JP2023158871A - ノック式筆記具 - Google Patents
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Abstract
【課題】ノック操作時の回転部材の係止音の発生を低減させるとともに、ノック操作感を重くするおそれがないノック式筆記具を提供する。【解決手段】出没機構が、軸筒2内部に形成されたカム部5と、カム部5に係合し且つ筆記体9の後端を支持する回転部材6と、回転部材6に回転を付与するカム歯81を備えた操作部7と、軸筒2内に収容され且つ筆記体9を後方に付勢する弾発体と、を備える。回転部材6の外周面に複数の外向突起61が分散されて形成される。軸筒2の内周面に複数の内向突起21が分散されて形成される。回転部材6の外周面の外向突起61と軸筒2の内周面の内向突起21とが周方向に摺接する。【選択図】 図1
Description
本発明は、ノック式筆記具に関する。詳細には、軸筒内に筆記体を前後方向に移動可能に収容し、前記筆記体のペン先を軸筒の前端孔から出没可能に構成したノック式筆記具に関する。
従来、特許文献1には、回転子が係止される際の音の発生を抑制する目的で、ノック体に対する押圧操作により前進及び回転して係止される回転子と、回転子に接続する中芯受けとを備え、中芯受けの外周面に摺接突起が設けられ、摺接突起が軸筒の内周面に摺接する構成が開示されている。
前記特許文献1の構成は、常時、摺接突起と軸筒内面とが周方向及び軸方向に摺接する構成のため、回転子(本願の回転部材に相当)の回転スピードは抑えられるとしても、回転子を回転させるために大きな押圧操作力が必要となり、ノック操作感が重くなるおそれがある。
本願発明は、前記従来の問題点を解決するものであって、ノック操作時の回転部材の係止音の発生を低減させるとともに、ノック操作感を重くするおそれがないノック式筆記具を提供しようとするものである。
本願発明で、「前」とはペン先側を指し、「後」とはその反対側を指す。本発明で「ペン先没入状態」とは、ペン先が軸筒内に没入された状態である。本発明で「ペン先突出状態」とは、ペン先が軸筒前端孔より外部に突出した状態である。
本願発明で、「前」とはペン先側を指し、「後」とはその反対側を指す。本発明で「ペン先没入状態」とは、ペン先が軸筒内に没入された状態である。本発明で「ペン先突出状態」とは、ペン先が軸筒前端孔より外部に突出した状態である。
本願の第1の発明は、軸筒内に筆記体を前後方向に移動可能に収容し、前記筆記体のペン先を前記軸筒の前端孔から出没可能に構成したノック式筆記具であって、前記軸筒の側壁または前記軸筒の後端に操作部が設けられ、ペン先没入状態から前記操作部を前方に押圧操作することにより前記ペン先を前記軸筒の前端孔から突出状態にし、前記ペン先突出状態から前記操作部を前方に押圧操作することにより前記ペン先を没入状態にする出没機構を備え、前記出没機構が、前記軸筒内部に形成されたカム部と、前記カム部に係合し且つ前記筆記体の後端を支持する回転部材と、前記回転部材に回転を付与するカム歯を備えた前記操作部と、前記軸筒内に収容され且つ前記筆記体を後方に付勢する弾発体と、を備え、前記回転部材の外周面に外向突起が形成され、前記軸筒の内周面に内向突起が形成され、前記回転部材の外周面の外向突起と前記軸筒の内周面の内向突起とが周方向に摺接することを要件とする。
それにより、前記第1の発明のノック式筆記具は、回転部材と軸筒の内周面とが常時強く接触せず、回転部材の回転時、回転部材の外周面の外向突起と軸筒の内周面の内向突起とが周方向に摺接して回転部材の回転スピードを抑えることができ、ノック操作感を重くすることなく、ノック操作時の回転部材の係止音の発生を低減させることができる。
本願の第2の発明は、前記第1の発明のノック式筆記具において、前記内向突起が、ペン先没入状態からペン先突出状態に移行する過程で前記外向突起と周方向に摺接する第1内向突起と、ペン先突出状態からペン先没入状態に移行する過程で前記外向突起と周方向に摺接する第2内向突起と、を備えることを要件とする。
それにより、前記第2の発明のノック式筆記具は、ペン先没入状態からペン先突出状態に移行する過程と、ペン先突出状態からペン先没入状態に移行する過程とにおいて、回転部材の回転スピードを抑えることができ、ノック操作時の回転部材の係止音の発生を、確実に低減させることができる。
本願の第3の発明は、前記第1の発明のノック式筆記具において、前記外向突起が前記回転部材の外周面に複数分散されて形成され、前記内向突起が前記軸筒の内周面に複数分散されて形成され、前記各々の外向突起に接する仮想外接円の直径が、前記各々内向突起に接する仮想内接円の直径以上であり、且つ、前記各々の外向突起に接する仮想外接円の直径が、前記各々の内向突起の相互間の軸筒内周面の内径より小さく、且つ、前記各々内向突起に接する仮想内接円の直径が、前記各々の外向突起の相互間の回転部材外周面の外径より大きいことを要件とする。
それにより、前記第3の発明のノック式筆記具は、回転部材の外向突起と軸筒内周面の内向突起とが確実に摺接するとともに、回転部材の外向突起と軸筒内周面の内向突起とが摺接する時以外は、回転部材の外周面と軸筒の内周面とは強く摺接せず、ノック操作感を重くすることを確実に防止できる。
本発明のノック式筆記具は、ノック操作時の回転部材の係止音の発生を低減させるとともに、ノック操作感を重くするおそれがない。
本発明の実施の形態のノック式筆記具1を図1乃至図20に示す。
本実施の形態のノック式筆記具1は、軸筒2と、該軸筒2内に収容される筆記体9と、該筆記体9のペン先を軸筒2の前端孔(図示せず)より出没自在にさせる出没機構と、該出没機構の操作部7としてのクリップ体とを備える。
・筆記体
前記筆記体9は、ペン先(図示せず)と、該ペン先が前端開口部に圧入固着されたインキ収容管91と、該インキ収容管91内に充填されるインキと、該インキの後端に充填され且つ該インキの消費に伴い前進する追従体(例えば高粘度流体)とからなる。インキ収容管91の後端開口部に、インキ収容管91と外部とが通気可能な通気孔を備えた尾栓92が取り付けられる。
前記筆記体9は、ペン先(図示せず)と、該ペン先が前端開口部に圧入固着されたインキ収容管91と、該インキ収容管91内に充填されるインキと、該インキの後端に充填され且つ該インキの消費に伴い前進する追従体(例えば高粘度流体)とからなる。インキ収容管91の後端開口部に、インキ収容管91と外部とが通気可能な通気孔を備えた尾栓92が取り付けられる。
前記ペン先は、例えば、前端に回転可能にボールを抱持した金属製のボールペンチップのみからなる構成、または前記ボールペンチップの後部外面を保持した合成樹脂製のペン先ホルダーからなる構成のいずれであってもよい。前記ペン先の内部には、前端のボールを前方に押圧するスプリングが収容される。前記スプリングは、圧縮コイルスプリングの前端部にロッド部を備えた構成であり、前記ロッド部の前端がボール後面に接触している。非筆記時、前記スプリングの前方付勢によりボールがボールペンチップ前端の内向きの前端縁部内面に密接され、ペン先の前端からのインキの漏出及びインキの蒸発を防止できる。
・軸筒
前記軸筒2は、先細円筒状の前軸(図示せず)と、該前軸の後端部に連結される円筒状の中間軸3と、該中間軸3の後端部に連結される円筒状の後軸4とからなる。
前記軸筒2は、先細円筒状の前軸(図示せず)と、該前軸の後端部に連結される円筒状の中間軸3と、該中間軸3の後端部に連結される円筒状の後軸4とからなる。
・中間軸
前記中間軸3は、円筒状の合成樹脂(例えば、ポリカーボネート樹脂)の成形体からなる。前記中間軸3の前端部内面には、メネジ部が形成される。前記メネジ部に前記前軸のオネジ部が螺合可能である。前記中間軸3の後端部には、縮径部が一体に形成される。前記中間軸3の後端部側壁には、前端が閉鎖され且つ後端が開放された、前後方向に延びる第1の長孔が形成される。また、前記第1の長孔より前方の中間軸3の外面には、前後方向に延びるガイド溝が形成される。前記ガイド溝に、クリップ体7の玉部が常時係合し、クリップ体7の前後方向の移動に伴って、前記クリップ体7の玉部が前記ガイド溝に沿って前後方向に移動可能である。前記ガイド溝と玉部によって、ポケット等の被挟持物が強固に挟持される。
前記中間軸3は、円筒状の合成樹脂(例えば、ポリカーボネート樹脂)の成形体からなる。前記中間軸3の前端部内面には、メネジ部が形成される。前記メネジ部に前記前軸のオネジ部が螺合可能である。前記中間軸3の後端部には、縮径部が一体に形成される。前記中間軸3の後端部側壁には、前端が閉鎖され且つ後端が開放された、前後方向に延びる第1の長孔が形成される。また、前記第1の長孔より前方の中間軸3の外面には、前後方向に延びるガイド溝が形成される。前記ガイド溝に、クリップ体7の玉部が常時係合し、クリップ体7の前後方向の移動に伴って、前記クリップ体7の玉部が前記ガイド溝に沿って前後方向に移動可能である。前記ガイド溝と玉部によって、ポケット等の被挟持物が強固に挟持される。
・カム部
図3に示すように、前記縮径部より前方の前記中間軸3の内周面には、カム部5が一体に形成される。カム部5は、前方且つ径方向内方に突出する鋸歯状の複数(例えば4個)のカム歯51と、該カム歯51間に形成される、前後方向に延びる複数(例えば4本)のカム溝52とを備える。前記カム部5のカム歯51は、第1カム斜面51aと、第2カム斜面51bと、第1カム斜面51aと第2カム斜面51bとの間に形成される係止面51cとを備える。係止面51cは、軸方向に延びる面からなる。各々の第1カム斜面51bと係止面51cとの間のカム歯51には、軸方向に延びる凹溝53が形成される。凹溝53はカム溝52よりも浅い深さを有する。即ち、凹溝53の底面は、カム溝52の底面より径方向内方に位置している。尚、本実施の形態では、カム部5が軸筒2を構成する部材(例えば中間軸3)の内周面に一体に形成される構成であるが、これ以外に、カム部を有する別部材を軸筒2の内周面に取り付ける構成でもよい。
図3に示すように、前記縮径部より前方の前記中間軸3の内周面には、カム部5が一体に形成される。カム部5は、前方且つ径方向内方に突出する鋸歯状の複数(例えば4個)のカム歯51と、該カム歯51間に形成される、前後方向に延びる複数(例えば4本)のカム溝52とを備える。前記カム部5のカム歯51は、第1カム斜面51aと、第2カム斜面51bと、第1カム斜面51aと第2カム斜面51bとの間に形成される係止面51cとを備える。係止面51cは、軸方向に延びる面からなる。各々の第1カム斜面51bと係止面51cとの間のカム歯51には、軸方向に延びる凹溝53が形成される。凹溝53はカム溝52よりも浅い深さを有する。即ち、凹溝53の底面は、カム溝52の底面より径方向内方に位置している。尚、本実施の形態では、カム部5が軸筒2を構成する部材(例えば中間軸3)の内周面に一体に形成される構成であるが、これ以外に、カム部を有する別部材を軸筒2の内周面に取り付ける構成でもよい。
第1カム斜面51aの一端は、カム溝52と接続される。第1カム斜面51aとカム溝52とは鋭角をなす。第1カム斜面51aの他端は、係止面51c後端と接続される。第1カム斜面51aと係止面51cとは鋭角をなす。第2カム斜面51bの一端は、係止面51cの前端と接続される。第2カム斜面51bと係止面51cとは鋭角をなす。第2カム斜面51bの他端は、カム溝52と接続される。第2カム斜面51bとカム溝52とは鈍角をなす。
・内向突起(第1内向突起、第2内向突起)
カム部5の前方の軸筒2の内周面(中間軸3の内周面)に複数の内向突起21が一体に形成される。詳細には、軸筒2内周面(中間軸3の内周面)における、各々の第1カム斜面51aから軸方向前方に延びる仮想延長領域に、第1内向突起21aが一体に形成される。また、軸筒2内周面(中間軸3の内周面)における、各々の第2カム斜面51bのカム溝52側から軸方向前方に延びる仮想延長領域または各々のカム溝52の第2カム斜面51b側から軸方向前方に延びる仮想延長領域に、第2内向突起21bが一体に形成される。
カム部5の前方の軸筒2の内周面(中間軸3の内周面)に複数の内向突起21が一体に形成される。詳細には、軸筒2内周面(中間軸3の内周面)における、各々の第1カム斜面51aから軸方向前方に延びる仮想延長領域に、第1内向突起21aが一体に形成される。また、軸筒2内周面(中間軸3の内周面)における、各々の第2カム斜面51bのカム溝52側から軸方向前方に延びる仮想延長領域または各々のカム溝52の第2カム斜面51b側から軸方向前方に延びる仮想延長領域に、第2内向突起21bが一体に形成される。
第1内向突起21a及び第2内向突起21bは、軸方向に延びるリブからなる。第1内向突起21a及び第2内向突起21bは、周状に等間隔かつ交互に位置される。第1内向突起21aは4本が分散されて形成される。第2内向突起21bは4本が分散されて形成される。即ち、内向突起21は、合計8本が分散されて形成される。
第1内向突起21aの外面及び第2内向突起21bの外面は、横断面が凸曲面となっており、それにより、第1内向突起21a及び第2内向突起21bは、回転部材6の外向突起62と円滑な摺接が可能である。
・後軸
後軸4は、円筒状の合成樹脂(例えば、ポリカーボネート樹脂)の成形体からなる。前記後軸4の前端部側壁には、前端が開放され且つ後端が閉鎖された、前後方向に延びる第2の長孔が形成される。
後軸4は、円筒状の合成樹脂(例えば、ポリカーボネート樹脂)の成形体からなる。前記後軸4の前端部側壁には、前端が開放され且つ後端が閉鎖された、前後方向に延びる第2の長孔が形成される。
・回転部材
図5及び図6に回転部材6を示す。前記回転部材6は、その外周面に前後方向に延びる複数本(例えば4本)の突条61が等間隔に一体に形成される。各々の突条61の後端にはカム斜面61aが形成される。前記突条61が、カム部5のカム歯51及びカム部5のカム溝52と係合される。前記突条61より前方の回転部材6の外周面に、軸方向に延びる複数本(例えば4本)のリブからなる外向突起62が等間隔に一体に形成される。前記外向突起62は、前記突条61から軸方向前方に延びる仮想延長線の上に形成される。各々の外向突起62の径方向の頂部に接する仮想外接円の直径Dは、各々の突条61の径方向の頂部に接する仮想外接円の直径Hより大きく設定される。それにより、内向突起21が僅かの径方向の突出量でも、内向突起21と外向突起62との確実な摺接が可能となる。
尚、本実施の形態では、外向突起62は回転部材6の外周面に一体に形成される構成であるが、これ以外にも、外向突起62を有する別部材を回転部材6に取り付ける構成でもよい。
図5及び図6に回転部材6を示す。前記回転部材6は、その外周面に前後方向に延びる複数本(例えば4本)の突条61が等間隔に一体に形成される。各々の突条61の後端にはカム斜面61aが形成される。前記突条61が、カム部5のカム歯51及びカム部5のカム溝52と係合される。前記突条61より前方の回転部材6の外周面に、軸方向に延びる複数本(例えば4本)のリブからなる外向突起62が等間隔に一体に形成される。前記外向突起62は、前記突条61から軸方向前方に延びる仮想延長線の上に形成される。各々の外向突起62の径方向の頂部に接する仮想外接円の直径Dは、各々の突条61の径方向の頂部に接する仮想外接円の直径Hより大きく設定される。それにより、内向突起21が僅かの径方向の突出量でも、内向突起21と外向突起62との確実な摺接が可能となる。
尚、本実施の形態では、外向突起62は回転部材6の外周面に一体に形成される構成であるが、これ以外にも、外向突起62を有する別部材を回転部材6に取り付ける構成でもよい。
各々の外向突起62の外面は、横断面が凸曲面となっており、それにより、軸筒2内周面の内向突起21と円滑な摺接が可能である。前記回転部材6の内部には前後方向に貫通する内孔が形成される。前記回転部材6は合成樹脂(例えばポリアセタール樹脂)の成形体により得られる。
図10に示すように、前記各々の外向突起62に接する仮想外接円の直径Dは、前記各々内向突起21に接する仮想内接円の直径F以上である(好ましくは、前記各々の外向突起62に接する仮想外接円の直径Dは、前記各々内向突起21に接する仮想内接円の直径Fより大きい)。前記各々の外向突起62に接する仮想外接円の直径Dは、前記各々の内向突起21の相互間の軸筒2内周面の内径Eより小さい。前記各々内向突起21に接する仮想内接円の直径Fは、前記各々の外向突起62の相互間の回転部材6外周面の外径Gより大きい。
・クリップ体
図1及び図2に示すように、前記クリップ体7(操作部)は、前後方向に延びるクリップ本体71と、該クリップ本体71の後部に一体に連設される基部72と、該基部72と一体に連設され且つ基部72より前方に延びる軸部73とを備える。さらに、クリップ体7は、軸部73の外周面に取り付けられる円筒体8を備える。クリップ体7は、合成樹脂(例えば、ポリカーボネート樹脂)の成形体により得られる。前記クリップ本体71の裏面(内面)に板状の玉部が一体に突設される。
図1及び図2に示すように、前記クリップ体7(操作部)は、前後方向に延びるクリップ本体71と、該クリップ本体71の後部に一体に連設される基部72と、該基部72と一体に連設され且つ基部72より前方に延びる軸部73とを備える。さらに、クリップ体7は、軸部73の外周面に取り付けられる円筒体8を備える。クリップ体7は、合成樹脂(例えば、ポリカーボネート樹脂)の成形体により得られる。前記クリップ本体71の裏面(内面)に板状の玉部が一体に突設される。
・円筒体
図7及び図8に円筒体8を示す。前記円筒体8の前端には、V状状のカム斜面を備えるカム歯81が周状に一体に形成される。前記円筒体8の内部には、内孔が前後方向に貫通される。クリップ体7と円筒体8とは、一体となって前後方向に移動可能となる。前記円筒体8の外周面には、複数のガイド突起82が一体に形成され、前記ガイド突起82が、カム部5のカム溝52及び凹溝53に沿って前後方向に移動可能に係合し、それによって、軸筒2内での円筒体8の回転が阻止される。前記円筒体8は合成樹脂(例えばポリアセタール樹脂)の成形体により得られる。本実施の形態では、カム歯81が、クリップ体7に取り付ける別部材(即ち円筒体8)に一体に形成される構成であるが、これ以外にも、カム歯81がクリップ体7(操作部)に一体に形成される構成でもよい。
図7及び図8に円筒体8を示す。前記円筒体8の前端には、V状状のカム斜面を備えるカム歯81が周状に一体に形成される。前記円筒体8の内部には、内孔が前後方向に貫通される。クリップ体7と円筒体8とは、一体となって前後方向に移動可能となる。前記円筒体8の外周面には、複数のガイド突起82が一体に形成され、前記ガイド突起82が、カム部5のカム溝52及び凹溝53に沿って前後方向に移動可能に係合し、それによって、軸筒2内での円筒体8の回転が阻止される。前記円筒体8は合成樹脂(例えばポリアセタール樹脂)の成形体により得られる。本実施の形態では、カム歯81が、クリップ体7に取り付ける別部材(即ち円筒体8)に一体に形成される構成であるが、これ以外にも、カム歯81がクリップ体7(操作部)に一体に形成される構成でもよい。
前記中間軸3と前記後軸4とが連結され、前記第1の長孔と第2の長孔とにより、前後方向に延びるスライド孔22が形成される。スライド孔22より径方向外方にクリップ体7(クリップ本体71及び基部72の一部)が突出され、前記クリップ体7がスライド孔22に沿って前後方向にスライド可能に構成される。
・出没機構
前記出没機構は、軸筒2側壁より径方向外方に突出するクリップ体7(操作部)を前方に押圧操作(ノック操作)するものであり、回転カム機構を用いたサイドスライド式出没機構である。前記出没機構は、中間軸3内周面に形成されたカム部5と、該カム部5に係合し且つ筆記体9の後端に当接する回転部材6と、該回転部材6に係合し且つスライド孔22より径方向外方に突出するクリップ体7と、軸筒2内に収容され且つ筆記体9を後方に付勢する弾発体(例えば圧縮コイルスプリング・図示せず)とからなる。本実施の形態の出没機構は、ペン先を突出させる操作及びペン先を没入させる操作のいずれもがクリップ体7(操作部)を前方にスライド操作するダブルノック式である。本発明は、前記サイドスライド式以外に、軸筒2の後端孔より突出する操作部を前方に押圧操作(ノック操作)する後端ノック式でもよい。
前記出没機構は、軸筒2側壁より径方向外方に突出するクリップ体7(操作部)を前方に押圧操作(ノック操作)するものであり、回転カム機構を用いたサイドスライド式出没機構である。前記出没機構は、中間軸3内周面に形成されたカム部5と、該カム部5に係合し且つ筆記体9の後端に当接する回転部材6と、該回転部材6に係合し且つスライド孔22より径方向外方に突出するクリップ体7と、軸筒2内に収容され且つ筆記体9を後方に付勢する弾発体(例えば圧縮コイルスプリング・図示せず)とからなる。本実施の形態の出没機構は、ペン先を突出させる操作及びペン先を没入させる操作のいずれもがクリップ体7(操作部)を前方にスライド操作するダブルノック式である。本発明は、前記サイドスライド式以外に、軸筒2の後端孔より突出する操作部を前方に押圧操作(ノック操作)する後端ノック式でもよい。
前記カム部5は、前方且つ径方向内方に突出する鋸歯状の複数(例えば4個)のカム歯51と、該カム歯51間に形成される、前後方向に延びる複数(例えば4本)のカム溝52とを備える。前記回転部材6は、その外周面に長手方向に延びる複数本(例えば4本)の突条61を備える。前記回転部材6の突条61が、カム部5のカム歯51及びカム部5のカム溝52と係合される。前記クリップ体7の軸部73に取り付けられた円筒体8の前端には、回転部材6の突条61の後端のカム斜面61aと係合するカム歯81が周状に一体に形成される。
・ペン先の出没
ペン先没入状態からクリップ体7を、弾発体による後方付勢に抗して前方にスライド操作(ノック操作)すると、クリップ体7の軸部73に取り付けられた円筒体8によって回転部材6が前方に押圧され、前記回転部材6の突条61がカム溝52に沿って前方に移動する。それに伴って、前記回転部材6が筆記体9の後端を前方に押圧し、ペン先が前端孔より外部に突出される。このとき、前記軸部73に取り付けられた円筒体8のカム歯81と前記回転部材6の突条61後端のカム斜面61aとの当接によって回転部材6がカム部5に対して一定角度だけ回転する。それにより、前記回転部材6の突条61後端部がカム部5のカム歯51に係止され、ペン先突出状態が維持される。
ペン先没入状態からクリップ体7を、弾発体による後方付勢に抗して前方にスライド操作(ノック操作)すると、クリップ体7の軸部73に取り付けられた円筒体8によって回転部材6が前方に押圧され、前記回転部材6の突条61がカム溝52に沿って前方に移動する。それに伴って、前記回転部材6が筆記体9の後端を前方に押圧し、ペン先が前端孔より外部に突出される。このとき、前記軸部73に取り付けられた円筒体8のカム歯81と前記回転部材6の突条61後端のカム斜面61aとの当接によって回転部材6がカム部5に対して一定角度だけ回転する。それにより、前記回転部材6の突条61後端部がカム部5のカム歯51に係止され、ペン先突出状態が維持される。
ペン先突出状態からクリップ体7を、弾発体による後方付勢に抗して前方にスライド操作(ノック操作)すると、クリップ体7の軸部73に取り付けられた円筒体8が回転部材6を前方に押圧し、前記円筒体8のカム歯81と前記回転部材6の突条61後端との当接によって回転部材6がカム部5に対して一定角度だけ回転する。それによって、前記突条61後端部とカム部5のカム歯51との係止状態が解除され、弾発体による後方付勢により、前記突条61がカム部5のカム溝52に沿って後方に移動する。前記回転部材6が後方に移動することに伴って、筆記体9が後方に移動し、ペン先没入状態となる。
・内向突起と外向突起の作用
次に内向突起21と外向突起62の作用について順に説明する。図9、図11、図13、図15、図17,及び図19において下方が前方(ペン先側)である
次に内向突起21と外向突起62の作用について順に説明する。図9、図11、図13、図15、図17,及び図19において下方が前方(ペン先側)である
図9及び図10にペン先没入状態を示す。この状態において、回転部材6の突条61がカム溝52に係合されている。また、この状態において、回転部材6の外向突起62は、第1内向突起21a及び第2内向突起21bより後方に位置している。
図11及び図12に、ペン先没入状態(図9)から操作部7を前方に押圧した状態を示す。
クリップ体7の前方移動に伴い、円筒体8のカム歯81が、回転部材6の突条61の後端のカム斜面61aに当接され、回転部材6が前方に移動され、回転部材6の突条61とカム溝52との係合が解除される。この状態において、外向突起62が第1内向突起21aと第2内向突起21bとの間に位置される。
クリップ体7の前方移動に伴い、円筒体8のカム歯81が、回転部材6の突条61の後端のカム斜面61aに当接され、回転部材6が前方に移動され、回転部材6の突条61とカム溝52との係合が解除される。この状態において、外向突起62が第1内向突起21aと第2内向突起21bとの間に位置される。
図13及び図14に、図11の状態から回転部材6の突条61の後端と第1カム斜面51aとの係合が開始され状態を示す。円筒体8のカム歯81と回転部材6の突条61の後端のカム斜面61aとの当接により一定角度だけ回転され、突条61の後端と第1カム斜面51aとの係合が開始される。突条61の後端と第1カム斜面51aとの係合が進行するに伴い、外向突起62が第1内向突起21aに周方向から接近する。
図15及び図16に、図13の状態から回転部材6の突条61の後端と第1カム斜面51aとの係合が進行し、回転部材6の外向突起62と軸筒2内面の第1内向突起21aとが周方向に摺接する状態を示す。このとき、外向突起62と第1内向突起21aとが互いに径方向に弾性変形する。
図17及び図18に、図15の状態から回転部材6の突条61後端と第1カム斜面51aとの係合が進行し、回転部材6の突条61の後端部とカム部5の係止面51cとが係止した状態(ペン先突出状態)を示す。突条61の後端部と係止面51cとが係止する直前に、外向突起62と第1内向突起21aとが周方向に摺接することにより、一次的に回転部材6の回転スピードが低下し、係止面51cと突条61との衝突が弱められ、係止音の発生が抑えられる。
図19及び図20に、図17の状態から回転部材6の突条61の後端部と係止面51cとの係合が解除された後、回転部材6の突条61の後端と第2カム斜面51bとの係合が進行した状態を示す。この状態から、さらに、回転部材6の突条61の後端と第2カム斜面51bとの係合が進行すると、外向突起62と第2内向突起21bとが互いに径方向に弾性変形しながら、回転部材6の外向突起62と軸筒2内面の第2内向突起21bとが周方向に摺接する。その後、カム溝52と突条61とが係止した状態(図9のペン先没入状態)となる。カム溝52と突条61の後端部とが係止する直前に、外向突起62と第2内向突起21bとが周方向に摺接することにより、一次的に回転部材6の回転スピードが低下し、カム溝52と突条61との衝突が弱められ、係止音の発生が抑えられる。
本実施の形態では、内向突起21(第1内向突起21a及び第2内向突起21b)が軸筒2の内周面に等間隔に形成され、且つ、外向突起62が回転部材6の外周面に等間隔に形成されている。それにより、各々の内向突起21と各々の外向突起62が同時に摺接され、回転部材6の回転スピードを効果的に抑制することができる。尚、これ以外に、本発明で、少なくとも外向突起62または内向突起21の何れか一方が複数形成される構成でもよく、例えば、単一の外向突起62が回転部材6の外周面に形成され且つ複数の内向突起21が軸筒2の内周面に形成される構成、または、単一の内向突起21が軸筒2の内周面に形成され且つ複数の外向突起62が回転部材6の外周面に形成される構成が挙げられる。
本実施の形態では、外向突起62及び内向突起21(第1内向突起21a及び第2内向突起21b)が軸方向の延びるリブにより形成される。それにより、ペン先出没過程(カム部5と突条61の係合過程)において、回転部材6が後方に移動しながら回転する構成にもかかわらず、外向突起62と内向突起21(第1内向突起21a及び第2内向突起21b)との安定した摺接が可能となる。
本実施の形態のノック式筆記具1は、軸筒2内に筆記体9を前後方向に移動可能に収容し、前記筆記体9のペン先を前記軸筒2の前端孔から出没可能に構成したノック式筆記具であって、前記軸筒2の側壁に操作部7が設けられ、ペン先没入状態から前記操作部7を前方に押圧操作することにより前記ペン先を前記軸筒2の前端孔から突出状態にし、前記ペン先突出状態から前記操作部7を前方に押圧操作することにより前記ペン先を没入状態にする出没機構を備え、前記出没機構が、前記軸筒2内部に形成されたカム部5と、前記カム部5に係合し且つ前記筆記体9の後端を支持する回転部材6と、前記回転部材6に回転を付与するカム歯81を備えた前記操作部7と、前記軸筒2内に収容され且つ前記筆記体9を後方に付勢する弾発体と、を備え、前記回転部材6の外周面に外向突起62が形成され、前記軸筒2の内周面に内向突起21が形成され、前記回転部材6の外周面の外向突起62と前記軸筒2の内周面の内向突起21とが周方向に摺接する構成である。それにより、本実施の形態のノック式筆記具1は、回転部材6と軸筒2内周面とが常時強く接触せず、回転部材6の回転時、回転部材6の外周面の外向突起62と軸筒2の内周面の内向突起21とが周方向に摺接して回転部材6の回転スピードを抑えることができ、ノック操作感を重くすることなく、ノック操作時の回転部材6の係止音の発生を低減させることができる。
本実施の形態のノック式筆記具1は、前記内向突起21が、ペン先没入状態からペン先突出状態に移行する過程で前記外向突起62と周方向に摺接する第1内向突起21aと、ペン先突出状態からペン先没入状態に移行する過程で前記外向突起62と周方向に摺接する第2内向突起21bと、を備える構成である。それにより、本実施の形態のノック式筆記具1は、ペン先没入状態からペン先突出状態に移行する過程と、ペン先突出状態からペン先没入状態に移行する過程とにおいて、回転部材6の回転スピードを抑えることができ、ノック操作時の回転部材6の係止音の発生を、確実に低減させることができる。
本実施の形態のノック式筆記具1は、前記外向突起62が前記回転部材6の外周面に複数分散されて形成され、前記内向突起21が前記軸筒2の内周面に複数分散されて形成され、前記各々の外向突起62に接する仮想外接円の直径Dが、前記各々内向突起21に接する仮想内接円の直径F以上であり、且つ、前記各々の外向突起62に接する仮想外接円の直径Dが、前記各々の内向突起21の相互間の軸筒2の内周面の内径Eより小さく、且つ、前記各々内向突起に接する仮想内接円の直径Fが、前記各々の外向突起62の相互間の回転部材6の外周面の外径Gより大きいことを要件とする。
それにより、前記第3の発明のノック式筆記具は、回転部材6の外向突起62と軸筒2内周面の内向突起21とが確実に摺接するとともに、回転部材6の外向突起62と軸筒2内周面の内向突起21とが摺接する時以外は、回転部材6と軸筒2の内周面とは強く摺接せず、ノック操作感を重くすることを確実に防止できる。
1 ノック式筆記具
2 軸筒
21 内向突起
21a 第1内向突起
21b 第2内向突起
22 スライド孔
3 中間軸
4 後軸
5 カム部
51 カム歯
51a 第1カム斜面
51b 第2カム斜面
51c 係止面
52 カム溝
53 凹溝
6 回転部材
61 突条
61a カム斜面
62 外向突起
7 操作部(クリップ体)
71 クリップ本体
72 基部
73 軸部
8 円筒体
81 カム歯
82 ガイド突起
9 筆記体
91 インキ収容管
92 尾栓
2 軸筒
21 内向突起
21a 第1内向突起
21b 第2内向突起
22 スライド孔
3 中間軸
4 後軸
5 カム部
51 カム歯
51a 第1カム斜面
51b 第2カム斜面
51c 係止面
52 カム溝
53 凹溝
6 回転部材
61 突条
61a カム斜面
62 外向突起
7 操作部(クリップ体)
71 クリップ本体
72 基部
73 軸部
8 円筒体
81 カム歯
82 ガイド突起
9 筆記体
91 インキ収容管
92 尾栓
Claims (3)
- 軸筒内に筆記体を前後方向に移動可能に収容し、前記筆記体のペン先を前記軸筒の前端孔から出没可能に構成したノック式筆記具であって、
前記軸筒の側壁または前記軸筒の後端に操作部が設けられ、ペン先没入状態から前記操作部を前方に押圧操作することにより前記ペン先を前記軸筒の前端孔から突出状態にし、前記ペン先突出状態から前記操作部を前方に押圧操作することにより前記ペン先を没入状態にする出没機構を備え、
前記出没機構が、前記軸筒内部に形成されたカム部と、
前記カム部に係合し且つ前記筆記体の後端を支持する回転部材と、
前記回転部材に回転を付与するカム歯を備えた前記操作部と、
前記軸筒内に収容され且つ前記筆記体を後方に付勢する弾発体と、を備え、
前記回転部材の外周面に外向突起が形成され、前記軸筒の内周面に内向突起が形成され、
前記回転部材の外周面の外向突起と前記軸筒の内周面の内向突起とが周方向に摺接することを特徴とするノック式筆記具。 - 前記内向突起が、ペン先没入状態からペン先突出状態に移行する過程で前記外向突起と周方向に摺接する第1内向突起と、ペン先突出状態からペン先没入状態に移行する過程で前記外向突起と周方向に摺接する第2内向突起と、を備える請求項1に記載のノック式筆記具。
- 前記外向突起が前記回転部材の外周面に複数分散されて形成され、前記内向突起が前記軸筒の内周面に複数分散されて形成され、前記各々の外向突起に接する仮想外接円の直径が、前記各々内向突起に接する仮想内接円の直径以上であり、且つ、前記各々の外向突起に接する仮想外接円の直径が、前記各々の内向突起の相互間の軸筒内周面の内径より小さく、且つ、前記各々内向突起に接する仮想内接円の直径が、前記各々の外向突起の相互間の回転部材外周面の外径より大きい請求項1に記載のノック式筆記具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022068905A JP2023158871A (ja) | 2022-04-19 | 2022-04-19 | ノック式筆記具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022068905A JP2023158871A (ja) | 2022-04-19 | 2022-04-19 | ノック式筆記具 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023158871A true JP2023158871A (ja) | 2023-10-31 |
Family
ID=88513800
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022068905A Pending JP2023158871A (ja) | 2022-04-19 | 2022-04-19 | ノック式筆記具 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2023158871A (ja) |
-
2022
- 2022-04-19 JP JP2022068905A patent/JP2023158871A/ja active Pending
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