JP2023118261A - ポリプロピレン系樹脂組成物及びその射出発泡成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】得られる成形体の低熱伝導性及び加工性に優れる、プロピレン系樹脂組成物を提供すること。【解決手段】プロピレン系重合体(A)を組成物の全質量に対して10~70質量%、耐圧強度が100~220Mpa、真密度が0.3~0.7g/cm3かつ平均粒径が10~40μmである中空フィラー(B)を組成物の全質量に対して10~80質量%及び発泡剤(E)を(A)及び(B)の合計量に対して0.1~10質量%の範囲で含み、(A)が23℃におけるn-デカン可溶部(Dsol)であるプロピレン・エチレン共重合体(a1)を5~40質量%及びプロピレン単独重合体(a2)60~95質量%のみからなる重合体であり(a1)は135℃のテトラリン中での極限粘度[η]が5.0~12.0dl/gであり(A)が230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレートが70~500g/10分であるプロピレン系樹脂組成物及びその射出発泡成形体。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂組成物及びその射出発泡成形体に関する。
持続可能社会の構築のためには、CO2の排出削減を目的としたエネルギーを無駄なく有効活用する取り組みが不可欠である。上記取り組みにおいて、熱を制御する技術が注目されている。例えば、近年、ハイブリッド車や電気自動車(EV:Electric Vehicle)の普及に伴い、冷暖房の使用による自動車の燃費への影響が問題となっている。特に、冬場の暖房による燃料エネルギーの消費は、自動車の燃費を大きく低下させるため、室内の暖気が車体部品を伝わって室外へ逃げていくのを抑制する必要がある。
土木、建築、車輌工業等の各種の分野において、ポリエチレン樹脂発泡体やポリプロピレン樹脂発泡体等のポリオレフィン系樹脂発泡体は、断熱材、防水剤、保温剤、パッキン材等の基本素材として広く用いられている。特に、車両工業分野では、ポリオレフィン系樹脂発泡体は、天井材、ドア材等の内装材として使用されている。
このような用途に用いられるポリオレフィン系樹脂発泡体は、単独で使用される場合は少なく、例えば、特許文献1~3には、PVC(ポリ塩化ビニル)やTPO(熱可塑性ポリオレフィン)やポリオレフィンエラストマー等からなる表皮材をポリオレフィン系樹脂発泡体の表面に貼り合わせた積層製品が開示されている。また、特許文献4には、軽量化が望まれる成形体において、脆化温度が低く、低温耐衝撃性に優れた成形体を製造することができるポリプロピレン系樹脂組成物が開示されている。
特開昭62-149431号公報 特開昭62-18437号公報 特開平1-163225号公報 特開2013-166817号公報
しかしながら、特許文献1~3に記載の材料は射出成形ができないため、形状の自由度がなく加工性の問題からドアトリムや、ピラーなどの自動車部品には適していない。また、特許文献4に記載のポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出成形体では、低熱伝導性についての検討は何らなされていない。このような事情から加工性と低熱伝導性を兼ね備えた材料の開発が必要とされている。
本発明に係る一実施形態が解決しようとする課題は、得られる成形体の低熱伝導性及び加工性に優れる、プロピレン系樹脂組成物を提供することである。
本発明に係る他の実施形態が解決しようとする課題は、低熱伝導性及び加工性に優れる射出発泡成形体を提供することである。
上記課題を解決する手段には、以下の態様が含まれる。
<1> プロピレン系重合体(A)を組成物の全質量に対して10~70質量%、
耐圧強度が100~220Mpa、真密度が0.3~0.7g/cm3、かつ、平均粒径D50が10~40μmである中空フィラー(B)を組成物の全質量に対して10~80質量%、及び
発泡剤(E)を前記プロピレン系重合体(A)及び前記中空フィラー(B)の合計量に対して、0.1~10質量%の範囲で含み、
前記プロピレン系重合体(A)が、23℃におけるn-デカン可溶部(Dsol)として特定されるプロピレン・エチレン共重合体(a1)を5~40質量%、及び、プロピレン単独重合体(a2)を60~95質量%のみからなる重合体であり、
前記プロピレン・エチレン共重合体(a1)は、135℃のテトラリン中での極限粘度[η]が5.0~12.0dl/gであり、
前記プロピレン系重合体(A)が230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレートが70~500g/10分である、
プロピレン系樹脂組成物。
<2> 190℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレートが1~40g/10分の範囲、かつ、密度が0.85~0.90g/cm3にあるエチレン系共重合体(C)を組成物の全質量に対して30質量%以下含む、<1>に記載のプロピレン系樹脂組成物。
<3> 前記中空フィラー(B)以外の無機フィラー(D)を組成物の全質量に対して30質量%以下含む<1>または<2>に記載のプロピレン系樹脂組成物。
<4> <1>~<3>のいずれか1つに記載のプロピレン系樹脂組成物を射出発泡成形してなる射出発泡成形体。
本発明に係る一実施形態によれば、得られる成形体の低熱伝導性及び加工性に優れる、プロピレン系樹脂組成物が提供される。
本発明に係る他の実施形態によれば、低熱伝導性及び加工性に優れる射出発泡成形体を提供される。
図1は、熱伝導率試験に用いる試験片の一例を示す図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の内容の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されることはない。
本明細書において、数値範囲を示す「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、数値範囲を示す「~」とはその前後いずれか一方に記載される単位は、特に断りがない限り同じ単位を示すことを意味する。
本明細書において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
以下、本発明を詳細に説明する。
(プロピレン系樹脂組成物)
本発明に係るプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系重合体(A)を組成物の全質量に対して10~70質量%、耐圧強度が100~220Mpa、真密度が0.3~0.7g/cm3、かつ、平均粒径が10~40μmである中空フィラー(B)を組成物の全質量に対して10~80質量%、及び発泡剤(E)を上記プロピレン系重合体(A)及び上記中空フィラー(B)の合計量に対して、0.1~10質量%の範囲で含み、
上記プロピレン系重合体(A)が、23℃におけるn-デカン可溶部(Dsol)として特定されるプロピレン・エチレン共重合体(a1)を5~40質量%、及び、プロピレン単独重合体(a2)を60~95質量%のみからなる重合体であり、
上記プロピレン・エチレン共重合体(a1)は、135℃のテトラリン中での極限粘度[η]が5.0~12.0dl/gであり、
上記プロピレン系重合体(A)が230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレートが70~500g/10分である。
本発明に係るプロピレン系樹脂組成物が上記構成を有することで得られる成形体の低熱伝導性及び加工性に優れる。この理由は明らかではないか以下のように推察される。
プロピレン系樹脂組成物は、特定のプロピレン・エチレン共重合体(a1)とプロピレン単独重合体(a2)とを特定量を含むプロピレン系重合体(A)、特定の物性値を有する中空フィラー(B)、及び、発泡剤(E)をそれぞれ含むので、断熱性の高い空気層増加し熱伝導性が低下する。また樹脂粘度が最適であるため加工性に優れると推定している。
<プロピレン系重合体(A)>
プロピレン系重合体(A)は、23℃におけるn-デカン可溶部(Dsol)として特定されるプロピレン・エチレン共重合体(a1)を5~40質量%、及び、プロピレン単独重合体(a2)を60~95質量%のみからなる重合体であり、230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレートが70~500g/10分である。
「23℃におけるn-デカン可溶部(Dsol)」とは、後述する実施例に記載のとおり、ポリプロピレン系重合体(A)において、n-デカン中150℃で2時間加熱溶解後に23℃まで降温した際にn-デカン溶液側に溶解している成分を意味する。
具体的には、下記の方法のより、23℃におけるn-デカン可溶部(Dsol)として特定されるプロピレン・エチレン共重合体(a1)及び後述する23℃におけるn-デカン不溶部(Dinsol)として特定されるプロピレン単独重合体(a2)を特定することができる。
まず、ガラス製の測定容器にプロピレン系重合体(A)約3g、デカン500mL、及びデカンに可溶な耐熱安定剤を少量装入し、窒素雰囲気下、スターラーで攪拌しながら2時間で150℃に昇温してプロピレン系重合体(A)を溶解させ、150℃で2時間保持した後、8時間かけて23℃まで徐冷した。得られたプロピレン系重合体(A)の析出物を含む液を、磐田ガラス社製25G-4規格のグラスフィルターで減圧ろ過した。ろ液に溶解している成分が、23℃におけるn-デカン可溶部(Dsol)として特定されるプロピレン・エチレン共重合体(a1)と特定することができる。また、グラスフィルターに残った析出物が23℃におけるn-デカン不溶部(Dinsol)として特定されるプロピレン単独重合体(a2)であると特定することができる。
<<プロピレン系重合体(A)のMFR>>
プロピレン系重合体(A)は、230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が70~500g/10分である。上記MFRは、ASTM D-1238に準拠する測定方法で求めることができる。
プロピレン系重合体(A)のMFRは、上記範囲を満たす限り、そのMFRは特に限定はされないが、通常、ASTM D-1238に準拠する温度230℃、2.16kg荷重で測定したMFRが好ましくは70~300g/10分、さらに好ましくは70~200g/10分の範囲にある。
プロピレン系重合体(A)のMFRは、プロピレン・エチレン共重合体(a1)、及び、プロピレン単独重合体(a2)の含有量によって調整することができる。
<<プロピレン系重合体(A)の含有量>>
プロピレン系重合体(A)の含有量は、組成物の全質量に対して10~70質量%であり、好ましくは20~70質量%であり、より好ましくは30~70質量%である。
プロピレン系重合体(A)は、1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<プロピレン・エチレン共重合体(a1)>>
プロピレン・エチレン共重合体(a1)は、23℃におけるn-デカン可溶部(Dsol)で特定されるプロピレン・エチレン共重合体であり、かつ、後述する135℃のテトラリン中での極限粘度[η]が5.0~12.0dl/gであれば、その組成は特に制限されない。
プロピレン・エチレン共重合体(a1)は、エチレンから導かれる構成単位を好ましくは20~60モル%、より好ましくは30~60モル%、更に好ましくは35~55モル%の範囲〔但し、プロピレンから導かれる構成単位とエチレンから導かれる構成単位の合計量を100モル%とする。〕で含む。
プロピレン・エチレン共重合体(a1)は、プロピレンから導かれる構成単位を好ましく40~80モル%、より好ましくは40~70モル%、更に好ましくは45~65モル%の範囲〔但し、プロピレンから導かれる構成単位とエチレンから導かれる構成単位の合計量を100モル%とする。〕で含む。
〔135℃のテトラリン中での極限粘度[η]〕
プロピレン・エチレン共重合体(a1)は、135℃のテトラリン中での極限粘度[η]が5.0~12.0dl/gである。プロピレン・エチレン共重合体(a1)の極限粘度[η]が上記範囲であると、得られる組成物の粘度が最適な範囲となりとなるので、均一なセル径を有する成形体を得ることができる。上記観点から、プロピレン・エチレン共重合体(a1)の135℃のテトラリン中での極限粘度[η]としては、好ましくは5.0~11.0dl/gであり、より好ましくは5~10.0dl/gであり、さらに好ましくは5~9.0dl/gの範囲にある。
上記極限粘度は、プロピレン・エチレン共重合体(a1)に含まれるエチレンから導かれる構成単位及びプロピレンから導かれる構成単位の含有量や、共重合体の分子量によって適宜調整することができる。
プロピレン・エチレン共重合体(a1)の含有量は、重合体(A)の全質量に対して5~40質量%である。プロピレン・エチレン共重合体(a1)の含有量が上記範囲を満たすプロピレン系重合体(A)は、組成物から得られる成形体の発泡性が良好である。
プロピレン・エチレン共重合体(a1)の含有量が5質量%以上であるとプロピレン系重合体は、得られる成形体の耐衝撃性に優れ一方、プロピレン・エチレン共重合体(a1)の含有量が40質量%以下であると、射出成形に適した組成物の粘度が得られやすい。
上記観点から、プロピレン・エチレン共重合体(a1)の含有量は、重合体(A)の全質量に対して、好ましくは5~30質量%であり、より好ましくは8~30質量%であり、さらに好ましくは10~30質量%である。
<プロピレン単独重合体(a2)>
プロピレン単独重合体(a2)は、23℃におけるn-デカン不溶部(Dinsol)として特定されることが好ましい。「23℃におけるn-デカン不溶部(Dinsol)」とは、ポリプロピレン系重合体(A)において、n-デカン中150℃で2時間加熱溶解後に23℃まで降温した際にn-デカン溶液側に溶解していない成分を意味する。
プロピレン単独重合体(a2)は、プロピレン系重合体(A)のMFRが上記範囲を満たす限り、プロピレン単独重合体(a2)のMFRは特に限定はされないが、通常、ASTM D-1238に準拠する温度230℃、2.16kg荷重で測定したMFRが好ましくは50~1000g/10分、より好ましくは100~800g/10分、さらに好ましくは100~700g/10分の範囲にある。
プロピレン単独重合体(a2)の含有量は、重合体(A)の全質量に対して60~95質量%である。プロピレン単独重合体(a2)の含有量が上記範囲を満たすプロピレン系重合体(A)は、当該組成物から得られる成形体の発泡性が良好である。上記観点から、プロピレン単独重合体(a2)の含有量は、重合体(A)の全質量に対して、好ましくは70~95質量%であり、より好ましくは70~92質量%であり、さらに好ましくは70~90質量%である。
本発明に係るプロピレン系重合体(A)の製造方法は特に制限はなく、種々公知の製造方法を用いることができる。プロピレン系重合体(A)の製造方法としては、例えば、上記物性を満たすプロピレン単独重合体(a2)及びプロピレン・エチレン共重合体(a1)を重合した後、上記含有量の範囲で、プロピレン単独重合体(a2)とプロピレン・エチレン共重合体(a1)とを混合、あるいは溶融混練してプロピレン系重合体(A)を得る方法、あるいは、上記物性を満たすプロピレン単独重合体(a2)及びプロピレン・エチレン共重合体(a1)を1つの重合系あるいは2つ以上の重合系で重合する方法等を例示できる。
また、上記プロピレン系重合体(A)は、市販品を用いてもよく、公知の製造方法で製造されたブロックコポリマーの名称で市販されているポリマーを用いてもよい。
上記プロピレン系樹脂組成物において、上記プロピレン系重合体(A)および後述するエチレン系重合体(C)に含まれるエチレン、プロピレンおよびα-オレフィンのモノマーがバイオマス由来のモノマーであってもよい。バイオマス由来のモノマーは1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。
例えば、重合体を構成するモノマーがバイオマス由来のモノマーのみから構成されていてもよいし、バイオマス由来のモノマーと化石燃料由来のモノマーとから構成されていてもよい。
バイオマス由来モノマーとしては、真菌類、酵母、藻類および細菌類を含む、植物由来または動物由来などの、あらゆる再生可能な天然原料およびその残渣を原料として得られるモノマーが挙げられる。バイオマス由来モノマーは炭素として14C同位体を1×10-12程度の割合で含有し、ASTM D 6866に準拠して測定したバイオマス炭素濃度(pMC:Percentage of Modern Carbon)が100(pMC)程度であることが好ましい。
バイオマス由来モノマーの製造方法は、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。上記プロピレン系樹脂組成物は、環境負荷低減の観点から、バイオマス由来モノマーを含むことが好ましい。プロピレン系樹脂組成物において、原料モノマーがバイオマス由来モノマーを含んでいても、重合用触媒、重合温度などの重合体の製造条件が同等であれば、プロピレン系樹脂組成物は、14C同位体を1×10-12程度の割合で含む以外は、化石燃料由来モノマーからなるポリプロピレン系樹脂組成物と同等であり、分子構造も同等であるため、得られるプロピレン系樹脂組成物の性能も変わらないとされる。
<中空フィラー(B)>
中空フィラー(B)は、耐圧強度が100~220Mpa、真密度が0.3~0.7g/cm3、かつ、平均粒径D50が10~40μmである。
中空フィラーとは、中空構造を有するフィラーであれば特に制限はなく、無機フィラーであってもよいし、有機フィラーであってもよいし、有機及び無機の複合材料からなるフィラーであってもよい。中空フィラー(B)としては、中空無機フィラーであることが好ましい。
中空フィラー(B)としては、上記物性値を満たすものであれば特に制限はなく、例えば、ガラスバブル、アルミナ中空体、パーライト、シラス、フライアッシュバルーン、エアロゲル等が挙げられる。
これらの中でも、低熱伝導性に優れる観点からは、ガラスバブル、又は、シリカエアロゲルであることが好ましく、ガラスバブルであることがより好ましい。
中空フィラーの形状は、特に限定されず、例えば、球状、楕円球状などが挙げられる。
中空フィラー(B)は、耐圧強度が100~220Mpaである。耐圧強度が100MPa以上であると、混練の際に中空体が破砕しにくくなり、熱伝導性を小さくすることができる。上記観点から、耐圧強度としては、好ましくは、100~200Mpaであり、より好ましくは100~190Mpaである。
耐圧強度は、実施例に記載の方法により求めることができる。中空フィラーの耐圧強度はASTM D-3102-78で定義され、グリセリンの中にフィラーを適量入れ加圧し、10体積%破壊する時の圧力を指標として用いる。
中空フィラー(B)の真密度は0.3~0.7g/cm3であり、好ましくは0.4~0.7g/cm3であり、より好ましくは0.4~0.65g/cm3である。真密度が0.3g/cm3以下になると中空体が割れやすくなるためである。
真密度とは、一定容積の容器に中空フィラー(B)を充填したときの、容器の体積から隙間部分を除いた体積から算出した密度を意味する。真密度は、ピクノメーター(気相置換式真密度計、例えば、Micromeritics社製のAccuPycII1340)を用いて測定される。
中空フィラー(B)の平均粒径D50は5~70μmであり、好ましくは5~50μmであり、より好ましくは5~40である。
中空フィラー(B)の平均粒径D50は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定されるメジアン径D50をいい、例えば、(株)島津製作所製「レーザー回折式粒度分布測定装置SALD-2100」を用いて測定されるが、市販品についてはカタログ値を採用することができる。
中空フィラー(B)の含有量は、組成物の全質量に対して10~80質量%である。
中空フィラー(B)の含有量が10質量%以上であると、熱伝導性の低下に寄与することができる。上記観点から、中空フィラー(B)の含有量は、好ましくは組成物の全質量に対して10~50質量%である。
中空フィラー(B)は、1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。
<発泡剤(E)>
プロピレン系樹脂組成物は発泡剤(E)を上記プロピレン系重合体(A)及び上記中空フィラー(B)の合計量に対して、0.1~10質量%の範囲で含む。
発泡剤(E)としては特に制限はなく、発泡成形に利用できるものを適宜選択して用いることができる。発泡剤(E)としては、化学発泡剤であってもよいし、物理発泡剤であってもよい。化学発泡剤としては分解型発泡剤が挙げられる。
分解型発泡剤の具体例としては、次の化合物を挙げられる。
(1)無機系発泡剤:重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム。
(2)有機系発泡剤:
(a)N-ニトロソ化合物:N,N’-ジニトロソテレフタルアミド、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン。
(b)アゾ化合物:アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレート。
(c)スルフォニルヒドラジド化合物:ベンゼンスルフォニルヒドラジド、トルエンスルフォニルヒドラジド、p,p’-オキシビス(ベンゼンスルフェニルヒドラジド)、ジフェニルスルフォン-3,3’-ジスルフォニルヒドラジド。
(d)アジド化合物:カルシウムアジド、4,4’-ジフェニルジスルフォニルアジド、p-トルエンスルフォニルアジド。
分解型発泡剤は、分解による気体の発生を誘導する、クエン酸等の有機酸やクエン酸ナトリウム等の有機酸金属塩などの発泡助剤と併用してもよい。
また、物理発泡剤としては、溶剤型発泡剤及び気体状発泡剤が挙げられる。
溶剤型発泡剤としては、各種の液化ガスが挙げられ、具体例としては、プロパン、ブタン、ネオペンタン、ヘプタン、イソヘキサン、ヘキサン、イソヘプタン、ヘプタン等の低沸点脂肪族炭化水素や、フロンガスで代表される低沸点のフッ素含有炭化水素を挙げられる。
気体状発泡剤としては、例えば、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、アスタチンなどの不活性ガスが挙げられる。気体状発泡剤は、超臨界状態で用いてもよい。
発泡剤(E)は、1種の単独であってもよいし、2種以上の発泡剤を併用してもよい。
発泡剤の配合割合は、上記プロピレン系重合体(A)及び上記中空フィラー(B)の合計量に対して、0.1質量%~10質量%の範囲にあり、0.1質量%~5.0質量%の範囲にあることが好ましく、0.1質量%~3.0質量%の範囲にあることがより好ましい。
<エチレン系重合体(C)>
プロピレン系樹脂組成物は、エチレン系重合体(C)を含んでいてもよい。
エチレン系共重合体(C)としては、特に制限はなく、エチレンの単独重合体であってもよいし、エチレンとα-オレフィンとの共重合体であってもよい。エチレン系共重合体(C)は、一般に、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)と呼称されているエチレン系重合体、または、非晶性、あるいは低結晶性のエチレン・α-オレフィン共重合体、エチレンを主体とする共重合体が挙げられる。
エチレンと共重合されるα-オレフィンは、好ましくは炭素数3~20のα-オレフィンであり、具体的には、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン-1、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、9-メチル-1-デセン、11-メチル-1-ドデセン及び12-エチル-1-テトラデセンなどが挙げられる。これらα-オレフィンの中でも、1-ブテン及び1-オクテンが特に好ましい。上記α-オレフィンは、単独であってもよいし、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エチレン系重合体(C)の190℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレート(MFR)は、ASTM D-1238に準拠して、好ましくは1~40g/10分である。MFRが上記範囲であると、発泡性に優れ、成形体中の空気の量が増加するため熱伝導性を抑制することが可能になる。上記観点から、エチレン系重合体(C)の190℃で測定したメルトフローレート(MFR)としては、より好ましくは1~35g/10分、更に好ましくは2~35g/10分である。
190℃で測定したメルトフローレート(MFR)は、ASTM D-1238に準拠した測定方法により求められる。
エチレン系共重合体(C)は、上記発泡剤(E)からの発泡により低下する衝撃性を向上させる観点から、エチレン系共重合体(C)の密度は、好ましくは0.85~0.90g/cm3、より好ましくは0.85~0.88g/cm3の範囲にある。
上記エチレン系共重合体(C)の密度はASTM D792に準拠した方法により求められる。
エチレン系重合体(C)の含有量としては、組成物の全質量に対して、30質量%以下であることが好ましく、0~30質量%であることがより好ましく、0~25質量%であることが更に好ましい。
エチレン系共重合体(C)は、1種単独であってもよいし、2種以上の異なるエチレン系共重合体を組み合わせたものであってもよい。
低熱伝導性及び成形性に優れる観点から、プロピレン系樹脂組成物は、190℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレートが1~40g/10分の範囲、かつ、密度が0.85~0.90g/cm3にあるエチレン系共重合体(C)を、組成物の全質量に対して30質量%以下含むことが好ましい。
エチレン系共重合体(C)の製造方法としては、特に制限はなく、種々の公知の製造方法で製造し得る。
<<無機フィラー(D)>>
プロピレン系樹脂組成物は、目的とする発泡成形体の物性に応じて上記中空フィラー(B)以外の無機フィラー(D)を含んでいてもよい。
無機フィラー(D)としては、特に制限はなく、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、ガラス繊維、炭酸マグネシウム、マイカ、カオリン、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、チタンホワイト、ホワイトカーボン、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが挙げられる。
無機フィラー(D)の形状や粒子径は、特に限定されるものではなく、目的とする発泡成形体の物性に応じて選択することができる。
無機フィラー(D)の配合割合は、組成物の全質量に対して、30質量%以下であることが好ましく、0質量%~30質量%であることがより好ましく、0質量%~25質量%であることが更に好ましく、0質量%~21質量%であることが特に好ましい。
無機フィラー(D)は単独で使用することもできるし、または2種以上を混合して用いることもできる。
<<その他の成分>>
プロピレン系樹脂組成物は、その目的を損なわない範囲で、必要に応じて上記(A)~(D)以外の各種添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、核剤、酸化防止剤、塩酸吸収剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、分散剤、銅害防止剤、中和剤、可塑剤、架橋剤、過酸化物などの流れ性改良剤、ウェルド強度改良剤、天然油、合成油、ワックスを挙げることができる。
添加剤は、1種を単独で、又は、2種以上を組み合わせて用いることができる。
<<プロピレン系樹脂組成物の製造方法>>
プロピレン系樹脂組成物の製造方法は、特に制限はなく、種々公知の製造方法を用いることができる。プロピレン系樹脂組成物の製造方法としては、例えば、上記プロピレン系重合体(A)、中空フィラー(B)及び発泡剤(E)、並びに、必要に応じて含まれる上記エチレン系重合体(C)、無機フィラー(D)、及び添加剤などを所定の量で、ドライブレンドや押出機内での溶融混練等の通常の方法で混合する製造方法が挙げられる。
(射出発泡成形体)
本発明に係る射出発泡成形体は、上記プロピレン系樹脂組成物を射出発泡成形してなる。
以下、本発明に係るプロピレン系樹脂組成物を用いた射出発泡成形体の製造の一実施形態について以下に説明する。
〔射出発泡成形体の製造方法〕
射出発泡成形体の製造方法としては、射出発泡成形用の金型内に上記プロピレン系樹脂組成物を充填する工程と、上記金型内のプロピレン系樹脂組成物を発泡及び固化させて射出発泡成形体を得る工程と、を有することが好ましい。
射出発泡成形用の金型、成形用の金型内へのプロピレン系樹脂組成物の充填方法、及び発泡成形条件は、目的とする発泡成形体の形状や物性に応じて選択すればよい。
成形用の金型内へのプロピレン系樹脂組成物の充填を射出によって行う射出成形法を用いることで、射出発泡成形体を得ることができる。
成形用の金型内へのプロピレン系樹脂組成物の充填方法としては特に制限はなく、上記発泡剤(E)を、プロピレン系樹脂組成物の発泡剤(E)以外の成分と混合してから成形用の金型内に導入してもよいし、成形用の型内への樹脂材料の導入路中に、例えば射出成形する際のシリンダーまたは、シリンダーからキャビティへの流路中で樹脂材料に注入混合してもよい。
厚みが1.0~5.0mm程度の薄肉状部分を有する射出発泡成形体の形成には、コアバック成形法を好適に用いることができる。
コアバック成形法に用いる成形金型の一形態は、固定型と可動型とを有する。これらの型はプロピレン系樹脂組成物の射出充填時には型締状態にあることが好ましい。また、金型内のプロピレン系樹脂組成物が射出充填されるキャビティの容積は、可動型を後退(コアバック)させてキャビティを拡開させることにより増大させることができる。射出充填完了後の可動型を作動させるタイミングは、目的とする発泡率、発泡形状、射出発泡成形体の各種の物性等に応じて決定することができる。
コアバック時の可動型の移動速度は、射出発泡成形体の厚み、プロピレン系樹脂組成物の組成、発泡剤の種類及び添加量、金型温度、樹脂温度等の条件に応じて選択することができる。
射出するプロピレン系樹脂組成物の温度及び金型温度は、成形体の厚み、プロピレン系樹脂組成物の組成、発泡剤の種類及び添加量などにより選択することができる。
例えば、射出する樹脂材料の温度は、好ましくは170~250℃、より好ましくは180~230℃の範囲とすることができる。また固定型及び可動型の金型温度は、好ましくは10~100℃、より好ましくは30~80℃の範囲とすることができる。
射出圧力は、好ましくは10~250MPa、より好ましくは12~200MPaの範囲から選択することができる。良好な発泡性を得る上で、金型内に射出充填されるプロピレン系樹脂組成物の温度は、金型温度よりも高いことが好ましい。
本発明に係る射出発泡成形体は、自動車内装部品、電化製品等、容器の断熱性が必要な各種用途に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例及び比較例で用いたプロピレン系樹脂組成物に含まれる重合体として、以下の重合体等を用いた。
<(1)プロピレン系重合体(A)>
<<(1-1)プロピレン系重合体(A-1)>>
プロピレン系重合体(A)として、ASTM D-1238に準拠して温度230℃、2.16kg荷重で測定したMFRが120g/10分であり、かつ、下記プロピレン・エチレン共重合体(a1-2)及びプロピレン単独重合体(a2-2)を含む、プロピレン系重合体(A-1)を用いた。
プロピレン・エチレン共重合体(a1-2)及びプロピレン単独重合体(a2-2)の物性値は下記のとおりである。
・23℃におけるn-デカン可溶部で特定されるプロピレン・エチレン共重合体(a1-2)〔23℃におけるn-デカン可溶部〕:135℃のテトラリン中での極限粘度[η]が7.5dl/g、(a1-2)含有量=11.0質量%
・23℃におけるn-デカン不溶部であるプロピレン単独重合体(a2-2)〔23℃におけるn-デカン不溶部〕:ASTM D-1238に準拠して温度230℃、2.16kg荷重で測定したMFR=500g/10分、(a2-2)含有量=89.0質量%
<<(1-2)プロピレン系重合体(A-2)>>
プロピレン系重合体(A)として、ASTM D-1238に準拠して230℃、2.16kg荷重で測定したMFRが60g/10分であり、かつ、下記プロピレン・エチレン共重合体(a1-1)及びプロピレン単独重合体(a2-1)を含む、プロピレン系重合体(A-2)を用いた。
・23℃におけるn-デカン可溶部であるプロピレン・エチレン共重合体(a1-1)〔室温n-デカン可溶部〕:135℃のテトラリン中での極限粘度[η]=6.0dl/g、(a1-1)含有量=11質量%
・23℃におけるn-デカン不溶部であるプロピレン単独重合体(a2-1)〔室温n-デカン不溶部〕:MFR=210g/10分、(a2-1)含有量=89質量%
〔極限粘度[η]〕
プロピレン・エチレン共重合体(a1-1)及び(a1-2)のデカリン中135℃で測定した極限粘度[η](dl/g)は次のようにして測定した。まず、サンプル約25mgをデカリン25mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶液を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度として求め、この値を試料の、デカリン中135℃で測定した極限粘度[η](dl/g)とした。
<(2)中空フィラー(B)>
・(B-1):ガラスバブル、グラスバブルズ(製品名)、3M社製「型番;iM30K」(耐圧強度186MPa、真密度0.60g/cm3、かつ平均粒径16μm)
実施例及び比較例で用いたプロピレン系樹脂組成物に含まれる配合剤は以下の配合剤を用いた。
<(3)発泡剤(E)>
・(E-1):重炭酸ナトリウム系発泡剤:商品名 ポリスレンEE65C(永和化成工業(株)製)
実施例及び比較例で得たプロピレン系樹脂組成物の射出発泡成形体は、以下の方法で形成した。得られた射出発泡成形体は以下の評価方法に従って評価した。
射出成形機:(株)日本製鋼所製 J350ADS-460H(型締め力350t)
金型:
キャビティサイズ:縦:400mm、横:200mm、厚さ:1.5mm
ゲート:ダイレクトゲート(成型品の中心に設置)
射出シリンダー設定温度:220℃
金型表面温度:40℃
射出速度:120mm/s
発泡成形条件:
発泡工程終了後の成形型クリアランス:3.0mm
コアバック時間:0.2s
組成物充填後の発泡開始遅延時間:0s
射出時金型キャビティクリアランス(L0):1.5mm
〔加工性〕
上記方法で形成された射出発泡成形体の発泡断面を目視で確認し、以下の評価基準に従って評価した。評価基準AおよびA+を満たす射出発泡成形体は加工性に優れるといえる。
-評価基準-
+:幅0.5mm以上のボイドが確認されない。
A:幅0.5~1mm未満のボイドが確認される。
B:幅1mm以上のボイドが確認される。
〔低熱伝導性〕
200mm×400mmの大きさになるように射出発泡成形体を切り出し、図1に示される位置から下記形状となるように試験片を切削した。この試験片を用いてASTME1530を参考に、下記の測定条件にて熱伝導率試験を実施した。
測定された試験片(t3.0mm成形体)の熱伝導率(W/mK)値は、以下の評価基準に従って熱伝導性を評価し、熱伝導率が低いほど低熱伝導性に優れるといえる。
試験装置:GH-1(アルパック理工社製)
設定温度:30℃
試料保持用設定空気圧:0.3MPa
試験片形状:直径φ:約50mm×厚み:3.0mm
-評価基準-
A:熱伝導率が0.09W/mK未満であった。
B:熱伝導率が0.09W/mK以上であった。
〔実施例1〕
上記プロピレン系重合体(A-1)を50質量%、及び、上記中空フィラー(B-1)を50質量%混合し、造粒し次いで、プロピレン系重合体(A-1)及び中空フィラー(B-1)の合計100質量部に対して、上記発泡剤(E):3質量部を配合(添加)してポリプロピレン系樹脂組成物を調製し得た。得られたポリプロピレン系樹脂組成物を用いて、上記方法で射出発泡成形して射出発泡成形体を形成した。
得られた射出発泡成形体を上記方法で評価した。結果を表1に示す。
〔実施例2〕
上記プロピレン系重合体(A-1)を70質量%、及び、上記中空フィラー(B-1)を30質量%に変更した以外は実施例1と同様にポリプロピレン系樹脂組成物を調製し、得られたポリプロピレン系樹脂組成物を用いて射出発泡成形体を形成した。得られた射出発泡成形体を上記方法で評価した。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
上記プロピレン系重合体(A-1)を80質量%、及び、上記中空フィラー(B-1)を20質量%に変更した以外は実施例1と同様にポリプロピレン系樹脂組成物を調製し、得られたポリプロピレン系樹脂組成物を用いて射出発泡成形体を形成した。得られた射出発泡成形体を上記方法で評価した。結果を表1に示す。
〔実施例4〕
上記プロピレン系重合体(A-1)を90質量%、及び、上記中空フィラー(B-1)を10質量%に変更した以外は実施例1と同様にポリプロピレン系樹脂組成物を調製し、得られたポリプロピレン系樹脂組成物を用いて射出発泡成形体を形成した。得られた射出発泡成形体を上記方法で評価した。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
上記プロピレン系重合体(A-1)を95質量%、及び、上記中空フィラー(B-1)を5質量%に変更した以外は実施例1と同様にポリプロピレン系樹脂組成物を調製し、得られたポリプロピレン系樹脂組成物を用いて射出発泡成形体を形成した。得られた射出発泡成形体を上記方法で評価した。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
上記プロピレン系重合体(A-2)を50質量%、及び、上記中空フィラー(B-1)を50質量%に変更した以外は実施例1と同様にポリプロピレン系樹脂組成物を調製し、得られたポリプロピレン系樹脂組成物を用いて射出発泡成形体を形成し、上記方法で評価した。結果を表1に示す。
表1中、各組成の欄における「-」は当該成分を含まないことを意味している。また、低熱伝導性の欄における「-」は、測定できなかったことを意味している。
表1に示すように、実施例1~4のポリプロピレン系樹脂組成物から得られる成形体は、熱伝導率は0.09W/mK未満であり比較例1及び2のポリプロピレン系樹脂組成物から得られる成形体に比べて、低熱伝導性に優れ、かつ、加工性に優れていることがわかる。
これに対して、比較例1のポリプロピレン系樹脂組成物は、中空フィラー(B)の含有量が、組成物の全質量に対して10質量%未満であるため得られる成形体の熱伝導率が高いことがわかる。比較例2のポリプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系重合体(A-2)の230℃、2.16kg荷重で測定したMFRが70g/10分未満であるため、樹脂組成物の粘度が高く、加工性に劣り射出発泡成形体を作成することができなかった。
以上より、本発明に係るポリプロピレン系樹脂組成物は、得られる成形体の熱伝導性及び加工性に優れていることがわかる。

Claims (4)

  1. プロピレン系重合体(A)を組成物の全質量に対して10~70質量%、
    耐圧強度が100~220Mpa、真密度が0.3~0.7g/cm3、かつ、平均粒径D50が10~40μmである中空フィラー(B)を組成物の全質量に対して10~80質量%、及び
    発泡剤(E)を前記プロピレン系重合体(A)及び前記中空フィラー(B)の合計量に対して、0.1~10質量%の範囲で含み、
    前記プロピレン系重合体(A)が、23℃におけるn-デカン可溶部(Dsol)として特定されるプロピレン・エチレン共重合体(a1)を5~40質量%、及び、プロピレン単独重合体(a2)を60~95質量%のみからなる重合体であり、
    前記プロピレン・エチレン共重合体(a1)は、135℃のテトラリン中での極限粘度[η]が5.0~12.0dl/gであり、
    前記プロピレン系重合体(A)が230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレートが70~500g/10分である、
    プロピレン系樹脂組成物。
  2. 190℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレートが1~40g/10分の範囲、かつ、密度が0.85~0.90g/cm3にあるエチレン系共重合体(C)を組成物の全質量に対して30質量%以下含む、請求項1に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  3. 前記中空フィラー(B)以外の無機フィラー(D)を組成物の全質量に対して30質量%以下含む請求項1または2に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物を射出発泡成形してなる射出発泡成形体。
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