JP2023113345A - セルロースフィラー、およびその製造方法、合成樹脂構造体 - Google Patents

セルロースフィラー、およびその製造方法、合成樹脂構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】生産性が高く、セルロースフィラーを使用した合成樹脂構造体において強度分布のバラツキが発生しにくい、セルロースフィラーを提供する。【解決手段】溶剤紡糸セルロース繊維よりなり、平均繊維長が0.1~1mmである主体繊維と、該主体繊維から発生したフィブリル化繊維とで構成された、セルロースフィラーを構成する。【選択図】図1

Description

本発明は、合成樹脂構造体の強度を高めるセルロースフィラーと、そのセルロースフィラーの製造方法と、セルロースフィラーを分散させた合成樹脂構造体に関する。
合成樹脂構造体にフィラーを混入させることで、合成樹脂構造体の強度を高める取り組みがなされている。中でも、植物由来のセルロース繊維によって形成されたフィラーは、非プラスチック素材であり、原料も豊富である点から注目をされている。
しかしながら、植物由来のセルロース繊維によって形成したフィラーは、合成樹脂との分散性が悪く、結果的に合成樹脂構造体の強度を高めることが難しいことも、良く知られている。
例えば、特許文献1の段落[0002]において、「近年、セルロースナノファイバー(CNF)を樹脂の補強材として使用する様々な提案がなされている。しかしながら、セルロースナノファイバーは、多糖類の水酸基に由来する分子間水素結合によって不可逆的に凝集する。したがって、セルロースナノファイバーを樹脂の補強材として使用しても、樹脂中におけるセルロースナノファイバーの分散性が悪いことを原因として樹脂の補強効果が十分に発揮されない。」と指摘されている。
そこで、この特許文献1では、その請求項1に記載されている通り、「平均繊維幅0.1μm以上のマイクロ繊維セルロースと、合成樹脂と、無水マレイン酸変性ポリプロピレンとを含む、ことを特徴とする繊維状セルロース複合樹脂」を作製し、この繊維状セルロース複合樹脂を、合成樹脂構造体に混入させ、これにより合成樹脂構造体の強度を高めようとしている。
また、特許文献2の段落[0003]において、「そして、現在では、植物繊維を微細化して得られるセルロースナノファイバーを樹脂の補強材として使用する提案がされている。しかしながら、樹脂補強材としてセルロースナノファイバーを使用する場合、当該セルロースナノファイバーは、多糖類の水酸基に由来する分子間水素結合により不可逆的に凝集する。また、樹脂との混練を無理に進めようとしても繊維が千切れてしまい、樹脂中で十分な三次元ネットワークを構築できない。したがって、セルロースナノファイバーを補強材として使用しても、樹脂中における当該セルロースナノファイバーの分散性が悪く、十分な三次元ネットワークを構築できない。結果、樹脂の補強効果が十分に発揮されないとの問題がある。」と指摘している。
そこで、この特許文献2では、その請求項1に記載されている通り、「原料繊維を平均繊維幅が0.1μm以上に留まる範囲で解繊してマイクロ繊維セルロースの分散液を得、当該マイクロ繊維セルロースの分散液を乾燥し、樹脂を添加して混練する方法であり、前記マイクロ繊維セルロースの分散液を乾燥するに先立って、当該マイクロ繊維セルロースの分散液の含水率が93質量%以下になるまで脱水する、ことを特徴とする繊維状セルロース複合樹脂の製造方法。」によって繊維状セルロース複合樹脂を作製し、この繊維状セルロース複合樹脂を、合成樹脂構造体に混入させ、これにより合成樹脂構造体の強度を高めようとしている。
また、特許文献3の段落[0002]において「フィブリル化リヨセルを種々の材料のための補強材として使用することが提唱されている。しかしながら、出願者らは、フィブリル化リヨセル単独では補強材としてうまく機能しない、ということを見出した。フィブリル化リヨセルは適切に分散せず、したがって、靱性等の必要とされる物理的特性をもたらさない。フィブリル化リヨセルは、凝集もしくはバンドル化を起こしやすい。このため、フィブリル化リヨセルを補強材として、あるいは濾過材として使用することは困難である。なぜなら、一緒になってバンドル化し、材料の全体にわたって分散しないからである。」と指摘している。
そこで、この特許文献3では、その請求項1に記載されている通り「ASTM試験 1795-96による測定にて200~1000の重合度を有するセルロースパルプとリヨセルとの混合物をフィブリル化して得られるフィブリル化ブレンドであって、リヨセル繊維の少なくとも一部が3~12mmの長さを有する上記フィブリル化ブレンド。」によって、合成樹脂構造体への分散効果を高めようとしている。
つまり、リヨセル単体では、分散性を高めることができないので、上記セルロースパルプをブレンドし、分散性を高めようとするものである。
特開2020-70379号公報 特開2020-19874号公報 特許第5551768号明細書
上記の特許文献1および特許文献2では、植物由来のマイクロ繊維セルロースと、合成樹脂と、無水マレイン酸変性ポリプロピレンとを含む、例えばペレット状の繊維状セルロース複合合成樹脂を作り、この繊維状セルロース複合合成樹脂を合成樹脂構造体に混入させるものである。
この様に合成樹脂によってペレット状にすると、確かに、マイクロ繊維セルロースが凝集しないので、合成樹脂構造体への分散性を高めることができる。
しかしながら、植物由来のマイクロ繊維セルロースと、合成樹脂と、無水マレイン酸変性ポリプロピレンとを含む、例えばペレット状の繊維状セルロース複合合成樹脂を作るのは、別途、それ専用の設備が必要になるので、生産性が悪い。しかも、ペレット状の繊維状セルロース複合合成樹脂内の合成樹脂の種類によっては、混入させる合成樹脂構造体を変性させ、強度分布にバラつきが出る虞がある。
また、特許文献3では、リヨセル単体で分散性を高めることができないので、上記のセルロースパルプをブレンドすることで、分散性を高めようとしている。
しかしながら、植物由来のセルロースパルプとリヨセルとをブレンドする設備が新たに必要になるので、生産性が悪い。しかも、植物由来のセルロースパルプとリヨセルとを均一に混合物させるのは非常に難しく、合成樹脂構造体において、強度分布にバラつきが出る虞がある。
そこで、本発明は、生産性が高く、セルロースフィラーを使用した合成樹脂構造体において強度分布のバラツキが発生しにくい、セルロースフィラーを提供することを目的とするものである。
上述した目的を達成するために、本発明のセルロースフィラーは、溶剤紡糸セルロース繊維よりなり、平均繊維長が0.1~1mmである複数の主体繊維と、主体繊維の外周部から叩解により発生した複数のフィブリル化繊維と、が存在するセルロースフィラーである。
また、本発明のセルロースフィラーの製造方法は、溶剤紡糸セルロース繊維を水中で叩解処理し、その後、叩解処理後の溶剤紡糸セルロース繊維を乾燥させ、乾式粉砕手段によって乾式粉砕し、前述した主体繊維とフィブリル化繊維を形成するものである。
さらに、本発明の合成樹脂構造体は、本発明のセルロースフィラーが、合成樹脂中に分散されてなるものである。
本発明のセルロースフィラーは、溶剤紡糸セルロース繊維よりなり、平均繊維長が0.1~1mmである複数の主体繊維と、主体繊維の外周部から叩解により発生した複数のフィブリル化繊維とが共存しているセルロースフィラーである。つまり、本発明のセルロースフィラーは、溶剤紡糸セルロース繊維単独でも、凝集化しないセルロースフィラーを、世界で初めて実用化したものである。
本発明のセルロースフィラーを構成する、主体繊維とフィブリル化繊維は、合成樹脂構造体を構成する合成樹脂中に混入し混練処理を行えば、均一に分散される状態になる。このようにして得られたセルロースフィラーは、特に、熱可塑性合成樹脂の例として、ポリプロピレン(PP)合成樹脂構造体を製造する際に、合成樹脂構造体を構成する合成樹脂内に簡単に分散させることができ、しかも合成樹脂中における分散性も良いものとなる。
したがって、生産性が高く、合成樹脂構造体における強度分布のバラツキが発生しにくく、合成樹脂構造体の強度を高めることができる。
また、一般的に、CNFや天然パルプを配合したPP等では、混練工程や成形工程での加熱によって、リグニン等セルロース以外の成分由来の茶色の着色が見られる。
一方、本発明では、セルロース純度が高い溶剤紡糸セルロース繊維を用いているため、セルロースフィラーを配合しても着色が見られない。
したがって、白色化のために混練工程等で必要となる、色材等の必要性がなくなる、という大きな利点がある。
本発明の一実施形態に係るセルロースフィラーを示す電子顕微鏡写真である。 ポリプロピレンに適用した場合の曲げ強度の変化を示す図である。
本発明のセルロースフィラーは、溶剤紡糸セルロース繊維よりなり、平均繊維長が0.1~1mmである複数の主体繊維と、主体繊維の外周部から叩解により発生した複数のフィブリル化繊維と、が存在するセルロースフィラーである。
上記の本発明のセルロースフィラーにおいて、好ましくは、さらに主体繊維の平均繊維径を5~15μmとし、フィブリル化繊維の平均繊維径を0.01~3μmとする。
また、本発明のセルロースフィラーの製造方法は、溶剤紡糸セルロース繊維を水中で叩解処理し、その後、叩解処理後の溶剤紡糸セルロース繊維を乾燥させ、乾式粉砕手段によって乾式粉砕し、前述した主体繊維とフィブリル化繊維を形成するものである。
さらに、本発明の合成樹脂構造体は、本発明のセルロースフィラーが、合成樹脂中に分散されてなるものである。
上述した本発明の製造方法により製造したセルロースフィラーは、複数のフィブリル化繊維の総本数が、複数の主体繊維の総本数よりも多くなっている。
以下、本発明のセルロースフィラー、およびその製造方法、合成樹脂構造体の実施形態を説明する。
(原料繊維の準備)
本実施形態では、上記の特許文献3の段落[0019]にリヨセルとして記載されているものと同様の、溶剤紡糸セルロース繊維を出発原料とし、水中で叩解する。
叩解手段には、ビーター、高圧ホモジナイザー、高圧均質化装置等のホモジナイザー、グラインダー、リファイナー等を使用できる。特に、原料繊維に対して効率的に剪断力を付与し、解繊を進めることができること等の点から、リファイナーを使用することが好ましい。
次に、水中に分散している、叩解された溶剤紡糸セルロース繊維を、サスペンションワイヤー上で脱水し、乾燥させて巻き取る。
(乾式粉砕処理)
次に、巻き取られたシートを、乾式粉砕する。
粉砕には、カッターミル、ターボミル、ボールミル等を使用できる。特に、シートに対し連続的にかつ効率的に処理を進めることができること等より、ターボミルを使用することが望ましい。
図1は、本発明の一実施形態に係るセルロースフィラーを示す電子顕微鏡写真である。
図1に示すように、溶剤紡糸セルロース繊維よりなり、平均繊維長が0.1~1mmである複数の主体繊維1と、主体繊維1の外周部から発生した複数のフィブリル化繊維2とが、混在した状態となっている。
このセルロースフィラーを構成する、主体繊維1とフィブリル化繊維2を、合成樹脂中に混入し混練作業を行えば、均一に分散された合成樹脂構造体が得られる。
したがって、生産性が高く、合成樹脂構造体における強度分布のバラツキが発生しにくく、合成樹脂構造体の強度を高めることができる。
(主体繊維の形態)
主体繊維1の平均繊維径を、好ましくは5~15μmとするのは、次の理由による。
つまり、溶剤紡糸セルロース繊維を出発原料とする場合、平均繊維径を5μm未満としようとすると、合成樹脂と混合する際、樹脂粘度が高くなりすぎ、合成樹脂構造体におけるセルロースフィラーの凝集が発生する原因となる。
また、平均繊維径を15μm超とすると、合成樹脂へ分散した際、繊維径が過大であり、合成樹脂構造体における強度分布のバラツキ発生の原因となる。
(フィブリル化繊維の形態)
フィブリル化繊維2の平均繊維径を、好ましくは0.01~3μmとするのは、次の理由による。
フィブリル化繊維2の平均繊維径が0.01μm未満では、繊維の表面積が大きくなってしまい、セルロースの水酸基の水素結合により凝集が発生してしまう。これは、上述したように、セルロースナノファイバー(CNF)が不可逆的に凝集することと同様である。
また、フィブリル化繊維2の平均繊維径が3μm超の場合、繊維が大きすぎるため、フィブリル化繊維2同士の結合力を強くすることができず、合成樹脂構造体の補強効果が望めない。
また、複数のフィブリル化繊維2の総本数が、複数の主体繊維1の総本数よりも多い状態となっている。
なお、主体繊維1とフィブリル化繊維2のそれぞれの本数は、電子顕微鏡で撮影することにより、容易に判別できる。
本実施形態で重要なのは、出発原料として溶剤紡糸セルロース繊維を用いることであり、粉砕処理後の主体繊維1の長さを、平均繊維長で0.1~1mmに制御することである。
この平均繊維長の範囲内に制御することにより、上記の特許文献3において溶剤紡糸セルロース繊維を単独で用いると凝集を避けるのが困難とされていたものが、本実施形態では、主体繊維1同士、フィブリル化繊維2同士、さらに主体繊維1とフィブリル化繊維2とが凝集せず、均質に分散することが可能となる。
そして、上記した主体繊維1とフィブリル化繊維2とを、合成樹脂中に混入、混練りすれば、主体繊維1とフィブリル化繊維2とが均一に分散された、合成樹脂構造体を得ることができる。
(合成樹脂構造体)
このようにして得られたセルロースフィラーは、合成樹脂構造体の製造時に、合成樹脂構造体を構成する合成樹脂内に、相溶化剤とともに分散させることが簡単に行え、しかも、合成樹脂中における分散性も良いものとなる。
したがって、生産性が高く、合成樹脂構造体における強度分布のバラツキが発生しにくくなり、その結果として、合成樹脂構造体全体の強度を高めることができる。
ここで、合成樹脂構造体の合成樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂として、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル (PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン (PS)、ポリ酢酸ビニル (PVAc)、ポリウレタン(PUR)、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、PTFE)、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂、アクリル樹脂 (PMMA)等が挙げられる。また、例えば、熱硬化性樹脂として、フェノール樹脂 (PF)、エポキシ樹脂(EP)、メラミン樹脂(MF)、尿素合成樹脂(ユリア樹脂、UF)、不飽和ポリエステル樹脂 (UP)、ポリウレタン(PUR)等が挙げられる。
この様に、本実施形態では、溶剤紡糸セルロース繊維単独でも凝集しないセルロースフィラーを、世界で初めて実用化したものである。
すなわち、従来は、フィラーの長さが短くなると、これを混入した合成樹脂構造体の強度を高くすることが難しいとされていたが、合成樹脂中に均一に溶剤紡糸セルロース繊維が存在すれば、例え、その長さが短くても、十分に実用に耐えるものが提供できることになった。
上記の合成樹脂構造体とは、例えば、自動車の各部構造体や、電子機器の各部構造体等が一例として挙げられる。
本実施形態のセルロースフィラーは、それらの構造体の強度を高めることに貢献でき、強度を高めることによる薄型化等によって、プラスチック使用量の削減にも貢献できる。
(混練処理)
このようにして得られたセルロースフィラーを合成樹脂と混練し、混成物とする。
熱可塑性合成樹脂の混練処理には、例えば、単軸又は二軸以上の多軸混練機、ミキシングロール、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー、スクリュープレス、ディスパーザー等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。ただし、これらの中では、二軸以上の多軸混練機を使用するのが好ましい。
混練処理の温度は、合成樹脂のガラス転移温度以上で行う。
また、セルロースフィラーの合成樹脂中における、分散性および合成樹脂構造体とした際のセルロースフィラーと合成樹脂との相溶性を向上させるため、相溶化剤を使用してもよい。
相溶化剤は、種々の物が選択でき、一般的に極性モノマー共重合体やグラフト変性ポリマーが挙げられるが、特に種類を限るものではない。なお、セルロースフィラーに効果的であるのは、無水マレイン酸変性PP(MAPP)や無水マレイン酸変性PE(MAPE)が挙げられる。
また、さらには、セルロースフィラーの持つ水酸基を変性してもよい。
水酸基の変性は種々の手法があり、それらを限定するものではないが、アセチル化処理、種々のシランカップリング剤処理、高分子グラフト重合処理等が挙げられる。
また、セルロースフィラーは、繊維状の乾燥体であるため、樹脂成形手法として、以下の工程を取ることもできる。
つまり、セルロースフィラーと、例えばPP等の熱可塑性繊維を任意の割合で混合し、エアレイド法を代表する不織布形成技術を用いて、シート化する。それによって、均質にセルロースフィラーが分散する。そのシートを加熱成形することで、任意形状の成形体を得ることもできる。
(成形処理)
セルロースフィラーおよび合成樹脂(混成物)は、セルロースフィラーが分散しているが、成形加工性にも優れている。成形の大きさや厚さ、形状等は、特に限定されず、例えば、シート状、ペレット状、粉末状等とすることができる。熱可塑性合成樹脂を成形処理する際の温度は、合成樹脂のガラス転移温度以上で行えばよい。
成形処理の装置としては、例えば、射出成形機、吹込成形機、中空成形機、ブロー成形機、圧縮成形機、押出成形機、真空成形機、圧空成形機等の中から、1種又は2種以上を選択して使用することができる。
なお、この成形処理は、混練処理に続いて行うことも、混練物をいったん冷却し、破砕機等を使用してチップ化した後、このチップを押出成形機や射出成形機等の成形機に投入して行うこともできる。
本発明に係るセルロースフィラー、およびセルロースフィラーを用いた構造体を作製して、特性を調べた。
セルロースフィラーの作製と、セルロースフィラーの特性の測定は、以下の方法により行った。
(セルロースフィラー)
表1に記載の繊維長および繊維径の溶剤紡糸セルロース繊維を出発原料とし、ダブルディスクリファイナー(DDR)を用い叩解し、抄紙手段によってシートにした後、カッターミルで粗粉砕し、ターボミルで粉砕することにより、セルロースフィラーを得た。
(平均繊維長)
得られたセルロースフィラーを水中に分散し、L&Wファイバーテスタープラス繊維形状分析器(ローレンツェン社製)を用いて、長さ加重平均繊維長の値を測定して、この測定した値を平均繊維長とした。
(平均繊維径)
得られたセルロースフィラーを電子顕微鏡で撮影し、無作為に選択した主体繊維、およびフィブリル化繊維の、それぞれ300本の径を測定して、測定値の平均値を求めた。求めた平均値を、平均繊維径とした。
(その他の実施例および比較例)
主体繊維の平均繊維径、平均繊維長、およびフィブリル化の平均繊維長に対して、変更を加えて、セルロースフィラーを作製し、実施例1~実施例5、比較例1~比較例7の試料とした。
それぞれの実施例および比較例の各試料の結束等と分散と凝集状態を判断し、判断した結果を、表1に示す。
(凝集の有無)
ガラス製のビーカーに水100mlをはかり取り、その中に0.5gのセルロースフィラーを加え、ガラス棒にてかきまぜた。そして、水中のフロック(凝集塊)の有無を目視で観察することにより、凝集の有無を判定した。
(合成樹脂構造体の作製)
以下の方法により、実施例および比較例で得られたセルロースフィラーから、それぞれ合成樹脂構造体を作製した。
ポリプロピレン90質量部と、実施例および比較例で得られたセルロースフィラー10質量部とを、二軸混練機にて温度170℃、スクリュー回転数400rpmで、混練処理を行い、射出成形機にて180℃の温度で、JIS K7171:2016に準拠したダンベル型試験サンプルを作製した。
なお、比較例1は、セルロースフィラーを添加していないサンプルであり、混練処理を行わずにポリプロピレンのみで、射出成形機にてサンプルを作製した。
作製した合成樹脂構造体のダンベル型試験サンプルについて、以下の方法により、特性を測定した。
(合成樹脂構造体における凝集の有無)
上記ダンベル型試験サンプルの中心部を切り取り、高分解能3次元X線顕微鏡(リガク社製)を用いて、5mm×5mmの面積を撮影し、直径0.2mm以上のフロック(凝集塊)の有無を確認した。
(曲げ強度)
JIS K7171:2016に準拠し、曲げ強度を測定し、セルロースフィラーを添加していないポリプロピレンのみの曲げ強度を100とした比で示した。
上述したように、セルロースフィラーおよび合成樹脂構造体を作製し、評価した結果を、表1に示す。
Figure 2023113345000002
表1の実施例1~実施例5の結果に示す通り、主体繊維の平均繊維長が0.1~1mmの範囲内であれば、凝集が発生していないことがわかる。
また、フィブリル化繊維の繊維径を0.01~3μmに、主体繊維の繊維径を5~15μmに、それぞれ制御することで、合成樹脂に混合しても凝集が発生せず、曲げ強度も向上していることがわかる。
また、一例として、実施例1のセルロースフィラーの配合量を30質量パーセントまで増加させた際の、プロピレン樹脂構造体の曲げ強度の変化を、図2に示す。
図2より、同一配合量でのばらつきが小さく、さらにはセルロースフィラーの配合量の増大に対して、プロピレン樹脂構造体の曲げ強度が直線的に上昇していることからも、セルロースフィラーが樹脂構造体中に均一に分散していることを示している。
本発明のセルロースフィラーを30質量パーセント程度まで含有させた、合成樹脂構造体は、十分な曲げ強度を有し、問題なく使用できることが明らかとなった。
1 主体繊維、2 フィブリル化繊維

Claims (4)

  1. 溶剤紡糸セルロース繊維よりなり、
    平均繊維長が0.1~1mmである主体繊維と、該主体繊維から発生したフィブリル化繊維とで構成された
    ことを特徴とするセルロースフィラー。
  2. 前記主体繊維の平均繊維径が5~15μmであって、前記フィブリル化繊維の平均繊維径が0.01~3μmであることを特徴とする請求項1記載のセルロースフィラー。
  3. 請求項1または請求項2に記載のセルロースフィラーを製造する製造方法であって、
    前記溶剤紡糸セルロース繊維を水中で叩解処理し、その後、乾燥させ、乾式粉砕手段によって、前記主体繊維および前記フィブリル化繊維を形成する
    ことを特徴とするセルロースフィラーの製造方法。
  4. 請求項1または請求項2に記載のセルロースフィラーが、合成樹脂中に分散されてなる
    ことを特徴とする合成樹脂構造体。
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