JP2023111849A - マスク及びマスクの製造方法 - Google Patents

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Yasuko Sone
裕 小澤
Yutaka Ozawa
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Abstract

【課題】シリコン基板の厚みが薄くても破損しないマスク及びマスクの製造方法を提供する。
【解決手段】マスクは、第1面301と、第1面の反対側に位置する第2面302と、第1面から第2面へ貫通する少なくとも1つの第1開口31と、第1開口に面する第1壁面32と、を含む第1層30と、第2面に対向する第3面401と、第3面の反対側に位置する第4面402と、第3面から前記第4面へ貫通し、平面視において第1開口に重なる複数の第2開口41と、を含む第2層40と、少なくとも第2面と第3面との間に位置する第1中間層51と、を含む。前記第1層は、シリコンを含む。第2層は、樹脂材料を含む。第1壁面は、第1層の厚み方向に並ぶ複数の凹部を含む。
【選択図】図5A

Description

本開示の実施形態は、マスク及びマスクの製造方法に関する。
精密なパターンを形成するための方法として、蒸着法が知られている。蒸着法においては、まず、開口が形成されたマスクを基板に組み合わせる。続いて、マスクの開口を介して蒸着材料を基板に付着される。これにより、マスクの開口のパターンに対応したパターンで、蒸着材料を含む蒸着層を基板上に形成できる。蒸着法は、例えば、有機EL表示装置の画素を形成する方法として用いられている。
例えば特許文献1は、フレームと、張力が加えられた状態でフレームに接合されているマスクと、を備えるマスク装置を用いる形態を開示している。フレーム及びマスクは、ニッケルを含む鉄合金によって構成されている。
例えば特許文献2は、スリットが設けられた金属マスクと、金属マスクに積層され、スリットに重なる開口部が設けられた樹脂マスクと、を備える蒸着マスクを開示している。樹脂マスクは、ポリイミド樹脂などの樹脂材料から構成されている。金属マスクは、張力が加えられた状態でフレームに接合されている。
一方、例えば特許文献3は、マスクに撓みが生じ、蒸着層の位置がずれるという課題を提起している。特許文献3は、このような課題を解決するため、シリコン基板によってマスクを構成することを提案している。
特開2013-49889号公報 特開2013-163864号公報 特開2001-185350号公報
シリコン基板の厚みが小さいほど、基板に形成される蒸着層の精度が高くなる。一方、シリコン基板の厚みが小さいほど、マスクが破損しやすくなる。
本開示の実施形態は、このような課題を効果的に解決し得るマスク及びマスクの製造方法を提供することを目的とする。
本開示の一実施形態によるマスクは、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、前記第1面から前記第2面へ貫通する少なくとも1つの第1開口と、前記第1開口に面する第1壁面と、を含む第1層と、前記第2面に対向する第3面と、前記第3面の反対側に位置する第4面と、前記第3面から前記第4面へ貫通し、平面視において前記第1開口に重なる複数の第2開口と、を含む第2層と、少なくとも前記第2面と前記第3面との間に位置する第1中間層と、を含んでもよい。前記第1層は、シリコンを含んでもよい。前記第2層は、樹脂材料を含んでもよい。前記第1壁面は、前記第1層の厚み方向に並ぶ複数の凹部を含んでもよい。
本開示の実施形態によれば、シリコンを含むマスクを移動させるときにマスクが破損することを抑制できる。
有機デバイスの一例を示す平面図である。 マスクを備えた蒸着装置の一例を示す図である。 入射面の側から見た場合のマスクの一例を示す平面図である。 入射面の側から見た場合のマスクの一変形例を示す平面図である。 入射面の側から見た場合のマスクの一変形例を示す平面図である。 出射面の側から見た場合のマスクの一例を示す平面図である。 図3AのマスクのV-V線に沿った断面図である。 有効領域の一例を示す断面図である。 第1層の第1壁面を拡大して示す断面図である。 図5Aにおいて符号VIIが付された一点鎖線で囲まれた部分を拡大して示す断面図である。 図5Aにおいて符号VIIIが付された一点鎖線で囲まれた部分を拡大して示す断面図である。 第1の実施の形態によるマスクの製造方法の一例を示す断面図である。 第1の実施の形態によるマスクの製造方法の一例を示す断面図である。 第1の実施の形態によるマスクの製造方法の一例を示す断面図である。 第1の実施の形態によるマスクの製造方法の一例を示す断面図である。 第1層に第1開口を形成する方法の一例を示す断面図である。 第1層に第1開口を形成する方法の一例を示す断面図である。 第1層に第1開口を形成する方法の一例を示す断面図である。 第1層に第1開口を形成する方法の一例を示す断面図である。 第1の実施の形態によるマスクの製造方法の一例を示す断面図である。 第1の実施の形態によるマスクの製造方法の一例を示す断面図である。 第2の実施の形態によるマスクの製造方法の一例を示す断面図である。 第3の実施の形態によるマスクの一例を示す断面図である。 第3の実施の形態によるマスクの製造方法の一例を示す断面図である。 第3の実施の形態によるマスクの製造方法の一例を示す断面図である。 第3の実施の形態によるマスクの製造方法の一例を示す断面図である。 第3の実施の形態によるマスクの製造方法の一例を示す断面図である。 第4の実施の形態によるマスクの一例を示す断面図である。 第5の実施の形態によるマスクの一例を示す断面図である。 第5の実施の形態によるマスクの製造方法の一例を示す断面図である。 第5の実施の形態によるマスクの製造方法の一例を示す断面図である。 第5の実施の形態によるマスクの製造方法の一例を示す断面図である。 第5の実施の形態によるマスクの製造方法の一例を示す断面図である。 第6の実施の形態によるマスクの一例を示す断面図である。 第6の実施の形態によるマスクの製造方法の一例を示す断面図である。 第7の実施の形態によるマスクの一例を示す断面図である。 第8の実施の形態によるマスクの一例を示す断面図である。 第8の実施の形態によるマスクの製造方法の一例を示す断面図である。 第8の実施の形態によるマスクの製造方法の一例を示す断面図である。 第9の実施の形態によるマスクの一例を示す平面図である。 第9の実施の形態によるマスクの一例を示す平面図である。 第9の実施の形態によるマスクの一例を示す平面図である。 第9の実施の形態によるマスクの一例を示す平面図である。 有機デバイスを備える装置の一例を示す図である。 第11の実施の形態による第1開口の一例を示す断面図である。 第1層の第1面の近傍における、第1開口の一例を示す断面図である。 第1層の第2面の近傍における、第1開口の一例を示す断面図である。 凹部の間隔が不均一になる理由の一例を説明するための図である。 凹部の間隔が不均一になる理由の一例を説明するための図である。 凹部の間隔が不均一になる理由の一例を説明するための図である。
以下、一実施形態に係るマスクの構成及びその製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本開示の実施形態の一例であって、本開示はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。本明細書において、「板」、「基材」、「シート」、「フィルム」など用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「板」はシートやフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念である。「面」とは、対象となる部材を全体的かつ大局的に見た場合において、対象となる部材の平面方向と一致する面のことを指す。法線方向とは、部材の面に対する法線方向のことを指す。本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」や「直交」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈する。
本明細書において、あるパラメータに関して複数の上限値の候補及び複数の下限値の候補が挙げられている場合、そのパラメータの数値範囲は、任意の1つの上限値の候補と任意の1つの下限値の候補とを組み合わせることによって構成されてもよい。例えば、「パラメータBは、例えばA1以上であり、A2以上であってもよく、A3以上であってもよい。パラメータBは、例えばA4以下であり、A5以下であってもよく、A6以下であってもよい。」と記載されている場合を考える。この場合、パラメータBの数値範囲は、A1以上A4以下であってもよく、A1以上A5以下であってもよく、A1以上A6以下であってもよく、A2以上A4以下であってもよく、A2以上A5以下であってもよく、A2以上A6以下であってもよく、A3以上A4以下であってもよく、A3以上A5以下であってもよく、A3以上A6以下であってもよい。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に」や「下に」、「上側に」や「下側に」、又は「上方に」や「下方に」とする場合、ある構成が他の構成に直接的に接している場合を含む。さらに、ある構成と他の構成との間に別の構成が含まれている場合、つまり間接的に接している場合も含む。また、特別な説明が無い限りは、「上」や「上側」や「上方」、又は、「下」や「下側」や「下方」という語句は、上下方向が逆転してもよい。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
本明細書および本図面において、本開示の実施形態は、特別な説明が無い限りは、矛盾の生じない範囲で、その他の実施形態や変形例と組み合わせられてもよい。また、その他の実施形態同士や、その他の実施形態と変形例も、矛盾の生じない範囲で組み合わせられてもよい。また、変形例同士も、矛盾の生じない範囲で組み合わせられてもよい。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、製造方法などの方法に関して複数の工程を開示する場合に、開示されている工程の間に、開示されていないその他の工程が実施されてもよい。また、開示されている工程の順序は、矛盾の生じない範囲で任意である。
本実施形態で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号又は類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
本明細書の一実施形態においては、マスクが、有機EL表示装置を製造する際に有機層又は電極を基板上に形成するために用いられる例について説明する。ただし、マスクの用途が特に限定されることはなく、種々の用途に用いられるマスクに対し、本実施形態を適用できる。例えば、仮想現実いわゆるVRや拡張現実いわゆるARを表現するための画像や映像を表示又は投影するための装置の有機層、電極などの層を形成するために、本実施形態のマスクを用いてもよい。また、液晶表示装置の電極などの、有機EL表示装置以外の表示装置の層を形成するために、本実施形態のマスクを用いてもよい。また、圧力センサの有機層、電極などの、表示装置以外の有機デバイスの層を形成するために、本実施形態のマスクを用いてもよい。
本開示の第1の態様は、マスクであって、
第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、前記第1面から前記第2面へ貫通する少なくとも1つの第1開口と、前記第1開口に面する第1壁面と、を含む第1層と、
前記第2面に対向する第3面と、前記第3面の反対側に位置する第4面と、前記第3面から前記第4面へ貫通し、平面視において前記第1開口に重なる複数の第2開口と、を含む第2層と、
少なくとも前記第2面と前記第3面との間に位置する第1中間層と、を含み、
前記第1層は、シリコンを含み、
前記第2層は、樹脂材料を含み、
前記第1壁面は、前記第1層の厚み方向に並ぶ複数の凹部を含む、マスクである。
上述した第1の態様に従う第2の態様によるマスクにおいて、前記第1面に近接する複数の前記凹部は、第1周期で前記厚み方向に並んでいてもよく、前記第2面に近接する複数の前記凹部は、前記第1周期よりも小さい第2周期で前記厚み方向に並んでいてもよい。
上述した第1の態様又は第2の態様に従う第3の態様によるマスクにおいて、前記第1面に近接する複数の前記凹部は、第1深さを有していてもよく、前記第2面に近接する複数の前記凹部は、前記第1深さよりも小さい第2深さを有していてもよい。
上述した第1の態様から上述した第3の態様のいずれかに従う第4の態様によるマスクにおいて、前記第1中間層は、前記第2面上における前記第1開口の輪郭よりも外側に位置する第1中間壁面を含んでいてもよい。
上述した第1の態様から上述した第4の態様のいずれかに従う第5の態様によるマスクにおいて、前記第1中間層は、1μm以下の厚みを有する第1中間層を含んでいてもよい。
上述した第1の態様から上述した第5の態様のいずれかに従う第6の態様によるマスクにおいて、前記第2層の前記第3面に位置し、1μm以上の厚みを有する第2中間層を含んでいてもよい。
上述した第1の態様から上述した第6の態様のいずれかに従う第7の態様によるマスクにおいて、前記第1層は、複数の前記第1開口と、平面視において隣り合う前記第1開口の間に位置する内側領域と、平面視において前記第1層の外縁と前記第1開口との間に位置する外側領域と、を含んでいてもよい。
上述した第7の態様に従う第8の態様によるマスクにおいて、前記内側領域の厚みは、前記外側領域の厚みよりも小さくてもよい。
上述した第1の態様から上述した第8の態様のいずれかに従う第9の態様によるマスクにおいて、前記第2層の厚みは、前記第1層の厚みよりも小さくてもよく、前記第1中間層の厚みは、前記第2層の厚みよりも小さくてもよい。
上述した第1の態様から上述した第9の態様のいずれかに従う第10の態様によるマスクにおいて、前記第1壁面は、前記第1面に向かうにつれて外側に広がるテーパ面を含んでいてもよい。
上述した第1の態様から上述した第10の態様のいずれかに従う第11の態様によるマスクは、前記第1面に位置する応力調整層を備えていてもよい。
上述した第1の態様から上述した第11の態様のいずれかに従う第12の態様によるマスクにおいて、前記第2層はポリイミドを含んでいてもよい。
本開示の第13の態様は、マスクの製造方法であって、
第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含む第1層と、前記第2面に対向する第3面及び前記第3面の反対側に位置する第4面を含む第2層と、前記第2面と前記第3面との間に位置する第1中間層と、を備える積層体を準備する工程と、
前記第1面上に部分的にレジスト層を形成する工程と、
前記第1面側から前記第1層をエッチングすることによって、前記第1層に第1開口を形成する第1加工工程と、
前記第2層に複数の第2開口を形成する第2加工工程と、を備える、マスクの製造方法である。
本開示の第14の態様は、マスクの製造方法であって、
第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含む第1層を準備する工程と、
前記第2面上に部分的にレジスト層を形成する工程と、
前記第2面側から前記第1層をエッチングすることによって、前記第1層に第1開口を形成する第1加工工程と、
前記第2面に対向する第3面及び前記第3面の反対側に位置する第4面を含む第2層を前記第1層に接合する工程と、
前記第2層に複数の第2開口を形成する第2加工工程と、を備え、
前記マスクは、前記第2面と前記第3面との間に位置する第1中間層を含む、マスクの製造方法である。
上述した第13の態様又は上述した第14の態様に従う第15の態様によるマスクの製造方法において、前記第1加工工程は、交互に繰り返し実施されるドライエッチング工程及び保護膜形成工程を含んでいてもよい。
上述した第13の態様から上述した第15の態様のいずれかに従う第16の態様によるマスクの製造方法は、前記第1加工工程の後、前記第2加工工程の前に、前記レジスト層を除去する工程を備えていてもよい。
上述した第13の態様から上述した第16の態様のいずれかに従う第17の態様によるマスクの製造方法は、前記第1加工工程の後、前記第2加工工程の前に、平面視において前記第1開口に重なる前記第1中間層を除去する工程を備えていてもよい。
上述した第13の態様から上述した第16の態様のいずれかに従う第17の態様によるマスクの製造方法は、前記第2加工工程の後、平面視において前記第1開口に重なる前記第1中間層を除去する工程を備えていてもよい。
本開示の第19の態様は、有機デバイスの製造方法であって、
上述した第1の態様から上述した第12の態様のいずれかのマスクを用いる蒸着法によって基板上に有機層を形成する工程を備える、有機デバイスの製造方法である。
(第1の実施の形態)
図1乃至図18を参照して、第1の実施の形態について説明する。まず、マスクを用いることにより形成される有機層を備える有機デバイス100について説明する。図1は、有機デバイス100の一例を示す断面図である。
有機デバイス100は、基板110と、基板110の面内方向に沿って並ぶ複数の素子115と、を含む。基板110は、第1面111及び第1面111の反対側に位置する第2面112を含む。素子115は、第1面111に位置している。素子115は、例えば画素である。基板110は、2以上の種類の素子115を含んでいてもよい。例えば、基板110は、第1素子115A及び第2素子115Bを含んでいてもよい。図示はしないが、基板110は、第3素子を含んでいてもよい。第1素子115A、第2素子115B及び第3素子は、例えば、赤色画素、青色画素及び緑色画素である。
素子115は、第1電極120と、第1電極120上に位置する有機層130と、有機層130上に位置する第2電極140と、を有していてもよい。
有機デバイス100は、平面視において隣り合う2つの第1電極120の間に位置する絶縁層160を備えていてもよい。絶縁層160は、例えばポリイミドを含んでいる。絶縁層160は、第1電極120の端部に重なっていてもよい。「平面視」とは、基板110などの板状の部材の面の法線方向に沿って対象を見ることを意味する。
基板110は、絶縁性を有する部材であってもよい。基板110の材料としては、例えば、シリコン、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のないリジッド材、あるいは、樹脂フィルム、光学用樹脂板、薄ガラス等の可撓性を有するフレキシブル材等を用いることができる。基板110は、半導体製造で用いられるシリコンウエハと同様の平面形状を有していてもよい。この場合、半導体製造工程を実施する装置を用いて基板110を処理できる。例えば、半導体製造工程を実施する装置を用いて基板110に第1電極120、絶縁層160などを形成できる。
素子115は、第1電極120と第2電極140との間に電圧が印加されることにより、又は、第1電極120と第2電極140との間に電流が流れることにより、何らかの機能を実現するよう構成されている。例えば、素子115が、有機EL表示装置の画素である場合、素子115は、映像を構成する光を放出できる。
第1電極120は、導電性を有する材料を含む。例えば、第1電極120は、金属、導電性を有する金属酸化物や、その他の導電性を有する無機材料などを含む。第1電極120は、インジウム・スズ酸化物などの、透明性及び導電性を有する金属酸化物を含んでいてもよい。
有機層130は、有機材料を含む。有機層130が通電されると、有機層130は、何らかの機能を発揮できる。通電とは、有機層130に電圧が印加されること、又は有機層130に電流が流れることを意味する。有機層130としては、通電により光を放出する発光層、通電により光の透過率や屈折率が変化する層などを用いることができる。有機層130は、有機半導体材料を含んでいてもよい。
図1に示すように、有機層130は、第1有機層130A及び第2有機層130Bを含んでいてもよい。第1有機層130Aは、第1素子115Aに含まれる。第2有機層130Bは、第2素子115Bに含まれる。図示はしないが、有機層130は、第3素子に含まれる第3有機層を含んでいてもよい。第1有機層130A、第2有機層130B及び第3有機層は、例えば、赤色発光層、青色発光層及び緑色発光層である。
第1電極120と第2電極140との間に電圧を印加すると、両者の間に位置する有機層130が駆動される。有機層130が発光層である場合、有機層130から光が放出され、光が第2電極140側又は第1電極120側から外部へ取り出される。
有機層130は、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層などを更に含んでいてもよい。
第2電極140は、金属などの、導電性を有する材料を含んでいてもよい。第2電極140の材料としては、例えば、白金、金、銀、銅、鉄、錫、クロム、アルミニウム、インジウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、クロム、炭素等及びこれらの合金を用いることができる。図1に示すように、第2電極140は、平面視において隣り合う2つの有機層130に跨るように広がっていてもよい。
次に、有機層130を蒸着法によって基板110に形成する方法について説明する。図2は、蒸着装置10を示す図である。蒸着装置10は、対象物に蒸着材料を蒸着させる蒸着処理を実施する。
図2に示すように、蒸着装置10は、その内部に、蒸着源6、ヒータ8、及びマスク20を備えていてもよい。蒸着装置10は、蒸着装置10の内部を真空雰囲気にするための排気手段を更に備えていてもよい。蒸着源6は、例えばるつぼである。蒸着源6は、有機材料、金属材料などの蒸着材料7を収容する。ヒータ8は、蒸着源6を加熱して、真空雰囲気の下で蒸着材料7を蒸発させる。
マスク20は、入射面201、出射面202及び第2開口41を含む。入射面201は、蒸着源6と対向している。出射面202は、入射面201の反対側に位置する。出射面202は、基板110の第1面111と対向している。出射面202からマスク20に入った蒸着材料7の一部は、第2開口41を通過して出射面202から出る。出射面202から出た蒸着材料7は、基板110の第1面111に付着する。マスク20の出射面202は、基板110の第1面111に接していてもよい。
図2に示すように、蒸着装置10は、基板110の第2面112側に配置されている磁石5を備えていてもよい。マスク20が金属材料を含む場合、磁石5は、磁力によってマスク20を基板110に向けて引き寄せることができる。これにより、マスク20と基板110との間の隙間を低減したり、隙間をなくしたりすることができる。このことにより、蒸着工程においてシャドウが発生することを抑制できる。本願において、シャドウとは、第2開口41の壁面の近傍に形成される有機層130の厚みが、第2開口41の中心に形成される有機層130の厚みよりも小さくなる現象である。シャドウは、蒸着材料7がマスク20の壁面に付着すること、蒸着材料7がマスク20と基板110との間の隙間に入り込むこと、などに起因して生じる。
次に、マスク20について詳細に説明する。図3Aは、入射面201の側から見た場合のマスク20の一例を示す平面図である。図4は、出射面202の側から見た場合のマスク20の一例を示す平面図である。図5Aは、図3Aのマスク20のV-V線に沿った断面図である。
図5Aに示すように、マスク20は、入射面201から出射面202に向かって順に並ぶ第1層30、中間層50及び第2層40を備える。第1層30は、シリコン又はシリコン化合物を含む。シリコン化合物は、例えばシリコンカーバイド(SiC)である。第2層40は、樹脂材料を含む。以下、各層について説明する。
第1層30は、第1面301、第2面302、第1開口31及び第1壁面32を含む。第1面301は、入射面201を構成していてもよい。第2面302は、第1面301の反対側に位置している。
第1開口31は、第1面301から第2面302へ貫通している。図3Aに示すように、第1層30は、複数の第1開口31を含んでいてもよい。複数の第1開口31は、第1方向D1及び第2方向D2に並んでいてもよい。第2方向D2は、第1方向D1に直交していてもよい。
第1開口31は、有機EL表示装置の1つの画面に対応していてもよい。図3Aに示すマスク20は、複数の画面に対応する有機層のパターンを同時に基板110に形成できる。図3Aに示すように、第1開口31は、平面視において矩形の輪郭を有していてもよい。
図3B及び図3Cはそれぞれ、マスク20のその他の例を示す平面図である。図3Bに示すように、第1開口31の輪郭の角部は曲線を含んでいてもよい。図3Cに示すように、第1開口31の輪郭は八角形であってもよい。図3B及び図3Cに示す例によれば、第1開口31の輪郭に応力が加わる場合に、応力が角部に集中することを抑制できる。このため、第1層30が破損することを抑制できる。
第1壁面32は、第1開口31に面する第1層30の面である。図3Aに示す例において、第1壁面32は、第1面301の法線方向に沿って広がっている。
図3Aに示すように、第1開口31が形成されていない第1層30の領域は、外側領域35及び内側領域36に区画されてもよい。内側領域36は、平面視において隣り合う2つの第1開口31の間に位置する領域である。外側領域35は、平面視において、第1層30の外縁303と第1開口31との間に位置する領域である。図3Aに示すように、内側領域36は、第1方向D1及び第2方向D2に延びていてもよい。
図3A及び図4に示すように、第1層30は、アライメントマーク39を含んでいてもよい。アライメントマーク39は、例えば第2面302に形成されている。アライメントマーク39は、第1面301に形成されていてもよい。アライメントマーク39は、例えば、マスク20に対する基板110の相対的な位置を調整するために利用される。基板110が可視光を透過させる性質を有する場合、基板110を介しアライメントマーク39を視認できる。
図3A及び図4に示すように、アライメントマーク39は、平面視において円形の輪郭を有していてもよい。図示はしないが、アライメントマーク39は、矩形や十字形など、円形以外の輪郭を有していてもよい。アライメントマーク39は、外側領域35に位置していてもよく、内側領域36に位置していてもよい。
断面図におけるアライメントマーク39の形状は任意である。
例えば、アライメントマーク39は、第1面301又は第2面302に位置する凹部を含んでいてもよい。アライメントマーク39は、第1面301から第2面302に貫通する孔を含んでいてもよい。凹部及び孔は、第1面301又は第2面302をエッチングすることによって形成されてもよい。凹部及び孔は、第1面301又は第2面302にレーザを照射することによって形成されてもよい。
例えば、アライメントマーク39は、第1面301又は第2面302の上に位置する層を含んでいてもよい。層は、第1層30とは異なる材料によって形成されている。第2面302の上に層が形成される場合、第2層40及び中間層50は、層に重なる貫通孔を含んでいてもよい。これにより、アライメントマーク39の視認性を高めることができる。
アライメントマーク39は、第1層30以外の層に形成されていてもよい。
第1層30は、上述のようにシリコン又はシリコン化合物を含む。第1層30は、例えば、シリコンウエハを加工することによって作製される。図3Aに示すように、第1層30の外縁303は、直線状の部分を含んでいてもよい。直線状の部分は、オリエンテーションフラットとも称される。図示はしないが、外縁303には切り欠きが形成されていてもよい。切り欠きは、ノッチとも称される。オリエンテーションフラット及びノッチは、シリコンウエハの結晶方位を表す。
平面視における第1層30の最大の寸法S1は、例えば100mm以上であり、150mm以上であってもよく、200mm以上であってもよい。寸法S1は、例えば500mm以下であり、400mm以下であってもよく、300mm以下であってもよい。
第1開口31が並ぶ方向における第1開口31の寸法S2は、例えば5mm以上であり、10mm以上であってもよく、20mm以上であってもよい。寸法S2は、例えば100mm以下であり、50mm以下であってもよく、30mm以下であってもよい。
第1開口31が並ぶ方向における2つの第1開口31の間の間隔S3は、例えば0.1mm以上であり、0.5mm以上であってもよく、1.0mm以上であってもよい。間隔S3は、例えば20mm以下であり、15mm以下であってもよく、10mm以下であってもよい。
第1層30の厚みは、外側領域35の最大の厚みT1として定義される。厚みT1は、例えば50μm以上であり、100μm以上であってもよく、200μm以上であってもよい。厚みT1は、例えば1000μm以下であり、800μm以下であってもよく、600μm以下であってもよい。
次に、第2層40について説明する。第2層40は、第3面401、第4面402、及び複数の第2開口41を含む。第3面401は、第1層30の第2面302に対向している。第4面402は、第3面401の反対側に位置している。
第2開口41は、第3面401から第4面402へ貫通している。1つの第2開口41が、1つの有機層130に対応している。規則的に並ぶ複数の第2開口41の一群が、有機EL表示装置の1つの画面に対応している。図3A及び図4に示すように、規則的に並ぶ複数の第2開口41の一群が、平面視において1つの第1開口31に重なっていてもよい。第2開口41の複数の群が、シリコンウエハなどの1枚の部材を加工することによって形成された第1層30によって支持されている。
第2層40は、周縁領域43及び有効領域44に区画されてもよい。周縁領域43は、平面視において第1層30に重なる領域である。有効領域44は、規則的に並ぶ複数の第2開口41の一群が分布している領域である。
図5Bは、有効領域44の一例を示す断面図である。第2層40は、第2開口41に面する第2壁面42を含む。図5Bに示すように、第2壁面42は、第3面401に向かうにつれて第2開口41の中心から離れるように広がるテーパ面42aを含んでいてもよい。第2壁面42がテーパ面42aを含むことにより、第2壁面42の近傍においてシャドウが生じることを抑制できる。
図5Bにおいて、符号S8は、第2開口41が並ぶ方向におけるテーパ面42aの幅を表す。幅S8は、例えば0.2μm以上であり、0.5μm以上であってもよく、1.0μm以上であってもよい。幅S7は、例えば25μm以下であり、20μm以下であってもよく、10μm以下であってもよい。
図5Bにおいて、符号θ1は、第2壁面42と第4面402とが成す角度を表す。角度θ1は、例えば50°以上であり、55°以上であってもよく、60°以上であってもよい。角度θ1は、例えば90°未満であり、85°以下であってもよく、80°以下であってもよい。
第2層40は、上述のように樹脂材料を含む。樹脂材料は、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂、エチレン-メタクリル酸共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、セロファン、アイオノマー樹脂等である。第2層40は、単一の樹脂層によって構成されっていてもよく、複数の樹脂層を含んでいてもよい。
第2層40の厚みは、第1層30の厚みT1よりも小さい。第2層40の厚みは、例えば25μm以下であり、10μm以下であってもよく、5μm以下であってもよい。これにより、シャドウの発生を抑制できる。第2層40の厚みは、例えば0.5μm以上であり、1.0μm以上であってもよく、2.0μm以上であってもよい。これにより、ピンホール等の欠陥や変形等が第2層40に生じることを抑制できる。
平面視における第2開口41の寸法S4は、例えば1μm以上であり、2μm以上であってもよく、3μm以上であってもよい。寸法S4は、例えば25μm以下であり、10μm以下であってもよく、5μm以下であってもよい。
第2開口41が並ぶ方向における2つの第2開口41の間の間隔S5は、例えば1μm以上であり、2μm以上であってもよく、3μm以上であってもよい。寸法S4は、例えば25μm以下であり、10μm以下であってもよく、5μm以下であってもよい。
平面視における第1壁面32と第2開口41との間の間隔S6は、間隔S5よりも大きくてもよい。これにより、第1壁面32に近接する第2開口41においてシャドウが生じることを抑制できる。
第2層40は、アライメントマークを含んでいてもよい。第2層40のアライメントマークは、第1層30のアライメントマーク39とは別に形成されていてもよく、第1層30のアライメントマーク39の替わりに形成されていてもよい。
第2層40のアライメントマークは、第3面401又は第4面402に位置する凹部を含んでいてもよい。第2層40のアライメントマークは、第3面401から第4面402に貫通する孔を含んでいてもよい。凹部及び孔は、第3面401又は第4面402をエッチングすることによって形成されてもよい。凹部及び孔は、第3面401又は第4面402にレーザを照射することによって形成されてもよい。
次に、中間層50について説明する。中間層50は、第1層30又は第2層40に対する何らかの機能を果たす層を含む。例えば中間層50は、第1中間層51を含む。図5Aに示す例において、第1中間層51は、第1層30と第2層40との間に位置している。
第1中間層51は、エッチングによって第1層30を加工する工程において、エッチングをストップさせるストッパ層として機能してもよい。具体的には、第1中間層51は、第1層30をエッチングするエッチャントに対する耐性を有する。第1中間層51は、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン又はチタン合金を含んでいてもよい。第1中間層51は、酸化シリコンなどの無機化合物を含んでいてもよい。
第1中間層51がストッパ層である場合、第1中間層51の厚みは、第1層30を加工する工程において第2層40がエッチングされることを抑制できる限り特には限定されない。例えば、第1中間層51の厚みは、第2層40の厚みよりも小さくてもよく、第2層40の厚み以上でもよい。第1中間層51の厚みは、例えば5nm以上であり、50nm以上であってもよく、75nm以上であってもよい。第1中間層51の厚みは、例えば100μm以下であり、50μm以下であってもよく、10μm以下であってもよく、5μm以下であってもよく、1μm以下であってもよく、150nm以下であってもよい。第1層30用のエッチャントに対する第1中間層51の耐性が高いほど、第1中間層51の厚みを小さくできる。第1中間層51の厚みが1μm以下であることが特に好ましい。
中間層50は、第1層30と第2層40とを接合する機能を果たす層を含んでいてもよい。例えば第1中間層51は、接着剤を含む接合層であってもよい。接合層の厚みは、例えば0.1μm以上であり、0.2μm以上であってもよく、0.5μm以上であってもよい。接合層の厚みは、例えば3μm以下であり、2μm以下であってもよく、1μm以下であってもよい。
好ましくは、中間層50は、平面視において第2開口41に重ならないよう位置している。これにより、中間層50に起因するシャドウが生じることを抑制できる。
第1中間層51は、アライメントマークを含んでいてもよい。第1中間層51のアライメントマークは、第1層30又は第2層40のアライメントマークとは別に形成されていてもよく、第1層30又は第2層40のアライメントマークの替わりに形成されていてもよい。
各層の厚み、各構成要素の寸法、間隔などは、走査型電子顕微鏡を用いてマスク20の断面の画像を観察することによって測定できる。
次に、第1層30の第1壁面32の構造について詳細に説明する。図6は、第1壁面32を拡大して示す断面図である。
図6に示すように、第1壁面32は、第1層30の厚み方向に並ぶ複数の凹部33を含む。このような複数の凹部33は、後述するように、ドライエッチング工程及び保護膜形成工程を交互に繰り返し実施することによって第1開口31を形成する場合に生じる。凹部33は、頂部331及び底部332を含む。頂部331は、各凹部33において最も内側に位置する部分である。底部332は、各凹部33において最も外側に位置する部分である。「内側」とは、第1面301の面内方向において第1開口31の中心に向かう側である。「外側」とは、第1面301の面内方向において第1開口31の中心から離れる側である。
図6において、符号Pは、第1層30の厚み方向における凹部33の周期を表す。周期Pは、第1層30の厚み方向において隣り合う2つの頂部331の間の間隔である。周期Pは、例えば100nm以上であり、300nm以上であってもよく、500nm以上であってもよく、1μm以上であってもよく、1.5μm以上であってもよい。周期Pは、例えば10μm以下であり、7μm以下であってもよく、5μm以下であってもよく、3μm以下であってもよく、2μm以下であってもよく、1μm以下であってもよい。
図6において、符号Hは、凹部33の深さを表す。深さHは、第1面301の面内方向における頂部331と底部332との間の距離である。深さHは、例えば1nm以上であり、3nm以上であってもよく、5nm以上であってもよい。深さHは、例えば3μm以下であり、2μm以下であってもよく、1μm以下であってもよい。
壁面が平坦であると仮定した場合に比べて、凹部33を含む第1壁面32の表面積は大きい。従って、第1壁面32が凹部33を含むことは、第1壁面32に対する蒸着材料7の密着性の向上に寄与する。このため、例えば、第1壁面32にいったん付着した蒸着材料7が蒸着工程の間に第1壁面32から剥がれてしまうことを抑制できる。これにより、不要な蒸着材料7の塊が、蒸着装置10の内部で浮遊することを抑制できる。浮遊する蒸着材料7の塊は、マスク20又は基板110に再び付着する可能性があるので、蒸着材料7の剥離を抑制することは好ましい。
図7は、図5Aにおいて符号VIIが付された一点鎖線で囲まれた部分を拡大して示す断面図である。図7に示すように、第1面301に近接する複数の凹部33は、第1周期P1で第1層30の厚み方向に並んでいる。凹部33は、第1深さH1を有する。
図8は、図5Aにおいて符号VIIIが付された一点鎖線で囲まれた部分を拡大して示す断面図である。図8に示すように、第2面302に近接する複数の凹部33は、第2周期P2で第1層30の厚み方向に並んでいる。凹部33は、第2深さH2を有する。
図7及び図8に示すように、第2周期P2は第1周期P1よりも小さくてもよい。第2深さH2は、第1深さH1よりも小さくてもよい。この場合、第2面302に近接する第1壁面32の表面積は、第1面301に近接する第1壁面32の表面積よりも小さくなる。言い換えると、第1面301に近接する第1壁面32の表面積が、第2面302に近接する第1壁面32の表面積よりも大きくなる。これにより、第1面301の近傍において、第1壁面32に対する蒸着材料7の密着性が高まることが期待される。
P2/P1は、例えば0.98以下であり、0.95以下であってもよく、0.90以下であってもよい。P2/P1は、例えば0.10以上であり、0.20以上であってもよく、0.30以上であってもよい。
H2/H1は、例えば0.98以下であり、0.95以下であってもよく、0.90以下であってもよい。H2/H1は、例えば0.10以上であり、0.20以上であってもよく、0.30以上であってもよい。
凹部33の周期及び高さは、走査型電子顕微鏡を用いて第1層30の断面の画像を観察することによって測定できる。観察のためのサンプルは、集束イオンビーム装置によって第1層30を切断することによって取得できる。第1周期P1及び第1高さH1は、第1面301から第2面302側に向かって並ぶ5個の凹部33の周期及び高さの平均値である。第2周期P2及び第2高さH2は、第2面302から第1面301側に向かって並ぶ5個の凹部33の周期及び高さの平均値である。周期Pは、第1周期P1及び第2周期P2の平均値である。高さHは、第1高さH1及び第2高さH2の平均値である。
図8に示すように、第1中間層51は、第1開口31に面する第1中間壁面52を含んでいてもよい。第1中間壁面52は、平面視において第1層30の第2面302に重なっていてもよい。言い換えると、第1中間壁面52は、第2面302上における第1開口31の輪郭よりも外側に位置していてもよい。このような第1中間壁面52は、平面視において第1開口31に重なる第1中間層51をウェットエッチングによって除去する際のサイドエッチングに起因して形成される。
(蒸着マスクの製造方法)
次に、本実施の形態による蒸着マスクの製造方法について、図9乃至図18を参照して説明する。まず、第1層30を準備する。第1層30として、シリコンウエハを用いてもよい。第1層30の第1面301及び第2面302は、鏡面状に研磨されていてもよい。第1面301及び第2面302の算術平均粗さRaは、1.5nm以下であってもよく、1.0nm以下であってもよい。第1面301及び第2面302の面方位は、(100)、(110)などであってもよい。
続いて、図9に示すように、第1層30の第2面302上に中間層50を形成する。中間層50は、例えば第1中間層51を含む。中間層50は、第2面302の全体に形成されてもよい。中間層50は、例えば、スパッタリング法などの真空成膜法によって形成されてもよい。
続いて、図10に示すように、中間層50上に第2層40を形成する。これによって、第1層30、中間層50及び第2層40を備える積層体22を得ることができる。第2層40は、中間層50の全体に形成されてもよい。第2層40は、例えば、スピンコート法などのコーティング法によって形成されてもよい。
第2層40の材料を中間層50上にコーティングした後、第2層40を加熱する加熱工程を実施してもよい。これにより、第2層40を固化させることができる。例えば、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を中間層50上にコーティングした後、加熱工程を実施することにより、イミド化反応を生じさせることができる。これにより、ポリイミドを含む第2層40を形成できる。加熱工程の温度は、例えば200℃以上であり、300℃以上であってもよい。加熱工程の温度は、例えば
500℃以下であり、400℃以下であってもよい。加熱工程の時間は、例えば10分以上であり、20分以上であってもよい。加熱工程の時間は、例えば200分以下であり、100分以下であってもよい。
図示はしないが、第2層40を押圧する押圧工程を実施してもよい。例えば、第1層30とは別のシリコンウエハ、ガラスウエハなどの基板の面を第2層40に押し付けてもよい。基板の面が第2層40の第4面402よりも平坦である場合、押圧工程によって第4面402の平坦性を高めることができる。基板の面は、凹凸パターンを含んでいてもよい。この場合、押圧工程によって第4面402に凹凸パターンを付与できる。押圧工程は、第2層40を加熱する工程の前に実施されてもよい。
図示はしないが、積層体22は、第2層40の第4面402上に位置する保護層を備えていてもよい。保護層は、例えば、第1中間層51の材料と同一の材料を含む。第4面402に保護層を形成することにより、後述する第1加工工程において第4面402がエッチングされることを抑制できる。保護層は、第1中間層51と同時に除去されてもよい。
続いて、図11に示すように、第1層30の第1面301上に部分的にレジスト層38を形成するレジスト形成工程を実施する。レジスト層38には、第1開口31に対向するレジスト開口381が形成されている。
レジスト層38は、フォトレジストであってもよい。この場合、まず、第1面301上に液状のレジスト材をコーティングすることによって、第1面301上にレジスト層38を形成する。コーティングの後、レジスト層38を加熱する工程を実施してもよい。続いて、レジスト層38を露光及び現像するフォトリソグラフィ処理を実施する。これによって、レジスト層38にレジスト開口381を形成できる。
図示はしないが、レジスト層38は、第1面301に部分的に形成されたシリコン酸化膜であってもよい。シリコン酸化膜は、例えば、第1面301に部分的に熱酸化処理などを実施することによって形成される。シリコン酸化膜は、中間層50及び第2層40を第1層30に積層する前に第1層30に形成されていてもよい。
続いて、図12に示すように、第1面301側から第1層30をエッチングすることによって、第1層30に第1開口31を形成する第1加工工程を実施する。第1加工工程におけるエッチングは、エッチングガスを用いたドライエッチングであってもよい。エッチングガスは、上述のエッチャントの一例である。中間層50がエッチャントに対する耐性を有するので、図12に示すように、エッチングが第2層40まで進行することを抑制できる。
第1加工工程について、図13~図16を参照して詳細に説明する。ここでは、深掘り反応性イオンエッチングによって第1開口31を形成する例を説明する。
まず、図13に示すように、第1面301側から第1層30をドライエッチングする工程を実施する。例えば、チャンバ内にエッチングガスを導入する。また、チャンバ内の空間に電圧を加えることにより、エッチングガスをプラズマ化する。プラズマ中のラジカル、イオンなどが、レジスト開口381を通って第1面301に衝突することによって、図13に示すように、第1面301に第1の穴311を形成できる。エッチングガスは、例えばSFガスである。
第1の穴311は、第1の壁面311a及び第1の底面311bを含む。第1の壁面311aは、レジスト層38の端面38eよりも外側に位置していてもよい。ドライエッチング工程の時間、ガス流量、電圧などを調整することにより、第1の壁面311aの位置を調整できる。1回のドライエッチング工程の時間は、例えば1秒以上であり、2秒以上であってもよい。1回のドライエッチング工程の時間は、例えば10秒以下であり、5秒以下であってもよい。
続いて、穴の壁面及び底面に保護膜を形成する保護膜形成工程を実施する。具体的には、チャンバ内に導入するガスをエッチングガスから原料ガスに切り替える。原料ガスは、例えばCガスである。また、チャンバ内の空間に電圧を加えることにより、原料ガスをプラズマ化する。プラズマ中のラジカルなどが第1の壁面311a及び第1の底面311bで反応することによって、図14に示すように、第1の壁面311a及び第1の底面311bに保護膜34を形成できる。
続いて、2回目のドライエッチング工程を実施する。プラズマ中のラジカル、イオンなどが第1の底面311b上の保護膜34に衝突することにより、保護膜34を除去できる。その後、プラズマ中のラジカル、イオンなどが第1の底面311bに衝突することにより、図15に示すように、第1の底面311bに第2の穴312を形成できる。
第2の穴312は、第2の壁面312a及び第2の底面312bを含む。第2の壁面312aは、第1面301の面内方向において第1の壁面311aと同一の位置にあってもよい。図示はしないが、第2の壁面312aは、第1の壁面311aよりも外側に位置していてもよく、内側に位置していてもよい。ドライエッチング工程の時間、ガス流量、電圧などを調整することにより、第2の壁面312aの位置を調整できる。
続いて、2回目の保護膜形成工程を実施する。これにより、図16に示すように、第2の壁面312a及び第2の底面312bに保護膜34を形成できる。
上述のドライエッチング工程及び保護膜形成工程を、第1開口31が中間層50に到達するまで交互に繰り返し実施する。これによって、第1面301から第2面302へ貫通する第1開口31を形成できる。中間層50がエッチングガスに対する耐性を有するので、第2層40がエッチングされることを抑制できる。説明の便宜上、ドライエッチング工程から始まる例を取り挙げたが、保護膜形成工程から始めてもよい。
ところで、穴が深くなるほど、すなわち第1開口31が第2面302に近づくほど、エッチャントが穴の底面まで到達しづらくなる。このため、エッチングの条件が一定である場合、1回のドライエッチング工程で形成される穴の大きさは、第2面302に近づくほど小さくなる。この結果、図7及び図8に示すように、第2周期P2が第1周期P1よりも小さくなり、第2深さH2が第1深さH1よりも小さくなる。
エッチング条件を穴の位置に応じて調整することにより、穴の大きさを調整してもよい。
例えば、第1開口31が第2面302に近づくにつれて、エッチングの強度又は時間を増加させてもよい。これにより、第2周期P2と第1周期P1との間に差が生じることを抑制できる。また、第2深さH2と第1深さH1との間に差が生じることを抑制できる。エッチングの強度は、例えば、電圧、エッチングガスの流量、濃度などが増加するにつれて増加する。
反対に、第1開口31が第2面302に近づくにつれて、エッチングの強度又は時間を減少させてもよい。これにより、第2周期P2と第1周期P1との間に差が生じることを促進できる。また、第2深さH2と第1深さH1との間に差が生じることを促進できる。
第1開口31が中間層50に到達した後、保護膜34を除去する保護膜除去工程を実施してもよい。例えば、保護膜処理液を第1層30の第1開口31に供給する。保護膜処理液を収容する槽の中に積層体22を浸漬させてもよい。保護膜処理液は、例えばハイドロフルオロエーテルを含む。
穴が中間層50に到達した後、レジスト層38を除去するレジスト除去工程を実施してもよい。例えば、レジスト処理液を第1面301に供給する。
レジスト層38がフォトレジストである場合、レジスト処理液は、例えばN-メチル-2-ピロリドンを含む。酸素プラズマをレジスト層38に照射することによってレジスト層38を除去してもよい。
レジスト層38がシリコン酸化膜である場合、レジスト処理液は、例えばフッ酸を含む。CFガスなどを用いるドライエッチングによってレジスト層38を除去してもよい。
第1加工工程の後、中間層50を除去する中間層除去工程を実施してもよい。例えば、中間層50用のエッチャントを第1開口31に供給する。これにより、図17に示すように、平面視において第1開口31に重なる中間層50を除去できる。この際、サイドエッチングが生じると、図8に示すように、第2面302上における第1開口31の輪郭よりも外側に位置する第1中間壁面52が形成される。中間層50のエッチングは、フッ素系ガスなどを用いるドライエッチングであってもよく、酸性のエッチング液を用いるウェットエッチングであってもよい。
保護膜除去工程、レジスト除去工程及び中間層除去工程の順序は特には限定されない。保護膜除去工程、レジスト除去工程及び中間層除去工程のうちの2つの工程又は3つの工程が同時に実施されてもよい。
続いて、第2層40に複数の第2開口41を形成する第2加工工程を実施する。例えば図18に示すように、第3面401側から第2層40にレーザLを照射する。これによって、第2層40に第2開口41を形成できる。レーザLとしては、波長248nmのKrFのエキシマレーザ、波長355nmのYAGレーザなどを使用できる。
第2加工工程は、第2層40の第4面402に保護フィルム又は保護膜が形成されている状態で実施されてもよい。
保護フィルムは、第4面402に貼り付けられる部材である。保護フィルムは、例えば、樹脂フィルム及び接着層を含む。接着層が第4面402に接するよう、保護フィルムが第4面402に貼り付けられる。接着層は、粘着層であってもよく、吸着層であってもよい。
保護膜は、樹脂を含む液を第4面402上に塗布することにより形成される。塗布方法は、例えばバーコート法、スピンコート法、スプレーコート法などである。
保護フィルム又は保護膜は、第2加工工程が終了した後に除去されてもよい。
好ましくは、レーザに対する保護フィルム又は保護膜の反応性が、レーザに対する第2層40よりも低い。反応性とは、レーザによって保護フィルム又は保護膜若しくは第2層40が加工される速度である
第2加工工程においては、まず、第4面402がステージ面に対向するように積層体22をステージに載せる。続いて、積層体22に対する照射ヘッドの位置を調整する。位置を調整する工程においては、照射ヘッドを移動させてもよく、ステージを移動させてもよい。レーザの照射及び位置の調整を繰り返し実施することにより、第2層40に複数の第2開口41を形成できる。このようにして、図5Aに示すマスク20を得ることができる。
若しくは、複数の第2開口41のパターンに対応したレーザ用マスクを用いてもよい。この場合、レーザ用マスクと第2層40との間に集光レンズを設置してもよい。縮小投影光学系を用いたレーザ加工法によって、複数の第2開口41を形成できる。
レーザは、1回の照射工程で、1つの第1開口31に重なる第2層40の全域に照射されてもよい。例えば、レーザ用マスクが、1つの第1開口31に重なる複数の第2開口41に対応する複数の透過部を含み、これらの複数の透過部をレーザが同時に透過してもよい。この場合、1つの第1開口31に重なる複数の第2開口41が、1回のレーザの照射工程によって形成される。上述のように、1つの第1開口31は、有機EL表示装置の1つの画面に対応していてもよい。この方法によれば、1つの画面を構成する複数の有機層の位置精度が、照射ヘッド又はステージの移動に起因して低下することを抑制できる。「1回の照射工程」とは、レーザに対する第2層40の相対的な位置が一定の状態で実施されるレーザの照射を意味する。この方法は、1つの第1開口31の寸法が比較的小さい場合に採用されてもよい。第1開口31の一辺の長さは、例えば6mm以下である。第1開口31の一辺の長さは、例えば2mm以上であってもよい。
1つの第1開口31に重なる複数の第2開口41が、2回以上のレーザの照射工程によって形成されてもよい。例えば、2回以上のレーザの照射工程により、レーザ用マスクの1つのパターン領域をレーザが累積的に透過してもよい。例えば、照射ヘッドをレーザ用マスクに対して移動させながらレーザを照射することにより、レーザ用マスクの1つのパターン領域をレーザが累積的に透過してもよい。レーザ用マスクの1つのパターン領域は、1つの第1開口31に重なる複数の第2開口41に対応する複数の透過部を含む。この方法は、1つの第1開口31の寸法が比較的大きい場合に採用されてもよい。第1開口31の一辺の長さは、例えば10mm以上である。第1開口31の一辺の長さは、例えば40mm以下であってもよい。
1つの第2開口41は、1回のレーザのショットによって形成されてもよい。
1つの第2開口41は、2回以上のレーザのショットによって形成されてもよい。この場合、1回のレーザのショットによって第2層40に形成される凹部の深さは、第2層40の厚みよりも小さい。
レーザは、第2開口41の第2壁面42がテーパ面42aを含むように調整されてもよい。
例えば、第2開口41に対応するレーザの照射面積を、ショット毎に変更してもよい。例えば、第2加工工程は、第1照射面積を有するレーザを第3面401に照射する第1ショット工程と、第1照射面積よりも大きい第2照射面積を有するレーザを第3面401に照射する第2ショット工程と、を含んでいてもよい。第1照射面積は、第4面402における第2開口41の面積に対応していてもよい。第2照射面積は、第3面401における第2開口41の面積に対応していてもよい。第2加工工程は、3以上のショット工程を含んでいてもよい。各ショット工程におけるレーザの照射面積及び強度は、第2壁面42がテーパ面42aを含むように設定される。
例えば、レーザ用マスクの1つの透過部が、第1透過率を有する第1透過領域と、第1透過率よりも低い第2透過率を有する第2透過領域を含んでいてもよい。第1透過領域の輪郭は、第4面402における第2開口41の輪郭に対応していてもよい。第2透過領域は、平面視において第1透過領域を囲んでいてもよい。第2透過領域の輪郭は、第3面401における第2開口41の輪郭に対応していてもよい。1つの透過部は、3以上の透過領域を含んでいてもよい。各透過領域の形状及び透過率は、第2壁面42がテーパ面42aを含むように設定される。
図示はしないが、レーザ以外の手段を用いて第2層40に第2開口41を形成してもよい。例えば、フォトリソグラフィ法によって第2層40に第2開口41を形成してもよい。この場合、第2層40は、感光性を有する樹脂材料を含む。
次に、マスク20を用いて有機デバイス100を製造する方法の一例について説明する。
まず、第1電極120が形成されている基板110を準備する。基板110は、シリコンウエハであってもよい。第1電極120は、例えば、第1電極120を構成する導電層を真空成膜法などによって基板110に形成した後、フォトリソグラフィ法などによって導電層をパターニングすることによって形成されてもよい。導電層のパターニングは、半導体製造工程を実施する装置を用いて実施されてもよい。隣り合う2つの第1電極120の間に位置する絶縁層160が基板110に形成されていてもよい。
続いて、第1有機層130A、第2有機層130Bなどを含む有機層130を第1電極120上に形成する。例えば、まず、第1のマスク20を用いる蒸着法によって第1有機層130Aを形成する。第1のマスク20は、第1有機層130Aに対応する第2開口41を備える。続いて、第2のマスク20を用いる蒸着法によって第2有機層130Bを形成する。第2のマスク20は、第2有機層130Bに対応する第2開口41を備える。続いて、第3のマスク20を用いる蒸着法によって第3有機層を形成する。第3のマスク20は、第3有機層に対応する第2開口41を備える。
続いて、有機層130上に第2電極140を形成する。例えば図1に示すように、真空成膜法などによって第1面111の全体に第2電極140を形成してもよい。若しくは、図示はしないが、有機層130と同様に、マスク20を用いる蒸着法によって第2電極140を形成してもよい。その後、図示しない封止層などを第2電極140上に形成してもよい。このようにして、有機デバイス100を得ることができる。
1つの基板110に複数の有機デバイス100が形成されてもよい。1つの有機デバイス100は、マスク20の1つの第1開口31に対応していてもよい。この場合、基板110を裁断する工程を実施してもよい。例えば、マスク20の内側領域36に対応する基板110の領域に沿って基板110を裁断する。これによって、複数の有機デバイス100を得ることができる。
マスク20を用いる蒸着法によって有機層130、第2電極140などを形成する場合の、マスク20の効果について説明する。
マスク20は、シリコン又はシリコン化合物を含む第1層30を備える。このため、基板110がシリコンを含む場合、基板110に生じる熱膨張とマスク20に生じる熱膨張との間に差が生じることを抑制できる。これにより、マスク20の熱膨張に起因して有機層130、第2電極140などの蒸着層の位置、形状などの精度が低下することを抑制できる。従って、高い素子密度を有する有機デバイス100を提供できる。
マスク20は、複数の第2開口41を含む第2層40を備える。第2層40は、樹脂材料を含む。第1層30とは別に第2層40を設けることによって、第2層40の厚みを小さくできるので、蒸着工程においてシャドウが発生することを抑制できる。また、平面視における第1壁面32と第2開口41との間の間隔S6を適切に確保することにより、シャドウを抑制しながら第1層30の厚みを適切に確保できる。これにより、マスク20をハンドリングするときに、例えばマスクを移動させるときに、第1層30が破損することを抑制できる。また、第2層40が樹脂材料を含むので、第2層40は、基板110又は基板110上の構成要素に接触しやすい。理由としては、以下の(A)、(B)などが考えられる。
(A)ファンデルワールス力が生じること。
(B)樹脂材料が柔軟性を有するので、第2層40が基板110上の構成要素の形状に応じて変形しやすいこと。
第2層40が基板110又は基板110上の構成要素に接触しやすいことにより、第2層40と基板110又は基板110上の構成要素との間に隙間が生じることを抑制できる。このことも、シャドウの抑制に寄与できる。蒸着工程において、好ましくは、第2層40が基板110又は基板110上の構成要素に接触している。第4面402上に保護膜が形成されている場合、蒸着工程において、好ましくは、保護膜が基板110又は基板110上の構成要素に接触している。保護膜の厚みは、好ましくは1.0μm以下であり、0.8μm以下であってもよく、0.6μm以下であってもよい。
また、樹脂材料を含む第2層40が第1層30に中間層50を介して結合されているので、仮に第1層30が破損した場合であっても、第1層30の破片が飛散することを抑制できる。
マスク20の第2層40の周縁領域43は、第1層30の第2面302に対して固定されている。このため、第2層40の有効領域44が撓むことを抑制できる。これにより、有効領域44に形成されている第2開口41の位置が変化することを抑制できる。
上述した一実施形態を様々に変更できる。以下、必要に応じて図面を参照しながら、その他の実施形態について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した一実施形態と同様に構成され得る部分について、上述の一実施形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いる。重複する説明は省略する。また、上述した一実施形態において得られる作用効果がその他の実施形態においても得られることが明らかである場合、その説明を省略する場合もある。
(第2の実施の形態)
図19を参照して、第2の実施の形態について説明する。
第1の実施の形態の場合と同様に、積層体22を準備する。続いて、第1層30に第1開口31を形成する第1加工工程を実施する。
続いて、第2層40に複数の第2開口41を形成する第2加工工程を実施する。例えば図19に示すように、第2層40及び中間層50を含む積層体に向けて中間層50側からレーザLを照射する。これによって、中間層50に開口を形成し、且つ、第2層40に第2開口41を形成できる。
第2の実施の形態においては、レーザLを照射する工程において、第2層40の第3面401が中間層50によって覆われている。このため、レーザの照射によって生じる飛散物が第3面401に付着することを抑制できる。
続いて、中間層50を除去する中間層除去工程を実施する。例えば、中間層50用のエッチャントを第1開口31に供給する。これにより、平面視において第1開口31に重なる中間層50を除去できる。
(第3の実施の形態)
図20は、第3の実施の形態によるマスク20の一例を示す断面図である。図20に示すように、第1層30の内側領域36の厚みT2は、外側領域35の厚みT1よりも小さくてもよい。
厚みT2は、例えば10μm以上であり、30μm以上であってもよく、50μm以上であってもよい。厚みT2は、例えば300μm以下であり、200μm以下であってもよく、100μm以下であってもよい。
厚みT1に対する厚みT2の比率は、例えば1%以上であり、10%以上であってもよく、20%以上であってもよい。厚みT1に対する厚みT2の比は、例えば90%以下であり、70%以下であってもよく、50%以下であってもよい。
図21~図24を参照して、マスク20の製造方法を説明する。まず、第1の実施の形態の場合と同様に、積層体22を準備する。続いて、図21に示すように、第1層30の第1面301上に第1レジスト層38a及び第2レジスト層38bを形成する。第1レジスト層38aは、外側領域35に対応する位置に形成される。第2レジスト層38bは、内側領域36に対応する位置に形成される。
第1レジスト層38aの材料は、第2レジスト層38bの材料とは異なる。例えば、第1レジスト層38aはシリコン酸化膜を含み、第2レジスト層38bはフォトレジストを含む。
続いて、第1層30に第1開口31を形成する第1加工工程を実施する。図22に示すように、第1開口31が第2面302に到達する前に第1加工工程を停止する。
続いて、図23に示すように、第2レジスト層38bを除去する。例えば、第2レジスト処理液を第1面301に供給する。第2レジスト処理液は、第1レジスト層38aに対するエッチング性を有さないことが好ましい。言い換えると、第1レジスト層38aが第2レジスト処理液に対する耐性を有することが好ましい。これにより、図23に示すように、第1面301上に第1レジスト層38aを残すことができる。第2レジスト処理液は、例えばN-メチル-2-ピロリドンを含む。酸素プラズマを第2レジスト層38bに照射することによって第2レジスト層38bを除去してもよい。
続いて、第1層30に第1開口31を形成する第1加工工程を再開する。図24に示すように、第1開口31が第2面302に到達するまで第1加工工程を継続する。再開後の第1加工工程においては、内側領域36に対応する第1層30もエッチングされる。このため、内側領域36に対応する第1層30の厚みT2が、第1レジスト層38aによって覆われている第1層30の厚みT1よりも小さくなる。
その後、第1レジスト層38aを除去する。例えば、第1レジスト処理液を第1面301に供給する。第1レジスト処理液は、例えばフッ酸を含む。CFガスなどを用いるドライエッチングによって第1レジスト層38aを除去してもよい。
第1の実施の形態の場合と同様に、保護膜除去工程、中間層除去工程、第2加工工程などを実施する。これによって、図20に示すマスク20を得ることができる。
本実施の形態によれば、内側領域36の厚みT2を小さくすることにより、内側領域36の第1壁面32に近接する第2開口41においてシャドウが生じることを抑制できる。
(第4の実施の形態)
図25は、第4の実施の形態によるマスク20の一例を示す断面図である。図25に示すように、内側領域36の一部のみが、厚みT1よりも小さい厚みT3を有していてもよい。厚みT3を有する部分を、薄肉部37とも称する。薄肉部37は、平面視において第1開口31に隣接するように位置していることが好ましい。これにより、薄肉部37に近接する第2開口41においてシャドウが生じることを抑制できる。
図25に示すように、外側領域35が薄肉部37を含んでいてもよい。薄肉部37は、平面視において第1開口31に隣接するように位置していることが好ましい。これにより、薄肉部37に近接する第2開口41においてシャドウが生じることを抑制できる。
マスク20の製造方法を説明する。まず、第1の実施の形態の場合と同様に、積層体22を準備する。続いて、薄肉部37に対応する第1層30の部分に第2レジスト層38bを形成する。また、薄肉部37以外の内側領域36に対応する第1層30の部分に第1レジスト層38aを形成する。また、薄肉部37以外の外側領域35に対応する第1層30の部分に第1レジスト層38aを形成する。続いて、第3の実施の形態の場合と同様に、第1加工工程、第2レジスト除去工程、第1加工工程、第1レジスト除去工程、保護膜除去工程、中間層除去工程、第2加工工程などを実施する。これによって、図25に示すマスク20を得ることができる。
本実施の形態によれば、第1層30が薄肉部37を含むことにより、薄肉部37に近接する第2開口41においてシャドウが生じることを抑制できる。また、内側領域36が薄肉部37よりも厚い部分を含むことにより、内側領域36の強度を高めることができる。
(第5の実施の形態)
図26は、第5の実施の形態によるマスク20の一例を示す断面図である。図26に示すように、第1壁面32は、第1面301に向かうにつれて外側に広がるテーパ面32aを含んでいてもよい。
「外側」とは、上述のとおり、第1面301の面内方向において第1開口31の中心から離れる側である。平面視において第1開口31に重なる位置には第2開口41が存在する。従って、テーパ面32aは、第1面301に向かうにつれて第1面301の面内
方向において第2開口41から遠ざかるように広がる。第1壁面32がテーパ面32aを含むことにより、テーパ面32aに近接する第2開口41においてシャドウが生じることを抑制できる。
図26において、符号S7は、第1開口31が並ぶ方向におけるテーパ面32aの幅を表す。幅S7は、例えば2μm以上であり、5μm以上であってもよく、10μm以上であってもよい。幅S7は、例えば100μm以下であり、50μm以下であってもよく、20μm以下であってもよい。
図27~図30を参照して、マスク20の製造方法を説明する。まず、第1の実施の形態の場合と同様に、第1層30を準備する。図27に示すように、第1層30の第1面301にはサポート基板71が取り付けられていてもよい。続いて、図27に示すように、第1層30の第2面302上に部分的にレジスト層38を形成するレジスト形成工程を実施する。レジスト層38には、第1開口31に対向するレジスト開口381が形成されている。レジスト層38は、フォトレジストであってもよく、シリコン酸化膜であってもよい。
続いて、図28に示すように、第2面302側から第1層30をエッチングすることによって、第1層30に第1開口31を形成する第1加工工程を実施する。第1加工工程においては、ドライエッチング工程及び保護膜形成工程を、穴が第1面301に到達するまで交互に繰り返し実施する。
第1加工工程においては、穴が第1面301に近づくにつれて、第1面301の面内方向における穴の寸法が大きくなるよう、エッチング条件を調整する。例えば、穴が第1面301に近づくにつれて、エッチングの強度又は時間を増加させる。これにより、図28に示すように、第1開口31の第1壁面32にテーパ面32aを形成できる。
続いて、第1層30からサポート基板71を取り外す。また、図29に示すように、第2層40及び中間層50を含む積層体24を準備する。第2層40は、第1層30の第2面302に対向する第3面401、及び第3面401の反対側に位置する第4面402を含む。中間層50は、第2面302と第3面401との間に位置する。中間層50は、接合層として機能する第1中間層51を含んでいてもよい。図29に示すように、第2層40の第4面402にはサポート基板72が取り付けられていてもよい。
続いて、第2層40を第1層30の第2面302に接合する接合工程を実施する。ここでは、図30に示すように、積層体24の中間層50を第1層30に接合することによって、中間層50を介して第2層40を第1層30に接合する。その後、第2層40からサポート基板72を取り外す。また、第1の実施の形態の場合と同様に、中間層除去工程、第2加工工程などを実施する。これによって、図26に示すマスク20を得ることができる。
図27~図30においては、第2層40及び中間層50を含む積層体24が第1層30に接合される例を示した。しかしながら、マスク20の状態のときに中間層50が第2面302と第3面401との間に位置していればよく、中間層50の提供方法は限定されない。例えば、図28に示す第1加工工程のときに、中間層50が第1層30の第2面302に配置されていてもよい。また、第2層40を第1層30に接合する接合工程のときに、第2層40と第1層30との間に中間層50が挟まれるように中間層50を配置してもよい。
本実施の形態によれば、第1壁面32がテーパ面32aを含むことにより、テーパ面32aに近接する第2開口41においてシャドウが生じることを抑制できる。
(第6の実施の形態)
図31は、第6の実施の形態によるマスク20の一例を示す断面図である。図31に示すように、第1層30の第1壁面32のテーパ面32aは、外側に向かって凸となる湾曲面を含んでいてもよい。この場合も、テーパ面32aに近接する第2開口41においてシャドウが生じることを抑制できる。
マスク20の製造方法を説明する。第1の実施の形態の場合と同様に、積層体22を準備する。続いて、第1層30の第1面301上に部分的にレジスト層38を形成するレジスト形成工程を実施する。
続いて、第1層30に第1開口31を形成する第1加工工程を実施する。例えば、ウェットエッチングによって第1層30を第1面301側から第2面302まで加工する。ドライエッチングによって第1層30を第1面301側から第2面302まで加工してもよい。これにより、図32に示すように、湾曲したテーパ面32aを形成できる。
その後、第1の実施の形態の場合と同様に、レジスト除去工程、中間層除去工程、第2加工工程などを実施する。これによって、図31に示すマスク20を得ることができる。
(第7の実施の形態)
図33は、第7の実施の形態によるマスク20の一例を示す断面図である。図33に示すように、マスク20は、第1層30の第1面301に位置する応力調整層61を備えていてもよい。応力調整層61は、第2層40が第1層30の第2面302に及ぼす応力を打ち消すよう、第1層30の第1面301に作用する。例えば、第2層40が第2面302に引張応力を加える場合、応力調整層61も第1面301に引張応力を加える。反対に、第2層40が第2面302に圧縮応力を加える場合、応力調整層61も第1面301に圧縮応力を加える。
応力調整層61の材料は、有機材料であっても無機材料であってもよい。応力調整層61が第1面301に加えるべき応力に応じて、応力調整層61の材料を選択してもよい。例えば、酸化シリコンを含む応力調整層61は、第1面301に圧縮応力を加えることができる。窒化シリコンを含む応力調整層61は、第1面301に引張応力を加えることができる。
図示はしないが、マスク20は、第1面301と応力調整層61との間に位置する密着層を備えていてもよい。第1面301に対する密着層の密着性は、第1面301に対する応力調整層61の密着性よりも高い。密着層は、1つの層で構成されていてもよく、2以上の層で構成されていてもよい。
マスク20が密着層を含む場合、密着層の応力及び応力調整層61の応力の合計が第1面301に加えられる。密着層の応力を考慮して、応力調整層61の材料、厚みなどが調整される。
本実施の形態によれば、応力調整層61を第1面301に形成することにより、第1層30に加わる応力を低減できる。これにより、第1層30に反りなどの変形が生じることを抑制できる。
(第8の実施の形態)
図34は、第8の実施の形態によるマスク20の一例を示す断面図である。図34に示すように、第1層30の第1壁面32は、第1面301に接続されている湾曲面32bを含んでいてもよい。湾曲面32bは、第2面302まで広がっていなくてもよい。例えば、第1壁面32は、第1面301に接続されている湾曲面32bと、第2面302に接続されている凹凸面32cと、を含んでいてもよい。凹凸面32cは、第1層30の厚み方向に並ぶ複数の凹部33を含む。
マスク20の製造方法を説明する。第1の実施の形態の場合と同様に、積層体22を準備する。続いて、第1層30の第1面301上に部分的にレジスト層38を形成するレジスト形成工程を実施する。
続いて、第6の実施の形態の場合と同様に、ウェットエッチングによって第1層30を第1面301側から加工する。これにより、図35に示すように、第1面301に接続されている湾曲面32bを形成できる。湾曲面32bは、外側に向かって凸となる形状を有する。ウェットエッチングは、湾曲面32bが第2面302に達する前に終了させる。なお、等方性のドライエッチングによって第1層30を第1面301側から加工してもよい。
続いて、第1の実施の形態の場合と同様に、第1開口31が中間層50に到達するまで、ドライエッチング工程及び保護膜形成工程を繰り返し実施する。これによって、図36に示すように、湾曲面32b及び第2面302に接続されている凹凸面32cを形成できる。
湾曲面32bは、第1面301に向かうにつれて外側に広がるテーパ面32aでもある。このため、湾曲面32bに近接する第2開口41においてシャドウが生じることを抑制できる。
(第9の実施の形態)
上述の実施の形態においては、平面視において1つの第1開口31が1つの有効領域44に重なる例を示した。本形態においては、1つの第1開口31が2つ以上の有効領域44に重なる例を説明する。
例えば図37又は図38に示すように、第1層30が1つの第1開口31を含み、1つの第1開口31が2つ以上の有効領域44に重なっていてもよい。第1開口31は、図37に示すように、平面視において、複数の直線の辺を含む輪郭を有していてもよい。第1開口31は、図38に示すように、平面視において、湾曲した部分を含む輪郭を有していてもよい。図38に示すように、第1開口31の輪郭は、第1層30の輪郭の相似形であってもよい。
例えば図39又は図40に示すように、第1層30が2つ以上の第1開口31を含み、1つの第1開口31が2つ以上の有効領域44に重なっていてもよい。第1開口31は、図39に示すように、平面視において、第2方向D2に並ぶ2以上の有効領域44の列を囲んでいてもよい。第1開口31は、図40に示すように、平面視において、第1方向D1に並ぶ2以上の有効領域44及び第2方向D2に並ぶ2以上の有効領域44を囲んでいてもよい。
本実施の形態によれば、上述の実施の形態の場合に比べて、平面視における第1層30の面積を低減できる。このことは、基板110に対するマスク20の出射面202の密着性を高める可能性がある。
(第10の実施の形態)
図41は、有機デバイス100を備える装置200の一例を示す図である。装置200は、基板110と、有機層130とを含む。有機層130は、マスク20を用いる蒸着法によって形成された層である。装置200は、例えばスマートフォンである。装置200は、タブレット端末、ウエアラブル端末などであってもよい。ウエアラブル端末は、スマートグラス、ヘッドマウントディスプレイなどである。
(第11の実施の形態)
図42は、第11の実施の形態によるマスク20の第1開口31の第1壁面32の一例を示す断面図である。符号Kは、第1層30の厚み方向において隣り合う2つの凹部33の頂部331の間の間隔を表す。図42に示すように、間隔Kは不均一であってもよい。この場合、凹部33の周期Pは、一定の範囲内に位置する複数の凹部33の間隔Kの値を平均することによって算出される。
図43は、第1層30の第1面301の近傍における、第1開口31の第1壁面32の一例を示す断面図である。上述の第1周期P1は、第1面301から厚み方向において距離L1の範囲内に位置する複数の凹部33の間隔Kの値を平均することによって算出される。
図44は、第1層30の第2面302の近傍における、第1開口31の第1壁面32の一例を示す断面図である。上述の第2周期P2は、第2面302から厚み方向において距離L1の範囲内に位置する複数の凹部33の間隔Kの値を平均することによって算出される。
第1の実施の形態の場合と同様に、第2周期P2は第1周期P1よりも小さくてもよい。P2/P1は、例えば0.98以下であり、0.95以下であってもよく、0.90以下であってもよい。P2/P1は、例えば0.10以上であり、0.20以上であってもよく、0.30以上であってもよい。
距離L1は、第1層30の厚みT1に応じて定められる。具体的には、距離L1は、厚みT1の4%である。例えば、第1層30の厚みT1が625μmである場合、距離L1は25μmである。
間隔Kは、走査型電子顕微鏡を用いて第1層30の断面の画像を観察することによって測定できる。観察のためのサンプルは、集束イオンビーム装置によって第1層30を切断することによって取得できる。第1層30は、平面視における第1開口31の中心点を通るように切断される。第1開口31の中心点は、集束イオンビーム装置を操作する作業者の目視によって定められる。第1層30の切断ラインは、加工の精度に起因して、第1開口31の中心点からずれることがある。第1開口31の中心点から3mm以下のずれは許容される。
第1面301の近傍における間隔Kの測定結果、及び第2面302の近傍における間隔Kの測定結果の一例を以下の表に示す。6個の第1開口31に関して、第1面301の近傍及び第2面302の近傍のそれぞれにおいて間隔Kを測定した。第1面301の近傍における間隔Kの平均値は、上述の第1周期P1に相当する。第2面302の近傍における間隔Kの平均値は、上述の第2周期P2に相当する。第1層30の厚みは625μmであった。第1開口31の寸法S2は16mmであった。
Figure 2023111849000002
図45は、第1開口31の凹部33の間隔Kが不均一になる理由の一例を説明するための図である。第1開口31は、上述の第1加工工程によって形成される。第1加工工程においては、第1面301側から第1層30をドライエッチングするドライエッチング工程と、ドライエッチングによって形成される穴の壁面及び底面に保護膜を形成する保護膜形成工程とが、チャンバ内で繰り返し実施される。図45の縦軸は、チャンバ内に供給されるガスの流量を表す。横軸は、時間を表す。符号F1は、ドライエッチング工程ST1においてチャンバ内に供給されるエッチングガスの流量を表す。エッチングガスは、例えばSFガスである。符号F2は、保護膜形成工程ST2においてチャンバ内に供給される原料ガスの流量を表す。原料ガスは、例えばCガスである。
第1加工工程においては、チャンバ内においてエッチングガス及び原料ガスが混在していることがある。例えば、図45に示すように、ドライエッチング工程ST1から保護膜形成工程ST2に切り替わった直後には、チャンバ内にエッチングガスが残っていることがある。例えば、図45に示すように、保護膜形成工程ST2からドライエッチング工程ST1に切り替わった直後には、チャンバ内に原料ガスが残っていることがある。第1層30のエッチング速度は、エッチングガスと原料ガスの混合比率の影響を受ける。このため、エッチングガスと原料ガスの混合比率が、位置に応じてばらついている場合、凹部33の形状が、位置に応じてばらつく可能性がある。例えば、凹部33の間隔及び/又は深さが、不均一になることがある。
第1層30の厚みT1が大きくなるほど、第1開口31の深さも大きくなる。このため、第1開口31の内部に残留しているガスが排出されにくくなる。この結果、エッチングガスと原料ガスの混合が生じやすくなり、凹部33の形状のばらつきが生じやすくなる。
図46及び図47は、第1開口31の凹部33の間隔Kが不均一になる理由の一例を説明するための図である。図46は、第1加工工程によって形成された凹部33の一例を示している。図46に示すように、複数の頂部331のうちの一部は、内側に鋭く突出することがある。このような鋭い突出部は、バリとも称される。第1加工工程は、このようなバリを除去するスムージング工程を含んでもよい。スムージング工程は、例えば等方性エッチング処理を含む。等方性エッチング処理は、例えばSFガスを用いてバリを除去してもよい。
スムージング工程は、第1壁面32にバリが生じている場合だけでなく、第1壁面32が荒れている場合にも実施されてもよい。第1壁面32の荒れの例は、例えば、線状の起伏などである。線状の起伏は、第1層30の厚み方向に沿って生じることがある。第1壁面32が荒れている場合、マスク20の製造工程の間、マスク20の洗浄工程の間などに、第1壁面32の一部が破損することが考えられる。スムージング工程は、第1壁面32の荒れを和らげることができる。このため、第1壁面32の一部が破損することを抑制できる。
図47は、スムージング工程が施された凹部33の一例を示している。一部の鋭い頂部331が除去されることにより、凹部33の頂部331の間の間隔Kが不均一になる。
凹部33の頂部331の間の間隔Kが不均一であることのいくつかの利点を説明する。下記の複数の利点のうちの少なくとも1つが発現していることが好ましい。
第1の利点は、第1開口31の第1壁面32に付着する蒸着材料7の規則性を乱すことができる、という点である。例えば、第1壁面32に付着する蒸着材料7の厚みを、位置に応じて不規則に変化させることができる。これにより、蒸着材料7が第1壁面32に規則的に付着している場合に比べて、蒸着材料7が蒸着工程の間に第1壁面32から剥がれてしまうことを抑制できる。
第2の利点は、マスク20の洗浄工程において、第1壁面32に付着した蒸着材料7の隙間に洗浄液が浸入しやすくなる、という点である。これにより、洗浄工程に要する時間を短縮できる。洗浄工程は、蒸着工程の後に実施される。洗浄されたマスク20は、再び蒸着工程で使用される。
第3の利点は、第1開口31の第1壁面32に一旦付着した蒸着材料7が蒸発して基板110に向かう場合に、蒸着材料7の進行方向が不規則になる、という点である。これにより、基板110の第1面111に形成される蒸着層の厚みの均一性を高めることができる。第1壁面32上の蒸着材料7の蒸発は、第1層30が加熱される場合に生じ得る。
上記実施の形態および変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態および変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。

Claims (19)

  1. 第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、前記第1面から前記第2面へ貫通する少なくとも1つの第1開口と、前記第1開口に面する第1壁面と、を含む第1層と、
    前記第2面に対向する第3面と、前記第3面の反対側に位置する第4面と、前記第3面から前記第4面へ貫通し、平面視において前記第1開口に重なる複数の第2開口と、を含む第2層と、
    少なくとも前記第2面と前記第3面との間に位置する第1中間層と、を含み、
    前記第1層は、シリコンを含み、
    前記第2層は、樹脂材料を含み、
    前記第1壁面は、前記第1層の厚み方向に並ぶ複数の凹部を含む、マスク。
  2. 前記第1面に近接する複数の前記凹部は、第1周期で前記厚み方向に並び、
    前記第2面に近接する複数の前記凹部は、前記第1周期よりも小さい第2周期で前記厚み方向に並ぶ、請求項1に記載のマスク。
  3. 前記第1面に近接する複数の前記凹部は、第1深さを有し、
    前記第2面に近接する複数の前記凹部は、前記第1深さよりも小さい第2深さを有する、請求項1に記載のマスク。
  4. 前記第1中間層は、前記第2面上における前記第1開口の輪郭よりも外側に位置する第1中間壁面を含む、請求項1に記載のマスク。
  5. 前記第1中間層は、1μm以下の厚みを有する第1中間層を含む、請求項1に記載のマスク。
  6. 前記第2層の前記第3面に位置し、1μm以上の厚みを有する第2中間層を含む、請求項1に記載のマスク。
  7. 前記第1層は、複数の前記第1開口と、平面視において隣り合う前記第1開口の間に位置する内側領域と、平面視において前記第1層の外縁と前記第1開口との間に位置する外側領域と、を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のマスク。
  8. 前記内側領域の厚みは、前記外側領域の厚みよりも小さい、請求項7に記載のマスク。
  9. 前記第2層の厚みは、前記第1層の厚みよりも小さく、
    前記第1中間層の厚みは、前記第2層の厚みよりも小さい、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のマスク。
  10. 前記第1壁面は、前記第1面に向かうにつれて外側に広がるテーパ面を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のマスク。
  11. 前記第1面に位置する応力調整層を備える、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のマスク。
  12. 前記第2層はポリイミドを含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のマスク。
  13. 第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含む第1層と、前記第2面に対向する第3面及び前記第3面の反対側に位置する第4面を含む第2層と、前記第2面と前記第3面との間に位置する第1中間層と、を備える積層体を準備する工程と、
    前記第1面上に部分的にレジスト層を形成する工程と、
    前記第1面側から前記第1層をエッチングすることによって、前記第1層に第1開口を形成する第1加工工程と、
    前記第2層に複数の第2開口を形成する第2加工工程と、を備える、マスクの製造方法。
  14. マスクの製造方法であって、
    第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含む第1層を準備する工程と、
    前記第2面上に部分的にレジスト層を形成する工程と、
    前記第2面側から前記第1層をエッチングすることによって、前記第1層に第1開口を形成する第1加工工程と、
    前記第2面に対向する第3面及び前記第3面の反対側に位置する第4面を含む第2層を前記第1層に接合する工程と、
    前記第2層に複数の第2開口を形成する第2加工工程と、を備え、
    前記マスクは、前記第2面と前記第3面との間に位置する第1中間層を含む、マスクの製造方法。
  15. 前記第1加工工程は、交互に繰り返し実施されるドライエッチング工程及び保護膜形成工程を含む、請求項13又は14に記載のマスクの製造方法。
  16. 前記第1加工工程の後、前記第2加工工程の前に、前記レジスト層を除去する工程を備える、請求項13又は14に記載のマスクの製造方法。
  17. 前記第1加工工程の後、前記第2加工工程の前に、平面視において前記第1開口に重なる前記第1中間層を除去する工程を備える、請求項13又は14に記載のマスクの製造方法。
  18. 前記第2加工工程の後、平面視において前記第1開口に重なる前記第1中間層を除去する工程を備える、請求項13又は14に記載のマスクの製造方法。
  19. 請求項1に記載のマスクを用いる蒸着法によって基板上に有機層を形成する工程を備える、有機デバイスの製造方法。
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