JP2023167328A - 成形品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ゲート部分において歪、変形、割れ等が生じ難い、新たなゲートカット手法を組み入れたスライドゲート型内カットの成形装置を用いて製造する成形品及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 射出成形により成形される成形品1は、基板2と基板2上の端部18に形成される切欠形状部3とを有する。この切欠形状部3は、ゲートカット時に直押しブロックが形成するゲートカット痕6と、基板2上の端部18においてゲートカット痕6の一方側で切欠形状を形成する第1凹凸痕に相当する第1溝11と、基板2上の端部18においてゲートカット痕6の他方側で切欠形状を形成する第2凹凸痕に相当する第2溝12とを有する。
【選択図】図1
【解決手段】 射出成形により成形される成形品1は、基板2と基板2上の端部18に形成される切欠形状部3とを有する。この切欠形状部3は、ゲートカット時に直押しブロックが形成するゲートカット痕6と、基板2上の端部18においてゲートカット痕6の一方側で切欠形状を形成する第1凹凸痕に相当する第1溝11と、基板2上の端部18においてゲートカット痕6の他方側で切欠形状を形成する第2凹凸痕に相当する第2溝12とを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、スライドゲート型内カットの成形品に関する。
射出成形方法及び金型として、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。これは、第1型と、第2型と、可動コアと、第一の押付部と、第二の押付部と、第三の押付部と、動作部と、遅延機構と、移動阻止手段と、を備え、成形後のゲートカット作業の手間を軽減するとともに、成形品にゲート痕が残る場合に、その位置が組付け作業者にとって触れにくい位置となる。
車両用のパネル部材には、例えば所定方向に長いもの等の大物部品がある。こうした大物部品を成形する場合、多点ゲートからの樹脂射出がなされることが多い。しかしながらゲート内に残留する樹脂残留体と樹脂成形品とのつながりを断つよう切断して双方を分離するゲートカットの作業が必要となる。ゲートカットの作業は、型開きした後になされる作業であり、切断のための専用治具や切断するための時間が必要となるからゲートが多いほど手間がかかるという課題がある。特許文献1の技術によれば、成形品の押し出しの際にゲートが自動的に切断されるため、成形後のゲートカット作業の手間を軽減することができる。
しかしながら、特許文献1の場合、成形品の剛性が低い場合に、ゲート接続部分において歪、変形、割れが生じる可能性がある。具体的には、特許文献1において図3に示されているように、成形品を押し出す2つの押付部がゲートを挟むような位置関係を有しており、それぞれがゲートから離れた位置にある。このため、剛性の低い成形品では、成形品を押し出す際にゲート付近を凹ませる形で曲がる撓み変形を生じ、さらにはその曲がり変形部分で白化を生じる等の問題がある。
射出成形のゲートカットにおいて、直押しブロックにテーパーを備え、ゲートが切断する負荷で斜めに押すことが想定される。斜めテーパーは、直押しブロックに、型の構造上、必要である。
また、直押しブロックにより、成形品を押し上げ、ゲートランナーは保持ピンで維持するため、引きちぎりで切断する。その時に、直押しブロックと成形品の間で力がかかり、ずれが生じやすい。フランジから、Zピンまでの距離で伸ばされ、ゲート残りの凸がでる。斜めに押すことで、成形品部に傷やゲートの残りが生じやすい。
また、直押しブロックにより、成形品を押し上げ、ゲートランナーは保持ピンで維持するため、引きちぎりで切断する。その時に、直押しブロックと成形品の間で力がかかり、ずれが生じやすい。フランジから、Zピンまでの距離で伸ばされ、ゲート残りの凸がでる。斜めに押すことで、成形品部に傷やゲートの残りが生じやすい。
本発明は、上述に鑑みてなされたものであり、その目的は、ゲートカット時に外面に損傷の発生しがたい板状の基板に切欠形状を有する良質な成形品とその製造方法を提供することにある。
さらに、本発明は、ゲート部分において歪、変形、割れ等が生じ難い、新たなゲートカット手法を組み入れたスライドゲート型内カットの成形装置を用いて製造する成形品を提供する。
さらに、本発明は、ゲート部分において歪、変形、割れ等が生じ難い、新たなゲートカット手法を組み入れたスライドゲート型内カットの成形装置を用いて製造する成形品を提供する。
本発明の成形品は、射出成形により成形される成形品(1)であって、基板(2)と前記基板上の端部に形成される切欠形状部(3)とを有し、前記切欠形状部は、ゲートカット時に直押しブロック(7)が形成するゲートカット痕(6)と、前記基板上の端部(18)において前記ゲートカット痕の一方側で切欠形状を形成する第1凹凸痕(11、13、111)と、前記基板上の端部において前記ゲートカット痕の他方側で切欠形状を形成する第2凹凸痕(12、14、121)と、を有する構成を採用する。
本発明の成形品は、ずれ防止に、直押しブロックから、成形品側にくい込み形状を設定する。ゲートカットの時に、直押しブロックの凸形状で、成形品を保持し、位置ずれをなくす。成形品の一部を切り欠くことで、直押しブロックと成形品との位置ずれが少なくなり、ゲートカットが安定する。
本発明の成形品を成形する成形装置は、ゲートの延び等を少なくした構造である。本発明の成形品を成形する成形装置は、ゲート近くで逆方向の力を加える。ゲート近くで引っ張る力を発生する。ゲート近くの場所で押す力を発生させる。前述の力方向が逆のため、プラスチックのゲート部位の伸びが少なくゲートカットが型内でできる。
本発明の成形品は、斜めに押さないように、成形品部の直押しブロックに凸形状のくい込み形状を設定し、まっすぐ押せるようにする。直押しブロックに凸形状を2箇所設置する。ゲートの両サイドに設置し、ゲートカット時の負荷に対して、直押しが斜めに押さないように防止し、成形品と同じ方向に規制している。
以下、本発明の実施形態による成形品及びその製造方法を図面に基づいて説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第一実施形態)
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の第一実施形態について図1から図5及び図13から図19に基づいて説明する。
本発明の成形品を成形する射出成形装置は、スライドゲートによる型内ゲートカットが図2及び図3により形成される。また、図15から図21に示す射出成形装置でも、本発明の成形品を成形することができる。
本発明の成形品を成形する射出成形装置は、スライドゲートによる型内ゲートカットが図2及び図3により形成される。また、図15から図21に示す射出成形装置でも、本発明の成形品を成形することができる。
(成形品について)
成形品は、射出成形により成形される樹脂材料の成形品である。
成形品は、射出成形により成形される樹脂材料の成形品である。
図1から図5に示すように、成形品1の基板2の上面には端部18に沿って特許請求の範囲に記載の第1凸部に相当する凸部4が連なり形成されている。第1凸部4には、ゲートカットする後述の直押しブロック7が当接する跡としての切欠形状部3が形成される。切欠形状部3はゲート跡6が形成される。ゲート跡6は、特許請求の範囲に記載の第2凸部5に相当する。ゲート跡6の天面は、基板2の上面より凸状に形成され、第1凸部4の天面より低位置に形成される。端部18に沿ってゲート跡6の両側に複数の溝11及び溝12を有する。第一実施形態の切欠形状部3は、3個の溝11と3個の溝12を有する。溝11は、特許請求の範囲記載の第1凹凸痕に相当し、溝12は、特許請求の範囲記載の第2凹凸痕に相当する。
成形品1と射出成形時の残留体200との切断部をゲートカット部という。
成形品1の一部を切り欠くことで、特許請求範囲に記載の第1押出手段又は第2押出手段に相当する直押しブロック7と成形品1との位置ずれが少なくなり、ゲートカットが安定する。ゲート跡6にくい込み形状を追加することで、ゲートカットが毎回ばらつきなくカットでき、成形品1の保持と流れ止めの役割もなす。ゲートカットの時にずれ防止で、直押しブロック7から、成形品1側にくい込み形状を設けられる。ゲートカットの時に、直押しブロック7の凸形状で、成形品1を保持し、位置ずれがない。
図5に示すように、比較形態の成形品の形状の場合、基板の端部に切欠形状部を有しないB面でゲートカットを行い、上下や左右にズレが生じることがある。これに対し、本発明の実施形態では、成形品1に、第1溝11及び第2溝12、四角形状または三角形状の切欠形状部があることで、基板の端部に切欠形状部を有するA面に直押しでゲートカットができ安定する。
成形品1は、ゲート跡6を直押しし、上に押す切欠形状を備える。
図13は、射出成形装置を用いて成形される成形品1を示す。ここでの成形品1は、車両用外装部品(例えばモール)であって、所定方向(図13の上下方向)に長手状に延び出す長手状部材(ここではパネル部材)である。この成形品1は、意匠面をなす主表面101aを有した成形体主部101と、成形体主部101の一端からその成形体主部101の主裏面101b側(図16参照)に屈曲する形で延び出す屈曲端部102、を有した屈曲形状をなす。成形体主部101の主表面101aから連続する屈曲端部102における表面102aも意匠面をなしている。
(射出成形機について)
本発明の実施形態の成形品1を成形する、射出成形装置のゲートカット部を、図2から図4に基づいて説明する。
また、本発明の実施形態の成形品1を成形する、射出成形装置を、図13から図21に基づいて説明する。
本発明の実施形態の成形品1を成形する、射出成形装置のゲートカット部を、図2から図4に基づいて説明する。
また、本発明の実施形態の成形品1を成形する、射出成形装置を、図13から図21に基づいて説明する。
本発明の実施形態の成形品1は、図2及び図3に示す、ゲートカット部Gを有する成形装置により形成される。
AはゲートG近くで引っ張る力を発生させる。BはゲートG近くで押す力を発生させる。AとBの力方向が逆のため、ゲートG部位の伸びが少なく型内でゲートカットができる。
AはゲートG近くで引っ張る力を発生させる。BはゲートG近くで押す力を発生させる。AとBの力方向が逆のため、ゲートG部位の伸びが少なく型内でゲートカットができる。
この成形装置のゲートカットは、ゲートの延び等を少なくした構造である。ゲート近くで逆方向の力を加える。ゲート近くで引っ張る力を発生する。ゲート近くの場所で押す力を発生させる。前述の力方向が真逆のため、プラスチックのゲート部位の伸びが少なく型内でゲートカットを行う。
本発明の実施形態の成形品1を成形する射出成形装置のゲートカット装置は、直押しブロックから、成形品側にくい込み形状を設置した自動ゲートカット装置であり、直押しブロックに凸形状を2箇所設置されたゲートの伸びが少ないスライドゲート型内カット装置である。
図4に示すように、本発明の成形品は、切欠形状部3を備え、直押しブロック7でのゲートカット21を行う。
以下、図13から図21に基づき、本発明の成形品を成形する射出成形装置を説明する。
この射出成形装置は、従来の回転ゲートに、本発明の成形品に凸形状を追加することで、ゲートカットが毎回ばらつきなくカットでき、成形品の保持や流れ止めの役割をなす。
図15から図21に示す射出成形装置のゲートカット部は図2及び図3とは異なる実施形態であるが、本発明の第1凹凸痕及び第2凹凸痕を備える成形品を形成する。
射出成形装置9は、図14及び図15に示すように、コア33とキャビティ32との間に成形空間59が内部に形成される金型10と、第一押出手段40と、第二押出手段50と、回転手段70と、を備える。また、金型10は、コア33とキャビティ32と共に、コア33側に押当部54(成形品押当部)及び押出阻止部55を有する。
金型10は、図15及び図16に示すように、コア33とキャビティ32との間(成形空間59)に成形される成形品1に対しその主表面101aに面して位置する第一型をなすキャビティ32と、その主表面10laの裏側の主裏面101bに面して位置する第二型をなすコア33と、を備える。ここでの成形空間59は、成形体主部101を成形する主部成形空間91と屈曲端部102を成形する屈曲端部成形空間92が連通する成形空間59が内部に形成される。ここでの成形空間59は、図14に示すように、同形状の成形品1を2つ同時に成形できるよう、互いの近い側で屈曲端部102を対向させる形で横方向に並んで形成される。
また、金型10は、図14から図16に示すように、成形空間59内に射出される溶融樹脂の流路(樹脂流路)となるよう、ゲートG及びランナーLをコア33側に有する。金型10は、成形空間59にゲートGから溶融樹脂を射出して冷却固化することにより成形品1を成形する一方で、ゲートG及びランナーLでは、残留した溶融樹脂が成形品1の成形に伴う冷却固化により残留体200として成形され、内部に残る。
ゲートGは、成形空間59に至る樹脂流路を形成し、成形空間59と連通する開口を有する。ここでのゲートGは、図14に示すように、1つの成形空間59に対しその長手方向(図13の上下方向)に複数(ここでは3つ)設けられる。また、図15において横に並ぶ2つの成形空間59に対する各ゲートGは、図14に示すように、長手方向(図14の上下方向)における同じ位置にそれぞれ形成される。各ゲートGは、図15及び図16に示すように、屈曲端部成形空間92のうち成形される屈曲端部102の先端面102cと対向する位置に、成形空間9に対しコア33側からキャビティ32側に向けて開口(図15及び図16の上方向に向けて開口)する。
押当部54は、図15に示すように、コア本体30と共にゲートGを形成するコア33のゲート形成部をなす。押当部54はゲートGの内壁面の一部を形成し、コア本体30はそれ以外のゲートGの内壁面を形成し、ゲートGはそれらの対向間に形成される。また、押当部54は、成形品1(先端面102c)に対しコア33側で対面するように位置して成形空間59の内壁面の一部(符号4c)を形成している。具休的にいえば、押当部54は、ゲートGの開口の縁から続く成形空間59の内壁面の一部(4c)を形成している。
第一押出手段40は、図17に示すように成形品1の成形後、キャビティ32とコア33が型開きした状態において、押当部54をキャビティ32側(図17の上方向)に押し当てる形(押し付ける形)で、成形品1をキャビティ32側に押し出す。ここでの第一押出手段40は、押出プレート41と、押出ブロックに相当する押出軸部42と、電動や油圧等といった周知の駆動源43(図15参照)と、を有し、その駆動源43からの駆動力に基づいて押出プレート41をキャビティ32側に向けて移動できる。具体的には、第一押出手段40は、押出プレート41をキャビティ32側に所定の第一距離dだけ移動させる。これにより、押出軸部42がキャビティ32側に押し出され、その押出軸部42が押当部54をキャビティ32側に押し出され、その押当部54によって成形品1がキャビティ32側に押し出される。その結果、押当部54が成形品1の一端面(先端面102c)をキャビティ32側へ押す形になり、成形品1をコア33から離脱(離型)させることができる。コア本体30には、押出軸部挿通孔34が型開き方向(図15の上下方向)に貫通形成されており、押出軸部42が挿通配置されている。押出軸部42は、押出軸部挿通孔34から突出する一端側にて突出して押出プレート41と対面及び当接する一方、他端側にてボルトやナット等の締結部材によって押当部54が一体に固定されている。
なお、上記の第一距離dは、成形品1と残留体200とのゲートカットが確実に生じる距離として設定される。
ランナーLは、金型10内においてゲートGに対し成形空間59とは逆側で連通し、ゲートGと共に成形空間59に至る樹脂流路を形成する。ここでのランナーLは、図14において横に並ぶ2つの成形空間59の間に位置し、それら成形空間59の長手方向(図14の上下方向)において同位置にあるゲートGの中問点Mを中心とした回転対称形状をなす。これはゲートGも同様であり、ゲートGとランナーLからなる樹脂流路、及びその内部に残留して成形品1の成形に伴い冷却固化される形で成形される残留体200は、上記中間点Mを中心とした回転対称形状をなす。ここでは、ランナーLの中間点Mにおいて、キャビティ32側からスプルー(図示省略)が接続する。
図15及ぴ図17に示すように、ゲートG及びランナーLを含む樹脂流路には、流路内で成形される残留体200のキャビティ32側への押し出しを妨げるように押出阻止部55が進入する形で配置される。押出阻止部55は、コア33側に設けられ、残留体200の一部201(押出阻止係止部:図17参照)に対しキャビティ32側に回り込む楔形状をなし、これにより、残留体200のキャビティ32側への移動及び押し出しを阻止している。ここでの押出阻止部55は、キャビティ32とコア33の型開き方向(図15及び図17の上下方向)に延びる棒状の付勢軸部51の先端に設けられる。コア本体30には、付勢軸部挿通孔35が型開き方向に貫通形成され、付勢軸部51が挿通配置されている。付勢軸部51は、一端側にて付勢軸部挿通孔35から突出して押出プレート41と所定の第一距離d(図15参照)をおいて対面する一方、他端側には押出阻止部55が形成される。
また、付勢軸部51の押出阻止部55を含む他端側(キャビティ32側)が、キャビティ32側へ押し出される力を受けた時に、その逆の一端側に向けて引き込むように付勢する付勢手段52(ここではばね部材)が設けられる。これにより、残留体200がキャビティ32側に押し出されても、この付勢手段52の付勢力がそれに対抗し、押出阻止部55が残留体200のキャビティ32側への押し出しを阻止する。
第二押出手段50は、図18に示すように、成形品1をコア33から離脱させた後(離型後)に、残留体200を押出阻止部55と共に(ここでは同時に)キャビティ32側(図18の上方向)に押し出す。ここでの第二押出手段50は、押出プレート41と、付勢軸部51と、回転軸部71と、駆動源43(図15参照)と、を有し、駆動源43の駆動力に基づいて押出プレート41をキャビティ32側に移動できる。具体的には、第一押出手段40によって第一距離dだけキャビティ32側に移動した押出プレート41を、さらに所定の第一距離e(図19参照)だけキャビティ32側に移動させる。これにより、押出プレート41によって付勢軸部51及び回転軸部71がキャビティ32側に押し出される。押し出された付勢軸部51は、その先端(ランナー押当部)を残留体200のランナーLの両端LN付近ゲートG付近に押し当てる形で残留体200を押し出す。他方、押し出された回転軸部71は、その先端(ランナー押当部)で残留体200のランナー中間部LM内の部分に押し当てる形で残留体200を押し出す。それらの結果、図19に示すように、残留体200をコア本体30から離脱させる。
なお、図15に示すように、付勢軸部51と同転軸部71とを連結する連結部材38がコア33側に設けられる。押出軸部42は、連結部材38を貫通するように配置される。連結部材38によって一体化された付勢軸部51と回転軸部71とは、型開き方向において押出プレート41に対し所定の第一距離d(図15参照)を離して位置することにより、付勢軸部51及び回転軸部71は、押出軸部42よりも遅れてキャビティ32側に押し出される。その結果、押当部54による成形品1のキャビティ32側への押し出し(図17→図18)が先に生じ、それに一定期間遅れて付勢軸部51及び回転軸部7lによる残留体200のキャビティ32側への押し出し(図18→図19)が生じる。そして、その一定期間の間(先の押し出しの間)に、成形品1と残留体200との分離及び切断(ゲートカット)が生じる。この一定期間の遅れまたは遅延を生じさせるのは、押出プレート41に対し第一距離d(図15参照)を離して付勢軸部51及び回転軸部71を配置した構造である。このようにして構成される遅延機構53(図15参照)は、第二押出手段50に含まれる遅延手段であり、これにより、押出プレート41の移動に基づいて生じる第一押出手段40による押し当て及び押し出しに対し、同じ押出プレート41の移動に基づいて生じる第二押出手段50による押し当て及び押し出しを、遅延させることができる。
回転手段70は、図19に示すように、第二押出手段50によってキャビティ32側に所定の窮二距離e(所定距離)だけ押し出された残留体200を、キャビティ32とコア33の型開き方向に延びる所定の回転軸線Z周りで所定回転方向に回転させる。ここでの回転手段70は、回転軸部71と、第三押出手段60と、回転軸部71及び回転軸部挿通孔37に設けられた回転カイド部79、39と、を有する。第三押出手段60は、押出プレート41と、駆動源43(図15参照)と、を有しており、駆動源43の駆動力に基づいて押出プレート41をキャビティ32側に移動させることができる。
具体的には、回転手段70は、第二押出手段50によってキャビティ32側に第二距離eだけ移動した押出プレート41を、第三押出手段60によってキャビティ32側にさらに押し出す(移動させる)。そのさらなる押し出し(移動)に伴い互い、回転ガイド部79、39によって、回転軸部71を回転軸線Z周りで所定回転方向Rに所定角度だけ回転させる(図示しない)。ここでの回転ガイド部79は、図15に示すように、円柱状の回転軸部71の外周に型開き方向に延びる形で形成されるガイド溝79であり、回転ガイド部39は、そのガイド溝79に進入する形で配置されるようコア33(ここではコア本体30)の固定位置に設けられたガイドピン39である。
ガイドピン39は、回転軸部71のキャビティ32側への押し出しに伴いガイド溝79に沿って移動する。回転軸都71の外周面に形成されるガイド溝79は、第一押出手段40によって成形品1がキャビティ32側に押し出される直前位置の状態においてガイドピン39が進入する位置を開始位置(図17参照)とすると、その開始位置から、第二押出手段50によって残留体200がキャビティ32側に押し出されて第二距離eを移動して残留体200がPL面を越えた中間位置(図19参照)まで、型開き方向をコア33側に向かって直線的に形成される。これにより、成形品1がキャビティ32側に押し出され、残留体200がPL面を越えるまでの間、ガイドピン39が設けられるコア33(コア本体30)に対し、ガイド溝79が形成される回転軸部71は非回転状態が維持される。
ところが、ガイド溝79は、中間位置(図19参照)から先においては、型開き方向をコア33側に向かって周方向に向けて曲がる形で設けられる。これにより、残留体200がPL面を越えた先では、カイドピン39が設けられるコア33(コア本体30)に対し、ガイド溝79が形成される回転軸部71が回転する。その回転方向Rは、ガイド溝79の曲がり方向によって決定され、その回転角度は、曲がった先の周方向位置によって決定される。ここでのガイド溝79は、残留体200がPL面を越えた先で、図示しない所定回転方向Rに所定角度(ここでは90度)だけ回転するように形成される。なお、ここでのガイド溝79は、曲がりが終了したその先で、型開き力向をコア33側に向かって直線的にわずかに延びる形で終了位置に達するよう形成されている。
以下、本実施形態における射出成形方法について具体的に説明する。
まずは図15に示す型締めされた金型10の成形空間59内にランナーL及びゲートGを介して溶融樹脂が射出され、冷却固化される。これにより、図16に示すように、成形空間59内に成形品1が成形される(成形ステップ)。また、この成形と同時に、ランナーL及びゲートGを含む樹脂流路内にも残留体200が成形される(成形ステップ)。成形された棚脂残留体200は、成形品1と一体につながっている。
これらの成形後は、図17に示すように、キャビティ32とコア33を離間させる型開きが実行される(型開きステップ)。これにより、コア33上に成形品1が露出する。
次は図17から図18へと示すように、成形品1の突き出し及び押し出しが実行される。ここでは、キャビティ32とコア33が型開きした状態で、第一押出手段40が押当部54をキャビティ32側に押し出す(成形品押出ステップ)。
具体的には、第一押出手段40は、駆動源43(図15参照)の駆動力によって押出プレート41をキャビティ32側に第一距離d(図15参照)だけ押し出す。これにより押出軸部42がキャビティ32側に押し出され、その押し出しにより押出軸部42の先端の押当部54が成形品1をキャビティ32側に押し出す。ところが、成形品1は残留体200と一体につながっており、その残留体200は押出阻止部55によってキャビティ32側への押し出しを妨げられている。このため、成形品1と残留体200との接続部分(ゲートGの開口付近)においてゲートカットが生じ、切り離された成形品1のみがキャビティ32側へ押し出される。成形品1を押し出す押当部54は、ゲー卜Gの内壁を形成するゲートGの開口に近い部位であり、その押当部54が成形品1を押し出す。この時、本発明の成形品1の切欠形状部を直押しすることにより、ゲートカットが安定し、成形品1のゲートGとの接続部分において歪、変形、割れ等が生じ難い。
このゲートカットに伴い成形品1は、図18から図19へと示すように、コア33から離型する。離型後には、成形品1から分離した残留体200と、押出阻止部55とを、第二押出手段50が同時にキャビティ32側に押し出す(残留体押当ステップ)。
具体的には、第二押出手段50は、駆動源43(図15参照)の駆動力によって、第一押出手段40によってキャビティ32側に第一距離dだけ押し出された押出プレート41(図18参照)を、キャビティ32側にさらに第二距離e(図19参照)だけ押し出す。第一押出手段40によって、キャビティ32側に第一距離d(図15参照)だけ押し出された押出プレート41は、図18に示すように、付勢軸部51及び回転軸部71の基端と当接する位置に達している。この当接位置に達した押出プレート41は、キャビティ32側にさらに押し出されることにより、付勢軸部51及び回転軸部71を押出軸部42と共にキャビティ32側へ押し出し、それらの押し出しにより付勢軸部51及び回転軸部71の先端(符号5、71A)が残留体200をキャビティ32側に押し出す(図19参照)。
なお、第二距離eは、残留体200が後述する回転を生じたときにコア33と干渉しない位置となるよう設定されている。ここでの第二距離eは、残留体200全体がキャビティ32とコア33の分割面PLよりもキャビティ32側へ押し出される距離となるよう設定されている。
第二押出手段50によってキャビティ32側に所定距離だけ押し出された残留体200は、図19から図20へと示すように、押出阻止部55から残留体200が離脱し、キャビティ32側への抜けが可能となるように、回転手段70が回転軸線Z周りで回転方向Rに向けて所定角度だけ回転させる(回転ステップ)。
具体的には、回転手段70は、第二押出手段50によってキャビティ32側に第二距離e(図19参照)だけ押し出された押出プレート41を、図19から図20へと示すように、第三押出手段60によってキャビティ32側にさらに押し出すことにより付勢軸部51及び回転軸部71を(押出軸部42と共に)キャビティ32側に押し出す。回転軸部71は、第一及び第二押出手段40、50によるキャビティ32側への押し出しの際、コア33(コア本体30)から突出するガイドピン39が外周面に直線状に設けられたガイド溝79に進入した状態を維侍する形で、その押し出し方向に移動する。このため、回転軸部71は回転軸線Z周りにおいて非回転に維持されていた(図17→図18→図19)。ところが、第三押出手段60による押し出し(図19→図20)の際には、ガイド溝79がその押し出し方向に向かうに従い外周面を所定の周方向に曲がっていく曲線形状をなすから、回転軸部71は回転軸線Z周りにおいて所定回転方向に所定角度(90度)回転する。
この回転により、図20に示すように、残留体200に対してキャビティ32側への移動を阻止していた押出阻止部55から、残留体200が離脱する。押出阻止部55から離脱した残留体200は、図21に示すように、キャビティ32側への移動が可能となり、回転軸部71の先端71Aから取り外すことができる。このため、この回転の後は、自然落下やロボットアームによる回収等の周知の手法によって回収される(回収ステップ)。
(比較形態)
比較形態における射出成形の成形品のゲートカットのメカニズムを図9から図12に基づいて説明する。
比較形態における射出成形の成形品のゲートカットのメカニズムを図9から図12に基づいて説明する。
図9に示すように、比較形態の技術では、直接まっすぐ押しゲートGで比較形態の成形品100と残留体200を分離させ、Zピン形状24及びスプリングで引っ張る。フランジからZピン形状24までの距離で延ばされ、ゲートGの残りの凸がでてしまう問題がある。
図10に示すように、押出ブロックに斜めのテーパー25を備え、ゲートが切断される負荷で斜めに押される。斜めに押すことで、成形品部に傷やゲート残りが生じやすい。
図11に示すように、成形後、スライドゲートで設定し、ニッパー22でゲートする。
図12に示すように、成形後、直押しブロックに型内ゲートカットを行うが比較形態の成形品100だと、ゲートカット時に、直押しブロックと成形品100のズレが生じ、側辺部の傷やゲートカット残りがでる。
(第二実施形態)
本発明の第二実施形態について、図6に基づいて説明する。
本発明の第二実施形態について、図6に基づいて説明する。
図6に示すように、成形品1の基板2の屈曲端部18に沿って、特許請求の範囲に記載の第1凸部に相当する凸部4が連なり形成されていて、直押しブロックに切欠形状部が形成される。切欠形状部には、ゲートが設けられ、ゲートカット部の両側に第1凹凸痕に相当する第1溝111及び第2凹凸痕に相当する第2溝121を有する。第二実施形態の切欠形状の第1溝111は四角形状の1つの溝、第2溝121は四角形状の1つの溝である。
第二実施形態の他の基本的構成は、第一実施形態と同様である。
(第三実施形態)
本発明の第三実施形態について、図7に基づいて説明する。
本発明の第三実施形態について、図7に基づいて説明する。
図7に示すように、成形品1の基板2の屈曲端部18に沿って、凸部4が連なり形成されていて、直押しブロックに切欠形状部が形成される。切欠形状部には、ゲートが設けられ、ゲートカット部の両側に第1凹形状部15及び第2凹形状部16を有する。第三実施形態の切欠形状の第1凹形状部15は四角形状の1つの凹部、第2凹形状部16は四角形状の1つの凹部である。
第三実施形態の他の基本的構成は、第一実施形態と同様である。
(第四実施形態)
本発明の第四実施形態について、図8に基づいて説明する。
本発明の第四実施形態について、図8に基づいて説明する。
図8に示すように、成形品1の基板2の屈曲端部18に沿って、凸部が連なり形成されていて、直押しブロックに切欠形状部が形成される。切欠形状部には、ゲートが設けられ、ゲートカット部の両側に第1凸形状部13及び第2凸形状部14を有する。第四実施形態の切欠形状部の第1凸形状部13は1個の凸部、第2凸形状部14は1個の凸部である。
斜めに押さないように、成形品部の直押しブロックに凸形状のくい込み形状を設定し、まっすぐ押せるようにする。直押しブロックに凸形状部を2箇所設置する。ゲートの両サイドに設置し、ゲートカット時の負荷に対して、直押しが斜めに押さないように防止し、成形品と同じ方向に規制している。
第四実施形態の他の基本的構成は、第一実施形態と同様である。
以上、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
本発明の射出成形による成形品は、基板の端部に第1凸部を有しない成形品について説明したが、前記基板の端部に沿って、前記切欠形状部の外側に、第1凸部(4)が連なり形成される形状の成形品であってもよい。
本発明の成形品は、前記切欠形状部は、前記基板の上面より高位置で前記第1凸部の上面よりも低位置の平面(55)をもつ第2凸部(5)に形成されるようにしてもよい。
本発明の成形品は、前記第1凹凸痕及び前記第2凹凸痕が四角形状であってもよいし、前記第1凹凸痕及び前記第2凹凸痕が三角形状であってもよい。
本発明の成形品の製造方法は、前記切欠形状部を形成する金型を成形機に取り付け、成形品を射出成形するための成形用空間を形成する工程と、前記金型の前記成形用空間内に型締めする工程と、前記成形用空間に樹脂注入する工程と、注入樹脂を保圧冷却する工程と、型開きする工程と、ゲート近くで第1押出手段と第2押出手段とを相対移動する工程と、成形品に前記第1凹凸痕と前記第2凹凸痕を形成する工程と、ゲートカット部における成形用樹脂材の伸びを抑制する工程と、を含むことができる。
本発明の射出成形による成形品は、基板の端部に第1凸部を有しない成形品について説明したが、前記基板の端部に沿って、前記切欠形状部の外側に、第1凸部(4)が連なり形成される形状の成形品であってもよい。
本発明の成形品は、前記切欠形状部は、前記基板の上面より高位置で前記第1凸部の上面よりも低位置の平面(55)をもつ第2凸部(5)に形成されるようにしてもよい。
本発明の成形品は、前記第1凹凸痕及び前記第2凹凸痕が四角形状であってもよいし、前記第1凹凸痕及び前記第2凹凸痕が三角形状であってもよい。
本発明の成形品の製造方法は、前記切欠形状部を形成する金型を成形機に取り付け、成形品を射出成形するための成形用空間を形成する工程と、前記金型の前記成形用空間内に型締めする工程と、前記成形用空間に樹脂注入する工程と、注入樹脂を保圧冷却する工程と、型開きする工程と、ゲート近くで第1押出手段と第2押出手段とを相対移動する工程と、成形品に前記第1凹凸痕と前記第2凹凸痕を形成する工程と、ゲートカット部における成形用樹脂材の伸びを抑制する工程と、を含むことができる。
1 成形品、
2 基板、
3 切欠形状部、
4 凸部(第1凸部)、
5 第2凸部、
6 ゲート跡(第2凸部)、
7 直押しブロック(第1押出手段、第2押出手段)、
9 射出成形装置、
11、111 第1溝(第1凹凸痕)、
12、121 第2溝(第2凹凸痕)、
13 第1凸形状部、
14 第2凸形状部、
15 第1凹形状部、
16 第2凹形状部、
18 端部、
55 平面。
2 基板、
3 切欠形状部、
4 凸部(第1凸部)、
5 第2凸部、
6 ゲート跡(第2凸部)、
7 直押しブロック(第1押出手段、第2押出手段)、
9 射出成形装置、
11、111 第1溝(第1凹凸痕)、
12、121 第2溝(第2凹凸痕)、
13 第1凸形状部、
14 第2凸形状部、
15 第1凹形状部、
16 第2凹形状部、
18 端部、
55 平面。
Claims (6)
- 射出成形により成形される成形品(1)であって、
基板(2)と前記基板上の端部に形成される切欠形状部(3)とを有し、
前記切欠形状部は、
ゲートカット時に直押しブロック(7)が形成するゲートカット痕(6)と、
前記基板上の端部(18)において前記ゲートカット痕の一方側で切欠形状を形成する第1凹凸痕(11、13、111)と、
前記基板上の端部において前記ゲートカット痕の他方側で切欠形状を形成する第2凹凸痕(12、14、121)と、を有する成形品。 - 前記基板の端部に沿って、前記切欠形状部の外側に、第1凸部(4)が連なり形成される請求項1記載の成形品。
- 前記切欠形状部は、前記基板の上面より高位置で前記第1凸部の上面よりも低位置の平面(55)をもつ第2凸部(5)に形成される請求項2記載の成形品。
- 前記第1凹凸痕及び前記第2凹凸痕が四角形状である請求項3記載の成形品。
- 前記第1凹凸痕及び前記第2凹凸痕が三角形状である請求項3記載の成形品。
- 請求項1記載の成形品の製造方法であって、
前記切欠形状部を形成する金型を成形機に取り付け、成形品を射出成形するための成形用空間を形成する工程と、
前記金型の前記成形用空間内に型締めする工程と、
前記成形用空間に樹脂注入する工程と、
注入樹脂を保圧冷却する工程と、
型開きする工程と、
ゲート近くで第1押出手段と第2押出手段とを相対移動する工程と、
成形品に前記第1凹凸痕と前記第2凹凸痕を形成する工程と、
ゲートカット部における成形用樹脂材の伸びを抑制する工程と、を含む成形品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022078422A JP2023167328A (ja) | 2022-05-11 | 2022-05-11 | 成形品及びその製造方法 |
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- 2022-05-11 JP JP2022078422A patent/JP2023167328A/ja active Pending
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