JP2023136272A - 粘着剤組成物、粘着剤層、及び粘着シート - Google Patents

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Abstract

【課題】低い表面抵抗率を示し、優れた帯電防止性能を有する粘着剤層を形成できる粘着剤組成物を提供すること。【解決手段】本発明の粘着剤組成物は、2種以上のポリマーと、イオン性化合物とを含む。前記2種以上のポリマーのうちの少なくとも1種は粘着性ポリマー(A)を含む。本発明の粘着剤組成物は、連続相と、非連続相とに相分離した海島構造を有し、前記連続相(海部)は、前記イオン性化合物を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、粘着剤組成物、粘着剤層、及び粘着シートに関する。より詳細には、帯電防止性に優れる粘着剤組成物、粘着剤層、及び粘着シートに関する。
近年、様々な分野で、液晶ディスプレイ(LCD)等の表示装置や、タッチパネル等の入力装置が広く用いられている。これらの表示装置や入力装置の製造等においては、光学部材を貼り合わせる用途に粘着シートが使用されている。例えば、タッチパネル等の各種表示装置における光学部材の貼り合わせには、透明な粘着シートが使用されている。
これらの表示装置や入力装置の製造において、粘着シートを表示装置に貼り付ける際には、粘着剤層を保護しているはく離ライナーが剥がされるが、その際に粘着剤層に静電気が発生する。発生した静電気は、表示装置の表示セルの配向性などに影響を与え、表示不良を起こす原因となる。このような静電気の発生を抑制する手段として、粘着剤層の表面抵抗率を低減するために帯電防止剤が配合されている(例えば、特許文献1~3)。
特開2020-187365号公報 特開2019-56115号公報 WO2018/008712号公報
前記帯電防止剤は、粘着剤層中に均一に分散されるため、導電性を付与するためのパスが形成されにくく、帯電防止性が低減するという問題があった。
従って、本発明の目的は、低い表面抵抗率を示し、優れた帯電防止性能を有する粘着剤層を形成できる粘着剤組成物を提供することである。
また、本発明の他の目的は、低い表面抵抗率を示し、優れた帯電防止性能を有する粘着剤層を提供することである。
また、本発明の他の目的は、低い表面抵抗率を示し、優れた帯電防止性能を有する粘着剤層を有する粘着シートを提供することである。
そこで、本発明者が、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、連続相と、非連続相とに相分離した海島構造を形成させた粘着剤組成物において、非連続相に、帯電防止剤としてイオン性化合物を含有させることにより、導電性を付与するためのパスが効率的に形成され、低い表面抵抗率を示し、優れた帯電防止性能を有する粘着剤層を形成できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の側面は、2種以上のポリマーと、イオン性化合物とを含み、前記2種以上のポリマーのうちの少なくとも1種は粘着性ポリマー(A)を含み、連続相と、非連続相とに相分離した海島構造を有し、前記連続相(海部)は、前記イオン性化合物を含む粘着剤組成物を提供する。本明細書において、本発明の第1の側面の粘着剤組成物を、「本発明の粘着剤組成物」と称する場合がある。
また、本発明の第2の側面は、本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層を提供する。本明細書において、本発明の第2の側面の粘着剤層を、「本発明の粘着剤層」と称する場合がある。また、本発明の第3の側面は、本発明の粘着剤層を有する粘着シートを提供する。本明細書において、本発明の第3の側面の粘着シートを、「本発明の粘着シート」と称する場合がある。
本発明の粘着剤層及び本発明の粘着シートは、本発明の粘着剤組成物により形成されるため、低い表面抵抗率を示し、優れた帯電防止性能を有する。
本発明の粘着剤組成物は、2種以上のポリマーを含み、そのうちの少なくとも1種は粘着性ポリマー(A)を含む。本発明の粘着剤組成物において、2種以上のポリマーは、本発明の粘着剤組成物を構成するベースポリマーとして含まれるものであり、そのうちの少なくとも1種として含まれる粘着性ポリマー(A)は、本発明の粘着剤層に粘着性を付与するベースポリマーとして機能するものである。
本発明の粘着剤組成物は、イオン性化合物を含む。本明細書において、前記イオン性化合物を、「本発明のイオン性化合物」と称する場合がある。本発明の粘着剤組成物において、本発明のイオン性化合物は、本発明の粘着剤層に導電性を付与する帯電防止剤として機能するものである。
本発明の粘着剤組成物は、連続相と、非連続相とに相分離した海島構造を有し、前記連続相(海部)は、本発明のイオン性化合物を含む。本発明の粘着剤組成物において、連続相(海部)が、本発明のイオン性化合物を含むという構成は、本発明のイオン性化合物が前記連続相において、導電性を付与するためのパスを効率的に形成し、本発明の粘着剤層が、低い表面抵抗率を示し、優れた帯電防止性能を有する点で、好ましい。
本発明の粘着剤組成物において、前記非連続相(島部)は、前記粘着性ポリマー(A)を含むことが好ましい。前記非連続相(島部)が、前記粘着性ポリマー(A)を含むという構成は、優れた帯電防止性能を損なうことなく、本発明の粘着剤層に、優れた粘着性を付与できる点で、好ましい。
本発明の粘着剤組成物において、前記非連続相(島部)は、本発明のイオン性化合物を含んでいてもよい。前記非連続相(島部)が、本発明のイオン性化合物を含むという構成は、本発明の粘着剤層が、さらに低い表面抵抗率を示し、優れた帯電防止性能を有する点で、好ましい。
本発明の粘着剤組成物において、本発明のイオン性化合物は、有機系化合物を含むことが好ましい。本発明のイオン性化合物が、有機系化合物を含むという構成は、本発明の粘着剤層が、さらに低い表面抵抗率を示し、優れた帯電防止性能を有する点で、好ましい。
本発明の粘着剤組成物において、前記2種以上のポリマーのうちの少なくとも1種は、本発明のイオン性化合物と共有結合を形成している導電性ポリマー(B)を含むことが好ましい。本発明の粘着剤組成物が、本発明のイオン性化合物と共有結合を形成している導電性ポリマー(B)を含むという構成は、粘着剤層表面にイオン性化合物が析出することによる金属配線の腐食などの不良が生じにくく、また、湿熱環境下での表面抵抗値の上昇を抑制して、優れた帯電防止性を維持することができる点で、好ましい。さらに、粘着剤層とイオン性化合物の相溶性が低下して、特に湿熱環境下で白濁などの透明性や外観に不良が生じたり、発泡や剥がれなどの発生を防止できる点でも好ましい。
本発明の粘着剤組成物において、前記粘着性ポリマー(A)に対する前記導電性ポリマー(B)の重量割合(導電性ポリマー(B)/粘着性ポリマー(A))が、10/90~99/1であることが好ましい。前記重量割合が10/90以上であるという構成は、本発明の粘着剤組成物が、連続相と、非連続相とに相分離した海島構造を形成し、且つ、連続相(海部)が、本発明のイオン性化合物を含むという形態を構成できる点で、好適である。また、前記重量割合が99/1以下であるという構成は、本発明の粘着剤層に、優れた粘着性を付与できるという点で好適である。
本発明の粘着剤組成物において、前記粘着性ポリマー(A)と、前記導電性ポリマー(B)とが、ブロックコポリマーを形成していることが好ましい。粘着性ポリマー(A)と、導電性ポリマー(B)とが、ブロックコポリマーを形成するという構成は、本発明の粘着剤組成物が、効率的に海島構造を形成できる点で、好ましい。また、海島構造がnmスケールのミクロ相分離を構成する点でも好ましい。
本発明の粘着シートの厚みは12~350μmであることが好ましい。厚みが一定以上であるという構成は、段差部位での剥がれが生じにくくなる点で、好ましい。また、厚みが一定以下であるという構成は、製造時に優れた外観を保持しやすくなる点で、好ましい。
本発明の粘着剤組成物によれば、低い表面抵抗率を示し、優れた帯電防止性能を有する粘着剤層及び粘着シートが得られる。
図1は、本発明の粘着シートの一実施形態を示す模式図(断面図)である。
本発明の粘着剤組成物は、2種以上のポリマーと、イオン性化合物とを含み、前記2種以上のポリマーのうちの少なくとも1種は粘着性ポリマー(A)を含み、連続相と、非連続相とに相分離した海島構造を有し、前記連続相(海部)は、前記イオン性化合物を含む粘着剤組成物である。
また、本発明の粘着剤層は、本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層である。さらに、本発明の粘着剤シートは、本発明の粘着剤層を有する粘着シートである。
[1.粘着剤組成物]
本発明の粘着剤組成物は、いずれの形態を有していてもよく、例えば、溶剤型、エマルジョン型、熱溶融型(ホットメルト型)、無溶剤型(活性エネルギー線硬化型)等が挙げられる。特に、本発明の粘着剤組成物は、溶剤型又は無溶剤型(活性エネルギー線硬化型)が好ましい。溶剤型の粘着剤組成物を加熱及び/又は乾燥により粘着剤層を得る際に、安定した海島構造を形成できるため、好ましい。また、無溶剤型(活性エネルギー線硬化型)粘着剤組成物を、活性エネルギー線照射により粘着剤層を得る際に、安定した海島構造を形成できるため、好ましい。本明細書において、粘着剤組成物は、粘着剤層を形成するために用いる組成物を意味し、粘着剤を形成するために用いる組成物の意味を含むものとする。
上記有機溶剤としては、溶媒として用いられる有機化合物である限り特に限定されないが、例えば、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤等が挙げられる。なお、上記有機溶剤は、2種以上の有機溶剤を含む混合溶剤であってもよい。
本発明の粘着剤組成物において、2種以上のポリマーは、本発明の粘着剤組成物を構成するベースポリマーとして含まれるものである。当該ポリマーの数(種類)は、2種以上であれば特に限定されないが、2~4種が好ましく、2又は3種がより好ましく、2種がさらに好ましい。
上記2種以上のポリマーはとしては、特に限定されないが、例えば、アクリル系ポリマー、ゴム系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、エポキシ系ポリマー、ビニルアルキルエーテル系ポリマー、フッ素系ポリマーなどが挙げられ、これらポリマーの同種の2種以上、又は異種の2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、上記2種以上のポリマーは、透明性、耐候性、接着信頼性、及びモノマーの種類が豊富なことから溶剤型組成物、無溶剤型(活性エネルギー線硬化型)の機能設計が行いやすい等の点より、アクリル系ポリマーが好ましい。つまり、本発明の粘着剤組成物は、ベースポリマーとして2種以上のアクリル系ポリマーを含有するアクリル系粘着剤組成物であることが好ましい。
前記2種以上のポリマーは、少なくとも2種のポリマーが互いに共有結合により結合されていてもよい。例えば、当該2種以上のポリマーが、架橋剤による架橋構造により結合していてもよく、また、当該2種以上のポリマーが共有結合により結合して、例えば、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー等を形成していてもよい。また、前記2種以上のポリマーは、互いに共有結合を形成しないポリマーブレンドであってもよい。
本発明の粘着剤組成物における前記2種以上のポリマーの含有量(総量)は、特に限定されないが、75重量%以上(例えば75~100重量%)であることが好ましく、より好ましくは85重量%以上(例えば85~99.99重量%)である。
[1-1.粘着性ポリマー(A)]
本発明の粘着剤組成物において、前記2種以上のポリマーのうちの少なくとも1種は粘着性ポリマー(A)を含む。粘着性ポリマー(A)は、本発明の粘着剤層に粘着性を付与するベースポリマーとして機能するものである。上記粘着性ポリマー(A)としては、特に限定されないが、例えば、アクリル系粘着剤組成物がベースポリマーとして含有するアクリル系ポリマー、ゴム系粘着剤組成物(天然ゴム系粘着剤組成物や合成ゴム系粘着剤組成物など)がベースポリマーとして含有するゴム系ポリマー、シリコーン系粘着剤組成物がベースポリマーとして含有するシリコーン系ポリマー、ポリエステル系粘着剤組成物がベースポリマーとして含有するポリエステル系ポリマー、ウレタン系粘着剤組成物がベースポリマーとして含有するウレタン系ポリマー、ポリアミド系粘着剤組成物がベースポリマーとして含有するポリアミド系ポリマー、エポキシ系粘着剤組成物がベースポリマーとして含有するエポキシ系ポリマー、ビニルアルキルエーテル系粘着剤組成物がベースポリマーとして含有するビニルアルキルエーテル系ポリマー、フッ素系粘着剤組成物がベースポリマーとして含有するフッ素系ポリマーなどが挙げられる。中でも、上記粘着性ポリマー(A)は、透明性、耐候性、接着信頼性、及びモノマーの種類が豊富なことから溶剤型組成物、無溶剤型(活性エネルギー線硬化型)の機能設計が行いやすい等の点より、アクリル系ポリマーが好ましい。つまり、本発明の粘着剤組成物は、粘着性ポリマー(A)としてアクリル系ポリマーを含有するアクリル系粘着剤組成物であることが好ましい。なお、粘着性ポリマー(A)は、上記のベースポリマーを単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。本明細書において、粘着性ポリマー(A)として含有するアクリル系ポリマーを、「アクリル系ポリマー(A)」と称する場合がある。
本発明の粘着剤組成物における粘着性ポリマー(A)の含有量は、特に限定されないが、1~90重量%であることが好ましく、より好ましくは3~70重量%、さらに好ましくは5~50重量%である。粘着性ポリマー(A)の含有量が1重量%以上であるという構成は、本発明の粘着剤層に優れた粘着性を付与できるという点で好適である。また、粘着性ポリマー(A)の含有量が90重量%以下であるという構成は、本発明の粘着剤組成物が、連続相と、非連続相とに相分離した海島構造を形成し、且つ、連続相(海部)が、本発明のイオン性化合物を含むという形態を構成できる点で、好適である。
アクリル系ポリマー(A)を含有する粘着剤層を形成する粘着剤組成物としては、特に限定されないが、例えば、アクリル系ポリマー(A)を必須成分とする組成物;アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分の混合物(「モノマー混合物」と称する場合がある)又はその部分重合物を必須成分とする組成物等が挙げられる。特に限定されないが、前者としては、例えば、いわゆる溶剤型組成物、水分散型組成物(エマルジョン型組成物)等が挙げられ、後者としては、例えば、いわゆる活性エネルギー線硬化型組成物等が挙げられる。なかでも、上記粘着剤組成物は、溶剤型組成物又は活性エネルギー線硬化型組成物が好ましい。なお、上記粘着剤組成物は、必要に応じて、その他の添加剤を含んでいてもよい。
上記「モノマー混合物」とは、アクリル系ポリマー(A)を構成する単一のモノマー成分で構成される場合、アクリル系ポリマー(A)を構成する2以上のモノマー成分で構成される場合を含むものとする。また、上記「部分重合物」とは、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー混合物の構成成分のうち1又は2以上の成分が部分的に重合している組成物を意味する。
本明細書において、単に「アクリル系ポリマー(A)」というときは、特に言及しない限り、「アクリル系ポリマー(A)」、「アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分の混合物」、及び「アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分の混合物の部分重合物」をも包含するものとする。
アクリル系ポリマー(A)は、必須のモノマー単位(単量体単位、モノマー構成単位)としてアクリル系モノマー(アクリル系単量体)を含むポリマー(重合体)である。いいかえれば、アクリル系ポリマー(A)は、構成単位としてアクリル系モノマーに由来する構成単位を含むポリマーである。つまり、アクリル系ポリマー(A)は、アクリル系モノマーを必須のモノマー成分として構成(形成)された重合体である。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」のうち、何れか一方又は両方を表し、他も同様である。アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量は、特に限定されないが、100000~5000000であることが好ましい。
アクリル系ポリマー(A)は、必須のモノマー単位として、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(以下、単に「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」と称する場合がある)を含むポリマーであることが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル((メタ)アクリル酸n-ブチル)、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等のアルキル基の炭素数が1~20の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、強接着性を得る点、残存応力を調整する点より、アルキル基の炭素数が1~18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、より好ましくはメタクリル酸メチル(MMA)、アクリル酸ブチル(BA)、アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)、アクリル酸イソステアリル(ISTA)である。
アクリル系ポリマー(A)の全モノマー単位(アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分全量)における上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量(割合)は、特に限定されないが、接着性信頼性、特に低温での接着信頼性の点で、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分全量(100重量部)に対して、30~95重量部が好ましく、より好ましくは35~90重量部、さらに好ましくは40~85重量部である。
アクリル系ポリマー(A)は、モノマー単位として上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの他にも、共重合が可能なモノマー(共重合性モノマー)を含んでいてもよい。つまり、アクリル系ポリマー(A)は、構成するモノマー成分として、共重合性モノマーを含んでいてもよい。なお、共重合性モノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられていてもよい。
上記共重合性モノマーとしては、カルボキシル基含有モノマーが好ましく挙げられる。アクリル系ポリマー(A)がモノマー単位としてカルボキシル基含有モノマーを含んでいると、良好な凝集力を得やすくなる。このため、強接着性を得やすくなる。さらに、カルボキシル基は、後述の架橋剤との反応点にもなり得る。
アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分全量(100重量部)に対する上記カルボキシル基含有モノマーの含有量(割合)は、特に限定されない。上記カルボキシル基含有モノマーの含有量は、凝集力の点、接着性、接着信頼性の得やすさの点、架橋剤との反応性の点より、1~20重量部であること好ましく、より好ましくは2~15重量部、さらに好ましくは3~10重量部である。
上記共重合性モノマーとしては、水酸基含有モノマーが好ましく挙げられる。アクリル系ポリマー(A)がモノマー単位として水酸基含有モノマーを含んでいると、構成するモノマー成分を重合させる際に重合させやすくなり、また、良好な凝集力を得やすくなる。このため、強接着性を得やすくなり、また、ゲル分率を大きくして、優れた耐発泡剥がれ性を得やすくなる。さらに、高湿環境下で生じることのある粘着シートの白化を抑制しやすくなる。さらに、水酸基は、後述の架橋剤との反応点にもなり得る。
アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分全量(100重量部)に対する上記水酸基含有モノマーの含有量(割合)は、特に限定されない。水酸基含有モノマーの量が一定以上であると、高湿環境下で生じることのある粘着シートの白化をより抑制でき、加湿白濁耐性等の透明性が確保できる。上記水酸基含有モノマーの含有量の下限は、1重量部以上であることが好ましく、より好ましくは2重量部以上、3重量部以上、4重量部以上、5重量部以上、6重量部以上、7重量部以上、8重量部以上、さらに好ましくは10重量部以上である。また、上記水酸基含有モノマーの含有量の上限は、凝集力の点、接着性、耐発泡剥がれ性等の接着信頼性の得やすさの点より、40重量部以下であること好ましく、35重量部以下、34重量部以下、33重量部以下、32重量部以下、又は31重量部以下であることがより好ましく、30重量部以下であることがさらに好ましい。
さらに、上記共重合性モノマーとしては、窒素原子含有モノマーが好ましく挙げられる。アクリル系ポリマー(A)がモノマー単位として窒素原子含有モノマーを含んでいると、適度な凝集力が得やすくなる。このため、ガラス板に対する180°(度)引き剥がし接着力及びアクリル板に対する180°引き剥がし接着力を大きくして、強接着性を得やすくなり、また、ゲル分率を大きくして、優れた耐発泡剥がれ性を得やすくなる。さらに、粘着剤層で適度な柔軟性を得やすくなり、300%引張残留応力を特定の範囲内に調整し、優れた応力緩和性及び優れた段差追従性を得やすくなる。
アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分全量(100重量部)に対する上記窒素原子含有モノマーの含有量(割合)は、限り特に限定されないが、5重量部以上であることが好ましい。上記窒素原子含有モノマーの含有量の下限は、凝集力、接着性、耐発泡剥がれ性の点より、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分全量(100重量部)に対して、7重量部以上であることが好ましく、8重量部以上であることがより好ましく、9重量部以上、又は10重量部以上であることがさらに好ましい。また、上記窒素原子含有モノマーの含有量の上限は、粘着剤層で適度な柔軟性をより得やすくなり、優れた応力緩和性及び優れた段差追従性をより得やすくなる点より、40重量部以下であることが好ましく、35重量部以下であることがより好ましく、30重量部以下であることがさらに好ましい。
上記アクリル系ポリマー(A)は、上記モノマー単位(モノマー成分)を公知乃至慣用の重合方法により重合することにより、得ることができる。上記アクリル系ポリマー(A)の重合方法としては、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法、活性エネルギー線照射による重合方法(活性エネルギー線重合方法)等が挙げられる。なかでも、粘着剤層の透明性、耐水性、コスト等の点で、溶液重合方法、活性エネルギー線重合方法が好ましく、より好ましくは活性エネルギー線重合方法である。
上記活性エネルギー線重合(光重合)に際して照射される活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線等の電離性放射線や、紫外線等が挙げられ、特に紫外線が好ましい。また、活性エネルギー線の照射エネルギー、照射時間、照射方法等は特に限定されず、光重合開始剤を活性化させて、モノマー成分の反応を生じさせることができればよい。
上記アクリル系ポリマー(A)の重合に際しては、各種の一般的な溶剤が用いられてもよい。このような溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類等の有機溶剤が挙げられる。なお、溶剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
また、上記アクリル系ポリマー(A)の重合に際しては、重合反応の種類に応じて、熱重合開始剤や光重合開始剤(光開始剤)等の重合開始剤が用いられてもよい。なお、重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
上記光重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α-ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤等が挙げられる。なお、光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
上記ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテルベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、アニソールメチルエーテル等が挙げられる。上記アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-(t-ブチル)ジクロロアセトフェノン等が挙げられる。上記α-ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン、1-[4-(2-ヒドロキシエチル)フェニル]-2-メチルプロパン-1-オン等が挙げられる。上記芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2-ナフタレンスルホニルクロライド等が挙げられる。上記光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1-フェニル-1,1-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)-オキシム等が挙げられる。上記ベンゾイン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン等が挙げられる。上記ベンジル系光重合開始剤としては、例えば、ベンジル等が挙げられる。上記ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3'-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。上記ケタール系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。上記チオキサントン系光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントン等が挙げられる。
上記光重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、例えば、アクリル系ポリマー(A)の全モノマー単位(アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分全量)100重量部に対して、0.001~1重量部が好ましく、より好ましくは0.01~0.50重量部である。
また、上記熱重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、アゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤(例えば、ジベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルマレエート等)、レドックス系重合開始剤等が挙げられる。なかでも、特開2002-69411号公報に開示されたアゾ系重合開始剤が好ましい。上記アゾ系重合開始剤としては、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(以下、「AIBN」と称する場合がある)、2,2'-アゾビス-2-メチルブチロニトリル(以下、「AMBN」と称する場合がある)、2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4'-アゾビス-4-シアノバレリアン酸等が挙げられる。
上記熱重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、例えば、上記アゾ系重合開始剤の場合、アクリル系ポリマー(A)の全モノマー単位(アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分全量)100重量部に対して、0.05~0.5重量部が好ましく、より好ましくは0.1~0.3重量部である。
[1-2.カルボキシル基含有モノマー]
本発明の粘着剤組成物は、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分として、カルボキシル基含有モノマーを含有することが好ましい。アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分として、カルボキシル基含有モノマーを含有することにより、後述の架橋剤との反応点となって、架橋構造を形成し、後述の海島構造を効率的形成できる点で、好ましい。上記カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等が挙げられる、また、上記カルボキシル基含有モノマーには、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有モノマーも含まれるものとする。なお、カルボキシル基含有モノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられていてもよい。
[1-3.水酸基含有モノマー]
水酸基含有モノマーとは、分子内に水酸基を少なくとも1つ有するモノマーを意味する。また、分子内に水酸基を少なくとも1つ有し、且つ、分子内にカルボキシル基を少なくとも1つ有するモノマーはカルボキシル基含有モノマーであり、水酸基含有モノマーではないものとする。上記水酸基含有モノマーとしては、特に限定されないが、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(メタ)アクリル酸(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;ビニルアルコール、アリルアルコール等が挙げられる。なかでも、上記水酸基含有モノマーとしては、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、より好ましくはアクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEA)、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル(HPA)、アクリル酸4-ヒドロキシブチル(4HBA)である。なお、水酸基含有モノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられていてもよい。
[1-4.窒素原子含有モノマー]
窒素原子含有モノマーとは、分子内(1分子内)に窒素原子を少なくとも1つ有するモノマーを意味する。ただし、上記水酸基含有モノマーには、上記窒素原子含有モノマーは含まれないものとする。すなわち、本明細書において、分子内に水酸基及び窒素原子を有するモノマーは、窒素原子含有モノマーに含まれるものとする。また、分子内に窒素原子を少なくとも1つ有し、且つ、分子内にカルボキシル基を少なくとも1つ有するモノマーはカルボキシル基含有モノマーであり、窒素原子含有モノマーではないものとする。
上記窒素原子含有モノマーとしては、耐発泡剥がれ性を向上させる観点から、N-ビニル環状アミド、(メタ)アクリルアミド類、複素環含有モノマー等が好ましい。なお、窒素原子含有モノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられていてもよい。
上記複素環含有モノマーとしては、(メタ)アクリロイルモルホリン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルピラジン、N-ビニルモルホリン、N-ビニルピラゾール、ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルオキサゾール、ビニルイソオキサゾール、ビニルチアゾール、ビニルイソチアゾール、ビニルピリダジン、(メタ)アクリロイルピロリドン、(メタ)アクリロイルピロリジン、(メタ)アクリロイルピペリジン、N-メチルビニルピロリドン等が挙げられる。
上記N-ビニル環状アミドとしては、下記式(1)で表されるN-ビニル環状アミドが挙げられる。
Figure 2023136272000001
(式(1)中、R1は2価の有機基を示す)
上記式(1)におけるR1は2価の有機基であり、好ましくは2価の飽和炭化水素基又は不飽和炭化水素基であり、より好ましくは2価の飽和炭化水素基(例えば、炭素数3~5のアルキレン基等)である。
上記式(1)で表されるN-ビニル環状アミドとしては、さらに耐発泡剥がれ性を向上させる観点から、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP)、N-ビニル-2-ピペリドン、N-ビニル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-モルホリノン、N-ビニル-1,3-オキサジン-2-オン、N-ビニル-3,5-モルホリンジオン等が好ましく、より好ましくはN-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-カプロラクタムであり、さらに好ましくはN-ビニル-2-ピロリドンである。
上記(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。上記N-アルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-オクチルアクリルアミド等が挙げられる。さらに、上記N-アルキル(メタ)アクリルアミドには、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのようなアミノ基を有する(メタ)アクリルアミドも含まれる。上記N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(n-ブチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(t-ブチル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリルアミド類には、例えば、各種のN-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドも含まれる。上記N-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(1-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(4-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリルアミド類には、例えば、各種のN-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドも含まれる。上記N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
また、上記複素環含有モノマー、N-ビニル環状アミド、上記(メタ)アクリルアミド類以外の窒素原子含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチル等のアミノ基含有モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノ基含有モノマー;N-シクロヘキシルマレイミド、N-イソプロピルマレイミド、N-ラウリルマレイミド、N-フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー、N-メチルイタコンイミド、N-エチルイタコンイミド、N-ブチルイタコンイミド、N-オクチルイタコンイミド、N-2-エチルヘキシルイタコンイミド、N-ラウリルイタコンイミド、N-シクロヘキシルイタコンイミド等のイタコンイミド系モノマー、N-(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-6-オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-8-オキシオクタメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド系モノマー等のイミド基含有モノマー;2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基含有モノマー等が挙げられる。
窒素原子含有モノマーとしては、凝集力、接着性、耐発泡剥がれ性の点より、複素環含有モノマーが好ましく、(メタ)アクリロイルモルホリンが好ましい。
[1-5.(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル]
カルボキシル基含有モノマー、窒素原子含有モノマー及び水酸基含有モノマー以外の共重合性モノマーとしては、さらに、、直鎖又は分岐鎖状のアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル(以下、単に「(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル」と称する場合がある)が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸3-メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4-エトキシブチル等の炭素数1~20のアルコキシ基が炭素数1~20のアルキル基に置換したアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。なお、(メタ)アルコキシアクリル酸アルキルエステルは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも、上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルは、強接着性を得る点、残存応力を調整する点より、炭素数1~18のアルコキシ基が炭素数1~18のアルキル基に置換した(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルが好ましく、より好ましくはアクリル酸2-メトキシエチル(MEA)である。
アクリル系ポリマー(A)の全モノマー単位(アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分全量)における上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの含有量(割合)は、特に限定されないが、接着性信頼性、特に低温での接着信頼性の点で、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分全量(100重量部)に対して、30~100重量部が好ましく、より好ましくは35~90重量部、さらに好ましくは40~85重量部である。
[1-6.脂環構造含有モノマー]
カルボキシル基含有モノマー、窒素原子含有モノマー及び水酸基含有モノマー以外の共重合性モノマーとしては、さらに、脂環構造含有モノマーが挙げられる。上記脂環構造含有モノマーは、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつ脂環構造を有するものであれば特に限定されない。例えば、シクロアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートは、上記脂環構造含有モノマーに含まれる。なお、脂環構造含有モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記脂環構造含有モノマーにおける脂環構造は、環状の炭化水素構造であり、炭素数5以上であることが好ましく、炭素数6~24がより好ましく、炭素数6~15がさらに好ましく、炭素数6~10が特に好ましい。
上記脂環構造含有モノマーとしては、例えば、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、下記式(2)で表されるHPMPA、下記式(3)で表されるTMA-2、下記式(4)で表されるHCPAなどの(メタ)アクリル系モノマーが挙げられる。なお、下記式(4)において、線でつないだシクロヘキシル環と括弧内の構造式との結合場所は特に限定されない。これらの中でも、イソボルニル(メタ)アクリレートが好ましい。
Figure 2023136272000002
Figure 2023136272000003
Figure 2023136272000004
アクリル系ポリマー(A)が、ポリマーを構成するモノマー成分として上記脂環構造含有モノマーを含有する場合、上記アクリル系ポリマー(A)を構成する全モノマー成分(100重量%)中の、上記脂環構造含有モノマーの割合は、特に限定されないが、耐久性向上、高い接着信頼性を得る点より、10重量%以上であることが好ましい。また、上記脂環構造含有モノマーの割合の上限は、適度な柔軟性を有する粘着剤層を得る点より、50重量%以下が好ましく、より好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下である。
[1-7.その他の共重合性モノマー]
アクリル系ポリマー(A)における共重合性モノマーとしては、上記のカルボキシル基含有モノマー、窒素原子含有モノマー、水酸基含有モノマーの他に、例えば、エポキシ基含有モノマー[例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジル等];スルホン酸基含有モノマー[例えば、ビニルスルホン酸ナトリウム等];リン酸基含有モノマー;芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル[例えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸ベンジル等];ビニルエステル類[例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等];芳香族ビニル化合物[例えば、スチレン、ビニルトルエン等];オレフィン類又はジエン類[例えば、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン等];ビニルエーテル類[例えば、ビニルアルキルエーテル等];塩化ビニル等が挙げられる。
さらに、上記アクリル系ポリマー(A)における共重合性モノマーとしては、多官能性モノマーも挙げられる。多官能性モノマーは、架橋成分として作用する。上記多官能性モノマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート等が挙げられる。なお、多官能性モノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられていてもよい。
アクリル系ポリマー(A)の全モノマー単位における上記多官能性モノマーの含有量(割合)は、特に限定されないが、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分全量(100重量部)に対して、0.5重量部以下(例えば、0~0.5重量部)が好ましく、より好ましくは0~0.35重量部、さらに好ましくは0~0.3重量部である。多官能性モノマーの含有量が0.5重量部以下であると、粘着剤層が適度な凝集力を有し、粘着力や段差吸収性が向上しやすく、好ましい。なお、架橋剤を使用する場合には多官能性モノマーを使用しなくてもよいが、架橋剤を使用しない場合の多官能性モノマーの含有量は、0.001~0.5重量部が好ましく、より好ましくは0.001~0.35重量部、さらに好ましくは0.002~0.3重量部である。
[1-8.アクリル系ポリマー(B)]
本発明の粘着剤がベースポリマーとしてアクリル系ポリマー(A)を含有する場合、本発明の粘着剤組成物は、上記アクリル系ポリマー(A)とともに、粘着性ポリマーとして、重量平均分子量が1000~30000であるアクリル系ポリマー(B)を含有することが好ましい。アクリル系ポリマー(B)を含有していると、粘着シートにおける界面における被着体への接着性が向上するので、強接着性を得やすくなり、また優れた耐発泡剥がれ性を得やすくなる。なお、本明細書では、「重量平均分子量が1000~30000であるアクリル系ポリマー(B)」を単に「アクリル系ポリマー(B)」と称する場合がある。
上記アクリル系ポリマー(B)としては、分子内に環状構造を有する(メタ)アクリル酸エステルを必須のモノマー成分として構成されたアクリル系ポリマーが好ましく挙げられ、分子内に環状構造を有する(メタ)アクリル酸エステル及び直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを必須のモノマー成分として構成されたアクリル系ポリマーがより好ましく挙げられる。すなわち、上記アクリル系ポリマー(B)としては、モノマー単位として分子内に環状構造を有する(メタ)アクリル酸エステルを含むアクリル系ポリマーが好ましく挙げられ、モノマー単位として分子内に環状構造を有する(メタ)アクリル酸エステル及び直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むアクリル系ポリマーがより好ましく挙げられる。
上記分子内(1分子内)に環状構造を有する(メタ)アクリル酸エステル(以下、「環含有(メタ)アクリル酸エステル」と称する場合がある)の環状構造(環)は、芳香族性環、非芳香族性環の何れであってもよく、特に限定されない。上記芳香族性環としては、例えば、芳香族性炭素環[例えば、ベンゼン環等の単環炭素環や、ナフタレン環等の縮合炭素環等]、各種の芳香族性複素環等が挙げられる。上記非芳香族性環としては、例えば、非芳香族性脂肪族環(非芳香族性脂環式環)[例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環等のシクロアルカン環;シクロヘキセン環等のシクロアルケン環等]、非芳香族性橋かけ環[例えば、ピナン、ピネン、ボルナン、ノルボルナン、ノルボルネン等における二環式炭化水素環;アダマンタン等における三環以上の脂肪族炭化水素環(橋かけ式炭化水素環)等]、非芳香族性複素環[例えば、エポキシ環、オキソラン環、オキセタン環等]等が挙げられる。
上記三環以上の脂肪族炭化水素環(三環以上の橋かけ式炭化水素環)としては、例えば、下記式(5a)で表されるジシクロペンタニル基、下記式(5b)で表されるジシクロペンテニル基、下記式(5c)で表されるアダマンチル基、下記式(5d)で表されるトリシクロペンタニル基、下記式(5e)で表されるトリシクロペンテニル基等が挙げられる。
Figure 2023136272000005
すなわち、上記環含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘプチル、(メタ)アクリル酸シクロオクチル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸イソボルニル等の二環式の脂肪族炭化水素環を有する(メタ)アクリル酸エステル;ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロペンタニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート等の三環以上の脂肪族炭化水素環を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル等の(メタ)アクリル酸アリールオキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アリールアルキルエステル等の芳香族性環を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。なかでも、上記環含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に、非芳香族性環含有(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、より好ましくはアクリル酸シクロヘキシル(CHA)、メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)、アクリル酸ジシクロペンタニル(DCPA)、メタクリル酸ジシクロペンタニル(DCPMA)であり、さらに好ましくはアクリル酸ジシクロペンタニル(DCPA)、メタクリル酸ジシクロペンタニル(DCPMA)である。なお、環含有(メタ)アクリル酸エステルは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
上記非芳香族性環含有(メタ)アクリル酸エステルのなかでも、三環以上の脂肪族炭化水素環(特に、三環以上の橋かけ式炭化水素環)を有する(メタ)アクリル酸エステルを使用した場合、特に、重合阻害を起こしにくい点で好ましい。また、不飽和結合を有しない上記式(5a)で表されるジシクロペンタニル基、上記式(5c)で表されるアダマンチル基、上記式(5d)で表されるトリシクロペンタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを使用した場合には、耐発泡剥がれ性をより高めることができ、さらに、ポリエチレンやポリプロプレン等の低極性の被着体に対する接着性を顕著に向上させることができる。
アクリル系ポリマー(B)の全モノマー単位(アクリル系ポリマー(B)を構成するモノマー成分全量)における上記環含有(メタ)アクリル酸エステルの含有量(割合)は、特に限定されないが、アクリル系ポリマー(B)を構成するモノマー成分全量(100重量部)に対して、10~90重量部が好ましく、より好ましくは20~80重量部である。上記環含有(メタ)アクリル酸エステルの含有量を10重量部以上であると、耐発泡剥がれ性が向上しやすくなり、好ましい。また、含有量を90重量部以下であると、粘着剤層が適度な柔軟性を有し、粘着力や段差吸収性等が向上しやすくなり、好ましい。
また、アクリル系ポリマー(B)のモノマー単位としての上記直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等のアルキル基の炭素数が1~20の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。なかでも、アクリル系ポリマー(A)との相溶性が良好となる点で、メタクリル酸メチル(MMA)が好ましい。なお、上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
アクリル系ポリマー(B)の全モノマー単位(アクリル系ポリマー(B)を構成するモノマー成分全量)における上記直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量(割合)は、特に限定されないが、耐発泡剥がれ性の点で、アクリル系ポリマー(B)を構成するモノマー成分全量(100重量部)に対して、10~90重量部が好ましく、より好ましくは20~80重量部、さらに好ましくは20~60重量部である。含有量が10重量部以上であると、特に、アクリル樹脂やポリカーボネート製の被着体に対する粘着力が向上しやすくなり、好ましい。
アクリル系ポリマー(B)のモノマー単位としては、上記環含有(メタ)アクリル酸エステル及び直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの他にも、これらのモノマーと共重合が可能なモノマー(共重合性モノマー)が含まれていてもよい。なお、アクリル系ポリマー(B)の全モノマー単位(アクリル系ポリマー(B)を構成するモノマー成分全量)における上記共重合性モノマーの含有量(割合)は、特に限定されないが、アクリル系ポリマー(B)を構成するモノマー成分全量(100重量部)に対して、49.9重量部以下(例えば、0~49.9重量部)が好ましく、より好ましくは30重量部以下である。また、共重合性モノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
アクリル系ポリマー(B)のモノマー単位としての上記共重合性モノマー(アクリル系ポリマー(B)を構成する上記共重合性モノマー)としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸3-メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4-エトキシブチル等];ヒドロキシル基(水酸基)含有モノマー[例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、ビニルアルコール、アリルアルコール等];アミド基含有モノマー[例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等];アミノ基含有モノマー[例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチル等];シアノ基含有モノマー[例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等];スルホン酸基含有モノマー[例えば、ビニルスルホン酸ナトリウム等];リン酸基含有モノマー[例えば、2-ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェート等];イソシアネート基含有モノマー[例えば、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等]、イミド基含有モノマー[シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド等]等が挙げられる。
上記のように、アクリル系ポリマー(B)は、モノマー単位として分子内に環状構造を有する(メタ)アクリル酸エステル及び直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むアクリル系ポリマーであることが好ましい。なかでも、モノマー単位として、環含有(メタ)アクリル酸エステル、及び、上記の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むアクリル系ポリマーであることが好ましい。上記のモノマー単位として環含有(メタ)アクリル酸エステル及び直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むアクリル系ポリマーにおいて、アクリル系ポリマー(B)を構成するモノマー成分全量(100重量部)に対する環含有(メタ)アクリル酸エステルの量は、特に限定されないが、10~90重量部が好ましく、より好ましくは20~80重量部である。また、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、特に限定されないが、10~90重量部が好ましく、より好ましくは20~80重量部、さらに好ましくは20~60重量部である。
さらに、アクリル系ポリマー(B)の特に好ましい具体的構成としては、モノマー単位として(1)アクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸シクロヘキシル、及びメタクリル酸シクロヘキシルからなる群より選ばれた少なくとも1種のモノマー、ならびに(2)メタクリル酸メチルを含むアクリル系ポリマーが挙げられる。上記の特に好ましい具体的構成のアクリル系ポリマー(B)における、アクリル系ポリマー(B)の全モノマー単位中の、(1)アクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸シクロヘキシル、及びメタクリル酸シクロヘキシルの含有量(2種以上を含む場合はこれらの合計量)は、アクリル系ポリマー(B)を構成するモノマー成分全量(100重量部)に対して、30~70重量部、(2)メタクリル酸メチルの含有量は30~70重量部であることが好ましい。ただし、上記アクリル系ポリマー(B)は、上記具体的構成に限定されるものではない。
アクリル系ポリマー(B)は、上記モノマー成分を公知乃至慣用の重合方法により重合することにより得ることができる。上記アクリル系ポリマー(B)の重合方法としては、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法、活性エネルギー線照射による重合方法(活性エネルギー線重合方法)等が挙げられる。なかでも、塊状重合方法、溶液重合方法が好ましく、より好ましくは溶液重合方法である。
アクリル系ポリマー(B)の重合に際しては、各種の一般的な溶剤が用いられてもよい。上記溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類等の有機溶剤が挙げられる。なお、このような溶剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
さらに、アクリル系ポリマー(B)の重合に際しては、公知乃至慣用の重合開始剤(例えば、熱重合開始剤や光重合開始剤等)が使用されてもよい。なお、重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
熱重合開始剤としては、例えば、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2'-アゾビス-2-メチルブチロニトリル(AMBN)、2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4'-アゾビス-4-シアノバレリアン酸、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1'-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)等のアゾ系開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン等の過酸化物系開始剤等が挙げられる。なお、溶液重合を行う場合には、油溶性の重合開始剤を使用することが好ましい。また、熱重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
上記熱重合開始剤の使用量としては、特に限定されないが、例えば、アクリル系ポリマー(B)の全モノマー単位(アクリル系ポリマー(B)を構成するモノマー成分全量)100重量部に対して、0.1~15重量部である。
また、上記光重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、上記で挙げられたアクリル系ポリマー(A)の重合に際して用いられる光重合開始剤と同じ光重合開始剤が挙げられる。上記光重合開始剤の使用量は、特に限定されず、適宜選択される。
上記アクリル系ポリマー(B)の重合に際しては、分子量を調整するため(具体的には、重量平均分子量を1000~30000に調整するため)に、連鎖移動剤が使用されてもよい。上記連鎖移動剤としては、例えば、2-メルカプトエタノール、α-チオグリセロール、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール、オクチルメルカプタン、t-ノニルメルカプタン、ドデシルメルカプタン(ラウリルメルカプタン)、t-ドデシルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、チオグリコール酸、チオグリコール酸メチル、チオグリコール酸エチル、チオグリコール酸プロピル、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸t-ブチル、チオグリコール酸2-エチルヘキシル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸イソオクチル、チオグリコール酸デシル、チオグリコール酸ドデシル、エチレングリコールのチオグリコール酸エステル、ネオペンチルグリコールのチオグリコール酸エステル、ペンタエリスリトールのチオグリコール酸エステル、α-メチルスチレンダイマー等が挙げられる。なかでも、加湿による粘着シートの白化を抑制する観点から、α-チオグリセロール、チオグリコール酸メチルが好ましく、α-チオグリセロールが特に好ましい。なお、連鎖移動剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
上記連鎖移動剤の含有量(使用量)は、特に限定されないが、アクリル系ポリマー(B)の全モノマー単位(アクリル系ポリマー(B)を構成するモノマー成分全量)100重量部に対して、0.1~20重量部が好ましく、より好ましくは0.2~15重量部、さらに好ましくは0.3~10重量部である。連鎖移動剤の含有量(使用量)を上記範囲とすることにより、重量平均分子量が1000~30000に制御されたアクリル系ポリマーを容易に得ることができる。
上記アクリル系ポリマー(B)の重量平均分子量(Mw)は、1000~30000であり、好ましくは1000~20000、より好ましくは1500~10000、さらに好ましくは2000~8000である。アクリル系ポリマー(B)の重量平均分子量が1000以上であるので、粘着力や保持特性が向上し、耐発泡剥がれ性が向上する。一方、アクリル系ポリマー(B)の重量平均分子量を30000以下であるので、粘着力を高くしやすく、耐発泡剥がれ性が向上する。
上記アクリル系ポリマー(B)の重量平均分子量(Mw)は、GPC法によりポリスチレン換算して求めることができる。例えば、東ソー株式会社製の高速GPC装置「HPLC-8120GPC」を用いて、下記の条件により測定することができる。
カラム:TSKgel SuperHZM-H/HZ4000/HZ3000/HZ2000
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.6ml/分
上記アクリル系ポリマー(B)のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、20~300℃が好ましく、より好ましくは30~300℃、さらに好ましくは40~300℃である。アクリル系ポリマー(B)のガラス転移温度を20℃以上であると、耐発泡剥がれ性が向上しやすく、好ましい。また、アクリル系ポリマー(B)のガラス転移温度が300℃以下であると、粘着剤層が適度な柔軟性を有し、良好な粘着力や良好な段差吸収性が得やすくなり、優れた接着信頼性を得やすくなるので、好ましい。
上記アクリル系ポリマー(B)のガラス転移温度(Tg)は、下記式で表されるガラス転移温度(理論値)である。
1/Tg = W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wn/Tgn
上記式中、Tgはアクリル系ポリマー(B)のガラス転移温度(単位:K)、Tgiはモノマーiがホモポリマーを形成した際のガラス転移温度(単位:K)、Wiはモノマーiのモノマー成分全量中の重量分率を表す(i=1、2、・・・・n)。
上記アクリル系ポリマー(B)を構成するモノマーのホモポリマーのTgとしては、下記の表1記載の値を採用できる。また、表1に記載のないモノマーのホモポリマーのTgとしては、「Polymer Handbook」(第3版、John Wiley & Sons,Inc、1989年)に記載の数値を採用できる。さらに、上記文献にも記載されていないモノマーのホモポリマーのTgとしては、上述の測定方法により得られる値(粘弾性試験によるtanδのピークトップ温度)を採用できる。
Figure 2023136272000006
なお、表1における「DCPMA/MMA=60/40」のコポリマーは、DCPMA60重量部とMMA40重量部のコポリマーを意味する。
本発明の粘着剤組成物がアクリル系ポリマー(A)及び(B)を含有する場合のアクリル系ポリマー(B)の含有量は、特に限定されないが、上記アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、1~30重量部が好ましく、より好ましくは2~20重量部であり、さらに好ましくは2~10重量部である。すなわち、本発明の粘着剤組成物におけるアクリル系ポリマー(B)の含有量は、特に限定されないが、上記アクリル系ポリマー(A)の全モノマー単位100重量部に対して、1~30重量部が好ましく、より好ましくは2~20重量部であり、さらに好ましくは2~10重量部である。本発明の粘着剤組成物におけるアクリル系ポリマー(B)の含有量は、特に限定されないが、例えば、上記モノマー混合物100重量部に対して、1~30重量部が好ましく、より好ましくは2~20重量部であり、さらに好ましくは2~10重量部である。アクリル系ポリマー(B)の含有量が1重量部以上であると、優れた接着性及び優れた耐発泡剥がれ性が得やすくなり、好ましい。また、アクリル系ポリマー(B)の含有量が30重量部以下であると、優れた透明性と接着信頼性が得やすくなり、好ましい。
アクリル系ポリマー(A)及び(B)を含有する粘着剤組成物の作製方法としては、特に限定されない。例えば、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分の混合物又はアクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分の混合物の部分重合物(アクリル系ポリマー(A)を形成するモノマー混合物又はその部分重合物)に、アクリル系ポリマー(B)、添加剤等を必要に応じて添加して、混合することを経て、作製される。
[1-9.本発明のイオン性化合物]
本発明の粘着剤組成物は、本発明のイオン性化合物を必須成分として含有する。本発明の粘着剤組成物において、本発明のイオン性化合物は、本発明の粘着剤層に導電性を付与する帯電防止剤として機能するものである。本発明のイオン性化合物は、0~150℃の範囲内のいずれかで液体(液状)であり、不揮発性の溶融塩で、透明性を有するもの(イオン液体)が好ましい。なお、本発明のイオン性化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明のイオン性化合物としては、特に限定されないが、有機系化合物(有機系イオン性化合物)が好ましく挙げられる。
上記有機系イオン性化合物としては、有機カチオンアニオン塩を好ましく用いることができる。本発明でいう、「有機カチオンアニオン塩」とは、有機塩であって、そのカチオン部が有機物で構成されているものを示し、アニオン部は有機物であっても良いし、無機物であっても良い。「有機カチオンアニオン塩」は、イオン性液体、イオン性固体とも言われる。また、イオン性化合物を構成するアニオン成分としては、フッ素含有アニオンを使用するものが、帯電防止機能の点から好ましい。イオン性化合物は単独でまたは複数を併用することができる。
有機カチオンアニオン塩は、カチオン成分とアニオン成分とから構成されており、前記カチオン成分は有機物からなるものである。カチオン成分として、具体的には、ピリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピロリン骨格を有するカチオン、ピロール骨格を有するカチオン、イミダゾリウムカチオン、テトラヒドロピリミジニウムカチオン、ジヒドロピリミジニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピラゾリニウムカチオン、テトラアルキルアンモニウムカチオン、トリアルキルスルホニウムカチオン、テトラアルキルホスホニウムカチオン等が挙げられる。
アニオン成分としては、例えば、Cl-、Br-、I-、AlCl4 -、Al2Cl7 -、BF4 -、PF6 -、ClO4 -、NO3 -、CH3COO-、CF3COO-、CH3SO3 -、CF3SO3 -、(CF3SO23-、AsF6 -、SbF6 -、NbF6 -、TaF6 -、(CN)2-、C49SO3 -、C37COO-、((CF3SO2)(CF3CO)N--3S(CF23SO3 -、や下記一般式(1)乃至(4)、
(1):(Cn2n+1SO22- (但し、nは1~10の整数)、
(2):CF2(Cm2mSO22- (但し、mは1~10の整数)、
(3):-3S(CF2lSO3 - (但し、lは1~10の整数)、
(4):(Cp2p+1SO2)N-(Cq2q+1SO2)、(但し、p、qは1~10の整数)、及び、(FSO22-で表わされるもの等が用いられる。なかでも特に、フッ素原子を含むアニオン(フッ素含有アニオン)は、イオン解離性の良いイオン化合物が得られることから好ましく用いられる。フッ素原子を含むアニオンの中でも、フッ素含有イミドアニオンが好ましく、その中でも、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンであることが好ましい。特に、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンは、比較的少量添加で優れた帯電防止性を付与でき、粘着特性を維持して加湿や加熱環境下での耐久性に有利となり、好ましい。
本発明のイオン性化合物は、本発明の粘着剤組成物を構成する2種以上のポリマーのうちの少なくとも1種と共有結合を形成できる官能基(以下、本明細書において、「官能基(A)」と称する場合がある)を、イオン性化合物を構成するカチオン部、及び/又は、アニオン部(いずれか、又は両方)に有するイオン性化合物(以下、本明細書において、「イオン性化合物(A)」と称する場合がある)であることが好ましい。
本発明の粘着剤組成物が、イオン性化合物(A)を含有することにより、2種以上のポリマーのうちの少なくとも1種と、イオン性化合物(A)が有する官能基(A)が反応して共有結合を形成して、イオン性化合物がポリマーの分子中に組み込まれるため、本発明の粘着剤層中での相溶性が損なわれることはなく透明性が維持しやすくなる。また、湿熱環境のような過酷な条件でも帯電防止成分のブリードアウトを抑制することができるため、金属配線の腐食などの不良が生じにくく、また、湿熱環境下での表面抵抗値の上昇を抑制して、優れた帯電防止性を維持することができる点で、好ましい。さらに、粘着剤層の表面での析出、発泡、剥がれが抑制され、外観や接着信頼性などの耐久性の不良が生じにくい。
イオン性化合物(A)のカチオン部としては、特に制限なく使用できるが、第4級アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピペリニジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、第4級ホスホニウムカチオン、トリアルキルスルホニウムカチオン、ピロールカチオン、ピラゾリウムカチオン、グアニジウムカチオン等があげられ、中でも、第4級アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピペリニジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、第4級ホスホニウムカチオン、トリアルキルスルホニウムカチオンを使用することがより好ましい。
また、イオン性化合物(A)を構成するアニオン部の内、前記アニオンとしては、SCN-、BF4 -、PF6 -、NO3 -、CH3COO-、CF3COO-、CH3SO3 -、CF3SO3 -、(FSO22-、(CF3SO22-、(CF3SO23-、AsF6 -、SbF6 -、NbF6 -、TaF6 -、F(HF)n -、(CN)2-、C49SO3 -、(C25SO22-、C37COO-、(CF3SO2)(CF3CO)N-、B(CN)4 -、C(CN)3 -、N(CN)2 -、CH3OSO3 -、C25OSO3 -、C49OSO3 -、C613OSO3 -、C817OSO3 -、p-トルエンスルホネートアニオン、2-(2-メトキシエチル)エチルサルフェートアニオン、(C253PF3 -などが挙げられ、特に、フッ素原子を含むアニオン成分(含フッ素系アニオン)は、低融点のイオン性化合物を得られ、帯電防止性に優れる点で好ましい。なお、アニオンとして、塩素イオン、臭素イオンなどは、腐食性を有する点で、使用しないことが好ましい。
イオン性化合物(A)が有する官能基(A)(ポリマーと共有結合を形成できる官能基)としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、ビニル基、アリル基、スチリル基、水酸基、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基等があげられる。中でも、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、水酸基が好ましく、特に好ましくは、ポリマーと共重合可能な(メタ)アクリロイルオキシ基である。また、アミノ基には、-NH2、及び-NHR(Rは、炭素数1~6のアルキル基)も含まれる。
イオン性化合物(A)が有する官能基(A)の数は、特に限定されないが、1~4個が好ましく、1~3個がより好ましく、1又は2個がさらに好ましく、1個が特に好ましい。官能基(A)の数が2個以上の場合、2個以上の官能基(A)は同一であっても、異なっていてもよい。なお、官能基(A)の数が2個以上の場合、イオン性化合物(A)は、2つ以上のポリマーを架橋する架橋剤としても機能し得る。
イオン性化合物(A)としては、特に制限なく使用することができるが、下記一般式(A)で示されるイオン性化合物であることが好ましい。
Figure 2023136272000007
上記一般式(A)中、X+はカチオン部である。Y-はアニオンである。Z1及びZ2は、同一又は異なって、単結合、又は炭素数1~16のアルキレン基である。A1及びA2は、同一又は異なって、アクリル系ポリマー(A)と共有結合を形成できる官能基である。n1は0又は1、n2は0又は1、但し、n1+n2は1又は2である。
上記一般式(A)で示されるイオン性化合物を構成するカチオン部(X+)としては、第4級アンモニウム基、イミダゾリウム基、ピリジニウム基、ピペリニジニウム基、ピロリジニウム基、ピロール基、第4級ホスホニウム基、トリアルキルスルホニウム基、ピラゾリウム基、グアニジウム基などが挙げられる。これらの中でも、特に、第4級アンモニウム基であることが、透明性に優れ、電子・光学用途に好ましい態様となる。また、第4級アンモニウム基は、紫外線(UV)硬化の際に、一般的なラジカル重合反応を阻害しにくく、硬化性が高いことが推測され、好適である。
前記第4級アンモニウム基としては、n1+n2が1である場合、トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、トリプロピルアンモニウム基、メチルジエチルアンモニウム基、エチルジメチルアンモニウム基、メチルジプロピルアンモニウム基、ジメチルベンジルアンモニウム基、ジエチルベンジルアンモニウム基、メチルジベンジルアンモニウム基、エチルジベンジルアンモニウム基、ジメチルオクタデシルアンモニウム基、ジメチルオレイルアンモニウム基等が挙げられるが、中でも特に、トリメチルアンモニウム基、ジメチルベンジルアンモニウム基が安価な工業材料を入手し易い点で、好ましい態様となる。
前記第4級アンモニウム基としては、n1+n2が2である場合、ジメチルアンモニウム基、ジエチルアンモニウム基、ジプロピルアンモニウム基、メチルエチルアンモニウム基、メチルプロピルアンモニウム基、メチルベンジルアンモニウム基、エチルベンジルアンモニウム基、メチルオクタデシルアンモニウム基、エチルオクタデシルアンモニウム基、メチルオレイルアンモニウム、エチルオレイルアンモニウム基等が挙げられるが、中でも特に、ジメチルアンモニウム基、メチルオレイルアンモニウム基が安価な工業材料を入手し易い点で、好ましい態様となる。
上記一般式(A)で示されるイオン性化合物を構成するアニオン(部位)(Y-)内、前記アニオンとしては、SCN-、BF4 -、PF6 -、NO3 -、CH3COO-、CF3COO-、CH3SO3 -、CF3SO3 -、(FSO22-、(CF3SO22-、(CF3SO23-、AsF6 -、SbF6 -、NbF6 -、TaF6 -、F(HF)n -、(CN)2-、C49SO3 -、(C25SO22-、C37COO-、(CF3SO2)(CF3CO)N-、B(CN)4 -、C(CN)3 -、N(CN)2 -、CH3OSO3 -、C25OSO3 -、C49OSO3 -、C613OSO3 -、C817OSO3 -、p-トルエンスルホネートアニオン、2-(2-メトキシエチル)エチルサルフェートアニオン、(C253PF3 -などが挙げられ、特に、フッ素原子を含むアニオン成分(含フッ素系アニオン)は、低融点のイオン性化合物を得られ、帯電防止性に優れる点で好ましい。なお、アニオンとして、塩素イオン、臭素イオンなどは、腐食性を有する点で、使用しないことが好ましい。
上記一般式(A)で示されるイオン性化合物を構成するZ1及びZ2は、単結合、又は炭素数1~16のアルキレン基である。炭素数1~16のアルキレン基としては、好ましくは炭素数1~12のアルキレン基、さらに好ましくは炭素数1~6のアルキレン基、特に好ましくは炭素数1~3のアルキレン基である。具体的には、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、メチルエチレン基など挙げられ、エチレン基、トリメチレン基が好ましい。n1+n2が2である場合、Z1及びZ2は、同一でもよく、異なっていてもよい。
上記一般式(A)で示されるイオン性化合物を構成するA1及びA2は、アクリル系ポリマー(A)と共有結合を形成できる官能基であり、具体的には、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、ビニル基、アリル基、スチリル基、水酸基、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基等があげられる。中でも、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、水酸基が好ましく、特に好ましくは、アクリル系ポリマー(A)と共重合可能な(メタ)アクリロイルオキシ基である。n1+n2が2である場合、A1及びA2は、同一でもよく、異なっていてもよい。
上記一般式(A)で示されるイオン性化合物のうち、X+が第4級アンモニウム基であり、n1が1であり、n2が0であり、A1がビニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、又は(メタ)アクリロイルアミノ基である態様の具体例としては、N,N,N-トリアルキル-N-ビニルアンモニウムテトラフルオロボレート、N,N,N-トリアルキル-N-ビニルアンモニウムトリフルオロアセテート、N,N,N-トリアルキル-N-ビニルアンモニウムヘプタフルオロブチレート、N,N,N-トリアルキル-N-ビニルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、N,N,N-トリアルキル-N-ビニルアンモニウムペルフルオロブタンスルホネート、N,N,N-トリアルキル-N-ビニルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N,N-トリアルキル-N-ビニルアンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、N,N,N-トリアルキル-N-ビニルアンモニウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N,N-トリアルキル-N-ビニルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N,N,N-トリアルキル-N-ビニルアンモニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、N,N,N-トリアルキル-N-ビニルアンモニウムジシアンアミド、N,N,N-トリアルキル-N-ビニルアンモニウムチオシアネート等のN,N,N-トリアルキル-N-ビニルアンモニウムカチオン含有イオン性化合物;N,N,N-トリアルキル-N-(メタ)アクリロイルオキシアルキルアンモニウムテトラフルオロボレート、N,N,N-トリアルキル-N-(メタ)アクリロイルオキシアルキルアンモニウムトリフルオロアセテート、N,N,N-トリアルキル-N-(メタ)アクリロイルオキシアルキルアンモニウムヘプタフルオロブチレート、N,N,N-トリアルキル-N-(メタ)アクリロイルオキシアルキルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、N,N,N-トリアルキル-N-(メタ)アクリロイルオキシアルキルアンモニウムペルフルオロブタンスルホネート、N,N,N-トリアルキル-N-(メタ)アクリロイルオキシアルキルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N,N-トリアルキル-N-(メタ)アクリロイルオキシアルキルアンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、N,N,N-トリアルキル-N-(メタ)アクリロイルオキシアルキルアンモニウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N,N-トリアルキル-N-(メタ)アクリロイルオキシアルキルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N,N,N-トリアルキル-N-(メタ)アクリロイルオキシアルキルアンモニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、N,N,N-トリアルキル-N-(メタ)アクリロイルオキシアルキルアンモニウムジシアンアミド、N,N,N-トリアルキル-N-(メタ)アクリロイルオキシアルキルアンモニウムチオシアネート、等のN,N,N-トリアルキル-N-(メタ)アクリロイルオキシアルキルアンモニウムカチオン含有イオン性化合物;N,N,N-トリアルキル-N-(メタ)アクリロイルアミノアルキルアンモニウムテトラフルオロボレート、N,N,N-トリアルキル-N-(メタ)アクリロイルアミノアルキルアンモニウムトリフルオロアセテート、N,N,N-トリアルキル-N-(メタ)アクリロイルアミノアルキルアンモニウムヘプタフルオロブチレート、N,N,N-トリアルキル-N-(メタ)アクリロイルアミノアルキルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、N,N,N-トリアルキル-N-(メタ)アクリロイルアミノアルキルアンモニウムペルフルオロブタンスルホネート、N,N,N-トリアルキル-N-(メタ)アクリロイルアミノアルキルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N,N-トリアルキル-N-(メタ)アクリロイルアミノアルキルアンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、N,N,N-トリアルキル-N-(メタ)アクリロイルアミノアルキルアンモニウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N,N-トリアルキル-N-(メタ)アクリロイルアミノアルキルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N,N,N-トリアルキル-N-(メタ)アクリロイルアミノアルキルアンモニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、N,N,N-トリアルキル-N-(メタ)アクリロイルアミノアルキルアンモニウムジシアンアミド、N,N,N-トリアルキル-N-(メタ)アクリロイルアミノアルキルアンモニウムチオシアネート、等のN,N,N-トリアルキル-N-(メタ)アクリロイルアミノアルキルアンモニウムカチオン含有イオン性化合物があげられる。なお、前記アルキル置換基としては、炭素数1~16のアルキル基であることが好ましく、特に好ましくは炭素数1~12、更に好ましくは炭素数1~6である。
上記一般式(A)で示されるイオン性化合物のうち、X+が第4級アンモニウム基であり、n1が1であり、n2が0であり、A1が(メタ)アクリロイルオキシ基である態様の好ましい具体例としては、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメチルベンジルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸などが挙げられる。
上記一般式(A)で示されるイオン性化合物のうち、X+が第4級アンモニウム基であり、n1が1であり、n2が0であり、A1が(メタ)アクリロイルアミノ基である態様の好ましい具体例としては、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸などが挙げられる。
上記一般式(A)で示されるイオン性化合物のうち、X+がイミダゾリウム基であり、n1が1であり、n2が0又は1であり、A1及びA2がビニル基である態様の具体例としては、1-アルキル-3-ビニルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-アルキル-3-ビニルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1-アルキル-3-ビニルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1-アルキル-3-ビニルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1-アルキル-3-ビニルイミダゾリウムペルフルオロブタンスルホネート、1-アルキル-3-ビニルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-アルキル-3-ビニルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1-アルキル-3-ビニルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-アルキル-3-ビニルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-アルキル-3-ビニルイミダゾリウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1-アルキル-3-ビニルイミダゾリウムジシアンアミド、1-アルキル-3-ビニルイミダゾリウムチオシアネート等の1-アルキル-3-ビニルイミダゾリウムカチオン含有イオン性化合物;1,2-ジアルキル-3-ビニルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1,2-ジアルキル-3-ビニルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,2-ジアルキル-3-ビニルイミダゾリウムジシアンアミド、1,2-ジアルキル-3-ビニルイミダゾリウムチオシアネート等の1,2-ジアルキル-3-ビニルイミダゾリウムカチオン含有イオン性化合物;2-アルキル-1,3-ジビニルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、2-アルキル-1,3-ジビニルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、2-アルキル-1,3-ジビニルイミダゾリウムジシアンアミド、2-アルキル-1,3-ジビニルイミダゾリウムチオシアネート、等の2-アルキル-1,3-ジビニルイミダゾリウムカチオン含有イオン性化合物;1-ビニルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-ビニルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-ビニルイミダゾリウムジシアンアミド、1-ビニルイミダゾリウムチオシアネート等の1-ビニルイミダゾリウムカチオン含有イオン性化合物等が挙げられる。
上記一般式(A)で示されるイオン性化合物のうち、X+がイミダゾリウム基であり、n1が1であり、n2が0又は1であり、A1及びA2が(メタ)アクリロイルオキシ基である態様の具体例としては、1-アルキル-3-(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-アルキル-3-(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1-アルキル-3-(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1-アルキル-3-(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1-アルキル-3-(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムペルフルオロブタンスルホネート、1-アルキル-3-(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-アルキル-3-(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1-アルキル-3-(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-アルキル-3-(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-アルキル-3-(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1-アルキル-3-(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムジシアンアミド、1-アルキル-3-(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムチオシアネート等の1-アルキル-3-(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムカチオン含有イオン性化合物;1,2-ジアルキル-3-(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1,2-ジアルキル-3-(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,2-ジアルキル-3-(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムジシアンアミド、1,2-ジアルキル-3-(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムチオシアネート等の1,2-ジアルキル-3-(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムカチオン含有イオン性化合物;2-アルキル-1,3-ジ(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、2-アルキル-1,3-ジ(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、2-アルキル-1,3-ジ(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムジシアンアミド、2-アルキル-1,3-ジ(メタ)アクリロイルオキシイミダゾリウムチオシアネート等の2-アルキル-1,3-ジ(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムカチオン含有イオン性化合物;1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムジシアンアミド、1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムチオシアネート等の1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムカチオン含有イオン性化合物等が挙げられる。なお、前記アルキル置換基としては、炭素数1~16のアルキル基であることが好ましく、特に好ましくは炭素数1~12、更に好ましくは炭素数1~6である。
上記一般式(A)で示されるイオン性化合物のうち、X+がイミダゾリウム基であり、n1が1であり、n2が0又は1であり、A1及びA2が(メタ)アクリロイルアミノ基である態様の具体例としては、1-アルキル-3-(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-アルキル-3-(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1-アルキル-3-(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1-アルキル-3-(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1-アルキル-3-(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムペルフルオロブタンスルホネート、1-アルキル-3-(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-アルキル-3-(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1-アルキル-3-(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-アルキル-3-(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-アルキル-3-(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1-アルキル-3-(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムジシアンアミド、1-アルキル-3-(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムチオシアネート等の1-アルキル-3-(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムカチオン含有イオン性化合物;1,2-ジアルキル-3-(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1,2-ジアルキル-3-(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,2-ジアルキル-3-(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムジシアンアミド、1,2-ジアルキル-3-(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムチオシアネート等の1,2-ジアルキル-3-(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムカチオン含有イオン性化合物;2-アルキル-1,3-ジ(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、2-アルキル-1,3-ジ(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、2-アルキル-1,3-ジ(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムジシアンアミド、2-アルキル-1,3-ジ(メタ)アクリロイルアミノイミダゾリウムチオシアネート等の2-アルキル-1,3-ジ(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムカチオン含有イオン性化合物;1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムジシアンアミド、1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムチオシアネート等の1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムカチオン含有イオン性化合物等が挙げられる。なお、前記アルキル置換基としては、炭素数1~16のアルキル基であることが好ましく、特に好ましくは炭素数1~12、更に好ましくは炭素数1~6である。
上記一般式(A)で示されるイオン性化合物のうち、X+がピリジニウム基であり、n1が1であり、n2が0であり、A1がビニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、又は(メタ)アクリロイルアミノ基である態様の具体例としては、1-ビニルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-ビニルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-ビニルピリジニウムジシアンアミド、1-ビニルピリジニウムチオシアネート、等の1-ビニルピリジニウムカチオン含有イオン性化合物;1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムジシアンアミド、1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムチオシアネート、等の1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムカチオン含有イオン性化合物;1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムジシアンアミド、1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムチオシアネート、等の1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムカチオン含有イオン性化合物;2-アルキル-1-ビニルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、2-アルキル-1-ビニルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、2-アルキル-1-ビニルピリジニウムジシアンアミド、2-アルキル-1-ビニルピリジニウムチオシアネート、等の2-アルキル-1-ビニルピリジニウムカチオン含有イオン性化合物;2-アルキル-1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、2-アルキル-1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、2-アルキル-1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムジシアンアミド、2-アルキル-1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムチオシアネート、等の2-アルキル-1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムカチオン含有イオン性化合物;2-アルキル-1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、2-アルキル-1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、2-アルキル-1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムジシアンアミド、2-アルキル-1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムチオシアネート、等の2-アルキル-1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムカチオン含有イオン性化合物;3-アルキル-1-ビニルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、3-アルキル-1-ビニルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3-アルキル-1-ビニルピリジニウムジシアンアミド、3-アルキル-1-ビニルピリジニウムチオシアネート、等の3-アルキル-1-ビニルピリジニウムカチオン含有イオン性化合物;3-アルキル-1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、3-アルキル-1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3-アルキル-1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムジシアンアミド、3-アルキル-1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムチオシアネート等の3-アルキル-1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムカチオン含有イオン性化合物;3-アルキル-1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、3-アルキル-1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3-アルキル-1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムジシアンアミド、3-アルキル-1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムチオシアネート、等の3-アルキル-1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムカチオン含有イオン性化合物;4-アルキル-1-ビニルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、4-アルキル-1-ビニルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4-アルキル-1-ビニルピリジニウムジシアンアミド、4-アルキル-1-ビニルピリジニウムチオシアネート等の4-アルキル-1-ビニルピリジニウムカチオン含有イオン性化合物;4-アルキル-1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、4-アルキル-1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4-アルキル-1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムジシアンアミド、4-アルキル-1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムチオシアネート、等の4-アルキル-1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムカチオン含有イオン性化合物;4-アルキル-1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、4-アルキル-1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4-アルキル-1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムジシアンアミド、4-アルキル-1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムチオシアネート、等の4-アルキル-1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムカチオン含有イオン性化合物等があげられる。なお、前記アルキル置換基としては、炭素数1~16のアルキル基であることが好ましく、特に好ましくは炭素数1~12、更に好ましくは炭素数1~6である。
上記一般式(A)で示されるイオン性化合物のうち、X+がピペリニジニウム基であり、n1が1であり、n2が0であり、A1がビニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、又は(メタ)アクリロイルアミノ基である態様の具体例としては、1-アルキル-1-ビニルアルキルピペリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-アルキル-1-ビニルアルキルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-アルキル-1-ビニルアルキルピペリジニウムジシアンアミド、1-アルキル-1-ビニルアルキルピペリジニウムチオシアネート等の1-アルキル-1-ビニルアルキルピペリジニウムカチオン含有イオン性化合物;1-アルキル-1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルピペリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-アルキル-1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-アルキル-1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルピペリジニウムジシアンアミド、1-アルキル-1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルピペリジニウムチオシアネート等の1-アルキル-1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルピペリジニウムカチオン含有イオン性化合物;1-アルキル-1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルピペリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-アルキル-1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-アルキル-1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルピペリジニウムジシアンアミド、1-アルキル-1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルピペリジニウムチオシアネート等の1-アルキル-1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルピペリジニウムカチオン含有イオン性化合物等があげられる。 なお、前記アルキル置換基としては、炭素数1~16のアルキル基であることが好ましく、特に好ましくは炭素数1~12、更に好ましくは炭素数1~6である。
上記一般式(A)で示されるイオン性化合物のうち、X+がピロリジニウム基であり、n1が1であり、n2が0であり、A1がビニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、又は(メタ)アクリロイルアミノ基である態様の具体例としては、1-アルキル-1-ビニルアルキルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-アルキル-1-ビニルアルキルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-アルキル-1-ビニルアルキルピロリジニウムジシアンアミド、1-アルキル-1-ビニルアルキルピロリジニウムチオシアネート、等の1-アルキル-1-ビニルアルキルピロリジニウムカチオン含有イオン性化合物;1-アルキル-1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-アルキル-1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-アルキル-1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルピロリジニウムジシアンアミド、1-アルキル-1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルピロリジニウムチオシアネート、等の1-アルキル-1-(メタ)アクリロイルオキシアルキルピロリジニウムカチオン含有イオン性化合物;1-アルキル-1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-アルキル-1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-アルキル-1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルピロリジニウムジシアンアミド、1-アルキル-1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルピロリジニウムチオシアネート等の1-アルキル-1-(メタ)アクリロイルアミノアルキルピロリジニウムカチオン含有イオン性化合物等があげられる。なお、前記アルキル置換基としては、炭素数1~16のアルキル基であることが好ましく、特に好ましくは炭素数1~12、更に好ましくは炭素数1~6である。
上記一般式(A)で示されるイオン性化合物のうち、X+がトリアルキルスルホニウム基であり、n1が1であり、n2が0であり、A1がビニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、又は(メタ)アクリロイルアミノ基である態様の具体例としては、ジアルキル(ビニル)スルホニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、ジアルキル(ビニル)スルホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアルキル(ビニル)スルホニウムジシアンアミド、ジアルキル(ビニル)スルホニウムチオシアネート、等のジアルキル(ビニル)スルホニウムカチオン含有イオン性化合物;ジアルキル((メタ)アクリロイルオキシアルキル)スルホニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、ジアルキル((メタ)アクリロイルオキシアルキル)スルホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアルキル((メタ)アクリロイルオキシアルキル)スルホニウムジシアンアミド、ジアルキル((メタ)アクリロイルオキシアルキル)スルホニウムチオシアネート等のジアルキル((メタ)アクリロイルオキシアルキル)スルホニウムカチオン含有イオン性化合物;ジアルキル((メタ)アクリロイルアミノアルキル)スルホニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、ジアルキル((メタ)アクリロイルアミノアルキル)スルホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアルキル((メタ)アクリロイルアミノアルキル)スルホニウムジシアンアミド、ジアルキル((メタ)アクリロイルアミノアルキル)スルホニウムチオシアネート等のジアルキル((メタ)アクリロイルアミノアルキル)スルホニウムカチオン含有イオン性化合物等があげられる。なお、前記アルキル置換基としては、炭素数1~16のアルキル基であることが好ましく、特に好ましくは炭素数1~12、更に好ましくは炭素数1~6である。
上記一般式(A)で示されるイオン性化合物のうち、X+が第4級ホスホニウム基であり、n1が1であり、n2が0であり、A1がビニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、又は(メタ)アクリロイルアミノ基である態様の具体例としては、トリアルキル(ビニル)ホスホニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、トリアルキル(ビニル)ホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリアルキル(ビニル)ホスホニウムジシアンアミド、トリアルキル(ビニル)ホスホニウムチオシアネート、等のトリアルキル(ビニル)ホスホニウムカチオン含有イオン性化合物;トリアルキル((メタ)アクリロイルオキシアルキル)ホスホニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、トリアルキル((メタ)アクリロイルオキシアルキル)ホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリアルキル((メタ)アクリロイルオキシアルキル)ホスホニウムジシアンアミド、トリアルキル((メタ)アクリロイルオキシアルキル)ホスホニウムチオシアネート等のトリアルキル((メタ)アクリロイルオキシアルキル)ホスホニウムカチオン含有イオン性化合物;トリアルキル((メタ)アクリロイルアミノアルキル)ホスホニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、トリアルキル((メタ)アクリロイルアミノアルキル)ホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリアルキル((メタ)アクリロイルアミノアルキル)ホスホニウムジシアンアミド、トリアルキル((メタ)アクリロイルアミノアルキル)ホスホニウムチオシアネート等のトリアルキル((メタ)アクリロイルアミノアルキル)ホスホニウムカチオン含有イオン性化合物等があげられる。なお、前記アルキル置換基としては、炭素数1~16のアルキル基であることが好ましく、特に好ましくは炭素数1~12、更に好ましくは炭素数1~6である。
上記一般式(A)で示されるイオン性化合物のうち、X+が第4級アンモニウム基であり、n1が1であり、n2が1であり、A1及びA2が水酸基である態様の具体例としては、ビス(2-ヒドロキシエチル)-メチル-オクチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ビス(2-ヒドロキシエチル)-メチル-デシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ビス(2-ヒドロキシエチル)-メチル-ドデシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ビス(2-ヒドロキシエチル)-メチル-テトラデシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ビス(2-ヒドロキシエチル)-メチル-ヘキサデシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ビス(2-ヒドロキシエチル)-メチル-オクタデシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ビス(2-ヒドロキシエチル)-メチル-(9-エン-オクタデシル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、エチル-ビス(2-ヒドロキシエチル)-オクチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、エチル-ビス(2-ヒドロキシエチル)-デシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、エチル-ビス(2-ヒドロキシエチル)-ドデシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、エチル-ビス(2-ヒドロキシエチル)-テトラデシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、エチル-ビス(2-ヒドロキシエチル)-ヘキサデシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、エチル-ビス(2-ヒドロキシエチル)-オクタデシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、オレイルビス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、オレイル-エチル-ビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等が挙げられる。
上記一般式(A)で示されるイオン性化合物のうち、X+がピリジニウム基であり、n1が1であり、n2が0であり、A1が水酸基である態様の具体例としては、N-ヒドロキシエチルピリジニウムビス(トリフルオロメタスルホニル)イミド等が挙げられる。
上記一般式(A)で示されるイオン性化合物のうち、X+がイミダゾリウム基であり、n1が1であり、n2が0であり、A1が水酸基である態様の具体例としては、1-(2-ヒドロキシエチル)-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等が挙げられる。
上記一般式(A)で示されるイオン性化合物のうち、X+がイミダゾリウム基、又は第4級アンモニウム基であり、n1が1であり、n2が0であり、A1及びA2がアミノ基である態様の具体例としては、1-アミノプロピル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-アミノプロピル-3-メチルイミダゾリウムジシアノアミド、1-アミノプロピル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-アミノヘキシル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-アミノヘキシル-3-メチルイミダゾリウムジシアノアミド、1-アミノヘキシル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、トリメチルアミノヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリメチルアミノヘキシルアンモニウムジシアノアミド、トリメチルアミノヘキシルアンモニウムテトラフルオロボレート等が挙げられる。
2種以上のポリマーのうちの少なくとも1種とイオン性化合物(A)の官能基(A)が共有結合を形成する反応は、当該共有結合を形成し得る限り、その形態は特に限定されない。例えば、官能基(A)がポリマーのモノマー単位として取り込まれる形態であってもよく、或いは、ポリマーが側鎖に有する官能基と反応して共有結合を形成する形態であってもよい。さらには、ポリマーとイオン性化合物(A)の官能基(A)が、後述の架橋剤を介して反応して、共有結合を形成する形態であってもよい。
例えば、イオン性化合物(A)の官能基(A)が、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、ビニル基、アリル基、スチリル基等の共重合性を有する官能基であり、ポリマーを構成するモノマー成分の混合物に含まれる場合は、該ポリマーを重合する過程でモノマー単位として取り込まれ、共有結合が形成される。
また、イオン性化合物(A)の官能基(A)が、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、ビニル基、アリル基、スチリル基等の共重合性を有する官能基であり、ポリマーを構成するモノマー成分の混合物の部分重合物に含まれる場合は、部分重合物の重合末端ラジカルとリビングラジカル重合して、共有結合が形成される。
また、イオン性化合物(A)の官能基(A)が、水酸基、アミノ基、メルカプト基等であり、ポリマーが、側鎖に、イソシアネート基、チオイソシアネート基、エポキシ基等の官能基(A)と反応し得る官能基を有する場合、或いは、官能基(A)が、エポキシ基等であり、ポリマーが、側鎖に、水酸基、アミノ基、メルカプト基等の官能基(A)と反応し得る官能基を有する場合は、官能基(A)と反応して、共有結合が形成される。
さらに、イオン性化合物(A)の官能基(A)が、水酸基、アミノ基、メルカプト基等であり、ポリマーが、側鎖に、水酸基、アミノ基、メルカプト基等を有する場合、後述の架橋剤を配合し、官能基(A)とポリマーの側鎖官能基が、架橋剤のイソシアネート基、チオイソシアネート基、エポキシ基等と反応して、架橋剤を介して共有結合を形成し得る。
本発明のイオン性化合物の含有量は、特に限定されないが、本発明の粘着剤層に十分な帯電防止性能を付与できる点から、2種以上のポリマー100重量部(総量)に対して、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上、さらに好ましくは0.1重量部以上、0.5重量部以上、1.0重量部以上、2.0重量部以上、3.0重量部以上、4.0重量部以上、又は5.0重量部以上含んでいてもよい。本発明のイオン性化合物の含有量は、特に限定されないが、本発明の粘着剤層に透明性、外観、接着信頼性等の耐久性を確保しやすくなる点から、2種以上のポリマー100重量部(総量)に対して、好ましくは50重量部以下、より好ましくは40重量部以下、さらに好ましくは30重量部以下、25重量部以下、20重量部以下、又は15重量部以下含んでいてもよい。
[1-10.導電性ポリマー(B)]
本発明の粘着剤組成物において、前記2種以上のポリマーのうちの少なくとも1種は、本発明のイオン性化合物と共有結合を形成している導電性ポリマー(B)を含むことが好ましい。本発明の粘着剤組成物が、本発明のイオン性化合物と共有結合を形成している導電性ポリマー(B)を含むという構成は、粘着剤層表面にイオン性化合物が析出することによる金属配線の腐食などの不良が生じにくく、また、湿熱環境下での表面抵抗値の上昇を抑制して、優れた帯電防止性を維持することができる点で、好ましい。さらに、粘着剤層とイオン性化合物の相溶性が低下して、特に湿熱環境下で白濁などの透明性や外観に不良が生じたり、発泡や剥がれなどの発生を防止できる点でも好ましい。
導電性ポリマー(B)は、本発明の粘着剤組成物に含まれる2種以上のポリマーのうちの少なくとも1種であって、本発明のイオン性化合物と共有結合を形成しているポリマーである。導電性ポリマー(B)を構成するポリマーとしては、粘着性ポリマー(A)と同様のポリマーを使用することができる。中でも、上記導電性ポリマー(B)は、透明性、耐候性、接着信頼性、及びモノマーの種類が豊富なことから溶剤型組成物、無溶剤型(活性エネルギー線硬化型)の機能設計が行いやすい等の点より、アクリル系ポリマーが好ましい。つまり、本発明の粘着剤組成物は、粘着性ポリマー(A)としてアクリル系ポリマーを含有し、さらに、導電性ポリマー(B)としてアクリル系ポリマーを含有するアクリル系粘着剤組成物であることが好ましい。なお、導電性ポリマー(B)は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
導電性ポリマー(B)を構成するアクリル系ポリマーとしては、上記のアクリル系ポリマー(A)と同様のものを使用することができる。
特に、導電性ポリマー(B)を構成するアクリル系ポリマーとしては、導電性を付与しやすくなるという観点から、必須のモノマー単位として、上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを含むポリマーであることが好ましい。
導電性ポリマー(B)を構成するアクリル系ポリマーの全モノマー単位における上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの含有量(割合)は、特に限定されないが、海島構造を効率的に形成できるという観点から、導電性ポリマー(B)を構成するアクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量部)に対して、50~99重量部が好ましく、より好ましくは70~98重量部、さらに好ましくは80~95重量部である。
導電性ポリマー(B)における本発明のイオン性化合物の含有量(割合)は、特に限定されないが、優れた帯電防止性を実現できるという観点から、導電性ポリマー(B)(100重量部)に対して、0.1~20重量部が好ましく、より好ましくは1~15重量部、さらに好ましくは2~10重量部である。
導電性ポリマー(B)は、本発明のイオン性化合物として、上記のイオン性化合物(A)を使用して、イオン性化合物(A)の官能基(A)と、2種以上のポリマーのうちの少なくとも1種のポリマーとを反応させて、共有結合を形成することにより作製することができる。後述の海島構造を効率的に形成できる観点から、イオン性化合物(A)の官能基(A)が、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、ビニル基、アリル基、スチリル基等の共重合性を有する官能基であり、導電性ポリマー(B)を構成するアクリル系ポリマーのモノマー成分の混合物またはその部分重合物に含まれ、該アクリル系ポリマーを重合する過程でモノマー単位として取り込まれ、共有結合が形成されることが好ましい。
本発明の粘着剤組成物における導電性ポリマー(B)の含有量は、特に限定されないが、10~99重量%であることが好ましく、より好ましくは30~97重量%、さらに好ましくは50~95重量%である。導電性ポリマー(B)の含有量が10重量%以上であるという構成は、本発明の粘着剤組成物が、連続相と、非連続相とに相分離した海島構造を形成し、且つ、連続相(海部)が、本発明のイオン性化合物を含み、優れた帯電防止性を実現するという形態を構成できる点で、好適である。また、導電性ポリマー(B)の含有量が99重量%以下であるという構成は、本発明の粘着剤層に優れた粘着性を付与できるという点で好適である。
本発明の粘着剤組成物において、前記粘着性ポリマー(A)に対する前記導電性ポリマー(B)の重量割合(導電性ポリマー(B)/粘着性ポリマー(A))が、10/90~99/1であることが好ましい。前記重量割合が10/90以上であるという構成は、本発明の粘着剤組成物が、連続相と、非連続相とに相分離した海島構造を形成し、且つ、連続相(海部)が、本発明のイオン性化合物を含み、優れた帯電防止性を実現できる点で好ましく、より好ましくは12/88以上、さらに好ましくは15/85以上、特に好ましくは20/80以上である。また、前記重量割合が99/1以下であるという構成は、本発明の粘着剤層に、優れた粘着性を付与できるという点で好適であり、より好ましくは97/3以下、さらに好ましくは95/5以下、特に好ましくは93/7以下である。
[1-11.本発明のイオン性化合物以外の帯電防止剤]
本発明の粘着剤組成物には、必要に応じて、本発明のイオン性化合物以外の帯電防止剤(本明細書において、「その他の帯電防止剤」と称する場合がある)を含んでいてもよい。
その他の帯電防止剤としては、例えば、イオン性界面活性剤、導電性ポリマー、導電性微粒子等の帯電防止性を付与できる材料が挙げられる。
イオン性界面活性剤としては、カチオン系(例えば、4級アンモニウム塩型、ホスホニウム塩型、スルホニウム塩型等)、アニオン系(カルボン酸型、スルホネート型、サルフェート型、ホスフェート型、ホスファイト型等)、両性イオン系(スルホベタイン型、アルキルベタイン型、アルキルイミダゾリウムベタイン型等)またはノニオン系(多価アルコール誘導体、β-シクロデキストリン包接化合物、ソルビタン脂肪酸モノエステル・ジエステル、ポリアルキレンオキシド誘導体、アミンオキシド等)の各種界面活性剤が挙げられる。
導電性ポリマーとしては、ポリアニリン系、ポリチオフェン系、ポリピロール系、ポリキノキサリン系等のポリマーがあげられるが、これらのなかでも、ポリアニリン、ポリチオフェン等が好ましく使用される。特にポリチオフェンが好ましい。
導電性微粒子としては、酸化スズ系、酸化アンチモン系、酸化インジウム系、酸化亜鉛系等の金属酸化物があげられる。これらのなかでも酸化スズ系が好ましい。酸化スズ系のものとしては、たとえば、酸化スズの他、アンチモンドープ酸化スズ、インジウムドープ酸化スズ、アルミニウムドープ酸化スズ、タングステンドープ酸化スズ、酸化チタン-酸化セリウム-酸化スズの複合体、酸化チタン-酸化スズの複合体等があげられる。微粒子の平均粒径は1~100nm程度、好ましくは2~50nmである。
さらに前記以外の帯電防止剤として、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、天然グラファイト、人造グラファイト、チタンブラックや、カチオン型(4級アンモニウム塩等)、両性イオン型(ベタイン化合物等)、アニオン型(スルホン酸塩等)またはノニオン型(グリセリン等)のイオン導電性基を有する単量体の単独重合体若しくは前記単量体と他の単量体との共重合体、4級アンモニウム塩基を有するアクリレートまたはメタクリレート由来の部位を有する重合体等のイオン導電性を有する重合体;ポリエチレンメタクリレート共重合体等の親水性ポリマーをアクリル系樹脂等にアロイ化させたタイプの永久帯電防止剤を例示できる。
本発明の粘着剤組成物がその他の帯電防止剤を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、本発明の粘着剤層の透明性、外観、接信頼性等の耐久性を確保する観点から、2種以上のポリマー100重量部(総量)に対して、1重量部以下が好ましく、より好ましくは0.5重量部以下、0.4重量部以下、0.3重量部以下、又は0.2重量部以下であってもよい。本発明の粘着剤組成物がその他の帯電防止剤を含有する場合、含有量の下限値は、特に限定されないが、2種以上のポリマー100重量部(総量)に対して、0.01重量部以上、又は0.05重量部以上であってもよい。
[1-12.添加剤]
本発明の粘着剤組成物には、必要に応じて、架橋剤、架橋促進剤、シランカップリング剤、粘着付与樹脂(ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール等)、老化防止剤、充填剤、着色剤(顔料や染料等)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、防錆剤等の公知の添加剤が、本発明の特性を損なわない範囲で含まれていてもよい。なお、このような添加剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
本発明の粘着剤組成物に架橋剤が含まれていると、ベースポリマーを架橋してゲル分率を大きくし、耐発泡剥がれ性を向上させやすくなる。また、後述の海島構造を効率的に形成しやくなる。例えば、アクリル系ポリマー(特に、アクリル系ポリマー(A))を架橋して、ゲル分率のコントロールを容易に大きくすることができるので、耐発泡剥がれ性を向上させやすくなる。また、2種以上のポリマーのうちの少なくとも1種とイオン性化合物(A)が、架橋剤を介して共有結合を形成し得る。
上記架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤の他、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤等が挙げられる。なかでも、本発明の粘着剤組成物がベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含有する粘着剤層である場合、耐発泡剥がれ性向上の点で、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤が好ましく、より好ましくはイソシアネート系架橋剤である。なお、架橋剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
上記イソシアネート系架橋剤(多官能イソシアネート化合物)としては、例えば、1,2-エチレンジイソシアネート、1,4-ブチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート等の低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート類;2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート類等が挙げられる。また、上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」]、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHL」]、トリメチロールプロパン/キシリレンジイソシアネート付加物[三井化学(株)製、商品名「タケネートD-110N」]等の市販品も挙げられる。
上記エポキシ系架橋剤(多官能エポキシ化合物)としては、例えば、N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o-フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール-S-ジグリシジルエーテルの他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂等が挙げられる。また、上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、三菱ガス化学(株)製、商品名「テトラッドC」等の市販品も挙げられる。
本発明の粘着剤組成物における架橋剤の含有量としては、特に限定されないが、例えば、2種以上のポリマー100重量部(総量)に対して、0.001~10重量部が好ましく、より好ましくは0.01~5重量部である。架橋剤の含有量が0.001重量部以上であると、耐発泡剥がれ性が向上しやすくなり、好ましい。一方、架橋剤の含有量が10重量部以下であると、粘着剤層が適度な柔軟性を有し、粘着力が向上しやすくなるので、好ましい。
本発明の粘着剤組成物に、シランカップリング剤が含まれていると、ガラスに対する優れた接着性(特に、高温高湿でのガラスに対する優れた接着信頼性)が得やすくなり好ましい。上記シランカップリング剤としては、特に限定されないが、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。なかでも、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。さらに、上記シランカップリング剤としては、例えば、商品名「KBM-403」(信越化学工業(株)製)等の市販品も挙げられる。なお、シランカップリング剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
本発明の粘着剤組成物における上記シランカップリング剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、本発明の粘着剤組成物がベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含有する粘着剤層である場合、ガラスに対する接着信頼性向上の点から、2種以上のポリマー100重量部(総量)に対して、0.01~1重量部が好ましく、より好ましくは0.03~0.5重量部である。
本発明の粘着剤組成物に、着色剤(顔料や染料等)が含まれていると、金属配線やITOなどの金属酸化物などによる反射を防止し、RGBの混色防止やコントラスト向上にも貢献し得る点で、好ましい。
前記着色剤は、本発明の粘着剤組成物に溶解または分散可能なものであれば、染料でも顔料でもよい。少量の添加でも低いヘイズが達成でき、顔料のように沈降性がなく均一に分布させやすいことから、染料が好ましい。また、少量の添加でも色発現性が高いことから、顔料も好ましい。着色剤として顔料を使用する場合は、導電性が低いか、ないものが好ましい。また、染料を使用する場合は、酸化防止剤などと併用することが好ましい。
顔料としては、トクシキ製の「9050BLACK」、「UVBK-0001」、カーボンブラック、チタンブラック等が挙げられる。染料としては、オリヱント化学工業製の「VALIFAST BLACK 3810」、「NUBIAN Black PA-2802」等が挙げられる。
本発明の粘着剤組成物における着色剤の含有量は、例えば、2種以上のポリマー100重量部(総量)に対して、0.01~20重量部程度であり、着色剤の種類や、粘着剤層の色調および光透過率等に応じて適宜設定すればよい。着色剤は、適宜の溶媒に溶解または分散させた溶液または分散液として、組成物に添加してもよい。
[1-13.海島構造]
本発明の粘着剤組成物は、連続相と、非連続相とに相分離した海島構造を有し、前記連続相(海部)は、本発明のイオン性化合物を含む。本発明の粘着剤組成物の前記海島構造において、連続相(海部)が、本発明のイオン性化合物を含むという構成は、本発明のイオン性化合物が前記連続相において、導電性を付与するためのパスを効率的に形成し、本発明の粘着剤層が、低い表面抵抗率を示し、優れた帯電防止性能を有する点で、好ましい。
上記「海島構造」とは、2種以上のポリマーのうちの少なくとも1種のポリマーからなる非連続相(島部)が、別の1種のポリマーからなる連続相(海部)に分散した構造を表す。上記海島構造は、凍結したサンプルから作製された薄切片を、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察することにより確認することができる。本明細書において、本発明の粘着剤組成物が、連続相と、非連続相とに相分離した海島構造を有し、前記連続相(海部)は、本発明のイオン性化合物を含む形態を、「本発明の海島構造」と称する場合がある。
本発明の粘着剤組成物において、前記非連続相(島部)は、前記粘着性ポリマー(A)を含むことが好ましい。前記非連続相(島部)が、前記粘着性ポリマー(A)を含むという構成は、優れた帯電防止性能を損なうことなく、本発明の粘着剤層に、優れた粘着性を付与できる点で、好ましい。
前記非連続相(島部)が、前記粘着性ポリマー(A)を含むという構成は、本発明の粘着剤組成物における粘着性ポリマー(A)の含有量、粘着性ポリマー(A)と導電性ポリマー(B)の割合、後掲の海島構造の形成方法などにより、実現することができる。
本発明の海島構造において、前記非連続相(島部)は、本発明のイオン性化合物を含んでいてもよい。前記非連続相(島部)が、本発明のイオン性化合物を含むという構成は、本発明の粘着剤層が、さらに低い表面抵抗率を示し、優れた帯電防止性能を有する点で、好ましい。
前記非連続相(島部)が、本発明のイオン性化合物を含むという構成は、特に限定されないが、例えば、本発明のイオン性化合物として、前記イオン性化合物(A)を使用し、イオン性化合物(A)の官能基(A)と、非連続相(島部)を構成するポリマーとを反応させて、共有結合を形成することなどによって、実現することができる。
本発明の海島構造を形成する方法としては、前記粘着性ポリマー(A)と、前記導電性ポリマー(B)とのブロックコポリマーを形成する方法、導電性ポリマーに粘着性モノマーと光重合開始剤を添加してUV硬化して相分離構造を形成する方法などが挙げられる。このうち、非連続相(島部)の平均直径がnmオーダーのミクロ相分離した海島構造を実現できることから、前記粘着性ポリマー(A)と、前記導電性ポリマー(B)とのブロックコポリマーを形成する方法が好ましい。本明細書において、粘着性ポリマー(A)と、導電性ポリマー(B)とから形成されるブロックコポリマーを、「本発明のブロックコポリマー」と称する場合がある。
[1-14.本発明のブロックコポリマー]
以下に、本発明のブロックコポリマーについて説明するが本発明は、これに限定されるものではない。
本発明のブロックコポリマーは、粘着性ポリマー(A)と、導電性ポリマー(B)とから形成されるものであり、すなわち、粘着性ポリマー(A)からなるセグメントと、導電性ポリマー(B)からなるセグメントを有するものである。本明細書において、粘着性ポリマー(A)からなるセグメントを「粘着性セグメント(A)」、導電性ポリマー(B)からなるセグメントを「導電性セグメント(B)」と称する場合がある。なお、粘着性セグメント(A)及び導電性セグメント(B)における「セグメント」とは、本発明のブロックコポリマーの各ブロック単位を構成する部分構造をいう。
前記海島構造は、本発明の粘着剤組成物に含まれるブロックコポリマーにおいて、着性セグメント(A)同士が疑似架橋により集まり、また、導電性セグメント(B)同士が疑似架橋により集まり、それぞれが相を形成して分離することにより形成されると考えられる。粘着性セグメント(A)に由来する相と、導電性セグメント(B)に由来する相のどちらが連続相(海部)又は非連続相(島部)を形成するかは、特に限定されないが、ブロックコポリマーの種類、モノマー組成や量、粘着性セグメント(A)、導電性セグメント(B)の各セグメントの種類、モノマー組成や量、架橋剤の種類や量などにより、調整することができる。
本発明のブロックコポリマーの構造は、線状ブロックコポリマー、分岐状(星状)ブロックコポリマー、またはこれらの混合物であってもよい。このようなブロックコポリマーの構造は、求められるブロックコポリマーの物性に応じて適宜選択すればよいが、コスト面、製造容易性の観点から、線状ブロックコポリマーであることが好ましい。また、線状ブロックコポリマーは、いずれの構造(配列)であっても良く、(A-B)n型、(A-B)n-A型(nは1以上の整数、例えば1~3の整数)からなる群より選択される少なくとも1種の構造を持つブロックコポリマーであることが好ましい。これらの構造においてA及びBは、異なるモノマー組成から構成されるセグメントを意味する。本明細書において、前記線状ブロックコポリマーを構成するAで表されるセグメントを「Aセグメント」、Bで表されるセグメントを「Bセグメント」と称する場合がある。
これらの中でも、製造容易性等の観点から、A-Bで表されるAB型ジブロックコポリマー、A-B-Aで表されるABA型トリブロックコポリマーが好ましく、より好ましくはABA型トリブロックコポリマーである。ABA型トリブロックコポリマーは、両端のAセグメント同士の擬似架橋により、AセグメントとBセグメントがnmスケールでミクロ相分離した海島構造を発現することができるものと考えられる。なお、ABA型トリブロックコポリマーにおいて、両端に位置する2つのAセグメントは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
本発明のブロックコポリマーがABA型トリブロックコポリマーである場合、2つのAセグメント及び1つのBセグメント(合計3つ)において、少なくとも1つが粘着性セグメント(A)であり、少なくとも他の1つが導電性セグメント(B)であれば良い。製造の容易性等の観点から、Aセグメントが前記粘着性セグメント(A)であり、Bセグメントが前記導電性セグメント(B)であるABA型トリブロックコポリマーが好ましい。その場合において、2つのAセグメントのうち少なくとも1つが粘着性セグメント(A)であり、Bセグメントが導電性セグメント(B)であるABA型トリブロックコポリマーが好ましく、2つのAセグメントの両方が粘着性セグメント(A)であり、Bセグメントが導電性セグメント(B)であるABA型トリブロックコポリマーがより好ましい。
本発明のブロックコポリマーは、モノマー成分を重合して得られる複数のセグメント(粘着性セグメント(A)及び導電性セグメント(B)を含む)により構成されものである。
前記粘着性セグメント(A)を構成するモノマー単位としては、前記粘着性ポリマー(A)を構成するアクリル系ポリマー(A)のモノマー単位と同様のものを使用することができる。
前記導電性セグメント(B)を構成するモノマー単位としては、前記導電性ポリマー(B)を構成するアクリル系ポリマーのモノマー単位と同様のものを使用することができ、さらに、本発明のイオン性化合物として、イオン性化合物(A)を使用することができる。本発明のブロックコポリマーの製造が容易なことから、イオン性化合物(A)の官能基(A)が、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、ビニル基、アリル基、スチリル基等の共重合性を有する官能基であり、導電性セグメント(B)を重合する過程でモノマー単位として取り込まれ、共有結合が形成されることが好ましい。
本発明のブロックコポリマーの製造で使用されるイオン性化合物(A)としては、上記式(A)において、X+が第4級アンモニウム基であり、n1が1であり、n2が0であり、A1がビニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、又は(メタ)アクリロイルアミノ基であるイオン性化合物が好ましく、N,N,N-トリアルキル-N-(メタ)アクリロイルオキシアルキルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドがより好ましく、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメチルベンジルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミドなどがさらに好ましい。
本発明のブロックコポリマーは、上述のモノマー成分のリビングラジカル重合法によって製造することができる。リビングラジカル重合法は、従来のラジカル重合法の簡便性と汎用性を保ちながら、停止反応や、連鎖移動が起こりにくく、成長末端が失活することなく成長するため、分子量分布の精密制御、均一な組成のポリマーの製造が容易である点で好ましい。
リビングラジカル重合法においては、粘着性セグメント(A)を先に製造し、粘着性セグメント(A)に導電性セグメント(B)のモノマーを重合してもよく;導電性セグメント(B)を先に製造し、導電性セグメント(B)に粘着性セグメント(A)のモノマーを重合してもよい。
本発明のブロックコポリマーがABA型トリブロックコポリマーである場合は、製造容易性に観点から、Aセグメントを先に製造し、AセグメントにBセグメントのモノマーを重合することが好ましい。
前記リビングラジカル重合法は、公知の方法を特に限定されなく使用することができ、重合成長末端を安定化させる手法の違いにより、遷移金属触媒を用いる方法(ATRP法);硫黄系の可逆的付加開裂連鎖移動剤(RAFT剤)を用いる方法(RAFT法);有機テルル化合物を用いる方法(TERP法)等の方法がある。これらの方法のなかでも、使用できるモノマーの多様性、分子量制御のしやすさ、金属が粘着剤組成物に残留しないなどの観点から、RAFT法を用いることが好ましい。
前記RAFT法は、公知の方法を特に限定されなく使用することができ、例えば、例えば、RAFT剤を用いて、モノマー成分を重合して第1のセグメントを調製する工程1(第1のRAFT重合)と、工程1で得られた第1のセグメントに、工程1でのモノマー組成とは異なるモノマー成分をさらに添加・重合して、第2のセグメントを第1のセグメントに付加する工程2(第2のRAFT重合)とを有する。第2のRAFT重合の後に、さらに第3、4・・・のRAFT重合を第2のRAFT重合と同様に行い、第3、4・・・のセグメントをさらに付加してもよい。
前記工程1、工程2は、公知慣用の方法により行うことができ、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法、熱や活性エネルギー線照射による重合方法(熱重合方法、活性エネルギー線重合方法)などが挙げられる。中でも、透明性、耐水性、コストなどの点で、溶液重合方法が好ましい。なお、重合は、酸素による重合阻害を抑制する点より、酸素との接触を避けて行われることが好ましい。例えば窒素雰囲気下で重合を行うことが好ましい。
本発明のブロックコポリマーがABA型トリブロックコポリマーである場合は、前記工程1でAセグメントを調製し、得られたAセグメントに前記工程2でBセグメントを付加して調製することが好ましい。この場合、Aセグメントとしては粘着性セグメント(A)、Bセグメントとしては導電性セグメント(B)であることが好ましい。
前記RAFT剤としては、公知のものを特に限定なく使用することができ、例えば、下記式(a)、式(b)、又は式(c)で表される化合物(トリチオカーボネート、ジチオエステル、ジチオカーボネート)が好ましい。
Figure 2023136272000008
Figure 2023136272000009
Figure 2023136272000010
式(a)、式(b)、又は式(c)[式(a)~(c)]中、R1a及びR1bは、同一又は異なって、水素原子、炭化水素基、又はシアノ基を示す。R1cは、シアノ基を有していてもよい炭化水素基を示す。上記R1a、R1b、及びR1cとしての炭化水素基としては、例えば、炭素数1~20の炭化水素基(直鎖、分岐鎖、若しくは環状の飽和又は不飽和の炭化水素基等)が挙げられ、中でも、炭素数1~12の炭化水素基が好ましい。上記炭化水素基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、シクロヘキシル基、ドデシル基、オクタデシル基等の炭素数1~18(好ましくは炭素数1~12)の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基;フェニル基等の炭素数6~12のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の総炭素数7~10のアリールアルキル基等が挙げられる。上記R1cとしてのシアノ基を有する炭化水素基としては、例えば、上述の炭化水素基が有する水素原子の1~3個がシアノ基で置換された基等が挙げられる。
式(a)~(c)中、R2は、炭化水素基、又は、その炭化水素基が有する水素原子の一部がカルボキシル基で置換された基(例えば、カルボキシアルキル基)を示す。上記炭化水素基としては、例えば、炭素数1~20の炭化水素基(直鎖、分岐鎖、若しくは環状の飽和又は不飽和の炭化水素基等)が挙げられ、中でも、炭素数1~12の炭化水素基が好ましい。炭化水素基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、シクロヘキシル基、ドデシル基、オクタデシル基等の炭素数1~18(好ましくは炭素数1~12)の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基;ベンジル基、フェネチル基等の総炭素数7~10のアリールアルキル基等が挙げられる。
RAFT法では、式(a)~(c)に示すRAFT剤中の硫黄原子と当該硫黄原子に隣接するメチレン基との間に、原料モノマーが挿入するように反応して、重合が進行する。
前記RAFT剤の多くは、商業的に入手可能である。商業的に入手できないものは、公知乃至慣用の方法により容易に合成することができる。なお、本発明においてRAFT剤は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
RAFT剤としては、ジベンジルトリチオカーボネート、S-シアノメチル-S-ドデシルトリチオカーボネート等のトリチオカーボネート類;ジチオプロピオン酸シアノエチル、ジチオプロピオン酸ベンジル、ジチオ安息香酸ベンジル、ジチオ安息香酸アセトキシエチル等のジチオエステル類;O-エチル-S-(1-フェニルエチル)ジチオカーボネート、O-エチル-S-(2-プロポキシエチル)ジチオカーボネート、O-エチル-S-(1-シアノ-1-メチルエチル)ジチオカーボネート等のジチオカーボネート類等が挙げられ、このうち、トリチオカーボネート類が好ましく、式(1)において左右対称構造を有するトリチオカーボネート類がより好ましく、特にジベンジルトリチオカーボネート、ビス{4-[エチル-(2-アセチロキシエチル)カルバモイル]ベンジル}トリチオカーボネートが好ましい。
前記工程1は、RAFT剤の存在下、モノマー成分を重合することにより行うことができる。工程1においてRAFT剤の使用量は、モノマー成分の総量100重量部に対して、通常は0.05~20重量部、好ましくは0.05~10重量部である。このような使用量であれば、反応制御が容易であり、また得られるセグメントの重量平均分子量を制御することが容易である。
前記工程2は、前記工程1で得られた重合反応混合物に、モノマー成分を添加してさらに重合することにより行うことができる。
RAFT法は、重合開始剤の存在下に行うことが好ましい。重合開始剤としては、例えば、通常の有機系重合開始剤が挙げられ、具体的には、過酸化物、アゾ化合物が挙げられ、これらの中でも、アゾ化合物が好ましい。重合開始剤は1種単独で又は2種以上を用いることができる。
過酸化物系重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイルおよびtert-ブチルペルマレエートが挙げられる。
アゾ化合物としては、例えば、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1'-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2-フェニルアゾ-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル、2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2'-アゾビス(N,N'-ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2'-アゾビス(イソブチルアミド)ジヒドレート、4,4'-アゾビス(4-シアノペンタン酸)、2,2'-アゾビス(2-シアノプロパノール)、ジメチル-2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2'-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]が挙げられる。
重合開始剤の使用量は、モノマー成分の総量100重量部に対して、通常は0.001~2重量部、好ましくは0.002~1重量部である。このような使用量であれば、得られるセグメントの重量平均分子量を制御することが容易である。
RAFT法は、重合溶媒を使用しない塊状重合であってもよいが、重合溶媒を使用することが好ましい。重合溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の脂環式炭化水素;クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、フェニルエチルエーテル、ジフェニルエーテル等のエーテル;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセタミド、N-メチルピロリドン等のアミド;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシドが挙げられる。重合溶媒は1種単独で又は2種以上を用いることができる。
重合溶媒の使用量としては、特に限定されず、例えば、モノマー成分1gに対して、0.01mL以上が好ましく、より好ましくは0.05mL以上、さらに好ましくは0.1mL以上であり、50mL以下が好ましく、より好ましくは10mL以下、さらに好ましくは1mL以下である。
RAFT法での反応温度は、通常は60~120℃、好ましくは70~110℃であり、通常は窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行われる。この反応は常圧、加圧および減圧のいずれの条件でも行うことができ、通常は常圧で行われる。また、反応時間は通常は1~20時間、好ましくは2~14時間である。
上述のRAFT法の重合反応条件は、それぞれ工程1および工程2に適用されうる。
重合反応の終了後、得られた反応混合物から、通常の分離精製手段により使用溶媒、残存モノマーの除去等を行い、目的とする本発明のブロックコポリマーを分離することができる。
本発明のブロックコポリマーの粘着性セグメント(A)又は導電性セグメント(B)を前記工程1で調製する場合、粘着性セグメント(A)又は低導電性セグメント(B)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、好ましくは10,000~1,000,000であり、より好ましくは50,000~500,000、さらに好ましくは100,000~300,000である。粘着性セグメント(A)又は導電性セグメント(B)のMwがこの範囲内にあることは、上述の本発明の効果に好適である。
前記のMwは、本発明のブロックコポリマーに粘着性セグメント(A)又は導電性セグメント(B)が二つ以上存在する場合、その和のMwである。
本発明のブロックコポリマーの重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、好ましくは20万(200,000)以上であり、より好ましくは300,000~5,000,000、さらに好ましくは400,000~2,500,000である。本発明のブロックコポリマーのMwがこの範囲内にあることは、上述の本発明の効果に好適である。
本発明のブロックコポリマーの分子量分布(Mw/Mn)は、特に限定されないが、好ましくは1より大きく、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは2以上であり、特に好ましくは2.5以上であり、好ましくは5以下、より好ましくは4.5以下、さらに好ましくは4以下、特に好ましくは3.5以下である。
なお、上記重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)は、GPC法により測定されるものである。
本発明のブロックコポリマー中の粘着性セグメント(A)の含有率は、特に限定されないが、1~50重量%であることが好ましく、より好ましくは3~45重量%、さらに好ましくは5~40重量%である。粘着性セグメント(A)の含有量が1重量%以上であるという構成は、本発明の粘着剤層に優れた粘着性を付与できるという点で好適である。また、粘着性セグメント(A)の含有量が50重量%以下であるという構成は、本発明の粘着剤組成物が、連続相と、非連続相とに相分離した海島構造を形成し、且つ、連続相(海部)が、本発明のイオン性化合物を含むという形態を構成できる点で、好適である。
本発明のブロックコポリマー中の導電性セグメント(B)の含有率は、特に限定されないが、50~99重量%であることが好ましく、より好ましくは55~97重量%、さらに好ましくは60~95重量%である。導電性セグメント(B)の含有量が1重量%以上であるという構成は、本発明の粘着剤組成物が、連続相と、非連続相とに相分離した海島構造を形成し、且つ、連続相(海部)が、本発明のイオン性化合物を含み、優れた帯電防止性を実現するという形態を構成できる点で、好適である。また、導電性セグメント(B)の含有量が99重量%以下であるという構成は、本発明の粘着剤層に優れた粘着性を付与できるという点で好適である。
本発明のブロックコポリマーにおいて、前記粘着性セグメント(A)に対する前記導電性セグメント(B)の重量割合(導電性セグメント(B)/粘着性セグメント(A))が、50/50~99/1であることが好ましい。前記重量割合が50/50以上であるという構成は、本発明の粘着剤組成物が、連続相と、非連続相とに相分離した海島構造を形成し、且つ、連続相(海部)が、本発明のイオン性化合物を含み、優れた帯電防止性を実現できる点で好ましく、より好ましくは55/45以上、さらに好ましくは60/40以上、特に好ましくは65/35以上である。また、前記重量割合が99/1以下であるという構成は、本発明の粘着剤層に、優れた粘着性を付与できるという点で好適であり、より好ましくは97/3以下、さらに好ましくは95/5以下、特に好ましくは93/7以下である。
前記各セグメントの含有率及びそれらの比率は、前記RAFT法の各工程で使用するモノマー成分の使用量から算出でき、各セグメントを形成する際のモノマーの仕込み比および各モノマーの重合率等で制御することができる。
本発明の粘着剤組成物における本発明のブロックコポリマーの含有量は、特に限定されないが、75重量%以上(例えば75~100重量%)であることが好ましく、より好ましくは85重量%以上(例えば85~99.99重量%)である。
[2.粘着剤層]
本発明の粘着剤層は、本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層である。本発明の粘着剤層は、優れた帯電防止性能を有している。このため、本発明の粘着剤層を介して画像表示装置と光学部材を貼り合わせる際に、静電気による表示不良を抑制することができる。このように、本発明の粘着剤層は、画像表示装置の製造に好適に用いられる。
本発明の粘着剤層(本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層)の表面抵抗率(JIS K 6271に準じる)は、優れた帯電防止性能の観点から、好ましくは1.0×1011Ω/□以下であり、より好ましくは0.5×1011Ω/□以下であり、さらに好ましくは1.0×1010Ω/□以下であり、0.5×1010Ω/□以下である。本発明の粘着剤層の表面抵抗率の下限値は、特に限定されないが、1.0×105Ω/□以上、又は0.5×105Ω/□以上であってもよい。
本発明の粘着剤層の表面抵抗率は、後掲の実施例に記載の方法により、測定できる。本発明の粘着剤層の表面抵抗率は、粘着性ポリマー(A)、粘着性セグメント(A)の種類、モノマー組成や量、本発明のイオン性化合物の種類や量、導電性ポリマー(B)、導電性セグメント(B)の種類、モノマー組成や量、架橋剤の種類や量、粘着性ポリマー(A)と導電性ポリマー(B)の割合、粘着性セグメント(A)と導電性セグメント(B)の割合、上述の海島構造の形成方法などにより、調整することができる。
本発明の粘着剤層(本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層)は、透明であり、又は、透明性を有している。このため、本発明の粘着剤層を介しての視認性や外観性に優れる。このように、本発明の粘着剤層は、光学用に好適に用いられる。
本発明の粘着剤層(本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層)のヘイズは、(JIS K7136に準じる)は、特に限定されないが、3%以下が好ましく、より好ましくは1%以下、0.7%以下、又は0.6%以下であってもよい。ヘイズが3%以下であると、優れた透明性や優れた外観が得られ、好ましい。なお、上記ヘイズは、例えば、粘着剤層(厚み:100μm)とし、これを常態(23℃、50%RH)に少なくとも24時間静置した後、スライドガラス(例えば、全光線透過率92%、ヘイズ0.2%のもの)に貼り合わせたものを試料とし、ヘイズメーター(株式会社村上色彩技術研究所製、商品名「HM-150N」)を用いて測定することができる。
本発明の粘着剤層の可視光波長領域における全光線透過率(JIS K7361-1に準じる)は、特に限定されないが、90%以上が好ましく、より好ましくは91%以上、又は92%以上であってもよい。全光線透過率が90%以上であると、優れた透明性や優れた外観が得られ、好ましい。なお、上記全光線透過率は、例えば、粘着剤層(厚み:100μm)とし、これを常態(23℃、50%RH)に少なくとも24時間静置した後、はく離ライナーを有する場合にはこれを剥離し、スライドガラス(例えば、全光線透過率92%、ヘイズ0.2%のもの)に貼り合わせたものを試料とし、ヘイズメーター(株式会社村上色彩技術研究所製、商品名「HM-150N」)を用いて測定することができる。
本発明の粘着剤層の全光線透過率及びヘイズは、後掲の実施例に記載の方法により、測定できる。本発明の粘着剤層の全光線透過率及びヘイズは、粘着性ポリマー(A)、粘着性セグメント(A)の種類、モノマー組成や量、本発明のイオン性化合物の種類や量、導電性ポリマー(B)、導電性セグメント(B)の種類、モノマー組成や量、架橋剤の種類や量、粘着性ポリマー(A)と導電性ポリマー(B)の割合、粘着性セグメント(A)と導電性セグメント(B)の割合、上述の海島構造の形成方法などを調整することによって、調整することができる。
本発明の粘着剤層のゲル分率(溶剤不溶成分の割合)は、特に限定されないが、40~95%が好ましく、より好ましくは50~92%、さらに好ましくは55~90%である。ゲル分率が40%以上であると、上記粘着剤層の凝集力が向上し、高温環境下での被着体との界面での発泡や剥がれ、取り扱いでの打痕や、加工時の端部の汚染が抑制され、優れた耐発泡剥がれ性が得やすくなり好ましい。なお、ゲル分率が95%以下であると、適度な柔軟性が得られ、より接着性、段差追従性が向上し、好ましい。
上記ゲル分率(溶剤不溶成分の割合)は、具体的には、例えば、以下の「ゲル分率の測定方法」により算出される値である。
粘着シートから粘着剤層:約0.1gを採取し、平均孔径0.2μmの多孔質テトラフルオロエチレンシート(商品名「NTF1122」、日東電工株式会社製)に包んだ後、凧糸で縛り、その際の重量を測定し、該重量を浸漬前重量とする。なお、該浸漬前重量は、粘着剤層(上記で採取した粘着剤層)と、テトラフルオロエチレンシートと、凧糸との総重量である。また、テトラフルオロエチレンシートと凧糸との合計重量も測定しておき、該重量を包袋重量とする。
次に、粘着剤層をテトラフルオロエチレンシートで包み凧糸で縛ったもの(「サンプル」と称する)を、酢酸エチルで満たした50ml容器に入れ、23℃にて7日間静置する。その後、容器からサンプル(酢酸エチル処理後)を取り出して、アルミニウム製カップに移し、130℃で2時間、乾燥機中で乾燥して酢酸エチルを除去した後、重量を測定し、該重量を浸漬後重量とする。
そして、下記の式からゲル分率を算出する。
ゲル分率[%(重量%)]=(X-Y)/(Z-Y)×100
なお、上記ゲル分率は、例えば、粘着性ポリマー(A)、粘着性セグメント(A)の種類、モノマー組成や量、本発明のイオン性化合物の種類や量、導電性ポリマー(B)、導電性セグメント(B)の種類、モノマー組成や量、架橋剤の種類や量、粘着性ポリマー(A)と導電性ポリマー(B)の割合、粘着性セグメント(A)と導電性セグメント(B)の割合、上述の海島構造の形成方法などにより、調整することができる。
本発明の粘着剤層の25℃、1Hzでの貯蔵弾性率は、特に限定されないが、3×104Pa以上であることが好ましい。本発明の粘着剤層の25℃、1Hzでの貯蔵弾性率が3×104Pa以上であるという構成は、取り扱いでの打痕が生じにくい点で好ましい。本発明の粘着剤層の打痕を抑制できる点で、本発明の粘着剤層の25℃、1Hzでの貯蔵弾性率は5×104Pa以上がより好ましく、1×105Pa以上であってもよい。本発明の粘着剤層の25℃、1Hzでの貯蔵弾性率の上限値は特に限定されないが、本発明の粘着剤層の段差追従性の観点から、5×106Pa以下が好ましく、1×106Pa以下であってもよい。
本発明の粘着シートの上記25℃、1Hzでの貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定により測定できる。本発明の粘着シートの上記25℃、1Hzでの貯蔵弾性率は、粘着性ポリマー(A)、粘着性セグメント(A)の種類、モノマー組成や量、本発明のイオン性化合物の種類や量、導電性ポリマー(B)、導電性セグメント(B)の種類、モノマー組成や量、架橋剤の種類や量、粘着性ポリマー(A)と導電性ポリマー(B)の割合、粘着性セグメント(A)と導電性セグメント(B)の割合、上述の海島構造の形成方法などにより、調整することができる。
本発明の粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、5~250μmが好ましく、より好ましくは7~240μm、10~230μm、12~220μm、15~210μm、20~200μm、23~175μm、又は25~150μmであってもよい。厚みが一定以上であると段差追従性や接着信頼性が向上し、好ましい。また、厚みが一定以下であると、取扱い性や製造性に特に優れ、好ましい。
本発明の粘着剤層の作製方法としては、特に限定されない。例えば、本発明の粘着剤組成物(前駆体組成物)を作製し、必要に応じて、活性エネルギー線の照射、加熱乾燥等を行うことにより作製できる。具体的には、粘着性ポリマー(A)と、導電性ポリマー(B)、導電性ポリマー(B)を構成するモノマー成分の混合物又はその部分重合物、又は本発明のブロックコポリマーに、必要に応じて、添加剤等を添加して、混合することを経て、作製されることなどが挙げられる。
本発明の粘着剤層の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、上記粘着剤組成物を基材又ははく離ライナー上に塗布(塗工)し、必要に応じて、乾燥、硬化、又は乾燥及び硬化させることが挙げられる。
なお、上記粘着剤組成物の塗布(塗工)には、公知のコーティング法が用いられてもよい。例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、コンマコーター、ダイレクトコーター等のコーターが用いられてもよい。
[3.粘着シート]
本発明の粘着シートは、本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層である。本発明の粘着シートは、本発明の粘着剤層(本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層)を有していれば良く、その他の点では特に限定されない。
本発明の粘着シートは、両面がともに粘着剤層表面となっている両面粘着シートであってもよいし、片面のみが粘着剤層表面となっている片面粘着シートであってもよい。なかでも、2つの部材同士を貼り合わせる観点からは、両面粘着シートであることが好ましい。なお、本明細書において「粘着シート」という場合には、テープ状のもの、すなわち、「粘着テープ」も含まれるものとする。また、本明細書においては、粘着剤層表面を「粘着面」と称する場合がある。
本発明の粘着シートは、使用時までは粘着面にはく離ライナーが設けられていてもよい。
本発明の粘着シートは、基材(基材層)を有しない、いわゆる「基材レスタイプ」の粘着シート(以下、「基材レス粘着シート」と称する場合がある)であってもよいし、基材を有するタイプの粘着シート(以下、「基材付き粘着シート」と称する場合がある)であってもよい。上記基材レス粘着シートとしては、例えば、上記粘着剤層のみからなる両面粘着シートや、上記粘着剤層と上記粘着剤層以外の粘着剤層(「他の粘着剤層」と称する場合がある)とからなる両面粘着シート等が挙げられる。一方、基材付き粘着シートとしては、基材の少なくとも片面側に上記粘着剤層を有する粘着シート等が挙げられる。なかでも、基材レス粘着シート(基材レス両面粘着シート)が好ましく、より好ましくは上記粘着剤層のみからなる基材レス両面粘着シートである。なお、上記「基材(基材層)」には、粘着シートの使用(貼付)時に剥離されるはく離ライナーは含まない。本発明の粘着シートは、基材レス粘着シートであることが好ましい。
本発明の粘着シートの一実施形態(基材レス粘着シート)を図1に示す。図1の粘着シートにおいて、10は粘着剤層、11、12ははく離ライナーである。
[3-1.粘着シートの各種物性]
本発明の粘着シートのガラス板に対する23℃での180°引き剥がし接着力(特に、上記粘着剤層(本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層)により提供される粘着面のガラス板に対する23℃での180°引き剥がし接着力)は、特に限定されないが、接着力が高ければ、十分な密着が得られるという観点から、4N/20mm以上であることが好ましく、より好ましくは6N/20mm以上、さらに好ましくは8N/20mm以上、さらにより好ましくは10N/20mm以上である。本発明の粘着シートの、ガラス板に対する23℃での180°引き剥がし接着力が一定の値以上であれば、ガラスへの接着性、段差における浮きの抑止性に一層優れる。なお、本発明の粘着シートのガラス板に対する23℃での180°引き剥がし接着力の上限値は、特に限定されないが、例えば、28N/20mm、27N/20mm、又は26N/20mmが好ましく、より好ましくは、25N/20mm、24N/20mm、23N/20mm、22N/20mm、21N/20mm、又は20N/20mmである。
本発明の粘着シートのガラス板に対する80℃での180°引き剥がし接着力(特に、上記粘着剤層(本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層)により提供される粘着面のガラス板に対する80℃での180°引き剥がし接着力)は、特に限定されないが、接着力が高ければ、十分な密着が得られるという観点から、4N/20mm以上であることが好ましく、より好ましくは6N/20mm以上、さらに好ましくは8N/20mm以上、さらにより好ましくは10N/20mm以上である。本発明の粘着シートの、ガラス板に対する80℃での180°引き剥がし接着力が一定の値以上であれば、ガラスへの接着性、段差における浮きの抑止性に一層優れる。なお、本発明の粘着シートのガラス板に対する80℃での180°引き剥がし接着力の上限値は、特に限定されないが、例えば、18N/20mmが好ましく、より好ましくは16N/20mmである。ガラス板に対する23℃又は80℃での180°引き剥がし接着力は、下記の180°引き剥がし接着力の測定方法により求められる。
上記ガラス板としては、特に限定されないが、例えば、商品名「ソーダライムガラス ♯0050」(松浪硝子工業株式会社製)が挙げられる。また、無アルカリガラスや化学強化ガラス等も挙げられる。
(A-1.180°引き剥がし接着力の測定方法)
粘着シートの粘着面を被着体に貼り合わせ、2kgローラー、1往復の圧着条件で圧着し、23℃、50%RHの雰囲気下で30分間又は240時間エージングする。エージング後、JIS Z 0237に準拠して、23℃又は80℃、50%RHの雰囲気下、引張速度300mm/分、剥離角度180°の条件で、被着体から粘着シートを引きはがし、180°引き剥がし接着力(N/20mm)を測定する。
(B.厚み)
本発明の粘着シートの厚み(総厚み)は、特に限定されないが、12~350μmが好ましく、より好ましくは15~330μm、18~325μm、18~320μm、20~300μm、23~300μm、25~275μm、又は30~250μmであってもよい。厚みが一定以上であると、段差部位での剥がれが生じにくくなり、好ましい。また、厚みが一定以下であると、製造時に優れた外観を保持しやすくなり、好ましい。なお、本発明の粘着シートの厚みには、基材付き粘着シートの場合は基材の厚さは含まれるが、はく離ライナーの厚みは含めないものとする。
(C.ヘイズ)
本発明の粘着シートのヘイズ(JIS K7136に準じる)は、特に限定されないが、3%以下が好ましく、より好ましくは1%以下、0.7%以下、又は0.6%以下であってもよい。ヘイズが3%以下であると、優れた透明性や優れた外観が得られ、好ましい。なお、上記ヘイズは、例えば、粘着シートを常態(23℃、50%RH)に少なくとも24時間静置した後、はく離ライナーを有する場合にはこれを剥離し、スライドガラス(例えば、全光線透過率92%、ヘイズ0.2%のもの)に貼り合わせたものを試料とし、ヘイズメーター(株式会社村上色彩技術研究所製、商品名「HM-150N」)を用いて測定することができる。
(D.全光線透過率)
本発明の粘着シートの可視光波長領域における全光線透過率(JIS K7361-1に準じる)は、特に限定されないが、90%以上が好ましく、より好ましくは91%以上、又は92%以上であってもよい。全光線透過率が90%以上であると、優れた透明性や優れた外観が得られ、好ましい。なお、上記全光線透過率は、例えば、粘着シートを常態(23℃、50%RH)に少なくとも24時間静置した後、はく離ライナーを有する場合にはこれを剥離し、スライドガラス(例えば、全光線透過率92%、ヘイズ0.2%のもの)に貼り合わせたものを試料とし、ヘイズメーター(株式会社村上色彩技術研究所製、商品名「HM-150N」)を用いて測定することができる。
本発明の粘着シートの上記接着力、全光線透過率及びヘイズは、後掲の実施例に記載の方法により、測定できる。本発明の粘着シートの上記接着力、全光線透過率及びヘイズは、粘着性ポリマー(A)、粘着性セグメント(A)の種類、モノマー組成や量、本発明のイオン性化合物の種類や量、導電性ポリマー(B)、導電性セグメント(B)の種類、モノマー組成や量、架橋剤の種類や量、粘着性ポリマー(A)と導電性ポリマー(B)の割合、粘着性セグメント(A)と導電性セグメント(B)の割合、上述の海島構造の形成方法などを調整することによって、調整することができる。
[3-2.粘着シートの製造方法]
本発明の粘着シートは、特に限定されないが、公知乃至慣用の製造方法に従って製造されることが好ましい。例えば、本発明の粘着シートが基材レス粘着シートである場合には、はく離ライナー上に上記の方法により上記粘着剤層を形成することにより得られる。また、本発明の粘着シートが基材付き粘着シートである場合には、上記粘着剤層を基材の表面に直接形成することにより得てもよいし(直写法)、いったんはく離ライナー上に上記粘着剤層を形成した後、基材に転写する(貼り合わせる)ことにより、基材上に上記粘着剤層を設けることにより得てもよい(転写法)。
[3-3.粘着シートの他の層]
本発明の粘着シートは、上記粘着剤層の他に、他の層を有していてもよい。他の層としては、例えば、他の粘着剤層(上記粘着剤層以外の粘着剤層(本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層以外の粘着剤層))、中間層、下塗り層等が挙げられる。なお、本発明の粘着シートは、他の層を2層以上有していてもよい。
[3-4.粘着シートの基材]
本発明の粘着シートが基材付き粘着シートである場合の基材としては、特に限定されないが、例えば、プラスチックフィルム、反射防止(AR)フィルム、偏光板、位相差板等の各種光学フィルムが挙げられる。上記プラスチックフィルム等の素材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、商品名「アートン(環状オレフィン系ポリマー、JSR株式会社製)」、商品名「ゼオノア(環状オレフィン系ポリマー、日本ゼオン株式会社製)」等の環状オレフィン系ポリマー等のプラスチック材料が挙げられる。なお、これらのプラスチック材料は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてもよい。また、上記の「基材」とは、粘着シートを被着体に貼付する際には、粘着剤層とともに被着体に貼付される部分である。粘着シートの使用時(貼付時)に剥離されるはく離ライナーは「基材」には含まない。
上記基材は、透明であることが好ましい。上記基材の可視光波長領域における全光線透過率(JIS K7361-1に準じる)は、特に限定されないが、85%以上が好ましく、より好ましくは88%以上である。また、上記基材のヘイズ(JIS K7136に準じる)は、特に限定されないが、1.0%以下が好ましく、より好ましくは0.8%以下である。このような透明な基材としては、例えば、PETフィルムや、商品名「アートン」、商品名「ゼオノア」等の無配向フィルム等が挙げられる。
上記基材の厚みは、特に限定されないが、例えば、1~500μmが好ましい。なお、上記基材は単層及び複層のいずれの形態を有していてもよい。また、上記基材の表面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理等の物理的処理、下塗り処理等の化学的処理等の公知慣用の表面処理が適宜施されていてもよい。
[3-5.粘着シートのはく離ライナー]
本発明の粘着シートは、使用時までは粘着面にはく離ライナーが設けられていてもよい。なお、本発明の粘着シートが両面粘着シートである場合、各粘着面は、2枚のはく離ライナーによりそれぞれ保護されていてもよいし、両面が剥離面となっているはく離ライナー1枚により、ロール状に巻回される形態で保護されていてもよい。はく離ライナーは粘着剤層の保護材として用いられ、被着体に貼付する際に剥がされる。また、本発明の粘着シートが基材レス粘着シートの場合、はく離ライナーは粘着剤層の支持体としての役割も担う。なお、はく離ライナーは必ずしも設けられなくてもよい。
上記はく離ライナーとしては、慣用の剥離紙などを利用でき、具体的には、例えば、剥離処理剤による剥離処理層を少なくとも一方の表面に有する基材の他、フッ素系ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン-フッ化ビニリデン共重合体など)からなる低接着性基材や、無極性ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂など)からなる低接着性基材などを用いることができる。
上記はく離ライナーとしては、例えば、はく離ライナー用基材の少なくとも一方の面に剥離処理層が形成されているはく離ライナーを好適に用いることができる。このようなはく離ライナー用基材としては、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルムなど)、オレフィン系樹脂フィルム(ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなど)、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム(ナイロンフィルム)、レーヨンフィルムなどのプラスチック系基材フィルム(合成樹脂フィルム)や紙類(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙など)の他、これらを、ラミネートや共押し出しなどにより、複層化したもの(2~3層の複合体)などが挙げられる。
上記剥離処理層を構成する剥離処理剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤などを用いることができる。剥離処理剤は単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
前記はく離ライナーの厚さは、特に限定されず、5~100μmの範囲から適宜選択すればよい。
上記はく離ライナーは、画像表示パネル等の被着体の破損を防止するため、はく離ライナー用基材の少なくとも一方の面に帯電防止層が形成されていてもよい。帯電防止層ははく離ライナーの一方の面(剥離処理面または未処理面)に形成されていてもよく、はく離ライナーの両面(剥離処理面及び未処理面)に形成されていてもよい。
前記帯電防止層としては、特に限定されないが、例えば、導電性ポリマーを含む導電コート液をはく離ライナー上にコーティングして形成される帯電防止層である。具体的には、例えば、導電性ポリマーを含む導電コート液をはく離ライナー上(剥離処理面及び/又は未処理面)にコーティングして形成される帯電防止層である。具体的なコーティングの方法としては、ロールコート法、バーコート法、グラビアコート法などが挙げられる。
前記導電性ポリマーとしては、ポリアニリン系、ポリチオフェン系、ポリピロール系、ポリキノキサリン系等のポリマーを使用することができる。
前記帯電防止層の厚みとしては、好ましくは1nm~1000nmであり、より好ましくは5nm~900nmである。前記帯電防止層は、1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。
[3-6.粘着シートの用途等]
本発明の粘着シートは、上記粘着剤層(本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層)を有するので、帯電防止性能に優れる。このため、画像表示装置の貼り合わせに用いる場合、静電気による表示不良が生じにくい。従って、本発明の粘着剤組成物から形成される粘着剤層は、優れた帯電防止性、透明性、耐湿熱性、及び低汚染性を満足でき、画像表示装置の製造に有用である。
さらに、本発明の粘着剤層は、接着性、耐発泡剥がれ性、応力緩和性に優れ、段差追従性、接着信頼性、特に高温時の接着信頼性に優れる。また、外観性に優れる。このため、本発明の粘着シートは、高温時に界面での発泡の生じやすい被着体に対して有用に用いられる。例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)は、未反応モノマーを含むことがあり、高温時に異物による発泡が生じやすい。また、ポリカーボネート(PC)は、高温時に水と二酸化炭素のアウトガスを生じやすい。本発明の粘着シートは、耐発泡剥がれ性に優れるので、このような樹脂を含むプラスチック被着体に対しても有用に用いられる。
また、本発明の粘着シートは、線膨張係数の小さい被着体に加えて、線膨張係数の大きい被着体に対しても、有用に用いられる。なお、上記線膨張係数の小さい被着体としては、特に限定されないが、例えば、ガラス板(線膨張係数:0.3×10-5~0.8×10-5/℃)、ポリエチレンテレフタレート基材(PETフィルム、線膨張係数:1.5×10-5~2×10-5/℃)等が挙げられる。また、上記線膨張係数の大きい被着体としては、特に限定されないが、例えば、線膨張係数の大きい樹脂基材が挙げられ、より具体的には、ポリカーボネート樹脂基材(PC、線膨張係数:7×10-5~8×10-5/℃)、ポリメタクリル酸メチル樹脂基材(PMMA、線膨張係数:7×10-5~8×10-5/℃)、シクロオレフィンポリマー基材(COP、線膨張係数:6×10-5~7×10-5/℃)、商品名「ゼオノア」(日本ゼオン株式会社製)、商品名「アートン」(JSR株式会社製)等が挙げられる。
本発明の粘着シートは、線膨張係数の小さい被着体と線膨張係数の大きい被着体との貼り合わせに有用に用いられる。具体的には、本発明の粘着シートは、ガラス被着体(例えば、ガラス板、化学強化ガラス、ガラスレンズ等)と上記の線膨張係数の大きい樹脂基材との貼り合わせに好ましく用いられる。
このように、本発明の粘着シートは、様々な素材の被着体同士の貼り合わせに有用であり、特にガラス被着体とプラスチック被着体との貼り合わせに有用に用いられる。なお、プラスチック被着体は、表面にITO(インジウムとすずの酸化物)層を有するプラスチックフィルムのような光学フィルムであってもよい。
さらに、本発明の粘着シートは、表面が平滑な被着体に加えて、表面に段差を有する被着体に対しても、有用に用いられる。特に、本発明の粘着シートは、ガラス被着体及び上記の線膨張係数の大きい樹脂基材のうち少なくとも一方が表面に段差を有していても、ガラス被着体と上記の線膨張係数の大きい樹脂基材との貼り合わせに有用に用いられる。
本発明の粘着シートは、携帯電子機器の製造用途に好ましく用いられる。上記携帯電子機器としては、例えば、携帯電話、PHS、スマートフォン、タブレット(タブレット型コンピューター)、モバイルコンピューター(モバイルPC)、携帯情報端末(PDA)、電子手帳、携帯型テレビや携帯型ラジオ等の携帯型放送受信機 、携帯型ゲーム機、ポータブルオーディオプレーヤー、ポータブルDVDプレーヤー、デジタルカメラ等のカメラ、カムコーダ型のビデオカメラ等が挙げられる。
本発明の粘着シートは、例えば、携帯電子機器を構成する部材やモジュール同士の貼り付けや、携帯電子機器を構成する部材やモジュールの筐体への固定等に好ましく用いられる。より具体的には、カバーガラスやレンズ(特にガラスレンズ)とタッチパネルやタッチセンサーとの貼り合わせ、カバーガラスやレンズ(特にガラスレンズ)の筐体への固定、ディスプレイパネルの筐体への固定、シート状キーボードやタッチパネル等の入力装置の筐体への固定、情報表示部の保護パネルと筐体との貼り合わせ、筐体同士の貼り合わせ、筐体と装飾用シートとの貼り合わせ、携帯電子機器を構成する各種部材やモジュールの固定や貼り合わせ等が挙げられる。なお、本明細書において、ディスプレイパネルとは、レンズ(特にガラスレンズ)及びタッチパネルにより少なくとも構成される構造物をいう。また、本明細書におけるレンズは、光の屈折作用を示す透明体及び光の屈折作用のない透明体の両方を含む概念である。つまり、本明細書におけるレンズには、屈折作用がない単なる窓パネルも含まれる。
さらに、本発明の粘着シートは、光学用途に好ましく用いられる。すなわち、本発明の粘着シートは、光学用途に用いられる光学用粘着シートであることが好ましい。より具体的には、例えば、光学部材を貼り合わせる用途(光学部材貼り合わせ用)や上記光学部材が用いられた製品(光学製品)の製造用途等に用いられることが好ましい。
[4.光学部材]
本発明の光学部材の貼り合わせに好適に使用することができる。なお、上記粘着シートは、使用時までは粘着面にはく離ライナーが設けられていてもよいが、本発明の光学部材における上記粘着シートは使用時の粘着シートであるため、はく離ライナーは有しない。
光学部材とは、光学的特性(例えば、偏光性、光屈折性、光散乱性、光反射性、光透過性、光吸収性、光回折性、旋光性、視認性等)を有する部材をいう。上記光学部材を構成する基板としては、特に限定されないが、例えば、表示装置(画像表示装置)、入力装置等の機器(光学機器)を構成する基板又はこれらの機器に用いられる基板が挙げられ、例えば、偏光板、波長板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、導光板、反射フィルム、反射防止フィルム、ハードコートフィルム(PETフィルム等のプラスチックフィルムの少なくとも片面にハードコート処理が施されたフィルム)、透明導電フィルム(例えば、表面にITO層を有するプラスチックフィルム(好ましくは、PET-ITO、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー等のITOフィルム)等)、意匠フィルム、装飾フィルム、表面保護板、プリズム、レンズ、カラーフィルター、透明基板(ガラスセンサー、ガラス製表示パネル(LCD等)、透明電極付きガラス板等のガラス基板等)や、さらにはこれらが積層されている基板(これらを総称して「機能性フィルム」と称する場合がある)等が挙げられる。また、これらのフィルムは、金属ナノワイヤ層や導電性高分子層等を有していても良い。また、これらのフィルムには、金属細線がメッシュ印刷されていても良い。なお、上記の「板」及び「フィルム」は、それぞれ板状、フィルム状、シート状等の形態を含むものとし、例えば、「偏光フィルム」は、「偏光板」及び「偏光シート」等を含むものとする。また、「フィルム」はフィルムセンサー等を含むものとする。
上記表示装置としては、例えば、液晶表示装置、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置、PDP(プラズマディスプレイパネル)、電子ペーパー等が挙げられる。また、上記入力装置としては、タッチパネル等が挙げられる。
上記光学部材を構成する基板としては、特に限定されないが、例えば、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィンポリマー、金属薄膜等からなる基板(例えば、シート状やフィルム状、板状の基板等)等が挙げられる。なお、本発明における「光学部材」には、上記の通り、表示装置や入力装置の視認性を保ちながら加飾や保護の役割を担う部材(意匠フィルム、装飾フィルムや表面保護フィルム等)も含むものとする。
本発明の粘着シートが基材付き粘着シートであり、且つ、上記粘着シートが光学的特性を有する部材を構成すれば、上記基材は上記基板と同視でき、上記粘着シートは本発明の光学部材でもあると言える。
本発明の粘着シートが基材付き粘着シートであり、上記基材として上記機能性フィルムを用いた場合には、本発明の粘着シートを、機能性フィルムの少なくとも片面側に上記粘着剤層を有する「粘着型機能性フィルム」として使用することもできる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
製造例1
<アクリルポリマー溶液1の作製>
撹拌機、温度計、還流冷却器、および窒素ガス導入管を備える反応容器内で、アクリル酸ブチルの81.8質量部と、アクリル酸の5.5質量部と、アクリロイルモルフォリン(KJケミカルズ社製)の12.7質量部と、RAFT剤としてのトリチオ炭酸=ビス{4-[エチル-(2-アセチルオキシエチル)カルバモイル]ベンジル(和光純薬社製)の0.75質量部と、重合開始剤としての2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル(和光純薬社製)の0.047質量部と、溶媒としての酢酸エチルの100質量部とを含む混合物を、75℃で6時間、窒素雰囲気下で撹拌した(RAFT重合反応の工程1)。これにより、アクリルポリマーP1を含有するアクリルポリマー溶液1を得た。
実施例1
<ブロックコポリマー溶液2の作製>
撹拌機、温度計、還流冷却器、および窒素ガス導入管を備える反応容器内で、製造例1で得られたアクリルポリマーP1を含有するアクリルポリマー溶液1の30質量部(固形分換算量)と、2-メトキシエチルアクリレートの65質量部と、イオン性化合物(イオン性モノマー)として(2-アクリロイルオキシエチル)トリメチルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(和光純薬社製)の5質量部と、重合開始剤としての2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル(和光純薬社製)の0.020質量部と、溶媒としての酢酸エチルの100質量部とを含む混合物を、75℃で6時間、窒素雰囲気下で撹拌した(RAFT重合反応の工程2)。これにより、ブロックコポリマーP2を含有するブロックコポリマー溶液2を得た。ブロックコポリマーP2は、ABA型トリブロックコポリマーであり、AセグメントはアクリルポリマーP1に由来する粘着性セグメントであり、Bセグメントは、(2-アクリロイルオキシエチル)トリメチルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドをモノマー単位として含む導電性セグメントである。
<粘着性組成物1の調製>
上記で得られたブロックコポリマーP2を含有するブロックコポリマー溶液2に、ブロックコポリマーP2(ベースポリマー)100質量部あたり、下記成分を、均一に混合して粘着剤組成物1を調製した。
架橋剤:1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(商品名「テトラッドC」,三菱ガス化学社製):0.05質量部
<粘着シート1の製造>
片面が剥離面となっているはく離ライナー(ポリエステルフィルム、厚み38μm、三菱ケミカル社製、MRF#38)に、上記で得られた粘着剤組成物1を塗布して、塗膜を形成した。次にこの塗膜を、152℃で3分間乾燥させて、厚み25μmの粘着剤層を形成した。この粘着剤層に、ポリエステルフィルムの片面が剥離面となっている厚み38μmのはく離ライナー(ポリエステルフィルム、厚み38μm、三菱ケミカル社製、MRF#38)を貼り合わせた。その後、60℃で1日間、エージング処理し、粘着剤層において、架橋反応を進行させて、粘着シート1を得た。
実施例2
<ブロックコポリマー溶液3の作製>
撹拌機、温度計、還流冷却器、および窒素ガス導入管を備える反応容器内で、製造例1で得られたアクリルポリマーP1を含有するアクリルポリマー溶液1の20質量部(固形分換算量)と、2-メトキシエチルアクリレートの75質量部と、イオン性化合物(イオン性モノマー)として(2-アクリロイルオキシエチル)トリメチルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(和光純薬社製)の5質量部と、重合開始剤としての2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル(和光純薬社製)の0.014質量部と、溶媒としての酢酸エチルの100質量部とを含む混合物を、75℃で6時間、窒素雰囲気下で撹拌した(RAFT重合反応の工程2)。これにより、ブロックコポリマーP3を含有するブロックコポリマー溶液3を得た。ブロックコポリマーP3は、ABA型トリブロックコポリマーであり、AセグメントはアクリルポリマーP1に由来する粘着性セグメントであり、Bセグメントは、(2-アクリロイルオキシエチル)トリメチルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドをモノマー単位として含む導電性セグメントである。
<粘着性組成物2の調製>
ブロックコポリマー溶液2に替えて、上記で得られたブロックコポリマーP3を含有するブロックコポリマー溶液3を使用したこと以外は実施例1と同様にして、粘着剤組成物2を調製した。
<粘着シート2の製造>
粘着剤組成物1に替えて、上記で得られた粘着剤組成物2を使用したこと以外は実施例1と同様にして、粘着シート2を調製した。
実施例3
<ブロックコポリマー溶液4の作製>
撹拌機、温度計、還流冷却器、および窒素ガス導入管を備える反応容器内で、製造例1で得られたアクリルポリマーP1を含有するアクリルポリマー溶液1の10質量部(固形分換算量)と、2-メトキシエチルアクリレートの85質量部と、イオン性化合物(イオン性モノマー)として(2-アクリロイルオキシエチル)トリメチルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(和光純薬社製)の5質量部と、重合開始剤としての2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル(和光純薬社製)の0.014質量部と、溶媒としての酢酸エチルの100質量部とを含む混合物を、75℃で6時間、窒素雰囲気下で撹拌した(RAFT重合反応の工程2)。これにより、ブロックコポリマーP4を含有するブロックコポリマー溶液4を得た。ブロックコポリマーP4は、ABA型トリブロックコポリマーであり、AセグメントはアクリルポリマーP1に由来する粘着性セグメントであり、Bセグメントは、(2-アクリロイルオキシエチル)トリメチルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドをモノマー単位として含む導電性セグメントである。
<粘着性組成物3の調製>
ブロックコポリマー溶液2に替えて、上記で得られたブロックコポリマーP4を含有するブロックコポリマー溶液4を使用したこと以外は実施例1と同様にして、粘着剤組成物3を調製した。
<粘着シート3の製造>
粘着剤組成物1に替えて、上記で得られた粘着剤組成物3を使用したこと以外は実施例1と同様にして、粘着シート3を調製した。
比較例1
<アクリルポリマー溶液5の作製>
撹拌機、温度計、還流冷却器、および窒素ガス導入管を備える反応容器内で、アクリル酸ブチルの24.5質量部と、アクリル酸の1.7質量部と、アクリロイルモルフォリン(KJケミカルズ社製)の3.8質量部と、2-メトキシエチルアクリレートの65質量部と、(2-アクリロイルオキシエチル)トリメチルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(和光純薬社製)の5質量部と、RAFT剤としてのトリチオ炭酸=ビス{4-[エチル-(2-アセチルオキシエチル)カルバモイル]ベンジル(和光純薬社製)の0.25質量部と、重合開始剤としての2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル(和光純薬社製)の0.023質量部と、溶媒としての酢酸エチルの100質量部と含む混合物を、75℃で6時間、窒素雰囲気下で撹拌した(RAFT重合反応の工程1)。これにより、アクリルポリマーP5を含有するアクリルポリマー溶液5を得た。アクリルポリマーP5は、ブロックコポリマーではなく、(2-アクリロイルオキシエチル)トリメチルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドをモノマー単位として含む導電性ポリマーである。
<粘着性組成物4の調製>
ブロックコポリマー溶液1に替えて、上記で得られたアクリルポリマー溶液5を使用したこと以外は実施例1と同様にして、粘着剤組成物4を調製した。
<粘着シート4の製造>
粘着剤組成物1に変えて、上記で得られたアクリルポリマーP5を含有する粘着剤組成物4を使用したこと以外は実施例1と同様にして、粘着シート4を調製した。
上記の実施例1~3、比較例1で得られた粘着シートを用いて以下の評価を行った。結果は表2に記載した。
<表面抵抗値の測定>
実施例、比較例で得られた粘着シートの一方のはく離ライナーを剥がした後、粘着剤層表面の表面抵抗値を測定した。測定は、23℃、50%RHの雰囲気下で、三菱化学アナリテック社製MCP-HT450を用いて行った。
<ミクロ相分離構造の有無>
実施例、比較例で得られた各粘着シートの粘着剤層について、次のようにして、ミクロ相分離構造の有無を確認した。まず、透過型電子顕微鏡(TEM)による観察用のサンプルを作製した。具体的には、粘着剤層を染色した後に急速凍結し、当該粘着剤層からウルトラミクロトーム(Leica製)を使用して薄片を切り出した。そして、当該薄片について、透過型電子顕微鏡(商品名「HT7820」,日立ハイテクノロジーズ社製)を使用して観察および撮影を実施した。次に、得られたTEM画像を、画像解析ソフトによって解析して二値化することで相分離の有無を確認した。
Figure 2023136272000011
実施例1~3と比較例1の粘着剤層は、同じ5重量%のイオン性モノマーを含むにもかかわらず、実施例1~3の粘着剤層の表面抵抗値は比較例1の半分以下程度に低下している。従って、イオン性モノマーは、相分離した実施例1~3の粘着剤層の非連続相(島部)よりも連続相(海部)により偏在して分布し、導電性のパスを効率的に形成しているものと考えられる。
以下に、本発明のバリエーションを付記する。
〔付記1〕2種以上のポリマーと、イオン性化合物とを含み、
前記2種以上のポリマーのうちの少なくとも1種は粘着性ポリマー(A)を含み、
連続相と、非連続相とに相分離した海島構造を有し、
前記連続相(海部)は、前記イオン性化合物を含む粘着剤組成物。
〔付記2〕前記非連続相(島部)は、前記粘着性ポリマー(A)を含む、付記1に記載の粘着剤組成物。
〔付記3〕前記非連続相(島部)は、前記イオン性化合物を含む、付記1又は2に記載の粘着剤組成物。
〔付記4〕前記イオン性化合物は、有機系化合物を含む、付記1~3の何れか1つに記載の粘着剤組成物。
〔付記5〕前記2種以上のポリマーのうちの少なくとも1種は、前記イオン性化合物と共有結合を形成している導電性ポリマー(B)を含む、付記1~4の何れか1つに記載の粘着剤組成物。
〔付記6〕前記粘着性ポリマー(A)に対する前記導電性ポリマー(B)の重量割合(導電性ポリマー(B)/粘着性ポリマー(A))が、10/90~99/1である、付記5に記載の粘着剤組成物。
〔付記7〕前記粘着性ポリマー(A)と、前記導電性ポリマー(B)とが、ブロックコポリマーを形成している、付記5又は6に記載の粘着剤組成物。
〔付記8〕付記1~7の何れか1つに記載の粘着剤組成物により形成される粘着剤層。
〔付記9〕付記8に記載の粘着剤層を有する粘着シート。
〔付記10〕厚みが12~350μmである、付記9に記載の粘着シート。
1 粘着シート
10 粘着剤層
11、12 はく離ライナー

Claims (10)

  1. 2種以上のポリマーと、イオン性化合物とを含み、
    前記2種以上のポリマーのうちの少なくとも1種は粘着性ポリマー(A)を含み、
    連続相と、非連続相とに相分離した海島構造を有し、
    前記連続相(海部)は、前記イオン性化合物を含む粘着剤組成物。
  2. 前記非連続相(島部)は、前記粘着性ポリマー(A)を含む、請求項1に記載の粘着剤組成物。
  3. 前記非連続相(島部)は、前記イオン性化合物を含む、請求項1又は2に記載の粘着剤組成物。
  4. 前記イオン性化合物は、有機系化合物を含む、請求項1~3の何れか1項に記載の粘着剤組成物。
  5. 前記2種以上のポリマーのうちの少なくとも1種は、前記イオン性化合物と共有結合を形成している導電性ポリマー(B)を含む、請求項1~4の何れか1項に記載の粘着剤組成物。
  6. 前記粘着性ポリマー(A)に対する前記導電性ポリマー(B)の重量割合(導電性ポリマー(B)/粘着性ポリマー(A))が、10/90~99/1である、請求項5に記載の粘着剤組成物。
  7. 前記粘着性ポリマー(A)と、前記導電性ポリマー(B)とが、ブロックコポリマーを形成している、請求項5又は6に記載の粘着剤組成物。
  8. 請求項1~7の何れか1項に記載の粘着剤組成物により形成される粘着剤層。
  9. 請求項8に記載の粘着剤層を有する粘着シート。
  10. 厚みが12~350μmである、請求項9に記載の粘着シート。
JP2022041796A 2022-03-16 2022-03-16 粘着剤組成物、粘着剤層、及び粘着シート Pending JP2023136272A (ja)

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