JP2023104623A - ユニットパネル及び防振床構造 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、防振床の構造に係り、特に防音性能を確保しつつ低床化を図る場合に好適なユニットパネル、およびこのユニットパネルを用いた防振床構造に関する。
いわゆる二重床のうち防振浮き床は、防振性能が高い湿式が一般的であり、コンクリート打設時に水を使うためリノベーション、コンバージョンでは不向きである。これに対して特許文献1や特許文献2に開示されているような支持脚を介して根太を支持し、この根太の上部にパネル部材を配置するといった構成の乾式浮き床は、支持脚に加えてパネル部材を構成するボード類を積層するため床高さが高くなってしまうという欠点がある。
さらに、特許文献3に開示されているもののように、施工性や防振、防音性能の向上を図った二重床構造も提案されている。特許文献3に開示されている二重床構造は、支持脚としての支柱の下部に防振材を配置すると共に、床下地材の下部に配置される連結部材に固定されたブラケットに対して支柱を螺合させパネル部材の高さ調整を容易にすると共に、床スラブへの振動や衝撃音の伝達を抑制する構造としている。また、パネル部材は、床下地材の上部に床下地材よりも剛性が高く比重の大きい中間敷設材を配置することでパネル部材全体の剛性を高め、パネル部材全体の薄型化を図るようにしている。
しかしながら、特許文献3に開示されているような構成の二重床構造では、支柱が螺合するブラケットを固定するための連結部材を床下地材の下部に配置すると共に、支柱の下部に防振材を配置する構造であるため、従来の二重床構造に比べて低床化を図ることは難しく、構成部材が多くなってしまうといった問題がある。
そこで本発明では、上記問題を解決し、低床化に好適なユニットパネル、及びこのユニットパネルを適用し、床衝撃音遮断性の向上を図り、簡易な構造とすることのできる防振床構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係るユニットパネルは、根太床に用いられるユニットパネルであって、前記ユニットパネルは、裏面を凹状に形成した薄肉部を有し、前記薄肉部は、床スラブ上に配された根太の上部を介入、当接させることを可能とする幅を有し、かつ所定の間隔で配される根太の間隔に合わせて配されていることを特徴とする。
また、上記のような特徴を有するユニットパネルは、表板と1枚乃至複数枚の裏板を接合することにより構成し、前記薄肉部は、前記裏板を切り欠く事により構成すると良い。このような特徴を有する事によれば、1枚の板の厚みを削るよりも簡易に薄肉部を形成することができる。
さらに、上記のような特徴を有するユニットパネルでは、前記表板および/または前記裏板は、パーティクルボードで構成することが望ましい。このような特徴を有する事によれば、ユニットパネルの厚みやサイズの自由度、及び加工性の向上を図ることができる。
また、上記目的を達成するための本発明に係る防振床構造は、上記いずれかの特徴を有するユニットパネルと、前記ユニットパネルの下面に配置される根太と、前記根太の下部に配置される防振材とから成ることを特徴とする。
さらに、上記のような特徴を有する防振床構造において前記根太の下面には、前記防振材の少なくとも一部を収容可能な凹部が形成されていることが望ましい。このような特徴を有する事によれば、一般的な根太の下部に防振材を配置する場合に比べて床スラブの表面からユニットパネルの表面までの高さを低くすることが可能となる。
上記のような特徴を有するユニットパネル、及びこのユニットパネルを適用した防振床構造によれば、床衝撃音遮断性の向上を図りつつ、二重床の低床化、並びに構造の簡易化を図ることができる。
以下、本発明のユニットパネル、及び防振床構造に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明を実施するにあたっての好適な形態の一部であり、その構成の一部に変化を加えたとしても、同様な効果を奏する限りにおいて本発明の一部とみなすことができるものとする。
[構成]
まず、図1、図2を参照して、本実施形態に係る防振床構造10の基本構造を説明した上で、特徴的な構造の詳細を説明する。本実施形態に係る防振床構造10は、集合住宅やホテル、オフィスなどのフロアを構成する床スラブ12の上に所定の間隔で配置される根太16と、この根太16の上部に配置されるユニットパネル18を基本として構成されている。
まず、図1、図2を参照して、本実施形態に係る防振床構造10の基本構造を説明した上で、特徴的な構造の詳細を説明する。本実施形態に係る防振床構造10は、集合住宅やホテル、オフィスなどのフロアを構成する床スラブ12の上に所定の間隔で配置される根太16と、この根太16の上部に配置されるユニットパネル18を基本として構成されている。
本実施形態に係る根太16は、下面、すなわち床スラブ12との対向面に凹部16aが形成されている。また、床スラブ12と根太16との間には、防振材14が配置されている。なお、防振材14としては、板バネや、特殊発泡性ウレタン、ゴムなどを挙げることができるが、防振特性を得る事ができるものであれば、これらに限定するものではない。また、根太16の下面に形成された凹部16aに防振材14の一部を収容することで、防振作用を有する根太16の高さ(床スラブ12から根太16の上面までの高さ)を抑制することが可能となる。ここで、凹部16aの深さは、防振材14の構造や高さに応じて定めれば良く、防振材14の一部を収容した上で、床スラブ12と根太16の下面との間に防振作用を奏するための隙間が形成される程度とすれば良い。なお、凹部16aは、根太16の長手方向に沿って連続的に設けても良いが(図1、図2に示す根太16は、長手方向と交差する方向の断面を示す)、防振材14を配置する間隔に応じてスポット状に設けるようにしても良い。
ユニットパネル18は、強度、及び遮音性等を確保するために、所定の厚み(例えば40mm程度)を有するように構成されている。本実施形態では、ユニットパネル18の裏面を凹状に欠陥させる薄肉部18cを設けている。薄肉部18cは、床スラブ12に配置した根太16の配置間隔に合わせて設けており、少なくとも根太16の上部を介入させ、その上部を薄肉部18cの天井部に当接させることを可能とする幅を有する。このような構成とした場合、薄肉部18cの強度(面に対する曲げ方向の強度)は根太16が担うこととなる。このため、床スラブ12からユニットパネル18の表面までの高さを抑制しつつ、ユニットパネル18全体としては所定の強度を確保することができる。
また、本実施形態では、ユニットパネル18を複数の板材を積層(接合)することで構成している。具体的には、表板18aと、1枚乃至複数枚の裏板18bを接合することで構成しており(図1、図2に示す例では、裏板18bを1枚としている)、薄肉部18cは、裏板18bを切り欠く事で構成している。本実施形態では、表板18aおよび裏板18bを構成する板材の少なくとも一部をパーティクルボードで構成するようにしている。板材をパーティクルボードとすることで、厚みやサイズの選定自由度が高くなると共に、加工性の向上を図る事もできるようになるからである。また、複数枚(図1、図2で示す例は2枚)のパーティクルボードを接合するだけで構成できるため、ユニットパネル18の構成を簡易なものとすることができる。
なお、ユニットパネル18の表面、すなわち表板18aの表面には、フローリングなどの表層材20が配置される事が一般的であるが、表板18aをOSB(Oriented Strand Boad:配向性ストランドボード)や、化粧パーティクルボードとした場合には、表層材20を配する必要が無くなり、二重床を構成する防振床構造10の床高さをさらに抑える事もできる。
[作用・効果]
上記のような構成の防振床構造10(図3において(C)の構造)によれば、従来のユニットパネル28(図3に示す例では、パーティクルボードを2枚重ねた構成)と従来の根太26とを積層し、その下部に防振材14を配置した構造(図3において(A)の構造)の防振床構造に比べてh1だけの低床化を図る事ができる。また、従来のユニットパネル28と凹部16aを設けた根太16、及び防振材14を組み合わせた構造(図3において(B)の構造)と比べても、h2だけの低床化を図ることができる。なお、図4に示すように、従来の根太26と防振材14を積層配置した上に、実施形態に係るユニットパネル18を配置した防振床構造であっても、従来(図3(A)に示す構造)に比べて低床化を図ることができる。
上記のような構成の防振床構造10(図3において(C)の構造)によれば、従来のユニットパネル28(図3に示す例では、パーティクルボードを2枚重ねた構成)と従来の根太26とを積層し、その下部に防振材14を配置した構造(図3において(A)の構造)の防振床構造に比べてh1だけの低床化を図る事ができる。また、従来のユニットパネル28と凹部16aを設けた根太16、及び防振材14を組み合わせた構造(図3において(B)の構造)と比べても、h2だけの低床化を図ることができる。なお、図4に示すように、従来の根太26と防振材14を積層配置した上に、実施形態に係るユニットパネル18を配置した防振床構造であっても、従来(図3(A)に示す構造)に比べて低床化を図ることができる。
また、実施形態に係る防振床構造10は、図5に示すような試験装置30によって、階下に響く衝撃音の検出試験を行ったところ、図6に示すような結果を得る事ができた。なお、図6に示すグラフの縦軸の目盛りは、防振床施工前の躯体試験結果に対する防振床施工後の床衝撃音レベルの低減量を示す値(dB)であり、横軸の目盛りは、衝撃音のオクターブバンド中心周波数を示す値(Hz)である。図6を参酌すると、重量床衝撃音レベル等級の決定周波数の63Hz帯域における低減量はプラス4dBとなっており、一般的な乾式二重床が63Hz帯域でマイナスになることを考えると、低床型にも関わらず高い防振効果が得られている。ここで試験装置30は、基礎32に対して防振材34を介して躯体柱36を配置し、この躯体柱36の間にフロアを構成する床スラブ38,40を上下に配置すると共に、階下に位置するフロアに相当するエリアには、壁42などの構造物を配置し、衝撃音検出用のマイクロホン44や、振動ピックアップ手段46を設置している。また、上階フロアに相当する要素の床スラブ40には、各種防振床構造を配置した上で、軽量衝撃源48や、重量衝撃源50を配置している。
次に、実施形態に係る防振床構造10は、図7に示すような試験装置31によって、CLT(Cross Laminated Timber)床構造に対する防振床の階下(図7における試験室2)に響く衝撃音の検出試験を行ったところ、図8に示すような結果を得ることができた。ここでは、特許文献3に開示されている乾式二重床構造についても同条件で試験を実施した。
なお、図8に示すグラフの縦軸の目盛りは、防振床施工前のCLT試験結果に対する防振床施工後の床衝撃音レベルの低減量を示す値(dB)であり、横軸の目盛りは、衝撃音のオクターブバンド中心周波数を示す値(Hz)である。
図8を参酌すると、本実施形態に係る防振床構造10では、63Hz帯域から4000Hz帯域までの全周波数帯域において、CLT躯体床に比べて大幅な静音化を図ることができる事を読み取る事ができる。また、特許文献3に開示されているような乾式二重床構造と比較した場合でも、同等以上の静音化を図る事ができ、中心周波数帯が125Hz以上である場合には、特許文献3に開示されている乾式二重床構造に比べても大きな静音化を図ることができる事を読み取る事ができる。ここで、試験装置31は、コンクリート製の壁・床・天井から成る不整形の試験室1、2で構成されており、両試験室の間には、試験体を設置する開口が設けられている。開口にCLT床構造を施工して試験室1、2を区切り、CLT床構造上に防振床などを設置後、軽量衝撃源48や、重量衝撃源50、試験室2にマイクロホン44を配置することで、各種床構造の性能を測定することができる。
よって、本実施形態に係る防振床構造10によれば、ユニットパネル18を簡易な構造とすることができると共に、二重床の低床化を図ることができる。さらに、従来に比べて階下エリアに対する衝撃音の伝達を大幅に抑制し、静音化(床衝撃音遮断性の向上)を図ることもできる。
上記実施形態では、ユニットパネル18について、パーティクルボードを積層して構成することを主体として説明している。しかしながら本発明に係る防振床構造10を構成するユニットパネル18は、1枚の板材の裏面を凹陥させて薄肉部18cを構成したものであっても良いし、パーティクルボード以外の板材を接合させて構成しても良い。
10………防振床構造、12………床スラブ、14………防振材、16………根太、16a………凹部、18………ユニットパネル、18a………表板、18b………裏板、18c………薄肉部、20………表層材、26………根太、28………ユニットパネル、30,31………試験装置、32………基礎、34………防振材、36………躯体柱、38,40………床スラブ、42………壁、44………マイクロホン、46………振動ピックアップ手段、48………軽量衝撃源、50………重量衝撃源。
Claims (5)
- 根太床に用いられるユニットパネルであって、
前記ユニットパネルは、裏面を凹状に形成した薄肉部を有し、
前記薄肉部は、床スラブ上に配された根太の上部を介入、当接させることを可能とする幅を有し、かつ所定の間隔で配される根太の間隔に合わせて配されていることを特徴とするユニットパネル。 - 前記ユニットパネルは、表板と1枚乃至複数枚の裏板を接合することにより構成し、
前記薄肉部は、前記裏板を切り欠く事により構成することを特徴とする請求項1に記載のユニットパネル。 - 前記表板および/または前記裏板は、パーティクルボードで構成されていることを特徴とする請求項2に記載のユニットパネル。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のユニットパネルと、
前記ユニットパネルの下面に配置される根太と、
前記根太の下部に配置される防振材とから成ることを特徴とする防振床構造。 - 前記根太の下面には、前記防振材の少なくとも一部を収容可能な凹部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の防振床構造。
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