JP2023135905A - 内燃機関 - Google Patents
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Abstract
Description
固定ボルトの締結座面は、ユニット連結部と重なる高さかより高い位置に配置されるので、固定ボルトの締結座面が低い位置(ポンプ取付面に近い位置)にある場合と比べて、固定ボルトの締結座面がポンプユニットの着脱作業を行う側に近付くこととなり、固定ボルトの挿脱がしやすく、ポンプユニットの着脱作業を行いやすくすることができる。
この構成によれば、ポンプユニットを固定するユニット固定部が、第一方向(各スカベンジポンプの連結方向)から見て、一対のスカベンジポンプの間のフィードポンプのポンプロータを避けて配置されるので、ユニット固定部がロータ収容空間に切り欠かれず、固定ボルトによる締結剛性を高めることができる。このため、各オイル吸込み口とクランクケースとの密着性を向上させ、クランクシャフトによる動力伝達時のオイル抵抗を少なくすることができる。
この構成によれば、バルブ締結部におけるネジ孔を通じてクランクケース内およびオイルパン内を連通させることがない。このため、クランクケース内の密閉性を高めることができ、クランクケース内に発生するオイル抵抗(クランクシャフトによる動力伝達時の抵抗)を少なくすることができる。
この構成によれば、バルブ締結部がクランクケースの内側に突出することで、バルブ締結部の配置がリードバルブの配置に影響し難くなり、リードバルブの配置自由度を高めることができる。
この構成によれば、バルブ締結部がオイル貯留空間内に配置されることで、バルブ締結部のネジ孔を貫通形成したとしても、ネジ孔を通じてクランクケース内およびオイルパン内を連通させることがなく、クランクケース内の密閉性を高めることができる。ネジ孔を袋孔とする場合に比べて、ネジ孔の一端を閉塞する駄肉を無くし、ポンプユニットの軽量化を図ることができる。
図1に示すように、実施形態の自動二輪車(鞍乗り型車両)1は、前輪2および後輪3と、前輪2を支持するフロントフォーク4と、後輪3を支持するスイングアーム5と、フロントフォーク4およびスイングアーム5を支持する車体フレーム6と、車体フレーム6に支持されるエンジン(内燃機関、原動機)7と、を備えている。
クランクケース20は、クランクシャフト11を回転可能に支持している。図中矢印Fはエンジン運転時におけるクランクシャフト11の回転方向を示す。クランクケース20は、前部にクランクシャフト11を収容し、後部に変速機16を収容している。
クランクケース20の下部には、オイルパン40が下方から取り付けられている。クランク室形成部21の下部には、後に詳述するポンプユニット50が下方から取り付けられている。
図2,図6を参照し、クランク室形成部21は、互いに独立した一対の密閉クランク室23を形成している。一対の密閉クランク室23は、車幅方向に並んでいる。各密閉クランク室23は、前傾シリンダ31および後傾シリンダ32における左右何れかの筒内とそれぞれ連通している。各密閉クランク室23は、クランクケース20内の隔壁によってミッションケース部26内およびオイルパン40内の各空間に対して仕切られている。
図3~図6を参照し、ポンプユニット50は、クランク室形成部21の下部隔壁22の下面側に取り付けられている。ポンプユニット50は、複数のトロコイド歯形の内接歯車ポンプであるオイルポンプを車幅方向(クランク軸方向)に沿って並べている。ポンプユニット50は、左側から右側の順に、左スカベンジポンプ51L、フィードポンプ51Cおよび右スカベンジポンプ51Rを備えている。
ポンプユニット50は、左スカベンジポンプ51L、フィードポンプ51Cおよび右スカベンジポンプ51Rが共用する単一のポンプボディ60および単一の駆動軸66を備えている。
複数の連結ボルトBaは、側面視でポンプロータ57の下端部の前方に離隔した位置に配置される前下方ボルトB1と、側面視でポンプロータ57の上部の後方に離隔した位置に配置される後上方ボルトB2と、側面視でポンプロータ57の下方に離隔した位置に配置される下方ボルトB3と、を備えている。
図3~図6を参照し、左スカベンジポンプ51Lおよび右スカベンジポンプ51Rの各ハウジング52L,52Rは、それぞれのポンプロータ57(アウターロータ54およびインナーロータ55)を収容するロータ収容部70(図6参照)と、ロータ収容部70に連続するとともに互いに独立した吸入ポート71L,71Rおよび吐出ポート(不図示)と、を備えている。
図3~図6を参照し、フィードポンプ51Cのハウジング52Cは、ポンプロータ57(アウターロータ54およびインナーロータ55)を収容するロータ収容部70(図6参照)と、ロータ収容部70の下方に延びてストレーナ77に接続される吸入管75と、吸入管75と平行に下方に延びた後に前方に屈曲し、エンジン7の各部に至るオイルラインに接続される吐出管76と、を備えている。フィードポンプ51Cのロータ収容部70は、左右方向で左右スカベンジポンプ51L,51Rの各ロータ収容部70の間に挟まれ、側面視で左右スカベンジポンプ51L,51Rの各ロータ収容部70と重なるように設けられている。
図4~図6を参照し、ポンプユニット50は、左右一対のリードバルブ90L,90Rを備えている。左右リードバルブ90L,90Rは、それぞれ左右同側の密閉クランク室23に対応して設けられている。左リードバルブ90Lは、左スカベンジポンプ51Lの吸入ポート71Lに設けられ、右リードバルブ90Rは、右スカベンジポンプ51Rの吸入ポート71Rに設けられている。左右リードバルブ90L,90Rは、各吸入ポート71L,71Rからポンプユニット50外のオイル貯留空間41へ向かう方向のエンジンオイルの流れを許容し、その逆方向の流れは規制する。
図4,図5を参照し、ポンプボディ60は、ポンプユニット50をクランクケース20の下部隔壁22に固定するための複数の締結部68F,68R,68Cを備えている。締結部68F,68R,68Cは、ポンプボディ60の前部に位置する前側締結部68Fと、ポンプボディ60の後部に位置する後側締結部68Rと、ポンプボディ60の軸方向中間部に位置する中間締結部68Cと、を備えている。
すなわち、ユニット固定部68A(中間締結部68C)が各オイル吸込み口72aL,72aRの間の部位になく、ポンプユニット50の外側にずれて配置されていると、以下の課題がある。すなわち、各オイル吸込み口72aL,72aRの間の部位のクランクケース20への密着性は、ポンプボディ60の剛性によって得ることになるため、ポンプボディ60の剛性を高める必要がある。
これに対し、各オイル吸込み口72aL,72aRの間の部位にユニット固定部68A(中間締結部68C)を配置することで、固定ボルトBb(中間ボルトB6)の締結力を各オイル吸込み口72aL,72aRの間の部位に直接付与することができる。このため、各オイル吸込み口72aL,72aRの間の部位のクランクケース20への密着性を確保した上で、ポンプボディ60の剛性の最適化を図ることができる。
このような構成の場合、中間ボルトB6の締結座面68C1が低い位置(ポンプ取付面23cに近い位置)にある場合と比べて、中間ボルトB6の締結座面68C1がポンプユニット50の着脱作業を行う側に近付くこととなる。このため、中間ボルトB6をポンプ本体部に埋もれた位置に対して挿入、離脱させる構成に比べて、中間ボルトB6の挿脱がしやすく、ポンプユニット50の着脱作業を行いやすくすることができる。
この構成によれば、ポンプユニット50を固定するユニット固定部68A(中間締結部68C)が、車幅方向(各ポンプ51L,51R,51Cの連結方向)から見てポンプロータ57を避けて配置されることで、ユニット固定部68A(中間締結部68C)がロータ収容空間に切り欠かれず、固定ボルトB4,B5,B6による締結剛性を高めることができる。このため、各オイル吸込み口72aL,72aRとクランクケース20との密着性を向上させ、クランクシャフト11による動力伝達時のオイル抵抗を少なくすることができる。
この構成によれば、バルブ締結部95におけるネジ孔96を通じてクランクケース20内およびオイルパン40内を連通させることがない。このため、クランクケース20内の密閉性を高めることができ、クランクケース20内に発生するオイル抵抗(クランクシャフト11による動力伝達時の抵抗)を少なくすることができる。
この構成によれば、バルブ締結部95がクランクケース20側に突出することで、バルブ締結部95の配置がリードバルブ90L,90Rの配置に影響し難くなり、リードバルブ90L,90Rの配置自由度を高めることができる。
この構成によれば、バルブ締結部95の全体がオイル貯留空間41内に配置されることで、バルブ締結部95のネジ孔96を貫通形成したとしても、ネジ孔96を通じてクランクケース20内およびオイルパン40内を連通させることがなく、クランクケース20内の密閉性を高めることができる。ネジ孔96を袋孔とする場合に比べて、ネジ孔96の一端を閉塞する駄肉を無くし、ポンプユニット50の軽量化を図ることができる。
本実施形態の内燃機関は、自動二輪車以外の鞍乗り型車両に適用してもよい。前記鞍乗り型車両には、運転者が車体を跨いで乗車する車両全般が含まれ、自動二輪車(原動機付自転車及びスクータ型車両を含む)のみならず、三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)又は四輪(四輪バギー等)の車両も含まれる。
原動機に電気モータを含む車両に適用してもよい。また、鞍乗り型車両以外の車両(乗用車、バス、トラック等)に適用してもよい。
さらに、本実施形態の内燃機関は車両に適用されるものであるが、本発明は車両への適用に限らず、航空機や船舶等の種々輸送機器、ならびに建設機械や産業機械等、様々な乗物や移動体に適用してもよい。さらに、本発明は、乗物以外でも内燃機関を備える機器であれば、例えば手押しの芝刈り機や清掃機等に広く適用可能である。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
7 エンジン(内燃機関)
20 クランクケース
23c ポンプ取付面
24 空間膨出部
40 オイルパン
41 オイル貯留空間
50 ポンプユニット
51L,51R スカベンジポンプ
53L,53R スカベンジポンプ用ポンプロータ
51C フィードポンプ
53C フィードポンプ用ポンプロータ
52L,52R ポンプハウジング
67F 前下方締結部(ユニット連結部)
67R 後上方締結部(ユニット連結部)
68C 中間締結部(ユニット固定部)
68C1 締結座面
72aL,72aR オイル吸込み口
90L,90R リードバルブ
95 バルブ締結部
96 ネジ孔
B1 連結ボルト
B2 連結ボルト
B6 固定ボルト
B7 バルブ固定ボルト
Ba 連結ボルト
Claims (5)
- クランクケース(20)と、
前記クランクケース(20)から流下したエンジンオイルを吸い込んでオイルパン(40)に戻す複数のスカベンジポンプ(51L,51R)と、を備えた内燃機関において、
前記複数のスカベンジポンプ(51L,51R)を第一方向に並べて、これらを前記第一方向に沿う複数の連結ボルト(Ba)によって連結して、一体のポンプユニット(50)を構成し、
前記ポンプユニット(50)における前記複数の連結ボルト(Ba)の少なくとも一部(B1,B2)の間に、前記第一方向と交差する第二方向に沿う固定ボルト(B6)によって前記ポンプユニット(50)を前記クランクケース(20)に固定するユニット固定部(68C)を配置し、
前記ユニット固定部(68C)は、前記複数のスカベンジポンプ(51L,51R)における前記第一方向に並ぶ一対のオイル吸込み口(72aL,72aR)の間に配置され、
前記クランクケース(20)における前記ポンプユニット(50)を取り付けるポンプ取付面(23c)から前記第二方向で離隔する側への高さにおいて、前記ユニット固定部(68C)における前記固定ボルト(B6)の締結座面(68C1)の高さは、前記複数の連結ボルト(Ba)の少なくとも一部(B1,B2)によるユニット連結部(67F,67R)と重なる高さにあるか、前記ユニット連結部(67F,67R)よりも高い位置にある、ことを特徴とする内燃機関。 - 一体の前記ポンプユニット50は、前記第一方向で一対の前記スカベンジポンプ(51L,51R)の間に配置されるフィードポンプ(51C)を備え、
前記ユニット固定部(68C)は、前記第一方向から見て、前記フィードポンプ(51C)のポンプロータ(53C)を避けて配置されている、請求項1に記載の内燃機関。 - 前記ポンプユニット(50)は、前記クランクケース(20)側からオイルパン(40)側へのエンジンオイルの流通は許容し、逆方向のエンジンオイルの流通は規制するリードバルブ(90L,90R)を備え、
前記リードバルブ(90L,90R)は、各スカベンジポンプ(51L,51R)のポンプハウジング(52L,52R)のバルブ締結部(95)に、バルブ固定ボルト(B7)によって締結され、
前記バルブ締結部(95)における前記バルブ固定ボルト(B7)を締め込むネジ孔(96)は、前記クランクケース(20)内および前記オイルパン(40)内の一方にのみ開口する、請求項1又は2に記載の内燃機関。 - 各スカベンジポンプ(51L,51R)のオイル吸込み口(72aL,72aR)は、前記クランクケース(20)の前記ポンプ取付面(23c)に取り付けられ、
前記バルブ締結部(95)は、前記ポンプ取付面(23c)を超えて前記クランクケース(20)の内側に突出している、請求項3に記載の内燃機関。 - 前記オイルパン(40)内のオイル貯留空間(41)を前記ポンプ取付面(23c)よりも前記クランクケース(20)の内側に膨出させる空間膨出部(24)を備え、
前記バルブ締結部(95)は、前記空間膨出部(24)内に配置されている、請求項3又は4に記載の内燃機関。
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