JP2023111687A - 多芯ケーブル - Google Patents

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孝哉 小堀
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Abstract

【課題】複数の被覆電線と外周被覆層との間に抑え巻が配置していない場合でも、外周被覆層の剥離特性に優れた多芯ケーブルを提供する。【解決手段】表面に粉末状の滑剤が配置された複数本の被覆電線と、前記複数本の被覆電線の外表面を覆う外周被覆層と、を有し、前記複数本の被覆電線の外表面と、前記外周被覆層とが前記粉末状の滑剤を介して接しており、前記粉末状の滑剤による、前記複数本の被覆電線の外表面の被覆率が15%以上である多芯ケーブル。【選択図】 図1

Description

本開示は、多芯ケーブルに関する。
特許文献1には、電線・ケーブル抑え巻テープで巻回した複数の電線又はケーブルの周囲に被覆樹脂を有することを特徴とする被覆線が開示されている。
実用新案登録第3065274号公報
従来から、内部に被覆電線を複数本含む多芯ケーブルが用いられている。多芯ケーブルにおいては、複数本の被覆電線の外周に抑え巻と呼ばれるテープ体を螺旋状に巻き、複数本の被覆電線と、外周被覆層との間に抑え巻を配置することがなされていた(例えば特許文献1)。
しかしながら、複数本の被覆電線と外周被覆層との間に抑え巻を配置した多芯ケーブルにおいては、該多芯ケーブルの端部から、抑え巻きと被覆電線との間の隙間や、抑え巻を伝って水分等が多芯ケーブル内に浸入する場合があった。そこで、抑え巻を配置せず、複数本の被覆電線と外周被覆層とが、直接接するように構成することも考えられるが、この場合外周被覆層を剥離する際の剥離特性が低下する等の問題があった。このため、複数の被覆電線と外周被覆層との間に抑え巻が配置されていない場合でも、外周被覆層の剥離特性に優れた多芯ケーブルが求められていた。
そこで、本開示は、複数の被覆電線と外周被覆層との間に抑え巻を配置していない場合でも、外周被覆層の剥離特性に優れた多芯ケーブルを提供することを目的とする。
本開示の多芯ケーブルは、表面に粉末状の滑剤が配置された複数本の被覆電線と、
前記複数本の被覆電線の外表面を覆う外周被覆層と、を有し、
前記複数本の被覆電線の外表面と、前記外周被覆層とが前記粉末状の滑剤を介して接しており、
前記粉末状の滑剤による、前記複数本の被覆電線の外表面の被覆率が15%以上である。
本開示によれば、複数の被覆電線と外周被覆層との間に抑え巻を配置していない場合でも、外周被覆層の剥離特性に優れた多芯ケーブルを提供できる。
図1は、本開示の一態様に係る多芯ケーブルの長手方向と垂直な断面図である。 図2は、本開示の一態様に係る多芯ケーブルの長手方向と垂直な断面図の他の構成例である。 図3は、本開示の一態様に係る多芯ケーブルの長手方向と垂直な断面図の他の構成例である。 図4は、本開示の一態様に係る多芯ケーブルの長手方向と垂直な断面の他の構成例である。 図5Aは、本開示の一態様に係る多芯ケーブルが有する対撚信号線の他の構成例の説明図である。 図5Bは、本開示の一態様に係る多芯ケーブルが有する対撚信号線の他の構成例の説明図である。 図6は、撚りピッチの説明図である。 図7Aは、粉末状の滑剤による、複数本の被覆電線の外表面の被覆率の評価方法の説明図である。 図7Bは、粉末状の滑剤による、複数本の被覆電線の外表面の被覆率の評価方法の説明図である。 図8は、実験例における密着力の評価方法の説明図である。 図9は、実験例における耐屈曲性試験の説明図である。
実施するための形態について、以下に説明する。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。以下の説明では、同一または対応する要素には同一の符号を付し、それらについて同じ説明は繰り返さない。
(1) 本開示の一態様に係る多芯ケーブルは、表面に粉末状の滑剤が配置された複数本の被覆電線と、
前記複数本の被覆電線の外表面を覆う外周被覆層と、を有し、
前記複数本の被覆電線の外表面と、前記外周被覆層とが前記粉末状の滑剤を介して接しており、
前記粉末状の滑剤による、前記複数本の被覆電線の外表面の被覆率が15%以上である。
複数本の被覆電線の外表面と、外周被覆層とが、粉末状の滑剤を介して接する構造とすることで、複数本の被覆電線の外表面に抑え巻を配置した場合と比較して、多芯ケーブル内部への水の浸入を抑制できる。
粉末状の滑剤を複数本の被覆電線の外表面に配置し、粉末状の滑剤による複数本の被覆電線の外表面の被覆率を15%以上とすることで、複数本の被覆電線から、外周被覆層を容易に剥離できる。このため、例えば多芯ケーブルの端部で、ワイヤーストリッパーにより外周被覆層を容易に除去でき、剥離特性や、加工性に優れた多芯ケーブルにできる。さらに、上記被覆率を15%以上とすることで、多芯ケーブルを屈曲させた際に、外周被覆層から複数本の被覆電線に加わる力を抑制でき、耐屈曲性も高められる。
(2) 前記被覆率が25%以上70%以下であってもよい。
被覆率を25%以上とすることで、特に剥離特性、加工性、および耐屈曲性を高められる。
被覆率を70%以下とすることで、多芯ケーブルを機器等に接続するために、多芯ケーブルの端部で外周被覆層の一部を除去する際に、粉末状の滑剤が周囲に飛散することを十分に抑制できる。
(3) 前記複数本の被覆電線は、電力線と、対撚信号線とを含んでいてもよい。
電力線は例えば接続した機器に電力を供給するために、また対撚信号線は例えば機器間での信号の伝送等のために用いることができる。そしてこれらの機能は、多芯ケーブルに要求されることが多い機能であるため、複数の被覆電線が、電力線と、対撚信号線とを有することで各種機器間の接続に適用できる多芯ケーブルとすることができる。
(4) 前記複数本の被覆電線は、対撚電線を含んでいてもよい。
多芯ケーブルが対撚電線を含むことで、各種用途で使用することができる、汎用性の高い多芯ケーブルとすることができる。
(5) 前記粉末状の滑剤がタルクを含んでいてもよい。
粉末状の滑剤がタルクを含有することで、外周被覆層の剥離特性を特に高められる。
(6) 前記外周被覆層が、前記複数本の被覆電線側に配置された第1外周被覆層と、前記第1外周被覆層の外表面を覆う第2外周被覆層とを有していてもよい。
外周被覆層を複数の層から構成することにより、外周被覆層の層毎に弾性率等の特性を選択でき、複数の被覆電線と外周被覆層との密着性や、多芯ケーブルの耐屈曲性等の特性を容易に調整、選択できる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の一実施形態(以下「本実施形態」と記す)に係る多芯ケーブルの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
(1)多芯ケーブルの構成例について
まず、本実施形態の多芯ケーブルの構成例について、図1~図5Bに基づき説明する。
なお、紙幅の都合上、電力線12、信号線13、対撚信号線130に関する各部の長さの符号は図1に、電線21、対撚電線210に関する各部の長さの符号は図2に、電力線31に関する各部の長さの符号は図3にそれぞれ示している。
図1~図4に示すように、本実施形態の多芯ケーブルは、表面に粉末状の滑剤15が配置された複数本の被覆電線11と、複数の被覆電線11の外表面を覆う外周被覆層16とを有する。図1~図4において、紙面と垂直なZ軸方向が多芯ケーブル10~40や、被覆電線11、コア100~400等の長手方向に当たり、X軸、Y軸で形成されるXY平面が上記多芯ケーブル10~40等の長手方向と垂直な面になる。
<図1の構成>
図1に本実施形態の多芯ケーブル10の長手方向と垂直な面での断面図を示す。
図1に示すように、本実施形態の多芯ケーブル10は、例えば被覆電線11として、2本の電力線12と、2本の信号線13を撚り合わせた対撚信号線130とを有することができる。すなわち、複数本の被覆電線11は、例えば電力線12と、対撚信号線130とを含むことができる。
電力線12は例えば接続した機器に電力を供給するために、また対撚信号線130は例えば機器間での信号の伝送等のために用いることができる。そしてこれらの機能は、多芯ケーブルに要求されることが多い機能であるため、複数の被覆電線11が、電力線12と、対撚信号線130とを有することで各種機器に適用できる多芯ケーブルとすることができる。
多芯ケーブル10が有する被覆電線11である電力線12と、対撚信号線130は、撚り合わされ、コア100を構成できる。コア100を構成する被覆電線を撚り合わせる場合、撚り方向は特に限定されず、反時計回り、時計回りのいずれの方向に撚り合わせても良い。以下のコア200~コア400についても同様である。
本実施形態の多芯ケーブルが有する複数の被覆電線は図1に示した構成例に限定されるものではなく、多芯ケーブルを接続する機器等に応じて、任意の構成の被覆電線を、任意の本数有することができる。本実施形態の多芯ケーブルが有する複数の被覆電線の他の構成例について以下に説明する。
<図2の構成>
図2に本実施形態の他の構成例の多芯ケーブル20の長手方向と垂直な面での断面図を示す。
例えば図2に示した多芯ケーブル20は、被覆電線11として、2本の電力線12と、2本の信号線13を撚り合わせた対撚信号線130とに加えて、2本の電線21を撚り合わせた対撚電線210を有している。すなわち、多芯ケーブル20では、複数本の被覆電線11が対撚電線210を含む。図2に示した多芯ケーブル20では、コア200が対撚電線210を含み、電力線12と、対撚信号線130と、対撚電線210とが撚り合わされている。
多芯ケーブル20が対撚電線210を含むことで、各種用途で使用することができる、汎用性の高い多芯ケーブルとすることができる。
図1、図2の多芯ケーブル10、20では対撚信号線130を1組有するのみであったが、多芯ケーブルが有する対撚信号線130の組数は特に限定されず2組以上としても良い。
例えば、図2における対撚電線210を、対撚信号線130とし、2組の対撚信号線を含む多芯ケーブルとすることもできる。
上述のように2組の対撚信号線130を有する場合、2本の電力線12のうちの一方が2組の対撚信号線130の両方に接し、2本の電力線12のうちの他方が2組の対撚信号線130の両方に接することが好ましい。また、2本の電力線12同士、2組の対撚信号線130同士が接しないように、間に空隙を設けることが、多芯ケーブルの耐屈曲性を向上する上で好ましい。すなわち、図2に示した多芯ケーブル20において、対撚電線210を対撚信号線130にした場合と同様に各線を配置することが好ましい。
本明細書における耐屈曲性とは、多芯ケーブルを繰り返し屈曲させた場合でも内部の被覆電線が断線しにくい特性を意味する。
<図3の構成>
多芯ケーブルは、電力線を3本以上含有することもできる。
図3に示した多芯ケーブル30は、2本の電力線12に加えて、さらに2本の電力線31を有している。図3中の2種類の電力線を区別する場合、電力線12を第1電力線、電力線31を第2電力線と呼ぶ。
多芯ケーブルが電力線を3本以上含有する場合、後述する第1導体の外径や電力線の外径等が同じ電力線のみから構成しても良いが、図3に示した多芯ケーブル30のように、第1導体の外径や電力線の外径等が異なる電力線を組み合わせて用いることもできる。
なお、2本の第2電力線は撚り合わせる必要は無く、他の被覆電線とまとめて撚り合わせてコア300とすることができる。
図3に示した多芯ケーブル30では、コア300が、複数本の被覆電線11として、2本の第1電力線である電力線12、2本の第2電力線である電力線31、対撚信号線130を含み、電力線12と、電力線31と、対撚信号線130とが撚り合わされている。
<図4の構成>
図4に示した多芯ケーブル40のように、電線21を、対撚電線210とせず、単体の電線で含むこともできる。図4に示した多芯ケーブル40では、コア400が、電線21を含み、2本の電力線12と、対撚信号線130と、電線21とが撚り合わされている。
<その他>
コアの撚りピッチは特に限定されないが、例えばコアの外径に対して10倍以上25倍以下であることが好ましい。
コアの撚りピッチを、コアの外径に対して10倍以上とすることでコア表面の凹凸を減らし、該コアを含む多芯ケーブルの長手方向と垂直な断面を真円に近づけることができるからである。また、コアの撚りピッチをコアの外径に対して25倍以下とすることで、該コアを含む多芯ケーブルの柔軟性を特に高めることができ、配線等の際の取り扱い性に優れるからである。
コアの外径とは、多芯ケーブルの長手方向と垂直な断面におけるコアの直径を意味する。このため、図1~図4に示したコア100~コア400におけるコアの外径は、外径D100、外径D200、外径D300、外径D400となる。ただし、コアの外径は、測定断面により多少変動する場合があるため、複数の断面において測定した外径の平均値であることが好ましい。
そこで、コアの外径は、以下の手順により測定、算出できる。多芯ケーブルの長手方向に沿って配置された3つの測定断面において、コアの長軸長をマイクロメーターなどの寸法測定器で測定する。なお、各測定断面間の距離は、多芯ケーブルの長手方向に沿って1mとする。そして、3つの測定断面において測定したコアの長軸長の平均値を、該多芯ケーブルのコアの外径とすることができる。なお、複数本の被覆電線を撚り合わせた撚線である対撚信号線、対撚電線の外径も同様にして測定できる。
コアの撚りピッチとは、コアを構成する被覆電線が1回撚られる長さを意味する。係る長さとは、コアの中心軸に沿った長さを意味する。コアの撚りピッチの測定は、後述する対撚信号線の撚りピッチの場合と同様に行うことができるため、ここでは説明を省略する。
(2)多芯ケーブルが有する各部材について
次に、多芯ケーブルが有する各部材について説明する。
(2-1)電力線
例えば図1に示すように、電力線12は、第1導体121と、第1導体121の外表面を覆う第1絶縁層122とを有する。なお、図3に示した電力線31についても、同様に第1導体311と、第1導体311の外表面を覆う第1絶縁層312とを有する。
電力線12や、電力線31は、例えば電子制御装置(Electric Control Unit:ECU)からの電力や制御信号を車外に伝送するのに用いることができる。例えば電力線は電動パーキングブレーキ(Electric Parking Brake:EPB)の制御に用いることができる。EPBは、ブレーキキャリパーを駆動するモータを有している。また、電力線はサスペンションの油圧特性を変更するダンパー制御システムに用いる給電線や制御線として用いることができる。
以下、電力線12を例に説明するが、電力線31についても同様に構成できる。
(第1導体)
第1導体121は、複数本の素線を撚り合わせて構成できる。素線は、銅または銅合金から構成された線を用いることができる。素線は、銅や銅合金の他に、錫めっき軟銅線や軟銅線等のような所定の導電性と柔軟性を有する材料で構成することもできる。素線を硬銅線で構成してもよい。第1導体121の断面積は特に限定されないが、例えば1.0mm以上3.0mm以下とすることが好ましい。なお、第1導体121は、図1に示した様に、複数本の素線を撚り合わせて構成された導体1211を複数本有することもできる。第1導体121が複数本の導体1211を有する場合、その断面積の合計が上記範囲を充足することが好ましい。図3に示した電力線31の場合でも第1導体311は、複数本の素線を撚り合わせて構成された導体3111を複数本有することもできる。
第1導体121の断面積を3.0mm以下とすることで、電力線12の断面積を抑制し、多芯ケーブル10の断面積も抑制できる。その結果、多芯ケーブル10の外径を抑制し、細径化できる。
また、第1導体121の断面積を1.0mm以上とすることで、電力を供給した際の抵抗を抑制できる。
(第1絶縁層)
第1絶縁層122は、合成樹脂である樹脂材料を含む組成物を含有でき、第1導体121の外周に積層されることで第1導体121を被覆できる。第1絶縁層122の平均厚みとしては、特に限定されないが、例えば0.1mm以上0.5mm以下とすることができる。ここで「平均厚み」とは、任意の十点において測定した厚みの平均値をいう。なお、以下において他の部材等に対して「平均厚み」という場合にも同様に定義される。
第1絶縁層122の主成分樹脂、すなわち質量割合で最も多く含まれている樹脂は、絶縁性を有するものであれば特に限定されないが、低温下における耐屈曲性向上の観点から、エチレンとカルボニル基を有するαオレフィンとの共重合体が好ましい。上記主成分樹脂のカルボニル基を有するαオレフィンの含有量は、14質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。また、上記カルボニル基を有するαオレフィン含有量は、46質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。上記カルボニル基を有するαオレフィンの含有量を14質量%以上とすることで、低温での耐屈曲性を特に高めることができるため好ましい。また、上記カルボニル基を有するαオレフィン含有量を46質量%以下とすることで、第1絶縁層122の強度等の機械的特性を高めることができ、好ましい。
カルボニル基を有するαオレフィンとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸;メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン;(メタ)アクリル酸アミド等から選択された1種類以上を含むことが好ましい。これらの中でも、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びビニルエステルから選択された1種類以上がより好ましく、アクリル酸エチル及び酢酸ビニルから選択された1種類以上がさらに好ましい。
上記主成分樹脂としては、例えばエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン-メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン-ブチルアクリレート共重合体(EBA)等の樹脂が挙げられ、これらの中でもEVA及びEEAから選択された1種類以上が好ましい。
第1絶縁層122は、上記主成分樹脂以外のその他の樹脂を含有してもよい。
樹脂材料中のその他の樹脂の含有量は、60質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。また、第1絶縁層122は、その他の樹脂を含有しなくてもよい。
なお、第1絶縁層122が含有する樹脂材料は、上記例に限定されず、例えば後述する第2絶縁層132の場合と同様の樹脂材料を用いることもできる。
第1絶縁層122は、難燃剤、難燃助剤、酸化防止剤、滑剤、着色剤、反射付与剤、隠蔽剤、加工安定剤、可塑剤等の添加剤を含有していてもよい。
上記難燃剤としては、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤等のハロゲン系難燃剤、金属水酸化物、窒素系難燃剤、リン系難燃剤等のノンハロゲン系難燃剤等が挙げられる。難燃剤は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
臭素系難燃剤としては、例えばデカブロモジフェニルエタン等が挙げられる。塩素系難燃剤としては、例えば塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリフェノール、パークロルペンタシクロデカン等が挙げられる。金属水酸化物としては、例えば水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。窒素系難燃剤としては、例えばメラミンシアヌレート、トリアジン、イソシアヌレート、尿素、グアニジン等が挙げられる。リン系難燃剤としては、例えばホスフィン酸金属塩、ホスファフェナントレン、リン酸メラミン、リン酸アンモニウム、リン酸エステル、ポリホスファゼン等が挙げられる。
難燃剤としては、環境負荷低減の観点からノンハロゲン系難燃剤が好ましく、金属水酸化物、窒素系難燃剤及びリン系難燃剤がより好ましい。
第1絶縁層122が難燃剤を含有する場合、第1絶縁層122における難燃剤の含有量は、樹脂材料100質量部に対し、10質量部以上が好ましく、50質量部以上がより好ましい。一方、難燃剤の含有量は、樹脂材料100質量部に対し、200質量部以下が好ましく、130質量部以下がより好ましい。難燃剤の含有量を樹脂材料100質量部に対し、10質量部以上とすることで、特に十分な難燃効果を付与できる。また、難燃剤の含有量を、樹脂材料100質量部に対し、200質量部以下とすることで、第1絶縁層122の押出成型を特に容易に行うことができ、伸びや引張強さ等の機械的特性を高められる。
第1絶縁層122の樹脂材料は架橋されていても良く、架橋されていなくても良いが、架橋されていることが好ましい。第1絶縁層122の樹脂材料を架橋する方法としては、電離放射線を照射する方法、熱架橋剤を用いる方法、シラングラフトマーを用いる方法等が挙げられ、電離放射線を照射する方法が好ましい。また、架橋を促進するため、第1絶縁層122を形成する組成物にはシランカップリング剤を添加することが好ましい。
また、第1絶縁層122は複数の層から構成されていても良い。
(外径)
電力線12の外径D12は特に限定されないが、1.8mm以上3.4mm以下であることが好ましい。電力線12の外径D12を1.8mm以上とすることで、第1導体121の外径D121、および第1絶縁層122の厚さを十分に確保できる。このため、電力を供給した際の抵抗を抑制し、電力線の耐久性も向上できる。電力線12の外径D12を3.4mm以下とすることで、電力線12を細径化し、多芯ケーブルについても細径化できる。このため、多芯ケーブルの配線等を行う際の取り扱い性を向上できる。
電力線12の外径は、JIS C 3005(2014)に従って測定できる。具体的には、電力線の中心軸(電線軸)と垂直(直角)な同一平面内の2か所以上で電力線の外径を測定し、その平均値を該電力線の外径とすることができる。
なお、電力線の中心軸と垂直な同一平面、すなわち電力線の中心軸と垂直な1つの断面内において、上述のように2か所以上で電力線の外径の測定を行う際、該外径は、電力線の直径に沿って測定することになる。上記測定を行う際、測定を行う電力線の複数の直径間の角度がほぼ等しくなるように、測定箇所を選択することが好ましい。具体的には例えば、測定を行う電力線の中心軸と垂直な平面において、直交する2本の直径に沿って、電力線の外径の測定を行い、その平均値を該電力線の外径にできる。信号線、電線等の他の被覆電線や、各被覆電線の導体の外径も同様にして測定できる。
(2-2)信号線、対撚信号線
信号線13は、第2導体131と、第2導体131の外表面を覆う第2絶縁層132と、を有する。第2導体131の外径D131は、第1導体121の外径D121より小さいことが好ましい。既述のように、信号線13は2本一組で撚り合わされて対撚信号線130として構成できる。長手方向に沿って撚り合わされる2本の信号線13は、互いに大きさ、および材料を同じとすることができる。
(2-2-1)信号線
信号線13は、センサからの信号を伝送するために用いることもできるし、ECUからの制御信号を伝送するために用いることもできる。2本の信号線13は、例えばアンチロックブレーキシステム(Anti-lock Brake System:ABS)の配線に用いることができる。2本の信号線13はそれぞれ、例えば、差動式の車輪速センサと車両のECUとを接続する線として用いることができる。2本の信号線13を他の信号の伝送に用いてもよい。
(第2導体)
第2導体131は、複数本の素線を撚り合わせて構成できる。第2導体131は、例えば図1に示したように、複数本の素線を撚り合わせた導体を1本有することもでき、該導体を複数本有することもできる。
具体的には例えば、図1等に示した信号線13のように、第2導体131は1本の上記導体から構成してもよい。また、図5Aに示した対撚信号線530Aの信号線53のように、第2導体531は複数本の上記導体5311を有することもできる。図5Aに示した信号線53の場合、第2導体531が有する複数本の導体5311は、撚り合わされていることが好ましい。図5Aに示した対撚信号線530A、信号線53は、第2導体531の構成が異なる点以外は、他の対撚信号線130、信号線13と同様に構成できる。対撚信号線530Aは、信号線13の場合と同様に、第2導体531を覆う第2絶縁層532をさらに有することができる。
第2導体131は、既述の第1導体121を構成する導体と同じ材料で構成してもよいし、異なる材料を用いてもよい。第2導体131の断面積は特に限定されないが、例えば0.13mm以上0.5mm以下とすることができる。既述の図5Aに示した信号線53のように、第2導体531が複数本の導体5311を有する場合、第2導体531が有する複数本の導体5311の断面積の合計が上記範囲を充足することが好ましい。
(第2絶縁層)
第2絶縁層132の材料は特に限定されないが、樹脂材料を含有できる。樹脂材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)などのフッ素樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂等から選択された1種類以上の樹脂を用いることができる。
第2絶縁層132の樹脂成分は架橋されていても良く、架橋されていなくても良いが、架橋されていることが好ましい。第2絶縁層132の樹脂材料を架橋する方法としては、電離放射線を照射する方法、熱架橋剤を用いる方法、シラングラフトマーを用いる方法等が挙げられ、電離放射線を照射する方法が好ましい。また、架橋を促進するため、第2絶縁層132を形成する組成物にはシランカップリング剤を含有することもできる。
第2絶縁層132はさらに難燃剤、難燃助剤、酸化防止剤、滑剤、着色剤、反射付与剤、隠蔽剤、加工安定剤、可塑剤等の添加剤を含有していてもよい。
(外径)
信号線13の外径D13は特に限定されないが、1.00mm以上2.20mm以下であることが好ましい。信号線13の外径D13を1.00mm以上とすることで、信号線13の曲げ剛性を特に高め、信号線13を配線等する際の作業性を向上できる。信号線13の外径D13を2.20mm以下とすることで、信号線13を細径化し、多芯ケーブルについても細径化できる。
(2-2-2)対撚信号線
(対撚信号線の撚りピッチ)
対撚信号線130の撚りピッチは特に限定されないが、例えば信号線13の外径D13の20倍以上80倍以下とすることが好ましく、25倍以上70倍以下とすることがより好ましい。対撚信号線130の撚りピッチを信号線13の外径D13の20倍以上とすることで、対撚信号線表面の凹凸を低減し、加工を容易に行うことができる。また、対撚信号線130の撚りピッチを信号線13の外径D13の80倍以下とすることで、該対撚信号線により伝送する信号の信号品質を向上できる。
対撚信号線130の撚りピッチとは、対撚信号線130を構成する信号線13が1回撚られる長さを意味する。係る長さとは、対撚信号線130の中心軸に沿った長さを意味する。
ここで、対撚信号線130を構成する一方の信号線13を第1信号線13A、他方の信号線を第2信号線13Bとする。図6に、対撚信号線130の側面図を示す。対撚信号線130の側面には、第1信号線13A、第2信号線13Bが順に繰り返し現れる。そして、図6に示すように、対撚信号線130の側面において、同じケーブルについて、例えば第2信号線13Bについて、1回撚られる際の中心軸CAに沿った長さが、対撚信号線130の撚りピッチPtとなる。
撚りピッチは、例えばJIS C 3002(1992)に記載の方法により測定できる。ここでは対撚信号線130の場合を例に説明したが、コアの撚りピッチ等も同様の意味を有し、対撚信号線の場合と同様にして評価できる。
なお、対撚信号線130の外径D130は、電力線12の外径D12とほぼ同じ大きさとすることができる。
(被覆層)
対撚信号線は、図5Bに示した対撚信号線530Bの様に、撚り合わせた2本の信号線13を覆う被覆層54をさらに有することもできる。被覆層54は、1層から構成されていてもよく、第1被覆層541と、第2被覆層542との2層から構成することもできる。図5Bに示すように、第1被覆層541は2本の信号線の外周を覆うように配置でき、第2被覆層542は、第1被覆層541の外表面を覆うように配置できる。
被覆層54の材料は特に限定されず、例えば第2絶縁層132と同じ材料を用いることもでき、異なる材料を用いてもよい。
第1被覆層541の材料としては、例えば熱可塑性ポリウレタンエラストマー、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体(EEA)等から選択された1種類以上を好適に用いることができる。第2被覆層542の材料としては、例えば熱可塑性ポリウレタンエラストマー等を好適に用いることができる。
被覆層54はテープを巻き付けることで構成されてもよく、押し出し成形された樹脂チューブであってもよい。
(2-3)電線、対撚電線
図2の多芯ケーブル20に示したように、本実施形態の多芯ケーブルは、2本の電線21を撚り合わせた対撚電線210を有することもできる。また、図4の多芯ケーブル40に示したように、本実施形態の多芯ケーブルは、1本の電線21を有することもできる。
電線21は、第3導体211と、第3導体211の外表面を覆う第3絶縁層212と、を有することができる。第3導体211の外径D211は、第1導体121の外径D121(図1を参照)より小さいことが好ましい。電線21は、外径等の大きさ、および材料が信号線13と同じであってもよい。
(2-3-1)電線
電線21は、センサからの信号を伝送するためや、ECUからの制御信号を伝送するため、電子機器へ電力を供給する給電線等として用いることができる。電線21をアース線として利用することもできる。
第3導体211は、複数本の素線を撚り合わせて構成できる。第3導体211は、例えば図2に示したように、複数本の素線を撚り合わせた導体を1本有することもでき、該導体を複数本有することもできる。第3導体211が複数本の導体を有する場合、該複数本の導体は、撚り合わされていることが好ましい。
第3導体211は、第1導体121や第2導体131を構成する導体と同じ材料で構成してもよいし、異なる材料を用いてもよい。第3導体211の断面積は特に限定されないが、例えば0.13mm以上0.5mm以下とすることができる。なお、第3導体211が複数本の導体を有する場合、第3導体211が有する複数本の導体の断面積の合計が上記範囲を充足することが好ましい。
(第3絶縁層)
第3絶縁層212の材料は特に限定されないが、第3絶縁層212は、例えば、第2絶縁層132で説明したものと同様の樹脂材料を含有できる。また、第3絶縁層212は、必要に応じて各種添加剤を含有することもできる。好適に用いることができる樹脂材料等については第2絶縁層132で既に説明したため、ここでは説明を省略する。
(外径)
電線21の外径D21は特に限定されないが、1.00mm以上2.20mm以下であることが好ましい。電線21の外径D21を1.00mm以上とすることで、電線21の曲げ剛性を特に高め、電線21を配線等する際の作業性を向上できる。電線21の外径D21を2.20mm以下とすることで、電線21を細径化し、多芯ケーブルについても細径化できる。
(2-3-2)対撚電線
(対撚電線の撚りピッチ)
対撚電線210における2本の電線21の撚りピッチは特に限定されないが、例えば電線21の外径D21の20倍以上70倍以下とすることが好ましく、25倍以上66倍以下とすることがより好ましい。これは、対撚電線210の撚りピッチを電線21の外径D21の20倍以上とすることで、対撚電線表面の凹凸を低減し加工を容易に行うことができるからである。また、対撚電線の撚りピッチを電線21の外径D21の70倍以下とすることで、該対撚電線により伝送する信号の信号品質を向上できるからである。また、対撚電線の柔軟性を向上できるからである。
なお、対撚電線210の外径D210は、電力線12の外径D12とほぼ同じ大きさとすることができる。
(2-4)各部のサイズについて
多芯ケーブルが有する被覆電線のサイズ等は、多芯ケーブルの構成や、用途等に応じて選択でき、特に限定されないが、例えば以下の関係を充足することが好ましい。
図1~図4に示した多芯ケーブルのように、電力線12と、対撚信号線130とを有する多芯ケーブルにおいては、以下の関係を充足することが好ましい。電力線12の外径D12は、対撚信号線130の外径D130とほぼ等しいことが好ましい。また、電力線12の外径D12は、信号線13の外径D13よりも大きいことが好ましい。
図3に示した多芯ケーブル30のように外径の異なる2種類の電力線を含む場合、以下の関係を充足することが好ましい。
第2電力線である電力線31の外径D31は、第1電力線である電力線12の外径D12よりも小さいことが好ましい。また、第2電力線である電力線31の外径D31は、対撚信号線130の外径D130よりも小さく、信号線13の外径D13よりも大きいことが好ましい。
第2電力線である電力線31の第1導体311の外径D311は、第1電力線である電力線12の第1導体121の外径D121よりも小さいことが好ましい。また、第2電力線である電力線31の第1導体311の外径D311は、信号線13の第2導体131の外径D131よりも大きいことが好ましい。
図4に示した多芯ケーブル40のように電線を含む場合、以下の関係を充足することが好ましい。電線21の外径D21は、電力線12の外径D12よりも小さいことが好ましい。また、電線21の外径D21は、信号線13の外径D13と同じであっても良く、異なっていても良い。
電線21が有する第3導体211の外径D211は、電力線12が有する第1導体121の外径D121よりも小さいことが好ましい。また、第3導体211の外径D211は、第2導体131の外径D131と同じとすることもできる。
(3)外周被覆層
本実施形態の多芯ケーブルは、コアの外表面を覆う外周被覆層16を有することができる。この際、外周被覆層16は、コアを完全に覆うように配置できる。
外周被覆層16の材料は特に限定されないが、例えばポリエチレンやエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン系樹脂、ポリウレタンエラストマー(ポリウレタン樹脂)、ポリエステルエラストマー、またはこれらの少なくとも2種を混合して形成される組成物で形成することができる。
ポリエチレンとしては、例えば「Solumer」(商品名、SK Global Chemical Co.,LTD製)が、EVAとしては、例えば「エバフレックス」(商品名、三井デュポンポリケミカル株式会社製)が市販されており、市販品の各種グレードから適宜選択して使用することができる。
また、外周被覆層16の材料としては、例えば耐摩耗性に優れた架橋もしくは非架橋の熱可塑性ポリウレタン(TPU)を用いることもできる。耐熱性に優れることから、外周被覆層16の材料として、架橋熱可塑性ポリウレタンを好適に用いることができる。熱可塑性ポリウレタンとしては、例えば「エラストラン」(商品名、BASF社製)や「ミラクトラン」(商品名、東ソー株式会社製)が市販されており、市販品の各種グレードから適宜選択して使用することができる。
外周被覆層16は必要に応じて各種添加剤を含有することもできる。添加剤として例えば難燃剤等の無機物質を含有することもできる。外周被覆層16の樹脂材料に難燃剤等の無機物質を配合する場合、その配合割合は特に限定されない。例えば樹脂材料100質量部に対して、難燃剤等の無機物質を12質量部以下となるように添加することが好ましく、10質量部以下となるように添加することがより好ましい。
添加する無機物質としては、例えば三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルクから選択された1種類以上が挙げられる。
外周被覆層16は、複数本の被覆電線11側に配置された第1外周被覆層161と、第1外周被覆層161の外表面を覆う第2外周被覆層162とを有することもできる。この場合、第1外周被覆層161と、第2外周被覆層162とを異なる材料で構成することもでき、同じ材料で構成することもできる。
外周被覆層16を複数の層から構成することにより、外周被覆層16の層毎に弾性率等の特性を選択でき、複数の被覆電線11と外周被覆層との密着性や、多芯ケーブルの耐屈曲性等の特性を容易に調整、選択できる。
第1外周被覆層161、第2外周被覆層162の材料としては特に限定されず、例えば上述の外周被覆層16について説明した材料を用いることができる。
第1外周被覆層161の材料としては、ポリウレタン樹脂、およびポリオレフィン系樹脂から選択された1種類以上を好適に用いることができる。
第2外周被覆層162の材料としては、耐摩耗性に優れるポリウレタン樹脂を好適に用いることができる。第2外周被覆層162は、多芯ケーブルの外側に配置されるため、第2外周被覆層162の材料として、ポリウレタン樹脂を用いることで多芯ケーブルの耐久性を特に高めることができる。
第1外周被覆層161、第2外周被覆層162は、それぞれ既述の無機物質を含有することもできる。
外周被覆層16の材料、例えば第1外周被覆層161の材料は、複数本の被覆電線11で囲まれた領域A内の少なくとも一部を充填することもできるが、係る領域Aには外周被覆層16の材料が充填されず空隙となっている部分が含まれていてもよい。
(4)粉末状の滑剤
本実施形態の多芯ケーブル10は、複数本の被覆電線11の表面に粉末状の滑剤15を有することができる。粉末状の滑剤15は、複数の被覆電線11の表面全体に配置することもできるが、例えばコア100の外表面に配置し、コア100の内表面側には配置しなくてもよい。
そして、複数本の被覆電線11の外表面と、外周被覆層16とが、粉末状の滑剤15を介して接することができる。すなわち、複数本の被覆電線11と、外周被覆層16との間には抑え巻等が配置されていない構成にできる。このため、複数本の被覆電線11と、外周被覆層16とが、粉末状の滑剤15を介して接している部分では、複数本の被覆電線11、粉末状の滑剤15、外周被覆層16がその順に連続して積層された構造となる。なお、粉末状の滑剤15は、複数本の被覆電線11の外表面を完全に覆う必要は無い。このため、複数本の被覆電線11の外表面は、その一部が外周被覆層16と直接接していてもよい。
複数本の被覆電線11の外表面と、外周被覆層16とが、粉末状の滑剤15を介して接する構造とすることで、複数本の被覆電線11の外表面に抑え巻を配置した場合と比較して、多芯ケーブル10内部への水の浸入を抑制できる。
粉末状の滑剤の材料は特に限定されないが、粉末状の滑剤15は、例えばタルクを含むことができる。粉末状の滑剤15はタルクから構成することもできる。
粉末状の滑剤15がタルクを含有することで、外周被覆層16の剥離特性を特に高められる。
粉末状の滑剤15による、複数本の被覆電線11の外表面の被覆率は特に限定されないが、15%以上であることが好ましく、25%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましい。
粉末状の滑剤15を複数本の被覆電線11の外表面に配置し、粉末状の滑剤15による複数本の被覆電線11の外表面の被覆率を15%以上とすることで、複数本の被覆電線11から、外周被覆層16を容易に剥離できる。このため、例えば多芯ケーブルの端部で、ワイヤーストリッパーにより外周被覆層を容易に除去でき、剥離特性や加工性に優れた多芯ケーブルにできる。さらに、上記被覆率を15%以上とすることで、多芯ケーブルを屈曲させた際に、外周被覆層から複数本の被覆電線に加わる力を抑制でき、耐屈曲性も高められる。
本明細書において剥離特性は複数本の被覆電線から外周被覆層を容易に剥離できることを意味する。また、加工性は、多芯ケーブルの端部処理を容易に行えることを意味し、例えば外周被覆層を容易に剥けることを意味する。
上記被覆率を25%以上とすることで、特に剥離特性、加工性、および耐屈曲性を高められる。
粉末状の滑剤15による、複数本の被覆電線11の外表面の被覆率の上限は特に限定されず、複数本の被覆電線11の外表面は粉末状の滑剤15により完全に覆われていてもいいため、100%以下とすることができる。
ただし、粉末状の滑剤15による、複数本の被覆電線11の外表面の被覆率が高すぎると、多芯ケーブル10を機器等に接続するために、多芯ケーブル10の端部で外周被覆層16の一部を除去する際に、粉末状の滑剤15が周囲に飛散する場合もある。このため、粉末状の滑剤15による、複数本の被覆電線11の外表面の被覆率は70%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましい。複数本の被覆電線11の外表面の被覆率を70%以下とすることで、多芯ケーブル10を機器等に接続するために、多芯ケーブル10の端部で外周被覆層16の一部を除去する際に、粉末状の滑剤15が周囲に飛散することを十分に抑制できる。
上記粉末状の滑剤15による、複数本の被覆電線11の外表面の被覆率は例えば以下の手順により算出できる。
まず、図7Aに示すように、評価を行う多芯ケーブル70について、中心軸を通る面、すなわち長手方向の端面の中心Oを含む面で、2つに分割できる。図7Aに示した多芯ケーブル70の場合、直線Bに沿って多芯ケーブル70を二つに分割し、第1部材70Aと、第2部材70Bとに分割する。
第1部材70Aについて、コア700を除去した後の分割面を図7Bに示す。コア700を除去した第1部材70Aは、外周被覆層16から構成され、コア700を除去した領域71内には、粉末状の滑剤が付着している。そして、コア700を除去した領域71内のうち、幅L711が、コア700の撚りピッチの長さとなるように選択した測定領域711内に占める、粉末状の滑剤の面積割合を算出できる。係る測定領域711内に占める、粉末状の滑剤の面積割合は、例えば、測定領域711をカメラ等の撮像装置で撮像し、得られた画像を二値化し、粉末状の滑剤に対応する領域の面積を算出し、測定領域711の面積で割ることで求められる。
評価する多芯ケーブルについて、上記評価を5サンプル以上について行い、評価を行ったサンプル分の評価結果の平均値を該多芯ケーブルにおける、粉末状の滑剤15による、複数本の被覆電線11の外表面の被覆率とすることが好ましい。なお、上記評価を行うサンプル数の上限は特に限定されないが、評価の効率等を考慮して、50サンプル以下とすることが好ましい。
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
以下に具体的な実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(評価方法)
まず、以下の実験例において作製した多芯ケーブルの評価方法について説明する。
(1)各部の長さ
(1-1)導体、被覆電線の外径
導体、被覆電線の外径は、JIS C 3005(2014)に従って測定した。具体的には、導体や、被覆電線の中心軸と垂直な平面において、直交する2本の直径に沿って、外径の測定を行い、その平均値を導体、被覆電線の外径とした。
(1-2)コアの外径
コアの外径は、以下の手順により測定、算出した。多芯ケーブルの長手方向に沿って配置された3つの測定断面において、コアの長軸長をマイクロメーターで測定した。なお、各測定断面間の距離は、多芯ケーブルの長手方向に沿って1mとした。そして、3つの測定断面において測定したコアの長軸長の平均値を、該多芯ケーブルのコアの外径とした。
(2)被覆率
粉末状の滑剤15による、複数本の被覆電線11の外表面の被覆率は以下の手順により算出した。
まず、図7Aに示すように、評価を行う多芯ケーブル70について、中心軸を通る面、すなわち長手方向の端面の中心Oを含む面で、2つに分割した。図7Aに示した多芯ケーブル70の場合、直線Bに沿って多芯ケーブル70を二つに分割し、第1部材70Aと、第2部材70Bとに分割する。
第1部材70Aについて、コア700を除去した後の分割面を図7Bに示す。コア700を除去した第1部材70Aは、外周被覆層16から構成され、コア700を除去した領域71内には、粉末状の滑剤が付着している。そして、コア700を除去した領域71内のうち、幅L711が、コア700の撚りピッチの長さとなるように選択した測定領域711内に占める、粉末状の滑剤の面積割合を算出できる。係る測定領域711内に占める、粉末状の滑剤の面積割合は、測定領域711を撮像装置で撮像し、得られた画像を二値化し、粉末状の滑剤に対応する領域の面積を算出し、測定領域711の面積で割ることで求めた。
同じ実験例の多芯ケーブルに関して、上記評価を10サンプルについて行い、10サンプル分の評価結果の平均値を該実験例の多芯ケーブルにおける、粉末状の滑剤15による、複数本の被覆電線11の外表面の被覆率とした。評価結果は、表1の「被覆率」の欄に示している。
(3)密着力試験
密着力は、JASO D 625-2に準じて評価した。具体的には、図8に示す複数本の被覆電線であるコア800のみを通す貫通孔が設けられた測定治具81を用いて密着力を測定した。上記密着力とは、コアと外周被覆層との間の密着力を意味する。
まず、評価を行う多芯ケーブル80の外周被覆層16を、一部を除いて除去し、コア800を露出させた。この際、図8に示す様に、多芯ケーブル80の長手方向に沿った、外周被覆層16が残った部分の長さL80が50mmとなる様に、外周被覆層16を残した。
そして、測定治具81の貫通孔に、露出させたコア800を挿入した。これにより、図8に示す様に、多芯ケーブル80が、測定治具81にセットされる。
次いで、測定治具81を固定した状態で、多芯ケーブル80を図8中矢印Cに沿って250mm/minの速度で牽引した。そして、コア800から、外周被覆層16が剥離し、コア800が測定治具81の貫通孔を通り、測定治具81の下方に移動する際に加えた力の大きさを測定する。測定した力の大きさが、外周被覆層16の長さ50mm当たりの、密着力となる。
同じ実験例の多芯ケーブルに関して、上記評価を10サンプルについて行い、10サンプルの密着力の平均値を、該多芯ケーブルの密着力とした。
密着力が100N以下の場合に、外周被覆層を複数本の被覆電線から容易に剥離できる、すなわち剥離特性に優れた多芯ケーブルであることを意味する。
(4)加工性
(4-1)評価1
各実験例で作製した多芯ケーブルの端部において、ワイヤーストリッパーを用いて一定の力で牽引し、外周被覆層を50mm剥離することを試みた場合に、外周被覆層を剥離できなかった場合に0点、外周被覆層を剥離できた場合に1点とした。
そして、同じ実験例の多芯ケーブルに関して、上記評価を10サンプルについて行い、10サンプルの評価結果の合計が7点以上10点以下の場合にA、3点以上6点以下の場合にB、2点以下の場合にCと評価した。
評価1の評価結果がAの場合、外周被覆層を複数本の被覆電線から容易に剥離できる、すなわち剥離特性、加工性に優れた多芯ケーブルであることを意味し、B、Cの順に剥離特性が低下する。
(4-2)評価2
各実験例で作製した多芯ケーブルの端部において、ワイヤーストリッパーを用いて外周被覆層を50mm剥離した。この際に、コアを構成する被覆電線において、絶縁層が長手方向に伸び、導体の先端と絶縁層の先端に1mm以上ずれが生じた場合に0点とした。また、外周被覆層を剥離できなかった場合も0点とした。コアを構成する被覆電線の全てにおいて、上記ずれが生じないか、上記ずれが1mm未満の場合に1点とした。
そして、同じ実験例の多芯ケーブルに関して、上記評価を10サンプルについて行い、10サンプルの評価結果の合計が7点以上10点以下の場合にA、3点以上6点以下の場合にB、2点以下の場合にCと評価した。
評価2の評価結果がAの場合、外周被覆層を剥離した後、機器等に接続するための周辺部品の取付を不具合無くできる多芯ケーブルであることを意味し、B、Cの順に不具合となる可能性が大きくなる。
(4-3)評価3
各実験例で作製した多芯ケーブルの端部において、ワイヤーストリッパーを用いて外周被覆層を50mm剥離した。この際に、周囲に飛散した粉末状の滑剤と、外周被覆層、コアに付着し、指先で各部材を叩くことで落とした粉末状の滑剤の合計重量が0.01g以上となった場合に0点とした。上記粉末状の滑剤の合計重量が0.01g未満となった場合に1点とした。なお、本評価では外周被覆層を剥離できない場合は外周被覆層をカミソリ等で割き剥離することとした。
そして、同じ実験例の多芯ケーブルに関して、上記評価を10サンプルについて行い、10サンプルの評価結果の合計が7点以上10点以下の場合にA、3点以上6点以下の場合にB、2点以下の場合にCと評価した。
評価3の評価結果がAの場合、外周被覆層を剥離した際に周囲に粉末状の滑剤がほとんど飛散しないことを意味し、加工性に優れた多芯ケーブルであることを意味し、B、Cの順に加工性が低下する。
(5)耐屈曲性試験
以下の実験例で得られた多芯ケーブルについて、JIS C 6851(2006)(光ファイバ特性試験方法)に準ずる方法にて耐屈曲性試験を行った。
具体的には、図9に示すように、水平かつ互いに平行に配置された直径60mmの2本の第1マンドレル911と、第2マンドレル912との間に、評価を行う多芯ケーブル90を鉛直方向に配置して挟む。そして、多芯ケーブル90の上端を第1マンドレル911の上側に当接するように水平方向に90°屈曲させた後、第2マンドレル912の上側に当接するように水平方向に90°屈曲させることを-30℃の恒温槽内で繰り返した。この繰り返しは、以下の実験例で作製した図1の多芯ケーブル10において、2本の電力線12、2本の信号線13の全ての抵抗値を測定しながら行い、初期抵抗値の10倍以上まで抵抗が上昇したときの回数を耐屈曲性試験の指標値とした。上記耐屈曲性試験において評価する屈曲回数は、多芯ケーブル90を図9中の右側に曲げてから、左側に曲げた後、右側に戻ってくるまでを1回とした。
耐屈曲性試験の指標値、すなわち屈曲回数が多いほど耐屈曲性に優れることを意味する。
屈曲回数が600万回以上の場合にはA、屈曲回数が400万回以上600万回未満の場合にはB、屈曲回数が400万回未満の場合にはCと評価した。
耐屈曲性試験の評価がAの場合に最も耐屈曲性に優れ、B、Cの順に評価が下がることを意味する。
(6)評価
加工性の評価1~評価3、耐屈曲性について、それぞれ評価がAの場合に2点、Bの場合に1点、Cの場合に0点とした。
そして、加工性の評価1~評価3、耐屈曲性についての評価点の合計が8点の場合に評価をA、5点以上7点以下の場合にB、4点以下の場合にCと評価した。
上記評価がAの場合が剥離特性、加工性、および耐屈曲性について最も優れており、B、Cの順に特性が低下することを意味する。評価がA、またはBの場合には剥離特性、加工性、および耐屈曲性について、実用上十分な性能を備えた多芯ケーブルということができる。
(実験例)
以下、実験条件について説明する。実験例3~実験例9が実施例、実験例1、実験例2が比較例となる。
[実験例1]
図1に示した多芯ケーブル10を作製し、評価を行った。作製した多芯ケーブル10は、被覆電線11として、2本の電力線12と、2本の信号線13を含む対撚信号線130とを有する。そして、電力線12と、対撚信号線130とは撚り合わされてコア100を構成している。
電力線12は、7本の導体1211を撚り合わせた第1導体121を含む。導体1211は50本の銅合金線が撚り合わされて構成されており、第1導体121の外径D121は2.0mmであり、断面積は1.8mmであった。第1絶縁層122には架橋ポリエチレンを用いた。電力線12の外径D12は2.6mmであった。
対撚信号線130は、第2導体131を含む2本の信号線13を撚り合せて形成されている。第2導体131は40本の銅合金線が撚り合わされて構成されており、第2導体131の外径D131は0.58mmであり、断面積は0.2mmであった。第2絶縁層132には架橋ポリエチレンを用いた。信号線13の外径D13は1.4mmであった。
コア100は、上述の2本の電力線12と、対撚信号線130とを長手方向に沿って撚り合せて形成している。コアの外径D100は5.8mmであった。そして、コア100の外表面には、タルクである粉末状の滑剤15を塗布した。このため、複数本の被覆電線11の表面には粉末状の滑剤15が配置されている。
そして、複数本の被覆電線11であるコア100の外表面を覆うように外周被覆層16を配置した。複数本の被覆電線11の外表面と、外周被覆層16とは、粉末状の滑剤15を介して接している。
外周被覆層16は、架橋ポリエチレンからなる第1外周被覆層161と、第1外周被覆層161の外表面を覆うように配置した、架橋ポリウレタンからなる第2外周被覆層162により形成した。外周被覆層16の外径は8.0mmであった。
得られた多芯ケーブルについて既述の評価を行った。評価結果を表1に示す。
[実験例2~実験例9]
複数本の被覆電線11の外表面に対する粉末状の滑剤の塗布量を変更した点以外は、実験例1と同様にして多芯ケーブルを作製し、評価した。
評価結果を表1に示す。
Figure 2023111687000002
表1に示した結果によれば、粉末状の滑剤15による、複数本の被覆電線11の外表面の被覆率と、密着力とは相関を有しており、該被覆率を15%以上とすることで、密着力を100N以下と大幅に低減できることを確認できた。すなわち、複数の被覆電線と外周被覆層との間に抑え巻が配置していない場合でも、外周被覆層の剥離特性に優れた多芯ケーブルにできることを確認できた。
また、上記被覆率を15%以上とすることで、加工性や、耐屈曲性も向上し、評価がAまたはBになることも確認できた。これは、被覆率を15%以上とすることで、外周被覆層を複数本の被覆電線から剥離し易くなるとともに、多芯ケーブルを屈曲させた際に、外周被覆層から複数本の被覆電線に加わる力を抑制できるためと考えられる。
また、被覆率を25%以上とすることで、さらに剥離特性、耐屈曲性が高められる。被覆率を70%以下とすることで、多芯ケーブルを機器等に接続するために、多芯ケーブルの端部で外周被覆層の一部を除去する際に、粉末状の滑剤が周囲に飛散することを十分に抑制できる。
10、20、30、40、70、80、90 多芯ケーブル
100、200、300、400、700、800 コア
D100、D200、D300、D400 コアの外径
11 被覆電線
12 電力線(第1電力線)
D12 電力線の外径
121 第1導体
D121 第1導体の外径
1211 導体
122 第1絶縁層
13 信号線
D13 信号線の外径
130 対撚信号線
D130 対撚信号線の外径
131 第2導体
D131 第2導体の外径
132 第2絶縁層
13A 第1信号線
13B 第2信号線
CA 中心軸
Pt 撚りピッチ
15 粉末状の滑剤
16 外周被覆層
161 第1外周被覆層
162 第2外周被覆層
21 電線
D21 電線の外径
210 対撚電線
211 第3導体
D211 第3導体の外径
212 第3絶縁層
31 電力線(第2電力線)
D31 電力線の外径
311 第1導体
D311 第1導体の外径
3111 導体
312 第1絶縁層
A 領域
53 信号線
531 第2導体
5311 導体
532 第2絶縁層
530A 対撚信号線
530B 対撚信号線
54 被覆層
541 第1被覆層
542 第2被覆層
70A 第1部材
70B 第2部材
71 領域
711 測定領域
O 中心
B 直線
81 測定治具
C 矢印
911 第1マンドレル
912 第2マンドレル

Claims (6)

  1. 表面に粉末状の滑剤が配置された複数本の被覆電線と、
    前記複数本の被覆電線の外表面を覆う外周被覆層と、を有し、
    前記複数本の被覆電線の外表面と、前記外周被覆層とが前記粉末状の滑剤を介して接しており、
    前記粉末状の滑剤による、前記複数本の被覆電線の外表面の被覆率が15%以上である多芯ケーブル。
  2. 前記被覆率が25%以上70%以下である請求項1に記載の多芯ケーブル。
  3. 前記複数本の被覆電線は、電力線と、対撚信号線とを含む請求項1または請求項2に記載の多芯ケーブル。
  4. 前記複数本の被覆電線は、対撚電線を含む請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の多芯ケーブル。
  5. 前記粉末状の滑剤がタルクを含む請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の多芯ケーブル。
  6. 前記外周被覆層が、前記複数本の被覆電線側に配置された第1外周被覆層と、前記第1外周被覆層の外表面を覆う第2外周被覆層とを有する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の多芯ケーブル。
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