JP2023069499A - 乾燥による皮膚表面形状悪化の検出方法 - Google Patents

乾燥による皮膚表面形状悪化の検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】乾燥による皮膚表面形状悪化を検出すること。【解決手段】乾燥による皮膚表面形状悪化を検出するためのマーカー、及び該マーカーを用いた乾燥による皮膚表面形状悪化の検出方法。【選択図】なし

Description

本発明は、乾燥による皮膚表面形状悪化の検出のためのマーカー、及びそれを用いた乾燥による皮膚表面形状悪化の検出方法に関する。
正常な皮膚には水分を保つ機能(保湿機能)が備わっている。この保湿機能によって、皮膚は柔軟性を保ち、またバリア機能を維持して良好な状態を保つことができる。一方、皮膚が低湿度環境に晒されたり皮膚保湿機能が低下して皮膚が乾燥したりすると、皮膚の状態が悪化し、肌荒れが発生する。皮膚は人体の器官のうち最外層に位置し、他の器官に比べて周辺環境の影響を受け易い。例えば、低湿度環境の恒温恒湿室(相対湿度20%、23℃)に健常なヒトを6時間滞在させた際には、顔面部のシワや表面粗さの指標、角層水分量の指標が悪化することが報告されている(非特許文献1、2)。斯様に、たとえ短時間であっても、皮膚が低湿度環境に晒されることは、皮膚の乾燥を引き起こし、皮膚表面形状悪化などの美容上、健康上の皮膚トラブルに結び付くと考えられる。
従来の皮膚の乾燥の評価方法としては、プローブを皮膚表面に押し当てて角層水分量(Capacitance値、Conductance値)や経皮水分蒸散量(Trans Epidermal Water Loss;TEWL値)についての客観的数値を取得する方法が挙げられる。また、専用のカメラ付きプローブを用いて皮膚表面形状を数値化したもの(Surface Evaluation of Living Skin;SELS parameters)を取得する方法、印象材を用いて皮膚表面のレプリカを作製し光学装置を用いてシワや表面粗さを数値化する方法や、事前に定めた指標に基づいて専門パネリストが皮膚乾燥の程度を目視評価する方法などが存在する。
また、所見や自覚などに現れる表現型(フェノタイプ)を機器や目視で指標化するだけでなく、生体試料中の核酸やタンパク質発現等の生物学的指標に基づいて皮膚の乾燥状態を評価する方法が報告されており(特許文献1及び非特許文献3)、生物学的指標に基づいた乾燥の評価と抗乾燥技術の提供を高精度かつ効率的に行うことにつながると考えられている。
近年、生体試料中のDNAやRNA等の核酸の解析によりヒトの生体内の現在さらには将来の生理状態を調べる技術が開発されている。生体由来の核酸は、血液等の体液、分泌物、組織等から抽出することができる。さらに最近、皮膚表上脂質(skin surface lipids;SSL)に含まれるRNAを生体の解析用の生物学的指標として利用可能であることが報告されている(特許文献2)。
特開2015-227865号公報 国際公開公報第2018/008319号
Tsukahara et al. Skin Res Technol. 13:184-188, 2007. Egawa et al. Skin Res Technol. 8:212-218, 2002. Delattre et al. Exp Dermatol. 21:205-210, 2012.
本発明は、乾燥による皮膚表面形状悪化の検出のためのマーカー、及びそれを用いた乾燥による皮膚表面形状悪化の検出方法を提供することに関する。
本発明は、被験者における乾燥による皮膚表面形状悪化を検出する方法であって、被験者における以下の遺伝子:FLOT2、CFLAR、EGR1、LRG1、RNF187、CPPED1、SLC35A4、SNORA2C、EEF1D、TENT5C、NELFE、PHLDA1、DEDD、SNORA71A、EID1、OVCA2、COQ10B、MCTS1、ELOVL7、STT3B、及びBZW2、ならびに該遺伝子の発現産物からなる群より選択される少なくとも1種の発現レベルを測定し、基準値と比較することを含む、方法を提供する。
また本発明は、前記遺伝子及び該遺伝子の発現産物からなる群より選択される少なくとも1種を含む、乾燥による皮膚表面形状悪化の検出のためのマーカーを提供する。
本発明の乾燥による皮膚表面形状悪化の検出のためのマーカーは、乾燥による皮膚表面形状悪化を検出するための指標を提供する。該マーカーを用いることで、被験者の乾燥による皮膚表面形状悪化を容易に検出することが可能となり、ひいては被験者の皮膚状態の正しい把握、及び被験者に適した皮膚状態改善技術を提供することが可能になる。
被験者における低湿度環境による乾燥刺激前後のSEsm値の変化。
本明細書中で引用された全ての特許文献、非特許文献、及びその他の刊行物は、その全体が本明細書中において参考として援用される。
本明細書において、「核酸」又は「ポリヌクレオチド」と云う用語は、DNA又はRNAを意味する。DNAには、cDNA、ゲノムDNA、及び合成DNAのいずれもが含まれ、「RNA」には、total RNA、mRNA、rRNA、tRNA、non-coding RNA及び合成のRNAのいずれもが含まれる。
本明細書において「遺伝子」とは、ヒトゲノムDNAを含む2本鎖DNAの他、cDNAを含む1本鎖DNA(正鎖)、当該正鎖と相補的な配列を有する1本鎖DNA(相補鎖)、及びこれらの断片を包含するものであって、DNAを構成する塩基の配列情報の中に、何らかの生物学的情報が含まれているものを意味する。
また、本明細書における「遺伝子」には、特定の塩基配列で表される「遺伝子」だけではなく、その同族体(すなわち、ホモログもしくはオーソログ)、遺伝子多型等の変異体、及び誘導体が包含される。
本発明において、遺伝子の「発現産物」とは、遺伝子の転写産物及び翻訳産物を包含する概念である。「転写産物」とは、遺伝子(DNA)から転写されて生じるRNAであり、「翻訳産物」とは、RNAに基づき翻訳合成される、遺伝子にコードされたタンパク質を意味する。
本明細書中に開示される遺伝子の名称(Gene Symbol)及びGene IDは、NCBI([www.ncbi.nlm.nih.gov/])に記載のあるOfficial Symbol及びGene IDに従う。
本明細書において、「皮膚表上脂質(skin surface lipids;SSL)」とは、皮膚の表上に存在する脂溶性画分をいい、皮脂と呼ばれることもある。一般に、SSLは、皮膚にある皮脂腺等の外分泌腺から分泌された分泌物を主に含み、皮膚表面を覆う薄い層の形で皮膚表上に存在している。
本明細書において、「皮膚」とは、特に限定しない限り、角層、表皮、真皮、毛包、ならびに汗腺、皮脂腺及びその他の腺などの組織を含む領域の総称である。好ましくは、ヒトの皮膚である。
本明細書において、「乾燥」とは、乾燥環境、低湿度環境、乾燥状態、低湿度状態、大気の乾燥状態、空気の乾燥状態、空間の乾燥状態などの用語で言い換えることもできる。具体的には、相対湿度が40±5%以下の状態であり、好ましくは30±5%以下、より好ましくは20±5%以下の状態を指す。また、相対湿度は好ましくは気温が23±2℃における相対湿度である。
本明細書において、「皮膚表面形状」とは、被験者もしくは判定者の目視で認識できる皮膚表面の様態、又は機器によって撮影した皮膚表面画像から検出可能な皮膚表面の様態であり、「滑らかさ」、「粗さ」、「シワ」、「鱗屑」などの指標が挙げられる。より具体的には、「滑らかさ」は、皮膚表面画像から検出される皮溝と皮丘の高低差であり、「粗さ」は、皮膚表面画像から検出される皮溝の幅であり、「シワ」は皮膚表面画像から検出されるシワの平均的な幅であり、「鱗屑」は、皮膚表面画像全体における、乾燥してめくれた角層に由来する輝度の高い画像の占める割合である。例えば、市販の機器であるVisioScan(Courage+Khazaha社)によって撮影した皮膚表面画像をSELSプログラムに供することによって算出されるSELS parametersのスコア値を利用することができる。該スコア値としては、「SEsm(smoothness;滑らかさ)」、「SEr(roughness;粗さ)」、「SEw(wrinkles;しわ)」、「SEsc(scales;鱗屑)」などが挙げられる。
ここで、「皮膚表面形状悪化」とは、上記の皮膚表面又は皮膚表面画像の様態が悪い方向に変化することをいい、好ましくは、「滑らかさ」を示す皮膚表面画像から検出される皮溝と皮丘の高低差が大きくなること、「粗さ」を示す皮膚表面画像から検出される皮溝の幅が大きくなること、「シワ」を示す皮膚表面画像から検出されるシワの平均的な幅が大きくなること、「鱗屑」を示す皮膚表面画像全体における、輝度の高い画像の占める割合が大きくなることをいう。例えば、前記SELS parametersのスコア値において、SEsm値の増加、SEr値の増加、SEw値の増加、SEsc値の増加などの上記指標の悪化を指す。
本発明において「皮膚表面形状悪化」とは、より好ましくは「滑らかさ」を示す皮膚表面画像から検出される皮溝と皮丘の高低差が大きくなること、前記SELS parametersのスコア値のうち、SEsm値の増加を指す。
本明細書において、皮膚表面形状悪化の「検出」とは、検査、測定、判定又は評価支援などの用語で言い換えることもできる。なお、本明細書における皮膚表面形状悪化の「検出」、「検査」、「測定」、「判定」又は「評価」という用語は、医師による皮膚表面形状悪化の診断を含むものではない。
(1.乾燥による皮膚表面形状悪化の検出のためのマーカー)
後述する実施例に示すように、本発明者は、健常な皮膚状態を有する被験者について、低湿度環境による乾燥刺激前と乾燥刺激後の皮膚表面形状(SEsm値)を調べた。その結果、乾燥刺激前に比べて乾燥刺激後に有意にSEsm値が上昇し、皮膚表面形状が悪化したことが確認された。また、被験者の低湿度環境による乾燥刺激前後の皮膚表面形状及びSSL中のRNA発現量の変化について解析したところ、刺激前後の発現レベルの変化量が被験者の皮膚表面形状の指標(SEsm値)の変化(増加)量と負の相関又は正の相関を示す遺伝子が見出された。このような遺伝子又はその発現産物は、乾燥による皮膚表面形状悪化を反映しており、被験者の乾燥による皮膚表面形状悪化を検出するためのマーカーとして使用できる。例えば、該遺伝子又はその発現産物の発現レベルの変化を指標に、被験者の皮膚表面形状が悪化しているか否かを検出することや、該発現レベルの変化量を指標に、皮膚表面形状がどの程度悪化しているかを検出することが可能になる。
したがって、一態様において本発明は、乾燥による皮膚表面形状悪化の検出のためのマーカーを提供する。一実施形態において、本発明で提供される乾燥による皮膚表面形状悪化の検出のためのマーカー(以下、本発明のマーカーともいう)は、後述するように、被験者について測定されたその発現レベルを基準値と比較することで、該被験者の乾燥による皮膚表面形状の悪化の有無又は悪化の程度を検出することが可能になる。本実施形態の好ましい一例において、本発明のマーカーにより悪化が検出される皮膚表面形状は、皮膚表面画像から検出される皮溝と皮丘の高低差の指標、例えばSEsm値に対応する皮膚表面形状である。
本発明のマーカーは、下記表1Aに示す16遺伝子及び表1Bに示す5遺伝子の計21遺伝子及びその発現産物からなる群より選択される少なくとも1種を含み得る。以下、表1Aに示す遺伝子及び発現産物をまとめて表1Aのマーカーともいい、表1Bに示す遺伝子及び発現産物をまとめて表1Bのマーカーともいう。本発明のマーカーは、下記表1A又は表1Bに示す遺伝子であっても、又はその発現産物であっても、それらの組み合わせであってもよい。一実施形態において、本発明のマーカーは、該遺伝子のDNA、その転写産物であるRNA等の核酸マーカーである。別の一実施形態において、本発明のマーカーは、該遺伝子の翻訳産物であるタンパク質マーカーである。好ましくは、本発明のマーカーは核酸マーカーである。
Figure 2023069499000001
表1A及び表1Bに示される遺伝子は、それ自体又はそれに由来する発現産物が乾燥による皮膚表面形状悪化を検出するためのマーカーとして機能する限り、NCBIに登録されているヌクレオチド配列からなるものの他、該登録されている配列と実質的に同一の配列からなるものを包含する。ここで、実質的に同一の配列とは、例えば、相同性計算アルゴリズムNCBI BLASTを用い、期待値=10;ギャップを許す;フィルタリング=ON;マッチスコア=1;ミスマッチスコア=-3の条件にて検索をした場合、当該遺伝子のヌクレオチド配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましく98%以上、さらに好ましくは99%以上の同一性がある配列を意味する。
後述する実施例に示すように、表1Aのマーカーは、低湿度環境による乾燥刺激前後での発現レベルの変化量が、低湿度環境による乾燥刺激前後でのSEsm値の変化(増加)量と負の相関を示した。すなわち、表1Aのマーカーは、その発現レベルの変化量が乾燥による皮膚表面形状の悪化量と負の相関を示すネガティブマーカーである。一方、表1Bのマーカーは、低湿度環境による乾燥刺激前後での発現レベルの変化量が、乾燥による刺激前後でのSEsm値の変化(増加)量と正の相関を示した。すなわち、表1Bのマーカーは、その発現レベルの変化量が乾燥による皮膚表面形状の悪化量と正の相関を示すポジティブマーカーである。本発明においては、前者のネガティブマーカーと、後者のポジティブマーカーのいずれか一方を使用してもよく、又は両方を組み合わせて使用してもよい。
後述する実施例に示すように、表1A及び表1Bのマーカーは、Elsevier Text Miningを用いて論文情報を検索したところ、いずれも、これまでに皮膚乾燥(「dry skin」又は「xerosis」のタキソノミーに登録される単語)との関連が報告されていなかった。
一方、乾燥を呈する皮膚(又は皮膚乾燥状態)において、表皮角化に関連する遺伝子又はその発現産物の発現低下又は機能低下が起きること(J Am Acad Dermatol. 55:263-8, 2006.、J Invest Dermatol. 124:1099-110, 2005.)や、活性酸素除去剤が乾燥を呈する皮膚を改善すること(Skin Pharmacol Physiol. 31:188-197, 2018.)は公知である。しかしながら、後述する実施例にも示すように、表皮角化又は活性酸素ストレス応答に関与する遺伝子の必ずしも全てが、乾燥を呈する皮膚において発現が低下するわけではない。よって、健常な皮膚に乾燥刺激を与えた際に具体的にどの遺伝子の発現が減少するか推測することは困難である。
以上の皮膚乾燥、表皮角化、及び活性酸素ストレス応答に関する従来の知見を鑑みるに、表1A及び表1Bのマーカーから選択される少なくとも1種を乾燥による皮膚表面形状悪化の検出マーカーとして使用するという本発明が提供する技術は、全く予想外であり容易に見出し難いものである。また、該マーカーのうち、表皮角化に関与するFLOT2及び活性酸素ストレス応答に関与するCFLARは、皮膚乾燥との関連がこれまで報告されておらず、なおかつ表皮角化や活性酸素ストレス応答という公知の分子機序に関連するため、乾燥による皮膚表面形状悪化の検出マーカーとしてより有用であると考えられる。
好ましい一実施形態において、本発明のマーカーは、乾燥による皮膚表面形状の悪化の有無の検出のためのマーカーである。当該マーカーは、以下の遺伝子:FLOT2、CFLAR、EGR1、LRG1、RNF187、CPPED1、SLC35A4、SNORA2C、EEF1D、TENT5C、NELFE、PHLDA1、DEDD、SNORA71A、EID1、及びOVCA2、ならびに該遺伝子の発現産物からなる群より選択される少なくとも1種、好ましくはFLOT2及びCFLAR、ならびに該遺伝子の発現産物からなる群より選択される少なくとも1種を含む。
これらのマーカーは、表1Aに含まれるネガティブマーカーである。該ネガティブマーカーの発現レベルの変化は、乾燥による皮膚表面形状の悪化の有無、例えばSEsm値の変化と負の相関を示す。
別の好ましい一実施形態において、本発明のマーカーは、乾燥による皮膚表面形状の悪化の有無の検出のためのマーカーである。当該マーカーは、以下の遺伝子:COQ10B、MCTS1、ELOVL7、STT3B、及びBZW2、ならびに該遺伝子の発現産物からなる群より選択される少なくとも1種を含む。
これらのマーカーは、表1Bに含まれるポジティブマーカーである。該ポジティブマーカーの発現レベルの変化は、乾燥による皮膚表面形状の悪化の有無、例えばSEsm値の変化と正の相関を示す。
別の好ましい一実施形態において、本発明のマーカーは、乾燥による皮膚表面形状の悪化の程度の検出のためのマーカーである。当該マーカーは、以下の遺伝子:FLOT2、CFLAR、EGR1、LRG1、RNF187、CPPED1、SLC35A4、SNORA2C、EEF1D、TENT5C、NELFE、PHLDA1、DEDD、SNORA71A、EID1、及びOVCA2、ならびに該遺伝子の発現産物からなる群より選択される少なくとも1種、好ましくはFLOT2及びCFLAR、ならびに該遺伝子の発現産物からなる群より選択される少なくとも1種を含む。
これらのマーカーは、表1Aに含まれるネガティブマーカーである。該ネガティブマーカーの発現レベルの変化量は、乾燥による皮膚表面形状の悪化の程度、例えばSEsm値の変化量と負の相関を示す。
別の好ましい一実施形態において、本発明のマーカーは、乾燥による皮膚表面形状の悪化の程度の検出のためのマーカーである。当該マーカーは、以下の遺伝子:COQ10B、MCTS1、ELOVL7、STT3B、及びBZW2、ならびに該遺伝子の発現産物からなる群より選択される少なくとも1種を含む。
これらのマーカーは、表1Bに含まれるポジティブマーカーである。該ポジティブマーカーの発現レベルの変化量は、乾燥による皮膚表面形状の悪化の程度、例えばSEsm値の変化量と正の相関を示す。
本発明のマーカーは、被験者から採取した生体試料、例えば、細胞、角層、皮膚、組織(生検等)、体液(血液、組織浸出液等)、尿、分泌物(唾液、汗、皮膚表上脂質(SSL)等)など、好ましくは皮膚、角層又はSSL、より好ましくはSSLから常法に従って調製することができる。例えば、生体試料からの核酸又はタンパク質の調製には、市販のキットを使用することができる。好ましくは、本発明のマーカーは核酸マーカーであり、生体試料から調製される核酸の好ましい例としては、ゲノムDNA等のDNA、及びmRNA等のRNAなどが挙げられる。
本発明のマーカーを含む生体試料を採取される被験者の例としては、乾燥による皮膚表面形状の悪化を検出する必要のある者、乾燥による皮膚表面形状の悪化の検出を所望する者、などが挙げられ、好ましくは、乾燥による皮膚表面形状の悪化を検出する必要のある健常者、乾燥による皮膚表面形状の悪化の検出を所望する健常者である。ここで、健常者とは、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患を伴わない者を指す。
より好ましくは、本発明のマーカーは、被験者のSSLから調製される核酸又はタンパク質、さらに好ましくはmRNAである。SSLが採取される皮膚の部位としては、頭、顔、首、体幹、手足等の身体の任意の部位の皮膚が挙げられ、皮脂の分泌が多い部位、例えば頭又は顔の皮膚が好ましく、顔の皮膚がより好ましい。
被験者の皮膚からのSSLの採取には、皮膚からのSSLの回収又は除去に用いられているあらゆる手段を採用することができる。好ましくは、後述するSSL吸収性素材、SSL接着性素材、又は皮膚からSSLをこすり落とす器具を使用することができる。SSL吸収性素材又はSSL接着性素材としては、SSLに親和性を有する素材であれば特に限定されず、例えばポリプロピレン、パルプ等が挙げられる。皮膚からのSSLの採取手順のより詳細な例としては、あぶら取り紙、あぶら取りフィルム等のシート状素材へSSLを吸収させる方法、ガラス板、テープ等へSSLを接着させる方法、スパーテル、スクレイパー等によりSSLをこすり落として回収する方法、などが挙げられる。SSLの吸着性を向上させるため、脂溶性の高い溶媒を予め含ませたSSL吸収性素材を用いてもよい。一方、SSL吸収性素材は、水溶性の高い溶媒や水分を含んでいるとSSLの吸着が阻害されるため、水溶性の高い溶媒や水分の含有量が少ないことが好ましい。SSL吸収性素材は、乾燥した状態で用いることが好ましい。
採取されたSSLは、直ちに後述の核酸又はタンパク質の抽出工程に用いられてもよく、又は、該核酸又はタンパク質抽出工程に用いるまで保存されてもよい。保存する場合、SSLは、好ましくは低温条件で保存される。SSLの保存の温度条件は、0℃以下であればよく、好ましくは-20±20℃~-80±20℃、より好ましくは-20±10℃~-80±10℃、さらに好ましくは-20±20℃~-40±20℃、さらに好ましくは-20±10℃~-40±10℃、さらに好ましくは-20±10℃、さらに好ましくは-20±5℃である。SSLの保存の期間は、特に限定されないが、好ましくは12ヶ月以下、例えば6時間以上12ヶ月以下、より好ましくは6ヶ月以下、例えば1日間以上6ヶ月以下、さらに好ましくは3ヶ月以下、例えば3日間以上3ヶ月以下である。
採取したSSLからの核酸又はタンパク質の抽出には、生体試料からの核酸又はタンパク質の抽出又は精製に通常使用される方法を使用することができる。核酸の抽出又は精製方法の例としては、フェノール/クロロホルム法、AGPC(acid guanidinium thiocyanate-phenol-chloroform extraction)法、又はTRIzol(登録商標)、RNeasy(登録商標)、QIAzol(登録商標)などのカラムを用いた方法、シリカをコーティングした特殊な磁性体粒子を用いる方法、Solid Phase Reversible Immobilization磁性体粒子を用いる方法、ISOGEN等の市販のRNA抽出試薬による抽出、などが挙げられる。タンパク質の抽出又は精製には、QIAzol Lysis Reagent(Qiagen)等の市販のタンパク質抽出試薬を用いることができる。
(2.乾燥による皮膚表面形状悪化の検出方法)
別の一態様において、本発明は、上記1.で説明した本発明のマーカーを用いた、乾燥による皮膚表面形状悪化の検出方法を提供する。本発明による乾燥による皮膚表面形状悪化の検出方法(以下、本発明の方法という)では、被験者における本発明のマーカーの発現レベルの基準値との比較に基づいて、該被験者における乾燥による皮膚表面形状の悪化を検出する。ここで基準値としては、任意の期間を隔てて予め測定した同じマーカーの発現レベルを用いることができる。該期間は特に限定されず、皮膚表面形状悪化をもたらす乾燥刺激を受けるに足りる期間であればよい。例えば1時間~1年間程度の間で選択することができ、好ましくは2時間~6ヶ月、より好ましくは3時間~3ヶ月、さらに好ましくは3時間~1ヶ月間とすることができる。基準値は、同じ被験者の発現レベルを用いるのが好ましいが、被験者と性別、年齢、年代、人種等が同じ又は近い別のヒトの発現レベルで代替しても良く、あるいは被験者と性別、年齢、年代、人種等が同じ又は近い別のヒトから構成される集団における発現レベルの平均値を用いても良い。
一実施形態において、本発明の方法では、本発明のマーカーの発現レベルを測定し、該発現レベルを基準値と比較して、被験者における乾燥による皮膚表面形状の悪化の有無を検出する。また、別の一実施形態において、本発明の方法では、本発明のマーカーの発現レベルを測定し、該発現レベルを基準値と比較して、被験者における乾燥による皮膚表面形状の悪化の程度を検出する。
また別の一実施形態では、任意の期間を隔てた少なくとも2つの時期において本発明のマーカーの発現レベルを測定し、より早期の時期に測定した発現レベルを基準値と設定することを含む、乾燥による皮膚表面形状悪化の検出方法を提供する。
(2.1 マーカー発現の解析)
本発明の方法に供される被験者は、上述した本発明のマーカーを含む生体試料を採取される被験者と同様である。好ましい実施形態において、本発明の方法は、被験者から採取した生体試料における本発明のマーカーの発現レベルを測定することを含む。該生体試料の種類は、上述したとおりであり、好ましくはSSLである。一実施形態において、本発明の方法は、該被験者のSSLを採取することをさらに含んでいてもよい。SSLの採取手順、及びSSLからのマーカーの抽出手順は、上述したとおりである。
本発明のマーカーの発現レベルは、当該分野で通常用いられる核酸又はタンパク質の定量法に従って、測定することができる。測定されるマーカーの発現レベルは、生体試料中の該標的マーカーの絶対量に基づく発現レベルであっても、他の標準物質や、全核酸又は全タンパク質の発現レベルに対する相対発現レベルであってもよい。
例えば、核酸マーカーの発現レベルは、当該分野で通常用いられる遺伝子発現解析の手順に従って測定すればよい。遺伝子発現解析の手法の例としては、PCR、マルチプレックスPCR、リアルタイムPCR、ハイブリダイゼーション(DNAチップ、DNAマイクロアレイ、ドットブロットハイブリダイゼーション、スロットブロットハイブリダイゼーション、ノーザンブロットハイブリダイゼーション等)、シーケンシング、クロマトグラフィーなどの核酸又はその増幅産物を定量する方法が挙げられる。核酸がRNAの場合は、RNAを逆転写によりcDNAに変換した後、上記方法で定量することが好ましい。
タンパク質マーカーの発現レベルは、当該分野で通常用いられるタンパク質定量法、例えば免疫測定法(例えば、ウェスタンブロット、ELISA、免疫染色等)、蛍光法、電気泳動、プロテインチップ、クロマトグラフィー、質量分析(例えば、LC-MS/MS、MALDI-TOF/MS)、1-ハイブリッド法(PNAS 100, 12271-12276(2003))、2-ハイブリッド法(Biol. Reprod. 58, 302-311 (1998))などを用いて測定することができる。あるいは、本発明のマーカーである核酸又はタンパク質と相互作用する分子を測定することで、本発明のマーカーの発現レベルを測定してもよい。本発明のマーカーと相互作用する分子としては、DNA、RNA、タンパク質、多糖、オリゴ糖、単糖、脂質、脂肪酸、及びこれらのリン酸化物、アルキル化物、糖付加物等、及び上記いずれかの複合体が挙げられる。
好ましくは、本発明の方法で使用されるマーカーは、SSL由来RNAである。この場合には、SSLに含まれるRNAの発現レベルが測定される。好ましくは、SSLから抽出したRNAを逆転写によりcDNAに変換した後、該cDNA又はその増幅産物を上記の手法で定量することで、該SSL由来RNAの発現レベルが測定される。
RNAの逆転写には、解析したい特定のRNAを標的としたプライマーを用いてもよいが、より包括的な核酸の保存及び解析のためにはランダムプライマーを用いることが好ましい。該逆転写には、一般的な逆転写酵素又は逆転写試薬キットを使用することができる。好適には、正確性及び効率性の高い逆転写酵素又は逆転写試薬キットが用いられ、その例としては、M-MLV Reverse Transcriptase及びその改変体、あるいは市販の逆転写酵素又は逆転写試薬キット、例えばPrimeScript(登録商標)Reverse Transcriptaseシリーズ(タカラバイオ社)、SuperScript(登録商標)Reverse Transcriptaseシリーズ(Thermo Scientific社)等が挙げられる。SuperScript(登録商標)III Reverse Transcriptase、SuperScript(登録商標)VILO cDNA Synthesis kit(いずれもThermo Scientific社)等が挙げられる。
該逆転写における伸長反応では、温度を好ましくは42℃±1℃、より好ましくは42℃±0.5℃、さらに好ましくは42℃±0.25℃に調整し、一方、反応時間を好ましくは60分間以上、より好ましくは80~120分間に調整することが好ましい。
PCRを用いて核酸マーカーの発現レベルを測定する場合、必要に応じて生体試料由来のRNAをcDNAに逆転写した後、プライマーペアを用いて該生体試料由来のDNAを増幅する。PCRでは、解析したい特定のDNAを標的としたプライマーペアを用いて該特定の1種のDNAのみを増幅してもよいが、複数のプライマーペアを用いて同時に複数の特定のDNAを増幅してもよい。好ましくは、該PCRはマルチプレックスPCRである。マルチプレックスPCRは、PCR反応系に複数のプライマー対を同時に使用することで、複数の遺伝子領域を同時に増幅する方法である。マルチプレックスPCRは、市販のキット(例えば、Ion AmpliSeqTranscriptome Human Gene Expression Kit;ライフテクノロジーズジャパン株式会社等)を用いて実施することができる。
該PCRにおけるアニーリング及び伸長反応の温度は、使用するプライマーに依存するため一概には言えないが、上記のマルチプレックスPCRキットを用いる場合、好ましくは62℃±1℃、より好ましくは62℃±0.5℃、さらに好ましくは62℃±0.25℃である。したがって、該PCRでは、好ましくはアニーリング及び伸長反応が1ステップで行われる。該アニーリング及び伸長反応のステップの時間は、増幅すべきDNAのサイズ等に依存して調整され得るが、好ましくは14~18分間である。該PCRにおける変性反応の条件は、増幅すべきDNAに依存して調整され得るが、好ましくは95~99℃で10~60秒間である。上記のような温度及び時間での逆転写及びPCRは、一般的にPCRに使用されるサーマルサイクラーを用いて実行することができる。
当該PCRで得られた反応産物の精製は、反応産物のサイズ分離によって行われることが好ましい。サイズ分離により、目的のPCR反応産物を、PCR反応液中に含まれるプライマーやその他の不純物から分離することができる。DNAのサイズ分離は、例えば、サイズ分離カラムや、サイズ分離チップ、サイズ分離に利用可能な磁気ビーズ等によって行うことができる。サイズ分離に利用可能な磁気ビーズの好ましい例としては、Ampure XP等のSolid Phase Reversible Immobilization(SPRI)磁性ビーズが挙げられる。
精製したPCR反応産物に対して、その後の定量解析を行うために必要なさらなる処理を施してもよい。例えば、DNAのシーケンシングのために、精製したPCR反応産物を、適切なバッファー溶液へと調製したり、PCR増幅されたDNAに含まれるPCRプライマー領域を切断したり、増幅されたDNAにアダプター配列をさらに付加したりしてもよい。例えば、精製したPCR反応産物をバッファー溶液へと調製し、増幅DNAに対してPCRプライマー配列の除去及びアダプターライゲーションを行い、得られた反応産物を、必要に応じて増幅して、定量解析のためのライブラリーを調製することができる。これらの操作は、例えば、SuperScript(登録商標)VILO cDNA Synthesis kit(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)に付属している5×VILO RT Reaction Mix、及びIon AmpliSeq Transcriptome Human Gene Expression Kit(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)に付属している5×Ion AmpliSeq HiFi Mix、及びIon AmpliSeq Transcriptome Human Gene Expression Core Panelを用いて、各キット付属のプロトコルに従って行うことができる。
リアルタイムPCRを用いて核酸マーカーの発現レベルを測定する場合、必要に応じて生体試料由来のRNAをcDNAに逆転写した後、予め放射性同位元素(RI)、蛍光物質等で標識しておいたプライマーを用いてPCRを行い、産生される標識二本鎖DNAを検出、定量する。
ノーザンブロットハイブリダイゼーションを用いて核酸マーカーの発現レベルを測定する場合、例えば、常法に従ってメンブレン上に生体試料由来のRNAをトランスファーし、次いでRI、蛍光物質等で標識したプローブDNAを該RNAにハイブリダイズさせる。形成された標識プローブDNAとRNAとの二重鎖から該標識に由来するシグナルを検出することにより、核酸マーカーの発現レベルを測定することができる。
DNAマイクロアレイを用いて核酸マーカーの発現レベルを測定する場合、例えば、支持体上に標的の核酸マーカーに特異的にハイブリダイズする核酸(cDNA又はDNA)を固定化したマイクロアレイを用いる。生体試料から調製した核酸(cDNA又はcRNA)をマイクロアレイ上に結合させ、マイクロアレイ上の標識を検出することによって、生体試料中の核酸マーカーの発現レベルを測定することができる。
前記マイクロアレイに固定化される核酸としては、ストリンジェントな条件下に標的の核酸マーカーに特異的(すなわち、実質的に標的の核酸マーカーのみに)にハイブリダイズする核酸であればよく、本発明の核酸マーカーの全配列を有する核酸であっても、部分配列からなる核酸であってもよい。該「部分配列」としては、少なくとも15~25塩基からなる核酸が挙げられる。ここでストリンジェントな条件としては、通常「1×SSC、0.1%SDS、37℃」程度の洗浄条件、好ましくは「0.5×SSC、0.1%SDS、42℃」程度の条件、さらに好ましくは「0.1×SSC、0.1%SDS、65℃」程度の条件を挙げることができる。ストリンジェントなハイブリダイズ条件は、例えばJ. Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001)に記載されている。
シーケンシングを用いて核酸マーカーの発現レベルを測定する場合、好ましくは次世代シーケンサー(例えばIon S5/XLシステム、ライフテクノロジーズジャパン株式会社)を用いることができる。シーケンシングで作成されたリードの数(リードカウント)に基づいて、DNA又はRNAの発現レベルを測定することができる。
シーケンシングにより複数の核酸マーカーの発現レベルを測定する場合は、上記したリードカウントを発現レベルのデータとして用いることができる。あるいは、該リードカウントにおけるサンプル間の総リード数の違いを補正した、該リードカウントのRPM(Reads per million mapped reads)値、該RPM値の対数値(Log2RPM値、又はLog2(RPM+1)値)、DESeq2(Love MI et al., Genome Biol, 2014)を用いて補正されたカウント値(Normalized count値)又はその対数値(Log2(Normalized count+1)値)、などを発現レベルのデータとして用いることができる。あるいは、発現レベルのデータとして、RNA-seqの定量値として一般的な、Fragments per kilobase of exon per million reads mapped (FPKM)、reads per kilobase of exon per million reads mapped (RPKM)、transcripts per million (TPM)などを用いることができる。
核酸マーカーの測定に用いられるプローブ又はプライマーは、例えば、本発明の核酸マーカーを特異的に増幅するためのプライマー、又は該核酸マーカーを特異的に検出するためのプローブであり得る。ここで「特異的」とは、例えばノーザンブロット法において、実質的に本発明のマーカーのみが検出されること、又はPCRにおいて、実質的に本発明のマーカーのみが増幅されることなど、実質的に本発明のマーカーに由来する生成物又は検出物が生成するように核酸を認識又は検出できることを意味する。これらのプローブ又はプライマーは、該核酸マーカーのヌクレオチド配列に基づいて設計することができる。
該プローブ又はプライマーの具体的な例としては、本発明の核酸マーカーの全配列又は部分配列からなるオリゴヌクレオチド又はその相補鎖を利用することができる。該「相補鎖」とは、標的マーカーを特異的に認識する限り、完全に相補的な配列に限られず、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、よりさらに好ましくは99%以上の配列同一性を有する配列であればよい。配列の同一性は、上述したNCBI BLAST等のアルゴリズムにより決定することができる。
該核酸マーカーの測定に用いられるプライマーの例としては、標的の核酸マーカーに対して特異的なアニーリング及び鎖伸長ができるものであって、好ましくは10塩基以上、より好ましくは15塩基以上、さらに好ましくは20塩基以上、かつ好ましくは100塩基以下、より好ましくは50塩基以下、さらに好ましくは35塩基以下の鎖長を有するものが挙げられる。
該核酸マーカーの測定に用いられるプローブの例としては、標的の核酸マーカーに対して特異的なハイブリダイゼーションができるものであって、好ましくは10塩基以上、より好ましくは15塩基以上、かつ好ましくは100塩基以下、より好ましくは50塩基以下、さらに好ましくは25塩基以下の鎖長を有するものが挙げられる。
該プローブ又はプライマーは、DNAあるいはRNAであることができ、合成されたものでも天然のものでもよい。ハイブリダイゼーションに用いるプローブは、通常、標識したものが用いられる。
免疫測定法を用いてタンパク質マーカーの発現レベルを測定する場合、例えば、該タンパク質マーカーに対する抗体を生体試料と接触させ、該抗体に結合したタンパク質マーカーを定量すればよい。例えば、ウェスタンブロットでは、該タンパク質マーカーに対する一次抗体を用いた後、RI、蛍光物質、酵素等で標識した二次抗体を用いて該一次抗体を標識し、次いで該標識由来のシグナルを測定することで該タンパク質マーカーの発現レベルを測定することができる。該タンパク質マーカーに対する抗体は、ポリクローナル抗体であってもモノクローナル抗体であってもよい。これらの抗体は、公知の方法に従って製造することができる。
(2.2 マーカーの発現レベルに基づく乾燥による皮膚表面形状悪化の検出)
本発明の方法の一実施形態においては、被験者に由来する本発明のマーカー(該被験者から採取した生体試料中に含まれる本発明のマーカー)の発現レベルを測定し、測定した標的マーカーの発現レベルを基準値と比較することで、該被験者における乾燥による皮膚表面形状の悪化(例えば悪化又は非悪化)を検出することができる。
上述したように、表1A及び表1Bのマーカーは、その発現レベルが乾燥による皮膚表面形状の悪化、具体的には皮膚表面画像から検出される皮溝と皮丘の高低差、例えばSEsm値に応じて変動するマーカーである。より詳細には、表1Aのマーカーは、その発現レベルの変化が乾燥による皮膚表面形状の悪化と負の相関を示す、ネガティブマーカーであり、一方、表1Bのマーカーは、その発現レベルの変化が乾燥による皮膚表面形状の悪化と正の相関を示す、ポジティブマーカーである。したがって、該ネガティブマーカー又は該ポジティブマーカーの発現レベルの変化を指標として、被験者における乾燥による皮膚表面形状悪化の有無を検出することができる。
本実施形態の好ましい一例において、本発明の方法で検出される乾燥による皮膚表面形状悪化の有無は、乾燥による皮膚表面の滑らかさの悪化の有無であり、例えば、皮膚表面画像から検出される皮溝と皮丘の高低差、具体的にはSEsm値の増加に対応する皮膚表面形状の悪化の有無である。本検出に使用される標的マーカーは、上述した乾燥による皮膚表面形状悪化の検出のためのマーカー、例えば、SEsm値に対応する皮膚表面形状の悪化を検出することができるマーカーである。これらのマーカーはネガティブマーカー又はポジティブマーカーであり、その発現レベルの変化量は、例えばSEsm値の増加量と負又は正の相関を示す。該マーカーの発現レベルを基準値と比較し、その変化を指標として、被験者における乾燥による皮膚表面形状悪化の有無を検出することができる。
本実施形態においては、被験者から採取した生体試料における、該ネガティブマーカー及び該ポジティブマーカーから選択される1種以上のマーカーを、上述した検出の指標として用いる標的マーカーとすることができる。該ネガティブマーカー及び該ポジティブマーカーは、上述したように、SEsm値に相関するマーカーである。本実施形態においては、SEsm値に相関する少なくとも1種のマーカーを標的マーカーとして用いればよい。本発明の方法においては、該ネガティブマーカーと該ポジティブマーカーのいずれか1種を標的マーカーとして用いてもよく、又は、該ネガティブマーカー及び該ポジティブマーカーから選択される2種以上を組み合わせて標的マーカーとして用いてもよい。あるいは、該ネガティブマーカー及び該ポジティブマーカーの全てからなる核酸マーカー又はタンパク質マーカーを組み合わせて標的マーカーとして使用してもよい。
ネガティブマーカーを用いる場合、その発現レベルの経時的低下は、被験者における乾燥による皮膚表面形状の悪化を表し、一方、発現レベルの経時的増加又は不変は、被験者における乾燥による皮膚表面形状の非悪化を表す。よって、被験者から測定したネガティブマーカーの発現レベルが基準値である発現レベルより低い場合、被験者の皮膚表面形状が乾燥により悪化したと検出される。一方、発現レベルが基準値である発現レベルより高い又は不変である場合、被験者の皮膚表面形状は乾燥により悪化していないと検出される。
ポジティブマーカーを用いる場合、その発現レベルの経時的増加は、被験者における乾燥による皮膚表面形状の悪化を表し、一方、発現レベルの経時的低下又は不変は、被験者における乾燥による皮膚表面形状の非悪化を表す。よって、被験者から測定したポジティブマーカーの発現レベルが基準値である発現レベルより高い場合、被験者の皮膚表面形状が乾燥により悪化したと検出される。一方、発現レベルが基準値である発現レベルより低い又は不変である場合、被験者の皮膚表面形状は乾燥により悪化していないと検出される。
前記において、マーカーの発現レベルが基準値である発現レベルより低いか高いかを判断する基準としては、例えば被験者由来の本発明のマーカーの発現レベルが、基準値に対して好ましくは99%以下、より好ましくは95%以下、さらに好ましくは90%以下であれば、該マーカーの発現レベルは基準値より低いと判断され得、本発明のマーカーの発現レベルが、基準値に対して好ましくは101%以上、より好ましくは105%以上、さらに好ましくは110%以上であれば、該マーカーの発現レベルは基準値より高いと判断され得る。あるいは、被験者由来のマーカーの発現レベルと基準値との差異は、例えば両者が統計学的に有意に異なるか否かによって判断することができる。標的マーカーとして複数のマーカーを用いる場合には、個々の標的マーカーの発現レベルを基準値と比較し、一定割合、例えば50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは100%のマーカーの発現レベルが基準値と異なるか否かを調べることで、乾燥による皮膚表面形状悪化の有無を検出することができる。
本発明の方法の別の一実施形態において、被験者における標的マーカーの発現レベルと基準値との比較に基づき、該被験者における乾燥による皮膚表面形状の悪化の程度を検出することができる。
標的マーカーが上述したネガティブマーカーから選択される1種以上である場合、被験者における該ネガティブマーカーの発現レベルが、基準値である発現レベルと比較してより低い発現レベルであればあるほど、該被験者の皮膚表面形状は乾燥によってより悪化したと検出される。一方、標的マーカーが上述したポジティブマーカーから選択される1種以上である場合、被験者における該ポジティブマーカーの発現レベルが、基準値である発現レベルと比較してより高い発現レベルであればあるほど、該被験者の皮膚表面形状は乾燥によってより悪化したと検出される。
本発明の方法の別の一実施形態においては、被験者における標的マーカーの発現レベルを測定し、測定した標的マーカーの発現レベルの基準値との差に基づき、該被験者における乾燥による皮膚表面形状悪化の程度を検出することができる。
本実施形態の好ましい一例において、本発明の方法で検出される乾燥による皮膚表面形状悪化の程度は、乾燥による皮膚表面の滑らかさの悪化の程度であり、例えば、皮膚表面画像から検出される皮溝と皮丘の高低差、具体的にはSEsm値の増加に対応する皮膚表面形状の悪化の程度である。本検出の指標として用いる標的マーカーは、上述の標的マーカーと同様であり、該マーカーの発現レベルから基準値を減じて算出されるその変化量(Δ発現レベル)を指標として、被験者における乾燥による皮膚表面形状悪化の程度を検出することができる。
ネガティブマーカーを用いる場合、そのΔ発現レベルが負の値である場合、その絶対値は、被験者における乾燥による皮膚表面形状悪化の程度を表し、一方、Δ発現レベルが0であるか正の値である場合は、被験者における乾燥による皮膚表面形状の非悪化を表す。よって、被験者から測定したネガティブマーカーの発現レベルの、基準値からの変化量(Δ発現レベル)が負の値で、その絶対値がより大きいほど、被験者の皮膚表面形状が乾燥によってより悪化したと検出される。一方、Δ発現レベルが0であるか正の値である場合、被験者の皮膚表面形状は乾燥によって悪化していないと検出される。また例えば、Δ発現レベルを2回以上経時的に測定したとき、最初の測定から継続的にネガティブマーカーのΔ発現レベルが負の値である場合、被験者の乾燥による皮膚表面形状悪化が進行していると検出される。
ポジティブマーカーを用いる場合、そのΔ発現レベルが正の値である場合、その値は、被験者における乾燥による皮膚表面形状悪化の程度を表し、一方、Δ発現レベルが0であるか負の値である場合は、被験者における乾燥による皮膚表面形状の非悪化を表す。よって、被験者から測定したポジティブマーカーの発現レベルの、基準値からの変化量(Δ発現レベル)が正の値で、その値がより大きいほど、被験者の皮膚表面形状が乾燥によってより悪化したと検出される。一方、Δ発現レベルが0であるか負の値である場合、被験者の皮膚表面形状は乾燥によって悪化していないと検出される。また例えば、Δ発現レベルを2回以上経時的に測定したとき、最初の測定から継続的にポジティブマーカーのΔ発現レベルが正の値である場合、被験者の乾燥による皮膚表面形状悪化が進行していると検出される。
前記のΔ発現レベルを指標とした被験者の乾燥による皮膚表面形状悪化の検出において、悪化していると検出された場合のその悪化の程度は、Δ発現レベルの絶対値に基づいて、例えば「軽度の悪化」、「中等度の悪化」、「重度の悪化」等のように複数の悪化程度に分けることができる。これらの各程度の境となる値は、予め任意の集団における乾燥による皮膚表面形状悪化の程度とΔ発現レベルとの関係から導き出される参照値から適宜決定すれば良い。
一例において、該参照値は、皮膚表面形状悪化の程度(従来の皮膚表面形状の評価に基づいて分類された皮膚表面形状の悪化のレベル又は皮膚表面形状に係るスコア値)と標的マーカーの発現レベルの変化量(Δ発現レベル)の関係に基づき、予め決定することができる。例えば、ある集団を、予め定めた一定期間の前後における皮膚表面形状悪化の程度に基づいて異なる悪化程度の複数の群に分け、同期間の前後に測定された各群における標的マーカーの発現レベルの変化量(Δ発現レベル)の統計値(例えば平均値)を参考に、それぞれの群への属否を判別する参照値を決定することができる。標的マーカーとして複数種のマーカーを用いる場合は、各々のマーカーについて参照値を求めることが好ましい。該集団としては、特に限定されず、検出の対象となる被験者に応じて、年代ごと、世代ごと、男女ごとあるいは人種ごとに集団を作成してもよい。
参照値の算出に用いられる群の例としては、皮膚表面形状悪化が軽度の群(軽度群)、中等度の群(中等度群)、重度の群(重度群)などが挙げられる。対照として、乾燥による刺激を受けていない群を含めてもよい。
一例において、皮膚表面形状の指標の1種であるSEsm値の変化量に基づいて群分けされた、特定の皮膚表面形状悪化の程度を有する2以上の群から参照値が算出され得る。
参照値の設定、及び該参照値に基づく症度の分類の具体的手法は、当業者の技術常識に従って適宜実施することができる。
(2.3 予測モデルに基づく乾燥による皮膚表面形状悪化の程度の検出)
本発明の方法の別の一実施形態においては、被験者に由来する本発明のマーカー(該被験者から採取した生体試料中に含まれる本発明のマーカー)の発現レベルの基準値からの変化量(Δ発現レベル)についてのデータ(以下、発現プロファイルと呼ぶ)を用いて構築した予測モデルに基づいて、被験者における乾燥による皮膚表面形状悪化の程度を検出する。発現プロファイルの例としては、シーケンシングのリードカウント等の発現レベルに関するデータが挙げられる。
例えば、教師サンプル集団(例えば、異なる悪化程度の複数の群を含む集団)の各人から取得した1つ以上のマーカー(遺伝子又はその発現産物)についての発現プロファイルを説明変数とし、該集団の各人がどの悪化程度の群に属するかを表す変数を目的変数とした機械学習により、任意の被験者における乾燥による皮膚表面形状の悪化の程度を検出するための予測モデル(例えば判別式)を構築することができる。構築した予測モデルを利用して、被験者における乾燥による皮膚表面形状の悪化の程度、具体的にはどの悪化程度の群に属するかを検出することができる。ここで、悪化程度の群分けに代えて、悪化の程度の指標であるスコア値をそのまま目的変数として用い、被験者における乾燥による皮膚表面形状の悪化の程度を示すスコア値を検出してもよい。
本明細書において、「特徴量」とは、機械学習における「説明変数」と同義である。本明細書において、その発現プロファイルが機械学習の説明変数(特徴量)として使用されるマーカーを「特徴量マーカー(群)」と称することがある。また特徴量マーカーが遺伝子又はその転写物である場合、特徴量遺伝子と称することがある。
本実施形態で用いられる特徴量マーカー(群)は、表1A及び表1Bに示す遺伝子、及び該遺伝子の発現産物からなる群より選択される少なくとも1種であればよい。特徴量マーカーの発現プロファイルは、絶対値であっても相対値であってもよく、あるいは正規化処理されていてもよい。特徴量マーカー群として複数のマーカーを使用する場合、例えば、本発明のマーカーの中から乾燥による皮膚表面形状悪化の程度との相関が高いものを複数選択し、それらの発現プロファイルを説明変数として用いることができる。
一実施形態においては、表1Aの遺伝子又はその発現産物の全てを組み合わせて、特徴量マーカー群として使用する。別の一実施形態においては、表1Bの遺伝子又はその発現産物の全てを組み合わせて特徴量マーカー群として使用する。別の一実施形態においては、表1A及び表1Bの遺伝子又はその発現産物の全てを組み合わせて特徴量マーカー群として使用する。
好ましい実施形態においては、機械学習のための教師サンプルとして、2つ以上の異なる悪化程度の被験者群(例えば、皮膚表面形状の悪化なし、ならびに皮膚表面形状の悪化が軽度の群、中等度の群、及び重度の群から選択される2つ以上の群が挙げられるが、これらに限定されない)を含む集団における特徴量マーカー(群)の発現プロファイルを用いる。該教師サンプルを用いて、被験者における乾燥による皮膚表面形状の悪化の程度を分けるための判別式(予測モデル)を構築する。判別式の構築に用いる説明変数としては、特徴量マーカー(群)の発現プロファイルを用いることができる。目的変数としては、例えば、特徴量マーカー(群)が由来する被験者がいずれの悪化程度の群に属するかを表す変数を用いることができる。構築した判別式に基づいて、悪化程度を判別するためのカットオフ値を求めることができる。次いで、被験者由来の該特徴量マーカー(群)の発現プロファイルを測定し、得られた測定値を当該判別式に代入し、該判別式から得られた結果を該カットオフ値と比較することによって、該被験者における乾燥による皮膚表面形状悪化の程度を判別する。カットオフ値は、公知の手法に従って決定することができる。例えば、構築した判別式を使用してROC(Receiver Operating Characteristic Curve)曲線を求め、そのYouden indexをカットオフ値として決定することができる。
あるいは、予測モデルの構築にマーカーの発現プロファイルを使用する場合、必要に応じて、次元削減によってデータを圧縮してから予測モデルの構築を行ってもよい。例えば、表1A及び表1Bに示す遺伝子群又はその発現産物の中から複数のマーカーを抽出する。次いで、該抽出したマーカーの発現プロファイルについて主成分分析を実施する。該主成分分析で算出された1つ以上の主成分を説明変数とし、該説明変数が由来する被験者がいずれの悪化程度の群(例えば軽度群又は重度群)に属するかを表す変数を目的変数とした機械学習により、被験者における乾燥による皮膚表面形状の悪化程度を判別するための予測モデルを構築することができる。
予測モデルの構築におけるアルゴリズムは、機械学習に用いるアルゴリズムなどの公知のものを利用することができる。機械学習アルゴリズムの例としては、限定ではないが、線形回帰モデル(Linear model)、ラッソ回帰(Lasso)、ランダムフォレスト(Random Forest)、ニューラルネットワーク(Neural net)、線形カーネルのサポートベクターマシン(SVM (linear))、rbfカーネルのサポートベクターマシン(SVM (rbf))、正則化線形判別分析(Regularized linear discriminant analysis)、正則化ロジスティック回帰(Regularized logistic regression)などのアルゴリズムが挙げられる。
構築した予測モデルに検証用のデータを入力して予測値(皮膚表面形状の悪化の程度)を算出する。該予測値が実測値(実際の皮膚表面形状の悪化の程度)と最も適合するモデル、例えば、該予測値の実測値に対する正解率(Accuracy)が最も大きいモデルを、最適モデルとして選択することができる。あるいは、予測値と実測値から検出率(Recall)、精度(Precision)、及びそれらの調和平均であるF値を計算し、そのF値が最も大きいモデルを、最適モデルとして選択することができる。構築した予測モデルに対して被験者から実測した特徴量マーカー(群)の発現プロファイルを入力することによって、該被験者における乾燥による皮膚表面形状悪化の程度を検出することができる。
(3.乾燥による皮膚表面形状悪化の検出キット)
さらなる一態様において、本発明は、上記2.で説明した本発明の方法に従って被験者における乾燥による皮膚表面形状の悪化を検出するためのキットを提供する。一実施形態において、本発明のキットは、上述した本発明のマーカーの発現レベルを測定するための試薬又は器具を備える。例えば、本発明のキットは、本発明の核酸マーカーを増幅又は定量するための試薬(例えば、逆転写酵素、PCR用試薬、プライマー、プローブ、シーケンシング用アダプター配列等)、又は本発明のタンパク質マーカーを定量するための試薬(例えば、免疫学的測定のための試薬、抗体など)を備え得る。好ましくは、本発明のキットは、本発明の核酸マーカーと特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド(例えば、PCR用のプライマー、又はプローブ)、あるいは、本発明のタンパク質マーカーを認識する抗体を含有する。好ましくは、本発明のキットは、本発明のマーカーの発現レベルを評価するための指標又はガイダンスを備える。例えば、本発明のキットは、乾燥による皮膚表面形状悪化の程度の検出のために各マーカーの発現レベルの変化量の基準値を説明するガイダンス、又は予測モデルに基づく判別式とそれに入力する特徴量マーカーについてのガイダンス、などを備え得る。また本発明のキットは、生体試料採取デバイス(例えば、上記のSSL吸収性素材又はSSL接着性素材)、生体試料から本発明のマーカーを抽出するための試薬(例えば核酸精製用試薬)、生体試料採取後の試料採取デバイスの保存剤や保存用容器などをさらに備えていてもよい。
本発明の例示的実施形態として、以下の物質、製造方法、用途、方法等をさらに本明細書に開示する。但し、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
〔1〕被験者における乾燥による皮膚表面形状悪化を検出する方法であって、被験者における以下の遺伝子:FLOT2、CFLAR、EGR1、LRG1、RNF187、CPPED1、SLC35A4、SNORA2C、EEF1D、TENT5C、NELFE、PHLDA1、DEDD、SNORA71A、EID1、OVCA2、COQ10B、MCTS1、ELOVL7、STT3B、及びBZW2、ならびに該遺伝子の発現産物からなる群より選択される少なくとも1種の発現レベルを測定し、基準値と比較することを含む、方法。
〔2〕被験者における乾燥による皮膚表面形状悪化を検出するためのデータを取得する方法であって、被験者における以下の遺伝子:FLOT2、CFLAR、EGR1、LRG1、RNF187、CPPED1、SLC35A4、SNORA2C、EEF1D、TENT5C、NELFE、PHLDA1、DEDD、SNORA71A、EID1、OVCA2、COQ10B、MCTS1、ELOVL7、STT3B、及びBZW2、ならびに該遺伝子の発現産物からなる群より選択される少なくとも1種の発現レベルを測定し、基準値と比較することを含む、方法。
〔3〕前記遺伝子又は発現産物の発現レベルを少なくとも2つの時期に測定し、より早期の時期に測定した発現レベルを基準値と設定することを含む、〔1〕又は〔2〕記載の方法。
〔4〕前記皮膚表面形状が、皮膚表面画像から検出される皮溝と皮丘の高低差によって示される皮膚の滑らかさについての表面形状、より具体的にはSurface Evaluation of Living Skin(SELS) parametersのうち、SEsm値に対応する皮膚表面形状である、〔1〕~〔3〕のいずれか1項記載の方法。
〔5〕前記遺伝子又は発現産物が以下の遺伝子:FLOT2、CFLAR、EGR1、LRG1、RNF187、CPPED1、SLC35A4、SNORA2C、EEF1D、TENT5C、NELFE、PHLDA1、DEDD、SNORA71A、EID1、及びOVCA2、ならびに該遺伝子の発現産物からなる群より選択される少なくとも1種であり、前記被験者から測定した該遺伝子又は発現産物の発現レベルが基準値である発現レベルよりも低い場合、該被験者の皮膚表面形状が乾燥により悪化したと検出されるか、又は、前記被験者から測定した該遺伝子又は発現産物の発現レベルが基準値である発現レベルよりも高いか不変である場合、該被験者の皮膚表面形状は乾燥により悪化していないと検出される、〔1〕、〔3〕及び〔4〕のいずれか1項記載の方法。
〔6〕前記被験者から測定した該遺伝子又は発現産物の発現レベルが基準値である発現レベルと比較してより低い発現レベルであるほど、該被験者の皮膚表面形状が乾燥によってより悪化したと検出される、〔5〕記載の方法。
〔7〕前記遺伝子又は発現産物が以下の遺伝子:COQ10B、MCTS1、ELOVL7、STT3B、及びBZW2、ならびに該遺伝子の発現産物からなる群より選択される少なくとも1種であり、前記被験者から測定した該遺伝子又は発現産物の発現レベルが基準値である発現レベルよりも高い場合、該被験者の皮膚表面形状が乾燥により悪化したと検出されるか、又は、前記被験者から測定した該遺伝子又は発現産物の発現レベルが基準値である発現レベルよりも低いか不変である場合、該被験者の皮膚表面形状は乾燥により悪化していないと検出される、〔1〕、〔3〕及び〔4〕のいずれか1項記載の方法。
〔8〕前記被験者から測定した該遺伝子又は発現産物の発現レベルが基準値である発現レベルと比較してより高い発現レベルであるほど、該被験者の皮膚表面形状が乾燥によってより悪化したと検出される、〔7〕記載の方法。
〔9〕前記遺伝子又は発現産物の発現レベルから、基準値である発現レベルを減じてΔ発現レベルを算出することを含む、〔1〕、〔3〕及び〔4〕のいずれか1項記載の方法。
〔10〕前記遺伝子又は発現産物が以下の遺伝子:FLOT2、CFLAR、EGR1、LRG1、RNF187、CPPED1、SLC35A4、SNORA2C、EEF1D、TENT5C、NELFE、PHLDA1、DEDD、SNORA71A、EID1、及びOVCA2、ならびに該遺伝子の発現産物からなる群より選択される少なくとも1種であって、前記Δ発現レベルが負の値である場合、該Δ発現レベルの絶対値がより大きいほど、該被験者の皮膚表面形状が乾燥によってより悪化したと検出される、〔9〕記載の方法。
〔11〕前記遺伝子又は発現産物が以下の遺伝子:COQ10B、MCTS1、ELOVL7、STT3B、及びBZW2、ならびに該遺伝子の発現産物からなる群より選択される少なくとも1種であって、前記Δ発現レベルが正の値である場合、該Δ発現レベルの値がより大きいほど、該被験者の皮膚表面形状が乾燥によってより悪化したと検出される、〔9〕記載の方法。
〔12〕前記遺伝子又は発現産物がCFLAR及びFLOT2、ならびに該遺伝子の発現産物からなる群より選択される少なくとも1種である、〔1〕~〔6〕、〔9〕及び〔10〕のいずれか1項記載の方法。
〔13〕前記遺伝子又は発現産物の発現レベルが該遺伝子又はmRNAの発現量である、〔1〕~〔12〕のいずれか1項記載の方法。
〔14〕前記遺伝子又は発現産物の発現レベルが皮膚表上脂質から採取されたmRNAの発現量である、〔1〕~〔13〕のいずれか1項記載の方法。
〔15〕前記被験者が健常者である、〔1〕~〔14〕のいずれか1項記載の方法。
〔16〕以下の遺伝子:FLOT2、CFLAR、EGR1、LRG1、RNF187、CPPED1、SLC35A4、SNORA2C、EEF1D、TENT5C、NELFE、PHLDA1、DEDD、SNORA71A、EID1、OVCA2、COQ10B、MCTS1、ELOVL7、STT3B、及びBZW2、ならびに該遺伝子の発現産物からなる群より選択される少なくとも1種を含む、乾燥による皮膚表面形状悪化の検出のためのマーカー。
〔17〕FLOT2及びCFLAR、ならびに該遺伝子の発現産物からなる群より選択される少なくとも1種を含む、〔16〕記載のマーカー。
〔18〕核酸マーカーである、〔16〕又は〔17〕記載のマーカー。
〔19〕前記核酸が皮膚表上脂質から採取されたmRNAである、〔18〕記載のマーカー。
〔20〕〔16〕又は〔17〕記載のマーカーである核酸と特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、又は〔16〕又は〔17〕記載のマーカーであるタンパク質を認識する抗体を含有する、〔1〕~〔15〕のいずれか1項記載の方法に用いられる乾燥による皮膚表面形状悪化を検出するためのキット。
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1 SSL由来RNAを用いた乾燥刺激による皮膚表面形状悪化の検出マーカーの探索
1)低湿度環境への暴露による乾燥刺激及びSSL採取
健常な皮膚状態を有する成人23名(22~57歳、女性)を被験者とした。各被験者は恒温恒湿室1(相対湿度50±5%、23±2℃)に入室し、各被験者の左半顔(額、鼻、頬、フェイスラインを含む)からあぶら取りフィルム(5×8cm、ポリプロピレン製、3M社)を用いて皮脂を回収し、その後洗顔を行った。30分の馴化ののち、各被検者は恒温恒湿室2(相対湿度20±5%、23±2℃)へ移動し、VisioScan(VC98、Courage+Khazaha社)を用いて左頬の皮膚表面形状(SEsm値)の測定を受け、低湿度環境への暴露(乾燥刺激)を開始した。低湿度環境への暴露開始から3時間後、各被験者の左半顔からの皮脂採取を行った。低湿度環境への暴露開始から6時間後、各被験者の左半顔からの皮脂採取と左頬のSEsm値の測定を行った。
該あぶら取りフィルムをバイアルに移し、RNA抽出に使用するまで-80℃で約1ヶ月間保存した。なお、以下では、恒温恒湿室1への入室直後にあぶら取りフィルムで採取したSSLから調製したRNAを、乾燥刺激前のRNAとした。また、低湿度環境への暴露開始から3時間後にあぶら取りフィルムで採取したSSLから調製したRNAと暴露開始から6時間後にあぶら取りフィルムで採取したSSLから調製したRNAを混合したものを、乾燥刺激後のRNAとした。
2)RNA調製及びシーケンシング
上記1)のあぶら取りフィルムを適当な大きさに切断し、QIAzol Lysis Reagent(Qiagen)を用いて、付属のプロトコルに準じてRNAを水層に移行させた。該水層から、RNA抽出用スピンカラムを用いた市販のRNA抽出キットを用いて、付属のプロトコルに従いRNAを抽出した。抽出されたRNAを、SuperScript VILO cDNA Synthesis kit(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)を用いて42℃、90分間逆転写し、cDNAを合成した。逆転写反応のプライマーには、キットに付属しているランダムプライマーを使用した。得られたcDNAから、マルチプレックスPCRにより20802遺伝子に由来するDNAを含むライブラリーを調製した。マルチプレックスPCRは、Ion AmpliSeqTranscriptome Human Gene Expression Kit(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)を用いて、[99℃、2分→(99℃、15秒→62℃、16分)×20サイクル→4℃、Hold]の条件で行った。得られたPCR産物は、Ampure XP(ベックマン・コールター株式会社)で精製した後に、バッファーの再構成、プライマー配列の消化、アダプターライゲーションと精製、及び増幅を行い、ライブラリーを調製した。調製したライブラリーをIon 540 Chipにローディングし、Ion S5/XLシステム(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)を用いてシーケンシングした。シーケンシングで得られた各リード配列をヒトゲノムのリファレンス配列であるhg19 AmpliSeq Transcriptome ERCC v1を用いて遺伝子マッピングすることで各リード配列の由来する遺伝子を決定した。
3)データ解析
i)使用データ
上記2)で測定した各被験者由来のRNAの発現量のデータ(リードカウント値)において、DESeq2という手法を用いて補正した。但し、全サンプル被験者の発現量データのうち90%以上のサンプル被験者で欠損値ではない発現量データが得られている4112遺伝子のみ以下の解析に使用した。解析には、DESeq2法を用いて補正されたカウント値(Normalized count値)を用いた。
ii)RNA発現解析
上記i)で測定した各被検者の乾燥刺激前及び乾燥刺激後のSSL由来RNA発現量(Normalized count値)を基に、乾燥刺激前と比較して乾燥刺激後において、対応のある2群間の尤度比検定によるp値の補正値(FDR)が0.05未満であり、なおかつLog(FoldChange)が-1未満または1より大きいRNA(発現変動遺伝子)を同定した。その結果、296種のRNAが乾燥刺激後において発現低下(DOWN)し、116種のRNAが乾燥刺激後において発現上昇(UP)した。
iii)発現低下遺伝子の機能解析
上記ii)において、乾燥刺激後に発現が低下した296遺伝子について、公共データベースであるSTRING(https://string-db.org/)を用いて遺伝子オントロジー(GO)エンリッチメント解析によるbiological process(BP)の探索を行い、FDRが0.05未満となるタームを抽出した。その結果、乾燥刺激後において発現低下した遺伝子群と関連したBPが319個得られ、そのうち表皮角化に関するタームが5個(表2-1)、活性酸素ストレス応答に関するタームが6個含まれることが示された(表2-2)。また、乾燥刺激後に発現が低下した296遺伝子のうち、表皮角化に関する表2-1の5タームの少なくとも1つを構成する14種の遺伝子を表3-1に示し、活性酸素ストレス応答に関する表2-2の6タームの少なくとも1つを構成する18種の遺伝子を表3-2に示した。表3-1または表3-2に示す32遺伝子のうち、Elsevier Text Miningを用いてこれまで皮膚乾燥(「dry skin」または「xerosis」のタキソノミーに登録される単語)との関連が報告されていないことを確認した遺伝子を「*」印で示した。
Figure 2023069499000002
Figure 2023069499000003
Figure 2023069499000004
Figure 2023069499000005
iv)発現上昇遺伝子の機能解析
上記ii)において、乾燥刺激後に発現が上昇した116遺伝子について、STRINGを用いて遺伝子オントロジー(GO)エンリッチメント解析によるbiological process(BP)の探索を行い、FDRが0.05未満となるタームを抽出した。その結果、乾燥刺激後において発現上昇した遺伝子群と関連したBPは得られなかった。
v)乾燥刺激による皮膚の表現型変化
上記1)において、恒温恒湿室2への入室直後に測定したSEsm値(乾燥刺激前のSEsm値)と、低湿度環境への暴露開始から6時間後に測定したSEsm値(乾燥刺激後のSEsm値)を用いて、乾燥刺激前と比べて乾燥刺激後にSEsm値が変化したかどうか解析した。23名の各被験者のSEsm値(単位なし)を基に、対応のある2群間検定(Paired t-test)を行ったところ、乾燥刺激前と比べて刺激後に有意にSEsm値が上昇し、乾燥により皮膚表面形状が悪化したことが確認された(図1、p<0.01)。
vi)乾燥刺激による皮膚表面形状悪化と関連して発現低下する遺伝子の抽出
上記ii)において、乾燥刺激後に発現が低下した296遺伝子について、乾燥刺激前後での発現量の変化量が、乾燥刺激前後でのSEsm値の変化量と相関を示すものを探索した。各被験者における各296遺伝子発現量の変化量とSEsm値の変化量のスピアマンの相関係数Rs及びそのp値を算出した。その結果、表4に示す16遺伝子は、発現量の変化量がSEsm値の変化量と負の相関を示し、なおかつp値が0.1を下回った。これら16遺伝子はいずれも、Elsevier Text Miningを用いてこれまで皮膚乾燥(「dry skin」または「xerosis」のタキソノミーに登録される単語)との関連が報告されていないことを確認した(表中に「*」印で示す)。また、これら16遺伝子のうちFLOT2は上記iii)において表2-1に示す表皮角化に関するタームの少なくとも1つを構成する遺伝子であり、CFLARは上記iii)において表2-2に示す活性酸素ストレス応答に関するタームの少なくとも1つを構成する遺伝子であった(いずれも表中に太字で示す。)。よって、これらの16遺伝子は、新規な乾燥による皮膚表面形状悪化の検出マーカーとなり得ると判断された。
Figure 2023069499000006
vii)乾燥刺激による皮膚表面形状悪化と関連して発現上昇する遺伝子の抽出
上記ii)において、乾燥刺激後に発現が上昇した116遺伝子について、乾燥刺激前後での発現量の変化量が、乾燥刺激前後でのSEsm値の変化量と相関を示すものを探索した。各被験者における各116遺伝子発現量の変化量とSEsm値の変化量のスピアマンの相関係数Rs及びそのp値を算出した。その結果、表5に示す5遺伝子は、発現量の変化量がSEsm値の変化量と正の相関を示し、なおかつp値が0.1を下回った。これら5遺伝子はいずれも、Elsevier Text Miningを用いてこれまで皮膚乾燥(「dry skin」または「xerosis」のタキソノミーに登録される単語)との関連が報告されていないことを確認した(表中に「*」印で示す)。よって、これらの5遺伝子は、新規な乾燥による皮膚表面形状悪化の検出マーカーとなり得ると判断された。
Figure 2023069499000007
乾燥を呈する皮膚(又は皮膚乾燥状態)において、表皮角化に関連する遺伝子又はその発現産物の発現低下又は機能低下が起きること(J Am Acad Dermatol. 55:263-8, 2006.、J Invest Dermatol. 124:1099-110, 2005.)や、活性酸素除去剤が乾燥を呈する皮膚を改善すること(Skin Pharmacol Physiol. 31:188-197, 2018.)は公知である。一方、表3-1及び表3-2にも示す通り、表皮角化に関するタームの少なくとも1つを構成する遺伝子、及び活性酸素ストレス応答に関するタームの少なくとも1つを構成する遺伝子の必ずしも全てが、乾燥を呈する皮膚において発現が低下するわけではない。かかる実験の結果は、健常な皮膚に乾燥刺激を与えた際に具体的にどの遺伝子の発現が減少するか推測することが困難であることを意味する。また、そのうちFLOT2及びCFLARは皮膚乾燥との関連がこれまで報告されておらず、なおかつ表皮角化や活性酸素ストレス応答という公知の分子機序に関連する遺伝子であるため、乾燥による皮膚表面形状悪化の検出指標として有用であると考えられる。
以上の皮膚乾燥、表皮角化、及び活性酸素ストレス応答に関する従来の知見、及び以上の本実験の結果は、SSL中のFLOT2、CFLAR、EGR1、LRG1、RNF187、CPPED1、SLC35A4、SNORA2C、EEF1D、TENT5C、NELFE、PHLDA1、DEDD、SNORA71A、EID1、OVCA2、COQ10B、MCTS1、ELOVL7、STT3B、及びBZW2からなる21遺伝子、ならびに該遺伝子の発現産物からなる群より選択される少なくとも1種を乾燥による皮膚表面形状悪化の検出マーカーとして使用するという本発明が提供する技術は、全く予想外であり容易に見出し難いものであることを示している。

Claims (14)

  1. 被験者における乾燥による皮膚表面形状悪化を検出する方法であって、被験者における以下の遺伝子:FLOT2、CFLAR、EGR1、LRG1、RNF187、CPPED1、SLC35A4、SNORA2C、EEF1D、TENT5C、NELFE、PHLDA1、DEDD、SNORA71A、EID1、OVCA2、COQ10B、MCTS1、ELOVL7、STT3B、及びBZW2、ならびに該遺伝子の発現産物からなる群より選択される少なくとも1種の発現レベルを測定し、基準値と比較することを含む、方法。
  2. 前記遺伝子又は発現産物の発現レベルを少なくとも2つの時期に測定し、より早期の時期に測定した発現レベルを基準値と設定することを含む、請求項1記載の方法。
  3. 前記皮膚表面形状が、皮溝と皮丘の高低差によって示される皮膚の滑らかさについての皮膚表面形状である、請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記遺伝子又は発現産物が以下の遺伝子:FLOT2、CFLAR、EGR1、LRG1、RNF187、CPPED1、SLC35A4、SNORA2C、EEF1D、TENT5C、NELFE、PHLDA1、DEDD、SNORA71A、EID1、及びOVCA2、ならびに該遺伝子の発現産物からなる群より選択される少なくとも1種であり、前記被験者から測定した該遺伝子又は発現産物の発現レベルが基準値である発現レベルよりも低い場合、該被験者の皮膚表面形状が乾燥により悪化したと検出されるか、又は、前記被験者から測定した該遺伝子又は発現産物の発現レベルが基準値である発現レベルよりも高いか不変である場合、該被験者の皮膚表面形状は乾燥により悪化していないと検出される、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
  5. 前記被験者から測定した該遺伝子又は発現産物の発現レベルが基準値である発現レベルと比較してより低い発現レベルであるほど、該被験者の皮膚表面形状が乾燥によってより悪化したと検出される、請求項4記載の方法。
  6. 前記遺伝子又は発現産物が以下の遺伝子:COQ10B、MCTS1、ELOVL7、STT3B、及びBZW2、ならびに該遺伝子の発現産物からなる群より選択される少なくとも1種であり、前記被験者から測定した該遺伝子又は発現産物の発現レベルが基準値である発現レベルよりも高い場合、該被験者の皮膚表面形状が乾燥により悪化したと検出されるか、又は、前記被験者から測定した該遺伝子又は発現産物の発現レベルが基準値である発現レベルよりも低いか不変である場合、該被験者の皮膚表面形状は乾燥により悪化していないと検出される、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
  7. 前記被験者から測定した該遺伝子又は発現産物の発現レベルが基準値である発現レベルと比較してより高い発現レベルであるほど、該被験者の皮膚表面形状が乾燥によってより悪化したと検出される、請求項6記載の方法。
  8. 前記遺伝子又は発現産物の発現レベルから基準値である発現レベルを減じて発現レベルの変化量を算出することを含む、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
  9. 前記遺伝子又は発現産物が以下の遺伝子:FLOT2、CFLAR、EGR1、LRG1、RNF187、CPPED1、SLC35A4、SNORA2C、EEF1D、TENT5C、NELFE、PHLDA1、DEDD、SNORA71A、EID1、及びOVCA2、ならびに該遺伝子の発現産物からなる群より選択される少なくとも1種であって、前記発現レベルの変化量が負の値である場合、該発現レベルの変化量の絶対値がより大きいほど、該被験者の皮膚表面形状が乾燥によってより悪化したと検出される、請求項8記載の方法。
  10. 前記遺伝子又は発現産物が以下の遺伝子:COQ10B、MCTS1、ELOVL7、STT3B、及びBZW2、ならびに該遺伝子の発現産物からなる群より選択される少なくとも1種であって、前記発現レベルの変化量が正の値である場合、該発現レベルの変化量の値がより大きいほど、該被験者の皮膚表面形状が乾燥によってより悪化したと検出される、請求項8記載の方法。
  11. 前記遺伝子又は発現産物の発現レベルが該遺伝子又はmRNAの発現量である、請求項1~10のいずれか1項記載の方法。
  12. 前記遺伝子又は発現産物の発現レベルが皮膚表上脂質から採取されたmRNAの発現量である、請求項1~11のいずれか1項記載の方法。
  13. 以下の遺伝子:FLOT2、CFLAR、EGR1、LRG1、RNF187、CPPED1、SLC35A4、SNORA2C、EEF1D、TENT5C、NELFE、PHLDA1、DEDD、SNORA71A、EID1、OVCA2、COQ10B、MCTS1、ELOVL7、STT3B、及びBZW2、ならびに該遺伝子の発現産物からなる群より選択される少なくとも1種を含む、乾燥による皮膚表面形状悪化の検出のためのマーカー。
  14. 請求項13記載のマーカーである核酸と特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、又は請求項13記載のマーカーであるタンパク質を認識する抗体を含有する、請求項1~12のいずれか1項記載の方法に用いられる乾燥による皮膚表面形状悪化を検出するためのキット。
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