JP2023094529A - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】装着感の低下を抑制可能な吸収性物品を提供することを目的とする。【解決手段】吸収性物品は、吸収コアと、吸収コアを包むコアラップシートとを有する吸収体と、長手方向に沿って吸収体に設けられた一対の溝状部と、吸収体の肌面側に配置されたトップシートと、吸収体の非肌面側に配置されたバックシートと、バックシートの非肌面側に配置されたカバーシートと、トップシートから肌面側に向けて立体的に形成される立体ギャザーと、を備える。吸収性物品は、溝状部の位置における剥離強度が0.35N以上である。【選択図】図4

Description

本発明は、吸収性物品に関する。
使い捨ておむつ、尿パッド、生理用品等の吸収性物品は、着用者が排出した尿や体液等の液体を吸収する吸収体を備えている。吸収性物品が着用者に装着された状態で吸収体が不規則に折れ曲がったり捩じれたりすると、着用者に対する触感や吸液性の低下を招き、吸収性物品の装着感が低下してしまう虞がある。そこで、特許文献1に記載された吸収性物品では、着用者に装着された状態で吸収体が着用者の肌面に沿って折り曲がるように当該吸収体の股下領域に溝状部が形成されている。
特許第6369507号公報
吸収体の股下領域に溝状部を設けた吸収性物品であっても着脱が繰り返されると、吸収体が着用者の肌面に沿って折り曲がった状態で維持できなくなる虞がある。吸収体が着用者の肌面に沿って折り曲がらないと、吸収性物品の装着感が低下するという問題がある。
そこで、本発明は、装着感の低下を抑制可能な吸収性物品を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明では、溝状部の位置における剥離強度を0.35N以上とした。
詳細には、本発明は、長手方向に沿った長さと、前記長手方向に直交する幅方向に沿った横幅とを有する吸収性物品であって、パルプを含む吸収コアと、前記吸収コアを包むコアラップシートとを有する吸収体と、着用者の股下に配置される股下領域において、前記長手方向に沿って前記吸収体に設けられた一対の溝状部と、前記吸収体の肌面側に配置された液体透過性を有するトップシートと、前記吸収体の非肌面側に配置された液体非透過性を有するバックシートと、前記バックシートの非肌面側に配置されたカバーシートと、前記トップシートから前記肌面側に向けて立体的に形成される立体ギャザーと、を備え、前記吸収コアは、前記一対の溝状部と対応する位置を少なくとも含んで配置された高吸収性重合体を含むSAPを有し、前記吸収体、前記トップシート、前記バックシート及び前記カバーシートを前記長手方向における前記一対の溝状部の中央から所定の大きさに切り出した試験片を前記幅方向の端部において、前記トップシート及び前記コアラップシートの前記肌面側を含む第1試験片と、前記吸収コア、前記コアラップシートの前記非肌面側、前記バックシート及び前記カバーシートを含む第2試験片と、に切り離し、前記第1試験片と前記第2試験片とで180度剥離試験を行った場合に、前記溝状部の位置における剥離強度が0.35N以上である。
上記吸収性物品において、前記吸収コアの前記肌面側におけるホットメルト接着剤の目付は、1.0g/m以上であり、前記一対の溝状部の長さは、160mm以上245mm以下であり、前記一対の溝状部の横幅は、2.0mm以上5.0mm未満であり、前記
一対の溝状部の深さは、1.0mm以下であり、前記一対の溝状部間の距離Lと、前記立体ギャザーの高さHとの関係は式(1)を満たし、
Figure 2023094529000002

前記吸収コアは、前記パルプの坪量が333g/m以下であり、前記トップシート及び前記カバーシートは、坪量が8.0g/m以上40g/m以下であって、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートのいずれかの繊維で構成されており、前記バックシートは、坪量が10g/m以上40g/m以下であって、ポリオレフィンのフィルムで構成されており、前記コアラップシートは、坪量が8.0g/m以上40g/m以下であって、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートのいずれかの繊維で構成された不織布、又は坪量が8.0g/m以上20g/m以下のティッシュで構成されており、前記SAPの坪量が40g/m以上であってもよい。
上記吸収性物品において、前記吸収コアは、前記パルプの坪量が315g/m以下であってもよい。
上記吸収性物品は、装着時において前記着用者の腹部側に位置する前身頃領域、股下に位置する前記股下領域、及び背部側に位置する後身頃領域が前記長手方向にこの順に設けられており、前記前身頃領域における前記カバーシートに接合されており、前記吸収性物品を前記着用者に固定するためのテープが貼着される前側シートと、前記後身頃領域から幅方向両側に突設されており、前記前側シートに貼着された状態で前記吸収性物品を前記着用者の胴回りにおいて固定するための前記テープと、を備えていてもよい。
上記吸収性物品において、前記第1試験片と前記第2試験片とで180度剥離試験を行った場合に、前記溝状部の位置における剥離強度が0.90N以上であってもよい。
本発明によれば、吸収性物品の装着感の低下を抑制可能である。
図1は、実施形態1に係るおむつの斜視図である。 図2は、実施形態1に係るおむつの分解斜視図である。 図3は、非装着状態におけるおむつを、長手方向の中心を幅方向に沿って切断した場合の断面図である。 図4は、実施形態1に係るおむつを肌面側から見た平面図である。 図5は、装着状態におけるおむつを、長手方向の中心を幅方向に沿って切断した場合の断面図である。 図6は、溝状部の位置における剥離強度(N)とコアラップシートの肌面側と上層吸収コアの剥がれが発生した時の繰り返し装着回数との関係を示す表である。 図7は、実施形態1に係るおむつの製造方法の概要を示したフローチャートである。 図8は、実施形態1に係るおむつの製造装置の一例を示した図である。 図9は、搬送速度と剥離強度の関係について説明する表である。 図10は、圧搾時の温度条件と剥離強度の関係について説明する表である。 図11は、実施形態2に係るおむつの斜視図である。 図12は、実施形態2に係るおむつの分解斜視図である。 図13は、実施形態2に係るおむつを展開図である。 図14は、実施形態2に係るおむつから吸収体を抜き出し示す展開図である。 図15は、溝状部の位置における剥離強度(N)とコアラップシートの肌面側と上層吸収コアの剥がれが発生した時の繰り返し装着回数との関係を示す表である。
以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係る吸収性物品について説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本発明はこれらの実施の形態の構成に限定されるものではない。
<実施形態1>
本実施形態では、テープ型使い捨ておむつ(本願でいう「吸収性物品」の一例であり、以下、単に「おむつ」という)について、着用者の腹部に対向して配置される前身頃(図1及び図3に示す前身頃領域1F)と背部に対向して配置される後身頃(図1及び図3に示す後身頃領域1R)とを結ぶ方向を長手方向とする。おむつは、長手方向に沿った長さと、長手方向に直交する幅方向に沿った横幅とを有する。また、これらの前身頃(長手方向の一側)と後身頃(長手方向の他側)との間(長手方向の中央)には、着用者の股下に配置(股間に対向して配置)される股下部(図1及び図3に示す股下領域1B)が位置する。また、おむつが着用者に装着された状態(以下「装着状態」と略称する)において、着用者の肌に向かう側(装着された状態で内側)を肌面側とし、肌面側の反対側(装着された状態で外側)を非肌面側とする。さらに、肌面側と非肌面側とを結ぶ方向を厚み方向とし、長手方向と厚み方向の何れにも直交する方向を幅方向とする。そのほか、厚み方向から視ることを平面視とする。
図1は、本実施形態に係るおむつの斜視図である。おむつ1は、装着状態において着用者の陰部を覆う股下部に対応する部位である股下領域1Bと、股下領域1Bの前側に位置し、着用者の前身頃に対応する部位である前身頃領域1Fと、股下領域1Bの後ろ側に位置し、着用者の後身頃に対応する部位である後身頃領域1Rとを有する。後身頃領域1Rの左右両側の縁には、前身頃領域1Fの非肌面側に設けられたフロントパッチ2F(「前側シート」の一例)へ貼着可能なテープ2L,2Rが設けられている。よって、おむつ1は、前身頃領域1Fが着用者の腹側に配置され、後身頃領域1Rが着用者の背側に配置された状態でテープ2L,2Rがフロントパッチ2Fに貼着されると、着用者の腹囲と大腿部を取り巻く状態で着用者の身体に固定される。おむつ1がこのような形態で着用者の身体に固定されるので、着用者はおむつ1を着用した状態で立ち歩き可能である。
おむつ1には、液体を吸収して保持することができる吸収体が股下領域1Bを含んで配置されている。また、おむつ1には、おむつ1と着用者の肌との間に液体の流出経路となる隙間が形成されるのを抑制するために、着用者の大腿部を取り巻く部位に立体ギャザー3BL,3BRが設けられ、着用者の腹囲を取り巻く部位にウェストギャザー3Rが設けられている。立体ギャザー3BL,3BRとウェストギャザー3Rは、弾性部材の弾性力で着用者の肌に密着する。よって、着用者の陰部から排出される液体は、おむつ1から漏出することなくおむつ1の吸収体に吸収される。なお、弾性部材としては糸状や帯状のゴム等を適宜選択できる。
また、おむつ1の股下領域1Bの幅方向寸法は、一般的な着用者の両脚部の付け根間の寸法よりもやや大きく設定されている。このため、股下領域1Bにおける吸収体を幅方向に折り曲げた状態でおむつ1を装着状態とすることができる。
図2は、おむつ1の分解斜視図である。図3は、非装着状態におけるおむつ1を、長手
方向の中心を幅方向に沿って切断した場合の断面図である。図4は、伸長した状態のおむつ1を肌面側から見た平面図である。
おむつ1は、装着状態において外表面を形成するカバーシート4を有する。カバーシート4は、長辺に相当する部位に括れ4KL,4KRを設けた略長方形の外観を有するシート状の部材であり、おむつ1の外装面を形成する。括れ4KL,4KRは、着用者の大腿部が位置する箇所に設けられる。カバーシート4は、後述するバックシート5の補強や手触りの向上のために設けられ、例えば、***物の漏れを抑制するために、液不透過性の熱可塑性樹脂からなる不織布をその材料として用いることができる。液不透過性の熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が例示できる。カバーシート4は、単層構造に限らず、インナーカバーシート及びアウターカバーシートを有する多層構造であってもよい。
そして、おむつ1は、カバーシート4の肌面側において順に積層されるバックシート5、吸収体6、トップシート7を有する。バックシート5、吸収体6及びトップシート7は、略長方形の外観を有するシート状の部材である。バックシート5、吸収体6及びトップシート7は、長手方向がカバーシート4の長手方向と一致する状態でカバーシート4に順に積層されている。バックシート5は、カバーシート4と同様に、***物の漏れを抑制するために液不透過性の熱可塑性樹脂を材料として形成されたシートである。バックシート5の材料としては、ポリエチレン(PE)等が例示できる。バックシート5は、装着状態での蒸れを抑えるため、透湿性を併せもつ材料で構成されることが好ましい。また、トップシート7は、吸収体6の吸水面を被覆するように着用者の肌面側に配置される。このトップシート7は、その一部又は全部において液透過性を有する。そのため、おむつ1が装着された状態において、着用者から***された液体は、着用者の肌に接触し得るトップシート7を通って吸収体6に進入し、そこで吸収される。例えば、織布、不織布、多孔質フィルムがトップシート7の材料として材用できる。これらの材料としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が例示できる。トップシート7は親水性を有していてもよい。
バックシート5、吸収体6、トップシート7は、何れも前身頃領域1Fから後身頃領域1Rにまで延在する。よって、バックシート5と吸収体6とトップシート7が積層されているカバーシート4で着用者の陰部を覆うと、バックシート5と吸収体6とトップシート7の各長手方向の両端部は、着用者の腹側と背側に位置する状態となる。すなわち、着用者の陰部は、着用者の腹側から背側まで吸収体6に覆われる状態となる。したがって、着用者が腹を下へ向けた姿勢と背を下へ向けた姿勢の何れの姿勢で液体を体外へ排出しても、排出された液体はトップシート7を介して吸収体6に接触することになる。
また、おむつ1は、上述した立体ギャザー3BL,3BRを形成するための細長い帯状のサイドシート8L,8Rを有する。サイドシート8L,8Rは、トップシート7の長辺の部分に設けられる液不透過性のシートである。サイドシート8L,8Rには、カバーシート4と同様、着用者の大腿部が位置する箇所に括れ8KL,8KRが設けられる。そして、サイドシート8L,8Rには弾性部材8EL,8ERが長手方向に沿って配置されている。よって、サイドシート8L,8Rは、おむつ1が装着状態の形態、すなわち、おむつ1が後述する図5に示す形態になると、弾性部材8EL,8ERの収縮力で長手方向に引き寄せられてトップシート7から立ち上がり、液体の流出を防ぐ立体ギャザー3BL,3BRとなる。このように、立体ギャザー3BL,3BRは、トップシート7から肌面側に向けて立体的に形成される。
また、上述したウェストギャザー3Rを形成するための弾性部材9ERは、吸収体6の端部よりも更に背側の位置において、バックシート5とトップシート7の間に設けられる
。弾性部材9ERは、伸縮方向となる長手方向がおむつ1の左右方向となる向きでバックシート5とトップシート7の間に設けられる。よって、弾性部材9ERの左右両側に設けられるテープ2L,2Rが、着用者の腹側においてフロントパッチ2Fに貼着されると、弾性部材9ERは、収縮力を発揮しておむつ1を着用者に密着させ、おむつ1と着用者の腹囲との間に隙間が形成されるのを防ぐ。
吸収体6は、パルプを含む吸収コア6Bと、吸収コア6Bを包むコアラップシート6Aと、を備える。吸収コア6Bは、肌面側に配置された上層吸収コア6B1と、上層吸収コア6B1の非肌面側に配置された下層吸収コア6B2と、高吸収性重合体(Super Absorbent Polymer)を含むSAP層6B3と、を有する。上層吸収コア6B1は、前身頃領域1F及び後身頃領域1Rよりも股下領域1Bの幅方向寸法が小さく形成されたシート状の部材である。なお、幅方向寸法が略一定である略長方形の外観を有する上層吸収コア6B1が用いられてもよい。下層吸収コア6B2は、略長方形の外観を有するシート状の部材である。吸収コア6Bは、上層吸収コア6B1と下層吸収コア6B2とが積層された構造を有する。
上層吸収コア6B1及び下層吸収コア6B2には、パルプ繊維、レーヨン繊維、またはコットン繊維のようなセルロース系繊維の短繊維や、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレンテレフタレート等の合成繊維に親水化処理を施した短繊維が用いられている。SAP層6B3は、水を吸収し保持することのできる架橋構造を持つ親水性ポリマーであるSAP(高吸収性重合体)等の粒状の吸収性樹脂を含んで構成されている。吸収コア6Bは、上層吸収コア6B1及び下層吸収コア6B2で一旦吸収した尿等の液体をSAP層6B3で吸収、保持する。
本実施形態のSAP粒子とは、SAPを含む樹脂組成物を粒状としたものを指す。ここで言う「SAPを含む樹脂組成物」とは、SAPのみからなる組成物、SAPを主成分とし、これに吸水性に悪影響を及ぼさない程度に他の物質が含まれた組成物、の双方を包含する概念である。「他の物質」としては、添加剤(粒子表面を疎水化する目的で添加される表面改質剤等)、SAPの合成時に残存した未反応のモノマー等を挙げることができる。
次に、股下領域1Bにおける吸収体6を着用者の肌に沿って折り曲げた状態でおむつ1を装着状態とする折曲保持構造について説明する。折曲保持構造は、股下領域1Bにおける吸収体6を所定形状に折り曲げて保持するための構造である。一般的に、股下領域における吸収体の不規則な折れ曲がりや捩れによって吸収性物品の装着感は低下してしまう。このため、本実施形態に係るおむつ1は、股下領域1Bにおける吸収体6を所定形状に折り曲げて保持する折曲保持構造を備えることで装着感を向上させている。
本実施形態に係るおむつ1は、折曲保持構造として、おむつ1の長手方向に延在し吸収体6の股下領域1Bに形成された一対の溝状部6Hを備える。一対の溝状部6Hは、図4に示されるように、おむつ1の幅方向の中央において長手方向に延びる仮想の中心線Cを挟んで互いに平行に2本形成されている。溝状部6Hは、吸収体6を部分的にプレス(圧搾)することにより凹状に形成される。吸収体6は、溝状部6Hの形成領域が圧搾(圧密化)された状態となり、溝状部6Hの形成領域においてコアラップシート6Aの肌面側と上層吸収コア6B1とが密着する。
本実施形態においては図4に示されるように、溝状部6Hは、幅方向における中心線Cを挟んで互いに平行であって二本で一対をなす直線状に形成されている。なお、溝状部6Hは、長手方向の一方から他方に向かうにつれて離間あるいは接近する形状であってもよいし、弧状や波型といった他の形状であってもよい。また、溝状部6Hは、三本以上形成
されていてもよい。
また、おむつ1は、上記の所定形状を維持し易くするために、少なくとも股下領域1Bを含んで配置され、厚み方向において吸収体6と重なる位置で長手方向に延在し、伸張状態で貼り付けられた一対の弾性部材4CL,4CRを備える。図3及び図4に示されるように、本実施形態では、各3本の弾性部材4CL,4CRが伸張状態で互いに平行に貼り付けられている。なお、おむつ1は、設計上要求される弾性力(収縮力)などに応じて決定された適宜の本数の弾性部材4CL,4CRを備えていればよい。なお、弾性部材としては糸状や帯状のゴム等を適宜選択できる。
弾性部材4CL,4CRは、溝状部6Hよりも幅方向外側に配置されている。本実施形態では、溝状部6Hと平行に弾性部材4CL,4CRが配置される。なお、おむつ1の長手方向において、弾性部材4CL,4CRの前身頃領域1F側の端部は溝状部6Hの前身頃領域1F側の端部と概ね一致している。また、おむつ1の長手方向において、弾性部材4CL,4CRの後身頃領域1R側の端部は溝状部6Hの後身頃領域1R側の端部よりも後方であって後身頃領域1Rの中程に配置されている。
弾性部材4CL,4CRは、吸収体6を長手方向に収縮させるために設けられる。具体的には、弾性部材4CL,4CRは、カバーシート4とバックシート5との間に配置され、カバーシート4及びバックシート5と伸張状態の弾性部材4CL,4CRの少なくとも股下領域1Bの範囲内である部分とがホットメルト接着剤によって互いに固定される。このため、弾性部材4CL,4CRの弾性力によって、カバーシート4、バックシート5及び吸収体6が長手方向に収縮される。なお、弾性部材4CL,4CRは、股下領域1Bを含んで配置されており、吸収体6を長手方向に収縮させることができればよく、バックシート5、吸収体6又はトップシート7のいずれかに伸張状態で貼り付けられていてもよい。
この弾性部材4CL,4CRによって、股下領域1Bには一対のサポートギャザー10L,10Rが形成される。サポートギャザー10L,10Rは、おむつ1の装着状態において、吸収体6を肌面側に持ち上げて支持する。
また、カバーシート4には、おむつ1と着用者の脚周りとの間に隙間が形成されるのを防ぐ弾性部材4SL,4SRが弾性部材4CL,4CRの長手方向に沿って設けられている。弾性部材4SL,4SRは、おむつ1において設計上要求される弾性力(収縮力)などに応じて決定された適宜の本数で適宜の位置に設けられる。なお、弾性部材としては糸状や帯状のゴム等を適宜選択できる。
次に、本実施形態に係るおむつ1の装着状態における股下領域1Bの詳細ついて説明する。図5は、装着状態におけるおむつ1の股下領域1Bの長手方向の中心を幅方向に沿って切断した場合の断面図である。図5に示されるように、おむつ1の装着状態では、股下領域1Bが所定形状に折り曲がった状態となる。具体的には、股下領域1Bの幅方向断面がW字状の所定形状に折り曲げられる。このW字状を構成する二つV字部のうち、左側をV字部12Lとし、右側をV字部12Rとする。また、肌面側に折れる折れ目を山折りとし、非肌面側に折れる折れ目を谷折りとする。
装着状態では、溝状部6Hが折れ目となって股下領域1Bの谷折りを形成している。具体的に言えば、二本の溝状部6Hを折れ目として股下領域1Bを谷折りにすることで、二つの谷折りが形成される。そして、V字部12L,12Rのそれぞれの角部に対応する部位に溝状部6Hが位置する。このときの股下領域1Bでは、一対の溝状部6Hの幅方向中心が逆V字状の山折りにされ、当該幅方向中心が山折りの折れ目となる。このように所定
形状に折り曲げられた股下領域1Bでは、V字部12L,12Rのそれぞれの幅方向外側に、弾性部材4CL,4CRで形成されるサポートギャザー10L,10Rが配置される。弾性部材4CL,4CRによって、吸収体6が長手方向に収縮され、サポートギャザー10L,10Rの形成領域において、股下領域1Bが肌面側に持ち上げられる。弾性部材4CL,4CRによって吸収体6が長手方向に収縮されることで、吸収体6が肌面側に持ち上げられ、溝状部6Hでの吸収体6の折り曲げを保持することができる。これにより、本実施形態に係るおむつ1は、装着状態において股下領域1Bが所定形状に折り曲げて保持され、触感や吸液性を確保して装着感を向上させることができる。
また、一対の溝状部6Hよりも幅方向外側にサポートギャザー10L,10Rが配置されるため、溝状部6Hでの谷折りの幅方向外側から吸収体6を肌面側へ持ち上げるように付勢させることができ、吸収体6の折り曲げを保持することができる。
ところで、本実施形態に係るおむつ1は、大人用(介護用)に好適である。通常、大人用のおむつは、トップシートの肌面側に尿取り用のパッド(以下、単に「パッド」と称する)が配置され、パッドと併用される。着用者が、尿等を排出した場合にはパッドのみが交換される。一方、おむつは、介護現場においては、着用者の入浴日に交換されることが多い。着用者である被介護者の入浴日は3日毎に設定されていることが多い。例えば、パッドが一日当たり平均で5回交換されることを想定すると、3日間連続で同じおむつが使用される場合には、当該おむつの使用時にパッドの交換が15回行われることになる。このため、本実施形態では、着脱が最低15回繰り返された場合でも装着感の低下を抑制することができるおむつについて検討した。
おむつ1は、溝状部6Hが吸収コア6Bのパルプで埋まってしまうことによって溝状部6Hが潰れてしまうと、W字状の所定形状への遷移が困難になる。溝状部6Hの形成領域においてコアラップシート6Aの肌面側と上層吸収コア6B1とが剥がれない場合に、溝状部6Hが潰れてしまうのを防ぐことができる。このことから、おむつ1の着脱が繰り返されても、溝状部6Hの形成領域においてコアラップシート6Aの肌面側と上層吸収コア6B1とが剥がれない場合に、図5に示すW字状の所定形状を維持することができ、装着感の低下を抑制できることが見出された。
そこで、本実施形態では、溝状部6Hの位置におけるコアラップシート6Aの肌面側と上層吸収コア6B1の剥離強度(N)と、おむつ1を繰り返し装着した場合に、コアラップシート6Aの肌面側と上層吸収コア6B1が剥がれた着脱回数との関係を検証した。この検証のために、以下の条件でおむつ1のサンプルを作製した。
吸収コア6Bの肌面側(上層吸収コア6B1の肌面側)におけるホットメルト接着剤の目付は、1.0g/m以上とした。
一対の溝状部6Hの長さは、160mm以上245mm以下とした。
一対の溝状部6Hの横幅は、2.0mm以上5.0mm未満とした。
一対の溝状部6Hの深さは、1.0mm以下とした。
一対の溝状部6H間の距離Lと、立体ギャザー3BL,3BRの高さHとの関係は式(2)を満たすものとした。
Figure 2023094529000003

ここで、立体ギャザー3BL,3BRの高さHは、立体ギャザー3BL,3BRの起立線から肌面側への立ち上がった立体ギャザー3BL,3BRの先端までの距離である。
吸収コア6Bは、パルプの坪量が333g/m以下、好ましくは、パルプの坪量が315g/m以下である。なお、本実施形態では、吸収コア6Bは、上層吸収コア6B1と下層吸収コア6B2との2層の吸収コアと、2層の吸収コアの間に配置されたSAP層63Bと、を有している。なお、吸収コア6Bは、2層構造に限られず、SAPを含有していれば一層構造であってもよい。
トップシート7及びカバーシート4は、坪量が8.0g/m以上40g/m以下であって、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートのいずれかの繊維で構成されている。
バックシート5は、坪量が10g/m以上40g/m以下であって、ポリオレフィンのフィルムで構成されている。
コアラップシート6Aは、坪量が8.0g/m以上40g/m以下であって、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートの繊維で構成された不織布、又は坪量が8.0g/m以上20g/m以下のティッシュで構成されている。なお、ティッシュは、セルロース繊維等を含んで構成されている。
SAP層6B3は、SAPの坪量が60g/m以上である。
また、本実施形態に係るおむつ1は、テープ型である。テープ型のおむつ1は、フロントパッチ2Fが前身頃領域1Fにおけるカバーシート4の非肌面側に配置されている。フロントパッチ2Fは、テープ2L,2Rの貼着が可能な面ファスナーとしての機能を発揮するものであり、テープ2L,2Rに設けられている微細なフックを引っ掛けるための微細なループを、プラスチックフィルムの表面に縦横に接着した微細な糸で形成したものである。フロントパッチ2Fのループは、例えば、微細な格子状のポリエステル繊維の糸を、ポリウレタン接着剤でプラスチックフィルムの表面に接着することにより形成される。また、フロントパッチ2Fのプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、塩化ビニル、その他各種素材のプラスチックフィルムが挙げられる。なお、フロントパッチ2Fは、通気孔を有して通気性を有していてもよい。また、フロントパッチ2Fには不織布が用いられていてもよい。
また、本実施形態に係るおむつ1は、上述の通り、吸収体6の肌面側に配置された液体透過性を有するトップシート7と、吸収体6の非肌面側に配置された液体非透過性を有するバックシート5と、バックシート5の非肌面側に配置されたカバーシート4と、を備える。吸収体6のSAP層6B3は、一対の溝状部6Hと対応する位置を少なくとも含んで配置されている。ここで、一対の溝状部6Hと対応する位置とは、おむつ1を厚み方向に見て溝状部6Hの形成領域と重なる位置である。本実施形態では、SAP層6B3は、一対の溝状部6Hと対応する位置であって、上層吸収コア6B1と下層吸収コア6B2の間に配置されている。なお、SAP層6B3は、一対の溝状部6Hと対応する位置であって、上層吸収コア6B1の肌面側に配置されていてもよい。
上記条件で作製したサンプルのおむつ1から、吸収体6、トップシート7及びバックシート5をおむつ1の長手方向における一対の溝状部6Hの中央からおむつ1の幅方向に80mmの長さ、当該長手方向に40mmの長さに切り出して試験片を準備した。そして、当該試験片の幅方向の端部において、トップシート7及びコアラップシート6Aの肌面側を含む第1試験片と、吸収コア6B、コアラップシート6Aの非肌面側、バックシート5及びカバーシート4を含む第2試験片と、に切り離し、第1試験片と第2試験片とで180度剥離試験を行った。なお、試験片は、180度剥離試験が可能な所定の大きさであればよい。
次に、ストログラフを用いた180度剥離試験について説明する。
ロードセルは100N用のものを用いる。
ストログラフのチャックの幅の初期値を40mmとし、試験速度を100mm/minとし、荷重レンジの倍率を20倍(5N)とし、チャック間の距離を20mmとし、上限停止処理の変位値を50mmに設定する。
次いで、ストログラフのチャックに試験片固定用のクリップを取り付ける。上側のチャックに取り付けたクリップで第2試験片を挟んで固定し、下側のチャックに取り付けたクリップで第1試験片を挟んで固定する。
上側のチャックを鉛直上方に移動させ、下側のチャックを鉛直下方に移動させることによって180度剥離試験を行う。
溝状部6Hの位置における剥離強度(N)をストログラフにより計測する。
図6は、溝状部6Hの位置における剥離強度(N)と、コアラップシート6Aの肌面側と上層吸収コア6B1の剥がれが発生した時の繰り返し装着回数との関係を示す表である。剥がれが発生した装着回数が15回未満、剥がれが発生した装着回数が15以上30回未満、剥がれが発生した装着回数が30回以上となるサンプルのおむつを14個ずつ作製し、この関係について検証した。また、本検証では、おむつをダミー人形に繰り返し装着して行った。なお、図6では、各サンプルのおむつの接着強度を昇順に並べ、最終行には各列の値の平均値を記載している。
本検証の結果、溝状部6Hの位置における剥離強度が0.35N以上である場合に、おむつ1は、着脱が15回繰り返されてもコアラップシート6Aの肌面側と上層吸収コア6B1の剥がれが発生しないことが見出された。すなわち、溝状部6Hの位置における剥離強度が0.35N以上であるおむつ1は、着脱が15回繰り返されても、装着後にW字状の所定形状を維持することができる。
また、溝状部6Hの位置における剥離強度が0.90N以上である場合に、おむつ1は、着脱が30回繰り返されてもコアラップシート6Aの肌面側と上層吸収コア6B1の剥がれが発生しないことが見出された。すなわち、溝状部6Hの位置における剥離強度が0.90N以上であるおむつ1は、着脱が30回繰り返されても、装着後にW字状の所定形状を維持することができる。おむつ1が3日間連続で使用され、当該おむつの使用時にパッドの交換が15回行われることになることを想定した場合、15回の着脱中に装着のやり直しや溝状部6Hの形成領域に想定以上に負荷がかかる場合も起こり得る。そこで、おむつ1は、溝状部6Hの位置における剥離強度が0.90N以上であって、着脱が15回の2倍である30回繰り返えされたとしても、W字状の所定形状を維持できることがより好ましい。
本実施形態に係るおむつ1は、着脱が複数回繰り返されても、W字状の所定形状を維持することができるので、装着感の低下を抑制できる。
次に、本実施形態に係るおむつ1の製造方法について説明する。図7は、本実施形態に係るおむつの製造方法の概要を示したフローチャートである。本実施形態に係るおむつの製造方法は、一対の溝状部6Hの形成方法に特徴を有しているので、以下では、溝状部6Hの形成方法について説明する。
本実施形態に係るおむつの製造方法では、まず、吸収コア6Bがコアラップシート6Aで包まれた吸収体6を準備する(ステップS101:「吸収体準備工程」)。下層吸収コア6B2上にSAPの粒子を散布することでSAP層6B3を形成し、下層吸収コア6B2上に上層吸収コア6B1を積層して吸収コア6Bを形成する。そして、吸収コア6Bをコアラップシート6Aで包むことによって、吸収体6が形成される。なお、上層吸収コア6B1及び下層吸収コア6B2は、フォーミングドラムを用いて所定形状に形成される。上層吸収コア6B1及び下層吸収コア6B2は、両者が重なる領域において、吸収コア6
Bのパルプの目付が333g/m以下で形成される。
次に、吸収体6に液体を散布する(ステップS102:「液体散布工程」)。この工程では、一対の溝状部6Hの形成領域に目付で1.0g/m以上の水(例えば、水道水)が散布される。なお、散布される液体は、水に限られず、例えば、消臭剤などの薬液でもよく、SAPが吸収して吸収して膨潤する液体であればよい。
次に、吸収体6にMD方向に沿って一対の溝状部6Hを形成する(ステップS103:「溝状部形成工程」)。この工程では、一対の溝状部6Hの形成領域に対応して凸部が設けられた圧搾ローラと、圧搾ローラに対向配置されたアンビルローラとの間を吸収体6が通過することによって吸収体6が圧搾されて、一対の溝状部6Hが形成される。
次いで、溝状部6Hが形成された吸収体6の肌面側にトップシート7が積層され、吸収体6の非肌面側にバックシート5とカバーシート4が積層され、トップシート7の肌面側にサイドシート8L,8Rが接着されておむつ1が完成する、
次に、図8に基づいて、本実施形態に係るおむつの製造方法についてより詳細に説明する。図8は、おむつの製造装置の一例を示した図である。おむつ1の製造方法に用いる製造装置Mは、搬送ラインM1、液体散布装置M2、プレス装置M3を備える。搬送ラインM1は、図7に示すステップS101で準備した吸収体6を一定方向に搬送するコンベアである。搬送ラインM1による吸収体6の搬送速度(m/s)は、70m/s以上250m/s以下である。
液体散布装置M2は、吸収体6に液体を散布する(図7に示すステップS102)。液体散布装置M2は、一対の溝状部6Hの形成領域に目付で1.0g/m以上の水を散布するように、搬送ラインM1による吸収体6の搬送速度との関係で単位時間当たりの散布量(ml/s)が設定される。
また、搬送ラインM1の搬送経路における液体散布装置M2の下流側にはプレス装置M3が設けられている。プレス装置M3は、搬送ラインM1の上側に配置された圧搾ローラM31と、圧搾ローラM31と対向配置され、搬送ラインM1の下側に配置されたアンビルローラM32とを有する。圧搾ローラM31は、一対の溝状部6Hの形成領域に対応して凸部(不図示)が設けられており、圧搾ローラM31とアンビルローラM32の間を吸収体6が通過することによって吸収体6が圧搾され、MD方向に沿って一対の溝状部6Hが形成される(図7に示すステップS103)。圧搾ローラM31とアンビルローラM32とのクリアランスは、0.40mm以下である。当該クリアランスは、好ましくは、0.30mm以下であり、より好ましくは、0.25mm以下である。なお、当該クリアランスが小さいほど上記の剥離強度を強くすることができる。なお、上層吸収コア6B1及び下層吸収コア6B2は、両者が重なる領域において、吸収コア6Bのパルプの目付が315g/m以下がより好ましい。
次に、搬送速度と剥離強度の関係について説明する。図9は、搬送速度(m/min)と剥離強度(N)の関係を示す表である。図9の表に示すように、吸収体6の搬送速度を90m/minから130m/minまで10m/min毎に変化させて形成された吸収体6を用いたおむつ1の上記剥離強度は、1.5N~1.8Nとなり、その数値にバラツキは生じなかった。したがって、おむつ1の搬送ラインM1の搬送速度を変更して、吸収体6が圧搾される時間を変化させても、剥離強度はほとんど変化しない。なお、得られる剥離強度は、いずれも0.35N以上である。
次に、吸収体6の溝状部形成工程(図7に示すステップS103)における圧搾時の温
度条件と剥離強度の関係について説明する。図10は、圧搾時の温度(℃)と剥離強度(N)の関係を示す表である。なお、圧搾時の温度は、圧搾ローラM31とアンビルローラM32の表面温度である。図10の表に示すように、圧搾時の温度を40℃から100℃まで20℃毎に変化させて形成された吸収体6を用いたおむつ1の上記剥離強度は、1.6N~1.8Nとなり、その数値にバラツキは生じなかった。したがって、おむつ1の溝状部形成工程における圧搾時の温度を変更しても、剥離強度はほとんど変化しない。なお、得られる剥離強度は、いずれも0.35N以上である。
本実施形態に係るおむつの製造方法によれば、溝状部6Hの位置における剥離強度が0.35N以上のおむつを製造することができる。このため、本実施形態に係るおむつの製造方法によれば、着脱が15回繰り返されても、W字状の所定形状を維持することができるおむつを製造することができるので、おむつの装着感の低下を抑制できる。また、吸収コア6Bは、2層の吸収コアの間にSAP層が配置された構成であることが好ましい。SAP層のSAPと吸収コアのセルロース繊維とが貼り付くので、剥離強度を高めることができる。
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2に係るおむつについて説明する。図11は、実施形態に係る大人用のパンツ型使い捨ておむつ(以下、単に「おむつ」という)の斜視図の一例である。本実施形態では、吸収性物品の一例として、着用者の腹囲を挿通可能な胴回り開口部と、着用者の左右の各下肢を挿通可能な左右一対の脚回り開口部とを有する筒状構造のパンツ型使い捨ておむつを例示する。また、本実施形態では、大人用のパンツ型使い捨ておむつを例示するが、本願でいう「吸収性物品」は、大人用のパンツ型使い捨ておむつに限定されるものでない。本願でいう「吸収性物品」には、子供用のパンツ型使い捨ておむつが含まれる。
おむつ20は、装着状態において着用者の陰部(股下)を覆う股下領域に対応する部位である股下領域100Bと、着用者の胴回りにおける前身頃に対応する部位であって着用者の腹部側を覆うための前身頃領域100Fと、着用者の胴回りにおける後身頃に対応する部位であって着用者の背部側を覆うための後身頃領域100Rとを有する。ここで、前身頃領域100Fは股下領域100Bの前側に位置し、後身頃領域100Rは股下領域100Bの後側に位置する。本実施形態におけるおむつ20は、パンツ型の使い捨ておむつであるため、前身頃領域100Fの左側の縁と後身頃領域100Rの左側の縁は互いに接合され、前身頃領域100Fの右側の縁と後身頃領域100Rの右側の縁は互いに接合されている。よって、おむつ20には、前身頃領域100Fの上側の縁と後身頃領域100Rの上側の縁とによって胴開口部200T(胴回り開口部)が形成されている。また、おむつ20には、上記接合が施されない股下領域100Bの左側の部位に左下肢開口部200L(脚回り開口部)が形成され、股下領域100Bの右側の部位に右下肢開口部200R(脚回り開口部)が形成されている。そして、おむつ20は、着用者の左下肢が左下肢開口部200Lに挿通され、着用者の右下肢が右下肢開口部200Rに挿通され、着用者の胴部が胴開口部200Tに入るように着用されると、前身頃領域100Fが着用者の腹部側に配置され、後身頃領域100Rが着用者の背部側に配置され、左下肢開口部200Lと右下肢開口部200Rが着用者の大腿部を取り巻く状態で着用者の身体に固定される。おむつ20がこのような形態で着用者の身体に固定されるので、着用者はおむつ20を着用した状態で自由に行動することができる。
おむつ20には、液体を吸収して保持することができる吸収体が主に股下領域100B付近を中心に配置されている。また、おむつ20には、おむつ20と着用者の肌との間に液体の流出経路となる隙間が形成されるのを抑制するべく、着用者の左下肢の大腿部を取り巻く左下肢開口部200Lに立体ギャザー300BLが設けられ、着用者の右下肢の大
腿部を取り巻く右下肢開口部200Rに立体ギャザー(不図示)が設けられ、着用者の腹囲を取り巻く部位にウェストギャザー300Rおよびタミーギャザー120が設けられている。また、着用者の脚の付け根を取り巻く位置には、レグギャザー300LF,300LR(図11においてレグギャザー300LRは不図示)が設けられる。なお、レグギャザー300LFは、前身頃領域100Fに設けられ、レグギャザー300LRは、後身頃領域100Rに設けられる。そして、図11では、レグギャザー300LFのみ例示されている。立体ギャザー300BL,300BRとウェストギャザー300Rは、弾性部材の弾性力によって収縮することで着用者の肌に密着する。また、レグギャザー300LF、300LRは、着用者の脚の付け根とおむつ20との間に隙間が生まれるのを防ぐ。よって、着用者の陰部から排出される排出液は、おむつ20から殆ど漏出することなくおむつ20の吸収体に吸収される。なお、おむつ20は、図示しないパッド(尿取り用のパッド)と組み合わせて使用することができる。
図12は、実施形態に係るおむつ20の分解斜視図の一例である。おむつ20は、カバーシート(アウターカバーシート)400とインナーカバーシート500とを有する。カバーシート400とインナーカバーシート500は、貼り合わされておむつ20の外表面を形成する略砂時計形状(瓢箪形状)のシートであり、前身頃領域100F側の端部と後身頃領域100R側の端部以外は同形状でほぼ同じ大きさである。着用者に着用された状態において、カバーシート400は着用者の非肌面側、インナーカバーシート500は着用者の肌面側に積層されている。カバーシート400とインナーカバーシート500の間には、ウェストギャザー300R、タミーギャザー120、およびレグギャザー300LF、300LRを形成するための弾性部材が設けられている。本実施形態では、弾性部材として糸ゴムが採用されている。なお、弾性部材としては、糸ゴムに代えて帯状のゴム等の弾性部材を適宜選択できる。
カバーシート400とインナーカバーシート500は、例えば、排出物の漏れを抑制するために、液不透過性の熱可塑性樹脂からなる不織布をその材料として用いることができる。ここで、液不透過性の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等が例示できる。以下、吸収体800および吸収体800にバックシート600、トップシート900、サイドシート101L,101Rを組み合わせたものを内装体とし、内装体に対応する概念として、糸ゴムが配置されたカバーシート400とインナーカバーシート500とを合わせて外装体と表現することがある。
おむつ20は、カバーシート400とインナーカバーシート500の着用者側の面において順に積層されるバックシート600と、吸収体800と、トップシート900とを有する。バックシート600は、着用者の前身頃から股下を経由して後身頃へ届く長さを長手方向に有し、当該長手方向に対し直交する幅方向に所定の横幅を有する略長方形のシートである。吸収体800、トップシート900は、何れもバックシート600と同様に略長方形の外観を有するシート状の部材であり、長手方向がバックシート600の長手方向と一致する状態で、バックシート600に対して順に積層されている。バックシート600は、排出物の漏れを抑制するために非透液性の熱可塑性樹脂を材料として形成されたシートである。また、バックシート600には、微小な孔660が設けられている。孔660は、透液を防止しつつ通気可能である。孔660は、例えば吸収体800と重なる領域に設けられている。また、トップシート900は、吸収体800の吸水面を被覆するように着用者の肌面側に配置される、シート状の部材である。このトップシート900は、その一部又は全部において液透過性を有する。そのため、おむつ20が着用された状態において、着用者から排出された液体は、着用者の肌に接触し得るトップシート900を通って吸収体800に浸入し、そこで吸収される。液透過性のシートとしては、例えば、織布、不織布、多孔質フィルムが挙げられる。また、トップシート900は親水性を有していてもよい。
吸収体800は、マットからなる吸収コア800cと、吸収コア800cを包み込むコアラップシート700(透水性シート)とを有する。吸収コア800cは括れ部を有する略砂時計型である。吸収コアは、パルプ繊維、レーヨン繊維、またはコットン繊維のようなセルロース系繊維の短繊維や、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレンテレフタレート等の合成繊維に親水化処理を施した短繊維の隙間に、水を吸収し保持することのできる架橋構造を持つ親水性ポリマーであるSAP等の粒状の吸収性樹脂を保持させた構造を有する。吸収コア800cは、着用者から排出された液体を吸収すると、短繊維内の隙間に保持された吸収性樹脂を膨潤させて該液体を短繊維内に保持する。吸収コア800cは、目的に応じた適宜の形状を採ることができる。吸収コア800cの形状としては、例えば、矩形状、楕円形状、その他各種の形状が挙げられる。
コアラップシート700は、薄い液透過性のシートであり、吸収コア800cをコアラップシート700で包むことにより、上述の吸収コア800cのSAPが他の構造に混入しにくくなる。また、吸収コア800cの型崩れが抑制される。コアラップシート700は、パルプ繊維で形成することができ、一例としてはティッシュペーパーを用いることができる。コアラップシート700は、1枚のシートでもよいが、着用者の肌側に配置された上側シートと、着用者の非肌面側に配置され、吸収コアの側面と肌面側に回り込む下側シートの2枚のシートで構成されていてもよい。コアラップシート700が2枚のシートで構成されている場合、上側シートの幅方向端部が他のシート(例えば、後述するサイドシート101L,101R、バックシート600、トップシート900)に包まれる構造になっていてもよい。なお、吸収体800はバックシート600とトップシート900に包まれており、これらのシートによっても型崩れを抑制できるため、コアラップシート700を設けないこともできる。
バックシート600、吸収体800、トップシート900は、何れも前身頃領域100Fから後身頃領域100Rにまで延在する。よって、バックシート600、吸収体800、トップシート900を積層して着用者の陰部(股下)を覆うと、バックシート600、吸収体800、トップシート900の各長手方向の両端部は、着用者の腹側と背側に位置する状態となる。すなわち、着用者の陰部は、着用者の腹側から背側まで吸収体800に覆われる状態となる。したがって、着用者が腹を下へ向けた姿勢と背を下へ向けた姿勢の何れの姿勢で液体を体外へ排出しても、排出された液体はトップシート900を介して吸収体800に接触することになる。
また、バックシート600とコアラップシート700の間には、前身頃領域100Fから股下領域100Bにかけて長手方向に伸張状態で糸ゴム400F7が幅方向中央部に設けられている。糸ゴム400F7は、バックシート600に接着されており、バックシート600を介してインナーカバーシート500およびカバーシート400に接着されている。糸ゴム400F7は、インナーカバーシート500およびカバーシート400を長手方向に収縮させる力を発揮する。なお、糸ゴム400F7を設ける領域は、吸収体800とインナーカバーシート500が非接着とされている領域であることが好ましいが、吸収体800とインナーカバーシート500が接着されている領域であってもよい。なお、糸ゴム400F7は、カバーシート400とインナーカバーシート500との間に設けられてもよい。
また、糸ゴム400F7の肌面側には糸ゴムカバーシート130(弾性部材カバーシート)が配置されている。糸ゴムカバーシート130は、糸ゴム400F7を肌面側から覆ってバックシート600に接着されている。糸ゴムカバーシート130は、糸ゴム400F7と吸収体800の間に配置されている。また、糸ゴムカバーシート130は、吸収体800のコアラップシート700とは接着されていない。糸ゴム400F7は、吸収体8
00とバックシート600の間に配置され、バックシート600に接着され且つ吸収体800と非接着である。これにより、吸収体800に糸ゴム400F7の弾性力(収縮力)が作用するのを防ぎ、吸収体800が変形するのを防ぐことができる。なお、糸ゴム400F7に代えて帯状の弾性部材を用いる場合は、糸ゴムカバーシート130を設けなることなく、弾性部材とコアラップシート700を非接着とすることができる。また、本実施形態では、糸ゴムカバーシート130は、バックシート600の同じ長さで形成されている。なお、糸ゴムカバーシート130は、糸ゴム400F7の延在領域に合わせた長さで形成されていてもよいし、糸ゴム400F7の延在領域より長く且つバックシート600よりも短く形成されていてもよい。
また、おむつ20は、上述した立体ギャザー300BL,300BRを形成するための細長い帯状のサイドシート101L,101Rを有する。サイドシート101L,101Rは、トップシート900の長辺の部分に設けられる。そして、サイドシート101L,101Rには糸ゴム101L1,101R1が長手方向に沿って伸張された状態で接着される。よって、カバーシート400の、前身頃領域100Fの左側の縁となる縁400F4と、後身頃領域100Rの左側の縁となる縁400R4とが互いに接合され、且つ、カバーシート400の、前身頃領域100Fの右側の縁となる縁400F5と、後身頃領域100Rの右側の縁となる縁400R5とが互いに接合されることにより、図11に示したような完成状態のおむつ20になると、サイドシート101L,101Rは、糸ゴム101L1,101R1の収縮力で長手方向に引き寄せられて折り返し線101L2,101R2に沿ってトップシート900から立ち上がる。その結果、左下肢開口部200L及び右下肢開口部200Rからの液体の流出を防ぐ立体ギャザー300BL,300BRが形成される。
ここで、サイドシート101L、101Rは、立体ギャザー300BL、300BRが形成された場合に立体ギャザー300BL、300BRの夫々の起立線間の幅方向の間隔は、パッドが入る程度に設けられる。なお、縁400F4及び縁400R4、縁400F5及び縁400R5の接合方法は特に限定されないが、例えば、ヒートシール、高周波シール、超音波シール等によって行うことができる。
更に、おむつ20は、バックシート600、吸収体800、トップシート900、サイドシート101L,101Rを挟んで、カバーシート400の前身頃領域100Fにおいて着用者側の面に積層されるエンドシート110Fと、カバーシート400の後身頃領域100Rにおいて着用者側の面に積層されるエンドシート110Rとを有する。エンドシート110F,110Rは、トップシート900の長手方向における一端側においてカバーシート400、インナーカバーシート500に重ねられる短冊状のシートである。エンドシート110F,110Rは非透水性の不織布であり、主におむつ20の胴回り当接部分においてカバーシート400とインナーカバーシート500を補強する。また、エンドシート110F,110Rには、それぞれ接着剤が塗布されており、当該接着剤によりインナーカバーシート500と接着している。エンドシート110F,110Rは、バックシート600、吸収体800、トップシート900、サイドシート101L,101Rにより形成される積層体より肌面側に配置され、積層体の端が肌面に直接触れて着用者に違和感を与えるのを防ぐ。
図13は、実施形態に係るおむつ20を展開し、伸長した状態を模式的に示した図の一例である。図13(A)は、展開及び伸長した状態のおむつ20を左側から見た場合の内部構造を模式的に示している。図13(B)は、展開及び伸長した状態のおむつ20の平面図を模式的に示している。
図13に示されるように、レグギャザー300LFを形成する糸ゴム400F3は、お
むつ20が組み立てられた場合に着用者の脚が入る右下肢開口部200Rおよび左下肢開口部200Lの前身頃領域100F側の縁に沿うように設けられる。糸ゴム400F3は、カバーシート400とインナーカバーシート500に伸張状態で接着されている。そして、糸ゴム400F3は、前身頃側の股下領域100Bにおいて、左右方向に横切るように設けられる。このように左右方向に横断するように糸ゴム400F3が設けられる場所では、おむつ20の厚み方向において糸ゴム400F3と吸収体800とは重なっている。また、このような横断領域の幅方向中央部は、おむつ20が着用された場合の着用者の尿道口に対応する領域となる。なお、厚み方向において吸収体800が重なっている領域において、糸ゴム400F3の配置形態は図13に示されるように横断することに限定されない。糸ゴム400F3の延在方向が、幅方向の成分を有していればよく、好ましくは糸ゴム400F3の延在方向の幅方向成分が長手方向成分よりも大きければよい。
一方、レグギャザー300LRを形成する糸ゴム400R3は、右下肢開口部200Rおよび左下肢開口部200Lの後身頃領域100R側の縁に沿うように設けられる。糸ゴム400R3は、カバーシート400とインナーカバーシート500に伸張状態で接着されている。そして、後身頃側の股下領域100Bにおいて、糸ゴム400R3の先端部は幅方向を向いている。しかしながら、糸ゴム400R3は、幅方向の中央部において切断されており、左側の糸ゴム400R3と右側の糸ゴム400R3とは繋がっていない。
また、インナーカバーシート500と吸収体800とは前身頃領域100Fから後身頃領域100Rにかけてバックシート600を介して接着剤で適宜接着されている。しかしながら、図13に示されるように前身頃領域100Fにおいて糸ゴム400F3が横断する領域では、インナーカバーシート500と吸収体800とは非接着とされる(非接着領域150とする)。実際には、非接着領域150においては、インナーカバーシート500とバックシート600が非接着とされている。本実施形態では、糸ゴム400F3と吸収体800とが重なる股下領域100Bの重なり領域の全域に非接着領域150が設けられている。
また、図13に示されるように、糸ゴム400F7は、前身頃領域100Fから股下領域100Bにかけて長手方向に伸張した状態でバックシート600とコアラップシート700との間の幅方向中央部に設けられる。実際には、糸ゴム400F7は、バックシート600と糸ゴムカバーシート130(図13において不図示)の間に設けられている。なお、糸ゴム400F7よりも股下領域100B側は、着用者がおむつ20を着用した場合の着用者の肛門に対応する。また、吸収体800は、糸ゴム400F7を囲むように線状に圧搾されており、図13ではライン140として図示される。ライン140は、股下領域100B側の端部では幅方向に設けられる。また、ライン140は、前身頃領域100F側の端部では、幅方向の外側に折れ曲がっている。なお、このような吸収体800の圧搾は、例えばローラによってエンボス加工されることで実現される。
カバーシート400は、図12に記載の折り返し線400FF、400RFにおいて一端側が折り返されている。上述したウェストギャザー300Rは、カバーシート400の前身頃領域100Fに糸ゴム400F1が伸張された状態で接着され、カバーシート400の後身頃領域100Rに糸ゴム400R1が伸張された状態で接着されることで形成される。糸ゴム400F1,400F2は、折り返されると前身頃領域100Fの上側の縁を形成することになる折り返し線400FF沿いに、折り返し線400FF側から糸ゴム400F1、糸ゴム400F2の順に設けられている。同様にして、タミーギャザー120は、カバーシート400の前身頃領域100Fに糸ゴム400F2が伸張された状態で接着され、カバーシート400の後身頃領域100Rに糸ゴム400R2が伸張された状態で接着されることで形成される。糸ゴム400R1,400R2も、糸ゴム400F1,400F2と同様、折り返されると後身頃領域100Rの上側の縁を形成することにな
る折り返し線400RF沿いに、折り返し線400RF側から糸ゴム400R1、糸ゴム400R2の順に設けられている。
このため、糸ゴム400F1,400F2は、伸縮方向となる長手方向がおむつ20の左右方向となる向きでカバーシート400に設けられることになる。また、糸ゴム400R1,400R2は、伸縮方向となる長手方向がおむつ20の左右方向となる向きでカバーシート400に設けられることになる。よって、縁400F4と縁400R4が互いに接合され、縁400F5と縁400R5が互いに接合されると、糸ゴム400F1,400F2と糸ゴム400R1,400R2は、胴開口部200Tに沿って周回する実質的に環状の弾性部材を形成し、胴開口部200Tを胴回り方向に収縮させる機能を発揮する。すなわち、糸ゴム400F1,400F2と糸ゴム400R1,400R2は、収縮力を発揮しておむつ20を着用者に密着させ、おむつ20と着用者の腹囲との間に隙間が形成されるのを防ぐ。糸ゴム400F2,糸ゴム400R2は、その股下領域100B側の一部において、吸収体800と重畳する。
糸ゴム400F1,400R1は、図11に示した前身頃領域100F,後身頃領域100Rの上側の縁となる部分に沿って左右方向に延在するように設けられている。糸ゴム400F2,400R2は、所定の間隔を空けて平行に設けられている。糸ゴム400F1,400R1は、おむつ20が着用された状態において、着用者の腹囲を糸ゴム400F2,400R2よりも上側で比較的強く締め付ける。糸ゴム400F1,400R1は、おむつ20を着用者に密着させて着用位置がずれるのを防止し、腹部や背部から排出液が漏出するのを防ぐ機能を担う。糸ゴム400F2,400R2は、糸ゴム400F1,400R1の収縮力に起因する着用者への圧迫感を緩和する。
カバーシート400は、折り返し線400FF、400RFで折り返されて糸ゴム400F1,糸ゴム400R1の配置領域まで延在し、その折り返された部分で糸ゴム400F1、糸ゴム400R1の配置領域を補強している。エンドシート110F,110R(図12参照)は、折り返し線400FF、400RFで折り返されたカバーシート400が延在していない糸ゴム400F2、糸ゴム400R2の配置領域に設けられ糸ゴム400F2、糸ゴム400R2の配置領域を補強している。
なお、本願においてシートが重なる状態とは、重ね合わされるシート同士が互いに全面的に接触する状態で重なる形態に限定されるものでなく、シートの一部分同士が重なる形態を含む概念である。例えば、エンドシート110Fは、バックシート600の長手方向における一端側の一部分が、カバーシート400の一部分に触れる状態で重ねられる。おむつ20は、吸収体800を間に挟んだバックシート600及びトップシート9の他、カバーシート400、エンドシート110F,110R、インナーカバーシート500、サイドシート101L,101Rが積み重なって形成されているため、これら複数のシートを積み重ねた積層体を有していると言える。
ここで、図14を用いて吸収体8に形成されたライン140について説明する。図14は、おむつ20から吸収体800と、糸ゴム400F3,400R3の一部と、糸ゴム400F7を抜き出して示す平面図である。
図14に示されるように、ライン140は、5本の溝状部を有する。5本の溝状部は、溝状部140AL,140AR、溝状部140BL,140BR(本開示の「一対の溝状部」の一例)、溝状部140C(高剛性部)で構成されている。溝状部140AL,140ARは、吸収体800に形成されており、着用者の鼠径部に対応する領域におむつ20の幅方向中央から外側に向かって股下領域100Bから前身頃領域100F側端部方向に延在する左右一対の溝状部である。溝状部140AL,140ARは、吸収体800を圧
搾することによって形成される圧搾溝である。溝状部14AL,14ARは、肌面側からコアラップシート700および吸収コア8cを圧搾することによって形成されている。吸収体800は、溝状部140AL,140ARが形成されていることによって着用者の鼠径部に沿って折れ曲がる。
また、溝状部140AL,140ARが設けられた領域を平面視した場合に溝状部140AL,140ARが重なる領域を含んで設けられ、吸収体800とインナーカバーシート500とが非接着である非接着領域150が形成されている。なお、図14では、非接着領域150を塗りつぶして図示している。仮に、溝状部140AL,140ARが重なる領域を含んで非接着領域150が形成されておらず、当該領域において吸収体800とインナーカバーシート500とが接着されていると、外装体が広げられて肌側に押し当たる状態となり、その結果、外装体の状態が吸収体800に伝わり、吸収体に対して鼠径部に沿って折り曲げられた状態から平たい状態に近づく力が作用してしまう。これに対し、本実施形態に係るおむつ20は、上述のように構成することで、鼠径部に沿って折れ曲がった状態の吸収体800を折れ曲がった状態を維持したまま肌面側に押し当てることが可能となる。これにより、おむつ20は、着用者の肌に対する吸収体800の密着性を向上できる。
また、図14に示されるように、非接着領域150は、おむつ20の幅方向に延在し、略矩形状を有している。なお、図14では、図示を省略しているが、非接着領域150はおむつ20の外装体の幅方向端部まで延在している。おむつ20は、装着状態において、左右方向に外装体が引っ張られた状態において、外装体により吸収体800を肌面側に押し上げ、吸収体800を着用者の肌面に押し当てることができる。これにより、おむつ20は、着用者の肌に対する吸収体8の密着性を向上できる。
また、図14のようにおむつ20を平面視した場合に、おむつ20は、非接着領域150に重なる領域において伸張状態でインナーカバーシート500およびカバーシート400に接着された糸ゴム400F3を備える。なお、図13に示されるように、糸ゴム400F3の端部は、左下肢開口部200L,右下肢開口部200Rの幅方向の端部に配置されている。外装体に設けられた左右の下肢開口部200L,200Rに脚が挿通されることで外装体が幅方向外側方向へ引っ張られ、糸ゴム400F3も幅方向外側に引っ張られる。これによって、糸ゴム400F3が幅方向に延在している股下領域100Bを横切る領域では外装体が肌面側に押し上げられるが、当該領域には吸収体800と外装体とが非接着である非接着領域150が設けられている。このため、吸収体800は、鼠径部に沿って折れ曲がった状態を保ちつつ、外装体によって肌面側に近づくように押し上げられる。なお、本実施形態では、レグギャザー形成用の糸ゴム400F3が非接着領域150で延在して左右で繋がっているが、非接着領域150に設けられて股下領域100Bを横切る糸ゴムと、レグギャザー形成用の糸ゴムとが別々に設けられていてもよい。また、糸ゴム400F3の端部は外装体に接着され、幅方向中央部である非接着領域150では、外装体とバックシートとの間に配置された別のシート材に糸ゴムが接着されていてもよい。このように構成しても、おむつ20は、バックシート600と別のシート材が非接着領域150で非接着であれば、上述の効果を得ることができる。
次に、溝状部140BL,140BRについて説明する。溝状部140BL,140BRは、吸収体800に形成されており、着用者の尿道口に対応する領域に長手方向に沿って延在する左右一対の溝状部である。溝状部140BL,140BRは、吸収体800を圧搾することによって形成される圧搾溝である。溝状部140BL,140BRは、肌面側からコアラップシート700および吸収コア800cを圧搾することによって形成されている。吸収体800は、溝状部140BL,140BRが形成されていることによって、溝状部間の吸収体800を尿道口側に盛り上げた状態とする。これにより、おむつ20
は、尿道口に吸収体800を押し当てることができるため、着用者の肌に対する吸収体800の密着性を向上できる。
また、糸ゴム400F3は、平面視した場合に、溝状部140BL,140BRの前身頃領域100F側に重なる領域を含んで配置されている。この構成により、糸ゴム400F3によって吸収体800が折り曲がった状態で着用者の肌面側に押し当てる効果を高めている。これは、糸ゴム400F3と吸収体800とが重なる領域に非接着領域150を設けることで、糸ゴム400F3の収縮によって吸収体800を変形するのではなく、溝状部140BL,140BRによって折り曲がった形状の吸収体800を肌側に押し当てることができるからである。また、この効果を奏するためには、左右の下肢開口部200L,200Rに脚が挿通された状態において糸ゴム400F3が左右方向に引っ張られ、これによって吸収体800を肌に押しつけることが好ましい。このため、糸ゴム400F3は、おむつ20の幅方向の端部にその端部が配置されるレグギャザー形成用の糸ゴムであることが好適である。また、厚み方向に見た場合に、レグギャザー形成用の糸ゴム400F3が溝状部140AL,140ARに重なると、鼠径部に沿って折り曲がった吸収体8を糸ゴム400F3の収縮力によって着用者の肌面側に押し当てるのに好適である。また、厚み方向に見た場合に、レグギャザー形成用の糸ゴム400F3が溝状部140BL,140BRに重なると、吸収体800を尿道口に押し当てる、若しくは、トップシート9上に配置されたパッドを尿道口に押し当てるのに好適である。なお、おむつ20は、糸ゴム400F3が溝状部140AL,140ARに重なっており、糸ゴム400F3が溝状部140BL,140BRに重なっておらず、これによって、鼠径部に沿って折り曲がった吸収体800を糸ゴム400F3の収縮力によって着用者の肌面側に押し当てるのに好適である構成としてもよい。また、おむつ20は、糸ゴム400F3が溝状部140AL,140ARに重なっておらず、糸ゴム400F3が溝状部140BL,BRに重なっており、これによって、レグギャザー形成用の糸ゴム400F3が溝状部140BL,140BRに重なると、吸収体800を尿道口に押し当てる、若しくは、トップシート900上に配置されたパッドを尿道口に押し当てるのに好適である構成としてもよい。また、本実施形態の通り、おむつ20は、糸ゴム400F3が溝状部140AL,140ARおよび溝状部140BL,140BRに重なっており、上述の2つの好適な構成の両方をとっても勿論よい。
また、3本の糸ゴム400F3のうち一部または全部が、溝状部140BL,140BRに重なる位置に設けられていてもよい。また、糸ゴム400F3(例えば、図14の上下方向の真ん中の糸ゴム400F3)が股下の溝状部140BL,140BRを横切るこ
とで、鼠径部に沿って折れ曲がる起点を肌面に押し付け、尿道口と吸収体800の間に間隙をでき難くすることができる。この態様において、溝状部140BL,140BRよりも若干股下側に図14の上下方向の一番股下側の400F3を設けることで溝状部140BL,140BRの折れ曲りの起点(前側端部)から吸収体800を肌側に確実に押しつけられることができる。また、図14に示すように、溝状部140BL,140BRの折れ曲がり起点において糸ゴム400F3を横切らせることで、鼠径部に沿って折り曲がった吸収体8の状態を良好に維持することができる。
また、本実施形態では、溝状部140ALと溝状部140BLは繋がっており、溝状部140ARと溝状部140BRは繋がっている。これにより、溝状部140ALと溝状部140BLと、溝状部140ARと溝状部140BRとを一体的に形成できる。なお、溝状部140ALと溝状部140BLは、間隔を設けて隣接していてもよいし、溝状部140ARと溝状部140BRは、間隔を設けて隣接していてもよい。また、これらの溝状部の間に間隔を設けた場合には、溝状部140ALの延長線上に溝状部140BLの端部が配置されなくてもよいし、溝状部140ARの延長線上に溝状部140BRの端部が配置されなくてもよい。
また、非接着領域150は、平面視した場合において、溝状部140BL,140BRの前身頃領域100F側端部と重なる領域を含んでいる。外装体に設けられた左右の下肢開口部200L,200Rに脚が挿通されることで外装体が幅方向外側方向へ引っ張られ、糸ゴム400F3も幅方向外側に引っ張られる。これによって、糸ゴム400F3が幅方向に延在している股下領域100Bを横切る領域では外装体が肌面側に押し上げられるが、吸収体800と外装体とが非接着である非接着領域150が設けられている。このため、吸収体800は、溝状部140BL,140BRの間で尿道口側に盛り上がった状態を保ちつつ、外装体によって尿道口側に近づくように押し上げられる。これにより、おむつ20は、尿道口に吸収体800を押し当てることができるため、着用者の肌に対する吸収体800の密着性を向上できる。
次に、溝状部140Cについて説明する。溝状部140Cは、吸収体800に形成されており、溝状部140BL,140BRの後身頃領域100R側に配置され、幅方向に延在している。溝状部140Cは、吸収体800を圧搾することによって形成される圧搾溝である。溝状部140Cは、肌面側からコアラップシート700および吸収コア800cを圧搾することによって形成されている。
溝状部140Cは、圧搾溝であるため、溝状部形成領域外と比較して高剛性部となる。また、おむつ20は、溝状部140BL,140BRが形成されていることによって、装着状態において吸収体8が着用者の脚によって左右方向に狭められ、溝状部140BL,140BRを起点として肌側に凸になるように吸収体800が折れ曲がり、尿道口に対する密着性を向上している。しかしながら、吸収体800の溝状部140BL,140BRを起点として肌側に凸となる部分が、着用者の肛門まで延在してしまうと、吸収体800が肛門に向かって凸となり、臀部の臀裂(割れ目)に吸収体800が入り込んで着用者に違和感を与えてしまう虞がある。また、臀部の臀裂に吸収体800が入り込むと、肛門から排出された便が吸収体8によって肌面側に押し上げられて、便が肌に押し当たってしまう虞もある。したがって、吸収体800が肛門に向かって凸となり、臀部の臀裂に吸収体800が入り込むのは好ましくない。
この問題の発生を抑制するために、本実施形態に係るおむつ20では、溝状部140Cを形成した。おむつ20は、溝状部140Cを備えることによって、おむつ20の肛門に対応する領域において吸収体800が肌側に凸とならないようにできる。おむつ20は、肛門に対応する領域において左右方向延在する高剛性部である溝状部140Cを設けることによって、肛門や臀裂と吸収体8との間に空間を形成し、上述の問題の発生を抑制する。なお、図14では、肛門に対応する領域(肛門対応領域)310は、おむつ20の装着状態において着用者の肛門が位置する領域である。
溝状部140BL,140BRは、吸収体800を幅方向に切断した場合にW字状となるように折り曲げ可能とし、尿道口に吸収体800の肌面側を押し当てることが可能となる。尿道口対応領域のみに溝状部140BL,140BRを設けても、溝状部形成領域以外の部分で吸収体800が平面状になってしまうと、溝状部が吸収体800の折り曲げ機構として機能しない。このため、尿道口対応領域よりも長く溝状部を延在させる必要がある。そのため、本実施形態では、おむつ20の長手方向に沿って延在する左右一対の溝状部140BL,140BRは、腹側の尿道口対応領域から背側の肛門対応領域310までを含んで延在している。肛門対応領域310は、おむつ20の装着状態において着用者の肛門が位置する領域である。本実施形態に係るおむつ20は、溝状部140BL,140BRを肛門対応領域310まで延在させることで、吸収体800をW字状に折り曲げ、着用者の尿道口への吸収体800の密着性を高めることができる。しかしながら、肛門対応領域310まで溝状部140BL,140BRを形成し、溝状部140BL,140BR
に沿って吸収体800が折り曲がると、吸収体800が着用者の臀部の臀裂(割れ目)に食い込む虞がある。仮に吸収体が着用者の臀裂に食い込むと、着用者は圧迫感を感じるとともに、着用者が排出した便が臀裂周辺の肌面に押し当たってしまい、着用感が低下してしまう。そこで、本実施形態に係るおむつ20は、溝状部140Cを備える。これにより、おむつ20は、肛門対応領域310の吸収体800が溝状部140BL,140BRに沿って折り曲がるのを抑制し、吸収体800が着用者の臀裂に食い込むのを防ぐことで着用感の低下を抑制できる。
また、本実施形態では、溝状部140BL,140BRも圧搾溝であるため、溝状部140BL,140BRと溝状部140Cを同一行程で形成することができる。また、溝状部140Cは、溝状部140BL,140BRと繋がっていてもよい。これにより、溝状部140BL,140BRと溝状部140Cを一体的に形成できる。また、溝状部140Cは、溝状部140BL,140BRと繋がっていても、溝状部140BL,140BR間では吸収体800が肌側に凸となるが、その背側である溝状部140Cの形成領域では吸収体800が凸状となるのを抑制する。また、溝状部140BL,140BRは、着用者の肛門に対応する領域(肛門対応領域310)よりも前身頃領域100F側に配置されている。これにより、おむつ20は、肛門に対応する領域(肛門対応領域310)で吸収体800が凸となるのを抑制できる。
また、おむつ20は、吸収体800よりも非肌面側に長手方向に伸張状態で接着された糸ゴム400F7を備える。糸ゴム400F7は、一対の溝状部140BL,140BRの間に重なる領域に配置され、長手方向に伸縮する。糸ゴム400F7は、外装体であるインナーカバーシート500およびカバーシート400を収縮し、吸収体800を肌面側に押し上げる。これによって、おむつ20は、一対の溝状部140BL,140BRの間で吸収体800を尿道口側に凸状となる部分を外装体により肌面側に持ち上げることができる。おむつ20は、尿道口に吸収体800を押し当てることができるため、着用者の肌に対する吸収体800の密着性を向上できる。
また、糸ゴム400F7は、おむつ20を平面視した場合に、左右一対の溝状部140AL,140ARの間を含んで延在している。吸収体800が溝状部140AL,140ARを起点として折り曲がり、鼠径部に沿った状態となっている領域において、外装体は、長手方向に収縮し、非肌側に浮いた状態となり、脚の付け根に沿って変形し易くなる。これにより、おむつ20は、着用感を向上できる。
上述の通り、溝状部140AL,140ARおよび溝状部140BL,140BRの間に糸ゴム400F7が延在している。図13に示されるように、おむつ20を平面視した状態で、糸ゴム400F7は、タミーギャザー用の糸ゴム400F2には重なっていない。おむつ20は、このように構成することで、タミーギャザーの股下領域100B側で着用者の肌面と空間を形成し、前身頃領域100F側(腹側)の左右方向に到達した尿が左右方向他方に回り込みやすくなる。例えば、着用者が男性である場合に、男性器の先端が左右方向のいずれかを向いた状態で着用者が排尿した場合には尿が左右方向他方に回り込みやすくなるため、おむつ20は、尿漏れを抑制できる。
また、糸ゴム400F7は、着用者の肛門に対応する領域(肛門対応領域310)よりも前身頃領域100F側に配置されている。言い換えると、糸ゴム400F7は、溝状部140Cよりも前身頃領域100F側に配置されている。このように構成することで、おむつ20は、糸ゴム400F7の収縮力で外装体を肌面側に持ち上げ、これによって、溝状部140BL,140BR間で吸収体800が凸になっている部分を肌面側に持ち上げるが、肛門に対応する領域(肛門対応領域310)では吸収体800が肌面側に持ち上るのを抑制する。おむつ20は、肛門とおむつ20の肌面側を離れやすくできる。
また、着用者の肛門に対応する領域(肛門対応領域310)において、糸ゴム400F7と吸収体800とが非接着である。肛門に対応する領域(肛門対応領域310)においても、糸ゴムカバーシート130(図12参照)が延在している。このため、糸ゴムカバーシート130は、コアラップシート700の非肌面側と非接着であるため、糸ゴム400F7の延在領域においても、糸ゴムカバーシート130と吸収体800との間に微小な隙間が形成される。この隙間は、糸ゴム400F7や糸ゴム4R3が収縮することで外装体が引っ張られ、拡大する。これにより、おむつ20は、吸収体800と着用者の肛門との間に空間をより形成しやすくなる。
ところで、本実施形態に係るおむつ20は、上記実施形態1に係るおむつ1と同様に、大人用(介護用)に好適である。本実施形態においても、パッドが一日当たり平均で5回交換され、3日間連続で同じおむつが使用される場合を想定し、着脱が最低15回繰り返された場合でも装着感の低下を抑制することができるおむつについて検討した。
ここで、本実施形態に係るおむつ20においても、溝状部140BL,140BRの形成領域において、上記実施形態1と同様に図5に示すようなW字状の所定形状に変形可能である。本実施形態では、溝状部140BL,140BRの位置におけるコアラップシート700の肌面側と吸収コア800cの剥離強度(N)と、おむつ20を繰り返し装着した場合に、コアラップシート700の肌面側と吸収コア800cが剥がれた着脱回数との関係を検証した。この検証のために、以下の条件でおむつ20のサンプルを作製した。
吸収コア800cの肌面側におけるホットメルト接着剤の目付は、1.0g/m以上とした。
一対の溝状部140BL,140BRの長さは、140mm以上245mm以下とした。
一対の溝状部140BL,140BRの横幅は、2.0mm以上5.0mm未満とした。
一対の溝状部140BL,140BRの深さは、1.0mm以下とした。
一対の溝状部140BL,140BR間の距離Lと、立体ギャザー300BL,300BRの高さHとの関係は上記式(2)を満たすものとした。
吸収コア800cは、パルプの坪量が333g/m以下、好ましくは、パルプの坪量が315g/m以下である。吸収コア800cは、2層構造に限られず、SAPを含有していれば一層構造であってもよい。
トップシート900及びカバーシート400は、坪量が8.0g/m以上40g/m以下であって、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートのいずれかの繊維で構成されている。
バックシート600は、坪量が10g/m以上40g/m以下であって、ポリオレフィンのフィルムで構成されている。
コアラップシート700は、坪量が8.0g/m以上40g/m以下であって、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートの繊維で構成された不織布、又は坪量が8.0g/m以上20g/m以下のティッシュで構成されている。なお、ティッシュは、セルロース繊維等を含んで構成されている。
吸収コア800cに含まれるSAPの坪量が40g/m以上である。
また、本実施形態に係るおむつ20は、上述の通り、吸収体8の肌面側に配置された液体透過性を有するトップシート900と、吸収体800の非肌面側に配置された液体非透過性を有するバックシート600と、バックシート600の非肌面側に配置されたインナ
ーカバーシート500と、カバーシート400と、を備える。吸収コア800cのSAPは、一対の溝状部140BL,140BRと対応する位置を少なくとも含んで配置されている。ここで、一対の溝状部140BL,140BRと対応する位置とは、おむつ20を厚み方向に見て溝状部140BL,140BRの形成領域と重なる位置である。
上記条件で作製したサンプルのおむつ20から、吸収体8、トップシート900及びバックシート600をおむつ20の長手方向における一対の溝状部140BL,140BRの中央からおむつ20の幅方向に80mmの長さ、当該長手方向に40mmの長さに切り出して試験片を準備した。そして、当該試験片の幅方向の端部において、トップシート900及びコアラップシート700の肌面側を含む第1試験片と、吸収コア800c、コアラップシート700の非肌面側、バックシート600、インナーカバーシート500及びカバーシート400を含む第2試験片と、に切り離し、第1試験片と第2試験片とで180度剥離試験を行った。なお、試験方法は実施形態1における180度剥離試験と同様である。
図15は、溝状部140BL,140BRの位置における剥離強度(N)と、コアラップシート700の肌面側と吸収コア800cの剥がれが発生した時の繰り返し装着回数との関係を示す表である。剥がれが発生した装着回数が15回未満、剥がれが発生した装着回数が15以上30回未満、剥がれが発生した装着回数が30回以上となるサンプルのおむつを14個ずつ作製し、この関係について検証した。また、本検証では、おむつをダミー人形に繰り返し装着して行った。なお、図15では、各サンプルのおむつの接着強度を昇順に並べ、最終行には各列の値の平均値を記載している。
本検証の結果、溝状部140BL,140BRの位置における剥離強度が0.35N以上である場合に、おむつ20は、着脱が15回繰り返されてもコアラップシート700の肌面側と上層吸収コア800c1の剥がれが発生しないことが見出された。すなわち、溝状部140BL,140BRの位置における剥離強度が0.35N以上であるおむつ20は、着脱が15回繰り返されても、装着後にW字状の所定形状を維持することができる。
また、溝状部140BL,140BRの位置における剥離強度が0.91N以上である場合に、おむつ20は、着脱が30回繰り返されてもコアラップシート700の肌面側と上層吸収コア800c1の剥がれが発生しないことが見出された。すなわち、溝状部140BL,140BRの位置における剥離強度が0.91N以上であるおむつ20は、着脱が30回繰り返されても、装着後にW字状の所定形状を維持することができる。おむつ20が3日間連続で使用され、当該おむつの使用時にパッドの交換が15回行われることになることを想定した場合、15回の着脱中に装着のやり直しや溝状部140BL,140BRの形成領域に想定以上に負荷がかかる場合も起こり得る。そこで、おむつ20は、溝状部140BL,140BRの位置における剥離強度が0.91N以上であって、着脱が15回の2倍である30回繰り返えされたとしても、W字状の所定形状を維持できることがより好ましい。なお、図15に示すように、本実施形態での実験上は、剥離強度が0.91N以上である場合に着脱を30回繰り返してもコアラップシート700の肌面側と上層吸収コア800c1とが剥がれない結果が得られたが、上記実施形態1の図6の表および図15の「15回以上30回未満の接着強度(N)」の欄の最大値が0.87Nであることから、剥離強度が0.90N以上であれば着脱を30回繰り返してもこの剥がれが生じないと考えられる。したがって、溝状部140BL,140BRの位置における剥離強度が0.90N以上であることが好ましいと言える。
また、本実施形態では、図15の表には、長手方向の溝状部140BL,140BRの位置における剥離強度(N)と、コアラップシート700の肌面側と吸収コア800cの剥がれが発生した時の繰り返し装着回数との関係に加え、幅方向の溝状部140Cの位置
における剥離強度(N)と、コアラップシート700の肌面側と吸収コア800cの剥がれが発生した時の繰り返し装着回数を示している。図15に示すように、溝状部140BL,140BR(長手方向溝状部)の位置における剥離強度の方が、溝状部140C(幅方向溝状部)の位置における剥離強度よりも大きい。おむつ20では、溝状部における剥離強度の強弱を設け、おむつ20にかかる負荷の逃げ場を幅方向溝状部に形成し、図5に示すようなW字構造維持のためにコアラップシート700と吸収コア800cが剥離するのを抑制したい長手方向溝状部での剥離を抑制することができる。
本実施形態に係るおむつ20は、着脱が複数回繰り返されても、W字状の所定形状を維持することができるので、装着感の低下を抑制できる。
なお、上記の実施形態2では、前身頃領域側の外装体と後身頃領域側の外装体は、一体的に形成されているが、前身頃領域側の外装体と後身頃領域側の外装体とが、別体で設けられていてもよい。
以上で開示した実施形態は、それぞれ組み合わせることができる。
1・・おむつ
1B・・股下領域
1F・・前身頃領域
1R・・後身頃領域
2F・・フロントパッチ
2L,2R・・テープ
3BL,3BR・・立体ギャザー
3R・・ウェストギャザー
4・・カバーシート
4KL,4KR・・括れ
5・・バックシート
6・・吸収体
6A・・コアラップシート
6B・・吸収コア
6B1・・上層吸収コア
6B2・・下層吸収コア
6B3・・SAP層
6H・・溝状部
7・・トップシート
8L,8R・・サイドシート
4KL,4KR,8KL,8KR・・括れ
4CL,4CR,4SL,4SR,8EL,8ER,9ER・・弾性部材
10L,10R・・サポートギャザー
12L,12R・・V字部
M・・製造装置
M1・・搬送ライン
M2・・液体散布装置
M3・・プレス装置
M31・・圧搾ローラ
M32・・アンビルローラ
20 :おむつ
100B :股下領域
100F :前身頃領域
100R :後身頃領域
200L :左下肢開口部
200R :右下肢開口部
200T :胴開口部
300BL,300BR:立体ギャザー
300LF,300LR:レグギャザー
300R :ウェストギャザー
400 :カバーシート
400F1,400F2,400F3,400F7:糸ゴム
400F4,400F5:縁
400FF :折り返し線
400R1,400R2,400R3,400R3:糸ゴム
400R4,400R5:縁
400RF :折り返し線
500 :インナーカバーシート
600 :バックシート
700 :コアラップシート
800 :吸収体
800c :吸収コア
900 :トップシート
101L,101R:サイドシート
101L1,101R1:糸ゴム
101L2,101R2:折り返し線
110F,110R:エンドシート
120 :タミーギャザー
130 :糸ゴムカバーシート
140 :ライン
140AL,140AR,140BL,140BR,140C:溝
150 :非接着領域
310 :肛門対応領域
660 :孔

Claims (5)

  1. 長手方向に沿った長さと、前記長手方向に直交する幅方向に沿った横幅とを有する吸収性物品であって、
    パルプを含む吸収コアと、前記吸収コアを包むコアラップシートとを有する吸収体と、
    着用者の股下に配置される股下領域において、前記長手方向に沿って前記吸収体に設けられた一対の溝状部と、
    前記吸収体の肌面側に配置された液体透過性を有するトップシートと、
    前記吸収体の非肌面側に配置された液体非透過性を有するバックシートと、
    前記バックシートの非肌面側に配置されたカバーシートと、
    前記トップシートから前記肌面側に向けて立体的に形成される立体ギャザーと、
    を備え、
    前記吸収コアは前記一対の溝状部と対応する位置を少なくとも含んで配置された高吸収性重合体を含むSAPを有し、
    前記吸収体、前記トップシート、前記バックシート及び前記カバーシートを前記長手方向における前記一対の溝状部の中央から所定の大きさに切り出した試験片を前記幅方向の端部において、
    前記トップシート及び前記コアラップシートの前記肌面側を含む第1試験片と、
    前記吸収コア、前記コアラップシートの前記非肌面側、前記バックシート及び前記カバーシートを含む第2試験片と、
    に切り離し、前記第1試験片と前記第2試験片とで180度剥離試験を行った場合に、前記溝状部の位置における剥離強度が0.35N以上である、
    吸収性物品。
  2. 前記吸収コアの前記肌面側におけるホットメルト接着剤の目付は、1.0g/m以上であり、
    前記一対の溝状部の長さは、160mm以上245mm以下であり、
    前記一対の溝状部の横幅は、2.0mm以上5.0mm未満であり、
    前記一対の溝状部の深さは、1.0mm以下であり、
    前記一対の溝状部間の距離Lと、前記立体ギャザーの高さHとの関係は式(1)を満たし、
    Figure 2023094529000004

    前記吸収コアは、前記パルプの坪量が333g/m以下であり、
    前記トップシート及び前記カバーシートは、坪量が8.0g/m以上40g/m以下であって、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートのいずれかの繊維で構成されており、
    前記バックシートは、坪量が10g/m以上40g/m以下であって、ポリオレフィンのフィルムで構成されており、
    前記コアラップシートは、坪量が8.0g/m以上40g/m以下であって、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートのいずれかの繊維で構成された不織布、又は坪量が8.0g/m以上20g/m以下のティッシュで構成されており、
    前記SAPの坪量が40g/m以上である、
    請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記吸収コアは、前記パルプの坪量が315g/m以下である、
    請求項2に記載の吸収性物品。
  4. 装着時において前記着用者の腹部側に位置する前身頃領域、股下に位置する前記股下領域、及び背部側に位置する後身頃領域が前記長手方向にこの順に設けられており、
    前記前身頃領域における前記カバーシートに接合されており、前記吸収性物品を前記着用者に固定するためのテープが貼着される前側シートと、
    前記後身頃領域から幅方向両側に突設されており、前記前側シートに貼着された状態で前記吸収性物品を前記着用者の胴回りにおいて固定するための前記テープと、
    を備える、請求項1または2に記載の吸収性物品。
  5. 前記第1試験片と前記第2試験片とで180度剥離試験を行った場合に、前記溝状部の位置における剥離強度が0.90N以上である、
    請求項1または2に記載の吸収性物品。
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