JP2023114414A - 液晶パネル及び表示装置 - Google Patents

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Koji Murata
博司 土屋
Hiroshi Tsuchiya
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伸二 島田
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Abstract

【課題】狭視野角モードにおいて遮光角を小さくすることができ、かつ、正面視における色シフトを抑えることができる液晶パネル、及び、上記液晶パネルを備える表示装置を提供する。【解決手段】第一の吸収軸を有する第一の偏光板と、第一の電極を有する第一の基板と、液晶分子を含有する液晶層と、第二の電極を有する第二の基板と、を順に備え、電圧無印加状態における、上記第一の基板側の液晶分子のダイレクタの方位角をφ1、上記第二の基板側の液晶分子のダイレクタの方位角をφ2、上記第一の偏光板の上記第一の吸収軸の方位角をφP1とするとき、下記(式1)を満たし、かつ、(式2-1)又は(式2-2)を満たす液晶パネル。5°≦|φ1-φ2|≦20° ・・・(式1)5°≦|φP1-φ2|≦20° ・・・(式2-1)65°≦|φP1-φ2|≦80°・・・(式2-2)【選択図】図4

Description

以下の開示は、液晶パネル、及び、上記液晶パネルを備える表示装置に関するものである。
液晶パネルは、透過させる光の制御に液晶組成物を利用するパネルであり、その代表的な方式は、一対の基板間に封入された液晶組成物に対して電圧を印加し、印加した電圧に応じて液晶組成物中の液晶分子の配向状態を変化させることにより、光の透過量を制御するものである。このような液晶パネルは、薄型、軽量及び低消費電力といった特長を活かし、幅広い分野で用いられている。
ところで、従来、表示装置は、狭い視野角の範囲から観察しても、広い視野角の範囲から観察しても同様の画像が観察できるように視野角特性を向上させることが検討されている。一方で、プライバシー保持の観点からは、狭い視野角の範囲からは画像を観察できるが、広い視野角の範囲からは上記画像を観察し難くする表示方法が検討されている。このように、狭い視野角の範囲においても広い視野角の範囲においても同様の画像が観察できるパブリックモード(広視野角モード)と、狭い視野角の範囲からは画像を観察できるが、広い視野角の範囲からは画像を観察し難いプライバシーモード(狭視野角モード)とを切り替え可能な表示装置が求められている。
パブリックモードとプライバシーモードとを切り替え可能な表示装置に用いられる液晶パネルに関する技術として、例えば、特許文献1には、表示パネルの表面、又は、裏面に配置されることによって、前記表示パネルに表示された画像の視野角を制御し、液晶層を含み、かつ、前記液晶層に電圧を印加する際の単位としての画素が設けられた視野角制御用液晶パネルであって、前記液晶層には直線偏光が入射され、かつ、前記液晶層の光が出射する側には、前記液晶層から出射された光のうち、前記液晶層に入射された直線偏光の偏光軸と平行な成分のみを透過させる偏光板が設けられており、前記液晶層に含まれた液晶分子は、液晶層に電圧が印加されることによって、前記液晶層に入射された直線偏光の偏光軸と、平行又は垂直な方向に傾斜し、前記画素が複数個、マトリクス状に配設されている視野角制御用液晶パネルが開示されている。
また、特許文献2には、視野角を制御するためのバックライトシステムであって、前記バックライトシステムの非視認側から視認側に向けて光を照射する第一のバックライトユニットと、前記第一のバックライトユニットの視認側に配置され、前記バックライトシステムの視認側に向けて光を照射する第二のバックライトユニットと、液晶材料を含み、前記第二のバックライトユニットの非視認側に配置され、前記第一のバックライトユニットと前記第二のバックライトユニットとの間に配置され、前記第一のバックライトからの光を限られた視野角範囲で透過させるプライバシー光学部材と、前記プライバシー光学部材の視認側であって、かつ、前記第二のバックライトユニットの非視認側に配置された第一の偏光板と、前記プライバシー光学部材の非視認側であって、かつ、前記第一のバックライトユニットの視認側に配置された第二の偏光板と、を備え、前記プライバシー光学部材は、前記第一の偏光板と前記第二の偏光板との間に配置されたHAN(hybrid aligned nematic)モードの液晶セルであり、前記HANモードの液晶セルは、第一の電極層を備える第一の基板と、液晶層を介して反対側に配置された第二の電極層を備える第二の基板とを備え、前記HANモードの液晶セルに電圧が印加されると視野角制限が強くなるバックライトシステムが開示されている。
また、非特許文献1には、VA(Vertical Alignment)配向の液晶レンズセルからなり、片側の基板側にのみITOグリッド電極を備える視野角制御用液晶パネルと、表示用液晶パネルと、ルーバーフィルムとを備え、上記視野角制御用液晶パネルのグリッド電極への電圧印加時に、横電界によりセル内の屈折率分布を変調し、ルーバーフィルム越しのバックライト光を拡散させることができ(パブリックモードとして機能し)、電圧無印加時に、バックライト光は拡散されずにそのまま表示用液晶パネル側へと抜けていく(プライバシーモードとして機能する)、デュアルセル方式の液晶表示装置が開示されている。
特開2008-203565号公報 米国特許第11002998号明細書
AU Optronics Corp., Hsinchu, Taiwan,「Advanced Hyper-Viewing Angle Controllable LCD」,SID 2021 DIGEST,543
上記特許文献1~2及び非特許文献1では、狭視野角モードにおいて透過率が最小となる極角(遮光角)を小さくすること(低極角の遮光角を実現すること)は検討されていない。すなわち、狭視野角モードにおいて視認可能な角度範囲(極角範囲)を小さくすることは検討されていない。また、正面視したときの色味が電圧印加状態と電圧無印加状態との間で異なる現象(正面視における色シフト)についても検討されていない。
本発明は上記現状に鑑みてなされたものであり、狭視野角モードにおいて遮光角を小さくすることができ、かつ、正面視における色シフトを抑えることができる液晶パネル、及び、上記液晶パネルを備える表示装置を提供することを目的とするものである。
(1)本発明の一実施形態は、第一の吸収軸を有する第一の偏光板と、第一の電極を有する第一の基板と、液晶分子を含有する液晶層と、第二の電極を有する第二の基板と、を順に備え、電圧無印加状態における、上記第一の基板側の液晶分子のダイレクタの方位角をφ1、上記第二の基板側の液晶分子のダイレクタの方位角をφ2、上記第一の偏光板の上記第一の吸収軸の方位角をφP1とするとき、下記(式1)を満たし、かつ、(式2-1)又は(式2-2)を満たす、液晶パネル。
5°≦|φ1-φ2|≦20° ・・・(式1)
5°≦|φP1-φ2|≦20° ・・・(式2-1)
65°≦|φP1-φ2|≦80°・・・(式2-2)
(2)また、本発明のある実施形態は、上記(1)の構成に加え、更に、上記第二の基板の上記液晶層と反対側に、上記第一の吸収軸と平行な第二の吸収軸を有する第二の偏光板を備える、液晶パネル。
(3)また、本発明のある実施形態は、上記(1)又は上記(2)の構成に加え、上記第一の電極及び上記第二の電極は、ベタ状の電極であり、電圧無印加状態における上記液晶層のリタデーションReは、700nm以上、1200nm以下である、液晶パネル。
(4)また、本発明のある実施形態は、上記(1)又は上記(2)の構成に加え、上記第一の電極又は上記第二の電極は、上記液晶層が電圧印加状態である場合に上記液晶パネルの斜め方向から視認させるパターンがパターニングされており、電圧無印加状態における上記液晶層のリタデーションReは、700nm以上、900nm以下である、液晶パネル。
(5)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)又は上記(4)の構成に加え、上記液晶分子は、正の誘電率異方性を有する、液晶パネル。
(6)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)又は上記(5)の構成に加え、更に、厚さ方向のリタデーションRthが500nm以上のネガティブCプレートを備える、液晶パネル。
(7)また、本発明の他の一実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)及び上記(6)のいずれかに記載の液晶パネルと、表示パネルと、を備える、表示装置。
(8)また、本発明のある実施形態は、上記(7)の構成に加え、上記液晶層は、第一の液晶層であり、上記表示パネルは、第三の吸収軸を有する第三の偏光板と、第二の液晶層と、上記第三の吸収軸に直交する第四の吸収軸を有する第四の偏光板と、を順に備え、上記第三の偏光板及び上記第四の偏光板のうち、上記液晶パネルに近い側の偏光板が有する吸収軸は、上記第一の吸収軸と平行である、表示装置。
(9)また、本発明のある実施形態は、上記(7)又は上記(8)の構成に加え、上記表示パネルは、IPSモード又はFFSモードの液晶表示パネルである、表示装置。
(10)また、本発明のある実施形態は、上記(7)、上記(8)又は上記(9)の構成に加え、更に、バックライトを備え、上記バックライトは、二層の導光板を有し、上記二層の導光板の一方は広視野角モード用、他方は狭視野角モード用として機能する、表示装置。
(11)また、本発明のある実施形態は、上記(7)の構成に加え、上記表示パネルは、有機EL表示パネル、無機EL表示パネル、マイクロLED表示パネル又はQLED表示パネルである、表示装置。
(12)また、本発明のある実施形態は、上記(7)、上記(8)、上記(9)又は上記(10)の構成に加え、上記表示パネルは、第三の基板と、第二の液晶層と、第四の基板とを有し、上記第三の基板は、複数色のカラーフィルタを備え、上記第四の基板は、画素電極を備え、上記複数色のカラーフィルタ及び上記画素電極は、それぞれ、長手形状であり、上記複数色のカラーフィルタ及び上記画素電極の長手方向は、それぞれ、上記表示パネルの上下方向に沿って配置される、表示装置。
(13)また、本発明のある実施形態は、上記(7)、上記(8)、上記(9)又は上記(10)の構成に加え、上記表示パネルは、第三の基板と、第二の液晶層と、第四の基板とを有し、上記第三の基板は、複数色のカラーフィルタを備え、上記第四の基板は、画素電極を備え、上記複数色のカラーフィルタ及び上記画素電極は、それぞれ、長手形状であり、上記複数色のカラーフィルタ及び上記画素電極の長手方向は、それぞれ、上記表示パネルの左右方向に沿って配置される、表示装置。
(14)また、本発明のある実施形態は、上記(13)の構成に加え、上記第三の基板は、上記複数色のカラーフィルタのそれぞれに対応する複数の開口部が設けられたブラックマトリクス層を備え、上記複数の開口部の、上記表示パネルの左右方向の幅WBは、それぞれ、80μm以上、140μm以下であり、上記複数の開口部の、上記表示パネルの上下方向の幅LBは、それぞれ、80μm以下である、表示装置。
本発明によれば、狭視野角モードにおいて遮光角を小さくすることができ、かつ、正面視における色シフトを抑えることができる液晶パネル、及び、上記液晶パネルを備える表示装置を提供することができる。
実施形態1に係る視野角制御用液晶パネルの電圧無印加状態を示した断面模式図である。 実施形態1に係る視野角制御用液晶パネルの電圧印加状態を示した断面模式図である。 実施形態1に係る視野角制御用液晶パネルの斜視模式図である。 実施形態1に係る視野角制御用液晶パネルの正面模式図である。 実施形態1に係る視野角制御用液晶パネルが備える液晶分子の電圧無印加状態におけるダイレクタと偏光板の吸収軸との関係を示した斜視模式図である。 実施形態1に係る視野角制御用液晶パネルが備える液晶分子の電圧印加状態におけるダイレクタと偏光板の吸収軸との関係を示した斜視模式図である。 実施形態1の変形例1に係る視野角制御用液晶パネルの斜視模式図である。 実施形態1の変形例2に係る視野角制御用液晶パネルの斜視模式図である。 実施形態2に係る表示装置の断面模式図である。 実施形態2に係る表示装置の正面模式図である。 実施形態2の変形例1に係る表示装置の断面模式図である。 実施形態2の変形例1に係る表示装置の正面模式図である。 遮光角の測定結果の一例を示す図である。 実施例1~実施例4及び参考例1~参考例7に係る視野角制御用液晶パネルの、第一の液晶層のリタデーションに対する、広視野角モードと狭視野角モードとの間の色差を示すグラフである。 実施例1~実施例4及び参考例1~参考例7に係る視野角制御用液晶パネルの、第一の液晶層のリタデーションに対する遮光角を示すグラフである。 実施例5に係る表示装置の断面模式図である。 実施例5に係る表示装置の正面模式図である。 実施例5に係る表示装置の挟視野角モード及び広視野角モードにおける視野角について説明する断面模式図である。 実施例6に係る表示装置の断面模式図である。 実施例6に係る表示装置の正面模式図である。 実施例6に係る表示装置の挟視野角モード及び広視野角モードにおける視野角について説明する断面模式図である。 実施例7に係る表示装置の断面模式図である。 実施例7に係る表示装置の正面模式図である。 実施例7に係る表示装置の挟視野角モード及び広視野角モードにおける視野角について説明する断面模式図である。 実施例8-1~実施例8-4に係る表示装置の挟視野角モードにおける視野角について説明する断面模式図である。 実施例8-1に係る表示装置が備える第一の電極のパターンを示す図である。 実施例8-2に係る表示装置が備える第一の電極のパターンを示す図である。 実施例8-3に係る表示装置が備える第一の電極のパターンを示す図である。 実施例8-4に係る表示装置が備える第一の電極のパターンを示す図である。 実施例8-1~実施例8-4に係る表示装置の挟視野角モード及び広視野角モードでのサンプルの見栄えの一例を示す図である。 実施例9に係る表示装置の断面模式図である。 実施例9に係る表示装置の挟視野角モード及び広視野角モードにおける視野角について説明する断面模式図である。 実施形態2の変形例3に係る表示装置の液晶表示パネルが備える第三の基板の平面模式図である。 実施形態2の変形例3に係る表示装置の液晶表示パネルが備える第四の基板の平面模式図である。 実施形態2の変形例4に係る表示装置の液晶表示パネルが備える第三の基板の平面模式図である。 実施形態2の変形例4に係る表示装置の液晶表示パネルが備える第四の基板の平面模式図である。 実施形態2の変形例5に係る表示装置が備えるバックライトの斜視模式図である。 実施形態2の変形例5に係る表示装置が備えるバックライトにおいて、ノーマル導光板に設けられたLED及びパブリック用導光板に設けられたLEDがオン状態である場合について説明する断面模式図である。 実施形態2の変形例5に係る表示装置が備えるバックライトにおいて、ノーマル導光板に設けられたLEDがオン状態であり、パブリック用導光板に設けられたLEDがオフ状態である場合について説明する断面模式図である。 実施形態2の変形例5に係る表示装置が備えるバックライトにおいて、ノーマル導光板に設けられたLEDがオフ状態であり、パブリック用導光板に設けられたLEDがオン状態である場合について説明する断面模式図である。 実施形態2の変形例6に係る表示装置が備えるバックライトの斜視模式図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に記載された内容に限定されるものではなく、本発明の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。なお、以下の説明において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して適宜用い、その繰り返しの説明は適宜省略する。本発明の各態様は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよい。
[用語の定義]
本明細書中、観察面側とは、液晶パネルの画面(表示面)に対してより近い側を意味し、背面側とは、液晶パネルの画面(表示面)に対してより遠い側を意味する。
本明細書中、方位とは、対象となる方向(例えば測定方向)を液晶パネルの画面上に射影したときの方向を意味し、基準となる方位との間のなす角度(方位角)で表現される。ここで、基準となる方位(0°)は、液晶パネルの画面の水平右方向に設定される。方位角は、反時計回りを正の角度、時計回りを負の角度とする。反時計回り及び時計回りは、いずれも液晶パネルの画面を観察面側(正面)から見たときの回転方向を表す。また、角度は、液晶パネルを平面視した状態で測定された値を表し、2つの直線(軸及び方向を含む)が互いに直交するとは、液晶パネルを平面視した状態で直交することを意味し、2つの直線(軸及び方向を含む)が互いに平行であるとは、液晶パネルを平面視した状態で平行であることを意味する。
本明細書中、極角とは、対象となる方向(例えば測定方向)と、液晶パネルの画面の法線方向とのなす角度を意味する。対象となる方向の方位角が0°~90°又は270°~360°である場合の極角は正の角度とし、対象となる方向の方位角が90°~270°である場合、極角は負の角度とする。
本明細書において、軸方位とは、特に断りのない限り偏光子の吸収軸(反射軸)、又は、複屈折層の光軸(遅相軸)の方位を意味する。
本明細書中、2つの軸が直交するとは、両者のなす角度が90°±3°であることを意味し、好ましくは90°±1°、より好ましくは90°±0.5°、特に好ましくは90°(完全に直交)であることを意味する。2つの軸が平行であるとは、両者のなす角度が0°±3°であることを意味し、好ましくは0°±1°、より好ましくは0°±0.5°、特に好ましくは0°(完全に平行)であることを意味する。
本明細書中、面内方向のリタデーションRpは、Rp=(ns-nf)dで定義される。また、厚さ方向のリタデーションRthは、Rth=(nz-(nx+ny)/2)dで定義される。nsはnx、nyのうち大きい方を、nfは小さい方を指す。また、nx及びnyは、複屈折層(液晶パネルを含む)の面内方向の主屈折率を示し、nzは、面外方向、すなわち、複屈折層の面に対して垂直方向の主屈折率を示し、dは、複屈折層の厚みを示す。
なお、本明細書中で主屈折率、位相差等の光学パラメータの測定波長は、特に断りのない限り550nmとする。
本明細書において、複屈折層とは、光学的異方性を有する層のことであり、液晶パネルを包含する概念である。複屈折層は、例えば、面内方向のリタデーションと、厚さ方向のリタデーションの絶対値とのいずれか一方が10nm以上の値を有するものであり、好ましくは、20nm以上の値を有するものである。
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に記載された内容に限定されるものではなく、本発明の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る視野角制御用液晶パネルの電圧無印加状態を示した断面模式図である。図2は、実施形態1に係る視野角制御用液晶パネルの電圧印加状態を示した断面模式図である。図3は、実施形態1に係る視野角制御用液晶パネルの斜視模式図である。図4は、実施形態1に係る視野角制御用液晶パネルの正面模式図である。
図1~図4に示すように、本実施形態の上記液晶パネルとしての視野角制御用液晶パネル10は、第一の吸収軸10P1Aを有する第一の偏光板10P1と、第一の電極112を有する第一の基板110と、液晶分子131を含有する液晶層130と、第二の電極152を有する第二の基板150と、を順に備える。電圧無印加状態における、第一の基板110側の液晶分子1311のダイレクタ1311Aの方位角をφ1、第二の基板150側の液晶分子1312のダイレクタ1312Aの方位角をφ2、第一の偏光板10P1の第一の吸収軸10P1Aの方位角をφP1とするとき、下記(式1)を満たし、かつ、(式2-1)又は(式2-2)を満たす。
5°≦|φ1-φ2|≦20° ・・・(式1)
5°≦|φP1-φ2|≦20° ・・・(式2-1)
65°≦|φP1-φ2|≦80°・・・(式2-2)
上記(式1)を満たすことにより、正面視における色シフトを抑えることができる。φ1>φ2であっても、φ1<φ2であってもよく、いずれの場合も同様の効果が得られる。また、上記(式2-1)又は(式2-2)を満たすことにより、電圧無印加状態において、視野角制御用液晶パネル10は広視野角モードとして機能し、電圧印加状態において、水平方向(方位角0°-180°)の中心軸(極角0°、すなわち正面方向)に対して視野角制御用液晶パネル10は非対称な狭視野角モードとして機能する。具体的には、視野角制御用液晶パネル10は、透過率が最小となる極角(遮光角)を正の極角側と負の極角側とに有し、負の極角側の遮光角と正の極角側の遮光角の絶対値が互いに異なる。特に、この狭視野角モードにおいては、負の極角側の遮光角を例えば極角-40°~-30°と小さくすることが可能であり、視認可能な角度範囲(極角範囲)を充分に小さくすることができ、充分な遮光性効果を得ることができる。なお、上記(式2-1)を満たす場合も(式2-2)を満たす場合も、所望の遮光角(極角方向)で視野角制御用液晶パネル10(好ましくは、ECB(Electrically Controlled Birefringene)モード)のリタデーションがλ/2[nm]を満たすことから、上記(式2-1)を満たす場合も(式2-2)を満たす場合も同様の遮光性効果が得られる。なお、本明細書において、遮光角が小さいとは、遮光角の絶対値が小さいことをいう。
ここで、液晶パネルの構成としては、例えば、一対の基板のうち一方の基板に画素電極、他方の基板に共通電極が形成された当該一対の基板間に液晶層を狭持し、画素電極及び共通電極の間に電圧を印加して液晶層に縦電界を印加することで表示を行う縦電界方式が挙げられる。
縦電界方式としては、電圧無印加状態において液晶層中の液晶分子が基板面に対して平行に配向する、すなわち、ホモジニアス(水平)配向するECBモード、電圧無印加状態において液晶層中の液晶分子が基板面に対して垂直に配向する、すなわち、ホメオトロピック(垂直)配向するVA(Vertical Alignment)モードやHAN(Hybrid Aligned Nematic)モード等が挙げられる。
第一の基板側の液晶分子のダイレクタとは、第一の基板近傍において水平配向している液晶分子のダイレクタである。より具体的には、第一の基板の液晶層側に設けられた配向膜が水平配向膜である場合、第一の基板側の液晶分子のダイレクタとは、液晶層の第一の基板側の界面に位置する液晶分子のダイレクタをいう。第一の基板の液晶層側に設けられた配向膜が垂直配向膜である場合、液晶層の第一の基板側の界面に位置する液晶分子は垂直配向しているため、第一の基板側の液晶分子のダイレクタとは、第一の基板側の界面より液晶層の内側に位置する、水平配向状態にある液晶分子のダイレクタをいう。液晶分子のダイレクタは、配向主軸の方向(ネマティック液晶において分子長軸の平均的に揃う方向)であるため、電圧無印加状態における第一の基板側の液晶分子のダイレクタの方位角は、第一の基板の液晶層側に設けられた配向膜の配向処理方向の方位角と一致する。
同様に、第二の基板側の液晶分子のダイレクタとは、第二の基板近傍において水平配向している液晶分子の配向方向である。より具体的には、第二の基板の液晶層側に設けられた配向膜が水平配向膜である場合、第二の基板側の液晶分子の配向方向とは、液晶層の第二の基板側の界面に位置する液晶分子のダイレクタをいう。第二の基板の液晶層側に設けられた配向膜が垂直配向膜である場合、液晶層の第二の基板側の界面に位置する液晶分子は垂直配向しているため、第二の基板側の液晶分子のダイレクタとは、第二の基板側の界面より液晶層の内側に位置する、水平配向状態にある液晶分子のダイレクタをいう。電圧無印加状態における第二の基板側の液晶分子のダイレクタの方位角は、第二の基板の液晶層側に設けられた配向膜の配向処理方向の方位角と一致する。
液晶分子の配向状態は、次のように分析することもできる。クロスニコルに配置された一対の偏光板に電圧無印加状態の液晶パネルを挟んだときに消光位が観察される場合は、(状態1)ホモジニアス(水平)配向状態、又は、(状態2)ホメオトロピック(垂直)配向状態のいずれかと特定され、ツイストが無いと判別することができる。この時、もし消光位が観察されない場合、クロスニコルに配置された一対の偏光板のうち一方の偏光板のみを方位方向に回転し、仮に、反時計周りに10°回転させたときに消光位が観察されるなら、液晶パネル内の液晶分子は、(状態1)又は(状態2)のいずれかでありながらも、電圧無印加状態において10°ツイストした状態であると特定される。
(状態1)及び(状態2)の切り分けとしては、Axoscan(Axometrics社製)で面内位相差の電圧依存性を測定すれば、その特性カーブにより、ECBモードであるか、あるいは別モード(例えばHANモード、VAモード等)であるかどうかの切り分けが可能となる。尚、ECBモードは、面内位相差の電圧依存に明確な閾値があるが、HANモードは閾値がないため、その切り分けが可能となる。
液晶分子が水平配向であるか垂直配向であるかは、Axoscan(Axometrics社製)を使用し、電圧無印加時の面内位相差を測定することによって判別することができる。水平配向状態であり、かつ、ツイストの無い場合は、面内位相差:(ne-no)×dが得られ、10°ツイストしている場合は、面内位相差:{(ne-no)×cos5°}×dが得られる。ここで、neは液晶分子の長軸屈折率、noは液晶分子の短軸屈折率、dはギャップ(液晶層の厚み)を表す。一方、垂直配向状態の場合は、短軸屈折率しか光を感じず、電圧無印加時の面内位相差は約0nmとなるため、水平配向状態との違いが鮮明となる。なお、10°ツイストしている場合に面内位相差の式中でcos5°としているのは、厚み方向で段階的に液晶分子が捩れて(トータル)10°ツイストするため、平均5°となるからである。
液晶分子のより詳細な配向状態(ダイレクタ含む)の分析は、Axoscan(Axometrics社製)を使用し、二軸での斜め位相差測定(セルの斜め位相差測定)を行うことによって、より具体的には、二軸(方位2方向)における極角0°(正面)~極角±60°まで液晶パネルの面内位相差を測定することによって可能となる。この測定結果に基づき、液晶分子のダイレクタ(具体的なチルト角も含む情報)を見積もることも可能である。
本実施形態の視野角制御用液晶パネル10は、好ましくはECBモードであり、上記(式2-1)又は(式2-2)を満たすことにより、液晶層130に電圧印加する時は、正面(極角0°)に対し、水平方向においては左右で非対称な輝度視野角が得られ、透過率が最小となる極角(遮光角ともいう)をより小さな角度で実現することができる。即ち、より低極角で遮光可能な非対称視野角を有するECBモードの液晶パネルを実現することができる。その結果、本実施形態の視野角制御用液晶パネル10を用いることにより、プライバシーモードにおいて、視認可能な角度範囲(極角範囲)を、より狭めることが可能となる。
更に、本発明者らは、当該非対称視野角を有するECBモードの液晶パネルを正面視したときに、電圧印加状態と電圧無印加状態との間で色シフトする場合があり、改善の余地があることを見出した。例えば、非対称視野角を有するECBモードの液晶パネルでは、第一の偏光板の第一の吸収軸が90°であり、かつ、電圧無印加状態における液晶分子のダイレクタの方位角が75°であると、入射偏光が色ごとに異なる複屈折を感じてしまうため、正面視の色味が電圧印加状態と電圧無印加状態との間でシフトする傾向にあることを見出した。本実施形態の視野角制御用液晶パネル10は、上記(式1)を満たし、液晶層130内で液晶分子131がツイスト角φ=|φ1-φ2|でツイスト配向するため、当該正面視したときの色シフトを抑えることができる。
このように、本実施形態では、第一の偏光板10P1の第一の吸収軸10P1Aの方位角φP1と、電圧無印加状態における第二の基板150側の液晶分子1312のダイレクタ1312Aの方位角φ2とを所定の角度にしつつ、かつ、電圧無印加状態における第二の基板150側の液晶分子1312のダイレクタ1312Aの方位角φ2と第一の基板110側の液晶分子1311のダイレクタ1311Aの方位角φ1とを所定の角度に設定して若干のツイスト角(5°以上、20°以下)を付与したECBモードとして機能させることにより、低極角での遮光性は維持しながら、色味シフトを抑制することができる。本実施形態の視野角制御用液晶パネル10は、特に、プライバシー性能の要望基準が厳しく、更なるプライバシー性能(画像・映像の表示不可視認性)の向上が求められている車載市場において好適に用いられる。
正の誘電率異方性を有する液晶分子を備えるECBモードの液晶パネルでは、遮光角と液晶層のリタデーションReとの間にはトレードオフの関係がある。具体的には、電圧無印加状態における液晶層のRe=800nmであるとき、遮光角は最適電圧において約45度となる。これに対して、約30°の遮光角を得るには、Re=1600nm程度が必要となり、液晶層の複屈折率Δn又はセル厚dのいずれかを大きくしなければならい。例えば、セル厚dを大きくする場合は、Δn=0.12、かつ、d=13μmとする必要があり、複屈折率Δnを大きくする場合は、Δn=0.22、かつ、d=7μmとする必要がある。
しかしながら、セル厚dを大きくする場合、及び、複屈折率Δnを大きくする場合のいずれにおいても、生産性や信頼性に課題がある。セル厚dを大きくする場合は、セル厚が分厚くなるために面内ムラや歩留まり(特性安定性)に課題がある。また、複屈折率Δnを大きくする場合は、液晶材料にトラン系を用いることで高いΔnを実現することができるが、低温時の動作が不安定になるなどに課題がある。一方、本実施形態の視野角制御用液晶パネル10は、セル厚dや複屈折率Δnを大きくする必要がないため、生産性や信頼性を低下させることなく、また、低温時の動作が不安定となることを抑えつつ、狭視野角モードにおいては、遮光角を充分に小さくすることができる。
上記特許文献1では、視野角制御用液晶パネルと表示用液晶パネルとを備え、上記視野角制御用液晶パネルは、ECBモード(ホモジニアス配向状態)からなり、その液晶分子のダイレクタと、表示用液晶パネルを挟持する偏光板の透過軸とのなす角度が、0°(平行)である場合のみ記載されている。この場合、遮光角を充分に小さくすることはできない。一方、本実施形態の視野角制御用液晶パネル10では、狭視野角モードにおいて遮光角を充分に小さくすることができ、かつ、正面視における色シフトを抑えることができる。
上記特許文献2の液晶表示装置は、HANモードの視野角制御用液晶パネルと、表示用液晶パネルと、パブリックモード用及びプライバシーモード用の2層のバックライトユニットとを備え、視野角制御用液晶パネルをオフ状態、プライバシーモード用バックライトユニットをオン状態、パブリックモード用バックライトユニットをオフ状態とすることにより挟視野角モードを実現し、視野角制御用液晶パネルをオン状態、パブリックモード用バックライトユニットをオン状態、プライバシーモード用バックライトユニットをオフ状態とすることにより広視野角モードを実現することができ、狭視野角モードと広視野角モードとを切り替えることができるデュアルセル方式の液晶表示装置である。特許文献2の液晶表示装置において遮光角を小さくするには、液晶層のリタデーション(Re=Δn×d)を大きくする必要があり、量産性との両立が困難である。一方、本実施形態の視野角制御用液晶パネル10では、量産性の低下を抑えつつ、狭視野角モードにおいて遮光角を充分に小さくすることができ、かつ、正面視における色シフトを抑えることができる。
上記非特許文献1の液晶表示装置は、VAモードの視野角制御用液晶パネルと表示用液晶パネルとルーバーフィルムとを備えるデュアルセル方式の液晶表示装置であり、上記視野角制御用液晶パネルは、片側の基板側にのみITOグリッド電極を備えている。非特許文献1の液晶表示装置では、上記グリッド電極への電圧印加時には横電界により液晶セル内の屈折率分布が変調され、ルーバーフィルム越しにバックライト光を拡散させてパブリックモードを実現することができる。また、電圧無印加時にはバックライト光は拡散されず、そのまま表示用液晶パネル側へと抜けていき、プライバシーモードを実現することができる。このように、非特許文献1の方式では、プライバシーモード時の遮光角はルーバーフィルムにより決定されるため、遮光角が小さいルーバーフィルムを使用する場合はパブリックモードにおいて充分な広視野角が得られないという課題がある。一方、本実施形態の視野角制御用液晶パネル10では、パブリックモードにおいて充分な広視野角を得つつ、プライバシーモードにおいて遮光角を充分に小さくすることができ、かつ、正面視における色シフトを抑えることができる。
以下、本実施形態について詳細に説明する。
図1~図4に示すように、本実施形態の視野角制御用液晶パネル10は、更に、第二の基板150の液晶層130と反対側に、第一の吸収軸10P1Aと平行な第二の吸収軸10P2Aを有する第二の偏光板10P2を備えることが好ましい。このような態様とすることにより、第一の偏光板10P1及び第二の偏光板10P2をパラレルニコルに配置することが可能となり、視野角制御用液晶パネル10の背面側にバックライトを配置する場合に、電圧無印加状態において、低い極角側から高い極角側にかけてバックライト光をより効果的に透過させることが可能となる。
本実施形態の視野角制御用液晶パネル10は、より具体的には、図1~図4に示すように、観察面側から背面側に向かって順に、第一の吸収軸10P1Aを有する第一の偏光板10P1と、第一の支持基板111及び第一の電極112を有する第一の基板110と、第一の配向膜120と、液晶分子131を含有する液晶層130と、第二の配向膜140と、第二の電極152及び第二の支持基板151を有する第二の基板150と、第一の吸収軸10P1Aに平行な第二の吸収軸10P2Aを有する第二の偏光板10P2と、を備える。視野角制御用液晶パネル10は、第一の電極112と第二の電極152との間に印加する電圧を変化させることにより、液晶層130のリタデーションを変化させ、液晶層130の光の透過及び不透過を制御することができる。
視野角制御用液晶パネル10はパッシブ駆動されるパッシブ液晶パネルである。一般的なパッシブ液晶パネルと同様に、視野角制御用液晶パネル10が備える第一の基板110は、画面50全面を覆うようなベタ状の電極(ベタ電極)である第一の電極112を備え、第二の基板150は、画面50全面を覆うようなベタ電極である第二の電極152を備える。このような態様とすることにより、画面50全体でパブリックモードとプライバシーモードとの切り替えを行うことができる。
第一の支持基板111及び第二の支持基板151としては、例えば、ガラス基板、プラスチック基板等の基板が挙げられる。ガラス基板の材料としては、例えば、フロートガラス、ソーダガラス等のガラスが挙げられる。ブラスチック基板の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン等のプラスチックが挙げられる。
第一の電極112及び第二の電極152は、透明電極であってもよく、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等の透明導電材料、又は、それらの合金で形成することができる。
第一の配向膜120及び第二の配向膜140は、電圧無印加状態における液晶分子131の配向方位及び電圧無印加状態における液晶分子131のチルト角を制御する。第一の配向膜120及び第二の配向膜140は、水平配向膜であっても垂直配向膜であってもよいが、電圧無印加状態における透過率を向上させる観点から、第一の配向膜120及び第二の配向膜140は、水平配向膜であることが好ましい。
ここで、水平配向膜は、当該配向膜を備える基板を液晶パネルに用いた場合に、液晶層に電圧を印加しない電圧無印加状態において、液晶層中の液晶分子を配向膜に対して、略水平に配向させる配向規制力を発現させる配向膜である。また、垂直配向膜は、当該配向膜を備える基板を液晶パネルに用いた場合に、液晶層に電圧を印加しない電圧無印加状態において、液晶層中の液晶分子を配向膜に対して、略垂直に配向させる配向規制力を発現させる配向膜である。
略水平とは、チルト角が0°以上、10°以下であることを意味し、好ましくは0°以上、5°以下、より好ましくは0°以上、2°以下であることを意味する。略垂直とは、チルト角が83°以上、90°以下であることを意味し、好ましくは85°以上、90°以下、より好ましくは87.5°以上、88.0°以下であることを意味する。
なお、本明細書において「チルト角」とは、液晶分子のダイレクタと基板の主面とのなす角を意味するのではなく、液晶層の厚み方向における液晶分子のダイレクタと基板(第一の基板及び上記第二の基板)の主面とのなす角度の平均値を意味し、基板の主面と平行な角度が0°、基板の主面の法線の角度が90°である。特に、電圧無印加状態における液晶分子のチルト角をプレチルト角ともいう。また、電圧無印加状態における液晶分子の配向方位を初期配向方位ともいう。チルト角は、クリスタルローテーション法を用いて求めることが可能であり、例えば、Axoscan(Axometrics社製)を用いて求めることができる。また、本実施形態において、液晶分子のダイレクタは、配向主軸の方向(ネマティック液晶において分子長軸の平均的に揃う方向)である。例えば、平面視において、電圧無印加状態における液晶分子のダイレクタは、配向膜の配向処理方向と一致する。
第一の配向膜120及び第二の配向膜140の材料としては、ポリイミドを主鎖に有するポリマー、ポリアミック酸を主鎖に有するポリマー、ポリシロキサンを主鎖に有するポリマー等の液晶パネルの分野で一般的な材料を用いることができる。第一の配向膜120及び第二の配向膜140は配向膜材料を塗布することによって形成することができ、上記塗布方法は特に限定されず、例えば、フレキソ印刷、インクジェット塗布等を用いることができる。
第一の配向膜120及び第二の配向膜140は、光官能基を有し、かつ配向処理として光配向処理が施された光配向膜であってもよいし、配向処理としてラビング処理が施されたラビング配向膜であってもよいし、配向処理が施されていない配向膜であってもよい。
液晶層130は液晶分子131を含有する。液晶層130に対して印加された電圧に応じて液晶分子131の配向状態が変化することにより、光の透過量が制御される。液晶分子131の誘電率異方性(Δε)は下記式(L)で定義される。液晶分子131は、正の誘電率異方性を有することが好ましい。このような態様とすることにより、駆動電圧を低減することが可能となる。また、外部の温度環境に強い(信頼性が高い)液晶パネルとして動作させることが可能となる。なお、正の誘電率異方性を有する液晶分子をポジ型の液晶分子といい、負の誘電率異方性を有する液晶分子をネガ型の液晶分子という。また、電圧無印加状態における液晶分子の長軸の方向は、液晶分子の初期配向の方向ともいう。
Δε=(液晶分子の長軸方向の誘電率)-(液晶分子の短軸方向の誘電率) (L)
また、液晶分子131が正の誘電率異方性を有することにより、液晶分子131は、電圧無印加状態で、ホモジニアス配向するため、ECBモードを実現することができる。本明細書において、ホモジニアス配向とは、視野角制御用液晶パネル10を構成する基板の基板面(例えば、第一の基板110及び第二の基板150の少なくとも一方の基板面)に対して水平であり、且つ向きも揃っている配向状態を意味する。また、本明細書において、電圧無印加状態(電圧無印加時)とは、液晶層中に液晶分子の閾値以上の電圧が印加されていない状態をいい、例えば、第一の電極112及び第二の電極152に同じ定電圧が印加されている状態であってもよいし、第一の電極112及び第二の電極152の一方の電極に定電圧が印加され、他方の電極に、上記定電圧に対して液晶分子の閾値未満の電圧が印加される状態であってもよい。また、本明細書において、電圧印加状態(電圧印加時)とは、液晶層中に液晶分子の閾値以上の電圧が印加されている状態をいう。電圧印加状態とは、例えば、最適電圧が印加されている状態である。ここで、最適電圧とは、遮光角(例えば、極角-40°~-30°の範囲)において液晶パネル(例えば、ECBモード)のリタデーションがλ/2[nm]を満たす電圧である。
図5は、実施形態1に係る視野角制御用液晶パネルが備える液晶分子の電圧無印加状態におけるダイレクタと偏光板の吸収軸との関係を示した斜視模式図である。図6は、実施形態1に係る視野角制御用液晶パネルが備える液晶分子の電圧印加状態におけるダイレクタと偏光板の吸収軸との関係を示した斜視模式図である。
本実施形態の視野角制御用液晶パネル10は、上記(式2-1)又は(式2-2)を満たす。そのため、電圧無印加状態では図5に示すように、極角0°(正面方向)から観察する場合も大きな極角(例えば、極角-30°)から観察する場合も、液晶分子131のダイレクタ131Aと第一の偏光板10P1の第一の透過軸10P1Bとのなす角度は[90°-φ(φ1,φ2)]を満たす。ここで、液晶分子131のダイレクタ131Aとは、液晶層130に含まれる液晶分子131のダイレクタの平均値を意味する。
一方、電圧印加状態では、図6に示すように、極角0°(正面方向)から観察する場合、液晶分子131のダイレクタ131Aと第一の偏光板10P1の第一の透過軸10P1Bとのなす角度は90°-φ(φ1,φ2)を満たすが、大きな極角(例えば、極角-30°)から観察する場合、液晶分子131のダイレクタ131Aと第一の偏光板10P1の第一の透過軸10P1Bとのなす角度は液晶分子131のチルト角θ及び方位角φ1,φ2に依存し、正面方向から観察する場合とは異なる角度となる。
このように、本実施形態では、上記(式2-1)又は(式2-2)を満たすことにより、電圧印加状態において、水平方向(方位角0°-180°)の中心軸(極角0°、すなわち正面方向)に対して、視野角制御用液晶パネル10は非対称な狭視野角モードとして機能する。特に、この狭視野角モードにおいては、遮光角を例えば極角-40°~-30°と小さくすることが可能であり、視認可能な角度範囲(極角範囲)を充分に小さくすることができ、充分な遮光性効果を得ることができる。
本実施形態の視野角制御用液晶パネル10は、上記(式1)を満たす。すなわち、液晶層130は、第一の基板110と第二の基板150との間でツイスト配向(捩れ配向)する液晶分子131を含有する。液晶分子131は、第一の基板110側から第二の基板150側にかけて捩れ配向している。このような態様とすることにより、正面視したときに、広視野角モードと狭視野角モードとの間で生じる色シフトを抑えることができる。
視野角制御用液晶パネル10は、下記(式1-1)を満たすことがより好ましい。このような態様とすることにより、正面視したときの色シフトをより効果的に抑えることができる。
5°≦|φ1-φ2|≦15° ・・・(式1-1)
液晶分子131の捩れ配向は、例えば、液晶材料にカイラル剤を添加することにより実現することができる。カイラル剤としては特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。カイラル剤としては、例えば、S-811(メルク社製)等を用いることができる。一方、小さいねじれ、例えば、5°~10°のツイスト配向は、必ずしもカイラル剤を液晶材料へ添加せずとも、ディスクリネーションなどの表示不良を生じることなく実現することができる。
電圧無印加状態において、液晶分子131のチルト角は、1°以上、5°以下であり、電圧印加状態において、液晶分子131のチルト角は、40°以上、75°以下であることが好ましい。このような態様とすることにより、プライバシーモードにおいて、視認可能な角度(極角)を、更に小さくすることが可能となる。即ち、より低極角側での遮光が可能となる。ここで、本明細書では、液晶パネルの表示面に対して垂直方向を基準とし、垂直方向に近ければより低極角側、垂直方向から遠ざかればより高極角側とする。
液晶分子131の複屈折率Δnは、0.08以上、0.24以下であってもよい。高い信頼性(高い電圧保持率、広い動作温度範囲)の観点から、Δnは、0.08以上、0.16以下が好ましい。
液晶層130の厚み(セル厚)dは、3μm以上、10μm以下であることが好ましい。このような態様とすることにより、液晶分子131の応答速度を速くすることができる。また、視野角制御用液晶パネル10の厚みをより薄くすることができる。薄型化の観点では、液晶層130の厚みdは、3μm以上、5μm以下であることがより好ましい。歩留まりの観点では、液晶層130の厚みdは、5μm以上、10μm以下であることがより好ましい。液晶層130の厚みdが5μm以上であると、異物混入時の表示ムラを目立ちにくくし、歩留まりを向上させることができる。
第一の電極112及び第二の電極152は、ベタ状の電極であり、電圧無印加状態における液晶層130のリタデーションReは、700nm以上、1200nm以下であることが好ましい。このような態様とすることにより、電圧無印加時に明るく広い視野角特性を有する一方で、電圧印加時には充分な遮光性能とともに、生産安定性も担保することができる。液晶層130のリタデーションReは、液晶分子の複屈折率(Δn)と液晶層の厚み(d)の積で表される。
第一の電極112又は第二の電極152は、液晶層130が電圧印加状態である場合に視野角制御用液晶パネル10の斜め方向から視認させるパターンがパターニングされていることも好ましい。このような態様とすることにより、狭視野角モードにおいて斜め視した際にパターニングされた部分が光抜けして視認されるため、視野角制御用液晶パネル10の背面側に表示パネルを配置した場合に、当該表示パネルに表示されたコンテンツをより視認し難くすることが可能となり、プライバシー性能を向上させることができる。
上記パターンは、例えば、文字、図形、記号及び模様の少なくとも1種のデザイン要素によって識別されるデザインパターンである。上記デザイン要素としては、具体的にはロゴが挙げられる。
第一の電極112又は第二の電極152は、ロゴがパターニングされていることがより好ましい。このような態様とすることにより、狭視野角モードにおいて斜め視した際にロゴを視認させることができる。上記ロゴの1つあたりの大きさは特に限定されないが、例えば、上記ロゴは、1つあたりの面積が5mm以上、500mm以下であることが好ましく、10mm以上、100mm以下であることがより好ましい。
第一の電極112又は第二の電極152は、液晶層130が電圧印加状態である場合に視野角制御用液晶パネル10の斜め方向から視認させるパターンがパターニングされており、電圧無印加状態における液晶層130のリタデーションReは、700nm以上、900nm以下であることが好ましい。このような態様とすることにより、電圧無印加時(広視野角モード)において明るく広い視野角特性を有する一方で、電圧印加時(狭視野角モード)において充分な遮光性能とともに、生産安定性も担保することができる。更に、パターニングされた部分は電極がないため電圧がかからず、常に広視野角モードとなり、正面方向及び斜め方向共に光抜けする。そのため、狭視野角モードにおいて斜め視した際にパターニングされた部分が光抜けして視認されるため、視野角制御用液晶パネル10の背面側に表示パネルを配置した場合に、当該表示パネルに表示されたコンテンツをより視認し難くすることが可能となり、かつ、狭視野角モードにおいて正面視した際にパターニングされた部分が視認されるのを回避することができる。
第一の偏光板10P1及び第二の偏光板10P2は、いずれも吸収型偏光子である。第一の偏光板10P1及び第二の偏光板10P2としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムにヨウ素錯体(又は染料)等の異方性材料を、染色及び吸着させてから延伸配向させた偏光子(吸収型偏光板)等を用いることができる。
第一の偏光板10P1は、第一の吸収軸10P1Aと、第一の吸収軸10P1Aに直交する第一の透過軸10P1Bとを有する。第二の偏光板10P2は、第二の吸収軸10P2Aと、第二の吸収軸10P2Aに直交する第二の透過軸10P2Bとを有する。
第二の吸収軸10P2Aは、第一の吸収軸10P1Aと平行であることが好ましい。例えば、第一の吸収軸10P1Aと第二の吸収軸10P2Aの方位角は90°に設定される。
(実施形態1の変形例1)
図7は、実施形態1の変形例1に係る視野角制御用液晶パネルの斜視模式図である。図7に示すように、視野角制御用液晶パネル10は、更に、厚さ方向のリタデーションRthが500nm以上のネガティブCプレート160を有することが好ましい。このような態様とすることにより、狭視野角モードにおいて遮光角をより小さくすることができる。ネガティブCプレート160は、単層であっても複数の層からなる積層体であってもよい。なお、本変形例において説明すること以外の構成は、上記実施形態1と同じである。また、説明の便宜上、上記実施形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
ネガティブCプレート160の厚さ方向のリタデーションRthは、550nm以上であることがより好ましい。ネガティブCプレート160の厚さ方向のリタデーションRthの上限は特に限定されないが、例えば、1000nm以下である。
ネガティブCプレートとしては、例えば、延伸処理されたシクロオレフィンポリマーフィルムが挙げられる。
(実施形態1の変形例2)
上記実施形態1の視野角制御用液晶パネル10はパッシブ駆動されるパッシブ液晶パネルであるが、視野角制御用液晶パネル10はこれに限定されず、例えば、アクティブマトリクス駆動されるアクティブマトリクス液晶パネルであってもよい。なお、本変形例において説明すること以外の構成は、上記実施形態1と同じである。また、説明の便宜上、上記実施形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図8は、実施形態1の変形例2に係る視野角制御用液晶パネルの斜視模式図である。図8に示す本変形例の視野角制御用液晶パネル10はアクティブマトリクス駆動されるアクティブマトリクス液晶パネルである。このような態様とすることにより、画面50全体ではなく、部分的にパブリックモードとプライバシーモードとを切り替えることが可能となる。
視野角制御用液晶パネル10が備える第二の基板150は、一般的なアクティブマトリクス液晶パネルと同様に、互いに直交したゲート線153とソース線154とが、格子を形成するように配設され、その交点近傍には、スイッチング素子としてのTFT(Thin Film Transistor)155が設けられている。そして、ゲート線153とソース線154とに囲まれた領域が画素11Pを形成し、各画素11Pには、第二の電極152として、TFT155に接続された画素電極が設けられる。
一方、第二の基板150と対向する第一の基板110には、第一の電極112として、画面50全面を覆うようなベタ電極である共通電極が設けられる。
視野角制御用液晶パネル10の駆動方法は、特には限定されず、例えば一般に行われているアクティブマトリクス駆動方式を用いることができる。すなわち、ゲートドライバを介して各画素に設けられたTFT155をスイッチングする(オン・オフする)。そして、このスイッチングに連動して、オンする画素に対して、ソースドライバを介して電圧を印加し、TFT155のドレインバスを介して各画素内の蓄積容量に電荷を蓄積する。そして、この蓄積容量によって、当該画素がオン状態に保たれるというものである。
ゲート線153は、TFT155のゲート電極に接続された配線(通常は複数のゲート電極に接続されたバスライン)であり、接続されたTFT155のゲート電極に走査信号(TFTのオン状態及びオフ状態を制御する信号)を印加する。ソース線154は、TFT155のソース電極に接続された配線(通常は複数のソース電極に接続されたバスライン)であり、接続されたTFT155にデータ信号(例えば映像信号)を印加する。ゲート線153及びソース線154は、通常、一方が、TFT155がマトリクス状に配列されたアレイ領域を縦断するように線状に配置され、他方が、上記アレイ領域を横断するように線状に配置される。
ゲート線153、ソース線154及びTFT155を構成する各種配線及び電極は、スパッタリング法等により、銅、チタン、アルミニウム、モリブデン、タングステン等の金属、又は、それらの合金を、単層又は複数層で成膜し、続いて、フォトリソグラフィ法等でパターニングを行うことで形成することができる。これら各種配線及び電極は、同じ層に形成されるものについては、それぞれ同じ材料を用いることで製造が効率化される。
(実施形態2)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態1と重複する内容については説明を省略する。本実施形態は、実施形態1の視野角制御用液晶パネル10と、表示パネルとを備える表示装置に関する。
図9は、実施形態2に係る表示装置の断面模式図である。図10は、実施形態2に係る表示装置の正面模式図である。図9及び図10に示すように、本実施形態の表示装置1は、実施形態1の視野角制御用液晶パネル10と、上記表示パネルとしての液晶表示パネル20とを備える。本実施形態の表示装置1は、デュアルセル方式の視野角制御液晶表示装置である。このような態様とすることにより、液晶層130に閾値以上の電圧が印加されていない電圧無印加状態において、視野角制御用液晶パネル10は広視野角モードとして機能し、液晶表示パネル20に表示される画像を広視野角で視認可能となる。また、液晶層130に閾値以上の電圧が印加されている電圧印加状態において、視野角制御用液晶パネル10は、水平方向(方位角0°-180°)の中心軸(極角0°、すなわち正面方向)に対して非対称な狭視野角モードとして機能し、特に、遮光角を例えば極角-40°~-30°と小さくすることが可能であり、視認可能な角度範囲(極角範囲)を充分に小さくすることができ、充分な遮光性効果を得ることができる。その結果、狭視野角モードにおいて、液晶表示パネル20に表示される画像を視認可能な範囲(極角範囲)を小さくすることができる。更に、表示装置1を正面視したときに、広視野角モードと狭視野角モードとの間で生じる色シフトを抑えることができる。
本実施形態の表示装置1は、背面側から観察面側に向かって順に、バックライト30と視野角制御用液晶パネル10と液晶表示パネル20とを備える。
視野角制御用液晶パネル10は、観察面側から背面側に向かって順に、第一の偏光板10P1と、第一の基板110と、第一の配向膜120と、液晶層130(以下、第一の液晶層130ともいう)と、第二の配向膜140と第二の基板150と第二の偏光板10P2とを備える。
液晶表示パネル20は、観察面側から背面側に向かって順に、第三の偏光板10P3と、第三の基板210と、第三の配向膜220と、第二の液晶層230と、第四の配向膜240と、第四の基板250と、第四の偏光板10P4と、を備える。液晶表示パネル20は、面内方向にマトリクス状に配置された複数の画素を含む。
第三の基板210は、観察面側から背面側に向かって順に、第三の支持基板211と、カラーフィルタ層212及びブラックマトリクス層213と、を備える。第三の基板210は、カラーフィルタ基板ともいう。
第三の支持基板211としては、特に限定されず、例えば、第一の支持基板111及び第二の支持基板151と同様のものを挙げることができる。
カラーフィルタ層212は、例えば、赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ及び青色カラーフィルタから構成される。赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ及び青色カラーフィルタは、例えば、顔料を含有する透明樹脂で構成されている。
ブラックマトリクス層213は、カラーフィルタ層212に設けられた各色カラーフィルタを区画するように格子状に配置されている。ブラックマトリクス層の材料は、遮光性を有するものである限り特に限定されないが、黒色顔料を含有した樹脂材料、又は、遮光性を有する金属材料が好適に用いられる。ブラックマトリクス層213は、例えば、黒色顔料を含む感光性樹脂を塗布して成膜し、露光及び現像等を行うフォトリソグラフィ法により形成される。
第四の基板250は、第三の電極252及び第四の電極254を備えることが好ましい。このような態様とすることにより、IPS(In-Plane Switching)モード又はFFS(Fringe Field Switching)モードの液晶表示パネル20を実現することができ、液晶表示パネル20単独では、広視野角を実現することができる。本実施形態では、液晶表示パネル20がFFSモードである場合を例に挙げて説明する。
図9に示したように、第四の基板250は、背面側から観察面側に向かって順に、第四の支持基板251と、上記画素毎に配置された第三の電極252と、絶縁層253と、線状電極部254aを有する第四の電極254とを有する。すなわち、第四の基板250は、絶縁層253を介して積層された第三の電極252及び第四の電極254を有するFFS型の電極構造を有する。第四の基板250は、アクティブマトリクス基板ともいう。
また、第四の基板250は、第四の基板250上に、互いに平行に延設された複数のゲート線と、絶縁膜を介して各ゲート線と交差する方向に互いに平行に延設され複数のソース線とを備える。複数のゲート線及び複数のソース線は、全体として格子状に形成されている。ゲート線とソース線との交点にはスイッチング素子として、TFTが配置される。
なお、本実施形態ではFFS型の電極構造を有する液晶表示パネル20を例に挙げて説明するが、本実施形態は、第三の電極252及び第四の電極254がそれぞれ櫛歯電極であり、櫛歯電極である第三の電極252及び櫛歯電極である第四の電極254が、互いに櫛歯が嵌合し合うように、同一の電極層に設けられているIPS型の電極構造にも適用することができる。
第四の基板250が備える第四の支持基板251としては、特に限定されず、例えば、第一の支持基板111及び第二の支持基板151と同様のものを挙げることができる。
第三の電極252及び第四の電極254は、画素毎に配置される。第三の電極252は、平面状電極であることが好ましい。本明細書中、「平面状電極」とは、平面視において、スリットや開口が設けられていない電極をいう。第三の電極252は、平面視において、少なくとも後述する第四の電極254が有する線状電極部254aと重畳することが好ましい。
第四の電極254は、複数の画素を跨いで電気的に結合して配置されている。第四の電極254は、線状電極部254aを有する。第四の電極254の平面形状としては、複数の線状電極部254aの両端が閉じられた構造が挙げられる。第四の電極254には、電極部分に囲まれた開口254bが設けられてもよい。
画素毎に配置された複数の第四の電極254は、互いに電気的に接続され、記複数の画素に対して共通した定電圧を印加し、かつ、画素毎に配置された複数の第三の電極252のそれぞれはTFTが備える半導体層を介して、対応するソース線と電気的に接続され、画像信号に応じて画素毎に異なる電圧を印加してもよい。また、複数の第四の電極254のそれぞれは、TFTが備える半導体層を介して、対応するソース線と電気的に接続され、画像信号に応じて画素毎に異なる電圧を印加し、かつ、複数の第三の電極252は、互いに電気的に接続され、上記複数の画素に対して共通した定電圧を印加してもよい。
第三の電極252及び第四の電極254としては、第一の電極112及び第二の電極152と同様のものを挙げることができる。
絶縁層253としては、無機絶縁膜、有機絶縁膜等が挙げられる。無機絶縁膜としては、例えば、窒化珪素(SiNx)、酸化珪素(SiO)等の無機膜(比誘電率ε=5~7)や、それらの積層膜を用いることができる。有機絶縁膜としては、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ノボラック樹脂等の有機膜や、それらの積層体を用いることができる。
第三の配向膜220及び第四の配向膜240は、電圧無印加状態における液晶分子231の配向方位及び電圧無印加状態における液晶分子231のチルト角を制御する。第三の配向膜220及び第四の配向膜240は、水平配向膜であっても垂直配向膜であってもよいが、面内の液晶リタデーションを調整し、十分な白輝度を得る観点から、第三の配向膜220及び第四の配向膜240は、水平配向膜であることが好ましい。
第三の配向膜220及び第四の配向膜240は、ラビング配向膜であっても光配向膜であってもよい。第三の配向膜220及び第四の配向膜240は、例えば、ポリイミドを主鎖に有するポリマー、ポリアミック酸を主鎖に有するポリマー、ポリシロキサンを主鎖に有するポリマー等の配向膜ポリマーを含有する。第三の配向膜220及び第四の配向膜240は、例えば、上記配向膜ポリマーを含有する配向膜材料を第三の基板210及び第四の基板250上に塗布することによって形成することができ、上記塗布方法は特に限定されず、例えば、フレキソ印刷、インクジェット塗布等を用いることができる。
第二の液晶層230は液晶分子231を含有し、第二の液晶層230に対して印加された電圧に応じて液晶分子231の配向状態が変化することにより、光の透過量が制御される。液晶分子は、上記式(L)で定義される誘電率異方性(Δε)が正の値を有するものであってもよく、負の値を有するものであってもよいが、誘電率異方性が正の値を有するものであることが好ましい。
第三の偏光板10P3及び第四の偏光板10P4は、いずれも吸収型偏光子である。第三の偏光板10P3及び第四の偏光板10P4としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムにヨウ素錯体(又は染料)等の異方性材料を、染色及び吸着させてから延伸配向させた偏光子(吸収型偏光板)等を用いることができる。
第三の偏光板10P3は、第三の吸収軸10P3Aと、第三の吸収軸10P3Aに直交する第三の透過軸とを有する。第四の偏光板10P4は、第四の吸収軸10P4Aと、第四の吸収軸10P4Aに直交する第四の透過軸とを有する。
液晶表示パネル20は、第三の吸収軸10P3Aを有する第三の偏光板10P3と、第二の液晶層230と、第三の吸収軸10P3Aに直交する第四の吸収軸10P4Aを有する第四の偏光板10P4と、を順に備え、第三の偏光板10P3の及び第四の偏光板10P4のうち、視野角制御用液晶パネル10に近い側の偏光板である第四の偏光板10P4の第四の吸収軸10P4Aは、第一の吸収軸10P1Aと平行であることが好ましい。このような態様とすることにより、電圧無印加状態において黒表示を実現することができる。
本実施形態では、例えば、第一の吸収軸10P1Aの方位角φP1、第二の吸収軸10P2Aの方位角及び第四の吸収軸10P4Aの方位角は90°に設定され、第三の吸収軸10P3Aの方位角は0°に設定される。
バックライト30としては、液晶表示装置の分野において通常使用されるものを用いることができる。バックライト30は、視野角制御用液晶パネル10の背面側に配置し、バックライト30で生じた光を観察面側に出射できればよく、直下型であっても、エッジライト型であってもよい。バックライト30の光源の種類は特に限定されず、例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)、冷陰極管(CCFL)等が挙げられる。
バックライト30は、指向性を向上させるために、ルーバーフィルムを備えるものであってもよい。また、バックライト30は、二層の導光板を有し、上記二層の導光板の一方は広視野角モード用、他方は狭視野角モード用として機能することが好ましい。より具体的には、例えば、バックライト30は、拡散用導光板及び非拡散用導光板の二層を重ね合わせた導光板積層体を有し、各々の導光板の端部に配置されたLEDを独立に制御することで、バックライトとしてパブリックモードとプライバシーモードとを切り替えることができるものであってもよい。
液晶表示パネル20は、更に、第三の基板210の観察面側又は第四の基板250の背面側に視野角拡大フィルム(位相差フィルム)を備えていてもよい。視野角拡大フィルムとしては、例えば、微細な楔状の斜面構造を有し、直進光を全方位に拡散させるSAMフィルム等が挙げられる。
(実施形態2の変形例1)
図11は、実施形態2の変形例1に係る表示装置の断面模式図である。図12は、実施形態2の変形例1に係る表示装置の正面模式図である。上記実施形態2の表示装置1が備える液晶表示パネル20は、視野角制御用液晶パネル10の観察面側に配置されるが、液晶表示パネル20の配置はこれに限定されず、図11及び図12に示すように、液晶表示パネル20は、視野角制御用液晶パネル10の背面側に配置されてもよい。このような構成によっても、実施形態2と同様の効果が得られる。
本変形例における液晶表示パネル20は、第三の偏光板10P3の及び第四の偏光板10P4のうち、視野角制御用液晶パネル10に近い側の偏光板である第三の偏光板10P3の第三の吸収軸10P3Aは、第一の吸収軸10P1Aと平行であることが好ましい。このような態様とすることにより、電圧無印加状態において黒表示を実現することができる。
本変形例では、例えば、第一の吸収軸10P1Aの方位角φP1、第二の吸収軸10P2Aの方位角及び第三の吸収軸10P3Aの方位角は0°に設定され、第四の吸収軸10P4Aの方位角は90°に設定される。
(実施形態2の変形例2)
上記実施形態2では、上記表示パネルとして液晶表示パネル20を用いるが、表示パネルは発光系であれば特に限定されず、例えば、有機EL(Electro Luminescence)表示パネル、無機EL表示パネル、マイクロLED表示パネル又はQLED(Quantum dot Light emitting diode)表示パネルであってもよい。表示パネルが有機EL表示パネル、無機EL表示パネル、マイクロLED表示パネル又はQLED表示パネルである場合、視野角制御用液晶パネル10は、当該表示パネルの観察面側に配置され、表示装置1はバックライトを備えない。QLEDの方式としては、例えば液晶タイプが用いられ、バックライト光源には、青色LEDを用い、量子ドットによる波長変換(青色光から緑色光への変換、青色光から赤色光への変換、青色光はそのまま透過)を用いることにより、従来の液晶パネルと比べて、より豊かな色再現と低消費電力が実現可能となる。
第二の偏光板10P2として、吸収型を用いても良いが、例えば、有機EL表示パネルに用いられるOLED(organic light-emitting diode)光は無偏光であるため、反射型(構成としては、直線偏光板/反射型偏光板)を用いることにより光リサイクル効率を高めて輝度を向上させることもできる。
(実施形態2の変形例3)
上記実施形態2において、液晶表示パネル20は縦画素配列であってもよい。図32は、実施形態2の変形例3に係る表示装置の液晶表示パネルが備える第三の基板の平面模式図である。図33は、実施形態2の変形例3に係る表示装置の液晶表示パネルが備える第四の基板の平面模式図である。
図9、図32及び図33に示すように、上記表示パネルとしての液晶表示パネル20は、第三の基板210と、第二の液晶層230と、第四の基板250とを有し、第三の基板210は、複数色のカラーフィルタ212Cを備え、第四の基板250は、画素電極250Pとしての第三の電極252又は第四の電極254を備え、複数色のカラーフィルタ212C及び画素電極250Pは、それぞれ、長手形状であり、複数色のカラーフィルタ212C及び画素電極250Pの長手方向は、それぞれ、液晶表示パネル20の上下方向に沿って配置される。このように、複数色のカラーフィルタ212C及び画素電極250Pの長手方向が、それぞれ、液晶表示パネル20の上下方向に沿って配置される縦画素配列とすることにより、液晶表示パネル20の左側の辺及び右側の辺においてモジュールを配置するための額縁幅が増加するのを抑えることができる。
本明細書において、液晶表示パネル20の上とは液晶表示パネル20の方位角90°を意味し、液晶表示パネル20の下とは液晶表示パネル20の方位角270°を意味し、液晶表示パネル20の右とは液晶表示パネル20の方位角0°を意味し、液晶表示パネル20の左とは液晶表示パネル20の方位角180°を意味する。すなわち、液晶表示パネル20の上下方向とは、液晶表示パネル20の方位角90°-270°方向であり、液晶表示パネル20の左右方向とは、液晶表示パネル20の方位角0°-180°方向、すなわち、上記水平方向である。また、本明細書において、方位0°は方位角0°と同様に用いられ、方位90°は方位角90°と同様に用いられ、方位180°は方位角180°と同様に用いられ、方位270°は方位角270°と同様に用いられ、方位360°は方位角360°と同様に用いられる。すなわち、方位の後に示された角度は方位角を示している。
第四の基板250は、互いに直交したゲート線256とソース線257とが、格子を形成するように配設され、その交点近傍には、スイッチング素子としてのTFTが設けられている。そして、ゲート線256とソース線257とに囲まれた領域が画素21Pを形成し、各画素21Pには、第三の電極252又は第四の電極254として、TFTに接続された画素電極250Pが設けられている。第四の基板250は、TFT基板ともいう。
各画素電極250Pは、長手形状であり、各画素電極250Pの長手方向は、液晶表示パネル20の上下方向に沿って配置されている。すなわち、各画素電極250Pは、液晶表示パネル20の上下方向に沿って延設されている。
各画素21Pは、長手形状であり、各画素21Pの長手方向は、液晶表示パネル20の上下方向に沿って配置されている。すなわち、各画素21Pは液晶表示パネル20の上下方向に沿って延設されている。
各画素21Pの長手方向(上下方向)の長さは、130μm以上、170μm以下であり、140μm以上、160μm以下であることが好ましく、例えば、150μmである。各画素21Pの短手方向(左右方向)の長さは、30μm以上、70μm以下であり、40μm以上、60μm以下であることが好ましく、例えば、50μmである。
画素電極250Pには、画素電極250Pの長手方向(上下方向)に沿ってスリット250PSが設けられている。第二の液晶層230に含まれる液晶分子231は、電圧無印加状態において、スリット250PSに沿って配向する。
第三の基板210は、互いに異なる複数色のカラーフィルタ212Cを備えるカラーフィルタ層212と、ブラックマトリクス層213とを備える。複数色のカラーフィルタ212Cは、例えば、赤色のカラーフィルタ212CR、緑色のカラーフィルタ212CG及び青色のカラーフィルタ212CBを含み、各画素21Pにいずれかの色のカラーフィルタ212Cが配置されている。第三の基板210は、カラーフィルタ基板ともいう。
赤色のカラーフィルタ212CR、緑色のカラーフィルタ212CG及び青色のカラーフィルタ212CBは、それぞれ、長手形状であり、各々の長手方向は、液晶表示パネル20の上下方向に沿って配置されている。すなわち、赤色のカラーフィルタ212CR、緑色のカラーフィルタ212CG及び青色のカラーフィルタ212CBは、それぞれ、液晶表示パネル20の上下方向に沿って延設されている。
第三の基板210は、複数色のカラーフィルタ212Cのそれぞれに対応する複数の開口部213Sが設けられたブラックマトリクス層213を備え、複数の開口部213の、液晶表示パネル20の上下方向の幅LAは、それぞれ、80μm以上、140μm以下であり、複数の開口部213の、液晶表示パネル20の左右方向の幅WAは、それぞれ、80μm以下である。
青色のカラーフィルタ212CBに対応して設けられた開口部213Sの、液晶表示パネル20の上下方向の幅LA(LA1ともいう)は、緑色のカラーフィルタ212CGに対応して設けられた開口部213S及び赤色のカラーフィルタ212CRに対応して設けられた開口部213Sの、液晶表示パネル20の上下方向の幅LA(LA2ともいう)よりも大きい。青色のカラーフィルタ212CBに対応して設けられた開口部213Sの、液晶表示パネル20の上下方向の幅LA(LA1)は、例えば、120μmであり、緑色のカラーフィルタ212CGに対応して設けられた開口部213S及び赤色のカラーフィルタ212CRに対応して設けられた開口部213Sの、液晶表示パネル20の上下方向の幅LA(LA2)は、例えば、100μmである。
青色のカラーフィルタ212CBに対応して設けられた開口部213S、緑色のカラーフィルタ212CGに対応して設けられた開口部213S及び赤色のカラーフィルタ212CRに対応して設けられた開口部213Sの、液晶表示パネル20の左右方向の幅WAは、例えば、40μmである。
(実施形態2の変形例4)
上記実施形態2において、液晶表示パネル20は横画素配列であってもよい。図34は、実施形態2の変形例4に係る表示装置の液晶表示パネルが備える第三の基板の平面模式図である。図35は、実施形態2の変形例4に係る表示装置の液晶表示パネルが備える第四の基板の平面模式図である。
図9、図34及び図35に示すように、上記表示パネルとしての液晶表示パネル20は、第三の基板210と、第二の液晶層230と、第四の基板250とを有し、第三の基板210は、複数色のカラーフィルタ212Cを備え、第四の基板250は、画素電極250Pとしての第三の電極252又は第四の電極254を備え、複数色のカラーフィルタ212C及び画素電極250Pは、それぞれ、長手形状であり、複数色のカラーフィルタ212C及び画素電極250Pの長手方向は、それぞれ、液晶表示パネル20の左右方向に沿って配置される。
ここで、上記実施形態2の変形例3に示す縦画素配列では、第四の偏光板10P4を透過した偏光が、第四の基板250に設けられた配線の左右方向のピッチ、すなわち、図33におけるソース線257間のピッチ(例えば、約50μm)や、図32におけるブラックマトリクス層213の開口213Sの左右方向(短手方向)の幅(例えば、約40μm)において光回折し易く、遮光性が低下し易い。
一方、本変形例のように、複数色のカラーフィルタ212C及び画素電極250Pの長手方向が、それぞれ、液晶表示パネル20の左右方向に沿って配置される横画素配列とすることにより、第四の基板250に設けられた配線の左右方向のピッチ、及び、ブラックマトリクス層213の開口213Sの左右方向の幅を広げることが可能となり、縦画素配列に比べて光回折を抑制することができる。その結果、縦画素配列よりも遮光性を向上させることが可能となり、プライバシー性能を向上させることができる。
例えば、12.3型/170ppiの表示装置において、第四の基板250に設けられた配線の左右方向のピッチ、すなわち、図35におけるゲート線256間のピッチが略150μmに広がり、更に、図34におけるブラックマトリクス層213の開口213Sの左右方向(長手方向)の幅が100μm以上、120μm以下に広がる。その結果、横画素配列では、縦画素配列に比べて光回折が生じにくくなり、遮光性を向上させることができる。以上より、横画素配列の本変形例では、縦画素配列の上記実施形態2の変形例3よりも、プライバシー性能を向上させることができる。なお、上述よりも解像度が低い表示装置(例えば、<100ppi)においては、画素形状が、必ずしも横長の長方形でなくともよく、左右方向の幅WBが80μm以上、140μm以下を確保できるのであれば、正方形の様な形状であってもよい。
12.3型/170ppiの表示装置においては、例えば、画面水平方向(方位角0°-180°)、極角-30°でのプライバシー性能(遮光性能)は、縦画素配列に比べて、横画素配列の方が約2倍改善する。すなわち、画面水平方向(方位角0°-180°)、極角-30°において、横画素配列の輝度は、縦画素配列に比べて略半分となる。
横画素配列は、上記変形例に示した縦画素配列の液晶表示パネル20を方位90°回転させた配列である。第三の偏光板10P3の第三の吸収軸10P3A及び第四の偏光板10P4の第四の吸収軸10P4Aは変更せず、液晶表示パネル20のみ回転させる。
本変形例では、液晶表示パネル20の上側の辺及び下側の辺においてモジュールを配置するための額縁幅が増加するのを抑えることができる。しかしながら、液晶表示パネルの左右方向においてゲート線256の設置数が増加するため、液晶表示パネル20の左側の辺及び右側の辺の少なくとも一方においてモジュールを配置するための額縁幅が増加する場合がある。
なお、上記実施形態2の変形例3及び本変形例4のいずれの構成においても、液晶表示パネル20がIPSモード又はFFSモードであるため、パブリックモードでは表示装置1は充分に広い視野角を有している。
第四の基板250は、互いに直交したゲート線256とソース線257とが、格子を形成するように配設され、その交点近傍には、スイッチング素子としてのTFTが設けられている。そして、ゲート線256とソース線257とに囲まれた領域が画素21Pを形成し、各画素21Pには、第三の電極252又は第四の電極254として、TFTに接続された画素電極250Pが設けられている。第四の基板250は、TFT基板ともいう。なお、本変形例では、上下方向にゲート線256が配置され、左右方向にソース線257が配置されるが、ゲート線256及びソース線257の配置はこれに限定されず、左右方向にゲート線256が配置され、上下方向にソース線257が配置されてもよい。
各画素電極250Pは、長手形状であり、各画素電極250Pの長手方向は、液晶表示パネル20の左右方向に沿って配置されている。すなわち、各画素電極250Pは、液晶表示パネル20の左右方向に沿って延設されている。
各画素21Pは、長手形状であり、各画素21Pの長手方向は、液晶表示パネル20の左右方向に沿って配置されている。すなわち、各画素21Pは液晶表示パネル20の左右方向に沿って延設されている。
各画素21Pの長手方向(左右方向)の長さは、130μm以上、170μm以下であり、140μm以上、160μm以下であることが好ましく、例えば、150μmである。各画素21Pの短手方向(上下方向)の長さは、30μm以上、70μm以下であり、40μm以上、60μm以下であることが好ましく、例えば、50μmである。
画素電極250Pには、画素電極250Pの長手方向(左右方向)に沿ってスリット250PSが設けられている。第二の液晶層230に含まれる液晶分子231は、電圧無印加状態において、スリット250PSに沿って配向する。
第三の基板210は、互いに異なる複数色のカラーフィルタ212Cを備えるカラーフィルタ層212と、ブラックマトリクス層213とを備える。複数色のカラーフィルタ212Cは、例えば、赤色のカラーフィルタ212CR、緑色のカラーフィルタ212CG及び青色のカラーフィルタ212CBを含み、各画素21Pにいずれかの色のカラーフィルタ212Cが配置されている。第三の基板210は、カラーフィルタ基板ともいう。
赤色のカラーフィルタ212CR、緑色のカラーフィルタ212CG及び青色のカラーフィルタ212CBは、それぞれ、長手形状であり、各々の長手方向は、液晶表示パネル20の左右方向に沿って配置されている。すなわち、赤色のカラーフィルタ212CR、緑色のカラーフィルタ212CG及び青色のカラーフィルタ212CBは、それぞれ、液晶表示パネル20の左右方向に沿って延設されている。
第三の基板210は、複数色のカラーフィルタ212Cのそれぞれに対応する複数の開口部213Sが設けられたブラックマトリクス層213を備え、複数の開口部213の、液晶表示パネル20の左右方向の幅WBは、それぞれ、80μm以上、140μm以下であり、複数の開口部213の、液晶表示パネル20の上下方向の幅LBは、それぞれ、80μm以下であることが好ましい。このような態様とすることにより、ブラックマトリクス層213に起因する光回折を効果的に抑制することが可能となる。その結果、遮光性を向上させることが可能となり、プライバシー性能を向上させることができる。
青色のカラーフィルタ212CBに対応して設けられた開口部213Sの、液晶表示パネル20の左右方向の幅WB(WB1ともいう)は、緑色のカラーフィルタ212CGに対応して設けられた開口部213S及び赤色のカラーフィルタ212CRに対応して設けられた開口部213Sの、液晶表示パネル20の左右方向の幅WB(WB2ともいう)よりも大きい。青色のカラーフィルタ212CBに対応して設けられた開口部213Sの、液晶表示パネル20の左右方向の幅WB(WB1)は、例えば、120μmであり、緑色のカラーフィルタ212CGに対応して設けられた開口部213S及び赤色のカラーフィルタ212CRに対応して設けられた開口部213Sの、液晶表示パネル20の左右方向の幅WB(WB2)は、例えば、100μmである。
青色のカラーフィルタ212CBに対応して設けられた開口部213S、緑色のカラーフィルタ212CGに対応して設けられた開口部213S及び赤色のカラーフィルタ212CRに対応して設けられた開口部213Sの、液晶表示パネル20の上下方向の幅LBは、例えば、40μmである。
(実施形態2の変形例5)
バックライト30として、本変形例に挙げるものを用いてもよい。図36は、実施形態2の変形例5に係る表示装置が備えるバックライトの斜視模式図である。図36に示すように、本変形例のバックライト30は、背面側から観察面側に向かって順に、反射板35と、LED36Lを端部(側面)に有するノーマル導光板36と、プリズムシート37と、ルーバーフィルム38と、LED39Lを端部(側面)に有するパブリック用導光板39とを順に備える。反射板35、LED36Lを端部(側面)に有するノーマル導光板36及びプリズムシート37から構成されるバックライトを、通常のバックライト30Nともいう。本変形例のように、LEDが2つの層の端部に配置されたバックライトを、2層構成のバックライトともいう。
反射板35は、反射率98%以上の光学フィルムであり、例えば、3M社製のESRである。ノーマル導光板36は、通常の導光板と同様の構成を有し、LED36Lからの光をノーマル導光板36面内に導光させる機能を有する。プリズムシート37は、通常のプリズムシートと同様の構成を有し、例えば、3M社製のBEFシリーズ(輝度上昇フィルム)を用いることができる。ルーバーフィルム38は、左右方向(水平方向)、即ち、方位角0°-180°方向での斜め光の輝度を低減する機能をする。ルーバーフィルム38は、左右方向に対し、左右対称に斜め光を遮光するものであってもよい。パブリック用導光板39は、LED39Lからの光をパブリック用導光板39に刻まれた構造体により拡散させることによって、拡散光を出射させる機能を有する。また、パブリック用導光板39は、広視野角で入射光を拡散させる微粒子と、アクリル樹脂と、を含む。上記アクリル樹脂としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が特に好ましい。
通常のバックライト30Nとルーバーフィルム38との組み合わせでは、光路が短いため、パブリック用導光板39に含まれる微粒子が入射光の分散を起こさないため狭視野角となる。
図37は、実施形態2の変形例5に係る表示装置が備えるバックライトにおいて、ノーマル導光板に設けられたLED及びパブリック用導光板に設けられたLEDがオン状態である場合について説明する断面模式図である。図38は、実施形態2の変形例5に係る表示装置が備えるバックライトにおいて、ノーマル導光板に設けられたLEDがオン状態であり、パブリック用導光板に設けられたLEDがオフ状態である場合について説明する断面模式図である。図39は、実施形態2の変形例5に係る表示装置が備えるバックライトにおいて、ノーマル導光板に設けられたLEDがオフ状態であり、パブリック用導光板に設けられたLEDがオン状態である場合について説明する断面模式図である。
図37に示すように、ノーマル導光板36に設けられたLED36L及びパブリック用導光板39に設けられたLED39Lの両者がオン状態である場合、すなわち、LED36L及びLED39Lの両方が同時に点灯している場合、バックライト30は広視野角モードとして機能する。また、
図38に示すように、ノーマル導光板36に設けられたLED36Lがオン状態であり、パブリック用導光板39に設けられたLED39Lがオフ状態である場合、すなわち、LEF36Lが点灯し、LED39Lが消灯している場合、バックライト30は、狭視野角モードとして機能する。
また、図38に示す狭視野角モードよりも正面輝度は低下するが、図39に示すように、ノーマル導光板36に設けられたLED36Lがオフ状態であり、パブリック用導光板39に設けられたLED39Lがオン状態である場合、すなわち、LEF36Lが消灯し、LED39Lが点灯している場合も、バックライト30は、狭視野角モードとして機能する。
(実施形態2の変形例6)
図40は、実施形態2の変形例6に係る表示装置が備えるバックライトの斜視模式図である。上記実施形態2の変形例5の構成に加えて、図40に示すように、パブリック用導光板39の直上に、上下方向(垂直方向)、即ち方位角90°-270°方向での斜め光の輝度を低減するルーバーフィルム381を備えていてもよい。本変形例のようにルーバーフィルム381を備えることにより、表示装置1を車載用として用いた場合に、フロントガラスへの映り込みを防止することができる。ルーバーフィルム381には、一般的なルーバーフィルムを用いることができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明の効果を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
(実施例1)
上記実施形態1と同様の構成を有する実施例1の視野角制御用液晶パネル10について、第一の液晶層130のリタデーションに対する、広視野角モードと狭視野角モードとの間の色差、並びに、第一の液晶層130のリタデーションに対する遮光角をシミュレーションにより求めた。
色差は、LCDマスター2Dを使用して、視野角制御用液晶パネルの水平方向(方位角0°-180°)の極角(横軸)に対する透過率(縦軸)の電圧依存性(波長範囲400nm~800nm)を計算することにより求めた。すなわち、本計算結果より、電圧毎(例えば、0V及び5.5V(最適電圧))の正面の色座標(x,y)が得られるため、これらを正面の色座標(u’,v’)へ変換する。具体的には、広視野角モード(0V)の時の正面の色座標(u’_public,v’_public)と、狭視野角モード(5.5V)の時の正面の色座標(u’_privacy, v’_privacy)へ変換する。そして、下記式に示すように、色差(u’v’色差)を、広視野角モード(0V)の時の正面の色座標(u’_public,v’_public)と、狭視野角モード(5.5V)の時の正面の色座標(u’_privacy, v’_privacy)との差分として算出した。
u’v’色差=√{(u’_public - u’_privacy) + (v’_public - v’_privacy)
図13Aは、遮光角の測定結果の一例を示す図である。遮光角は、LCDマスター2Dを使用して、視野角制御用液晶パネルの水平方向(方位角0°-180°)の極角(横軸)に対する透過率(縦軸)の電圧依存性(波長550nm)を計算することにより求めた。測定結果の一例を図13Aに示す。図13Aにおいて、印加電圧が0Vの時に広視野角モードとして機能し、印加電圧が5.5V(最適電圧)の時に狭視野角モードとして機能する。図13Aに示すように、最適電圧が印加された狭視野角モードにおいて、透過率が最低となる負の極角を遮光角とした。なお、図13Aは、後述する実施例4と同様の構成を有する液晶パネルの遮光角の測定結果である。
実施例1では、第一の偏光板10P1の第一の吸収軸10P1Aの方位角φP1は90°、第二の偏光板10P2の第二の吸収軸10P2Aの方位角は90°、電圧無印加状態における、第一の基板110側の液晶分子1311のダイレクタ1311Aの方位角φ1は90°、第二の基板150側の液晶分子1312のダイレクタ1312Aの方位角φ2は75°であった。すなわち、第一の基板110側の液晶分子1311のダイレクタ1311Aの方位角φ1と第二の基板150側の液晶分子1312のダイレクタ1312Aの方位角φ2とがφ1>φ2を満たし、液晶層130内で液晶分子131が捩れていた。なお、本明細書の実施例及び比較例では、液晶分子のダイレクタの方位角φ1及びφ2は、配向膜の配向処理方向に基づいて決定した。
実施例1では、平面視において、第一の吸収軸10P1A及び第二の吸収軸10P2Aと、電圧無印加状態における第二の基板150側の液晶分子1312のダイレクタ1312Aとのなす角度は15°であり、かつ、第一の吸収軸10P1A及び第二の吸収軸10P2Aと、電圧無印加状態における第一の基板110側の液晶分子1311のダイレクタ1311Aとは平行であり、実施例1の視野角制御用液晶パネル10は、正の誘電率異方性を有する液晶分子131を含有し、電圧無印加状態におけるツイスト角が15°である(初期15°ツイストである)のECBモードの液晶パネルであった。また、電圧印加状態における第一の液晶層130のリタデーションReは831nmであった。
広視野角モードと狭視野角モードとの間の色差、並びに、第一の液晶層130のリタデーションに対する遮光角を下記表1並びに図13B及び図14に示す。図13Bは、実施例1~実施例4及び参考例1~参考例7に係る視野角制御用液晶パネルの、第一の液晶層のリタデーションに対する、広視野角モードと狭視野角モードとの間の色差を示すグラフである。図14は、実施例1~実施例4及び参考例1~参考例7に係る視野角制御用液晶パネルの、第一の液晶層のリタデーションに対する遮光角を示すグラフである。プライバシー性能は、遮光角が-40°より大きい、すなわち、遮光角の絶対値が40°より小さい場合に良好であるとし、色シフトは、色差が0.008以下である場合に良好であるとした。ここで、実施例では、透過率が最低となる負の極角を遮光角としているため、遮光角が-40°より大きい(遮光角の絶対値が40°より小さい)とは、遮光角が-40°より大きく、0°未満であることを意味する。
Figure 2023114414000002
上記表1並びに図13B及び図14に示すように、実施例1の視野角制御用液晶パネル10は、電圧無印加状態であるとき広視野角モードとして機能し、電圧印加状態であるとき、水平方向(方位角0°-180°)の中心軸(極角0°、すなわち正面方向)に対して非対称な狭視野角モード(マイナスの極角側)として機能した。特に、この狭視野角モードにおいては、第一の液晶層130のリタデーションReは831nmであり、-38°(>-40°)の遮光角を実現しつつ、広視野角モードと狭視野角モードとの切り替え時の、正面視における色シフト量(u´v´色差)を、0.005123に抑えることができた。このように、実施例1では、高いプライバシー性能を維持しつつ、広視野角モードと狭視野角モードとの切り替え時の色シフトを抑えることができた。電圧印加状態における第一の液晶層130のリタデーションReを831nmに設計することが可能であるなら、生産性や信頼性を充分に担保しつつも、狭視野角モードにおいて、視認可能な(極)角度範囲を、狭くしつつ、かつ、正面色変化を低減することができることが分かった。
(実施例2)
電圧印加状態における第一の液晶層130のリタデーションReが926nmであること以外は、実施例1と同様の構成を有する実施例2の視野角制御用液晶パネル10について、実施例1と同様に、第一の液晶層130のリタデーションに対する、広視野角モードと狭視野角モードとの間の色差、並びに、第一の液晶層130のリタデーションに対する遮光角をシミュレーションにより求めた。結果を、上記表1並びに図13B及び図14に示す。なお、実施例2の視野角制御用液晶パネル10は、正の誘電率異方性を有する液晶分子131を含有し、電圧無印加状態におけるツイスト角が15°である(初期15°ツイストである)のECBモードの液晶パネルであった。
上記表1並びに図13B及び図14に示すように、実施例2の視野角制御用液晶パネル10は、電圧無印加状態であるとき広視野角モードとして機能し、電圧印加状態であるとき、水平方向(方位角0°-180°)の中心軸(極角0°、すなわち正面方向)に対して非対称な狭視野角モード(マイナスの極角側)として機能した。特に、この狭視野角モードにおいては、第一の液晶層130のリタデーションReは926nmであり、-35°(>-40°)の遮光角を実現しつつ、広視野角モードと狭視野角モードとの切り替え時の、正面視における色シフト量(u´v´色差)を、0.005123に抑えることができた。このように、実施例2では、実施例1よりも低極角な遮光角を実現しつつ、すなわち、より高いプライバシー性能を実現しつつ、広視野角モードと狭視野角モードとの切り替え時の色シフトを抑えることができた。電圧印加状態における第一の液晶層130のリタデーションReを926nmに設計することが可能であるなら、生産性や信頼性を充分に担保しつつも、狭視野角モードにおいて、視認可能な(極)角度範囲を、狭くしつつ、かつ、正面色変化を低減することができることが分かった。
(実施例3)
電圧印加状態における第一の液晶層130のリタデーションReが1010nmであること以外は、実施例1と同様の構成を有する実施例3の視野角制御用液晶パネル10について、実施例1と同様に、第一の液晶層130のリタデーションに対する、広視野角モードと狭視野角モードとの間の色差、並びに、第一の液晶層130のリタデーションに対する遮光角をシミュレーションにより求めた。結果を、上記表1並びに図13B及び図14に示す。なお、実施例3の視野角制御用液晶パネル10は、正の誘電率異方性を有する液晶分子131を含有し、電圧無印加状態におけるツイスト角が15°である(初期15°ツイストである)のECBモードの液晶パネルであった。
上記表1並びに図13B及び図14に示すように、実施例3の視野角制御用液晶パネル10は、電圧無印加状態であるとき広視野角モードとして機能し、電圧印加状態であるとき、水平方向(方位角0°-180°)の中心軸(極角0°、すなわち正面方向)に対して非対称な狭視野角モード(マイナスの極角側)として機能した。特に、この狭視野角モードにおいては、第一の液晶層130のリタデーションReは1010nmであり、-32°(>-40°)の遮光角を実現しつつ、広視野角モードと狭視野角モードとの切り替え時の、正面視における色シフト量(u´v´色差)を、0.005671に抑えることができた。このように、実施例3では、実施例1及び2よりも低極角な遮光角を実現しつつ、すなわち、更により高いプライバシー性能を実現しつつ、広視野角モードと狭視野角モードとの切り替え時の色シフトを抑えることができた。電圧印加状態における第一の液晶層130のリタデーションReを1010nmに設計することが可能であるなら、生産性や信頼性を充分に担保しつつも、狭視野角モードにおいて、視認可能な(極)角度範囲を、狭くしつつ、かつ、正面色変化を低減することができることが分かった。
(実施例4)
電圧印加状態における第一の液晶層130のリタデーションReが1010nmであり、第二の基板150側の液晶分子1312のダイレクタ1312Aの方位角φ2が80°であること以外は、実施例1と同様の構成を有する実施例4の視野角制御用液晶パネル10について、実施例1と同様に、第一の液晶層130のリタデーションに対する、広視野角モードと狭視野角モードとの間の色差、並びに、第一の液晶層130のリタデーションに対する遮光角をシミュレーションにより求めた。結果を、上記表1並びに図13B及び図14に示す。なお、実施例4の視野角制御用液晶パネル10は、正の誘電率異方性を有する液晶分子131を含有し、電圧無印加状態におけるツイスト角が10°である(初期10°ツイストである)のECBモードの液晶パネルであった。
上記表1並びに図13B及び図14に示すように、実施例4の視野角制御用液晶パネル10は、電圧無印加状態であるとき広視野角モードとして機能し、電圧印加状態であるとき、水平方向(方位角0°-180°)の中心軸(極角0°、すなわち正面方向)に対して非対称な狭視野角モード(マイナスの極角側)として機能した。特に、この狭視野角モードにおいては、第一の液晶層130のリタデーションReは1010nmであり、-35°(>-40°)の遮光角を実現しつつ、広視野角モードと狭視野角モードとの切り替え時の、正面視における色シフト量(u´v´色差)を、0.002439に抑えることができた。このように、実施例3では、実施例1よりも低極角であり、かつ、実施例2と同程度に低極角である遮光角を実現しつつ、すなわち、より高いプライバシー性能を実現しつつ、広視野角モードと狭視野角モードとの切り替え時の色シフトより抑えることができた。電圧印加状態における第一の液晶層130のリタデーションReを1010nmに設計することが可能であるなら、生産性や信頼性を充分に担保しつつも、狭視野角モードにおいて、視認可能な(極)角度範囲を、狭くしつつ、かつ、正面色変化を低減することができることが分かった。
(参考例1)
電圧印加状態における第一の液晶層のリタデーションReが594nmであり、第一の基板側の液晶分子のダイレクタの方位角φ1及び第二の基板側の液晶分子のダイレクタの方位角φ2が75°であること以外は、実施例1と同様の構成を有する参考例1の視野角制御用液晶パネルについて、実施例1と同様に、第一の液晶層のリタデーションに対する、広視野角モードと狭視野角モードとの間の色差、並びに、第一の液晶層のリタデーションに対する遮光角をシミュレーションにより求めた。結果を、上記表1並びに図13B及び図14に示す。なお、参考例1の視野角制御用液晶パネルは、正の誘電率異方性を有する液晶分子131を含有し、電圧無印加状態におけるツイストの無いECBモードの液晶パネルであった。
参考例1の視野角制御用液晶パネルは、モード切り替え時の正面の色シフト量(色差)が0.009以上となり、基準(0.008以下)を満たさなかった。
(参考例2)
電圧印加状態における第一の液晶層のリタデーションReが653nmであり、第一の基板側の液晶分子のダイレクタの方位角φ1及び第二の基板側の液晶分子のダイレクタの方位角φ2が75°であること以外は、実施例1と同様の構成を有する参考例2の視野角制御用液晶パネルについて、実施例1と同様に、第一の液晶層のリタデーションに対する、広視野角モードと狭視野角モードとの間の色差、並びに、第一の液晶層のリタデーションに対する遮光角をシミュレーションにより求めた。結果を、上記表1並びに図13B及び図14に示す。なお、参考例2の視野角制御用液晶パネルは、正の誘電率異方性を有する液晶分子131を含有し、電圧無印加状態におけるツイストの無いECBモードの液晶パネルであった。参考例2の視野角制御用液晶パネルは、色シフト量(色差)が0.009以上となり、基準(0.008以下)を満たさなかった。
(参考例3)
電圧印加状態における第一の液晶層のリタデーションReが713nmであり、第一の基板側の液晶分子のダイレクタの方位角φ1及び第二の基板側の液晶分子のダイレクタの方位角φ2が75°であること以外は、実施例1と同様の構成を有する参考例3の視野角制御用液晶パネルについて、実施例1と同様に、第一の液晶層のリタデーションに対する、広視野角モードと狭視野角モードとの間の色差、並びに、第一の液晶層のリタデーションに対する遮光角をシミュレーションにより求めた。結果を、上記表1並びに図13B及び図14に示す。なお、参考例3の視野角制御用液晶パネルは、正の誘電率異方性を有する液晶分子131を含有し、電圧無印加状態におけるツイストの無いECBモードの液晶パネルであった。参考例3の視野角制御用液晶パネルは、色シフト量(色差)が0.009以上となり、基準(0.008以下)を満たさなかった。
(参考例4)
電圧印加状態における第一の液晶層のリタデーションReが760nmであり、第一の基板側の液晶分子のダイレクタの方位角φ1及び第二の基板側の液晶分子のダイレクタの方位角φ2が75°であること以外は、実施例1と同様の構成を有する参考例4の視野角制御用液晶パネルについて、実施例1と同様に、第一の液晶層のリタデーションに対する、広視野角モードと狭視野角モードとの間の色差、並びに、第一の液晶層のリタデーションに対する遮光角をシミュレーションにより求めた。結果を、上記表1並びに図13B及び図14に示す。なお、参考例4の視野角制御用液晶パネルは、ツイストの無いECBモードであった。参考例4の視野角制御用液晶パネルは、色シフト量(色差)が0.009以上となり、基準(0.008以下)を満たさなかった。
(参考例5)
電圧印加状態における第一の液晶層のリタデーションReが831nmであり、第一の基板側の液晶分子のダイレクタの方位角φ1及び第二の基板側の液晶分子のダイレクタの方位角φ2が75°であること以外は、実施例1と同様の構成を有する参考例5の視野角制御用液晶パネルについて、実施例1と同様に、第一の液晶層のリタデーションに対する、広視野角モードと狭視野角モードとの間の色差、並びに、第一の液晶層のリタデーションに対する遮光角をシミュレーションにより求めた。結果を、上記表1並びに図13B及び図14に示す。なお、参考例5の視野角制御用液晶パネルは、正の誘電率異方性を有する液晶分子131を含有し、電圧無印加状態におけるツイストの無いECBモードの液晶パネルであった。参考例5の視野角制御用液晶パネルは、色シフト量(色差)が0.009以上となり、基準(0.008以下)を満たさなかった。
(参考例6)
電圧印加状態における第一の液晶層のリタデーションReが926nmであり、第一の基板側の液晶分子のダイレクタの方位角φ1及び第二の基板側の液晶分子のダイレクタの方位角φ2が75°であること以外は、実施例1と同様の構成を有する参考例6の視野角制御用液晶パネルについて、実施例1と同様に、第一の液晶層のリタデーションに対する、広視野角モードと狭視野角モードとの間の色差、並びに、第一の液晶層のリタデーションに対する遮光角をシミュレーションにより求めた。結果を、上記表1並びに図13B及び図14に示す。なお、参考例6の視野角制御用液晶パネルは、ツイストの無いECBモードであった。参考例6の視野角制御用液晶パネルは、色シフト量(色差)が0.009以上となり、基準(0.008以下)を満たさなかった。
(参考例7)
電圧印加状態における第一の液晶層のリタデーションReが1033nmであり、第一の基板側の液晶分子のダイレクタの方位角φ1及び第二の基板側の液晶分子のダイレクタの方位角φ2が75°であること以外は、実施例1と同様の構成を有する参考例7の視野角制御用液晶パネルについて、実施例1と同様に、第一の液晶層のリタデーションに対する、広視野角モードと狭視野角モードとの間の色差、並びに、第一の液晶層のリタデーションに対する遮光角をシミュレーションにより求めた。結果を、上記表1並びに図13B及び図14に示す。なお、参考例7の視野角制御用液晶パネルは、正の誘電率異方性を有する液晶分子131を含有し、電圧無印加状態におけるツイストの無いECBモードの液晶パネルであった。参考例7の視野角制御用液晶パネルは、色シフト量(色差)が0.009以上となり、基準(0.008以下)を満たさなかった。
(参考例8)
第一の基板側の液晶分子のダイレクタの方位角φ1が90°であり、第二の基板側の液晶分子のダイレクタの方位角φ2が60°であること以外は、実施例1と同様の構成を有する参考例8の視野角制御用液晶パネルついて、実施例1と同様に、第一の液晶層のリタデーションに対する、広視野角モードと狭視野角モードとの間の色差、並びに、第一の液晶層のリタデーションに対する遮光角をシミュレーションにより求めた。結果を、上記表1並びに図13B及び図14に示す。なお、参考例8の視野角制御用液晶パネルは、正の誘電率異方性を有する液晶分子131を含有し、電圧無印加状態におけるツイスト角が30°である(初期30°ツイストである)のECBモードの液晶パネルであった。参考例8の視野角制御用液晶パネルは、色シフト量(色差)が0.009以上となり、基準(0.008以下)を満たさなかった。
(実施例5)
図15は、実施例5に係る表示装置の断面模式図である。図16は、実施例5に係る表示装置の正面模式図である。実施形態2と同様の構成を有する実施例5の表示装置1の視野角をシミュレーションにより求めた。表示装置の視野角のシミュレーションは、LCDマスター2Dを用いて行った。より具体的には、視野角制御用液晶パネルにおいて各方位(5°刻み)で極角(横軸)に対する透過率(縦軸)の電圧依存性を計算し、視野角制御用液晶パネルが0V(広視野角モード)の時と、5.5V(狭視野角モード)の時の輝度に関する視野角特性をシミュレーションした。更に、当該視野角制御用の液晶パネルと同様にして表示パネルの視野角特性をシミュレーションし、視野角制御用液晶パネルと表示パネルの視野角特性とを積算することによって、表示装置の視野角特性を求めた。
具体的には、図15及び図16に示すように、実施例5の表示装置1は、背面側から観察面側に向かって順に、バックライト30と、実施例3の視野角制御用液晶パネル10と、表示パネルとしての液晶表示パネル20とを備えていた。
視野角制御用液晶パネル10において、電圧無印加状態における、第一の基板110側の液晶分子1311のダイレクタ1311Aの方位角φ1は90°、第二の基板150側の液晶分子1312のダイレクタ1312Aの方位角φ2は75°であった。第一の偏光板10P1の第一の吸収軸10P1A及び第二の偏光板10P2の第二の吸収軸10P2Aの方位角は90°であった。
液晶表示パネル20において、第三の偏光板10P3及び第四の偏光板10P4には吸収型の直線偏光板を用い、第三の吸収軸10P3Aの方位角を0°に、第四の吸収軸10P4Aの方位角は90°であった。第三の配向膜220及び第四の配向膜240には、ラビング処理により水平方向に液晶分子231を配向させることができる水平配向膜を用いた。第二の液晶層230には、ポジ型の液晶分子131を用いた。第四の基板250は、第三の電極252及び第四の電極254がそれぞれ櫛歯電極であるIPS型の電極構造を有していた。液晶表示パネル20は、電圧無印加状態においてホモジニアス配向状態をとるIPSモードの液晶パネルとした。第二の液晶層230に含まれる液晶分子231の電圧無印加状態におけるダイレクタ231Aの方位角は90°であった。
バックライト30は、指向性の高い一層の導光板を備えていた。すなわち、バックライト30は、パブリックモードとプライバシーモードとを切り替えしないバックライトであった。
図17は、実施例4に係る表示装置1の挟視野角モード及び広視野角モードにおける視野角について説明する断面模式図である。視野角制御用液晶パネル10が電圧無印加状態である場合、図17の左側の図に示すように、視野角制御用液晶パネル10を通過したバックライト30からの光(偏光)は、正面方向及び斜め方向(極角45°)のいずれにおいても高透過率を示し、正面方向及び斜め方向ともに明るくなった。液晶表示パネル20は横電界モードで駆動されるため、視野角制御用液晶パネル10を通過した光は液晶表示パネル20において正面方向だけでなく斜め方向に通過した。その結果、観察面側へは広い極角で光が抜けてくるため、広視野角モードを実現することができた。
視野角制御用液晶パネル10が電圧印加状態である場合、図17の右側の図に示すように、視野角制御用液晶パネル10を通過したバックライト30からの光(偏光)は、正面方向(極角0°)で、透過率が最大となり、他方、極角-30°で、透過率が最小となるような出射光になった。この出射光は、液晶表示パネル20を通過した後も、類似角のプロファイルが得られるため、挟視野角モードにおいて、特に左側において小さい遮光角を実現することができた。
実施例5の構成では、最表に視野角制御用液晶パネルがないので、インセルタッチパネル技術との共存が可能というメリットがある。実施例5で示した表示装置1は、例えば、車載用、PC用、スマートフォン用等に適用することが可能である。
(実施例6)
図18は、実施例6に係る表示装置の断面模式図である。図19は、実施例6に係る表示装置の正面模式図である。図20は、実施例6に係る表示装置の挟視野角モード及び広視野角モードにおける視野角について説明する断面模式図である。図18及び図19に示す、上記実施形態2の変形例1と同様の構成を有する実施例6の表示装置1の視野角を、実施例5と同様にしてシミュレーションにより求めた。実施例6の表示装置1は、視野角制御用液晶パネル10が液晶表示パネル20の観察面側に配置され、軸方位が図19の通り変更されたこと以外は、実施例5と同様の構成を有していた。具体的には、第一の偏光板10P1の第一の吸収軸10P1Aの方位角は0°、第二の偏光板10P2の第二の吸収軸10P2Aの方位角は0°、第三の偏光板10P3の第三の吸収軸10P3Aの方位角は0°、第四の偏光板10P4の第四の吸収軸10P4Aの方位角は90°であった。
視野角制御用液晶パネル10が電圧無印加状態である場合、図20の左側の図に示すように、液晶表示パネル20を通過したバックライト30からの光(偏光)は、視野角制御用液晶パネル10を通過した後、正面方向及び斜め方向(極角45°)のいずれにおいても高透過率を示し、正面方向及び斜め方向ともに明るくなった。その結果、観察面側へは広い極角で光が抜けてくるため、広視野角モードを実現することができた。
視野角制御用液晶パネル10が電圧印加状態である場合、図20の右側の図に示すように、液晶表示パネル20を通過したバックライト30からの光(偏光)は、視野角制御用液晶パネル10を通過した後、正面方向(極角0°)で、透過率が最大となり、他方、極角-30°で、透過率が最小となるような出射光になった。すなわち、挟視野角モードにおいて、遮光角-30°を実現することができた。
実施例6の構成とすることにより、液晶表示パネル20由来のTFT回折やブラックマトリクス層213の開口部の散乱由来の光のうち特に斜め方向の光を、視野角制御用液晶パネル10でカットすることができるため、挟視野角モード時の遮光力が強くなることが分かった。
また、実施例6で示した表示装置1は、例えば、車載用、PC用、スマートフォン用等に適用することが可能である。
(実施例7)
図21は、実施例7に係る表示装置の断面模式図である。図22は、実施例7に係る表示装置の正面模式図である。上記実施形態2の変形例2と同様の構成を有する実施例7の表示装置1の視野角を、実施例5と同様にしてシミュレーションにより求めた。
具体的には、図21及び図22に示すように、実施例7の表示装置1は、背面側から観察面側に向かって順に、上記表示パネルとしての有機EL表示パネル40と、実施例3の視野角制御用液晶パネル10とを備えていた。有機EL表示パネル40には、色変換型のOLEDを用いた。
視野角制御用液晶パネル10において、電圧無印加状態における、第一の基板110側の液晶分子1311のダイレクタ1311Aの方位角φ1は90°、第二の基板150側の液晶分子1312のダイレクタ1312Aの方位角φ2は75°であった。第一の偏光板10P1の第一の吸収軸10P1A及び第二の偏光板10P2の第二の吸収軸10P2Aは90°であった。
有機EL表示パネル40は、背面が側から観察面側に向かって順に、TFT基板410と、アノード420と、正孔注入層/正孔輸送層430と、青色発光層440と、電子注入層/電子輸送層450と、カソード460と、対向基板470と、を備えていた。対向基板470は、支持基板471上に、第一の開口部472X、第二の開口部472Y及び第三の開口部472Zが設けられたブラックマトリクス層472と、第一の開口部472Xに設けられた赤色の量子ドットシート473Rと、第二の開口部472Yに設けられた緑色の量子ドットシート473Gと、を備えていた。
図23は、実施例7に係る表示装置の挟視野角モード及び広視野角モードにおける視野角について説明する断面模式図である。視野角制御用液晶パネル10が電圧無印加状態である場合、図23の左側の図に示すように、有機EL表示パネル40から出射した光(無偏光)は、視野角制御用液晶パネル10を通過した後、正面方向及び斜め方向(極角45°)のいずれにおいても高透過率を示し、正面方向及び斜め方向ともに明るくなった。その結果、観察面側へは広い極角で光が抜けてくるため、広視野角モードを実現することができた。
視野角制御用液晶パネル10が電圧印加状態である場合、図23の右側の図に示すように、有機EL表示パネル40から出射した光(無偏光)は、視野角制御用液晶パネル10を通過した後、正面方向(極角0°)で、透過率が最大となり、他方、極角-30°で、透過率が最小となるような出射光になった。すなわち、挟視野角モードにおいて、遮光角-30°を実現することができた。
実施例7の構成では上記表示パネルとして有機EL表示パネル40を用いているため、液晶表示パネル20を用いる場合に比べてより薄型化及び軽量化することが可能であり、モバイル用途に適する。実施例6で示した表示装置1は、例えば、車載用、PC用、スマートフォン用等に適用することが可能である。
(実施例8-1~実施例8-4)
図24は、実施例8-1~実施例8-4に係る表示装置の挟視野角モードにおける視野角について説明する断面模式図である。図25~図28は、それぞれ、実施例8-1~実施例8-4に係る表示装置が備える第一の電極のパターンを示す図である。図25及び図26では、例えば、文字間の幅Wを0.25mm、文字ラインの幅Sを0.5mmにすることができる。図26のロゴは、例えば25°傾斜させることができる。図27及び図28では、例えば、文字間の幅Wを0.35mm、文字ラインの幅Sを0.5mmにすることができる。図28のロゴは、例えば30°傾斜させることができる。図29は、実施例8-1~実施例8-4に係る表示装置の挟視野角モード及び広視野角モードでのサンプルの見栄えの一例を示す図である。図29における「Email account」の画像は、液晶表示パネル20に表示した。
図25~図28に示すように、第一の電極112が、ロゴがパターニングされており、電圧印加状態における第一の液晶層130のリタデーションReが800nmであること以外は、実施例6と同様の構成を有する実施例8-1~実施例8-4の表示装置の視野角を実施例5と同様にシミュレーションにより求めた。ここで、本発明者らが検討した結果、電圧印加状態における第一の液晶層のリタデーションReが600nmである場合、広視野角モードと狭視野角モードとの間で正面透過率が異なる(約13%の差が生じる)ため、正面からロゴが見えてしまうことが分かった。そこで、実施例8-1~実施例8-4の表示装置では、広視野角モードと狭視野角モードとの間で正面透過率の差を抑え(略0%にする)、斜め視のみロゴが視認され、正面視したときにロゴ文字が視認されないようにするため、電圧印加状態における第一の液晶層130のリタデーションReを800nmに設定した。
図24に示すように、実施例8-1~実施例8-4の表示装置1が備える視野角制御用液晶パネル10が有する第一の電極112は、それぞれ、図25~図28に示すようにSHARPロゴの文字をかたどってパターニングされていた。すなわち、第一の電極112には、SHARPロゴの部分に対応してITO電極の開口部112Xが設けられていた。
実施例8-1~実施例8-4の表示装置1は、図29に示すように、ITO電極がロゴ抜きされた第一の電極112を有する視野角制御用液晶パネル10と、液晶表示パネル20と、を備えていた。
視野角制御用液晶パネル10が電圧無印加状態である場合、液晶表示パネル20を通過したバックライト30からの光(偏光)は、視野角制御用液晶パネル10(ロゴ入りの非対称視野角を有するECBモードの液晶パネル)を通過した後、正面方向及び斜め方向(極角-30°)のいずれにおいても高透過率を示し、正面方向及び斜め方向ともに明るくなった。その結果、図29に示すように、観察面側へは広い極角で光が抜けてくるため、広視野角モードを実現することができた。
視野角制御用液晶パネル10が電圧印加状態である場合、図24及び図29に示すように、液晶表示パネル20を通過したバックライト30からの光(偏光)は、視野角制御用液晶パネル10を通過した後、正面方向(極角0°)で、透過率が最大となり、他方、極角-30°で、透過率が最小となるような出射光になった。すなわち、挟視野角モードにおいて、遮光角-30°を実現できた。このとき、SHARPロゴの部分が光抜けし、文字として表示されるため、視野角制御用液晶パネル10よりも背面側に配置された液晶表示パネル20の「Email account」と記載されたコンテンツが、SHARPロゴの無い場合よりも見えにくくなり、プライバシー性能をより向上させることができた。更に、図28に示す実施例8-4のように、ロゴをやや大きくして密度を減らせば、極角-30°でのプライバシー性能を更に向上させることができることが分かった。
また、実施例8-1~実施例8-4で示した表示装置1は、例えば、車載用、PC用、スマートフォン用等に適用することが可能である。
(実施例9)
図30は、実施例9に係る表示装置の断面模式図である。図31は、実施例9に係る表示装置の挟視野角モード及び広視野角モードにおける視野角について説明する断面模式図である。図30に示す実施例9の表示装置1の視野角を実施例5と同様にシミュレーションにより求めた。実施例9の表示装置1は、バックライト30の構成が異なること以外は、実施例5と同様の構成を有していた。実施例9のバックライト30は、背面側から観察面側に向かって順に、3M社製のESR(Enhanced Specular Reflector)31と、LED32Lを端部に有するプライバシー用導光板32と、左右方向の光をカットするルーバーフィルム33と、LED34Lを端部に有するパブリック用導光板34と、を備えていた。ESR31は、ポリエステル系樹脂(多層膜構造)で形成され、反射率98%以上の光学フィルムであった。パブリック用導光板34は、LED34Lからの光をパブリック用導光板34に刻まれた構造体により拡散させることによって、視野角制御用液晶パネル10に対して拡散光を出射させる機能を有していた。プライバシー用導光板32はLED32Lからの光を、ルーバーフィルム33を通過させることにより、指向性のもった光を視野角制御用液晶パネル10に出射させる機能を有していた。
視野角制御用液晶パネル10が電圧無印加状態であり、プライバシー用導光板32の端部に配置されたLED32Lがオフ状態であり、かつ、パブリック用導光板34の端部に配置されたLED34Lがオン状態である場合、図31の左側の図に示すように、液晶表示パネル20を通過したバックライト30からの光(偏光)は、視野角制御用液晶パネル10を通過した後、正面方向及び斜め方向(極角45°)のいずれにおいても高透過率を示し、正面方向及び斜め方向ともに明るくなった。その結果、観察面側へは広い極角で光が抜けてくるため、広視野角モードを実現することができた。
視野角制御用液晶パネル10が電圧印加状態であり、プライバシー用導光板32の端部に配置されたLED32Lがオン状態であり、かつ、パブリック用導光板34の端部に配置されたLED34Lがオフ状態である場合、図31の右側の図に示すように、液晶表示パネル20を通過したバックライト30からの光(偏光)は、視野角制御用液晶パネル10を通過した後、正面方向(極角0°)で、透過率が最大となり、他方、極角-30°で、透過率が最小となるような出射光になった。すなわち、挟視野角モードにおいて、遮光角-30°を実現することができた。
プライバシー用導光板32及びパブリック用導光板34の二層導光板を使用することにより、広視野角モードと狭視野角モードでの斜め方向(片側斜め極角)での輝度変調幅を大きくすることができる(すなわち、広い輝度制御範囲を得ることができる)。これにより、モード切り替えをよりメリハリのあるものにすることが可能となり、狭視野角モードにおいてより強く光を遮蔽することが可能になると共に、広視野角モードにおいて輝度をより高めることが可能となる。
1:表示装置
10:視野角制御用液晶パネル
10P1:第一の偏光板
10P1A:第一の吸収軸
10P1B:第一の透過軸
10P2:第二の偏光板
10P2A:第二の吸収軸
10P2B:第二の透過軸
10P3:第三の偏光板
10P3A:第三の吸収軸
10P4:第四の偏光板
10P4A:第四の吸収軸
11P、21P:画素
20:液晶表示パネル
30、30N:バックライト
31:ESR
32:プライバシー用導光板
32L、34L、36L、39L:LED
33、38、381:ルーバーフィルム
34、39:パブリック用導光板
35:反射板
36:ノーマル導光板
37:プリズムシート
40:有機EL表示パネル
50:画面
110:第一の基板
111:第一の支持基板
112:第一の電極
112X:開口部
120:第一の配向膜
130:液晶層(第一の液晶層)
131、1311、1312、231:液晶分子
131A、1311A、1312A、231A:ダイレクタ
140:第二の配向膜
150:第二の基板
151:第二の支持基板
152:第二の電極
153、256:ゲート線
154、257:ソース線
155:TFT(Thin Film Transistor)
160:ネガティブCプレート
210:第三の基板
211:第三の支持基板
212:カラーフィルタ層
212C、212CB、212CG、212CR:カラーフィルタ
213:ブラックマトリクス層
213S:開口
220:第三の配向膜
230:第二の液晶層
240:第四の配向膜
250:第四の基板
250P:画素電極
250PS:スリット
251:第四の支持基板
252:第三の電極
253:絶縁層
254:第四の電極
254a:線状電極部
254b:開口
410:TFT基板
420:アノード
430:正孔注入層/正孔輸送層
440:青色発光層
450:電子注入層/電子輸送層
460:カソード
470:対向基板
471:支持基板
472:ブラックマトリクス層
472X:第一の開口部
472Y:第二の開口部
472Z:第三の開口部
473G:緑色の量子ドットシート
473R:赤色の量子ドットシート
S、W:幅

Claims (14)

  1. 第一の吸収軸を有する第一の偏光板と、第一の電極を有する第一の基板と、液晶分子を含有する液晶層と、第二の電極を有する第二の基板と、を順に備え、
    電圧無印加状態における、前記第一の基板側の液晶分子のダイレクタの方位角をφ1、前記第二の基板側の液晶分子のダイレクタの方位角をφ2、前記第一の偏光板の前記第一の吸収軸の方位角をφP1とするとき、下記(式1)を満たし、かつ、(式2-1)又は(式2-2)を満たすことを特徴とする液晶パネル。
    5°≦|φ1-φ2|≦20° ・・・(式1)
    5°≦|φP1-φ2|≦20° ・・・(式2-1)
    65°≦|φP1-φ2|≦80°・・・(式2-2)
  2. 更に、前記第二の基板の前記液晶層と反対側に、前記第一の吸収軸と平行な第二の吸収軸を有する第二の偏光板を備えることを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
  3. 前記第一の電極及び前記第二の電極は、ベタ状の電極であり、
    電圧無印加状態における前記液晶層のリタデーションReは、700nm以上、1200nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
  4. 前記第一の電極又は前記第二の電極は、前記液晶層が電圧印加状態である場合に前記液晶パネルの斜め方向から視認させるパターンがパターニングされており、
    電圧無印加状態における前記液晶層のリタデーションReは、700nm以上、900nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
  5. 前記液晶分子は、正の誘電率異方性を有することを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
  6. 更に、厚さ方向のリタデーションRthが500nm以上のネガティブCプレートを備えることを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載の液晶パネルと、表示パネルと、を備えることを特徴とする表示装置。
  8. 前記液晶層は、第一の液晶層であり、
    前記表示パネルは、第三の吸収軸を有する第三の偏光板と、第二の液晶層と、前記第三の吸収軸に直交する第四の吸収軸を有する第四の偏光板と、を順に備え、
    前記第三の偏光板及び前記第四の偏光板のうち、前記液晶パネルに近い側の偏光板が有する吸収軸は、前記第一の吸収軸と平行であることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
  9. 前記表示パネルは、IPSモード又はFFSモードの液晶表示パネルであることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
  10. 更に、バックライトを備え、
    前記バックライトは、二層の導光板を有し、
    前記二層の導光板の一方は広視野角モード用、他方は狭視野角モード用として機能することを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
  11. 前記表示パネルは、有機EL表示パネル、無機EL表示パネル、マイクロLED表示パネル又はQLED表示パネルであることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
  12. 前記表示パネルは、第三の基板と、第二の液晶層と、第四の基板とを有し、
    前記第三の基板は、複数色のカラーフィルタを備え、
    前記第四の基板は、画素電極を備え、
    前記複数色のカラーフィルタ及び前記画素電極は、それぞれ、長手形状であり、
    前記複数色のカラーフィルタ及び前記画素電極の長手方向は、それぞれ、前記表示パネルの上下方向に沿って配置されることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
  13. 前記表示パネルは、第三の基板と、第二の液晶層と、第四の基板とを有し、
    前記第三の基板は、複数色のカラーフィルタを備え、
    前記第四の基板は、画素電極を備え、
    前記複数色のカラーフィルタ及び前記画素電極は、それぞれ、長手形状であり、
    前記複数色のカラーフィルタ及び前記画素電極の長手方向は、それぞれ、前記表示パネルの左右方向に沿って配置されることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
  14. 前記第三の基板は、前記複数色のカラーフィルタのそれぞれに対応する複数の開口部が設けられたブラックマトリクス層を備え、
    前記複数の開口部の、前記表示パネルの左右方向の幅WBは、それぞれ、80μm以上、140μm以下であり、
    前記複数の開口部の、前記表示パネルの上下方向の幅LBは、それぞれ、80μm以下であることを特徴とする請求項13に記載の表示装置。

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