JP2023086184A - リン酸エステル化合物の製造方法 - Google Patents

リン酸エステル化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安全性が高く、取り扱いが容易な原料を用いたリン酸エステルの製造方法を提供することである。【解決手段】オルトリン酸アンモニウム塩、ホスホン酸アンモニウム塩、ホスフィン酸アンモニウム塩からなる群から選択されるリン酸アンモニウム塩化合物と、アルコキシ基あるいはアリールオキシ基を有する有機シラン、または、アルコキシ基あるいはアリールオキシ基を有するシロキサン化合物とを、リン酸アンモニウム塩化合物が溶解する有機溶媒中で加熱条件下、反応させる、リン酸エステル化合物の製造方法の提供である。【選択図】なし

Description

本発明は、オルトリン酸などのリン酸塩を用いたリン酸エステル化合物の製造方法に関する。
有機リン化合物のひとつであるリン酸エステル(PO(OR))は、エステル部の有機基Rの構造により多様な物性を持った化学製品として、各種樹脂の難燃剤、可塑剤、安定剤など用途に応じて使い分けられている。近年の自動車産業、電子部品産業の技術革新に伴い、樹脂に要求される性能も年々高度化しており、樹脂添加剤としてのリン酸エステル化合物の開発およびその製造方法の改良が切望されている。
一般的なリン酸エステルの工業的製造方法としては、リン酸のハロゲン化物にアルコールを反応させて、Cl(塩素)等のハロゲンをOR(炭素系置換基)に変える方法がある。しかしながら、原料としてリン酸のハロゲン化物を用いることは、安全性の観点からも好ましくない。そこで、より安全なリン酸エステルの製造法として、下記特許文献1には、安価で入手容易なオルトリン酸(PO(OH))を出発原料として、オルトリン酸と、アルコキシ基あるいはアリールオキシ基を有する有機シランまたはシロキサン化合物とから、一段階反応でリン酸エステル化合物を製造する技術を開示している。
特開2021-143139号公報
特許文献1に記載の技術において、原料であるリン酸はハロゲン化物に比べると、比較的安全な化合物であるといえるが、一般的には毒性が低いとは言えず、安全性の面では十分とは言えない。また、リン酸は潮解性が高く、通常水溶液として市場に流通していることから、重い、嵩張るなど、取り扱いにくいという問題もある。
本発明は、このような問題を解決することであり、安全性が高く、取り扱いが容易な原料を用いたリン酸エステルの製造方法を提供することである。
上記したように、リン酸は潮解性が高く、水溶液の状態で使用されるものである。そして、アルコキシシランなどの有機シランは水および酸の存在下で容易に加水分解および重縮合を起こす。特許文献1に記載のように、リン酸エステルの製造方法として、原料にリン酸水溶液とアルコキシシランなどの有機シランを用いる場合、当該有機シランが水の影響を受けやすいことから、反応制御が難しくなることが考えられる。しかしながら、本発明者らは、固体で水分をほとんど含まず取り扱いに優れ、肥料としても使用され、安全性が高く、容易に入手できるリン酸アンモニウム塩に着目し、本発明を完成させるに至った。
具体的には、本発明は、下記(1)~(6)のリン酸エステル化合物の製造方法に関する。
(1)オルトリン酸アンモニウム塩、ホスホン酸アンモニウム塩、ホスフィン酸アンモニウム塩からなる群から選択されるリン酸アンモニウム塩化合物と、一般式R’Si(OR)4-nで表され、アルコキシ基あるいはアリールオキシ基を有する有機シラン、または、一般式R’ (OR)3-m SiOSiR’l(OR)3-lで表され、アルコキシ基あるいはアリールオキシ基を有するシロキサン化合物と、を、前記リン酸アンモニウム塩化合物が溶解する有機溶媒中で加熱条件下、反応させる、リン酸エステル化合物の製造方法。
前記式中、Rは炭素数1-20の直鎖状または分岐したアルキル基、または、アリール基であり、R’は炭素数1-20の直鎖状または分岐したアルキル基、または、アリール基であり、nは0を含む3以下の整数、mは0を含む2以下の整数、lは0を含む2以下の整数である。なお、RとR’は同一でもよく相互に異なっていてもよい。
リン酸アンモニウム塩化合物が固体で水分をほとんど含まないため、有機シランなどとの反応において、ゲル化することなく、容易に目的のリン酸エステル化合物を得ることができる。また、有機溶媒にリン酸アンモニウム塩化合物を溶解させることで、反応を促進させることができる。そして、前記反応を加熱条件下で行うことで反応をより促進させることができる。
(2)触媒の非存在下で行なう、上記(1)に記載のリン酸エステル化合物の製造方法。本構成によれば、触媒を用いることなく、簡易な方法でリン酸エステル化合物を製造することが可能となる。
(3)前記加熱条件下の反応温度が100~250℃である、上記(1)または(2)に記載のリン酸エステル化合物の製造方法。本構成によれば、反応に最適な温度条件とすることができる。
(4)前記有機溶媒として、非プロトン性極性溶媒を用いる上記(1)から(3)のいずれか一つに記載のリン酸エステル化合物の製造方法。有機溶媒として、非プロトン性極性溶媒を用いることで、リン酸アンモニウム塩化合物が溶解しやすく、また反応性も向上する。
(5)リン酸アンモニウム塩化合物がオルトリン酸アンモニウム塩である、上記(1)から(4)のいずれか一つに記載のリン酸エステル化合物の製造方法。本構成によれば、安価で入手しやすく、安全性の高いオルトリン酸アンモニウム塩を原料として用いることができる。
(6)アルコキシ基あるいはアリールオキシ基を有する有機シランが、オルトケイ酸テトラアルキルあるいはオルトケイ酸テトラアリールである、上記(1)から(5)のいずれか一つに記載のリン酸エステル化合物の製造方法。
本発明によれば、固体で取扱い性に優れ、毒性も低く、容易に入手できる化合物であるリン酸アンモニウム塩化合物を原料として、リン酸エステル化合物を一段階反応で製造することが可能となる。
特に、オルトリン酸アンモニウム塩であるリン酸二水素アンモニウム(NHPO)やリン酸水素二アンモニウム((NHHPO)などは、肥料としても使用されており、入手しやすく安価でもある。したがって、リン酸エステル化合物の製造方法として、リン酸アンモニウム塩化合物を原料に使用することで、各種樹脂の難燃剤、可塑剤、安定剤など種々の用途に使われる高付加価値なリン酸エステルを安価に製造することができ、生産性の高い、工業的にも優れた方法であるといえる。
本発明は、リン酸アンモニウム塩化合物と、アルコキシ基あるいはアリールオキシ基を有する有機シランまたはシロキサン化合物とからリン酸エステル化合物を製造することを特徴とする。
本発明の製造方法において出発物質として用いるリン酸アンモニウム塩化合物は、オルトリン酸アンモニウム塩、ホスホン酸アンモニウム塩、ホスフィン酸アンモニウム塩から選択される一つのリン酸アンモニウム塩化合物である。これらのリン酸アンモニウム塩化合物は、水和物でも無水物でもよいが、水分量の少ない無水物の方が有機シランなどとの反応において、ゲル化しにくいことから好ましい。
いずれのリン酸アンモニウム塩化合物からも対応するリン酸エステル化合物を製造することができ、得られるリン酸エステル化合物は、オルトリン酸アンモニウム塩を原料とする場合、オルトリン酸モノ、ジ、およびトリエステルの3種のうち、少なくとも2種以上の混合物が生成物として得られる(下記式(1)参照)。同様に、ホスホン酸アンモニウム塩を原料とすると、ホスホン酸モノおよびジエステルの混合物が得られ(下記式(2)参照)、ホスフィン酸アンモニウム塩を原料とすると、ホスフィン酸モノエステル(下記式(3)参照)が生成物として得られる。なお、各リン酸エステル化合物の分離は蒸留精製やシリカゲルクロマトグラフィーなどの操作により行うことができる。
原料として、入手が容易で安価であることからは、オルトリン酸アンモニウム塩が好適に用いられるが、どのリン酸アンモニウム塩化合物を原料としても、対応するリン酸エステルを生成することが可能である。
Figure 2023086184000001
Figure 2023086184000002
Figure 2023086184000003
(式(1)、式(2)及び式(3)中、Xは、アンモニウム(NH4 )または水素(H)であって、少なくとも1つのXはアンモニウムである。また、Rは炭素数1-20の直鎖状または分岐したアルキル基、または、アリール基である。さらに、式(2)及び式(3)中、Yは、有機基または水素である。)
原料としてのリン酸アンモニウム塩化合物は、有機溶媒に溶かした状態で使用する。上記反応は有機溶媒の存在下、リン酸アンモニウム塩化合物とアルコキシ基あるいはアリールオキシ基を有する有機シランまたはシロキサン化合物を混合させて加熱するだけで進行するが、必要に応じて触媒(金属ルイス酸や有機塩基)を用いても良い。
原料のリン酸アンモニウム塩化合物からリン酸エステルを製造するために、アルコキシ基あるいはアリールオキシ基を有する有機シラン、または、アルコキシ基あるいはアリールオキシ基を有するシロキサン化合物を用いる。本明細書において、有機シランは、一般式R’Si(OR)4-nで表され、シロキサン化合物は、一般式R’ (OR)3-m SiOSiR’l(OR)3-lで表される。なお、前記式中、Rは炭素数1-20の直鎖状または分岐したアルキル基、または、アリール基であり、R’は炭素数1-20の直鎖状または分岐したアルキル基、または、アリール基であり、nは0を含む3以下の整数、mは0を含む2以下の整数、lは0を含む2以下の整数である。なお、RとR’は同一でもよく相互に異なっていてもよい。例えば、アルコキシ基を有する有機シランとしては、アルキルが炭素数1~20の直鎖状または分岐したアルキルであるオルトケイ酸テトラアルキル、モノアルキルトリアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン等が挙げられる。アルキル基にヘテロ原子を含んでいてもよい。特に、オルトケイ酸テトラアルキルのうちアルキルの炭素数が1~5のオルトケイ酸テトラメチル、オルトケイ酸テトラエチル、オルトケイ酸テトラプロピル、オルトケイ酸テトラブチル、オルトケイ酸テトラペンチルが好ましく用いられる。
アリールオキシ基を有する有機シランとしては、オルトケイ酸テトラアリールが好ましく、また、シロキサン化合物としては、RやR’がアルキル基、アリール基の有機シロキサン化合物、とくにヘキサアルコキシジシロキサンが好ましい。
なお、アリール基としては、特に限定されないが、フェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基などが例示される。
オルトケイ酸テトラアルキルを用いる場合、その使用割合はモル比(等量)でリン酸アンモニウム塩化合物1に対して、約1~10の範囲が好適であり、さらに好ましくは、3~5の範囲である。リン酸アンモニウム塩化合物の一つのOH基またはOX基をエステル化するのに、一つのオルトケイ酸テトラアルキルを消費するとした場合、前記3~5の範囲が好適な範囲であるといえる。なお、本明細書中、数値範囲を示すときは、上限値及び下限値を含むものとする。
また、反応に際して用いる有機溶媒として、リン酸アンモニウム塩化合物が溶解する有機溶媒であればよいが、リン酸アンモニウム塩化合物が溶解しやすいように、非プロトン性極性溶媒が好ましく、例えば、アセトニトリル (CHC≡N) 、アセトン (CHC(=O)CH)、エーテル類(例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフランなど)、ジメチルスルホキシド(CH)SO(DMSO) のようなスルホオキシド系溶媒や、N-メチルアセトアミドやN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドンやN-メチル-2-ピペリドン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド[(CHN]P=O(HMPA)等のアミド系溶媒などが適しており、特にジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミドが、収率が良い、溶媒の分解による副生成物が少ないなどの点で好ましい。
本発明の反応は、例えば、反応容器中のリン酸アンモニウム塩化合物に対して、空気雰囲気下で有機溶媒とオルトケイ酸テトラアルキルを適量加え、密閉した反応混合物を加熱攪拌して行うことが好ましい。有機溶媒の量は、リン酸アンモニウム塩化合物が溶解する程度の量であれば足り、加熱することで、反応を促進させることができる。
本発明の加熱条件下での反応温度は、100℃~250℃程度であればよく、反応性の点から、より好ましくは150℃~200℃の範囲である。例えば約200℃の温度で反応させる場合は、有機溶媒として、150℃~200℃の沸点を持つ非プロトン性極性溶媒を用いると還流状態下での反応となる。このような条件で反応を行うことで、反応液(有機溶媒)の沸点で温度が維持されるため、温度コントロールが容易で、反応の再現性が高いものとなる。そして、このような非プロトン性極性溶媒としては、ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどがある。
また、反応時間は、製造規模や製造されるリン酸エステルの量などに応じた任意の時間を採用できるが、1~24時間程度で行うことができる。
反応によって生じる生成物を室温で冷却し、必要に応じて水、アルカリ性水溶液または酸性水溶液にて洗浄、中和してから、精製工程を経て製品化する。精製工程としては、減圧蒸留、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等を適用できる。
以下、実施例を用いて本発明の製造方法の一例を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、収率の%はモル%を示す。
(実施例1)
空気雰囲気下で、ねじ口試験管内にリン酸二水素アンモニウム(富士フイルム和光純薬株式会社製)23.0mg(0.2mmol)を入れ、ジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide:DMF)2.0mLと、オルトケイ酸テトラエチル(東京化成工業株式会社製)0.18mL(0.8mmol)(4等量)を加えた後、混合物を密閉して200℃で加熱(還流状態)、撹拌(1200rpm)した。24時間後に反応混合物を室温に戻し、内部標準物質であるフェニルホスホン酸ジメチル(東京化成工業株式会社製)31.3μLを加え、31P{H} NMRを核磁気共鳴装置(Bruker AVANCE 600 spectrometer,243MHz)により測定することで、目的とするリン酸エステルの収率を決定した。
上記反応を下記式(4)に示す。当該式(4)に示すように、生成物は、オルトリン酸モノエチルエステル1と、オルトリン酸ジエチルエステル2と、オルトリン酸トリエチルエステル3であり、これらの2種以上の混合物が反応により生成した。また、リン酸水素二アンモニウム(富士フイルム和光純薬株式会社製)26.4mg(0.2mmol)についても、上記条件と同様の条件でリン酸エステルを製造した。
Figure 2023086184000004
各リン酸エステル1~3の収率(%)を表1に示す。なお、各リン酸エステル1~3の収率の合計値がリン酸エステル全体の収率となる。表1の結果から、リン酸二水素アンモニウム(サンプル1)の場合は、全体の収率が94%であり、その内訳として、オルトリン酸モノエチルエステル1の収率は1%、オルトリン酸トリエチルエステル3の収率は93%、オルトリン酸ジエチルエステル2は検出限界以下であった。また、リン酸水素二アンモニウム(サンプル2)の場合は、全体の収率が99%であり、その内訳として、オルトリン酸モノエチルエステル1の収率は5%、オルトリン酸ジエチルエステル2の収率は60%、オルトリン酸トリエチルエステル3の収率は34%であった。
Figure 2023086184000005
上記結果から、本実施例により、リン酸アンモニウム塩化合物を原料として用いることで、94%以上の高い収率でリン酸エステルが得られることが確認された。また、以下の実施例において、すべてのOH基及びOX基がエステル化されたオルトリン酸トリエチルエステル3に着目し、オルトリン酸トリエチルエステル3の収率が高かったリン酸二水素アンモニウム(サンプル1)を用いて、さらに検討を行った。
(実施例2)
実施例2においては、実施例1の条件のうち、有機溶媒(DMF)の種類や加熱温度、オルトケイ酸テトラアルキル(オルトケイ酸テトラエチル)の種類を変えて、それ以外の条件は実施例1(サンプル1)と同様の条件として、リン酸エステルを製造した。
具体的に、サンプル3では、有機溶媒としてジメチルアセトアミド(N,N-dimethylacetamide:DMAc)を用い、サンプル4では、加熱温度を150℃とし、さらに、サンプル5-8では、オルトケイ酸テトラアルキルとして、それぞれオルトケイ酸テトラプロピル(東京化成工業株式会社製)、オルトケイ酸テトラブチル(東京化成工業株式会社製)、オルトケイ酸テトライソプロピル(東京化成工業株式会社製)、オルトケイ酸テトライソブチル(別途合成品)を各4等量用いて、リン酸エステルを製造した。反応式を下記式(5)に示す。また、1~3の各リン酸エステルの収率を表2に示す。なお、オルトケイ酸テトライソブチルについては、イソブチルアルコールと四塩化ケイ素から以下の方法により製造した。
3口フラスコに4-ジメチルアミノピリジン(DMAP) (富士フイルム和光純薬株式会社製)37.3mg(0.306mmol)(0.01等量)を入れた後、アルゴンで置換し、アルゴン置換した3口フラスコに、塩化メチレン(CHCl)(富士フイルム和光純薬株式会社製)125ml、イソブチルアルコール(iBuOH)(東京化成工業株式会社製)11.6ml(125mmol)(4.1等量)、 トリエチルアミン(EtN)(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製)17.5ml(125mmol)(4.1等量)を順次加え、氷水に浸けて冷やした。そして四塩化ケイ素(SiCl)(東京化成工業株式会社製)3.5ml(30.6mmol)(1等量)を45分かけて滴下し、冷やしたまま3時間撹拌した。その後、氷浴を外し、常温に戻したのち、さらに2日間撹拌を続けた。次いで、反応物中の析出固体をフィルターでろ過し、塩化メチレンでろ物を洗い込み、回収したろ液をエバポレーターで濃縮したものに、ヘキサン(キシダ化学株式会社製)、30mlを加えて追加で固体を析出させた。
そして、析出した固体をさらにろ過し、ろ物をヘキサン(30ml×2回、20ml×1回)で洗いこんだ。さらに、最終的なろ液を集めて超純水(富士フイルム和光純薬株式会社製)(100ml×2回)でろ液を洗い、硫酸マグネシウム(MgSO)(富士フイルム和光純薬株式会社製)を用いて脱水乾燥処理を行った。その後、硫酸マグネシウムをろ過で除き、溶媒濃縮を経て残渣を蒸留し(初留:~103℃/8~10mmHg、本留:103~106℃/8~10mmHg)、最終生成物であるオルトケイ酸テトライソブチルを得た。
Figure 2023086184000006
Figure 2023086184000007
上記結果から、有機溶媒としてDMFを用いた場合に安定して高い収率が得られることが認められた。また、有機シランとしてオルトケイ酸テトラアルキルを用いた場合に、各種のアルキルについて安定して高い収率が得られることが確認された。
本発明のリン酸エステル化合物の製造方法は、種々のリン酸アンモニウム塩を出発原料として用いることができ、さらに、触媒を用いることなく一段階反応でリン酸エステル化合物を生成できる優れた製造方法である。
また、世界的にリン資源の将来的な枯渇が懸念されており、下水の汚泥や焼却灰など産業界から排出されたリン資源を循環利用することが重要な課題になっている。例えば、下水中のリンを回収すれば、化成品に変えることで、付加価値を有するものとすることができるが、それらはリン酸塩化合物として回収されるため、リン酸塩化合物を高付加価値なリン酸エステルへと直接的に変換する手法は、持続可能な発展をめざす将来的に重要な技術となる可能性がある。

Claims (6)

  1. オルトリン酸アンモニウム塩、ホスホン酸アンモニウム塩、ホスフィン酸アンモニウム塩からなる群から選択されるリン酸アンモニウム塩化合物と、
    一般式R’Si(OR)4-nで表され、アルコキシ基あるいはアリールオキシ基を有する有機シラン、または、一般式R’(OR)3-m SiOSiR’l(OR)3-lで表され、アルコキシ基あるいはアリールオキシ基を有するシロキサン化合物と、を、
    前記リン酸アンモニウム塩化合物が溶解する有機溶媒中で加熱条件下、反応させることを特徴とするリン酸エステル化合物の製造方法。
    前記式中、Rは炭素数1-20の直鎖状または分岐したアルキル基、または、アリール基であり、R’は炭素数1-20の直鎖状または分岐したアルキル基、または、アリール基であり、nは0を含む3以下の整数、mは0を含む2以下の整数、lは0を含む2以下の整数である。
  2. 触媒の非存在下で行なうことを特徴とする請求項1に記載のリン酸エステル化合物の製造方法。
  3. 前記加熱条件下の反応温度が100~250℃であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のリン酸エステル化合物の製造方法。
  4. 前記有機溶媒として、非プロトン性極性溶媒を用いることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のリン酸エステル化合物の製造方法。
  5. 前記リン酸アンモニウム塩化合物がオルトリン酸アンモニウム塩であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のリン酸エステル化合物の製造方法。
  6. 前記アルコキシ基あるいはアリールオキシ基を有する有機シランが、オルトケイ酸テトラアルキルあるいはオルトケイ酸テトラアリールであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のリン酸エステル化合物の製造方法。
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