JP2023515290A - オイル掻取りピストンリング - Google Patents

Abstract

複数の構成部材から成るオイル掻取りピストンリング（１）であって、スリットが設けられたばね部材と、ばね部材と作用結合しており、開口（７）を備えた少なくとも１つのディスク部材（３，４）とを有しており、ばね部材は、ディスク部材を一方では軸線方向において支持しかつ他方では半径方向において支持する蛇行ばね（２）として形成されており、蛇行ばねの２つの端部領域は、互いにほぼ平行に延びる脚部（９，１０）を備えており、脚部（９，１０）の軸線方向長さは、脚部が少なくとも部分的にディスク部材の開口内において係合するように形成されている、複数の構成部材から成るオイル掻取りピストンリング（１）。

Description

本発明は、複数の構成部材から成るオイル掻取りピストンリングであって、スリットが設けられたばね部材と、ばね部材と作用結合しており、開口を備えた少なくとも１つのディスク部材とを有する、オイル掻取りピストンリングに関する。

複数の構成部材から成るオイル掻取りピストンリングは、オイルがクランクケースから燃焼室内へ侵入することを阻止する、という役目を有している。

排ガス規制の強化により、特に「粒子排出」のテーマが重要性を増している。燃焼室内に侵入するオイルは、不適切な燃焼に基づき、粒子排出の大部分に関与する、ということから出発する。試験により、惰行運転では燃焼室内の負圧により、オイルがクランクケースから燃焼室に向かって吸い出されることが増える、ということを証明することができた。

国際公開第２０１３／００４２１７号に開示された、内燃機関のピストン用のオイル掻取りリングは、各１つの開口を備えた少なくとも１つのディスクと、開口を備えた蛇行形状のスペーサばねとから成り、この場合、少なくとも１つのディスクとスペーサばねとは、互いに接触している。少なくとも１つのディスクの開口は、少なくとも１つのディスクの半径と鋭角を形成している。好適には、このオイル掻取りリングは、互いに平行に延在する２つのディスクを有しており、これらのディスクの間にはスペーサばねが配置され、この場合、各ディスクは１つの開口を有している。

米国特許第２４６９９５９号明細書により公知のピストンリング、特にオイル掻取りピストンリングは、開口がオーバラップした形態で設けられた２つのディスクと、ディスクの間に配置されたスペーサばねとを有している。

本発明の対象の目的は、オイルがクランクケースから燃焼室内へ流入する可能性を十分に妨げ、これにより、粒子排出を減少させることができるオイル掻取りピストンリングを提供することにある。

この目的は、複数の構成部材から成るオイル掻取りピストンリングであって、スリットが設けられたばね部材と、ばね部材と作用結合しており、開口を備えた少なくとも１つのディスク部材とを有しており、ばね部材は、ディスク部材を一方では軸線方向において支持しかつ他方では半径方向において支持する蛇行ばねとして形成されており、蛇行ばねの２つの端部領域は、互いにほぼ平行に延びる脚部を備えており、脚部の軸線方向長さは、脚部が少なくとも部分的にディスク部材の開口内において係合するように形成されている、複数の構成部材から成るオイル掻取りピストンリングにより達成される。

本発明の対象の有利な改良は、下位請求項から看取され得る。

この場合、蛇行ばねの脚部の軸線方向長さは、脚部の脚端部がほぼ、ディスク部材の上側の側面の高さで終わるように設けられている。

本発明の１つの別の思想に基づき、蛇行ばねは、燃焼室に向いた上側のディスク部材と、オイルチャンバに向いた下側のディスク部材と協働し、この場合、蛇行ばねの脚部は、上側のディスク部材の開口内に係合する。

有利には、蛇行ばねの脚部は、所定の遊びを備えてディスク部材の開口内に案内されている。

本発明の１つの別の思想に基づき、蛇行ばねの２つの脚部の厚さは、ディスク部材の開口の幅よりも小さく形成されており、これにより、ディスク部材の接線力が保たれた状態で、相接して位置する脚部は、（周方向に見て）所定の遊びを備えてディスク部材の開口内に案内されている、ということを提案する。

オイル掻取りリングの本発明による新規の構成は、蛇行ばねの両端部を、軸線方向においてより長く形成することを想定したものであり、これにより、蛇行ばねの両端部は、一方のディスク部材、好適には燃焼室に向いたディスク部材の開口端部に存在する中間室内に、所定の遊びを備えて係合することになる。このようにして、オイルが通過する可能性のあるディスク部材の開いた開口が遮断される。これにより、クランク室から燃焼室に向かって流出するオイルが減少し、その結果、粒子排出量も削減することができる。

以下に、本発明の対象を実施例に基づき図示して説明する。

従来技術によるオイル掻取りピストンリングを示す、異なる図もしくは断面図である。 本発明によるオイル掻取りピストンリングの原理図を示す、異なる図もしくは断面図である。 図２に示したディスクリングのシールされるべき開口領域を示す拡大図である。

図１には、従来技術によるオイル掻取りピストンリング１が異なる図もしくは断面図で示されている。オイル掻取りピストンリング１は、蛇行ばね２と、２つのディスク部材３，４とを有している。蛇行ばね２は、一方では各ディスク部材３，４に対する軸線方向における支持領域５が形成され、かつ、他方では各ディスク部材３，４に対する半径方向における支持領域６が形成されるように、形成されている。各ディスク部材３，４には、開口７，８が設けられている。蛇行ばね２は、スリットを備えて形成されており、開口側に互いにほぼ平行に延びる２つの脚部９，１０を有している。脚部９，１０は、上側のディスク部材３に対して所定の間隔をあけて設けられている。

図２には、本発明によるオイル掻取りピストンリング１’が示されている。同じ構成部材には、同じ符号を付してある。蛇行ばね２ならびにディスク部材３，４を認めることができる。本発明により、脚部９，１０は、上側のディスク部材３の開口７内に少なくとも部分的に、所定の遊びを備えて突入する長さに形成されている。脚部９，１０の長さは最大で、脚部９，１０の端部がほぼ、上側のディスク部材３の側面１１の高さに位置するように形成され得る。

この場合、ディスク部材３は燃焼室Ｂ（図示せず）に向いており、ディスク部材４も同様にオイルチャンバＯ（図示せず）に向いているものとする。

図１に示した図面では、オイルは開口８と蛇行ばね２とディスク部材３の開口７とを介して燃焼室Ｂに向かって流れることができるのに対し、図２では、開口７内において係合している蛇行ばね２の脚部９，１０により、密閉部が形成され、この密閉部により、軸線方向でのオイル通流が十分に遮断される（図１および図２の矢印を参照）。

図３には、図２に示した上側のディスク部材３のシールされた領域が拡大図で示されている。蛇行ばね２の２つの脚部９，１０を認めることができる。ディスク部材３の開口７は、予め設定可能な開口幅ａを有している。脚部９，１０は、同じ厚さｄを有しており、平面的に相接して位置している。脚部９，１０の軸線方向の端部は、本例では上側のディスク部材３の側面１１の下側に設けられているものとする。一方では開口７内での脚部９，１０の引っかかりを回避しかつ他方ではディスク部材３の接線力を損なわないようにするために、ディスク部材の２つの脚部９，１０は、（周方向に見て）所定の遊びを備えて、開口７の開口幅ａ内に配置されている。この場合、軸において慣用のすきまばめが採用され得る。ピストンリングはそれぞれ、様々な用途のために異なる直径を備えて形成されるため、それぞれのすきまばめは、対応して適宜調整され得る。

１ オイル掻取りピストンリング
１’ オイル掻取りピストンリング
２ 蛇行ばね
３ ディスク部材
４ ディスク部材
５ 支持領域
６ 支持領域
７ 開口（ディスク部材）
８ 開口（ディスク部材）
９ 脚部（蛇行ばね）
１０ 脚部（蛇行ばね）
１１ 側面 上側のディスク部材
ａ 開口幅
ｄ 厚さ 脚部

Claims (5)

1. 複数の構成部材から成るオイル掻取りピストンリングであって、スリットが設けられたばね部材（２）と、該ばね部材（２）と作用結合しており、開口（７，８）を備えた少なくとも１つのディスク部材（３，４）とを有しており、前記ばね部材（２）は、前記ディスク部材（３，４）を一方では軸線方向において支持しかつ他方では半径方向において支持する蛇行ばねとして形成されており、該蛇行ばね（２）の２つの端部領域は、互いにほぼ平行に延びる脚部（９，１０）を備えており、該脚部（９，１０）の軸線方向長さは、該脚部（９，１０）が少なくとも部分的に前記ディスク部材（３，４）の前記開口（７，８）内において係合するように形成されている、複数の構成部材から成るオイル掻取りピストンリング。
2. 前記脚部（９，１０）の前記軸線方向長さは、前記脚部（９，１０）の脚端部がほぼ、前記ディスク部材（３，４）の上側の側面（１１）の高さで終わるように設けられている、請求項１記載のオイル掻取りピストンリング。
3. 前記蛇行ばね（２）は、燃焼室（Ｂ）に向いた上側の前記ディスク部材（３）と、オイルチャンバ（Ｏ）に向いた下側の前記ディスク部材（４）と協働し、前記蛇行ばね（２）の前記脚部（９，１０）は、前記上側のディスク部材（３）の前記開口（７）内に係合する、請求項１または２記載のオイル掻取りピストンリング。
4. 前記蛇行ばね（２）の前記脚部（９，１０）は、所定の遊びを備えて前記ディスク部材（３）の前記開口（７）内に案内されている、請求項１から３までのいずれか１項記載のオイル掻取りピストンリング。
5. 前記蛇行ばね（２）の２つの前記脚部（９，１０）の厚さ（ｄ）は、前記ディスク部材（３）の開口の幅（ａ）よりも小さく形成されており、これにより、前記ディスク部材（３）の接線力が保たれた状態で、相接して位置する前記脚部（９，１０）は、所定の遊びを備えて前記ディスク部材（３）の前記開口（７）内に案内されている、請求項１から４までのいずれか１項記載のオイル掻取りピストンリング。

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