JP2023182523A - ポリイミド積層フィルム - Google Patents

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敦貴 中上
Atsutaka Nakagami
孔一 澤崎
Koichi Sawazaki
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Yoshinori Goto
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Abstract

【課題】新規なポリイミド積層フィルムを提供することを目的とする。【解決手段】ポリイミド積層フィルムを、ポリイミド層(I)の片面又は両面にポリイミド層(II)を設けたポリイミド積層フィルムであって、ポリイミド層(II)のTgが300℃以下のものとする。【選択図】なし

Description

本発明は、新規なポリイミド積層フィルム等に関する。
銅張積層板等の金属積層板の基板(又は、ベースフィルム)には、ポリイミドフィルム等の絶縁層が使用されている。
金属積層板としては、近年、メタライジング法によって絶縁層に金属層を形成したものも検討されている。このような金属積層板における絶縁層として、複数のポリイミド層を有する多層ポリイミドフィルムも検討されている(例えば、特許文献1)。
特開2006-192800号公報
本発明の目的は、新規なポリイミド積層フィルムを提供することにある。
本発明者らは、多層ポリイミドフィルムに、メタライジング法によって金属層を形成した場合、ポリイミドフィルムと金属層間の密着性が十分に得られても、耐熱性が十分ではない場合があることを見出した。
また、耐熱性を向上させようとした場合、ポリイミドフィルムと金属層間の密着性を得られにくかった。
このような中、本発明者らは、ポリイミド層(I)の片面又は両面にポリイミド層(II)を設けたポリイミド積層フィルムにおいて、ポリイミド層(II)をTgが300℃以下のものとすることにより、金属層(特に、メタライジング法によって形成された金属層)との密着性や耐熱性を効率よく得られること等を見出した。
また、本発明者らは、ポリイミド層(I)の片面又は両面にポリイミド層(II)を設けたポリイミド積層フィルムが、フィルムの機械搬送方向の線膨張係数αMD及び幅方向の線膨張係数αTDが(αMD+αTD)/2≦15ppm/Kの関係式を充足し、ポリイミド層(II)が1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼンを少なくとも含むことにより、金属層との密着性や耐熱性を効率よく得られること等を見出し、さらに研究を進め、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下のポリイミド積層フィルム等に関する。
[1]
ポリイミド層(I)の片面又は両面にポリイミド層(II)を設けたポリイミド積層フィルムであって、ポリイミド層(II)のガラス転移温度(Tg)が300℃以下である、メタライジング用ポリイミド積層フィルム。
[2]
ポリイミド層(I)の片面又は両面にポリイミド層(II)を設けたポリイミド積層フィルムであって、
ポリイミド積層フィルムが、動的粘弾性測定において200~300℃の領域にポリイミド層(II)のガラス転移に由来する損失正接(tanδ)のピークを有し、
ポリイミド層(II)を構成するポリイミドが、単層フィルムとしての動的粘弾性測定において、ガラス転移温度(Tg)における損失正接(tanδ)が0.8以下であり、
ポリイミド層(II)のTgが300℃以下である、ポリイミド積層フィルム。
[3]
ポリイミド層(I)の片面又は両面にポリイミド層(II)を設けたポリイミド積層フィルムであって、フィルムの機械搬送方向の線膨張係数αMD及び幅方向の線膨張係数αTDが、―10ppm/K≦(αMD+αTD)/2≦15ppm/Kの関係式を充足し、ポリイミド層(II)が1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼンを少なくとも含む、ポリイミド積層フィルム。
[4]
ポリイミド層(II)の(又は、ポリイミド層(II)を構成するポリイミドが、単層フィルムとしての)30℃における貯蔵弾性率(E’(30℃))とTg+30℃における貯蔵弾性率E’(Tg+30℃)の比E’(Tg+30℃)/E’(30℃)が、0.04以上である、[1]~[3]のいずれか記載のポリイミド積層フィルム。
[5]
ポリイミド層(II)の厚みが、0.1~10μmである、[1]~[4]のいずれかに記載のポリイミド積層フィルム。
[6]
ポリイミド層(II)の厚みが5μm以下であり、かつポリイミド積層フィルムの厚みに占めるポリイミド層(II)の厚みの割合が50%以下(例えば、40%以下、35%以下、30%以下)である、[1]~[5]のいずれかに記載のポリイミド積層フィルム。
[7]
フィルムの機械搬送方向の線膨張係数αMD及び幅方向の線膨張係数αTDが、―10ppm/K≦(αMD+αTD)/2≦15ppm/Kの関係式を充足する、[1]~[2]及び[4]~[6]のいずれか記載のポリイミド積層フィルム。
[8]
αTDが-5~+10ppm/Kである、[1]~[7]のいずれか記載のポリイミド積層フィルム。
[9]
ポリイミド層(II)が、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン及びパラフェニレンジアミンから選択される1種以上のジアミン成分を含む、[1]~[2]及び[4]~[8]のいずれか記載のポリイミド積層フィルム。
[10]
ポリイミド層(II)が、全ジアミン成分100モルに対して、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼンを30モル以上70モル以下含む、[1]~[9]のいずれか記載のポリイミド積層フィルム。
[11]
メタライジング用である、[2]~[10]のいずれか記載のポリイミド積層フィルム。
[12]
[1]~[11]のいずれかに記載のポリイミド積層フィルムのポリイミド層(II)上に金属層を設けた、金属積層ポリイミドフィルム。
[13]
金属層とポリイミド積層フィルム間の90°剥離強度が0.8kgf/cm以上である、[12]記載の金属積層ポリイミドフィルム。
本発明によれば、新規なポリイミド積層フィルムを提供できる。
このようなポリイミド積層フィルムによれば、金属層(特に、メタライジング法によって形成された金属層)との良好な密着性を奏しうる。
このようなポリイミド積層フィルムは、メタライジング用に好適に使用しうる。
本発明の一態様のポリイミド積層フィルムによれば、良好な耐熱性を奏しうる。
本発明の一態様のポリイミド積層フィルムによれば、良好な寸法安定性(さらに、メタライジング法等によって表面に金属層を形成後も良好な寸法安定性)を奏しうる。
図1は、本発明のポリイミド積層フィルムの一態様を示す。 図2は、本発明のポリイミド積層フィルムの一態様を示す。
[ポリイミド積層フィルム]
本発明のポリイミド積層フィルムは、ポリイミド層(I)とポリイミド層(II)を有している。
ポリイミド積層フィルムは、ポリイミド層(II)を、ポリイミド層(I)の片面(又は、片面側)に有していてもよいし(図1)、ポリイミド層(I)の両面(又は、両面側)に有していてもよい(図2)。
ポリイミド層(I)及びポリイミド層(II)は、通常、それぞれ、ポリイミドで形成されている。ポリイミド層(I)及びポリイミド層(II)[又は、ポリイミド層(I)を形成するポリイミド及びポリイミド層(II)を形成するポリイミド]は、異なることが好ましい。
(ポリイミド層)
ポリイミド層(I)及びポリイミド層(II)は、通常、芳香族酸無水物成分と芳香族ジアミン成分を原料に含有する。
芳香族酸無水物成分としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンジカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル、ピリジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(例えば、1,2,4,5-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-デカヒドロナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,5,6-ヘキサヒドロナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6-ジクロロ-1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,7-ジクロロ-1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-テトラクロロ-1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物)、1,8,9,10-フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ベンゼン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、3,4,3',4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、好ましくは、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
芳香族ジアミン成分としては、例えば、パラフェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3'-ジアミノジフェニルエーテル、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルプロパン(例えば、4,4'-ジアミノジフェニルプロパン、3,4'-ジアミノジフェニルプロパン、3,3'-ジアミノジフェニルプロパン等)、ジアミノジフェニルメタン(例えば、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジアミノジフェニルメタン等)、ベンジジン、ジアミノジフェニルサルファイド(例えば、4,4'-ジアミノジフェニルサルファイド、3,4'-ジアミノジフェニルサルファイド、3,3'-ジアミノジフェニルサルファイド等)、ジアミノジフェニルスルホン(例えば、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、3,4'-ジアミノジフェニルスルホン、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン等)、2,6-ジアミノピリジン、ビス-(4-アミノフェニル)ジエチルシラン、3,3'-ジクロロベンジジン、ビス-(4-アミノフェニル)エチルホスフィノキサイド、ビス-(4-アミノフェニル)フェニルホスフィノキサイド、ビス-(4-アミノフェニル)-N-フェニルアミン、ビス-(4-アミノフェニル)-N-メチルアミン、1,5-ジアミノナフタレン、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、3,4'-ジメチル-3',4-ジアミノビフェニル、3,3'-ジメトキシベンジジン、2,4-ビス(p-β-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、p-ビス(2-メチル-4-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス-(1,1-ジメチル-5-アミノペンチル)ベンゼン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジアゾール、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、N-(3-アミノフェニル)-4-アミノベンズアミド、4-アミノフェニル-3-アミノベンゾエート等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
ポリイミドフィルムの原料成分としては、本発明の効果を妨げない範囲で、上記芳香族ジアミン成分以外の他のジアミン成分を含んでもよい。
他のジアミン成分としては、例えば、ジアミノアダマンタン類(例えば、1,3-ジアミノアダマンタン、3,3'-ジアミノ-1,1'-ジアミノアダマンタン、3,3'-ジアミノメチル-1,1'-ジアダマンタン等)、ジアミノアルカン類(例えば、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3-メチルヘプタメチレンジアミン、4,4'-ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11-ジアミノドデカン、2,2-ジメチルプロピレンジアミン、3-メトキシヘキサエチレンジアミン、2,5-ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,5-ジメチルヘプタメチレンジアミン、5-メチルノナメチレンジアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,12-ジアミノオクタデカン等)、1,2-ビス(3-アミノプロポキシ)エタン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジアゾール、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、N-(3-アミノフェニル)-4-アミノベンズアミド、4-アミノフェニル-3-アミノベンゾエート等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
ポリイミド層(I)において、芳香族酸無水物成分は、寸法安定性等の観点から、ピロメリット酸二無水物及び/又は3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を少なくとも含むことが好ましい。
ポリイミド層(I)において、芳香族酸無水物成分がピロメリット酸二無水物及び3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含む場合、ピロメリット酸二無水物と3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物のモル比は、寸法安定性や耐熱性等の観点から、例えば、95/5~40/60(例えば、90/10~45/55)、好ましくは85/15~50/50(例えば、80/20~55/45)程度であってよい。
ポリイミド層(I)において、芳香族ジアミン成分は、寸法安定性等の観点から、パラフェニレンジアミン及び/又は4,4’-ジアミノジフェニルエーテルを少なくとも含むことが好ましい。
ポリイミド層(I)において、芳香族ジアミン成分がパラフェニレンジアミン及び4,4’-ジアミノジフェニルエーテルを含む場合、パラフェニレンジアミンと4,4’-ジアミノジフェニルエーテルのモル比は、寸法安定性等の観点から、例えば、60/40~1/99(例えば、55/45~5/95)、好ましくは50/50~10/90(例えば、45/55~15/85)程度であってよい。
ポリイミド層(I)において、特に好ましい芳香族酸無水物成分と芳香族ジアミン成分の組み合わせとしては、例えば、芳香族酸無水物成分としてピロメリット酸二無水物と3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物をモル比85/15~50/50(好ましくは、80/20~55/45)で含み、芳香族ジアミン成分としてパラフェニレンジアミンと4,4’-ジアミノジフェニルエーテルをモル比50/50~10/90(好ましくは、45/55~15/85)で含む組み合わせ等が挙げられる。
ポリイミド層(II)を形成するポリイミドにおいて、芳香族酸無水物成分は、ピロメリット酸二無水物及び/又は3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を少なくとも含むことが好ましい。
ポリイミド層(II)において、芳香族酸無水物成分がピロメリット酸二無水物及び3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含む場合、ピロメリット酸二無水物と3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物のモル比は、例えば、10/90~70/30(例えば、15/85~65/35)、好ましくは20/80~60/40(例えば、25/75~55/45、25/75~50/50)程度であってよい。
ポリイミド層(II)において、芳香族ジアミン成分は、好ましくは、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、パラフェニレンジアミン及び4,4’-ジアミノジフェニルエーテルから選択される1種以上を少なくとも有していてもよく、より好ましくは、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン及び/パラフェニレンジアミンを少なくとも含んでいてもよく、特に、金属層との密着性、耐熱性、寸法安定性等の観点から、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼンを少なくとも含んでいてもよい。
ポリイミド層(II)において、芳香族ジアミン成分が1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼンを含む場合、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼンの割合は、全ジアミン成分100モルに対して、例えば、20~85モル(例えば、25~80モル)、好ましくは30~75モル(例えば、30~70モル、35~65モル、40~65モル)程度であってもよい。
ポリイミド層(II)において、芳香族ジアミン成分がパラフェニレンジアミンを含む場合、パラフェニレンジアミンの割合は、全ジアミン成分100モルに対して、例えば、5~70モル(例えば、10~65モル、30~70モル)、好ましくは15~65モル(例えば、15~60モル、15~55モル)程度であってもよい。
ポリイミド層(II)を形成するポリイミドにおいて、芳香族ジアミン成分がパラフェニレンジアミン及び1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼンを含む場合、パラフェニレンジアミンと1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼンのモル比は、例えば、10/90~70/30(例えば、15/85~65/35)、好ましくは20/80~60/40(例えば、25/75~55/45、25/75~50/50)程度であってよい。
ポリイミド層(I)及びポリイミド層(II)は、ポリイミド以外の他の成分(例えば、無機粒子等のフィラー)を有していてもよい。他の成分は、1種又は2種以上含有していてもよい。
ポリイミド層(I)及びポリイミド層(II)が無機粒子を含む場合、無機粒子は、通常、ポリイミド層(I)及びポリイミド層(II)中に分散されている。
分散に供する無機粒子としては、例えば、酸化物{例えば、SiO(シリカ)、TiO(酸化チタン(IV))等}、無機酸塩{例えば、CaHPO(リン酸水素カルシウム)、CaPO(リン酸カルシウム)、Ca(二リン酸カルシウム)等のリン酸(水素)塩、CaCO(炭酸カルシウム)等の炭酸塩}等が挙げられる。
無機粒子は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用してよい。
分散に供する無機粒子の平均粒子径は、例えば、0.5~2.2μm、好ましくは0.5~2.0μm、より好ましくは0.5~1.9μmであってよい。
なお、無機粒子の平均粒子径の測定方法は、特に限定されず、公知の方法を使用してよい。
分散に供する無機粒子の粒度分布については、狭い分布であること、つまり類似の大きさの無機粒子が全無機粒子に占める割合が高い方が良い。例えば、粒子径0.5~2.5μmの粒子が全無機粒子中80体積%以上(例えば、80~100体積%)の割合を占めていてもよい。尚、無機粒子の粒度分布の測定方法は、特に限定されず、公知の方法を使用してよい。
ポリイミド層(I)(又は、ポリイミド層(I)で形成された(単層)フィルム)のガラス転移温度(Tg)は、寸法安定性等の観点から、例えば、300℃以上(例えば、305℃以上)、好ましくは315℃以上(例えば、320℃以上)、より好ましくは330℃以上程度であってもよく、例えば450℃以下、440℃以下、430℃以下、420℃以下程度であってもよい。
すなわち、ポリイミド積層フィルムは、ポリイミド層(I)由来のTgがこれらの範囲であってもよい。
ポリイミド層(II)(又は、ポリイミド層(II)で形成された(単層)フィルム)のガラス転移温度(Tg)は、金属層との密着性、寸法安定性、耐熱性等の観点から、例えば、300℃以下(例えば、295℃以下)、好ましくは290℃以下(例えば、285℃以下)、より好ましくは280℃以下程度であってもよく、例えば220℃以上、230℃以上、240℃以上、250℃以上程度であってもよい。
すなわち、ポリイミド積層フィルムは、ポリイミド層(II)由来のTgがこれらの範囲であってもよい。
ポリイミド層(I)とポリイミド層(II)のTgの差は、金属層との密着性等の観点から、例えば、50℃以上(例えば、55℃以上)、好ましくは80℃以上(例えば、85℃以上)、より好ましくは100℃以上程度であってもよく、例えば150℃以下、140℃以下、130℃以下、120℃以下程度であってもよい。
すなわち、ポリイミド積層フィルムは、ポリイミド層(I)由来のTgとポリイミド層(II)由来のTgの差が、これらの範囲であってもよい。
なお、Tgの測定方法は、公知の方法を使用してよく、特に限定されないが、例えば、tanδ法(すなわち、tanδのピーク強度をTgとする値)を使用してもよい。
Tgは、例えば、後述する実施例に記載の方法等の動的粘弾性測定によって測定してもよい。
ポリイミド積層フィルムは、ポリイミド層(I)及び/又はポリイミド層(II)のガラス転移に由来する損失正接(tanδ)のピークを有していてもよい。当該ピークは、例えば、200~300℃の領域に有していてもよい。
ポリイミド層(I)(又は、ポリイミド層(I)で形成された(単層)フィルム)のTgにおける損失正接(tanδ)は、寸法安定性や耐熱性等の観点から、例えば、0.5以下、好ましくは0.2以下程度であってもよい。
ポリイミド層(II)(又は、ポリイミド層(II)で形成された(単層)フィルム)のTgにおける損失正接(tanδ)は、寸法安定性や耐熱性等の観点から、例えば、1以下(例えば、0.9以下)、好ましくは0.8以下程度であってもよい。
なお、tanδの測定方法は、特に限定されず、公知の方法を使用してよい。
tanδは、例えば、後述の実施例に記載の方法等の動的粘弾性測定によって測定してよい。
ポリイミド層(II)(又は、ポリイミド層(II)で形成された(単層)フィルム)は、30℃における貯蔵弾性率(E’(30℃))とTg+30℃における貯蔵弾性率E’(Tg+30℃)の比E’(Tg+30℃)/E’(30℃)が、耐熱性等の観点から、例えば、0.03以上(例えば、0.04以上)、好ましくは0.05以上程度であってもよく、例えば、0.5以下、0.4以下程度であってもよい。
なお、貯蔵弾性率の測定方法は、特に限定されず、公知の方法を使用してよい。
貯蔵弾性率は、例えば、後述の実施例に記載の方法によって測定してよい。
(ポリイミド積層フィルム)
ポリイミド積層フィルムにおいて、ポリイミド層(I)とポリイミド層(II)との積層形態は、特に限定されず、ポリイミド層(I)の片面(又は、片面側)又は両面(又は、両面側)にポリイミド層(II)が設けられていればよい。
ポリイミド層(I)とポリイミド層(II)の積層は、他の層(例えば、接着剤層等)を介していてもよく、直接的に積層(これらの層の間に接着剤層等を介することなく積層)されていてもよく、好ましくは直接的に積層されていてもよい。
接着剤層を介する場合、接着剤層を形成する接着剤としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ系接着剤等が挙げられる。接着剤は、1種又は2種以上を使用してもよい。
ポリイミド積層フィルム(全体)の厚み(平均厚み)は、特に限定されないが、例えば、10μm以上、15μm以上、20μm以上、25μm以上、30μm以上程度であってもよく、例えば、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下程度であってよい。
ポリイミド積層フィルムにおいて、ポリイミド層(II)の厚み(平均厚み)は、特に限定されないが、金属層との密着性等の観点から、例えば、0.01μm以上(例えば、0.05μm以上、0.1μm以上、0.15μm以上、0.2μm以上、0.25μm以上、0.3μm以上、0.35μm以上、0.4μm以上、0.45μm以上、0.5μm以上)程度の範囲から選択してもよく、1μm以上(例えば、2μm以上)、好ましくは3μm以上(例えば、4μm以上)程度であってもよく、例えば、30μm以下(例えば、25μm以下、20μm以下、18μm以下)程度の範囲から選択してもよく、15μm以下(例えば、13μm以下)、好ましくは10μm以下(例えば、8μm以下、7μm以下、5μm以下)程度であってもよい。
ポリイミド積層フィルムにおいて、ポリイミド層(II)の厚み(平均厚み)(厚みの上限値)は、小さいものとすることもでき、例えば、5μm以下(例えば、4.5μm以下)、好ましくは4μm以下(例えば、3.5μm以下)、さらに好ましくは3μm以下(例えば、2.5μm以下)程度であってもよく、2μm以下(例えば、2μm未満、1.8μm以下、1.5μm以下、1.2μm以下、1.1μm以下、1μm以下、1μm未満、0.9μm以下、0.8μm以下、0.7μm以下、0.6μm以下、0.5μm以下)等とすることもできる。
具体的なポリイミド層(II)の厚み(平均厚み)としては、例えば、0.01~30μm(例えば、0.05~20μm)、0.05~15μm(例えば、0.1~10μm、0.2~7μm、0.5~5μm)、0.1~3μm(例えば、0.1~2μm)、3~20μm(例えば、3μm超20μm以下、3.5~15μm、4~10μm)等であってもよい。
ポリイミド積層フィルムにおいて、ポリイミド層(I)の厚み(平均厚み)は、特に限定されないが、ポリイミド積層フィルムの寸法安定性を高める等の観点から、例えば、10μm以上(例えば、13μm以上)、好ましくは15μm以上(例えば、17μm以上、20μm以上)程度であってもよく、例えば、50μm以下、40μm以下、30μm以下程度であってもよい。
なお、ポリイミド層(II)の厚みは、ポリイミド層(I)の厚みと同じであってもよく、異なっていてもよいが、異なっていることが好ましい。
また、ポリイミド積層フィルムがポリイミド層(I)の両面にポリイミド層(II)を有する場合、2つのポリイミド層(II)の厚みは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
ポリイミド積層フィルムにおいて、ポリイミド層(I)の厚み(平均厚み)とポリイミド層(II)の厚み(平均厚み)の比率は、特に限定されないが、例えば、金属層との密着性と耐熱性の両立等の観点から、ポリイミド層(I)の厚み:ポリイミド層(II)の厚みが、1:1~500:1(例えば、1.2:1~400:1、1.5:1~300:1、1.8:1~250:1、2:1~200:1)程度の範囲から選択してもよく、例えば、2:1~17:1、好ましくは3:1~15:1、より好ましくは7:2~10:1程度であってもよく、2.5:1~340:1(例えば、2.4:1~300:1、4:1~170:1、5:1~70:1)等であってもよい。
ポリイミド積層フィルムにおいて、ポリイミド積層フィルムの厚み(平均厚み)に占めるポリイミド層(II)の厚み(平均厚み、ポリイミド層(I)の両面にポリイミド層(II)を有する場合、これらの総厚み)の割合は、例えば、90%以下(例えば、80%以下、70%以下、60%以下)程度の範囲から選択してもよく、50%以下(例えば、40%以下、30%以下、20%以下、15%以下、12%以下、10%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2.5%以下、2%以下、1.5%以下)等とすることもできる。
ポリイミド積層フィルムにおいて、ポリイミド積層フィルムの厚み(平均厚み)に占めるポリイミド層(II)の厚み(平均厚み、ポリイミド層(I)の両面にポリイミド層(II)を有する場合、これらの総厚み)の割合は、例えば、0.01%以上(例えば、0.05%以上、0.1%以上)程度の範囲から選択してもよく、0.2%以上(例えば、0.3%以上、好ましくは0.5%以上(例えば、0.7%以上)、さらに好ましくは0.8%以上)等であってもよく、1%以上(例えば、1.2%以上、1.5%以上、2%以上、3%以上、5%以上、8%以上、10%以上、12%以上)等とすることもできる。
ポリイミド積層フィルムにおいて、具体的なポリイミド積層フィルムの厚み(平均厚み)に占めるポリイミド層(II)の厚み(平均厚み、ポリイミド層(I)の両面にポリイミド層(II)を有する場合、これらの総厚み)の割合としては、例えば、0.01~50%(例えば、0.05~40%)、0.1~30%(例えば、0.2~25%)、0.5~20%(例えば、1~15%)、0.05~10%(例えば、0.1~8%)、10~50%(例えば、10~30%)等が挙げられる。
ポリイミド積層フィルムは、フィルムの機械搬送方向の線膨張係数αMDが、寸法安定性等の観点から、例えば、20ppm/K以下(例えば、18ppm/K以下)、好ましくは15ppm/K以下(例えば、13ppm/K以下、10ppm/K以下)程度であってもよく、例えば、―10ppm/K以上(例えば、―8ppm/K以上)、好ましくは―5ppm/K以上(例えば、―3ppm/K以上)程度であってもよい。
ポリイミド積層フィルムは、フィルムの幅方向の線膨張係数αTDが、寸法安定性等の観点から、例えば、20ppm/K以下(例えば、18ppm/K以下)、好ましくは15ppm/K以下(例えば、13ppm/K以下、10ppm/K以下)程度であってもよく、例えば、―10ppm/K以上(例えば、―8ppm/K以上)、好ましくは―5ppm/K以上(例えば、―3ppm/K以上)程度であってもよい。
ポリイミド積層フィルムは、(αMD+αTD)/2の値が、寸法安定性等の観点から、例えば、20ppm/K以下(例えば、18ppm/K以下)、好ましくは15ppm/K以下程度であってもよく、例えば、―10ppm/K以上(例えば、―8ppm/K以上)、好ましくは―5ppm/K以上(例えば、―3ppm/K以上)程度であってもよい。
なお、線膨張係数は、特定の温度範囲(例えば、50~200℃)における線膨張係数であってもよい。
線膨張係数の測定方法は、特に限定されず、例えば、後述する実施例に記載の方法で測定してもよい。
ポリイミド積層フィルムは、巻き取られた状態、すなわち、ロール状(ロール)であってもよい。ポリイミドフィルムロールの幅は、特に限定されないが、例えば、300mm以上、500mm以上等であってもよく、3000mm以下、2000mm以下等であってもよい。ポリイミドフィルムロールの長さは、特に限定されないが、例えば、100m以上、500m以上等であってもよい。
(ポリイミド積層フィルムの製造方法)
次に、ポリイミド積層フィルムの製造方法について説明する。
ポリイミド積層フィルムを得るに際しては、まず、芳香族ジアミン成分及び芳香族酸無水物成分を含む成分を有機溶媒中で重合させることにより、ポリアミック酸溶液(又は、ポリアミド酸溶液)を作成する。ポリアミック酸溶液は、ポリイミド層(I)形成用とポリイミド層(II)形成用とをそれぞれ作製する。
ポリアミック酸溶液の形成に使用される有機溶媒の具体例としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド等のホルムアミド系溶媒、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド等のアセトアミド系溶媒、N-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドン等のピロリドン系溶媒、フェノール、o-,m-,或いはp-クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコール等のフェノール系溶媒、ヘキサメチルホスホルアミド、γ-ブチロラクトン等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。さらには、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素と組み合わせて使用してもよい。
ポリアミック酸溶液の重合方法は公知のいずれの方法で行ってもよく、例えば、
(1)先に芳香族ジアミン成分全量を溶媒中に入れ、その後芳香族酸無水物成分を芳香族ジアミン成分全量と当量になるよう加えて重合する方法、
(2)先に芳香族酸無水物成分全量を溶媒中に入れ、その後芳香族ジアミン成分を芳香族酸無水物成分と当量になるよう加えて重合する方法、
(3)一方の芳香族ジアミン成分を溶媒中に入れた後、反応成分に対して一方の芳香族酸無水物成分が95~105モル%となる比率で反応に必要な時間混合した後、もう一方の芳香族ジアミン成分を添加し、続いてもう一方の芳香族酸無水物成分を全芳香族ジアミン成分と全芳香族酸無水物成分とがほぼ当量になるよう添加して重合する方法、
(4)一方の芳香族酸無水物成分を溶媒中に入れた後、反応成分に対して一方の芳香族ジアミン成分が95~105モル%となる比率で反応に必要な時間混合した後、もう一方の芳香族酸無水物成分を添加し、続いてもう一方の芳香族ジアミン成分を全芳香族ジアミン成分と全芳香族酸無水物成分とがほぼ当量になるよう添加して重合する方法、
(5)溶媒中で一方の芳香族ジアミン成分と芳香族酸無水物成分をどちらかが過剰になるよう反応させてポリアミック酸溶液(A)を調整し、別の溶媒中でもう一方の芳香族ジアミン成分と芳香族酸無水物成分をどちらかが過剰になるよう反応させポリアミック酸溶液(B)を調整する。こうして得られた各ポリアミック酸溶液(A)と(B)を混合し、重合を完結する方法。この時ポリアミック酸溶液(A)を調整するに際し芳香族ジアミン成分が過剰の場合、ポリアミック酸溶液(B)では芳香族酸無水物成分を過剰に、またポリアミック酸溶液(A)で芳香族酸無水物成分が過剰の場合、ポリアミック酸溶液(B)では芳香族ジアミン成分を過剰にし、ポリアミック酸溶液(A)と(B)を混ぜ合わせこれら反応に使用される全芳香族ジアミン成分と全芳香族酸無水物成分とがほぼ当量になるよう調整する方法、等が挙げられる。
なお、重合方法はこれらに限定されることはなく、その他公知の方法を用いてもよい。
ポリアミック酸を構成する芳香族酸無水物成分と芳香族ジアミン成分とは、それぞれのモル数が大略等しくなる割合で重合されるが、その一方が10モル%、好ましくは5モル%の範囲内で他方に対して過剰に配合されてもよい。
重合反応は、有機溶媒中で撹拌しながら行うことが好ましい。重合温度は、特に限定されないが、通常は、反応溶液の内温0~80℃で行なわれる。重合時間は、特に限定されないが、10分~30時間連続して行うことが好ましい。重合反応は、必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもよい。両反応体の添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン成分の溶液中に芳香族酸無水物を添加することが好ましい。重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミック酸の有機溶媒溶液を製造するのに有効な方法である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加することによって、重合反応の制御を行ってもよい。前記末端封止剤は、特に限定されず、公知のものを使用することができる。
こうして得られるポリアミック酸溶液は、固形分を、通常5~40重量%、好ましくは10~30重量%を含有する。また、その粘度は、特に限定されないが、ブルックフィールド粘度計による測定値が、通常10~2000Pa・sであり、安定した送液のために、好ましくは100~1000Pa・sである。尚、有機溶媒溶液中のポリアミック酸は部分的にイミド化されていてもよい。
また、ポリアミック酸溶液は、通常、無機粒子を含有する。無機粒子を含有するポリアミック酸溶液を得るに際しては、予め重合したポリアミック酸溶液に無機粒子を添加してもよいし、無機粒子の存在下でポリアミック酸溶液を重合してもよい。
無機粒子は、溶媒(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N、N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキサイド、N-メチルピロリドン等の極性溶媒等)に分散されたスラリー(無機粒子スラリー)として使用することが、凝集を防止できるため好ましい。
無機粒子スラリーの製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法に従ってよい。無機粒子スラリーの製造方法としては、例えば、ミキサーを用いて無機粒子と溶媒を混合する方法等が挙げられる。ミキサーとしては、高速ディスパー、ホモミキサー、ボールミル、コーレスミキサー、撹拌式ディスパー等の剪断力の高いものを用いることが好ましい。また、湿式粉砕処理を行い、平均粒子径を細かくしてもよい。湿式粉砕処理には、例えば、ビーズミル、サンドミル等を用いることができる。
無機粒子スラリーとしては、無機粒子が予め溶媒中に分散された市販品を使用してもよい。また、無機粒子スラリーは、必要に応じて、他の有機溶媒や配合剤等を含んでいてもよい。
無機粒子スラリー中の無機粒子の濃度は、特に限定されないが、例えば、1~80重量%、好ましくは1~60重量%、より好ましくは1~40重量%である。
無機粒子の添加量は、ポリイミドを形成したときにポリイミド樹脂固形分1重量当たり、通常は0.05~0.8重量%、好ましくは0.05~0.55重量%、より好ましくは0.05~0.52重量%、特に好ましくは0.05~0.5重量%となる量であってよい。
上述のようにして、ポリアミック酸溶液を得ることができる。
ポリイミド積層フィルムを製造する方法としては、例えば、ポリアミック酸溶液をフィルム状にキャストし熱的に脱水環化脱溶媒させる方法、ポリアミック酸溶液に環化触媒及び脱水剤を混合し化学的に脱水環化させてゲルフィルムを作製し、これを加熱脱溶媒する方法が挙げられる。
化学的に脱水環化させる方法においては、まず上記ポリアミック酸溶液を調製する。上記ポリアミック酸溶液は、環化触媒(イミド化触媒)、脱水剤及びゲル化遅延剤等を含有することができる。
環化触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチレンジアミン等の脂肪族第3級アミン、ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン、イソキノリン、ピリジン、β-ピコリン等の複素環式第3級アミン等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を併用できる。なかでも複素環式第3級アミンを少なくとも一種以上使用する態様が好ましい。
脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等の脂肪族カルボン酸無水物、無水安息香酸等の芳香族カルボン酸無水物等が挙げられるが、なかでも無水酢酸及び/又は無水安息香酸が好ましい。
ポリアミック酸溶液からポリイミドフィルム(例えば、各ポリイミド層又はポリイミド積層フィルム)を製造する方法としては、例えば、環化触媒及び脱水剤を含有せしめたポリアミック酸溶液をダイス等から支持体上に流延してフィルム状に成形し、支持体上でイミド化を一部進行させて自己支持性を有するゲルフィルムとした後、支持体より剥離して熱処理を行う方法が挙げられる。
なお、ダイスとしては、作製するポリイミドフィルム(例えば、各ポリイミド層又はポリイミド積層フィルム)の積層構造に応じた複数の吐き出し口を有するものであればよく、特に限定されないが、例えば、複数の吐き出し口を有するTダイス等を使用することができる。
上記ポリアミック酸溶液は、加熱された支持体上に流延され、支持体上で閉環反応(例えば、熱閉環反応、化学閉環反応)をし、自己支持性を有するゲルフィルムとなって支持体から剥離される。
上記支持体とは、金属製の回転ドラムやエンドレスベルトであり、その温度は液体又は気体の熱媒、及び/又は電気ヒーター等の輻射熱により制御される。
上記ゲルフィルムは、支持体からの受熱及び/又は熱風や電気ヒーター等の熱源からの受熱により、通常30~200℃、好ましくは40~150℃に加熱されて閉環反応し、遊離した有機溶媒等の揮発分を乾燥させることにより自己支持性を有するようになり、支持体から剥離される。
上記支持体から剥離されたゲルフィルムは、延伸してもよい。
延伸は、走行方向(又は長手方向)に行ってもよく、幅方向に行ってもよい。
例えば、上記支持体から剥離されたゲルフィルムを、走行方向(又は長手方向)に延伸した後、幅方向へ延伸してもよい。
走行方向(又は長手方向)への延伸は、例えば、回転ロールによって走行速度を規制しながら行ってもよい。
走行方向の延伸温度は、例えば、70℃以上200℃以下であってもよい。
走行方向の延伸倍率は、例えば1.05~2.00倍、好ましくは1.10~1.60倍、さらに好ましくは1.10~1.50倍であってもよい。
幅方向への延伸は、例えば、走行方向に延伸されたゲルフィルムを、テンター装置に導入し、テンタークリップによって幅方向両端部を把持し、テンタークリップと共に走行させながら幅方法へ延伸してもよい。
幅方向の延伸温度は、例えば、70℃以上200℃以下であってもよい。
幅方向の延伸倍率は、例えば1.05~2.00倍、好ましくは1.10~1.80倍、さらに好ましくは1.10~1.70倍であってもよい。
ゲルフィルムの総延伸倍率(走行方向の延伸倍率×幅方向の延伸倍率)は、フィルムの幅方向の配向性を均一にしやすい等の観点から、1.60以上が好ましく、より好ましくは1.70以上、さらに好ましくは1.80以上であってもよい。
上記の延伸されたゲルフィルムは、風、赤外ヒーター等で乾燥してもよい。乾燥温度は、例えば、150~350℃等であってもよい。乾燥時間は、例えば、5秒~30分、好ましくは5秒~10分等であってもよい。
また、上記乾燥後のフィルムを、更に、風、赤外ヒーター等で熱処理してもよい。熱処理温度は、例えば、250~550℃等であってもよい。熱処理時間は、例えば、15秒~30分等であってもよい。
ポリイミドフィルム[例えば、ポリイミド層(ポリイミド層(I)等)、ポリイミド積層フィルム]の厚みは、走行速度を調整することによって調整してもよい。
ポリイミド積層フィルムの製造において、ポリイミド層(I)とポリイミド層(II)とを積層させる方法は、特に限定されないが、例えば、ポリアミック酸溶液を支持体上に流延する際に各層を形成するポリアミック酸溶液を積層させる方法(代表的には、共押出する方法)であってもよいし、ポリイミド層(I)のフィルムを形成した後に、必要に応じて接着剤層を形成し、その上にポリイミド層(II)を形成する方法であってもよい。
ポリイミド積層フィルムの製造において、ポリイミド層(I)とポリイミド層(II)とを積層させる具体的な方法としては、特に限定されないが、例えば、(A)複数の吐き出し口を有するダイスにより、積層構造に応じたポリアミック酸溶液を支持体上へ流涎し、積層させる方法(代表的には、共押出する方法)、(B)ポリイミド層(I)[ポリイミド層(I)のフィルム、フィルム状のポリイミド層(I)]を形成した後に、ポリイミド層(II)に対応するポリアミック酸溶液をポリイミド層(I)[ポリイミド層(I)のフィルム、フィルム状のポリイミド層(I)]上に塗工し、熱的に脱水環化脱溶媒させて積層させる方法等であってもよい。また、(C)ポリイミド層(I)上に接着剤層を形成し、その上にポリイミド層(II)を形成する方法であってもよい。
ポリイミド層(I)ポリイミド層(I)[ポリイミド層(I)のフィルム、フィルム状のポリイミド層(I)]上に、ポリイミド層(II)に対応するポリアミック酸溶液を塗工する方法としては、特に限定されないが、例えば、グラビアコートやダイコートなど公知の塗工方法によって塗工されてよい。
ポリイミド層(I)[ポリイミド層(I)のフィルム、フィルム状のポリイミド層(I)]上に形成した、ポリイミド層(II)に対応するポリアミック酸溶液を熱的に脱水環化脱溶媒させる方法としては、特に限定されないが、例えば、風、赤外ヒーター等で加熱することで脱水環化脱溶媒させてよい。加熱方法としては、加熱最大温度を、例えば、250~550℃、好ましくは300~400℃、加熱時間を、例えば、1~60分、好ましくは10~30分、加熱することで積層フィルムを得てもよい。
このようにして得られた積層ポリイミドフィルムに対して、さらにアニール処理を行ってもよい。アニール処理の方法は、特に限定されず、常法に従ってよい。アニール処理の温度は、特に限定されないが、例えば200~500℃、好ましくは200~370℃、より好ましくは210~350℃であってもよい。具体的には、前記温度範囲に加熱された炉の中を、低張力下にてフィルムを走行させ、アニール処理を行ってもよい。走行時のフィルム張力は、例えば10~50N/m、より好ましくは20~30N/mであってもよい。
上記のようにして得られたポリイミド積層フィルム(の表面)に対して、プラズマ処理を行ってもよい。なお、プラズマ処理は、ポリイミド積層フィルムの両面に行ってもよいし、片面に行ってもよい。
プラズマ処理の方法は、特に限定されず、公知の方法を使用してよい。
プラズマ処理の処理ガスとしては、特に限定されないが、不活性ガス(例えば、He、Ar、Kr、Xe、Ne、Rn、N等)、O、HO、空気、CO等が挙げられる。処理ガスは、1種単独で又は2種以上を組みわせて使用してもよい。
プラズマ処理の処理圧力は、特に限定されないが、例えば、0.1Pa~1330kPaであってもよい。
プラズマ処理の処理強度(E値)は、特に限定されないが、例えば、50W・min/m以上、75W・min/m以上等であってもよく、2000W・min/m以下、1800W・min/m以下等であってもよい。
プラズマ処理の処理時間は、特に限定されないが、例えば、1秒~10分等であってもよい。
[金属積層ポリイミドフィルム]
上述したポリイミド積層フィルムを用いて、金属積層ポリイミドフィルムを形成することができる。
すなわち、本発明は、本発明のポリイミド積層フィルムを用いた金属積層ポリイミドフィルム(又は、金属積層板)も包含する。
金属積層ポリイミドフィルムは、ポリイミド積層フィルムと金属層で形成されていればよい(すなわち、ポリイミド積層フィルム上に金属層を設けたものであればよい)。金属積層ポリイミドフィルムにおいて、金属層は、通常、ポリイミド層(II)上に形成されていてよい。
金属層は、金属箔であってもよく、メタライジングにより形成されたものであってもよいが、好ましくは、メタライジングにより形成されたものであってよい。
メタライジング法は、特に限定されず、例えば、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、電子ビーム等が挙げられる。メタライジング法は、公知の方法を使用してよい。
金属層を構成する金属としては、特に限定されないが、例えば、銅、ニッケル、クロム、マンガン、アルミニウム、鉄、モリブデン、コバルト、タングステン、バナジウム、チタン、タルク等の金属、これら金属の合金、これら金属の酸化物、これら金属の炭化物等が挙げられる。
金属層を構成する金属は、1種又は2種以上であってよい。
金属層は、ポリイミド積層フィルムの片面に形成されていてもよく、両面に形成されていてもよい。なお、プラズマ処理が施されたポリイミド積層フィルムを使用する場合、金属層は、ポリイミド積層フィルムのプラズマ処理面側に形成されていてよい。
金属層の厚さ(平均厚さ)は、特に限定されず、例えば、1~200nm、好ましくは5~200nmであってもよい。
金属層は、1層であってもよく、多層(例えば、2~3層)であってもよい。
なお、金属層が多層の場合、各層を構成する金属は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
金属積層ポリイミドフィルムは、ポリイミド積層フィルムと金属層以外の他の層を有していてもよい。
例えば、金属積層ポリイミドフィルムは、金属層の表面に、さらに、金属メッキ層を有していてもよい。
金属メッキ層を構成する金属としては、上記例示の金属等が挙げられ、好ましくは、銅等であってよい。
金属メッキ層の形成方法は、特に限定されず、例えば、湿式メッキ(例えば、電解メッキ、無電解メッキ等)等を使用してよい。メッキ方法としては、公知の方法を使用してよい。
金属メッキ層の厚さ(平均厚さ)は、特に限定されず、例えば、1~50μmであってもよい。
なお、金属メッキ層は、エッチング等によってパターンニングを行ってもよい。エッチング方法は、特に限定されず、従来公知の方法を使用してよい。
金属積層ポリイミドフィルムにおいて、金属層とポリイミド積層フィルムは、強固に密着していてよい。
例えば、金属積層ポリイミドフィルムは、金属層とポリイミド積層フィルム間の90°剥離強度(ピール強度)が、例えば、0.5kgf/cm超、好ましくは0.8kgf/cm以上であってもよい。
90°剥離強度の測定方法は、特に限定されず、例えば、JIS C 6471に記載の方法Aに従ってよい。なお、金属層が銅層以外の場合も、当該方法Aに従ってよい。
なお、90°剥離強度は、例えば、後述の実施例に記載の方法によって測定してもよい。
本発明のポリイミド積層フィルム又は金属積層ポリイミドフィルムは、種々の用途[例えば、COF(Chip on Film)、フレキシブルプリント基板(FPC)等の回路基板(特に、ファインピッチな配線回路を用いる基板)]に使用することができる。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
実施例において、以下の各化合物は、以下の略称を用いる。
パラフェニレンジアミン:PPD
4,4’-ジアミノジフェニルエーテル:4,4’-ODA:
1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン:RODA
ピロメリット酸二無水物:PMDA
3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物:BPDA
N,N-ジメチルアセトアミド:DMAc
各特性は、以下の方法で評価した。
(1)動的粘弾性
機器:DMS6100(商品名:日立ハイテクサイエンス製)を使用し、測定温度範囲:25~420℃の範囲において、50mL/分の窒素を流入しながら、昇温速度2℃/分及び測定周波数5Hzの条件で測定した。測定により得られる、損失弾性率(E”)と貯蔵弾性率(E’)に対する比である損失正接tanδ(E”/E’)が極大を示す箇所の温度をガラス転移温度(Tg)とした。
(2)熱膨張係数(CTE)
機器:TMA-50(商品名、島津製作所製)を使用し、測定温度範囲:50~200℃、昇温速度10℃/分の条件で測定した。熱膨張係数αは、フィルムの機械搬送方向(MD)の線膨張係数αMD、及び幅方向(TD)の線膨張係数αTDを用いて、α=(αMD+αTD)/2と定義した。
(3)熱圧着変位量
WALTS社製TEGチップ「WALTS-TEG LCD30A-0101JY」をサンプル上に静置し、その上部より表面温度が400℃であるヘッド部を44Nの圧力で1秒間熱圧着した。サンプル表面に生じた凹凸高さをVK-9710(商品名:KEYNCE社製カラー3Dレーザ顕微鏡)により測定し、熱圧着変位量と定義した。
(4)銅とポリイミド積層フィルムとの密着力(90°剥離強度)
銅とポリイミド積層フィルムとの密着力評価は、JIS C 6471に記載された銅箔の引きはがし強さの試験方法にある方法Aに準じ、引張角度90°、引張速度50mm/minの条件で測定した。
〔合成例1〕
容量2000mLのセパラブルフラスコにPPDを25.7g投入し、そこへDMAcを960g加え、完全に溶解するまで攪拌した。続けてPMDAを50.2g添加し、1時間攪拌を行った。その後、4,4’-ODAを71.3g添加し、完全に溶解したことを確認した後にBPDA52.4g、PMDA39.1gを添加し、3時間攪拌を行い、3000ポイズのポリアミック酸溶液(固形分20重量%)を得た。
〔合成例2〕
容量2000mLのセパラブルフラスコにPPDを18.5g投入し、そこへDMAcを960g加え、完全に溶解するまで攪拌した。続けてPMDAを36.2g添加し、1時間攪拌を行った。その後、4,4’-ODAを79.9g添加し、完全に溶解したことを確認した後にBPDA67.1g、PMDA37.2gを添加し、3時間攪拌を行い、3000ポイズのポリアミック酸溶液(固形分20重量%)を得た。
〔合成例3〕
容量2000mLのセパラブルフラスコにPPDを12.3g投入し、そこへDMAcを960g加え、完全に溶解するまで攪拌した。続けてPMDAを24.0g添加し、1時間攪拌を行った。その後、4,4’-ODAを90.9g添加し、完全に溶解したことを確認した後にBPDA50.1g、PMDA61.4gを添加し、3時間攪拌を行い、3000ポイズのポリアミック酸溶液(固形分20重量%)を得た。
〔合成例4〕
容量2000mLのセパラブルフラスコにPPDを21.7g投入し、そこへDMAcを960g加え、完全に溶解するまで攪拌した。続けてPMDAを42.4g添加し、1時間攪拌を行った。その後、RODAを88.0g添加し、完全に溶解したことを確認した後にBPDA81.1g、PMDA4.2gを添加し、3時間攪拌を行い、3000ポイズのポリアミック酸溶液(固形分20重量%)を得た。
〔合成例5〕
容量2000mLのセパラブルフラスコにPPDを11.5g投入し、そこへDMAcを960g加え、完全に溶解するまで攪拌した。続けてPMDAを22.4g添加し、1時間攪拌を行った。その後、4,4’-ODAを84.8g添加し、完全に溶解したことを確認した後にBPDA109.1g、PMDA11.1gを添加し、3時間攪拌を行い、3000ポイズのポリアミック酸溶液(固形分20重量%)を得た。
〔合成例6〕
容量2000mLのセパラブルフラスコにPPDを64.5g投入し、そこへDMAcを960g加え、完全に溶解するまで攪拌した。続けてBPDA173.7gを添加し、3時間攪拌を行い、3200ポイズのポリアミック酸溶液(固形分20重量%)を得た。
〔合成例7〕
容量2000mLのセパラブルフラスコに4,4’-ODAを97.2g投入し、そこへDMAcを960g加え、完全に溶解するまで攪拌した。続けてBPDA141.4gを添加し、3時間攪拌を行い、2700ポイズのポリアミック酸溶液(固形分20重量%)を得た。
[実施例1]
(ポリイミド積層フィルム1の作製)
合成例1で得られたポリアミック酸溶液を-5℃まで冷却した後、ポリアミック酸の固形分重量100質量部に対して、21質量部のDMAcと、16質量部の無水酢酸と、14質量部の3-メチルピリジンを混合した混合液1を得た。
また、合成例4で得られたポリアミック酸溶液から、同様の手順により混合液4を得た。
これらの混合液を、共押出多層T型スリットダイを用いて、混合液4/混合液1/混合液4の3層構造となるように、85℃の回転ドラムに30秒流涎させた後、得られた自己支持性フィルムを100℃で5分間加熱しながら、走行方向に1.23倍延伸した。次いで幅方向両端部を把持して、270℃で2分間加熱しながら幅方向に1.4倍延伸した後、380℃にて90秒間加熱し、混合液1から形成されたポリイミド層(I)の両面に、混合液4から形成された4.5μmのポリイミド層(II)を設けた、34μmのポリイミド積層フィルム1を得た。
(銅積層ポリイミドフィルム1の作製)
ポリイミド積層フィルム1の表面(両面)にプラズマ処理を行い、続いてスパッタリング法により25nm厚のニッケル/クロム合金(ニッケル/クロム=80/20)層を形成した。次に、このニッケル/クロム合金層の上に、同じくスパッタリング法により100nm厚の銅層を形成した。次に、電解銅めっき法により、銅層厚みを8.5μmとした。最後に、配線幅が1mmとなるように、銅エッチングによりパターニングを行うことで、銅積層ポリイミドフィルム1を得た。
(ポリイミド層(II)を形成するポリイミドの単層フィルム4の作製)
合成例4で得られたポリアミック酸溶液を-5℃まで冷却した後に、ポリアミック酸の固形分重量100質量部に対して、21質量部のDMAcと、16質量部の無水酢酸と、14質量部の3-メチルピリジンを混合した混合液4を得た。この混合液を、T型スリットダイを用い、85℃の回転ドラムに30秒流涎させた後、得られた自己支持性フィルムを100℃で5分間加熱しながら、走行方向に1.23倍延伸した。次いで幅方向両端部を把持して、270℃で2分間加熱しながら幅方向に1.4倍延伸した後、380℃にて90秒間加熱し、混合液4で形成された厚み34μmの単層ポリイミドフィルム4を得た。
得られたポリイミド積層フィルム1、銅積層ポリイミドフィルム1、単層ポリイミドフィルム4を用いて各特性の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例2]
合成例1のポリアミック酸溶液の代わりに合成例2のポリアミック酸溶液を用いた以外は実施例1と同様の方法を用い、混合液2を得た。混合液1の代わりに混合液2を用いた以外は実施例1と同様の方法により、混合液2から誘導されるポリイミド層(I)の両面に、混合液4から誘導される4.5μmのポリイミド層(II)を設けた34μmのポリイミド積層フィルム2を得た。
また、このポリイミド積層フィルム2を用いて、実施例1と同様の手順で銅積層ポリイミドフィルム2を得た。
ポリイミド積層フィルム2及び銅積層ポリイミドフィルム2の各特性の評価を行った結果を表1に示す。
[実施例3]
合成例1のポリアミック酸溶液の代わりに合成例3のポリアミック酸溶液を用いた以外は実施例1と同様の手順を用い、混合液3を得た。混合液1の代わりに混合液3を用いたこと以外は実施例1と同様の方法を用い、混合液3から誘導されるポリイミド層(I)の両面に、混合液4から誘導される4.5μmのポリイミド層(II)を設けた34μmのポリイミド積層フィルム3を得た。
また、このポリイミド積層フィルム3を用いて、実施例1と同様の手順で銅積層ポリイミドフィルム3を得た。
ポリイミド積層フィルム3及び銅積層ポリイミドフィルム3の各特性の評価を行った結果を表1に示す。
[実施例4]
合成例4のポリアミック酸溶液の代わりに合成例5のポリアミック酸溶液を用いた以外は実施例1と同様の手順により、混合液5を得た。混合液4の代わりに混合液5を用いた以外は実施例1と同様の方法を用い、混合液1から誘導されるポリイミド層(I)の両面に、混合液5から誘導される4.5μmのポリイミド層(II)を設けた34μmのポリイミド積層フィルム4を得た。
また、このポリイミド積層フィルム4を用いて、実施例1と同様の手順で銅積層ポリイミドフィルム4を得た。
また、混合液5から得られる単層ポリイミドフィルム5を、実施例1と同様の方法により得た。
得られたポリイミド積層フィルム4、銅積層ポリイミドフィルム4、単層ポリイミドフィルム5を用いて各特性の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
混合液4の代わりに混合液1を用いた以外は実施例1と同様の方法を用い、混合液1から誘導されるポリイミド層(I)の両面に、混合液1から誘導される4.5μmのポリイミド層(II)を設けた34μmのポリイミド積層フィルム5を得た。
また、このポリイミド積層フィルム5を用いて、実施例1と同様の手順で銅積層ポリイミドフィルム5を得た。
また、混合液1から得られる単層ポリイミドフィルム1を実施例1と同様の方法により得た。
得られたポリイミド積層フィルム5、銅積層ポリイミドフィルム5、単層ポリイミドフィルム1を用いて各特性の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
合成例4のポリアミック酸溶液の代わりに合成例6のポリアミック酸溶液を用いた以外は実施例1と同様の手順により混合液6を得た。混合液4の代わりに混合液6を用いた以外は実施例1と同様の方法を用い、混合液1から誘導されるポリイミド層(I)の両面に、混合液6から誘導される4.5μmのポリイミド層(II)を設けた34μmのポリイミド積層フィルム6を得た。
また、このポリイミド積層フィルム6を用いて、実施例1と同様の手順で銅積層ポリイミドフィルム6を得た。
また、混合液6から得られる単層ポリイミドフィルム6を実施例1と同様の方法により得た。
得られたポリイミド積層フィルム6、銅積層ポリイミドフィルム6、単層ポリイミドフィルム6を用いて各特性の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例5]
合成例4のポリアミック酸溶液の代わりに合成例7のポリアミック酸溶液を用いた以外は実施例1と同様の手順により、混合液7を得た。混合液4の代わりに混合液7を用いた以外は実施例1と同様の方法を用い、混合液1から誘導されるポリイミド層(I)の両面に、混合液7から誘導される4.5μmのポリイミド層(II)を設けた34μmのポリイミド積層フィルム7を得た。
また、このポリイミド積層フィルム7を用いて、実施例1と同様の手順で銅積層ポリイミドフィルム7を得た。
また、混合液7から得られる単層ポリイミドフィルム7を実施例1と同様の方法により得た。
得られたポリイミド積層フィルム7、銅積層ポリイミドフィルム7、単層ポリイミドフィルム7を用いて各特性の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例6]
合成例1で得られたポリアミック酸溶液を-5℃まで冷却した後、ポリアミック酸の固形分重量100質量部に対して、21質量部のDMAcと、16質量部の無水酢酸と、14質量部の3-メチルピリジンを混合した混合液1を得た。
この混合液を、T型スリットダイを用いて85℃の回転ドラムに30秒流涎させた後、得られた自己支持性フィルムを100℃で5分間加熱しながら、走行方向に1.23倍延伸した。次いで幅方向両端部を把持して、270℃で2分間加熱しながら幅方向に1.4倍延伸した後、380℃にて90秒間加熱し、混合液1から形成された34μmのポリイミド(I)の単層フィルム8を得た。
続けて、合成例4で得られたポリアミック酸溶液に対してDMAcを添加し、固形分5重量%となるように調製したポリアミック酸希釈溶液を、グラビアコーターにより乾燥時の塗工厚みが0.5μmとなるようにポリイミド(I)フィルム8上に塗工し、100℃で10分間加熱し、さらに最高温度が350℃となるように段階的に昇温しながら加熱を行うことで、厚み34μmのポリイミド層(I)8の片面に、合成例4で得られたポリアミック酸から誘導される厚み0.5μmのポリイミド(II)層を設けた、34.5μmのポリイミド積層フィルム8を得た。
また、このポリイミド積層フィルム8を用いて、実施例1と同様の手順で銅積層ポリイミドフィルム8を得た。
得られたポリイミド積層フィルム8、銅積層ポリイミドフィルム8、単層ポリイミドフィルム8を用いて各特性の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例7]
ポリイミド(II)層の厚みを2.0μmとすること以外は、実施例6と同様の手順で、厚み34μmのポリイミド層(I)8の片面に、厚み2.0μmのポリイミド(II)層を設けた、36μmのポリイミド積層フィルム9を得た。
また、このポリイミド積層フィルム9を用いて、実施例1と同様の手順で銅積層ポリイミドフィルム9を得た。
得られたポリイミド積層フィルム9、銅積層ポリイミドフィルム9、単層ポリイミドフィルム8を用いて各特性の評価を行った。結果を表1に示す。
ポリイミド層(II)の特性として、単層ポリイミドフィルム1、4、5、6、7、8の動的粘弾性測定を行い、ガラス転移温度(Tg)におけるtanδと、30℃とTg+30℃それぞれにおける貯蔵弾性率(E’)の比(E’(Tg+30℃)/E’(30℃))を得た。
次に、ポリイミド積層フィルム1~9の動的粘弾性、熱膨張係数及び熱圧着変位量を測定した。
なお、測定した各ポリイミド積層フィルムの各Tgは、コア層を構成するポリイミド(I)及び表層を構成するポリイミド層(II)にそれぞれ対応する(すなわち、同じであること)も確認している。
(寸法安定性評価)
熱膨張係数測定において、寸法安定性を以下のように評価した。
α≦10ppm/K:◎
10ppm/K<α≦15ppm/K:○
15ppm/K<α≦20ppm/K:△
20ppm/K<α:×
(耐熱性評価)
熱圧着変位量測定において、耐熱性を以下のように評価した。
熱圧着変位量が、0.3μm以下:◎
0.3μm超1.0μm以下:○
1.0μm超2.0μm以下:△
2.0μm超:×
(密着力)
銅積層ポリイミドフィルム1~7における銅とポリイミド積層フィルムとの密着力を測定した。密着力は、以下のように評価した。
0.8kgf/cm以上:◎
0.5kgf/cm超0.8kgf/cm未満:○
0.5kgf/cm未満:×
表1が示すように、実施例1~3及び5では、COF用途等に要求される寸法安定性及び耐熱性を保持しつつ、銅との密着力に優れるポリイミド積層フィルムが得られた。
一方、比較例1及び比較例2では、銅との十分な密着力を得ることができなかった。
本発明のポリイミド積層フィルムは、良好な寸法安定性、耐熱性、金属層との密着力等を奏しうるため、COF用途等に有用である。
1 ポリイミド層(I)
2 ポリイミド層(II)

Claims (13)

  1. ポリイミド層(I)の片面又は両面にポリイミド層(II)を設けたポリイミド積層フィルムであって、ポリイミド層(II)のガラス転移温度(Tg)が300℃以下である、メタライジング用ポリイミド積層フィルム。
  2. ポリイミド層(I)の片面又は両面にポリイミド層(II)を設けたポリイミド積層フィルムであって、
    ポリイミド積層フィルムが、動的粘弾性測定において200~300℃の領域にポリイミド層(II)のガラス転移に由来する損失正接(tanδ)のピークを有し、
    ポリイミド層(II)を構成するポリイミドが、単層フィルムとしての動的粘弾性測定において、ガラス転移温度(Tg)における損失正接(tanδ)が0.8以下であり、
    ポリイミド層(II)のTgが300℃以下である、ポリイミド積層フィルム。
  3. ポリイミド層(I)の片面又は両面にポリイミド層(II)を設けたポリイミド積層フィルムであって、フィルムの機械搬送方向の線膨張係数αMD及び幅方向の線膨張係数αTDが、―10ppm/K≦(αMD+αTD)/2≦15ppm/Kの関係式を充足し、ポリイミド層(II)が1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼンを少なくとも含む、ポリイミド積層フィルム。
  4. ポリイミド層(II)の30℃における貯蔵弾性率(E’(30℃))とTg+30℃における貯蔵弾性率E’(Tg+30℃)の比E’(Tg+30℃)/E’(30℃)が、0.04以上である、請求項1~3のいずれか記載のポリイミド積層フィルム。
  5. ポリイミド層(II)の厚みが、0.1~10μmである、請求項1~3のいずれかに記載のポリイミド積層フィルム。
  6. ポリイミド層(II)の厚みが5μm以下であり、かつポリイミド積層フィルムの厚みに占めるポリイミド層(II)の厚みの割合が40%以下である、請求項1~3のいずれかに記載のポリイミド積層フィルム。
  7. フィルムの機械搬送方向の線膨張係数αMD及び幅方向の線膨張係数αTDが、―10ppm/K≦(αMD+αTD)/2≦15ppm/Kの関係式を充足する、請求項1又は2に記載のポリイミド積層フィルム。
  8. αTDが-5~+10ppm/Kである、請求項1~3のいずれか記載のポリイミド積層フィルム。
  9. ポリイミド層(II)が、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン及びパラフェニレンジアミンから選択される1種以上のジアミン成分を含む、請求項1又は2に記載のポリイミド積層フィルム。
  10. ポリイミド層(II)が、全ジアミン成分100モルに対して、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼンを30モル以上70モル以下含む、請求項1~3のいずれか記載のポリイミド積層フィルム。
  11. メタライジング用である、請求項2又は3に記載のポリイミド積層フィルム。
  12. 請求項1~3のいずれかに記載のポリイミド積層フィルムのポリイミド層(II)上に金属層を設けた、金属積層ポリイミドフィルム。
  13. 金属層とポリイミド積層フィルム間の90°剥離強度が0.8kgf/cm以上である、請求項12記載の金属積層ポリイミドフィルム。
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