JP2023111459A - 情報読取装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁気インク文字の認識精度に関する、装置の設置環境や経時変化の影響を低減すると共に、シート搬送時の突発的な速度変動によらず精度の高い磁気インク文字の読み取りを可能とする。【解決手段】情報読取装置を、磁気インク文字が印字されたシートを搬送路に沿って搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送されるシートの搬送速度を検知する搬送速度検知手段と、前記搬送路を搬送されているシートに印字された磁気インク文字の磁気データを検出し、検出信号波形を出力する磁気データ検出手段と、前記磁気データ検出手段から出力された検出信号波形を、前記搬送速度検知手段で検知された搬送速度に基づいて補正する磁気データ補正手段と、前記磁気データ補正手段で補正された検出信号波形から前記シートに印字された磁気インク文字を認識する磁気インク文字認識手段とを備えた構成とする。【選択図】図6
Description
本発明は、小切手や手形等のシートに印字されている磁気インク文字を認識する手段を備えた情報読取装置に関する。
店舗での支払いや、銀行での取引などにおいては、小切手等を用いて決済が行われることがある。小切手による精算処理では、小切手の下欄に印刷された金融機関番号、支店番号、口座番号、金額等の磁気インク文字を読み取り、読み取ったデータを所定の機関に照会し、小切手の有効性を確認する。そのため小切手の精算処理において磁気インク文字の読取精度はとても重要となってくる。
磁気インク文字を読み取るための装置として、磁気インク文字認識(Magnetic Ink Character Recognition、以下MICRと記す場合がある)処理部を備えた情報読取装置が知られている。磁気インク文字認識処理部は、磁気インク文字に含まれる磁気データを読み取って検出信号波形として出力し、出力された検出信号波形を基に文字を認識する。
このような情報読取装置の搬送系には、固体差がある。例えば、搬送ローラの真円度、搬送用モータの1回転当たりのシートの移動量、シートとの摩擦係数等が個々の装置によって異なる。そのため、シートの搬送速度のバラツキにより検出信号波形に時間軸方向にズレが生じ、シートに印字された磁気インク文字を正しく認識できないことがあった。
これに対し、特許文献1には、標準機となる参照用情報読取装置を用意し、この参照用情報読取装置で参照用シートを読み取った際の検出信号波形と、対象となる情報読取装置で参照用シートを読み取った際の検出信号波形とを比較して補正値を演算することが記載されている。この補正値を対象となる情報読取装置に記憶させておき、実際にシートを読み取った際の検出信号波形を、記憶された補正値で補正し、補正された検出信号波形に基づいて文字認識を行うことによって、読取精度を向上させる。また、特許文献1には、より適切な補正値を得るため、対象の情報読取装置での参照用シートの読み取りを複数回行うことが好適であることが記載されている。
しかしながら、上記の特許文献1に記載の情報読取装置は、予め記憶しておいた補正値に基づいて検出信号波形の補正を行っているため、シートの搬送途中に突発的に発生した速度変動には対応することができない。また、シートの搬送速度は、温度や湿度などの設置環境、装置の経時変化にも影響を受けるが、この影響を排除することができない。更に、上記のように特許文献1に装置では、より適正な補正値を取得するために、生産過程で参照用シートを複数回読み取る必要があり、生産効率が落ちるため、実用的ではなかった。
上記課題に鑑み、本発明の情報読取装置は、磁気インク文字が印字されたシートを搬送路に沿って搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送されるシートの搬送速度を検知する搬送速度検知手段と、前記搬送路を搬送されているシートに印字された磁気インク文字の磁気データを検出し、検出信号波形を出力する磁気データ検出手段と、前記磁気データ検出手段から出力された検出信号波形を、前記搬送速度検知手段で検知された搬送速度に基づいて補正する磁気データ補正手段と、前記磁気データ補正手段で補正された検出信号波形から前記シートに印字された磁気インク文字を認識する磁気インク文字認識手段とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、磁気インク文字の認識精度に関する装置の設置環境や経時変化の影響を低減すると共に、シート搬送時の突発的な速度変動によらず精度の高い磁気インク文字の読み取りが可能となる。
以下に、図面を用いて本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形、応用が可能である。本発明は、特許請求の範囲を逸脱しない限りにおいて、このような変形、応用を全て包含するものである。
図1は本実施形態の情報読取装置の使用形態の一例を示す概略斜視図である。図1において、本実施形態の情報読取装置300は、通信ケーブル302を介してホスト装置301に接続されている。ホスト装置301は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)から構成され、情報読取装置300の読み取り制御を行うアプリケーションやスキャナデバイスドライバ等を備えている。磁気インク文字が印字されたシートの束は、シート積載台100に積載される。このシート束は、不図示の搬送手段によって1枚ずつ搬送路110内を搬送され、第1及び第2の排紙ポケット102及び103に排紙される。搬送路110の途中には、不図示の磁気データ検出手段及び光学読取手段が設けられ、これらで検出されたデータに基づいて認識された文字情報は、通信ケーブル302を経由してホスト装置301に転送される。
図2は、磁気インク文字が印字されたシートの一例である小切手の構成を示す概略平面図である。図2に示すように、シート90の所定の領域91には、規格化された磁気インク文字の文字列が印字されている。領域91は、図2の左側から「補助自行欄II」、「補助自行欄I」、「交換所欄(交換番号、機関コード)」、「自行データ欄(店No・手形No・口座No)」、「金額欄」に分けられ、各欄に磁気インク文字が印字されている。磁気インク文字の文字列の順とは逆に右側から左側に向かって読取処理されるものとして説明する。シート(小切手)90の領域91には、規格化された数値だけでなく、記号も印字されている。また、シート(小切手)90は取り扱う銀行、支店などによっても印字情報が異なり、印字される情報はこれに限ったものではない。
図3に、磁気インク文字の形状の一例を示す。図3において、文字の高さ方向をX方向、X方向と直交する文字の幅方向をY方向とする。図3(a)は、E13Bフォントの磁気インク文字の全14文字を示す。ここで、文字サイズ、文字間隔は規格で規定されている。図3(b)は、後述する光学文字認識(Optical Character Recognition、以下OCRと記す場合がある)辞書テーブル記憶部23が有する各文字の画像データのテンプレート例として、磁気インク文字「1」のテンプレート拡大図を示す。
図4は、磁気インク文字を後述する磁気データ検出手段で検出した場合に、出力される検出信号波形の一例を示す概略図である。図4の上半分には、文字形状の例として磁気インク文字「8」の形状を示し、下半分にはこの文字「8」を検出した場合の、検出信号波形(出力波形)を示す。出力波形の図において、縦軸は信号振幅、横軸は時間軸を示す。検出位置の前後で、磁気の変化がない状態から、磁気の変化があるタイミングで、検出信号にピークp1~p6が検出される。
磁気インク文字認識は、図4に示す検出信号波形の時間軸上のピーク位置に基づいて文字の認識を行う。一方、これらのピーク位置は、磁気インク文字が印字されたシートの搬送速度によって変化する。搬送中のトラブルがなく、シートが安定した速度で搬送されていれば、所定の検出信号波形が出力されるが、搬送途中で搬送速度が変動すると、ピーク位置p1~p6とピーク間隔S1~S5が変化してしまう。本実施形態は、後述するように、搬送速度を検知して、検知された搬送速度に基づいて検出信号波形を補正し、補正した検出信号波形から磁気インク文字を認識するものである。
図5は、本実施形態の情報読取装置の内部構成を示す概略断面図である。図5において、図1と同一の部材には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。情報読取装置300のシート積載台100には、図2に示すシート90が複数枚セットされている。このシート90は一枚ずつ搬送路110を搬送され、第1及び第2の排紙ポケット102及び103のいずれかに排紙される。情報読取装置300の動作は、より詳細には下記のように行われる。
シート積載台100に積載されたシート90の束は、押圧板(押圧部材)101によって給紙ローラ104に押し当てられる。押圧板101は、装置本体に回動可能に設けられ、バネ111によって給紙ローラ104側に付勢されている。給紙ローラ104に押し当てられたシート90は、給紙ローラ104の回転に伴って、給送ローラ105と分離ローラ107との間に送られ、給送ローラ104の回転に伴って、搬送路110に給送される。ここで、シート90が束で送られてきた場合も、分離ローラ107の働きによって、一枚ずつに分離される。シート90の搬送方向を、矢印Dで示す。
搬送路110に給送されたシート90は、搬送ローラ201a及び201bから成る第1搬送ローラ対と、搬送ローラ202a及び202bから成る第2搬送ローラ対とによって搬送路内を搬送される。シートの搬送方向Dに沿って、第1の搬送ローラ対は上流側に、第2の搬送ローラ対は下流側に配置されている。これらの搬送ローラ対は、同一の回転速度で回転することによって、シート90を一定速で搬送する。
搬送路110を搬送されているシート90の搬送速度は、搬送路110に面して配置された速度検知センサ109によって検知される。また、搬送路110に面して、磁気ヘッドセンサ等から構成される磁気データ検出部106が配置されている。この磁気データ検出部106は、搬送されるシート90に印字された磁気インク文字の磁気データを検出し、検出信号波形を出力する。搬送路110を挟んで磁気データ検出部106と対向する位置には、シート90を磁気データ検出部106に押し当てるローラ207が設けられている。
第1及び第2搬送ローラ対の間は、シート90が一定速で搬送されるため、シートの状態が検知し易いこと、及び出来るだけ上流側で情報を取得して搬送制御にフィードバックさせるために、様々なセンサが密集して配置されている。本実施形態においては、シート90を検知するレジストセンサ(シート検知手段)112及びシート90が重送して搬送されていることを検知する重送検知センサ113が配置されている。
第2搬送ローラ対を通過したシート90は、第2搬送ローラ対より下流に設けられたいくつかの搬送ローラによって、更に下流に搬送される。そして、画像読取センサ108でシート90に印字された磁気インク文字が光学的に読み取られる。画像読取センサ108を通過したシート90は、切り替えフラッパ127によって、後述する条件に応じて振り分けられ、第1の排紙ポケット102或いは第2の排紙ポケット103に排紙される。
図6は、本実施形態の情報読取装置の制御系を示すブロック図である。図6において、図5と同一の部材には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図6において、情報読取装置300は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)31を備える。CPU31は、データ/アドレスバス33を介して、磁気インク文字認識(MICR)制御部505、搬送速度検知部501、光学文字認識(OCR)認識部504と接続されている。更に、CPU31は、給紙制御部502、給送制御部503、搬送制御部506、メモリ34及び表示部35と接続されている。また、情報読取装置300は、外部インターフェイス32を介して外部のホスト装置301と通信可能に構成されている。
MICR制御部505は、図5で説明した磁気データ検出部106を有する。この磁気データ検出部106で検出された磁気データ(検出信号波形)は、磁気データ処理部11で電気信号の増幅及びA/D変換や平滑化等の処理が行われた後、磁気データ補正処理部18に出力される。磁気データ補正処理部18では、搬送速度検知部501で検知された搬送速度に基づいて、磁気データ(検出信号波形)が補正される。補正された磁気データ(検出信号波形)は、MICR処理部13に送られる。MICR処理部13では、MICR辞書テーブル記憶部12に記憶されたMICR辞書テーブルを参照して、検出信号波形を解析し、MICR処理を行う。MICR処理部13で認識された文字情報は、データ/アドレスバス33を介してCPU31に送られる。
搬送速度検知部501は、図5で説明した速度検知センサ109を有し、搬送路110を搬送されるシートの速度を検知する。速度検知センサ109の出力信号は、速度検知処理部51で処理され、検知された搬送速度の検知情報はMICR制御部505の磁気データ補正部18に送られる。そして、先に説明したように、この搬送速度の検知情報に基づいて磁気データ(検出信号波形)の補正が行われる。また、搬送速度の検知情報は、OCR制御部504及びデータ/アドレスバス33を介してCPU31に送られる。更に、搬送速度の検知情報は、搬送制御部506にも送られ、シートの搬送制御に用いられる。
OCR制御部504は、図5で説明した画像読取センサ108を有し、搬送路110を搬送されるシートに印字された磁気インク文字を光学的に読み取る。画像読取センサ108の出力信号は、画像データ処理部21で各種処理を施され、OCR処理部22に入力される。OCR処理部22は、OCR辞書テーブル記憶部23に保存されたテンプレートに基づき、画像データから磁気インク文字の認識を行う。また、OCR処理部22には、搬送速度検知部501より搬送速度の検知情報が入力される。そして、後述するように、搬送速度が基準値に対して第一の閾値を超える変動があった場合には、OCR処理部22がOCR処理を行う際に、搬送速度の検知情報に応じて上記テンプレートのメッシュ間隔を補正する。
給紙制御部502は、CPU31の指示により、図5に示す給紙ローラ104の駆動系を制御する。給送制御部503は、CPU31の指示により、図5に示す給送ローラ105及び分離ローラ107の駆動系を制御する。搬送制御部506は、CPU31の指示により、第1及び第2搬送ローラ対を制御して、シートを一定速度で搬送する。また、搬送制御部506は、CPU31の指示により、図5に示す第2搬送ローラ対より下流に設けられたいくつかの搬送ローラや切り替えフラッパ127の駆動系を制御し、シートを第1の排紙ポケット102或いは第2の排紙ポケット103(図5参照)まで搬送する。本実施形態において、これらの制御部と、図5に示す各ローラ及びその駆動系が搬送手段を構成する。
表示部35は、電源ON、OFFのスイッチや、装置の状態を表示するLEDなどが実装されており、(使用者)が情報読取装置を操作する際のインターフェイス(I/F)部となっている。またCPU31の指示により搬送時や、磁気情報読取時にエラーがあった際、例えばエラーメッセージ(警告)としてLEDを点滅するなどし、オペレータ(使用者)に知らせる手段にもなっている。また、報知部508は、CPU31の指示により搬送時や、磁気情報読取時にエラーがあった際、音やLEDなどの光を利用してオペレータ(使用者)に警告を行う手段となっている。
CPU31は、先に説明したように各制御部を制御し、情報読取装置300の動作を統合的に制御している。また、CPU31は、MICR制御部505で磁気データから認識された文字情報や、OCR制御部504で光学的に認識された文字情報を、外部インターフェイス32を介して、ホスト装置301に送信する。以下、本実施形態における文字認識に関して具体的に説明する。
<MICR処理>
先に説明したように、図6の磁気データ補正処理部18から出力された磁気データ(検出信号波形)に対して、MICR処理部13は、MICR辞書テーブル記憶部12に記憶されたMICR辞書テーブを参照してMICR処理を行う。MICR辞書テーブル記憶部12には、E13Bフォントの全文字分の基準データについて、MICR辞書テーブルが記憶されている。ここで、基準データとは、「ピーク位置の時間」、「振幅レベル」の2つの要素を持つ辞書データのことである。図7に、このような辞書データの一例を示す。図7は一つの文字の辞書テーブルが格納されているが、全てのMICR文字(14種類)に関して辞書テーブルが作成されている。なお本テーブルは極性データを含んでいるが、本実施形態では極性は使用しない。また、図7に示す辞書データは、ピーク数を4として作成しているが、これに限定されず、辞書データは、MICR処理部13が認識可能な文字毎に、適切なピーク数にて作成可能である。
先に説明したように、図6の磁気データ補正処理部18から出力された磁気データ(検出信号波形)に対して、MICR処理部13は、MICR辞書テーブル記憶部12に記憶されたMICR辞書テーブを参照してMICR処理を行う。MICR辞書テーブル記憶部12には、E13Bフォントの全文字分の基準データについて、MICR辞書テーブルが記憶されている。ここで、基準データとは、「ピーク位置の時間」、「振幅レベル」の2つの要素を持つ辞書データのことである。図7に、このような辞書データの一例を示す。図7は一つの文字の辞書テーブルが格納されているが、全てのMICR文字(14種類)に関して辞書テーブルが作成されている。なお本テーブルは極性データを含んでいるが、本実施形態では極性は使用しない。また、図7に示す辞書データは、ピーク数を4として作成しているが、これに限定されず、辞書データは、MICR処理部13が認識可能な文字毎に、適切なピーク数にて作成可能である。
図8は、本実施形態におけるMICR処理について説明するためのフローチャートである。以下の説明において、各部材に付した符号は図6に示した符号を用い、詳細な説明は省略する。図8のステップS301において、CPU31は、MICR処理部13を制御して、磁気データ処理部11から出力された磁気データ(検出信号波形)から磁気文字位置を切り出す。文字位置の切り出しは、文字開始位置を検出することにより確定する。文字開始位置を検出するためには、まず、磁気データからサンプリング波形のピークを検出する。次に、最初に検出したピーク位置を基にして文字開始位置を求め、予め定められた所定の範囲を1文字分のデータとして切り出す。
次に、ステップS302において、CPU31はMICR処理部13を制御して、文字数カウントNを0にリセットし、ステップS303に進む。ステップS303において、CPU31はMICR処理部13を制御して、N文字目の磁気データを取得し、ステップS304に進む。ここで、MICR処理部13は、メモリ34に保存された位置情報データを参照し、磁気データ中の位置情報データに該当する部分の波形を切り出す。ステップS304において、CPU31はMICR処理部13を制御して、N文字目の磁気データについて、ピーク位置信号を検出してピーク位置データを作成し、ステップS305に進む。
本実施形態における磁気インク文字のフォントであるE13Bフォントは、1文字分の幅を時間軸に対して8等分に分割すると、磁気データ検出部106で文字を読み取った際に得られる読取信号のピークは、それぞれ異なるブロックに存在するよう構成されている。そこで、MICR処理部13は、1文字毎に8等分すると共に、磁気信号のピーク位置を検出し、検出したピーク位置をピーク位置信号として算出する。さらに、MICR処理部13は、ピーク位置毎の振幅レベルを検出し、ピーク位置における時間と振幅レベルを示すピーク値データを算出する。
ピーク位置の検出方法としては、例えば、サンプリング波形の振幅レベルが増加から減少に転じた点、およびサンプリング波形の振幅レベルが減少から増加に転じた点をピーク位置として検出する方法がある。ステップS305において、CPU31はMICR処理部13を制御して、ステップS304で得られたピーク値データに基づいてピーク位置の時間と振幅レベル(極性)との関係をテーブルで表したサンプルテーブルを作成し、ステップS306に進む。
図9に、本実施形態におけるサンプルテーブルの一例を示す。なお、図9では、便宜上、N文字目の磁気データのピーク位置は、4つ検出されたものとしているが、これに限定されない。次に、ステップS306において、CPU31はMICR処理部13を制御して、図7に示したMICR辞書テーブルの辞書データと、ステップS305にて作成されたサンプルテーブルのデータとを比較する。ここでの比較処理は、サンプルテーブルの文字のピークとすべてのMICR辞書テーブルとの二次元上の距離を各々算出することで行われる。
図10は、本実施形態における磁気インク文字から検出される検出信号波形の一例を示す。図10で示すように、距離L0は、サンプルテーブル波形の最初のピークS_peak0からMICR辞書テーブル波形の最初のピークD_peak0までの距離である。距離L1は、サンプルテーブル波形の最初のピークS_peak0からMICR辞書テーブル波形の2番目のピークD_peak1までの距離である。距離L2は、サンプルテーブル波形の最初のピークS_peak0からMICR辞書テーブル波形の3番目のピークD_peak2までの距離である。距離L3は、サンプルテーブル波形の最初のピークS_peak0からMICR辞書テーブル波形の4番目のピークD_peak3までの距離である。
これらの距離L0~L3は、次式で算出される。
L0=√{A×(St_0―Dt_0)2+B×(Sl_0―Dl_0)2}
L1=√{A×(St_0―Dt_1)2+B×(Sl_0―Dl_1)2}
L2=√{A×(St_0―Dt_2)2+B×(Sl_0―Dl_2)2}
L3=√{A×(St_0―Dt_3)2+B×(Sl_0―Dl_3)2}
ここで、A及びBは所定の定数である。なお、上式で距離を求める際に、波形データの縦横比が極端に縦長や横長にならないように、適宜波形データを調整しておくことが好適である。
L0=√{A×(St_0―Dt_0)2+B×(Sl_0―Dl_0)2}
L1=√{A×(St_0―Dt_1)2+B×(Sl_0―Dl_1)2}
L2=√{A×(St_0―Dt_2)2+B×(Sl_0―Dl_2)2}
L3=√{A×(St_0―Dt_3)2+B×(Sl_0―Dl_3)2}
ここで、A及びBは所定の定数である。なお、上式で距離を求める際に、波形データの縦横比が極端に縦長や横長にならないように、適宜波形データを調整しておくことが好適である。
次に、MICR処理部13は、算出した距離に基づいて、サンプルテーブルの1つ目の項は、MICR辞書テーブルにある4つの項の中でどれに最も近いかを総当りで判定し最も近いピークの距離を記憶する。1つ目のサンプルデータに最も近いと判定した辞書テーブルの中の項は、以降省かれる。そして、サンプルテーブルの2つ目の項(St_1、Sl_1)、3つ目の項(St_2、Sl_2)…に対して、同様にMICR辞書テーブルの項の二次元上の距離を演算し、どの項に近いかを判定する。そして、それぞれ最も近いピークの間の距離を総当りで4つ目の項(St_3、Sl_3)まで判定し、それぞれのサンプルデータに最も近いと判定した項までの距離を加算して、その総和値を図6に示すメモリ34に記憶する。
同様にして、図9のサンプルテーブルに対してMICR辞書テーブルの次の文字、その次の文字というように最も近いと判定した距離の総和を算出し、メモリ34に記憶する。ステップS306における、この辞書テーブルとの比較が終了すると、図8のステップS307に進む。ステップS307において、CPU31はMICR処理部13を制御して、ステップS306で算出された距離の総和から認識結果文字の決定を行う。ここでは、CPU31は、認識結果文字として、ステップS306にて算出した距離の総和が最小となる辞書テーブルの文字を磁気的類似度が大きい文字として選択する。
本実施形態におけるMICR処理は、搬送速度検知部501で検知されたシートの搬送速度の基準値に対する変動率に応じて、処理方法を変えている。図11は、このようなシートの搬送速度変動の検出方法を説明するためのフローチャートである。ステップS1301において、シート搬送をスタートすると同時に、ステップS1302において、CPU31内部で生成したカウンター(Counter)をスタートする。カウンターは、任意の固定した時間で割込み処理が入りカウントアップしていく。通常、シートに印字された磁気インク文字の文字間隔と、シートの搬送速度から速度検知したい分解能を算出し、それに適した割り込み時間に設定する。ステップS1303ではカウンターのカウント結果から、ある任意の時間に到達したかを判断する。まだ到達していないと判断した場合は、ステップS1312でカウンターの値をカウントアップし、ステップS1303のサイクルで任意の時間経過するのを待つ。
ステップS1303において、nが任意の値になり、ある任意の時間に到達すると、ステップS1304に進む。ステップS1304において、速度検知センサ109でシートの移動量を読み取りに行き、読み取った移動量とカウンターで設定した時間から、ステップS1305において、搬送速度を検出する。そして、ステップS1306において、検出した搬送速度の基準値に対する変動率が第一の閾値を超えたか否かを判断する。変動率が第一の閾値を超えたと判断した場合、即ちステップS1306で判断がYESだった場合、ステップS1307に進む。そして、ステップD1307で速度変動率を算出し、ステップS1308で速度変動した位置を特定し、ステップS1309において、この速度変動率と速度変動した位置をメモリ34に保存する。そして、ステップS1310に進み、カウンター値をリセットする。
一方、ステップS1306において、速度変動が第一の閾値を超えていない(第一の閾値以下である)と判断した場合、即ちステップS1306で判断がNOだった場合は、そのままステップS1310に進み、カウンター値をリセットする。そして、ステップS1311において、シートの搬送が終わったか否かを判断し、シート搬送が終了するまでこの作業を繰り返す。そして、シートのどの位置でどれぐらいの速度変動があったか記録を残していく。ここで、シート搬送の終了は、搬送路110に配置されたレジストセンサ112(図5参照)などの情報をもとに、判断することが可能である。
次に、第一の閾値を超える速度変動があった場合の磁気データ(検出信号波形)の補正方法を図12のフローチャートを用いて説明する。以下の説明において、各部材に付した符号は図5及び図6に示した符号を用い、詳細な説明は省略する。図12のステップS1801において、搬送速度の変動率が第一の閾値を超えたと判断した場合、ステップS1802に進む。ステップS1802においては、シートのどの位置で速度変動があったか特定し、ステップS1803に進む。速度検知センサ109が検出する速度変動情報は、CPU31の割込み処理により一定間隔で取得されるため、レジストセンサ112(図5参照)などのシートの先頭情報が分かれば位置を特定することが可能である。
補正文字が特定されれば、ステップS1803において、速度検知センサ109で検出した搬送速度を基に補正率を決定する。そして、ステップS1804において、磁気データ(磁気文字)を補正する。シートが搬送される基準搬送速度に対して、実際に搬送されるシートの搬送速度が速かった場合は、検出信号波形(磁気インク文字波形)をシート搬送方向に対して拡張するよう補正する。逆に遅かった場合は、シート搬送方向に対して縮小する方向に補正する。
図13は、ステップS1804で行う検出信号波形(磁気インク文字波形)の補正の一例を示す図である。シート搬送速度が基準搬送速度から低速に速度変動してしまった場合、(a)に示す磁気インク文字「8」の中部p3~p4のピーク位置が、(b)に示すように伸びてしまっていることが分かる。速度検知処理部51によって単位時間当たりの移動量が読み取られ、読み取った移動量と単位時間から搬送速度が検出されている。そのため、基準搬送速度に対するズレ量が算出できる。そして、そのズレ量に対する補正乗数をかけて、MICR制御部505がサンプリングした磁気インク文字波形を補正し、図13(c)に示すような補正された検出信号波形(磁気インク文字波形)を生成する。
ステップS1804において、磁気データ(磁気文字)の補正が終わると、ステップS1805に進む。一方、ステップS1801において、シート搬送速度の変動率が第一の閾値以下であると判断すると、図4で示した磁気文字波形のピーク位置p1~p6は補正されず、そのままステップS1805の磁気文字認識(MICR)処理に移る。
ステップS1805においては、補正したサンプリング波形をもとに磁気インク文字のデコード処理を行う。デコード処理は、図8において説明した手順で、磁気文字が認識される。出力波形を補正せずそのままデコード処理に移った場合、図8のステップS306で算出した距離の総和が大きくずれてしまい、未読になってしまう確率が高くなる。しかしながら、本実施形態のように、検出した速度変動の結果から磁気インク文字波形の補正を行うことで未読になる確率を大幅に下げることが可能となる。次に、ステップS1806において、文字認識が出来たか判断する。そして、文字認識が出来た場合、つまりステップS1806で判断がYESの場合、ステップS1807で結果を出力し、処理を終了する。一方、ステップS1806の判定結果で文字認識ができなかった場合、ステップS1808において、未読処理を行い、結果を出力して、処理を終了する。
<OCR処理>
次に、本実施形態における磁気インク文字の光学認識(OCR)処理に関して説明する。図6で説明したように、シートの搬送速度が基準値に対して第一の閾値を超える変動があった場合、OCR処理部22がOCR処理を行う際に、搬送速度の検知情報に応じてOCR辞書テーブル記憶部23に記憶されたテンプレートのメッシュ間隔を補正する。
次に、本実施形態における磁気インク文字の光学認識(OCR)処理に関して説明する。図6で説明したように、シートの搬送速度が基準値に対して第一の閾値を超える変動があった場合、OCR処理部22がOCR処理を行う際に、搬送速度の検知情報に応じてOCR辞書テーブル記憶部23に記憶されたテンプレートのメッシュ間隔を補正する。
ここで、OCR辞書テーブル記憶部23に記憶されている辞書データとしては、各文字の画像データのテンプレートが保存されている。前出の図3(b)は、文字「1」のテンプレート拡大図を示す。OCR処理部22は、画像データ処理部21から出力された磁気インク文字の画像データに対して、このテンプレートを参照して光学文字認識(OCR)処理を行う。具体的には取得した画像データの左上を座標起点とし、OCR辞書テーブルのテンプレート幅、高さ分の画像をOCR辞書テーブルの全てのテンプレートと比較し不一致率画素をカウントする。テンプレートとOCR辞書テーブルとの比較は、その後、縦方向、横方向に1ピクセルずつずらして繰り返し行われる。そして、不一致率のカウントが所定の数よりも小さいテンプレートが存在した場合に、文字を確定し認識結果を出力する。
図14は、本実施形態における、磁気インク文字のOCR補正方法を説明するためのフローチャートである。以下の説明において、各部材に付した符号は図5及び図6に示した符号を用い、詳細な説明は省略する。図14のステップS801において、シートの搬送速度の変動率が第一の閾値以下であると判断すると、テンプレートの幅は変更せずに、ステップS805に進み、通常通りOCR処理が施される。一方、ステップS801で搬送速度の変動率が第一の閾値を超えたと判断した場合、ステップS802において、シートのどの位置で速度変動があったか特定する。速度検知センサ109が検出する速度変動情報は、CPU31の割込み処理により一定間隔で取得されるため、レジストセンサ112(図5参照)などのシートの先頭情報が分かれば位置を特定することが可能である。
ステップS802で補正文字が特定されれば、ステップS803において、速度検知センサ109で検出した搬送速度を基に、OCR辞書テーブル記憶部23が有するテンプレートの補正率を決定する。そして、ステップS805において、テンプレートを変更する。ここで、シートが搬送される基準搬送速度に対して、速く搬送された場合はテンプレート間隔を拡張するよう補正し、逆に遅かった場合はシート搬送方向に対して縮小する方向にテンプレート間隔を補正する。
図15はステップS804における、テンプレートの補正を説明するための図である。図15(a)は正常に搬送された際に読み取られた文字「1」を、OCR辞書テーブル23が有するテンプレートに当てはめた図である。一方、図15(b)は低速搬送時に読み取られた文字「1」をテンプレートに当てはめた図である。更に、図15(c)は搬送速度に同期させてテンプレート間隔を補正した図である。例えば、磁気インク文字「1」の位置でシート搬送速度が基準搬送速度より低速に速度変動してしまった場合、磁気インク文字「1」の画像は伸びてしまう。そのため、テンプレートX軸方向の間隔L1を通常間隔のまま使用すると、図15(b)のようにテンプレート内の文字が埋まる領域が変わってきてしまう。
光学文字認識(OCR)処理は、取得した画像データの左上を座標起点とし、OCR辞書テーブルのテンプレート幅、高さ分の画像をOCR辞書テーブルの全てのテンプレートと比較し画素の不一致をカウントする。テンプレートとOCR辞書テーブルとの比較は、その後、縦方向、横方向に1ピクセルずつずらして繰り返し行われる。そして、不一致率のカウントが所定の数よりも小さいテンプレートが存在した場合に、その位置を文字の位置と認めるのだが、図17(b)の文字の場合、所定の数より小さいテンプレートが存在せず、未読となってしまう。
前述した通り速度変動率が第一の閾値を超えた磁気インク文字の位置と、速度変動率が特定されているので、図14のステップS804ではその文字を当てはめる際のテンプレート幅を搬送速度に応じて補正する。基準搬送速度に対するズレ量に対してテンプレートを補正し、図15(c)のようにテンプレート幅L1の補正を行い、ステップS805に進む。ステップS805においては、OCR処理は図3を用いて説明した手順で文字認識が行われる。次に、ステップS806において、文字認識が出来たか否かを判断する。ステップS806で文字認識ができた場合には、ステップS807において、結果を出力し、処理を終了する。一方、ステップS806において、文字が認識できなかった場合、ステップS808に進み、未読処理を行った後、ステップS807において、結果を出力し、処理を終了する。
本実施形態においては、OCR処理における搬送速度の変動率の閾値を、MICR処理の場合と同一の第一の閾値としたが、これらの閾値を異ならせても良い。つまり、OCR処理における閾値を第三の閾値とすると、第三の閾値を、第一の閾値と同じ値としても、異なる値としても良い。
<文字認識が出来ない場合の搬送制御>
本実施形態においては、搬送速度の変動率が第二の閾値よりも大きく、且つ、文字認識ができなかった場合には、通常の場合とは異なる搬送制御を行っている。ここで、第二の閾値は、第一の閾値よりも大きい値に設定されている。図16は、本実施形態における搬送制御の切り替えを説明するフローチャートである。以下の説明において、各部材に付した符号は図5及び図6に示した符号を用い、詳細な説明は省略する。
本実施形態においては、搬送速度の変動率が第二の閾値よりも大きく、且つ、文字認識ができなかった場合には、通常の場合とは異なる搬送制御を行っている。ここで、第二の閾値は、第一の閾値よりも大きい値に設定されている。図16は、本実施形態における搬送制御の切り替えを説明するフローチャートである。以下の説明において、各部材に付した符号は図5及び図6に示した符号を用い、詳細な説明は省略する。
図16のステップS2001において、シートの搬送速度の変動率が第二の閾値以下であると判断すると、ステップS2005に進み、搬送制御部506は切り替えフラッパ127を制御して通常の排紙ポケット(第1の排紙ポケット102)に排紙する。一方、シートの搬送速度の変動率が第二の閾値より大きいと判断した場合は、ステップS2002に進む。ステップS2002においては、磁気インク文字が認識できたか、つまりMICR処理で解読できたか判断する。そして、MICR処理で磁気インク文字が解読できたと判断すると、ステップS2005に進み、通常の排紙ポケット(第1の排紙ポケット102)に排紙する。一方、ステップS2002において、MICR処理で磁気インク文字が解読できなかったと判断すると、ステップS2003に進む。
ステップS2003において、搬送制御部506は切り替えフラッパ127を制御し、排紙ポケットをリジェクトポケット(第2の排紙ポケット103)に切り替えて排紙する。その後、ステップS2004において、エラー状態(警告)を報知手段508によってオペレータ(使用者)に報知するか判断する。ステップS2004において、報知する場合はステップS2006に進み、エラーメッセージを報知する。一方、ステップS2004において、報知しないと判断した場合は、そのまま処理を終了する。ステップS2006における報知方法については、液晶や、PCで実行しているアプリケーション内でエラーメッセージを表示しても良いし、LEDの点灯色や点滅間隔を変更して報知しても良い。また、第1及び第2の排紙ポケット102及び103を変更可能としても良い。つまり、第1及び第2の排紙ポケット102及び103のどちらを通常の排紙ポケットとし、どちらをリジェクトポケットとするかを、搬送スタート前に任意設定することが出来るようにしても良い。
<速度検知センサの構成>
本実施形態において、速度検知センサ109として、シートの搬送速度が検知できればどのようなセンサでも構わない。接触式のセンサとしては、例えばロール型のエンコーダを搬送ローラの軸に取り付けても良い。この場合、搬送ローラの回転に伴い、エンコーダから出力されるクロック(CLK)信号の周期から、速度変動を検知できる。他の方法として、円形の磁石とホール素子を利用し、シートを搬送した際に磁石が回転する構成とすることで、ホール素子から出力される信号を基にシートの挙動を検知する方法もある。
本実施形態において、速度検知センサ109として、シートの搬送速度が検知できればどのようなセンサでも構わない。接触式のセンサとしては、例えばロール型のエンコーダを搬送ローラの軸に取り付けても良い。この場合、搬送ローラの回転に伴い、エンコーダから出力されるクロック(CLK)信号の周期から、速度変動を検知できる。他の方法として、円形の磁石とホール素子を利用し、シートを搬送した際に磁石が回転する構成とすることで、ホール素子から出力される信号を基にシートの挙動を検知する方法もある。
非接触式のセンサとしては、赤外センサを搬送路に沿って上流から下流に向け複数個設置し、シート先端の移動を検知しても良い。ただ、この構成では、大きな配置面積を必要としたり、コスト高になることも考えられる。そのため、本実施形態では、速度検知センサ109として、トラッキングセンサを用いている。トラッキングセンサは、光学的にシートを撮像して得たシート画像の変化を追跡することによって、シートの搬送速度を検知するものである。トラッキングセンサはマウス等に使用されており、安価に構成できるので非接触の光学センサとしてより好ましい。ただ、トラッキングセンサに限らず、上述した速度検知センサを2つ以上組み合わせて用いることも出来る。また接触式センサと非接触式の光学センサを併用して、搬送速度の検出精度を向上するよう配置しても良い。
図17は、本実施形態で用いるトラッキングセンサの構成を説明するための図である。図17(a)に示すように、トラッキングセンサ311は、発光部302と、イメージングセンサ310を含んだ受光部311aと、集光レンズ303とで構成されている。そして、搬送路110(図5参照)と対向する位置に、受光部311aが実装されている基板400が、取り付けられている。基板には、発光部302と、受光部311aとが両方とも実装されていてもよいし、配置上別々の基板に実装してそれぞれ配置しても良い。ここで、イメージングセンサ310としては、エリアイメージセンサを使用している。発光部302には、赤外線レーザ光、またはLED光源を使用し、照射した光がシートなどによって反射する反射光を受光することでシートの表面画像を取得する。特に、レーザ方式を用いれば、より詳細にシートの移動量を検知可能となるため好適である。
トラッキングセンサは、追跡型センサとも呼ばれている。図17(a)に示すように、1つの検知領域内において、発光部302から搬送中のシート(原稿)に対して光を照射する。一方、シート(原稿)表面で反射した反射光をレンズ303で集光した後、撮像部311aで受光して得られる画像を所定のサンプリング周期で取得する。そして、当該画像に含まれる追跡対象域の移動を追跡し、その結果に基づいて、シート(原稿)の移動量又は移動方向を検知する。
図17(b)は、トラッキングセンサの電気ブロック構成を説明する図である。図17(a)に示す受光部311a内部で、TG(Timing Generator)131によりイメージングセンサ310を駆動して画像信号を取得する。そして、A/D変換ならびに画像信号を解析し、撮像対象物の搬送速度を検知する。トラッキングセンサの内部には、光源302、光源302の駆動部134、イメージングセンサ310、TG131、AFE(Analog Front End)132及びDSP(Digital Signal Processor)133が備えられている。DSP133から画像信号の取得開始をTG131に指示することで、TG131から各モジュールの動作に必要なパルスを出力する。駆動部134を経由し、光源302を点灯し、イメージングセンサ310が撮像対象のイメージ画像を取得する。AFE132にて取得した画像信号に対してA/D変換を実行し、デジタル画像信号に基づいてDSP133にて撮像対象物の移動量を検知する(いわゆるシステム・オン・チップ(SoC)になっている)。
他の実施形態としては、トラッキングセンサ311は画像信号の取得のみ行い、不図示の画像信号処理デバイスを別デバイスとして用意しても良い。この場合、この画像信号処理デバイスによって、A/D変換ならびに画像信号の解析を行い、撮像対象物の変位量または移動方向を検知する。本実施形態においては、所定の間隔ごとに撮像されたシートの画像(もしくは所定の変位量間隔に基づいた画像)を比較することによって変位量を判定して、特徴点を抽出している。そして、特徴点をもとにシートの移動量、または移動方向を検知することが可能となっている。また、トラッキングセンサ311によって取得した画像を、外部装置に送信し外部装置上で変位量の判定を行っても良い。その場合、外部装置を含めて変位量検出部を構成していると言える。その場合、外部装置における変位量の判定を行っている部分を含めて画像読取装置を構成していることとなる。
図18は、トラッキングセンサから得られる画像に対して信号処理を実行した画像の概略図を示す。ある時刻(t=0とする)に撮像された画像に対して、特徴点として抽出した点を黒マスで表わす。ここでは例として1マス=1画素(つまり、トラッキングセンサの画素数は5×5=25マス)としているが、複数の画素の平均値または特定の演算を行った後に代表して1マスを形成しても良い。この状態から時刻がt’だけ経過した時点で、トラッキングセンサが再び画像を取得して、黒マスを抽出する。そして、黒マス(特徴点)がどの様に移動しているかを比較して、時刻0からt’までの搬送移動量を算出することが可能である。シートの搬送速度は移動量と、任意の単位時間から導き出すことが可能である。
次に、速度検知センサ109にトラッキングセンサを使用した場合の速度検出方法に関して、図19を用いて説明する。以下の説明において、各部材に付した符号は図5及び図6に示した符号を用い、詳細な説明は省略する。トラッキングセンサは搬送路110内を一定の速度で搬送されるシート90の単位時間当たりの変位量を取得可能である。単位時間TR_tは任意に設定することが可能で、磁気データ検出部106が取得する磁気信号のピーク位置を検知できる分解能以上に設定することが望ましい。トラッキングセンサから出力される搬送移動情報TR_xと単位時間TR_tから、単位時間あたりに進んだ際の搬送速度TR_sが算出できる。つまり、距離と時間の関係からTR_s=TR_x/TR_tで表すことができる。単位時間TR_t間隔で搬送速度情報を算出することで、シート90の搬送状況を把握することが可能となる。
図19(a)は領域91に磁気インク文字の文字列が印字されたシート90を示す。ここで、領域91には、理解を容易にするため数値のみを示している。図19(b)はシート90が搬送された際の搬送速度TR_sをプロットしたグラフとなっており、搬送速度変動率が時間経過で示されている。搬送速度が安定している場合、搬送速度データはほぼ直線となるが、搬送ローラ対に挟まれる瞬間に速度が変動してしまうことがある。そのような速度変動があると、図19(b)で示されるように速度変動があった位置で波形に変動がみられる。図19(b)で示したグラフでは搬送速度変動信号がy軸上方向に振れた場合、搬送速度が速くなり、下方向に振れた場合、搬送速度が遅くなっていることを示している。
図19(c)はレジストセンサ112(図5参照)の出力信号である。搬送中のシートがレジストセンサ112にかかるとハイ(high)信号が出力されている。つまりレジストセンサ112がハイになった瞬間ts3が、搬送中のシートがレジストセンサにかかったタイミングとなる。ts3を基準としてそこから時間、またはエンコーダの出力信号CLKなどをカウントすることで、レジストセンサ112からシートがどれだけ移動したかが分かる。そして、図19(b)のように基準閾値を超える速度変動があった場合、磁気インク文字のどの位置で速度変動があったか、ts4から特定することが可能である。
b1の点線は速度変動に対する第一の閾値で、b2の点線が第二の閾値となっている。図19(b)の例では、磁気インク文字「8」の位置で、速度変動が第一の閾値b1を超えていることがわかり、その位置を特定することが可能となる。本実施形態では現象を分かりやすく説明するため、速度変動が第一の閾値を超えるポイントが1か所(位置92)しかない。ただ、経年劣化による搬送ローラの摩耗による影響で搬送制御がばらつくと、速度変動するポイントが増えてしまい、第一の閾値を超える領域が複数ポイント出ることもある。このような場合は発生したポイントごとに先に説明したように、磁気データ(検出信号波形)の補正を行う。また現象を分かりやすくするため、図19の実施例では速度変動が第二の閾値を超えるポイントを示していないが、第二の閾値を超えた場合は図16で説明した処理が実行される。
<エンコーダを用いた搬送速度検知>
次に、図5及び図6に示す速度検知センサ109として、エンコーダを使用した場合の速度検知方法と、磁気インク文字波形の補正方法について図20を用いて説明する。エンコーダとは、軸の回転(移動)方向、移動量、角度を検知するセンサで、移動量に応じてパルスを発生しパルスをカウントすることでシートの搬送速度を検知することができる。検知したシートの搬送速度から、先に説明したように磁気インク文字の読取を同期させ補正処理などを行うことが可能となる。
次に、図5及び図6に示す速度検知センサ109として、エンコーダを使用した場合の速度検知方法と、磁気インク文字波形の補正方法について図20を用いて説明する。エンコーダとは、軸の回転(移動)方向、移動量、角度を検知するセンサで、移動量に応じてパルスを発生しパルスをカウントすることでシートの搬送速度を検知することができる。検知したシートの搬送速度から、先に説明したように磁気インク文字の読取を同期させ補正処理などを行うことが可能となる。
本実施形態では、図21に示すように円形の薄い板に細かいスリットが刻まれた円盤280を、搬送路110に沿って配置している。そして、コの字型のフォトインタラプタなどの発光・受光センサ281を使って、円盤280のスリットの検知パルスを取得することで、シートの搬送速度を検知することができる。ここで、円盤280と発光・受光センサ281がエンコーダ283を構成する。本実施形態においては、この円盤280を、搬送ローラ201bと対向する従動ローラ201aと同位置に配置している(図5参照)。このことによって、シートが搬送された際に摩擦によって同期して回転し、磁気データ検出部106を通過する際のシートの搬送挙動をより精度良く検知することが可能となる。
エンコーダ283は、搬送路110内を一定の速度で搬送されるシートの速度に応じてクロック(CLK)信号を発生する。図20(a)は、磁気インク文字「8」が搬送された際のエンコーダ信号を示す。このエンコーダ信号から、p3、p4の間で速度変動が発生したことがわかる。このような速度変動があった場合、磁気インク文字波形は図13(b)のように伸びてしまう。そこで、シートの搬送速度が変動していない時に出力される、基準となるCLK周期に対するズレ量が、第一の閾値を超えた場合に補正処理に入る。速度変動率が第一の閾値を超えたと判断した際の補正シーケンスは、図12を用いて説明した手順で行われる。速度検知センサ109としてエンコーダを用いた場合においても、磁気インク文字波形の補正方法は同様の処理となる。エンコーダから出力されるCLK周期を検出し、基準CLKとのズレ量から補正値を算出することが可能である。
<速度検知センサの配置>
次に速度検知センサ109の配置に関して図22を用いて説明する。図22において、図5及び図6と同一の部材には、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。速度検知センサはシートの搬送速度が測定できればよいので、搬送路110のどこに配置しても構わない。しかし、前述した通り速度検知センサ109は、磁気データ検出部106の信号と同期させる目的で配置しているため、磁気データ検出部106の近傍で、できるだけ搬送中のシートの速度変動の影響が少ない位置に配置されるのが理想である。
次に速度検知センサ109の配置に関して図22を用いて説明する。図22において、図5及び図6と同一の部材には、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。速度検知センサはシートの搬送速度が測定できればよいので、搬送路110のどこに配置しても構わない。しかし、前述した通り速度検知センサ109は、磁気データ検出部106の信号と同期させる目的で配置しているため、磁気データ検出部106の近傍で、できるだけ搬送中のシートの速度変動の影響が少ない位置に配置されるのが理想である。
図22(a)において、搬送ローラ201a及び201bが第1搬送ローラ対を構成し、搬送ローラ202a及び202bが第2搬送ローラ対を構成する。この第1及び第2ローラ対に、シートの前方、後方が挟まれた状態になると、搬送時の速度変動が起こりにくく、シートの搬送速度を正確に測定することが可能となる。そのため、図22(a)のように搬送ローラ対間L1内に速度検知センサ109を配置することで、この条件を満たすことができる。また速度検知センサ109を、磁気データ検出部106よりも搬送方向の上流側に配置することで、シートの搬送速度の検出を磁気インク文字のデコード処理より早く処理することができるため、装置の高速化に繋げることが可能である。
また速度検知センサ109で検知した速度情報をもとに、磁気データ検出部106で読み取った全磁気情報のデコード時に精度高く補正をかける場合、次の条件を満たすことが望ましい。つまり、シートに印字された磁気インク文字列の先頭文字が磁気データ検出部106に読まれているタイミングで、速度検知センサ109がシートの搬送速度を検知できる位置にあり、且つ、シートに印字された磁気インク文字列の最後尾の文字が磁気データ検出部106に読まれているタイミングで、速度検知センサ109がシートの搬送速度を検知できる位置にあることが望ましい。つまり、これらのタイミングの間の期間、搬送速度を検知できるように配置されていることが望ましい。図22(b)は磁気インク文字列の先頭文字が磁気データ検出部106にかかった瞬間と、磁気インク文字列の最後尾の文字が磁気データ検出部106にかかった瞬間を示した図である。図22(b)のL2に示す範囲間に、速度検知センサ109を配置することで上記の条件を満たすことができ、デコード処理の補正精度を向上させることが可能となる。
以上、本発明の一実施形態を詳細に説明したが、本発明はこの実施形態に限ることなく、種々の変形、応用が可能である。例えば、先述の実施形態では、磁気データ補正処理部18、MICR処理部13を情報読取装置300の本体に設けたが、情報読取装置では磁気データの検出のみ行い、この磁気データの補正及びMICR処理を、情報読取装置に接続されたホスト装置301で行うようにしても良い(図6参照)。同様に、情報読取装置300から画像データを送り、OCR処理をホスト装置301で行うようにしても構わない。上記のような場合には、情報読取装置300及びホスト装置301を含むシステムが、本発明の情報読取装置を構成することになる。
また、先述の実施形態では、画像読取センサ108、OCR処理部22を備えた情報読取装置を説明したが(図6参照)、このようなOCR処理機能を備えず、磁気データのみから磁気インク文字の認識を行う情報読取装置に対しても、本発明を適用可能である。本発明は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、このような種々の改良や変更を行った情報読取装置を全て包含するものである。
13 磁気インク文字認識(MICR)処理部
22 光学文字認識(OCR)処理部
106 磁気データ検出部
108 画像読取センサ
109 速度検知センサ
22 光学文字認識(OCR)処理部
106 磁気データ検出部
108 画像読取センサ
109 速度検知センサ
Claims (9)
- 磁気インク文字が印字されたシートを搬送路に沿って搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送されるシートの搬送速度を検知する搬送速度検知手段と、
前記搬送路を搬送されているシートに印字された磁気インク文字の磁気データを検出し、検出信号波形を出力する磁気データ検出手段と、
前記磁気データ検出手段から出力された検出信号波形を、前記搬送速度検知手段で検知された搬送速度に基づいて補正する磁気データ補正手段と、
前記磁気データ補正手段で補正された検出信号波形から前記シートに印字された磁気インク文字を認識する磁気インク文字認識手段と
を備えた情報読取装置。 - 更に、前記磁気データ補正手段及び磁気インク文字認識手段を制御する制御手段を有し、前記制御手段は、前記搬送速度検知手段で検知された搬送速度の基準値に対する変動率が予め定められた第一の閾値を超えた場合に、前記磁気データ補正手段で補正された検出信号波形から磁気インク文字を認識させ、前記変動率が前記第一の閾値以下であった場合に、磁気データ補正手段で補正されていない検出信号波形から磁気インク文字を認識させる請求項1に記載の情報読取装置。
- 更に、前記情報読取装置を使用する使用者に警告を報知する報知手段を有し、前記制御手段は、前記変動率が前記第一の閾値より大きい第二の閾値を超えた場合に、前記報知手段で使用者に警告を報知する請求項2に記載の情報読取装置。
- 更に、前記搬送路を搬送されたシートが排紙される第1及び第2の排紙ポケットを有し、前記制御手段は、前記変動率が前記第一の閾値より大きい第二の閾値を超え、且つ、前記磁気インク文字認識手段において文字認識ができなかった場合に、前記第2の排紙ポケットにシートを排紙するよう前記搬送手段を制御し、前記変動率が前記第二の閾値以下、又は、前記磁気インク文字認識手段において文字認識ができた場合に、前記第1の排紙ポケットにシートを排紙するよう前記搬送手段を制御することを特徴とする請求項2又は3に記載の情報読取装置。
- 前記シートには、前記シートが搬送される搬送方向に沿って磁気インク文字の文字列が印字されており、前記搬送方向における前記文字列の先頭文字が前記磁気データ検出手段で検出されるタイミングと、前記搬送方向における前記文字列の最後尾の文字が前記磁気データ検出手段で検出されるタイミングとの間の期間、前記シートの搬送速度が検知可能な位置に前記搬送速度検知手段が配置されている請求項1~4のいずれか一項に記載の情報読取装置。
- 前記搬送手段は、前記シートをそれぞれのローラの間を通過させることによって搬送を行う2組の搬送ローラ対を有し、これらの搬送ローラ対は、前記シートが搬送される搬送方向に沿った上流側及び下流側のそれぞれに配置されており、前記搬送速度検知手段は、前記搬送方向において、これらの搬送ローラ対の間の搬送路に面して設けられている請求項1~5のいずれか一項に記載の情報読取装置。
- 前記搬送速度検知手段は、前記シートが搬送される搬送方向において、前記磁気データ検出手段よりも上流の前記搬送路に面して設けられている請求項1~6のいずれか一項に記載の情報読取装置。
- 前記搬送速度検知手段は、前記シートを撮像して得たシート画像の変化を追跡することによって前記搬送速度を検知するトラッキングセンサを含む請求項1~7のいずれか一項に記載の情報読取装置。
- 更に、前記シートに印字された磁気インク文字を光学的に読み取り、画像データを出力する光学読取手段と、前記光学読取手段から出力された画像データから前記磁気インク文字を認識する光学文字認識手段とを有し、前記搬送速度検知手段で検知された搬送速度の基準値に対する変動率が予め定められた第三の閾値を超えた場合に、前記搬送速度検知手段で検知された搬送速度に基づく補正を行って、前記光学文字認識手段に前記磁気インク文字の認識を行わせる請求項1~8のいずれか一項に記載の情報読取装置。
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Applications Claiming Priority (1)
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JP2022013328A Pending JP2023111459A (ja) | 2022-01-31 | 2022-01-31 | 情報読取装置 |
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