JP2023106872A - 魚釣用電動リール - Google Patents

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Abstract

【課題】高速回転と低速回転の速度差を大きくすることができ、最高速度を維持しつつ、巻上トルクをより大きくできる。【解決手段】入力軸に回転不能に固定された第1太陽ギア21に噛み合う第1遊星ギア22と、第1遊星ギア22に噛み合う第1リングギア23と、第1遊星ギア22を支持する第1キャリア24と、第1キャリア24に一体に設けられた第2リングギア25と、第2リングギア25に噛み合う第2遊星ギア26と、出力軸29に固定され第2遊星ギア26に噛み合う第2太陽ギア27と、第2遊星ギア26を支持する第2キャリア28と、を有し、第2遊星ギア26は、第2リングギア25に噛み合う第1ピニオン26Aと、第2太陽ギア27に噛み合う第2ピニオン26Bと、からなり、第2キャリア28のモータ軸周りの回転を固定状態と解除状態とに選択的に切り換える切換部が設けられた構成の魚釣用電動リールを提供する。【選択図】図3

Description

本発明は、魚釣用電動リールに関する。
従来、魚釣りで使用される電動リールにおいて、釣りの状況に応じた巻き取り操作を行うことを目的として、モータからの回転速度を変速してスプールに伝達する電動リールの変速機構を備えている(例えば、特許文献1参照)。このような変速機構としては、モータへの電流量を制御してモータ出力の増減調節を行ない、これによってスプールの回転速度を変化させる電気式の変速装置が一般的に知られている。
一方で、モータの回転を減速する遊星ギアからなる減速機構の駆動系統の一部を外部操作によりON/OFFして、噛み合う歯車のギア比を変化させることにより、スプールの回転速度を機械的に低速回転と高速回転の2段階に切り換える機械式の変速装置も知られている。
特開2006-174825号公報
しかしながら、上述した特許文献1に示されるような従来の電動リールの変速機構では、噛み合う歯車のギア比を高速状態に設定するか低速状態に設定するかによって、低速回転時にトルクが不足したり、高速巻取り性能が低下していた。すなわち、高トルクで且つハイスピードの巻取り性能を得ることが求められている。例えば太陽ギアを固定する方式の場合には、切り換え時にモータの停止が生じないものの、高速回転時と低速回転時の速度差を大きくすることが困難であり、上述したような高トルクで且つハイスピードとなる目的を達成できないという問題があった。
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、高速回転と低速回転の速度差を大きくすることができ、最高速度を維持しつつ、巻上トルクをより大きくできる魚釣用電動リールを提供することである。
(1)本発明に係る魚釣用電動リールは、スプールの回転速度を高速回転と低速回転とに切り換える変速機構を備えた魚釣用電動リールであって、前記変速機構は、モータ入力側に配置される第1動力伝達歯車機構と、前記第1動力伝達歯車機構に接続されモータ出力側に配置される第2動力伝達歯車機構と、を備え、前記第1動力伝達歯車機構は、入力軸に回転不能に固定された第1太陽ギアと、前記第1太陽ギアに噛み合う第1遊星ギアと、リールボディに固定され前記第1遊星ギアに噛み合う第1リングギアと、前記第1遊星ギアを支持する第1キャリアと、を有し、前記第2動力伝達歯車機構は、前記第1キャリアに一体に設けられた第2リングギアと、前記第2リングギアに噛み合う第2遊星ギアと、出力軸に固定され前記第2遊星ギアに噛み合う第2太陽ギアと、前記第2遊星ギアを支持する第2キャリアと、を有し、前記第2遊星ギアは、互いに噛み合う一対のピニオンであり、前記一対のピニオンは、前記第2リングギアに噛み合う第1ピニオンと、前記第2太陽ギアに噛み合う第2ピニオンと、からなり、前記第2キャリアのモータ軸周りの回転を固定状態と解除状態とに選択的に切り換える切換部が設けられたことを特徴としている。
本発明に係る魚釣用電動リールによれば、第2動力伝達歯車機構において第2キャリアに支持される第2遊星ギアをダブルピニオンとし、一方の第1ピニオンが第2リングギアに噛み合い、他方の第2ピニオンが第2太陽ギアに噛み合う構成とし、さらに第2キャリアが切換部によって回転可能な状態と回転不能な状態とを切り換えることができる。これにより、切換部によって第2キャリアを固定して回転不能な状態にした場合には、モータの回転の入力軸の回転速度は第1動力伝達歯車機構によって減速され、その減速された回転速度が伝達された第2リングギアから第2遊星ギアに伝達される。このとき、第2遊星ギアの回転数は増大する。すなわち、ダブルピニオンをなす第2遊星ギアは、第2キャリアが回転不能で固定されていて公転しないため、第2リングギアの回転速度よりも増速された状態で回転する。具体的には、ダブルピニオンをなす第2遊星ギアは、第2リングギアから第2太陽ギアに回転力を伝達し、第2リングギアと第2太陽ギアの歯数差によるギア比によって回転速度を増速させる。これにより、第2太陽ギアの回転力は、減速されることなく高速回転で第2太陽ギアに固定される出力軸に伝達される。本発明では、切換部によって第2キャリアの回転不能な状態に機械的に固定することにより、高速回転となる最高速度を維持しつつ、巻上トルクをより大きくでき、釣りの操作性を向上することができる。
また、切換部によって第2キャリアを回転可能な状態にした場合には、モータの回転の入力軸の回転速度は第1動力伝達歯車機構によって減速され、その減速された回転速度が伝達された第2リングギアから第2遊星ギアに伝達される。このとき、第2遊星ギアの回転数は増大する。そして、ダブルピニオンをなす第2遊星ギアは、第2キャリアが回転可能であるので、第1ピニオン及び第2ピニオンの回転が伝達され、第2遊星ギアは第2リングギアに沿って公転するため、第2リングギアの回転速度と同等の状態で回転する。そして、第2遊星ギアの回転力は、第2キャリアによって減速されることなく、第2ピニオンに噛み合う第2太陽ギアにほぼ同じ回転速度に減速されて伝達される。これにより、第2太陽ギアの回転力は、低速回転で第2太陽ギアに固定される出力軸に伝達される。
このように、本発明では、第2動力伝達歯車機構の第2遊星ギアをダブルピニオンとすることにより高速回転と低速回転の速度差を大きくすることができる。
(2)前記切換部と前記切換部を操作するための切換操作部とは、前記スプール内に釣り糸を均一に巻き付けるためのレベルワインド機構のレベルワインドシャフトを使用して連結されていることを特徴としてもよい。
この場合には、切換部と切換部を操作するための切換操作部とを連結する連結シャフトにレベルワインドシャフトを兼用することで、魚釣用電動リール内における連結シャフトの配置や形状の制約を受けることを抑制でき、スペース効率を高めることができる。
(3)前記切換部を操作するための切換操作部が駆動モータの速度調整部材に備えられていることを特徴としてもよい。
この場合には、駆動モータの速度調整部材に切換部を操作するための切換操作部が搭載されているので、共有化を図ることができ、スペース効率を高めることができる。
本発明に係る魚釣用電動リールによれば、高速回転と低速回転の速度差を大きくすることができ、最高速度を維持しつつ、巻上トルクをより大きくできる。
本発明の実施形態による電動リールの全体構成を示す一部省略した斜視図である。 モータを備えた変速機構の縦断面図である。 図2に示す変速機構の要部拡大図である。 ストッパ固定台の構成を示す斜視図である。 図2に示す変速機構を斜め左から見た斜視図である。 図5に示すA-A線矢視図である。 図5に示すB-B線断面図であって、変速機構の断面斜視図である。 変速機構、変速切換機構及びスプールの関係を示す斜視図である。 変速切換機構の構成を示す一部破断した斜視図である。 変速切換機構の変速切換操作スイッチの構成を示す斜視図である。 高速回転および低速回転における回転力伝達経路を簡略化した模式図である。 変速機構による高速回転時の第1遊星ギアと第2遊星ギアの回転数の変化の一例を示した図である。 変速機構による低速回転時の第1遊星ギアと第2遊星ギアの回転数の変化の一例を示した図である。
以下、本発明に係る魚釣用電動リールの実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において、各構成部材を視認可能な大きさとするために必要に応じて各構成部材の縮尺を適宜変更している場合がある。
図1及び図2に示すように本実施形態の魚釣用電動リール(以下、単に電動リール1という)は、外部電源から供給された電力により駆動されるとともに、手巻きの両軸受リールとして使用するときの電源を内部に有している。
電動リール1は、釣り竿に装着可能なリール本体10と、リール本体10に対してハンドル軸14回りに回転可能に取り付けられたハンドル(図示省略)と、リール本体10に対してハンドル軸14と平行な軸回りに回転可能で図示しない釣糸が巻かれるスプール3と、リール本体10に設けられ、スプール3に回転駆動力を伝達するモータ4と、スプール3とハンドルとを連結する連結状態及び遮断する遮断状態を切り換え可能なクラッチ機構5と、モータ4の回転駆動力を減速させてスプール3に伝達する変速機構20(図2参照)と、を備えている。ハンドルのトルクは、クラッチ機構5がクラッチオンされた状態においてスプール3に直接伝達される。
ここで、本実施形態では、ハンドル軸14、スプール3の回転軸、及びモータ4のモータ回転軸41(モータ軸O、図2参照)は、それぞれ平行に設けられ、これらの方向を必要に応じて左右方向X1として定義すると共に、左右方向X1に直交すると共にスプール3に巻かれた釣糸が繰り出される方向に沿う方向を前後方向X2として定義する。また、前後方向X2においてスプール3から釣糸が繰り出される方向を前方、その反対方向を後方と定義すると共に、電動リール1を後方側から見た視点で左右を定義する。なお、図1は電動リール1を上斜め後方から見た斜視図である。
(リール本体)
リール本体10は、本体フレーム11と、本体フレーム11の一部を覆うカバー(図示省略)と、本体フレーム11の上側に位置し、釣り糸の先端に装着可能な仕掛けの水深を表示可能な液晶ディスプレイを有する水深表示部17と、を備えている。
本体フレーム11は、例えば合成樹脂又は金属製の一体形成された部材である。本体フレーム11は、左右方向X1に所定の間隔をあけて配置された右側板11A及び左側板11Bと、右側板11Aと左側板11Bを連結する複数の連結部材11Cと、を有している。右側カバーは、右側板11Aの外方を覆うように右側板11Aと一体形成されている。左側カバーは、左側板11Bの外方を覆うように左側板11Bに固定されている。右側板11Aと右側カバーとの間には、後述する各種機構を収納するための空間が形成されている。
右側板11A及び左側板11Bには、スプール3のスプール回転軸(図示省略)の端部が回転自在に支持された状態で装着されている。
連結部材11Cは、板状をなし、右側板11A及び左側板11Bの下部を連結する。連結部材11Cのうちの1つには、左右方向X1の略中央部分に釣り竿に取り付けるための釣り竿装着部15が装着されている。
複数の連結部材11Cは、右側板11A及び左側板11Bと一体で形成された板状の部材であり、リール本体10の上部、下部及び後部の3箇所で右側板11A及び左側板11B連結している。このような連結部材11Cを設けることで、リール本体10に大きな荷重が作用しても撓み等の変形が生じがたく、巻上げ効率の低下が抑制される。下部の連結部材11Cには竿取付脚が固定され、後部の連結部材11Cにはリールを釣り竿とともに保持するための合成樹脂製のサムレストが装備されている。
右側板11A及び右側カバーは、側面から見て、メインギア軸(図示省略)の装着部分を中心に軸方向外方にも膨出した略楕円形状をなしている。左側板11B及び左側カバーは、側面から見て円形をなしている。
右側カバーは、右側板11Aを所定の収容空間を設けて覆い、右側板11Aの外縁部に例えばネジ止めされている。左側カバーは、左側板11Bを所定の収容空間を設けて覆い、左側板11Bの外縁部に例えばネジ止めされている。
(スプール)
スプール3は、右側板11Aと左側板11Bとの間でそれぞれ軸受(図示省略)を介して回転自在に設けられている。スプール3は、回転可能な筒状の糸巻胴部32と、糸巻胴部32の両端に径方向の外側に向けて拡径されたフランジ部33と、を備えている。スプール3は、回転中心が図2に示す出力軸29およびモータ回転軸41と平行に配置され、右側板11A及び左側板11Bに軸受を介して糸巻胴部32とともに回転自在に各別に支持されている。スプール3の一端側には、後述する変速機構20の出力軸29と伝達する駆動歯車34(図8参照)が回転不能な状態で嵌合されている。
スプール3は、モータ4が駆動されてモータ回転軸41が回転されると、その回転力が変速機構20の出力軸29(後述する)からスプール駆動機構(駆動歯車34等)を介して回転駆動され、クラッチ操作部材50によって駆動されるクラッチ機構5が連動している。つまり、モータ4の回転力は、変速機構20で変速されてスプール3を回転させる。
(クラッチ機構)
クラッチ機構5は、クラッチ操作部材50の操作によってハンドルの回転をスプール3に伝達可能なクラッチオン状態と、ハンドルの回転をスプール3に伝達不能なクラッチオフ状態とに切換可能である。クラッチオン位置では、ピニオンギアの回転がスプール3に伝達され、クラッチオン状態になり、ピニオンギアとスプール3とが一体回転可能になる。また、クラッチオフ位置では、ピニオンギアの回転がスプール3に伝達されないため、クラッチオフ状態になり、スプール3は自由回転可能になる。
(クラッチ操作部材)
クラッチ操作部材50は、図1に示すように、クラッチ機構5をクラッチオン状態とクラッチオフ状態とに切り換え操作するためのものである。クラッチ操作部材50は、リール本体10の後部において、右側板11Aと左側板11Bとの間でリール本体10の後部に釣り竿装着部15に対して接近及び離反する方向に移動可能に設けられている。
(スプール駆動機構)
上述したスプール駆動機構は、スプール3を糸巻取方向に駆動するとともに、巻き取り時にスプール3に対してドラグ(図示省略)によりドラグ力を発生させて釣糸の切断を防止する。
ドラグは、ハンドルのハンドルアームと右側カバーとの間においてハンドル軸14に同軸に設けられている。スプール駆動機構は、後述するローラクラッチ24Aの形態の逆転防止部によって糸巻取方向の回転が禁止された上記のモータ4と、モータ4の回転を減速してスプール3に伝達したり、ハンドルの回転を増速してスプール3に伝達する回転伝達機構と、を備えている。
(モータ)
モータ4は、図1に示すように、電動リール1の前部においてスプール3(図1参照)よりも前側に配置され、筒状のモータ収容体40(図2参照)に収容されている。モータ4は、モータ回転軸41と、筐体を有するモータ本体42と、モータ本体42を収容するモータケース43と、を有している。なお、図2では、モータ4の積層コア(コイル)が省略されている。
モータ4のモータ回転軸41の回転力は、後述する変速機構20を介して、スプール3に接続される出力軸29に伝達される。すなわち、出力軸29は、モータ4から回転力を得て回転駆動される。
図2に示すように、モータ回転軸41は、モータ本体42の中心部をモータ軸O方向に貫通し、モータ回転軸41の一端(紙面左側)の軸先端部41a及び他端(紙面右側)の軸基端部41bがそれぞれモータケース43に対して軸受45を介して回転可能に支持されている。モータ4は、モータケース43内が閉塞されている。
ここで、モータ軸Oにおいて、モータ回転軸41の軸先端部41a側を先端側、軸基端部41b側を基端側として以下説明する。
モータ回転軸41の軸先端部41aには、後述する第1太陽ギア21が回転不能に挿通された状態で固定されている。第1太陽ギア21よりさらに突出したモータ回転軸41の軸先端部41aには、第1キャリア24の内周面との間に、第1キャリア24を回転可能に支持するキャリア軸受部245が設けられている。さらに、モータ回転軸41の先端部には、軸受を介して出力軸29に連結されている。すなわち、モータ回転軸41と出力軸29とは、一体ではなく、別々な回転数で回転する。
(変速機構)
図3に示すように、変速機構20は、モータ4の回転駆動力を減速させてスプール3に伝達し、スプール3(図1参照)の回転速度を高速回転と低速回転との間で切り換えるものである。
変速機構20は、モータ入力側に配置される第1動力伝達歯車機構20Aと、第1動力伝達歯車機構20Aに接続されモータ出力側に配置される第2動力伝達歯車機構20Bと、を備えている。
第1動力伝達歯車機構20Aは、入力軸であるモータ回転軸41に固定された第1太陽ギア21と、第1太陽ギア21に噛み合う第1遊星ギア22と、リール本体10に固定され第1遊星ギア22に噛み合う第1リングギア23と、第1遊星ギア22を支持する第1キャリア24と、を有している。
第1太陽ギア21は、モータ回転軸41の軸先端部41aに同軸に固定されている。第1太陽ギア21には、3つの第1遊星ギア22が噛合している。
第1遊星ギア22は、それぞれの遊星ギア支持軸221の一端221aが第1キャリア24に支持されている。これら第1遊星ギア22は、軸受223を介して遊星ギア支持軸221回りに回転可能に設けられている。また、これら3つの第1遊星ギア22は、第1リングギア23の内周歯車231に噛み合っている。
第1リングギア23は、モータ回転軸41と同軸に設けられ、3つの第1遊星ギア22をリング内周面で噛み合う内周歯車231を有している。第1リングギア23は、モータ収容体40(図1参照)に回転不能な状態で嵌合されている。これにより第1遊星ギア22は、それぞれが第1太陽ギア21の回転によって自転しながら内周歯車231に沿って周回移動される。
第1キャリア24は、3つの第1遊星ギア22の遊星ギア支持軸221を支持するとともに、第1遊星ギア22が噛み合う第1リングギア23に沿って周回する移動に伴ってモータ回転軸41を中心にして回転して第2リングギア25に回転駆動力を伝達する。
第1キャリア24は、支持壁241と、筒部242と、フランジ部243と、から有頂筒状をなしている。第1キャリア24は、円板状の頂壁をなす支持壁241をモータ4側に向け、支持壁241の中心がモータ回転軸41と同軸になるように配置されている。
支持壁241は、中心部に軸孔241aが設けられ、軸孔241aがキャリア軸受部245を介してモータ回転軸41に対して回転可能に支持されている。第1キャリア24は、第1太陽ギア21の回転とは異なる回転数で回転される。支持壁241は、3つの第1遊星ギア22の遊星ギア支持軸221を支持する。遊星ギア支持軸221は、円形の支持壁241の周方向に等間隔で配置されている。遊星ギア支持軸221に支持される第1遊星ギア22は、第1太陽ギア21回りに等間隔に支持されている。筒部242は、支持壁241の外周縁から左側に向けて延在し、出力軸29が嵌合させる筒状体を嵌合する。フランジ部243は、軸方向からみてリング状をなし、筒部242の左端部全周から径方向外側に向けて突出している。フランジ部243の外周部には、後述する第2リングギア25に一体的に接続されている。すなわち、第1キャリア24の回転は、同じ回転速度で第2リングギア25に伝達される。
図2及び図3に示すように、ローラクラッチ24Aは、第1キャリア24に圧入された状態で収容され、第1キャリア24と出力軸29との間で動力を一方向に伝達するように構成されている。すなわち、ローラクラッチ24Aは、モータ回転軸41と出力軸29との間で動力を一方向に伝達するように構成されている。
スプール3における釣糸繰り出し方向への回転により負荷が掛かって出力軸29が遅くなるときに、ローラクラッチ24Aを介して出力軸29及び第2太陽ギア27に動力を伝達する。これにより、スプール3は釣糸繰り出し方向に回転しない。一方、スプール3が釣糸巻取り方向に回転すると、ローラクラッチ24Aは、第1キャリア24と出力軸29との間で動力を伝達しない。この結果、スプール3は、釣糸巻き取り方向に回転する。
ここで、ローラークラッチ246の形態の逆転防止部について説明する。図3及び図4に示すように、第1リングギア23の左側面23bには、ストッパ固定台44が設けられている。ストッパ固定台44は、第1リングギア23より内径が小さいリング形状をなし、第1キャリア24の筒部242の外側に嵌合している。ストッパ固定台44の左面44aには、回動可能なストッパツメ441が備えられている。ストッパツメ441は、ストッパ固定台44の内空側に向けて回動したときに、第1キャリア24の筒部242の外周面に係合し、第1キャリア24と一体に回転可能となる。そして、ストッパ固定台44を設けることにより、第1リングギア23の左右方向X1の移動が規制される。ストッパ固定台44の内周面44bには、3つの第1遊星ギア22の歯先が干渉しないように第1遊星ギア22の外径に沿った3つの凹部44cが形成されている。このように凹部44cを設けることによりストッパ固定台44の肉厚を確保することができ、これによりストッパツメ441を左面44aに組み込むことができる。
図3、図5~図7に示すように、第2動力伝達歯車機構20Bは、第1キャリア24に一体に設けられた第2リングギア25と、第2リングギア25に噛み合う複数組(ここでは3組)の第2遊星ギア26と、出力軸に固定され第2遊星ギア26に噛み合う第2太陽ギア27と、第2遊星ギア26を支持する第2キャリア28と、を有している。なお、図7では、モータ4の積層コア(コイル)が省略されている。
第2太陽ギア27は、出力軸29の軸中間部29bに同軸に回転不能な状態で固定されている。第2太陽ギア27には、3組の第2遊星ギア26が噛合している。
第2リングギア25は、出力軸29(モータ回転軸41も同様)と同軸に設けられ、3組の第2遊星ギア26をリング内周面で噛み合う内周歯車251を有している。第2リングギア25は、前端部が第1キャリア24のフランジ部243の外周部に回転不能な状態で一体的に固定されている。これにより第2遊星ギア26は、それぞれが自転しながら内周歯車251に沿って周回移動される。
第2遊星ギア26は、それぞれの遊星ギア支持軸261の両端部が第2キャリア28に支持されている。これら第2遊星ギア26は、軸受263を介して遊星ギア支持軸261回りに回転可能に設けられている。また、これら3組の第2遊星ギア26は、第2リングギア25の内周歯車251に噛み合っている。
第2遊星ギア26は、互いに噛み合う一対のピニオン26A、26Bから構成されている。一対のピニオンは、第2太陽ギア27に噛み合う第1ピニオン26Aと、第2リングギア25に噛み合う第2ピニオン26Bと、からなる。第1ピニオン26Aと第2ピニオン26Bとは、それぞれの外径が同一(ギア比が同一)に設定されている。
第2キャリア28は、3組の第2遊星ギア26の第1ピニオン26Aと第2ピニオン26Bのそれぞれの遊星ギア支持軸261を支持するとともに、各第2遊星ギア26の第1ピニオン26Aが噛み合う第2リングギア25に沿って出力軸29を中心にとした周回移動に伴って第2太陽ギア27に回転駆動力を伝達する。第2キャリア28は、第2太陽ギア27の回転とは異なる回転数で回転される。
図3に示すように、第2キャリア28は、一対の支持壁281、282と、筒部283と、を備えている。第2キャリア28は、円板状の一対の支持壁281、282をモータ4側(第1動力伝達歯車機構20A側)に向け、これら一対の支持壁281、282の中心が出力軸29と同軸になるように配置されている。
第1支持壁281及び第2支持壁282は、それぞれ軸方向から見てリング状に形成されている。第1支持壁281は、筒部283の前端に設けられている。第2支持壁282は、遊星ギア支持軸261を介して第1支持壁281に固定され、第1支持壁281の前方に間隔をあけて平行に配置されている。第1支持壁281と第2支持壁282とは、6本の遊星ギア支持軸261によって一体的に連結されている。
第1支持壁281と第2支持壁282との間に第2遊星ギア26が配置されている。2本1組の遊星ギア支持軸261は、円形の第1支持壁281及び第2支持壁282のそれぞれの周方向に等間隔で配置されている。遊星ギア支持軸261に支持される第2遊星ギア26は、第2太陽ギア27回りに等間隔となるように支持されている。そして、各遊星ギア支持軸261には、軸受263によって第2遊星ギア26(第1ピニオン26A、第2ピニオン26B)が回転可能に支持されている。筒部283は、第1支持壁281の内周縁から後方に向けて延在し、出力軸29との間に介在される軸受291、292によって回転可能に設けられている。
ここで、出力軸29は、後述するリング板61から突出してスプール3に回転を伝達する。
(変速切換機構)
図3、図8及び図9に示すように、本実施形態による変速機構20は、第2キャリア28の回転を高速回転と低速回転とに切り換える変速切換機構6を有している。つまり、変速機構20では、第2キャリア28が固定されて回転停止状態のときには高速回転となり、第2キャリア28の固定が解除されて回転自在な状態のときには低速回転となる。
変速切換機構6は、第2キャリア28の筒部283の先端部に周方向に回転不能に嵌合し、外周面に切り欠かれたラチェット爪歯61a(図8参照)を有するリング板61と、ラチェット爪歯61aに噛み合うことにより係止可能な切換ストッパ62(切換部)と、切換ストッパ62をラチェット爪歯61aに対して係止位置と解除位置とを切り換える操作を行う変速切換操作スイッチ63(切換操作部、図8参照)と、切換ストッパ62と変速切換操作スイッチ63とを連結する連結シャフト64と、を備えている。
リング板61は、第2キャリア28と同軸に設けられ、第2キャリア28とともに一体的に回転可能である。ラチェット爪歯61aに切換ストッパ62が係止したときには、リング板61とともに第2キャリア28の回転が停止される。ラチェット爪歯61aから切換ストッパ62が外れたときには、リング板61とともに第2キャリア28が回転する。
図8及び図10に示すように、変速切換操作スイッチ63は、リール本体10の右側カバーの外側に配置され、モータ4の速度調整の操作を行うためのレバースイッチ46(速度調整部材)の軸状部に嵌合された状態で搭載されている。
レバースイッチ46は、ハンドル側の右側板11A(図1参照)の前方に配置され、所定の回転角度の範囲で回転操作可能に設けられている。レバースイッチ46は、回転操作によるポテンショメータの抵抗値の変化が、リール本体10の制御部(図示省略)に入力される。そして、レバースイッチ46の操作量に応じて、モータ4のモータ出力をモータ停止状態から高出力値まで連続的に増減調節できる構成になっている。
変速切換操作スイッチ63は、回転式であり、係止位置と解除位置とを選択的に切り換え操作が可能である。変速切換操作スイッチ63は、回転中心から半径方向外側に離れた部分で連結シャフト64の一端64aに固定されている。
なお、変速切換操作スイッチ63は、例えば切欠部を設けて、その切欠部から変速機構20による切換えモード(モータ4の回転速度)を表示(例えば、高速回転、低速回転など)するようにしてもよい。
連結シャフト64の他端64bには、連結シャフト64の径方向外側に突出する切換カム66が固定されている。
ここで、本実施形態の連結シャフト64は、スプール3内に釣り糸を均一に巻き付けるためのレベルワインド機構のレベルワインドシャフトを共通で使用している。なお、変速切換機構6の連結シャフトを、レベルワインドシャフトと別体で設けるようにしてもよい。
切換ストッパ62は、図8及び図9に示すように、リング板61の外側に配置され、出力軸29と平行な回転中心軸(回転軸62a)回りに回転可能に固定板65に支持されている。固定板65は、リール本体10の左側板11Bに固定されている円板状の部材である。切換ストッパ62は、回転軸62aを挟んだ一方にラチェット爪歯61aに係止するラチェット爪部621が設けられ、他方に切換ストッパ62の回転方向を向く被押込部622が設けられている。切換ストッパ62は、例えば不図示のばね部材によってラチェット爪部621がラチェット爪歯61aに係止する方向に付勢され、リング板61に保持される。
被押込部622は、連結シャフト64に設けられる切換カム66が変速切換操作スイッチ63によって回動したときに押し込まれる部分である。
切換ストッパ62は、変速切換操作スイッチ63を一方の位置(ここでは高速モード)のときに、被押込部622から切換カム66が離れた位置となり、ラチェット爪部621がラチェット爪歯61aに係止し、リング板61が固定される。すなわち、リング板61とともに第2キャリア28が固定した状態(回転不能な状態)となり、出力軸29が高速回転になる。
また、切換ストッパ62は、変速切換操作スイッチ63を他方の位置(ここでは低速モード)のときに、被押込部622が回動する切換カム66によって回転方向に押し込まれ、ラチェット爪部621がラチェット爪歯61aから外れてリング板61が回転可能になる。すなわち、リング板61とともに第2キャリア28が回転可能な状態となり、出力軸29が低速回転になる。
次に、このように構成される電動リール1の変速機構20の動作について、図面に基づいて詳細に説明する。具体的には、変速機構20が高速回転と低速回転に切り換え可能であり、高速回転の場合の動作と、低速回転の場合の動作について説明する。
図11は、高速回転および低速回転における回転力伝達経路K(K1、K2)を簡略化した図である。回転力伝達経路Kは、無負荷時には高速回転も低速回転も同じ第1伝達経路(K1)となり、負荷時には低速回転は符号K2の第2伝達経路となる。
先ず、高速回転の場合について説明する。
図8及び図9に示すように、手動により変速切換操作スイッチ63を高速回転モードに切り換える。このとき、切換ストッパ62は、被押込部622から切換カム66が離れた位置となり、ラチェット爪部621がラチェット爪歯61aに係止し、リング板61が固定される。すなわち、リング板61とともに第2キャリア28が固定した状態(回転不能な状態)となる。
図3及び図11に示すように、無負荷の場合において、モータ4の回転駆動してモータ回転軸41が回転すると、第1動力伝達歯車機構20Aにおいて、モータ回転軸41に固定されている第1太陽ギア21が、モータ回転軸41と同じ回転速度で回転する。そして、第1太陽ギア21の回転は、第1太陽ギア21に噛み合う3つの第1遊星ギア22に伝達され、第1遊星ギア22が自転するとともに回転不能な第1リングギア23の内歯に噛み合って公転する。そして、3つの第1遊星ギア22を支持する第1キャリア24も第1遊星ギア22の公転とともに回転する。すなわち、モータ回転軸41の回転力は、3つの第1遊星ギア22を支持する第1キャリア24に減速されて伝達される。
次に、第2動力伝達歯車機構20Bにおいて、第1キャリア24と一体に設けられる第2リングギア25が第1キャリア24と同じ速度で回転する。第2リングギア25の回転力は、第2リングギア25の内周歯車251に噛み合う3つのダブルピニオンからなる第2遊星ギア26に伝達される。具体的に第2遊星ギア26は、第2リングギア25に噛み合う第1ピニオン26A及び第2ピニオン26Bがそれぞれ自転する。このとき、第1ピニオン26A及び第2ピニオン26Bは第2リングギア25の回転速度から増大して高速となる。
ここで、高速回転時の場合には、第2キャリア28が回転不能で固定された状態であるので、第2遊星ギア26は公転しない。つまり、第1ピニオン26Aと第2ピニオン26Bとが同じ歯数で噛み合っているので、第2ピニオン26Bも第1ピニオン26Aと同様の回転速度となり、第2リングギア25の回転速度よりも増速された状態で回転する。ダブルピニオンをなす第2遊星ギア26は、第2リングギア25から第2太陽ギア27に回転力を伝達し、第2リングギア25と第2太陽ギア27の歯数差によるギア比によって回転速度を増速させる。これにより、第2太陽ギア27の回転力は、減速されることなく第2太陽ギア27に固定される出力軸29に伝達される。このように、モータ回転軸41の回転力は、第1動力伝達歯車機構20Aで減速された後、第2動力伝達歯車機構20Bによって増速された高速回転により出力軸29に出力される。すなわち、図11において、高速回転時の第1動力伝達歯車機構20A及び第2動力伝達歯車機構20Bにおける回転力の伝達経路は、第1伝達経路K1となる。
なお、負荷時における高速回転のときも第2太陽ギア27が増速されるので、ローラクラッチ24Aは空転し、第1伝達経路K1となる。
図12は、変速機構20による高速回転時の第1遊星ギア22と第2遊星ギア26の回転数の変化の一例を示している。図12において、横軸はモータ軸からの半径方向の距離であって0側がモータ軸となり、縦軸が回転数(rpm)である。
図12の点線で示す第1遊星ギア22において、符号P1は入力されるモータ回転軸41(第1太陽ギア21)の回転数(=略38000rpm)である。符号P2は、固定されて回転不能な第1リングギア23の回転数(=0rpm)を示している。符号P3は、第1キャリア24の回転数(=略7000rpm)を示している。
図12の実線で示す第2遊星ギア26において、符号P3は第1キャリア24と一体的に回転する第2リングギア25の回転数(=略7000rpm)である。符号P4は、固定されて回転不能な第2キャリア28の回転数(=0rpm)を示している。符号P5は、出力軸29(第2太陽ギア27)の回転数(=略22000rpm)を示している。このように、高速回転時では、出力軸29の回転数(=略22000rpm)は、入力される回転数(=略38000rpm)よりは減速されるものの、第1キャリア24の回転数(=略7000rpm)よりも増速されていることがわかる。
次に、低速回転の場合について説明する。
図8及び図9に示すように、手動により変速切換操作スイッチ63を低速回転モードに切り換える。このとき、切換ストッパ62は、被押込部622が回動する切換カム66によって回転方向に押し込まれ、ラチェット爪部621がラチェット爪歯61aから外れてリング板61が回転可能になる。すなわち、リング板61とともに第2キャリア28が回転可能な状態となる。
図3及び図11に示すように、無負荷の場合において、モータ4の回転駆動してモータ回転軸41が回転すると、第1動力伝達歯車機構20Aにおいて、モータ回転軸41に固定されている第1太陽ギア21が、モータ回転軸41と同じ回転速度で回転する。そして、第1太陽ギア21の回転は、第1太陽ギア21に噛み合う3つの第1遊星ギア22に伝達され、第1遊星ギア22が自転するとともに回転不能な第1リングギア23の内歯に噛み合って公転する。そして、3つの第1遊星ギア22を支持する第1キャリア24も第1遊星ギア22の公転とともに回転する。すなわち、モータ回転軸41の回転力は、3つの第1遊星ギア22を支持する第1キャリア24に減速されて伝達される。
次に、第2動力伝達歯車機構20Bにおいて、第1キャリア24と一体に設けられる第2リングギア25が第1キャリア24と同じ速度で回転する。第2リングギア25の回転力は、第2リングギア25の内周歯車251に噛み合う3つのダブルピニオンからなる第2遊星ギア26に伝達される。具体的に第2遊星ギア26は、第2リングギア25の内歯に噛み合う第1ピニオン26A及び第2ピニオンがそれぞれ自転する。このとき、第1ピニオン26A及び第2ピニオン26Bは、第2リングギア25の回転速度から増大する。
ここで、無負荷時における低速回転時の場合には、第2キャリア28が回転可能な状態であるので、第2ピニオン26Bの回転が第2キャリア28に伝達されて、第2キャリア28が回転する。これに伴い、第2遊星ギア26は、第2リングギア25の内周歯車251に沿って公転する。すなわち、第2遊星ギア26の回転が減速されつつ第2キャリア28に伝達されることになる。そして、第2キャリア28の回転によって減速した第2遊星ギア26の回転力は、第2ピニオン26Bから第2太陽ギア27に伝達される。低速回転時では、第2リングギア25、第2遊星ギア26、及び第2太陽ギア27が全てほぼ同じ回転速度で回転し、モータ回転軸41の回転力は、出力軸29が第1動力伝達歯車機構20Aで減速された回転速度で出力される。すなわち、図11において、低速回転時で無負荷時の第1動力伝達歯車機構20A及び第2動力伝達歯車機構20Bにおける回転力の伝達経路は、高速回転時と同じ第1伝達経路K1となる。このように、スプール3が釣糸巻取り方向に回転すると、ローラクラッチ24Aは、第1キャリア24と出力軸29との間で動力を伝達しないため、スプール3は、釣糸巻き取り方向に回転する。
一方で、低速回転時の場合で、スプール3における釣糸繰り出し方向への回転により負荷が掛かって出力軸29が遅くなるときには、ローラクラッチ24Aを介して出力軸29及び第2太陽ギア27に動力が伝達される。すなわち、図11において、低速回転時で負荷時の第1動力伝達歯車機構20A及び第2動力伝達歯車機構20Bにおける回転力の伝達経路は、第2伝達経路K2となる。これにより、スプール3は釣糸繰り出し方向に回転しない。
なお、本実施形態では、第1キャリア24と出力軸29との間にローラクラッチ24Aを設けた構成としているが、ローラクラッチ24Aを省略することも可能である。ローラクラッチ24Aが設けられていない場合には、低速回転時において、第2太陽ギア27が負荷によって停止し、第2キャリア28が空転する。
図13は、変速機構20による低速回転時の第1遊星ギア22と第2遊星ギア26の回転数の変化の一例を示している。図13において、横軸はモータ軸からの半径方向の距離であって0側がモータ軸となり、縦軸が回転数(rpm)である。
図13の点線で示す第1遊星ギア22において、符号P1は入力されるモータ回転軸41(第1太陽ギア21)の回転数(=略38000rpm)である。符号P2は、固定されて回転不能な第1リングギア23の回転数(=0rpm)を示している。符号P3は、第1キャリア24の回転数(=略7000rpm)を示している。
図13の実線で示す第2遊星ギア26において、符号P3は第1キャリア24と一体的に回転する第2リングギア25の回転数(=略7000rpm)である。符号P4は、回転可能な第2キャリア28の回転数(=略7000rpm)を示している。符号P5は、出力軸29(第2太陽ギア27)の回転数(=略7000rpm)を示している。このように、低速回転時では、出力軸29の回転数(=略7000rpm)は、入力される回転数(=略38000rpm)より大きく減速され、第1キャリア24の回転数(=略7000rpm)と同等の回転速度になっていることがわかる。
次に、このように構成される電動リール1の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態による魚釣用電動リールでは、図3に示すように、第2動力伝達歯車機構20Bにおいて第2キャリア28に支持される第2遊星ギア26をダブルピニオンとし、一方の第1ピニオン26Aが第2リングギア25に噛み合い、他方の第2ピニオン26Bが第2太陽ギア27に噛み合う構成とし、さらに第2キャリア28が変速切換機構6によって回転可能な状態と回転不能な状態とを切り換えることができる。これにより、変速切換機構6によって第2キャリア28を固定して回転不能な状態にした場合には、モータ4の回転の入力軸(モータ回転軸41)の回転速度は第1動力伝達歯車機構20Aによって減速され、その減速された回転速度が伝達された第2リングギア25から第2遊星ギア26に伝達される。
このとき、第2遊星ギア26の回転数は増大する。そして、ダブルピニオンをなす第2遊星ギア26は、第2キャリア28が回転不能で固定されているので、第1ピニオン26A及び第2ピニオン26Bの回転が伝達されず、第2遊星ギア26は公転しないため、第2リングギア25の回転速度よりも増速された状態で回転する。そして、第2遊星ギア26の回転力は、第2キャリア28によって減速されることなく、第2ピニオン26Bに噛み合う第2太陽ギア27にほぼ同じ回転速度で伝達される。これにより、第2太陽ギア27の回転力は、減速されることなく高速回転で第2太陽ギア27に固定される出力軸29に伝達される。
このように、本実施形態では、変速切換機構6によって第2キャリア28の回転不能な状態に機械的に固定することにより、高速回転となる最高速度を維持しつつ、巻上トルクをより大きくでき、釣りの操作性を向上することができる。
また、変速切換機構6によって第2キャリア28を回転可能な状態にした場合には、モータ4の回転の入力軸(モータ回転軸41)の回転速度は第1動力伝達歯車機構20Aによって減速され、その減速された回転速度が伝達された第2リングギア25から第2遊星ギア26に伝達される。このとき、第2遊星ギア26の回転数は増大する。そして、ダブルピニオンをなす第2遊星ギア26は、第2キャリア28が回転可能であるので、第1ピニオン26A及び第2ピニオン26Bの回転が伝達され、第2遊星ギア26は第2リングギア25に沿って公転するため、第2リングギア25の回転速度と同等の状態で回転する。そして、第2遊星ギア26の回転力は、第2キャリア28によって減速されることなく、第2ピニオン26Bに噛み合う第2太陽ギア27にほぼ同じ回転速度に減速されて伝達される。これにより、第2太陽ギア27の回転力は、低速回転で第2太陽ギア27に固定される出力軸29に伝達される。
このように、本実施形態では、第2動力伝達歯車機構20Bの第2遊星ギア26をダブルピニオンとすることにより高速回転と低速回転の速度差を大きくすることができる。
また、本実施形態では、図8に示すように、変速切換機構6の切換ストッパ62と切換ストッパ62を操作するための変速切換操作スイッチ63とを連結する連結シャフト64にレベルワインドシャフトを兼用することで、電動リール1内における連結シャフト64の配置や形状の制約を受けることを抑制でき、スペース効率を高めることができる。
本実施形態では、モータ4のレバースイッチ46の近傍に切換ストッパ62を操作するための変速切換操作スイッチ63が搭載されているので、スペース効率を高めることができる。
上述のように構成された本実施形態による魚釣用電動リールでは、高速回転と低速回転の速度差を大きくすることができ、最高速度を維持しつつ、巻上トルクをより大きくできる。
以上、本発明による魚釣用電動リールの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
例えば、本実施形態では、切換ストッパ62(切換部)と切換ストッパ62を操作するための変速切換操作スイッチ(切換操作部)とがスプール3内に釣り糸を均一に巻き付けるための連結シャフト64として、レベルワインド機構のレベルワインドシャフトを使用しているが、レベルワインドシャフトを使用することに限定されることはない。
また、本実施形態では、切換ストッパ62を操作するための変速切換操作スイッチ(切換操作部)がモータ4のレバースイッチ46(速度調整部材)に備えられているが、切換操作部が設けられる位置も速度調整部材と共有化した構成であることに限定されることはない。
1 電動リール(魚釣用電動リール)
3 スプール
4 モータ
5 クラッチ機構
50 クラッチ操作部材
41 モータ回転軸
46 レバースイッチ(速度調整部材)
6 変速切換機構
62 切換ストッパ(切換部)
63 変速切換操作スイッチ(切換操作部)
64 連結シャフト
10 リール本体
20 変速機構
20A 第1動力伝達歯車機構
20B 第2動力伝達歯車機構
21 第1太陽ギア
22 第1遊星ギア
23 第1リングギア
24 第1キャリア
25 第2リングギア
26 第2遊星ギア
26A 第1ピニオン
26B 第2ピニオン
27 第2太陽ギア
28 第2キャリア
29 出力軸

Claims (3)

  1. モータの回転速度を変速してスプールの回転速度を高速回転と低速回転とに切り換える変速機構を備えた魚釣用電動リールであって、
    前記変速機構は、
    モータ入力側に配置される第1動力伝達歯車機構と、
    前記第1動力伝達歯車機構に接続されモータ出力側に配置される第2動力伝達歯車機構と、を備え、
    前記第1動力伝達歯車機構は、入力軸に回転不能に固定された第1太陽ギアと、前記第1太陽ギアに噛み合う第1遊星ギアと、リールボディに固定され前記第1遊星ギアに噛み合う第1リングギアと、前記第1遊星ギアを支持する第1キャリアと、を有し、
    前記第2動力伝達歯車機構は、前記第1キャリアに一体に設けられた第2リングギアと、前記第2リングギアに噛み合う第2遊星ギアと、出力軸に固定され前記第2遊星ギアに噛み合う第2太陽ギアと、前記第2遊星ギアを支持する第2キャリアと、を有し、
    前記第2遊星ギアは、互いに噛み合う一対のピニオンであり、
    前記一対のピニオンは、前記第2リングギアに噛み合う第1ピニオンと、前記第2太陽ギアに噛み合う第2ピニオンと、からなり、
    前記第2キャリアのモータ軸周りの回転を固定状態と解除状態とに選択的に切り換える切換部が設けられた魚釣用電動リール。
  2. 前記切換部と前記切換部を操作するための切換操作部とは、前記スプール内に釣り糸を均一に巻き付けるためのレベルワインド機構のレベルワインドシャフトを使用して連結されている、請求項1に記載の魚釣用電動リール。
  3. 前記切換部を操作するための切換操作部が駆動モータの速度調整部材に備えられている、請求項1又は2に記載の魚釣用電動リール。
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