JP2023095270A - 有機エレクトロニクスルミネッセンス素子封止材および有機エレクトロニクスルミネッセンス装置 - Google Patents

有機エレクトロニクスルミネッセンス素子封止材および有機エレクトロニクスルミネッセンス装置 Download PDF

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Hiroto Owada
武春 豊島
Takeharu Toyoshima
利之 小材
Toshiyuki Ozai
勉 中村
Tsutomu Nakamura
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Abstract

【課題】水分に対するバリア能力を有し、有機EL素子に影響を与えない有機EL素子封止材を提供すること。【解決手段】(A)式(1)で表される重合体TIFF2023095270000029.tif30108(B)1分子中に、末端ケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個有する有機ケイ素化合物、および、(C)波長200~500nmの光によって活性化される白金族金属触媒を含有し、かつ、HRSiO2/2(式中、Rは有機基を表す。)で表されるオルガノハイドロジェンシロキサン単位を有しない光硬化型組成物からなる有機EL素子封止材112。【選択図】図2

Description

本発明は、有機エレクトロニクスルミネッセンス素子封止材および有機エレクトロニクスルミネッセンス装置に関する。
有機エレクトロニクスルミネッセンス(以下、有機ELと略記する。)発光装置は、自発光型と呼ばれるように素子自体が発光するため、液晶パネルのバックライトのように別光源を必要としないので低消費電力であり、薄型化、軽量化が容易などの特徴がある。しかし、パネル内にごく微量の水分が侵入しただけで、素子発光面積が損なわれてしまうという問題がある(ダークスポットの発生)。
有機ELパネルは、高度に水分侵入を防ぐ構造が必要となるため、有機EL素子を、ガラス等からなる透過性基板や水蒸気バリア性を有した透過性フィルムなどで密閉する構造が用いられる。有機EL照明等においては、ガラス等の基板上に、陽極、有機層、陰極を積層した構造の有機EL素子を形成し、さらにガラス基板外周端部を、水蒸気バリア性を有するシール材を塗布法等により形成し、対向するガラス基板等を貼り合わせた構造となっている。
また、有機EL素子と対向するガラス基板等の間には、吸湿性を有する封止材または水分バリア性を有する封止材を設け、隙間なく充填することが重要である。有機EL素子、外周シール材、ガラス基板が封止材によって接着かつ隙間なく充填された構造を形成することは、水分侵入を防御する観点から重要である。
特に、対向するガラス基板が凹型である、いわゆる掘り込み型である場合、有機EL素子と掘り込みガラス内部に得られる空間が生じるが、その空間を乾燥させた窒素(N2)等で充填したとしても、外周シール材を透過した水蒸気が徐々に入ることにより、ダークスポット発生につながる。そのために、内部に乾燥材を設置する方法があるが、乾燥材を設置するには、100μm以上の掘り込みが必要となる。そのような掘り込み型ガラス基板は、加工費がかかるだけでなく、薄型が要求される有機ELパネル市場に合致しない。
したがって、掘り込みを形成しない平坦なガラス、すなわちフラット型ガラス基板や、掘り込み部がきわめて少ない50μm以下の掘り込み型ガラス基板を用いることが望まれる。これらのガラス基板を用いて、封止材が、外周シール材、有機EL素子にそれぞれに隙間なく接着、充填、封止された構造が望まれる。
対向するガラス基板を貼り合わせる工程では、有機EL素子を蒸着等で形成したガラス基板に、その外周をシール材で塗布した状態を予め形成しておき、有機EL素子上に封止材となる樹脂を塗液し、真空下において、対向するフラット型ガラス基板を貼り合わせる。その際、真空下で貼り合わせた状態で、外周部シール材を硬化、接着するために、紫外光が照射される。
さらに、内部に充填した封止材、すなわち樹脂を硬化させ、接着を発現するために、得られた貼り合わせた構造体を高温で加熱する等の工程が加えられる。このとき、有機EL素子の耐熱能力からみて150℃以下であることが望まれるが、たとえば120℃で加熱を行った場合、封止材、すなわち樹脂の線膨張、収縮により、有機EL素子を破損させる可能性がある。
このような問題を回避するため、内部に充填した封止材は、比較的低温で硬化、接着を発現すること、ならびに紫外光照射により得られることが望まれる。
また、有機ELパネル構造において、有機ELパネル内に水分を侵入させない、あるいは水分を吸湿除去することは重要である。有機ELパネル内に侵入した水分を除去する方法として、特許文献1には、ゼオライト、シリカゲル等の乾燥材をシリコーン樹脂組成物中に添加し、これを有機ELパネル中に充填する方法が開示されている。この場合、樹脂と粒子との屈折率差があることにより透明性が損なわれることがあり、有機EL素子が発生した光を上面から外部に取り出す、いわゆるトップエミッション構造に対して不適合なものとなる。
同様に封止材として吸湿能力を有する粒子を含有した樹脂を使用する方法として、特許文献2には、吸湿能力を有する粒子とシリコーン樹脂の屈折率を合致させる方法が発明者らより提案されている。この方法によれば、透明性かつ吸湿性が得られるため、トップエミッション構造に対しても有効であるが、シリコーン樹脂に吸湿粒子を添加する工程の煩雑さは回避できない。
ところで、有機ELパネルは、上述したガラス基板を用いる構造の他、水蒸気バリア性を有する透明フィルムを用いる構造も存在し、この構造ではフレキシブル性が得られる。フレキシブル性を有する有機EL発光デバイスは、外面には防湿性を有した透明フィルムを使用し、内部に存在する有機EL素子に対しては、有機EL素子上に水分侵入を防ぐ無機膜を積層する構造が知られている。
この無機膜は、一般的にCVD法により形成されるが、無機膜は、防湿能力が得られる反面、硬い膜質であり、膜応力も大きいことから、有機EL素子上に直接形成することが難しい。したがって、無機膜を形成する前に、有機EL素子上に保護膜の形成が必要となる。この保護膜は、有機ELデバイスの凹凸を平坦化する平坦化膜や、さらに上層に形成される無機膜の応力を緩和する応力緩和膜としての機能が要求される。
また、上記無機膜は、水分侵入を防ぐ効果を上げるため、複数積層されることがある。その際、増大する応力を緩和する等の目的で、無機膜と無機膜の間に中間樹脂膜を形成する場合がある。
有機EL素子保護膜は、有機EL素子上に直接塗布するため、有機EL素子にダメージを与えないことが必須となる。有機EL素子の電極や、発光に関わる各層に何らかの影響がある場合、発光が部分的に欠落する、あるいは発光が不安定になるなどの現象が現れる。
このような保護膜として、特許文献3には、ポリビニルアルコールまたはエチレンビニルアルコール共重合体が開示されているが、有機EL素子上に直接塗布した場合の、有機EL素子発光維持については触れられていない。また、有機EL素子上に直接塗布する場合、無機材料または無機的性質を有する材料が望ましい。
特開2017-183191号公報 特開2021-134268号公報 特開2006-218687号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、水分に対するバリア能力を有し、有機EL素子に影響を与えない有機EL素子封止材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記の組成物からなる有機EL素子封止材が、紫外線の照射により加熱を必要とせず硬化し、水分に対するバリア能力を有し有機EL素子に発光損失等の影響を与えない硬化物を与えることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
1. (A)下記構造式(1)で表される重合体:
Figure 2023095270000002
[式中、Xは、それぞれ独立して下記構造式(2)で表される2価の基であり、Yは、それぞれ独立して下記構造式(3)~(5)のいずれかで表される1価の基であり、Y’は、それぞれ独立して下記構造式(6)または(7)で表される2価の基であり、Meは、メチル基を表す。mは、0~12の整数である。
Figure 2023095270000003
(式中、アスタリスク(*)は、ケイ素原子との結合部位を示す。)
Figure 2023095270000004
(式(3)~(7)中、アスタリスク(*)は、ケイ素原子との結合部位を示し、各不斉炭素における立体配置は、シス(エキソ)またはトランス(エンド)のいずれであってもよい。)]
(B)1分子中に、末端ケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個有する有機ケイ素化合物、および、
(C)波長200~500nmの光によって活性化される白金族金属触媒
を含有し、
かつ、HRSiO2/2(式中、Rは有機基を表す。)で表されるオルガノハイドロジェンシロキサン単位を有しない光硬化型組成物からなる有機エレクトロルミネッセンス素子封止材、
2. 前記(B)成分が、下記式(I)で表される化合物、下記式(II)で表される、フェニルトリビニルシランと1,4-ビス(ジメチルシリル)ベンゼンとの付加反応生成物、またはその両方を含む1の有機エレクトロルミネッセンス素子封止材、
Figure 2023095270000005
Figure 2023095270000006
(式(II)中、nは、1~20の整数である。)
3. 前記(C)成分が、(η5-シクロペンタジエニル)三脂肪族白金化合物またはビス(β-ジケトナト)白金化合物を含む1または2の有機エレクトロルミネッセンス素子封止材、
4. 1~3のいずれかの有機エレクトロルミネッセンス素子封止材の硬化物により封止された有機エレクトロルミネッセンス装置、
5. 1~3のいずれかの有機エレクトロルミネッセンス素子封止材を、有機エレクトロルミネッセンス素子に直接または層を介して接触させ、波長200~500nmの光照射により硬化させる工程を有する有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法
を提供する。
本発明の有機EL素子封止材によれば、水分に対するバリア能力を有し、有機EL素子に発光損失等の影響を与えない硬化物を、加熱を必要とせず紫外線照射により得ることができる。
したがって、本発明の有機EL素子封止材は、耐水性および耐熱性の低い有機EL素子の保護膜、有機ELパネル内部に充填される保護層、有機EL素子上に積層される機能性膜間の緩衝膜等として有用である。
実施例における有機EL装置の製造方法を示す縦断面概略図である。 実施例で作製した有機EL装置を示す縦断面概略図である。
以下、本発明について具体的に説明する。
[1](A)成分
本発明の有機EL素子封止材における(A)成分は、下記構造式(1)で表される重合体である。
Figure 2023095270000007
式(1)において、Xは、それぞれ独立して下記構造式(2)で表される2価の基であり、Yは、それぞれ独立して下記構造式(3)~(5)のいずれかで表される1価の基であり、Y’は、それぞれ独立して下記構造式(6)または(7)で表される2価の基であり、Meは、メチル基を表す(以下、同様)。
Figure 2023095270000008
(式中、アスタリスク(*)は、ケイ素原子との結合部位を示す。)
Figure 2023095270000009
(式(3)~(7)中、アスタリスク(*)は、ケイ素原子との結合部位を示し、各不斉炭素における立体配置は、シス(エキソ)またはトランス(エンド)のいずれであってもよい。)
なお、上記構造式(6)または(7)で表される2価の基は、その結合方向が上記記載のとおりに限定されるものではなく、個々の構造を紙面上で180°回転させた構造をも包含する。
また、mは、0~12の整数であるが、好ましくは1~5である。mが12を超えると常温で高粘度の液体となり取扱いがしづらくなる。
(A)成分の動粘度は、特に制限されないが、1,000~100,000mm2/sが好ましく、5,000~30,000mm2/sがより好ましい。なお、本発明において、動粘度はキャノン・フェンスケ型粘度計により測定した23℃における値である(以下、同様)。
(A)成分は、例えば、(a):ビス(ジメチルシリル)ベンゼンと(b):ビニルノルボルネンとの付加反応物として、公知の手法(特開2005-133073号公報等)に従って調製することができる。
(a)成分は、下記構造式(8)で表されるオルト、メタ、またはパラ置換のビス(ジメチルシリル)ベンゼンであり、単一構造のものを使用しても、2種類以上の異性体の混合物を使用してもよい。
Figure 2023095270000010
(b)成分は、下記構造式(9)で表される5-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エンであり、単一構造のものを使用しても、2種類以上の異性体の混合物を使用してもよい。
Figure 2023095270000011
本発明の(A)成分は、例えば、SiH基を1分子中に2個有する(a)成分1モルに対して、付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中に2個有する(b)成分の1モルを超え10モル以下、好ましくは1モルを超え5モル以下の過剰量を、ヒドロシリル化反応触媒の存在下で付加反応させることにより得ることができる。
ヒドロシリル化反応触媒としては、公知のものを使用することができる。例えば、白金金属を担持したカーボン粉末、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応生成物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒;パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等の白金族金属系触媒などが挙げられる。また、付加反応条件、溶媒の使用等については、特に限定されるものではなく、公知の条件で行えばよい。
上述のとおり、(A)成分の調製に際し、(a)成分に対して過剰モル量の(b)成分を用いることから、(A)成分は、(b)成分の構造に由来する付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中に2個有するものである。
また、後述する(B)成分等として付加反応性炭素-炭素二重結合を有するものを用いる場合、本発明の組成物中の付加反応性炭素-炭素二重結合全体に占める(A)成分由来の付加反応性炭素-炭素二重結合の割合は、好ましくは20~100モル%、より好ましくは40~100モル%である。
上記(A)成分は、1種単独で使用しても、2種以上組み合わせて使用してもよい。
[2](B)成分
本発明の有機EL素子封止材における(B)成分は、末端ケイ素原子に結合した水素原子(ヒドロシリル基)を少なくとも3個有する有機ケイ素化合物である。このような末端ヒドロシリル基は、ヒドロシリル化反応の反応性が高いため、速やかに3次元架橋の形成が進行し、高硬度の硬化物を与える。
また、(B)成分は、HRSiO2/2(式中、Rは有機基を表す。)で表されるオルガノハイドロジェンシロキサン単位(DH単位)を有しない有機ケイ素化合物であり、例えば、下記式(I)で表される化合物、下記式(II)で表される、フェニルトリビニルシランと1,4-ビス(ジメチルシリル)ベンゼンとの付加反応生成物、下記式(III)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2023095270000012
Figure 2023095270000013
(式(II)中、nは1~20、好ましくは1~10の整数であり、破線は結合手を表す。)
Figure 2023095270000014
(B)成分の動粘度は、特に制限されないが、0.1~100,000mm2/sが好ましく、0.1~3,000mm2/sがより好ましく、0.5~500mm2/sがより一層好ましい。
(B)成分の配合量は、封止材中の(A)成分の付加反応性炭素-炭素二重結合1モルに対するケイ素原子に結合した水素原子の量が0.5~1.5モルとなる量が好ましく、0.8~1.2モルとなる量がより好ましい。
上記(B)成分は、1種単独で使用しても、2種以上組み合わせて使用してもよい。
[3](C)成分
(C)成分のヒドロシリル化反応用白金族金属触媒は、遮光下で不活性であり、かつ波長200~500nmの光を照射することにより、活性な白金触媒に変化して(A)成分中の付加反応性炭素-炭素二重結合と、(B)成分中のケイ素原子結合水素原子とのヒドロシリル化反応を促進するための触媒である。
このような(C)成分の具体例としては、(η5-シクロペンタジエニル)三脂肪族白金化合物、その誘導体等が挙げられる。
これらのうち特に好適なものは、シクロペンタジエニルトリメチル白金錯体、メチルシクロペンタジエニルトリメチル白金錯体およびそれらのシクロペンタジエニル基が修飾された誘導体である。
また、ビス(β-ジケトナト)白金化合物も好適な(C)成分の例として挙げられ、このうち特に好適なものは、ビス(アセチルアセトナト)白金化合物およびそのアセチルアセトナト基が修飾された誘導体である。
(C)成分の配合量は、封止材の硬化(ヒドロシリル化反応)を促進する量であれば限定されず、封止材中の(A)成分と(B)成分の質量の合計に対して、本成分中の白金族金属原子が質量単位で0.01~500ppmの範囲となる量であることが好ましく、より好ましくは0.05~100ppm、より一層好ましくは0.01~50ppmの範囲である。
上記(C)成分は、1種単独で使用しても、2種以上組み合わせて使用してもよい。
[4](D)成分
本発明の有機EL素子封止材には、封止材を調合ないし基材に塗工する際、加熱硬化前に増粘やゲル化を起こさないようにするために、必要に応じて(D)成分の反応制御剤を添加してもよい。
その具体例としては、3-メチル-1-ブチン-3-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-エチニルシクロヘキサノール、エチニルメチルデシルカルビノール、3-メチル-3-トリメチルシロキシ-1-ブチン、3-メチル-3-トリメチルシロキシ-1-ペンチン、3,5-ジメチル-3-トリメチルシロキシ-1-ヘキシン、1-エチニル-1-トリメチルシロキシシクロヘキサン、ビス(2,2-ジメチル-3-ブチノキシ)ジメチルシラン、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシロキサン等が挙げられる。
これらの中でも、好ましくは1-エチニルシクロヘキサノール、エチニルメチルデシルカルビノール、3-メチル-1-ブチン-3-オール、ビス(2,2-ジメチル-3-ブチノキシ)ジメチルシランである。
(D)成分の配合量は、(A)成分および(B)成分の合計100質量部に対し、好ましくは0.01~2.0質量部、より好ましくは0.01~0.1質量部である。このような範囲であれば反応制御の効果が十分発揮される。
また、本発明の有機EL素子封止材は、HRSiO2/2(式中、Rは有機基を表す。)で表されるオルガノハイドロジェンシロキサン単位(DH単位)を実質的に有しないものである。このような側鎖ヒドロシリル基は、上記(B)成分中の末端ヒドロシリル基と比較して反応性が劣るため、付加反応の進行の妨げとなる場合がある。
[5]その他の成分
本発明の有機EL素子封止材は、上記(A)~(C)成分および必要により用いられる(D)成分以外にも、本発明の目的を損なわない限り、以下に例示するその他の成分を含有していてもよい。
例えば、1分子中に1個以上のアルケニル基、(メタ)アクリル基、カルボニル基、エポキシ基、アルコキシシリル基、アミド基からなる官能基群を有する接着性付与剤;ヒュームドシリカ等のチクソ性制御剤;結晶性シリカ等の補強剤;ヒンダードフェノールやヒンダードアミン等の酸化防止剤;光安定剤;金属酸化物、金属水酸化物等の耐熱向上剤;酸化チタン等の着色剤;アルミナ、結晶性シリカ等の熱伝導性付与充填剤;反応性官能基を有しない非反応性シリコーンオイル等の粘度調整剤;銀、金等の金属粉等の導電性付与剤;着色のための顔料、染料等が挙げられる。
本発明の有機EL素子封止材を、有機EL素子に直接接触させ、硬化させることにより封止膜を形成することができる。
封止膜の形成方法としては特に限定されないが、例えば、ディスペンス法、キャスト法、ディッピング法、ロールコーティング法、スプレー法、スクリーン印刷法などが可能である。なお、本発明の有機EL素子封止材の膜厚は特に限定されないが、例えば、フレキシブル構造を有する有機ELデバイスに適用する場合は0.1~30μmの範囲が好ましい。
また、本発明の有機EL素子封止材は、必要に応じて、有機EL素子上に形成された1層以上の他の層、例えば、SiO、SiN、AlO等の無機層等を介して適用してもよい。有機EL素子上に複数の層が積層される場合においては、層間に緩衝膜として本発明の有機EL素子封止材を使用することも可能である。さらに、本発明の有機EL素子封止材を硬化して得られるフィルムを貼合せる等の方法を用いることができる。
本発明の有機EL素子封止材の硬化に際し、白金族金属触媒の活性化は、波長200~500nm、好ましくは200~370nmの光照射により行う。光照射には、UV-LEDランプ、メタルハライドランプ、水銀ランプなどが使用できる。
封止材の硬化速度と変色防止の観点から、照射強度は30~2,000mW/cm2が好ましく、照射線量は3,000~100,000mJ/cm2が好ましい。照射時の温度は、有機EL素子に悪影響を及ぼさない温度であれば特に限定されないが、10~60℃が好ましく、20~40℃がより好ましい。
本発明の有機EL素子封止材は、光透過性に優れ、薄膜の硬化物を得ることが容易であるため、有機EL素子用の透明保護材として好適である。本発明の有機EL素子封止材を用いることで、例えば、厚さ50μmで、JIS K 7361-1:1997に準拠した方法で測定した全光線透過率が90%以上となる硬化物シートを作製することができる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記式中、Phは、フェニル基を示す。
[実施例1-1~1-3、比較例1-1~1-4]
下記(A)~(D)成分を、表1に示す配合量(質量部)にて混合し、有機EL素子封止材を調製した。
(A)成分
上記構造式(1)におけるmが1~5である重合体の混合物(付加反応性炭素-炭素二重結合の含有割合0.47モル/100g)
(B)成分
(B-1)下記構造式(I)で表される化合物(23℃における動粘度:1.8mm2/s、ケイ素原子結合水素原子の含有量:0.0092モル/g)
Figure 2023095270000015
(B-2)フェニルトリビニルシランと1,4-ビス(ジメチルシリル)ベンゼンとの付加生成物であり、下記構造式(a)~(d)で表される化合物の混合物[(a):(b):(c):(d)=55:25:10:15(モル比)、23℃における動粘度:30,000mm2/s、ケイ素原子結合水素原子の平均含有量:0.0035モル/g]
Figure 2023095270000016
Figure 2023095270000017
Figure 2023095270000018
Figure 2023095270000019
(n=4~10、破線は結合手を表す。)
(B-3)下記構造式で表される化合物(23℃における動粘度:21.4mm2/s、ケイ素原子結合水素原子の含有量:0.0069モル/g)
Figure 2023095270000020
(式中、括弧が付された各シロキサン単位の配列はランダム、交互、またはブロックである)
(B-4)下記構造式で表される化合物(23℃における動粘度:65mm2/s、ケイ素原子結合水素原子の含有量:0.0116モル/g)
Figure 2023095270000021
(式中、括弧が付された各シロキサン単位の配列はランダム、交互、またはブロックである)
(C)成分
白金元素の含有量が0.5質量%である、メチルシクロペンタジエニルトリメチル白金錯体のトルエン溶液
(D)成分
ビス(2,2-ジメチル-3-ブチノキシ)ジメチルシラン
Figure 2023095270000022
[実施例2-1~2-3、比較例2-1~2-4]
実施例1-1~1-3および比較例1-1~1-4で得られた有機EL素子封止材で封止した有機ELパネルを製造した。なお、有機EL素子は水分に極めて弱いことから、水分量が1ppm以下に制御されたN2ガスで置換されたボックス内で製造を行った。
図1(i)~(iv)および図2を参照しつつ、本発明の有機EL素子封止材で封止した有機ELパネルの製造方法を説明する。
まず、厚さ1mm、サイズ50mm×50mmの無アルカリガラス基板101上に、陽極電極102、正孔注入層103、正孔輸送層104、発光層105、電子輸送層106、電子注入層107および陰極電極108を順次積層形成して有機EL素子積層ガラス体109を形成した(図1(i)参照)。発光部面積は32×32mm2とした。
次に、水分量が1ppm以下に制御されたN2ガスで置換されたボックス内にて、図1(ii)に示す厚さ1mm、サイズ42mm×42mmのフラット型無アルカリガラス基板110を別に準備した。このフラット型無アルカリガラス基板110の端部外周を、図1(iii)に示すように、端部2mm幅で外周の全面、すなわちロの字型に紫外線硬化型エポキシ樹脂組成物111をディスペンサーによって塗布した。塗布高さは50μmとした。
次に、同ボックス内で、実施例1-1~1-3および比較例1-1~1-4で得られた有機EL素子封止材112を、フラット型無アルカリガラス基板110のエポキシ樹脂組成物111を塗布した内側、すなわち38mm×38mm×50μmの部分を充填する量を滴下した。滴下後の状態を図1(iv)に示す。
その後、真空貼り合わせ設備を用い、真空下にて、ロの字型に塗布されたエポキシ樹脂組成物111の内部に有機EL素子封止材112が充填されたフラット型無アルカリガラス基板110と有機EL素子積層ガラス基板109を貼り合わせた後、25℃で外部からメタルハライドランプ(HANDY UV-100、(株)オーク製作所(OCR)製)を用いて、紫外線強度10mW/cm2で積算照射量30,000mJ/cm2となるように紫外線照射し、エポキシ樹脂組成物111および有機EL素子封止材112を硬化させた。その状態を図1(v)に示す。この方法によって、図2に示されるように、有機EL素子封止材112が、有機EL素子上に直接接触した状態で充填かつ硬化され、上下面が無アルカリガラス基板101,110で、かつ、端部がエポキシ樹脂封止材112で封止された有機ELパネル113を得た。
〔発光特性〕
得られた有機ELパネルを、25℃、大気下において10mA/cm2の電流密度で発光駆動させ、光学顕微鏡(LV150N、(株)ニコン製)を用いて有機EL発光状態を確認した。
有機EL発光部面積が32×32mm2であり、全面を点灯させた状態で直径5μm以上の非発光部分を検出、カウントした。非発光部の総面積が、発光部総面積に占める割合が全体の5%未満の場合を〇、5%以上の場合を×として各パネルの発光状態を評価した。
更に、各有機ELパネルを、高温高湿試験槽を用いて60℃、90%RHの環境に1,000時間曝露し、25℃の大気下に取り出した後、同様の手法にて発光状態を評価した。その結果を表2に示す。
Figure 2023095270000023
表2に示されるように、実施例1-1~1-3で得られた有機EL素子封止材で封止した有機ELパネルは、初期発光損失が起こらず、また、60℃、90%RHの環境に1,000時間曝露した後も良好な発光性能を維持していた。
一方、比較例1-1~1-4で得られた有機EL素子封止材で封止した有機ELパネルは、初期の発光特性は良好であったものの、60℃、90%RHの環境に1,000時間曝露した後、水分の侵入による非発光部が散見される結果となった。
101 無アルカリガラス基板
102 陽極電極
103 正孔注入層
104 正孔輸送層
105 発光層
106 電子輸送層
107 電子注入層
108 陰極電極
109 有機EL素子積層ガラス基板
110 無アルカリガラス基板
111 紫外線硬化型エポキシ樹脂組成物
112 有機EL素子封止材
113 有機ELパネル

Claims (5)

  1. (A)下記構造式(1)で表される重合体:
    Figure 2023095270000024
    [式中、Xは、それぞれ独立して下記構造式(2)で表される2価の基であり、Yは、それぞれ独立して下記構造式(3)~(5)のいずれかで表される1価の基であり、Y’は、それぞれ独立して下記構造式(6)または(7)で表される2価の基であり、Meは、メチル基を表す。mは、0~12の整数である。
    Figure 2023095270000025
    (式中、アスタリスク(*)は、ケイ素原子との結合部位を示す。)
    Figure 2023095270000026
    (式(3)~(7)中、アスタリスク(*)は、ケイ素原子との結合部位を示し、各不斉炭素における立体配置は、シス(エキソ)またはトランス(エンド)のいずれであってもよい。)]
    (B)1分子中に、末端ケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個有する有機ケイ素化合物、および、
    (C)波長200~500nmの光によって活性化される白金族金属触媒
    を含有し、
    かつ、HRSiO2/2(式中、Rは有機基を表す。)で表されるオルガノハイドロジェンシロキサン単位を有しない光硬化型組成物からなる有機エレクトロルミネッセンス素子封止材。
  2. 前記(B)成分が、下記式(I)で表される化合物、下記式(II)で表される、フェニルトリビニルシランと1,4-ビス(ジメチルシリル)ベンゼンとの付加反応生成物、またはその両方を含む請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子封止材。
    Figure 2023095270000027
    Figure 2023095270000028
    (式(II)中、nは、1~20の整数である。)
  3. 前記(C)成分が、(η5-シクロペンタジエニル)三脂肪族白金化合物またはビス(β-ジケトナト)白金化合物を含む請求項1または2記載の有機エレクトロルミネッセンス素子封止材。
  4. 請求項1~3のいずれか1項記載の有機エレクトロルミネッセンス素子封止材の硬化物により封止された有機エレクトロルミネッセンス装置。
  5. 請求項1~3のいずれか1項記載の有機エレクトロルミネッセンス素子封止材を、有機エレクトロルミネッセンス素子に直接または層を介して接触させ、波長200~500nmの光照射により硬化させる工程を有する有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
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