JP2023117361A - 細胞画像解析方法およびプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】細胞培養におけるコロニーの変化点を正確に捉えることを可能にする細胞画像解析方法を提供する。【解決手段】細胞培養における時系列に沿った細胞画像データを取得するデータ取得工程と、前記細胞画像データから細胞領域を抽出する細胞領域抽出工程と、前記細胞領域に対して、前記細胞領域の大きさに関するデータを算出するデータ算出工程と、前記データ算出工程で算出した前記細胞領域の大きさに関するデータに基づいて、前記コロニーの状態が変化するタイミングである変化点を検出する変化点検出工程と、を有することを特徴とする、細胞画像解析方法。【選択図】図1

Description

本発明は、細胞画像解析方法およびプログラムに関する。
細胞培養では作業者が細胞の様子を観察し、細胞処理のタイミングを主観的に判断して決定することが多い。このことが細胞培養の再現性および安定性を損なう一因となっており、再現性や安定性を担保するためには作業者の主観によらない客観的な判断方法が求められている。接着細胞の場合には、培養容器を継時的に観察し、コンフルエンス(培養容器に占める細胞の面積率)が事前に決めた値を超えた時点で次の細胞処理を行う方法がよく取られる。
コンフルエンスで細胞処理のタイミングを決定する方法は、コロニーを形成せず個々の細胞が分離した状態で培養される細胞においては非常に有用である。しかしながら、ES細胞やiPS細胞のようなコロニーを形成する細胞の場合、個々のコロニーの中で起こる細胞間相互作用が細胞の状態に影響を及ぼしていると考えられる。そのため、培養の再現性や安定性を向上させるためにはコンフルエンスではなく個々のコロニーの状態が変化するタイミング(以下、変化点と呼称する)を客観的に捉えて細胞処理のタイミングを決定することが望ましい。
そこで、特許文献1では、細胞の複層化度合を計算し、複層化度合の時系列変化に基づいて細胞塊の成熟度を判定することが提案されている。ここで、複層化度合は、細胞のテクスチャに係る特徴から計算される指標である。
また、特許文献2では、複数の画像特徴量に基づいてコロニーの分化/未分化を判定し、その時系列変化を捉えることで、コロニーが分化したタイミングを捉えることが提案されている。
国際公開第2011/013319号
しかしながら、コロニーの画像観察においては、観察装置における焦点ぼけや多数の死細胞がコロニーに重畳し写りこむことが頻繁にある。そのため、特許文献1のように、画像のテクスチャに基づいてコロニーの変化点を正確に捉えることは困難な場合があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明は、細胞培養におけるコロニーの変化点を正確に捉えることを可能にする細胞画像解析方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る細胞画像解析方法は、細胞培養における時系列に沿った細胞画像データを取得するデータ取得工程と、前記細胞画像データから複数のコロニーのそれぞれに対応する複数の細胞領域を抽出する細胞領域抽出工程と、前記複数の細胞領域のそれぞれに対して、前記細胞領域の大きさに関するデータを算出するデータ算出工程と、前記データ算出工程で算出した前記細胞領域の大きさに基づいて、前記コロニーの状態が変化するタイミングである変化点を検出する変化点検出工程と、を有することを特徴とする。
また、本発明の別の態様に係るプログラムは、上記細胞画像解析方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
本発明によれば、細胞培養におけるコロニーの変化点を正確に捉えることを可能にする細胞画像解析方法が提供される。
第1の実施形態に係る細胞画像解析方法のフロー図である。 第1の実施形態のステップS101において取得した細胞画像の一例を示す図である。 第1の実施形態のステップS102において細胞領域を抽出する方法の一例を示すフロー図である。 第1の実施形態のステップS102において抽出した細胞領域の一例を示す図である。 第1の実施形態のステップS102において複数の細胞画像から抽出した細胞領域の一例を示す図である。 図13に示す各細胞領域の大きさのデータから異常値を除外した結果を示す図である。 第1の実施形態のステップS104における変化点の検出結果の一例を示す図である。 第1の実施形態のステップS104における変化点データの一例を示す図である。 第2の実施形態に係る細胞画像解析方法のフロー図である。 第3の実施形態に係る細胞画像解析方法のフロー図である。 本発明に係るプログラムを実行可能な情報処理システムの構成を示す図である。 図11に示す情報処理システムの機能ブロック図である。 第1の実施形態のステップS103において各細胞領域の大きさのデータを算出した結果の一例を示す図である。 播種密度および培地交換量に応じた変化点におけるコロニー直径の分布を比較した結果を示す図である。 播種密度および培地交換量に応じた変化点における面積の変化速度の分布を比較した結果を示す図である。 コート量に応じた変化点におけるコロニー直径の分布を比較した結果を示す図である。 コート量に応じた変化点における面積の変化速度の分布を比較した結果を示す図である。 株種別に応じた変化点におけるコロニー直径の分布を比較した結果を示す図である。 株種別に応じた変化点における面積の変化速度の分布を比較した結果を示す図である。 培養条件に応じた変化点におけるコロニー直径の分布の統計量の一例を示す図である。 培養条件の異なる培養容器におけるコンフルエンスの変化を示す図である。 培養条件の異なる培養容器におけるコロニー面積の変化を示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
[第1の実施形態]
本実施形態では、時系列細胞画像から細胞領域の変化点を検出する方法について、細胞コロニー(以下では単にコロニーと記載)を形成する細胞の好適な例として幹細胞を例に用いて説明する。幹細胞としては、iPS細胞(人工多能性幹細胞)およびES細胞(胚性幹細胞)、間葉系幹細胞等を用いることができる。なお、本実施形態におけるコロニーとは、培養容器内で独立して存在する、互いに接触して存在する細胞からなる群集(以下、単に細胞群集という)を指す。すなわち、周囲と接着していない細胞群集を一つのコロニーとして捉える。本発明は、培養容器内全体の細胞群集ではなく、そのように培養容器内で独立して存在する細胞群集のそれぞれを互いに区別して変化点を検出することを特徴としている。
図1に、第1の実施形態に係る細胞画像解析方法のフロー図を示す。
ステップS101は、細胞培養における時系列に沿った細胞画像データを取得するデータ取得工程である。データ取得工程は、未分化状態を維持した細胞培養における時系列に沿った細胞画像データを取得してもよい。ステップS101において、細胞培養観察装置で撮影された細胞画像データを取得する。ここで細胞画像データは、一つの培養容器において、一定の期間、所定の時間間隔で撮影された時系列位相差画像のデータである。以降、細胞画像および単に画像と呼称するものは位相差画像を指しているものとする。ここで、細胞画像データは、細胞培養観察装置からリアルタイムに取得するものでも、HDDやクラウドストレージといった外部の記憶領域から取得したものであってもよい。
幹細胞の培養において、コロニーの成長の様子を詳細に解析すると、コロニーの成長速度が増加傾向から減少傾向へと変化するタイミング、すなわち細胞領域の面積の変化速度が増加から減少へと変化するタイミング(変化点)が存在する。具体的には、幹細胞は播種から約2日でコロニーが形成され始め、6日前後で成長速度が低下するコロニーが現れてくる。そのため、前述の一定の期間は、培養2日以下から選ばれる時点から7日以上から選ばれる時点までを含む期間であることが好ましい。画像を取得する時間間隔は、例えば、6時間を設定する。なお、本発明において、コロニーの成長速度が増加傾向から減少傾向へと変化するタイミングを指す概念を指して「変化点」と呼称する。変化点は、「成長抑制点」と呼称される場合がある。変化点を示す具体的な指標となる変数については特に限定されない。例えば、変化点を示す具体的な指標となる変数としては、後述するように培養時間や細胞領域の大きさ等を用いることができる。
後述するように、本発明者らは、複数のコロニーが存在する場合、細胞領域の面積の変化速度が増加から減少へと変化するタイミング(変化点)は、個々のコロニー毎に異なることを見出した。そのため、特定のコロニーのみの変化点の検出に基づいてその後の細胞処理(継代等)を行った場合には、細胞の成長が不十分(成長の途上)である場合や、細胞の成長が十分に終わり、成長速度が小さいコロニーを含む場合がある。そこで、コロニー毎の変化点を検出することで、適切なタイミングでコロニー毎の細胞処理をすることが可能になると考えられる。また、培養条件とコロニー毎の変化点の情報に基づいて、より適切な培養条件を設定することも可能になると考えられる。
ここで、画像を取得する時間間隔は、変化点が生じる可能性がある期間の以前までは長い時間間隔でデータを取得し、以降を短い時間間隔で取得するようにしてもよい。その場合、例えば、培養2日以下から5日までは12時間間隔、培養5日目以降は4時間間隔のように設定し、画像データを取得してもよい。画像データとしては、例えばIncucyte S3といった細胞画像観察装置によって撮影した画像データを使用できる。
図2に、培養容器201における幹細胞の培養において、ステップS101で取得した細胞画像データの一例を示す。時系列に沿った各細胞画像には、撮影順に0、1、・・・、n、n+1、・・・、Nのようにインデックスが付与されている。さらに、各インデックスに対応する撮影日時が記録されており、任意の画像の撮影日時および培養時間がわかるものとする。
ステップS102は、ステップS101で取得した細胞画像データから複数のコロニーのそれぞれに対応した複数の細胞領域を抽出する細胞領域抽出工程である。ステップS102において、ステップS101で取得した細胞画像データから細胞領域を抽出する。図3は、ステップS102の処理の流れを示すフロー図である。以降、図3を用いて、細胞領域を抽出する方法を説明する。
ステップS301において、細胞画像に微分フィルタを適用することで微分画像を生成する。微分画像は、各画素において周辺画素との輝度値の変化量を計算し、画像として表現したものである。微分画像は、細胞画像であれば、細胞領域の輪郭部分や細胞領域内の細胞の輪郭部分において高い輝度値を持つ画像となる。
ステップS302において、ステップS301で生成した微分画像に対して二値化処理をすることにより微分画像において高い輝度値を持つ領域を抽出する。二値化処理では、任意の閾値を設定し、微分画像の各画素の値に対して、閾値以上であれば値を1、閾値未満であれば0と数値を置き換える。
ここで、二値化処理の方法は、任意の閾値を設定する方法に限定しない。例えば、大津の二値化やLiの二値化といった閾値を自動的に決める方法を用いてもよい。任意の閾値を設定する場合、露光時間やフォーカス設定等、装置の撮影条件に応じて閾値を設定する。また、適応的二値化のように画像の画素ごとに閾値を決める方法を用いてもよい。二値化処理により、輝度値の変化の大きい領域の画素値を1、それ以外の画素値を0として表現した二値画像(以降、エッジ画像と呼称する)が作成される。
ステップS303において、ステップS302で生成したエッジ画像に基づいて細胞領域のマスク画像を生成する。ここで、マスク画像は細胞領域を画素値1、それ以外の領域を画素値0で表現した二値画像である。マスク画像は、エッジ画像において、画素値1が連結している領域を抽出し、各連結領域の内部の画素値を1で置き換えることで生成する。
ステップS304において、ステップS303で生成したマスク画像に対してラベリング処理を施すことによって、個々の細胞領域を識別したラベル画像を生成する。ラベリング処理では、マスク画像において、画素値1が連結している領域を抽出し、連結領域ごとにその領域の画素をそれぞれ異なる画素値で置き換える操作を行う。
なお、細胞領域の大きさに対して閾値を設定し、閾値以下のものは除外してもよい。例えば、幹細胞の場合、面積10000μmを閾値として設定してもよい。マスク画像の各連結成分をラベリングしていく際に、連結領域の面積を算出し、面積が閾値以下であった場合、その連結領域の画素値を0とする。
以上、ステップS301からS304の処理を、時系列に沿った各画像に対して実施することで、それぞれの画像における細胞領域を取得する。
ステップS301からS304における微分フィルタに基づく細胞領域抽出処理は、画像中の細胞領域の境界に明暗の差が生じていることを利用している。そのため、位相差観察により取得した画像に限らず、細胞領域の輪郭が明瞭な画像において好適に実施可能である。例えば、位相物体を可視化する方法として、位相差観察の他にも微分干渉観察や変調コントラスト観察といった観察方式があげられる。また、明視野観察においても装置構成や画像処理の工夫により、位相物体を可視化する技術が公知であり、そのような技術によって得られた画像に対して本発明を適用することも可能である。
図4に細胞画像401から細胞領域を抽出した例を示す。マスク画像402は、ステップS303において生成された画像であり、白色が背景領域、黒色が細胞領域を示している。マスク画像に対して、ステップS304のラベリング処理により、図4に示す細胞領域T01、T02、およびT03のように孤立した個々の細胞領域が識別され、細胞領域を抽出することができる。
ここで、細胞領域を抽出する対象となるコロニーが、培養容器および撮像視野の外周から選ばれる少なくともいずれかに接触している場合、それらのコロニーを、細胞領域を抽出する対象から除外することが好ましい。コロニーが培養容器の外周に接触しているか否かは、培養容器を示す輪郭をあらかじめ設定するかハフ変換といった手法により培養容器の輪郭を抽出し、対象のコロニーに対応する細胞領域が輪郭に重なっているかどうかで判定することができる。同様に、コロニーが撮像視野の外周に接触しているか否かは、撮影画像の外周に対象のコロニーに対応する細胞領域が重なっているかどうかを判定すればよい。
ステップS102は、培養の過程で2つ以上のコロニー同士が接触して結合し、1つになったコロニーが存在した場合に、そのようなコロニーを細胞領域の抽出の対象から除外することを含んでもよい。
すなわち、ステップS102は、時系列上の時点Aで取得した細胞画像データにあるコロニーが、時系列上の時点Aより前の時点Bで取得した細胞画像データにある2つ以上のコロニーが結合して形成されたものであるか否かを判定することを含んでもよい。これにより、時点Bの2つ以上のコロニーの結合によって生じた時点Aのコロニーは、時点Aの細胞画像データにあるコロニーは時点Bの細胞画像データにある2つ以上のコロニーの結合によって形成されたものである、と判定される。そのような場合、ステップS102はさらに、時点Aの細胞画像データにある上記結合によって生じたコロニーを、細胞領域を抽出する対象から除外することを含んでもよい。
ステップS103は、ステップS102で抽出した複数の細胞領域のそれぞれに対して、細胞領域の大きさに関するデータを算出するデータ算出工程である。細胞領域の大きさとしては、例えば、細胞領域の面積、細胞領域の周囲長、細胞領域の半径、および細胞領域の直径等の数値を用いることができる。以降、細胞領域の大きさとして細胞領域の面積を算出するものとして説明する。
特定の画像nの細胞画像から抽出された任意の細胞領域に対して、次の画像n+1のどの細胞領域が同一のコロニーの細胞領域であるかは、細胞領域の位置情報を用いて判定することができる。例えば、時系列上の異なる時点で取得した細胞画像データの間における同一のコロニーに対応する細胞領域を、細胞領域の重心位置および前記細胞領域の重なり具合から選ばれる少なくともいずれかに基づいて判定することができる。以降、細胞領域の重心位置の処理に基づいて、時系列に沿った複数の画像において、どの細胞領域が同一のコロニーの細胞領域であるかを判定する方法を説明する。
図5は、ステップS102において細胞画像から抽出された細胞領域の一例を示す図である。画像nでは細胞領域T01からT03が抽出されており、画像n+1では細胞領域T11からT13の細胞領域が抽出されている。
まず、画像nの細胞領域T01の重心位置に対して、画像n+1における細胞領域T11からT13のそれぞれの重心位置との距離を計算する。続いて、計算した距離のうち最も近い距離の重心位置を持つ細胞領域を細胞領域T01に対応する細胞領域と判定する。図5の例の場合、細胞領域T01とT11が同一の領域として判定される。
以上の処理を細胞領域T02およびT03について繰り返し実施することにより、特定の画像nの細胞画像から抽出された任意の細胞領域に対して、次の画像n+1のどの細胞領域が同一の細胞領域であるかを判定する。なお、重心位置の距離に対して閾値を設け、一定の距離以上の細胞領域は対応する細胞領域ではないと判定してもよい。
続いて、画像n+1の細胞領域に対して、次の画像n+2において同一の細胞領域を判定するといったように、時系列に沿ったすべての画像に対して同様の処理を実施することで、各コロニーの細胞領域の大きさの時系列に沿ったデータを取得することができる。
図13に、ステップS103によって算出された各細胞領域の面積変化の一例を示す。図13に示すグラフにおいて、横軸は培養時間、縦軸が細胞領域の面積を示している。また、一本の線が一つのコロニーの細胞領域に対するデータを示している。
ここで、コロニー面積の時系列データには、死細胞、泡、ごみなどの付着により正確な面積の計測結果となっていない値(以下、異常値と呼称する)が混在する可能性がある。図13において面積が滑らかに変化していないデータが、そのような異常値を含むデータに該当する。そういったデータは、面積の時間変化のばらつきを計算することで除外してもよい。具体的には、ステップS103は次のような処理を含んでもよい。同一のコロニーに対応する細胞領域に対して算出された細胞領域の大きさに関するデータについて、時系列の上のある時点で取得された値が、他の少なくとも1つの時点で取得された値に基づく基準値に対して一定値以上の変化量を有するか否かを判定する。そして、上記のある時点で取得された値が、上記基準値に対して一定値以上の変化量を有していた場合に、上記同一のコロニーに対応する細胞領域に対して算出された細胞領域の大きさに関するデータを除外する。例えば、各コロニーの面積の変化量のCV値を計算して上記基準値とし、CV値が閾値以上の値をデータから除外してもよい。閾値は、例えば1.5のように設定すればよく、ユーザにより任意の値に設定できてもよい。図6に、閾値1.5と設定した場合に、図13に示すデータから異常値を除外した結果を示す。
ステップS104は、ステップS103で算出した細胞領域の大きさに基づいて、コロニーの状態が変化するタイミングである変化点を検出する変化点検出工程である。ステップS104において、ステップS103で取得した細胞領域の大きさに関するデータを用いて、細胞領域の変化点を検出する。変化点は、次のようにして得られる近似曲線の極大値を与える点として検出することができる。まず、時間または細胞領域の大きさと、細胞領域の大きさの変化速度との関係を多項式モデルとして近似する。続いて、得られた多項式モデルにおける極大点を求めることで、求めた極大点を変化点として検出することができる。以下、変化点を、細胞領域の大きさと、細胞領域の大きさの変化速度との関係を多項式近似することで得られる近似曲線の極大値を与える点として検出する例について述べる。
まず、細胞領域の大きさの変化速度の時系列に沿ったデータを取得する。画像nにおける変化速度Dnは、下記式(1)によって計算することができる。式(1)中、Snおよびtnは、それぞれ画像nにおける細胞領域の大きさおよび培養時間を示している。
Figure 2023117361000002
時系列に沿った各画像中の同一のコロニーの細胞領域について変化速度を計算することで、細胞領域の大きさの変化速度の時系列に沿ったデータを取得することができる。ここで、画像nにおける細胞領域の大きさの変化速度は、一定の期間のデータを用いて計算してもよい。例えば、画像nから過去2日分のデータを用いて変化速度を計算することができる。この場合、培養時間と細胞領域の大きさとの関係を線形近似して得られた直線の傾きが変化速度となる。
続いて、変化速度の時系列に沿ったデータに基づいて、コロニーの変化点を検出する。変化点は、時系列に沿った細胞領域の大きさに関するデータと時系列に沿った変化速度のデータとの関係を多項式近似し、近似曲線の極大値を検出することによって求めることができる。
まず、変化速度をy、領域の大きさをxとしてデータ間の関係を次の3次多項式モデルとして近似する。式中のa、b、c、およびdは、近似によって算出される3次多項式のパラメータである。
Figure 2023117361000003
続いて、近似により得られた3次曲線の極大点を求めることで、変化点を検出する。ここで、変化点に対応する細胞領域の大きさ、変化速度あるいは培養時間のデータを指して変化点データと呼称する。
以上の操作を各コロニーの細胞領域のデータに対して実施することで、各コロニーの変化点を検出し、それぞれの変化点データを取得することができる。
図7は、各コロニーに対して得られた近似曲線701および検出した極大点702の結果である。横軸は細胞領域の面積、縦軸は変化速度を示しており、コロニーごとの近似曲線701および検出した極大点702を示している。このように各コロニーの変化点をグラフで出力することにより、作業者は、コロニーの変化点を正確に把握することができる。
なお、作業者に変化点データを出力する方法は図7のようなグラフで出力する方法に限定されない。例えば、変化点データをリスト形式で出力してもよい。また、細胞領域の面積の数値を半径、周囲長といった他の指標に変換して出力してもよい。図8に、変化点における細胞領域の面積を半径に変換し、リスト形式で出力した結果の例を示す。
このようにして求まる変化点は、幹細胞の株種、培地量、および播種密度といった培養条件の違いによって変動する。さらには、培養容器内に存在する複数のコロニーそれぞれにおいても変化点が異なる。ここで細胞の株種が異なるとは、原料細胞の由来のドナーや組織が異なることを意味する。
以降、図14から図19を用いて、培養条件の違いによって変化点データの分布が変動する例を示す。なお、以下に示す例において、変化点データとしては、各コロニーの変化点に対応する面積を直径に変換したデータおよび面積の変化速度を用いている。
図14および図15は、播種密度および培地交換量の変化に応じた変化点分布の変動の一例を示す図である。ここでは、iPS細胞を一般的な6ウェルプレートで培養し、播種密度あるいは2日おきの培地交換量を変えて培養した際のそれぞれの培養における変化点データ分布を箱ひげ図で示している。播種密度については、等倍(13,000細胞/ウェル)および4分の1(3,250細胞/ウェル)と変え、2日おきの培地交換量については、1.0ml/ウェル、2.0ml/ウェル、4.0ml/ウェルと変えて培養を行った。
変化点データのうち、図14はコロニー直径の分布について、図15は面積の変化速度の分布についてそれぞれ示している。図14から、培地交換量が多いほど、あるいは播種密度が小さいほど変化点におけるコロニー直径が大きくなる傾向があることが分かる。
図16および図17は、コート量の変化に応じた変化点分布の変動の一例を示す図である。コート量は、細胞の接着培養のために培養容器に予め施す表面処理の溶液の量である。ここでは、iPS細胞を一般的な12ウェルプレートで培養し、iMatrixコート量を変えて培養した際のそれぞれの培養における変化点データ分布を箱ひげ図で示している。iMatrixコート量は、3分の1(0.63μg/ウェル)、等倍(1.9μg/ウェル)および3倍(5.7μg/ウェル)と変えて培養を行った。
変化点データのうち、図16はコロニー直径の分布について、図17は面積の変化速度の分布についてそれぞれ示している。図16から、コート量が少ないほど変化点におけるコロニー直径が大きくなる傾向があることが分かる。また図17から、コート量は面積の変化速度にも影響を与え、コート量が多いほど変化速度が小さくなることが分かる
図18および図19は、幹細胞の株種の違いに応じた変化点分布の変動の一例を示す図である。図18および図19には、株A、B、C、およびDの4種を培養した際のそれぞれの培養における変化点データ分布を箱ひげ図で示している。
変化点データのうち、図18はコロニー直径の分布について、図19は面積の変化速度の分布についてそれぞれ示している。
図18に示す通り、株Cは他3種の株に比べて、変化点におけるコロニー直径が小さい傾向にあり、株Cが他3種と比較して異なる特徴を持った細胞株である可能性が示唆される。
以上、図14から図19を用いて、本実施形態によって算出した変化点データを培養条件の異なるデータに適用し比較する例を示した。
作業者は、細胞培養の再現性および安定性を向上させるために、本実施形態によって把握した変化点をもとに細胞処理のタイミングの判断に活用することができる。
以上、本実施形態によれば、細胞画像データからコロニーの変化点を捉え、作業者はコロニーの成長効率が悪くなるタイミングを正確に把握することができる。
(第1の実施形態の変形例1)
ステップS102において、細胞領域を抽出する方法を説明したが、細胞領域の抽出方法は微分フィルタを用いた方法に限定しない。例えば、細胞領域の正解画像を用意し、機械学習による細胞領域抽出を実施してもよい。
(第1の実施形態の変形例2)
ステップS102において、時系列に沿った複数の画像において細胞領域を抽出し、位置情報を用いて同一のコロニーの細胞領域を特定することを説明した。ここで、画像nと画像n+1において、細胞領域の動きや観察装置における培養容器あるいはスキャン位置のずれ等によって位置ずれが生じる場合、画像nと画像n+1の位置合わせを実施してからステップS102の処理を実施してもよい。2枚の画像の位置合わせには、テンプレートマッチングや位相限定相関法といった方法を用いることができる。
(第1の実施形態の変形例3)
ステップS103において、時系列に沿った複数の画像において細胞領域を抽出し、重心位置間の距離を用いて同一のコロニーの細胞領域を特定することを説明した。第1の実施形態の変形例3では、細胞領域同士の重なり具合を計算することで同一のコロニーの細胞領域を特定する方法を説明する。
具体的には、例えば、図5に示す2つの細胞領域T01、T11の重なり具合mを式3のように計算する。
Figure 2023117361000004
ここで、Sは領域の面積を示す。例えば、S(T01)は細胞領域T01の面積である。また、T01∩T11は細胞領域T01および細胞領域T11の重なり合う領域を示す。
重なり具合mは、細胞領域T01に対して細胞領域T11の重なりが大きいほど高い数値となる。細胞領域T12、細胞領域T13に対しても細胞領域T01に対する重なり具合mを計算し、重なり具合mが最も高い数値となった細胞領域を細胞領域T01に対応する細胞領域と判定することができる。
(第1の実施形態の変形例4)
ステップS102において、時系列に沿った複数の画像において細胞領域を抽出し、位置情報を用いて同一のコロニーの細胞領域を特定することを説明した。ここで、画像nで抽出した複数の細胞領域のうちいくつかが画像n+1において結合しているケースが存在する。その場合、結合した細胞領域はその時点で抽出結果から除外してもよい。
(第1の実施形態の変形例5)
第1の実施形態の変形例4において、結合した細胞領域を除外する方法を説明したが、結合した領域を領域分割によって複数の細胞領域に分割してもよい。その場合、結合した領域に対して、LevelSet法やWatershed法あるいはGrabcut法といった方法を適用することで領域を分割することができる。
(第1の実施形態の変形例6)
ステップS104において、細胞領域の大きさと細胞領域の大きさの変化速度との関係を多項式近似し、極大点を求めることによって変化点を検出する方法を説明した。本発明の実施は、これに限らず、培養時間と細胞領域の大きさの変化速度との関係を多項式近似し、極大点を求めることによって変化点を検出してもよい。その場合、変化速度をy、領域の大きさをxとして、式(2)で表される3次多項式モデルに近似し、近似曲線の極大点を検出することができる。
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、時系列に沿った細胞画像データを用いて、コロニーの変化点を検出する方法を説明した。この変化点は微妙な培養条件の違いによって変動するため、細胞が作業者の期待通りに培養されたかどうかを判断する目的に使用できる。本実施形態では、ある培養条件における細胞培養に対して、検出した変化点に基づいてその細胞培養の培養条件に対する評価値を算出する方法を説明する。
図9に、第2の実施形態に係る細胞画像解析方法のフロー図を示す。
ステップS901、S902、S903およびS904は、図1のステップS101、S102、S103およびS104と同様であるため説明を省略する。
ステップS905は、変化点に基づいて、細胞培養に用いた培養条件に対する評価値を算出する評価値算出工程である。ステップS905において、ステップS904で算出したコロニーの変化点データに基づいて評価値を算出する。ここで、評価値は、用いた培養条件での細胞培養における培養状態を評価した値である。
例えば、ステップS902で検出されている細胞領域のコロニーのうち、変化点が検出されているコロニーの割合を計算する。なお、変化点データのうち、細胞領域の大きさの変化速度に対して閾値を設けて、閾値以下の細胞領域の大きさの変化速度を有する細胞領域の割合を求めてもよい。これにより、細胞培養においてどの程度の割合のコロニーで成長効率が落ちてきているかを評価することができる。
また、評価値算出工程は、変化点データに対して、平均値、標準偏差、CV値、および中央値といった統計量から選ばれる少なくとも1種を計算することを含んでもよい。ここで変化点データは、複数のコロニーのそれぞれにおける変化点に対応する、時間、細胞領域の大きさ、および前記細胞領域の大きさの変化速度から選ばれる少なくとも1種のデータである。
例えば、各コロニーの変化点データのうち、細胞領域の大きさに関するデータからCV値(変動係数)を計算することで評価値を計算してもよい。ここで、CV値は大きさの変化速度のデータから計算してもよいし、細胞領域の大きさに関するデータおよび大きさの変化速度のデータの双方でCV値を計算し、その平均を求めてもよい。これにより、培養中の細胞が均一に培養できているかどうかを評価できる。
また、評価値として複数の統計量を計算してもよい。図14に示した播種密度および培地交換量を変えて培養した6種の培養における変化点におけるコロニー直径データに対して統計量を計算した結果を図20に示す。作業者は、図20のようにあらかじめ培養条件に応じて算出された変化点データの統計量のテーブル情報を参照し、培養が期待通りに行われたかどうかを判断することができる。例えば、図20の中央値の比較により、播種密度が小さいあるいは培地交換量が多い場合に、変化点のコロニー直径が大きくなっており、容器中の細胞に栄養が十分に行き届いているかを評価できていることが示唆される。作業者は、これらの結果を培養中の細胞の状態の定量的な確認や次の培養条件へのフィードバックのために使用することができる。また、この評価値は株の種類によっても異なり得るため、細胞特性試験として使用することもできる。
これらの評価値を得ることで、従来のコンフルエンス(培養容器中に占める細胞領域の面積)のモニタリングや、単純にコロニーの成長挙動を比較することに比べて、培養条件あるいは株間の違いを定量的に比較することが可能となる。図21および図22に培養条件が異なる培養容器でのコンフルエンスおよびコロニーの成長挙動を比較した結果の例を示す。図21および図22は、6つの培養容器A1~A3およびB1~B3に対する計測結果を示すものであり、A1とB1、A2とB2、A3とB3はそれぞれ同じ培地交換量の条件の組み合せとなっている。図21および図22から、従来の方法では、培地交換量の変化によるコロニーの成長挙動の変化を比較することが難しく、図20に示すように評価値を算出することで、コロニーの成長挙動の定量的な比較が可能となることがわかる。
以上、ある培養条件での細胞培養に対して、検出した変化点に基づいてその細胞培養の培養条件に対する評価値を算出する方法を説明した。なお、評価値を算出する方法をいくつか説明したが、前述した全ての方法で算出した評価値を出力してもよいし、評価値をどの方法で算出するかを作業者が選択できるようにしてもよい。
以上、本実施形態によれば、変化点データに基づいて培養状態を評価し、細胞が作業者の期待通りに培養されたかどうかを判断する目的に使用できる。
[第3の実施形態]
第2の実施形態では、検出した変化点に基づいて細胞培養の培養条件に対する評価値を算出する方法を説明した。変化点は、微妙な培養条件の違いによって変動するため、作業者が互いに異なる培養条件で行われた複数の細胞培養の状態を互いに比較する目的で使用できる。本実施形態では、時系列に沿った細胞画像データが互いに異なる培養条件で行われた複数の細胞培養におけるデータを含む場合に、評価値を計算する方法を説明する。
図10に、第3の実施形態に係る細胞画像解析方法のフロー図を示す。
第3の実施形態に係る細胞画像解析方法では、上記評価値算出工程が、複数の細胞培養のそれぞれに対して第1の評価値を算出し、第1の評価値に基づいて互いに異なる培養条件についての第2の評価値を計算することを含む。
具体的には、ステップS1001において、複数の培養条件で細胞培養における時系列に沿った細胞画像データを取得する。ここで、取得する細胞画像データを、評価対象データと参照用データとに分ける。
なお、取得する細胞画像データの期間および時間間隔の設定方法は第1の実施形態におけるステップS101と同様である。また、どの培養条件における細胞培養のデータを評価対象あるいは参照用のデータとするかは、作業者によって選択できるものとする。以降、幹細胞の維持培養プロセスにおける第i+1回目の継代培養時の細胞画像データを評価対象データ、第i回目の継代培養における細胞画像データを参照用データと選択したものとする。
ステップS1002では、ステップS1001で取得した各細胞画像データに対して変化点データを取得する。変化点データの取得方法は、第1の実施形態におけるステップS101、S102,S103、およびS104と同様である。これにより、評価対象データと参照用データとのそれぞれに対応した変化点データを取得できる。
ステップS1003では、ステップS1002で取得した各細胞培養における変化点データに基づいて、細胞培養における第1の評価値を計算する。第1の評価値の計算方法は、第2の実施形態におけるステップS905と同様である。これにより、評価対象データと参照用データとのそれぞれに対応した第1の評価値を計算できる。
ステップS1004では、ステップS1003において計算した第1の評価値に基づいて、第2の評価値を計算する。第2の評価値Eは、ステップS1003において、評価対象データに対する第1の評価値Eo、参照用データに対する第1の評価値Erが計算された場合、式4のように計算することができる。
Figure 2023117361000005
以上、本実施形態によれば、時系列に沿った細胞画像データが互いに異なる培養条件で行われた複数の細胞培養におけるデータを含む場合に、第2の評価値を計算することができる。
本実施形態は、幹細胞の維持培養プロセスにおいて、継代を重ねることで培養の様子が変化していないか、あるいは、同プロセスで複数ロットの培養を実施する際にロット間で変化がないか等を作業者が確認するために有効である。
(第3の実施形態の変形例1)
第3の実施形態では、ステップS1001において、第i回目の継代培養におけるデータを参照用データとして選択した場合の処理の流れを説明した。
本発明はこれに限らず、2つ以上の細胞培養における細胞画像データを参照用データとして選択してもよい。その場合、例えば、ステップS1004において、第2の評価値は、評価対象データに対する第1の評価値から各参照用データに対応する複数の第1の評価値の平均を引くことで計算するようにしてもよい。
<プログラム>
本発明に係るプログラムは、これまで述べてきた本発明に係る細胞画像解析方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
図11は、本発明に係るプログラムを実行可能な情報処理システム110のハードウェア構成例を示すブロック図である。
情報処理システム110は、コンピュータの機能を有する。例えば、情報処理システム110は、デスクトップPC(Personal Computer)、ラップトップPC、タブレットPC、スマートフォン等と一体に構成されていてもよい。
情報処理システム110は、演算および記憶を行うコンピュータとしての機能を実現するため、CPU(Central Processing Unit)1101、RAM(Random Access Memory)1102、ROM(Read Only Memory)1103およびHDD(Hard Disk Drive)1104を備える。また、情報処理システム110は、通信I/F(インターフェース)1105、表示装置1106、および入力装置1107を備える。CPU1101、RAM1102、ROM1103、HDD1104、通信I/F1105、表示装置1106、および入力装置1107は、バス1110を介して相互に接続される。なお、表示装置1106および入力装置1107は、これらの装置を駆動するための不図示の駆動装置を介してバス1110に接続されてもよい。
図11では、情報処理システム110を構成する各部が一体の装置として図示されているが、これらの機能の一部は外付け装置により構成されていてもよい。例えば、表示装置1106および入力装置1107は、CPU1101等を含むコンピュータの機能を構成する部分とは別の外付け装置であってもよい。
CPU1101は、RAM1102、HDD1104等に記憶されたプログラムに従って所定の動作を行うとともに、情報処理システム110の各部を制御する機能をも有する。RAM1102は、揮発性記憶媒体から構成され、CPU1101の動作に必要な一時的なメモリ領域を提供する。ROM1103は、不揮発性記憶媒体から構成され、情報処理システム110の動作に用いられるプログラム等の必要な情報を記憶する。HDD1104は、不揮発性記憶媒体から構成され、個別独立分離区画の数や位置に関する情報、蛍光強度等の記憶を行う記憶装置である。
通信I/F1105は、Wi-Fi(登録商標)、4G等の規格に基づく通信インターフェースであり、他の装置との通信を行うためのモジュールである。表示装置1106は、液晶ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等であって、動画、静止画、文字等の表示に用いられる。入力装置1107は、ボタン、タッチパネル、キーボード、ポインティングデバイス等であって、利用者が情報処理システム110を操作するために用いられる。表示装置1106および入力装置1107は、タッチパネルとして一体に形成されていてもよい。
なお、図11に示されているハードウェア構成は例示であり、これら以外の装置が追加されていてもよく、一部の装置が設けられていなくてもよい。また、一部の装置が同様の機能を有する別の装置に置換されていてもよい。さらに、一部の機能がネットワークを介して他の装置により提供されてもよく、本実施形態を構成する機能が複数の装置に分散されて実現されるものであってもよい。例えば、HDD1104は、フラッシュメモリ等の半導体素子を用いたSSD(Solid State Drive)に置換されていてもよく、クラウドストレージに置換されていてもよい。
図12は、情報処理システム110の機能ブロック図である。情報処理システム110は、データ取得部121、細胞領域抽出部122、データ算出部123、変化点検出部124、評価値算出部125、表示部126、および記憶部127を有する。
なお、例えば、情報処理システム110が、上記の第1の実施形態で述べた細胞画像解析方法を実行する場合等においては、情報処理システム110は評価値算出部125を有していなくてもよい。
CPU1101は、ROM1103等に記憶されたプログラムをRAM1102にロードして実行することにより、データ取得部121、細胞領域抽出部122、データ算出部123、変化点検出部124、および評価値算出部125の機能を実現する。また、CPU1101は、表示装置1106を制御することにより表示部126の機能を実現する。また、CPU1101は、HDD1104を制御することにより記憶部127の機能を実現する。
情報処理システム110はさらに、所定のプログラムに従って上記の細胞培養観察装置や細胞培養を行うための培養器等の動作を制御する機能を有していてもよい。
本発明の実施形態に係る開示は、以下の構成および方法を含む。
(方法1)
細胞培養における時系列に沿った細胞画像データを取得するデータ取得工程と、
前記細胞画像データから複数のコロニーのそれぞれに対応する複数の細胞領域を抽出する細胞領域抽出工程と、
前記複数の細胞領域のそれぞれに対して、前記細胞領域の大きさに関するデータを算出するデータ算出工程と、
前記データ算出工程で算出した前記細胞領域の大きさに関するデータに基づいて、前記コロニーの状態が変化するタイミングである変化点を検出する変化点検出工程と、
を有することを特徴とする、細胞画像解析方法。
(方法2)
前記データ取得工程は、未分化状態を維持した細胞培養における時系列に沿った細胞画像データを取得する、方法1に記載の細胞画像解析方法。
(方法3)
前記細胞領域抽出工程は、前記時系列上の異なる時点で取得した前記細胞画像データの間における同一のコロニーに対応する前記細胞領域を、前記細胞領域の重心位置および前記細胞領域の重なり具合から選ばれる少なくともいずれかに基づいて判定することを含む、方法1または2に記載の細胞画像解析方法。
(方法4)
前記細胞領域抽出工程は、前記時系列上の時点Aで取得した細胞画像データにあるコロニーが、前記時系列上の前記時点Aより前の時点Bで取得した前記細胞画像データにある2つ以上のコロニーが結合して形成されたものであるか否かを判定し、前記時点Aの前記細胞画像データにある前記コロニーは前記時点Bの前記細胞画像データにある2つ以上のコロニーの結合によって形成されたものであると判定した場合に、前記時点Aの前記細胞画像データにある前記コロニーを、細胞領域を抽出する対象から除外することを含む、方法1乃至3のいずれかに記載の細胞画像解析方法。
(方法5)
前記細胞領域抽出工程は、前記細胞領域を抽出する対象となるコロニーが、培養容器および撮像視野の外周から選ばれる少なくともいずれかに接触しているか否かを判定し、接触していると判定した場合に、接触していると判定したコロニーを、細胞領域を抽出する対象から除外することを含む、方法1乃至4のいずれかに記載の細胞画像解析方法。
(方法6)
前記データ算出工程は、同一のコロニーに対応する前記細胞領域に対して算出された前記細胞領域の大きさに関するデータについて、前記時系列の上のある時点で取得された値が、他の少なくとも1つの時点で取得された値に基づく基準値に対して一定値以上の変化量を有する場合に、前記同一のコロニーに対応する前記細胞領域に対して算出された前記細胞領域の大きさに関するデータを除外することを含む、方法1乃至5のいずれかに記載の細胞画像解析方法。
(方法7)
前記変化点は、前記細胞の培養時間または前記細胞領域の大きさと、前記細胞領域の大きさの変化速度とに基づいて検出される、方法1乃至6のいずれかに記載の細胞画像解析方法
(方法8)
前記細胞の培養時間または前記細胞領域の大きさと、前記細胞領域の大きさの変化速度との関係を多項式モデルとして近似し、前記多項式モデルにおける極大点を前記変化点とする、方法1乃至7のいずれかに記載の細胞画像解析方法。
(方法9)
前記細胞領域の大きさに関するデータは、前記細胞領域の面積、前記細胞領域の周囲長、前記細胞領域の半径、前記細胞領域の直径のいずれかである、方法1乃至8のいずれかに記載の細胞画像解析方法。
(方法10)
前記変化点は、前記細胞領域の面積の変化速度が増加から減少へと変化するタイミングである、方法1乃至9のいずれかに記載の細胞画像解析方法。
(方法11)
前記変化点に基づいて、前記細胞培養に用いた培養条件に対する評価値を算出する評価値算出工程をさらに有する、方法1乃至10のいずれかに記載の細胞画像解析方法。
(方法12)
前記評価値算出工程は、前記複数のコロニーのそれぞれにおける前記変化点に対応する、時間、前記細胞領域の大きさ、および前記細胞領域の大きさの変化速度から選ばれる少なくとも1種のデータに対して、平均値、標準偏差、CV値および中央値から選ばれる少なくとも1種の値を計算することを含む、方法11に記載の細胞画像解析方法。
(方法13)
前記細胞画像データは、互いに異なる培養条件で行われた複数の細胞培養におけるデータを含み、
前記評価値算出工程は、前記複数の細胞培養のそれぞれに対して第1の評価値を算出し、前記第1の評価値に基づいて前記互いに異なる培養条件についての第2の評価値を計算することを含む、方法11または12に記載の細胞画像解析方法。
(構成1)
方法1乃至13のいずれかに記載の細胞画像解析方法をコンピュータに実行させる
ためのプログラム。
201 培養容器
401 細胞画像
402 マスク画像
T01、T02、T03、T11、T12、T13 細胞領域
701 近似曲線
702 極大点
110 情報処理システム
121 データ取得部
122 細胞領域抽出部
123 データ算出部
124 変化点検出部
125 評価値算出部

Claims (14)

  1. 細胞培養における時系列に沿った細胞画像データを取得するデータ取得工程と、
    前記細胞画像データから複数のコロニーのそれぞれに対応する複数の細胞領域を抽出する細胞領域抽出工程と、
    前記複数の細胞領域のそれぞれに対して、前記細胞領域の大きさに関するデータを算出するデータ算出工程と、
    前記データ算出工程で算出した前記細胞領域の大きさに関するデータに基づいて、前記コロニーの状態が変化するタイミングである変化点を検出する変化点検出工程と、
    を有することを特徴とする、細胞画像解析方法。
  2. 前記データ取得工程は、未分化状態を維持した細胞培養における時系列に沿った細胞画像データを取得する、請求項1に記載の細胞画像解析方法。
  3. 前記細胞領域抽出工程は、前記時系列上の異なる時点で取得した前記細胞画像データの間における同一のコロニーに対応する前記細胞領域を、前記細胞領域の重心位置および前記細胞領域の重なり具合から選ばれる少なくともいずれかに基づいて判定することを含む、請求項1に記載の細胞画像解析方法。
  4. 前記細胞領域抽出工程は、前記時系列上の時点Aで取得した細胞画像データにあるコロニーが、前記時系列上の前記時点Aより前の時点Bで取得した前記細胞画像データにある2つ以上のコロニーが結合して形成されたものであるか否かを判定し、前記時点Aの前記細胞画像データにある前記コロニーは前記時点Bの前記細胞画像データにある2つ以上のコロニーの結合によって形成されたものであると判定した場合に、前記時点Aの前記細胞画像データにある前記コロニーを、細胞領域を抽出する対象から除外することを含む、請求項1に記載の細胞画像解析方法。
  5. 前記細胞領域抽出工程は、前記細胞領域を抽出する対象となるコロニーが、培養容器および撮像視野の外周から選ばれる少なくともいずれかに接触しているか否かを判定し、接触していると判定した場合に、接触していると判定したコロニーを、細胞領域を抽出する対象から除外することを含む、請求項1に記載の細胞画像解析方法。
  6. 前記データ算出工程は、同一のコロニーに対応する前記細胞領域に対して算出された前記細胞領域の大きさに関するデータについて、前記時系列の上のある時点で取得された値が、他の少なくとも1つの時点で取得された値に基づく基準値に対して一定値以上の変化量を有する場合に、前記同一のコロニーに対応する前記細胞領域に対して算出された前記細胞領域の大きさに関するデータを除外することを含む、請求項1に記載の細胞画像解析方法。
  7. 前記変化点は、前記細胞の培養時間または前記細胞領域の大きさと、前記細胞領域の大きさの変化速度とに基づいて検出される、請求項1に記載の細胞画像解析方法。
  8. 前記細胞の培養時間または前記細胞領域の大きさと、前記細胞領域の大きさの変化速度との関係を多項式モデルとして近似し、前記多項式モデルにおける極大点を前記変化点とする、請求項1に記載の細胞画像解析方法。
  9. 前記細胞領域の大きさに関するデータは、前記細胞領域の面積、前記細胞領域の周囲長、前記細胞領域の半径、前記細胞領域の直径のいずれかである、請求項1に記載の細胞画像解析方法。
  10. 前記変化点は、前記細胞領域の面積の変化速度が増加から減少へと変化するタイミングである、請求項1に記載の細胞画像解析方法。
  11. 前記変化点に基づいて、前記細胞培養に用いた培養条件に対する評価値を算出する評価値算出工程をさらに有する、請求項1に記載の細胞画像解析方法。
  12. 前記評価値算出工程は、前記複数のコロニーのそれぞれにおける前記変化点に対応する、時間、前記細胞領域の大きさ、および前記細胞領域の大きさの変化速度から選ばれる少なくとも1種のデータに対して、平均値、標準偏差、CV値および中央値から選ばれる少なくとも1種の値を計算することを含む、請求項11に記載の細胞画像解析方法。
  13. 前記細胞画像データは、互いに異なる培養条件で行われた複数の細胞培養におけるデータを含み、
    前記評価値算出工程は、前記複数の細胞培養のそれぞれに対して第1の評価値を算出し、前記第1の評価値に基づいて前記互いに異なる培養条件についての第2の評価値を計算することを含む、請求項11に記載の細胞画像解析方法。
  14. 請求項1乃至13のいずれか1項に記載の細胞画像解析方法をコンピュータに実行させる
    ためのプログラム。
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