の影響しか与えない。いくつかの実施形態では、DCVは、低レベルのTRIB2を発現又は発現しない細胞に最小限の影響しか与えない。
いくつかの実施形態では、本開示の組成物及び方法は、対象における腫瘍体積又は負荷の低減、対象における腫瘍成長の阻害、又は腫瘍におけるTRIB2タンパク質のレベルの低下に有用であり得る。
医薬的に許容される組成物及び製剤
DCV又はその薬学的に許容される塩は、治療又は予防有効量の化合物又は塩、及び1つ以上の薬学的に適合性の(許容される)成分を含む医薬組成物として製剤化することができる。いくつかの態様では、DCV又はその薬学的に許容される塩及び薬学的賦形剤の医薬組成物であって、有効量の化合物又は塩が、哺乳動物への投与に好適な賦形剤と混合されている、医薬組成物が提供される。好ましい態様では、DCV又はその薬学的に許容される塩は、ヒトへの投与用に製剤化される。本開示は、それを必要とするヒト対象に投与するために製剤化された、DCV又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。DCV又はその薬学的に許容される塩を含む製剤化組成物は、一般に、1つ以上の薬学的に適合性の(許容される)成分を含む。
例示的な医薬組成物又は非医薬組成物は、典型的には、1つ以上の担体(滅菌液体、例えば、水、及び石油、動物、植物、又は合成由来の油、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油等を含む油)を含む。水は、医薬組成物が静脈内に投与される場合、より典型的な担体である。生理食塩水並びにデキストロース及びグリセロー水溶液が、液体担体、特に注射可能溶液のための担体として好ましく使用される。好適な賦形剤には、例えば、アミノ酸、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール等が含まれる。必要に応じて、組成物は、湿潤剤若しくは乳化剤又はpH緩衝剤を少量含むことができる。これらの組成物は、溶液、懸濁液、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、粉末剤、持続放出製剤等の形態をとることができる。好適な医薬担体の例は、E.W.Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」に記載されている。このような組成物は、典型的には、対象への適切な投与のための形態を提供するために、好適な量の担体とともに、治療有効量の精製形態のDCV又はその薬学的に許容される塩を含む。製剤は、投与様式に対応する。
薬学的に許容される担体又はビヒクルは、組成物が例えば錠剤又は粉末の形態であるように、粒子状であり得る。担体は、液体であり得、組成物は、例えば、経口シロップ、香味水、又は注射可能な液体である。
経口投与が意図される場合、組成物は、固体又は液体の形態であることが好ましく、半固体、半液体、懸濁液、及びゲルの形態が、本明細書で固体又は液体のいずれかとみなされる形態に含まれる。
経口投与のための固体組成物として、組成物は、散剤、粒剤、圧縮錠剤、丸剤、カプセル、咀嚼剤、ウエハー(wafer)等の形態に製剤化することができる。このような固体組成物は、典型的には、1つ以上の不活性希釈剤を含む。更に、以下のうちの1つ以上が存在し得る:カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロース、又はゼラチン等の結合剤、デンプン、ラクトース、又はデキストリン等の賦形剤、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、Primogel、コーンスターチ等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム又はSterotex等の滑沢剤、コロイド状二酸化ケイ素等の滑剤、スクロース又はサッカリン等の甘味剤、ペパーミント、サリチル酸メチル、又はオレンジ香料等の香料、及び着色剤。
組成物は、カプセル、例えばゼラチンカプセルの形態である場合、上記の種類の材料に加えて、ポリエチレングリコール、シクロデキストリン、又は脂肪油等の液体担体を含むことができる。
組成物は、液体、例えば、エリキシル、シロップ、溶液、乳濁液、又は懸濁液の形態であり得る。液体は、経口投与又は注射による送達に有用であり得る。経口投与を目的とする場合、組成物は、甘味剤、防腐剤、染料/着色剤、及び香味増強剤のうちの1つ以上を含むことができる。いくつかの態様では、組成物は粉末に製剤化され、最終使用者は経口投与のために水溶液中で粉末を混合する。(上記の)注射による投与のための組成物には、界面活性剤、防腐剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、緩衝剤、安定剤、及び等張剤のうちの1つ以上も含まれ得る。
カプセル剤の組成物及び調製は、当技術分野で周知である。例えば、カプセル剤は、ゼラチン(例えば、A型、B型)、カラギーナン(例えば、カッパ、イオタ、ラムダ)、及び/又は修飾セルロース(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート)、及び任意選択で1つ以上の賦形剤、例えば、油(例えば、魚油、オリーブ油、トウモロコシ油、大豆油、ココナッツ油、トリグリセリド、ジグリセリド、及びモノグリセリド)、可塑剤(例えば、グリセロール、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、クエン酸、クエン酸エステル、例えば、トリエチルクエン酸、ポリアルアルコール)、共溶媒(例えば、トリアセチン、プロピレンカーボネート、乳酸エチル、プロピレングリコール、オレイン酸、ジメチルイソソルビド、ステアリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル)、界面活性剤、緩衝剤、滑沢剤、保湿剤、防腐剤、着色剤、並びに香料から調製され得る。カプセル剤は、硬質又は軟質であり得る。ハードカプセル剤の例には、ConiSnap(登録商標)、DRcaps(登録商標)、OceanCaps(登録商標)、Pearlcaps(登録商標)、Plantcaps(登録商標)、DUOCAP(登録商標)、Vcaps(登録商標)、及びVcaps(登録商標)が含まれる。更に、カプセル剤は、Capsugel(登録商標)から入手可能である。ハードカプセル剤は、例えば、2つの伸縮カプセル半分を形成し、半分のうちの1つをDCV又はその薬学的に許容される塩を含む充填物で充填し、カプセル半分を一緒に密封することによって調製され得る。充填は、乾燥散剤、粒剤、懸濁液、又は液体等の任意の好適な形態であり得る。ソフトカプセル剤の例には、SGcaps(登録商標)等のソフトゼラチン(ソフトゲル又はソフトエラスティックとも呼ばれる)カプセルが含まれる。ソフトカプセル剤は、例えば、回転ダイ、プレート、往復運動ダイ、又はAccogel(登録商標)機械方法によって調製され得る。実施形態では、カプセル剤は、液体が充填されたハードカプセル又はソフトゼラチンカプセルであり得る。
錠剤は、任意選択で1つ以上の副成分とともに、圧縮又は成形することにより作製することができる。圧縮錠剤は、任意選択で、結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、表面活性剤、又は分散剤と混合された、粉末又は顆粒等の自由流動形態のDCV又はその薬学的に許容される塩を、好適な機械で圧縮することによって調製することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化化合物の混合物を好適な機械で成形することによって作製することができる。錠剤は、任意選択で、持続放出、延長放出、遅延放出、又は制御放出を提供するようにコーティング又はスコアリングすることができることができる。限定されないが、そのような持続放出、延長放出、遅延放出、又は制御放出組成物を製剤化する方法は、当技術分野で既知であり、米国特許第4,369,174号、同第4,842,866号、及びそれらの中で引用される参照文献を含む、発行された米国特許に開示されている。コーティング、例えば、腸溶性コーティングは、化合物を腸に送達するために使用することができる(例えば、米国特許第6,638,534号、同第5,217,720号、同第6,569,457号、及びその中で引用されている参考文献を参照されたい)。錠剤に加えて、持続放出、延長放出、遅延放出又は制御放出を提供するために、カプセル剤、粒剤、及びゲルキャップ剤(gel-caps)等の他の剤形を製剤化することができる。
一実施形態では、医薬組成物は、非経口投与用に製剤化される。非経口投与に好適な医薬組成物の例には、各々が例えば抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び/又は製剤を意図されるレシピエントの血液と等張にする溶質を含む、水性滅菌注射液及び非水性滅菌注射液、並びに各々が例えば懸濁剤及び/又は増粘剤を含む、水性滅菌懸濁液及び非水性滅菌懸濁液が含まれる。製剤は、単位用量又は複数用量の容器、例えば、密封アンプル又はバイアル中に提供することができ、使用直前に、水等の無菌液体担体の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥(lyophilized))状態で保存することができる。一実施形態では、医薬組成物は、静脈内投与用に製剤化される。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される賦形剤を更に含む。薬学的に許容される賦形剤は、それ自体が治療剤ではなく、患者への治療剤の送達のための担体、希釈剤、助剤、結合剤、及び/又はビヒクルとして使用されるか、あるいは、その取り扱い若しくは貯蔵特性を改善するため、又は化合物若しくは医薬組成物を投与のための単位剤形へと形成を可能にするか若しくはその形成を促進するために医薬組成物に添加される、任意の物質であり得る。薬学的に許容される賦形剤は、医薬分野で既知であり、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21.sup.st Ed.(Lippincott Williams & Wilkins,Baltimore,Md.,2005)に開示されている。当業者に既知であるように、薬学的に許容される賦形剤は、様々な機能を提供することができ、湿潤剤、緩衝剤、懸濁剤、滑沢剤、乳化剤、崩壊剤、吸収剤、防腐剤、界面活性剤、着色剤、香料、及び甘味料として記載され得る。薬学的に許容される賦形剤の例には、限定されないが、(1)ラクトース、グルコース、及びスクロース等の糖類、(2)トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン等のデンプン、(3)カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース及びその誘導体、(4)粉末トラガント、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)ココアバター及び坐剤ワックス等の賦形剤、(9)落花生油、綿実油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及び大豆油等の油、(10)プロピレングリコール等のグリコール、(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコール等のポリオール、(12)オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル等のエステル類、(13)寒天、(14)水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム等の緩衝剤、(15)アルギン酸、(16)発熱物質不含水、(17)等張食塩水、(18)リンガー液、(19)エチルアルコール、(20)pH緩衝溶液、(21)ポリエステル、ポリカーボネート、及び/又はポリ無水物、並びに(22)医薬製剤に使用される他の非毒性の適合性物質が含まれる。
医薬組成物を調製する際に使用される材料は、使用される量において無毒であり得る。医薬組成物中の活性成分の最適な投与量が様々な要因に依存することは、当業者には明らかであろう。関連する要因には、動物の種類(例えば、ヒト)、DCV又はその薬学的に許容される塩の特定の形態、投与様式、使用される組成物、及び治療される疾患又は状態の重症度が含まれるが、限定されない。
原料化学物質として化合物を投与することに加えて、本開示の化合物は、化合物を薬学的に使用可能な調製物へと処置することを容易にする賦形剤及び補助剤を含む好適な薬学的に許容される担体を含む薬学的調製物の一部として投与され得る。調製物、特に、経口又は局所投与可能であり、かつ、投与のうちの1種として使用される調製物、例えば、錠剤、糖衣錠、緩徐放出性ロゼンジ剤及びカプセル剤、口すすぎ剤及び口洗浄剤、ゲル剤、液体懸濁液、ヘアリンス、ヘアゲル、シャンプー、及び直腸投与可能な製剤、例えば、坐剤、並びに静脈内注入、注射、局所又は経口投与による投与のための好適な溶液は、賦形剤とともに、約0.01~99パーセント、一実施形態では、約0.25~75パーセントの活性化合物を含む。
本開示の医薬組成物は、本開示の化合物の有益な効果を経験し得る任意の患者に投与され得る。そのような患者の中で最も重要なのは、哺乳動物、例えば、ヒトであるが、本開示は、そのように限定されることを意図するものではない。他の患者には、獣医動物(ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ等)が含まれる。
化合物及びその医薬組成物は、それらの意図された目的を達成する任意の手段によって投与され得る。例えば、投与は、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮、口腔、髄腔内、頭蓋内、鼻腔内、又は局所経路により得る。あるいは又は同時に、投与は、経口経路により得る。投与される投与量は、レシピエントの年齢、健康、及び体重、もしあれば同時治療の種類、治療の頻度、並びに所望の効果の性質に依存するであろう。
本開示の医薬調製物は、それ自体が既知である様式で、例えば、従来の混合、造粒、糖衣錠作製、溶解、又は凍結乾燥プロセスによって製造される。したがって、経口使用のための医薬調製物は、活性化合物を固体賦形剤と合わせ、必要に応じて好適な補助剤を添加した後、任意選択で、得られた混合物を粉砕し、顆粒の混合物を加工して、錠剤又は糖衣錠コアを得ることによって得ることができる。
好適な賦形剤は、特に、充填剤、例えば糖類、例えば、ラクトース又はスクロース、マンニトール、又はソルビトール、セルロース調製物及び/又はリン酸カルシウム、例えば、リン酸三カルシウム又はリン酸水素カルシウム、並びに結合剤、例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び/又はポリビニルピロリドンを使用するデンプンペーストである。所望に応じて、崩壊剤、例えば、上記のデンプン、並びにカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸若しくはその塩、例えば、アルギン酸ナトリウムを添加することができる。補助剤は、特に、流れ調節剤及び滑沢剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン若しくはその塩、例えば、ステアリン酸マグネシウム若しくはステアリン酸カルシウム、及び/又はポリエチレングリコールである。糖衣錠コアには、必要に応じて、胃液に耐性のある好適なコーティングが提供されている。この目的のために、アラビア酸ガム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、並びに好適な有機溶媒又は溶媒混合物を任意に含み得る、濃縮糖溶液を使用し得る。胃液に耐性のあるコーティングを製造するために、アセチルセルロースフタレート又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等の好適なセルロース調製物の溶液が使用される。染料又は顔料を、例えば、同定のために、又は活性化合物の用量の組み合わせを特徴付けるために、錠剤又は糖衣錠コーティングに添加され得る。
経口的に使用することができる他の医薬調製物には、ゼラチンから作製されたプッシュフィットカプセル、並びにゼラチンから作製された軟質密封カプセル、及びグリセロール又はソルビトール等の可塑剤が含まれる。プッシュフィット(push-fit)カプセルは、ラクトース等の充填剤、デンプン等の結合剤、及び/又はタルク若しくはステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤、及び任意選択で安定剤と混合され得る、顆粒の形態の活性化合物を含むことができる。ソフトカプセル剤では、活性化合物は、一実施形態では、脂肪油又は液体パラフィン等の好適な液体中に溶解又は懸濁される。更に、安定剤を添加し得る。
直腸で使用することができる可能な医薬調製物には、例えば、1つ以上の活性化合物と坐剤基剤との組み合わせからなる坐剤が含まれる。好適な坐剤基剤は、例えば、天然若しくは合成のトリグリセリド、又はパラフィン炭化水素である。加えて、活性化合物と基剤の組み合わせからなるゼラチン直腸カプセル剤を使用することも可能である。可能な塩基の材料には、例えば、液体トリグリセリド、ポリエチレングリコール、又はパラフィン炭化水素が含まれる。
非経口投与のための好適な製剤には、水溶性形態の活性化合物、例えば、水溶性の塩の水溶液、及びアルカリ性溶液が含まれる。更に、好適な油性注射懸濁液としての活性化合物の懸濁液を投与し得る。好適な親油性溶媒又はビヒクルには、脂肪油、例えば、ゴマ油、又は合成脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチル若しくはトリグリセリド、又はポリエチレングリコール-400が含まれる。水性注射懸濁液は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、及び/又はデキストランが含まれる、懸濁液の粘度を増加させる物質を含み得る。任意選択で、懸濁液はまた、安定剤を含み得る。
本開示の局所組成物は、一実施形態では、好適な担体の選択によって、油、クリーム剤、ローション剤、軟膏剤等として製剤化される。好適な担体には、植物油又は鉱物油、白色ワセリン(白色軟質パラフィン)、分枝鎖脂肪又は油、動物性脂肪、及び高分子量アルコール(C12より大きい)が含まれる。担体は、活性成分が可溶性である担体であり得る。必要に応じて、乳化剤、安定剤、湿潤剤、及び抗酸化剤、並びに着色剤又は香料を付与する薬剤も含めることができる。更に、経皮浸透促進剤は、これらの局所製剤において使用され得る。そのような促進剤の例は、米国特許第3,989,816号及び同第4,444,762号(各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に見出すことができる。
軟膏剤は、アーモンド油等の植物油中の活性成分の溶液を温かい軟質パラフィンと混合し、混合物を冷却させることによって製剤化され得る。そのような軟膏剤の典型的な例は、約30重量%のアーモンド油及び約70重量%の白色軟質パラフィンを含む軟膏である。ローション剤は、活性成分を、プロピレングリコール又はポリエチレングリコール等の好適な高分子量アルコール中に溶解することによって好都合に調製され得る。
当業者は、上記事項は、本開示の特定の好ましい実施形態の詳細な説明に過ぎないことを容易に理解するであろう。上記の組成物及び方法の様々な修正及び変更は、当該技術分野で利用可能な専門知識を使用して容易に達成することができ、本開示の範囲内である。
治療方法
本開示のいくつかの実施形態では、DCV又はその薬学的に許容される塩は、がんを含む様々な免疫学的状態を治療するために様々な条件及び治療的使用下で用いることができる。
それを必要とする対象に投与される用量は、使用される本開示の特定の組成物の活性、投与経路、投与時間、使用される特定の化合物の***の速度、治療期間、使用される特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物及び/又は材料、年齢、性別、体重、サイズ、状態、全身の健康状態、治療される患者の以前の病歴、標的疾患、治療の目的、状態、実体の免疫原性、及び生物学的マトリックス中の標的細胞へのアクセス容易性等を含む、種々の要因に応じて変動し得る。本開示の組み合わせが、成人対象において、免疫チェックポイントに直接又は間接的に関連する様々な状態及び疾患を治療するために使用される場合、本開示の抗体を静脈内又は皮下投与することが有利である。
様々な実施形態では、本明細書に記載の活性剤の適切な用量は、例えば、治療に影響を及ぼすか又は治療に影響を及ぼすと予測されることが当該技術分野で既知であるか又は疑われるパラメータ又は因子を使用して、臨床医によってなされ得る。いくつかの実施形態では、健全な医療行為は、初期用量が最適用量よりもいくらか少ない量で開始され、任意の負の副作用に対して所望の又は最適な効果が達成されるまで、その後に小さな増分で増加されることを指示するであろう。重要な診断測定には、がん疾患経過における、例えば炎症の症状の測定、あるいは、産生される炎症性サイトカインのレベル、組織損傷、又は推定される活性若しくは病期の測定が含まれる。いくつかの実施形態では、本開示の医薬組成物中の活性成分の実際の投与量レベルは、患者に対する有毒なしに、特定の対象、組成物、及び投与様式について所望の治療応答を達成するのに有効である活性成分の量を得るように変化し得る。
本開示の組み合わせを含む組成物は、例えば、1つ以上の投与様式、例えば、連続注入によって、又は例えば、1日、1週間、若しくは1週当たり1~7回の間隔で投与することによって、対象、例えば、ヒト対象に投与することができる。用量は、非経口的に、例えば、静脈内又は皮下用に提供され得る。
単に例示として、かつ、適切な用量及び投与頻度を決定するための様々な要因を考慮に入れると、それを必要とする患者に投与されるDCV又はその薬学的に許容される塩の例示的な用量には、約0.01~約100mg/kg体重、より好ましくは約0.02~約7、約0.03~約5、又は約0.05~約3mg/kg(投与される体重)、1日に1回以上及び/又は1週間に1回以上での、例えば、1~4週間、又は1~8週間、若しくは1~12週間、又は1~14週間にわたる、DCV又はその薬学的に許容される塩の単一用量が含まれ得る。
いくつかの実施形態では、例示的な投与レジメンは、有意な望ましくない副作用を回避する最大用量の投与又は投与頻度を含むことができる。いくつかの実施形態では、組み合わせの各活性剤の1週総用量は、独立して、少なくとも0.05μg/kg体重、少なくとも0.2μg/kg、少なくとも0.5μg/kg、少なくとも1μg/kg、少なくとも10μg/kg、少なくとも100μg/kg、少なくとも0.2mg/kg、少なくとも0.5mg/kg、少なくとも1.0mg/kg、少なくとも2.0mg/kg、少なくとも10mg/kg、少なくとも15mg/kg、少なくとも20mg/kg、少なくとも25mg/kg、若しくは少なくとも50mg/kg、又は少なくとも100mg/kgであり得る。別の例では、それを必要とする患者に投与される本開示の組み合わせの各活性剤の例示的な用量は、約0.001mg/kg~約200mg/kg(患者の体重)であり得る。
それを必要とする対象への投与量は、0.001mg/kg~200mg/kg、0.001mg/kg~100mg/kg、0.001mg/kg~50mg/kg、0.001mg/kg~25mg/kg、0.001mg/kg~10mg/kg、0.001mg/kg~5mg/kg、0.001mg/kg~1mg/kg、0.001mg/kg~0.5mg/kg、及びそれらの間の任意の投与量であり得る。非限定的な例として、本開示による治療は、DCV又はその薬学的に許容される塩の各活性剤の1日用量として、1日当たり、約0.1~100mg/kg、例えば、0.5、0.9、1.0、1.1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、45、50、60、70、80、90、又は100mg/kgの量で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、若しくは40日目のうちの少なくとも1つで、又は代替的に、治療開始後1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20週目のうちの少なくとも1つで、又はこれらの任意の組み合わせで、24、12、8、6、4、若しくは2時間毎の分割用量又はこれらの任意の組み合わせを使用して提供され得る。
状態の重症度及び本明細書で論じられる様々な要因に応じて、治療の用量、頻度、及び期間は、当業者に既知である適切な医学的基準を考慮して、それに応じて調整され得る。特定の例示的な実施形態では、本開示の組み合わせの各活性剤は、少なくとも約0.1mg~約800mg、約1~約500mg、約5~約300mg、又は約10~約200mg、約100mg、又は約50mgの初回用量として投与することができる。組み合わせの一方又は両方の活性剤の第1の用量は、初回の充填用量であり得、その後に複数回の維持用量が続き得る。
特定の例示的な実施形態では、初回用量に続いて、初回用量とほぼ同じか又は初期用量未満であり得る量で、抗体又はその抗原結合断片の2回目又は複数回の後続用量の投与を行ってもよく、後続の用量は、少なくとも1日~3日、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも12週間、若しくは少なくとも14週間離れ、又は本開示の組み合わせの用量を繰り返してもよく、投与は少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2ヶ月、75日、3ヶ月、若しくは少なくとも6ヶ月間離れ得る。
DCV又はその薬学的に許容される塩を含む組成物の投与経路は、例えば、局所若しくは皮膚への適用、静脈内、腹腔内、皮下、脳内、筋肉内、眼内、動脈内、皮内、脳脊髄内、病変内、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、及び胸骨内への注射及び注入による注射若しくは注入、又は持続放出システム若しくはインプラントによって、単一の製剤で、独立して又は組み合わせとして投与され得る。注入可能な調製物には、静脈内、皮下、皮内、及び筋肉内注射、点滴注入等のための剤形が含まれ得る。多くの再利用可能なペン送達デバイス及び自動注入送達デバイスは、本開示の医薬組成物の皮下送達での用途を有する。
例には、本発明の組み合わせの投与において本明細書で企図される例示的なペンベース送達方法として、AUTOPEN(商標)(Owen Mumford,Inc.、Woodstock,UK)、DIS-ETRONIC(商標)ペン(Disetronic Medical Systems、Burghdorf,Switzerland)、HUMALOG MIX 75/25(商標)ペン、HUMA-LOG(商標)ペン、HUMALIN 70/30(商標)ペン(Eli Lilly and Co.、Indianapolis,Ind.)、NOVOPEN(商標)I,II and III(Novo Nordisk、Copenhagen,Denmark)、NOVOPEN JUNIOR(商標)(Novo Nor-disk、Copenhagen,Denmark)、BD(商標)ペン(Becton Dickinson、Franklin Lakes,N.J.)、OPTIPEN(商標)、OPTIPEN PRO(商標)OPTIPEN STARLET(商標)、及びOPTICLIK(商標)(Sanofi-Aventis、Frankfurt,Germany)が含まれるが、これらに限定されない。本開示の医薬組成物の皮下送達での用途を有するペンベースのデバイスの例示的な例には、SOLOSTAR(商標)ペン(Sanofi-Aventis)、FLEXPEN(商標)(Novo Nordisk)、及びKWIKPEN(商標)(Eli Lilly)が含まれる。
一般に、動物、例えばヒト対象に投与されるDCVあるいはその薬学的に許容される塩、プロドラッグ、若しくは溶媒和物、又はそのエナンチオマー、エナンチオマー混合物、2つ以上のジアステレオマー混合物、若しくは同位体変異体の経口投与量は、約0.001mg/kg~約100mg/kg(動物体重)、より典型的には、約0.1mg/kg、1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、25mg/kg、50mg/kg、100mg/kg、150mg/kg、200mg/kg、250mg/kg、又は300mg/kg~約500mg/kg(動物体重)である。いくつかの態様では、動物に投与されるDCVあるいはその薬学的に許容される塩、プロドラッグ、若しくは溶媒和物、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、若しくは同位体変異体の投与量は、約1mg、約5mg、若しくは約10mg~約350mg/日、又は約1mg、約5mg、約10mg、約15mg、若しくは約20mg~約100mg/日である。
DCVあるいはその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、若しくは同位体変異体は、所望の効果に従って、毎日、毎週、隔週、又は毎月のスケジュールで投与することができる。いくつかの態様では、DCV又はその薬学的に許容される塩は、約1~5、約1~約10、約1~約15、又はそれ以上のサイクルで投与することができ、各サイクルは、1ヶ月の期間である。各サイクル内の用量は、毎日(1日1回、1日2回、又は1日2回より多い)、隔日、週2回、毎週、隔週、3週間毎に1回、又は月単位で投与することができる。サイクルは、任意選択で、休止期間を含み得る。あるいは、休止期間をサイクル間に含めることもできる。いくつかの態様では、投与は、疾患の期間中である。
本明細書に記載のように、本明細書に記載の方法に有効なDCVあるいはその薬学的に許容される塩、プロドラッグ、若しくは溶媒和物、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、若しくは同位体変異体の量は、障害又は状態の性質に依存し、標準的な臨床的技術によって決定することができる。更に、インビトロ又はインビボアッセイを任意選択で使用して、最適な投与量範囲を特定することができる。組成物に使用される正確な用量はまた、投与経路及び疾患又は障害の重症度に依存し、医師の判断及び各患者の状況に応じて決定されるべきである。
本開示の範囲内の組成物には、DCV又はその薬学的に許容される塩がその意図される目的を達成するのに有効な量で含まれる全ての組成物が含まれる。個々の必要性は変動するが、各構成要素の有効量の最適範囲の決定は当業者の技術範囲内である。典型的には、DCVあるいはその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物、プロドラッグ、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、若しくはその同位体変異体は、治療されるがんのために治療される哺乳動物の体重の1日当たり、0.0025~100mg/kgの用量、又は薬学的に許容される塩のその同等量で、哺乳動物、例えばヒトに経口投与され得る。一実施形態では、約0.01~約25mg/kgが、そのような障害を治療、改善、又は予防するために経口投与される。静脈内注射又は注入注射の場合、チェックポイント阻害剤抗体又はその抗原結合断片の用量は、約0.1~約1000mg/kg、又は約0.1mg/kg~約500mg/kg(患者体重)である。
DCVあるいはその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物、プロドラッグ、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、若しくは同位体変異体の単位経口用量は、約0.01mg~約1000mg、例えば、約0.1~約100mgの化合物を含み得る。単位用量は、各々が約0.1~約10mg、好都合には約0.25~50mgの化合物又はその溶媒和物を含む1つ以上の錠剤又はカプセル剤として、1日1回以上投与され得る。
局所製剤では、DCV又はその薬学的に許容される塩、プロドラッグ、若しくは溶媒和物、若しくはそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、若しくはその同位体変異体は、担体1グラム当たり約0.01~100mgの濃度で存在し得る。一実施形態では、化合物は、約0.07~1.0mg/mL、例えば、約0.1~0.5mg/mLで存在し、一実施形態では、約0.4mg/mLの濃度で存在する。
本開示は、固形がん又は非固形がん等の腫瘍性疾患を治療するために使用され得る。本明細書で使用される場合、「治療」には、腫瘍性疾患の予防、軽減、制御、及び/又は阻害が包含される。そのような疾患には、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、燕麦細胞がん、腺がん、扁平上皮がん、大細胞(未分化)がん、乳頭がん、腺扁平上皮がん、カルチノイド腫瘍、腺様嚢胞がんリンパ腫、並びに肉腫及び肉腫様がんを含むがこれらに限定されない、ERPC細胞及びTRIB2陽性肺がんを含むTRIB2陽性がん細胞が含まれる。様々な実施形態では、上記の肺がんは、TRIB2陽性肺がんである。本開示は、治療有効量のダクラタスビル(DCV)を治療を必要とする対象に投与することによって、前立腺がん、特にERPC、及び/又は肺がん等のTRIB2陽性がんを治療するための有効な方法を提供する。
新生物、腫瘍、及びがんには、良性、悪性、転移性、及び非転移性種が含まれ、任意の病期(I、II、III、IV、若しくはV)又はグレード(G1、G2、G3等)の新生物、腫瘍、若しくはがん、又は進行している、悪化している、安定した、若しくは寛解中の新生物、腫瘍、がん、若しくは転移が含まれる。本開示に従って治療され得るがんには、肺及び前立腺の細胞又は腫瘍が含まれるが、これらに限定されない。腫瘍は、転移性又は悪性腫瘍であり得る。非小細胞肺がん、小細胞肺がん、燕麦細胞がん、腺がん、扁平上皮がん、大細胞(未分化)がん、乳頭がん、腺扁平上皮がん、カルチノイド腫瘍、腺様嚢胞がんリンパ腫、並びに肉腫及び肉腫様がんを含むがこれらに限定されない、ERPC細胞及びTRIB2陽性肺がんを含むTRIB2陽性がん細胞。様々な実施形態では、上記の肺がんは、TRIB2陽性肺がんである。本開示は、治療有効量のダクラタスビル(DCV)を治療を必要とする対象に投与することによって、前立腺がん、特にERPC、及び/又は肺がん等のTRIB2陽性がんを治療するための有効な方法を提供する。
いくつかの実施形態では、治療される新生物疾患は、肺がん、前立腺がん、及び前立腺がんである。最も好ましくは、治療される新生物疾患は、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、燕麦細胞がん、腺がん、扁平上皮がん、大細胞(未分化)がん、乳頭がん、腺扁平上皮がん、カルチノイド腫瘍、腺様嚢胞がんリンパ腫、並びに肉腫及び肉腫様がんを含むがこれらに限定されない、ERPC細胞及びTRIB2陽性肺がんを含むTRIB2陽性がん細胞である。
併用療法
本発明のいくつかの実施形態は、有効量の本発明の化合物及び少なくとも1つの追加の治療剤(化学療法用の抗新生物剤、アポトーシス調節剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、及び抗炎症剤を含むが、これらに限定されない)、並びに/又は治療技術(例えば、外科的介入、及び/又は放射線療法)を投与するための方法を提供する。特定の実施形態では、追加の治療剤は、抗がん剤である。
多くの好適な抗がん剤が、本発明の方法で使用されることが企図される。実際、本発明は、限定するものではないが、多くの抗がん剤、例えば、アポトーシスを誘導する薬剤、ポリヌクレオチド(例えば、抗センス剤、リボザイム、siRNA)、ポリペプチド(例えば、酵素及び抗体)、生物学的模倣物、アルカロイド、アルキル化剤、抗腫瘍抗生物質、代謝拮抗剤、ホルモン、白金化合物、モノクローナル又はポリクローナル抗体(例えば、抗がん剤、毒素、ディフェンシンとコンジュゲートされる抗体)、毒素、放射性核種、生物学的反応修飾物質(例えば、インターフェロン(例えば、IFN-α)及びインターロイキン(例えば、IL-2))、養子免疫療法剤、造血成長因子、腫瘍分化誘導薬(例えば、オールトランス-レチノイン酸)、遺伝子療法試薬(例えば、アンチセンス療法試薬及びヌクレオチド)、腫瘍ワクチン、血管新生阻害剤、プロテオソーム阻害剤、NF-КB調節剤、抗CDK化合物、HDAC阻害剤等の投与を企図する。開示される化合物との共投与に好適な化学療法化合物及び抗がん療法の他の多くの例が、当業者に既知である。
特定の実施形態では、抗がん剤は、アポトーシスを誘導又は刺激する薬剤を含む。アポトーシスを誘導する薬剤には、放射線(例えば、X線、γ線、紫外線)、腫瘍壊死因子(TNF)関連因子(例えば、TNFファミリー受容体タンパク質、TNFファミリーリガンド、TRAIL、TRAIL-R1又はTRAIL-R2に対する抗体)、キナーゼ阻害剤(例えば、上皮成長因子受容体(EGFR)キナーゼ阻害剤、血管成長因子受容体(VGFR)キナーゼ阻害剤、線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)キナーゼ阻害剤、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)キナーゼ阻害剤、及びBcr-Ablキナーゼ阻害剤(例えば、グリベック(GLEEVEC)))、アンチセンス分子、抗体(例えば、ハーセプチン(HERCEPTIN)、リツキサン(RITUXAN)、ゼバリン(ZEVALIN)、及びアバスチン(AVASTIN))、抗エストロゲン(例えば、ラロキセン及びタロキシフェン)、抗アンドロゲン剤(例えば、フルタミド、ビカルタミド、フィナステリド、アミノグルテタミド、ケトコナゾール、及びコルチコステロイド)、シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)阻害剤(例えば、セレコキシブ、メロキシカム、NS-398、及び非ステロイド性抗炎症薬(NSAID))、抗炎症薬(例えば、ブタゾリジン、デカドロン(DECADRON)、デルタゾン(DELTASONE)、デキサメタゾン、デキサメタゾンインテンソール、デキソン(DEXONE)、ヘキサドロール(HEXADROL)、ヒドロキシクロロキン、メチコルテン(METICORTEN)、オラデクソン(ORADEXON)、オラソン(ORASONE)、オキシフェンブタゾン、ペディアプレッド(PEDIAPRED)、フェニルブタゾン、プラケニル(PLAQUENIL)、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレロン(PRELONE)、及びタンデアリル(TANDEARIL))、及びがん化学療法薬(例えば、イリノテカン(カムプスター(CAMPTOSAR))、CPT-11、フルダラビン(フルダラ(FLUDARA))、ダカルバジン(DTIC)、デキサメタゾン、ミトキサントロン、ミロタルグ(MYLOTARG)、VP-16、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、5-FU、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ボルテゾミブ、ゲフィチニブ、ベバシズマブ、タキソテール(TAXOTERE)、又はタキソール(TAXOL))、細胞シグナル伝達分子、セラミド及びサイトカイン、スタウロスポリン等が含まれるが、これらに限定されない。
更に他の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、本発明の化合物、並びにアルキル化剤、代謝拮抗剤、及び天然物(例えば、ハーブ並びに他の植物及び/又は動物由来の化合物)から選択される少なくとも1つの抗過剰増殖剤又は抗腫新生物剤を提供する。
本組成物及び方法での使用に好適なアルキル化剤には、1)ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン(L-サルコリシン)、及びクロラムブシル)、2)エチレンイミン及びメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミン及びチオテパ)、3)アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン)、4)ニトロソウレア(例えば、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU);セムスチン(メチル-CCNU)、及びストレプトゾシン(ストレプトゾトシン))、並びに5)トリアゼン(例えば、ダカルバジン(DTIC、ジメチルトリアゼノイミド-アゾレカルボキサミド))が含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、本発明の組成物及び方法での使用に好適な代謝拮抗剤には、1)葉酸類似体(例えば、メトトレキサート(アメトプテリン))、2)ピリミジン類似体(例えば、フルオロウラシル(5-フルオロウラシル、5-FU)、フロクスウリジン(フルオロデオキシウリジン、FudR)、及びシタラビン(シトシンアラビノシド))、並びに3)プリン類似体(例えば、メルカプトプリン(6-メルカプトプリン、6-MP)、チオグアニン(6-チオグアニン、TG)、及びペントスタチン(2’-デオキシコホルマイシン))が含まれるが、これらに限定されない。
なお更なる実施形態では、本発明の組成物及び方法における使用に好適な化学療法剤には、1)ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン(VLB)、ビンクリスチン)、2)エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシド及びテニポシド)、3)抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン(ダウノマイシン、ルビドマイシン)、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、及びマイトマイシン(マイトマイシンC))、4)酵素(例えば、L-アスパラギナーゼ)、5)生物学的反応修飾因子(例えば、インターフェロンアルファ)、6)白金配位複合体(例えば、シスプラチン(シス-DDP)及びカルボプラチン)、7)アントラセンジオン(例えば、ミトキサントロン)、8)置換尿素(例えば、ヒドロキシ尿素)、9)メチルヒドラジン誘導体(例えば、プロカルバジン(Nーメチルヒドラジン、MIH)、10)副腎皮質抑制剤(例えば、ミトタン((o,p’-DDD)及びアミノグルテチミド)、11)副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾン)、12)プロゲスチン(例えば、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、及び酢酸メゲストロール)、13)エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール及びエチニルエストラジオール)、14)抗エストロゲン剤(例えば、タモキシフェン)、15)アンドロゲン(例えば、プロピオン酸テストステロン及びフルオキシメステロン)、16)抗アンドロゲン剤(例えば、フルタミド)、並びに17)ゴナドトロピン放出ホルモン類似体((例えば、ロイプロリド)が含まれるが、これらに限定されない。
がん療法の関連で日常的に使用される任意の腫瘍溶解剤は、本発明の組成物及び方法に使用される。例えば、米国食品医薬品局は、米国での使用が承認された腫瘍溶解剤の処方集を保持している。U.S.F.D.A.の国際的な対応機関は、同様の処方集を保持している。表2は、米国において使用が承認された例示的な抗新生物剤のリストを提供する。当業者は、米国において承認された全ての化学療法剤に必要な「製品標識」が、例示的な薬剤についての承認された適応症、投与情報、毒性データ等を記載していることを理解するであろう。
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抗がん剤には、抗がん活性を有することが同定されている化合物が更に含まれる。例には、3-AP、12-O-テトラデカノイルホルボール-13-酢酸塩、17AAG、852A、ABI-007、ABR-217620、ABT-751、ADI-PEG20、AE-941、AG-013736、AGRO100、アラノシン、AMG 706、抗体G250、アンチネオプラストン、AP23573、アパジコン、APC8015、アチプリモド、ATN-161、アトラセンテン、アザシチジン、BB-10901、BCX-1777、ベバシズマブ、BG00001、ビカルタミド、BMS247550、ボルテゾミブ、ブリオスタチン-1、ブセレリン、カルシトリオール、CCI-779、CDB-2914、セフィキシム、セツキシマブ、CG0070、シレンギチド、クロファラビン、コンブレタスタチンA4リン酸塩、CP-675,206、CP-724,714、CpG7909、クルクミン、デシタビン、DENSPM、ドキセルカルシフェロール、E7070、E7389、エクテナサイジン743、エファプロキシラル、エフロルニチン、EKB-569、エンザスタウリン、エルロチニブ、エクシスリンド、フェンレチニド、フラボピリドール、フルダラビン、フルタミド、フォテムスチン、FR901228、G17DT、ガリキシマブ、ゲフィチニブ、ゲニステイン、グルフォスファミド、GTI-2040、ヒストレリン、HKI-272、ホモハリングトニン、HSPPC-96、hu14.18-インターロイキン-2融合タンパク質、HuMax-CD4、イロプロスト、イミキモド、インフリキシマブ、インターロイキン-12、IPI-504、イロフルベン、イクサベピロン、ラパチニブ、レナリドマイド、レスタウルチニブ、ロイプロリド、LMB-9免疫毒素、ロナファルニブ、ルニリキシマブ、マホスファミド、MB07133、MDX-010、MLN2704、モノクローナル抗体3F8、モノクローナル抗体J591、モテキサフィン、MS-275、MVA-MUC1-IL2、ニルタミド、ニトロカンプトテシン、ノラトレキセド二塩酸塩、ノルバデックス、NS-9、O6-ベンジルグアニン、オブリメルセンナトリウム、ONYX-015、オレゴボマブ、OSI-774、パニツムマブ、パラプラチン、PD-0325901、ペメトレキセド、PHY906、ピオグリタゾン、ピルフェニドン、ピクサントロン、PS-341、PSC833、PXD101、ピラゾロアクリジン、R115777、RAD001、ランピルナーゼ、レベッカマイシン類似体、rhuアンギオスタチンタンパク質、rhuMab 2C4、ロシグリタゾン、ルビテカン、S-1、S-8184、サトラプラチン、SB-、15992、SGN-0010、SGN-40、ソラフェニブ、SR31747A、ST1571、SU011248、スベロイルアニリドヒドロキサム酸、スラミン、タラボスタット、タランパネル、タリキダール、テムシロリムス、TGFa-PE38免疫毒素、サリドマイド、チマルファシン、チピファルニブ、チラパザミン、TLK286、トラベクテジン、グルクロン酸トリメトレキサート、TroVax、UCN-1、バルプロ酸、ビンフルニン、VNP40101M、ボロシキシマブ、ボリノスタット、VX-680、ZD1839、ZD6474、ジレウトン、並びにゾスキダル三塩酸塩が含まれる。
抗がん剤及び他の治療剤のより詳細な説明については、当業者により、Physician’s Desk Reference及びGoodman and Gilmanの「Pharmaceutical Basis of Therapeutics」第10版、Eds.Hardman et al.,2002を含むがこれらに限定されない、任意の数の取扱説明書が参照される。
本発明は、本発明の化合物を放射線療法とともに投与するための方法を提供する。本発明は、治療用量の放射線を動物に送達するために使用される種類、量、又は送達及び投与システムによって限定されない。例えば、動物は、光子放射線療法、粒子線放射線療法、他の種類の放射線療法、及びそれらの組み合わせを受け得る。いくつかの実施形態では、放射線は、直線加速器を使用して動物に送達される。更に他の実施形態では、放射線は、ガンマナイフを使用して送達される。
放射線源は、動物の外部又は内部であり得る。外部放射線療法は最も一般的であり、例えば、線形加速器を使用して、高エネルギー放射線のビームを皮膚を通して腫瘍部位に導くことを伴う。放射線ビームは腫瘍部位に局在しているが、正常で健康な組織への曝露を避けることはほとんど不可能である。しかしながら、外部放射は、通常、動物によって十分に忍容されている。内部放射線療法は、(例えば、がん細胞結合リガンドに結合した粒子を使用して)がん細胞を特異的に標的化する送達システムの使用を含む、腫瘍部位又はその近くの体内にビーズ、ワイヤー、ペレット、カプセル、粒子等の放射線放出源を留置することを含む。そのような留置は、治療後に除去するか、又は不活性にして体内に放置することができる。内部放射線療法の種類には、小線源治療、組織内照射、腔内照射、放射免疫療法等が含まれるが、これらに限定されない。
動物は、任意選択で、放射線増感剤(例えば、メトロニダゾール、ミソニダゾール、動脈内Budr、静脈内ヨードオキシウリジン(IudR)、ニトロイミダゾール、5-置換-4-ニトロイミダゾール、2H-イソインドールジオン、[[(2-ブロモエチル)-アミノ]メチル]-ニトロ-1H-イミダゾール-1-エタノール、ニトロアニリン誘導体、DNA親和性低酸素選択的サイトトキシン、ハロゲン化DNAリガンド、1,2,4ベンゾトリアジンオキシド、2-ニトロイミダゾール誘導体、フッ素含有ニトロアゾール誘導体、ベンズアミド、ニコチンアミド、アクリジン-インターカレーター、5-チオトラゾール誘導体、3-ニトロ-1,2,4-トリアゾール、4,5-ニトロイミダゾール誘導体、ヒドロキシル化テキサプライン、シスプラチン、マイトマイシン、チリパザミン、ニトロソウレア、メルカプトプリン、メトトレキサート、フルオロウラシル、ブレオマイシン、ビンクリスチン、カルボプラチン、エピルビシン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンデシン、エトポシド、パクリタキセル、熱(ハイパーセミア)等)、放射線防護剤(例えば、システアミン、アミノアルキル二水素ホスホロチオエート、アミホスチン(WR2721)、IL-1、IL-6等)を受け得る。放射線増感剤は、腫瘍細胞の死滅を増強する。放射線防護剤は、放射線の有害な影響から健康な組織を保護する。
放射線の用量が許容できない負の副作用なしに動物によって忍容される限り、任意の種類の放射線を動物に投与することができる。好適な種類の放射線療法には、例えば、電離性(電磁)放射線療法(例えば、X線又はγ線)又は粒子ビーム放射線療法(例えば、高い線エネルギー放射線)が含まれる。電離性放射線は、電離、すなわち、電子の獲得又は喪失を生成するのに十分なエネルギーを有する粒子又は光子を含む放射線として定義される(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるU.S.5,770,581に記載される)。放射線の効果は、臨床医によって少なくとも部分的に制御することができる。一実施形態では、放射線の用量は、最大の標的細胞曝露及び毒性の低減のために分けられる。
一実施形態では、動物に投与される放射線の総用量は、約0.01グレイ(Gy)~約100Gyである。別の実施形態では、約10Gy~約65Gy(例えば、約15Gy、20Gy、25Gy、30Gy、35Gy、40Gy、45Gy、50Gy、55Gy、又は60Gy)が、治療経過にわたって投与される。いくつかの実施形態では、放射線の完全な用量は1日の経過にわたって投与することができるが、総用量は、理想的には分けられ、数日にわたって投与される。望ましくは、放射線療法は、少なくとも約3日間、例えば、少なくとも5、7、10、14、17、21、25、28、32、35、38、42、46、52、又は56日間(約1~8週間)の経過にわたって投与される。したがって、1日の放射線量は、約1~5Gy(例えば、約1Gy、1.5Gy、1.8Gy、2Gy、2.5Gy、2.8Gy、3Gy、3.2Gy、3.5Gy、3.8Gy、4Gy、4.2Gy、又は4.5Gy)、又は1~2Gy(例えば、1.5~2Gy)を含む。1日の放射線量は、標的化される細胞の破壊を誘発するのに十分である必要がある。ある期間にわたって延長される場合、一実施形態では、放射線は毎日投与されず、それによって動物が休息することができ、療法の効果を実現する。例えば、放射線は、望ましくは、治療の各週において、5日間連続して投与され、2日間投与されず、それによって、週に2日間の休息を可能にする。しかしながら、放射線は、動物の応答及び任意の潜在的な副作用に応じて、1日/週、2日/週、3日/週、4日/週、5日/週、6日/週、又は7日/週全てで投与することができる。
放射線療法は、治療期間の任意の時点で開始することができる。一実施形態では、放射線は、1週間又は2週間中に開始され、治療期間の残りの期間にわたって投与される。例えば、放射線は、例えば固形腫瘍を治療するための6週間を含む治療期間の1~6週目又は2~6週目に投与される。あるいは、放射線は、5週間を含む治療期間の1~5週間又は2~5週間に投与される。しかしながら、これらの例示的な放射線療法の投与スケジュールは本発明を限定するものではない。
抗菌治療剤はまた、本発明における治療剤として使用され得る。微生物の機能を死滅、阻害、又はその他では減衰させることができる任意の薬剤、及びそのような活性を有することが企図される任意の薬剤を使用され得る。抗菌剤には、単独で又は組み合わせて使用される、天然及び合成の抗生物質、抗体、阻害タンパク質(例えば、ディフェンシン)、アンチセンス核酸、膜破壊剤等が含まれるが、これらに限定されない。実際には、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤等を含むが、これらに限定されない、任意の種類の抗生物質が使用され得る。
本発明のいくつかの実施形態では、本発明の化合物及び1つ以上の治療剤又は抗がん剤は、以下の条件:異なる周期、異なる持続時間、異なる濃度、異なる投与経路によることうちの1つ以上において、動物に投与される。いくつかの実施形態では、化合物は、治療剤又は抗がん剤の投与の前に、例えば、治療剤又は抗がん剤の投与の0.5、1、2、3、4、5、10、12、若しくは18時間前、1、2、3、4、5、若しくは6日前、又は1、2、3、若しくは4週間前に投与される。いくつかの実施形態では、化合物は、治療剤又は抗がん剤の後に、例えば、抗がん剤の投与の0.5、1、2、3、4、5、10、12、若しくは18時間後、1、2、3、4、5、若しくは6日後、又は1、2、3、若しくは4週間後に投与される。いくつかの実施形態では、化合及び治療剤又は抗がん剤は、同時に投与されるが、異なるスケジュールで投与され、例えば、化合物は、毎日投与されるが、治療剤又は抗がん剤は、週に1回、2週毎に1回、3週毎に1回、又は4週毎に1回投与される。他の実施形態では、化合物は週に1回投与され、治療剤又は抗がん剤は、1日に1回、1週に1回、2週毎に1回、3週毎に1回、又は4週毎に1回投与される。
実施例1.TRIB2を下方制御する化合物を同定するための高スループットスクリーニング
本実施例は、Tribblesホモログ2(TRIB2)の阻害剤としてのダクラタスビル(DCV)の同定を実証する。
ハイスループットスクリーニング(HTS)は、一連の市販薬物のコレクション(カタログ番号HY-L022,Medchem Express、Monmouth Junction,NJ)から選択された1600個の化合物を用いて行った。スクリーニングには、Selleck Chemicals(Houston,TX)、Sigma Chemicals(St.Louis,MO)、Cayman Chemicals(Ann Arbor,MI)、Santa Cruz Biotech(Santa Cruz,CA)、及びIndoFine Chemicals(Hillsborough,NJ)からの追加の化合物も含まれた。
ヒト***線維芽細胞(HFF)細胞を、Trib2-ルシフェラーゼ(Luc-Trib2)融合構築物でトランスフェクトした。細胞を96ウェル組織培養プレートに播種し、化合物(10μM)で24時間処理した。ルシフェラーゼ活性は、EnduRen(商標)生細胞基質キット(PROMEGA CORP.(登録商標)、WI)を使用して測定した。ダクラタスビルは、Trib2-ルシフェラーゼ活性の70%超の阻害を示した(図1A及び図1B)。対照的に、別の抗ウイルス化合物であるレジパスビル(LDV)は、同じアッセイにおいて阻害を示さなかった(図1A及び図1C)。更なる開発のために、対照ルシフェラーゼでトランスフェクトしたHFF細胞を用いて、選択された化合物を対応スクリーニングした。ダクラタスビルはまた、ルシフェラーゼのみを用い、かつ、Trib2を用いずに、DCVをスクリーニングする、対応スクリーニング試験にも合格、これにより、DCVがルシフェラーゼ活性を直接阻害しないことが示された。
これらの結果は、DCVがルシフェラーゼ融合タンパク質ベースのアッセイにおいてTRIB2を阻害することを示し、DCVがTRIB2タンパク質の新しい阻害剤であり得ることを実証する。Trib2-ルシフェラーゼ活性に対するDCVの阻害効果は、レジパスビル(LDV)等の他の抗ウイルス薬については観察されなかった。DCV及びLDVの両方が、C型肝炎ウイルス(HCV)感染の治療に使用される。DCVと同様に、LDVはまた、C型肝炎ウイルス(HCV)非構造タンパク質5A(NS5A)の阻害剤である。本実施例におけるDCV対LDVの効果の違いは、TRIB2タンパク質に対するDCVの阻害効果が本化合物に特異的であり得、全てのHCV抗ウイルス薬に対して一般的に観察されないことを示している。
実施例2.ERPC細胞を用いた新規なTRIB2阻害剤の検証
本実施例は、別の抗ウイルス薬ではないが、ダクラタスビルがTRIB2タンパク質レベルを下方制御し、ERPC細胞の生存率を低下させることを実証する。
エンザルタミド耐性前立腺がん(ERPC)細胞(LNCaP-ENR細胞)をプレーティングし、各々10μMの様々な化合物で24時間処理した。LNCaP-ENR細胞を開発及び使用するための例示的な方法は、Monga,J.,Subramani,D.,Bharathan,A.,and Ghosh,J.(2020)“Pharmacological and genetic targeting of 5-lipoxygenase interrupts c-Myc oncogenic signaling and kills enzalutamide-resistant prostate cancer cells via apoptosis”Scientific Reports 10:6649に開示され、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。全細胞溶解物タンパク質をウエスタンブロットによって分析した。TRIB2抗体を使用して、TRIB2のタンパク質レベルを検出し、GAPDHを充填対照として使用した。モノクローナル抗Trib2抗体は、Santa Cruz Biotech、Santa Cruz,CAから購入した。TRIB2タンパク質レベルは、ダクラタスビルによって下方制御されたが、別の抗ウイルス薬物レジパスビル(LDV)によっては下方制御されなかった(図2A)。
生存率アッセイのため、LNCaP-ENR細胞(1ウェル当たり2,000個の細胞)を、完全増殖培地(RPMI+10% FBS)での96ウェルプレート中でプレーティングし、様々な用量のDCV又はLDVで処理した。プレートをCOインキュベーター中で37℃で72時間インキュベートした。細胞生存率をMTS/PES細胞力価アッセイ(Promega Corp.、Madison,WI)によって測定した。細胞生存率は、ダクラタスビルによって効果的に低下したが、レジパスビルによっては低下しなかった(図2B)。
これらの結果は、DCVがTRIB2を阻害することができ、マイクロモル濃度でERPC細胞の生存率を低下させることができることを示す。DCV処置細胞におけるTRIB2タンパク質のレベルの低下は、DCVがTRIB2タンパク質の分解を引き起こすことの指標であり得る。TRIB2タンパク質レベルを下方制御し、かつ、ERPC細胞の生存率を低下させることに対するDCVの効果は、TRIB2 shRNAの効果を模倣する(データは未公開)。別の抗ウイルス薬レジパスビル(LDV)は、TRIB2を下方制御せず、ERPC細胞を死滅させず、これは、TRIB2タンパク質に対するDCVの選択的効果がその構造的差異に起因することを示唆している。
実施例3.DCVのインビトロ抗腫瘍効果
本実施例は、前立腺がん細胞におけるDCV処置の抗腫瘍効果を実証する。
LNCaP-ENR細胞を、様々な用量(4μM、8μM、又は12μM)のDCVで24時間処理した。TRIB2タンパク質レベル及びその下流の標的(例えば、pAkt、Bcl-xL、サバイビン(Survivin)、及びFOXO3)に対する効果をウエスタンブロットによって分析した。GAPDHを充填対照として使用した。TRIB2、pAKT(S473)、Bcl-xL、及びサバイビンのタンパク質レベルが、対照で処理した細胞と比較して、12μMのDCVで処理した細胞で低下した(図3A)。FOXO3タンパク質のレベルは、対照処理と比較して、12μMのDCV処理で増加した。FOXO3レベルがTrib2によって低下することが既知であるため、このことは予想された。細胞タンパク質レベルに対するこれらの効果は、DCV濃度依存的であり、試験した最高濃度(12μM)で最も顕著な効果が観察された。
軟寒天コロニー形成に対するDCVの効果も分析した。LNCaP-ENR細胞(6ウェルプレート中、1ウェル当たり10,000個)を0.6%寒天のベース層の上部の0.3%軟寒天においてプレーティングした。細胞をDCVで処理し、COインキュベーター中で37℃で3週間インキュベートした。細胞に、新鮮な培地及び薬物を4日毎に与えた。インキュベーション期間の最後に、コロニーを0.025%のクリスタルバイオレットで染色し、コロニーの写真を200倍のニコンデジタルカメラで撮影した。Q-Capture Pro-7ソフトウェアを使用して画像処理を行った。上記の技術の例示的な方法は、Sarveswaran,Sivalokanathan et al.“Inhibition of 5-lipoxygenase downregulates stemness and kills prostate cancer stem cells by triggering apoptosis via activation of c-Jun N-terminal kinase.”Oncotarget vol.10,4 424-436.11 Jan. 2019に見出すことができ、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。8μMのDCVは、軟寒天コロニー形成を完全に妨げた(図3B)。
がん細胞アポトーシスに対するDCV効果を試験するために、LNCaP-ENR細胞を8μMのDCVで24時間処理し、フローサイトメトリーによって分析した。DCVによる処置は、アポトーシスのための読み出しにおいてアネキシンV結合の増加を示した(図3C)。
前立腺がん細胞におけるDCV処置単独及びエンザルタミドとの組み合わせの効果を評価するために、LNCaP細胞株を使用して細胞生存率アッセイを行った。LNCaP細胞は、エンザルタミド処置に応答するアンドロゲン感受性ヒト前立腺腺がん細胞である。細胞をエンザルタミド(10μM又は20μM)、DCV(6μM)、又はエンザルタミドとDCVの組み合わせで72時間処理し、MTS/PESアッセイで分析した。エンザルタミド及びDCVによる併用処理は、各薬物単独での処理と比較して、細胞生存率の阻害に対する相乗効果を示した(図3D)。
これらの結果は、DCVによるTRIB2陽性腫瘍細胞の処置が、腫瘍細胞アポトーシスを誘発し、TRIB2タンパク質及びpAkt及びBcl-xL等のTRIB2の下流の標的のタンパク質レベルを低下させたことを示す。腫瘍形成性のインビトロ試験である軟寒天アッセイにおいて、DCVは、ERPC細胞によるコロニー形成を妨げた。ERPC細胞によるコロニー形成の完全な阻害は、DCVが浸透して、ERPC細胞のゴツゴツした塊の核におけるコンパクト性及び低酸素環境に起因する腫瘍耐性を克服することができることを意味する。更に、本実施例は、DCV及びエンザルチミドとの併用治療が、エンザルタミド単剤療法に他の方法で応答する前立腺がん細胞の生存率を相乗的に阻害することを示す。纏めると、これらの結果により、DCVが、侵襲的かつエンザルタミド耐性の致死性前立腺がんの治療のための有効な治療剤であり得ることが示される。
実施例4.DCVのインビボ抗腫瘍効果
本実施例は、DCVでのインビボ処置により、マウス異種移植片モデルにおけるERPC腫瘍増殖が阻害されることを実証する。
BALB/cヌードマウスに、LNCaP-ENR細胞(マウス当たり1×10細胞)を皮下注射し、腫瘍を発生させた。腫瘍が約100立方mmのサイズに達したときに、マウスを30mg/kg/日のDCV又は1:1:8のDMSO:クレモフォア:PBSの溶液で4週間にわたり(n=3)経口的に処理した。腫瘍サイズ及び体重を週に1回測定した。腫瘍体積は、以下の式を使用して計算した:
Figure 2023528479000014
式(I)
式中、「TV」は、腫瘍体積を意味し、
「a」は、腫瘍の長径であり、
「b」は、腫瘍の短径である。
腫瘍試料を処置の4週間後に収集し、腫瘍におけるTRIB2タンパク質レベルをモノクローナル抗Trib2抗体(Santa Cruz Bio、Santa Cruz,CA;カタログ番号100878)を1:100で使用した免疫組織化学(IHC)によって測定した。
DCVで処置した動物の腫瘍体積は、ビヒクルで処置した動物と比較して有意に低下した(図4A及び図4B)。更に、DCV処置動物由来の腫瘍は、IHCによるTRIB2タンパク質レベルの低下を示した(図4C)。DCV処置では、4週間にわたって、明らかな毒性(動物体重の著しい減少、又は運動の変化、食物摂取、皮膚色、下痢、尿の色、全身の内臓)の兆候は観察されなかった。
これらの結果は、30mg/kg/日のDCV(DCVの最大耐用量(MTD):>200mg/kg/日)により、腫瘍におけるTRIB2タンパク質レベルが低下し、動物の健康に対する明らかな毒性なしに、ヌードマウスにおけるERPC腫瘍成長が阻害された。したがって、DCVは、TRIB2陽性腫瘍に対する有望なインビボ抗腫瘍活性を示し、ERPCに対する新しい治療を提供することができる。
実施例5.抗ウイルス薬であるダクラタスビルは、Tribbles2偽キナーゼを阻害し、アポトーシスを介してエンザルタミド耐性前立腺がん細胞を死滅させる
FDA承認されているエンザルタミドは、アンドロゲン受容体機能を妨げることによって進行性前立腺がんの成長を低下させるために一般的に処方されている。しかしながら、初期の良好な応答後であっても、エンザルタミド耐性前立腺がん(ERPC)は必ず発生し、これはしばしば広範囲の転移性疾患に進行し、致死的となる。前立腺がんによる罹患率及び死亡率の多くは、抗アンドロゲン療法を上回る前立腺がんの進行のために起こる。ERPCの管理は、利用可能な治療レジメンがERPC細胞を効果的に死滅させることができないだけでなく、それらが大きな骨に侵入する傾向があるため、特に問題となる。エンザルタミド耐性の背後にあるメカニズムが正確に理解されておらず、これにより、エンザルタミド耐性を克服するためのより新しい薬剤の開発が遅れている。本開示は、Tribbles2偽キナーゼが、エンザルタミド処置時に前立腺がん細胞及び腫瘍において過剰発現されていることを実証する。Tribbles2の強制発現は、前立腺がん細胞の成長を増強し、エンザルタミドの生理学的用量に対する完全な耐性を付与し、Trib2がERPCの発生及び進行に重要な役割を果たすことを示唆する。Trib2は優れた分子標的として出現しているが、有効な標的化のための好適な阻害剤は市販されていない。ルシフェラーゼ標識Trib2融合タンパク質ベースのスクリーニングアッセイを設計することにより、本開示は、抗ウイルス薬であるダクラタスビルがTrib2-ルシフェラーゼ活性を強力に阻害することを実証する。本開示はまた、DCVが直接結合によってTrib2タンパク質を分解し、ERPC細胞を再び感受性にすることを実証する。DCVは、ヒトにおいて既にFDAの承認を受けており、ヒトにおいて十分に忍容性があるため、本明細書に提示される知見は、DCVが、進行性のエンザルタミド耐性型前立腺がんの有効な療法の開発のための有望な新しい薬剤として出現し得ることを示す。
本発明者は、ヒトLNCaP及びMDA-PCA-2B前立腺がん細胞を、長期エンザルタミド療法における臨床条件を模倣するために徐々に増大させた用量(最大30μM)で長期的に処置することによるインビトロモデルを開発した。得られたエンザルタミド耐性細胞の包括的な遺伝子発現分析は、偽キナーゼであるTrib2が、親エンザルタミド感受性細胞と比較して、エンザルタミド耐性細胞において過剰発現することを明らかにした(図1A及び1B)。更に、Trib2の過剰発現は、エンザルタミド処置PDX腫瘍及び患者の前立腺腫瘍でも見出された。Trib2の阻害は、ERPC細胞を効果的に死滅させ、これは、Trib2を阻害することによって標的療法を今や開発することができることを示唆している。しかしながら、その非酵素的性質により、及び任意の深いポケットが存在しないため、そのタンパク質-タンパク質相互作用を妨げることによるTrib2の特異的標的化は、極めて困難である。したがって、抗アンドロゲン療法耐性前立腺がんの真正なプロモーターとして認識されているにもかかわらず、Trib2は、エンザルタミド耐性を克服するための戦略を開発するための捉え難い分子標的のままである。
Trib2を阻害する薬剤を開発するための主な障害は、多数の化合物を効果的にスクリーニングするための迅速かつ容易なアッセイ手順が欠如していることである。この問題を克服するために、本開示は、Trib2タンパク質の活性状態を測定するための新しいアッセイシステムの設計を提供する。本開示は、完全長ヒトTrib2遺伝子をRenilla由来のルシフェラーゼ遺伝子と組み合わせることによるTrib2-ルシフェラーゼ遺伝子構築物を記載する。得られたTrib2-luc融合タンパク質の三次元立体構造の不安定化は、ルシフェラーゼの酵素活性の変化を介して報告可能な転帰をもたらすことができる。ルシフェラーゼのみの活性に影響する化合物を排除するように、第2のスクリーニングを設計した。この二重スクリーニングアッセイシステムを使用して、1600個のFDA承認化合物のライブラリをスクリーニングし、抗ウイルス薬であるダクラタスビル(DCV)がTrib2-ルシフェラーゼ活性を強力に阻害することを明らかにした。DCVは、Trib2-ルシフェラーゼの活性を阻害するが、Trib2が融合タンパク質として結合していない場合、ルシフェラーゼの活性を阻害しないことが後で見出された。本開示はまた、DCVが純粋なTrib2タンパク質に直接結合してこれを不安定化し、最大融解温度(Tm)の半分を低下させることを見出した。更に、DCVが、前立腺、肺、及び腎臓を含む様々な侵襲的がん細胞株におけるTrib2タンパク質レベルを下方制御することが見出された。したがって、本開示のルシフェラーゼベースのアッセイシステム(第1のスクリーニング及び対応スクリーニングを含む)は、培養物中の単純な遺伝子トランスフェクト細胞株を使用してTrib2標的化薬物を同定するための有効な方法として出現する。
結果
ハイスループットスクリーニングにより、DCVはTribbles2を下方制御する新規の薬剤として同定された。
Trib2タンパク質のアミノ酸配列は、標準的なキナーゼと類似性を有し、ATPに結合するが、強力なキナーゼ活性を欠く(偽キナーゼ)。したがって、本開示は、完全長ヒトTrib2遺伝子をRenilla由来のルシフェラーゼ遺伝子と組み合わせることによる、融合構築物を作製するためのアッセイシステムの設計を提供する。Trib2タンパク質の重要なC末端を保存するために、ルシフェラーゼ遺伝子をTrib2遺伝子の上流に配置させ、ルシフェラーゼ構成要素がN末端に留まるようにした。ここで、得られた融合構築物が、強力なルシフェラーゼ活性を有する約72kDaのサイズのタンパク質産物に翻訳されることが観察された。
一連の確立された細胞株をスクリーニングした後、ヒト***線維芽細胞(HFF)が検出可能なTrib2タンパク質を発現しないことが見出された。したがって、本開示では、ルシフェラーゼでタグ付けされたTrib2遺伝子構築物でHFF細胞をトランスフェクトした。2ラウンドの薬物(G418)選択により、融合遺伝子の過剰発現について細胞を選択した。得られた細胞(HFF-Trib2-Luc)を使用して、Medchem Express(Monmouth Junction,NJ)から購入した約1600個のFDA承認化合物(#HY-L022)のライブラリをスクリーニングした。96ウェル組織培養プレートにおいて、標準化された24時間アッセイプロトコルに従い、薬物効果を試験した。本開示のアッセイは、約1%の化合物がTrib2-luc活性を70%以上阻害することができることを明らかにした。興味深いことに、本開示は、ダクラタスビルが第1のスクリーニングにおけるルシフェラーゼ活性を74%下方調節することを見出した。(表3、図5)。更に、DCVは、第2のスクリーニングにおける対照ルシフェラーゼ活性を阻害せず、これは、DCVの効果がTrib2との相互作用に起因し得ることを示唆する。同じ実験システムでTrib2-ルシフェラーゼ活性を阻害するのに全く効果がなかったレジパスビル(LDV)、ダルナビル、及びドルテグラビル等のいくつかの他の抗ウイルス化合物も試験し、化合物の一般化された抗ウイルス特性ではなくて、重要な構造成分/構成がTrib2を阻害するための鍵であることを示した。Trib2-ルシフェラーゼ融合タンパク質ベースのアッセイにおいて明らかになった未知の化合物の効果から、スクリーニングにおけるヒット率は約1%であることを見出された。
表3.Trib2-ルシフェラーゼ融合構築物をトランスフェクトしたHFF細胞に対する104個のFDA承認化合物の代表的なセットの効果を示す。細胞を本明細書に開示される化合物(10μM)で24時間処置し、次いで、Promega Corp.(Madison,WI)のキットを使用してルシフェラーゼ活性を測定した。更なる開発のために、対照ルシフェラーゼをトランスフェクしたHFF細胞を用いて、選択された化合物を対応スクリーニングする。注釈:ダクラタスビルは、24時間でTrib2-ルシフェラーゼ活性の70%以上の阻害を示し、対応スクリーニング試験に合格した。
Figure 2023528479000015
Figure 2023528479000016
化合物を選択するために使用したスクリーニング戦略を図5に示す。ここで、スクリーニング戦略をTrib2-Luc細胞におけるルシフェラーゼ活性の阻害に基づいて化合物を選択するために使用されたが、Luc細胞では使用しなかった。スクリーニングした化合物は、Trib2-ルシフェラーゼ融合構築物をトランスフェクトしたHFF細胞上の104個のFDA承認化合物の代表的なセットを含んだ。細胞を化合物(10μM)で24時間処理し、Promega Corp.(Madison,WI)のキットを使用してルシフェラーゼ活性を測定した。更なる開発のために、対照ルシフェラーゼをトランスフェクしたHFF細胞を用いて、選択された化合物を対応スクリーニングする。注釈:ダクラタスビルは、24時間でTrib2-ルシフェラーゼ活性の70%以上の阻害を示し、対応スクリーニング試験に合格した。
DCVは、プロテアソーム分解を介してTrib2タンパク質レベルを下方制御する。
本開示は、DCV(#4)がTrib2タンパク質レベルを効率的に下方制御し、ERPC細胞の生存率を低下させ、Trib2 shRNAの効果を模倣することを実証する(図2A、2B)。DCVは、直接に結合することによってC型肝炎ウイルスタンパク質(NS5A)を阻害することが既知である。本明細書に提示されるアッセイにおいて、DCVがマイクロモル用量でTrib2を阻害するが、別の抗ウイルス薬であるレジパスビル(LDV、#7)は、Trib2を下方制御せず、ERPC細胞を死滅させないことはことが見出され、これは、Trib2タンパク質に対するDCVの選択的効果がその構造的な差異に起因することを示唆している。本開示はまた、DCVが、LNCaP-ENR細胞及びMR49F ERPC細胞の両方による細胞外マトリックスを通したインビトロ侵入を劇的に低減することを示した(データ図示せず)。本開示はまた、DCVが、軟寒天上のERPC細胞の場非依存性のコロニー形成能を完全に妨げることを見出した(図3B)。したがって、Trib2阻害剤薬物は、進行がん表現型の特徴である侵入及び再コロニー形成を停止させることができる(図3B、実施例3を参照されたい)。DCVの効果を検証するために、Trib2下流マーカーへの効果を分析し、DCVがpAKT、Bcl-xL、及びサバイビンのタンパク質レベルを阻害し、FOXO3のレベルを増加させることが明らかになった。したがって、DCVの効果は、周知のTrib2阻害剤の公開された報告に適合する。したがって、本開示の知見は、Trib2の効果を阻害する新しい化合物としてDCVを検証し、したがって、Trib2を過剰発現するERPC細胞及び腫瘍に対して使用することができる。興味深いことに、並行して実験に使用されたレジパスビルは、ERPC細胞による侵入又は軟寒天コロニー形成を妨げるのに全く効果がないことを見出し、これは、これらのプロセスにおけるDCVの非常に選択的な効果を示唆している。
図6は、LNCaP-ENR細胞におけるTrib2タンパク質レベルに対する(1)DCV(12μM)、又はシクロヘキシミド(CHX)(10μg/mL)の効果を示すウエスタンブロットを示す。GAPDHを対照として使用した。各レーン上の「+」及び/又は「-」は、それぞれDCV又はCHXの有無を示す。
図7は、LNCaP-ENR細胞におけるTrib2タンパク質レベルに対する(1)DCV(15μM)、又は(2)C26415(CAS番号133407-82-6)(ベンジルN-[(2S)-4-メチル-1-[[(2S)-4-メチル-1-[[(2S)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル]アミノ]-1-オキソペンタン-2-イル]アミノ]-1-オキソペンタン-2-イル]カルバメート(「MG132」)(2.5μM)の効果を示すウエスタンブロットを示す。GAPDHを対照として使用した。各レーン上の「+」及び/又は「-」は、それぞれDCV又はCHXの存在又は不存在を示す。
DCVは、Trib2タンパク質に直接結合して、これを不安定化する。
単離されたTrib2タンパク質の熱シフトアッセイにより、DCVがTrib2の融解曲線を左にシフトすることが示された。Tmは、41℃から37℃に減少した(図8)。ヒトTrib2タンパク質の完全アミノ酸配列を用いたSwiss-Protコンピュータモデリングは、DCVと相互作用する5つのアミノ酸を明らかにした。これらは、Arg-132、Ser-133、Glu-194、Glu-197、及びAsp-198である。このモデルは、DCVがTrib2タンパク質に非共有結合し、これを不安定化することを示唆している。
図9~11は、Trib2(タンパク質)及びダクラタスビル(リガンド)の分子ドッキング分析の結果を示す。TRIB2の活性部位におけるダクラタスビル(DCV)の分子ドッキング。分子ドッキングについては、ヒトTRIB2のホモロジーモデル(UniProtKB ID:Q92519)を、サーバー上にFASTA配列を送信することによってSwissモデルで構築した。ドッキング研究には、配列類似性に基づく上位ランクモデルを用いた。ダクラタスビル(DCV)(CID25154714)の化学構造をPubChemから取り出した。PyRxプラットフォームを使用したAutoDock Vinaを用いて、リガンド(DCV)をTRIB2モデルにドッキングした。サーチスペースは、センターX=7.6566、Y=30.1191、Z=186.2056、寸法(Å)X=48.1519、Y=63.3073、及びZ=40.9325と定義した。PyMOL分子可視化ツールを使用して、ドッキングした複合体を可視化した。水素、疎水性、及びファンデルワールス相互作用に関与するTRIB2の活性部位結合ポケット残基におけるDCVの三次元配向を強調している。
更に、リガンドとタンパク質との間に極性接触が確立された。TRIB2のArg-132、Ser-133、Glu-194、Glu-197、及びAsp-198残基は、DCVと水素結合を形成することが示された(図12)。
図13は、DCVと相互作用する残基を含む、Trib2のアミノ酸配列を示す(赤色で強調表示)。
DCVは、アポトーシスを誘導することによってERPC細胞を死滅させる。
本実施例は、DCVが、Trib2タンパク質レベルを効果的に低下させ、ERPC細胞の生存性を低下させたことを示している(図14)。DCV(商品名「ダクルインザ(Daklinza)」)は、Bristol-Myers-Squibbによって製造されたFDA承認薬物であり、ウイルスの複製に重要であるHCV非構造タンパク質5A(NS5A)の阻害剤であることを主に意図している。ここで、がん細胞を用いた実験により、DCVがTrib2タンパク質の分解を引き起こし、ERPC細胞の生存能を低下させることを明らかとなり、ERPC等のTrib2過剰がんに対するその別目的利用のための新たな手段を開いた。また、DCVはアポトーシスを誘導し、ERPC細胞によって軟寒天コロニー形成(腫瘍形成性のためのインビトロ試験)を顕著に妨げる(図15)。ERPC細胞によるコロニー形成の完全な阻害は、DCVが浸透し、ERPC細胞のゴツゴツした塊の核におけるコンパクト性及び低酸素環境に起因して耐性を克服することができることを意味する。したがって、ERPCに対するDCVの優れたインビボでの有効性が期待できる。また、DCVは、アポトーシスを誘導し、エンザルタミドと相乗作用して、前立腺がん細胞の生存性を阻害する(図16;図3Cも参照されたい)。
ERPC細胞におけるDCV誘導アポトーシスの根底にある作用機序を調べるために、Jun N末端キナーゼ(JNK)に対するDCVの効果を分析した。JNKは、アポトーシス経路に重要な役割を果たす。本開示は、DCVがLNCaP-ENR細胞において用量依存的様式でc-JNKの迅速かつ堅牢な活性化を引き起こすことを見出した(図14~17)。カスパーゼ依存性及びカスパーゼ非依存性アポトーシス細胞死プロセスの両方が既知である。ここで、DCVでの処置は、LNCaP-ENR細胞においてカスパーゼ3の活性化を誘導することが観察された(図14~17)。更に、細胞をカスパーゼ阻害剤であるZ-VAD-FMKで前処置したときに、ERPCにおけるDCV処置誘導アポトーシスが阻害されることが見出されたが、これは、ERPC細胞におけるDCV誘発アポトーシスが、カスパーゼ活性に依存することが示唆している(図3C、17)。興味深いことに、レジパスビル(C型肝炎ウイルスの阻害剤でもある)で処置した細胞は、アポトーシス特徴の任意の兆候を示さなかったが、これは、ERPC細胞におけるアポトーシスを誘導するDCVの効果が非常に選択的であることを示唆している。
DCVは、エンザルタミド耐性前立腺がん細胞を再び感受性にし、エンザルタミドとの相乗作用によって前立腺がん細胞を死滅させる。
本開示は、DCVがTrib2タンパク質レベルを効果的に低下させ、ERPC細胞の生存性を低下させたことを実証する(データは図示せず)。
ここで、図18~19は、エンザルタミド耐性前立腺がん細胞を再び感受性にしたことを実証する結果を示す。前立腺がん細胞を完全長ヒト遺伝子でトランスフェクトして、Trib2を過剰発現させた(図18)。Trib2-OE細胞は、臨床的に関連する用量のエンザルタミドに完全に耐性がある。興味深いことに、DCV(6μM)でのTrib2の阻害は、耐性細胞を再びエンザルタミドに再び感受性にする。Trib2 siRNAは、陽性対照として並列実験で使用した。更に、DCV及びエンザルタミドは、MTS/PESアッセイによって測定した際に、前立腺がん細胞の細胞生存の阻害に関して相乗効果を実証した(図3D、19)。
DCVは、ヌードマウスにおけるERPC腫瘍増殖を阻害する。
パイロット異種移植実験では、30mg/kg/日のDCV(DCVのMTD:>200mg/kg/日)は、動物の健康に対する明らかな毒性なしに、ヌードマウスにおけるERPC腫瘍成長を阻害する(図20;図4A、4B、4Cも参照されたい)。これは、DCVが優れたインビボ効果を有する好適な化合物であることを実験的に実証し、本開示の薬物スクリーニング及び試験が、致死性のERPC細胞を効果的に排除して、致死性のERPCの治療のための新しい基盤を確立するために、魅力的なTrib2標的化剤を開発することができるという概念に強力な作用機序的支持を提供する顕著な発見である。治療タイムラインの概要を図20に示す。簡潔に述べると、BALB/cヌードマウスにおけるERPC腫瘍成長のDCV阻害を評価するために、BALB/cヌードマウスに、高腫瘍形成性E006AA(E006AA-hT)細胞(1匹当たり106個)を皮下に注入して腫瘍を発達させ、次いで、30mg/kg/日のDCV又は溶媒で4週間にわたって経口的に処置した(n=3)。腫瘍サイズ及びマウスの体重を週に1回測定した。異種移植片研究の結果を、上記の図4A~4C及び実施例4に示す。
図4Cに示すように、DCVの強力な効果がTrib2及び腫瘍成長上で観察され、4週間にわたるDCV処置により、明らかな毒性の兆候(例えば、動物体重の著しい減少、又は運動、食物摂取、皮膚の色、下痢、尿の色、全身の内臓の変化)は観察されなかった。
考察
第二世代アンドロゲン受容体遮断薬の導入は、前立腺がん療法のために過去10年間に起こった最も顕著な成果の1つである。しかしながら、その初期の有益な効果にもかかわらず、アンドロゲン耐性疾患は必ず発生し、それは致死的である。耐性表現型の分子的根拠を理解するために、本開示は臨床的に関連する細胞及び組織を包括的に分析した:これは、前立腺がんがアンドロゲン依存的状態からアンドロゲン非依存的状態への移行中に、Trib2偽キナーゼの上方制御が重大かつ重要な遺伝的事象であることを明らかにした。本開示は、Trib2がERPC細胞において強く発現し、shRNAによるTrib2の阻害が、Trib2を下方制御し、カスパーゼ媒介性アポトーシスを介してERPC細胞を死滅させることを示した。本開示はまた、高レベルのTrib2を発現するERPC細胞とは対照的に、正常な非がん細胞(例えば、アストロサイト、ヒト***線維芽細胞)におけるTrib2の発現が検出不可能であり、正常な非がん細胞がTrib2阻害の影響を受けないことを見出した。これらの新規の知見は、Trib2がん遺伝子の特有の調節及びTrib2媒介性シグナル伝達によるERPC細胞の生存性を文書化し、Trib2を標的とすることが、アポトーシスの誘導を介してERPC細胞を効果的かつ選択的に排除するための優れたアプローチであり得、これはERPCを克服し、前立腺がんの再発を防止するための新しい基盤を確立するのに役立ち得ることが示唆された。
Trib2は、アンドロゲン耐性前立腺がんの新しいバイオマーカー及び分子標的として出現したが、Trib2活性を阻害する標的化可能な薬剤は市販されていない。本明細書で実施された盲検スクリーニングでは、ダクラタスビルは、24時間で70%を超える阻害を示す、Trib2-ルシフェラーゼ活性の強力な阻害剤であることが見出された(図5、表3)。対応スクリーニングでは、ダクラタスビルがTrib2の非存在下でルシフェラーゼ活性を阻害しないことが見出されたが、これは、ダクラタスビルが、ルシフェラーゼ自体ではなく、Trib2と相互作用することを示唆している。
興味深いことに、ダクラタスビルは、Trib2-ルシフェラーゼ活性を阻害するが、レジパスビル、ドルテグラビル、ダルナビル、及びペンシクロビル等のいくつかの他の抗ウイルス化合物は、有効ではなく、これは、Trib2を阻害するためには、ダクラタスビル分子の重要な構造成分が必要であることを示唆している。ダクラタスビルは、C型肝炎ウイルスに対する直接作用型抗ウイルス剤(DAA)である。したがって、化合物のライブラリをスクリーニングして直接結合を介するTrib2の阻害剤としてのダクラタスビルを見出すための、本開示のルシフェラーゼタグ付き融合タンパク質ベースのアッセイ及び熱シフトアッセイの設計は、画期的な観察である。
結果は、抗ウイルス化合物であるDCVがTrib2を阻害し、ERPC細胞を死滅させることを初めて示した。Trib2は、現在難治性であるERPCに対する新たな療法を開発するための非常に有望な分子標的であると考えられる。Trib2を阻害してERPC細胞を死滅させるのに有効な化学的阻害剤の欠如は、主にERPCの効果的な療法の開発を遅らせている。ダクラタスビル(商品名ダクリンザ)は、FDA承認の抗C型肝炎ウイルス薬である。152名の患者(NCT02319031)において12週間にわたり1日1回の経口投与による、60mgのダクラタスビル(66mgのダクラタスビル二塩酸塩に相当)を400mgのソホスブビル(ソバルディ)と一緒に使用した、ALLY-3無作為化、多施設、非盲検、実薬対照臨床試験に基づいて、2015年7月にダクラタスビルをC型肝炎ウイルス(HCV)感染に使用することが承認された。ダクラタスビルは、主に、ウイルスRNA複製複合体の重要な成分であるHCV非構造タンパク質5A(NS5A)の阻害剤であることを意図していた。NS5Aは、亜鉛結合、プロリン豊富なリンタンパク質であり、HCVの複製に重要な役割を果たす。ダクラタスビルは、水性溶媒に自由に可溶性であり、経口送達した場合、その摂取率は約67%である。ダクラタスビルは、約15時間の半減期を有する哺乳動物宿主において非常に良好な忍容性を有し、インビボでタンパク質結合(約99%)としてほとんど留まる。ダクラタスビル(ビフェニルカルバメート)の代謝は、主に肝臓を介して行われ、p糖タンパク質(PGP)の阻害薬である。したがって、ダクラタスビルは優れた薬理学的特性を有するが、哺乳動物細胞に対するダクラタスビルの直接的な効果は十分に研究されておらず、以前にがん細胞に対するその効果は試験されたことがない。
細胞培養システムにおいて、DCVが、24時間以内に、Trib2のタンパク質レベルを実質的に低下させることが決定された。これは、Trib2タンパク質と、ユビキチン化状態を変化させるDCVとの直接的な相互作用、続いてプロテアソーム活性化による分解に起因すると推測される。Trib2タンパク質の増強された分解は、その下流標的、例えば、p-Akt、Bcl-xL、及び生存の減少に対応する(図2A、2B、3A、3B、6及び7)。また、予想の通り、DCV処置は、おそらくAktの活性化を介してTrib2によって下方制御されるTrib2の阻害を介して、腫瘍抑制因子FOXO3-αのタンパク質レベルを増加させた。
治療耐性のがん細胞は、周囲の組織に侵入し、遠位部位に移動し、再コロニー化して、最終的には転移性結節を生成する卓越した能力を発達させる。ここで、DCVは、致死量未満でLNCaP-ENR細胞及びPCA-2B-ENR細胞の両方によるインビトロマトリゲル侵入(データは示していない)及び軟寒天コロニー形成(図3B)を強力に阻害することが見出された。DCVによるERPC細胞の侵襲性並びに軟寒天コロニー形成能の劇的な低減のインビトロでの所見は、ERPC細胞の侵襲性及び転移性腫瘍形成能が、DCV又は同様の他の薬剤によって効果的に制御され得ることを示唆している。本開示はまた、DCVによる処置によって、エンザルタミド耐性前立腺がん細胞の生存が低下すること観察した。DCVは、明確な用量依存的様式で、エンザルタミド耐性LNCaP-ENR及びPCA-2B-ENR前立腺がん細胞の形態を大幅に変化させ(データは図示せず)、かつ、その生存性を低下させる(図3D、18、及び18)。同様に、ERPC細胞をTrib2 shRNAで処置したときにも、形態学的変化及び生存性の低下が見出され、ERPC細胞の生存性におけるTrib2の重要な役割が確認された(図3B)。本開示は、侵襲的、エンザルタミド耐性、致死性の前立腺がんに対する効果的な新規の治療戦略を提供する。
熱シフトアッセイは、DCVがTrib2タンパク質と直接相互作用し、Trib2タンパク質を不安定化させたことを示し、これは、DMSOのみと比較したときに、純粋なタンパク質を変性させるのに必要な温度によって反映される(Tが41℃から37℃に低下した(図8)。TRIB2の活性部位におけるDCVの3次配向(図9)極性接触は、リガンドとタンパク質との間で確立された。TRIB2のArg-132、Ser-133、Glu-194、Glu-197、及びAsp-198残基は、DCVと水素結合を形成した(図10)。水素相互作用、疎水性相互作用、及びファンデルワールス相互作用に関与するTRIB2の結合ポケット残基が強調されている。本開示は、DCVが、細胞周期進行をG0/G1期に停止させることによって細胞周期進行を縦方向にチェックすることを見出した(図14~16)。DCV誘導前立腺がん細胞の形態的変化は、アポトーシスの誘導を想起させた。したがって、細胞死の作用機序が特徴付けられ、DCV処置から数時間以内のホスファチジルセリンの外在化に対応する、増強されたアネキシンV結合が見出された(図15及び16)。更に、DCVがクロマチンDNAのヌクレオソーム断片への分解を引き起こすことが観察されたが、これは、ERPC細胞がDCV処置によってアポトーシスを受けていることを示唆している(図17)。ERPC細胞は、前立腺がん患者の健康を致死性表現型へと悪化させる急速な成長及び転移によって特徴付けられる。したがって、ERPC細胞におけるアポトーシス死の誘導は、がん細胞を死滅させることによって腫瘍負荷を減量させるために有用であり得る有意な事象である。
抗アンドロゲン療法は、寿命を延ばす診療所で一般的に使用されるが、去勢耐性疾患は必ず発症する。CRPC患者の90%以上が骨転移を起こし、耐え難い痛み及び苦痛を生じる。FDAが承認したアンドロゲン受容体阻害剤であるエンザルタミドは、CRPCにおけるAR軸の標的化の成功が強調されるCRPC患者の生存及び生活の質を改善するが、これらの療法は、耐性疾患の発症が不可避であり、かつ、耐性細胞が利用可能な他の臨床レジメンによって効果的に死滅されないため、治癒的ではない。本開示は、DCVがERPC細胞をエンザルタミドに再び感受性にすることを明らかにし、これは、DCVが抵抗の作用機序における主な障害を除去することを示唆している(図18及び19)。この所見は、ERPCの新しい療法の開発に大きな影響を及ぼし得る。また、本開示は、DCVがERPC腫瘍成長を低下させるためにインビボで有効であることを見出した(図4A~4C及び20)。ドセタキセル失敗後に処方されるエンザルタミドは寿命を延ばすが、エンザルタミド耐性が発達すると効果的な治療選択肢を維持しないため、ERPCは興味深い。現在、前立腺がんで命を落としている男性のほとんどは、ERPCの発症によるものであることは言うまでもない。したがって、本開示の知見は、DCVが既にFDAによって承認されており、かつヒト使用のための十分に忍容性のある薬物であるため、臨床開発に向けてDCVを更に調べるための更なる支持を提供する。
実施例6.肺がんに対するDCVの活性
Tribbles2は、黒色腫、肺がん、前立腺がん、骨髄腫、腎臓がん、卵巣がん、膵臓がん等の様々ながん種において過剰発現される。したがって、ダクラタスビル(DCV)を、Tribbles2が過剰発現される(肺、腎臓、膵臓)様々ながん細胞で試験した。本明細書に提示されるデータに基づいて、理論に拘束されることを望まないが、DCVは、前立腺がんに加えて、いくつかの他の種類のがんの療法のための良好な薬物として機能し得る。
以下のように肺がん研究を行った:腫瘍切片において1:100(細胞シグナル伝達技術)で抗Trib2抗体を使用して、免疫組織化学(IHC)により、Trib2を検出した。評価された腫瘍は、(1)腺がん、(2)乳頭がん、(3)腺がん、扁平上皮がん、及び(4)腺がんであり、全ての腫瘍は、ヒト患者肺腫瘍試料であった。(図21)。更に、ATCCから得た細胞培養株における細胞株のTrib2タンパク質レベルをウエスタンブロットによって検出した(図22)。図23に示されるように、DCVは、72時間の細胞生存アッセイ、例えば、以下の肺がん細胞株において、様々な肺がん細胞を効果的に死滅させる:NCI-H226及びSK-MES-1=扁平上皮がん、NCI-H2228=非小細胞肺がん、並びにNCI-H596=腺がん。
実施例7.前立腺がん及び転移性前立腺がんの治療方法
本開示は、転移性エンザルタミド耐性前立腺がん(ERPC)を有する患者におけるダクラタスビル(DCV)の第I相用量漸増試験の予想例を提供する。治験の主な目的は、前立腺がんにおけるダクラタスビルの推奨第II相用量を決定することである。ここでは、RP2Dを決定する際に、安全性及び薬物動態(PK)データの両方を考慮され得る。RP2Dは、定常状態PKデータが、前臨床前立腺がんモデリングにおける有効濃度である4μMの濃度に達する場合に確立され得る(例えば、図2B、3A、3B、4B、及び4Cを参照されたい)。用量漸増は、目標血漿濃度に達するまで、又は最大耐用量が得られるまで継続し得る。
用量漸増は、C型肝炎患者の現在のFDA承認用量であるダクラタスビルを毎日60mg経口投与で開始し得る。試験される用量は、毎日60mg経口、1日2回60mg経口、1日3回60mg経口(「po」)、及び必要に応じて1日2回最大120mgであり得る。60mgのDCVの1回投与後の血漿中ピーク濃度の中央値が約2μg/ml(2.5μM)であるため、4μMの標的血漿中濃度を達成するために必要なのは2倍の漸増である。DCVは、1日100mg poの用量で良好な忍容性を有することが以前に報告されている。DCVは、28日周期で投与され得る。
修正された3+3用量漸増設計を実施してもよい(図24)。連続した参加者のコホート(3人の参加者/コホート)はそれぞれ、固定用量のDCVで開始され得る。用量制限毒性(DLT)が33%超の参加者で観察されるか、又は所定の血漿濃度に達するまで、用量漸増は継続され得る。ある用量レベルでDLTが観察されない場合、新しいコホートが次の計画用量レベルに登録され得る。DLTがコホートのうちの1人の参加者で観察される場合、別の3人の参加者は、同じ用量レベルで治療され得る。最大耐用量(MTD)は、DLTが参加者の33%超で観察される用量を下回る1用量レベルとして定義される。すなわち、3人の参加者のうちの少なくとも2人でDLTが観察された場合、MTDは、前のコホートに投与された用量であると決定される。同様に、6人の参加者のコホートにおいて、6人の参加者のうちの3人が、MTDを決定するためにDLTを経験する必要があり得る。任意の用量レベルで、血漿濃度が満たされる場合、用量漸増を停止する。最適な第II相用量は、MTDを超えることなく、所定の血漿濃度が達成される用量レベルである。
DCVの血漿中ピーク濃度は、投与後1~2時間以内に到達し、DCVの平均末端半減期は12~15時間である。3日間の投与後、定常状態レベルに達する。したがって、PK試料を、C1D14上のDCV投与の1.5時間後に取り出して、定常状態のピークDCV血漿濃度を評価し得る。血漿DCV濃度は、Waters Acquity UPLC BEH C18逆相(2.1×100mm、1.7μm)カラムを使用して決定され得る。試料の溶出は、9mMのオルトリン酸水素二カリウム緩衝液(o-リン酸で調整したpH4±0.1):アセトニトリル(60:40v/v)からなる移動相を使用して達成し得る。調製した移動相を0.45μm膜フィルターで濾過し、超音波浴中で30分間脱気してから使用し得る。注入速度は0.1mL/分であり、注入量は10μLであり得る。カラム温度は40℃に維持され得る。静止相の平衡、コンディショニング、及び事前洗浄は、30~45分間行われ得る。
有害事象は、臨床試験を通じてモニタリングすることができる。患者は、各サイクルの1日目に、病歴、身体、及び血液検査を受けることができる。血液検査を使用して、血液学的、腎臓、及び肝臓の機能を評価し得る。毒性は、有害事象v5.0の一般用語基準で等級付けされ得る。独立した医療観察者が治験データをレビューするように任命され、過剰な毒性が観察された場合は治験の中止を勧告する。CT及び骨スキャンは、3サイクル毎に実施され得る。
DCVの予備的な有効性エビデンスは、6ヶ月時点のPSA応答率(少なくとも50%のPSA低下)、疾患制御率(DCR)、及び全生存期間(OS)に基づいて導出され得る。以前のデータは、Trib2がエンザルタミド耐性前立腺がんにおいて過剰発現されることを示唆している。探索的分析では、PSA応答率は、治療前の生検試料を使用して評価された陽性及び陰性のTrib2発現患者において別々に記載され得る。統計的仮説検定は任意選択による。
試験対象集団:プロトコルは、エンザルタミド治療後に進行した、組織学的に確認された転移性前立腺がんを有する男性を登録することができる。事前のエンザルタミド治療及び事前のドセタキセル療法が必要である。患者は、更なる標準治療を使い果たすか又は拒否すべきである。DCVは、B型肝炎の再活性化、徐脈及び低血糖の警告を伴うため、これらの状態は除外される。
ダクラタスビルは、CYP3Aの基質であり、薬物間相互作用の可能性を有する。その他の適格性基準には以下が含まれる:
-18歳以上、KPS>70%
-過去14日以内に投与された治験薬はない
-活動性脳転移、精神疾患、過去6ヶ月間にTIA若しくはCVA、活動性感染(HIVを含む)、活動性続発性悪性腫瘍、又は他の重大な制御不能の併存疾患がない。
-過去1ヶ月間に管理されていない糖尿病又は低血糖のエピソードを有する任意の患者は、不適格である
-クラスIII又はIVのCHF、不安定狭心症、アミオダロン療法を必要とする、又は心臓ブロック若しくは徐脈性不整脈の病歴がある場合、心疾患の患者は不適格である
-強力なCYP3A4誘導薬及び阻害薬による治療を必要とする患者は不適格である。
-現在又は以前のHBV又はHCV感染の証拠がない
-ANC>100K、血小板>100K、総ビリルビン<1.5×ULN、AST/ALT<3.0 ×ULN、CrCl>50ml/分、ヘモグロビン>9gm/dL、血清アルブミン>2.8gm/dLによって証明される、十分な臓器機能が必要である
試料サイズの妥当性:上記の方法論に基づいて、RP2Dを決定するために必要な最小サンプルサイズは、3人の患者である。DLTは開始用量では予想されず、このレベルで治療された3人の患者で標的血漿濃度が達成された場合、1日60mg poがRP2Dであり得る。低用量レベルのいずれかで標的血漿濃度が満たされない場合、及びDLTが各用量レベルでコホート拡大を必要とする場合、必要な最大サンプルサイズは、4つの用量レベルの各々で処置された6人の患者、又は合計24人の患者となる。
実現可能性:例えば、ヘンリーフォード病院、ヘンリーフォードヘルスシステム、デトロイトキャンパス(2799 E GrandBlvd,Detroit,MI 48202)等の施設での、転移性去勢耐性前立腺がん(mCRPC)臨床試験における過去の発生は、1ヶ月に約1~2回である。患者は、追加の病院、地域保健センター、及び/又はサテライト(例えば、Henry Ford Cancer Institute(HFCI)内のサテライト及び地域センター、例えば、Allegiance、Macomb、Wyandotte)から積極的に募集されてもよく、適格な患者集団を約2倍にする機会を提供する。この第I相試験の標的患者集団は、標準的な選択肢を使い果たしたmCRPC患者であるため、全てのHFCI部位について参加意思のある患者の増加したプールが予想される。そして、1ヶ月に約2~3人の患者の合計の発生を伴って、12ヶ月未満で発生を完了する実現可能性が高い。

Claims (18)

  1. がんの予防又は治療を必要とする対象においてがんを予防又は治療する方法であって、治療有効量のダクラタスビル(DCV)をがんに罹患している対象に投与することを含む、方法。
  2. 前記がんが、前立腺がん又は肺がんである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記対象が、治療ナイーブであるか、又は抗がん剤で以前に治療されており、前記抗がん剤に対して難治性である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記以前の抗がん剤が、アンドロゲン除去療法(ADT)である、請求項2に記載の方法。
  5. 前記前立腺がんが、ADTに耐性があり、任意選択で、前記対象が、以前にADTで治療されており、前記がんが、ADTに対する耐性を発達させている、請求項2に記載の方法。
  6. 前記ADTが、薬学的ADTであり、任意選択で、前記薬学的ADTが、抗アンドロゲン剤による治療である、請求項2又は3に記載の方法。
  7. 前記抗アンドロゲン薬が、エンザルタミドである、請求項4に記載の方法。
  8. 前記がんが、エンザルタミド耐性前立腺がん(ERPC)である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記がんが、肺がんである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記対象のがん由来のがん細胞が、対応する非がん細胞におけるTribblesホモログ2(TRIB2)のレベルと比較して、より高いレベルのTRIB2を発現する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  11. (i)前記がん細胞が、前記対象の前記対応する非がん細胞におけるTRIB2のレベルと比較して、より高いレベルのTRIB2を発現する、かつ/又は
    (ii)前記がん細胞が、がんに罹患していない対象に由来する前記対応する非がん細胞におけるTRIB2のレベルと比較して、より高いレベルのTRIB2を発現する、請求項11に記載の方法。
  12. 前記がん細胞及び前記非がん細胞が、同じ種類の組織に由来し、任意選択で、前記がん細胞及び前記非がん細胞が、前立腺組織に由来する、請求項11又は12に記載の方法。
  13. 前記DCVが、併用療法の一部として投与され、任意選択で、前記併用療法が、DCV及びエンザルタミドを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記治療が、
    (i)前記対象における腫瘍体積又は腫瘍量を減少させること、
    (ii)対象における腫瘍成長を阻害すること、及び/又は
    (iii)前記対象の腫瘍におけるTRIB2タンパク質のレベルを低下させることを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
  15. がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、治療有効量のダクラタスビル(DCV)を前記対象に投与することを含み、前記対象におけるがん細胞が、対応する非がん細胞によって発現されるTribblesホモログ2(TRIB2)のレベルと比較して、より高いレベルのTRIB2を発現する、方法。
  16. (i)前記対応する非がん細胞が、前記対象に由来する、かつ/又は
    (ii)前記対応する非がん細胞が、がんに罹患していない対象に由来する、請求項16に記載の方法。
  17. 前記がん細胞及び前記対応する非がん細胞が、前立腺組織に由来し、任意選択で、前記がん細胞及び前記対応する非がん細胞が、前立腺の細胞である、請求項16又は17に記載の方法。
  18. 前記がん細胞及び前記対応する非がん細胞が、肺組織に由来し、前記がん細胞が、非小細胞肺がん(NSCLC)、小細胞肺がん、腺がん、扁平上皮がん、細気管支肺胞上皮がん、及び大細胞がんであるか、又はそれらに由来する、請求項16又は17に記載の方法。
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