JP2023520506A - Sars-cov-2に対する多層rnaナノ粒子ワクチン - Google Patents

Sars-cov-2に対する多層rnaナノ粒子ワクチン Download PDF

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Abstract

本開示は、正に帯電した表面と、(i)コア及び(ii)少なくとも2つの核酸層を含む内部と、を含むナノ粒子であって、各核酸層がカチオン性脂質二重層間に配置され、ナノ粒子が、SARS-CoV-2タンパク質をコードするRNA分子を含む、ナノ粒子を提供する。そのようなナノ粒子を作製する方法は、本明細書中で更に提供される。更に、ここで開示されるナノ粒子を含む、関連細胞、細胞の集団、医薬組成物が提供される。対象における腫瘍に対する免疫応答を増加させる方法、対象の腫瘍内微小環境、リンパ節、及び/又は細網内皮器官にRNA分子を送達する方法、並びに疾患を有する対象を治療する方法が、更に提供される。【選択図】図1A

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年4月1日に出願された米国仮特許出願第63/003,766号、2020年5月11日に出願された米国仮特許出願第63/022,999号、及び2020年12月21日に出願された米国仮特許出願第63/128,600号に対する優先権の利益を主張し、それらの開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
(電子的に提出された資料の参照による組込み)
本明細書と同時に提出され、2021年3月31日に作成された、以下、「55544_Seqlisting.txt」という名前の251,6660バイトのASCII(テキスト)ファイルとして特定されるコンピューターで読み取り可能なヌクレオチド/アミノ酸配列表は、その全体が参照により組み込まれる。
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)は、エンベロープウイルスのコロナウイルス科に属する新しいウイルスである。SARS-CoV-2は、コウモリコロナウイルスと遺伝的類似性を持つポジティブセンスの一本鎖RNAウイルスであり、2020年1月に中国の武漢の患者から初めて単離された(Hui et al.,International J Infectious Diseases 91:264-266(2020))。現在までに、750,000人以上がSARS-CoV-2に感染し、35,000人以上がSARS-CoV-2感染によって引き起こされる疾患であるコロナウイルス疾患2018(COVID-19)で死亡している。SARS CoV-2関連の死亡者数を減らすには、SARS-CoV-2に対する免疫を安全に誘導するワクチンが必要である。
ワクチンとしてmRNAを含む脂質ナノ粒子が研究されてきた。例えば、Reichmuth et al.,Ther Deliv 7(5):319-334(2016)を参照されたい。RNAワクチンには、従来のモダリティに比べていくつかの利点がある。RNAは、自然免疫系及び獲得免疫系の両方に強力な影響を及ぼす。RNAは、強力なTLR依存性自然免疫を誘導する受容体3、7、及び8についてのトル様受容体(TLR)アゴニストとして機能する。RNAはまた、細胞内病原体認識受容体(すなわち、黒色腫分化抗原5(MDA-5)及びレチノイン酸誘導性遺伝子I(RIG-I))を刺激し、ヘルパーCD4及び細胞傷害性CD8 T細胞応答の両方の活性化で最高点に達することができる。細胞膜及び核膜の両方を通過する必要があることによって苦境に陥るDNAワクチンとは異なり、RNAは、宿主ゲノムに組み込まれ得ないため、細胞質へのアクセスのみを必要とし、顕著な安全性の優位性を有する。特定のHLAハプロタイプ(例えば、HLA-A2)のためにのみ開発された多くのペプチドワクチンと異なり、RNAは、MHCクラス制限をバイパスして、一般の人々に活用され得る。
安全かつ効果的にSARS-CoV-2に対する免疫を誘導するために、材料及び方法が必要である。
ナノ粒子は、正に帯電した表面と、(i)コア及び(ii)少なくとも2つの核酸層を含む内部と、を含み、各核酸層がカチオン性脂質二重層の間に配置されており、樹状細胞(DC)の末梢及び腫瘍内活性化を媒介する。これらの多層RNA NP(ML RNA NP)もアニオン性LPX及びRNA LPXと比較して、多層腫瘍特異的RNA-NPの優れた有効性を実証し、DCを全身的に活性化し、抗原特異的免疫を誘導し、インビボで抗腫瘍効果を引き出す能力を実証した。疾患を有する動物(例えば、担癌マウス)への多層RNA NPの投与も、これらの動物の生存率の増加を導いた。特定の理論に拘束されるものではないが、本開示の多層RNAナノ粒子は、安全かつ効果的にSARS-CoV-2に対する免疫を誘導する。
本開示は、正に帯電した表面と、(i)コア及び(ii)少なくとも2つの核酸層を含む内部と、を含むナノ粒子であって、各核酸層がカチオン性脂質二重層間に配置され、ナノ粒子が、SARS-CoV-2タンパク質、任意選択でSARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質をコードするRNA分子を含む、ナノ粒子を提供する。例示的な実施形態では、ナノ粒子は、少なくとも3つの核酸層を含み、それらの各々は、カチオン性脂質二重層間に配置される。例示的な態様では、ナノ粒子は、少なくとも4つ又は5つ以上の核酸層を含み、それらの各々は、カチオン性脂質二重層間に配置される。様々な態様において、ナノ粒子の最外層は、カチオン性脂質二重層を含む。様々な例において、表面は、カチオン性脂質二重層のカチオン性脂質の複数の親水性部分を含む。例示的な態様では、コアは、カチオン性脂質二重層を含む。任意選択で、コアは、約0.5重量%未満の核酸を含む。ナノ粒子の直径は、様々な態様において、直径で約50nm~約250nmであり、任意選択で、直径で約70nm~約200nmである。例示的な例では、ナノ粒子は、約+40mV~約+60mV、任意選択で、約+45mV~約+55mVのゼータ電位によって特徴付けられる。様々な例におけるナノ粒子のゼータ電位は、約50mVである。いくつかの態様では、核酸分子は、約1対約5~約1対約25、例えば約1対約5~約1対約20、任意選択で、約1対約15、約1対約10、又は約1対約7.5の核酸分子:カチオン性脂質比で存在する。様々な態様において、核酸分子は、RNA分子であり、任意選択で、メッセンジャーRNA(mRNA)である。
本明細書に記載の技術の癌関連態様では、mRNAは、インビトロ転写されたmRNAであり、インビトロ転写鋳型は、試料から抽出されたRNAから作製されたcDNAである。
本開示はまた、正に帯電した表面と、(i)コア及び(ii)少なくとも2つの核酸層を含む内部と、を含むナノ粒子を作製する方法であって、ここで、各核酸層がカチオン性脂質二重層の間に配置され、ナノ粒子がSARS-CoV-2タンパク質、任意選択でSARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質をコードするRNA分子を含み、当該方法は、(A)核酸分子及びリポソームを、1対約5~約1対約25、例えば約1対約5~約1対約20、任意選択で、約1対約15、約1対約10、又は約1対約7.5のRNA:リポソーム比で混合して、RNA被覆リポソームを得ることであって、リポソームが、カチオン性脂質及び有機溶媒を含む脂質混合物を、有機溶媒を真空下で蒸発させることにより乾燥させることを含む、リポソームを作製するプロセスで作製される、RNA被覆リポソームを得ることと、(B)RNA被覆リポソームを、余剰量のリポソームと混合することと、を含む、方法を提供する。例示的な態様では、脂質混合物は、カチオン性脂質及び有機溶媒を、1mLの有機溶媒当たり約40mgのカチオン性脂質~1mLの有機溶媒当たり約60mgのカチオン性脂質の比率、任意選択で、有機溶媒1mL当たり約50mgのカチオン性脂質の比率で含む。様々な例において、リポソームを作製するプロセスは、脂質混合物を再水和溶液で再水和して再水和脂質混合物を形成し、次に再水和脂質混合物を攪拌、休止、及びサイジングすることを更に含む。任意選択で、再水和脂質混合物のサイジングは、再水和脂質混合物を超音波処理、押し出し、及び/又は濾過することを含む。例示的な態様では、RNA分子は、SARS-CoV-2タンパク質をコードするmRNAであり、任意選択で、SARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするmRNAである。
本明細書では、ここで開示されるナノ粒子の作製方法によって作製されたナノ粒子が更に提供される。本明細書では、本開示のナノ粒子を含む細胞が更に提供される。任意選択で、細胞は、抗原提示細胞(APC)、例えば樹状細胞(DC)である。本開示はまた、細胞の集団を提供し、ここで、集団の少なくとも50%は、本開示による細胞である。本開示のナノ粒子を含むそのような細胞、又はそのような細胞の集団を含む医薬組成物が、本明細書で提供される。細胞又は細胞集団は、様々な態様において、対象への投与に適している。
本開示は、本開示による複数のナノ粒子、及び薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤を含む医薬組成物を提供する。様々な態様において、組成物は、1mL当たり約1010ナノ粒子~1mL当たり約1015ナノ粒子、任意選択で、1mL当たり約1012ナノ粒子±10%を含む。
対象におけるSARS-CoV-2ウイルスに対する免疫応答を誘発又は増加させる方法が、本開示によって提供される。例示的な実施形態では、方法は、本開示の医薬組成物を対象に投与することを含む。例示的な態様では、核酸分子はmRNAである。任意選択で、組成物は、対象に全身投与される。例えば、組成物は、静脈内投与される。様々な態様において、医薬組成物は、対象の樹状細胞(DC)を活性化するのに有効な量で投与される。様々な例において、免疫応答は、T細胞媒介性免疫応答である。任意選択で、T細胞媒介性免疫応答は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)による活性を含む。
本開示はまた、対象の肺にRNA分子を送達する方法を提供する。本開示はまた、RNA分子をリンパ節及び/又は細網内系器官(例えば、脾臓又は肝臓)に送達する方法を提供する。例示的な実施形態では、この方法は、ここで開示される医薬組成物を対象に投与することを含む。
疾患又は障害を有する対象を治療する方法が、本明細書中で更に提供される。例示的な実施形態では、方法は、対象の疾患又は障害を治療するのに有効な量で、本開示の医薬組成物を対象に投与することを含む。様々な例で、対象はCOVID-19に感染しているか、SARS-CoV-2に感染するリスクがある。
ここで開示される医薬組成物及び方法の追加の実施形態及び態様を、以下に提供する。
図1Aは、脂質二重層、リポソーム、及び多層(ML)RNA NP(囲み)につながる一般的なスキームの一連の図解である。 図1Bは、未複合体化NP(左)及びML RNA NP(右)のCEM画像のペアである。 図2Aは、カチオン性RNAリポプレックス(LPX)を導く一般的なスキームの図解である。 図2Bは、アニオン性RNAリポプレックスを導く一般的なスキームの図解である。 図2Cは、CEM画像である。図2Cは、未複合体化NPのCEM画像である。 図2Dは、CEM画像である。図2Dは、RNA LPXのCEM画像である。 図2Eは、CEM画像である。図2Eは、ML RNA NPのCEM画像である。 図2Fは、ML RNA NP(ML RNA-NP)、RNA LPX、アニオン性LPX、又は未処置のマウスの脾臓に存在するCD11c+MHCクラスII+脾細胞の%CD86+のグラフである。 図2Gは、ML RNA NP(ML RNA-NP)、RNA LPX、アニオン性LPX、又は未処置のマウスの脾臓に存在するCD8+脾細胞の%CD44+CD62L+のグラフである。 図2Hは、ML RNA NP(ML RNA-NP)、RNA LPX、アニオン性LPX、又は未処置のマウスの脾臓に存在するCD4+脾細胞の%CD44+CD62Lのグラフである。 図2Iは、ML RNA NP(ML RNA-NP)、RNA LPX、アニオン性LPXで処置されたマウス、又は未処置のマウスの生存率のグラフである。 図2Jは、ML RNA NP(ML RNA-NP)、RNA LPX、アニオン性LPXで処置したマウスで産生された、又は未処置のマウスのIFN-αの量のグラフである。 図3Aは、ML RNA NPで処置したマウス又は未処置のマウスの肺の写真のペアである。 図3Bは、腫瘍特異的RNAをロードしたML RNA NP又は非特異的RNA(GFP RNA)を含むML RNA NP又は未処置のマウスに存在する%セントラルメモリーT細胞(CD3+細胞のCD62L+CD44+)のグラフである。 図3Cは、腫瘍特異的RNAをロードしたML RNA NP又は非特異的RNA(GFP RNA)を含むML RNA NPで処理したマウス又は未処置のマウスの生存率のグラフである。 図3Dは、腫瘍特異的RNAをロードしたML RNA NP又は非特異的RNA(GFP RNA)を含むML RNA NPで処理したマウス又は未処置のマウスの生存率のグラフである。このモデルは、図3Cのデータを取得するために使用されたモデルとは異なる。 図4Aは、ML RNA NPの投与後の時間の関数としてプロットされた、CD3+細胞のCD8又はCD44及びCD8の発現%のグラフである。 図4Bは、ML RNA NPの投与後の時間の関数としてプロットされた、CD11c+細胞のPDL1、MHC II、CD86、又はCD80の発現%のグラフである。 図4Cは、ML RNA NPの投与後の時間の関数としてプロットされた、CD3+細胞のCD44及びCD8の発現%のグラフである。 図4Dは、生存期間の中央値(点線)と比較したML RNA NPで処置されたイヌの生存率%のグラフである。 図5は、ML RNA NPのCEM画像であり、矢印は複数の層を有する例を示している。 図6は、腫瘍mRNAをロードしたNPを例として使用して、パーソナライズされたML RNA NPの生成を説明するイラストである。わずか100~500個の生検された脳腫瘍細胞から、全RNAが抽出され、cDNAライブラリーが生成されて、このライブラリーから、大量のmRNA(パーソナライズされた腫瘍特異的トランスクリプトームを表す)を増幅できる。次に、負に帯電したmRNAは、正に帯電した脂質NPにカプセル化される。NPは静電相互作用を介してRNAを封入し、細網内皮器官(すなわち、肝脾臓及びリンパ節)の樹状細胞(DC)による取り込みのために静脈内投与(iv)される。次に、CD4及びCD8+T細胞を活性化するMHCクラスI及びII分子にペプチドを提示すために、RNAをDCの細胞内機構によって翻訳及び処理する。 図7Aは、インビボ試験に関する図である。長期生存者治療のタイムラインである。1回目及び2回目の腫瘍接種が示されている。 図7Bは、インビボ試験に関する図である。マウスの3つの群の各々についての2回目の腫瘍接種後の動物の生存率パーセントのグラフである。非特異的RNA(対象の腫瘍に特異的ではないRNA)を含むML RNA NPでの2回目の腫瘍接種の前に処置された2つの群、緑色蛍光タンパク質(GFP)若しくはpp65)及び2回目の腫瘍接種前に腫瘍特異的RNAを含むML RNA NPで処置した1つの群又は2回目の腫瘍接種前に未処置の動物。対照群の生存率は「未処置」として示される。 図8は、投与時のマウスにおけるアニオン性LPXの局在を図示する一連の画像である。 様々なRNAロード脂質NP製剤の図である。脂質-NP又はリポソームは、インビボ核酸送達を保護するために開発された。図9Aは、RNAリポプレックスは、mRNAが脂質コアに保存され、正味の正電荷が外表面にある状態で最初に開発されたことを示す。 様々なRNAロード脂質NP製剤の図である。脂質-NP又はリポソームは、インビボ核酸送達を保護するために開発された。図9Bは、二層リポソームの表面につながれた過剰なRNAを含むアニオン性リポプレックスである。 様々なRNAロード脂質NP製剤の図である。脂質-NP又はリポソームは、インビボ核酸送達を保護するために開発された。図9Cは、正/負の電荷の層が交互に重なったしっかりとしたコイル状のリポソーム内に含まれるmRNAのいくつかの層を持つ多層RNA-NPの図である。既存のNP設計では、コアの反発する電荷及び表面積の制限により、RNAパッケージの量が制限される。多層RNA-NPは、粒子当たりにより多くのRNAをパッケージし、所望のターゲットに対する免疫応答を高める。 図10は、多層RNA NPが、mRNAを多層ベシクルに巻き付けてペイロード送達を促進する複雑な構造を形成することを示す。棒グラフは、アニオン性RNA-LPS(左側の最初のバー)、RNA-リポプレックス(2番目のバー)、RNA-NP(低)(3番目のバー)、及びRNA-NP(高)(4番目のバー)の遺伝子発現(発光)を示す。 図11は、多層RNA NPが、DC活性化及びIFN-α放出の増加を媒介することを示す。RNA/アニオン性リポプレックス(LPX)又はRNA-NPを静脈内投与した。C57Bl/6マウスに週1回(x3)(静脈内)投与し、活性化DCの評価のために、1週間後に脾臓を採取した(左)。ELISAによるIFN-α評価のための最初の処置の6時間後に、血清を採取した(右)。 図12は、抗原特異的T細胞の誘発において、多層RNA-NPが、LPX及びペプチドベースのワクチンよりも優れていることを示す。完全Freundアジュバント(CFA)で製剤化されたRNA/アニオン性リポプレックス(LPX)(左)又はペプチドベースワクチン(右)を、OVA特異的RNA-NPと比較した。動物(n=5~8/群)は、最後のワクチンの1週間後の四量体陽性(OVA特異的)T細胞の評価の前に、10OT-Iを受けた。 図13は、RNA-NPがCMVマトリックスタンパク質pp65に対して記憶再刺激応答を誘導することを示す。毎週、pp65 RNA-NP(x3)をナイーブC57/Bl/6マウスに投与し、1週間後に脾細胞を採取して、pp65ペプチドプールが重複する培養及びIFN-γの評価を行った(p<0.05、**p<0.01、Mann Whitney)。 図14は、多層腫瘍特異的mRNA-NPが、優れた有効性を媒介することを示す図である。異なるリポプレックス(LPX)又はRNA-NPに腫瘍特異的mRNAをロードし、処置用肺癌モデル(K7M2)で比較した(n=8/群)。各ワクチンを、毎週静脈内投与した(x3)。**p<0.01、Gehan-Wilcoxon検定。 図15は、RNA-NPがイヌにおいてほぼ即時のIFN-αサージ、PBMC辺縁趨向、及び末梢DC活性化を誘発することを示す図である。最初のRNA-NP投与から2時間以内に、IFN-αの増加(左)、PBMCの最初の減少(中央、排出前の抗原教育のためのリンパ節ホーニングを示唆)、及びCD11c+DCの活性化(右)が観察された。 図16は、RNA-NPが終末神経膠腫を有するイヌの生存期間中央値を改善することを実証し、本明細書に記載の組成物がインビボで臨床的に意味のある免疫応答を誘発する能力を実証する図である。支持療法及び毎週の腫瘍RNA-NP(x3)(切除なしの腫瘍生検後)のみを受けた末期神経膠腫と診断された9~11歳(n=5)のイヌ(ボクサー種)の生存。点線で示された生存期間の中央値(29日)は、支持療法のみを受けたイヌの脳星状細胞腫の以前の研究から報告されている。別の研究の平均生存期間は60~80日である。不確実性を説明するためのブートストラップを使用した、one-sided exact log検定のp値分布の中央値:*p=0.021。 図17は、KR158bに対する腫瘍特異的RNA-NPのGLP毒性研究結果を示す。試験の0、14、及び28日目に、1.0mg/kgのKR158及びpp65 mRNA+15.0mg/kgの脂質NPをマウスの尾静脈に静脈内注射すると、研究に関する肉眼的又は顕微鏡的試験品関連の所見は得られなかった。 図18Aは、電荷修飾されたRNA-NPが、例えば、肺又は脾臓に指向され得ることを実証する。カチオン性(~+40mV、左)対アニオン性(~-30mV、右)ルシフェラーゼをコードするRNA-NPを、静脈内尾静脈注射によりBalb/cマウスに投与した。RNA-NPの6時間後にマウスにルシフェリンを腹腔内注射し、IVISイメージングにより生物発光を画像化した。肺の局在化のためにRNA-NPを操作する能力は、COVID-19防御に特に関連している。 図18Bは、電荷修飾されたRNA-NPが、例えば、肺又は脾臓に指向され得ることを実証する。RNA-NPを、C57Bl/6マウスに静脈内注射した(n=3~4/群)。細網内皮器官(リンパ節、脾臓、及び肝臓)を24時間以内に採取し、リンパ節(図18B)、脾臓細胞(図18C)、又は肝細胞(図18D)から活性化マーカCD86(p<0.05、**p<0.01、Mann-Whitney検定)を発現するCD11c細胞を評価した。データは、本開示の構築物が、例えば、ウイルス性病原体(コロナウイルス等)に対するほぼ即時の肺保護のために、たった1回の投与で影響を及ぼすことができることを立証する。 図18Cは、電荷修飾されたRNA-NPが、例えば、肺又は脾臓に指向され得ることを実証する。RNA-NPを、C57Bl/6マウスに静脈内注射した(n=3~4/群)。細網内皮器官(リンパ節、脾臓、及び肝臓)を24時間以内に採取し、リンパ節(図18B)、脾臓細胞(図18C)、又は肝細胞(図18D)から活性化マーカCD86(p<0.05、**p<0.01、Mann-Whitney検定)を発現するCD11c細胞を評価した。データは、本開示の構築物が、例えば、ウイルス性病原体(コロナウイルス等)に対するほぼ即時の肺保護のために、たった1回の投与で影響を及ぼすことができることを立証する。 図18Dは、電荷修飾されたRNA-NPが、例えば、肺又は脾臓に指向され得ることを実証する。RNA-NPを、C57Bl/6マウスに静脈内注射した(n=3~4/群)。細網内皮器官(リンパ節、脾臓、及び肝臓)を24時間以内に採取し、リンパ節(図18B)、脾臓細胞(図18C)、又は肝細胞(図18D)から活性化マーカCD86(p<0.05、**p<0.01、Mann-Whitney検定)を発現するCD11c細胞を評価した。データは、本開示の構築物が、例えば、ウイルス性病原体(コロナウイルス等)に対するほぼ即時の肺保護のために、たった1回の投与で影響を及ぼすことができることを立証する。 図19は、SARS-CoV-2タンパク質(例えば、スパイク、膜、エンベロープ、ヌクレオキャプシド)及びポリ(A)テールをコードするヌクレオチド配列を含む例示的なmRNAの図である。 図20は、配列表で提供される配列の表である。 図21Aは、実施例11の試験の結果を示すグラフである。SARS-CoV-2スパイクペプチドによる再刺激時(スパイクペプチド再刺激-白丸)又は再刺激なし(刺激なし、灰色の塗りつぶし丸)の場合のエフェクターメモリーT細胞の数のグラフである(CD3+CD8+CD44+細胞/ウェル)。マウスに、SARS-CoV-2の全長スパイクタンパク質をコードするmRNAをロードした多層(ML)RNAナノ粒子(NP)を投与した。マウスは、1週間以内に合計3回のワクチン接種を受けた。マウスからPMBCを採取し、次いでSARS-CoV-2スパイクタンパク質に応答するエフェクターメモリーT細胞の数を調べた。 図21Bは、実施例11の試験の結果を示すグラフである。刺激されていない細胞(白いバー)及びスパイクペプチドで再刺激された細胞(黒いバー)から放出されたMIP1-α(pg/mL)を示すグラフである。 図22Aは、本開示のナノ粒子に関連するSARS-CoV-2スパイクタンパク質の配列である。 図22Bは、本開示のナノ粒子に関連するSARS-CoV-2スパイクタンパク質のベクターマップである。 図22Cは、本開示のナノ粒子に関連するSARS-CoV-2スパイクタンパク質の配列である。 図23は、実施例14の試験における対象の選択基準である。 図24は、実施例14の試験における対象の除外基準である。 図25は、実施例で参照される患者評価のカレンダーである。 図26は、未治療の対象とRNA-NP治療の対象(x軸)のSARS-CoV-2IgG(吸光度)(y軸)を比較する棒グラフであり、C57Bl/6マウスは、全長SARS-CoV-2スパイクmRNAをコードするRNA-NPを毎週ワクチン接種された。ELISAによるスパイク特異的抗体の評価のために血清を1ヶ月で採取した。 図27Aは、スパイクペプチド再刺激後のエフェクターメモリーT細胞増殖を示す棒グラフである。SARS-CoV-2スパイクRNA-NPを投与されたマウスは、ワクチン接種後にエフェクターメモリーT細胞が増加し、メモリー想起が大幅に拡大した。NPにロードされたSARS-CoV-2全長スパイクmRNAは、ナイーブC57Bl/6マウス(n=7-8)に静脈内投与され、血液は、およそ10日目に採取された。末梢血単核細胞(PBMC)を刺激せずに放置するか、又はSARS-CoV-2スパイク糖タンパク質から11aaが重複する15merの重複ペプチドミックス(PepMix(商標)SARS-CoV-2(Spike Glycoprotein)、JPTペプチド)200ngで再刺激した。細胞を36時間培養してから採取し、CD3+CD8+CD44+サブセットによってエフェクターメモリー細胞を染色した。これらは、未処置マウスのPBMCと比較した。 図27Bは、スパイクペプチド再刺激後のMIP-1a産生を示す棒グラフである。SARS-CoV-2スパイクRNA-NPを投与されたマウスは、ワクチン接種後にエフェクターメモリーT細胞が増加し、メモリー想起が大幅に拡大した。NPにロードされたSARS-CoV-2全長スパイクmRNAは、ナイーブC57Bl/6マウス(n=7-8)に静脈内投与され、血液は、およそ10日目に採取された。末梢血単核細胞(PBMC)を刺激せずに放置するか、又はSARS-CoV-2スパイク糖タンパク質から11aaが重複する15merの重複ペプチドミックス(PepMix(商標)SARS-CoV-2(Spike Glycoprotein)、JPTペプチド)200ngで再刺激した。上清を回収し、Eve Technologiesによる多重サイトカイン検出について評価した。(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、Mann-Whitney検定)。 図28は、スパイクタンパク質の再刺激後のIFN-γの産生を示す棒グラフである。SARS-CoV-2スパイクRNA-NPを投与されたマウスは、エクスビボでメモリー想起応答を示す。NPにロードされた毎週のSARS-CoV-2全長スパイクmRNAをナイーブC57Bl/6マウス(n=7-8)に静脈内投与し、16日目に血液を採取した。PBMCを刺激しないままにするか、又はSARS-CoV-2スパイクmRNAをエレクトロポレーションしたDC2.4sの細胞株で再刺激し、未処置マウスのPBMCと比較した。上清をIFN-γ分析のために回収した(*p<0.05、Mann-Whitney)。 図29Aは、αグロビンの5’及び3’UTRが四量体+T細胞のパーセンテージ及び長期生存利益を増強することを示す図である。NP、RNA-NP、及びUTRを有するRNA-NPで処置された対象からの%OVA四量体陽性CD8+CD3+細胞を比較するグラフである。 図29Bは、αグロビンの5’及び3’UTRが四量体+T細胞のパーセンテージ及び長期生存利益を増強することを示す図である。α-グロビンの5’及び3’UTRを含むOVAmRNAをコードするRNA-NPを、OT-I T細胞を含むナイーブC57Bl/6マウスに静脈内投与し、四量体+T細胞の評価のために1週間後に脾臓を採取した。修飾されていないOVA RNA-NPと比較して、αグロビン修飾RNA-NPは、抗原特異的T細胞の割合を増加させる。腫瘍移植後のこれらの群における生存率を示すグラフである。UTR RNA-NP治療を受けた対象は、生存率の向上を示した(移植後35日までに約50%)。 図30は、HCVの5’IRES及び3’ポリUUUテールを有するRNA-NPが抗原特異的T細胞を増加させることを示す図である。OVA mRNAをコードし、HCVの5’IRES及び3’ポリUUUテールを含むmRNAを含むRNA-NPを、ナイーブC57Bl/6マウス(n=3-4/群)に静脈内投与した。OT-I T細胞及び脾臓は、四量体+T細胞の評価のために1週間後に採取された。HCV修飾RNA-NPは、抗原特異的T細胞の割合を増加させる。 図31は、全長LAMPコンジュゲートpp65が、より高い割合の抗原特異的T細胞を誘導するように見えることを示す。pp65の完全長LAMPコンジュゲートRNAをナイーブマウス(n=5/群)に週1回(x3)静脈内投与し、脾臓を採取して、pp65ペプチドプールをオーバーラップさせて再刺激した(p<0.05、Mann-Whitney検定)。グラフは、NP単独、RNA-NP、又はLAMP RNA-NPを投与された対象のIFN-γ産生を比較している。 図32Aは、NP単独を投与された対象におけるOVA特異的テトラマー+CD8細胞の割合、及びMDASノックアウト対象におけるRNA-NPを図示するグラフである。T細胞単独。 図32Bは、NP単独を投与された対象におけるOVA特異的テトラマー+CD8細胞の割合、及びMDASノックアウト対象におけるRNA-NPを図示するグラフである。B16F10-OVAを使用した再刺激アッセイ後。特定の理論に拘束されることを望んでいるが、多層RNA-NPの免疫原性は、既存のmRNAナノ脂質プラットフォームとは対照的に、MDA-5等の細胞内病原体認識受容体に依存していると思われる。
本開示は、カチオン性脂質及び核酸を含むナノ粒子に関する。本明細書で使用される場合、「ナノ粒子」という用語は、直径が約1000nm未満である粒子を指す。本開示のナノ粒子は、リポソーム形成を誘導するように処理されたカチオン性脂質を含むので、様々な態様でここに開示されるナノ粒子は、リポソームを含む。リポソームは、人工的に調製されたベシクルであり、例示的な態様では、主に脂質二重層から構成される。様々な例におけるリポソームは、栄養素及び医薬品の投与のための送達媒体として使用される。様々な態様において、本開示のリポソームは異なるサイズであり、組成物は、(a)直径数百ナノメートルであり得、狭い水性コンパートメントによって分離された一連の同心二重層を含み得る多層ベシクル(MLV)、(b)直径50nm未満であり得る小さな単細胞ベシクル(SUV)、及び(c)直径50~500nmであり得る大きな単細胞ベシクル(LUV)のうちの1つ以上を含み得る。様々な例におけるリポソームは、不健康な組織へのリポソームの付着を改善するために、又はエンドサイトーシス(これに限定されない)等の事象を活性化するために、オプソニン又はリガンドを含むように設計される。例示的な態様では、リポソームは、製剤の送達を改善するために、低又は高pHを含む。様々な例において、リポソームは、封入された製剤及びリポソーム成分、脂質ベシクルが分散される媒体の性質、封入された物質の有効濃度及びその潜在的な毒性、ベシクルの用途及び/又は送達中に関与する追加のプロセス、目的の用途のためのベシクルの最適化サイズ、多分散性及び貯蔵寿命、並びに安全かつ効率的なリポソーム製品の大規模生産のバッチ間の再現性及び可能性に応じて配合されるが、これらに限定されない。
例示的な実施形態では、ナノ粒子は、表面並びに(i)コア及び(ii)少なくとも2つの核酸層、任意選択で、3つ以上の核酸層を含む内部を含む。例示的な例では、各核酸層は、脂質層、例えば、カチオン性脂質層の間に配置される。例示的な態様では、ナノ粒子は、核酸及び脂質の交互の層を含む多層である。例示的な実施形態では、ナノ粒子は、少なくとも3つの核酸層を含み、それらの各々は、カチオン性脂質二重層間に配置される。例示的な態様では、ナノ粒子は、少なくとも4つ又は5つの核酸層を含み、それらの各々は、カチオン性脂質二重層間に配置される。例示的な態様では、ナノ粒子は、少なくとも5つを超える(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれ以上)核酸層を含み、それらの各々は、カチオン性脂質二重層間に配置される。本明細書で使用される場合、「カチオン性脂質二重層」という用語は、カチオン性脂質又はそれらの混合物を含む、それらから本質的になる、又はそれらからなる脂質二重層を意味する。好適なカチオン性脂質は、本明細書に記載されている。本明細書で使用される場合、「核酸層」という用語は、核酸、例えば、RNAを含む、それから本質的になる、又はそれからなる、ここで開示されるナノ粒子の層を意味する。
本開示のナノ粒子の固有の構造は、多層ナノ粒子(ML-NP)が生物学的効果を発揮する方法におけるメカニズム違いをもたらす。以前に記載されたRNAベースのナノ粒子は、少なくとも部分的に、トル様受容体7(TLR7)経路を介して、それらの効果を発揮する。驚くべきことに、本開示の多層ナノ粒子は、TLR7とは無関係に有効性を媒介する。特定の理論に拘束されることを望まないが、MDA-5等の細胞内病原体認識受容体(PRR)は、TLRよりも多層ナノ粒子の生物活性に関連しているようである。これにより、ML RNA-NPは、単一のTLR(すなわち、エンドソーム内のTLR7)とは反対に、複数の細胞内PRR(すなわち、RIG-I、MDA-5)を刺激して、I型インターフェロンのより多くの放出及びより強力な先天性免疫の誘導を達成することができる可能性がある。これにより、RNA-NPは、長期的なサバイバーの利益を伴う優れた有効性を示すことができる。
様々な態様において、ここで開示されるナノ粒子は、正に帯電した表面を含む。いくつかの例では、正に帯電した表面は、脂質層、例えばカチオン性脂質層を含む。様々な態様において、ナノ粒子の最外層は、カチオン性脂質二重層を含む。任意選択で、カチオン性脂質二重層はDOTAPを含む。様々な例において、表面は、カチオン性脂質二重層のカチオン性脂質の複数の親水性部分を含む。いくつかの態様では、コアは、カチオン性脂質二重層を含む。いくつかの例では、コアの最外領域は、DOTAPを含むカチオン性脂質二重層を含む。様々な例において、コアは核酸を欠き、任意選択で、コアは約0.5重量%未満の核酸を含む。
例示的な態様では、ナノ粒子は、ナノメートル範囲内で、本明細書において「ナノリポソーム」又は「リポソーム」と呼ばれる特定の場合に従って、直径を有する。例示的な態様では、ナノ粒子は、約50nm~約500nm、例えば、約50nm~約450nm、約50nm~約400nm、約50nm~約350nm、約50nm~約300nm、約50nm~約250nm、約50nm~約200nm、約50nm~約150nm、約50nm~約100nm、約100nm~約500nm、約150nm~約500nm、約200nm~約500nm、約250nm~約500nm、約300nm~約500nm、約350nm~約500nm、約400nm~約500nmの直径を有する。例示的な態様では、ナノ粒子は、約50nm~約300nm、例えば、約100nm~約250nm、約110nm±5nm、約115nm±5nm、約120nm±5nm、約125nm±5nm、約130nm±5nm、約135nm±5nm、約140nm±5nm、約145nm±5nm、約150nm±5nm、約155nm±5nm、約160nm±5nm、約165nm±5nm、約170nm±5nm、約175nm±5nm、約180nm±5nm、約190nm±5nm、約200nm±5nm、約210nm±5nm、約220nm±5nm、約230nm±5nm、約240nm±5nm、約250nm±5nm、約260nm±5nm、約270nm±5nm、約280nm±5nm、約290nm±5nm、約300nm±5nmの直径を有する。例示的な態様では、ナノ粒子は、直径で約50nm~約250nmである。いくつかの態様では、ナノ粒子は、直径が約70nm~約200nmである。
例示的な態様では、ナノ粒子は、直径、例えば、直径約50nm~約500nm又は約50nm~約250nmの範囲のナノ粒子の不均一な混合物を含む医薬組成物中に存在する。任意選択で、医薬組成物は、直径で約70nm~約200nmの範囲のナノ粒子の不均一な混合物を含む。
例示的な例では、ナノ粒子は、約+40mV~約+60mV、例えば、約+40mV~約+55mV、約+40mV~約+50mV、約+40mV~約+50mV、約+40mV~約+45mV、約+45mV~約+60mV、約+50mV~約+60mV、又は約+55mV~約+60mVのゼータ電位によって特徴付けられる。例示的な態様では、ナノ粒子は、約+45mV~約+55mVのゼータ電位を有する。様々な例におけるナノ粒子のゼータ電位は、約+50mVである。様々な態様において、ゼータ電位は、+30mV又は+35mVを超えている。ゼータ電位は、本開示のナノ粒子と、Sayour et al.,Oncoimmunology 6(1):e1256527(2016)に記載されるナノ粒子とを区別する1つのパラメータである。
例示的な実施形態では、ナノ粒子は、カチオン性脂質を含む。いくつかの実施形態では、カチオン性脂質は、米国特許出願第20130090372号(その内容は、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる)に記載されているもの等の低分子量カチオン性脂質である。例示的な例におけるカチオン性脂質は、カチオン性脂肪酸、カチオン性グリセロリン脂質、カチオン性グリセロリン脂質、カチオン性スフィンゴ脂質、カチオン性ステロール脂質、カチオン性プレノール脂質、カチオン性糖脂質、又はカチオン性ポリケチドである。例示的な態様では、カチオン性脂質は、2つの脂肪アシル鎖を含み、その各鎖は、独立して飽和又は不飽和である。いくつかの例では、カチオン性脂質は、ジグリセリドである。例えば、いくつかの例では、カチオン性脂質は、式I又は式IIのカチオン性脂質であり得る。
Figure 2023520506000002

Figure 2023520506000003
ここで、a、b、n、及びmの各々は、独立して、2~12(例えば、3~10)の整数である。いくつかの態様では、カチオン性脂質は、式Iのカチオン性脂質であり、ここで、a、b、n、及びmの各々は、独立して、3、4、5、6、7、8、9、及び10から選択される整数である。例示的な例では、カチオン性脂質は、DOTAP(1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン)、又はその誘導体である。例示的な例では、カチオン性脂質は、DOTMA(1,2-ジ-O-オクタデセニル-3-トリメチルアンモニウムプロパン)、又はその誘導体である。
いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、1,2-ジオレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DODMA)リポソームから形成されたリポソーム、Marina Biotech(Bothell,Wash.)からのDiLa2リポソーム、1,2-ジリノレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-(2-ジメチルアミノエチル)-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、及びMC3(US20100324120、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる)を含む。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、インビトロ及びインビボでのオリゴヌクレオチド送達に好適であることが以前に記載及び示された安定化プラスミド脂質粒子(SPLP)又は安定化核酸脂質粒子(SNALP)の合成から形成されたリポソームを含む。いくつかの態様におけるナノ粒子は、核酸分子に加えて、3~4個の脂質成分で構成されている。例示的な態様では、リポソームは、Jeffs et al.,Pharm Res.2005;22(3):362-72によって報告されているように、55%のコレステロール、20%のジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、10%のPEG-S-DSG、及び15%の1,2-ジオレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DODMA)を含む。例示的な例では、リポソームは、Heyes et al.,J.Control Release 2005;107(2):276-87によって報告されているように、48%のコレステロール、20%のDSPC、2%のPEG-c-DMA、及び30%のカチオン性脂質を含み、カチオン性脂質は、1,2-ジステアルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DSDMA)、DODMA、DLin-DMA、又は1,2-ジリノレニルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)であり得る。
いくつかの実施形態では、リポソームは、約25.0%コレステロール~約40.0%コレステロール、約30.0%コレステロール~約45.0%コレステロール、約35.0%コレステロール~約50.0%コレステロール、及び/又は約48.5%コレステロール~約60%コレステロールを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、28.5%、31.5%、33.5%、36.5%、37.0%、38.5%、39.0%、及び43.5%からなる群から選択される百分率のコレステロールを含み得る。いくつかの実施形態では、リポソームは、約5.0%~約10.0%のDSPC及び/又は約7.0%~約15.0%のDSPCを含み得る。
いくつかの実施形態では、リポソームは、DiLa2リポソーム(Marina Biotech、Bothell,Wash.)、SMARTICLES(登録商標)(Marina Biotech、Bothell,Wash.)、中性DOPC(1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)ベースのリポソーム(例えば、卵巣癌のためのsiRNA送達(Landen et al.Cancer Biology&Therapy 2006 5(12)1708-1713)、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる)及びヒアルロナン被覆リポソーム(Quiet Therapeutics、Israel)である。
様々な例において、カチオン性脂質は、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、ジリノレイル-メチル-4-ジメチルアミノブチレート(DLin-MC3-DMA)、又はジ((Z)-ノン-2-エン-1-イル)9-((4-(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)を含み、更に中性脂質、ステロール、及び粒子凝集を低減できる分子、例えば、PEG又はPEG修飾脂質を含む。
様々な態様におけるリポソームは、DLin-DMA、DLin-K-DMA、98N12-5、C12-200、DLin-MC3-DMA、DLin-KC2-DMA、DODMA、PLGA、PEG、PEG-DMG、PEG化脂質及びアミノアルコール脂質を含む。いくつかの態様では、リポソームは、DLin-DMA、DLin-D-DMA、DLin-MC3-DMA、DLin-KC2-DMA、DODMA及びアミノアルコール脂質等のカチオン性脂質を含むが、これらに限定されない。アミノアルコールカチオン性脂質は、いくつかの態様では、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる米国特許出願公開第20130150625号に記載されている脂質及び/又は記載されている方法によって作製された脂質を含む。非限定的な例として、特定の態様におけるカチオン性脂質は、2-アミノ-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-2-{[(9Z,2Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]メチル}プロパン-1-オール(米国特許出願公開第20130150625号における化合物1)、2-アミノ-3-[(9Z)-オクタデカ-9-エン-1-イルオキシ]-2-{[(9Z)-オクタデカ-9-エン-1-イルオキシ]メチル}プロパン-1-オール(US2013/0150625における化合物2)、2-アミノ-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-2-[(オクチルオキシ)メチル]プロパン-1-オール(US20130150625における化合物3)、及び2-(ジメチルアミノ)-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-2-{[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]メチル}プロパン-1-オール(US20130150625における化合物4)、又はその任意の薬学的に許容される塩若しくは立体異性体である。
様々な実施形態では、リポソームは、(i)2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、ジリノレイル-メチル-4-ジメチルアミノブチレート(DLin-MC3-DMA)、及びジ((Z)-ノン-2-エン-1-イル)9-((4-(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)からなる群から選択される少なくとも1つの脂質と、(ii)DSPC、DPPC、POPC、DOPE、及びSMから選択される中性脂質と、(iii)ステロール、例えば、コレステロールと、(iv)PEG-脂質、例えば、約20~60%のカチオン性脂質:5~25%の中性脂質:25~55%のステロール:0.5~15%のPEG脂質のモル比のPEG-DMG又はPEG-cDMAと、を含む。
いくつかの実施形態では、リポソームは、モル基準で約25%~約75%の、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、ジリノレイル-メチル-4-ジメチルアミノブチレート(DLin-MC3-DMA)、及びジ((Z)-ノン-2-エン-1-イル)9-((4-(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)から選択されるカチオン性脂質を含み、例えば、モル基準で約35~約65%、約45~約65%、約60%、約57.5%、約50%、又は約40%含む。
いくつかの実施形態では、リポソームは、モル基準で約0.5%~約15%の中性脂質を含み、例えば、モル基準で約3~約12%、約5~約10%又は約15%、約10%、又は約7.5%含む。中性脂質の例には、DSPC、POPC、DPPC、DOPE及びSMが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は中性脂質を含まない。いくつかの実施形態では、製剤は、ステロールのモル基準で約5%~約50%(例えば、モル基準で約15~約45%、約20~約40%、約40%、約38.5%、約35%、又は約31%)を含む。例示的なステロールは、コレステロールである。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、コレステロール等のステロールを含まない。いくつかの実施形態では、製剤は、PEG又はPEG修飾脂質を、モル基準で約0.5%~約20%(例えば、モル基準で約0.5~約10%、約0.5~約5%、約1.5%、約0.5%、約1.5%、約3.5%、又は約5%)含む。いくつかの実施形態では、PEG又はPEG修飾脂質は、平均分子量が2,000DaのPEG分子を含む。他の実施形態では、PEG又はPEG修飾脂質は、平均分子量が2,000未満、例えば、約1,500Da、約1,000Da、又は約500DaのPEG分子を含む。PEG修飾脂質の例には、PEG-ジステアロイルグリセロール(PEG-DMG)(本明細書ではPEG-C14又はC14-PEGとも称される)、PEG-cDMA(Reyes et al.J.Controlled Release,107、276-287(2005)で更に考察され、その内容は、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる)が挙げられるが、これらに限定されない。
例示的な態様では、カチオン性脂質は、(20Z,23Z)-N,N-ジメチルノナコサ-20,23-ジエン-10-アミン、(17Z,20Z)-N,N-ジメミルヘキサコサ-17,20-ジエン-9-アミン、(1Z,19Z)-N,N-ジメチルペンタコサ-16、19-ジエン-8-アミン、(13Z,16Z)-N,N-ジメチルドコサ-13,16-ジエン-5-アミン、(12Z,15Z)-N,N-ジメチルヘニコサ-12,15-ジエン-4-アミン、(14Z,17Z)-N,N-ジメチルトリコサ-14,17-ジエン-6-アミン、(15Z,18Z)-N,N-ジメチルテトラコサ-15,18-ジエン-7-アミン、(18Z,21Z)-N,N-ジメチルヘプタコサ-18,21-ジエン-10-アミン、(15Z,18Z)-N,N-ジメチルテトラコサ-15,18-ジエン-5-アミン、(14Z,17Z)-N,N-ジメチルトリコサ-14,17-ジエン-4-アミン、(19Z,22Z)-N,N-ジメイヒロクタコサ-19,22-ジエン-9-アミン、(18Z,21 Z)-N,N-ジメチルヘプタコサ-18,21-ジエン-8-アミン、(17Z,20Z)-N,N-ジメチルヘキサコサ-17,20-ジエン-7-アミン、(16Z,19Z)-N,N-ジメチルペンタコサ-16,19-ジエン-6-アミン、(22Z,25Z)-N,N-ジメチルヘントリアコンタ-22,25-ジエン-10-アミン、(21 Z,24Z)-N,N-ジメチルトリアコンタ-21,24-ジエン-9-アミン、(18Z)-N,N-ジメチルヘプタコス-18-エン-10-アミン、(17Z)-N,N-ジメチルヘキサコス-17-エン-9-アミン、(19Z,22Z)-N,N-ジメチルオクタコサ-19,22-ジエン-7-アミン、N,N-ジメチルヘプタコサン-10-アミン、(20Z,23Z)-N-エチル-N-メチルノナコサ-20,23-ジエン-10-アミン、1-[(11Z,14Z)-1-ノニリコサ-11,14-ジエン-1-イル]ピロリジン、(20Z)-N,N-ジメチルヘプタコス-20-エン-10-アミン、(15Z)-N,N-ジメチルエプタコス-15-エン-10-アミン、(14Z)-N,N-ジメチルノナコス-14-エン-10-アミン、(17Z)-N,N-ジメチルノナコス-17-エン-10-アミン、(24Z)-N,N-ジメチルトリトリアコント-24-エン-10-アミン、(20Z)-N,N-ジメチルノナコス-20-エン-10-アミン、(22Z)-N,N-ジメチルヘントリアコント-22-エン-10-アミン、(16Z)-N,N-ジメチルペンタコス-16-エン-8-アミン、(12Z,15Z)-N,N-ジメチル-2-ノニルヘニコサ-12,15-ジエン-1-アミン、(13Z,16Z)-N,N-ジメチル-3-ノニルドコサ-13,16-ジエン-1-アミン、N,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]エプタデカン-8-アミン、1-[(1S,2R)-2-ヘキシルシクロプロピル]-N,N-ジメチルノナデカン-10-アミン、N,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ノナデカン-10-アミン、N,N-ジメチル-21-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘニコサン-10-アミン、N,N-ジメチル-1-[(1S,2S)-2-{[(1R,2R)-2-ペンチルシクロプロピル]メチル}シクロプロピル]ノナデカン-10-アミン、N,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘキサデカン-8-アミン、N,N-ジメチル-[(1R,2S)-2-ウンデシルシクロプロピル]テトラデカン-5-アミン、N,N-ジメチル-3-{7-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘプチル}ドデカン-1-アミン、1-[(1R,2S)-2-ヘプチルシクロプロピル]-N,N-ジメチルオクタデカン-9-アミン、1-[(1S,2R)-2-デシルシクロプロピル]-N,N-ジメチルペンタデカン-6-アミン、N,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ペンタデカン-8-アミン、R-N,N-ジメチル-1-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、S-N,N-ジメチル-1-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、1-{2-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-1-[(オクチルオキシ)メチル]エチル}ピロリジン、(2S)-N,N-ジメチル-1-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-3-[(5Z)-オクタ-5-エン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、1-{2-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-1-[(オクチルオキシ)メチル]エチル}アゼチジン、(2S)-1-(ヘキシルオキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、(2S)-1-(ヘプチルオキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、N,N-ジメチル-1-(ノニルオキシ)-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、N,N-ジメチル-1-[(9Z)-オクタデカ-9-エン-1-イルオキシ]-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン;(2S)-N,N-ジメチル-1-[(6Z,9Z,12Z)-オクタデカ-6,9,12-トリエン-1-イルオキシ]-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、(2S)-1-[(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチル-3-(ペンチルオキシ)プロパン-2-アミン、(2S)-1-(ヘキシルオキシ)-3-[(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチルプロパン-2-アミン、1-[(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチル-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、1-[(13Z,16Z)-ドコサ-13,16-ジエン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチル-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、(2S)-1-[(13Z,16Z)-ドコサ-13,16-ジエン-1-イルオキシ]-3-(ヘキシルオキシ)-N,N-ジメチルプロパン-2-アミン、(2S)-1-[(13Z)-ドコス-13-エン-1-イルオキシ]-3-(ヘキシルオキシ)-N,N-ジメチルプロパン-2-アミン、1-[(13Z)-ドコス-13-エン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチル-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、1-[(9Z)-ヘキサデカ-9-エン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチル-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、(2R)-N,N-ジメチル-H(1-メトイルロクチル)オキシル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、(2R)-1-[(3,7-ジメチルオクチル)オキシ]-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、N,N-ジメチル-1-(オクチルオキシ)-3-({8-[(1S,2S)-2-{[(1R,2R)-2-ペンチルシクロプロピル]メチル}シクロプロピル]オクチル}オキシ)プロパン-2-アミン、N,N-ジメチル-1-{[8-(2-オクリルシクロプロピル)オクチル]オキシ}-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン及び(11E,20Z,23Z)-N,N-ジメチルノナコサ-11,20,2-トリエン-10-アミン若しくはその薬学的に許容される塩又は立体異性体から選択され得る。
いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、脂質-ポリカチオン複合体を含む。脂質-ポリカチオン複合体の形成は、当該技術分野で既知の方法によって、及び/又は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20120178702号に記載されている方法によって達成され得る。非限定的な例として、ポリカチオンは、例えば、ポリリジン、ポリオルニチン及び/又はポリアルギニン等であるがこれらに限定されないカチオン性ペプチド又はポリペプチドを含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は、脂質-ポリカチオン複合体を含み得、これは、コレステロール又はジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)等であるがこれらに限定されない非カチオン性脂質を更に含み得る。
様々な態様において、カチオン性リポソームは、任意選択で、非カチオン性脂質を含まない。中性分子は、いくつかの態様では、サイズが200nmを超えるRNA/DNA負荷リポソームをもたらす多層NPのコイル化/凝縮を妨害し得る。ヘルパー分子なしで生成されるカチオン性リポソームは、約70~200nm(又はそれ未満)のサイズを含み得る。これらの構築物は、負に帯電した核酸を有するカチオン性脂質からなり、粒子の酸化(周囲環境に曝露された場合)を防ぐ密封されたロータリー真空エバポレーターで製剤化され得る。この実施形態では、ヘルパー脂質が存在しないことにより、各NPが粒子当たりにより多くの量の核酸を含む密にパッケージ化された多層NPへのmRNAコイル形成が最適化される。粒子当たりの核酸ペイロードが増加されるため、これらの多層RNA-NPは、免疫系を調節するための有効性の重要な予測因子である、顕著に大きな自然免疫応答を駆動する。
本開示されるナノ粒子は、正に帯電した表面と、(i)コア及び(ii)少なくとも2つの核酸層を含む内部と、を含み、各核酸層がカチオン性脂質二重層の間に配置されている。核酸層は核酸分子を含む。
いくつかの態様では、核酸分子は、約1対約5~約1対約25、例えば約1対約5~約1対約20、任意選択で約1対約18、約1対約17、約1対約15、約1対約10、又は約1対約7.5の核酸分子:カチオン性脂質比で存在する。本明細書で使用される場合、「核酸分子:カチオン性脂質比」という用語は、質量比を意味し、ここで、核酸分子の質量は、カチオン性脂質の質量に対して相対的である。また、例示的な態様では、「核酸分子:カチオン性脂質比」という用語は、本開示のML RNA NPを作製するプロセス中にカチオン性脂質を含むリポソームに添加される核酸分子、例えば、RNAの質量の比率を意味する。例示的な態様では、ナノ粒子は、150μgの脂質混合物当たり約10μg未満又は約10μgのRNA分子を含む。例示的な態様では、ナノ粒子は、約10μgのRNAを約150μgのリポソームとインキュベートすることによって作製される。別の態様では、ナノ粒子は、脂質混合物の質量当たりより多くのRNA分子を含む。例えば、ナノ粒子は、150μgのリポソーム当たり10μg超のRNA分子を含み得る。いくつかの例では、ナノ粒子は、150μgのリポソーム又は脂質混合物当たり15μg超のRNA分子を含む。
様々な態様において、核酸分子は、RNA分子、例えば、転移RNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、及び/又はメッセンジャーRNA(mRNA)である。様々な態様において、RNA分子は、tRNA、rRNA、mRNA、又はそれらの組合わせを含む。様々な態様において、RNAは細胞から単離された全RNAである。例示的な態様では、RNAは、例えば、腫瘍細胞又は癌細胞又は感染細胞等の罹患細胞から単離された全RNAである。全腫瘍RNAを取得する方法は、当該技術分野で既知であり、本明細書中の実施例1に記載され、ナノ粒子に組み込むための核酸を取得する方法の実施例を表す。
例示的な例では、RNA分子は、mRNAである。様々な態様において、mRNAは、インビトロ転写されたmRNAである。様々な例において、mRNA分子は、インビトロ転写(IVT)によって生成される。IVTを実施するための好適な技術が、当該技術分野で既知である。例示的な態様では、IVTキットが使用される。例示的な態様では、キットは、1つ以上のIVT反応試薬を含む。本明細書で使用される場合、「インビトロ転写(IVT)反応試薬」という用語は、IVT反応で機能する任意の分子、化合物、因子、又は塩を指す。例えば、キットは、外因性DNAテンプレートからタンパク質を合成するための真核生物又は原核生物抽出物を伴う原核生物ファージRNAポリメラーゼ及びプロモーター(T7、T3、又はSP6)を含み得る。
例示的な態様では、RNAは、インビトロ転写されたmRNAであり、インビトロ転写テンプレートは、ウイルス又は感染細胞から抽出されたRNAから作製されたcDNAである。
様々な態様において、癌の治療において、本開示のナノ粒子は有用であり、これらの実施形態において、ナノ粒子は任意選択で、ヒトの腫瘍、任意選択で、悪性脳腫瘍、任意選択で、膠芽腫、髄芽腫、びまん性内因性橋神経膠腫、又は中枢神経系への転移性浸潤を伴う末梢腫瘍から単離されたRNAであるRNAの混合物を含む。
様々な態様において、RNAは、ポリ(A)テールをコードする配列を含み、その結果、インビトロ転写されたRNA分子は、3’末端にポリ(A)テールを含む。様々な態様において、ナノ粒子を作製する方法は、例えば、インビトロ転写されたRNA分子をキャッピングする等の追加の処理工程を含む。
様々な態様において、本開示のナノ粒子は、ウイルスによって発現されるタンパク質をコードするRNAを含む。例示的な態様では、RNAは、ウイルスによって発現されるタンパク質、例えばウイルスタンパク質をコードするmRNAである。例示的な態様では、ウイルスタンパク質は、ニドウイルス目(Nidovirales)、任意選択で、Cornidovirinaeaのウイルスによって発現される。例示的な態様では、ウイルスタンパク質は、コロナウイルス科ファミリ、任意選択で、Orthocornoavirinaeサブファミリーのウイルスによって発現される。例示的な例では、ウイルスタンパク質は、ベータコロナウイルス属、任意選択で、サルベコウイルスサブファミリーのウイルスによって発現される。様々な態様において、ウイルスタンパク質はSARS-CoV-2種によって発現される。SARS-CoV-2は、コウモリコロナウイルスと遺伝的類似性を持つポジティブセンスの一本鎖RNAウイルスであり、2020年1月に中国の武漢の患者から初めて単離された(Hui et al.,International J Infectious Diseases 91:264-266(2020))。
任意選択で、ウイルスタンパク質は、SARS CoV-2ウイルスによってコードされ、発現されるもの、例えば、SARS CoV-2タンパク質である。SARS-CoV-2の完全なゲノム配列は、アメリカ国立生物工学情報センター(NCBI)のウェブサイト(ncbi.nlm.nih.gov)のGenBankデータベースで、オンラインで公開されている。例示的なゲノム配列には、以下のGenBankアクセッション番号を有するものが含まれる:MN988668、NC_045512)、MN938384.1、MN975262.1、MN985325.1、MN988713.1、MN994467.1、MN994468.1、MN997409.1、MN988668。GenBankアクセッション番号NC_045512の完全なゲノム配列、及びコードされたタンパク質のアミノ酸配列は、本明細書に提供される配列表に提供される。図20は、配列表の様々な配列を列挙する表を提供する。例示的な態様では、SARS-CoV-2タンパク質は、スパイクタンパク質、膜タンパク質、エンベロープタンパク質、又はヌクレオキャプシドタンパク質である。例示的な態様では、SARS CoV-2タンパク質は、SARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質又はその断片である。例示的な実施形態では、本開示のNPは、RNA分子の混合物を含む。例示的な態様では、RNA分子の混合物は、Sタンパク質又はその一部をコードするmRNAを含む。例示的な例では、RNA分子の混合物は、SARS CoV-2ゲノムによってコードされる他のタンパク質をコードするmRNAを含む。適切なSARS CoV-2タンパク質には、ORF1abポリタンパク質(QIQ50091.1)、ORF3aタンパク質(QIQ50093.1)、エンベロープタンパク質(QIQ50094.1)、膜糖タンパク質(QIQ50095.1)、ORF6タンパク質(QIQ50096.1)、ORF7aタンパク質(QIQ50097.1)、ORF8タンパク質(QIQ50098.1)、ヌクレオキャプシドタンパク質(QIQ50099.1)、及びORF10タンパク質(QIQ50100.1)が含まれるが、これらに限定されない。
様々な例において、mRNAは、配列表に示されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む。様々な態様において、ヌクレオチド配列はアミノ酸配列をコードし、配列表に記載されているアミノ酸配列に対して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は90%を超える配列同一性(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%)を有する。様々な態様において、ヌクレオチド配列は、1~10個のアミノ酸置換、例えば、約1~9個、約1~8個、約1~7個、約1~6個、約1個~5個、約1個~4個、約1個~3個、約1個~2個のアミノ酸置換、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10のアミノ酸置換を有する配列表に示されるアミノ酸配列をコードする。あるいは、mRNAは、配列表に提供されるヌクレオチド配列を含む。様々な態様において、NPペイロードのヌクレオチド配列は、配列表に記載されているヌクレオチド配列に対して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は90%を超える配列同一性(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%)を有する。あるいは、mRNAは、配列表に示されるDNA配列によってコードされる。
様々な態様において、ナノ粒子は、ウイルスタンパク質又はウイルスタンパク質の混合物をコードするヌクレオチド配列を含むRNA分子、及び3’末端にポリ(A)テールを含む。様々な例において、ナノ粒子は、本質的に図19に示されるようなRNA分子を含み、任意選択で、図20で参照される配列を含む。
様々な態様において、本開示のナノ粒子のRNA(例えば、mRNA)によってコードされるウイルスタンパク質は、SARS-CoV-2の全長スパイク(S)タンパク質である。例示的な例では、ウイルスタンパク質は、配列番号3の配列、又は配列番号3と少なくとも75%同一である配列(例えば、配列番号3と少なくとも80%同一、配列番号3と少なくとも85%同一、配列番号3と少なくとも90%同一、配列番号3と少なくとも95%同一、配列番号3と少なくとも98%同一、又はそれを超えて同一)を含む。様々な態様において、mRNAは、SARS-CoV-2の全長スパイク(S)タンパク質をコードするcDNA配列のインビトロ転写産物である。様々な態様において、mRNAは、配列番号3の配列又は配列番号3と少なくとも75%同一である配列(例えば、配列番号3と少なくとも80%同一、配列番号3と少なくとも85%同一、配列番号3と少なくとも90%同一、配列番号3と少なくとも95%同一、配列番号3と少なくとも98%同一、又はそれを超えて同一)を有するウイルスタンパク質をコードするcDNA配列のインビトロ転写産物である。様々な態様において、mRNAは、図22に示されるpGEM4z-SpikeのcDNA配列又はそれに非常に類似する配列(例えば、少なくとも90%同一)のインビトロ転写産物である。例示的な例では、本開示のナノ粒子は、図22に示されるpGEM4z-SpikeのcDNA配列又はそれに非常に類似した配列によってコードされるmRNAを含む。様々な態様において、ナノ粒子は、配列番号23~31に示される配列を含む。
様々な例において、ウイルスタンパク質をコードするRNAは、リソソーム関連膜タンパク質(LAMP)をコードするRNAに融合される。LAMPは、プロリンリッチヒンジ領域、膜貫通ドメイン、及び細胞質ドメインによって分離された相同なリソソーム管腔ドメインを含む、リソソームに特異的な膜タンパク質である。LAMPに関するレビューは、Schwake et al.,Traffic(2013)koi.org/10.1111/tra.12056に提供されている。特定の態様では、LAMPタンパク質は、LAMP1、LAMP2、LAMP3、LAMP4、又はLAMP5タンパク質である。そのようなLAMPタンパク質の配列は、当技術分野で知られている。例えば、LAMP1前駆体のmRNA配列は、NCBIアクセッション番号NM_005561.4として入手可能であり、LAMP1前駆体のアミノ酸配列はNCBIアクセッション番号NP_005552.3として入手可能である。また、例えば、LAMP2アイソフォームC前駆体のmRNA配列は、NCBIアクセッション番号NM_001122606.1として入手可能であり、LAMP2アイソフォームC前駆体のアミノ酸配列は、NCBIアクセッション番号NP_001116078.1として入手可能である。LAMP3前駆体のmRNA配列はNCBIアクセッション番号NM_014398.4として入手可能であり、LAMP3前駆体のアミノ酸配列はNCBIアクセッション番号NP_055213.2として入手可能である。前述のアクセッション番号の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
ナノ粒子は、例えば、国際特許出願第PCT/US20/42606号に更に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、これは特に、正に帯電した表面と、コア及び少なくとも2つの核酸層を含む内部と、を含むナノ粒子であって、各核酸層がカチオン性脂質二重層の間に位置する、ナノ粒子、及び製造方法に関する。
作製方法
本開示はまた、正に帯電した表面並びに(i)コア及び(ii)少なくとも2つの核酸層を含む内部を含むナノ粒子を作製する方法であって、各核酸層がカチオン性脂質二重層間に配置される方法を提供し、当該方法は、(A)核酸分子及びリポソームを、例えば約1対5~約1対約20等の約1対約5~約1対約25の比率、任意選択で、約1対約15の核酸(例えば、RNA):本明細書に記載のリポソーム比で混合して、核酸(例えば、RNA)被覆リポソームを得ることを含む。リポソームは、カチオン性脂質及び有機溶媒を含む脂質混合物を真空下で有機溶媒を蒸発させることによって乾燥させること、並びに(B)RNA被覆リポソームを余剰量のリポソームと混合することを含むリポソームを作製するプロセスによって作製される。
例示的な態様では、ここで開示される方法によって作製されたナノ粒子は、本明細書に記載されるここで開示されるナノ粒子の説明と一致する。例えば、ここで開示される方法によって作製されたナノ粒子は、約+40mV~約+60mV、任意選択で、約+45mV~約+55mVのゼータ電位を有する。任意選択で、ここで開示される方法によって作製されたナノ粒子のゼータ電位は、約+50mVである。様々な態様において、本開示の方法によって作製されたナノ粒子のコアは、約0.5重量%未満の核酸を含み、かつ/又はコアは、カチオン性脂質二重層を含み、かつ/又はナノ粒子の最外層は、カチオン性脂質二重層を含むか、かつ/又は、ナノ粒子の表面は、カチオン性脂質二重層のカチオン性脂質の複数の親水性部分を含む。
例示的な態様では、脂質混合物は、カチオン性脂質及び有機溶媒を、1mLの有機溶媒当たり約40mgのカチオン性脂質~1mLの有機溶媒当たり約60mgのカチオン性脂質の比率、任意選択で、有機溶媒1mL当たり約50mgのカチオン性脂質の比率で含む。様々な例において、リポソームを作製するプロセスは、脂質混合物を再水和溶液で再水和して再水和脂質混合物を形成し、次に再水和脂質混合物を攪拌、休止、及びサイジングすることを更に含む。任意選択で、再水和脂質混合物のサイジングは、再水和脂質混合物を超音波処理、押し出し、及び/又は濾過することを含む。
正に帯電した表面並びに(i)コア及び(ii)少なくとも2つの核酸層を含み、各核酸層がカチオン性脂質二重層間に配置される内部を含むナノ粒子を作製する例示的な方法は、本明細書、実施例1で説明される。実施例1に記載されている工程のいずれか1つ以上を、ここで開示される方法に含めることができる。例えば、いくつかの実施形態では、この方法は、リポソームと複合体を形成する前にRNAを調製するために必要とされる1つ以上の工程を含む。例示的な態様では、この方法は、対象、例えば、ヒトに投与するためのナノ粒子を調製するための下流の工程を含む。例示的な例では、この方法は、静脈内注射用のNPを処方することを含む。この方法は、様々な態様において、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤を添加することを含み、任意選択で、得られた組成物を容器、例えば、バイアル、注射器、バッグ、アンプル等に包装することを含む。いくつかの態様における容器は、すぐに使用できる容器であり、任意選択で、使い捨て用である。
本明細書では、ここで開示されるナノ粒子の作製方法によって作製されたナノ粒子が更に提供される。
細胞及びそれらの集団
加えて、本明細書では、本開示のナノ粒子を含む(例えば、これでトランスフェクトされた)細胞(例えば、単離された細胞又はエクスビボ細胞)が提供される。例示的な態様では、細胞は、本開示のナノ粒子を含有し得る任意の型の細胞である。いくつかの態様における細胞は、真核細胞、例えば、植物、動物、真菌、又は藻類である。代替的な態様では、細胞は、原核細胞、例えば、細菌又は原生動物である。例示的な態様では、細胞は、培養細胞である。代替的な態様では、細胞は、初代細胞、すなわち、生物(例えば、ヒト)から直接単離された、初代細胞である。細胞は、接着細胞又は浮遊細胞、すなわち浮遊状態で増殖する細胞であってもよい。例示的な態様における細胞は、哺乳動物細胞である。最も好ましくは、細胞は、ヒト細胞である。細胞は、任意の細胞型であり得、任意の型の組織に由来し得、任意の発達段階であり得る。例示的な態様では、リポソームを含む細胞は、抗原提示細胞(APC)である。本明細書で使用される場合、「抗原提示細胞」又は「APC」は、特定のT細胞による認識のために抗原をプロセシングし、提示することによって、細胞の免疫応答を媒介する免疫細胞を指す。例示的な態様では、APCは、樹状細胞、マクロファージ、ランゲルハンス細胞、又はB細胞である。例示的な態様では、APCは、樹状細胞(DC)である。例示的な態様では、細胞が、対象、例えば、ヒトに投与される場合、細胞は、対象に対して自己由来である。例示的な態様では、細胞が、対象、例えば、ヒトに投与される場合、細胞は、対象に対して同種異系である。
例示的な例では、免疫細胞は、腫瘍関連マクロファージ(TAM)である。
また、本開示により、細胞の集団であって、集団の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%が、本開示のナノ粒子を含む(例えば、このナノ粒子でトランスフェクトされた)細胞である、細胞の集団が提供される。いくつかの態様における細胞の集団は、不均一な細胞集団であるか、代替的に、いくつかの態様では、実質的に均一な集団であり、この集団は、本開示のナノ粒子を含む細胞を主に含む。
医薬組成物
本明細書において、本開示のナノ粒子、本開示のナノ粒子を含む細胞、本開示の細胞の集団、又はそれらの任意の組合わせ、及び薬学的に許容される担体、賦形剤若しくは希釈剤を含む組成物が提供される。例示的な態様では、組成物は、本開示による複数のナノ粒子及び薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤を含み、ヒトへの投与を目的とする医薬組成物である。例示的な態様では、組成物は、無菌組成物である。例示的な例では、組成物は、本開示の複数のナノ粒子を含む。任意選択で、複数のうちの少なくとも50%のナノ粒子は、約100nm~約250nmの直径を有する。様々な態様において、組成物は、1mL当たり約1010ナノ粒子~1mL当たり約1015ナノ粒子、任意選択で、1mL当たり約1012ナノ粒子±10%を含む。
例示的な態様では、本開示の組成物は、ナノ粒子、ナノ粒子を含む細胞、又は細胞の集団以外の、追加の成分を含み得る。組成物は、様々な態様において、例えば、酸性化剤、添加剤、吸着剤、エアロゾル噴射剤、空気置換剤、アルカリ化剤、固化防止剤、抗凝固剤、抗菌保存剤、抗酸化剤、防腐剤、基剤、結合剤、緩衝剤、キレート剤、コーティング剤、着色剤、乾燥剤、洗浄剤、希釈剤、消毒剤、崩壊剤、分散剤、溶解促進剤、染料、軟化剤、乳化剤、乳化安定剤、充填剤、被膜形成剤、風味増強剤、香味剤、流動促進剤、ゲル化剤、顆粒化剤、保湿剤、潤滑剤、粘膜付着剤、軟膏基剤、軟膏、油性媒体、有機基剤、パスティル基剤、顔料、可塑剤、研磨剤、保存剤、封鎖剤、皮膚浸透剤、可溶化剤、溶媒、安定化剤、坐剤基剤、界面活性剤、界面活性剤、懸濁剤、甘味剤、治療剤、増粘剤、張化剤、毒性剤、増粘剤、吸水剤、水混和性共溶媒、水軟化剤、又は湿潤剤、を含む、任意の薬学的に許容される成分を含む。例えば、the Handbook of Pharmaceutical Excipients,Third Edition,A.H.Kibbe(Pharmaceutical Press,London,UK,2000)(その全体が参照により組み込まれる)、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Sixteenth Edition,E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)(その全体が参照により組み込まれる)を参照されたい。
本開示の組成物は、非経口及び皮下経路を含む、任意の許容可能な経路による投与に好適であることができる。他の経路としては、例えば、静脈内、皮内、筋肉内、腹腔内、節内及び脾臓内が挙げられる。例示的な態様では、組成物がリポソーム(リポソームを含む細胞ではない)を含む場合、組成物は、全身(例えば、静脈内)投与に好適である。
組成物が対象への投与を意図した形態である場合、それは、意図した投与部位と等張であるようにされ得る。例えば、溶液が非経口投与を意図した形態である場合、それは血液と等張であり得る。組成物は、典型的には無菌である。特定の実施形態では、これは、滅菌濾過膜を介した濾過によって達成され得る。特定の実施形態では、非経口組成物は、一般に、無菌アクセスポートを有する容器、例えば、静脈内溶液バッグ、又は皮下注射針によって穿刺可能なストッパを有するバイアル、又はプレフィルド注射器、に入れられる。特定の実施形態では、組成物は、調製済の形態、又は投与前に再構成又は希釈される形態(例えば、凍結乾燥された)のいずれかで保存され得る。
使用
特定の理論に拘束されることなく、本明細書で初めて開示されるデータは、対象のSARS-Cov-2ウイルスに対する免疫応答を誘導及び増加させるための、本明細書で開示されるML RNA NPの使用を支持する。図21に示すように、SARS-CoV-2スパイクタンパク質をコードするRNAを含む多層RNAナノ粒子(ML RNA NP)をワクチン接種したマウスでは、ML RNA NPで処理されていないマウスで増加するSARS-CoV-2スパイクタンパク質に特異的なメモリーT細胞の数と比較して、SARS-CoV-2スパイクタンパク質に特異的なエフェクターメモリーT細胞の数が増加する。したがって、対象におけるSARS-CoV-2ウイルスに対する免疫応答を誘発又は増加させる方法が、本開示によって提供される。例示的な実施形態では、方法は、本開示の医薬組成物を対象に投与することを含む。例示的な態様では、核酸分子はmRNAである。任意選択で、組成物は、対象に全身投与される。例えば、組成物は、静脈内投与される。様々な態様において、医薬組成物は、対象の樹状細胞(DC)を活性化するのに有効な量で投与される。様々な例において、免疫応答は、例えば中和抗体等の抗体の産生を含む、B細胞媒介性免疫応答である。様々な例において、免疫応答は、SARS-CoV-2タンパク質に特異的な抗体、任意選択で、IgM及び/又はIgG抗体の産生の増加を伴う。様々な例において、免疫応答は、T細胞媒介性免疫応答、例えば、CD8+T細胞媒介性免疫応答である。任意選択で、T細胞媒介性免疫応答は、SARS CoV-2に特異的なエフェクターメモリーT細胞の増加を含む。様々な態様において、T細胞媒介性免疫応答は、CD3+CD8+CD44+細胞の増加を含む。例示的な態様では、免疫応答は、自然免疫応答である。任意選択で、免疫応答は、顆粒球、単球、マクロファージ、及びナチュラルキル(NK)細胞のうちの1つ以上が関与する自然免疫応答である。様々な態様で、現在開示されている多層RNA NPは、対象のSARS-Cov-2ウイルスに対する免疫応答を誘導又は増加させるために対象に投与され、DCは活性化されるか、B細胞はSARS-CoV-2に対する中和抗体を産生するか、SARS-CoV-2に特異的なエフェクターメモリーT細胞の数が増加するか、SARS-CoV-2に対する自然免疫応答が活性化されるか、又はそれらの組合わせである。任意選択で、本明細書で開示される多層RNA NPは、IFN-αレベル又は他のI型インターフェロンを増加させるために対象に投与される。
また、本明細書に提供されるデータは、対象における樹状細胞(DC)活性化を増加させるための本開示のRNA NPの使用を裏付ける。したがって、対象においてDCを活性化するか、又はDC活性化を増加させる方法が更に提供される。例示的な実施形態では、方法は、本開示の医薬組成物を対象に投与することを含む。例示的な態様では、核酸分子はmRNAである。任意選択で、組成物は、対象に全身投与される。例えば、組成物は、静脈内投与される。様々な態様において、医薬組成物は、対象の腫瘍に対する免疫応答を増加させるのに有効な量で投与される。様々な例において、免疫応答は、T細胞媒介性免疫応答である。例示的な態様では、免疫応答は、自然免疫応答である。
任意選択で、本開示の様々な態様において、T細胞媒介性免疫応答は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)による活性を含む。
本明細書で使用される場合、「増加する」という用語及びそれから派生する語は、100%又は完全な増加ではない場合がある。むしろ、当業者が潜在的な利点又は治療効果を有すると認識する様々な程度の増加がある。例示的な実施形態では、この方法により提供される増加は、少なくとも又は約10%の増加(例えば、少なくとも又は約20%の増加、少なくとも又は約30%の増加、少なくとも又は約40%の増加、少なくとも又は約50%の増加、少なくとも又は約60%の増加、少なくとも又は約70%の増加、少なくとも又は約80%の増加、少なくとも又は約90%の増加、少なくとも又は約95%の増加、又は少なくとも又は約98%の増加)である。様々な態様において、「増加」は、本開示のナノ粒子を投与しない(例えば、投与前に)ベースライン測定値(例えば、ベースライン免疫、感受性、又は活性化)に関連する。
本開示はまた、対象の肺にRNA分子を送達する方法を提供する。例示的な実施形態では、この方法は、ここで開示される医薬組成物を対象に投与することを含む。本明細書では、肺の細胞にRNAを送達する方法であって、本開示の組成物を静脈内投与することを含み、組成物は、ナノ粒子を含む、方法が提供される。また、本明細書では、肺の細胞にRNAを送達する方法が提供される。例示的な実施形態では、この方法は、本開示の組成物を全身(例えば、静脈内)投与することを含み、組成物は、ナノ粒子を含む。本開示はまた、肺において抗原提示細胞を活性化する方法を提供する。例示的な実施形態では、この方法は、ここで開示された組成物を全身(例えば、静脈内)投与することを含み、組成物は、NPを含む。様々な実施形態において、ナノ粒子は、吸入又は鼻腔内投与によって対象に投与される。
例示的な実施形態では、本明細書に記載の方法は、本開示の組成物を、対象の疾患又は障害を治療するか、又は所望の生物学的効果(例えば、SARS-CoV-2に対する免疫応答)を達成するのに有効な量で投与することを含む。例えば、様々な態様において、RNA-NPは、樹状細胞(DC)を活性化するのに有効な量で投与される。治療薬の用量を表す1つの手段は、患者の体重又は質量(通常はmg/kgで表される)である。様々な態様において、投与されるナノ粒子の量は、約0.00050mg/kg~約1.5mg/kgの核酸(例えば、mRNA等のRNA)を対象に投与するのに十分である(すなわち、医薬組成物の用量は、約0.00050mg/kg~約1.5mg/kgの核酸を対象に送達する)。核酸は、対象に核酸を投与するために、任意の適切な量のリポソームにカプセル化され得る。上で説明したように、様々な実施形態において、核酸分子は、約1対約5~約1対約25、例えば、約1対約5~約1対約20、任意選択で、約1対約18、約1対約17、約1対約15、約1対約10、又は約1対約7.5の核酸分子:カチオン性脂質比でナノ粒子中に存在し得る。様々な態様において、投与のための核酸の量は、リポソーム材料(「LP」)の約0.008mg/kg~約1.5mg/kgにカプセル化される。様々な態様において、医薬組成物の用量は、約0.000625mg/kg~約0.08mg/kgの核酸(例えば、mRNA等のRNA)を含み、これは任意選択で約0.009375mg/kg~約1.2mg/kgのLPにカプセル化される。本開示の文脈で使用するのに適した用量の例には、約0.009375mg/kgのLPに任意選択でカプセル化されていてもよい約0.000625mg/kgの核酸(例えば、mRNA)、約0.01875mg/kgのLPに任意選択でカプセル化されていてもよい約0.00125mg/kgの核酸(例えば、mRNA)、約0.0375mg/kgのLPに任意選択でカプセル化されていてもよい約0.0025mg/kgの核酸(例えば、mRNA)、約0.075mg/kgのLPに任意選択でカプセル化されていてもよい約0.005mg/kgの核酸(例えば、mRNA)、0.15mg/kgのLPに任意選択でカプセル化されていてもよい約0.01mg/kgの核酸(例えば、mRNA)、約0.3mg/kgのLPに任意選択でカプセル化されていてもよい約0.02mg/kgの核酸(例えば、mRNA)、約0.6mg/kgのLPに任意選択でカプセル化されていてもよい約0.04mg/kgの核酸(例えば、mRNA)、及び1.2mg/kgのLPに任意選択でカプセル化されていてもよい約0.08mg/kgの核酸(例えば、mRNA)が含まれるが、これらに限定されない。
ナノ粒子又は組成物は、特定の実施形態に適した任意の治療レジメンに従って投与することができる。特定の患者のために選択された治療レジメンに応じて、用量の投与の間隔をあけて、ナノ粒子又は組成物の複数用量を投与することが有利であり得る。ナノ粒子又は組成物は、約18ヶ月以下、約16ヶ月以下、約14ヶ月以下、又は約1年(12ヶ月以下)以下(例えば、約9ヶ月以下、約6ヶ月以下、又は約3ヶ月以化)の期間にわたって、定期的に投与され得る。投与レジメンの例には、例えば、毎日(1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日5回、1日6回)、週に3回、週に2回、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、毎週(つまり、週に1回)、2週間毎、3週間毎、毎月、又は隔月の用量を投与することを含む。様々な態様において、ナノ粒子又は組成物の用量は、週1回対象に投与される。様々な態様において、ナノ粒子又は組成物の用量は、約2週間毎に(すなわち、約14日毎に)対象に投与される。様々な態様において、ナノ粒子又は組成物の用量は、対象に約1ヶ月に1回(すなわち約30日毎)投与される。
様々な態様において、治療レジメンは、最初の治療期間にわたってナノ粒子又は組成物をより頻繁に投与し、その後、より長い期間にわたって間隔をあけて投与することを含む。例えば、用量は、約2週間、約4週間、約6週間、約8週間、約10週間、又は約12週間の初期治療期間にわたって投与され得、その間、複数用量は、例えば、週に1回又は2週間毎に投与される。治療レジメンは次いで、その後の治療期間を含んでもよく、この場合、複数容量は、例えば、2週間毎、3週間毎、4週間毎(すなわち月1回)、5週間毎、6週間毎等、投与間のより長い間隔で投与される。その後の治療期間は、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、又はそれを超えるものを含み得る。最初の治療期間とその後の治療期間との長さは、同じであっても同じでなくてもよい(最初の治療期間とその後の治療期間との間隔は異なるであろう)。本開示の例示的な態様では、ナノ粒子又は組成物の用量は、約4週間の初期治療期間(合計3回の初期用量)の間、約2週間毎に投与され、その後、ナノ粒子又は組成物の用量が、約12ヶ月の期間月に約1回投与される。
本開示は、RNA分子を細胞に送達する方法を提供する。例示的な実施形態では、本方法は、細胞を本開示のNPとインキュベートすることを含む。例示的な例では、細胞は、抗原提示細胞(APC)、任意選択で、樹状細胞(DC)である。様々な例において、APC(例えば、DC)は、対象から得られる。特定の態様において、RNA分子は、SARS-CoV-2タンパク質、例えば、スパイクタンパク質、膜タンパク質、エンベロープタンパク質、若しくはヌクレオキャプシドタンパク質、又はそれらの組合わせをコードする。実際、本開示の任意の態様において、NPは、異なる標的抗原をコードする異なるRNA分子の集団を含み得る。
RNAが細胞に送達されると、細胞は、疾患(例えば、感染症)の治療のために対象に投与され得る。したがって、本開示は、疾患を有する対象を治療する方法を提供する。例示的な実施形態では、本方法は、RNA分子を細胞に送達する上記の方法に従って、RNA分子を対象の細胞に送達することを含む。いくつかの態様では、RNA分子は、エクスビボで細胞に送達され、細胞は、対象に投与される。代替的に、本方法は、リポソームを対象に直接投与することを含む。例示的な実施形態では、疾患を有する対象を治療する方法は、対象において疾患を治療するのに有効な量で、本開示の組成物を投与することを含む。例示的な態様において、疾患はCOVID-19である。例示的な態様では、組成物は、リポソームを含み、任意選択で、リポソームを含む組成物は、対象に静脈内投与されるか、あるいは吸入又は鼻腔内投与される。代替的な態様では、組成物は、リポソームでトランスフェクトされた細胞を含む。任意選択で、組成物の細胞は、APCであり、任意選択で、DCである。例示的な例では、DCは、対象から得られた白血球(WBC)から単離され、任意選択で、WBCは、白血球除去を介して得られる。
本明細書で使用される場合、「治療する」という用語、並びにそれに関連する語は、必ずしも100%又は完全な治療を意味するものではない。むしろ、当業者が潜在的な利益又は治療効果を有するものとして認識する様々な程度の治療がある。この点で、本開示の疾患を治療する方法は、任意の量又は任意のレベルの治療を提供し得る。更に、本方法によって提供される治療は、治療される疾患の1つ以上の状態又は症状又は兆候の治療を含み得る。例えば、本開示の治療方法は、疾患の1つ以上の症状を抑制又は軽減し得る。COVID-19の症状の例には、例えば、発熱又は悪寒、咳、息切れ又は呼吸困難、疲労、体の痛み、頭痛、味覚又は嗅覚の喪失、喉の痛み、鼻づまり又は鼻水、吐き気、嘔吐、及び下痢が含まれる。「治療」には、ウイルス量の減少も含まれる。また、本開示の方法によって提供される治療は、疾患の進行を遅らせることを包含し得る。
「治療する」という用語はまた、疾患の予防的治療を包含する。したがって、本開示の方法によって提供される治療は、予防的に治療される疾患の発症又は再発を遅延させ得る。例示的な態様では、本方法は、疾患の発症を、1日、2日、4日、6日、8日、10日、15日、30日、2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、1年、2年、4年、又はそれ以上遅延させる。予防的治療には、疾患のリスクを軽減すること(すなわち、SARS-CoV-2の生産的感染のリスクを軽減すること)が含まれる。例示的な態様では、本方法は、疾患のリスクを、2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、又はそれ以上、低減する。
特定の態様において、疾患を治療する方法は、疾患又はその症状を阻害する方法と見なされ得る。本明細書で使用される場合、「阻害する」という用語及びそれから派生する語は、100%又は完全な阻害ではない場合がある。むしろ、当業者が潜在的な利益又は治療効果を有するものとして認識する様々な程度の阻害がある。ここで開示される方法は、疾患又はその症状の発症又は再発を、任意の量又はレベルまで阻害し得る。例示的な実施形態では、本開示の方法によって提供される阻害は、少なくとも又は約10%の阻害(例えば、少なくとも又は約20%の阻害、少なくとも又は約30%の阻害、少なくとも又は約40%の阻害、少なくとも又は約50%の阻害、少なくとも又は約60%の阻害、少なくとも又は約70%の阻害、少なくとも又は約80%の阻害、少なくとも又は約90%の阻害、少なくとも又は約95%の阻害、少なくとも又は約98%の阻害)である。
前述の方法に関して、NP又はそれを含む組成物は、一部の態様で、対象に全身投与される。任意選択で、この方法は、非経口投与によるリポソーム又は組成物の投与を含む。様々な例において、リポソーム又は組成物は、対象に静脈内投与される。
対象
対象は、マウス及びハムスター等の齧歯目の哺乳動物、並びにウサギ等の兎形目の哺乳動物、ネコ科の動物(ネコ)及びイヌ科の動物(イヌ)を含む食肉目の哺乳動物、ウシ科の動物(ウシ)及びイノシシ科の動物(ブタ)を含む偶蹄目の哺乳動物、又はウマ科の動物(ウマ)を含む奇蹄目の哺乳動物を含むが、これらに限定されない哺乳動物である。いくつかの態様では、哺乳動物は、霊長目、Ceboid目又はSimoid目(サル)に属するか、又は真猿亜目(ヒト及び類人猿)に属する。代表的な態様では、哺乳動物は、ヒトである。いくつかの態様では、ヒトは、18歳以上の成人である。いくつかの態様では、ヒトは、17歳以下の子供である。
癌に関連する本明細書に記載の方法の様々な態様において、対象は高リスク脳癌患者である。
様々な態様において、対象は、COVID-19と診断された、又はSARS-CoV-2への曝露のリスクがあるヒト対象である。様々な態様において、組成物は、SARS-CoV-2による感染のリスクを低減する、又はウイルス力価を低減又は最小化する、感染時間を短縮する、及び/又はCOVID-19の症状の重症度を低減するのに有効な量で対象に提供される。
以下の実施例は、単に本発明を例示すために提供され、その範囲を如何様にも限定するためではない。
実施例1
この実施例は、本開示のナノ粒子を作製する方法を説明する。
DOTAPリポソームの調製
1日目に、ドラフト内で次の工程を実行した。ロータベーパー浴に水を加えた。クロロホルム(20mL)を滅菌ガラスメスシリンダーに注いだ。1gのDOTAPを含むバイアルを開けた後、ガラスピペットを使用して、5mLのクロロホルムをDOTAPバイアルに加えた。次に、一定量のクロロホルム及びDOTAPを、1Lの蒸発フラスコに移した。2番目の体積5mLのクロロホルムをDOTAPバイアルに加えてバイアル中に残存するDOTAPを溶解し、この量のクロロホルムをDOTAPバイアルから蒸発フラスコに移すことによって、DOTAPバイアルを洗浄した。メスシリンダー内の全てのクロロホルムが使用されるまで、この洗浄工程を更に2回繰り返した。次に、蒸発フラスコをBuchiロータベーパーに入れた。水浴の電源を入れて、25℃に調整した。蒸発フラスコを、水浴に触れるまで下に動かした。ロータベーパーの回転速度を、2に調整した。真空システムの電源を入れて、40mbarに調整した。10分後、真空システムの電源を切り、クロロホルムをコレクターフラスコから収集した。採取したクロロホルムの量を測定した。一旦コレクターフラスコの位置を変えると、真空を再びオンにし、クロロホルムが完全に蒸発するまで、蒸発フラスコの内容物を一晩乾燥させた。
2日目に、滅菌メスシリンダーを使用して、PBS(200mL)を、室温に維持された新しい滅菌500mLのPBSボトルに添加した。DOTAPを収集するために、2番目の500mL PBSボトルを準備した。Buchiロータベーパー水浴を、50℃に設定した。PBS(50mL)を、25mLの使い捨て血清ピペットを使用して、蒸発フラスコに加えた。蒸発フラスコをBuchiロータベーパーに配置し、フラスコの1/3が水浴に沈むまで、下に動かした。ロータベーパーの回転速度を2に設定し、10分間回転させた後、回転を止めた。蒸発フラスコからのDOTAPを含む50mLのPBSを、2番目の500mL PBSボトルに移した。PBSボトル内のPBSの全量が使用されるまで、この工程を(3回)繰り返した。2番目の500mL PBSボトルの最終容量は、400mLであった。2番目の500mLPBSボトルの脂質溶液を30秒間ボルテックスした後、50℃で1時間インキュベートした。1時間のインキュベーションの間、ボトルを10分毎にボルテックスした。2番目の500mL PBSボトルを室温で一晩放置した。
3日目に、PBS(200mL)を、DOTAP及びPBSを含む2番目の500mL PBSボトルに加えた。2番目の500mL PBSボトルを、超音波浴に入れた。水を超音波浴に満たし、2番目の500mL PBSボトルを5分間超音波処理した。押出機をPBS(100mL)で洗浄し、この洗浄工程を繰り返した。0.45μm孔のフィルターを濾過ユニットに取り付け、新しい(3番目の)500mL PBSボトルを、押出機の出力チューブ内に配置した。生物学的安全キャビネット中で、3番目のPBSボトルの約70%が満たされるまで、DOTAP-PBS混合物を押出機にロードした。次に、押出機の電源を入れ、全ての混合物が押出機を通過するまで、DOTAP PBS混合物を加えた。続いて、0.22μm孔のフィルターを濾過ユニットに取り付け、新しい(3番目の)500mL PBSボトルを、押出機の出力チューブに配置した。以前にフィルタリングされたDOTAP-PBS混合物をロードし、全体にわたって再度実行した。次に、PBS中にDOTAP脂質ナノ粒子(NP)を含む試料を、4℃で保存した。
RNA調製
NPに組み込む前に、RNAを次のように調製する。
SARS CoV-2特異的mRNAの調製
プラスミド、例えば、T7 RNAポリメラーゼプロモーター及びRNAを分解から保護する長さ64ヌクレオチドのポリAテール(pSP73-Sph/A64)を含有する修飾psP73ベクター(Promega)を得、全長SARS CoV-2スパイクタンパク質をコードするmRNAをコードするcDNAを含むように作製した。制限酵素(すなわち、SpeI)を使用してプラスミドを線形化し、Qiagen PCR MiniEluteキットで精製した。続いて、製造元のプロトコルに従って、mMESSAGE mMACHINE T7(商標)転写キット(Invitrogen)を使用して、線状化されたDNAをインビトロで転写した。次に、転写されたmRNAをRNA Maxiキット(Qiagen)を使用してクリーンアップした。
例示的な態様では、mRNAは、例えば、配列番号3のアミノ酸配列を含むSタンパク質をコードする。例示的な態様では、スパイクタンパク質mRNAをコードするcDNAは、図22に示される一連の配列の一番上の行として示される配列を有した。例示的な態様では、Sタンパク質をコードするmRNAは、SARS-CoV-2の他のタンパク質をコードするmRNA、例えば、本明細書に記載の又は当技術分野で知られているものと混合される。例示的な態様では、mRNAは図19に示される通りである。
実施例2~10のためのRNAの調製
NPに組み込む前に、RNAを、いくつかの方法(A)~(C)のうちの1つで調製した。全腫瘍RNAを、腫瘍細胞から全RNA(rRNA、tRNA、mRNAを含む)を単離することによって調製した。全腫瘍RNAの逆転写によって生成されたcDNAテンプレートを使用してインビトロ転写反応を実行することにより、インビトロ転写されたmRNAを調製した。腫瘍抗原特異的及び非特異的RNAは、社内で作製するか、又は販売会社から購入した。
(A)全腫瘍RNA:腫瘍細胞からの全腫瘍由来RNA(例えば、B16F0、B16F10、及びKR158-luc)は、市販のRNeasyミニキット(Qiagen)を使用して、製造業者の説明書に基づいて単離した。
(B)インビトロ転写されたmRNA:簡単には、RNAは、製造業者の指示に従って市販のRNeasyミニキット(Qiagen)を使用して単離し、cDNAライブラリーは、RT-PCRによって生成した。SMARTScribe Reverse Transcriptaseキット(Takara)を使用して、cDNAライブラリーを生成するために、PCRによる逆転写酵素反応を、全腫瘍RNAに対して実行した。次に、得られたcDNAを、T7/SMART及びCDS IIIプライマーを含むTakara Advantage 2Polymerase mixを使用して増幅し、増幅サイクルの総数を、ゲル電気泳動で決定した。製造業者の指示に従って、Qiagen PCR精製キットを使用して、cDNAの精製を行った。各RNAナノ粒子ワクチンで使用するのに十分なmRNAを単離するために、T7酵素ミックスを有するmMESAGE mMACHINE(Invitrogen)キットを使用して、cDNAライブラリー上でインビトロ転写を一晩行った。転写の忠実度を確保するため、ハウスキーピング遺伝子を評価した。次に、得られたmRNAを、Qiagen RNeasy Maxiキットで精製して、最終的なmRNA産物を得た。
(C)腫瘍抗原特異的及び非特異的mRNA:
腫瘍抗原特異的RNA(例えば、pp65、OVAをコードするRNA)及び非特異的RNA(例えば、Green Fluorescent Protein(GFP)、ルシフェラーゼをコードするRNA)をコードするDNAを含むプラスミドを、制限酵素(すなわち、SpeI)を用いて線形化し、Qiagen PCR MiniEluteキットで精製した。続いて、線形化されたDNAを、mmRNAインビトロ転写キット(Life technologies、Invitrogen)を使用して転写し、RNA Maxiキット(Qiagen)を使用してクリーンアップした。別の方法では、非特異的RNAは、Trilink Biotechnologies(San Diego、CA)から購入する。
多層RNAナノ粒子(NP)の調製
DOTAP脂質NPをRNAと複合体化して、正に帯電した表面及び空のコアを備えた密にコイル状のリポソーム内に含まれるmRNAのいくつかの層を持つように設計された多層RNA-NPを作成した(図1A)。簡単に説明すると、安全キャビネット中で、RNAを-80℃から解凍してから氷上に置き、PBS及びDOTAPを含む試料(DOTAP脂質NP等)を室温に戻した。一旦成分を調製すると、滅菌チューブ内で、目的の量のRNAをPBSと混合した。RNA及びPBSの混合物を含む滅菌チューブに、適切な量のDOTAP脂質NPを、物理的に混合せずに(例えば、チューブを逆さにせずに、ボルテックスせずに、攪拌せずに)添加した。RNA、PBS、及びDOTAPの混合物を、約15分間インキュベートして、多層RNA-NPを形成させた。15分後、チューブを繰り返し反転させることにより、混合物を穏やかに混合した。次に、混合物を、全身(すなわち、静脈内)投与の準備ができていると見なした。
上記の調製に使用されるRNA及びDOTAP脂質NP(リポソーム)の量を、事前に決定又は事前に選択する。いくつかの例では、約1μgのRNA当たり約15μgのリポソームの比率が使用された。例えば、約5μgのRNA当たり約75μgのリポソームが使用されるか、又は約25μgのRNA当たり約375μgのリポソームが使用される。他の例では、1μgのRNA当たり約7.5μgのリポソームが使用された。したがって、例示的な例では、使用される全てのμgのRNAに対して、約1μg~約20μgのリポソームが使用される。
実施例2
この例は、本開示のナノ粒子の特徴付けを説明する。
極低温電子顕微鏡(CEM)
実施例1に記載のように調製された多層RNA-NP並びに「RNA調製」及び「多層RNAナノ粒子(NP)の調製」の工程以外は実施例1の全ての工程に従って作製したRNAを含まない対照NP(未複合体化NP)の構造を、CEMを使用して分析した。CEMは、Sayour et al.,Nano Lett 17(3)1326-1335(2016)に本質的に記載されているように実行した。簡単に説明すると、多層RNA-NP又は対照NPを含む試料を、Vitrobot(及びクライオTEM用の自動プランジフリーザー、これは、温度、相対湿度、ブロッティング条件及び凍結速度を制御することにより、氷晶の形成なしに試料を凍結する)中にロードして瞬間冷凍する前に、氷上に保持する。次に、試料を、Gatan UltraScan 4000(4kx4k)CCDカメラを備えたTecnai G2 F20 TWIN 200kV/FEG透過型電子顕微鏡で画像化した。得られるCEM画像を、図1Bに示す。右のパネルは、多層RNA-NPのCEM画像であり、左のパネルは対照NP(未複合体化NP)のCEM画像である。図1Bに示すように、対照NPは最大2層を含んでいたが、多層RNA NPは、複数の層を含んでいた。図5は、例示的な多層RNA NPの別のCEM画像を示す。ここでは、脂質層と交互になっているRNA層の複数の層が特に明白である。
ゼータ電位
多層RNA NPのゼータ電位は、Sayour et al.,Nano Lett 17(3)1326-1335(2016)に本質的に記載されるように、Brookhaven ZetaPlus装置(Brookhaven Instruments Corporation、Holtsville,NY)を用いて、位相分析光散乱(PALS)によって測定した。簡単に説明すると、未複合体化NP又はRNA-NP(200μL)をPBS(1.2mL)に再懸濁し、機器にロードした。試料を、試料毎に5回、各実行で25サイクル、Smoluchowskiモデルを使用して実行した。
実施例1に記載されるように調製された多層RNA NPのゼータ電位を、約+50mVで測定した。興味深いことに、多層RNA NPのこのゼータ電位は、Sayour et al.,Oncoimmunology 6(1):e1256527(2016)に記載されている、+27mV付近で測定されたものよりもはるかに高かった。特定の理論に縛られることなく、クロロホルムを蒸発させるための真空シール法を含む多層RNA NPの作製に使用するためにDOTAP脂質NPを作成する方法(実施例1)は、DOTAP脂質NPの少ない環境酸化をもたらし、これにより、より多量のRNAがDOTAP NPと複合体を形成し、かつ/又はDOTAP脂質NPへのRNAの取り込みがより増加することが可能になり得る。
ゲル電気泳動によるRNAの取り込み:
MLリポソームに組み込まれたRNAの量を測定するために、ゲル電気泳動実験を行った。この実験に基づき、実施例1に記載された手順で使用されたRNAの、全てではないにしても、ほぼ全てが、DOTAP脂質NPに組み込まれたことが定性的に示された。RNA取り込みの程度を特徴付ける追加の実験は、RNA-NP密度を測定し、このパラメータをリポプレックスのパラメータと比較することによって実行される。
実施例3
本実施例は、全身投与時のRNA-NPのインビボ局在部位及びそのRNA NPが、DCの末梢及び腫瘍内活性化を媒介することを示す。
実施例1に本質的に記載されるように作製されたDOTAP脂質NPを、CreリコンビナーゼをコードするmRNAと複合体化して、CreをコードするRNA-NPを作製する。これらの多層RNA-NPを、loxPが隣接するSTOPカセットを搭載したAi14トランスジェニックマウスに投与する。STOPカセットは、Cre-リコンビナーゼが発現するまで、tdTomatoの転写を防ぐ。RNA-NPを投与してから1週間後、トランスジェニックマウスのリンパ節、脾臓及び肝臓を採取し、切片化し、DAPIで染色する。tdTomatoの発現を、Sayour et al,Nano Letters 2018に本質的に記載されている手順に従って、蛍光顕微鏡で分析する。Cre-mRNA-NPは、肝臓、脾臓、リンパ節等のリンパ器官にインビボで局在すると予想される。
実施例1に本質的に記載されるように作製されたDOTAP脂質NPを、非特異的RNA(例えば、腫瘍抗原特異的ではなかったRNA、オボアルブミン(OVA)mRNA)と複合体化させ、皮下B16F10腫瘍を有するC57Bl/6マウス(n=3~4/群)に静脈内注射する。リンパ節、脾臓、肝臓、骨髄及び腫瘍を24時間以内に採取し、CD11c細胞により(*p<0.05 Mann-Whitney)検定)、樹状細胞(DC)活性化マーカCD86の発現を分析する。OVA mRNA-NPは、リンパ節、脾臓、肝臓、骨髄、及び腫瘍への広範なインビボ局在を示し、その中のDCを活性化すると予想される(CD11c+細胞上での活性化マーカCD86の増加した発現によって示される)。活性化されたDCは抗原特異的T細胞応答を準備し、いくつかの腫瘍モデルで抗腫瘍効率(TILの増加を伴う)につながるため、多層RNA NPの抗腫瘍効果を試験した。
実施例4
この実施例は、本開示のナノ粒子の、カチオン性RNAリポプレックス及びアニオン性RNAリポプレックスとの比較を記載する。
カチオン性リポプレックス(LPX)を、外表面上にある正味の正電荷によってシールドされた脂質コアのmRNAを使用して最初に開発した(図2A)。アニオン性RNAリポプレックス(図2B)を、二層リポソームの表面につながれた過剰なRNAを用いて開発した。RNA及び脂質NPを、電荷を均等化する比率で混合することによって、RNA-LPXを作製した。RNA及び脂質NPを、負電荷を有する脂質NPを過飽和させる比率で混合することによって、アニオン性RNA-NPを作製した。次に、RNA-LPX及びアニオン性RNA LPXの様々な態様を、上記の実施例に記載した多層RNA NPと比較した。
クライオ電子顕微鏡法(CEM)を使用して、RNA LPX及び実施例1に記載されているように調製された多層RNA-NPの構造を比較した。未複合体化NPを、対照として使用した。CEMを、実施例2に本質的に記載されているように実施した。図2Cは、未複合体化NPのCEM画像、図2Dは、RNA LPXのCEM画像(リポソームのRNAに対するその質量比は3.75:1である)、図2Eは、多層RNA-NPのCEM画像(リポソームのRNAに対するその質量比は15:1である)である。これらのデータは、ML RNA-NPによってより多くのRNAが保持されることを支持する。追加のデータは、RNA LPXに対してより多くのML RNA-NP複合体化を有する濃縮液滴が、質量又は電荷で等量のRNA及び脂質NP(すなわち、それぞれRNA-LPX及びアニオン性RNA-LPX)を単純に混合することによっては観察されないML RNA NPの多層形成を裏付けることを示す。このことは、ML RNA-NPによってより多くのRNAが「保持」されることを支持する。
また、アニオン性LPXがマウスへの投与時にどこに局在するかを決定するために、実験を行った。図8に示すように、アニオン性LPXは、投与時に動物の脾臓に局在し、以前の研究と一致している(Krantz et al,Nature 534:396-401(2016))。
RNA LPX、アニオン性リポプレックス(LPX)、又は多層RNA-NPをマウスに投与し、活性化DCの評価のために1週間後に脾臓を採取した(*p<0.05対応のないt検定)。この実験で使用したRNAは、K7M2腫瘍骨肉腫細胞株に由来する腫瘍由来のmRNAであった。図2Fに示すように、多層RNA NPで処置されたマウスは、最高レベルの活性化DCを示した。
アニオン性腫瘍mRNA-リポプレックス、腫瘍mRNA-リポプレックス、及び多層腫瘍mRNAをロードしたNPを、治療用肺癌モデル(K7M2)で比較した(n=5~8/群)。各ワクチンを、毎週静脈内投与した(x3)(**p<0.01、Mann-Whitney)。CD8+脾細胞の%CD44+CD62L+を図2Gに示し、CD4+脾細胞の%CD44+CD62L+を図2Hに示す。また、図2Jは、多層(ML)RNA-NPが、生来の抗ウイルスサイトカインである実質的に増加したIFN-αを媒介することを示す。このことは、ML RNA-NPが、非抗原特異的ML RNA-NPからでさえも有効性を促進するのに十分な、実質的により大きな自然免疫を可能にすることを示す。まとめると、これらの図は、アニオン性LPX及びRNA LPXと比較して、多層腫瘍特異的RNA-NPの優れた有効性を示す。
アニオン性腫瘍mRNA-リポプレックス、陽イオン性腫瘍mRNA-リポプレックス、及び多層腫瘍mRNAをロードしたNPを、治療用肺癌モデル(K7M2)で比較した(n=8/群)。各ワクチンを毎週静脈内投与した(x3)、*p<0.05、Gehan Breslow-Wilcoxon検定。生存率を、Kaplan-Meier曲線分析によって測定した。図2Iに示すように、多層腫瘍特異的RNA-NPは、カチオン性RNAリポプレックス及びアニオン性RNAリポプレックスと比較して、生存率を高めるための優れた有効性を媒介した。
ここで、生理学的に関連する腫瘍抗原を標的とする多層RNA-NP製剤は、アニオン性LPX及びRNA LPXと比較して、免疫原性が高く(図2F~図2H、図2J)、かつ、有意により有効である(図2I)ことが示されている。特定の理論に縛られることなく、RNA-脂質比を変更し、ゼータ電位を上昇させることにより、緊密に巻かれたmRNAの多層リングで構成される新しいRNA-NPデザインが開発された(図1C)が、この多層デザインは、粒子の免疫原性を高め、かつインビボ局在化を末梢及び腫瘍微小環境(TME)へ広げるために、mRNAのNP取り込みの増加(正/負の電荷を交互に繰り返すことによって濃縮される)を促進すると考えられる。これらの多層RNA-NPの全身投与は、リンパ節、細網内皮器官(すなわち、脾臓及び肝臓)並びにTMEに局在化し、そこでDCを活性化する(CD11c+細胞での活性化マーカCD86の発現の増加に基づいて)。これらの活性化されたDCは、抗原特異的T細胞応答を準備し、いくつかの腫瘍モデルで抗腫瘍効果(TILの増加を伴う)をもたらす。
実施例5
本実施例は、DCを全身的に活性化し、抗原特異的免疫を誘導し、かつ抗腫瘍効果を引き出す多層RNA-NPの能力を示す。
多層RNA NPの効果を、2番目のモデルで試験した。ここでは、K7M2肺腫瘍を接種したBALB/cマウス(群当たり8匹のマウス)に、多層RNA-NPを週に3回ワクチン接種した。マウスの対照群は、未処置であった。腫瘍内メモリーT細胞の分析のために、3回目のワクチンの1週間後に肺を採取した(***p<0.001、Mann-Whitney検定)。図3Aは、RNA-NPで処置された肺(左)及び未処置の肺(右)の写真のペアを提供する。図3Bは、未処置のマウス、GFP RNAで多層RNA NPを処置したマウス、及び腫瘍特異的RNAで多層RNA NPを処置したマウスの採取した肺の%中央メモリーT細胞(CD3+細胞のCD62L+CD44+)のグラフである。
また、BALB/cマウス又はBALB/c SCID(Fox Chase)マウス(群当たり8匹のマウス)にK7M2肺腫瘍を接種し、GFP RNA又は腫瘍特異的RNAを含む多層RNA-NPを、週に3回静脈内ワクチン接種した。マウスの対照群は、未処置であった。%生存率を、Kaplan-Meier曲線にプロットした(***p<0.0001、Gehen-Breslow-Wilcox)。図3Cに示すように、腫瘍特異的RNAを含む多層RNA NPで処置されたBALB/cマウスの生存率は、3つの群の中で最も高かった。興味深いことに、GFP RNAを含む多層RNA NPで処置されたBALB/c SCID(Fox Chase)マウスの生存率は、腫瘍特異的RNAを含む多層RNA NPで処置されたマウスとほぼ同じであった(図3D)。
まとめると、図3A~図3Dのデータは、GFP RNA又は腫瘍特異的RNAを含むRNA-NPによる単剤療法が、免疫担当動物及びSCIDマウスの転移性肺腫瘍に対する顕著な抗腫瘍効果を媒介することを示す。転移性肺腫瘍を有するBALB/cマウス(図3A~図3D)では、GFP(対照)及び腫瘍特異的RNA-NPの両方が、自然免疫及び抗腫瘍活性を媒介する。ただし、腫瘍特異的RNA-NPのみが、腫瘍内メモリーT細胞の増加及び長期サバイバーの転帰を媒介する(図3A~図3D)。頭蓋内悪性腫瘍を有するマウスにおけるRNA-NPの抗腫瘍活性もまた実証された(データは示されていない)。
これらのデータは、多層RNA-NPが全身的にDCを活性化し、抗原特異的免疫を誘導し、抗腫瘍効果を誘発することを示す。図3A~図3Dは、対照RNA-NPが、腫瘍特異的RNA-NPほど堅牢ではないいくつかの有効性で先天性応答を誘発することを示す。未処置のマウスと比較して、未複合体化NPの効果は観察されていないが、多層RNA NPに組み込まれた場合、非特異的(GFP RNA)及び腫瘍特異的RNAの両方が自然免疫を媒介するが、ただし、腫瘍特異的RNA-NPのみが長期的な生存の利益をもたらす適応免疫を誘発する(図3A~図3D)。上記のデータは抗腫瘍応答に関するものであるが、データは、本開示のRNA-NPが一般的に抗原特異的免疫を誘導する能力を示している。
実施例6
この例は、パーソナライズされた腫瘍RNA-NPが、トランスレーショナルイヌモデルにおいて活性であることを示す。
多層RNA-NPの安全性及び活性を、悪性神経膠腫又は骨肉腫と診断されたクライアント所有のイヌ(ペットのイヌ)で評価した。イヌの悪性神経膠腫又は骨肉腫を、最初に、パーソナライズされた腫瘍RNA-NPワクチンの生成のために生検した。
パーソナライズされた多層RNA NPを生成するために、各患者の生検から全RNA材料を抽出した。次に、抽出した全RNAからcDNAライブラリーを調整し、次に、cDNAライブラリーからmRNAを増幅した。次に、mRNAをDOTAP脂質NPと複合体化し、実施例1に実質的に記載されている多層RNA-NPにした。CD11c+細胞上のPD-L1、MHCII、CD80、及びCD86を評価するために、ベースラインで採血し、次に、ワクチン接種の2時間後及び6時間後に採血した。PD-L1、MHC-II、PDL1/CD80、及びPD-L1/CD86のCD11c発現を、イヌの最初の観察期間中に経時的にプロットする。CD3+細胞を、イヌの最初の観察期間中にCD4及びCD8の割合について経時的に分析し、これらのサブセットを、活性化マーカ(すなわち、CD44)の発現について評価した。これらのデータから、多層RNA-NPは、1)末梢DCの活性化を示すCD11c末梢血細胞上のCD80及びMHCIIの増加、並びに2)活性化T細胞の増加を誘発することが示された。
興味深いことに、投与後数時間以内に、腫瘍特異的RNA-NPは、末梢血単核細胞の辺縁趨向を誘発し、この辺縁趨向は、治療後数日及び数週間で増加したが、このことは、RNA-NPが放出前に免疫細胞集団のリンパ球ホーニングを媒介することを示唆している。
これらのデータは、パーソナライズされたmRNA-NPが、トランスレーショナルイヌ疾患モデルで安全かつアクティブであることを示す。
この方法で評価されたイヌの特定のデータを示す。31kgの雄のアイリッシュセッターを、多層RNA-NPを投与されることに飼い主の同意を得て、研究に登録した。腫瘍生検後、腫瘍mRNAを首尾よく抽出及び増幅した。免疫応答を、最初のワクチンに対してプロットした。データは、CD11c+細胞(DC)での経時的な活性化マーカの増加を示す(図4A)。データは、RNA-NPワクチン接種後の最初の数時間以内に活性化されるCD8+細胞(CD44+CD8+細胞)の増加を示す。これらのデータは、多層RNA-NPが、雄のアイリッシュセッターで免疫学的に活性であることを裏付ける。悪性神経膠腫と診断された雄のボクサーを、RNA-NPを投与されることに飼い主の同意を得て、研究に登録した。腫瘍生検後、腫瘍mRNAを首尾よく抽出及び増幅した。免疫応答を、最初のワクチンに対してプロットする(図4B)。データは、CD11c+細胞(DC)での経時的な活性化マーカの増加を示す。図4Cに示すように、RNA-NPワクチン接種後の最初の数時間以内に、活性化T細胞(CD44+CD8+細胞)の増加が観察された。これらのデータは、多層RNA-NPが雄のボクサー犬で免疫学的に活性であることを裏付けている。
毎週RNA-NP(×3)を投与された後、悪性神経膠腫と診断されたイヌは、着実な経過をたどった。ワクチン接種後のMRIは、増加した腫れ及び増強(いくつかの場合で)を伴う安定した腫瘍負荷を示したが、このことは、無症候性のイヌの免疫療法反応からの偽進行とより一致し得る。支持療法及び腫瘍特異的RNA-NP(切除なしの腫瘍生検後)のみを受けている悪性神経膠腫と診断されたイヌの生存率を図4Dに示す。図4Dでは、生存期間の中央値(点線で示されている)は約65日であり、これは対症療法のみを受けているイヌの脳腫瘍患者のメタアナリシスから報告された。以前の研究では、イヌの脳星状細胞腫は77日の全生存期間の中央値を有すると報告されている。パーソナライズされた多層RNA NPは、200日を超える生存を可能にした。
ワクチン接種の6時間後に初日に微熱が急増したことを除いて、パーソナライズされた腫瘍RNA-NP(1x)は、安定した血球数、差、腎機能及び肝機能検査で良好な耐容性を有した。これまでに、我々は、悪性脳腫瘍と診断された4匹のクライアント所有のイヌを治療してきた。これらのイヌは、悪性腫瘍に対して他の治療的介入(すなわち、手術、放射線又は化学療法)を受けておらず、評価された全ての患者が、偽進行又は安定した若しくはより小さな腫瘍を伴う免疫応答の発生を評価したことを強調することが重要である。臨床症状、身体検査所見、及び実験室試験に基づいて、1倍の用量でのヒトにおける調査を妨げるようなイヌの重大な毒性を評価していない。RNA-NPワクチン接種後に、1匹のイヌを剖検した。この患者では、介入剤に関連すると考えられる毒性はなかった。
これらの結果は、他の抗腫瘍治療介入を受けていない対象について、悪性脳腫瘍を有するクライアント所有のイヌにおける腫瘍特異的RNA-NPの安全性及び活性を示唆する。
実施例7
この実施例は、C57BL/6マウスへの静脈内送達後にDOTAPリポソームにカプセル化されたマウス神経膠腫mRNA及びpp65 mRNAの毒性研究を示す。
この研究の目的は、C57BL/6マウスに静脈内送達した場合の、DOTAPリポソームによってカプセル化されたpp65 mRNAの安全性を評価することであった。病理学調査に適用可能な実験手順を、表1に要約する。全ての中間期の動物を、35±1日目に剖検のために提出した。表2に列挙されている組織試料を収集し、眼及び精巣組織を除いて、10%中性緩衝ホルマリン中に固定し、これをダビッドソン溶液中に固定し、早期に死亡した動物の組織を、10%中性緩衝ホルマリン中に固定した。
Figure 2023520506000004
Figure 2023520506000005
顕微鏡評価に必要な組織は、Charles River Laboratories Inc.、Skokie,Illinoisにより、トリミングされ、定期的に処理され、パラフィンに包埋され、ヘマトキシリン及びエオシンで染色された。光学顕微鏡による評価は、群1及び4の全ての動物、及び早期死亡動物からのプロトコルで指定された全ての組織について、理事会認定の獣医病理学者である寄稿者により実施された。
プロトコル毎に顕微鏡で評価されるはずだったがスライド上で入手できなかった(したがって評価されなかった)組織は、病理学レポートの「個別動物データ」に、「存在せず」として列挙されている。各処置群から検査された組織の数は解釈するのに十分であったため、これらの欠落した組織は、研究の病理学部分の結果又は解釈に影響を与えなかった。
肉眼的病理学:試験品に関連する肉眼的所見は認められなかった。観察された肉眼的所見は、この系統及びマウスの年齢で一般的に観察される性質に付随するものと見なされ、かつ/又は対照及び処置動物で同様の発生率であったので、DOTAPリポソーム中の1:1比のpp65 mRNA及びKR158mRNAの投与とは無関係であると見なされた。
組織病理学:試験品に関連する顕微鏡所見は認められなかった。注射部位に炎症性細胞浸潤を有する動物が数匹いたが、この所見は注射部位に一般的であり、研究のこの時点では、曖昧であると考えられた。観察された顕微鏡所見は、この系統及びマウスの年齢で一般的に観察される性質に付随するものであると見なされ、かつ/又は対照及び処置動物で同様の発生率及び重症度であったので、DOTAPリポソーム中の1:1比のpp65 mRNA及びKR158mRNAの投与とは無関係であると見なされた。
研究0、14、及び28日目に、1.0mg/kg KR158及びpp65 mRNA+15.0mg/kg DOTAPリポソームをマウスの尾静脈に静脈内注射しても、35日±1日目に、研究に関する肉眼的又は顕微鏡的試験品関連の所見は得られなかったと結論付けられた。注射部位には少量の炎症性細胞浸潤があり、これは注射部位の一般的な所見である。この発見は曖昧であった。
実施例8
この実施例では、多層RNA-NPでトランスフェクトされたpDCの抗原特異的T細胞プライミングに対する影響を決定することを目的とした研究について記載されている。
pDCは、自然免疫及びI型IFNの周知の刺激因子であるが、それらはまた、腫瘍内獲得免疫に対する重大な影響も媒介する。それらは、1)腫瘍特異的T細胞のプライミングのための抗原を直接提示し得、2)他のDCサブタイプのケモカイン補充を介して(ケモカインCCL3、CCL4、CXCL10を介して)適応応答を支援し得、3)IL-12分泌を介してTh1免疫を極性化し得、かつ/又は4)DCローディング及びT細胞プライミングのために(サイトカイン、TRAIL若しくはグランザイムBを介して)腫瘍抗原の放出を媒介し得る。これらのエフェクター機能にもかかわらず、pDCは、また、免疫調節分子(IL-10、TGF-β、及びIDO)の放出及び制御性T細胞(Treg)の促進により免疫を弱め得る。この研究の目的は、獲得免疫及び抗原特異的T細胞プライミングに対するRNA-NPトランスフェクトpDCの影響を解明することである。RNA-NP活性化pDCは、抗原特異的免疫の直接プライマーとして機能し、エフェクターT細胞応答の促進において古典的DC(cDC)及び/又は骨髄由来DC(mDC)を支援すると仮定される。これらの実験は、RNA-NP媒介免疫に必要なpDCの活性化状態及び免疫療法効果の強化に採用され得る経時的な枯渇に、新たな光を当てることである。
統計解析
生存率が重要である実施例9.1の研究では、ログランク検定を使用して、処置群と対照群との間でKaplan-Meier生存曲線を比較する。我々の腫瘍モデルの経験は、未処置の対照マウスの全生存期間の中央値は約30日であり、生存期間は形状パラメータk=6のWeibull分布に従うことを示す。例として、2つの担癌群(処置及び未処置)に各々10匹のマウスを使用し、0.05の有意性で評価された片側ログランク検定を使用した生存曲線の比較は、未処置群と比較した処置群の8日間の生存期間の中央値の改善を検出するための少なくとも80%の力がある。この効果量は、対立仮説効果量の下で形状パラメータk=6の1000のWeibull分布生存データセットをシミュレートすることによって決定され、p<0.05で有意であったこれらのデータセットのログランク検定の割合を観察した。実施例9.2~9.4の研究では、異なる時間に観察される応答を、治療と観察時間との間に相互に排他的な群が分散された双方向ANOVAモデルを使用して分析し、一般化線形混合効果モデル(GLMM)を使用して経時的な免疫応答パラメータの変化を評価する。少なくとも1回完全に複製された実験についての応答変数は、GLMMを使用して分析される。実験的複製は、「バッチ」又は「実験日」の変動性を説明するランダム効果としてモデル化される。処置群及び対照群を、固定効果としてモデル化し、混合効果モデリングフレームワーク内にネストされたANOVAタイプの設計を使用して比較する。
実施例8.1
本実施例は、野生型及びpDC KOマウスにおけるRNA-NPの抗腫瘍効果を測定するために設計された実験を説明する。
KR158b-luc、GL261-luc、及びマウスH3.3K27M変異細胞株の腫瘍形成能が設定されている。KR158b-luc及びGL261-lucは両方ともルシフェラーゼでトランスフェクトされるため、生物発光イメージングを使用して腫瘍の成長を監視し得る。KR158b-luc及びH3K27M変異ラインの腫瘍原性用量は、1x10細胞である。GL261-lucの腫瘍原性用量は、1x10個の細胞である。GL261及びKR158を、C57Bl/6の大脳皮質に注入する(前項の右側2mmの部位で脳の深さ3mm)。H3K27M神経膠腫細胞は正中線に注入される。腫瘍mRNAを、375μgの本発明者等のカスタム脂質-NP製剤(マウス1匹当たり)と複合体化される25μgの腫瘍特異的mRNAの静脈内(iv)注射からなるワクチン製剤のために、親細胞株(すなわち、ルシフェラーゼを含まないKR158b)から抽出する。これらを、NPのみ及び非特異的(すなわち、pp65 mRNA)RNA-NPを投与された10匹の陰性対照マウスと同時に比較する。マウスを、腫瘍移植の5日後から7日間隔で3回ワクチン接種する。IFN-αレベルを、連続した時点(5日、12日、及び19日)で、野生型及びpDC KOマウスの血清から評価する。治療反応を示すが疾患に屈する野生型マウスでは、腫瘍における免疫学的回避メカニズム(すなわち、チェックポイントリガンドの発現、IDO、MHCクラスIのダウンレギュレーション)及び腫瘍微小環境内(すなわち、MDSC、Treg、及びTAM)が調査される。
これらのモデルにおけるRNA-NPの抗腫瘍活性を示す前臨床データに基づいて、抗腫瘍活性はpDC KOマウスで無効になると予想される。
実施例8.2
本実施例は、RNA-NPによる活性化後のpDC表現型及び機能を決定するために設計された実験を説明する。
pDC表現型を評価するために、KR158bを有するC57Bl/6マウスに、375μgのFITC標識DOTAP(Avanti)及び25μgのTTRNA(KR158bに由来し、静脈内送達)から構成されるTTRNA-NPをワクチン接種する。ワクチン接種の24時間後、脾臓、腫瘍排出リンパ節(tdLN)及び腫瘍の収集のために、レシピエントマウスを安楽死させる(CO2で人道的に殺す)。臓器を単一細胞懸濁液に消化させ、37℃で5分間インキュベートする前に、RBC溶解(PharmLyse、BD Bioscience)させる。Ficoll勾配を用いて、実質細胞からWBCを分離する。界面の細胞を、収集し、洗浄し、分析する。pDCを、CD11c、B220、及びGr-1(エビオサイエンス(ebioscience))のために染色する。異なるpDCサブセットを、CCR9、SCA1、及びLy49qの示差染色によって識別する。活性化状態を、共刺激分子(すなわち、CD40、CD80、CD86)ケモカイン(すなわち、CCL3、CCL4、CXCL10)及びケモカイン受容体(すなわち、CCR2、CCR5、CCR7)の発現に基づいて評価する。検出二次抗体は、FITC検出用にAlexaFlour(登録商標)488(ThermoFisher Scientific)と複合体化させたウサギIgGである。エフェクター対調節機能を、エフェクター(すなわち、IFN-I、IL-12)対調節性サイトカイン(すなわち、TGF-β、IL-10)の細胞内染色によって決定する。分析は、マルチパラメータフローサイトメトリ(LSR、BD Bioscience)及び免疫組織化学(IHC)によって実施されるであろう。
末梢及び腫瘍内臓器におけるpDCの実質的な増加を示す我々の予備データに基づいて、脾臓、tdLN、及び頭蓋内腫瘍におけるFITC陽性pDCを特定することが期待される。
実施例8.3
本実施例は、RNA-NPトランスフェクトpDCが抗原特異的T細胞の直接的又は間接的な活性化を媒介するかどうかを決定するために設計された実験を説明する。
pDCは、自然免疫及びI型IFNの周知の刺激因子であるが、抗原特異的応答に対するそれらの累積的な影響はまだ明らかにされていない。それらはMHCクラスIIを発現するので、APC能力を有するが、cDCの対応物と比較すると、それらは、抗原特異的免疫の弱い直接プライマーであると考えられている。本実験は、RNA-NPという観点から、抗原特異的免疫の直接プライマー又は促進剤のいずれかとしてのpDCのより良い理解を生み出すことを目的とする。抗原特異的T細胞に対するpDCの効果を決定するために、KR158b保有マウスに、脾臓、tdLN及び頭蓋内腫瘍(上記の通り)由来のFITC標識NP(Avanti)、及びFACSort(BD Aria II)関連FITC+pDCにカプセル化されたTTRNA(マウス神経膠腫株KR158b由来)をワクチン接種する。次に、RNA-NPトランスフェクトpDCを、磁気的に分離したナイーブCD4及びCD8 T細胞と共培養し、T細胞を、増殖、表現型(エフェクター対中央メモリー)、機能及び細胞傷害性について評価する。pDCからの間接的な影響を、ナイーブCD4及びCD8 T細胞を有するTTRNAをロードしたDC(マウス骨髄からエクスビボで成熟)とのエクスビボ共培養によって評価する。エクスビボ共培養は、CFSE(Celltrace、Life Technologies)で標識されたナイーブT細胞(400,000個のT細胞を含む40,000個のRNA-NPトランスフェクトpDC)を含む96ウェルプレートで7日間、3回行う。T細胞の増殖は、フローサイトメトリーによってCFSE希釈を測定することによって決定される。エフェクター及び中央メモリー集団の表現型は、CD44及びCD62Lの示差染色によって決定される。これらのT細胞は、ビーズアレイ(BD Biosciences)によるTh1サイトカイン(すなわち、IL-2、TNF-α、及びIFN-γ)の検出のために上清を回収する前に、合計2サイクル再刺激される。刺激されたT細胞は、KR158b(GFPで安定的にトランスフェクトされた)又は対照腫瘍(B16F10-GFP)の存在下でもインキュベートされ、細胞毒性を誘導する能力について評価される。生存腫瘍細胞の代用としての、各共培養におけるGFPの量は、フローサイトメトリーによって定量的に測定される。
FACSortされたRNA-NPトランスフェクトpDCのインビボ効果は、これらの細胞(250,000細胞/マウス)を担癌マウス(毎週x3)に養子移入し、IFN-γレポーターマウス(GREATマウス、B6トランスジェニック、IRES-eYFPレポーターを有するIFN-γプロモーターを含む、Jackson labs)でのYFP発現によって抗原特異的T細胞を評価するために、1週間後に脾臓、tdLN、及び腫瘍を採取することによって決定する。別の実験では、1週間後にYFP発現によって抗原特異的T細胞を測定するために脾臓、tdLN、及び頭蓋内腫瘍を採取する前に、IFN-γレポーターマウスに、pDC枯渇mAb有り又は無しでTTRNA-NPをワクチン接種する。T細胞機能アッセイを、上記のように実施する。
これらのpDCは、直接的及び/又は間接的な手段のいずれかを介して抗原特異的T細胞をプライミングするために必要であると予想される。
実施例8.4
本実施例は、RNA-NPで活性化されたpDCが、cDC及び/又はmDCからの抗原特異的T細胞プライミングを促進するかどうかを決定するために設計された実験を説明する。
pDCからのIFN-I放出は、cDC及びmDCの活性化マーカを増加させることが知られているが、cDC/mDCからの直接T細胞プライミングにおけるpDCの役割はあまり明確ではない。この実験は、活性化されたpDCの存在下又は非存在下で抗原特異的T細胞をプライミングするRNAトランスフェクトcDC及びmDCの能力を解明することを目的としている。他のDCサブセットに対するpDCの効果を決定するために、C57Bl/6及びpDCノックアウト(KO)マウス(BDCA2-DTR、B6トランスジェニックマウス、Jackson labs)を有するKR158bにワクチンを接種し、cDC及びmDCからのT細胞プライミングを評価する。FITC+cDC及びmDC集団は、静脈内投与TTRNA-NP(FITC標識)の24時間以内にFACSortを介して識別され、増殖、機能及び細胞毒性アッセイに基づいて、ナイーブT細胞応答をインビトロでプライミングする能力について評価される。常駐及び移動性cDCを、それぞれCD11c+CD103+MHCII+細胞及びCD11c+CD11b+MHCII+細胞によって識別し、mDCを、CD11c+CD14+MHCII+細胞によって識別する。サイトカイン、ケモカイン及び活性化マーカを、実施例9.1に記載されているように分析する。これらのcDC/mDCのインビボ効果を、実施例9.2に記載されるように、細胞移動実験において実施する。簡単に説明すると、TTRNA-NPワクチン接種C57Bl/6マウス又はpDC KOマウスからのFACSortされたcDC及びmDCを、1週間後にIFN-γレポーターマウスにおけるYFP発現による抗原特異的T細胞を評価するために脾臓、tdLN、及び頭蓋内腫瘍を採取する前に、担癌マウス(週1回x3)に養子移入する(250,000細胞/マウス)。増殖、機能及び細胞毒性のアッセイを実施する。
ML RNA-NPは、活性化表現型を増強し、cDC及びmDCからのT細胞の直接プライミングを促進するpDCを活性化すると予想される。
cDC及び/又はmDCに対するpDCからの間接的な影響がない場合、NK細胞に対するpDCの影響は、それらの活性化状態、機能、及び細胞毒性を含めて評価される。
実施例8.5
本実施例は、pDCが腫瘍内微小環境内で時間の経過とともにエフェクター/制御性T細胞にどのように影響するかを決定するために設計された実験を説明する。
腫瘍へのpDCの動員は、通常、IDO、FoxP3+Tregの増加、及び免疫調節性サイトカインの分泌を特徴とする調節表現型に関連する。本実験では、RNA-NP活性化pDCが、腫瘍微小環境でT細胞を経時的に活性化することによって明確に機能するかどうかを決定する。pDCの腫瘍内効果を決定するために、TTRNA-NPを、pDC枯渇mAb(Bioxcell)の有無にかかわらず、IFN-γレポーターマウスを有するKR158bに投与する。活性化及び制御性T細胞を、連続した時点(6時間、1日、7日、及び21日)で、腫瘍内微小環境で経時的に評価する。エフェクターT細胞が特徴付けられ、Tregは、FoxP3、CD25、及びCD4の発現を通じて表現型が決定される。枯渇していない動物からのpDCは、これらの部位からFACSortされ、サイトカイン、ケモカイン、活性化マーカ(すなわち、CD80、CD86、CD40)、細胞溶解マーカ(すなわち、TRAIL、グランザイムb)及び調節マーカ(すなわち、IL-10、TGF-β、IDO)のために表現型が決定される。腫瘍細胞による免疫表現型の変化も経時的に評価する(すなわち、MHC-I、PD-L1、SIRPα)。
実施例9
本実施例では、RNA-NPで活性化されたT細胞の排出、輸送、及び機能に対するI型インターフェロンの役割を評価することを目的とした研究について説明する。
統計分析:腫瘍を有するマウスを、介入治療を受ける前にランダム化する。群当たり10匹の動物を選択すると、関心のある効果を検出するのに十分な力が得られるはずである。例として、特定の時間に観察された7つの処置群を有するANOVA設計内で、ANOVAフレームワーク内で実行された対比較は、0.05の両側有意水準で80%の力で1.27SDユニットに等しい効果サイズを検出し得る。いくつかの観察時間に実験群で観察された免疫パラメータ応答を、通常又は負の二項応答誤差を有する一般化線形モデル(GLM)を使用して分析する。応答を、相互に排他的な群が処理及び観察時間に分散された双方向ANOVA設計で編成する。少なくとも1回完全に複製された実験についての応答変数は、GLMMを使用して分析される。実験的複製は、「バッチ」又は「実験日」の変動性を説明するランダム効果としてモデル化される。処置群及び対照群を、固定効果としてモデル化し、混合効果モデリングフレームワーク内にネストされたANOVAタイプの設計を使用して比較する。
実施例9.1
本実施例は、RNA-NPワクチン接種後の抗原特異的T細胞のケモカイン受容体、S1P1、及びVLA-4/LFA-1発現プロファイルを決定するために設計された実験を説明する。
リンパ器官からのT細胞の退出に必要なスフィンゴシン-1-リン酸受容体1(S1P1)に対するIFN-Iの効果、及びBBBを通過するT細胞の移動に必要なインテグリン(すなわちVLA-4、LFA-1)を評価する。IFN-γレポーターマウスを有するKR158b、又はIFNAR1ブロッキングmAb(Bioxcell)を投与されているIFN-γレポーターマウスに、TTRNA-NPを移植する。25μgのTTRNAを有する375μgのDOTAP(Avanti)で構成されるRNA-NP(KR158bから抽出して静脈内投与)は、週に1回(x3)投与され、移植から5日後に開始される。最後のワクチン接種から1週間後、レシピエントマウスを安楽死させ(COで人道的に殺す)、脾臓、tdLN、骨髄、及び頭蓋内腫瘍を採取する。臓器を消化させ、脾臓、リンパ節、骨髄及び腫瘍からの抗原特異的T細胞を、YFP発現並びにエフェクター及び中央メモリーT細胞(すなわち、CD62L及びCD44)についての示差染色によって連続した時点(7、14及び21日目)で識別する。CD4及びCD8T細胞からのTh1関連ケモカイン受容体(すなわち、CCR2、CCR5、CCR7及びCXCR3)、S1P1発現、VLA-4、及びLFA-1発現(ebioscience)を、マルチパラメータフローサイトメトリ及びIHCによって評価する。
LFA-1及びCCR2は、RNA-NP投与後に活性化T細胞に発現すると予想される。IFNAR1 mAb後の活性化T細胞のケモカイン発現パターン、S1P1、インテグリンに変化がない場合、IFNAR1 mAb有り又は無しで処置されたマウスのFACSソートT細胞(YFP+細胞)でRNA-seq分析を行い、免疫関連遺伝子の変化を評価する。
実施例9.2
本実施例は、RNA-NP活性化T細胞のインビトロ及びインビボ遊走に対するIFN-Iの効果を決定するために設計された実験を説明する。
IFNAR1遮断後に末梢臓器における抗原特異的T細胞が増加したが、抗腫瘍効果が欠如したことを示す我々のデータに基づき、RNA-NP活性化T細胞遊走に対するIFN-γの効果を決定する。KR158bを有するIFN-γレポーターマウス、又はIFNAR1、LFA-1、又はCCR2ブロッキング抗体を投与されるIFN-γレポーターマウスに、静脈内TTRNA-NPを週に1回(x3)ワクチン接種する。BBBのインビボ横断を、連続した時点(RNA-NP後5日、10日、15日、20日)での頭蓋内腫瘍(脾臓、リンパ節、骨髄と比較して)中のT細胞の百分率及び絶対数から評価する。
T細胞の遊走能をまた、インビトロ培養を介して分析する。KR158b腫瘍を有するナイーブな、INFAR1、LFA-1、又はCCR2 KO動物(B6 transgenic、Jackson)に、静脈内TTRNA-NPをワクチン接種する。T細胞を、BD Aria II Cell Sorterを介して50~100%FBS溶液にFACSortする。これらのT細胞を、トランスウェルアッセイ(ThermoFisher Scientific)で遊走能について評価する。簡単に説明すると、T細胞を、KR158b-GFP腫瘍細胞の層の間に透過膜を有する細胞培養インサートの上層に配置する。遊走を、レイヤー間を移動するセルの数によって評価する。T細胞を、ELISA(ebioscience)によりIFN-γを決定する前に、腫瘍細胞(4x10/mL)(x48時間)との共培養のために、IL-2(1マイクログラム/mL)有り又は無しで、1mL当たり4x10の濃度で、T細胞培地中でプレーティングする。生存腫瘍細胞の代用として、各共培養におけるGFPの量を、フローサイトメトリー分析によって定量的に測定する。
BBBを通過する活性化T細胞の輸送には、I型IFNが必要であると予想される。抗原特異的T細胞を適切に定義できない場合、生理学的に関連するGBM抗原であるpp65(我々の腫瘍mRNAコホートにスパイクされる)に対する応答を、脾臓、tdLN及び頭蓋内腫瘍中でのCD8+細胞のテトラマー染色によるpp65-HLA-A2制限エピトープNTUDGDDNNDVの分析により、HLA-A2トランスジェニックマウスで、重複ペプチドプール再刺激アッセイによって追跡する。
実施例9.3
本実施例は、RNA-NP後の抗原特異的T細胞機能に対するIFN-Iの寄与を説明する。
IFN-Iは、Tregを促進し、エフェクター及びメモリーCD8+細胞(56)を調節することが示されており、RNA-NPワクチン接種後の活性化T細胞応答の促進にも不可欠である。これらの明確な効果により、RNA-NPワクチン投与後の抗原特異的T細胞機能に対するIFN-Iの寄与が決定される。KR158bを有するIFN-γレポーターマウス、又はIFNAR1 mAbを投与されているIFN-γレポーターマウスに、週に1回(x3)静脈投与TTRNA-NPをワクチン接種する。抗原特異的T細胞を、YFP+細胞により評価する。脾臓、リンパ節、骨髄及び腫瘍からのYFP+T細胞を、それらの活性化状態(すなわち、CD107a、パーフォリン、グランザイム)、増殖(CellTrace Violetで標識された養子移入細胞の蛍光希釈による)、分化(エフェクター及び中央メモリーサブセットへ、及び細胞毒性について評価する。T細胞の細胞傷害性を、KR158b(安定してGFPでトランスフェクトされた)又は対照腫瘍(B16F10)の存在下で決定する。I型IFNは、腫瘍微小環境内でT細胞の増殖及び機能を増強することもまた期待される。
I型IFNの遮断後に抗原特異的T細胞の移動能力又は機能に変化がない場合、T細胞枯渇の調節に対するI型IFNの効果を評価する。免疫チェックポイント(すなわち、PD-1、TIM-3、LAG-3)及び腫瘍細胞及びAPC(すなわち、PD-L1、ガレクチン-9)に対するそれらのリガンドの発現に対するI型IFNの効果も評価する。
実施例10
本実施例は、非抗原特異的多層(ML)RNA NPが、記憶を与え、腫瘍の再チャレンジをかわすのに十分な長さの抗原特異的免疫を媒介することを示す。
腫瘍接種により合計2回チャレンジされたが、GFP RNA若しくはpp65 RNAを含むML RNA NP(各々腫瘍に非特異的である)、又は腫瘍特異的RNAを含むML RNA NPで毎週1回(x3)のみ処置された長期生存マウス(例えば、約100日間生存したマウス)を用いて、実験を行った。処置は、最初の腫瘍接種の直後及び2回目の腫瘍接種の約100日前に行われた。対照マウス(未処置のマウス)はいずれも100日まで生存しなかったため、同じタイプのマウスにK7M2腫瘍を接種することにより、新しい対照群のマウスを作成した。元の対照マウスと同様に、新しい対照群は、何の処置も受けなかった。長期生存者もまた、2回目の腫瘍接種後に処置を受けなかった。この実験のイベントのタイムラインを、図7Aに示す。
注目すべきことに、3つの群全てのマウスは、2回目の腫瘍チャレンジを生き延びた長期生存者を含んでいた。図7B(2回目の接種後の期間のみを示す)に示すように、3つの群全てのマウスには、腫瘍移植後40日まで生存する長期生存者が含まれていた(腫瘍接種の2回目の例)。興味深いことに、非特異的RNA(GFP RNA又はpp65 RNA)を含むML RNA NPで以前に治療された長期生存マウスの百分率は、腫瘍特異的RNA(2回目の腫瘍チャレンジの前に処置)を含むML RNA NPで治療された群に匹敵する、2回目の腫瘍接種後40日まで生存した。
これらのデータは、対象の腫瘍に非特異的なRNAを含むML RNA NPが、腫瘍に特異的なRNAを含むML RNA NPにより提供される治療的処置に匹敵する治療的処置を腫瘍に提供し、動物の生存率の増加した百分率につながることを裏付けている。
実施例11
この実施例は、本開示のナノ粒子がSARS CoV-2に対する免疫応答を誘発する能力を実証する。
多層RNA NPは、基本的に実施例1に記載されているように作製する。ナイーブマウスに、多層RNA NPsを注入する。マウスを実施例5に本質的に記載したように評価して、肺へのRNA NPの局在を決定する。注射されたマウスから得られた血液は、SARS CoV-2 Sタンパク質に特異的な中和抗体についてアッセイする。具体的には、RNA NPの投与後1、6、10、14、及び21日で、マウスから血液試料を取得する。Matsubara et al.,PLoS One 8(7):e65281(2013)に記載されている技術に従って、試料をSARS-CoV-2ウイルスに対する中和抗体についてアッセイする。
結合抗体は、コロナウイルスCOVID-19 IgG ELISAアッセイキット(Eagle Bioscience,Amherst NH,SKU:KT-1032から市販)を使用して、ワクチン接種された患者のヒト血清からも評価する。中和は、偽型ウイルスを使用して評価する。MLVベースの偽型(SARS-CoV-2スパイクタンパク質を含む)は、Millet and Whittaker,Bio Protoc.2016 December 5;6(23)(doi:10.21769/BioProtoc.2035)に以前に記載されたように調製する。簡単に説明すると、HEK293T細胞を、SARS-CoV-2スパイクをコードするプラスミド、MLV Gag-Polパッケージング構築物、及びルシフェラーゼレポーターをコードするMLVトランスファーベクターと同時トランスフェクトする。細胞をトランスフェクション培地とともに37℃で5時間インキュベートする。次に、細胞をDMEMで2回洗浄し、10%FBSを含むDMEMを60時間添加する。上清を回収し、0.45mm膜で濾過し、30kDa膜で3,000rpmで10分間濃縮し、次いで-80℃で凍結する。
次に、ACE2を安定的にトランスフェクトしたHEK293T細胞に、ヒト血清の存在下で調製した偽型ウイルスを感染させる。ACE2発現293T細胞を24ウェルプレートに2.5×10細胞/ウェルでコンフルエントになるまで播種する。次に、ウェルに200μlの偽型ウイルス溶液を接種するか、又はワクチン接種患者からのヒト血清を有する場合及び有さない場合で、感染していない対照条件(ウェル当たり200μlのDMEM-C溶液)で維持する。細胞を37℃、5%COで1~2時間インキュベートした後、300μlのDMEM-Cを添加する。細胞を、37℃、5%COで72時間インキュベートする。上清を吸引する。ルシフェリン基質の添加後、バイオルミノメータを使用して、上清及び細胞の両方をルシフェラーゼ発現について評価する。中和の成功は、対照条件と比較して、ヒト血清の添加によるルシフェラーゼ発現の統計的に有意な減少に基づいて決定する。
実施例12
この実施例は、本開示のナノ粒子をヒト対象に投与する方法を記載する。
多層RNA-NPは、GMP条件下で実施例1に記載のように作製する。NPは、注射によって25mcg、100mcg、又は250mcgでヒト対象に投与する。以下の主要アウトカム指標が決定される。
*要請された局所反応原性有害事象(AE)の頻度[時間枠:ワクチン接種後7日間まで]
*診療を要した有害事象(MAAE)の頻度[時間枠:1日目~394日目]
*新たに発症した慢性病状(NOCMC)の頻度[時間枠:1日目~394日目]
*重篤な有害事象(SAE)の頻度[時間枠:1日目~394日目]
*自発的有害事象(AE)の頻度[時間枠:ワクチン接種後28日まで]
*要請された全身性反応原性有害事象(AE)の頻度[時間枠:ワクチン接種後7日まで]
*自発的有害事象(AE)のグレード[時間枠:ワクチン接種後28日まで]
*要請された局所反応原性有害事象(AE)のグレード[時間枠:ワクチン接種後7日まで]
*要請された全身性反応原性有害事象(AE)のグレード[時間枠:ワクチン接種後7日まで]
この試験は、本開示のML RNA NPの安全性、反応原性及び免疫原性を評価するために設計されている。
実施例13
この実施例は、SARS-CoV-2に対する免疫応答をインビボで誘導するために、本開示の多層RNA NPを投与する方法を記載する。
SARS-CoV-2全長スパイクmRNAの機能活性を確認するために、SARS-CoV-2全長スパイクをコードするmRNAを含むML RNA NPをナイーブC57Bl/6マウスに投与した。1週間以内に3回のワクチンがマウスに投与された。
ワクチン投与の約10日後、マウスから末梢血単核細胞(PBMC)を採取し、重複するSARS-CoV-2スパイクペプチドによる再刺激時のエクスビボエフェクターメモリーT細胞の拡大を測定することによる、ML RNA NPに対する記憶想起応答を評価した。簡単に言えば、PBMCをSARS-CoV-2スパイク糖タンパク質からの11-aa重複を含む15-merの200ngのオーバーラップペプチドミックス(PepMix(商標)SARS-CoV-2(Spike Glycoprotein)、JPTペプチド)で再刺激した。対照PBMCは刺激されていなかった。未処置のマウス(ワクチン未接種のマウス)から採取したPBMCを別の対照として使用した。36時間培養した後、PBMCを回収し、CD3+CD8+CD44+サブセットを染色することによりエフェクターメモリー細胞を染色した。染色されたPBMCのサブセットを、未処置マウスから採取したPBMCのサブセットと比較した(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、Mann-Whitney検定)。結果を図21A及び図21Bに示す。
図21Aに示すように、SARS-CoV-2スパイクML RNA NPは、ML RNA NPを投与されなかったマウスと比較して、ワクチン接種後により多くのエフェクターメモリーT細胞を有し、SARS-CoV-2スパイクタンパク質に対して重複するペプチドミックスによるインビトロでの再刺激後、記憶想起が大幅に拡大した。(図21Aの右側の黒丸を参照)。有効なメモリーT細胞の数は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質での再刺激時に、タンパク質で刺激されていない場合と比較して増加し、これは、T細胞の増加がSARS-CoV-2特異的応答であると示唆している。共培養アッセイウェルの上清もサンプリングした。マルチプレックス分析の後、MIP-1-α(すなわち、CCL3)の放出の増加が再刺激細胞で観察されたが、これは、Th1を介した記憶想起を強く示唆している。図21Bを参照されたい。MIP-1-αは、ワクチン接種による記憶想起に関与している。要約すると、SARS-CoV-2スパイクRNA-LPを投与されたマウスは、ワクチン接種後により多くのエフェクターメモリーT細胞を有し、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の重複ペプチドミックスによるインビトロ再刺激後に記憶想起が大幅に拡大した。
実施例14
この実施例は、本開示のナノ粒子をヒト対象に投与する方法を記載する。特に、この実施例では、成人におけるSARS-CoV-2スパイクRNA-LPワクチンの安全性及び免疫学的活性を特徴付ける研究について説明する(例:SARS-CoV-2特異的中和抗体、SARS-CoV-2特異的T細胞、及びワクチン接種患者における経時的な記憶想起応答の存在)。
この試験は、新たに診断された成人MGMT非メチル化膠芽腫(GBM)に対するSARS-CoV-2スパイク/腫瘍RNA-LPワクチンのヒト第I相研究としては初めてのものである。この試験には、最大耐性量(MTD)を効率的に特定するために、最初に埋め込まれた加速漸増デザイン(ATD)を備えたBOINデザインを使用した用量漸増試験が含まれる。1つの目的は、製造の実現可能性及び安全性を実証し、新たに診断されたMGMT非メチル化GBMの成人患者におけるRNA-LPワクチンのMTDを決定することである。膠芽腫(GBM)の患者は、この疾患及びその治療で見られる重大なリンパ球減少症を考えると、COVID-19感染のリスクが高くなる。COVID-19から保護すると同時に、疾患に対する治療効果を媒介するワクチンは、大きな利益をもたらすであろう。
この試験は、手術、放射線、免疫療法の3つの部分からなる。
手術:潜在的に適格な対象は、RNA抽出、増幅、及び脂質粒子(LP)のローディングに適した方法での腫瘍材料の無菌回収に関するスクリーニングコンセントに登録される。腫瘍材料はフロリダ大学(UF)に一晩送られる。確認病理学的診断(現地の施設で)を伴う外科的切除の後、インフォームドコンセントが得られた後、患者は試験に登録される。一方、研究実施者は、登録サイトに返送される腫瘍特異的RNA-LPワクチンを生成する。
放射線:放射線療法は、手術後4週間(+/-14日)以内又は施設の判断により、より早くに開始する必要がある。標準的な外部ビームRTは、TMZと同時に投与される(Stratum1のみ)。GBMを有する対象に対する外部ビームRTの投与に関する施設内の慣行に従うことができる。テモゾロミド(TMZ)75mg/m/日の42回の投与は、放射線治療の遅れを考慮して、放射線治療中最大49日間連続して行われる。進行中の臨床及び実験室での評価、及び付随するTMZの忍容性のために、TMZの遅延又は中止が必要になる場合がある。適格性はMGMT非メチル化初代成人型GBMに限定されているため、患者はテモゾロミドのアジュバントサイクルを受けない。
標準的な外部ビームRTが投与される。成人のMGMT非メチル化GBM対象に対する外部ビームRTの投与については、施設内の慣行に従うことができる。それ以外の場合は、次のガイドラインを使用するべきである、
標的体積の定義:(a)肉眼的腫瘍体積(GTV):GTVには、MR画像及び手術報告によって定義される全ての肉眼的残存腫瘍及び/又は腫瘍床が含まれる。多くの場合、GTVは収縮又は崩壊した腫瘍床を伴う。外科的アプローチに起因する組織欠損は、以前に腫瘍に関与していなかった場合、GTVの一部として含まれない。(b)臨床標的体積(CTV):CTVは無症状の顕微鏡的疾患を治療することを意図しており、GTVの解剖学的に制約された5~10mmのマージンであり、必要に応じてT2/FLAIR変化の、手術前の腫瘍関与の疑いのある領域を包含するために追加の拡張が行われる。CTVは、該当する場合、骨の頭蓋冠、大脳鎌、及びテントの範囲に限定され、腫瘍の拡大又は浸潤が確実に発生していない神経解剖学的構造までは拡張するが、それを超えて拡張しない。GTVが解剖学的コンパートメントの境界に近づくと、CTVは境界まで伸び、境界を含む。
計画標的体積1(PTV1):CTV+3mm;計画標的体積2(PTV2):GTV+3mm。
総線量:PTV1-2Gy/フラクションで46Gy又は1.8Gy/フラクションで45-50.4Gy;PTV2-59.4-60Gy.
フラクション当たりの線量:毎日1.8~2.0Gy/fx、週5日。PTV1及びPTV2は、30~33回のフラクションで連続した段階で送達する必要がある。
免疫療法:RNA-LPの投与は、末梢血球数が回復するまで待機し(すなわち、ANC>1500/L、血小板>150/L)、及び放射線照射後のMRIの評価後(ベースライン用)、放射線照射後4週間以内に開始する。RNA-NPの投与を繰り返すと末梢血の血球減少症が誘発される可能性があるため、より高いしきい値を設定する。放射線照射後、患者は2週間毎に3回のRNA-LPワクチンを受け、その後、月1回のアジュバントRNA-LPワクチンの12サイクルを開始し、合計15回の投与を行う。
対象:最大28人の成人患者が、最初に埋め込まれた加速漸増デザイン(ATD)を含むベイズ最適間隔(BOIN)デザインを使用した用量漸増試験に登録される。選択及び除外基準を図23及び図24に示す。
薬剤投与
TMZ:対象は、放射線照射中に(経口で)テモゾロミド(TMZ)、75mg/m/日を投与される(層1のみ)。投与は1日目の放射線療法で行われ、最大42日間進行する。一般に、TMZは空腹時(少なくとも食事の1時間前又は2時間後)に、毎日の放射線照射及び放射線照射中の週末のほぼ同じ時間に服用する。実際、TMZの吸収は食物の影響を受けるため、食物に対する投与の一貫性が示唆されている。吐き気と嘔吐を軽減し、吸収を改善するために、空腹時の就寝時(少なくとも食前1時間又は食後2時間)に投与することが好ましい。たとえ複数のカプセルサイズで構成されていたとしても、全量を毎日ほぼ同じ時間に一度に服用する必要がある.テモゾロミドの投与は、施設内の慣行に従って実施する必要がある(例:計算された用量の+/-5~10%)。各テモゾロミド投与の30分前に制吐薬を投与することが推奨される。所定の用量を服用してから20分以内に嘔吐が発生した場合は、用量を1回繰り返すことができる。20分後に嘔吐が発生した場合は、服用を繰り返すべきではない。カプセルを飲み込めない場合は、経口懸濁液を配合することができる。TMZを受けている間、対象は施設のガイドラインに従ってPCP予防を受ける必要がある。
テモゾロミドの投与とは関係のない技術的又は医学的な理由で放射線療法を一時的に中断する必要がある場合は、毎日のテモゾロミドによる治療を継続する必要がある。放射線療法を永久に中断する必要がある場合は、毎日のテモゾロミドによる治療を中止する必要がある。
RTの終了日に関係なく、42日間のテモゾロミドを投与する必要がある。一定量のテモゾロミドが投与され、鎮静又は技術的な問題のために放射線療法が実施されない場合、テモゾロミドの用量を補うべきではない(つまり、テモゾロミドの42回を超える用量を投与すべきではない)。
RNA-LP:RNA-LPワクチンの有効な免疫療法構成要素は、パーソナライズされた腫瘍mRNA、SARS-CoV-2スパイクmRNA、及びDOTAPリポソームである。これらは、本明細書ではRNA-LPと呼ばれる。RNA-LPは静脈内(IV)に投与される。RNA-LPの用量は、6週間続く治療の初期期間、2週間毎に投与され(任意に治療の1、15、及び29日目に6週間にわたって3回投与)、その後、毎月12サイクルのアジュバントRNA-LP投与が続いて、合計15回の投与となる。RNA-LPの用量を、0.04mg/kg/hrの速度で、適切なフラッシュ体積でIV投与する。
対象は、投与毎に表3のRNA-LPの用量の1つを受ける。
Figure 2023520506000006
用量0(又は用量制限毒性(DLT)が観察されたより低い用量)で、3人の成人患者を合計3回のRNA-LP投与で治療し、化学放射線療法後、2週間毎の間隔で投与する。DLT期間の完了後(最初の3回のRNA-LP投与の完了から2週間後)、安全上の懸念がなければ、用量0で小児コホートの登録が開始される。安全上の懸念がある場合(すなわち、1つ以上のDLTが観察された場合)、用量-1への段階的縮小が行われ、安全上の懸念がない限り、その用量が層2(小児対象)の開始用量として使用される。毒性評価により小児層を開始することができる場合、小児及び成人の第I相試験は、BOINデザインを使用して個別の用量漸増に従い、MTD及び毒性の個別の評価が行われる。
最初のDLT期間は、最初の3回のRNA-LP投与の完了から2週間後に評価されるが、用量漸増(個々の層内)の前に、DLTは投与の過程を通じて監視される。
支持療法には、抗生物質、制吐薬、止瀉薬、局所治療、血液製剤、静脈内又は経口輸液、電解質補充が含まれるが、これらに限定されず、臨床的に必要に応じて使用される。疑似進行の兆候及び症状については、施設のガイドラインに従ってベバシズマブによる治療を行うことで、腫れを最小限に抑えることができる。
用量制限毒性
DLTは、CTCAE5.0に従って、免疫療法に関連する(可能性がある、可能性が高い、又は明確な)ものとして定義される。1)グレード3以上の非神経学的、非血液学的毒性。2)7日以内にグレードII以上に改善しないグレード3の神経毒性、又は14日以内にグレード2以上に改善しないグレード3~4の血液毒性。3)グレード3の自己免疫性脳脊髄炎。又は4)グレード4の神経毒性。神経学的毒性が次の投与の前にベースラインに戻った場合、次の投与はスケジュール通りに投与できる。神経学的症状が7日以内にグレード2以下に改善された(したがってDLTではない)が、次回の予定されたワクチンまでにベースラインに戻らない場合、投与を最大4週間保留することができる。発症から7日以内に事象を元に戻すこと(グレード2以上に改善)ができない場合、その患者に対してDLTが宣言され、それ以上の投与は行われない(DLTウィンドウは、最初の3回の投与の完了から2週間後である)。事象が逆転したものの、その後のワクチン接種で上記の毒性が再び認められた場合、患者はDSMCと審議するまで、更なるワクチン接種が控えられる。
脳浮腫毒性の例外:CTCAE5.0基準は、脳浮腫をグレード3(新規発症;ベースラインからの悪化)、グレード4(生命を脅かす結果;緊急の介入が必要)及びグレード5(死亡)に分類する。脳浮腫は通常、悪性神経膠腫の患者に疾患過程の一部として現れ、標準治療の化学療法及び放射線療法によって悪化する可能性がある。更に、効果的な抗腫瘍免疫応答には、浸潤性腫瘍細胞における炎症反応及び浮腫が関与している可能性がある。したがって、脳浮腫毒性は、CTCAE5.0基準でグレード3~4にランク付けされているが、患者が安定しているか、臨床的に改善されている場合、DLTとは見なされない。臨床的に衰退している患者に脳浮腫が観察された場合、それが明らかに治験薬に起因するものであり、患者が臨床管理から7日以内に改善を示さない場合、その事象はDLTと見なされる。腫瘍の進行はDLTとは見なされない。
RNA負荷DCベースの免疫療法に関連するグレード3以上の毒性はまれである。悪性黒色腫患者における腫瘍浸潤リンパ球及び高用量IL-2を使用した養子T細胞療法、及び抗CLTA-4モノクローナル抗体遮断による治療は、治療に関連する毒性を最も頻繁に伴う免疫療法レジメンである。この治療に関連する可能性のある毒性を評価するための最も保守的なアプローチを取るために、試験実行者等は、CNSに固有の自己免疫毒性に加えて、この治療に関連する同様の毒性に注意する必要がある。初期段階の試験で免疫療法を受けた患者で観察された可能性のある免疫介在性障害には、皮膚(白斑及び皮膚白血球破砕性血管炎)、甲状腺(自己免疫性甲状腺炎)、肝臓(自己免疫性肝炎)、及び下垂体(下垂体炎)が関与している。免疫介在の可能性がある異常な検査結果には、血清リパーゼ及びアミラーゼの上昇、並びに肝機能検査が含まれる。患者が自己免疫抗体に関連すると考えられるAE(甲状腺炎、肝炎、血小板減少症等)を患っている場合、サイトPIは施設の基準に従って適切な自己免疫抗体検査のために血液試料を送付する。特定の自己抗体が存在する場合、ベースラインで採取された血清試料は、それらの自己抗体の存在についてテストされる。
評価
特に明記されていない限り、全ての評価には+/-3日のウィンドウが許可される。1サイクルは4週間(28日)である。更なる詳細については、観察及び手順並びに長期フォローアップのセクションを参照されたい。評価のカレンダーを図25に示し、評価のリストを以下に示す。
標準治療の切除/生検:スクリーニングインフォームドコンセント((手術前;標準治療の切除/生検から28日以内);外科的切除/組織採取による生検;脳のMRI(手術前のMRIは手術の28日以内に実施する必要があり、手術と術後のMRIは施設の標準治療に従って実施する必要がある)。
治療への登録前のスクリーニング(手術後)(別段の指示がない限り、登録から28日以内):病理学による疾患の確認。治療放射線療法前の治療のインフォームドコンセント;理学的及び神経学的検査;バイタルサイン(身長と体重を含む);ベースラインの症状、以前の治療歴、以前の治療に関連する残留毒性を含む完全な病歴;パフォーマンスステータス評価;脳MRI(術後MRIが登録から28日以内に完了した場合、繰り返す必要はない);臨床検査手順(妊娠可能年齢の女性の血清妊娠検査、分画及び血小板数を含むCBC、CD4/CD8パネル及び比率、PT/INR及びPTT、AST/ALT、BUN、総ビリルビン及びクレアチニンを含む完全代謝パネル(CMP)、HIV、B型肝炎、C型肝炎、CMVを含む感染症検査、循環腫瘍DNA研究用の血液。
標準放射線治療(4週間(手術後+/-2週間)又は施設の判断に基づいてより早く開始する):TMZの投与、プロトコル又はGBMの施設ガイドラインによる放射線
放射線照射の終了(+14日):放射線照射後のMRI
投与#1-3(血液学的回復後2週間毎+/-3日(ANC>1500/L、血小板>150/L):RNA-LPワクチンの投与、理学的及び神経学的検査、バイタルサイン(身長と体重を含む)、パフォーマンスステータス、有害事象の評価、併用薬、検査手順(鑑別及び血小板数を含むCBC、AST/ALT、BUN、総ビリルビン及びクレアチニンを含む、完全な代謝パネル(CMP)、CD4/CD8パネル及び比率(投与#1及び#3)、ワクチン接種前24時間以内、ワクチン接種後2時間及び6時間以内の免疫モニタリング用の末梢血、循環腫瘍DNA試験)
サイクル1+、1日目(+/-1週間)、RNA-LP投与#4-15(最初の3回の投与に続く各サイクルの1日目に投与)(血液学的回復が観察されたら、投与#3の4週間後に開始する(ANC>1500/L、血小板>150/L):RNA-LPワクチンの投与、理学的及び神経学的検査、バイタルサイン(身長と体重を含む)、有害事象の評価、併用薬、パフォーマンスステータス、脳MRI(投与#4、6、8、10、12、14の2週間以内)、検査手順(鑑別及び血小板数を含むCBC、AST/ALT、BUN、総ビリルビン及びクレアチニンを含む完全代謝パネル(CMP)、CD4/CD8パネル及び比率(投与#5、10、及び15)、ワクチン接種前24時間以内、ワクチン接種後3及び6時間以内の免疫モニタリング用の末梢血、循環腫瘍DNA試験用の血液)
治療訪問の終了(この期間内に以前に評価されていない場合は+/-14日):理学的及び神経学的検査、バイタルサイン、有害事象の評価、併用薬、パフォーマンスステータス、脳MRI
30日間の毒性チェック(+/-7日):有害事象の評価に関連するAEは、解決又はベースラインに戻るまで引き続き追跡する必要がある。併用薬
長期/生存フォローアップ手順:患者は、何らかの原因で死亡するまで追跡される。これらの患者の標準治療の一環として、腫瘍が進行すると、対象は定位生検又は切除を受ける場合がある。これは試験手順ではないため、別途コンセントを得るものとする。組織が得られれば、組織学的に腫瘍の進行を確認し、再発病変における免疫学的細胞浸潤及び抗原発現プロファイルを評価するために使用される。
対象は、最初の12ヶ月間は3ヶ月毎(+/-14日)に追跡され、その後、何らかの原因による死亡まで、次の2年間は6~12ヶ月毎に追跡される。
1年目(全ての手順は3ヶ月毎に実施する必要がある):理学的及び神経学的検査、バイタルサイン(身長と体重を含む)、病歴、MRI(+/-14日)、有害事象の評価、併用薬。任意選択で-実行可能な場合:鑑別及び血小板数を伴うCBC、CD4/CD8パネル及び比率、AST/ALT、BUN、総胆汁及びクレアチンを含む完全な代謝パネル、免疫療法実験、免疫モニタリング用の末梢血
2~3年目:6~12ヶ月毎のMRI、4~6ヶ月毎の有害事象評価、4~6ヶ月毎の併用薬。任意選択で-実行可能な場合:鑑別及び血小板数を伴うCBC、CD4/CD8パネル及び比率、AST/ALT、BUN、総胆汁及びクレアチンを含む完全な代謝パネル、免疫療法実験、免疫モニタリング用の末梢血
オフ治療基準:この試験の目的のために、「オフ治療」は、治験薬の最後の用量が投与される日として定義される。治療は、最大14ヶ月間、又は次の基準のいずれかが適用されるまで継続する場合がある。疾患の進行、試験実行者の判断において更なる治療を対象が受容できなくなる対象の状態、許容できない有害事象。対象、親又は法定後見人がこのプロトコルでの更なる治療を拒否する、妊娠。
オフ試験基準:対象は、次の理由で試験外と見なされる:対象が不適格であると判断された、対象、親又は法定後見人が継続的な参加への同意を撤回した、試験中に対象が死亡した、プロトコル固有のフォローアップ期間が終了した
試験に登録された全ての対象は、たとえ治療前に試験から外されたとしても、治療の意図に基づいてデータ分析に含まれる。ただし、対象は次の理由で安全性評価のために交換される。(i)RNA-LPワクチンが生成されたが、放出基準を満たさないか、又は対象となり、次いで試験にとどまり、資格のある生成物を受けたが、安全性評価の目的で置き換えられる。(ii)最初のワクチン接種時に生理学的レベルを超える用量を必要とするように、鼻又は吸入ステロイドを除いて、コルチコステロイドの増加を必要とする対象は、試験に残る場合があるが、ステロイドの使用の増加は、自己免疫毒性のリスクを覆い隠す可能性があるため、安全性の評価のために置き換えられる。(iii)毒性のない3回未満のワクチンを受け取った対象は、安全性評価のために交換される。
実施例15
この実施例は、本開示のRNA-LPを特徴付ける更なる研究を記載する。
効果的なCOVID-19ワクチンは、SARS-CoV-2の細胞リザーバ及びそのゲノムの不均一性(すなわち、変異)の両方を克服する(世界的な大流行の状況で)ほぼ即時の防御応答を引き出すことが望ましい。COVID-19に対する現在の予防戦略は、SARS-CoV-2ゲノムの小さな断片を標的とするmRNAワクチンを利用しているが、これらは十分に強力ではないか、十分に迅速に免疫を誘導しない可能性がある。これらのワクチンは中和抗体の生成に依存しており、これには数回の追加免疫が必要である。しかし、ウイルスリザーバは宿主細胞に存在するため、これらのリザーバを排除するためのT細胞免疫と、活性なウイルス粒子を中和する抗体と、の両方を付与する新しい技術が必要になる可能性がある。
RNA-NP技術は、例えば、完全長のSARS-CoV-2構造遺伝子を標的とし、変異の不均一性を克服することにより、これらの懸念のそれぞれに対処でき、双方向の適応免疫を誘導し、ほぼ即時の免疫活性化を誘発する(数時間以内)。SARS-CoV-2全長スパイクRNA-NPを投与されたマウスは、より多くのSARS-CoV-2特異的抗体(図26)と、重複するSARS-CoV-2スパイクペプチドミックスによるインビトロ再刺激後の記憶想起の有意な拡大を伴うワクチン接種後のエフェクターT細胞を有していた(図27A、図28B、及び図28)。RNA-NP活性は、非TLR7依存的な方法での形質細胞様DC(pDC)からのIFN-γ依存性自然免疫と関係している。
ヒト肺外植片を用いた更なる研究が行われ、外植片がHCoV-OC43及びSARS-CoV-2等のコロナウイルスに感染する可能性があることが示された。48時間培養する前にコロナウイルスにさらされた肺組織は、レムデシビルのような抗ウイルス薬で弱めることができる用量依存的なウイルス転写の証拠を示している.
RNA-LPの特性決定に適した研究に関する追加情報を以下に示す。
中和Ab研究
SARS-CoV-2スパイク、膜、エンベロープ、及びヌクレオキャプシドタンパク質のDNA配列は、T7プロモーター及び遺伝子挿入のpolyAAAテール隣接領域が埋め込まれたpGEM-4Zプラスミドバックボーンにクローニングされる。プラスミドを大腸菌に形質転換し、抗生物質(pGEM4zはアンピシリン耐性)の存在下で増殖させて、形質転換された大腸菌を選択し、DNA抽出、線形化、及び精製のために回収する。その後、DNAはmRNAに転写され、多層RNA-NPにロードするために精製される。DOTAP(Avanti)バックボーンで構成される脂質NPは、多層小胞に積層される。簡単に説明すると、回転加熱のための水溶液への再懸濁、バス超音波処理、押し出し及び特定の質量比1:15のSARS-CoV-2特異的mRNAでの層状化(μg投与、RNA対NP)の前に、回転真空蒸発を使用して、有機溶媒を除去し、375μgの脂質NP製剤を、25μgのSARS-CoV-2特異的mRNA、又は対照(非特異的)pp65 mRNAと複合体化する。C57Bl/6マウスに、週に1回(x3)静脈内ワクチン接種し、結合及び中和抗体の評価のために、3回目のワクチン接種の2週間後に血清を採取する。結合抗体は、カスタマイズされたコロナウイルスCOVID-19 IgG ELISAキットを使用して、ワクチン接種したマウスの血清から評価する。中和は、以下に説明するように、MLVベースの偽型(SARS-CoV-2スパイクタンパク質を含む)を使用して評価する。
偽型ウイルスシステム:簡潔には、HEK293T細胞は、SARS-CoV-2スパイク、膜、又はエンベロープコードプラスミド、MLV Gag-Polパッケージング構築物、及びルシフェラーゼレポーターをコードするMLVトランスファーベクターと同時トランスフェクトされる。細胞をトランスフェクション培地とともに37℃で5時間インキュベートする。次に、細胞をDMEMで2回洗浄し、10%FBSを含むDMEMを60時間添加する。上清を回収し、0.45mm膜で濾過し、30kDa膜で3,000rpmで10分間濃縮し、次いで-80℃で凍結する。ACE2(creative-biogene.com)で安定にトランスフェクトされたHEK293T細胞を、マウス血清の存在下で調製した偽型ウイルスに感染させる。ACE2発現293T細胞を24ウェルプレートに2.5×10細胞/ウェルでコンフルエントになるまで播種し、200μlの偽型ウイルス溶液又は非感染対照条件(ウェル当たり200μlのDMEM-C溶液)を、ワクチン接種された動物からの血清含む場合、及び含まない場合で接種する。インキュベーションは、37℃、5%COで1~2時間行い、その後300μlのDMEM-Cを加えて72時間インキュベーションする。上清を吸引し、ルシフェリン基質の添加後、バイオルミノメータを使用して、ルシフェラーゼ発現について上清及び細胞の両方を評価/定量化する。中和の成功は、対照条件に対するマウス血清の添加後のルシフェラーゼ発現の統計的に有意な減少に基づいて決定される。結果は、RNA-NPを接種した動物の血清と共培養した肺外植片を使用した3D培養システムで確認できる。
応答メモリーT細胞解析
スパイク、膜タンパク質、エンベロープ、及びヌクレオキャプシド遺伝子をコードするSARS-CoV-2特異的RNA-NPは、C57Bl/6マウス及びヒト化HLA-A2トランスジェニックマウスに別々に投与する。RNA-NPは、0日目、7日目、14日目に静脈内注射によって投与し、続いて毎週血液/血清を評価する。ビーズアレイ(BD)によるTh1サイトカイン(すなわち、CCL3、TNF-α、及びIFN-γ)の検出について血清を分析し、活性化マーカ(すなわち、CD107a、CD69、CD154、PD-1)の存在についてT細胞を評価する。スパイク及びヌクレオキャプシド構造タンパク質に対する抗原特異性は、HLA*2MHC-クラスI五量体染色(Pro-Immune)、及びエクスビボ記憶想起応答によって決定する。想起応答性T細胞は、SARS-CoV-2特異的構造タンパク質をコードするmRNAをパルスした骨髄由来の樹状細胞(ナイーブマウス由来)と、pp65(ヒトCMVマトリックスタンパク質)をコードする対照mRNAでパルスされた樹状細胞と、に由来する骨髄を有するワクチンを接種した動物のPBMCのエクスビボ再刺激アッセイに基づいて識別する。これらのDCは、ワクチン接種されたマウスから磁気分離されたCD4及びCD8T細胞と共培養され、増殖、表現型(CD44及びCD62Lの示差染色によるエフェクター対セントラルメモリー)、機能、及び細胞毒性についてT細胞の評価を行う。96ウェルプレートで48時間、エクスビボ共培養を3回行う(ウェル当たり4x10のDCを4x10のT細胞とエクスビボ共培養する)。T細胞はフローサイトメトリーによる増殖の評価のためにCFSE(Celltrace)で標識され、上清及び細胞を回収する前に培養で再刺激する。共培養後の細胞毒性を決定するために、T細胞を、ルシフェラーゼバイオレポーターを含むACE2発現293T細胞(上記のように偽型ウイルスに感染)又は10:1のエフェクター/標的比で48時間培養した対照細胞の存在下でインキュベートし、生物発光を評価する。各共培養からの生物発光は、生細胞の代理として、IVISイメージングによって定量的に測定される。
生来のシグナル伝達機構の試験
RNA-NPからの活性は、形質細胞様DC(pDC)からのIFN-γ(I型インターフェロン)に依存する。興味深いことに、TLR7KOマウスでは有効性が損なわれていないため、RNA-NPの生得的な免疫調節効果は、toll様受容体(TLR)刺激によって駆動されるようには思われない。この試験では、SARS-CoV-2特異的RNA-NPがIFN-γ依存的な方法で双方向の適応応答を誘発するかどうかを調査し、関与する細胞の種類及びシグナル伝達経路を識別する。RNA-NPは、pDCからの非TLR依存性細胞内PRRを介してIFNAR1シグナル伝達をリセットする可能性がある。RIG-I、MDA-5、又はSTINGがIFN-γシグナル伝達に関与している可能性がある。
SARS-Co-V-2特異的RNA-NP、pp65 RNA-NP、又はNP単独を、上記のようにマウスに投与する。ワクチンは週に1回(x3)投与する。マウスを、7日間隔で3回ワクチン接種する。血液を採取し、DC亜集団について評価する。pDCは、CD11c、B220、及びGr-1(ebioscience)について染色され、異なるpDCサブセットは、CCR9、SCA1、及びLy49qの示差染色によって識別される。レジデント/移動性古典的DC(cDC)は、CD11c+CD103+MHCII+細胞及びCD11c+CD11b+MHCII+細胞によって識別され、骨髄性DC(mDC)は、CD11c+CD14+MHCII+細胞によって識別される。活性化状態は、サイトカイン(すなわち、IFN-I/II、IL-12)及び共刺激分子(すなわち、CD40、CD80、CD86)の発現に基づいて評価される。分析は、マルチパラメータフローサイトメトリ(LSR,BD Biosciences)によって行う。対象の先天的経路(すなわち、RIG-I、MDA-5、及びSTING)は、PCRによってこれらの細胞サブセットで調査される。結果は、上記のように、SARS-CoV-2中和及び適応想起と相関している可能性がある。結果が細胞内PRRのIFN-I(すなわち、IFN-α/IFN-β)に依存しているかどうかを確認するために、野生型及びノックアウト(KO)マウスに目的の経路(すなわち、IFNAR1、RIG-I、MDA-5、及びSTING、全てJackson labsから入手可能)に対してワクチン接種する。IFN-I(すなわち、IFN-α/IFN-β)レベルは、ワクチン接種の24時間後にELISAによって血清から測定され、上記の抗SARS-CoV-2免疫原性試験の結果と比較する。
多層RNA-NPの免疫原性は、既存のmRNAナノ脂質プラットフォームとは対照的に、MDA-5等の細胞内病原体認識受容体に依存しているようである。図32A及び図32B。
遺伝子発現と免疫原性との関係を調べる
C型肝炎ウイルス(HCV)の5’内部リボソーム侵入部位(IRES)は、キャップに依存しない翻訳及びRNAゲノムの非常に迅速かつ広範な翻訳をもたらし、その3’ポリUUUテールはRIG-I及びMDA5経路を含むPRRによって認識され、自然免疫系の激しい誘発及びI型インターフェロンの産生を導く。α-グロビンUTR(図29A及び図29B)並びにHCV由来の5’及び3’UTR(図30)の付加は、RNA-NPの活性を増強する。この研究では、HCVの5’UTRが単独で、又は3’UTRと組み合わせて、SARS-CoV-2RNA-NP構築物のRNA安定性/免疫原性を高めるかどうかを調べる。
5’αグロビンUTR、HCVの5’IRES、及び3’HCVポリUUUテールは、制限消化及びライゲーションによってpGEM4zプラスミドベクターに組み込まれ、これらの配列は、ルシフェラーゼのDNAプラスミドにクローニングされ、これは、修飾が安定した遺伝子発現を増強するかどうかを判断するために使用される。RNA鋳型は、ゲル電気泳動によって単離され、QIAquick Gel Extraction Kitを使用して精製されたPCR産物を使用して作製する。得られたPCR断片を制限酵素HindIII及びEcoRIで消化し、T7プロモーター及び64残基のポリAテールを持つインビトロ転写RNAの生成を可能にする64Tヌクレオチドを有するプラスミドのHindII及びEcoRI部位にクローニングする。プラスミドをSpeIで直線化し、mMessage mMachine T7(Ambion)を使用してインビトロ転写(IVT)し、RNeasyキット(Qiagen)で精製し、分光測光法で定量化し、Agilent Bioanalyzerで分析して、全長mRNAの品質及び合成を確認する。
SARS-CoV-2 RNA-NP構築物の免疫原性試験を伴うルシフェラーゼベースの構築物の発現は、上記のアッセイを使用して、未修飾のSARS-CoV-2 RNA-NP構築物と比較される。
LAMPコンジュゲートRNA-NPの試験
LAMP-1及びDC-LAMP標的化は、T細胞応答の増加をもたらし、最も顕著なのは、MHCクラスII提示経路への抗原のチャネリングによるCD4+T細胞の「ヘルプ」の増加である。これにより、CD4+応答のレパートリーが広がり、体液性免疫及び多機能性T細胞応答が強化される。CD4+免疫応答は、ウイルス感染に対する能動免疫の誘導及び維持に不可欠であるため、LAMPコンジュゲート抗原は、SARS-CoV-2に対する双方向の応答を増強すると予想される。RNA-NPへのLAMPの組込みは、記憶想起応答を大幅に増加させる可能性がある(図31)。
LAMP-1及びDC-LAMP構築物は、pGEM-4zベクターにクローニングする前に、LAMPの管腔ドメイン及び膜貫通ドメイン及び細胞質尾部の間にSARS-CoV-2特異的遺伝子を挿入することによって作製する。変更されたLAMPの免疫学的効果は、次の点で未変更のRNA-NPと比較される。1)対照RNA-NP。2)SARS-CoV-2抗原を標的とするLAMP-1を組み込むRNA-NP。3)SARS-CoV-2抗原を標的とするDC-LAMPを組み込むRNA-NP。4)上記のアッセイを使用して、DC-LAMP及びLAMP-1標的抗原(等モル比)の組合わせを組み込んだRNA-NP。
双方向適応免疫
SARS-CoV-2構造mRNAは、未修飾の標的と比較する。非修飾SARS-CoV-2 RNA-NPは、UTR修飾RNA-NP、LAMP修飾RNAナノ粒子ワクチン、及びUTR+LAMP修飾RNA-NPと比較する。抗SARS-CoV-2適応反応に関して、少量で頻度の低い投薬の効果を調べる。用量を減らした場合(すなわち、10μg、5μg、2.5μg、1μg)と、標準の25μgの用量を単回ワクチンとして投与した場合と、又は週1回の複数回のワクチン(x3)として投与した場合と、の効果を比較する。免疫原性は上記のように検査され、結果はHLA-A2及びACE2トランスジェニック動物で裏付けられ得る。複数のSARS-CoV-2構造タンパク質を標的とするUTR及びLAMP改変ワクチンは、低用量での単回投与として、より効果的な防御を引き出す可能性がある。
製剤研究
RNA-NPは、薄い脂質層が残るまで蒸発する前に、クロロホルムに再懸濁する。インビボ調製では、SARS-CoV-2特異的mRNAをDOTAP NPに1:15mgの多層比で添加する。この混合物を15~20分間室温に保ち、RNA-NP複合体を形成させる。多層複合体形成後、内容物をtert-ブタノールと混合し、ボルテックスし、-80℃で一晩凍結した後、凍結乾燥(Labconco)し、-20℃で保存する。凍結乾燥製剤の検証は、抗SARS-CoV-2を介した体液性及び細胞性応答に基づいて、新たに生成されたRNA-NPと比較して評価する。粒子は、ゼータ電位測定及びサイズ測定によって検証する。
追加のインビボ研究
ネコ科の大規模動物研究では、安全性及び毒性を定義するためにRNA-NPを静脈内注射する。RNA-NPの開始(低)用量には、0.75mg/kgのDOTAPナノリポソームでカプセル化されたRNA(0.05mg/kg)が含まれる。これらは、1.5mg/kgのDOTAPナノリポソームでカプセル化された0.1mg/kgのRNAの中用量(100%増加)と比較され、これは、マウス(1mg/kg)の(体表面積に基づいた)ネコ科同等用量である。高用量投与(100%増加)には、3mg/kgのDOTAPナノリポソームでカプセル化された0.2mg/kgのRNAが含まれる。SARS-CoV-2特異的mRNA産生の実現可能性は、ゲル電気泳動、ナノドロップ分光光度法、生物分析によるRNAの品質、濃度、完全性に基づいて決定される。複数回投与を受けるように無作為化された動物は、1週間間隔で3回のRNA-NPを投与される。末梢実験は、登録時、各RNA-NPの直前、及び治療後1ヶ月のフォローアップ中にネコから監視される。完全な血球カウント(鑑別を伴う)、包括的な化学検査、脂質パネル、及び腎/肝機能検査が監視される。サイトカイン放出症候群の症状を評価するために、注入後に血清サイトカインを採取する(すなわち、IL-1、IL-6、TNF-a)。標準的な3+3研究デザインでは、グレード3~4の有害事象及び最大耐性量(MTD)等の用量制限毒性(DLT)を定義するために、増加する用量で静脈内のRNA-NPが注射される。3つのグループ(3ネコ科/群)がある。RNA-NPに起因するDLTが3匹のうちの1匹のネコで起こった場合、追加の3匹のネコを同じ用量で割り当てることになる。3匹のネコのいずれもDLTを経験していない場合、又は6匹のネコの1匹がDLTを経験した場合、その後発生したネコの用量は増加することになる。2匹以上のネコがRNA-NPに起因するDLTを経験した場合、その群に対しては停止され、すぐに低い用量レベルがMTDと見なされる。各群の3+3研究からの対象全体の免疫反応に基づいて、SARS-CoV-2 RNA-NPの最低有効用量が選択されて、拡大コホートに進む(1群当たり最大20対象)。
SARS-CoV-2特異的RNA-NPがSARS-CoV-2特異的中和抗体の増加を媒介し、大型動物で持続するメモリーT細胞を想起することを確認するため、各治療の直前及び治療後のフォローアップ中(最後のワクチンの30日後、6ヶ月及び12ヶ月)、10mLのネコの末梢血をバキュテナチューブに採取する。PBMCは、ficollを介した密度勾配遠心分離によって分離する。DC及びT細胞は、活性化マーカ(すなわち、CD11c+細胞上のCD80、CD86、及びMHCII並びにCD4及びCD8+細胞上のCD44)の決定のために末梢血から評価される。SARS-CoV-2特異的mRNA(又は対照pp65mRNA)でエレクトロポレーションされたPBMCは、ELISAによる上清からのIFN-γ及びMIP-1-α(すなわち、CCL3)の評価の前に、CD3選択T細胞と共培養する。SARS-CoV-2に対するT細胞の細胞毒性を評価する。動物からの血清は、3D肺外植片における中和の評価のために、最後のワクチン接種の1、6、及び12ヶ月後に採取される。SARS-CoV-2及び3DでのHcoV-OC43等の関連するコロナウイルスに対する中和は、肺外植片で評価する。
本明細書において援用される、刊行物、特許出願及び特許を含む、全ての参考文献は、各々の参考文献が参照により組み込まれるように個々にかつ具体的に示されかつその全体が本明細書に記載されているのと同程度まで、参照により本明細書中に組み込まれる。
本開示を説明する文脈において(特に、以下の特許請求の範囲の文脈において)使用される「ある(a)」及び「ある(an)」及び「その(the)」という用語並びに同様の指示物は、本明細書に別の記述がなければ、又は明らかに文脈と矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する」、「含む(including)」及び「含有する」という用語は、別途注記のない限り、開放型専門用語として解釈されるべきである(すなわち、「~を含むがこれらに限定されない」を意味する)。
本明細書において特に指定のない限り、本明細書中の値の範囲の記載は、その範囲及び各端点に入る各々の別個の値を個々に指す略記方法として役立つことを意図したものであるにすぎず、各々の別個の値及び各端点は、それが本明細書中に個々に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。
本明細書に記載される全ての方法は、本明細書において特に指定のない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行され得る。特に要求されない限り、本明細書中に提供されるあらゆる例、又は例示的な言葉(例えば「等」)の使用は、本開示をより上手く説明することを意図したものにすぎず、本開示の範囲に限定をもたらすものではない。本明細書における言語は、本開示の実施に不可欠な任意の非請求要素を示すと解釈されるべきではない。
本開示を実施するための発明者に知られている最良の形態を含む、本開示の好ましい実施形態が本明細書に記載されている。これらの好ましい実施形態の変形形態は、前述の説明を読むことで当業者に明らかになり得る。本発明者らは、当業者がそのような変形形態を適切に使用することを期待し、本発明者らは、本明細書に具体的に記載されている以外の方法で本開示が実施されることを意図する。したがって、本開示は、適用法で許可されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に列挙された主題の全ての改変及び同等物を含む。更に、本明細書において特に指示がない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、全ての可能な変形形態における上記要素の任意の組合わせが本開示に包含される。

Claims (51)

  1. 正に帯電した表面と、(i)コア及び(ii)少なくとも2つの核酸層を含む内部と、を含むナノ粒子であって、各核酸層がカチオン性脂質二重層間に配置され、前記ナノ粒子が、SARS-CoV-2タンパク質をコードするRNA分子を含む、ナノ粒子。
  2. 少なくとも3つの核酸層を含み、前記核酸層のそれぞれがカチオン性脂質二重層の間に配置されている、請求項1に記載のナノ粒子。
  3. 少なくとも4つの核酸層を含み、前記核酸層のそれぞれがカチオン性脂質二重層の間に配置されている、請求項2に記載のナノ粒子。
  4. 5つ以上の核酸層を含み、前記核酸層のそれぞれがカチオン性脂質二重層の間に配置されている、請求項3に記載のナノ粒子。
  5. 前記ナノ粒子の最外層が、カチオン性脂質二重層を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  6. 表面が、前記カチオン性脂質二重層の前記カチオン性脂質の複数の親水性部分を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  7. 前記コアが、カチオン性脂質二重層を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  8. 前記コアが、約0.5重量%未満の核酸を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  9. 前記ナノ粒子の直径が、直径で約50nm~約250nm、任意選択で、直径で約70nm~約200nmである、請求項1~8のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  10. 約40mV~約60mV、任意選択で、約45mV~約55mVのゼータ電位を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  11. 約50mVのゼータ電位を含む、請求項10に記載のナノ粒子。
  12. 核酸分子とカチオン性脂質とを、約1対約5~約1対約20、任意選択で、約1対約15又は約1対約7.5の比率で含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  13. 前記カチオン性脂質が、DOTAP又はDOTMAである、請求項1~12のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  14. 前記核酸分子が、RNA分子である、請求項1~13のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  15. 前記RNA分子が、mRNAである、請求項14に記載のナノ粒子。
  16. 前記mRNAが、SARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質又はその断片をコードする、請求項1~15のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  17. 前記Sタンパク質が、図20に示されるアミノ酸配列を含む、請求項16に記載のナノ粒子。
  18. 前記mRNAが、SARS-CoV-2膜タンパク質、エンベロープタンパク質、又はヌクレオキャプシドタンパク質をコードする、請求項1~17のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  19. 前記リポソームが、前記核酸分子及び前記カチオン性脂質を、約1対約5~約1対約20、任意選択で、約1対約15のRNA:カチオン性脂質比で混合することによって調製される、請求項1~18のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  20. 正に帯電した表面と、(i)コア及び(ii)少なくとも2つの核酸層を含む内部と、を含むナノ粒子を作製する方法であって、各核酸層がカチオン性脂質二重層間に配置され、前記ナノ粒子が、SARS-CoV-2タンパク質をコードするRNA分子を含み、前記方法が、
    (A)SARS-CoV-2タンパク質をコードする核酸分子及びリポソームを、約1対約5~約1対約20、任意選択で、約1対約15の核酸:リポソーム比で混合して、核酸被覆リポソームを得ることであって、前記リポソームが、カチオン性脂質及び有機溶媒を含む脂質混合物を、前記有機溶媒を真空下で蒸発させることにより乾燥させることを含む、リポソームを作製するプロセスで作製される、核酸被覆リポソームを得ることと、
    (B)前記核酸被覆リポソームを、余剰量のリポソームと混合することと、を含む、ナノ粒子を作製する方法。
  21. 前記脂質混合物が、前記カチオン性脂質及び前記有機溶媒を、1mLの有機溶媒当たり約40mgのカチオン性脂質~1mLの有機溶媒当たり約60mgのカチオン性脂質の比率、任意選択で、1mLの有機溶媒当たり約50mgのカチオン性脂質の比率で含む、請求項20に記載の方法。
  22. リポソームを作製する前記プロセスが、前記脂質混合物を再水和溶液で再水和して再水和脂質混合物を形成し、次に前記再水和脂質混合物を攪拌、休止、及びサイジングすることを更に含む、請求項20又は21に記載の方法。
  23. 前記再水和脂質混合物をサイジングすることが、前記再水和脂質混合物を超音波処理、押し出し、及び/又は濾過することを含む、請求項22に記載の方法。
  24. 実施例1の工程を含む、請求項20~23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記ナノ粒子が、約40mV~約60mV、任意選択で、約45mV~約55mVのゼータ電位を有する、請求項20~24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記ナノ粒子の前記コアが、約0.5重量%未満の核酸を含み、かつ/又は前記コアがカチオン性脂質二重層を含む、請求項20~25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記ナノ粒子の最外層が、カチオン性脂質二重層を含み、かつ/又は前記ナノ粒子の表面が、前記カチオン性脂質二重層の前記カチオン性脂質の複数の親水性部分を含む、請求項20~27のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記mRNAが、SARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質又はその断片をコードする、請求項20~27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記Sタンパク質が、図20に示されるアミノ酸配列を含む、請求項28に記載の方法。
  30. 前記mRNAが、SARS-CoV-2膜タンパク質、エンベロープタンパク質、又はヌクレオキャプシドタンパク質をコードする、請求項20~29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 請求項20~30のいずれか一項に記載の方法によって作製された、ナノ粒子。
  32. 請求項1~19のいずれか一項又は請求項31に記載のナノ粒子を含む、細胞。
  33. 抗原提示細胞(APC)、任意選択で、樹状細胞(DC)である、請求項32に記載の細胞。
  34. 細胞の集団であって、前記集団の少なくとも50%が、請求項32又は33に記載の細胞である、細胞の集団。
  35. 請求項1~19又は請求項31のいずれか一項に記載の複数のナノ粒子、及び薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤を含む、医薬組成物。
  36. 前記組成物が、1mL当たり約1010のナノ粒子~1mL当たり約1015のナノ粒子、任意選択で、1mL当たり約1012のナノ粒子±10%を含む、請求項35に記載の医薬組成物。
  37. 対象におけるSARS-CoV-2ウイルスに対する免疫応答を誘導する方法であって、前記対象に、請求項35又は36に記載の医薬組成物を投与することを含む、対象におけるSARS-CoV-2ウイルスに対する免疫応答を誘導する方法。
  38. 前記核酸分子が、mRNAである、請求項37に記載の方法。
  39. 前記組成物が、前記対象に全身投与される、請求項37又は38に記載の方法。
  40. 前記組成物が、静脈内投与される、請求項39に記載の方法。
  41. 前記医薬組成物が、前記対象における樹状細胞(DC)を活性化するのに有効である量で投与される、請求項37~40のいずれか一項に記載の方法。
  42. 前記免疫応答が、T細胞媒介性免疫応答である、請求項37~41のいずれか一項に記載の方法。
  43. 前記免疫応答が、液性免疫応答である、請求項37~42のいずれか一項に記載の方法。
  44. 前記免疫応答が、SARS CoV-2タンパク質に対する抗体の産生を含む、請求項43記載の方法。
  45. 前記組成物の単回用量が、約0.00050mg/kg~約1.5mg/kgの核酸を含む、請求項37~43のいずれか一項に記載の方法。
  46. 前記核酸が約0.008mg/kg~約1.5mg/kgのリポソーム材料にカプセル化される、請求項45に記載の方法。
  47. 組成物の単回用量が、約0.000625mg/kg~約0.08mg/kgの核酸を含む、請求項45又は請求項46に記載の方法。
  48. 組成物の単回用量が、約0.000625mg/kgのmRNA、約0.00125mg/kgのmRNA、約0.0025mg/kgのmRNA、約0.005mg/kgのmRNA、約0.01mg/kgのmRNA、約0.02mg/kgのmRNA、約0.04mg/kgのmRNA、又は約0.08mg/kgのmRNAを含む、請求項47に記載の方法。
  49. 約18ヶ月の治療期間にわたって、前記対象に複数用量の医薬組成物を投与することを含む、請求項37~48のいずれか一項に記載の方法。
  50. (a)各投与が2週間の間隔である、前記医薬組成物の用量の最初のセットを投与し、続いて(b)それぞれ月に1回投与される、医薬組成物の用量のその後のセットを投与することを含む、請求項49に記載の方法。
  51. 3用量の前記最初のセットが約4週間の最初の治療期間にわたって投与され、用量の前記その後のセットが、その後の約12ヶ月の治療期間にわたって投与される、請求項50に記載の方法。
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