JP2023134135A - ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物、ポリエステルフィルムおよびポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物、ポリエステルフィルムおよびポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023134135A
JP2023134135A JP2022039495A JP2022039495A JP2023134135A JP 2023134135 A JP2023134135 A JP 2023134135A JP 2022039495 A JP2022039495 A JP 2022039495A JP 2022039495 A JP2022039495 A JP 2022039495A JP 2023134135 A JP2023134135 A JP 2023134135A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin composition
polyethylene terephthalate
terephthalate resin
content
quaternary phosphonium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022039495A
Other languages
English (en)
Inventor
泰広 稲川
Yasuhiro Inagawa
凌土 林
Ryoji Hayashi
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2022039495A priority Critical patent/JP2023134135A/ja
Publication of JP2023134135A publication Critical patent/JP2023134135A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

【課題】異物が少なく、色調が良好で、透明性に優れ、耐熱性、良好な静電印加性を有するポリエチレンテレフタレート樹脂組成物、該ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物により形成したポリエステルフィルム、およびポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法を提供する。【解決手段】p-トルエンスルホン酸成分、及び4級ホスホニウム成分を含むポリエチレンテレフタレート樹脂組成物であって、液体クロマトグラフィーにより求められる、前記ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の全重量に対する前記p-トルエンスルホン酸成分の含有量、前記4級ホスホニウム成分の含有量リン元素の含有量、マンガン元素およびカリウム元素の合計含有量が明細書中に記載の範囲であり、明細書中に記載の処理条件にて処理した前記ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を走査型電子顕微鏡で観察した際の、円相当径が1μm以上の粗大異物の含有量が450個/0.1mm2以下である、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物、ポリエステルフィルムおよびポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法に関するものである。
ポリエステルは機械特性、熱特性、耐薬品性、電気特性、成形性に優れ、様々な用途に用いられている。ポリエステルの中でも、特にポリエチレンテレフタレート(以降PETと記す)は、透明性や加工性に優れていることから、各種光学用フィルム、例えば液晶ディスプレイの部材のプリズムシート、光拡散シート、反射板、タッチパネル等のベースフィルム、反射防止用ベースフィルムやディスプレイの防爆用ベースフィルム、PDPフィルター用フィルム等の各種用途に用いられている。しかしながら、用途が幅広くなるにつれて、求められる品位も向上し、金属異物などフィルム欠点の原因を抑制する樹脂組成物が望まれている。
また、PET樹脂をフィルム化する際には、未固化のシート状物の上面に高電圧を印加し、シート状物を回転冷却ドラムに密着させる静電印加キャスト法が多く採用されている。静電印加キャスト法において製膜速度を高めるために回転冷却ドラムの速度を速くしていくと、シート状物と回転冷却ドラムとの密着力が低下しフィルムの厚み均一性や透明性の低下、印加ムラによるフィルム表面の欠点を生じさせる。
これらの課題に対して、例えば特許文献1、2および3には、スルホン酸化合物またはスルホン酸ホスホニウム化合物を添加し、さらにアルカリ金属を添加するポリエステル樹脂組成物の製造方法が提案されている。
特開昭63-15819号公報 特公平7-5765号公報 国際公開第2016/167084号
しかし、ポリエステル樹脂組成物に単にスルホン酸化合物またはスルホン酸ホスホニウム化合物を添加するだけでは、フィルム成形のための静電印加性を得るには不十分であった。また、スルホン酸化合物およびアルカリ金属の添加により異物が発生したり、ポリエステル樹脂組成物の耐熱性が不良となり、ゲル化を引き起こすという課題があった。つまり、前述した従来の技術では、フィルム成形時の静電印加性向上と、金属化合物に由来する異物低減、および耐熱性の改善によるゲル化物発生の抑制を両立するには不十分であった。本発明の目的は、異物が少なく、色調が良好で、透明性に優れ、耐熱性、良好な静電印加性を有するポリエチレンテレフタレート樹脂組成物およびその製造方法を提供することである。
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明は、以下の構成を有する。
〔1〕
p-トルエンスルホン酸成分、及び4級ホスホニウム成分を含むポリエチレンテレフタレート樹脂組成物であって、
液体クロマトグラフィーにより求められる、前記ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の全重量に対する、前記p-トルエンスルホン酸成分の含有量が0.07~0.65mol/t、前記4級ホスホニウム成分の含有量が0.07~0.65mol/tであり、
前記p-トルエンスルホン酸成分の含有量と前記4級ホスホニウム成分の含有量の比である前記p-トルエンスルホン酸成分の含有量(mol/t)/前記4級ホスホニウム成分の含有量(mol/t)が1.10より大きく、2.10以下であり、
前記ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の全重量に対するリン元素の含有量が2~20重量ppm、マンガン元素とカリウム元素との合計含有量が6~50重量ppmであり、
下記処理条件にて処理した前記ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を走査型電子顕微鏡で観察した際の、円相当径が1μm以上の粗大異物の含有量が450個/0.1mm以下である、
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
処理条件:ヤマト科学株式会社製のプラズマリアクターPR300を用いて、真空状態-0.1MPa以下、大気60ml/min、出力100Wにて5分間、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物をプラズマ低温灰化処理法で除去し、粗大な異物を露出させる。
〔2〕
前記4級ホスホニウム成分以外のリン含有成分をさらに含む、〔1〕に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
〔3〕
溶融比抵抗が5.0×10Ω・cm以下である、〔1〕または〔2〕に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
〔4〕
〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物により形成された、ポリエステルフィルム。
〔5〕
磁気記録材料用途、離型用途または光学用途のいずれかに用いる、〔4〕に記載のポリエステルフィルム。
〔6〕
工程(a) テレフタル酸およびエチレングリコールをエステル化する工程、
工程(b) 前記エステル化の反応物を重合装置にて重縮合する工程、および、
工程(c) 前記工程(a)終了後から工程(b)の重縮合反応完了までの間に、前記重合装置にp-トルエンスルホン酸化合物と、4級ホスホニウム化合物と、マンガン元素を含む化合物およびカリウム元素を含む化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とを添加する工程を含み、
前記工程(c)において、前記p-トルエンスルホン酸化合物は、前記4級ホスホニウム化合物、マンガン元素を含む化合物およびカリウム元素を含む化合物とは別々に前記重合装置内に添加され、かつポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の全重量に対するリン元素、マンガン元素、カリウム元素、前記p-トルエンスルホン酸化合物、および前記4級ホスホニウム化合物の添加量が、下記式(I)~(III)を満たす、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法。
2重量ppm≦リン元素の添加量≦32重量ppm (I)
6重量ppm≦マンガン元素およびカリウム元素の合計添加量≦50重量ppm (II)
0.6≦(p-トルエンスルホン酸化合物の添加量(mol/t)/4級ホスホニウム化合物の添加量(mol/t))≦1.1 (III)
本発明は、異物が少なく、色調が良好で、透明性に優れ、耐熱性、良好な静電印加性を有するポリエチレンテレフタレート樹脂組成物、ポリエステルフィルム、およびポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法を提供するものである。
以下に本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において、「重量」、「重量%」、及び「重量部」は、「質量」、「質量%」、及び「質量部」とそれぞれ同義である。
<ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物>
本発明の実施形態に係るポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、p-トルエンスルホン酸成分、及び4級ホスホニウム成分を含むポリエチレンテレフタレート樹脂組成物であって、
液体クロマトグラフィーにより求められる、前記ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の全重量に対する前記p-トルエンスルホン酸成分の含有量が0.07~0.65mol/t、前記4級ホスホニウム成分の含有量が0.07~0.65mol/tであり、
前記p-トルエンスルホン酸成分の含有量と前記4級ホスホニウム成分の含有量の比である前記p-トルエンスルホン酸成分の含有量(mol/t)/前記4級ホスホニウム成分の含有量(mol/t)が、1.10より大きく、2.10以下であり、
前記ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の全重量に対するリン元素の含有量が2~20重量ppm、マンガン元素とカリウム元素との合計含有量が6~50重量ppmであり、
下記処理条件にて処理した前記ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を走査型電子顕微鏡で観察した際の、円相当径が1μm以上の粗大異物の含有量が450個/0.1mm以下である。
処理条件:ヤマト科学株式会社製のプラズマリアクターPR300を用いて、真空状態-0.1MPa以下、大気60ml/min、出力100Wにて5分間、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物をプラズマ低温灰化処理法で除去し、粗大な異物を露出させる。
本発明に用いられるポリエチレンテレフタレートは、本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法において後述するように、テレフタル酸とエチレングリコールをエステル化反応した後、重縮合反応を行うことによって得られるポリエチレンテレフタレートである。本発明に用いられるポリエチレンテレフタレートの分子量としては、16000~20000が好ましい。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の全重量に対するポリエチレンテレフタレートの含有量としては、95重量%以上であることが好ましく、99重量%以上がより好ましい。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、p-トルエンスルホン酸成分および4級ホスホニウム成分を含有する必要がある。ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物にp-トルエンスルホン酸成分および4級ホスホニウム成分を含有させることにより、フィルム成形時の良好な静電印加性を得ることができる。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、液体クロマトグラフィーにより求められる、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の全重量に対するp-トルエンスルホン酸成分の含有量を、0.07~0.65mol/tとする必要がある。好ましい範囲は0.20~0.60mol/t、より好ましくは0.25~0.50mol/tである。p-トルエンスルホン酸成分の含有量が0.07mol/t未満の場合はポリエチレンテレフタレート樹脂組成物溶融時の体積比抵抗が高くなることでフィルム成形時の静電印加キャスト性が不良となり、0.65mol/tを超えると色調が悪化し、p-トルエンスルホン酸成分による異物が発生する。
なお、本発明のp-トルエンスルホン酸成分は、p-トルエンスルホン酸およびそのアルカリ金属塩などのp-トルエンスルホン酸化合物のp-トルエンスルホン酸アニオンを指す。また、本発明に用いられるp-トルエンスルホン酸化合物としては、p-トルエンスルホン酸およびそのアルカリ金属塩が例示され、なかでもp-トルエンスルホン酸が好ましい。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、液体クロマトグラフィーにより求められる、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の全重量に対する4級ホスホニウム成分の含有量を、0.07~0.65mol/tとする必要がある。好ましい範囲は0.10~0.49mol/t、より好ましくは0.15~0.33mol/tである。4級ホスホニウム成分の含有量が0.07mol/t未満の場合はポリエチレンテレフタレート樹脂組成物中の4級ホスホニウム成分に対するp-トルエンスルホン酸成分の比率が高くなることによりp-トルエンスルホン酸成分起因の異物が発生し、0.65mol/tを超えるとポリエチレンテレフタレート樹脂組成物溶融時の体積比抵抗が高くなることでフィルム成形時の静電印加キャスト性が不良となる。
なお、本発明における4級ホスホニウム成分は、4級ホスホニウムカチオンを指す。4級ホスホニウムカチオンとしては、4級ホスホニウム化合物におけるカチオン成分を用いてもよい。
本発明に用いられる4級ホスホニウム化合物としては、テトラエチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、テトラヘキシルホスホニウム、メチルトリブチルホスホニウム、エチルトリブチルホスホニウム、オクチルトリブチルホスホニウム、ヘキサデシルトリブチルホスホニウム、ベンジルトリメチルホスホニウム、ベンジルトリエチルホスホニウム、3-(トリフルオロメチル)フェニルトリメチルホスホニウムの水酸化物や、塩化物や臭化物といったハロゲン化物が例示され、なかでもテトラブチルホスホニウムヒドロキシド(TBPH)が好ましい。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、p-トルエンスルホン酸成分の含有量(mol/t)/4級ホスホニウム成分の含有量(mol/t)が1.10より大きい必要がある。好ましい範囲は1.40以上、より好ましくは1.70以上である。p-トルエンスルホン酸成分及び4級ホスホニウム成分の含有量比を1.10より大きくとすることにより、フィルム成形時に良好な静電印加性を得ることが可能となる。1.10以下の場合、フィルム成形時の静電印加キャスト性が不良となる。
また、上記含有量比が2.10以下である必要がある。好ましい範囲は2.00以下、より好ましくは1.90以下である。上記含有量比を2.10以下とすることにより、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物中の円相当径が1μm以上の粗大異物(以下、単に粗大異物と称する場合がある)の発生量を少なくすることができる。
液体クロマトグラフィーを用いたp-トルエンスルホン酸、および4級ホスホニウム成分の含有量測定の詳細条件については、実施例において説明する。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、4級ホスホニウム成分以外のリン含有成分をさらに含むことが好ましい。
すなわち、本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、4級ホスホニウム成分と、それ以外のリン含有成分を含有することが好ましい。4級ホスホニウム成分以外のリン含有成分を含有させるために用いられるリン化合物としては、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、ホスホノ酢酸、もしくはこれらのメチルエステルまたはエチルエステル、フェニルエステル、さらにはハーフエステルより成る群から選ばれた一種以上が挙げられ、これら2種以上を混合して用いても良く、より好ましくはリン酸が用いられる。4級ホスホニウム成分以外にリン含有成分を含有することにより、得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の耐熱性をより向上させることが可能となる。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の全重量に対してリン元素(原子)を2~20重量ppm含有する必要がある。好ましい範囲は10~18重量ppmである。リン元素の含有量が2重量ppm未満の場合はポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の色調および耐熱性が不良となり、20重量ppmを超えるとフィルム成形時の静電印加キャスト性が不良となる。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、マンガン元素およびカリウム元素の合計含有量が、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の全重量に対して6~50重量ppmである必要がある。好ましい範囲は8~40重量ppm、より好ましくは10~30重量ppmである。元素(原子)の含有量が6重量ppm未満の場合はポリエチレンテレフタレート樹脂組成物がゲル化を引き起こし、50重量ppmを超えるとマンガン元素およびカリウム元素が金属異物を形成し異物が発生し、色調が不良となる。
本発明におけるマンガン元素を含む化合物としては、特に限定されないが、酢酸マンガンを用いることが好ましい。酢酸マンガンは水和物であってもよい。
本発明におけるカリウム元素を含む化合物としては、特に限定されないが、水酸化カリウムを用いることが好ましい。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物中のリン元素、マンガン元素、およびカリウム元素の含有量は、蛍光X線分析装置を用いて測定することができる。具体的な方法は、実施例において説明する。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、さらに触媒を含んでいてもよい。触媒は、後述の重縮合反応に用いられる触媒である。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の重縮合反応に用いられる触媒は、公知の重合触媒を用いることが出来る。例えば、アンチモン、チタン、アルミニウム、スズ、ゲルマニウム、亜鉛、コバルト、鉛、マンガン、マグネシウムの酸化物、カルボン酸塩、酢酸塩、水酸化物、キレート錯体、アルコキシドといった化合物が挙げられる。また、これらの金属化合物は、水和物であってもよい。重合時間の観点から、アンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物を重合触媒として用いることが好ましい。さらに、金属アンチモン由来の異物抑制の観点から、チタン化合物、またはゲルマニウム化合物を重合触媒に用いることがより好ましい。これら重合触媒を添加する際の形態は粉体、スラリー、溶液のいずれでもよく、分散性の点から溶液またはスラリーとして添加することが好ましい。このときの溶媒は、エチレングリコールであることが好ましい。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物について、重縮合反応の触媒にアンチモン化合物を使用する場合は、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の全重量に対してアンチモン元素の含有量を60~300重量ppmの範囲にすることが好ましく、さらには60~100重量ppmの範囲であることが好ましい。アンチモン元素の含有量を60重量ppm以上とすることにより、十分な重合反応性が得られ、既定の重合度まで重合することができる。アンチモン元素の含有量を300重量ppm以上とすることにより、十分な、アンチモン金属に由来する異物が形成しにくいため、フィルムの欠点生じにくい。さらに、アンチモン金属に由来する異物を低減する観点から、アンチモン元素の含有量は100重量ppm以下であることが好ましい。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物について、重縮合反応の触媒にチタン化合物を使用する場合は、重合反応性および分解反応に対する活性の観点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の全重量に対してチタン元素(原子)の含有量を0.1~20重量ppmの範囲にすることが好ましく、さらには0.1~7重量ppmの範囲であることがより好ましい。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物について、重縮合反応の触媒にゲルマニウム化合物を使用する場合は、重合反応性および分解反応に対する活性の観点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の全重量に対してゲルマニウム元素の含有量を5~150重量ppmの範囲にすることが好ましい。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、本発明の効果を妨げない範囲で、従来公知の方法で粒子を含有させることができる。ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に含有させる粒子は、無機粒子であればシリカ、アルミナ、硫酸バリウム、炭酸バリウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、二酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、カオリン、タルク、マイカ、カーボンブラック、シリコンが、有機粒子であれば架橋ポリスチレン、架橋シリコン、架橋アクリル、架橋スチレン-アクリル、架橋ポリエステル、ポリイミド、メラミンの樹脂粒子が例示されるが、粒子の種類は特に限定されない。経済性、熱安定性、粒子分散性の観点から、シリカ粒子、アルミナ粒子、架橋ポリスチレン粒子を用いることが好ましい。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に粒子を含有させる方法は特に限定されないが、粒子分散性を向上させる観点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の重縮合反応時に添加する方法や、二軸混練押出機などを用いて重縮合反応後のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物と混練する方法により、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に含有させることが好ましい。また、本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に含有させる粒子種の数は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されず、1種以上の粒子を含有させることができる。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に粒子を含有させる際の形態は粉体、スラリーのいずれでもよく、分散性の点からスラリーとして添加することが好ましい。また、スラリーは水スラリーでも、エチレングリコールのスラリーのいずれでも良いが、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の粒子分散性の観点から、エチレングリコールであることが好ましい。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、下記処理条件にて処理したポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した際の、円相当径が1μm以上の粗大異物の含有量が450個/0.1mm以下である必要がある。好ましくは420個/0.1mm以下、よりに好ましくは360個/0.1mm以下である。粗大異物が450個/0.1mmを超えると、得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物をフィルムとした際に、欠点が多いフィルムとなる。
処理条件:ヤマト科学株式会社製のプラズマリアクターPR300を用いて、真空状態-0.1MPa以下、大気60ml/min、出力100Wにて5分間、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物をプラズマ低温灰化処理法で除去し、粗大な異物を露出させる。
粗大異物の含有量の具体的な測定方法は、実施例において説明する。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、溶融比抵抗が5.0×10Ω・cm以下であることが好ましい。より好ましくは3.0×10Ω・cm以下、さらに好ましくは2.5×10Ω・cm以下である。溶融比抵抗が5.0×10Ω・cm以下であることにより、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物がフィルム成形時の良好な静電印加性を得ることができる。
<ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法>
本発明の実施形態に係るポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法は、
工程(a) テレフタル酸およびエチレングリコールをエステル化する工程、
工程(b) 前記エステル化の反応物を重合装置にて重縮合する工程、および、
工程(c) 前記工程(a)終了後から工程(b)の重縮合反応完了までの間に、前記重合装置にp-トルエンスルホン酸化合物と、4級ホスホニウム化合物と、マンガン元素を含む化合物およびカリウム元素を含む化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とを添加する工程を含み、
前記工程(c)において、前記p-トルエンスルホン酸化合物は、前記4級ホスホニウム化合物、マンガン元素を含む化合物およびカリウム元素を含む化合物とは別々に前記重合装置内に添加され、かつポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の全重量に対するリン元素、マンガン元素、カリウム元素、前記p-トルエンスルホン酸化合物、および前記4級ホスホニウム化合物の添加量が、下記式(I)~(III)を満たす。
2重量ppm≦リン元素の添加量≦32重量ppm (I)
6重量ppm≦マンガン元素およびカリウム元素の合計添加量≦50重量ppm (II)
0.6≦(p-トルエンスルホン酸化合物の添加量(mol/t)/4級ホスホニウム化合物の添加量(mol/t))≦1.1 (III)
本発明の実施形態に係るポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、上記製造方法により製造してもよい。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法は、テレフタル酸およびエチレングリコールをエステル化する工程(工程(a))、エステル化の反応物を重合装置にて重縮合する工程(工程(b))を有する。すなわち、本発明に用いられるポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸とエチレングリコールをエステル化反応した後、重縮合反応を行うことによって得られるポリエチレンテレフタレートである。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法では、エステル化反応(工程(a))終了後から重縮合反応(工程(b))完了までの間に、p-トルエンスルホン酸化合物と、4級ホスホニウム化合物と、マンガン元素を含む化合物およびカリウム元素を含む化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とを、それぞれ添加する必要がある(工程(c))。ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に均一に混合させる観点から、重縮合反応開始前までに添加することが好ましい。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法では、p-トルエンスルホン酸化合物は、4級ホスホニウム化合物、マンガン元素を含む化合物およびカリウム元素を含む化合物とは別々に系内に添加される必要がある。p-トルエンスルホン酸化合物と4級ホスホニウム化合物を同時に系内に添加した場合、分散が不良となりフィルム成形時の静電印加キャスト性が不良となり、またp-トルエンスルホン酸化合物と、マンガン元素を含む化合物およびカリウム元素を含む化合物とを同時に系内に添加した場合、化合物の反応により異物が発生する。
p-トルエンスルホン酸化合物の系内への添加と、4級ホスホニウム化合物、マンガン元素を含む化合物およびカリウム元素を含む化合物の系内への添加の間隔は、3分以上開けることが好ましい。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法では、(I)、(II)に示すように、リン元素の添加量を2~32重量ppm、マンガン元素およびカリウム元素の合計添加量を6~50重量ppmとする必要がある。上記添加量とすることにより、得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物中のリン元素の含有量を2~20重量ppm、マンガン元素およびカリウム元素の合計含有量を6~50重量ppmとすることができる。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法では、(III)に示すように、p-トルエンスルホン酸化合物の添加量(mol/t)/4級ホスホニウム化合物の添加量(mol/t)が0.6~1.1である必要がある。0.6未満の場合はフィルム成形時の静電印加キャスト性が不良となり、1.1を超えると異物が発生する。本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造において、特に4級ホスホニウム化合物は反応中に飛散や昇華により系内から失われやすく、p-トルエンスルホン酸成分と4級ホスホニウム成分の比率が添加時とポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の反応終了後で変動してしまう。そのため、各化合物の添加量を規定の範囲とすることにより、得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物中のp-トルエンスルホン酸成分の含有量(mol/t)/4級ホスホニウム成分の含有量(mol/t)を、1.10より大きく、2.10以下の値とすることが可能となり、それによりポリエチレンテレフタレート樹脂組成物中の異物を抑制し、かつ良好な静電印加キャスト性を得ることが可能となる。
以下に、本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法を具体的に記載する。
まず、原料としてテレフタル酸とエチレングリコールを反応缶に仕込み、エステル化反応することによりビスヒドロキシエチルテレフタレートおよびその多量体により構成されるエステル化反応物(以降BHTと呼ぶ)を得る。次にこのBHTを重合槽へ移送し、p-トルエンスルホン酸とテトラブチルホスホニウム等のリン元素を含む化合物をそれぞれ別々に添加する。次いで酢酸マンガン等のマンガン元素を含む化合物および水酸化カリウム等のカリウム元素を含む化合物の少なくともいずれか一方を添加し、重合触媒として従来既知のアンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物などの重合触媒を添加した後、装置内温度をゆっくり279℃まで加熱し、常圧から133Pa以下まで減圧する。重合反応の進行に従って反応物の粘度が上昇する。所定の撹拌トルクとなった時点で反応を終了し、重合装置からポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を水槽へ吐出する。吐出されたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は水槽で急冷され、カッターでペレット状とする。
得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、乾燥工程前に予備結晶化することが好ましい。予備結晶化はポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に機械的衝撃を与えせん断処理を施す方法や、熱風流通下で加熱処理を施す方法などを採用することができる。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物について、高分子量のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を得るため、固相重合を行ってもよい。固相重合は、装置・方法は特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を不活性ガス雰囲気下または減圧下、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の融点以下の温度で加熱処理することで実施される。不活性ガスはポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して不活性なものであればよく、例えば窒素、ヘリウム、炭酸ガスなどを挙げることができるが、経済性から窒素が好ましく用いられる。また、減圧条件では、より高真空にすることが固相重合反応に要する時間を短くできるため有利であり、具体的には110Pa以下を保つことが好ましい。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、フィルム、繊維、成形体などの各種用途に好適に用いることができ、良好な静電印加性および透明性を有していることから、特にフィルムに好適に用いることができる。また、本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物をフィルムに成形するときは、公知の成形加工方法でフィルムを成形することができる。本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物をフィルムに加工する際に、本発明の効果を損なわない範囲で各種添加剤、例えば、顔料および染料を含む着色剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、核剤、可塑剤、離型剤などの添加剤を1種以上添加することもできる。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物からなるフィルムは、溶融押出による未延伸フィルムであっても、または1軸延伸、2軸延伸を施した延伸フィルムであっても構わない。また、2軸延伸を施す場合は、逐次2軸延伸フィルムであっても同時2軸延伸フィルムであっても構わない。例えば、得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のペレットを180℃で3時間以上真空乾燥した後、固有粘度が低下しないように窒素気流下あるいは真空下で280~320℃に加熱された押出機に供給し、繊維焼結ステンレス金属フィルター内を通過させた後、スリット状のダイから押出し、キャストドラムに静電荷を印加させながら冷却して未延伸フィルムを得る。さらに、この未延伸フィルムを赤外線ヒーター装置に導き、ロール間でフィルムの走行方向である長手方向に延伸することで1軸延伸フィルムを得る。次いで、1軸延伸フィルムをクリップで把持して加熱しながら長手方向と直交する幅方向に延伸した後、冷却により結晶配向を完了させて逐次2軸延伸フィルムを得る。あるいは、未延伸フィルムを長手および幅方向に同時に延伸することで同時2軸延伸フィルムを得る。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物からなるフィルムは、フィルム全体が同じ樹脂で構成される単膜フィルムであっても構わないし、本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物と他のポリエステル樹脂組成物を配合して構成される単膜フィルムであっても構わない。また、本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を含むフィルム層が少なくとも1層含まれる積層フィルムであっても構わない。本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を含むフィルム層を積層する場合、本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の配合量は特に限定されるものではない。また、得られるポリエステルフィルムに易滑性を与える観点から、粒子を含有したポリエステル樹脂組成物を配合することができる。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、異物が少なく、色調が良好で、耐熱性、良好な静電印加性を有することから、磁気記録材料用途のフィルムや、積層セラミックコンデンサのグリーンシート成形用基材、液晶偏光板のセパレータ、ドライフィルムレジスト用基材のような離型用途のフィルム、光学用途の高品位フィルムに好適に使用できる。本発明のポリエステル樹脂組成物からなるポリエステルフィルムは、成形時に良好な静電印加性を有し、フィルムの厚みムラが少なく、金属異物が少なく透明性に優れる特徴をもつ。
本発明は、上述のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物により形成されたポリエステルフィルムにも関する。また、本発明は、磁気記録材料用途、離型用途、又は光学用途のいずれかに用いる上記ポリエステルフィルムにも関する。
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。なお、物性の測定方法、効果の評価方法は以下の方法で行った。
(1)ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の固有粘度[η](単位:dl/g)
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の0.1gを0.001g以内の精度で秤量し、10mLのo-クロロフェノール(以降OCPと呼ぶ)を用いて100℃×30分間加熱して溶解した。溶液を室温まで冷却し、25℃の水槽中に設置したオストワルド粘度計に該溶液を8mL仕込み、標線を通過する秒数を計測した(A秒)。また、OCPのみ8mL用いて前記と同様に25℃の水槽中に設置したオストワルド粘度計で標線を通過する秒数を計測した(B秒)。固有粘度[η]は、[η]=-1+[1+4×K×{(A/B)-1}]^0.5/(2×K×C)の式により算出した。ここで、Kは0.343、Cは試料溶液の濃度(g/100mL)である。
(2)p-トルエンスルホン酸成分および4級ホスホニウム成分の含有量(単位:mol/t)
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物0.5gをヘキサフルオロイソプロパノール8mLに溶解し、ジクロロメタン10mLで希釈後、メタノール30mLを徐々に添加し再沈した。遠心分離を行い、上澄液をダルマフラスコに採取した。残渣にジクロロメタン10mLとメタノール20mLを加えて洗浄し、上澄液を先ほどのダルマフラスコに採取した。ダルマフラスコを80℃に加温しながら緩やかに窒素ガスを吹き付け、濃縮後、ジメチルスルホキシドにてメスアップを行い、液体クロマトグラフィー(以降HPLCと記す)の試料とした。
試料中のp-トルエンスルホン酸成分の含有量(mol/t)は、あらかじめ作成しておいたp-トルエンスルホン酸の検量線からHPLC装置を用いて求めた。また、4級ホスホニウム成分の含有量(mol/t)は、あらかじめ作成しておいた各物質(テトラブチルホスホニウムヒドロキシド、テトラエチルホスホニウムヒドロキシド、その他の4級ホスホニウム化合物を添加した場合でも同様)の検量線から、HPLC装置を用いて求めた。なお、HPLCで成分分割した各成分の同定には、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC-MS)による分析を行った。
HPLC測定条件は以下の通りである。
メーカー:HITACHI
機種名:Chromaster(検出器:5420、カラムオーブン:6310)
カラム:ODS-2 6.0×250mm、5μm(GLサイエンス)
移動相:A:B=40:60(A:0.1%リン酸水溶液、B:アセト二トリル)
流量:1.2mL/分
注入量:30μL
カラム温度:45℃
UV波長:235nm
(3)ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物中の元素(原子)含有量(単位:重量ppm)
リン元素、マンガン元素およびカリウム元素の含有量については、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の試料ペレットを溶融プレス機で円柱状に成形し、理学電機(株)製蛍光X線分析装置(型番:3270)を用いて蛍光X線強度を求め、あらかじめ作成しておいた検量線から算出した。
(4)ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の色調b値
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の樹脂ペレットを円柱状の粉体測定用セルに充填し、スガ試験機(株)社製の色差計(SMカラーメーターSM-T)で反射法を用いて、b値をn=3で測定した。測定値の算術平均を色調b値として、色調の評価指標とした。この値が8.5以下であれば良好、8.5より大きく9.0以下であれば合格、9.0を上回る場合は不合格とした。
(5)ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の溶融比抵抗(単位:Ω・cm)
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を290℃で溶融した後、面積0.5cmのステンレス製電極2枚を8mmの間隔で並行に挿入し、温度が安定した後に抵抗計(日置電機株式会社製:抵抗計RM3545)で抵抗値(R)を測定した。続いて、ρ(Ω・cm)=R×0.5/0.8 の式から溶融比抵抗(ρ)を算出した。この値が2.5×10Ω・cm以下であれば良好、2.5×10Ω・cmより大きく5.0×10Ω・cm以下を合格、5.0×10Ω・cmを上回る場合を不合格とした。
(6)ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の耐熱性(主鎖分断率(%BB))(単位:%)
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物5gを試験管に採取し、160℃で5時間真空乾燥後、290℃のオイルバス中で窒素気流300ml/分流通下、6時間溶融した。溶融物の固有粘度[η]6hr、および溶融前の固有粘度[η]0hrを用いて、主鎖分断率(%)=0.27×{[η]6hr^(-1.33)-[η]0hr^(-1.33)}の式により主鎖分断率を算出した。この値が0.50%以下であれば良好、0.50%より大きく0.55%以下であれば合格、0.55%を上回る場合を不合格とした。
(7)ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の粗大異物(単位:個/0.1mm
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を下記条件にて処理し、測定試料とした。
処理条件:ヤマト科学株式会社製のプラズマリアクターPR300を用いて、真空状態-0.1MPa以下、大気60ml/min、出力100Wにて5分間、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物をプラズマ低温灰化処理法で除去し、粗大な異物を露出させる。
その測定試料を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、異物画像をイメージアナライザで処理した。SEMの倍率は1000倍を選択した。観察箇所を変えて0.1平方mm以上測定を行い、白色物について円相当径が1μm以上を異物とし異物個数をカウントした。0.1平方mmあたりの総個数360個以下を良好、361個以上450個以下を合格、451個以上は不合格とした。
(8)ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のゲル化率(単位:%)
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の樹脂ペレットを凍結粉砕器(Sprex CertiPerp社製)にて粉砕し、ステンレスビーカーに0.5g秤量した。真空乾燥機を用いて、50℃で2時間真空乾燥した後、空気と窒素の混合気体で酸素濃度1%とし、試料を秤量したステンレスビーカーに酸素濃度1%の混合気体を配管より通した後、該容器を300℃のオイルバスに浸し、酸素濃度1%の空気と窒素の混合気体を0.5L/分の流量で流通下、6時間加熱処理を行った。これを、20mlのOCPで、160℃で1時間溶解し、放冷した。この溶液を、ガラスフィルター(柴田化学社製、3GP40)を使用し濾過、ジクロロメタンにてガラスフィルターを洗浄した。ガラスフィルターを130℃で2時間乾燥し、濾過前後のガラスフィルターの重量の増分より、フィルターに残留したOCP不溶物(ゲル)の重量を算出し、OCP不溶物のポリエチレンテレフタレート重量に対する重量分率を求め、ゲル化率(%)とした。ゲル化率は10%以下であれば良好、10%より大きく15%以下であれば合格、15%を上回る場合を不合格とした。
(9)ポリエステルフィルムの製膜性
実施例・比較例において未延伸フィルムを製膜した際に、以下の基準で製膜性を判断した。
○(良好):問題なくフィルムが作成できた。
△(合格):キャストドラムへの密着性の低下が見られるが、フィルムの作成は問題なかった。
×(不合格):キャストドラムへの密着性が不良となり、フィルムの作成が困難となった。
(10)ポリエステルフィルムの全光線透過率(単位:%)
実施例・比較例に記載の方法で作成したフィルムについて、JIS-K 7361(1997)に準拠し、日本電色工業株式会社製NDH-5000を用い、フィルムからランダムに3カ所選んで測定に供し、平均値を求めて全光線透過率(%)とした。この値が89.0%以上であれば良好、89.0%未満88%以上であれば合格とし、88%を下回る場合は不合格と判断した。
(実施例1)
250℃にて溶解したBHT105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対して1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、水を留出させながらエステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245~250℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とし、得られたBHTのうち105重量部(PET100重量部相当)を留出装置の付いた重合装置に溶融状態で仕込んだ。
p-トルエンスルホン酸を0.0112重量部添加した後、5分間撹拌を行い、4級ホスホニウム化合物としてテトラブチルホスホニウムヒドロキシド(TBPH)を0.0077重量部添加してさらに5分間撹拌を行った後、酢酸マンガン四水塩をマンガン元素として20重量ppm、4級ホスホニウム化合物以外のリン化合物としてリン酸を0.0024重量部、三酸化二アンチモンを0.0084重量部を添加した。p-トルエンスルホン酸成分の添加量は0.41mol/t、4級ホスホニウム成分の添加量は0.41mol/tであり、p-トルエンスルホン酸化合物の添加量(mol/t)/4級ホスホニウム化合物の添加量(mol/t)は1.0であった。また、4級ホスホニウム化合物とそれ以外のリン化合物を合わせたリン元素の添加量は20重量ppmであった。引き続いて重縮合反応槽内を除々に減圧にし、35分で133Pa以下とし、それと同時に除々に昇温して279℃とし、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の固有粘度が0.625dl/gとなるまで重合反応を実施した。その後、窒素ガスによって重縮合反応槽を常圧に戻し、口金より冷水中にストランド状に吐出し、押し出しカッターによって円柱状にペレット化してポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を得た。
得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の構成及び特性を表1、3及び4に示す。p-トルエンスルホン酸成分の含有量は0.41mol/t、4級ホスホニウム成分の含有量は0.22mol/tであり、p-トルエンスルホン酸成分の含有量(mol/t)/4級ホスホニウム成分の含有量(mol/t)は1.90、色調b値は8.4、溶融比抵抗は2.0×10Ω・cm、%BBは0.44%、粗大異物は340個/0.1mm、ゲル化率は9.8%であり、いずれも良好であった。
得られたポリエステル樹脂組成物の樹脂ペレットを160℃で8時間減圧乾燥した後、押出機に供給し、285℃の温度条件下で溶融押出しをおこない、静電印加された20℃のキャストドラム上にキャストすることで未延伸シートを得た。この未延伸シートを90℃に加熱された延伸ロールによって長手方向に3.5倍延伸し、次いでテンター式延伸機によって120℃で幅方向に4.0倍延伸し、その後230℃で10秒間の熱固定を施した。冷却ゾーンで均一に徐冷後、ロールに巻き取り、厚み16μmのポリエステルフィルムを得た。
このポリエステルフィルムの製膜性は良好であり、また、得られたポリエステルフィルムの全光線透過率は90.0%であり良好であった。
(実施例2)
4級ホスホニウム化合物としてテトラエチルホスホニウムヒドロキシドを添加した以外は実施例1と同様にしてポリエチレンテレフタレート樹脂組成物およびポリエステルフィルムを製造した。その条件および結果を表1、3及び4に示す。実施例2においては、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の色調b値、%BB、粗大異物およびゲル化率は良好であり、溶融比抵抗は合格であった。また、ポリエステルフィルムの製膜性は良好であり、得られたポリエステルフィルムの全光線透過率は良好であった。
(実施例3~5)
4級ホスホニウム化合物以外のリン化合物を、表3に記載の通り変更した以外は実施例1と同様にしてポリエチレンテレフタレート樹脂組成物およびポリエステルフィルムを製造した。その条件および結果を表1、3及び4に示す。実施例3、4においては、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の色調b値、溶融比抵抗、%BB、粗大異物およびゲル化率は良好であった。また、ポリエステルフィルムの製膜性は良好であり、得られたポリエステルフィルムの全光線透過率は良好であった。実施例5においては、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の色調b値、溶融比抵抗、および粗大異物は良好であり、%BBおよびゲル化率は合格であった。また、ポリエステルフィルムの製膜性は良好であり、得られたポリエステルフィルムの全光線透過率は良好であった。
(実施例6~7)
リン酸の添加量を、表3に記載の通り変更した以外は実施例1と同様にしてポリエチレンテレフタレート樹脂組成物およびポリエステルフィルムを製造した。その条件および結果を表1、3及び4に示す。実施例6においては、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物中のリン元素の量が多いことにより粗大異物が若干増加したが合格であった。実施例7においては、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物中のリン元素の含有量が少ないことによりポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のゲル化率は若干上昇したが合格であった。
(実施例8~17)
p-トルエンスルホン酸およびテトラブチルホスホニウムヒドロキシドの添加量を、表1に記載の通り変更した以外は実施例1と同様にしてポリエチレンテレフタレート樹脂組成物およびポリエステルフィルムを製造した。その条件および結果を表1、3及び4に示す。実施例8、9においては、p-トルエンスルホン酸成分、4級ホスホニウム成分およびリン元素の量が多いことによりポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の粗大異物が若干増加したが合格であり、また実施例9においては得られたポリエステルフィルムの全光線透過率についても低下が見られたが合格であった。実施例10においては、p-トルエンスルホン酸成分、4級ホスホニウム成分およびリン元素の量が少ないが、いずれの特性も良好であった。実施例11においては、p-トルエンスルホン酸成分、4級ホスホニウム成分およびリン元素の量が少ないことによりポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の溶融比抵抗が若干上昇したが合格であった。実施例12においては、p-トルエンスルホン酸成分が多く、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物中のp-トルエンスルホン酸成分/4級ホスホニウム成分の値が高いことによりポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の粗大異物が若干増加し、得られたポリエステルフィルムの全光線透過率が若干低下したが合格であった。実施例13、14においては、p-トルエンスルホン酸成分が少なく、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物中のp-トルエンスルホン酸成分/4級ホスホニウム成分の値が低いが、いずれの物性も良好であった。実施例15、16においては、4級ホスホニウム成分およびリン元素の量が多く、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物中のp-トルエンスルホン酸成分/4級ホスホニウム成分の値が低いが、いずれの物性も良好であった。実施例17においては、4級ホスホニウム成分およびリン元素の量が少なく、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物中のp-トルエンスルホン酸成分/4級ホスホニウム成分の値が高いことによりポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の粗大異物が若干増加し、得られたポリエステルフィルムの全光線透過率が若干低下したが合格であった。
(実施例18~21)
酢酸マンガン四水塩の添加量を変更し、マンガン元素の含有量を表3に記載の通りとした以外は実施例1と同様にしてポリエチレンテレフタレート樹脂組成物およびポリエステルフィルムを製造した。その条件および結果を表1~4に示す。実施例18、19においては、マンガン元素の量が多いことによりポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の粗大異物が若干増加し、また実施例19においてはポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の%BBが若干上昇し、得られたポリエステルフィルムの全光線透過率が若干低下したが合格であった。実施例20、21においては、マンガン元素の量が少ないことによりポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のゲル化率が若干上昇したが合格であった。
(実施例22~26)
酢酸マンガン四水塩の代わりに、水酸化カリウムをカリウム元素の添加量が表3に記載の通りとなるよう添加した以外は実施例1と同様にしてポリエチレンテレフタレート樹脂組成物およびポリエステルフィルムを製造した。その条件および結果を表2~4に示す。実施例22、23においては、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の色調b値、溶融比抵抗、%BBおよび粗大異物は良好であり、ゲル化率は合格であった。また、ポリエステルフィルムの製膜性は良好であり、得られたポリエステルフィルムの全光線透過率は良好であった。実施例24においては、色調b値が若干上昇したが合格であり、その他はいずれの物性も良好であった。実施例25、26においては、カリウム元素の量が少ないことによりポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のゲル化率が若干上昇し、また実施例26においては、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の溶融比抵抗が若干低下したが合格であり、その他はいずれの物性も良好であった。
(比較例1)
得られたエステル化反応物を重合装置に仕込んだ後、p-トルエンスルホン酸とテトラブチルホスホニウムヒドロキシドを同時に添加して5分間撹拌を行い、酢酸マンガン四水塩、リン酸および三酸化二アンチモンを添加した以外は実施例1と同様にしてポリエチレンテレフタレート樹脂組成物およびポリエステルフィルムを製造した。その条件および結果を表2~4に示す。比較例1においては、p-トルエンスルホン酸化合物と4級ホスホニウム化合物を同時に添加したため、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物中の化合物の分散状態が不良となったことでキャストドラム上へのキャスト時に静電印加ムラが発生し、製膜性が不合格となった。
(比較例2)
得られたエステル化反応物を重合装置に仕込んだ後、p-トルエンスルホン酸と酢酸マンガン四水塩を同時に添加して5分間撹拌を行い、テトラブチルホスホニウムヒドロキシドを添加して5分間撹拌を行った後、リン酸および三酸化二アンチモンを添加した以外は実施例1と同様にしてポリエチレンテレフタレート樹脂組成物およびポリエステルフィルムを製造した。その条件および結果を表2~4に示す。比較例2においては、p-トルエンスルホン酸化合物とマンガン元素を含む化合物を同時に添加したため、異物が発生しポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の粗大異物が不合格となった。
(比較例3)
得られたエステル化反応物を重合装置に仕込んだ後、p-トルエンスルホン酸と水酸化カリウムを同時に添加して5分間撹拌を行い、テトラブチルホスホニウムヒドロキシドを添加して5分間撹拌を行った後、リン酸および三酸化二アンチモンを添加した以外は実施例22と同様にしてポリエチレンテレフタレート樹脂組成物およびポリエステルフィルムを製造した。その条件および結果を表2~4に示す。比較例3においては、p-トルエンスルホン酸化合物とカリウム元素を含む化合物を同時に添加したため、異物が発生しポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の粗大異物が不合格となった。
(比較例4)
得られたエステル化反応物を重合装置に仕込んだ後、p-トルエンスルホン酸テトラブチルホスホニウムを0.0175重量部添加して5分間撹拌を行い、酢酸マンガン四水塩、リン酸および三酸化二アンチモンを添加した以外は実施例1と同様にしてポリエチレンテレフタレート樹脂組成物およびポリエステルフィルムを製造した。その条件および結果を表2~4に示す。比較例4においては、p-トルエンスルホン酸化合物と4級ホスホニウム化合物を別々の化合物として添加しなかったため、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物中の化合物の分散状態が不良となったことでキャストドラム上へのキャスト時に静電印加ムラが発生し、製膜性が不合格となった。
(比較例5~7)
p-トルエンスルホン酸およびテトラブチルホスホニウムヒドロキシドの添加量を、表3に記載の通り変更した以外は実施例1と同様にしてポリエチレンテレフタレート樹脂組成物およびポリエステルフィルムを製造した。その条件および結果を表2~4に示す。比較例5においては、p-トルエンスルホン酸成分の含有量が規定の範囲を超えたため、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の色調b値および粗大異物が不合格となり、また、得られたポリエステルフィルムの全光線透過率が不合格となった。比較例6においては、p-トルエンスルホン酸成分および4級ホスホニウム成分の含有量が規定の範囲を下回ったため、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の溶融比抵抗が不合格となった。比較例7においては、4級ホスホニウム成分の含有量が規定の範囲を下回ったため、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の溶融比抵抗が不合格となった。
(比較例8)
4級ホスホニウム化合物の添加を行わない以外は実施例1と同様にしてポリエチレンテレフタレート樹脂組成物およびポリエステルフィルムを製造した。その条件および結果を表2~4に示す。比較例8においては、4級ホスホニウム成分を含有していないため、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の溶融比抵抗および粗大異物が不合格となった。
(比較例9~12)
p-トルエンスルホン酸およびテトラブチルホスホニウムヒドロキシドの添加量を、表1に記載の通り変更した以外は実施例1と同様にしてポリエチレンテレフタレート樹脂組成物およびポリエステルフィルムを製造した。その条件および結果を表2~4に示す。比較例9、12においては、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物中のp-トルエンスルホン酸成分/4級ホスホニウム成分の値が規定の範囲を超えたため、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の粗大異物が不合格となり、また、得られたポリエステルフィルムの全光線透過率が不合格となった。比較例10、11においては、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物中のp-トルエンスルホン酸成分/4級ホスホニウム成分の値が規定の範囲を下回ったため、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の溶融比抵抗が不合格となり、製膜性が不合格となった。
(比較例13)
リン酸の添加量を、表3に記載の通り変更した以外は実施例1と同様にしてポリエチレンテレフタレート樹脂組成物およびポリエステルフィルムを製造した。その条件および結果を表2~4に示す。比較例13においては、リン元素の添加量および含有量が規定の範囲を超えたため、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の粗大異物が不合格となり、また、得られたポリエステルフィルムの全光線透過率が不合格となった。また、キャストドラム上へのキャスト時に静電印加ムラが発生し、製膜性が不合格となった。
(比較例14、15)
酢酸マンガン四水塩の添加量を変更し、マンガン元素の含有量を表3に記載の通りとした以外は実施例1と同様にしてポリエチレンテレフタレート樹脂組成物およびポリエステルフィルムを製造した。その条件および結果を表2~4に示す。比較例14においては、マンガン元素およびカリウム元素の合計含有量が規定の範囲を超えたため、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の色調b値、%BBおよび粗大異物が不合格となった。比較例15においては、マンガン元素およびカリウム元素の合計含有量が規定の範囲を下回ったため、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のゲル化率が不合格となった。
(比較例16、17)
酢酸マンガン四水塩の代わりに、水酸化カリウムをカリウム元素の添加量が表3に記載の通りとなるよう添加した以外は実施例1と同様にしてポリエチレンテレフタレート樹脂組成物およびポリエステルフィルムを製造した。その条件および結果を表2~4に示す。比較例16においては、マンガン元素およびカリウム元素の合計含有量が規定の範囲を超えたため、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の色調b値が不合格となった。比較例17においては、マンガン元素およびカリウム元素の合計含有量が規定の範囲を下回ったため、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のゲル化率が不合格となった。
Figure 2023134135000001
Figure 2023134135000002
Figure 2023134135000003
Figure 2023134135000004

Claims (6)

  1. p-トルエンスルホン酸成分、及び4級ホスホニウム成分を含むポリエチレンテレフタレート樹脂組成物であって、
    液体クロマトグラフィーにより求められる、前記ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の全重量に対する、前記p-トルエンスルホン酸成分の含有量が0.07~0.65mol/t、前記4級ホスホニウム成分の含有量が0.07~0.65mol/tであり、
    前記p-トルエンスルホン酸成分の含有量と前記4級ホスホニウム成分の含有量の比である前記p-トルエンスルホン酸成分の含有量(mol/t)/前記4級ホスホニウム成分の含有量(mol/t)が1.10より大きく、2.10以下であり、
    前記ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の全重量に対するリン元素の含有量が2~20重量ppm、マンガン元素とカリウム元素との合計含有量が6~50重量ppmであり、
    下記処理条件にて処理した前記ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を走査型電子顕微鏡で観察した際の、円相当径が1μm以上の粗大異物の含有量が450個/0.1mm以下である、
    ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
    処理条件:ヤマト科学株式会社製のプラズマリアクターPR300を用いて、真空状態-0.1MPa以下、大気60ml/min、出力100Wにて5分間、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物をプラズマ低温灰化処理法で除去し、粗大な異物を露出させる。
  2. 前記4級ホスホニウム成分以外のリン含有成分をさらに含む、請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
  3. 溶融比抵抗が5.0×10Ω・cm以下である、請求項1または2に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物により形成された、ポリエステルフィルム。
  5. 磁気記録材料用途、離型用途または光学用途のいずれかに用いる、請求項4に記載のポリエステルフィルム。
  6. 工程(a) テレフタル酸およびエチレングリコールをエステル化する工程、
    工程(b) 前記エステル化の反応物を重合装置にて重縮合する工程、および、
    工程(c) 前記工程(a)終了後から工程(b)の重縮合反応完了までの間に、前記重合装置にp-トルエンスルホン酸化合物と、4級ホスホニウム化合物と、マンガン元素を含む化合物およびカリウム元素を含む化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とを添加する工程を含み、
    前記工程(c)において、前記p-トルエンスルホン酸化合物は、前記4級ホスホニウム化合物、マンガン元素を含む化合物およびカリウム元素を含む化合物とは別々に前記重合装置内に添加され、かつポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の全重量に対するリン元素、マンガン元素、カリウム元素、前記p-トルエンスルホン酸化合物、および前記4級ホスホニウム化合物の添加量が、下記式(I)~(III)を満たす、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法。
    2重量ppm≦リン元素の添加量≦32重量ppm (I)
    6重量ppm≦マンガン元素およびカリウム元素の合計添加量≦50重量ppm (II)
    0.6≦(p-トルエンスルホン酸化合物の添加量(mol/t)/4級ホスホニウム化合物の添加量(mol/t))≦1.1 (III)
JP2022039495A 2022-03-14 2022-03-14 ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物、ポリエステルフィルムおよびポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法 Pending JP2023134135A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022039495A JP2023134135A (ja) 2022-03-14 2022-03-14 ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物、ポリエステルフィルムおよびポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022039495A JP2023134135A (ja) 2022-03-14 2022-03-14 ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物、ポリエステルフィルムおよびポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023134135A true JP2023134135A (ja) 2023-09-27

Family

ID=88143693

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022039495A Pending JP2023134135A (ja) 2022-03-14 2022-03-14 ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物、ポリエステルフィルムおよびポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023134135A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN101203780B (zh) 相位差膜及光学用聚酯树脂
US10774178B2 (en) Polyethylene terephthalate resin composition and film formed from same
JP2008248135A (ja) フォトマスク保護テープ用ポリエステルフィルム
JP6939970B2 (ja) ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物
JP6638462B2 (ja) 透明光学フィルム用ポリエステル樹脂組成物
JP6896998B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物及びその製造方法
JP6776516B2 (ja) ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物及びその製造方法
WO2015159771A1 (ja) マスターバッチ用ポリエステル組成物
JP6277804B2 (ja) ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物及びその製造方法
JP5412971B2 (ja) フィルム用ポリエステル組成物およびその製造方法
JP2023134135A (ja) ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物、ポリエステルフィルムおよびポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法
JP2006265275A (ja) ポリエステル組成物の製造方法
JP2020132872A (ja) ポリエステル組成物及びその製造方法
JP6772747B2 (ja) ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物およびそれからなるフィルム
JP2023171275A (ja) ポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルム
JP2022089784A (ja) ポリエステル樹脂組成物及びそれを用いてなるポリエステルフィルム
JP2015052038A (ja) 難燃性ポリエステル系樹脂組成物
JP2004107471A (ja) 二軸配向ポリエステルフィルム
JP7310348B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物およびその製造方法
JP2021127452A (ja) ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物
JP2016121222A (ja) ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物及びその製造方法
JP2020125448A (ja) ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物及びそれからなるフィルム
JP2019143064A (ja) ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物およびそれからなるフィルム
JP2019151831A (ja) ポリエステル樹脂組成物およびポリエステルフィルム
JP2020132726A (ja) ポリエステル樹脂組成物